【発明の詳細な説明】
細胞付着抑制剤としての(−)−(3R)−3
−メチル−4−14−[4−(4−ピリジル)
ピペラジン−1−イル]フェノキシ}酪酸
本発明は、新規な光学活性化合物(−)−(3R)−3−メチル−4−14−
[4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−イル]フェノキシ}酪酸[以下(−)
−(3R)と略す]及びその薬理的に許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒
和物に関する。本発明は、さらにこの光学活性化合物の製法、これを含有する医
薬組成物及び細胞付着、例えば血小板凝集を抑制するためのその使用に関する。
有機化合物は、光学活性の形態で存在しうる。このような化合物は、平面偏光
された光の平面を右旋性[接頭語(+)]又は左旋性[接頭語(−)]に回転さ
せることができるという特性を有する。典型的には、光学活性化合物は、4個の
異なる原子又は基が結合している四面体の炭素のような不斉の又はキラルな原子
を有している。4個の異なる原子又は基は、互いに鏡像として構造的に関連付け
られる2個のキラルな化合物を与えるように、2通りの方法で不斉の炭素原子の
まわりに配置させることができる。これらの化合物は、立体異性体又は鏡像体と
呼ばれる。鏡像体は、それ
らが平面偏光された光線の面を反対方向ではあるが、等量だけ回転させるという
ことを除き、同じ物理的又は化学的特性を有する。このような混合物は、平面偏
光された光線の平面の回転を生じさせない。
有機化合物の立体化学的純度は、薬剤化学及び薬理学の分野において重要であ
る。生命の維持に関与している温血動物の酵素又は受容体といった多くの高分子
は、キラルなアミノ酸のようなキラル形ブロックから構成されている。薬理的に
活性な化合物のラセミ混合物を共に形成する個々の鏡像体は、酵素又は受容体の
ようなキラルな高分子と異なる程度での相互作用を生じうる。それゆえ、個々の
鏡像体は、酵素抑制剤又は受容体拮抗剤として異なる強さを有する。加えて、一
の鏡像体が温血動物に投与されるときに観察される吸収、分散、代謝及び排泄の
速度及び程度は、鏡像型のものが投与されるときに観察されるものとは異なって
おり、即ち、鏡像体は異なる薬力学特性を有し得る。
さらに、有機化合物の立体化学的な純度は、薬理的に活性な化合物が投与され
るときに観察されうる副作用の性質及び程度にとって重要でありうる。従って、
一の鏡像体は、有用な化合物であるが他の鏡像体が有害な副作用又は毒性を生じ
得る。例えば、サリドマイドの鏡像体の一方は、安全かつ有効な鎮静剤であり得
たが、他方の鏡像体はラセミ混合物の催奇性の副作用を支配した。
本発明の光学活性化合物は、国際特許出願第WO94/22834号の実施例
132及び国際特許出願第WO94/22835号の実施例203において、ト
リフルオロ酢酸の塩として開示されている、ラセミ混合物の(3RS)−3−メ
チル−4−14−[4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−イル]フェノキシ}
酪酸[以下、(3RS)−ラセミ混合物という]の光学異性体である。そこでは
、このような化合物が血小板凝集に引き続き血栓を形成するような細胞付着に関
連する種々の病気の治療に有効であることが開示されている。血栓は、血栓症、
脳卒中、アテローム性動脈硬化症、血栓塞栓症及び血栓崩壊治療の間又はその後
の再閉塞、心筋梗塞、不安定なアンギナを伴う血栓の発生のような疾病を引き起
し得る。
この化合物の抗血小板凝集作用は、各血小板の膜内に保持されているフィブリ
ノーゲンやフォンビルブラント因子(Von Willebrand Factor)のような付着性分
子が糖タンパク質IIb/IIIa(以下、GPIIb/IIIaと略す)に結合するのを
抑制する化合物の能力に基づくと言われている。このことにより、例えば血小板
運搬フィブリノーゲンの必要な活性化及び二量化が起らず、血栓形成及び血小板
凝集のような過程が抑制される。
改善された治療割合を有する化合物を研究する際の可能な助けとして、国際特
許出願第WO94/228
34号及びWO94/22835号に開示された化合物よりも増大された強さを
有する化合物を見つけることが望ましいであろう。
さらに、インテグリン、セレクチン及びカドヘリンのような数個のクラスの付
着性分子があることも知られている。インテグリンは白血球及び血小板上に見い
出され、セレクチンは白血球及び内皮細胞上に見い出される。各クラスの付着性
分子には、多くのメンバーがある。インテグリンファミリーには、例えば、フィ
ブリノーゲンと結合するGPIIb/IIIa,ビトロネクチンと結合するインテグ
リンαv β3 及びフォブロネクチンと結合するインテグリンα5 β1 が含まれる
。一層有用な治療用の血小板凝集抑制剤は、各クラスの付着分子の間で及び付着
分子の各クラスのファミリーメンバーの間で選択的な抑制作用を有するであろう
と信じられている。従って、この選択性を有する又は既知の血小板凝集抑制剤よ
りも一層大きな選択性を有する化合物を見い出すことが望ましいであろう。
さらに、いくつかのクラスのGPIIb/IIIa拮抗薬が存在することが知られ
ている。例えば、GPIIb/IIIaに対するモノクロナール抗体拮抗薬が挙げら
れている。加えて、例えば、米国特許第5039805号及び同5084446
号から、カナダ特許出願第2008161号、2037153号及び20616
61号から、及びAligら、J.Med.Chem.,1992,3
