【発明の詳細な説明】
グリシンレセプター拮抗物質及びその用途
本発明は、台衆国政府の援助によりなされた。従って、合衆国政府は発明に一
定の権利を有する。
関連出願の相互参照
これは、1992年6月22日に出願された合衆国出願番号07/903,0
80の一部継続である、1992年12月22日に出願された合衆国出願番号0
7/995,167の一部継続であり、これらの各内容を全て引用して明細書記
載の一部とする。
発明の分野
本発明は薬化学の分野にある。本発明はグリシン結合部位に高親和性を有し、
PCP副作用がなく、そして高濃度で血液・脳関門を通過する化合物に関する。
特に本発明は、新規な1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン類並びに
虚血、ニューロン変性に関連する病理生理学的症状、痙攣、慢性不安疼痛を処置
又は予防するための、及び麻酔を誘導するためのそれらの用途に関する。発明は
又、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン類の特定の高可溶性アンモ
ニウム塩類に関する。
発明の背景
グルタメートは脳での主な興奮性神経伝達物質であると考えられている。CN
Sにグルタメートレセプター類の三つの主要サブタイプがある。通常、カイネー
ト、AMPA及びN−メチル−D−アスパラギン酸エステル(NMDA)レセプ
ター類として引用される(ワトキンス及びオルバーマン、トレンス・イン・ニュ
ーロサイエンス 7:265−272(1987))。NMDAレセプター類は、脳
のほとんど全てのニューロン膜に見出される。NMDAレセプター類は、それら
がグルタメート又はアスパラギン酸エステルにより(非選択性、内因性拮抗物質
)
或はNMDAにより(選択性、全身性拮抗物質)活性化されると、Na+、K+及
びCa++を通過させるリガンドゲートカチオンチャンネルである(ウォング及び
ケンプ、アン・レブ・ファルマコル・トキシコル31:401−425(1991))。
グルタメートだけではNMDAレセプターを活性化できない。グルタメートに
より活性化されるために、NMDAレセプタチャンネルが、レセプター蛋白のグ
ルタメート/NMDA結合部位から離れている特異的高親和性グリシン結合部位
でグリシンとまず結合しなければならない(ジョンソン及びアスカー、ネイチャ
ー325:329−331(1987))。従って、グリシンはNMDAレセプター
/チャンネルコンプレックスの必須共アゴニストである(ケンプ等、プロシーデ
ィングス・オブ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンシズUSA 85:
6547−6550(1988))。
グルタメート/NMDA及びグリシンに対する結合部位の外に、NMDAは多
くの他の機能的に重要な結合部位を保持する。これらは、Mg++、Zn++、ポリ
アミン類、アラキドン酸及びフェンシクリジン(PCP)に関する結合部位を含
む(レイノルズ及びミラー、アドブ・イン・ファルマコル、21:101−12
6(1990):ミラー,B等、ネイチャー355:722−725(1992))。P
CP結合部位−−現在、通常PCPレセプターといわれる−−は、NMDAレセ
プター/チャンネルコンプレックスのイオノファの細孔内部に位置する(ウォン
グ,E.H.F.等、プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミィ・オ
ブ・サイエンシズUSA83:7104−7108(1986):ヒュートナー及びビーン、
プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンシズUS
A85:1307−1311(1988):マクドナルド,J.F.等、ニューロフィジオロ
ジィ58:251−266(1987))。PCPがPCPレセプターに接近するた
めに、チャンネルはまず、グルタメート及びグリシンにより開かれなければなら
ない。グルタメート及びグリシンの不存在では、幾つかの研究はグルタメート及
びグリシンの不存在でも少量のPCP結合が起きることを示唆しているけれども
、PCPはPCPレセプターに結合できない(シーカー及びズキン、ブレイン・
リサーチ、556:
280−284(1991))。PCPがPCPレセプターに結合すると、それは開
いたチャンネルを通るイオン流をブロックする。従ってPCPは、開放チャンネ
ルグロッカー及びNMDAレセプター/チャンネルコンプレックスでの非競合グ
ルタメート拮抗物質である。
PCPレセプターに結合するほとんどの有効且つ選択薬物の一つは抗痙攣剤薬
物MK801である。本薬物はPCPレセプターに約3nMのKdを有する(ウォ
ング,E.H.F.等、プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミィ・
オブ・サイエンシズUSA83:7104−7108(1986))。
PCP及びMK801並びに他のPCPレセプターリガンド[例えばデキスト
ロメトルファン、ケタミン及びN,N’−ジ置換グアニジン類] は、インビト
ロ及びインビボで神経保護効力を有する(ギル,R.等、ジャーナル・オブ・ニ
ューロサイエンス7:3343−3349(1987);ケアナ,J.F.W.等、プロシー
ディングス・オブ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンシズUSA86:
5631−5635(1989);スタインバーグ,G.K.等、ニューロサイエンス・レタ
ーズ89:193−197(1988):チャーチ,J.等、シグマ・アンド・フェ
ンシクリジン−ライク・コンパウンズ・アズ・モレキュラー・プローブス・イン
・バイオロジィ、ドミノ及びカネンカ編集、アン・アーバー:NPPブックスpp
747−756(1988))。これらの薬物のよく特徴付けられた神経保護効力は
、脳虚血(例えば発作、心臓停止虚血等で)の状態での過剰グルタメート放出に
より過剰活性化されたNMDAレセプターチャンネルを通るニューロンへの過剰
Ca++流入をブロックするそれらの能力に大きく依存している(コリンズ,R.
C.、メタボリック・ブレイン・ディジーズ1:231−240(1986);コリ
ンズ,R.C.等、アンナルス・イント・メド110:992−1000(1989))
。
しかしながら、これらのPCPレセプター薬物の発作における虚血救済剤とし
ての治療可能性は、これらの薬物がこれらの薬物とPCPレセプターの相互反応
によるとみられる強いPCP様機能的副作用(精神異常発現性機能的作用)を有
するという事実によりきびしく防けられて来た(トリクルバンク,M.D.等、
ヨ
ーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジィ167:127−135(19
89);コーク,W.等、ジャーナル・オブ・ファーマコロジィ・アンド・エクス
ペリメンタル・テラピューティクス245:969(1986);ウィレッツ及びボ
ースター、ニューロファーマコロジィ27:1249(1988))。これらのPCP様
機能的副作用は、虚血救済剤として臨床開発からMK801の撤退を起こしたよ
うに見える。さらに、これらのPCPレセプターリガンドは、PCP自身の乱用
障害により示されるようなかなりの乱用可能性を有するように思われる。
PCPレセプターリガンド類のPCP様機能的影響は、動物モデルで証明でき
る。PCP及び関連PCPレセプターリガンド類は、齧歯類(トリクルバンク,
M.D.等、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジィ167:12
7−135(1989)及びハトの特徴的カタレプシィ(コーク等、ジャーナル・オ
ブ・ファーマコロジィ・アンド・エクスペリメンタル・テラピューティクス24
5:969(1989);ウィレッツ及びボースター、ニューロファーマコロジィ2
7:1249(1988))で機能的励起(過移動(hyperlocomotion)を起こす。
薬物区別パラダイムで、これらの薬物のPCPレセプター親和性とPCP特定反
応能度を誘発する能力の間には強い相関がある(ズキン,S.R.等、ブレイン
・リサーチ294:174(1984);ブラディ,K.T.等サイエンス215:
178(1982);トリクルバンク,M.D.等、ヨーロピアン・ジャーナル・オ
ブ・ファーマコロジィ141:497(1987))。
NMDAレセプターのグルタメート結合部位で競合拮抗物質として作用する薬
物、例えばCGS19755及びLY274614も、これらの薬物が−−−P
CPレセプターリガンド類のように−−−虚血でNMDAレセプター/チャンネ
ルを通る過剰Ca++流を防ぐことができるので、神経保護効率を有する(ボース
ト,C.A.等、ブレイン・リサーチ442:345−348(1988);ショッ
プ,D.D.等、ジャーナル・オブ・トランスミッション85:131−143
(1991))。しかしながら、競合NMDAレセプター拮抗物質類も、MK801
及びPCPほど強力ではないが動物モデル(PCP薬物区別試験での機能的励起
活性)でPC
P様機能的副作用を示す(トリクルバンク,M.D.等、ヨーロピアン・ジャー
ナル・オブ・ファーマコロジィ167:127−135(1989))。
NMDAレセプターチャンネル活性化を阻害する別の方法は、NMDAレセプ
ターのグリシン結合部位での拮抗物質を用いることによる。グリシンは、グルタ
メートのチャンネル開口をもたらすためにはグリシン部部位に結合しなければな
らないので(ジョンソン及びアスカー、ネイチャ−325:329−331(19
87);ケンプ,J.A.等、プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミ
ィ・オブ・サイエンシズUSA85:6547−6550(1988))、グリシン拮抗物質
は−−大量のグルタメートの存在においても−−NMDAレセプターチャンネル
を通るイオン流を完全に防ぐことができる。
最近のインビボミクロ透析研究は、ラット病巣虚血モデルで、グリシン放出で
有意な増加を伴わない、虚血脳部分でグルタメート放出の大きな増加があること
を証明した(グロブス,M.Y.T.等、ジャーナル・オブ・ニューロケミスト
リィ57:470−478(1991))。従って、理論的にグリシン拮抗物質は、
それらがグルタメートにより非競合的にNMDAチャンネルの開口を防止でき、
従って−−競合NMDA拮抗物質と異なり−−虚血脳部分に放出される高濃度の
内因性グルタメートを阻害する必要がないので、非常に強力な神経保護剤である
。
さらに、グリシン拮抗物質はグルタメート/NMDAでも、PCP結合部位で
もNMDAチャンネル開口を防止するよう作用しないので、これらの薬物は、P
CPレセプターリガンド及び競合NMDAレセプター拮抗物質で見られるPCP
様機能的副作用を起こさない(トリクルバンク,M.D.等、ヨ−ロピアン・ジ
ャーナル・オブ・ファーマコロジィ167:127−135(1989);コーク,
W.等、ジャーナル・オブ・ファーマコロジィ・アンド・エクスペリメンタル・
セラピューティクス 245:969(1989);ウィレッツ及びボースター、ニ
ューロファーマコロジィ27:1249(1988);トリクルバンド,M.D.等、ヨ
ーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジィ141:497(1987))。
グリシン拮抗物質がPCP様機能的副作用を本当に欠いているかも知れないこと
は、入手可能なグリ
シン拮抗物質を齧歯類の脳に直接注射してPCP−様状態とはならなかった最近
の研究により示唆されている(トリクルバンド,M.D.等、ヨーロピアン・ジ
ャーナル・オブ・ファーマコロジィ167:127−135(1989))。
しかしながら、臨床的に有用な神経保護剤としてのグリシン拮抗物質類の開発
を防げる二つの大きな問題があった。
A.インビトロで比較的高いレセプター結合親和性を有する最も入手可能な
グリシン拮抗物質類、例えば7−C1−キヌレン酸(ケンプ,J.A.等、プロ
シーディングス・オブ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンシズUSA8
5:6547−6550(1988))、5,7−ジクロロキヌレン酸(マクナマラ,D.等
、ニューロサイエンス・レターズ120:17−20(1990))及びインドール
−2−カルボン酸(グレイ,N.M.等、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケ
ミストリィ34:1283−1290(1991))は、血液/脳関門を通過することができ
ず、従って、治療剤としての有用性がない。
B.血液/脳関門を十分に通過する唯一の入手可能なグリシン拮抗物質−−
薬物HA−966(フレッチャ−及びロッジ、ヨ−ロピアン・ジャーナル・オブ
・ファーマコロジィ151:161−162(1988)−−は、グリシン結合部位
へのミクロモル親和性のみを有する部分的拮抗物質である。従ってインビボでの
HA−966の神経保護効力は、証明されなかったし、他の入手可能なグリシン
拮抗物質についても、それらはインビボで生体内利用性に欠けるので、証明され
ていない。
非NMDA、NMDA及びグリシンレセプター類により仲介された病理生理学
的症状を処置するのに有用である置換1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオン類は、文献に多くの報告がある。例えば米国特許第4,975,430号
(1990)は、式
(式中、各Xは独立してニトロ又はシアノであり、各Yは独立してH、低級アル
キル、低級アルコキシ又はCF3である)の1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオン化合物類を開示する。
これらの化合物は、報告によれば、NMDAレセプターの刺激と関連するニュ
ーロン条件の処置に有効である。
米国特許第3,962,440号(1976)は、式
〔式中、R1は水素又はメチルであり得、Rnは低級アルキル、低級アルコキシ、
低級アルキルチオ、シクロプロピル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、C1−C2のフ
ルオロアルキル(トリフルオロメチル)アミノ又は置換アミノでありうる。そし
てnは0、1又は2でありうる。〕を開示する。これらの化合物は、報告によれ
ば催眠剤として有効である。
米国特許第4,812,458号(1989)は、式
(式中、R1はハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、エチニル又はN3であり
、R2はSO2C1-3−アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、エチニル又はシ
アノである)を有する1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン化合物類
を開示する。これらの化合物は、報告によれば興奮性神経伝達物質、特にキスカ
レートレセプターの過剰活性により起きる徴候の処置に、及び神経弛緩剤として
有効である。
米国特許第4,659,713号(1987)は、式
(式中、Xは水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、トリクロロメチル、ジ
クロロフルオロメチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルを表し、nは
1又は2を表わす)を有する1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン化
合物類を開示する。これらの化合物は、報告によれば動物のコクシジウム症の調
整に有効である。
米国特許第4,948,794号(1990)は、式
〔式中、R1は、所望により水酸基、ホルミル、カルボキシ、カルボン酸エステ
ル類、アミド類又はアミン類により置換されうるC1-12アルキル、C3-8シクロ
アルキル、アリール、アラルキルであり、R6は水素、ハロゲン、CN、CF3、
NO2又はOR’(R’はC1-4アルキルである)であり、R5、R7及びR8は水
素
である(但し、R6はR’がCH3のとき、CF3、OCH3、NO2、Cl又はB
rではない)。或は、R6とR7は独立してNO2、ハロゲン、CN、CF3又はO
R’(R’はC1-4アルキルである)であり、R5及びR6は水素であるか、或は
、R5とR6は、両者で融合芳香環を形成し、それはハロゲン、NO2、CN、C
F3又はOR’(R’はC1-4アルキルである)により置換されうるか、或はR7
とR8は両者で融合芳香環を形成し、それはハロゲン、NO2、CN、CF3又は
OR’(R’はC1-4アルキルである)で置換され得、そしてR5とR6は独立し
て水素、ハロゲン、CN、CF3、NO2又はOR’(R’はC1-4アルキルであ
る)である〕を有する1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン化合物類
を開示する。これらの化合物は、報告によれば興奮性神経伝達物質、特にキスカ
レートレセプターの過剰活性により起きる徴候の処置に、及び神経弛緩剤として
有効である。
ヨネダ及びオギタ、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・
コミュニケーションズ164:841−849(1989)は、以下の1,4−ジヒ
ドロキノキサリン−1,2−ジオン類が、NMDAレセプターコンプレックスの
他の結合部位に影響を及ぼすことなく、 [3H]グリシンのストリキニン−不
反応結合を競合的に置換したことを開示する:
著者達によれば、キノキサリン類の間の構造−活性関係は、ベンゼン環の6及
び7位の両塩素基がGly部位に対する拮抗物質能力について重要であることを
示す。分子から−塩素の除去は、Gly部位に対する親和性が10倍減ずること
になる。
クレクナー及びジングルダイン、モレキュラー ・ファーマコロジィ36:4
30−436(1989)は、6,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオン及び6−シアノ−7−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンがグリシンよりもカイネートのより強力な拮抗物質であるが、6
位の特に6及び7位のClの置換はグリシン部位で効力を増すことを開示する。
さらに、著者達は、グリシン部位の拮抗物質類はNMDAレセプター仲介神経病
理学に対して有効であろうことを示唆する。
ラロ,T.S.、ニューロファーマコロジィ29:1031−1035(1990)は、6
,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び7−シア
ノ−6−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンがインビボで
NMDA関連グリシン認識部位によって伝達される反応に拮抗することを開示す
る。
ペレグリニーギアムピートロ,D.E.等、ブリティッシュ・ジャーナル・オ
ブ・ファーマコロジィ98:1281−1286(1989)は、6−シアノ−7−ニトロ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び6,7−ジニトロ−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが、NMDAレセプターイオンチャン
ネルコンプレックスのグリシン認識部位と相互反応することによりL−グルタメ
ートに対する反応に拮抗することを開示する。
オギタ及びヨネダ、ジャーナル・オブ・ニューロケミスイリィ54:699−
702(1990)は、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンがNMDAレセプターコンプレックスのストリキニン不反応[3H]グ
リシン結合部位に特異的な競合拮抗物質であることを開示する。著者達によれば
、キノキサリンのベンゼン環の6及び7位の2つの塩素ラジカルがグリシン結合
部位に対する拮抗物質効力に重要であることを開示する。
ケスラー,M.等、ブレイン・リサーチ489:377−382(1982)は、
6,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び6−シ
アノ−7−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンがNMDA
レセプタ−と関連するストリキニン−不反応グリシン結合部位への[3H]グリ
シン結合
を阻害することを開示する。
1990年7月11日に公開されたヨーロッパ特許出願公開番号第0,377
,112号は、式
(式中、とりわけR1は水素基、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキ
シ、シクロアルキルアルコキシ又はアシルオキシであり得、R5、R6R7及びR8
は独立して水素、ニトロ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、SO2NR
’R’、SO2R’又はOR’(R’は水素又はC1-4アルキルである)でありう
る)を有する1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン化合物類を開示す
る。これらの化合物は、報告によれば、興奮性神経伝達物質、特にキスカレート
レセプターの過剰活性により起きる徴候の処置に、及び神経弛緩剤として有効で
ある。
レスター,R.A.等、モレキュラー・ファーマコロジィ35:565−57
0(1989)は、6−シアノ−7−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンがグリシン結合部位の競合相互反応によりNMDAレセプター仲介反
応に拮抗することを開示する。
パテル,J.等、ジャーナル・オブ・ニューロケミストリィ55:114−1
21(1990)は、6,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンの神経保護作用がNMDAレセプターチャンネルコンプレックスでのグリ
シンのコアゴニスト作用の拮抗現象によることを開示する。
ホーナー,L.等、ケミカル・アブストラクツ48:2692(1953)は、6,8
−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを開示する。
チーズマン,G.W.H.、ジャーナル・オブ・ケミカノレ・ソサエティ1170
−1176(1962)は6,7−ジブロモ−2,3−ジヒドロキノキサリン(6,7−
ジブロモ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンとしても知られる)を開示する
。
ホナー,T.等、サイエンス241:701−703(1988)は、6,7−ジ
ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び7−シアノ−6−
ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが強力な非NMDAグ
ルタメートレセプター拮抗物質であることを開示する。
シェーダウン,M.J.等、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロ
ジィ174:197−204(1989)は、5,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロ
キノキサリン−2,3−ジオンがストリキニン不反応グリシンレセプターの強力
な拮抗物質であり、抗痙摩剤性質を有することを開示する。しかしながら、シェ
ーダウン等は、又、5,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオン並びにDNQX及びCNQXが中枢神経系にほとんど接近しないことを
開示する。
国際出願公開番号WO91/13878は、グリシンレセプターに結合する以
下のN−置換1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン類を開示する。
(式中、Rは水素、C1-6アルキル又はアラルキルを表し、nは0ないし5の整
数である、R4は水素又は水酸基を表す、R5、R6、R7及びR8は独立して水素
、ニトロ、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、C1-6アル
キル又はアリールを表す、R9は水素、低級アルキル又はアリールを表す、R10
は水素又はアルキルを表す)並びにその製薬上許容しうる塩類。
リーソン等、ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリィ34:1243−1252
(1991)は非選択的興奮性アミノ酸拮抗物質キヌレン酸の多数の誘導体を開示す
る。
又、グリシン/NMDA拮抗物質でもあるが選択的でなく、キヌレン酸誘導体よ
りもずっと効力の小さい多数の構造上関連するキノキサリン−2,3−ジオン類
も開示される。キノキサリン−2,3−ジオン類は、構造
(式中、RはH、5−Cl、7−Cl、5,7−Cl2、6,7−(CH3)2、
6−NO2又は6,7−(NO2)2である)を有する。多数のN−メチル誘導体
も開示される。
スワーツ等、モレキュラー・ファーマコロジィ41:1130−1141(1992)は、
幾つかの置換又は未置換ベンズアザピンが培養皮膚ニューロンのグルタメートレ
セプターチャンネルの競合拮抗物質であることを開示する。
式
(式中、R1−R4は水素、C1-3過フルオロアルキル、ハロ、ニトロ又はシアノ
であり得、R5は水素又はC1-5アルキル基でありうる)の化合物類がNMDAレ
セプターコンプレックスのグリジン結合部位の拮抗物質であることを開示する国
際出願公開番号WO92/11854をも参照。
・PCP様NMDAチャンネルブロッカー、例えばMK801に又は競合NM
DAレセプター拮抗物質、例えばCGS19755に普通のPCP様機能的副作
用に欠ける、
・NMDAレセプターでそれらのグルタメート拮抗現象の非競合性質のために
強力な抗虚血効力を示す、
・効力に十分な濃度で血液・脳関門を通過する、
・PCP様NMDAチャンネルブロッカー又は競合NMDA拮抗物質よりも低
い副作用を有する新規抗痙撃剤としての有用性を有する
・インビボでNMDAレセプターのグリシン結合部位の機能的意味を定義づけ
るのを助ける、
有力な選択的グリシン/NMDA拮抗物質が存在する必要がある。
発明の要約
発明はストリキニン−不反応グリシン結合部位に高親和性を示し、PCP副作
用を示さず、そして高濃度で血液・脳関門を通る一群の化合物の発見に係る。こ
れは他の化合物類、例えば特に1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
類及びHA−966が血液/脳関門を通過できないか低濃度でしか通過できない
という文献での他の報告と対照的である。さらに、これらの化合物の多くは他の
レセプター部位に低い結合親和性しか示さない。従って、本発明は、グリシン結
合都位について高親和性を有し、PCP副作用に欠け、そして高濃度で血液・脳
関門を通過する化合物類、但し化合物は置換又は未置換2,5−ジヒドロ−2,
5−ジオキソ−3−ヒドロキシ−1H−ベンズアゼピンではない、に係る。従っ
て、本発明の化合物類は、有意な副作用又は毒性がなく、病理生理学的状態を処
置するのに極めて有効である。
発明は、又、そのような処置の必要な動物に、グリシン結合部位に高親和性を
有し、PCP副作用が無く、高濃度で血液・脳関門を通過する化合物を投与する
ことを含む、発作、虚血、CNS傷害、低血糖及び外科手術と関連するニューロ
ン欠損の処置又は防止、並びにアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチ
ントン病及びダウン症候群を含む神経変性病の処置、興奮性アミノ酸の過剰刺激
の逆結果を処置又は防止、並びに不安、痙摩、慢性痛、精神病及び誘発麻酔の処
置方法に係る。
好ましくは、そのような化合物類は、式II
又はその互変異性体を有する。
{式中、Rは水素、水酸基、アミノ、−CH2CONHAr、−NHCONHA
r、
−NHCOCH2Ar、−COCH2Ar〔Arはアリール基又は式
(式中、R6は水素、低級C1-6アルキル又はアリールである、R7は水素又は低
級C1-6アルキルである、nは0ないし5の整数である、そしてR8は水素、C1- 6
アルキル又はアラルキルである)を有するラジカルである〕である;
R1は水素、アミノ、アシルアミノ、ハロ、ハロアルキル又はニトロである;
R2は水素、アミノ、アシルアミノ、ニトロ、ハロ又はハロアルキルである;
R3は水素、アミノ、アシルアミノ、ハロ又はハロアルキルである;そして
R4は水素、アミノ、アシルアミノ、ハロ、ハロアルキル又はニトロである}
本発明は、又、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン類の特定の高
可溶性アンモニウム塩、特にコリン、トリス(トロメタミンとしても知られる2
−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ビス−トリス
プロパン、アルギニン及びN−メチル−グルカミン塩に係る。
本発明は又、式
を有する化合物とシュウ酸との水性酸溶液中、式
〔式中、R1は水素、アシルアミノ、ハロ、アミノ、ハロアルキル又はニトロで
ある;
R2は水素、アシルアミノ、ニトロ、アミノ、ハロアルキル又はハロである;
R3は水素、アシルアミノ、ハロ、アミノ又はハロアルキルである;そして
R4は水素、アシルアミノ、ハロ、アミノ、ハロアルキル又はニトロである〕を
有する1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを与える縮合反応をもた
らすのに十分な時間及び温度での、縮合を含む、1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンの製造法に係る。
R1−R4のいずれか一つがアミノである場合、一つはアミノ基の少なくとも2
つが互いにオルトであるトリアミノベンゼンで開始する。生成物は、2つのオル
ト−アミノ基がキノキサリンジオンの1,4−窒素となった対応するアミノ置換
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンであろう。
本発明は又、式
の1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン又はその互変異性体{式中、
Rは水素、水酸基、アミノ、−CH2CONHAr、−NHCONHAr、−N
HCOCH2Ar、−COCH2Ar〔Arはアリール基又は式
(式中、R6は水素、低級C1-6アルキル又はアリールである;R7は水素又は低
級C1-6アルキルである;nは0ないし5の整数である;そしてR8は水素、C1- 6
アルキル又はアラルキルである)を有するラジカルである〕である;
R1は水素、アシルアミノ、ハロ、ハロアルキル又はニトロである;
R2は水素、アシルアミノ、水素、ニトロ、ハロアルキル又はハロである;
R3は水素、アシルアミノ、ハロ又はハロアルキルである;そして
R4はアシルアミノ、水素、ハロ、ハロアルキル又はニトロである}とヒドロキ
シアミン−O−スルホン酸との塩基性条件下での対応するN−アミノ−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを与える反応により得られるN−アミノ
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンに係る。
発明は又、発作、虚血、CNS傷害、低血糖及び外科手術と関連するニューロ
ン欠損の処置又は防止、並びにアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチ
ントン病及びダウン症候群を含む神経変性病の処置、興奮性アミノ酸の過剰刺激
の逆結果を処置又は防止、並びに不安、痙摩、慢性痛、精神病及び誘発麻酔の処
置方法において、上記方法によって得られるN−アミノ−1,4−キノキサリン
−2,3−ジオン類の、異性体の混合物又は純品としての、用途に係る。
図面の説明
図1は、食塩水で前処理したアレチネズミの正常なコントロール運動活性を示
す棒グラフを描く。正常なコントロールアレチネズミは、6時間運動活性評価期
間の直前に腹腔内注射した。6匹のアレチネズミのグループを用い、データは平
均±標準誤差で表した。
図2は、正常なコントロールアレチネズミ(内空棒)及び1.0mg/kgの化合
物を与えた動物(黒ぬり棒)の運動活性に対する5−クロロ−7−トリフルオロ
メチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの影響を示す棒グラフ
を描く。アレチネズミは6時間運動活性評価期間の直前に腹腔内注射をした。コ
ントロール動物は食塩水の注意を行った。6匹のアレチネズミのグループを用い
、データは平均±標準誤差で表した。
図3は、正常なコントロールアレチネズミ(内空棒)及び3.2mg/kgの化合
物を与えた動物(黒ぬり棒)の運動活性に対する5−クロロ−7−トリフルオロ
メチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの影響を示す棒グラフ
を描く。アレチネズミは6時間運動活性評価期間の直前に腹腔内注射した。コン
トロール動物は食塩水の注射を行った。6匹のアレチネズミのグループを用い、
データは平均±標準誤差で表した。
図4は、正常なコントロールアレチネズミ(内空棒)及び10mg/kgの化合物
を与えた動物(黒ぬり棒)の運動活性に対する5−クロロ−7−トリフルオロメ
チル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの影響を示す棒グラフを
描く。アレチネズミは6時間運動活性評価期間の直前に腹腔内注射をした。コン
トロール動物は食塩水の注射を行った。6匹のアレチネズミのグループを用い、
データは平均±標準誤差で表した。
図5は、正常なコントロールアレチネズミ(内空棒)及び32mg/kgの化合物
を与えた動物(黒ぬり棒)の運動活性に対する5−クロロ−7−トリフルオロメ
チル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの影響を示す棒グラフを
描く。アレチネズミは6時間運動活性評価期間の直前に腹腔内注射をした。コン
トロール動物は食塩水の注射を行った。6匹のアレチネズミのダループを用い、
データは平均±標準誤差で表した。
図6は、5分間の左右双方の頸動脈閉塞の開始直前、食塩水により前処理の影
響を示すグラフを描く。動物は左右双方の頸動脈閉塞を受けていないコントロー
ル動物に比べ虚血再灌流傷害後、4連続時間の動物活性の変化を試験した。デー
タは、食塩水前処理を伴う5分間の左右双方の頸動脈閉塞(黒印)又は、食塩水
で前処理したが左右双方の頸動脈閉塞を伴わない(中空印)6匹のアレチネズミ
の各グループの平均値で表される。動物は、示したように連続4時間運動活性室
に入れた。
図7は、5分間の左右双方の頸動脈閉塞の開始直前、5−クロロ−7−トリフ
ルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(0.32mg/
kg)による前処理の影響を示すグラフを描く。動物は、虚血再灌流傷害後、4連
続時間、運動活性の変化を試験した。データは、薬物前処理した5分間の左右双
方の頸動脈閉塞の(黒印)又は食塩水で前処理したが、左右双方の頸動脈閉塞傷
害を伴わない(中空印)6匹のアレチネズミの各グループの平均値として表され
る。動物は、示したように4連続時間運動活性室に入れた。
図8は、5分間の左右双方の頸動脈閉塞の開始直前、5−クロロ−7−トリフ
ルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(3.2mg/kg
)による前処理の影響を示すグラフを描く。動物は、虚血再灌流傷害後、4連続
時間、運動活性の変化を試験した。デ一夕は、薬物前処理した5分間の左右双方
の頸動脈閉塞の(黒印)又は食塩水で又はしたが、左右双方の頸動脈閉塞傷害を
伴わない(中空印)6匹のアレチネズミの各グループの平均値として表される。
動物は、示したように4連続時間運動活性室に入れた。
図9は、5分間の左右双方の頸動脈閉塞の開始直前、5−クロロ−7−トリフ
ルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(10mg/kg)
による前処理の影響を示すグラフを描く。動物は、虚血再灌流傷害後、4連続時
間、運動活性の変化を試験した。データは、薬物前処理した5分間の左右双方の
頸動脈閉塞の(黒印)又は食塩水で又はしたが、左右双方の頸動脈閉塞傷害を伴
わない(中空印)6匹のアレチネズミの各グループの平均値として表される。動
物は、示したように4連続時間運動活性室に入れた。
図10は、5分間の左右双方の頸動脈閉塞の開始直前、5−クロロ−7−トリ
フルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(32mg/kg
)による前処理の影響を示すグラフを描く。動物は、虚血再灌流傷害後、4連続
時
間、運動活性の変化を試験した。データは、薬物前処理した5分間の左右双方の
頸動脈閉塞の(黒印)又は食塩水で又はしたか、左右双方の頸動脈閉塞傷害を伴
わない(中空印)6匹のアレチネズミの各グループの平均値として表される。動
物は、示したように4連続時間運動活性室に入れた。
図11は、食塩水及ひ非虚血コントロール値として比較した、最初の1時間運
動活性に対する5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオンの影響を示す棒グラフを描く。これらのデータは、先の
図面からまとめられ、虚血に続く最初の1時間に0.32mg/kg以上の投与量で
5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンを与えた運動の自然運動活性に有意な改善があることを示す。対照的に
、虚血再灌流傷害にさらされなかったコントロール動物は、虚血アレチネズミに
比べ最初の1時間の検査で有意に高レベルの運動活性を示した。
図12は、5分間の左右双方の頸動脈閉塞後、4時間の試験で運動活性に対す
る5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンによる前処理の影響を示す棒グラフを描く。虚血にされされていない
動物は、運動活性室に4時間入れられた健康動物にとって正常である低診査活性
を示した。食塩水前処理は、普通に観察される運動活性の虚血後増加を妨害しな
かった。0.32−32mg/kgの化合物は、運動活性室の円形競技場内での診査
活性の虚血惹起増加を有意に減少しなかった。データは、6匹の対象の平均±標
準誤差により表される。
図13は、1時聞試験開催期間虚血後、24時間5−クロロ−トリフルオロメ
チル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(AGI)による処理の
結果として運動活性の変化を示す棒グラフを描く。動物は虚血再灌流傷害後24
時間運動活性室に入れ、運動活性の変化を評価した。コントロール動物は、食塩
水/薬物注射後24時間、室に入れた食塩水コントロール非虚血又は薬物コント
ロール非虚血動物であった。虚血(ISC)動物は、食塩水前処理し、再灌流の
開始後24時間運動活性室に入れた動物を表す。これらの動物は、又、先の図面
に
示される運動活性の虚血後毎時間の変化について試験されたものである。化合物
による前処理を与えた動物は、動きの即時の再灌流変化について先の図面に示さ
れた動物であった。
図14は、32mg/kgの5−クロロ−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ
キノキサリン−2,3−ジオンによる前及び後処理の影響を示す棒グラフを描く
。コントロール(CON)動物は、虚血を受けず、食塩水コントロール動物(S
AL)は虚血を受けたが、薬物の代わりに食塩水前処理を伴った。前処理動物は
、5分間の左右双方の頸動脈閉塞の開始6、4及び2時間、並びに30分に32
mg/kgの多重注射を受けた。後処理動物は、再還流後30分、2時間、4時間及
び6時間に投与量を受けた。試験は、再還流後24時間に実施した。各グループ
は処理グループ当り6匹の動物に関し、平均±標準誤差を示す。見られるように
、前及び後処理とも有意な行動防御効果を生じた。32mg/kgで防御の明らかな
表示が起きた。
図15は、24時間前、5分間の左右双方の頸動脈閉塞にさらし、示された投
与量の5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンにより前処理した、アレチネズミの放射状アーム迷路での虚血後
変化を示す棒グラフを描く。動物は、8アーム迷路での巡回行動についての運動
活性試験後、直ちに試験した。本8アーム迷路は他の研究が行われない部屋に置
く。全ての8つのアーム迷路は、寸法及び形が同一であった。アームは餌を付け
なかった。動物は、それらが8つのアームに入り探査するまで試験した。全ての
動物は、除かれる前に全探査学習を完了した。各カラムは処理条件当り6匹の動
物についての平均±標準誤差を表す。コントロール動物は、虚血を受けず、食塩
水(SAL)動物は虚血は受けたが薬物は受けなかった。虚血プラス0.32−
32mg/kg薬物による処理を受けている動物は、巡回行動の虚血誘発変化からの
有意な行動防御を示した。
図16は、アレチネズミの脊髄海馬(CA−1)のニューロン細胞の密度に対
する5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,
3−ジオンの影響を示す棒グラフを描く。アレチネズミは、先の図面に記載され
る通りの5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンにより前処理し、組織の麻酔及び固定前7日間の虚血再灌流傷
害のために回収した。組織を凍結し、切断し、そして染色し、ニューロン核は、
海馬のCA−1部分のほの暗い(discreet)領域で計数した。データは、6匹の
対象について平均±標準誤差で表す(各対象は、ニューロン欠損のため、脊髄海
馬の3つの連続部分の最小で評価した)。0.32−32mg/kgの薬物による前
処理は、虚血誘発ニューロン細胞欠損の有意な防御を与えた。
図17は、アレチネズミの脊髄海馬(CA−1)でのニューロン密度に対する
5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンの影響を示す棒グラフを描く。アレチネズミは前処理し、3.2mg/kg
5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンで後処理し、そして組織の麻酔及び固定前7日間虚血再灌流傷害のため
に回収した。組織を凍結し、切断し、そして染色し、ニューロン核は、CA−1
のほの暗い領域で計数した。データは、6匹の対象についての平均±標準誤差と
して示す(各対象は、ニューロン損失について脊髄海馬の3連続部分の最小とし
て評価した)。3.2mg/kg薬物による前及び後処理は、共に虚血誘発ニューロ
ン細胞損失を有意に防御した。
図18は、1、5、10、20、30及び40mg/kgの5−クロロ−7−トリ
フルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンによるマウス
でのホルマリン誘発痛の阻止を示す棒グラフを描く。マウスは、後足の足の裏表
面への20μ1の5%ホルマリンの皮下注射30分前に、DMSO(溶剤コント
ロール)で又はDMSO中薬物を腹腔内注射した。次いでマウスを観察して、示
した期間中、5分間隔で注射した後足をなめているマウスにより消費された時間
を記載した。注射した後足をなめるのに費やした時間は、動物により感じた痛み
の指標である。図18に示すように、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、慢性痛の本動物モデルでの強
力な
抗侵害受容効力を示す投与量依存方法で、ホルマリン誘発なめを阻止した。
図19は、5、10、20及び40mg/kgの6,7−ジクロロ−5−ニトロ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンによるマウスのホルマリン誘発
痛の阻止を示す棒グラフを描く。マウスは、後足の足の裏表面への20mlの5%
ホルマリンの皮下注射30分前に、DMSO(溶剤コントロール)で又はDMS
O中薬物を腹腔内注射した。次いでマウスを観察して、示した期間中、5分間隔
で注射した後足をなめているマウスにより消費された時間を記載した。注射した
後足をなめるのに費やした時間は、動物により感じた痛みの指標である。図19
に示すように、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオンは、慢性痛の本動物モデルでの強力な抗侵害受容効力を
示す投与量依存方法で、ホルマリン誘発なめを阻止した。
図20A及び20Bは、1、5、10、20及び40mg/kg6,7−ジブロモ
−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンによるマウスで
のホルマリン誘発痛の阻止を示す線グラフを描く。マウスは、後足の足の裏表面
ヘの20mlの5%ホルマリンの皮下注射30分前に、DMSO(溶剤コントロー
ル)で又はDMSO中薬物を腹腔内注射した。次いでマウスを観察して、示した
期間中、5分間隔で注射した後足をなめているマウスにより消費された時間を記
載した。注射した後足をなめるのに費やした時間は、動物により感じた痛みの指
標である。
図20A及び20Bに示すように、6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、慢性痛の本動物モデルで、痛み(な
めること)反応の初期相(0−5分、図20A)及び強力な抗抗侵害受容効力を
示す痛みなめ反応の後期(15−50分、図20B)の両方で、投与量依存方法
でのホルマリン誘発なめを阻止した。
図21は、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオン、そのコリン塩、モノカリウム塩及びジカリウム塩の溶解
性を示す図表を描く。
図22Aは、5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンの腹腔内後超過時間のマウスの鎮静作用〔反射を調整すること(righting r
eflex)の欠損〕 (化合物番号1:図22B参照)を、6,7−ジクロロ−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(化合物番号2:図22B参照:
不活性)及びケタミン(化合物番号3:図22B参照)と比較して示すグラフを
描く。
図23A及び23Bは、2mg/kgPCPと食塩水を区別するよう訓練したラッ
トでの種々の投与量のPCP、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの影響を示すグラフを描く。図2
3Aは、PCP−肝臓部分の平均パーセントで示されるPCP様効果の程度を示
す。図23Bは、反応性の全てのラットに対する影響を示す。SAL、PCP及
びDMSO上の値は、PCP、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの試験前に行った食塩水、2mg/
kgPCP及び0.5mg/kgDMSOによるコントロール試験の結果を示す。値は
6匹のラットの平均を示す。
図24は、DMSO中の5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン又は食塩水中のMK801の腹腔内注射後、スイス
/ウエブスターマウスの運動活性を示す棒グラフを描く。少なくとも6匹のマウ
スの群はそれぞれ、溶剤を或はDMSO中、5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの増加する投与量又は食塩水中M
K801を注射した。次いで運動活性を4連続15分間目に記録した。二回目の
15分間隔の運動活性を示す。
好ましい実施態様の説明
本発明はグリシン結合部位に高親和性を有し、PCP副作用がなく、高濃度で
血液・脳関間を通過する化合物に係る。そのような化合物の例は、NMDAレセ
プターのグリシン結合部位の高選択性競合拮抗物質である1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオンを含む。本発明の1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオンは、以下の式(I)
又はその互変異性体を有する
(式中、R1はアミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、ハロ、ハロアルキル
又はニトロである;
R2はアミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、水素、ニトロ、ハロアルキル
又はハロである;
R3はアミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、ハロ又はハロアルキルである
;そして
R4はアミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、水素、ハロ、ハロアルキル又
はニトロである)。
式Iの範囲内の好ましい化合物は、R1がハロ又はニトロであり、R2がニトロ
又はハロであり、R3がハロ又はハロアルキルであり、R4が水素である。他の好
ましい化合物は、R1−R4の一つがアミノである。特に好ましい化合物は、R1
がアミノ又はニトロであり、R2がハロであり、R3がハロ又はハロアルキルであ
り、そしてR4が水素である。
本発明は又、式(II)
又はその互変異性体を有する特定のN−置換1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオンに係る
{式中、Rは水素、水酸基、アミノ、−CH2CONHAr、−NHCONHA
r、−NHCOCH2Ar、−COCH2Ar〔式中、Arはアリール基、又は式
(III)
(式中、R6は水素、低級C1-6アルキル又はアリールであり、R7は水素又は低
級C1-6アルキルであり、nは0ないし5の整数であり、そしてR8は水素、C1ー 6
アルキル又はアラルキルである)
を有するラジカルである〕である;
R1は水素、アミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、ハロ、ハロアルキル又
はニトロである;
R2はアミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、水素、ニトロ、ハロアルキル
又はハロである;
R3は水素、アミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、ハロ又はハロアルキル
である;そして
R4はアミノ、ヒドロキシアミノ、アシルアミノ、水素、ハロ、ハロアルキル又
はニトロである}。
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、式IIIを有するラジカル
によ
り置換され、ラジカルはカルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボ
キシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキ
シヘキシル、1−カルボキシエチル、1−カルボキシプロピル、1−カルボキシ
ブチル、1−カルボキシペンチル、1−カルボキシヘキシル、2−カルボキシプ
ロピル、2−カルボキシブチル、2−カルボキシペンチル、2−カルボキシヘキ
シル、3−カルボキシブチル、3−カルボキシペンチル、3−カルボキシヘキシ
ル、5−カルボキシペンチル、5−カルボキシヘキシル等を含むC2-7カルボキ
シアルキル基でありうる。
式IIIに含まれる典型的C8-12カルボキシアラルキル基は、1−アリール−2
−カルボキシエチル、1−アリール−3−カルボキシプロピル、1−アリール−
4−カルボキシブチル、1−アリール−5−カルボキシペンチル、1−アリール
−6−カルボキシヘキシル、1−アリール−1−カルボキシエチル、1−アリー
ル−1−カルボキシプロピル、1−アリール−1−カルボキシブチル、1−アリ
ール−1−カルボキシペンチル、1−アリール−1−カルボキシヘキシル、1−
アリール−2−カルボキシプロピル、1−アリール−2−カルボキシブチル、1
−アリール−2−カルボキシペンチル、1−アリール−2−カルボキシヘキシル
、1−アリール−3−カルボキシブチル、1−アリール−3−カルボキシペンチ
ル、1−アリール−3−カルボキシヘキシル、1−アリール−5−カルボキシペ
ンチル、1−アリール−5−カルボキシヘキシル、2−アリール−2−カルボキ
シエチル、2−アリール−3−カルボキシプロピル、2−アリール−4−カルボ
キシブチル、2−アリール−5−カルボキシペンチル、2−アリール−6−カル
ボキシヘキシル、2−アリール−1−カルボキシエチル、2−アリール−1−カ
ルボキシプロピル、2−アリール−1−カルボキシブチル、2−アリール−1−
カルボキペンチル、2−アリール−1−カルボキシヘキシル、2−アリール−2
−カルボキシプロピル、2−アリール−2−カルボキシブチル、2−アリール−
2−カルボキシペンチル、2−アリール−2−カルボキシヘキシル、2−アリー
ル−3−カルボキシブチル、2−アリール−3−カルボキシペンチル、2−アリ
ール
−3−カルボキシヘキシル、2−アリール−5−カルボキシペンチル、2−アリ
ール−5−カルボキシヘキシル等を含む。
典型的C1-6アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペン
チル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1
−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル等を含む。
典型的C6-14アリール基は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、フェナント
リル及びアントラシル基を含む。
典型的ハロ基は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。
典型的ハロアルキル基は、1又はそれ以上のフッ素、塩素、臭素又はヨウ素で
置換されたC1-6アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリ
フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル及びトリク
ロロメチル基を含む。
典型的アミノ基は、−NH2、NHR9及び−NR9R10(式中、R9及びR10は
、上記したC1-6アルキル基の一つである)を含む。
典型的アシルアミノ基は、C2-6アシル基、例えばアセチル、プロピオニル、
ブタノイル、ペンタノイル及びヘキサノイル基により置換されたアミノ基を含む
。
本発明の特に好ましいキノキサリン−2,3−ジオンは、6,7−ジクロロ−
5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6,7−ジフル
オロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6,7−
ジフルオロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6
−クロロ−5−ニトロ−7−ブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオン、6,7−ジクロロ−5−ブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオン、5−クロロ−6−ニトロ−7−トリフルオロメチル−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6−クロロ−5−ニトロ−7−
トリフルオロメチ
ル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、5−クロロ−8−ニトロ
−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、
5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、5−クロ
ロ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、5
−ブロモ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ン、5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオン、5−クロロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオン、5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
、5−ブロモ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン、5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン、6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン、4−カルボキシメチル−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−6,7−ジクロロ−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−アミノ−6,7−ジブロモ−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−アミノ−6,7−ジクロロ
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−6
,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
、4−カルボキシメチル−6,7−ジクロロ−5−ブロモ−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−5−クロロ−7−トリフ
ルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボキ
シメチル−5−クロロ−6−ニトロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−5−クロロ−8−ニ
トロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ン、4−カルボキシメチル−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−5−クロロ−6,7−ジフルオロ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−5−
ブロモ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオン、4−カルボキシ−5,6,7,8−テトラフルオロ−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−5−ク
ロロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カ
ルボキシメチル−5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオン、4−カルボキシメチル−5−ブロモ−7−トリフルオロメチル−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボキシメチル−5−ブロモ
−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、4−カルボ
キシメチル−6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオン、5−アミノ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリ
ン−2,3−ジオン、5−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオン、7−クロロ−6−ニトロ−5−トリフルオロメチル−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6−アミノ−7−クロロ−5
−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、7−
クロロ−5−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オン、7−ブロモ−6−ニトロ−5−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン、6−アミノ−7−ブロモ−5−トリフルオロメチ
ル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、7−ブロモ−5−トリフ
ルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、7−フルオロ
−6−ニトロ−5−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン、6−アミノ−7−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,4−ジ
ヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、7−フルオロ−5−トリフルオロメチル
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、8−アミノ−5,7−ジク
ロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、8−アミノ−5−クロ
ロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
、6−アミノ−5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオン、6,7−ジクロロ−5−ヒドロキシアミノ−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び6,7−ジブロモ−5−ヒドロキシ
アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンを含むが、これに限定されない。
特に好ましい化合物は、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン、6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオン、6,7−ジフルオロ−5−ニトロ−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、5−クロロ−7−トリフルオロメチル
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6−クロロ−5−ニトロ−
7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び
7−ブロモ−6−クロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオン、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオン及び5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオンである。6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジ
ヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び5−クロロ−7−トリフルオロメチル
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、アレチネズミ完全虚血モ
デルで腹腔内投与後、虚血誘発神経細胞死を防止する。6,7−ジクロロ−5−
ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6,7−ジブロモ−
5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び5−クロロ−
7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、
3匹の動物モデル中少なくとも2匹で、腹腔内投与後、強力な抗痙攣剤である。
5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオン、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオン及び6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリ
ン−2,3−ジオンは、又、慢性(ホルマリン誘発)痛の動物で腹腔内投与後、
鎮静効果を示すことが判った。
本発明の化合物は、カイネート、AMPA及びキスカレートレセプター並びに
NMDAレセプターのグルタメート及びPCP結合部位との低交叉反応性を示し
、従って、全てのこれまでに記載された1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオン類、特に米国特許第4,975,430号に記載された6−シアノ−7
−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン及び6,7−ジニト
ロ−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンと異なる。
本発明の化合物は、ニューロン欠損、神経変性疾患、慢性疼痛の処置又は防止
に活性であり、抗痙攣剤として活性であり、他のレセプター、特にカイネート、
AMPA及びキスカレートレセプター並びにNMDAレセプターと関連したPC
P及びグルタメートレセプターとの非選択結合により起きる不都合な副作用のな
い麻酔剤を含む。さらに、本発明の化合物は、興奮性アミノ酸、例えばNMDA
レセプター系に含まれるものの過剰活性の逆結果を、グリシンレセプターをブロ
ックし、開口からリガンドゲートカチオンチャンネルを阻止して、麻酔の間に起
きるCa++のニューロンへの過剰流入を可能にすることにより、処置又は防止す
るのに有効である。
本発明の化合物により処置しうる神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮
性側索硬化症、ハンチントン病及びダウン症候群からなる群から選ばれるものを
含む。
本発明の化合物は、痴呆を起こす多発性発作に関連するニューロン欠損の処置
又は防止に特異的有用性を見出す。患者が発作にかかっていると診断された後、
本発明の化合物を投与して、即時の虚血を改善し、再発する発作からさらにニュ
ーロン傷害が起きるのを防止しうる。
さらに、本発明の化合物は、腹腔内投与後、血液/脳関門を通過することがで
きない6−シアノ−7−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ンや6,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン並びに
他の6,7−ジ置換1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(タースキ
,L.等、ジャーナル・オブ・ファーマコロジィ・アンド・エクスペリメンタル
・テラピューティクス245:969(1989)参照)と対照的に血液/脳関門を
通過することができる。5,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオン、6,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オン及び6−シアノ−7−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンが中枢神経系をほとんど通過しないことを開示する、シェアダウン等、ヨー
ロピアン・ジャーナ
ル・オブ・ファーマコロジィ174:197−204(1989)をも参照。
インビボ効力、即ち血液・脳関門を通過する能力を示し始める化合物について
は、化合物は約100mg/kg動物体重より小のED50を示すべきである。好まし
くは、本発明の化合物は、約20mg/kg以下の、より好ましくは約10mg/kg以
下のED50を示す。
本発明の化合物は、外科手術の逆神経学結果の処置又は防止に特別の有用性を
見出す。例えば冠バイパス手術は、脳にゆだねられうる循環系に気泡を導入しが
ちな心肺器の使用を必要とする。そのような気泡の存在は、ニューロン組織から
酸素をうばい、その結果、酸素欠乏症及び虚血となる。本発明の1,4−ジヒド
ロキノキサリン類の手術前又は後投与は、その結果生じる虚血を治療し又は防止
するであろう。好ましい実施態様では、本発明の化合物は、心肺バイパス手術又
は頸動脈内膜切除手術を受けている患者に投与される。
本発明の化合物は、又、慢性疼痛の治療又は防止に有用性を見出す。そのよう
な慢性疼痛は手術、外傷、頭痛、関節炎又は他の変性疾患の結果でありうる。本
発明の化合物は、四肢の切断から起きる幻想肢痛の処置に特別の有用性を見出す
。痛みの処置に加えて、本発明の化合物は、又、例えば手術中、全身又は局所麻
酔のいずれかの麻酔を誘導するのにも有用である。
全部で30以上の1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン誘導体を合
成し、インビボでのグリシン拮抗物質活性を試験した。これらの新規な薬物中か
ら、グリシン/NMDAレセプターに特に高親和性を有する幾つかの化合物を確
認した。最も強力な類似体の構造の調査から、1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオン環系でNO2基と2つのハロゲン元素、例えばクロロ又はブロモ
との、或はClとCF3との組合せが特に強力なグリシン拮抗物質を与えるよう
である。実際、それぞれ6nM及び8nMのグリシン結合部位への親和性を有す
る6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オン及び6,7−ジクロロ−5−ニトロ−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ンは、今日までに発見された最も強力なグリシン/NMDA拮抗物質である。6
,7−ジクロ
ロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン化合物のNO2
基が、その親化合物、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオン(DCQX)、それは他者により強力且つ選択的グリシン拮抗物質
であると記載されている(ヨネダ及びオギタ、バイオケミカル・アンド・バイオ
フィジカル・リサーチ・コミュニケーション164:841−849(1989)、
のグリシンレセプター親和性を数百倍増加したことは注目に値する。驚くべきこ
とに、6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオン及び6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンのニトロ基を除いて、これもグリシン結合部位に高結合親和性を
有すアミノ置換−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを得ることも
可能である。
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン類、特にCNQX及びDNQ
Xは強力なカイネート及びAMPA拮抗物質であることが知られているので、本
発明の新規化合物をカイネート及びAMPA結合検定で試験し、これらの非NM
DAレセプターでの交差反応性を測定した。強力なグリシン拮抗物質はカイネー
ト及びAMPA部位で有意な交差反応性を有しないか又はごくわずかな交差反応
性のあることが判った。従って、本発明は又、強力なグリシン拮抗物質であるが
、カイネート及びAMPA部位で交差反応性をほとんど示さないか全く示さない
化合物に係る。
好ましくは、本発明の化合物は、Ki=約10μM又はそれ以下、より好まし
くは1μM又はそれ以下、さらに好ましくは500μM又はそれ以下、そしてよ
り好ましくは100μM又はそれ以下、そして最も好ましくは約10μM又はそ
れ以下のグリシン結合部位に対する結合親和性を示す。又、Ki=1μMより小
でない、そしてより好ましくは10μMよりも小でないカイネート及びAMPA
部位で結合を示す化合物も好ましい。
次いで新規グリシン拮抗物質は、マウスで多数の抗痙攣剤を用い腹腔内注射後
、インビボ活性を試験した(DBA−2マウスの聴覚原性発作モデル、マウスの
ペンチレンテトラゾール誘発発作、マウスのNMDA誘発死)。試験した全化合
物
は、3つのモデルの1又はそれ以上で活性を示した。6,7−ジクロロ−5−ニ
トロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(化合物#1、表IV)は
、特に聴覚原性発作モデル(ED50=5mg/kg)及びNMDA誘発死モデル(E
D50=20mg/kg)で5つのうち最も強力なものであった。6,7−ジブロモ−
5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(化合物#13、
表IV)も、特に聴覚原性発作モデル(ED50=10mg/kg)で非常に強力であっ
た。しかしながら、これら2つの化合物は、マウスの回転棒運動失調試験により
測定されるように運動失調副作用を起こす異なる傾向を示した。特に6,7−ジ
ブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、本試
験でTD50=200mg/kgを示した。従って、本化合物は、運動失調副作用を起
こすものよりもずっと低い投与量で発作を防止するのに有効である。これは、6
,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
に対する回転棒運動失調試験でのTD50=27mg/kgと比べものにならないほど
すぐれている。
従って、本発明は、約10mg/kgより大、より好ましくは約20mg/kgより大
の投与量の濃度での回転棒運動失調試験で運動失調副作用を示す化合物にも係る
。
二つの化合物(#1(表IV))及び5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(化合物#2(表IV))は、又、
アレチネズミ全身虚血モデルで腹腔内注射後、神経保護効力について試験し、本
枠組で強力な神経保護効力を有することが判った。同じ化合物は、又、PCPと
食塩水を区別するよう訓練したラットで薬物区別試験をした。二つの化合物は、
いずれも、これらの薬物区別研究でどの投与量でもPCPまで一般化しなかった
。さらに、化合物はいずれもマウスでの運動活性試験で、行動励起を生じなかっ
た。これらの研究結果は、本発明の新規なグリシン拮抗物質は、NMDAチャン
ネルブロッカー、例えばMK801及びPCPに、又は競合NMDA拮抗物質、
例えばCGS19755に普通であるPCP様行動副作用を示さないことを示唆
する。
新規グリシン拮抗物質は、これらの化合物が血液/脳関門を通過することがで
きることを示唆する膜腔内注射後、インビボで強力な活性を示したことは重要で
ある。他の研究者達は、発明者等により確認された発見、1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオン類似体CNQX及びDNQXが血液/脳関門を通過で
きないことを報告した(タースキ,L.等、ジャーナル・オブ・ファーマコロジ
ィ・アンド・エクスペリメンタル・テラピューティクス260:742−747
(1992))。明らかに、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのベン
ゼン環置換基の変更は、グリシンレセプター親和性の劇的増加とAMPA/カイ
ネートレセプター親和性の欠損となるだけでなく、血液・脳関門を通過するのに
全く十分な能力を有する化合物を生成することができる(タースキ,L.等、ジ
ャーナル・オブ・ファーマコロジィ・アンド・エクスペリメンタル・テラピュー
ティクス260:742−747(1992))参照)。
本発明以前は、グリシン拮抗現象についての一次薬作用発生団の一つは、芳香
環上の置換基を求引する、従ってアミド水素のpKaを低下させる電子の置換を
起こす能力を増強する1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンのアミノ
基であると考えられた(グレイ等、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミスト
リィ34:1283(1991);リーソン,P.D.等、ジャーナル・オブ・メディシ
ナル・ケミストリィ34:1243(1991))。本発明で記載される研究は一般に本
提案を実証したが、環上の置換基の相対位置並びに基を求引する電子の確認も重
要であることが今や明らかにされた。本発明は本発見に向けられる。
さらに、アミド水素の一方又は双方がアミン、水酸基、カルボキシアルキル及
びカルボキシアラルキル基により置換しうること、そして得られる化合物がグリ
シンレセプターへの高結合を維持することも発見された。本発明は、本発見にも
かかる。
本発明の一部である最も強力な新規拮抗物質は、6,7−ジブロモ−5−ニト
ロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(Ki=6nM)である。
第二の最も強力な拮抗物質は6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロ
キノキ
サリン−2,3−ジオン(Ki=8nM)である。他の強力な拮抗物質は、ニト
ロ化5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオンの混合物(3x及び3y(表I並びに化合物#及び4、表IV)を含
む。1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン系列で合成された他の強力
な拮抗物質は、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオン(3h、表I及び化合物#2、表IV)である。感知でき
るが、はるかに効力が低い他の誘導体は、6−ニトロ−7−(トリフルオロメチ
ル)−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(3k、表I)である。
環上の基を求引する電子の配置と型は、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−キノキサリンジオン環の5−及び7−位の置換基がグリシン結合部位の能力を
増強するようにみえるので、重要であるようである。イオン化しうる基、例えば
スルホナート、第一スルホンアミド(31−n、表I)及びカルボン酸による6
−位の置換は、グリシンレセプターへの化合物の結合能力を失わせる。スルホン
アミドのアルキル化(3o−p、表I)も酸のメチル化も、活性を増加しなかっ
た。キノキサリン環のアミド窒素のメチル化も、6,7−ジニトロ−N−メチル
−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの活性の欠失により明らかな
ように、化合物の結合能力を失わせる。1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンのピリジン類似体(実施例26)及びプテリジン類似体(実施例27)の合成
は、不活性化合物を生じた。
本発明の他の重要な局面は、アミノ置換1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンもグリシン結合部位に高結合親和性を有することの発見に係る。これ
は、アミノ基が電子供与であるという事実及び電子引性基が高結合親和性に重要
であるという期待を考慮すると思いもよらないことであった。
潜在性グリシン拮抗物質としての試験用に合成した化合物は、以下にまとめて
ある(表1)。ほとんどは、チーズマン,G.W.H.、ジャーナル・オブ・ケ
ミカル・ソサエティ1171(1962)に従って、シュウ酸ジエチルと対応するジアミ
ノベンゼンとの簡単な縮合により入手し得た。1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリン
ジオン類がシュウ酸と対応するO−ジアミンを約100ないし約140℃に1な
いし10時間、強鉱酸、例えばHCl、H2SO4、H3PO4等の存在下に加熱す
ることにより高収率で容易に製造しうることも発見された。好ましい実施態様で
は、シュウ酸とO−ジアミンを2N HCl中、125℃で2.5時間加熱し、
対応する1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンを高収率で得る。本発
明は又、1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン類を製造する改良方法
に向けられる。
開始のO−ジアミノベンゼン類は、製造業者から直接入手しうるか、又はベラ
ミィ,F.D.及びオウ,K.、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984
)に従って、対応するO−ニトロアニリンの還元により容易に得られた(略図I
、式1)。ニトロ化は、濃H2SO4中、KNO3による1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオンの処理により実施した(略図III、式2)。5−ハロ−
6,7−フルオロ−1,4 −ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン類は、N
−ブロモコハク酸イミド又はN−クロロコハク酸イミドによる4,5−ジフルオ
ロ−2−ニトロアミンの処理(ミッチェル,R.H.等、ジャーナル・オブ・オ
ーガニック・ケミストリィ44:4733(1979)、続く還元及びシュウ酸ジエチルと
の縮合により製造した。化合物は、ラット又はモルモット脳膜ホモジネート中、
1μMグリシン活性化[3H]−MK−801の結合の阻止を観察することによ
り潜在的拮抗物質活性を試験した。より強力なグリシン拮抗物質、[3H]−M
K−801は、[3H]−MK−801結合部位(PCPレセプター)がグルタ
メート及びグリシンによるイオンチャンネルの開口によつてのみ得られる(フレ
ッチャー,E.L.等、グリシン・ニューロトランスミッション、オッターソン
,P.等(編集)ジェン・ウイリィ及びソンズ(1990)中;ジョンソン,J.W.