5,4393から、付着分子がGPIIb/IIIaに結合するのを抑制する小分子
も知られている。一般には、これらの化合物の構造は、例えば、フィブリノーゲ
ン構造内のアミノ酸配列RGD(アルギニル グリシル アスパルテート)のよ
うな付着分子の結合領域に基づいている。このような化合物は、血小板の凝集及
び、例えば、過剰に強力な血小板凝集過程という有害な後遺症をもたらすことな
く損傷を受けた組織の治療を可能とするのに十分な時間血栓形式を抑制するのに
使用できると信じられている。血小板凝集の抑制は、血餅形成の速度を減少させ
、それゆえ出血の発生及び時間の増大をもたらし得るということは、種々のクラ
スのGPIIb/IIIa拮抗薬に関する理論的な懸念である。出血時間の僅かな増
加は許容し得るが、或る種の治療に関連する出血、例えば頭蓋内の出血は生命に
危険である。
従って、国際特許出願第WO94/222834号の実施例132の化合物に
ついて開示されている強力なGPIIb/IIIa拮抗薬活性という利点を有し、既
知のGPIIb/IIIa拮抗薬に関連する増加した出血時間及び/又は有害な治療
に関連する出血という不利益を有しない又はより低い程度で有する化合物を見つ
けることが望まれるであろう。
本発明により、実質的に(+)−(3S)立体異性体を含有しない、光学活性
化合物(−)−(3R)−
3−メチル−4−14−{4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−イル]フェノ
キシ}酪酸又はその薬理的に許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物が提
供される。
この(−)−(3R)化合物は、相応する(+)−(3S)異性体よりも、G
PIIb/IIIa拮抗薬として実質的によりすぐれた強さを有している。(−)−
(3R)化合物は、各クラスの接着分子の間で及びこれらのクラスのファミリー
メンバーの間で抑制作用の選択性も有している。例えば、この化合物はフィブリ
ノーゲンへのGPIIb/IIIaの結合に反対する活性を有している。(pIC50
=7.65)が、ビトロネクチンへαv β3 の結合(pIC50は4以下)又はフ
ィブロネクチンへのα5 β1 の結合(pIC50は4以下)に反対する活性は有し
ていない。
したがって、(−)−(3R)化合物は、(3RS)−ラセミ混合物のような
他のフィブリノーゲン受容体拮抗薬の投与に関連する過剰の出血のような副作用
を生ずる傾向又は可能性を実質的に減少させる、新規、強力かつ選択的なフィビ
リノーゲン受容体拮抗薬である。(−)−(3R)化合物の使用は、(3RS)
−ラセミ混合物を構成する治療的により劣った(+)−(3S)化合物の投与に
伴う副作用を生ずる傾向又は可能性をも除く。(−)−(3R)化合物の使用は
、より明確な構造−活性−毒性分析を可能とし、改善
された治療率を与える。それゆえ、国際特許出願第WO94/22834号の実
施例132の(3RS)−ラセミ混合物よりも、本発明の(−)−(3R)化合
物を使用するのが望ましい。
本発明の(−)−(3R)化合物の特別な薬理的に許容し得る塩には、例えば
、塩酸、臭化水素のようなハロゲン化水素、硫酸又は燐酸のような鉱酸との塩、
及び例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸との塩のような薬理的に許容し得る
アニオンを与える酸との塩が包含される。他の薬理的に許容し得る塩には、無機
塩基との塩例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩例えば、ナトリウム塩、
アンモニウム塩及び、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチ
レンジアミン、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ピペラジン、エタノール
アミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、テトラメチルアンモニ
ウムハイドロオキシド及びベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキシドと
の塩のような薬剤学的に許容し得るカチオンを形成する有機アミン及び第4級塩
との塩が含まれる。
本発明の(−)−(3R)化合物の特別の薬剤学的に許容し得るエステルは、
例えば、(C1〜6)アルコール(即ち、メタノール、エタノール、プロパノー
ル及びt−ブタノール)、インダノール、アダマントール、(C1〜4)アルカ
ノイルオキシ(C1〜4)
アルコール(即ち、ピバロイルオキシメタノール)及び(C1〜6)アルコキシ
カルボニル−(C1〜4)アルコール(即ち、メトキシカルボニルメタノール)
のようなアルコールにより形成されるエステルである、本発明の化合物のカルボ
キシル基のエステル化誘導体を含む。
本発明の(−)−(3R)化合物の特別の薬理的に許容し得るアミドは、例え
ば、アンモニア、(C1〜4)アルキルアミン(即ち、メチルアミン)、ジ−(
C1〜4)アルキルアミン(即ち、ジメチルアミン、N−エチル−N−メチルア
ミン及びジエチルアミン)、(C1〜4)アルコキシ−(C2〜4)アルキルア
ミン(即ち、2−メトキシエチルアミン)、フェニル−(C1〜4)アルキルア
ミン(即ち、ベンジルアミン)及びアミノ酸(即ち、グリシン又はそのエステル