等、ネイチャー325:529(1987))ので、少ししか結合できなかった。
スルホネート及び誘導体は、クロロスルホン酸による親の1,4−ジヒドロ−
2,3−キノキサリンジオンの処理と、続く所望のアミンとの処理によりスルホ
ンアミドを作ることにより製造した(略図I、式3)。ミッシェル等、ジャーナ
ル・オブ・オーガニック・ケミストリィ44:4733(1979)参照。5−ブロモ−7
−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、N−ブロモコ
ハク酸イミドによる4−フルオロ−2−ニトロアニリンの処理、続く還元及びシ
ュウ酸との縮合により製造した。
式VI(CR=CH2CONHAr)を有する化合物は、対応する置換O−フェ
ニレンジアミンとクロロ酢酸ナトリウム水溶液との反応、続く酸性化により対応
するN’−カルボキシメチルキノキサリン−3(1H)−オンを得ることにより
製造しうる。本生成物のアルカリ性KMnO4による酸化は、N−カルボキシメ
チル
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを与える。本化合物は、DM
F中、シクロヘキシルカルボジイミドの存在下、アリールアミンとの縮合により
アリールアミドに変換しうる(略図II参照)。
別法として、式:VI(R=CH2CONHAr)の化合物は、o−フェニレン
ジアミンとグリオキサル酸とをエタノール中で縮合させて対応するキノキサリン
−3(2H)−3−オンを得ることにより製造しうる(バートン,D.E.;ラ
ム,A.J.;レイン,D.L.J.;ニューボルド,G.T.:パーシバル,
D.J.、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ(C),1268(1968)参照)
。この生成物はナトリウム・アルコキシドおよび反応性α−ハロ・エステルでN
−アルキル化してN4−カルボキシメチルキノキサリン−3(2H)−オン・エ
チルエステルを得うる。最後に、過酸化水素で酸化してN−カルボキシメチル−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを得る(工程図III参照)。
工程III
別法として、式:VI(R=CH2CONHAr)の化合物は、対応するアニオ
ンを反応性ハライドでN−アルキル化することにより製造することができる(工
程図IV参照)。たとえば、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン(III)を塩基、たとえばリチウム・ジイソプロピ
ルアミドで脱プロトン化すると、対応するアニオン(IV)を得ることができる。
α−ハロエステル、たとえばブロモ酢酸メチルでアルキル化し、次いでエステル
の加水分解を行うと、対応する酸(V)を得ることができる。酸とアリールアル
コールとをDCCのような脱水剤の存在下に縮合すると、アニリド(VI)を得る
ことができる。
工程IV
R=−NHCONHAr(VII)の場合、その化合物は、アミネート・アニオ
ンIVのクロルアミンまたはメシチレンスルホニル・オキシアミンとの反応により
N−アミノ1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン中間体VIIIを得るこ
とで、製造することができる(タムラ,Y等、シンセシス 1,1977)。別法と
して、その窒素は、シン,S.D.及びリー,Y.Y.、ジャーナル・オブ・コ
リアン・ケミカル・ソサエティ27:382−384(1983)に従って、水酸化ナ
トリウム水溶液中、1,4−キノキサリン−2,3−ジオンとヒドロキシルアミ
ン−O−スルホン酸との反応によってアミノ化し、N1−および/またはN4−ア
ミノ−1,4−キノキサリン−2,3−ジオンを得ることができる。本発明はま
た、以下の式の1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンまたはその互変異性体
{式中、Rは水素、ヒドロキシ、アミノ、−CH2CONHAr、−NHCON
HAr、−NHCOCH2Ar、−COCH2Ar、〔Arはアリール基または以
下の式で示されるラジカルである
(R6は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはアリール、R7は水素または炭
素数1〜6の低級アルキル、nは0〜5の整数、R8は水素、炭素数1〜6のア
ルキルまたはアラルキル
R1は水素、アシルアミノ、ハロアルキル、ハロまたはニトロ、
R2は水素、ニトロ、ハロアルキルまたはハロ、
R3は水素、アシルアミノ、ハロまたはハロアルキル、
R4は水素、アシルアミノ、ハロ、ハロアルキルまたはニトロである)〕であ
る。}
をヒドロキシルアミン−O−スルホン酸と塩基性条件下に反応させてN−アミノ
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを生成することにより得られ
るN−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンに係る。かかる
塩基性条件には水性KOH、NaOH、LiOHなどが包含される。
他の方法では、アミドの窒素原子の1つをN−ニトロシル化し、次いで還元し
て、N−アミノ・1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン中間体を得る
ことができる。遊離のアミノ基を例えばフェニルイソシアネートでアシル化する
と、VIIを得ることができる。別法として、Rが−NHCOCH2Ar(IX)の場
合、中間体VIIIをフェニルアセチル・クロライドでアシル化して、IXに導くこと
ができる(工程図V参照)。
工程V
別法として、式VIの化合物は、N−アルキル化フェニレンジアミンXから、シ
ュウ酸ジエチルとの縮合により中間体XIを得ることにより製造することができる
。XIを硝酸/硫酸でニトロ化して、異性体ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリ
ン−2,3−ジオンIVおよびXIIを得、次いでこれらを、たとえばカラムクロマ
トグラフィで分離しうる(工程図VI参照)。また、国際特許出願公開番号WO9
1/13878を参照のこと。この内容を全て本明細書の記載の一部とし、かか
るN−置換カルボキシアルキルおよびカルボキシアラルキル1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン並びにN−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3
−ジオンの製法の参考とする。
工程VI
本発明の任意の特定化合物の抗不安活性は、いかなる不安用の認識された動物
モデルを用いることによっても測定しうる。好ましいモデルはジョーンズ,B.
J.等、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジィ 93:985〜9
93(1988))によって記載されている。このモデルは当該化合物を基本的不安レベ
ルが高いマウスに投与することを含む。この試験は、かかるマウスを暗闇の試験
室の暗闇生活環境から取り出して白色に塗布し明るく光を照射した区域に置いた
場合に当該マウスに嫌悪感が見られるという知見に基づく。試験箱は2つの隔室
を有し、一方は白色で明るく光が照射され、他方は黒色で光は照射されていない
。マウスは2つの隔室の間のしきりの床レベルの開口部を通って、両隔室へ接近
できる状態にある。マウスを明るい照射区域の中央に置く。暗闇区域への開口部
を設置したのち、マウスは2つの隔室の間を自由に往復でさる状態とする。対照
のマウスは、暗闇隔室において過ごす時間の割合が大きくなる傾向を示す。抗不
安剤を与えると、マウスはより明るく照射された隔室を探索する時間が長くなっ
て、
暗闇隔室へ移動するための潜伏時間が遅延する。加えて、抗不安剤で処置したマ
ウスは、探索の読取りおよび線の横切り(ライン・クロッシング)によって測定
されるように、白色隔室においてより多くの挙動を示す。マウスは、テスト状況
に慣れるため、ナイーブなマウスをテストに常に使用すべきである。5つのパラ
メーターを測定することができる:暗闇隔室に入ることの潜伏性、各隔室で消費
された時間、両隔室の間の移動回数、各隔室において横断した線の数、および各
隔室におけるリアー(rear)の回数。化合物の投与は、マウスがテスト室の大きく
かつ明るく照射された隔室において、より長い時間過ごす結果が期待される。
明/暗探索モデルにおいて、活性が予想される薬剤の抗不安活性は、対照のマ
ウスと比較して、暗隔室での線の横切り及びリアーの回数を犠牲にした暗隔室で
の線横切り及びリアーの回数の増加によって確認することができる。
第2の好ましい動物モデルは、ジョーンズ,B.J.前掲により記載されたラ
ット・社会相互作用試験であり、ここでは、2匹のマウスが社会相互作用に費や
した時間を定量化する。活性が予想される薬剤の抗不安活性は、1対の雄ラット
が活動的な社会相互作用に費やす時間の増加によって確認することができる(本
質的には、90%の挙動性質を研究する)。テスト隔室の親密性および光照射レ
ベルの両方を操作することができる。薬剤非投与ラットは、テスト隔室が親密で
低光源で照射した場合に最も高レベルの社会相互作用を示す。社会的相互作用は
、テスト隔室が非親密性であるか、又は明るい光で照射すると、減少する。抗不
安剤はこの減少を防止する。また、運動活性の総レベルを測定して、社会挙動に
特異的な薬剤作用を検出することができる。
本発明は、また本明細書に開示される化合物の鎮静−睡眠薬としての用途に係
る。グリシン/NMDA拮抗物質、5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオンがマウスへの静脈内注射後、強力な鎮静−睡眠活性を示
すことが判明した。これに対し、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオンは全く鎮静−睡眠活性に欠ける(図22A参照)。5,7
−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、ヒトの麻酔薬
として使用
されるNMDAチャネル遮断剤であるケタミンよりも鎮静-睡眠薬として著しく
より強力であって長期間持続する。
グリシン・レセプターにおける5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオンの結合親和性(Ki=0.9μM)は、6,7−ジクロロ
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの結合親和性(Ki=0.3
3μM)とは本質的には異ならない。また、5,7−ジクロロ−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオンおよび6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオンのカイネートおよびAMPA結合親和性は、実質的
に相異しない。したがって、2つの化合物の間の鎮静−睡眠活性の相異は、5,
7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが容易に血液/
障壁を通過するが、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンはそうではないという事実に起因するようである。これら2つの化合物
の間のインビボ作用の当該相異は、抗痙攣作用テストでも観察される。
本発明の範囲内の組成物には本発明の化合物をその意図した目的を達成する量
で含有する全ての組成物が包含される。当業者ならば、個々の必要性を変化させ
ながら、各成分の有効量の最適範囲を決定することができる。典型的には、当該
化合物を哺乳類、たとえばヒトに、以下のような不安症、例えば汎発性不安症、
恐怖症、神経症、パニック症ポスト外力性ストレス変調が治療される哺乳類の体
重1kgにつき1日当たり経口で0.0025〜50mg/kg投与量または等量のそ
の製薬上許容される塩を投与する。好適には、約0.01〜約10mg/kgを経口
投与してかかる疾患を処置または予防する。筋肉内注射については、その投与量
は、−般に経口投与量の約半分である。たとえば、不安症の治療/予防には、適
切な筋肉内投与量は約0.0025〜約15mg/kg、最も好ましくは約0.01
〜約10mg/kgである。
虚血でのニューロン損失、脳および脊髄の外傷、低酸素症、低血糖症、及び手
術の処置または予防、並びに、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチ
ントン病、およびダウン症候群の処置の方法において、或は疾病の病体生理学が
興奮性アミノ酸の過剰活性またはNMDAレセプター−イオン・チャネル関連神
経毒性を含む疾患の治療法において、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を
単位投与量レベル約0.01〜約50mg/体重1kgで、又は等量のその製薬上許
容される塩を、1日当たり1〜4回レジメで含む慢性の疼痛の処置や、麻酔に誘
導するのに使用する場合、本発明の化合物は、単位投与用量レベル約0.01〜
約50mg/体重1kgで、又は等量のその製薬上許容される塩を、1日当たり1〜
4回レジメで投与しうる。もちろん、正確な処置濃度は治療される動物、たとえ
ばヒトの病歴に依存する。正確な治療レベルは当業者により過度の実験を要しな
いで決定することができる。
単位経口用量は、約0.01〜約50mg、好ましくは約0.1〜約10mgの化
合物からなる。単位投与量を1日当たり1またはそれ以上の回数で1またはそれ
以上の錠剤で投与し、各錠剤は約0.1〜約10mg、便宜的には約0.25〜5
0mgの化合物またはその溶媒和物を含む。
当該化合物の原料化学物質としての投与に加え、本発明の化合物は当該化合物
を製薬的に使用することができる製剤に加工処理するのを促進する賦形剤および
補助剤を含む好切な製薬上許容されうる担体を含む医薬製剤の一部として投与し
うる。。好ましくは、製剤、特に経口的に投与でき、好適なタイプの投与に使用
できる製剤、たとえば錠剤、糖衣錠、及びカプセル;直腸内投与可能な製剤、た
とえば座薬;並びに注射または経口による投与に適した溶液は、約0.01〜9
9%、好ましくは0.25〜0.75%の活性化合物(複数を含む)を賦形剤と
ともに含有する。
また、本発明の化合物の製薬上許容される非毒性の塩も本発明の範囲に包含さ
れる。酸付加塩は、当該化合物の溶液を製薬上許容される非毒性の酸、たとえば
塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン
酸、シュウ酸などの溶液と混合することにより、形成される。たとえば、塩基性
塩は、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの溶液を、水酸化ナトリ
ウム、炭酸ナトリウムなどの製薬上許容される非毒性の塩基の溶液と混合するこ
と
により、形成される。
本発明の1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの好ましい塩は、炭
素数3〜24のアンモニウム対イオンからなる、高度に可溶性の塩であって、そ
のアルキル基の1つはヒドロキシ基で置換することができる。殆どの1,4−ジ
ヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは水溶液中に非常に溶けにくい。すなわち
、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの静脈内投与は、活性剤が比
較的不溶性のため制限される。高度に可溶性のアンモニウム塩はたとえば1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを、1モル当量の対応する水酸化アン
モニウムまたはアミノ化合物の溶液に溶解することにより調製することができる
。
アンモニウム対イオンは、溶液中1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンとの混合によりプロトン化アンモニウム塩を形成する四級アンモニウムカチ
オンまたはモノ、ジまたはトリ置換アミンでありうる。
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのモノコリン塩は、使用され
る1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンに応じてpH約7.8〜9.
8を有する。別法として、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを、
まず2モル当量の水酸化アンモニウムを含む溶液中に溶解する。ジコリン塩は、
単離するかまたはその溶液のpHを約7.8〜9.8に、1当量の酢酸で調節す
ることができる。
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのアンモニウム塩は、溶液の
共沸蒸留により水中に非常によく溶ける乾燥粉末を得ることで、容易に純粋な形
態で単離することができる。1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの
モノコリン塩を90mg/mlまたはそれ以上、水に溶解して、透明な溶液を得る。
塩はまた静脈内注射に適した等張性のグルコース溶液に溶解することができる。
本発明により溶解することができる1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンの具体例は、本明細書に開示のもの並びに以下の文献に記載のものを含む
:米国特許第5109001,5081123,5079250,5075306,5057516,5026704,5061706,4977
155,4975430,4889855,4812458,3992378,3962440,4812458,4659713,
4948794号、国際特許出願公開WO91/13878、ヨネダ及びオギタ,バイオケミカ
ル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ164:841〜(1
989))、クレックナー及びジングルダイン,モレキュラー・ファーマコロジィ,
36:430−436(1989)、ラオー,T.S.等,29:1031-1035(1990))、ペ
レグリニ-ジャムピエトロ,D.E.等,ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・
ファーマコロジィ 98:1281-1286(1989)、オーギタ及びヨネダ,ジャーナル
・オブ・ニューロケミストリィ 54:699-702(1990)、ケスラー,M.等,ブ
レイン・リサーチ489:377-382(377-382))、ヨーロッパ特許出願公開第0377112
、0315959および260467号、レスター,R.A.等,モレキュラー・ファーマコ
ロジィ 35:565-570(1989)、パテール等,ジャーナル・オブ・ニューロケミ
ストリィ55:114-121(1990)、ホーナー等,ケミカル・アブストラクツ 48
:2692(1953)、チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサ
エティ:1170-1176(1962)、ホナー,T等,サイエンス241:701-703(1988)、及
びシェアーダウン,M.J.等,ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコ
ロジィ 174:197-204(1989)(これらの開示を全て引用して本明細書記載の一部
とする)。
本発明のアンモニウム塩を製造するのに使用できる水酸化アンモニウムの例示
には以下のものが包含される:任意のテトラ-炭素数1〜6のアルキルのアンモ
ニウム水酸化物、たとえば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチ
ルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアン
モニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、並びに任意のトリ−炭素数1〜
6のアルキル−炭素数1〜6アルカノ−ルアンモニウム水酸化物、たとえば水酸
化コリン、水酸化(3-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、水酸化
(4-ヒドロキシブチル)トリメチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチ
ル)トリエチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリプロピルア
ンモニウムおよび水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリブチルアンモニウム。好
ましくは、水酸化アンモニウムは水酸化コリンである。加えて、任意の炭素数6
〜12アラルキル−炭素数1〜6トリアルキルアンモニウム水酸化物、たとえば
水酸化ベンジ
ルトリメチルアンモニウムを使用することができる。
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの塩製造に使用しうるアミノ
化合物の例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、N−メチルエタノールアミン、ジ−(2−
エタノール)アミン、トリ−(2−エタノール)アミン、スペルミジン、スペル
ミン及びアミノ炭水化物、例えばグルコサミン、N−メチル−グルカミン、ガラ
クトサミン、マンノサミン、キシロサミン、セルビオサミン、およびマルトサミ
ン。本発明の1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのアンモニウム塩
の製造に使用できる他のアミノ化合物には、モノ−N、ジ−(N,NおよびN,
N’)、トリ−(N,N,N’)およびテトラ−(N,N,N’,N’)炭素数
1〜6のアルキルグアニジン並びにビグアニジン、ポリ炭素数1〜6のアルキル
置換ビグアニジン、アミジン、アルギニン、N−炭素数1〜6のアミジン、1,
8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、トリス(ヒロドキ
シメチノレ)アミノメタン(トリス、トロメタミン)およびビス−トリス−プロ
パンを含む。
図21に示すように、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオンのモノカリウム塩が調製されると、それは水に
不溶性である。しかし、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオンのジカリウム塩は水溶性であって、pH12.
7の溶液を得るには4当量のKOHの添加が必要である。1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオンは、1当量の酢酸の添加によりpHを11.9に低下
すれば可溶性のままである。しかし、二次当量の酢酸の添加により沈澱物の形成
を引き起こす。pHが11に達する時点までに、沈澱は完了する。意外にも、5
−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンが1当量のみの水酸化コリン中に容易に溶解することを、見出した。酢酸
を添加した場合、pHが約9.2に達するまで沈澱の形成は開始しない。同様に
、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンは、水中で1当量の水酸化コリンに溶解することができる。pHは、沈澱物
を形成する
ことなく約8に調節することができる。乾燥モノコリン塩は、たとえば水溶液の
凍結乾燥により純粋な形態で単離でき、非常に高濃度で溶解される(少なくとも
90mg/ml)。すなわち、本発明のこの実施態様は、静脈内投与用の1,4−ジ
ヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの濃厚水溶液の製造が可能であるので、当
該分野で非常に有利である。
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを溶解するのに有用な幾つか
のアンモニウム対イオン、たとえば水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸
化テトラエチルアンモニウムは、静脈内投与ののちに毒性を示す。多数の1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、トリスヒドロキシメチルアミノメ
タン(トリス、トロメタミンUSP)の0.05〜0.5M溶液に容易に溶解す
ることができることが見出される。トロメタミンは、ヒトに静脈内投与した場合
に実質的に非毒性である。すなわち、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンのトロメタミン溶液はヒトへの静脈内投与に非常に有用であって、1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン溶液のヒト静脈内投与の使用の達成に
おける大きな障害を克服することができる。本発明は一部この知見に向けられる
。トロメタミンに代えて、哺乳類に低毒性しか示さないトロメタミンの同族体で
あるビス−トリス−プロパン(1,3−ビス[トリス(ヒロドキシメチル)メチ
ルアミノ]プロパン)を使用することができる。ビス−トリス−プロパンはトロ
メタミンよりも高いpKを示し、従ってトロメタミンに容易に溶解しない幾つか
の1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを溶解するのに有用である。
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の有益な効果を受け入れうる全ての動
物に投与することができる。かかる動物のうち、ヒトが最も重要であるが、本発
明はこれに限定されない。
本発明の医薬組成物は、その意図した目的を達成するいずれの手段によって投
与することもできる。たとえば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔
内、経皮、バッカルまたは眼球経路によりうる。別個に、あるいは同時に、経口
経路によって投与することかできる。投与される投与用量は患者の年令、健康状
態および体重、(仮にある場合は)併用される処置の種類、処置回数および所望
の作用特性に依存する。
本発明の組成物を眼球に投与すると、局所又は全身投与を達成しうる。例えば
、本発明の組成物は、涙と実質的に等張であるアイドロップの形で投与しうる。
好ましくは、そのような組成物は、本発明の化合物の全身吸収を助ける通過促進
剤を含む。米国特許第5,182,258号参照。別法として、本発明の組成物
は眼球に投与し、視神経変性を治療又は予防しうる。本実施態様では、本発明の
化合物は上述のようにアイドロップの形で投与するか、又は視神経の近くに注入
しうる。別に、本発明の化合物を徐放する薄い接眼インプラントを用いうる。
薬理学的に活性な化合物に加えて、新規な医薬調製物は、製薬上使用できる調
製物への活性化合物の通過を促進する賦形剤及び補助剤を含有する適当な製薬上
許容されうる担体を含みうる。好ましくは、調製物、経口投与でき、好ましい型
、例えば錠剤、糖衣錠及びカプセルの投与に用いることができ、又、直腸投与で
きる調製物、例えば坐薬薬、並びに注射又は経口による投与に適した溶液は、約
0.01ないし99%の濃度で、賦形剤と共に存在する。
本発明の医薬調製物は、それ自体既知の方法、例えば慣用の混合、顆粒、糖衣
、溶解又は凍結方法により製造される。従って、経口使用の医薬調製物は、活性
化合物を固体賦形剤と混合し、所望により又は必要ならば適切な補助剤を混合後
、所望により得られる混合物を粉砕し、顆粒の混合物とすることにより錠剤又は
糖衣核を得ることにより製造できる。
特に適切な例は、充填剤、例えば多糖、例えばラクトース又はシュークロース
、マンニトール又はソルビトール、セルロース調製物及び/又はリン酸カルシウ
ム、例えばリン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウム並びに例えばトウモロ
コシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、バレイショ澱粉、ゼラチン、トラガカント、メチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース及び/又はポリビニルピロリドンを用いる澱粉ペーストのような結合剤であ
る。所望により、例えば上記のような澱粉類やカルボキシメチル澱粉、架橋ポリ
ビニ
ルピロリドン、寒天或はアルギン酸又はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムの
ような崩解剤を添加しうる。補助剤は、とりわけ、流動調節剤及び潤滑剤、例え
ばシリカ、タルク、ステアリン酸又はその塩、例えばステアリン酸マグネシウム
又はステアリン酸カルシウム及び/又はポリエチレングリコールである。糖衣核
は、所望により胃液に耐性である適切なコーチングにより得られる。本目的のた
めに、所望によりアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン
グリコール及び/又は二酸化チタニウム、ラッカー溶液及び適当な有機溶媒又は
溶媒混合物を含みうる濃厚多糖溶液を用いうる。胃液に耐性のコーチング剤を製
造するために、適当なセルロース調製物、例えばアセチルセルロースリン酸又は
ヒドロキシプロピルメチルセルロースリン酸を用いる。染料又は色素を、例えば
同定又は活性化合物投与量の組合せを特徴付けるために、錠剤又は糖衣コーチン
グ剤に加えうる。
経口に用いることができる他の医薬調製物は、ゼラチンから造った押出し適合
(push-fit)カプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソル
ビトールから造られたソフトシールカプセルを含む。押出し適合カプセルは、活
性化合物を充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えば澱粉類及び/又は潤滑剤
、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム並びに所望により安定剤を混合し
うる顆粒の形で得ることができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、好まし
くは適当な溶液、例えば脂肪油又は流動パラフィンに溶解又は懸濁する。さらに
、安定剤を加えうる。
直腸に使用できる可能な医薬調製物は、例えば―又はそれ以上の活性化合物と
坐薬基剤とからなる坐薬を含む。適切な坐薬基剤は、例えば天然又は合成トリグ
リセリド又はパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤の組合せか
らなるゼラチン直腸カプセルを用いることも可能である。可能な基剤材料は、例
えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール又はパラフィン炭化水素を
含む。
非経口投与に適した処方は、水溶性形の活性化合物の水溶液、例えば水溶性ア
ンモニウム(特にトリス、ビス−トリス−プロパン及びコリン)塩及びアルカリ
性溶液を含む。さらに、適切な油性注射懸濁液として活性化合物の懸濁液を投与
しうる。適切な親油性溶媒又はビヒクルは脂肪油、例えばゴマ油又は合成脂肪酸
エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグセリド或はポリエチレングリコー
ル−400(化合物はPEG−400に可溶である)を含む。水性注射懸濁液は
、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキ
ストランを含む懸濁液の粘度を高める物質を含みうる。所望により、懸濁液はさ
らに安定剤を含みうる。
インビトロでのグリシン結合部位の特徴付けは、選択的薬物リガンドの欠失の
ために困難であった。従って、本発明のグリシンリガンドはグリシン結合部位を
特徴付けるのに用いうる。本目的に用いうる特に好ましい置換1,4−ヒドロキ
シキノサリン−2,3−ジオンは、同位元素放射標識誘導体、例えば―又はそれ
以上の原子が、3H、11C、14C、15N又は18Fで置換されたものである。さら
に、ポジトロンエミッター、例えば11C及び18Fは、グリシン結合部位の位置決
定のためのポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)に用いるために、1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンに取り込まれうる。さらに、123
I−置換1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、グリシン結合部位
の単一陽子エミッションコンピューター化トモグラフィ(SPECT)イメージ
ングに用いうる。さらに、代謝研究に用いるために放射活性でない同定元素標識
化合物、例えば―又はそれ以上の水素及び/又は炭素が2H又は13Cに強化(enri
ch)されたものを調製しうる。
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物を示すがこれらに限定されない。臨
床治療で普通に出会い、当業者にとって明らかである種々の状態及びパラメータ
ーの他の適当な修飾及び修正は、本発明の精神及び範囲内にある。
実施例1.6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキ
サリンジオンの製造
A法:
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン。(1)
422mg(2.5mmol)の4,5−ジクロロ−o−フェニレンジアミン(ファル
ツ&バウアー社(Pfaltz&Bauer,Inc.)、購入したまま使用)と1.10g(7.