)のようなアミンとから形成されるアミドである、本発明の化合物のカルボキシ
ル基がアミド化された誘導体を含む。本発明の(−)−(3R)化合物の特定の
アミドには、N−メチル−、N,N−ジメチル、N−エチル−N−メチル−及び
N,N−ジエチル−ブチルアミドが含まれる。
本発明の(−)−(3R)化合物の特別の薬剤学的に許容し得る溶媒和物は、
例えば、水和物、即ち、半水和物、一水和物、二水和物又は三水和物又はそれの
他の量のものが含まれる。
以下において使用される“実質的に(+)−(3S)立体異性体を含まない”
という語は、少なくとも90重量%以上の(−)−(3R)異性体及び10重量
%以下の相応する(+)−(3S)異性体が存在することを意味する。好適には
、少なくとも95重量%以上の(−)−(3R)異性体及び5重量%以下の(+
)−(3S)異性体が存在する。より一層好ましくは、少なくとも99重量%以
上の(−)−(3R)異性体及び1重量%以下の(+)−(3S)異性体が存在
する。
本発明の(−)−(3R)化合物、又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステ
ル、アミド又は溶媒和物は、かかる化合物の製造に関する分野において既知であ
る任意の方法により製造することができる。適当な方法には、適当なキラルな中
間体の不整合成及び(3RS)−ラセミ化合物の分割が含まれる。このような方
法は、本発明の更なる特徴を表し、以下のものを包含する:
a) 4−[4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−イル]又はその反応性誘導
体とキラルな中間体である(3R)−4−ヒドロキシ−3−メチル酪酸又はその
エステル又はその反応性誘導体との反応。
この反応は、好都合には、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウムの
ような強塩基の存在下で実施される。適当な溶媒には、ジメチルホルムアミドの
ようなアミドが挙げられる。反応は、好都合には0〜100℃の範囲の温度で実
施される。
キラルな中間体(3R)−4−ヒドロキシ−3−メチル酪酸の適当なエステル
には、メチル、エチル、プロピル及びt−ブチルエステルが含まれる。これの適
当な反応性誘導体は、例えば、4−クロロ及び4−ブロモ誘導体のような(3R
)−4−ハロゲノ−3−メチル酪酸又はそのエステル(即ち、メチル又はエチル
エステル)、4−メタンスルホニルオキシ誘導体又は(3R)−4−アリールス
ルホニルオキシ−3−メチル酪酸のようなそのエステル(即ち、メチル又はエチ
ルエステル)又は4−(p−トルエンスルホニルオキシ)誘導体のようなエステ
ル(即ち、メチル又はエチルエステル)が含まれる。
b) 次式Iの化合物
[式中、Lは脱離性原子又は基である]とキラルな中間体(3R)−3−メチ
ル−4−[4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ]酪酸又はその酸付加塩と
の反応。
Lとして有用なものの例には、塩素又は臭素のようなハロゲン、及びシアノが
挙げられる。
(3R)−3−メチル−4−[4−(ピペラジン−
1−イル)フェノキシ]酪酸の酸付加塩の例は、例えば、塩化水素酸塩である。
反応は、好都合には−10〜120℃、好ましくは10〜100℃の範囲で実
施し得る。適当な溶媒は、テトラヒドロフラン及びジオキサンのようなエーテル
、ジメチルホルムアミドのようなアミド、アセトニトリルのようなニトリル、ジ
クロロメタンのようなハロゲン化炭化水素、エタノールのようなアルコール及び
水である。
或る場合には、例えば出発物質として(3R)−3−メチル−4−[4−(ピ
ペラジン−1−イル)フェノキシ]酪酸の酸付加塩が使用される場合には、反応
は塩基の存在下で実施するのが有利である。適当な塩基の例には、トリエチルア
ミンのような第三級アミン、及び水酸化ナトリウム又はカリウム、炭酸塩又は重
炭酸塩のようなアルカリ金属水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩が含まれる。
c) 次式II
[式中、Rはカルボキシ保護基である]のエステルの分解。
Rは、分子の他の部分に干渉することなく除去できる任意の慣用のカルボキシ
ル保護基であってよい。カルボキシ保護基の例には、(C1〜6)アルキル基、
(メチル、エチル、プロピル又はt−ブチル等)フェニル及びベンジルが包含さ
れ、このフェニル基は適宜1又は2個のハロゲン、(C1〜4)アルキル、(C
1〜4)アルコキシ又はニトロを有していてよい。
分解は、カルボン酸エステルをカルボン酸に変換する分野において既知の慣用
の試薬及び条件の任意の1つを使用して実施することができ得る。例えば、この
分解は水の存在下で水酸化リチウム、カリウム又はナトリウムのようなアルカリ
金属水酸化物、又はトリエチルアミンのような第三級アミンを使用して、塩基触
媒による加水分解により実施することができる。塩基触媒加水分解は、アルコー
ル、即ち、メタノール又はエタノール、又はテトラヒドロフラン又はジオキサン
のようなエーテルの溶媒の存在下で実施することができる。この分解は、例えば
酢酸又はトリフルオロ酢酸水溶液を使用する酸触媒加水分解により実施すること
もできる。温度は、好都合には−10〜100℃、例えば、10〜50℃の範囲
である。アルコール残基がt−ブチルであるときは、これは80〜150℃の範
囲の温度で、単独で又はジフェニルエーテル又はジフェニルスルホンのような適
当な希釈剤の存在下で、加熱することにより除去されうる。ベンジル基は、例え
ばアルコール、例えばメタノール又はエタノールのような溶媒の存在下で、−1
0〜100℃の範囲の温度で、パラジウム/炭素の存在下に水素添加することに
よる、接触的水素添加により除去することができる。
d) (3RS)−ラセミ混合物、(3RS)−3−メチル−4−14−{4−
(4−ピリジル)ピペラジン−1−イル]フェノキシ}酪酸の分割
(3RS)−ラセミ混合物の酪酸誘導体の分割は、慣用の方法、例えば光学活
性塩基を使用して塩を形成し、次いで、例えばこのようにして製造された2個の
塩を分別結晶により分離させ、そして分離された塩を酸性化することにより、分
離された(−)−(3R)及び(+)−(3S)化合物を再生させることにより
実施することができる。
(3RS)−ラセミ混合物の酪酸誘導体の分割は、また、光学活性アルコール
との反応によるエステルのジアステレオ異性体対を形成させ、例えばクロマトグ
ラフィーによるこのエステルの分離、及び分離したエステルの加水分解による(
−)−(3R)と(+)−(3S)の分離物の再生という慣用の手段により実施
することもできる。アミドのジアステレオ異性体の対を製造することを含む類似
の方法も使用し得る。
(−)−(3R)化合物及びキラルな中間体の製造は、以下の非限定的で、単
に例示の目的で提示される実施例中に記載される。
前記したキラルのある種の中間体は新規であり、それゆえ、本発明の更なる態
様に従い、実質的に(3S)立体異性体を含まない、t−ブチル(3R)−3−
メチル−4−ヒドロキシブチレート化合物、又はそれらの反応性誘導体が提供さ
れる。特定の言及しうる反応性誘導体は、t−ブチル(3R)−3−メチル−4
−(p−トルエンスルホニルオキシ)ブチレートである。
前記した“実質的に(3S)立体異性体を含まない”という語は、本発明の(
−)−(3R)化合物に関して与えられたのと同じ意味を有する。
本発明の(−)−(3R)化合物の薬剤学的に許容し得る塩が必要な場合には
、例えば、この化合物を慣用の方法を使用して適当な酸又は塩基と反応させるこ
とにより得ることができる。本発明の(−)−(3R)化合物の薬剤学的に許容
し得るエステル又はアミドが必要な場合は、これは例えば、上記化合物を慣用の
方法により適当なアルコール又はアミンと反応させて得ることができる。
本発明の(−)−(3R)化合物の血小板凝集抑制の及びフィブリノーゲンが
GPIIb/IIIaに結合するのを抑制する作用は、国際特許出願第WO94/2
2834号に開示された標準試験方法(a)及び(b)を使用して示すことがで
き、この試験方法は参考として本明細書に取り入れられる。
本発明の(−)−(3R)化合物は、アデノシン二燐酸(ADP)誘引のヒト
血小板凝集に対してpA2=7.3の活性を、フィビリノーゲンのGPIIb/III
aへの結合に対してpIC50=7.65の活性を有する。
前記したように、本発明の化合物は細胞付着(特に血小板凝集)が関与する疾
病、例えば静脈又は動脈血栓(例えば、肺動脈塞栓症、脳卒中及び不安定なアン
ギナを伴う血栓発作及び一過性虚血症)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、
血栓塞栓症及び血栓治療の間及び後の再閉塞の病気の治療及び予防において使用
できる。この化合物は、さらに、経皮的な経腔の冠状血管形成術(PTCA)及
び冠状動脈バイパス移植の後の再閉塞及びレステノーシス(restenosis)の予防
のために有用であり得る。付着分子がGPIIb/IIIaに結合することにより仲
介される他の病気、例えば癌の治療において、この化合物が有用であるというこ
とも評価し得るであろう。
本発明のもう一つの態様に従い、実質的に(+)−(3S)立体異性体を含ま
ない(−)−(3R)化合物、又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、ア
ミド又は溶媒和物の薬剤としての使用が提供される。
本発明のもう一つの態様より、実質的に(+)−(3S)立体異性体を含まな
い、(−)−(3R)化合物、又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、ア
ミド又は溶媒和物の有効量を投与することから成る、血小板凝集を抑制する治療
を必要とする、温血動物におけるかかる凝集の抑制方法が提供される。
本発明のもう一つの態様に従って、(+)−(3S)立体異性体を実質的に含
まない、有効量の(−)−(3R)化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩、エ
ステル、アミド又は溶媒和物を投与することから成る、フィブリノーゲンがGP
IIb/IIIaへ結合するのを抑制することが必要な温血動物におけるかかる抑制
方法が提供される。
本発明のもう一つの態様に従い、実質的に(+)−(3S)立体異性体を含ま
ない、有効量の(−)−(3R)化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩、エス
テル、アミド又は溶媒和物を投与することから成る、不安定なアンギナを伴う血
栓発生を抑制することが必要な温血動物におけるこの発生の抑制方法が提供され
る。
本発明のもう一つの態様により、実質的に(+)−(3S)立体異性体を含ま
ない有効量の(−)−(3R)化合物、又はその薬剤学的に許容し得る塩、エス
テル、アミド又は溶媒和物を投与することから成る、(3−RS)−ラセミ混合
物の投与に関係する副作用を実質的に減少させる間、血小板凝集の抑制を必要と