5mmol)の蓚酸ジエチル(シグマ、購入したまま使用)との混合液を、アルゴン
下、160℃で2時間、その後さらに180℃で7時間攪拌した。反応混合物を
室温(22℃)まで放冷し、ヘキサン(10ml)で希釈し、沈澱は遠心分離で
集め、ヘキサン(2x10ml)で洗浄した。ここで得た灰色の固体は、40mlの
NaOH水溶液(約1N)と活性炭(0.4g)と共に、室温で30分間攪拌し
、活性炭を減圧濾過で除去、蒸留水(6x10ml)で洗浄してから、始めの濾液
を合わせて、約4NのHCl水溶液(約20ml)で酸性にした。白色沈澱を減圧
濾過で集め、蒸留水(5x10ml)とEtOH(3x5ml)で洗浄してから、6
0℃、0.1mmHg下、8時間乾燥すると、426mg(73.8%)の1がクリー
ム色の固体として得られた。mp.>400℃。1HNMR(DMSO−d6)1
2.010(s,2H)7.226(s,2H)ppm。
6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン。(2)化合物1(416mg,1.80mmol)を5.5mlの濃硫酸に0℃で
攪拌しながら溶解した。ここで得た濃い灰色溶液に、202mg(2.22mmol)
の細かく粉砕したKNO3(ベイカー、購入したまま使用)を0℃で攪拌下に加
えた。この混合物は、0℃で3時聞、その後さらに室温(22℃)で30時間攪
拌した。反応混合物を氷−H20(60g)にあけ、沈澱を減圧濾過で集め、蒸
留水(5x10ml)とEtOH(3x5ml)で洗浄し、0.1mmHg下、80℃で
2時間乾燥すると,443.5mg(89.6%)の粗製の2がクリーム色の無定
形固体として得られた(1HNMRでは、純度95−98%を示した)。
その後の精製は以下に示す様に行った。
443mgの粗製の2(上で得た)を約1NのNaOH水溶液(120ml)に室
温で溶解し、活性炭(1g)を加え、室温で15分間攪拌した。活性炭を減圧濾
過で除去、蒸留水(2x10ml)で洗浄する。合わせた濾液を約4NのHCl水
溶液(約50ml)でpH2の酸性にした。沈澱を減圧濾過で集め、蒸留水(5x
10ml)とEtOH(2x5ml)で洗浄してから、80℃、0.1mmHg下、2時
間乾燥すると、327mg(74%回収率)の実質的に純粋な2が得られた、mp
.350−4℃。(1HNMRは、不純物が殆ど存在しないことを示した)。
再結晶:315mgの精製した2(上で得た)を45mlのDMSOに溶解し、こ
れに、沈澱が生成するまで、H2O(約1ml)を滴下した。この混合液を攪拌し
ながら(小さい磁気回転子を使い)加熱し(100−105℃の油浴中で)、濁
った混合物が生成するまで、H2O(約1ml)を滴下し、続いてDMSOを滴下
して透明液を得た。室温で8時間放置後に、黄色の微結晶を減圧濾過で集め、H2
O(5x10ml)とEtOH(2x3ml)で洗浄してから、80℃、0.1mmH
g下、3時間乾燥すると、286mg(90.8%回収率)の純粋な2が得られた
、mp.354−7℃。
B法:
4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン(1)6.21g(30.0
mmol)の4,5−ジクロロ−2−ニトロアニリン(アルドリッチ、購入したまま
使用)のEtOH(100ml)中の懸濁液に310mgの5%Pd/Cを加え、混
合物は30−20parrのH2下4時間水素添加してから濾過した。濾液は回転蒸
発乾固した。黒色の固体残分は、250mlの2NのHCl水溶液と20分間攪拌
してから濾過した。濾液は、4NのNaOH水溶液(125ml)でpH13のア
ルカリ性とした。沈澱をガラスロート上で減圧濾過で集め、蒸留水(5x10ml
)で洗浄してから、40℃、0.1mmHg下、16時間乾燥すると、3.72g(
70%)の粗生成物がコーヒ色の粉末として得られた。
上で得た粗生成物(3.70g)をベンゼン(60ml)からの結晶化で精製し
て、
3.17g(85%回収率)を微紫色の鱗片結晶として得たが、これはTLC(
CHCl3:EtOH=9:1)で純粋であった。Mp159−60℃(アルド
リッチ:159−62℃)。
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン:2.6
55g(15.0mmol)の4,5−ジクロロフェニレン−1,2−ジアミンと1
.986g(15.75mmol)の蓚酸二水和物(フィシャー ・サイエンティフ
ィック社、購入したまま使用)の22.5mlの2NのHCl水溶液中の懸濁液を
攪拌下、125℃(浴温)で2.5時間還流した(始めの5分間の加熱で、懸濁
液は殆ど溶液になり、それから沈澱が生成し始めた)。反応混合液を22℃にま
で放冷し、H2O(50ml)を加えた。沈澱は、ヒルシュ(Hirch)ロート上で減圧
濾過で集め、蒸留水(6x25ml)で洗浄してから、60℃、0.1mmHg下、1
2時間乾燥すると、3.39g(98%)の6,7−ジクロロキノキサリン−2
,3−ジオンが濃ピンク色の粉未として得られた。Mp.>400℃。1HNMR(DM
SO-d6):δ12.016(s,2H),7.234(s,2H).この生成物は、さらに精製することなく次
の反応に用いた。
6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オン:3.335g(14.5mmol)の6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオンを65mlの濃硫酸中に攪拌下、氷−H2O浴中で溶
解し、ついで2.20g(21.76mmol)のKNO3(ベイカー、購入したま
ま使用)を10分間にわたり少しづつ、攪拌下に加えた。ここで得た混合液は、
22℃でN2下、20時間攪拌してから、氷−H2O(400ml)中に攪拌下、ゆ
っくりと加えた。沈澱は、ガラスロート上で減圧濾過で集め、H2O(5x10m
l)で洗浄してから、60℃、0.1mmHg下、12時間乾燥すると、3.39g
(85%)の粗6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンが灰−黄色の粉末として得られた。純度:HPLC分析により
>98.5%。
この化合物は以下のように精製した。3.365gの上で得た6,7−ジクロ
ロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを550mlの
1N
のNaOH水溶液に加えて、20分間激しく攪拌した。ここで得た混合液はガラ
スロート上で減圧濾過して、少量の不溶物を取り除いた。濾液に、激しく攪拌下
、濃塩酸(約43ml)をゆっくり(滴下して)加えて、pHを13から11に調
節した(pHメーターを用いモニターした)。(このニトロ化反応の出発原料で
ある6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは,p
Hが9.5−8の範囲にあるような条件でのみ、その1NのNaOH水溶液から
沈澱化する事がブランク実験で示された。)沈澱は、ガラスロート上で減圧濾過
で集め、H2O(5x50ml)で洗浄した。この湿った生成物を200mlのH2O
に加え、得られた懸濁液に濃塩酸をゆっくり(滴下して)加えpHを5に調節し
た。沈澱は、ヒルシュ(Hirsh)ロート上で減圧濾過で集め、H2O(8x50ml)
で洗浄してから、60℃、0.1mmHg下、16時間乾燥すると、3.12g(9
2.9%回収率)のより純粋な6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオンが得られた。Mp.347−8℃。1HNMR(DMSO
-d6):12.265(bs,2H),7.379(s,1H).純度:HPLC分析により>99.2%。
実施例2.5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリ
ン−2,3−ジオンの製造
439.0mg(3.0mmol)の蓚酸ジエチル(シグマから、購入したまま使用
)を210.6mg(1.0mmol)の1,2−ジアミノ−3−クロロ−5−トリフ
ルオロメチルベンゼン(PCR社から、購入したまま使用)に加え、得られた黄
色溶液を180℃(浴温)でアルゴン下、攪拌しながら3.5時間加熱すると、
溶液はクリーム色の沈澱の形成と共に粘調となり、攪拌困難となった。反応混合
物は室温にまで放冷し、ヘキサン(10ml)で粉砕した。沈澱を減圧濾過で集め
、ヘキサン(2x10ml)で洗浄してから(合併したヘキサン濾液は保存)、0
.1mmHg下、4時間乾燥すると、134.6mg(58%)の粗製の目的物が黄色
粉末として得られた(NMRによる純度は、95−98%),mp.330−2
℃(分
解)(予熱ブロック)。
上で得た粗生成物の一部(125.5mg)を1NのNaOH水溶液(10ml)
と共に攪拌し、得られた透明黄色の塩基性溶液は、振り混ぜしながら室温で5N
の塩酸水溶液(約1.2ml)を滴下してpH2の酸性にした。白色結晶を遠心分
離で集め、H2O(5x10ml)で洗浄してから、EtOH(2x10ml)と共
に40℃で共蒸発させて乾燥して,118.8mg(94.6%回収率)の純粋な
(NMRより)化合物を黄色がかった白色粉末として得た、mp.334−6℃
(分解)(予熱ブロック)。EtOH、EtOH−H2O及びDMSO−H2Oか
らの再結晶の試みは失敗に終わった(これらの溶液は沈澱のみを生成するか全く
生成しないかであった)。1HNMR(DMSO-d6)δ:7.349(s,1H),7.604(s,1H),11.724(
s,1H),12.222(s,1H)ppm.
上で得た合併ヘキサン液を40℃で回転蒸発乾固してから、残査(粘調なオレ
ンジ色の油)は180℃で5時間加熱した。ここで得た褐色のかさ高い固体は、
ヘキサン(5ml)で粉砕し、沈澱を遠心分離で集め、ヘキサン(4x5ml)で洗
浄してから、1NのNaOH水溶液(4.5ml)と共に攪拌し、少量の黒色固体
を遠心分離で取り除き、上澄み液は、振り混ぜながら室温で5NのHCl水溶液
(約1ml)を滴下してpH2の酸性にした。黄色の沈澱を遠心分離で集め、H2
O(5x5ml)で洗浄してから、EtOH(3x5ml)と共に40℃で共蒸発さ
せて乾燥して,51.8mg(最初の反応での出発原料のジアミンから22.3%
)の標題化合物を黄色がかった粉末として得た(NMRにより実質的に純粋)、
mp.334−6℃(予熱ブロック)。
回収混合物を再使用した後では、合計収率は約77%であった。
ここで報告した結果は、三回の実験の一つに拠るもので再現性があった。この
ジアミンと蓚酸エステルとの比率を1:2とした反応を、1:3比率の反応と同
じ操作法で試みたが、複雑な生成物を得たにすぎなかった。
これに代えて、標記化合物をチーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・ケミ
カル・ソサイアティ−1171(1962)の方法の変法を用いて製造した。
蓚酸ジエチル(1.34g,9.60mmol)と1,2−ジアミノ−3−クロロ−5
−トリフルオロメチルベンゼン(200mg,0.95mmol)の混合物をN2下、
還流しながら2時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、固体を減圧濾過
で集め、氷冷したEtOH(10ml)ですすぎ洗いした。この黄白色固体を1N
のNaOH(15ml)に溶かして、少量の不溶粒子は重力濾過で除去した。溶液
は脱色炭で処理し、混液をセライトのパッドを通して濾過し、得られた溶液を4
NのHClで酸性とした。生成した沈澱は、減圧濾過で集め、水(20ml)で洗
浄した。この白色固体を乾燥ピストル管中(0.05トル,78℃)で乾燥する
と、91.9mg(36.0%),mp.346−348℃(分解)が得られた。1
H NMR(d6-dmso)δ7.30(s,1H,ArH),7.53(s,1H,ArH),11.9(br s,2H,NH).19FNMR(C6
F6外部標準,δ-162.9)δ-58.43(s).EIHRMS:C9H4ClF3N2O2とし
ての計算値263.9912、実測値263.9891。
実施例3.5−クロロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンの製造
2−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロアニリン
2−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロアニリンは、ミッチェル等(ミッチェ
ル,R.H.等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー44:4733(
1979))の方法の変法により製造した。4−フルオロ−2−ニトロアニリン
(500mg,3.2mmol)の乾燥したDMF(10ml)溶液にN2下、N−クロ
ロコハク酸イミド(426mg,3.2mmol)の乾燥したDMF(16ml)溶液を
滴下した。反応液は一夜攪拌した。次いで、この溶液を100mlのH2O中にあ
け、得られた濁った懸濁液を酢酸エチル4x25mlで抽出した。合併した有機相
はH2Oの4x25mlと飽和NaCl液25mlで洗浄し乾燥した(MgSO4)。
このMgSO4を減圧濾過し、溶媒を回転蒸発させると褐色の結晶性固体が得ら
れ、
これを更にフラッシュクロマトグラフィー(2:1ヘキサン:酢酸エチル)で精
製して、424mgのオレンジ色の結晶性固体(69.5%)を得た。1H NMR(CDC
l3)δ6.46(br s,2H,NH2),7.42(dd,JH5-3=3Hz,JH3-F=7.2Hz,H-4),7.85(dd,JH5-3=
3Hz,JH5-F=8.7Hz,H-5).
1,2−ジアミノ−3−クロロ−5−フルオロベンゼン
1,2−ジアミノ−3−クロロ−5−フルオロベンゼンはベラミー等(ベラミ
ー,F.D.等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方法の変
法により製造した。2−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロアニリン(424mg
,2.22mmol)とSnCl2・2H2O(2.50g,11.1mmol)を酢酸エ
チル7mlと無水エタノール3mlに溶かした混合液をN2下、70℃で2.5時間
加熱した。全ての出発原料が反応した事をTLC(シリカゲル、2:1ヘキサン
:酢酸エチル)で確認した。反応液は、室温まで放冷し砕いた氷20ml中に注
入した。必要十分な固体のNaHCO3加えて(発泡!)pHを6にした。次い
で、濃厚な黄白色懸濁液を酢酸エチル3x25mlで抽出し、合併した有機相は飽
和NaCl液で洗浄した。この有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧濾過して、
溶媒を回転蒸発させると暗褐色の油が得られ、これを放置して結晶化させて29
0mg(82%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ3.59(br s,4H,2(NH2));6.37(dd,1H,H5,
J4-5=2.7,JH-F=9.3);6.55(dd,1H,H4,J4-5=2.7,JHF=8.4).
5−クロロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
5−クロロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイ
アティ−1171(1962))の方法の変法を用いて製造した。蓚酸ジエチル
(2.64g,18.1mmol)と1,2−ジアミノ−3−クロロ−5−フルオロ
ベンゼン(290mg,1.81mmol)の混合物をN2下、還流しながら10時間
加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、光沢のある黄褐色結晶を減圧濾過で
集め、EtOH(10ml)ですすぎ洗いし、空気乾燥し164.1mg(42%)
を得た。この固体の一部を取り、1NのNaOH液10mlに溶かした。溶液は脱
色炭で処理し、セライトのパッドを通して濾過した。得られた溶液は1NのHC
lで注意深く酸性(pH=6)にした。淡黄色の針状晶が溶液中に徐々に生成す
るが、これを減圧濾過で集め、20mlのH2Oですすぎ洗いし、更に真空(0.
1トル,78℃)で乾燥すると、67.8mgの粉末性淡黄色結晶を得た。mp.
306−308℃(分解)、1H NMR(d6-DMSO)δ7.28(s,1H,ArH),7.56(s,1H,ArH)
,11.7(brs,2H,NH),EIMS m/z 216(M+2,34),214(M+,bp),188(21),186(68),123(61)
,131(62).EIHRMS:C8H4ClFN2O2としての計算値213.9945
、実測値213.9961。
実施例4.5−クロロ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンの製造
2−クロロ−3,4−ジフルオロ−6−ニトロアニリン
2−クロロ−3,4−ジフルオロ−6−ニトロアニリンは、ミッチェル等(ミ
ッチェル,R.H.等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリ−44:47
33(1979))の方法の変法により製造した。4,5−ジフルオロ−2−ニ
トロアニリン(500mg,2.87mmol)のDMF(16ml)溶液にN2下、N
−クロロコハク酸イミド(401mg,3.00mmol)のDMF溶液を加えた。反
応液は48時間攪拌した。次いで、この溶液を75mlのH2O中にあけ、得られ
た濁ったオレンジ色の懸濁液を4x25mlの塩化メチレンで抽出した。合併した
有機相は5x25mlのH2Oと25mlの飽和NaCl液で洗浄した。有機相を乾
燥し(MgSO4)、この乾燥剤をを減圧濾過で除去した。溶媒を回転蒸発させ
ると黄色
いオレンジ色の油が得られ、これを放置すると結晶化した。1HNMRにより、
この固体は塩素化生成物と出発原料の混合物であることが示された。この混合物
を更にフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、3:1ヘキサン:酢酸エチ
ル)で分離して、162mgの黄色の結晶性固体(27%)を得た。NMRにより
、これは17%の出発原料が混ざっていた。1H NMR(CDCl3)δ6.60(br s,2H,NH2)
,8.00(m,1H,H-5).
3−クロロ−4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン
3−クロロ−4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼンはベラミー等(
ベラミー,F.D.等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方
法の変法により製造した。2−クロロ−3,4−ジフルオロ−6−ニトロアニリ
ン(160mg,0.767mmol)とSnCl2・2H2O(0.863g,3.8
4mmol)を酢酸エチル5mlと無水エタノール2mlに溶かした混合液をN2下、7
5℃で5時間加熱した。反応液は、室温まで放冷しH2O中50ml中に注いだ
。必要十分な飽和NaHCO3液を加えて(発泡!)pHを7にした。得られた
混合液を酢酸エチル3x20mlで抽出し、合併した有機層は飽和NaCl液20
mlで洗浄した。この有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧で濾過し、溶媒を回転
蒸発させると褐色の油が得られた、124mg(91%)。1H NMR(CDCl3)δ3.52(
br s,4H,2(NH2));6.49(dd,1H,JHF=7.5,10.8Hz,H-6).NMRによると、13%の
4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼンが存在していた。
5−クロロ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。蓚酸ジエチル(981mg,6.72mmol)と3−クロロ−4,5−ジフルオ
ロ−1,2−ジアミノベンゼン(120mg、0.670mmol)の混合物をN2下
、還流しながら15時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、灰色の固体
を減圧濾過で集め、氷冷したEtOH(10ml)ですすぎ洗いし、空気乾燥した
。この固体を取り、1NのNaOH液5mlに加熱溶解した。溶液は脱色炭で処理
し、セライトのパッドを通して濾過した。得られた溶液は1NのHClで注意深
く酸性(pH=1)にした。白色の粉末がpH=6で溶液中に生成するが、1N
のNaOH数滴で溶液は透明になり、1NのHCl数滴の添加で徐々に白色針状
結晶が溶液中に生成した。これを減圧濾過で集め、20mlのH2Oですすぎ洗
いし、真空で(0.1トル,78℃)で乾燥して、24.9mg(16%)の淡黄
色結晶を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ7.05(dd,1H,J=10.5,H-8),11.6(br s,1H,NH),1
2.0(brs,1H,NH).NMRによると、13%の6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒ
ドロ−2,3−キノキサリンジオンが存在していた。
実施例5.5−ブロモ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
2−ブロモ−3,4−ジフルオロ−6−ニトロアニリン
2−ブロモ−3,4−ジフルオロ−6−ニトロアニリンは、ミッチェル等(ミ
ッチェル,R.H.等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリ−44:47
33(1979))の方法の変法により製造した。4,5−ジフルオロ−2−ニ
トロアニリン(500mg,2.87mmol)のDMF(25ml)溶液にN2下、N
−ブロモコハク酸イミド(511mg,2.87mmol)の乾燥DMF(16ml)溶
液を一挙に加えた。反応液は一夜攪拌した。TLC(1:1ヘキサン:酢酸エチ
ル)は幾らかの出発原料がなお残存している事を示した。追加のN−ブロモコハ
ク酸イミド(100mg)を加え、反応液を更に12時間攪拌した。次いで、この
溶液
を100mlのH2O中にあけ、得られた濁った懸濁液を3x20mlの塩化メチレ
ンで抽出した。合併した有機相は4x25mlのH2Oと25mlの飽和NaCl液
で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。このMgSO4を減圧濾過で除去し、溶媒を
回転蒸発させると黄褐色の油が得られ、これは徐々に結晶化して700mg(96
%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ6.70(br s,2H,NH2),7.99(m,1H,H-5).
3−ブロモ−4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン
3−ブロモ−4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼンはベラミー等(
ベラミー,F.D.等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方
法の変法により製造した。2−ブロモ−3,4−ジフルオロ−6−ニトロアニリ
ン(700mg,2.78mmol)とSnCl2・2H2O(3.14g,13.9mm
ol)を酢酸エチル7mlと無水エタノール3mlに溶かした混合液をN2下、75℃
で2時間加熱した。全ての出発原料が反応した事をTLC(シリカゲル、2:1
ヘキサン:酢酸エチル)で確認した。反応液は、室温まで放冷し20mlの砕い
た氷に注いだ。必要十分な飽和NaHCO3液を加えて(発泡!)pHを5にし
た。濃厚な黄白色の懸濁液を酢酸エチル3x25mlで抽出し、合併した有機層は
飽和NaCl液で洗浄した。この有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧で濾過し
、溶媒を回転蒸発させると暗褐色の油が得られ、放置すると結晶化し、410mg
(66%)が得られた。1H NMR(CDCl3)δ3.59(br s,4H,2(NH2));6.52(m,1H,H-6)
.
5−ブロモ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。蓚酸ジエチル(2.70g,18.5mmol)と3−ブロモ−4,5−ジフル
オ
ロ−1,2−ジアミノベンゼン(410mg,1.85mmol)の混合物をN2下、
還流しながら15時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、暗褐色の固体
を減圧濾過で集め、EtOH(20ml)ですすぎ洗いし、空気乾燥し215mg(
42%)を得た。この固体の一部(150mg)を取り、1NのNaOH液20ml
に加熱溶解した。溶液は脱色炭で処理し、セライトのパッドを通して濾過した。
得られた溶液は1NのHClで注意深く酸性(pH=1)にした。徐々に淡黄色
針状結晶が溶液中に生成し、これを減圧濾過で集め、20mlのH2Oですすぎ洗
いし、真空(0.1トル,78℃)で乾燥して、67.8mgの粉末性の淡黄色結
晶、mp.306−310℃(分解)を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ7.09(dd,1H,J=
7.5,H-8),11.3(br s,1H,NH),12.1(br s,1H,NH).EIMS m/z 278(M+2,75),27
6(M+,77),250(56),248(57),141(bp).EIHRMS:C8H4BrF2N2O2とし
ての計算値275.9346、実測値275.9331。
実施例6.6−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンの製造
4−ブロモ−3−フルオロ−6−ニトロアニリン
4−ブロモ−3−フルオロ−6−ニトロアニリンは、ミッチェル等(ミッチェ
ル,R.H.等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリ−44:4733(
1979))の方法の変法により製造した。3−フルオロ−6−ニトロアニリン
(500mg,3.2mmol)の乾燥DMF(15ml)溶液にN2下、N−ブロモコ
ハク酸イミド(626mg,3.2mmol)の乾燥DMF溶液を滴下して加えた。反
応液は48時間攪拌した。次いで、この溶液を100mlのH2O中に注入した。
生成した濁った黄色懸濁液を4x25mlの塩化メチレンで抽出した。合併した有
機層は4x25mlのH2Oと25mlの飽和NaCl液で洗浄した。有機層を乾燥
し(MgSO4)、この乾燥剤を減圧濾過で除去した。溶媒を回転蒸発させると
黄橙色
の油が得られ、これは放置すると結晶化した。1HNMRにより、この固体はモ
ノ−及びジ臭素化生成物を3.8:1の比率で含む混合物であることが示された
。この混合物をフラッシュクロマトグラフィー(2:1ヘキサン:酢酸エチル)
で分離して、324mgの黄色固体(43%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ6.19(br s
,2H,NH2);6.58(d,1H,JHF=9.6,ArH);8.39(d,1H,JHF=6.9,ArH).
4−ブロモ−5−フルオロ−1,2−ジアミノベンゼン
4−ブロモ−5−フルオロ−1,2−ジアミノベンゼンはベラミー等(ベラミ
ー,F.D.等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方法の変
法により製造した。4−ブロモ−3−フルオロ−6−ニトロアニリン(320mg
,1.36mmol)とSnCl2・2H2O(1.53g,6.81mmol)を酢酸エ
チル7mlと無水エタノール3mlに溶かした混合液をN2下、75℃で8時間加熱
した。単に1時間の加熱では、いくらかの出発原料が残っていた(TLCより)
。8時間後には、全ての出発原料が反応した事をTLC(シリカゲル、3:1ヘ
キサン:酢酸エチル)で確認した。反応液は、室温まで放冷し50mlのH2O中
に注入した。必要十分な飽和NaHCO3液を加えて(発泡!)pHを5にした
。ここで得た混合液を酢酸エチル3x25mlで抽出し、合併した有機層は飽和N
aCl液20mlで洗浄した。この有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧で濾過し
、溶媒を回転蒸発させると白色粉末277mg(99%)が得られた。1H NMR(CDC
l3)δ3.22(br s,2H,NH2);3.60(br s,2H,NH2);6.50(d,1H,JHF=9.6Hz,H-6):6.83(d
,1H,JHF=6.6Hz,H-3).
6−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。蓚酸ジエチル(1.97ml,13.5mmol)と4−ブロモ−5−フルオロ−
1,2−ジアミノベンゼン(277mg,1.35mmol)の混合物をN2下、還流
しながら12時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、暗褐色の固体を減
圧濾過で集め、EtOH(20ml)ですすぎ洗いし、空気乾燥すると、233mg
(67%)の粉末性の褐色固体が得られた。この固体の一部(100mg)を取り
、1NのNaOH液5mlに加熱溶解した。溶液は脱色炭で処理し、セライトのパ
ッドを通して濾過した。このセライトを10mlの追加NaOH溶液ですすぎ洗い
した。得られた溶液は1NのHClで注意深く酸性(pH=5)にした。徐々に
明るい黄色針状結晶が溶液中に生成し、これを減圧濾過で集め、15mlのH2O
ですすぎ洗いし、真空で(0.1トル,78℃)で乾燥して、40.0mgの黄色
結晶を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ6.99(d,1H,J=9.3,H-8),7.29(d,1H,J=6.3,H-6),1
1.95(br s,2H,2(NH)).EIMS m/z 260(M+2,96),258(M+(bp)),232(51),230(52),1
23(83).EIHRMS:C8H4BrFN2O2としての計算値256.9941、
実測値257.9441。
実施例7.5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
の製造
3,5−ジクロロ−1,2−ジアミノベンゼン
3,5−ジクロロ−1,2−ジアミノベンゼンはベラミー等(ベラミー,F.D.
等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方法の変法により
製造した。2,4−ジクロロ−6−ニトロアニリン(1.00g,4.8mmol)
とSnCl2・2H2O(5.41g,24.1mmol)を酢酸エチル10mlと無水
エタノール5mlに溶かした混合液をN2下、70℃で1時間加熱した。全ての出
発原料が反応した事をTLC(シリカゲル、3:1ヘキサン:酢酸エチル)で確
認した。反応液は、室温まで放冷し、砕いた氷40mlに注いだ。必要十分な飽和
Na
HCO3液を加えて(発泡!)pHを5にした。このオレンジ色の油/濃厚な白
色懸濁液を酢酸エチル3x25mlで抽出し、合併した有機層は飽和NaCl液で
洗浄した。この有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧で濾過し、溶媒を回転蒸発
させると淡オレンジ色の油が得られ、これは放置すると結晶化し、789mg(9
3%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ3.69(br s,4H,2(NH2));6.61(s,1H,H-6): 6.82(s
,1H,H-4).
5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物(リーソン,P.D.等,ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミス
トリー34:1243(1991))はチーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャ
ーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の
変法を用いて製造した。蓚酸ジエチル(4.12g,28.2mmol)と3,5−
ジクロロ−1,2−ジアミノベンゼン(500mg、2.82mmol)の混合物をN2
下、還流しながら6時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、淡黄色の
きらきら光る固体を減圧濾過で集め、EtOH(20ml)ですすぎ洗いし、空気
乾燥すると、286mg(44%)が得られた。mp326−328℃(分解)(
文献値337−34℃)。1H NMR(d6-DMSO)δ7.05(d,1H,J=1.8,H-8),7.32(d,1H,
J=1.8,H-6),11.5(br s,1H,NH),12.1(br s,1H,NH).EIMS m/e 234(M+4,12),232(M+
2,67),230(M+,bp),204(52),202(77),141(19),142(59).EIHRMS:C8H4C
l2N2O2としての計算値229.9650、実測値229.9646。
実施例8.5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
の製造
3,5−ジブロモ−1,2−ジアミノベンゼン
3,5−ジブロモ−1,2−ジアミノベンゼンはベラミー等(ベラミー,F.D.
等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方法の変法により
製造した。2,4−ジブロモ−6−ニトロアニリン(500mg,1.69mmol
)とSnCl2・2H2O(1.90g,8.45mmol)を酢酸エチル5mlと無水
エタノール2mlに溶かした混合液をN2下、70℃で1時聞加熱した。全ての出
発原料が反応した事をTLC(シリカゲル、3:1ヘキサン:酢酸エチル)で確
認した。反応液は、室温まで放冷し砕いた氷20mlに注いだ。必要十分な飽和N
aHCO3液を加えて(発泡!)pHを5にした。この濃厚な黄白色懸濁液を減
圧で濾過し、濾液を酢酸エチル3x25mlで抽出し、合併した有機層は飽和Na
Cl液で洗浄した。この有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧で濾過し、溶媒を
回転蒸発させると淡黄色の油が得られ、これは放置すると結晶化し、400mg(
89%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ3.62(br s,4H,2(NH2));6.78(d,J=1.8,1H,H-6)
;7.01(d,J=1.8,1H,H-4).
5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。蓚酸ジエチル(2.19g,15.0mmol)と3,5−ジブロモ−1,2−
ジアミノベンゼン(400mg、1.50mmol)の混合物をN2下、還流しながら
6時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、薄褐色のきらきら光る固体を
減圧濾過で集め、EtOH(20ml)ですすぎ洗いし、空気乾燥すると、264
mg(55%)が得られた。この固体の一部(150mg)を取り、1NのNaOH
液20mlに加熱溶解した。溶液は脱色炭で処理し、セライトのパッドを通して濾
過した。得られた溶液は2NのHClで注意深く酸性(pH=1)にした。徐々
に淡黄色針状結晶が溶液中に生成し、これを減圧濾過で集め、20mlのH2Oで
すすぎ洗いし、真空(0.1トル,78℃)で乾燥して、50.0mgの粉末性白
色固体、m
p356−358℃(分解)を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ7.21(d,1H,J=2.1,H-8),
7.53(d,1H,J=2.1,H-6),11.1(br s,1H,NH),12.1(br s,1H,NH).EIMS m/z 322(M+4,
51.3),320(M+2,bp),318(M+,53.9),294(32.2),292(62.6),290(28.7),185(24.3),1
83(25.2).EIHRMS:C8H4Br2N2O2としての計算値317.8641
、実測値317.8642。
実施例9.5,6,7,8−テトラクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキ
サリンジオンの製造
1,2−ジアミノ−3,4,5,6−テトラクロロベンゼンはベラミー等(ベ
ラミー,F.D.等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方法
の変法により製造した。1,2−ジニトロ−3,4,5,6−テトラクロロベン
ゼン(1.00g,3.27mmol)とSnCl2・2H2O(3.69g,16.
4mmol)を酢酸エチル10mlと無水エタノール5mlに溶かした混合液をN2下、
80℃で1時間加熱した。反応液は、室温まで放冷し砕いた氷20ml中に注入し
た。必要十分な飽和NaHCO3液を加えて(発泡!)pHを6にした。この濃
厚な白色懸濁液を酢酸エチル3x25mlで抽出し、合併した有機抽出液は飽和N
aCl液で洗浄した。この有機相を乾燥し(MgSO4)、減圧で濾過し、溶媒
を回転蒸発させると褐色の固体569mg(71%)が得られた。1H NMR(CDCl3)
δ3.96(br s,2(NH2)).13C NMR(CDCl3)δ118.2,127.0,132.0.