する温血動物におけるその抑制方法が提供される。
本発明のもう一つの態様に従い、血小板凝集に関連
する疾病を予防し又は治療するための医薬の製造目的のための、実質的に(+)
−(3S)立体異性体を含まない、(−)−(3R)化合物、その薬剤学的に許
容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物の使用が提供される。
本発明のもう一つの態様により、フィブリノーゲンがGPIIb/IIIaに結合
することに関連する病気の予防又は治療用の薬剤を製造するための、(−)−(
3R)化合物、又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、アミド又はその溶
媒和物であって、実質的に(+)−(3S)立体異性体を含まないものの使用が
提供される。
本発明のもう一つの態様に従って、不安定なアンギナを伴う血栓発生を予防又
は治療するための薬剤を製造するための、(+)−(3S)立体異性体を実質的
に含まない、(−)−(3R)化合物、又はその薬剤学的に許容し得る塩、エス
テル、アミド又は溶媒和物の使用が提供される。
一般に、本発明の(−)−(3R)化合物は、この目的のために、投与経路、
患者の年令及び性及び治療する状況の重さに依存して、体重kg当り0.01〜
50mgの範囲の投与量が与えられるように、経口、直腸、局所、静脈内、経皮
、筋肉内又は吸入の各経路により投与され得るであろう。
本発明の(−)−(3R)化合物は、薬剤学的に許
容し得る希釈剤又は担体と混合して、実質的に(+)−(3S)立体異性体を含
まない、(−)−(3R)化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、
アミド又は溶媒和物を含む医薬組成物の形態にて一般に使用されるであろう。か
かる組成物は発明の他の特徴として提供され、種々の投与形態にし得るであろう
。例えば、経口投与のための錠剤、カプセル、溶液又は懸濁液の形態;局所適用
のためのクリーム又は軟膏又は経皮(皮膚)パッチの形態;直腸投与のための座
剤の形態;静注又は筋肉内注射による投与のための滅菌溶液又は懸濁液の形態;
吸入投与のためのネブライザー溶液又は懸濁液又はエアゾールの形態;そして通
気法による投与のための、乳糖のような薬剤学的に許容し得る不活性固体希釈剤
と一緒にした粉末の形態とすることができる。
投与経路に依存して、この組成物は、例えば0.1〜99.9重量%の本発明の
(−)−(3R)化合物を含有することができる。
医薬組成物は、本分野で既知の薬剤学的に許容し得る希釈剤及び担体を使用す
る慣用の方法により得ることができる。経口投与のための錠剤及びカプセルは、
好都合には本発明の(−)−(3R)化合物が胃酸と接触するのを最少にするた
め、例えばセルロースアセテートフタレートを含む腸溶性コーティングに形成す
ることができる。
本発明の化合物は、治療することが意図される病気又は状態において有用であ
ることが知られている1又は複数の薬剤、例えば既知の血小板凝集抑制剤(例え
ば、アスピリン、トロンボキサン拮抗薬又はトロンボキサン合成酵素抑制剤)、
低脂血剤、抗高血圧剤、血栓崩壊剤(ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロ
ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター及びこれらの誘導体)と共
に投与ないしは処方することができ、心臓又は血管の病気又は状態を治療するの
に使用するための本発明の医薬組成物中にはベーターアドレナリン性遮断剤又は
血管拡張剤を有効に存在させることができる。
治療用の医薬中で使用することに加えて、本発明の(−)−(3R)化合物は
、新規の治療剤を研究する一部として、ネコ、犬、ウサギ、猿、ラット及びマウ
スのような実験用動物における付着分子の効果を評価するための試験システムの
開発及び標準化における薬理学的手段としても有用である。人工の体外環流、例
えば四肢又は器官の移植の間に被る温血動物(又はその一部)における血液及び
血管の生存活性を維持し、血液を貯蔵するのを補助する際の、血小板凝集抑制特
性のために使用することもできる。この目的で使用する際には、本発明の(−)
−(3R)化合物は、一般には1l当り、例えば0.1〜10mgの範囲の安定
した状態の濃度が血液中で達成されるように投与される
であろう。
ここで、本発明を、次の非限定的な実施例により説明するが、他に記載のない
場合には、これは次のとおりである:
i) 濃縮及び蒸発は、真空中で回転蒸発器により実施された;
ii) 操作は室温で(これは18〜26℃の範囲である)実施された;
iii) カラムクロマトグラフィーは、EメルクアンドCo.,ダルムシュタット、
ドイツから入手できるシリカゲル(メルク7736)上で実施された;
iv) 収量は例示のためにのみ与えられ、必ずしも勤勉なプロセス開発で達成さ
れる最大ではない;
v) プロトンNMRスペクトルは、通常内部標準としてテトラメチルシラン(
TMS)を使用して200MHz又は250MHzで測定され、主要なピークを
指示する慣用の略語:S,singlet;d,m,multiplet:t.triplet;br,broad;d,doublet
を使用して、TMSに対する化学シフト(デルタ値)がppmで表示されている
;そして
vi) 以下の略語は特定の有機溶媒に対して使用される:テトラヒドロフランに
対してTHF、N,N−ジメチルホルムアミドに対してDMF及びジメチルスル