5,6,7,8−テトラクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオ
ン(バートン,D.E.;ラム,A.J.;レーン,D.L.J.;ニューボールド,G.T.;パーシ
バル,D.、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー・(C),126
8(1968)。
5,6,7,8−テトラクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン
は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサ
イアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造した。蓚酸ジエチ
ル(2.97g,20.0mmol)と1,2−ジアミノ−3,4,5,6−テトラ
クロロベンゼン(500mg,2.03mmol)の混合物をN2下、還流しながら6
時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、オレンジ色の固体を減圧濾過で
集め、EtOH(10ml)ですすぎ洗いし、空気乾燥した。この固体を無水エタ
ノールから再結晶して、97.0mg(16%)のオレンジ色固体、mp326−
328℃(分解)(文献値、>360℃)を得た。FT-IR:3198,3135cm-1(N-H),1
750,1623cm-1(C=0).1H NMRδ(d6-DMSO)δ11.7(br s,2H,N-H)EIMS m/z 306(M+8,1
.7),304(M+6,11.5),302(M+4,47.4),300(M+2,93.9),288(M+,76.7),274(50.0),272
(bp),270(79.0),209(61.0),207(64.0).EIHRMS:C8H2Cl4N2O2とし
ての計算値297.8870、実測値297.8864。
実施例10.5−クロロ−6−ニトロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒ
ドロキノキサリン−2,3−ジオン及び5−クロロ−8−ニトロ−7−トリフル
オロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの製造
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。6−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキ
サリンジオン(500mg,1.89mmol)を15mlの濃硫酸に溶解し、透明な溶
液を撹拌しながら0℃に冷却した。これにKNO3(191mg,1.89mmol)
を少量づつ加えた。反応液は、0℃で1時間攪拌してから室温にし、一夜攪拌し
た。次いで、淡黄色の反応混合物を50mlの氷−H2O中に注入した。生成物は
、減圧濾過で白色固体として分離し、これを少量の冷H2Oですすぎ洗いをして
から空気乾燥した。この白色固体を最低量の熱いDMSOに溶解した。沸騰した
H2
Oを、各添加後毎に加熱しながら、沈澱が溶けなくなる迄、滴下して添加した。
数滴のDMSOを溶液が透明に成るまで添加してから、その溶液を室温にまで徐
々に放冷した。白色固体は減圧濾過で分離し空気乾燥させた。この固体を更に減
圧(0.1トル、25℃)で乾燥させると、241.6mgの6−ニトロと8−ニ
トロ化体の混合物が、1HNMRより3.3:1の比率で得られた。上の濾液中
に生成した沈澱を減圧濾過で分離し、50mlのH2Oですすぎ洗いをし、上のよ
うに乾燥すると、白色粉末(80.7mg)を得たが、これは12.6:1の比率
で6−ニトロと8−ニトロ化体を含む混合物であった。上のサンプルを合わせる
と、未反応の出発原料を補正した収率は55%となった。この3.3:1の混合
物の一部を取り、上述のようにDMSO:H2Oから再結晶すると、小さい針状
様結晶が生成したが、これを減圧濾過で分離して、1:1.76の比率で6−ニ
トロと8−ニトロ化体を含む混合物を21.1mg得た。生成混合物の比率は、1
HNMRで、δ7.45と7.84における芳香族水素の積分強度を測定するこ
とにより決定した。置換位置は暫定的であり、芳香族水素の相対的な化学シフト
に基づいている。1H NMR(d6-DMSO)δ7.45(s,8-H,6-ニトロ生成物),(s,6-H,8-生
成物),12.18(s,N-H),12.41(s,N-H).EIMS m/z 311(M+2,35),309(M+,bp),251(60),
235(95).EIHRMS:C9H3ClF3N3O4としての計算値308.9733
、実測値308.9768。EIHRMS:C9H3ClF3N3O4としての計算
値308.9733、実測値308.9768。
主要生成物の5−クロロ−6−ニトロ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジ
ヒドロ−2,3−キノキサリンジオンは、DMSO−水からの再結晶により64
%収率で純粋に単離された。Mp343−347℃。この構造はX線分析により
確定された。
実施例11.6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの
製造
3−フルオロ−1,2−ジアミノベンゼン
3−フルオロ−1,2−ジアミノベンゼンは辻(Tuji)等(辻(Tuji
)等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー55:580(1990
))の方法の変法により製造した。Zn粉末(10.5g,0.160mol)、
CaCl2(1.05g)とH2Oの40mlEtOH中での懸濁液をN2下、攪拌
しながら加熱還流した。これに、4−フルオロ−2−ニトロアニリン(2.00
g,12.8mmol)の10mlEtOH溶液を徐々に滴下して加えた。反応混合液
は8時間還流した。TLC分析(シリカゲル、2:1ベンゼン:EtOAc)は
出発原料の完全な消失を示した。このZnを減圧濾過で取り除き、溶媒を回転蒸
発させた。残渣を50mlのEt2Oに溶解し、溶液を3x25mlの1NのHCl
で抽出した。水層を合わせて50%NaOH(6g)でアルカリ性にし、ここで
得た溶液を3x25mlのEt2Oで抽出した。Et2O層を合わせて乾燥(MgS
O4)した。溶媒を回転蒸発させると1.36g(84%)の褐色の固体が得ら
れた。mp90−92℃。1H NMR(CDCl3)δ3.18(brs,2H,NH2);3.58(brs,2H,NH2)
;6.44(m,2H,ArH),6.61(m,1H,ArH).
6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物(サージズ,R.等、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミスト
リー33:2240(1990))は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャ
ーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の
変法を用いて製造した。蓚酸ジエチル(17.4g,0.100mol)と3−フ
ルオロ−1,2−ジアミノベンゼン(1.00g、7.93mmol)の混合物をN2
下、還流しながら2時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、固体を減
圧濾過で集め、EtOH(50ml)ですすぎ洗いし、得られた灰褐色の固体を更
に減圧(0.1トル、25℃)で乾燥させると、NMRで>98%純度の1.0
6g(7
4.4%)が得られた。分析用純粋試料を調製するために、この固体の60mgを
1.0NのNaOH液に溶解し、溶液は脱色炭で処理した。この混液をセライト
のパッドを通して濾過し、1NのHClで酸性にすると、細かい白色針状結晶が
生成し、これを減圧濾過で集め、H2Oですすぎ洗いし、真空で(0.1トル,
25℃)更に乾燥して、25.5mgの白色針状結晶、mp375−380℃(分
解)(文献値、>300℃(サージズ,R.等、ジャーナル・オブ・メディシナル
・ケミストリー33:2240(1990))を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ6.90(
m,2H,ArH),7.09(dd,J=9,J=5.4),11.9(s,1H,NH),11.96(s,1H,NH).EIMS m/z 180(1
00,M+),152(44),124(63),97(43),28(53).EIHRMS:C8H5FN2O2として
の計算値180.0334、実測値180.0337。
実施例12.6−シアノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの製
造
3,4−ジアミノベンゾニトリル
3,4−ジアミノベンゾニトリルはツジ等(ツジ等、ジャーナル・オブ・オー
ガニック・ケミストリー55:580(1990))の方法の変法により製造し
た。Zn粉末(2.51g,38.3mmol)、CaCl2(251mg)、H2O(
3.0ml)及び9.0mlのEtOHを混合し、3−フルオロ−1,2−ジアミノ
ベンゼン(実施例11)に記載している様に還流させ、この混合液に、4−アミ
ノ−3−ニトロベンゾニトリル(500mg,3.06mmol)の20mlEtOH溶
液を徐々に滴下して加えた。分析と後処理は、反応残査を20mlの1NのHCl
に溶解した以外は、3−フルオロ−1,2−ジアミノベンゼンについて記載して
いる通りであった。次いで、この溶液を20mlの1.5MのNaOHでアルカリ
性にした。細かい黄褐色針状晶として分離した沈澱を減圧濾過で集め、冷たいH2
Oですすぎ洗いし、真空デシケーター中(0.5トル,25℃)CaSO4上で
乾燥させると275mg(67%)の黄褐色の結晶が得られた。1H NMR(CDCl3)δ3
.42(brs,2H,NH2),3.86(br s,2H,NH2),6.70(d,J=8,1H,ArH),6.96(d,J=1,1H,ArH),
7.06(dd,J=8,J=1,1H,ArH).
6−シアノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。蓚酸ジエチル(3.90g,27.6mmol)と3,4−ジアミノベンゾニト
リル(275mg、2.00mmol)の混合物をN2下、還流しながら2時間加熱し
た。反応混合物は室温にまで放冷し、固体を減圧濾過で集め、EtOHですすぎ
洗い
した。黄褐色の固体を空気乾燥させると、1HNMRで>98%純度の156.
6mg(40.8%)が得られた。分析用純粋試料を調製するために、100mgを
10mlの氷酢酸で再結晶して、21.2mgの細かい白色結晶を得た。1H NMR(d6-
DMS0)δ7.20(d,J=8.1,1H,ArH),7.39(d,J=1.2,1H,ArH),7.50(dd,J=1.2,J=8.4,1H,
ArH),12.09(s,1H,NH),12.22(s,1H,NH).EIMS m/z 187(87,M+),159(100,bp),131(8
3),104(77),77(65),53(43),28(30).EIHRMS:C9H5N3O2としての計算
値187.0381、実測値187.0377。
実施例13.6−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンの製造
1,2−ジアミノ−3−ベンゾトリフルオリド
1,2−ジアミノ−3−ベンゾトリフルオリドはツジ等(ツジ等、ジャーナル
・オブ・オーガニック・ケミストリー55:580(1990))の方法の変法
により製造した。Zn粉末(3.93g,60.1mmol)、CaCl2(393m
g)、H2O(4.65ml)及び14.1mlのEtOHを混合し、3−フルオロ−
1,2−ジアミノベンゼン(実施例11参照)に記載している様に還流しさせ、
この混合液に、4−アミノ−3−ニトロベンゾトリフルオリドの5mlEtOH溶
液を徐々に滴下して加えた。分析と後処理は、反応残分を30mlの1NのHCl
に溶解した以外は、3−7ルオロ−1,2−ジアミノベンゼンについて記載して
いる通りであった(実施例11を参照)。次いで、ここで得た溶液を3x25ml
のEt2Oで洗浄した。水層は50%NaOHでアルカリ性にし、得られた溶液
を3x25mlのEt2Oで抽出した。有機層を合わせて乾燥(MgSO4)し、溶
媒を回転蒸発させると641mg(75.9%)の暗褐色の固体が得られた。1H N
MR(CDCl3)δ3.54(br s,4H,NH2),6.73(m,1H,ArH),6.93(m,2H,ArH).
6−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。蓚酸ジエチル(3.72g,25.5mmol)と1,2−ジアミノ−3−ベン
ゾトリフルオリド(300mg,1.70mmol)の混合物をN2下、還流しながら
2時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、固体を減圧濾過で集めた。黄
褐色の固体はヘキサンですすぎ洗いをして、空気乾燥した。更に減圧(0.1ト
ル、25℃)で乾燥させると、1HNMRで>95%純度の240.1mg(61
.4%)が得られた。分析用純粋試料を調製するために、アセトン−エーテルで
再結晶して、黄白色の固体を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ7.44(t,2H,ArH),7.56(s,1
H,ArH),10.98(brs,1H,NH),11.08(br s,1H,NH).EIMS m/z 230(100,bp,M+),202(46
).
実施例14.6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オンの製造
3,4−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン
3,4−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼンはツジ等(ツジ等、ジャーナ
ル・オブ・オーガニック・ケミストリ−55:580(1990))の方法の変
法により製造した。Zn粉末(942mg,14.4mmol)、CaCl2(94.
4mg)、H2O(1.0ml)及び4.0mlのEtOHを混合し、3−フルオロ−
1,2−ジアミノベンゼンについて(実施例11参照)に記載している様に還流
させ、この混合液に、4、5−ジフルオロ−2−ニトロアニリン(200mg,1
.15mmol)の2mlEtOH溶液を徐々に滴下して加えた。分析と後処理は、反
応残分を5mlのH2Oに溶解し、この溶液を3x25mlのEt2Oで抽出した以外
は、3−フルオロ−1,2−ジアミノベンゼンについて記載している通りであっ
た(実施例1
1)。有機層を合わせて脱色炭で処理し、乾燥(MgSO4)し、シーライトの
パッドを通して濾過した。溶媒を回転蒸発させると111.5mg(67.3%)
の褐色の結晶性固体が得られた。1H NMR(CDCl3)δ3.34(br s,4H,NH2),6.53(t,2H
,ArH).
6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物(サージズ,R.等、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミスト
リ−33:2240(1990))は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャ
ーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の
変法を用いて製造した。蓚酸ジエチル(1.11g,7.63mmol)と3,4−
ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン(110mg、0.763mmol)の混合物
をN2下、還流しながら2時間加熱した。反応混合物は室温にまで放冷し、固体
を減圧濾過で集め、ヘキサンですすぎ洗いし、空気乾燥した。この灰褐色の固体
を20mlのEtOHから再結晶し、褐白色の結晶を減圧濾過で集め、更に減圧(
0.5トル、25℃)で乾燥させ、45.3mg(30.0%)、mp>360℃
(文献値、>310℃)を得た。1H NMR(d6-アセトン)δ7.19(t,2H,ArH,JH-F=9.
3),10.9(br s,2H,NH).
実施例15.5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンの製造
2−ニトロ−3,4,5,6−テトラフルオロアニリン
2−ニトロ−3,4,5,6−テトラフルオロアニリンは、ブローク等、ジャ
ーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー802(1961)の方法の変法
を用いて製造した。ペンタフルオロニトロベンゼン(3.00g,114.1mm
ol)の無水ジエチルエーテル200mlの溶液中にアンモニアガスを4時間にわた
って
吹き込んだ。この時間の間に、色は透明な白から濃い黄色に変わり、白い沈澱が
生成した。この沈澱(フッ化アンモニウム)は減圧濾過で分離し、エーテル(3
0ml)で洗浄した。濾液を回転蒸発して得たオレンジ色の結晶は、TLC(アル
ミナ、ベンゼン)で3スポットを示した。このサンプルの精製は、カラムクロマ
トグラフィー(塩基性アルミナ、ベンゼン)で達成した。このサンプルの精製は
、1.5”x20”のカラム上のカラムクロマトグラフィー(塩基性アルミナ、
活性11)で達成した。最初のバンドを集めて濃縮して、1.88g(63.0
%)、mp44.5−45℃(文献値、42.5−43.5℃を得た。19F NMR(
C6F6外部標準,δ-162.9)δ-149.9(m),-156.6(m),-162.0(m),-178.3(m).
3,4,5,6−テトラフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン
3,4,5,6−テトラフルオロ−1,2−ジアミノベンゼンは辻(Tsuj
i)等(辻(Tsuji)等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
55:580(1990))の方法の変法により製造した。Zn粉末(1.95
g,29.8mmol)、CaCl2(195mg)とH2O(2.3ml)の7mlEtO
H中での懸濁液をN2下、攪拌しながら加熱還流した。これに、2−ニトロ−3
,4,5,6−テトラフルオロアニリン(2g,12.8mmol)の5mlEtOH
溶液を徐々に滴下して加えた。反応混合液は5時間還流した。TLC分析(シリ
カゲル、2:1ベンゼン:EtOAc)は出発原料の完全な消失を示した。この
Znを減圧濾過で取り除き、そのZnはEtOH(30ml)ですすぎ洗いした。
溶媒を回転蒸発させ、残分を20mlのEt2Oに溶解し、その溶液を2x15ml
のH2Oと15mlの飽和NaClで洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、減
圧濾過した。溶媒を回転蒸発させると396.6mg(92.5%)の紫褐色の固
体、mp120−125℃が得られたが、これは更に精製することなく使用した
。
5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン
標題の化合物(アリソン等、ジャーナル・オブ・フルオリン・ケミストリー1
:59(1971))は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ
・ザ・ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて
製造した。蓚酸ジエチル(2.86ml,4.1mmol)と3,4,5,6−テトラ
フルオロ−1,2−ジアミノベンゼン(380mg,2.11mmol)の混合物をN2
下、還流しながら8時間加熱した。反応混合物は室温に冷却すると、少量の沈
澱が見られた。過剰の蓚酸ジエチルを蒸発させ、ここで得た固体をヘキサン20
ml中に懸濁し、減圧濾過、固体をヘキサン(20ml)と酢酸エチル(10ml)で
すすぎ洗いした。この結晶を空気乾燥させ、244.8mg(49.9%)、mp
330−331℃(文献値、約300℃分解)を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ12.33
(br s,NH).19F NMR(C6F6外部標準,δ-162.9),δ-157.7(m),-167.9(m).
実施例16.5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンの製造
6−ブロモ−4−フルオロ−2−ニトロアニリン
6−ブロモ−4−フルオロ−2−ニトロアニリンは、ミッチェル等(ミッチェ
ル,R.H.等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー44:4733(
1979))の方法の変法により製造した。4−フルオロ−2−ニトロアニリン
(500mg,3.2mmol)の乾燥DMF(16ml)溶液にN2下、N−ブロモコ
ハク酸イミド(570mg,3.2mmol)の乾燥DMF(16ml)溶液を滴下して
加えた。反応液は24時間攪拌した。次いでこの溶液を100mlのH2O中に注
入し、この水相は4x25mlのCH2Cl2で抽出した。合併した有機相は3x4
mlのH2Oで洗浄し、乾燥(MgSO4)した。このMgSO4を減圧濾過で除去
し、溶媒を回転蒸発させると褐色の油が得られ、これは放置すると結晶化した。
642mg
(85.4%)。1H NMR(CDCl3)δ6.51(br s,2H,NH2),7.58(dd,JH4-3=3Hz,JH4-F
=6.5Hz,H-4),7.92(dd,JH3-4=3Hz,JH3-F=8.7Hz,H-3).
1,2−ジアミノ−3−ブロモ−5−フルオロベンゼン
1,2−ジアミノ−3−ブロモ−5−フルオロベンゼンはベラミー等(ベラミ
ー,F.D.等、テトラヘドロン・レターズ25:839(1984))の方法の変
法により製造した。6−ブロモ−4−フルオロ−2−ニトロアニリン(673mg
,2.87mmol)とSnCl2・2H2O(3.23g,14.3mmol)を酢酸エ
チル6mlと無水エタノール3mlに溶かした混合液をN2下、70℃で30分加熱
した。全ての出発原料が反応した事をTLC(シリカゲル、2:1ヘキサン:酢
酸エチル)で確認した。反応液を室温まで放冷し、20mlの砕いた氷中に注入し
た。必要十分な固体のNaHCO3を加えて(発泡!)pHを7.5にした。こ
こで得た混合液を酢酸エチル3x20mlで抽出し、合併した有機相は飽和NaC
l液で洗浄した。この有機相を乾燥し(MgSO4)、減圧濾過し、溶媒を回転
蒸発させると暗褐色の液体510mg(86.7%)が得られた。1H NMR(CDCl3)
δ3.64(brs,4H,2(NH2)),6.44(dd,1H,H5,J4-5=2.7,JH-F=9.8),6.72(dd,1H,H4,J4- 5
=2.7,JHF=8.4).
5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。蓚酸ジエチル(3.31ml,24.4mmol)と1,2−ジアミノ−3−ブロ
モ−5−フルオロベンゼン(500mg,2.44mmol)の混合物をN2下、還流
しながら5時間加熱した。反応混合物は暗褐色であった。この反応物を室温にま
で放冷し、固体を減圧濾過で集め、EtOH(30ml)ですすぎ洗いした。この
褐色
の固体を1時間空気乾燥すると、250mg(39.6%粗収率)が得られた。こ
の固体の一部を取り、1NのNaOH液(10ml)に溶解し、少量の不溶粒子は
重力濾過で取り除いた。溶液を脱色炭で処理し、混合物をシーライトのパッドを
通して濾過し、得られた溶液は1NのHClで酸性にした。生成した白色結晶を
減圧濾過で単離し、水(20ml)ですすぎ洗いをした。この結晶を乾燥用ピス
トル管中(0.05トル,78℃)で乾燥すると、54.1mg、mp308−3
10℃(分解)が得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ6.2(dd,1H,JH6-8=2.7,JH-F=9.3,
ArH),7.35(dd,1H,JH6-8=2.4,JHF=8.4Hz),11.1(br s,1H,NH),12.1(brs,1H,NH).E
IHRMS:C8H4BrFN2O2としての計算値257.9940、実測値25
7.9455。
実施例17.6−クロロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンの製造
標題の化合物は、チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソ
サイアティー1171(1962)の方法の変法を用いて製造した。蓚酸ジエチ
ル(1.85g,1.25mmol)と1,2−ジアミノ−4−クロロ−5−フルオ
ロベンゼン(200mg,1.25mmol)の混合物をN2下、還流しながら2時間
加熱した。この反応物を室温にまで放冷し、固体を減圧濾過で集め、EtOHで
すすぎ洗いした。この固体を1NのNaOH液(20ml)に溶解し、溶液を脱色
炭で処理した。混合液をシーライトのパッドを通して濾過し、得られた薄オレン
ジ色の溶液は4NのHClで酸性にした。生成した沈澱を減圧濾過で単離し、水
ですすぎ洗いをした。この黄褐色の固体を乾燥用ピストル管中(0.05トル,
78℃)で乾燥すると、121.7mg(45.5%)、mp344−348℃(
分解)が得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ6.93(d,1H,JH8-F=10.2Hz,H-8),7.08(d,1H
,JH4-F=7.2Hz,H-4).19F NMR(C6F6外部標準,δ-162.9)δ-124.7(s).EIHRM
S:C8H4ClFN2O2としての計算値213.9945、実測値213.99
61。
実施例18.5−ブロモ−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
標題の化台物は、チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソ
サイアティー1171(1962)の方法の変法を用いて製造した。蓚酸ジエチ
ル(1.15g,7.91mmol)と1,2−ジアミノ−3−ブロモ−5−トリフ
ルオロメチルベンゼン(200mg、0.95mmol)の混合物をN2下、還流しな
がら2時聞加熱した。この反応物を室温にまで放冷し、固体を減圧濾過で集め、
EtOH(15ml)ですすぎ洗いした。この白色の固体を乾燥用ピストル管中(
0.05トル,78℃)で乾燥すると、148.3mg(60.7%)、mp30
1−304℃(分解)が得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ7.28(s,1H,ArH),7.56(s,1
H,ArH),11.7(br s,2H,NH).19F NMR(C6F6外部標準,δ-162.9)δ-57.97(s).EI
HRMS:C9H4BrF3N2O2としての計算値307.9408、実測値30
7.9411。
実施例19.6−フルオロ−7−ニトロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサ
リンジオンの製造
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。6−フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(200mg
,1.10mmol)を3mlの濃硫酸に溶解し、青緑色の溶液を撹拌しながら0℃に
冷却した。これにKNO3(110mg,1.10mmol)を少量づつ加えた。反応
液は、0℃で1時間攪拌してから室温にし、一夜攪拌した。次いで、茶オレンジ
色の反応混液を10mlの氷/H2O中に注入した。生成物は、減圧濾過で単離し
、得られた黄褐色の結晶を少量の冷H2Oですすぎ洗いをしてから空気乾燥した
。この
結晶を更に真空(0.1トル、25℃)で乾燥させると、174.3mg(70.
0%収率)が得られた。
分析用のサンプルを調製するために、この粗生成物75mgを5mlの1NのN
aOH液に溶解し、溶液を脱色炭で処理した。懸濁物をシーライトのパッドを通
して減圧濾過し、得られた溶液は濃塩酸で注意深く酸性にすると黄色結晶が沈澱
した。この結晶を減圧濾過で単離し、上述のように乾燥すると、38.9mgの明
黄色の結晶、mp348−350℃(分解)が得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ12.
4(s,1H,NH),12.1(s,1H,NH),7.8(d,JH-F meta=7.2,1H,ArH), 7.0(d,JH-Fortho=12
,1H,ArH).EIMS m/z 225(100,M+),167(10),45(41),28(96).EIHRMS:C8H4
FN3O4としての計算値225.0185、実測値225.0196。
実施例20.6−トリフルオロメチル−7−ニトロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
標題の化合物は、チーズマン(チーズマン,G.W.H.,ジャーナル・オブ・ザ・
ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の方法の変法を用いて製造し
た。6−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
(200mg,0.869mmol)を8mlの濃硫酸に溶解し、黄緑色の溶液を攪拌し
ながら0℃に冷却した。これにKNO3(87.8mg,1.10mmol)を少量づ
つ加えた。反応液は、0℃で1時間攪拌してから室温にし、一夜攪拌した。次い
で、茶オレンジ色の反応混液を10mlの氷・H2O中に注入した。生成物は、減
圧濾過で単離し、得られた淡黄色の結晶を少量の冷H2Oですすぎ洗いをしてか
ら空気乾燥した。この結晶を更に減圧(0.1トル、25℃)で乾燥させると、
121.1mg(50.6%収率)が得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ7.53(s,1H,ArH
),7.80(s,1H,ArH),12.4(s,2H,NH).EIMS m/z 275(81,M+),217(36),201(100,bp).
EIHRMS:C9H4N3O4F3としての計算値275.0153、実測値25
7.0170。
実施例21.6−スルホニル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
の製造
6−クロロスルホニル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンは、
キーナ等(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー48:3654(1
983))の方法の変法により製造した。1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサ
リンジオン(1.0g,6.2mmol)に3.0mlのクロロスルホン酸を一挙に加
えた。この混合液はN2下、60℃で2時間攪拌し、室温まで放冷し、次いで、
この溶液を25mlの砕いた氷中にゆっくりと滴下して加えた。生成した固体は、
減圧濾過し、氷/H2Oですすぎ洗いをした。この白色の固体を更に0.5トル
(25℃)でCaSO4上で乾燥させると、1.1g(68%)が得られた。1H
NMR(d6-DMSO)δ7.07(d,J7-8=8.1,1H,H8),7.29(dd,J7-8=8.1,J6-7=1.0,1H,H7),7.
40(d,J5-7=1.0,1H,H5).EIMS m/z 262(M+2,15),260(M+,40),225(35),105(43),36(
100,bp).EIHRMS:C8H5ClN2O4Sとしての計算値259.9687
、実測値259.9645。
6−スルホニル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
6−スルホニル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンは、キーナ
等(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー48:3654(1983
))の方法の変法により製造した。6−クロロスルホニル−1,4−ジヒドロ−
2,3−キノキサリンジオン(142.7g,0.546mmol)の5.0mlのH2
O中の懸濁液を50℃で8時間攪拌した。溶媒を減圧で留去し、得られた固体
を更に真空(0.5トル、50℃)で乾燥させると、121.6mg(91.8%
)の粉末性の薄オレンジ色固体が得られた。1H NMR(D2O)7.2(br m,2H,ArH),7.5(
br m,1H,ArH).EIMS m/z 242(M+,5),162(37),106(100),80(89).
実施例22.6−スルホンアミド−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オンの製造
6−クロロスルホニル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(2
00mg,0.770mmol)に濃アンモニア水2mlを一挙に加えた。この混合液は
、時々振り混ぜながら、蒸気浴上で穏やかに加温した。溶液が加熱されるにつれ
て、白色の沈澱が生成した。この溶液を20分間加熱し、室温に冷却してから、
混合液を1NのHClで酸性にした。生成固体は、減圧濾過で単離し、冷H2O
ですすぎ洗いをした。この固体を更に減圧(0.5トル、25℃)で乾燥させる
と、1HNMRで>95%純度の98.2mg(53.0%)が得られた。分析用
のサンプルを調製するために、この固体の45mgを1mlの1NのNaOHに溶解
し、続いてその溶液を1NのHClで酸性にした。淡黄色の針状結晶として沈澱
したスルホンアミド体を減圧濾過で単離し、冷H2Oですすぎ洗いをしてから、
真空(0.5トル、25℃)で乾燥させると、28.9mgが得られた。1H NMR(d6
-DMSO)7.20(d,J7-8=8.4,1H,H8),7.34(s,2H,NH2),7.50(dd,J7-5=1.8,J7-8=8.4,1
H,H7),7.56(d,J5-7=1.8,1H,H5),12.14(s,1H,NH),12.11(s,1H,NH).EIMS m/z 241(
M+,83),133(63),105(bp,100),64(75),28(80).EIHRMS:C8H7N3O4Sと
しての計算値241.0156、実測値241.0139。
実施例23.6−(N−プロピルスルホニル)−1,4−ジヒドロ−2,3−キ
ノキサリンジオンの製造
標題の化合物は、アダムス等(ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル
・ソサイアティー73:1147(1951))の方法の変法を用いて製造した
。n−プロピルアミン(50mg,0.846mmol)のピリジン0.5ml中の混合
液に、0℃で6−クロロスルホニル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリン
ジオン
(100mg,0.385mmol)を少量づつ加えた。この溶液は室温にまで放置加
温してから、N2下、8時間攪拌した。この反応混合物を、5mlの1:1、H2O
:濃塩酸と氷3gの混合液中に注入した。1時間後には結晶が生成し始めるが、
その溶液は一夜放置した。この結晶は、淡黄色の針状結晶として減圧濾過で単離
し、冷H2Oですすぎ洗いをしてから、更に真空(0.1トル、25℃)で乾燥
させると、47.5mg(44.1%)が得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ0.74(t,3H
,CH3),1.32(m,2H,CH2),2.62(m,2H,CH2),7.20(d,J=8.4,1H,H7),7.42(d,J=7.4,1H,
H5),7.50(m,2H,NH,H6),12.07(s,1H,NH),12.14(s,1H,NH).