ホキシドに対してDMSO。
実施例1
(−)−(3R)−3−メチル−4−{4−[4−(4−ピリジル)ピペラジン
−1−イル]フェノキシ}酪酸塩酸塩
無水DMF(120ml)中の4−[4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−
イル]フェノール(15.5g)撹拌懸濁物に水素化ナトリウム(鉱油中60%
の分散液、2.44g)を添加し、この混合物を45分間撹拌した。t−ブチル
(3R)−3−メチル−4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ブチレート(2
0g)を添加し、混合物を20時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残渣をジクロ
ロメタン及び水の間に分配させた。有機層を水で洗い、相分離紙(Whatman IPS
)を通して濾過し、そして蒸発させた。残渣をジエチルエーテル下で磨砕した。
こうして得られた固体を酢酸エチルから再結晶させると、t−ブチル(−)−(
3R)−3−メチル−4−{4−[4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−イル
]フェノキシ}ブチレート(10.6g)が得られた。
融点 112〜113℃;
[α]D=−5.5°(濃度=1g/100mlメタノール;20℃);
t−ブチル(−)−(3R)−3−メチル−4−14−[4−(4−ピリジル
)ピペラジン−1−イル]
フェノキシ}ブチレート(10.53g)と1Nの塩酸水溶液(250ml)の
混合物を44時間撹拌した。1Nの水酸化ナトリウム水溶液(250ml)を添
加し、そして混合物を5℃に冷却した。混合物を濾過し、そして濾液を蒸発させ
た。
水(150ml)を添加し、得られた沈殿を分離し、順次、水、アセトン及び
ジエチルエーテルで洗った。こうして得られた物質を1Nの塩化水素水溶液(2
5ml)とともに16時間撹拌した。混合物を5℃に冷却し、濾過した。このよ
うにして生成された固体を順次、水、アセトン及びジエチルエーテルで洗い、そ
して乾燥すると、(−)−(3R)−3−メチル−4−{4−[4−(4−ピリ
ジル)ピペラジン−1−イル]フェノキシ}酪酸塩酸塩(7.9g)が得られた
。
融点 203〜205℃;
[α]D=−6.2°(濃度=1g/100mlのメタノール;20℃);
C20H25N3O3・HCl・H2Oに対する;
計算値:C 58.5;H 6.8;N 10.2;
実測値:C 58.3;H 6.9;N 10.2%;
必要なキラルな出発物質を、以下のようにして製造した:
無水THF(500ml)中の(4S)−4−イソ
プロピル−3−プロピオニルオキサゾリジン−2−オン(J.Am.Chem.Soc.,19
81,103,2127;28.4g)の溶液に、ナトリウムビス(トリメチルシ
リル)アミド(THF中1M,170ml)を滴加し、これを−70℃に冷却し
、アルゴン気下に置いた。添加速度は、反応混合物の温度が−70℃以上に上昇
しないように調節した。生じた溶液を−70℃で30分間撹拌した。t−ブチル
ブロモアセテート(42.3g)を滴加し、溶液を−70℃で3時間撹拌した。
この溶液を放置して室温まで暖めた。溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテル
及び水の間に分配させた。有機相を分離し、相分離紙(Whatman IPD)を通して
濾過し、そして蒸発させた。残渣を−40℃でヘキサン下に磨砕すると固体が得
られた(21.6g)。二番目の固体の収穫物(4.4g)は、ヘキサン溶液を蒸
発させ、そして最初にヘキサンで、次いで1/10の酢酸エチル/ヘキサンで処
理するシルカゲルゲル上でのクロマトグラフィー濾過による残渣の精製により得
られた。2つの固体のバッチを集め、そしてヘキサンから再結晶させると、(4
S)−3−[(2R)−3−t−ブトキシカルボニル−2−メチルプロピオニル
]−4−イソプロピルオキサゾリジン−2−オン(22.5g)が得られた。
融点 64〜65℃;
(4S)−3−[(2R)−3−t−ブトキシカルボニル−2−メチルプロピオ
ニル]−4−イソプロピルオキサゾリジン−2−オン(22.5g)、水(28
0ml)及びTHF(800ml)の混合物を撹拌しつつ、過酸化水素(30%
、44ml)及び水酸化リチウム−水和物(6.38g)を順次加え、これを5
℃に冷却した。得られた混合物を5℃で3時間撹拌した。飽和したメタ重亜硫酸
ナトリウム水溶液を添加して過剰の過酸化水素を破壊させ、そして溶媒を蒸発さ
せた。残渣をジクロロメタンで抽出した。この水溶液をクエン酸水溶液を添加し
て酸性化し、そしてジクロロメタンで抽出した。抽出物を集め、水で洗い、そし
て相分離紙により濾過した。濾液を蒸発させると、1−t−ブチル(3R)−3
−メチルスクシネートが油状物として得られた(12.9g)。
1−t−ブチル(3R)−3−メチルスクシネート(12.9g)とTHF(
200ml)の撹拌混合物に、15分かけてボラン−ジメチルスルフィド錯体(
10M,10.3ml)を添加し、これを−10℃に冷却し、そしてアルゴン気
下に置いた。この混合物を−10℃で30分間撹拌した。混合物を暖めて室温に
戻し、1時間撹拌した。この混合物を再び5℃に冷却し、
メタノール(50ml)を少量ずつ添加した。この混合物を暖めて室温にし、そ
して30分間撹拌した。この混合物を蒸発させ、そして残渣をジクロロメタン(
100ml)と水(100ml)の間に分配させた。有機相を相分離紙を通して
濾過し、そして蒸発させるとt−ブチル(3R)−4−ヒドロキシ−3−メチル
ブチレートが油状物として得られた(11g)。
t−ブチル(3R)−4−ヒドロキシ−3−メチルブチレート(11g)、ト
リエチルアミン(21ml)及びジクロロメタン(120ml)の混合物を撹拌
したものに、p−トルエンスルホニルクロリド(13.2g)を少部ずつ添加し
、そして混合物を20時間撹拌した。この混合物を、順次、水、希釈炭酸ナトリ
ウム水溶液で洗った。この有機溶液を相分離紙を通して濾過し、そして蒸発させ
るとt−ブチル−(3R)−3−メチル−4−(p−トルエンスルホニルオキシ
)ブチレートが油状物として得られた(20g)。
実施例2
治療又は予防的使用のための本発明の化合物を投与するのに適した例示的な薬
剤投与形態は、以下のものを含有しており、本分野で既知の慣用の方法により得
られる:
a)錠剤I mg/錠
活性成分 1.0
乳糖(Ph.Eur.) 93.25
クロスカルメロース(Croscarmellose) 4.0
ナトリウム
トウモロコシ澱粉ペースト 0.75
(5% W/V水性ペースト)
ステアリン酸マグネシウム 1.0
b)錠剤II mg/錠
活性成分 50
乳糖(ph.Eur.) 223.75
クロスカルメロースナトリウム 6.0
トウモロコシ澱粉 15.0
ポリビニルピロリドン 2.25
(5% W/V水性ペースト)
ステアリン酸マグネシウム 3.0
c)錠剤III mg/錠
活性成分 100
乳糖(Ph.Eur.) 182.75
クロスカルメロースナトリウム 12.0
トウモロコシ澱粉ペースト 2.25
(5% W/V水性ペースト)
ステアリン酸マグネシウム 3.0
d)カプセル mg/カプセル
活性成分 10
乳糖(Ph.Eur.) 488.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
e)注射 mg/錠
活性成分(酸付加塩) 1.0
塩化ナトリウム 9.0
精製水で1.0mlにした。
実施例3
以下は、本発明の(−)−(3R)化合物及び相応の(3RS)−ラセミ混合
物のラットにおける作用の検討に関する記載である。10匹のアルダーリパーク
ウイスターラット(Alderley Park Wistar rats)から成る4個の群(各群は5
匹の雄及び5匹の雌ラットから成る)に、1日当り0.25、100又は500
mg/kgの投与量で(3RS)−ラセミ混合物を経口投与した。投与は、合計
7日間続けた。動物を殺し、そして検査を行った。500mg/kg/日で投与
した10匹のラットの群の6匹の肝臓で不利な作用が観察された。
10匹のアルダーリパークウイスターラットから成る4個の群(各群は5匹の
雄及び5匹の雌ラットから成る)に、1日当り0.50、250及び1000m
g/kgの投与量で本発明の(−)−(3R)化合物を経口投与した。最大の投
与量は、許容できなかった。4又は5日後、この群から4匹の動物を殺した。残
りの6匹の動物は、研究の残りの期間500mg/kg
/日を投与した。投与は、合計14日間続けた。この動物を殺し、そして検査し
た。250mg/kg/日で投与した一群のラットの肝臓には、不利な作用が観
察されなかった。1000mg/kg/日で3又は4日間、そして500mg/
kg/日で10又は11日間投与した6匹の動物には、肝臓に不利な作用が見ら
れなかった。
これらの観察に基づいて、本発明の(−)−(3R)化合物は、500mg/
kg/日ではラット肝臓において重大な不利な作用が生じさせないことがわかっ
た。
暗に、(−)−(3R)化合物は(3RS)−ラセミ混合物よりも低い毒性で
ある。
【手続補正書】
【提出日】1997年5月23日
【補正内容】
請求の範囲
1.実質的に(+)−(3S)立体異性体を含有しない、光学活性化合物(−)
−(3R)−3−メチル−4−{4−[4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−
イル]フェノキシ}酪酸又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、アミド又
は溶媒和物。
2.少なくとも90重量%の(−)−(3R)異性体及び10重量%以下の相応
する(+)−(3S)異性体が存在する、請求項1に記載の光学活性化合物。
3.少なくとも95重量%の(−)−(3R)異性体及び5重量%以下の相応す
る(+)−(3S)異性体が存在する、請求項1に記載の光学活性化合物。
4.少なくとも99重量%の(−)−(3R)異性体及び1重量%以下の相応す
る(+)−(3S)異性体が存在する、請求項1に記載の光学活性化合物。
5.薬剤学的に許容し得る塩が塩酸塩の形態である、請求項1から4のいずれか
1項に記載の光学活性化合物。
6.薬剤学的に許容し得るエステルがメチル、エチル、プロピル又はt−ブチル
エステルの形態である、請求項1から4のいずれか1項に記載の光学活性化合物
。
7.薬剤学的に許容し得るアミドがN−メチル、N,N−ジメチル−、N−エチ
ル−N−メチル−又はN,N−ジエチル−ブチルアミドの形態である、請求項1
から4のいずれか1項に記載の光学活性化合物。
8.薬剤学的に許容し得る溶媒和物が水和物の形態である、請求項1から4のい
ずれか1項に記載の光学活性化合物。9.4
−[4−(4−ピリジル)ピペラジン−1−イル]フェノール又はその反
応性誘導体とキラルな中間体(3R)−4−ヒドロキシ−3−メチル酪酸又はそ