実施例24.6−(N,N−ジメチルスルホニル)−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
標題の化台物は、アダムス等(ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル
・ソサイアティー73:1147(1951))の方法の変法を用いて製造した
。ジメチルアミン(40%液、52.2mg,131μl,1.16mmol)とピリ
ジン0.5ml中の混合液に、0℃で6−クロロスルホニル−1,4−ジヒドロ−
2,3−キノキサリンジオン(100mg,0.385mmol)を少量づつ加えた。
この溶液は室温まで加温し、N2下、8時間攪拌した。この反応混合物を、5ml
の1:1、H2O:濃塩酸と氷3gの混合液中に注入した。1時間後には結晶が
生成し始めるが、その溶液は一夜放置した。この結晶は、白色の針状結晶として
減圧濾過で単離し、冷H2Oですすぎ洗いをしてから、更に真空(0.1トル、
25℃)で乾燥させると、44.2mg(42.6%)が得られた。1H NMR(d6-DM
SO)δ2.57(s,6H,CH3),7.28(d,J7-8=8.4,1H,H8),7.44(dd,J=8.7,J=1.8,2H H5,H7)
,12.03(s,1H,NH),12.22(s,1H,NH).EIMS m/z 269(M+,83),225(26),161(bp,100),1
06(94).
実施例25.N−メチル−6,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
N−メチル−1,2−ジアミノベンゼン
N−メチル−1,2−ジアミノベンゼンはツジ等(ジャーナル・オブ・オーガ
ニック・ケミストリー55:580(1990)の方法の変法により製造した。
Zn粉末(8.07g,0.123mol)、CaCl2(807mg)、H2O(9
.9ml)及び30mlのEtOHを混合し、3−フルオロ−1,2−ジアミノベン
ゼンについて(実施例11参照)に記載している様に還流させ、この混合液に、
N−メチル−2−ニトロアニリン(1.50g,9.86mmol)の15mlEtO
H溶液を徐々に滴下して加えた。分析と後処理は、反応残分を50mlのEt2O
に溶解した以外は、3−フルオロ−1,2−ジアミノベンゼンについて記載して
いる通りであった。このEt2O溶液は、次いで、3x25mlの1NのHClで
抽出し、水層を合わせて5gの50%NaOH液でアルカリ性にした。この溶液
は、次いで、3x25mlのEt2Oで抽出した。これらのEt2O層を合わせて乾
燥(MgSO4)し、溶媒を減圧で回転蒸発させると911.1mg(76.1%
)の暗褐色の油が得られた。1H NMR(CDCl3)δ2.87(s,3H,CH3),3.31(br s,3H,NH)
,6.67(m,3H,ArH),6.86(m,1H,ArH).
N−メチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
N−メチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンは、チーズマン
(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー1171(1962))の
方法の変法を用いて製造した。蓚酸ジエチル(3.23g,2.72mmol)とN
−メチル−1,2−ジアミノベンゼン(332mg、2.72mmol)の混合物をN2
下、還流しながら2時間加熱した。この反応物を室温にまで放冷し、固体を減
圧濾過で集め、EtOHですすぎ洗いした。この灰褐色の固体を更に真空(0.
1トル,25℃)で乾燥すると、274.3mg(57.2%)が得られた。この
固体の一部
を取り、EtOH50mlからの再結晶と脱色炭処理で更に精製すると、綿毛状の
淡黄色結晶が得られ、これを減圧濾過で単離し、冷EtOHですすぎ洗いすると
、104.9mgが得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ3.50(s,3H,CH3),7.16(m,3H,ArH)
,7.36(m,1H,ArH),12.01(s,1H,NH).EIMS 176(M+,52),148(33),119(100,bp).
N−メチル−6,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオ
ン
標題の化合物は、チーズマン(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアテ
ィ−1171(1962))の方法の変法を用いて製造した。N−メチル−1,
4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(200mg,1.13mmol)を3ml
の濃硫酸に溶解し、青緑色の溶液を攪拌しながら0℃に冷却した。これにKNO3
(228mg,2.26mmol)を少量づつ加えた。暗オレンジ色の反応液は、0
℃で1時間攪拌してから室温にし、一夜攪拌した。次いで、茶オレンジ色の反応
液を10mlの氷・H2O中に注入した。生成物は、減圧濾過で単離し、得られた
黄白色の固体を10mlの冷H2Oですすぎ洗いをしてから空気乾燥した。この結
晶を更に真空(0.1トル、25℃)で乾燥させると、220mg(72%)が得
られた。分析用のサンプルを調製するために、この粗生成物の120mgを氷酢酸
から再結晶した。得られた結晶を減圧濾過で集め、H2Oですすぎ洗いをしてか
ら、真空(0.1トル,60℃)で乾燥すると、34.2mgの黄色の結晶が得ら
れた。1H NMR(d6-DMSO)δ3.52(s,3H,CH3),7.80(s,1H,ArH),8.10(s,1H,ArH),12.6
(s,1H,NH).
実施例26.2,3−(4N)−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオ
ンの製造
標題の化合物は、チーズマン(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアテ
ィー1171(1962))の方法の変法を用いて製造した。蓚酸ジエチル(6
.
22ml,45.5mmol)と1,2−ジアミノピリジン(500mg、4.58mm
ol)の混合物をN2下、還流しながら2時間加熱した。この反応物を室温にまで
放冷し、固体を減圧濾過で集め、EtOH(20ml)ですすぎ洗いをし、得られ
た黄白色の固体を更に真空(0.1トル,25℃)で乾燥すると、693mg(9
3.0%)が得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ7.11(dd,1H,H-7),7.43(dd,1H,J=8.1H
z,1.2Hz,H-8),8.05(dd,1H,J=5.1Hz,J=1.2Hz,H-6).
実施例27.2,3,6,8−テトラケト−5,6−ジメチルプテリジンの製造
標題の化合物は、チーズマン(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアテ
ィ−1171(1962))の方法の変法を用いて製造した。蓚酸ジエチル(1
.75ml,12.8mmol)と5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル水和
物(200mg、1.18mmol)の混合物をN2下、還流しながら8時間加熱した
。この反応物を室温にまで放冷し、固体を減圧濾過で集め、EtOH(10ml)
ですすぎ洗いしをして得られた黄色の固体を空気乾燥すると76.0mg(66.
6%)が得られ、これを更に真空(0.1トル,25℃)で乾燥すると、NMR
で>98%純度の1.06g(74.4%)が得られた。この固体の一部(10
0mg)を1NのNaOH液(5ml)に溶解した。その溶液を6NのHClで酸性
にすると、明るい黄色の固体が得られ、減圧濾過で単離し、H2O(10ml)で
すすぎ洗いをしてから、乾燥用ピストル管(0.05トル、78℃)で乾燥させ
ると、42.4mgが得られた。1H NMR(d6-DMSO)δ3.20(s,6H,CH3),11.59(br s
,2H,NH).mp370-372(dec.),EIMS m/z 224(100,M+),196(80).
以下の実施例28−44においては、特記しない限り、試薬は購入したままで
使用した。融点は、メル−テンプ(Mel−Temp)融点測定装置で測り、未
補正である。温度が>250℃の時には、融解前の分解を最小限にするために、
サンプルをブロックの中に置いた。カラムクロマトグラフィーは、特記しない限
り、
ダビジル(Davisil)のシリカゲル(200−425メッシュ)を使って
フラッシュ方式で実施した。分析薄層クロマトグラフィーはアルミニウム板−シ
リカゲル60F254プレート上で実施し、視覚化は紫外線ランプで行った。H1N
MRスペクトルは300MHzジエネラル・エレクトリックQE−300型で記
録した:化学シフトはデルタ単位で報告しているが、重水素化溶媒の残存プロト
ンのシグナル(CHCl3,δ7.26;CHD2OD,δ3.30;CD3SO
CD2H,δ2.49;CD3COCD2H,δ2.04)を基準にしている。13
CNMRスペクトルは75MHzで測定した。赤外線スペクトルはニコレット5
DXBFT−IR分光光度計で測定した。吸収は波数(cm-1)で記録し、吸収強度
は小文字のs(強)、m(中)、及びw(弱)で表示している。質量スペクトル
は,VG−11−250データシステムを備えたVG ZAB−2−HF質量分
析計で測定したが、特記しない限り、電子イオン化方式(70eV)である。微
量分析は、タスコンのデザート分析会社(Desert Analytics of Tuscon)、アリゾ
ナ州で実施した。
実施例28.1−アミノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの製
造
ウォーリス,R.G.、オーガニック・プレパレーションズ・アンド・プロセ
デュアーズ・インターナショナル14:269(1982)の方法を採用した。
蒸留水(4ml)中に1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(162mg
、1.00mmol、アルドリッチ)を入れて攪拌した懸濁液中に、25℃でNaO
H(100mg,2.5mmol)を添加した。5分後、得られた溶液に、ヒドロキシ
ルアミノ−o−スルホン酸(113mg、1.00mmol、アルドリッチ)を10分
間にわたって少しづつ加えた。反応は室温で行った。1時間後には白色の沈澱が
析出するが、続けて更に1時間攪拌してから集めて、70mg(40%)の粗製
の1−アミノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(遊離塩基Na+
、出発原料対生成物の比率=5:95、NMR,D2Oより)を得た。濾液を1
NのH
Cl(〜1.5ml)でpH=2の酸性にすると、白色沈澱50mgが得られたが、
これは、1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンと1−アミノ−1,4
−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン塩酸塩との1:1混合物(NMR,D
MSOより)であった。1−アミノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリン
ジオンの合計収率は51%である。
この粗製1−アミノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの70
mgサンプルを蒸留水(5ml)に溶解してから、AcOHでpH=5の酸性にし
、そしてその溶液を25℃で一日放置すると、白色の針状結晶が析出した。この
結晶を濾過して集めてから、蒸留水(2x2ml)で次いでエタノール(2x1ml
)で洗浄すると、61mg(34.5%)の純粋な1−アミノ−1,4−ジヒドロ
−2,3−キノキサリンジオン(遊離塩基H)が白色針状結晶として得られた;
mp:226−8℃(昇華);260−2℃(分解)(文献、シン,S.C.及
びりー,Y.Y.、テーハン・ファハコウ・チ27(5):382−4(198
3)、228℃昇華)。IR(KBr,cm-1):3306,1687,1631,1587.NMR(1H,DMSO-d6):
δ5.880(s,2H);7.143(m,3H);7.601(d,1H);12.061(s,1H).HRMS:C8H7N3
O2(M+)m/zとしての計算値:177.0537;実測値:177.0536
。
実施例29.1−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
ウォーリス,R.G.、オーガニック・プレパレーションズ・アンド・プロセ
デュアーズ・インターナショナル14:269(1982)の方法を採用した。
蒸留水(15ml)中に6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサ
リンジオン(189mg、0.82mmol)を入れて攪拌した懸濁液中に、60℃で
NaOH(335mg,8.37mmol)を添加した。30分後、得られた溶液に、
ヒドロキシルアミノ−o−スルホン酸(111mg、0.98mmol、アルドリッチ
)を10分間にわたって少しづつ加えた。反応は室温で行った。10分後には白
色の沈
澱が析出した。この混合液を25℃で8時間攪拌してから、50℃で濾過して集
め、180mg(90%)の粗製の1−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒ
ドロ−2,3−キノキサリンジオンを白色の無定形固体(出発原料対生成物の比
率=10:90、1HNMR,D2Oより)として得た。収率は81%である。こ
の粗製1−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオンの109mgサンプル(遊離塩基Na+、0.445mmol)を1NのNa
OH(10ml)中に30分間、50℃で懸濁してから、濾過で集めた。沈澱(8
7mg)は熱い蒸留水(80ml)中に溶解し、不溶物を濾過で取り除いた。次いで
、濾液をAcOHでpH=5の酸性にした。得られた懸濁液を60−70℃で加
熱して、透明な溶液を得てから、徐々に25℃に冷却すると、白色の針状結晶が
析出した。この結晶を濾過して集めてから、蒸留水(2x2ml)で、次いでエ
タノール(2x1ml)で洗浄し、回転乾燥機で4時聞、60℃で乾燥すると、7
3mg(84%)の純粋な1−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2
,3−キノキサリンジオン(遊離塩基H)が得られた。それから融点を測定した
。1−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オンの色は335℃で黄色に変化した;1−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4
−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの分解は340℃で明らかになり、そ
して343−5℃で黒色の液体となって融解した。IR(KBr,cm-1):3337;3225;305
6;1706;1668;1581.NMR(1H,DMSO-d6):δ5.791(s,2H);7.271(s,1H);7.721(s,1H);1
2.115(s,1H).HRMS:C8H5N3O2Cl2(M+)m/zとしての計算値:244
.9756;実測値:244.9767。
実施例30.1−アセトアミド−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオ
ンの製造
1−アミノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(53mg,0.
30mmol)とピリジン(1ml、使用前にKOHより新たに蒸留)及び無水酢酸(
1
ml、アルドリッチ)の混合液を窒素下、60℃で4時間攪拌した。反応混合液は
透明な溶液となった。次いで、全ての溶媒と試薬を減圧下に蒸発させ、ベンゼン
:シクロヘキサン=1:1(2x2ml)とエーテル(2x2ml)で洗浄してから
、60℃で2時間、回転乾燥機で乾燥すると、純粋な1−アセトアミド−1,4
−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンが白色の粉末として得られた:mp2
11−213℃。IR(KBr,cm-1):3430;3127;1741;1717;1668.NMR(1H,DMSO-d6)δ:
2.326(s,3H);7.121-7.287(m,4H);12.345(s,1H).マス:C10H9N3O3(M+)m
/zとしての計算値:219.0641;実測値:219.0651。
実施例31.1−[[(o−トリルアミノ)カルボニル]アミノ]−1,4−ジ
ヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの製造
リ−ソン,P.D.等、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー35
:1954−68(1992)の方法を採用した。ピリジン(2.5ml)中1−
アミノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(37mg、0.21mm
ol)の懸濁液を70℃で、溶解が完了するまで攪拌した。次に、この溶液にo−
トリルイソシアン酸エステル(27.8mg,0.21mmol、アルドリッチ)を添
加し、60℃で2時間、次いで室温で一夜攪拌した。溶媒を減圧下に蒸発させ、
残渣をエーテル(2x2ml)で洗浄すると59mgの粗製のI−[[(o−トリル
アミノ)カルボニル]アミノ]−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオ
ン(1HNMRより、目的の生成物66%:トリル−副生成物30%:1−アミ
ノ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン4%)が得られた。100
%ベンゼン(20ml)、とベンゼン:アセトン=1:1(20ml)及び100%
アセトン(20ml)で溶出するシリカゲル(2g)カラムを使用するクロマトグ
ラフィーで分離し、大部分の不純物を除去した。残渣(43mgの1−[[(o−
トリルアミノ)カルボニル]アミノ]−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオン)をエタノール(2x2ml)とエーテル(2x1ml)で洗浄すると
、38mgの純粋な1−[[
(o−トリルアミノ)カルボニル]アミノ]−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンが白色の粉末として得られた。Mp:265℃から分解。IR(KBr
,cm-1):3375;3237;1718;1693;1675.NMR(1H,DMSO-d6)δ:2.161(s,3H);6.996-7.3
80(m,8H);8.530(s,1H),9.343(s,1H);12.155(s,1H).
実施例32.1−アミノ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(A法)
:ジョーゼンソン,A.K.等、国際特許出願公開WO91/13878号およ
びケミカル・アブストラクト115(25):280059u(1991)、の
方法を採用した。濃硫酸(10ml)中1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリン
ジオン(1.62g,10.00mmol、アルドリッチ)およびAg2SO4(3.
43g,11.00mmol)の攪拌懸濁液に、室温で臭素(3.52g,〜1.1
3ml,22.00mmol)を30分にわたって添加した。混合液をそれから室温で
24時間攪拌した。次いで、四塩化炭素(10ml)を加えてから、反応混液を5
0℃で2時間攪拌した。不溶物は濾過で取り除き、濾液を氷水(200ml)中に
注入し、分離した黄色の固体は濾過して集め空気中で乾燥した。この粗製の6,
7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを1NのNaO
H(20ml)と水(20ml)に溶解し、黄色の沈澱は濾過で除去した。濾液を4
NのHClでpH=2の酸性にすると、白色の沈澱が析出し、これを蒸留水(2
x2ml)とエタノール(2x1)で洗浄すると、1.082gの6,7−ジブロ
モ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが灰色の細かい粉末(NM
Rで95%純度)として得られた。黄色い沈澱を上の方法で処理すると、第二晶
として927mgの6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンが得られた。合計収率は65%である。DMSO/H2Oから結晶化する
と白色の微細結晶(85%回収)が得られた。Mp:335℃から分解。IR(KBr
,cm-1):3200;1718;1693.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.336(s,2H);11.962(s,2H).HRM
S:C8H4N8O2Br2(M+)m/zとしての計算値:317.8639:実測
値:317.8619。
6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(B法)
:ミッチェル等(ミッチェル,R.H.等、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミ
ス
トリー44:4733(1979))の方法を採用した。乾燥DMF(100ml
)中1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(3.24g,20.00
mmol、アルドリッチ)の攪拌懸濁液に、N−ブロモコハク酸イミド(14.24
g,80.00mmol、アルドリッチ)を加えて、混合液を25℃で0.5時間攪
拌すると、淡黄色の溶液が生成した。反応を25゜Cで24時間継統すると、白
色の沈澱が得られ、これを濾過で集めてから、蒸留水(2x1ml)および次いで
95%エタノール(2x2ml)で洗浄すると、2.216gの純粋な6,7−ジ
ブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(NMRより)が白色
の粉末として得られた。濾液は200mlの氷水に注入し、沈澱を濾過で集めてか
ら、蒸留水(2x2ml)および次いで95%エタノール(2x2ml)で洗浄する
と、3.627gの6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオン(NMRより1%の不純物含有)が得られ、これを1NのNaOH(5
0ml)に溶解し、濾液を4NのHClでpH=2の酸性にすると、白クリーム色
の沈澱が析出した。この沈澱を濾取し、蒸留水(2x2ml)に続けて95%エタ
ノール(2x2)で洗浄し、50℃で8時間、空気中で乾燥すると、3.517
g(合計収率89%)の純粋な6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−
キノキサリンジオン(NMRより)が白色の粉末として得られた。DMSO/H2
Oから結晶化すると白色の微細結晶が得られた。この6,7−ジブロモ−1,
4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの融点を測定したところ:335℃
から分解した。(55)1R(KBr,cm-1):3200,1718,1693.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.336
(s,2H);11.962(s,2H).HRMS:C8H4Br2N2O2(M+)m/zとしての計
算値:317.8639:実測値:317.8619。
6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(C法)
:乾燥DMF(10ml)中1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(5
50mg,3.39mmol、アルドリッチ)の攪拌懸濁液に、臭素(1.07g,6
.77mmol、アルドリッチ)の乾燥DMF(0.5ml)溶液を1時間以内で滴下
して加えてから、反応液を25℃で30時間攪拌した。次いで、四塩化炭素(1
0ml)を
加えてから、反応混液を50℃で2時間攪拌した。この反応混液を氷水(50ml
)中に注入し、沈澱を濾過で集めてから、蒸留水(2x1ml)および次いで95
%ェタノール(2x1ml)で洗浄すると、粗製の6,7−ジブロモ−1,4−ジ
ヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(NMRより1%の不純物を含有)が白色
の粉末として得られた。この粗生成物を1NのNaOH(10ml)に溶解してか
ら、4NのHClでpH=2の酸性にすると、白クリーム色の沈澱が析出した。
この沈澱を濾過で集めてから、蒸留水(2x1ml)および次いで95%エタノー
ル(2x1ml)で洗浄し、50℃で8時間、空気中で乾燥すると、770mg(収
率72%)の純粋な6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオン(NMRより)が白色の粉末として得られた。DMSO/H2Oから結
晶化すると白色の微細結晶が得られた。この6,7−ジブロモ−1,4−ジヒド
ロ−2,3−キノキサリンジオンの融点を測定したところ:335℃から分解し
た。IR(KBr,cm-1):3200,1718,1693.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.336(s,2H);11.962(s,
2H).HRMS:C8H4Br2N2O2(M+)m/zとしての計算値:317.86
39:実測値:317.8619。
1−アミノ−6,7−ジブロモ−1,4 −ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオン。 ウォールス,R.G.、オーガニック・プレパレーションズ・アンド・プ
ロセデュアーズ・インターナショナル14:269(1982)の方法を採用し
た。蒸留水(10ml)中6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオン(100mg,0.312mmol)の攪拌した懸濁液に、60℃でNa
OH(400mg,10mmol)を添加した。30分後、得られた溶液に、ヒドロキ
シルアミノ−o−スルホン酸(40mg,0.35mmol、アルドリッチ)の水(0
.5ml)溶液を10分間にわたって滴下しながら加えた。反応は60℃で行った
。15分後には白色の沈澱が析出した。反応混液は60℃で1時間攪拌した。白
色の沈澱を濾過で集めてから、蒸留水(2x2ml)および次いでエタノール(2
x2ml)で洗浄すると、72mg(68%)の1−アミノ−6,7−ジブロモ−1
,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが、60℃で2時間乾燥後に、白
色の粉
末として得られた。濾液を4NのHClで酸性にすると、NMRにより25%の
1−アミノ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ンおよび75%の6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンから成る混合物35mgを得た。72mgサンプルの粗製の1−アミノ−6,
7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを蒸留水(15
ml)に60℃で溶解し、不溶物を濾去し、濾液をAcOHでpH=5の酸性にす
ると、白色の沈澱が析出したが、この沈澱を濾過で集めてから、蒸留水(2x2
ml)および次いでエタノール(2x1ml)で洗浄した。この固体は60℃で2時
間、回転乾燥機で乾燥すると、43mgの純粋な1−アミノ−6,7−ジブロモ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが白色の粉末として得られた;
mp:335−338℃(分解)。IR(KBr,cm-1):3337:3212:3062:1706:1668:15
75.NMR(1H,DMSO-d6):δ5.784(s,2H);7.391(s,1H);7.841(s,1H):12.158(s,IH).H
RMS:C8H5N3O2Br2(M+)m/zとしての計算値:332.8746:
実測値:332.8741。
実施例33.5−ニトロ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
チーズマン,G.W.H.、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー11
70(1962)の方法を採用した。濃硫酸(6ml)中に6,7−ジブロモ−1
,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(576mg,1.8mmol)を0℃
で30分間攪拌した懸濁液に、KNO3(220mg,2.18mmol、ベィカー)
を一度に加えた。反応混台液は、0℃で3時間攪拌してから室温にし、一日攪拌
した。混合液の色は赤から黄褐色へと変化した。次いで、この反応液を氷(60
g)中に注入し、分離してきた明黄色の沈澱を蒸留水(2x2ml)で統いてエタ
ノール(2x1)で洗浄すると、498mgの粗製の5−ニトロ−6,7−ジブロ
モ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(76%、NMRより少量
の不純物
を含有)が得られた。DMSO/H2Oから結晶化すると、純粋な5−ニトロ−
6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンが明黄色の
微細結晶として得られた;mp:352−354℃(分解)。1R(KBr,cm-1):338
7:3256:1756:1700;1537.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.475(s,1H):12.217(s,1H);12.265(
s,1H).HRMS:C8H3N3O4Br2(M+)m/zとしての計算値:362.
8489:実測値:362.8509。
実施例34.1−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロー
2,3−キノキサリンジオンの製造
シン,S.C.及びリー,Y.Y.、テーハン・ファハコウ・チ27(5):382−4
(1983)の方法を採用した。蒸留水(5ml)中に6,7−ジクロロ−2−ニ
トロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(100mg,0.36mm
ol、チーズマン、上記)と3NのKOH(2ml)を溶かした赤色溶液中に、65
℃でNH2OSO3H(75mg,0.66mmol、アルドリッチ)を蒸留水(0.5
ml)に溶かした溶液を撹拌しながら、滴下して加えた。10分後には黄色の沈澱
が析出した。この混合液を65℃で1時間攪拌してから、室温で一夜放置し、そ
れから沈澱を50℃で濾過して集め、蒸留水(2ml)で洗浄してから50℃で一
夜乾燥すると、85mg(80%)の粗製の1アミノ−5−ニトロ−6,7−ジク
ロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンを黄色の無定形固体(N
MRより80%の目的の1−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−
ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンおよび20%の出発原料を含む))とし
て得た。この粗製の1−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒ
ドロ−2,3−キノキサリンジオンの85mgサンプル(遊離塩基Na+0.29
3mmol)を蒸留水(10ml)中に50℃で溶解してから、AcOHでpH=5の
酸性にした。不溶物を濾過で取り除いた後、混合液を60−70℃で加熱して、
透明な溶液を得てから、徐々に冷却すると、黄色の沈澱が析出した。この沈澱を
熱いエタノー
ルから結晶化して、得られた黄色の微細結晶を濾過して集め、冷エタノール(2
ml)で洗浄してから、空気中で4時間、60℃で乾燥すると、31mg(29%)
の純粋な1−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,
3−キノキサリンジオンが得られた。それから融点を測定した。1−アミノ−5
−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン
の色は275℃で暗黄色に変化した:1−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジクロ
ロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの分解は280℃で明らか
になり、そして290−1℃で黒色の液体となって融解した。(59)
1R(KBr,cm-1):3442;3315;3231;1747;1723:1680:1632:1547.NMR(1H,DMSO-d6):δ5
.848(s,2H):7.951(s,1H):12.595(s,1H).HRMS:C8H4N4O4Cl2(M+)
m/zとしての計算値:289.9623:実測値:289.9616。
実施例35.1(又は4−)−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジブロモ−1,4
−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの製造
シン,S.c.及びリー,Y.Y.、テーハン・ファハコウ・チ27(5):382−4
(1983)の方法を採用した。蒸留水(5ml)中5−ニトロ−6,7−ジブロ
モ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(120mg,0.33mmol
)と3NのKOH(2ml)の攪拌赤色溶液に、65℃でNH2OSO3H(56mg
,0.50mmol)を蒸留水(0.5ml)に溶かした無色の溶液を攪拌しながら、
滴下して加えたところ、5分後には黄色の沈澱が析出した。この混合液を65℃
で1時間攪拌してから、室温で一夜放置し、それから沈澱を50℃で濾過して集
め、蒸留水(2ml)で洗浄してから50℃で一夜乾燥すると、80mg(64%)
の粗製の1−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジブロモ −ジヒドロ−2,3−キ
ノキサリンジオン(遊離塩基Na+、NMR,D2Oより)を黄色の無定形固体(
NMRより80%の目的の1−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジブロモ−1,4
−ジ
ヒドロ−2,3−キノキサリンジオンおよび20%の出発原料を含む)として得
た。(この反応では、1−アミノか4−アミノ異性体のどちらが実際に生成する
のか知られていない)。この粗製の1(4)−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジ
ブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの80mgサンプル(0
.211mmol)を蒸留水(10ml)50℃で溶解してから、AcOHでpH=5
の酸性にした。不溶物を濾過で取り除いた後、混合液を60−70℃で加熱して
、透明な溶液を得てから、徐々に冷却すると、黄色の沈澱が析出した。この沈澱
を熱いエタノールから結晶化して、濾過して集め、冷エタノール(2mlm)で洗
浄してから、空気中で4時間、60℃で乾燥すると、57mg(45.6%)の純
粋な1(4)−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2
,3−キノキサリンジオン(遊離塩基H)が得られた。NH2OSO3H(40mg
、0.35mmol)を母液に添加し、上と同じ方法を用い、65−70℃で30分
間反応させると、第二晶として、純粋な1(4)−アミノ−5−ニトロ−6,7
−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(26mg,21
%)が得られた。合計収率は66%である。それから融点を測定した。1(4)
−アミノ−5−ニトロ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキ
サリンジオンの色は301℃で暗黄色に変化した:1(4)−アミノ−5−ニト
ロ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの分解
は310℃明らかになり、そして320−1℃で黒色の液体となって融解した。
IR(KBr,cm-1):3414;3211:1745;1728;1682:1631;1546.NMR(1H,DMSO-d6)δ5.832(
s,2H):8.047(s,1H):12.565(s,1H).HRMS:C8H4N4O4Br2(M+)m/zとしての計算
値:377.8613:実測値:377.8583。
実施例36.6−ニトロ−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
チーズマン,上記、の方法を採用した。濃硫酸(3ml)中に5,7−ジクロロ
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(239mg,1.03mmol)
を0℃で30分間かけて溶解し、その溶液に、KNO3(125.3mg,1.2
4mmol、ベイカー)を加えた。反応混合液は、0℃で3時間攪拌してから室温に
して30時間攪拌した。次いで、この反応液を氷水(15g)中に注入した。析
出してきた沈澱を濾過で集め、1NのKOH(10ml)に溶解し、赤い沈殿物を
濾過で取り除いた。続いて溶液を4NのHClでpH=2の酸性にすると、クリ
ーム色の沈澱が生成し、それを濾過で集めてから50℃で4時間、空気中で乾燥
すると、純粋な6−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キ
ノキサリンジオンが黄色の微細結晶として得られた;mp:320−325℃(
290℃から分解)。IR(KBr,cm-1):3467,3140,3055,2946,1717,1693,1541.NMR(
1H,DMSO-d6):δ7.221(s,1H),11.932(s,1H),12.312(s,1H).HRMS:C8H3N3O4Cl2(M+
)m/zとしての計算値:274.9499:実測値:274.9509。
実施例37.6−ニトロ−5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
チーズマン,上記、の方法を採用した。濃硫酸(1ml)中に5,7−ジブロモ
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(74mg,0.23mmol)を
0℃で30分間かけて溶解し、次いでその溶液液に、KNO3(28mg,0.2
7mmol、ベイカー)を加えた。反応混合液は、0℃で3時間攪拌してから室温に
して30時間攪拌した。この反応液を氷水(8g)中に注入し、沈澱を濾過で集
め、1NのKOH(5ml)に溶解し、赤い沈殿物を濾過で取り除いた。続いて溶
液を4NのHClでpH=2の酸性にすると、クリーム色の沈澱が生成し、それ
を濾過で集めてから5℃で4時間、空気中で乾燥すると、純粋な6−ニトロ−6
,7−ブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(71mg,84
.5%)が黄色の粉末として得られた。:mp:318−20℃(分解)。IR(K
Br,cm
ー1
):3468,3131,3062,2931,1712,1593,1537. NMR(1H,DMSO-d6):δ7.392(s,1H),11
.566(s,1H),12.274(s,1H).HRMS:C8H3N3O4Br2(M+)m/zとして
の計算値:362.8489;実測値:362.8478。
実施例38.5−クロロ−6−ニトロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,
3−キノキサリンジオンの製造
チーズマン,上記、の方法を採用した。濃硫酸(0.5ml)中に5−クロロ−
7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(30mg,0.
14mmol)を0℃で30分間かけて溶解し、その溶液液に、KNO3(17mg,
0.17mmol、ベイカー)を一度に加えた。反応混合液は、0℃で3時間攪拌し
てから室温にして30時間攪拌した。この反応液を氷水(5g)中に注入し、沈
澱を濾過で集めた。沈澱は、1NのNaOH(5ml)に溶解し、続いて4NのH
ClでpH=2の酸性にすると、クリーム色の沈澱が生成し、それを濾過で集め
てから50℃で4時間、空気中で乾燥すると、純粋な(NMRより)標題化合物
5−クロロ−6−ニトロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサ
リンジオン(31mg,85.4%)が白色の無定形固体として得られた:mp:
280℃から分解。1R(KBr,cm-1):3600,3462,3131,1712,1612,1550.NMR(1H,DMSO
-d6):δ7.106(d,J=10.2Hz,1H),11.800(s,1H),12.371(s,1H).HRMS:C8H3
N3O4ClF(M+)m/zとしての計算値:258.9795:実測値:25
8.9790。
実施例39.5−ブロモ−6ニトロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
チーズマン,上記、の方法を採用した。濃硫酸(1ml)中に5−ブロモ−7−
フルオロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(77mg,0.30
mmol)
を0℃で30分間かけて溶解し、その溶液液に、KNO3(35mg,0.346m
mol、ベイカー)を加えた。反応混台液は、0℃で3時間攪拌してから室温にし
て30時間攪拌した。次いで、この反応液を氷水(10g)中に注入し、沈澱を
濾過で集めた。この沈澱を1NのNaOH(10ml)に溶解し、溶液を4NのH
ClでpH=2の酸性にすると、クリーム色の沈澱が生成し、それを濾過で集め
てから50℃で4時間、空気中で乾燥すると、純粋な(NMRより)5−ブロモ
−6ニトロ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンが
白色の無定形固体として得られた:mp:320−25℃(290℃から分解)
。1R(KBr,cm-1):3416,3071,2952,1721,1609,1546.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.146(d,J
=10.2Hz,1H),11.432(s,1H),12.340(s,1H).HRMS:C8H3N3O4rF(M+)
m/zとしての計算値:302.9290:実測値:302.9290。
実施例40.5−ブロモ−6(8)−ニトロ−7−トリフルオロメチル−1,4
−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの製造
チーズマン,上記、の方法を採用した。濃硫酸(1ml)中に5−ブロモ−7−
トリフルォロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(75mg
,0.24mmol)を0℃で攪拌しながら溶解し、これにKNO3(30mg,0.
28mmol、ベイカー)を攪拌しながら0℃で加えた。反応混合液は、0℃で2時
間攪拌してから室温にして一日攪拌した。混合液の色は黄褐色に変化した。次い
で、この反応液を氷水(10g)中に注入すると、淡黄色の沈澱が分離してきた
。この沈澱を濾過で集め、蒸留水(1ml)に次いでエタノール(2x1ml)で洗
浄すると、NMRより若干の異性体を含む粗製の5−ブロモ−6(8)−ニトロ
−7−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(
78mg,92%)が得られた。DMSO/H2Oから結晶化すると、純粋な生成
物が白色の微細結晶として得られた:mp:290−2℃。1R(KBr,cm-1):3435;
3143;1713;1613;1555.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.519(s,1H)6−ニトロ体につき;7
.
960(s,1H)8−ニトロ体につき(6:8=70:30);11.811(s,1H):12.391(s,1H).HRM
S:C3H3N3O4F3Br(M+)m/zとしての計算値:352.9258:実
測値:352.9270。
実施例41.1(4)−アミノ−5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
シン,S.C.及びリー,Y.Y.、テーハン・ファハコウ・チ27(5):382−4
(1983)の方法を採用した。5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオン(46mg,0.144mmol)を3NのKOH(2ml)に6
0℃、1時間で溶解し、この溶液にNH2OSO3H(20mg,0.172mmol、
アルドリッチ)を蒸留水(0.5ml)に溶かした溶液を撹拌しながら、60℃で
滴下して加えた。15分後には幾らかの沈澱が析出したが、引き続きNH2OS
O3Hの第二20mg部分を加えた。。この混合液を室温でで1時間攪拌した。白
色の沈澱を濾過して集め、冷蒸留水(0.5ml)で洗浄してから60℃で2時間
空気中で乾燥すると、粗製の1アミノ−5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−
2,3−キノキサリンジオン(38mg,79%)(NMRより異性体の4−アミ
ノ−5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンを含む
が、どちらがより多量に生成しているかは不明である)を得た。この粗製の1−
アミノ−5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの
38mgサンプルを蒸留水(4ml)中に60℃で溶解し、不溶物を濾過で取り除い
た後、濾液をAcOHでpH=5の酸性にすると白色の沈澱が析出したが、これ
を濾過して集め、冷蒸留水(2x1ml)で洗浄した。この沈澱を2時間、60℃
で乾燥すると、1−アミノ−5,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キ
ノキサリンジオン(28mg,58.5%)が、若干の異性体を含有する白色粉
末として得られた。Mp:273−5℃(270℃から分解)。1R(KBr,cm-1):3
435:3289:3190:1719;1672;1625:1584.NMR(1H,DMSO-d6):δ5.831(s,2H):7.672(d,
J=15Hz,1H);
7.810(d,J=15Hz,1H):11.275(s,1H).HRMS:C8H5N3O2Br2(M+)m
/zとしての計算値:332.8746:実測値:332.8744。
実施例42.1(4)−アミノ−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
ウォールス,R.G.、オーガニック・プレパレーションズ・アンド・プロセデュ
アース・インターナショナル14:269(1982)の方法を採用した。5,
7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(52mg,0.
225mmol)を3NのKOH(1ml)に60℃、0.5時間で溶解し、この溶液
にNH2OSO3H(30mg,0.265mmol、アルドリッチ)を蒸留水(0.5
ml)に溶かした溶液を攪拌しながら、60℃で滴下して加えた。15分後には幾
らかの沈澱が析出した。この混合液を室温でで一夜攪拌した。白色の沈澱を濾過
して集め、冷蒸留水(0.5ml)で洗浄してから60℃で2時間、回転乾燥機で
乾燥すると、粗製の1−アミノ−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオン(38mg,69%)を得たが、これは1HNMRより少し
の異性体(4−アミノ−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキ
サリンジオン)を含んでいた(どちらの異性体がより多量に生成しているかは不
明である)。
この粗製の1(4)−アミノ−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの38mgサンプルを蒸留水(4ml)中に60℃で溶解し
、不溶物を濾過で取り除いた後、濾液をAcOHでpH=5の酸性にすると白色
の沈澱が析出したが、これを濾過して集め、冷蒸留水(2x1ml)で洗浄した。
この沈澱を2時間、回転乾燥機で60℃で乾燥すると、1−(4)アミノ−5,
7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(29mg,53
.5%)が、白色粉末として得られた。mp:294−6℃(分解)。1R(KBr,c
m-1):3450;3325:3200;3075:1693;1625:1593:1500;1368.NMR(1N,DMSO-d6):δ5.83
8(s,2H):7.454(d,J=2.1Hz,1H);7.639(d,J=2.1Hz,1H):11.691(s,1H).HRMS
:C8H5Cl2N3O2(M+)m/zとしての計算値:244.9757;実測値
:244.9769。
実施例43.1−アミノ−5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,
3−キノキサリンジオンの製造
シン,S.C.及びリー,Y.Y.、テーハン・ファハコウ・チ27(5):382−4
(1983)の方法を採用した。5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ
キノキサリン−2,3−ジオン(85mg,0.33mmol)を3NのKOH(1.
5ml)に60℃、0.5時間で溶解すると、透明な褐色溶液が得られ、この溶液
にNH2OSO3H(45mg,0.396mmol、アルドリッチ)を蒸留水(0.5
ml)に溶かした溶液を攪拌しながら、60℃で滴下して加えた。15分後には幾
らかの沈澱が析出した。次いで、この混合液を室温でで一夜攪拌した。褐色の沈
澱を濾過して集め、冷蒸留水(0.5ml)で洗浄してから60℃で2時間、回転
乾燥機で乾燥すると、粗製の1−アミノ−5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−
ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(59mg,65.5%、NMRより異性
体の4−アミノ−5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンを5%含む)を得た。
この粗製の1−アミノ−5−ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,
3−キノキサリンジオンの59mgサンプルを蒸留水(5ml)中に60℃で溶解し
、不溶物を濾過で取り除いた後、濾液をAcOHでpH=5の酸性にすると褐色
の沈澱が析出したが、これを濾過して集め、冷蒸留水(2x1ml)で洗浄した。
この沈澱を回転乾燥機で2時間、60℃で乾燥すると、純粋な1−アミノ−5−
ブロモ−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(49
mg,54.5%)が、褐色粉末として得られた。mp:293−5℃(分解)。
1R(KBr,cm-1):3443;3318:3206:3081:1731;1668:1612:1600;1560;1343.NMR(1H,DM
SO-d6):δ5.832(s,2H): 7.439-7.519(m,2H):11.207(s,1H).HRMS:
C8H5BrFN3O2(M+)m/zとしての計算値:272.9548;実測値
:272.9569。
実施例44.5,6−ジクロロ−2−メルカプトベンゾイミダゾールの製造
バン・アラン,J.A.V.とディーコン,B.D.、オーガニック・シンセシス.IV:
569の方法を採用した。1,2−ジアミノ−4,5−ジクロロベンゼン(51
0mg,2.88mmol、アルドリッチ)、水酸化カリウム(190mg,3.40mm
ol)、二硫化炭素(260mg,3.40mmol)、95%エタノール(3ml)及び
水(0.45ml)から成る混合液を3時間、還流下に加熱した。次いで、活性炭
(120mg)を注意深く加えて、その混合液を10分間、還流温度で加熱した後
、活性炭を濾過で取り除いた。濾液は60−70℃で加熱し、温水(3ml)を加
えてから、水(0.5ml)中の酢酸(0.25ml)を加えて一夜よく攪拌した。
混合液を冷蔵庫に3時間放置すると、二種類の結晶(褐色と白色)を析出した。
褐色の結晶は、クロロホルム(5ml)で洗浄して取り除いた。熱いEtOH/H2
Oから再結晶すると、純粋な5,6−ジクロロ−2−メルカプトベンゾイミダ
ゾール(545mg,86%)が白色の長い針状結晶として得られた。融点を測定
すると:5,6−ジクロロ−2−メルカプトベンゾイミダゾールの色は303℃
で黄色に変化し、5,6−ジクロロ−2−メルカプトベンゾイミダゾールの分解
は305℃で明らかになり、それは308−10℃で黒色の液体に融解した。1R
(KBr,cm-1):3447:3107:3043:1607:1496:1461.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.305(s,2H):1
2.781(s,2H).HRMS:C7H4Cl2N2S(M+)m/zとしての計算値217
.9425;実測値217.9482。
以下の実施例45−55においては、融点は、開封の細管中でトーマス・フー
バー(Thomas Hoover)並びにメル−テンプ(Mel-Temp)の融点測定装置で測り
、未補正である。全ての化合物のIRとH1NMRスペクトルは特定した構造と
合
致しており、得られる限りの既報告のデータと一致した。H1NMRスペクトル
は300MHzジェネラル・エレクトリックQE−300型で記録した:化学シ
フトはデルタ単位で報告しているが、重水素化溶媒の残存プロトンのシグナル(
CD3SOCD2H,δ2.49)を基準にしている。赤外線スペクトルはニコレ
ット5DXB FT−IR分光光度計で測定した。吸収は波数(cm-1)で記録
した。質量スペクトルVG−11−250データシステムを備えたVG ZAB
−2−HF質量分析計で測定したが、特記しない限り、電子イオン化方式(7O
eV)である。溶媒は全て試薬級であった。試薬は、特記しない限り、購入した
まま使用した。
実施例45.1−カルボキシメチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリン
ジオンの製造
1−カルボキシメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−3−オ
ン。ボーサカー,N.等、インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー20
B:822(1981)の方法を採用した。クロロ酢酸(19.000,0.2
00mol)を水(100ml)中で攪拌した溶液を炭酸ナトリウム(10.600
g,0.100mol)で中和し、これにo−フェニレンジアミン(10.800
g,0.100mol、アルドリッチ)を加えた。透明な溶液を4時間還流し、冷
却、0.3Mの炭酸ナトリウム水溶液(150ml)でアルカリ性(pH〜10)
にした。少量の残存固体は濾過で取り除いた。この透明な濾液を濃塩酸で酸性(
pH〜2)にした。灰色に着色した固体が沈澱してきた。それを濾過し、真空(
水流アスピレーター)で乾燥すると、17.2g(83%、H1NMRにより純
粋)の生成物が淡灰色の粉末として得られた,m.p.227−230℃(文献
値m.p.228−230℃、チーズマン、上記)。これは次の反応に使用する
には十分に純粋であった。
1−カルボキシメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン。ボ
ーサカー,N.等、インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー20B:82
2
(1981)の方法を採用した。1−カルボキシメチル−1,2,3,4−テト
ラヒドロキノキサリン−3−オン(15.400g,0.075mol)と水酸化
ナトリウム(5.20g,0.13mol)を水(250ml)中で撹拌した溶液に
、ゆっくりとKMnO4(20.800g,0.132mol)のNaOH水溶液(
4%w/v,120ml)を添加し、暗紫色に着色した溶液は4時間還流してから
、冷却、濾過した。透明な濾液は濃塩酸で酸性(pH〜2)にした。真空(水流
アスピレーター)で濾過すると、9.200g(H1NMRにより56%純度)
の1−カルボキシメチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンがク
リーム色に着色した粉末として得られた,m.p.>300℃(分解)(文献値
m.p.>300℃ボーサカー、上記)。これは次の反応に使用するには十分に
純粋であった。1H NMR:δ4.84(s,2H),7.13-7.27(m,4H),12.16(s,1H): 1R(KBr,cm-1
):3431,1743,1687,1481,1406,1393,1250.
実施例46.1−カルボキシメチル−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2
,3−キノキサリンジオンの製造
ジョージェンソン等、上記、の方法を採用した。濃硫酸(7.5ml)中に1−
カルボキシメチル−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(1.50
0g,0.068mol)およびAg2SO4(2.232g,0.071mol)を入
れて懸濁させた。この液中に、28℃で臭素(0.75ml,0.014mol、ア
ルドリッチ)を添加し、懸濁液をそれから28℃で24時間攪拌した。次いで、
四塩化炭素(7.5ml)を加えてから、この懸濁液を50℃で2時間攪拌した。
次いで、それを氷水(75g)中に注入した。沈澱した白色の固体は濾過して集
め、水(10ml)で洗浄し、真空(水流アスピレーター)で乾燥した。これを4
MのNaOH水溶液(60ml)で処理した。不溶残分は濾過で除去し、透明な濾
液は濃塩酸で酸性(pH〜3)にした。沈澱した白色の固体を濾過し、乾燥する
と、1.81g(H1NMRにより70%純度)の1−カルボキシメチル−6,
7−ジブロモ−1,4
−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンが白色の粉末として得られた、m.p
.>300℃(分解)(文献値m.p.>300℃、ジョルジュセン等、上記)
。
実施例47.1−カルボキシメチル−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2
,3−キノキサリンジオンの製造
6,7−ジクロロキノキサリン−2(1H)−オン。カジミアーズク,Z.等
、リービッヒ・アンナーレン・デル・フェミー75(1982)の方法を採用し
た。4,5−ジクロロ−1,2−7フェニレンジアミン(500mg,2.82mm
ol、ファルツとバウエル(Pfalts and Bauer))とグリオキシル酸−水和物(8
39mg,4.23mmol、アルドリッチ)をエタノール(8ml)に溶かした溶液を
12時間還流した。28℃に冷却すると、紫色に着色した固体が沈澱し、これを
真空(水流アスピレーター)で濾過し、冷エタノール(20ml)で洗浄し、更に
真空で乾燥すると、575mg(H1NMRにより94%純度)の6,7−ジクロ
ロキノキサリン−2(1H)−オンが淡紫色に着色した粉末として得られた、m
.p.325−328℃(文献値m.p.>300℃、カジミアーズク等、上記
)。1H NMR:δ7.40(s,1H),8.02(s,1H),8.18(s,1H),12.52(s,1H).1R(KBr,cm-1):1
668,1606,1468,1387.
6,7−ジクロロ−1−エトキシカルボニルメチルキノキサリン−2(1H)
−オン。ジョーゲンソン等、上記、の方法を採用した。窒素雰囲気下に、ナトリ
ウム(60mg,2.60mmol)を無水エタノール(20ml)に溶解し、それに6
,7−ジクロロキノキサリン−2(1H)−オン (520mg,2.420mmol
)を加えた。暗紫色に着色した溶液は30分間還流し、28℃に冷却してから、
それにブロモ酢酸エチル(485mg,2.900mmol、アルドリッチ)を加え、
更に2時間還流した。この間に紫色に着色した固体が分離したが、これを濾過し
、無水エタノール(10ml)で洗浄し、空気中で一夜乾燥すると、636mg(
H1NMRにより91%純度)の6,7−ジクロロ−1−エトキシカルボニルメ
チル
キノキサリン−2(1H)−オンが淡紫色に着色した粉末として得られた、m.
p.207−210℃(文献値m.p.報告無し)。これは次の反応に使用する
には十分に純粋であった。1H NMR:δ1.18(t,3H,J=6.9Hz),4.14(q,2H,J=6.9Hz),5
.04(s,2H),8.01(s,1H),8.13(s,1H),8.33(s,1H).1R(KBr,cm-1):1737,1662,1400,1
231.
1−カルボキシメチル−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオン。ジョージェンソン等、上記、の方法を採用した。6,7−ジク
ロロ−1−エトキシカルボニルメチルキノキサリン−2(1H)−オン(528
mg,1.840mmol)を0.63MのNaOH水溶液(25ml)に懸濁し、これ
に30%H2O2(0.700ml)を加えた。この懸濁液を70−80℃で5時間
攪拌したが、この間に暗赤色に着色した溶液が生成した。ついで、それを氷浴中
で冷却し、濃塩酸で酸性(pH〜2)にした。沈澱した固体を濾過すると、4
84mgの淡紫色に着色した粉末が得られた。DMF−水から結晶化すると、45
7mg(H1NMRにより85%純度)の1−カルボキシメチル−6,7−ジク
ロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが、灰色に着色した粉末
として得られた:m.p.317−320℃(文献値m.p.317−319℃
、ジョルジュセン等、上記)。
実施例48.6,7−ジクロロ−8−ニトロキノキサリン−2(1H)−オンの
製造
6,7−ジクロロキノキサリン− 2(1H)−オン(100mg,0.465
mmol)をH2SO4(1.5ml)中に撹拌した懸濁液に水(1.0ml)を加えて溶
液とした。これを次いで5−10℃に冷却し、KNO3(50mg,0.46mmol
)を一度に加えた。KNO3を添加すると、暗緑色に着色した溶液が生成するが
、それは、5−10℃で3時間撹拌してから28℃で60時間撹拌した。得られ
た黄色の懸濁液を氷水(15g)中に注入し、析出した黄色の固体を濾過し、一
夜空気中で乾
燥すると、78mgの粗製生成物を黄色の粉末として得た。DMSO−水から結晶
化すると、45mg(37%、H1NMRにより純粋)の6,7−ジクロロ−8−
ニトロキノキサリン−2(1H)−オンが黄色の固体として得られた:m.p.
330−332℃(分解)。1H NMR:δ7.59(s,1H),8.28(s,1H): 1R(KBr,cm-1):1
695,1654,1555,1367:HRMS:C8H2Cl2N3O3(M+)m/zとしての計算
値258.9551:実測値m/z258.9550。
実施例49.1−カルボキシメチル−6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−
ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの製造
1−カルボキシメチル−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオン(100mg,0.264mmol)をH2SO4(1.5ml)中に5−
10℃で攪拌した溶液に、KNO3(28mg,0.28mmol)を一度に加えた
。得られた暗緑色に着色した溶液は、5−10℃で30分攪拌してから28℃で
一夜攪拌した。得られた黄色に着色した懸濁液を氷水(15g)中に注入し、析
出したきらきら光る黄色の固体を濾過し、真空で乾燥すると、53mg(47%
、H1NMRにより純粋)の1−カルボキシメチル−6,7−ジブロモ−5−ニ
トロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンがきらきら光る黄色の粉
末として得られた:M.p.260−264℃。1H NMR:δ4.91(s,1H),7.98(s,1H).
1R(KBr,cm-1):1701,1543,1391,1244.HRMS:C10H5Br2N3O6(M+)m
/zとしての計算値420.8546:実測値m/z420.8559。
実施例50.6,7−ジクロロ−N−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロ−2,3−
キノキサリンジオンの製造
全ての反応は窒素雰囲気下で行った。特記しない限り、試薬は購入したままで
使用した。融点は、メル−テンプ(Mel−Temp)融点測定装置で測り、未補正
である。温度が>250℃の時には、融解前の分解を最小限にするために、サン
プルをブロックの中に置いた。テトラヒドロフラン(THF)は、青色のナトリ
ウムベンゾフェノンケチル溶液から蒸留した。DMFはモレキュラーシーブで乾
燥した。H1 NMRスペクトルは3OOMHzジェネラル・エレクトリックQ
E−300型で記録した:化学シフトはデルタ単位で報告しているが、重水素化
溶媒の残存プロトンのシグナル(CHCl3,δ7.26:CD3SOCD2H,
δ2.49)を基準にしている。赤外線スペクトルはニコレット5DXB FT
−IR分光光度計で測定した。
N−(4,5−ジクロロ−2−ニトロフェニル)オキサミド酸エチル。N−(
4,5−ジクロロ−2−ニトロフェニル)オキサミド酸エチルは、ローブ等、ジ
ャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー28:363(1985)の方法
の変法を用いて製造した。4,5−ジクロロ−2−ニトロアニリン(2.07g
,0.01mol)を乾燥THF(15ml)とトリエチルアミン(1.5ml、0.
011mol)中に0℃で攪拌した溶液に、塩化オキサリルエチル(4.6g、0
.015mol)を滴下して加えた。得られた黄色の懸濁液を水浴中で25℃に温
め、それから3時間攪拌した。ここで得た褐色の懸濁液を75mlの氷水中に注入
した。褐色の沈澱が生成した。混合液は真空で濾過し、固体を1時間風乾すると
、3.27gの暗褐色の固体が得られたが、これをエタノール(38ml)中に、
70℃に加熱して溶解した。水(6ml)を沈澱が析出するまで加えた。この沈澱
が再び溶解するまで、この混合液を再加熱した。褐色の溶液をゆっくりと放冷す
ると、黄色の針状様の結晶が得られた。この混合液を減圧濾過し、結晶を2時聞
風乾すると、1.7322g(5.64mmol)のN−(4,5−ジクロロ−2−
ニトロフェニル)オキサミド酸エチルを淡黄色針状結晶(56.4%)として得
た:mp95−97℃。1H NMR(300 MHz,CDCl3)δ11.897(brs,1H,NH),9.067(s,1
H,H-3),8.412(s,1H,H-6),4.463(q,2H CH2),1.435(t,3H,CH3).
6,7−ジクロロ−N−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−
ジオン。この化合物は、ローブ等、上記、の方法の変法を用いて製造した。N−
(4,5−ジクロロ−2−ニトロフェニル)オキサミド酸エチル(0.307g
,1mmol)と0.04gの5%Pd−Cの5mlのDMF中の混合液を45psiで
1.5時間、水素添加した。反応混合液を濾過し、溶液は水(18ml)に添加し
た。白色の沈澱が析出した。混合液は真空濾過した。この固体を水(5x2ml)
ですすぎ洗いし、1時間風乾すると、215.14mg(0.87mmol)の6,7
−ジクロロ−N−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
が、薄黄色固体(87%)として得られた。この薄黄色固体(215mg,0.8
7mmol)を4m1のDMSO中に加熱して溶解した。水(0.8ml)を沈澱が析出
するまで加えた。この沈澱が再び溶解するまで、この混合液を再加熱した。黄色
の溶液を冷却した。薄黄色の結晶が析出したが、これを減圧濾過で集め、水(5
x2ml)ですすぎ洗いをし、真空で乾燥すると、173mg(0.70mmol)の6
,7−ジクロロ−N−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンを薄黄色の結晶として得た。Mp>300℃(分解)。1H NMR(300 MHz,DMS
O-d6)δ12.244(br s,1H,NH),11.953(br s,1H,N-OH),7.562(s,1H,H-8),7.318(s,1
H,H-5).HRMS:C8H4Cl2N2O3としての計算値245.9599;実測値
245.600。
実施例51.N−(N’−フェニルカルボキサミジル)メチル−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオンの製造
1−カルボキシメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(1
00mg,0.450mmol)とアニリン(62mg,0.66mmol)を乾燥DMF
(2ml)中にN2下、28℃で攪拌した溶液に、DDC(95mg、0.46mmol
、アルドリッチ)を一度に加えた。この溶液は28℃で4時間攪拌した。不溶の
固体を濾過し、DMF(1ml)で洗浄した。透明な濾液を水(30ml)中に注入
した。斯くして得られた固体は濾過し、真空(水流アスピレーター)で乾燥する
と、133mgの粗生成物が灰色の粉末として得られた。これを沸騰エタノール(
20ml)中で、油浴温度を120℃に保ちながら、4時間ソックスレ−抽出をし
て精製した。この不溶物質(円筒濾紙中)を真空で乾燥すると、55mgの純粋な
(H1NMRにより)N−(N’−フェニルカルボキサミジル)メチル−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを白色の固体(若干の生成物も又熱エ
タノールにより抽出される事が本純生成物の低収率の原因である)として得た。
M.p.>300℃(分解)。1H NMR:δ4.92(s,2H),7.01-7.30(m,7H),7.51(d,2H,J
=6.9Hz),10.26(s,1H),12.13(s,1H).IR(KBr,cm-1):3148,1715,1671,1600,1557.
HRMS:C16H13N3O3としての計算値、295.0951:実測値、296
.1033。
実施例52.N−(N’−(p−ニトロフェニル)カルボキサミジル)メチル−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの製造
N−カルボキシメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(2
50mg,1.140mmol)とp−ニトロアニリン(156mg,1.140mmol)
を乾燥DMF(3ml)中にN2下、0℃で攪拌した溶液に、DDC(233mg、
1.140mmol)を一度に加えた。この溶液は28℃に温めてから、室温で一夜
攪拌した。析出した固体を濾過し、透明な濾液を水(30ml)中に注入した。斯
くして
得られた固体は濾過し、真空(水流アスピレーター)で乾燥すると、100mgの
粗生成物が黄色の粉末として得られた。この粗生成物を沸騰エタノール(20ml
)中で、油浴温度を120℃に保ちながら、4時間ソックスレー抽出をして精製
した。この不溶物質(円筒濾紙中)を真空で乾燥すると、23mgの純粋な(H1
NMRにより)N−(N’−(p−ニトロフェニル)カルボキサミジル)メチル
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを淡黄色の粉末(若干の生成
物も又熱エタノールにより抽出される事が本純生成物の低収率の原因である)と
して得た。M.p.>300℃(分解)。1H NMR:δ5.02(s,1H),7.13-7.3(m,4H),7.
78(d,1H,J=8.4Hz),8.21(d,1H,J=8.4Hz),10.92(s,1H),12.16(s,1H).1R(KBr,cm-1)
:3453,1701,1684,1625,1572,1509.HRMS:C16H12N4O5としての計算値、
340.0808:実測値、340.0811。
実施例53.N−(N’−(p−アミノフェニル)カルボキサミジル)メチル−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの製造
N−カルボキシメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(2
00mg,0.910mmol)とp−フエニレンジアミン(98mg,0.91mmol)
を乾燥DMF(2ml)中にN2下、0℃で攪拌した溶液に、DDC(190mg,
0.910mmol)を一度に加えた。この溶液は28℃に温めてから、その温度で
一夜攪拌した。析出した固体を濾過し、透明な濾液を水(10ml)中に注入した
。斯くして得られた固体は濾過し、真空(水流アスピレーター)で乾燥すると、
180mgの粗生成物が褐色の粉末として得られた。この生成物を沸騰エタノール
(20ml)中で、油浴温度を120℃に保ちながら、4時間ソックスレー抽出を
して精製した。この不溶物質(円筒濾紙中)を真空で乾燥すると、135mgの純
粋な(H1NMRにより)N−(N’−(p−アミノフェニル)カルボキサミジ
ル)メチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを白色の粉末とし
て得た。M.p.>300℃(分解)。1H NMR:δ4.84(s,2H),4.93(s,2H),6.5(d
,2H,J=8.4Hz),7.