のエステル、又はその反応性誘導体とを反応させることを特徴とする、請求項1 から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩 、エステル、アミド又は溶媒和物を製造する方法。 10.一般式Iの化合物
[式中、Lは脱離しうる原子又は基である]とキラルな中間体(3R)−3− メチル−4−[4−(ピペラジン−1−イル)−フェノキシ]酪酸又はその酸付 加塩とを反応させることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の 光学活性化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和 物を製造する方法。 11.式IIのエステル
[式中、Rはカルボキシル保護基である]を分解することを特徴とする、請求 項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学的に許容し得 る塩、エステル、アミド又は溶媒和物を製造する方法。 12.(3RS)−ラセミ混合物、(3RS)−3−メチル−4−{4−[4−( 4−ピリジル)ピペラジン−1−イル]フェノキシ}酪酸を分割することを特徴 とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学 的に許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物を製造する方法。 13.
実質的に(3S)立体異性体を含まない、光学活性化合物t−ブチル(3R
)−3−メチル−4−ヒドロキシブチレート又はその反応性誘導体。14.
反応性誘導体がt−ブチル(3R)−3−メチル−4−(p−トルエンスル
ホニルオキシ)ブチレートである、請求項13に記載の化合物。15.請
求項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学的に
許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物を薬剤学的に許容し得る希釈剤又 は担持剤と混合して
含有している、医薬組成物。16.
請求項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学的に
許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物を薬剤学的に許容し得る希釈剤又 は担持剤と混合して含有している血小板凝集を伴う疾病の予防又は治療のための 医薬組成物。 17.
請求項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学的に
許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物を薬剤学的に許容し得る希釈剤又 は担持剤と混合して含有
する、GPIIb/IIIaへのフィブリノーゲンの結合を伴う疾病の予防又は治療のための医薬組成物。 18.
請求項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学的に
許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物を薬剤学的に許容し得る希釈剤又 は担持剤と混合して含有
する、不安定なアンギナを伴う血栓発生の予防又は治療 のための医薬組成物
。19.医学的治療のための請求項1から18のいずれか1項に記載の光学活性化合 物又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物。 20.
血小板凝集を伴う疾病の予防又は治療のための医薬を製造するための、請求
項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬剤学的に許容し得
る塩、エステル、アミド又は溶媒和物の使用。21.
GPIIb/IIIaへのフィブリノーゲンの結合を伴う疾病の予防又は治療の
ための医薬を製造するための、請求項1から8のいずれか1項に記載の光学活性
化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物の使用
。
22.不安定なアンギナを伴う血栓発生を予防し又は治療するための医薬を製造す
るための、請求項1から8のいずれか1項に記載の光学活性化合物又はその薬
剤学的に許容し得る塩、エステル、アミド又は溶媒和物の使用。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU
,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BB
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DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,IS,J
P,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LS
,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,
MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S
E,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA
,UG,UZ,VN