15-7.25(m,6H),9.83(s,1H),12.15(s,1H).IR(KBr,cm-1):3462,3143,1793,1693,15
93,1443.HRMS:C16H14N4O3としての計算値、310.1066:実測
値、310.1071。
実施例54.N−(N’−フェニルカルボキサミジル)メチル−6,7−ジブロ
モ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの製造
N−カルボキシメチル−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオン(100mg,0.250mmol)とアニリン(25mg,0.25mm
ol)を乾燥DMF(1.5ml)中にN2下、28℃で攪拌した溶液に、DDC(
55mg、0.25mmol)を一度に加えた。この溶液は28℃で18時間攪拌した
。析出した白色の固体を濾過し、透明な濾液を水(6ml)中に注入した。析出し
た固体は濾過し、風乾すると、113mgの粗生成物が灰色の粉末として得られた
。次いで、この粗生成物を沸騰エタノール(20ml)中で、油浴温度を120℃
に保ちながら、5時間ソックスレー抽出をして精製した。この残渣(円筒濾紙中
)を乾燥機(約70−80℃)で一夜乾燥すると、35mgの純粋な(H1NMR
により)N−(N’−フェニルカルボキサミジル)メチル−6,7−ジブロモ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを淡灰色の粉末として得た;m
.p.>300℃(分解)。1H NMR:δ4.97(s,1H),6.99-7.11(m,1H),7.23-7.37(
m,2H),7.44(s,1H),7.52(d,2H,J=8.4Hz),7.73(s,1H),10.25(s,1H),12.25(s,1H).I
R(KBr,cm-1):3620,3468,1714,1694,1595,1542.HRMS:C16H11Br2N3O3
としての計算値、450.9168:実測値、450.9177。
実施例55.N−(N’−(m−ニトロフェニル)カルボキサミジル)メチル−
6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの製造
N−カルボキシメチル−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,
3−ジオン(100mg,0.260mmol)とm−ニトロアニリン(40mg,0.
29mmol)を乾燥DMF(2ml)中にN2下、28℃で攪拌した溶液に、DDC
(60mg,0.29mmol)を一度に加えた。この溶液は28℃で4時間攪拌した
。不溶の固体を濾過し、DMF(1ml)で洗浄した。次いで、透明な濾液を水(
30ml)中に注入した。析出した固体は濾過し、真空(水流アスピレーター)で
乾燥すると、65mgの粗生成物が黄色の粉末として得られた。この粗生成物を沸
騰エタノール(20ml)中で、油浴温度を120℃に保ちながら、4時間ソック
スレー抽出をして精製した。この不溶物質(円筒濾紙中)を真空で乾燥すると、
30mgの純粋な(H1NMRにより)N−(N’−(m−ニトロフェニル)カル
ボキサミジル)メチル−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオンを白色の粉末(若干の生成物も又熱エタノールにより抽出される事
が本純品の低収率の原因である)として得た。M.p.>300℃(分解)。1H NM
R:δ4.98(s,1H),7.45(s,1H),7.61(d of d seen as a t,J=8.1Hz),7.79(s,1H),7.
86(d,1H,J=9Hz),7.91(d,1H,J・8.4Hz),8.54(s,1H),10.76(s,1H),12.28(s,1H).IR(
KBr,cm-1): 3444,3289,1707,1686,1672,1602.HRMS:C16H10Br2N4O5
としての計算値、495.9018:実測値、495.9008。
一般事項
以下の製造においては、特記しない限り、試薬は購入したままで使用した。融
点は、メル−テンプ(Mel-Temp)融点測定装置で測り、未補正である。温度が>
250℃の時には、融解前の分解を最小限にするために、サンプルをブロックの
中に置いた。カラムクロマトグラフィーは、特記しない限り、ダビジル(Davisi
l)のシリカゲル(200−425メッシュ)を使ってフラッシュ方式で実施し
た。分析薄層クロマトグラフィーはアルミニウム板−シリカゲル60F254プレ
ート上で実施し、視覚化は紫外線ランプで行った。H1NMRスペクトルは30
0MHzジェネラル・エレクトリックQE−300型で記録した:化学シフトは
デルタ単位で報告しているが、重水素化溶媒の残存プロトンのシグナル(CHC
l3
δ7.26:CHD 2 OD,δ3.30:CD3SOCD2H,δ2.49:CD3
COCD2H,δ2.04)を基準にしている。13CNMRスペクトルは75M
Hzで測定した。赤外線スペクトルはニコレット5DXB FT−IR分光光度
計で測定した。吸収は波数(cm-1)で記録し、吸収強度は小文字のs(強)、m
(中)、及びw(弱)で表示している。質量スペクトルは,VG−11−250
データシステムを備えたVG ZAB−2−HF質量分析計で測定したが、特記
しない限り、電子イオン化方式(70eV)である。微量分析は、タスコンのデ
ザート分析会社(Desert Analytics of Tuscon)、アリゾナ州で実施した。
実施例56.5−アミノ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
5−ニトロ−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン(327mg,0.89mmol)をエタノール(10ml)中で攪拌した混合液に
、SnCl2・2H2O(1.0g,4.45mmol)を一度に添加した。混合物は
80℃(油浴90℃)で4時間還流した。次いで、この混合液を室温に冷却し、
黄色の沈澱は濾過で集めてから、冷エタノール(2x1ml)で洗浄すると、22
7mg(76%)の粗製の標題化合物(NMRにより少量の不純物を含有)が得ら
れた。DMSO/H2Oから結晶化すると、193mgの純粋な標題化合物が明る
い黄色の針状結晶として得られた;mp:324−6℃(分解)、270℃から
変色。IR(KBr,cm-1):3456:3281:1700:1643.NMR(1H,DMSO-d6):d5.844(s,2H);6.73
2(s,1H);11.257(s,1H):11.810(s,1H).純度:HPLCより>90.96%。H
RMS:C8H5N3O2Br2(M+)m/zとしての計算値:332.8747:
実測値:332.8754。DCKとの相対活性:341%。
実施例57.5−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン(110mg,0.40mmol)をエタノール(6m1)中で攪拌した混合液に、
SnCl2・ 2H2O(448mg,2.0mmol)を一度に添加した。混合物は8
0℃(油浴90℃)で1時間撹拌しながら、透明な溶液になるまで還流し、引き
続き更に3時間還流した。次いで、この混合液を室温に冷却し、黄色の沈澱は濾
過で集めてから、冷エタノール(2x1ml)で洗浄すると、61mg(62%)の
粗製の標題化合物(NMRにより少量の不純物を含有)が得られた。DMSO/
H2Oから結晶化すると、43mgの純粋な標題化合物が明るい黄色の針状結晶と
して得られた、mp>350℃(分解)、32℃から変色。IR(KBr,cm-1):3468;
3389;3057;1695;1636;1596;1397.NMR(1H,DMSO-d6):δ5.935(s,2H);6.595(s,1H);
11.317(s,1H);11.868(s,1H).純度:HPLCより>98.95%。HRMS:C3
H5N3O2Cl2(M+)m/zとしての計算値:244.9757;実測値:2
44.9740。DCKとの相対活性:323%。
実施例58.5−アセトアミド−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
5−アミノ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン(61.5mg,0.25mmol)をDMF(7ml)中で撹拌した溶液に、トリ
エチルアミン(33mg,0.32mmol、使用前に蒸留)及び塩化アセチル(20
mg,0.255mmo1、使用前に蒸留)を添加した。2分後にその混合物は黄色の
溶液になった。25℃で2時間後には沈澱が生成したが、一夜撹拌を続け、その
間にさらに多くの白色沈澱が析出した。この沈澱は濾過で集めてから、水(2x
1ml)で洗浄すると、34mgの粗製の標題化合物(NMRにより少量の不純物を
含有)である白色の粉末が得られた。濾液を水(15ml)に加えると、沈澱が析
出するが、これを濾過で集め、水(2x1ml)で洗浄すると、29mgの純粋な生
成物(N
MRより)を得た。合計収率は88%であった。DMSO/H2Oから結晶化す
ると、25mgの純粋な標題化合物が明るい白色の微細結晶として得られた;mp
:320−2℃(315℃から分解)。IR(KBr,cm-1):3500,3162,3056,1706,160
6,1531.NMR(1H,DMSO-d6):d2.065(s,3H);7.236(s,1H); 9.621(s,1H); 11.655(s,1
H); 12.096(s,1H).HRMS:C10H7N3O3Cl2(M+)m/zとしての計算
値:286.9863:実測値:286.9859。DCKとの相対活性:44
%。
実施例59.6−アミノ−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの製造
6−ニトロ−5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オン(81mg,0.295mmol)をエタノール(3ml)中で撹拌した混台液に、
SnCl2・2H2O(331mg,1.47mmol)を一度に添加した。混合物は8
0℃(油浴90℃)で0.5時間還流すると、透明な溶液を生成したが、引き続
き更に0.5時間還流した。次いで、この混合液を室温に冷却し、黄色の沈澱は
濾過で集めてから、冷エタノール(2x1ml)で洗浄すると、70mg(97%)
の粗製の標題化合物(NMRにより少量の不純物を含有)が得られた。DMSO
/H2Oから結晶化すると、32mgの純粋な標題化合物が明るい黄色の針状結晶
として得られた:mp:342−5℃(335℃から分解)、325℃より変色
。IR(KBr,cm-1):3468,3362,3193,1693,1631,1493,1375;NMR(1H,DMSO-d6):δ5.
418(s,2H);6.999(s,1H);11.238(s,1H);11.776(s,1H).HRMS:C8H5N3O2C
l2(M+)m/zとしての計算値:244.9757:実測値:244.97
69。DCKとの相対活性:8.6%。
実施例60.6−アミノ−7−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオンの製造
6−ニトロ−7−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(
35mg,0.145mmol)をエタノール(2ml)中で撹拌した混合液に、SnC
l2・2H2O(163mg,0.724mmol)を一度に添加した。混合物は80℃
(油浴90℃)で0.5時間還流すると、透明な溶液を生成したが、引き続き更
に0.5時聞還流した。次いで、この混台液を室温に冷却し、黄色の沈澱は濾過
で集めてから、冷エタノール(1x1ml)で洗浄すると、25mg(82%)の粗
製の標題化合物(NMRにより少量の不純物を含有)が得られた。DMSO/H2
Oから結晶化すると、14mgの純粋な標題化合物が明るい黄色の針状結晶とし
て得られた、mp:>350℃(335℃から分解)。IR(KBr,cm-1):3406,3356
,3212,1668,1637,1518,1437.NMR(1H,DMSO-d6):d5.306(s,2H);6.551(s,1H):6.940
(s,1H);11.606(s,1H);11.788(s,1H).HRMS:C8H6N3O2Cl(M+)m/
zとしての計算値:211.0147:実測値:211.0159。DCKとの
相対活性:28.0%。
実施例61.6−アミノ−7−ブロモ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオンの合成
6−ニトロ−7−ブロモ−1,−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(8
7mg,0.30mmol)をエタノール(3ml)とDMSO(0.5ml)中で撹拌し
た混合液に、SnCl2・2H2O(343mg,1.50mmol)を一度に添加した
。混合物は80℃(油浴90℃)で1時間還流すると、透明な溶液を生成したが
、引き統き更に1時間還流した。次いで、これを室温に冷却し、黄色の沈澱は濾
過で集めてから、冷エタノール(2x1ml)で洗浄すると、50mg(67%)の
粗製の標題化合物(NMRにより少量の不純物を含有)が得られた。DMSO/
H2Oから結晶化すると、21mgの純粋な標題化合物が明るい黄色の針状結晶と
して得られた;mp:>300℃(315℃から分解)、300℃から変色。(8
9)
NMR(1H,DMSO-d6):d5.257(s,2H);6.558(s,1H);7.087(s,1H);11.599(s,1H);11.792
(s,1H).HRMS:C8H6N3O2Br(M+)m/zとしての計算値:254.
9642;実測値:254.9630。DCKとの相対活性:7.1%。
実施例62.5−ヨード−7−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオンの合成
A.4−クロロ−2−ヨード−6−ニトロアニリンの合成: リーソン,P.
D.等、(ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー34:1243−1
252(1991))の方法を採用した。氷酢酸(16ml)中に4−クロロ−2
−ニトロアニリン(2.15g,12.45mmol、アルドリッチ、購入したまま
使用)を入れた溶液に、一塩化ヨウ素(2.114g,12.90mmol、アルド
リッチ)を加えた。この混合液は120℃で5時間加熱してから、冷却し、氷水
(30g)中に注入した。沈澱を集め、10%亜硫酸ナトリウム溶液(20ml)
で洗浄し、次いでMeOHから結晶化すると、4−クロロ−2−ヨード−6−ニ
トロアニリン(1.05g,28%)が、長い褐色の針状結晶、m.p.134
−5℃、として得られた。NMR(1H,CDCl3):δ6.660(s,2H):7.906(d,1H,J=2.1Hz);
8.188(d,1H,J=1.8Hz).
B.2−アミノ−4−クロロ−6−ヨードアニリンの合成: 4−クロロ−2
−ヨード−6−ニトロアニリン(389mg,1.305mmol)をエタノール(1
0ml)中で撹拌した混合液に、SnCl2・2H20(1.464g,6.526m
mol)を一度に添加した。混合物は80℃(油浴90℃)で撹拌しながら0.5
時間還流すると、透明な溶液を生成したが、引き続き更に0.5時間還流した。
この溶液を室温に冷却し、氷水(20g)を加えた。pHをpH〜7に調整し、
混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出液をMgSO4で乾燥し、蒸発乾固すると
、336mg(96%)の2−アミノ−4−クロロ−6−ヨードアニリンが、褐色
の固体
として得られた。NMR(1H,CDCl3):δ3.536(s,2H);3.763(s,2H);7.165(d,1H,J=1.8
Hz);6.671(d,1H,J=1.8Hz).
C.5−ヨード−7−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオ
ンの合成: フォゲッド,C.及びジャーナル,P.(ジャーナル・オブ・ラベ
ルド・カンパウンズ・アンド・ラジオファーマシュウティカルズXXXI(5)
:365−373(1992))の方法を採用した。2−アミノ−4−クロロ−
6−ヨードアニリン(366mg,1.253mmol)を2NのHCl(30ml)中
に撹拌した混合液に、蓚酸(160mg,1.269mmol、購入したまま使用)を
一度に添加した。混合液は、120−5℃で3時間還流してから、室温に一夜冷
却した。この混合液を遠心分離し、液体層は取り除いた。赤色の固体を冷水(2
x2ml)で二回洗浄し、濾過して集めて、減圧下60℃2時間乾燥すると、3
00mgの粗製の5−ヨード−7−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサ
リンジオン(74%)が、幾らかの不純物を含む(NMRにより)赤色の粉末と
して得られた。粗生成物の300mgサンプルを1NのNaOH(10ml)に溶解
した。若干の不溶物質を濾過で取り除き、濾液をpH=6の酸性にすると、26
0mgのより純粋な生成物が得られた。DMSO/H2Oから結晶化して、169m
gの純粋な生成物(42%)を赤色の微細結晶として得た、mp:>350℃(
295℃より分解)。HRMS:C8H4N2O2ClI(M+)m/zとしての計
算値:321.9004;実測値:321.8995。DCKとの相対活性:2
8.4%。
実施例63.5−ヨード−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサ
リンジオンの合成
A.4−フルオロ−6−ヨード−2−ニトロアニリンの合成: サイ,W.W
.、(シンセティック・コムニケイションズ22(22):3215−19(1
992))の方法を採用した。エタノール(40ml)中4−フルオロ−2−ニト
ロア
ニリン(312mg,2.0mmol、アルドリッチ、購入したまま使用)の溶液に、
ヨウ素(0.508g,2.0mmol、購入したまま使用)及びAg2SO4(62
2mg,2.0mmol、購入したまま使用)を加えた。この混合液は室温で一日撹
拌した。混合液のTLC(CHCl3)は、これが40%の出発原料と60%の
生成物より成ることを示した。追加のヨウ素(127mg,0.5mmol)及びAg2
SO4(311mg,1mmol)を加えた。この混合液は室温で更に一日間撹拌して
から、析出した黄色の沈澱を濾過で取り除き、濾液は減圧下で蒸発乾固すると、
774mgの粗製の4−フルオロ−6−ヨード−2−ニトロアニリンが得られた。
これを塩化メチレンに溶解し、5%の水酸化ナトリウム溶液(20ml)で、統い
て水で洗浄した。各層を分離後、有機層はMgSO4で乾燥し、蒸発乾固した。
残分をシリカゲルでクロマトグラフしクロロホルムで溶出すると、粗製の4−フ
ルオロ−6−ヨード−2−ニトロアニリンが得られた。このサンプルを分離TL
C(クロロホルムで溶出)で精製すると、純粋な4−フルオロ−6−ヨード−2
−ニトロアニリン(46mg,83%)が、黄色の粉末として得られた。(93)NMR(1
H,CDCl3):δ6.538(σ,2H); 7.768(q,J1=3Hz,J2=6.9Hz,1H);7.939(q,J1=3Hz,J2・
6.9Hz,1H).
B.2−アミノ−4−フルオロ−6−ヨードアニリンの合成: 4−フルオロ
−6−ヨード−2−ニトロアニリン(359mg,1.273mmol)をエタノール
(10ml)中で撹拌した混合液に、SnCl2・2H2O(1.432g,6.3
65mmol)を一度に添加した。混合物は80℃(油浴90℃)で撹拌しながら0
.5時間還流すると、透明な溶液を生成したが、引き続き更に0.5時間還流し
た。この溶液を室温に冷却し、氷水(20g)を加えた。pHをpH〜7に調整
し、混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出液をMgSO4で乾燥し、蒸発乾固す
ると、232mg(73%)の2−アミノ−4−フルオロ−6−ヨードアニリンが
、褐色の固体として得られた。NMR(1H,CDCl3):δ4.366(s,2H); 5.149(s,2H);6.3
68(tetra,1H,J1=3Hz,J2=6.9Hz);6.655(tetra,J1=3.0Hz,J2=6.9Hz,1H).
C.5−ヨード−7−フルオロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジ
オンの合成: フォゲッド,C.及びジャーナル,P.(ジャーナル・オブ・ラ
ベルド・ヵンパウンズ.アンド・ラジオファーマシュウティカルズXXXI(5
):365−373(1992))の方法を採用した。2−アミノ−4−フルオ
ロ−6−ヨードアニリン(232mg,092mmol)を2N(7)HCl(10ml
)中に撹拌した混合液に、蓚酸(126mg,1.0mmol、購入したまま使用)を
一度に添加した。混合液は、120−5℃で3時間還流してから、室温に一夜冷
却した。この混合液を遠心分離し、液体層は取り除いた。赤色の沈澱を冷水(2
x2ml)で洗浄し、濾過して集めて、減圧下60℃で2時間乾燥すると、160
mgの粗製の標題化合物(57%)が、幾らかの不純物を含む(NMRにより)赤
色の粉末として得られた。この粗生成物のサンプルを1N(7)NaOH(10
ml)に溶解し、若干の不溶物質は濾過で取り除いた。濾液をpH=6の酸性にす
ると、I56mgのより精製された生成物を得た。DMSO/H2Oから結晶化す
ると、149mgの純粋な標題化合物(51%)を赤色の微細結晶として得た、m
p:310−2℃(242℃より変色)。IR(KBr,cm-1)3431,3350,3062,1743,17
18,1606,1518,1400.NMR(1H,DMSO-d6):δ6.947(q,1H,J1=2.7Hz,J2=9.3Hz);6.963(
q,1H,J1=2.7Hz,J2=9.3Hz);10.313(s,1H);12.054(s,1H).HRMS:C8H4N2O2FI(M+
)m/zとしての計算値:305.9301;実測値:305.9288。DC
Kとの相対活性:部分的に活性。
実施例64.5−ヨード−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノ
キサリンジオンの合成
A.4,5−ジクロロ−6−ヨード−2−ニトロアニリンの合成: サイ,W
.W.、(シンセティック・コムニケイションズ22(22):3215−19
(1992))の方法を採用した。エタノール(40ml)中4,5−ジクロロ−
2−ニト
ロアニリン(324mg、2.0mmol、購入したまま使用)の溶液に、ヨウ素(5
21mg、2.05mmol、購入したまま使用)及びAg2SO4(622mg、2.0
mmol購入したまま使用)を加えた。この混合液は室温で一日撹拌し(TLCによ
り反応を追跡)、析出した黄色の沈澱を濾過で取り除いた。濾液を減圧下で蒸発
乾固すると、600mgの粗製の4,5−ジクロロ−6−ヨード−2−ニトロアニ
リンが得られた。これを塩化メチレンに溶解し、5%の水酸化ナトリウム溶液(
20ml)で、続いて水で洗浄した。有機層はMgSO4で乾燥し、蒸発乾固した
。残渣をシリカゲルでクロマトグラフしクロロホルムで溶出すると、粗製の生成
物が得られた。これを分離TLC(クロロホルムで溶出)で精製すると、純粋な
4,5−ジクロロ−6−ヨード−2−ニトロアニリン(356mg,53%)が、
黄色の粉末として得られた。NMR(1H,CDCl3);δ6.940(s,2H);8.378(s,1H).
B.1,2−ジアミノ−4,5−ジクロロ−6−ヨードベンゼンの合成: 2
−ニトロ−4,5−ジクロロ−6−ヨードアニリン(216mg,0.648mmol
)をエタノール(5ml)中で撹拌した混合液に、SnCl2・2H2O(730mg
,3.24mmol)を一度に添加した。混合物は80℃(油浴90℃)で撹拌しな
がら0.5時間還流すると、透明な溶液を生成したが、引き続き更に0.5時間
還流した。この溶液を室温に冷却し、氷水(10g)を加えた。pHを5%Na
HCO3水溶液でpH〜7に調整し、混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を
MgSO4で乾燥し、蒸発乾固すると、156mg(80%)の1,2−ジアミノ
−4,5−ジクロロ−6−ヨードベンゼンが、褐色の固体として得られた。NMR(1
H,DMSO-d6):δ4.954(s,2H);5.162(s,2H);6.722(s,1H).
C.5−ヨード−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリ
ンジオンの合成: フォゲッド,C.及びジャーナル,P.(ジャーナル・オブ
・ラベルド・カンパウンズ・アンド・ラジオファーマシュウティカルズXXXI
(5):365−373(1992))の方法を採用した。1,2−ジアミノ−
4,5
−ジクロロ−6−ヨードベンゼン(70mg,0.23mmol)を2NのHCl(1
0ml)中に撹拌した混合液に、蓚酸(32mg,0.25mmol購入したまま使用)
を一度に添加した。混合液は、120−5℃で3時間還流してから、室温に一夜
冷却した。この混合液を遠心分離し、赤色の沈澱を冷水(2x2ml)で二回洗浄
し、濾過して集めて、減圧下60℃で2時間乾燥すると、60mgの粗製の標題化
合物(73%)が赤色の粉末として得られた。このサンプルを1NのNaOH(
8ml)に溶解し、不溶物質は濾過で取り除いた。濾液をpH=6の酸性にすると
、46mgの標題化合物を得た。DMSO/H2Oから結晶化すると、19mgの純
粋な生成物(23%)を赤色の微細結晶として得た、mp:335−8℃(33
0℃より分解開始)。IR(KBr,cm-1):3437,3325,1750,1712,1475,1393.NMR(1H,DM
SO-d6):δ7.273(s,1H);10.282(s,1H);12.038(s,1H).RMS:C8H3N2O2Cl2
I(M+)m/zとしての計算値:355.8614:実測値:355.860
3。DCKとの相対活性:152%。
実施例65.5−ヨード−6−ニトロ−7−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
チーズマン,G.W.H.(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー11
70(1962))の方法を採用した。5−ヨード−7−クロロ−1,4−ジヒ
ドロ−2,3−キノキサリンジオン(96mg,0.33mmol)を濃硫酸(1.0
ml)中に0℃で30分間撹拌して溶解し、この溶解液に、KNO3(36mg,0
.36mmol、ベイカー)を加えた。反応混合液は、0℃で0.5時間撹拌して
から室温にし、30時間撹拌した。この反応液をの氷水(5g)中に注入した。
沈澱が析出するので、これを濾過して集めると、101mgの粗製の標題化合物が
得られた。このサンプルを1NのKOH(5ml)に溶解し、赤色の沈澱は濾過で
取り除いた。濾液を4NのHClでpH=2の酸性にすると、褐色の沈澱が得ら
れ、これを濾過で集めてから50℃で4時間風乾燥した。この標題化合物(75
mg,67%)
は褐色の粉末として得られた。DMSO/H2Oから結晶化すると、純粋な生成
物(34mg)を褐色の微細結晶として得た、mp:388−90℃。(99)IR(KBr
,cm-1):3462,3200,3050,1712,1587,1537.NMR(1H,DMSO-d6):δ7.289(s,IH),10.8
46(s,IH),12.225(s,IH).HRMS:C8H3N3O4ClI(M+)m/zとしての
計算値:366.8855;実測値:測定中。DCKとの相対活性:部分的に活
性。
実施例66.5−ヨード−7−クロロ−6,8−ジニトロ−1,4−ジヒドロー
2,3−キノキサリンジオンの製造
チーズマン,G.W.H.(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティー11
70(1962))の方法を採用した。5−ヨード−7−クロロ−1,4−ジヒ
ドロ−2,3−キノキサリンジオン(74mg,0.23mmol)を濃硫酸(1.0
ml)中に25゜Cで30分間撹拌して溶解し、この溶解液に、KNO3(116m
g,1.17mmol、ベイカー)を加えた。この混合液は、25℃で12時間及び
100℃で4時間撹拌した。この混合液は室温に冷却して氷水(5g)中に注入
した。沈澱が析出するので、これを濾過して集めた。これを1NのKOH(10
ml)に溶解し、濾過し、濾液を4NのHC1でpH=5の酸性にすると、赤色の
沈澱が得られた。これを50℃で4時間乾燥すると、標題化合物(27mg,28
%)が暗赤色の粉末として得られた、mp:240−2℃(180−5℃から変
色し分解)。IR(KBr,cm-1):3431,3218,3143,1712,1550,1400,559.HRMS:C8
H2N4O6ClI(M+)m/zとしての計算値:411.8705:実測値:4
11.8713。DCKとの相対活性:測定中。
実施例67.5,8−ジヨード−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
リーゾン,P.D.等、(ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ−34:
1243−I252(I991))の方法を採用した。6,7−ジクロロ−1,
4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(92mg,0.40mmol)を濃硫酸
(2.0ml)中に室温で30分間溶解し、次いでこの溶液に、ICl(383mg
,2.16mmol)アルドリッチ)を加えた。この混合液は115−20℃で14
時間加熱した。これを室温に冷却し、氷水(10g)中に注入した。沈澱が析出
するので、これを濾過して集めた。この沈澱を1NのKOH(10ml)に溶解し
、濾過し、濾液を4NのHClでpH=5の酸性にすると、赤色の沈澱が得られ
た。これを濾過して集めて、50℃で4時間乾燥すると、標題化合物(147mg
,75%)が白色の粉末として得られた。DMSO/H2Oから結晶化すると、
白色の微細結晶(96mg,50%)が得られた、mp:353−4℃(315℃
から分解)。IR(KBr,cm-1):3428,3189,3142,1741,1688,1462,1396,579.HRMS
:C8H2N2O2Cl2I2(M+)m/zとしての計算値:481.7579:実
測値:481.7575。DCKとの相対活性:測定中。
実施例68.6−ヨード−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの合
成
A.4−ヨード−2−ニトロアニリンの合成: シ,W.W.、(シンセティック
・コムニケイションズ22(22):3215−19(1992))の方法を採
用した。エタノール(100m1)中の2−ニトロアニリン(1.38g,10.
0mmo1、アルドリッチ、購入したまま使用)溶液に、ヨウ素(2.54g,10
.0mmol、購入したまま使用)及びAg2SO4(3.11g,10.0mmol、購
入したまま使用)を加えた。この混合液は室温で1時間撹拌した(TLCにより
モニター)。析出した黄色の沈澱を濾過で取り除き、濾液を減圧下で蒸発乾固す
ると、2.74gの粗製の生成物が得られた。このサンプルを塩化メチレンに溶
解し、5%の水酸化ナトリウム溶液(40ml)で、統いて水で洗浄した。有機層
はMgSO4で乾燥し、蒸発乾固した。残分をシリカゲルでクロマトグラフしク
ロロホルムで溶出
した。分離TLC(クロロホルムで溶出)により、純粋な4−ヨード−2−ニト
ロアニリン(1.8g,68.0%)が黄色の粉末として得られた。NMR(1H,CDCI3
):δ4.832(s,2H); 6.658(d,J=8.7Hz,IH); 7.595(tetra,J,=1.5Hz,J2=8.7Hz,1
H);8.442(d,J=1.5Hz,IH).
B.6−ヨード−1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオンの合成:フ
ォゲッド,C.及びジャーナル,P.(ジャーナル・オブ・ラベルド・カンパウン
ズ・アンド・ラジオファーマシュウティカルズXXXI(5):365−373
(1992))の方法を採用した。2−ニトロ−4−ヨードアニリン(1.8g
,6.9mmol)をエタノール(40ml)中で撹拌した混合液に、SnCl2・2
H20(7.8g,34.6mmol)を一度に添加した。混合物は80℃(油浴90
℃)で撹拌しながら0.5時間還流すると、透明な溶液を生成したが、引き続き
更に1.5時間還流した。この溶液を室温に冷却し、氷水(100g)を加えた
。pHをpH〜7に調整し、混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出液をMgSO4
で乾燥し、蒸発乾固すると、1.235g(78%)の標題化合物が、褐色の固
体として得られた。この生成物(450mg,1.92mmol)を4NのHCl(2
0ml)中に撹拌した混合液に、蓚酸(267mg,2.115mmol、購入したまま
使用)を一度に添加した。混合液は、120−5℃で3時間還流してから、室温
に一夜冷却した。この混合液を遠心分離し、赤色の沈澱を冷水(2x2ml)で洗
浄し、濾過して集めて、減圧下60℃で2時間乾燥すると、140mg(25%)
の粗製の生成物が白色の粉末として得られた。このサンプルを1NのNaOH(
10ml)に溶解し、濾過し、濾液をpH=6の酸性にすると、130mgの生成
物を得,これをEtOH(2ml)で洗浄した。DMSO/H2Oから結晶化する
と、19mgの純粋な標題化台物を白色の微細結晶として得た、mp:355−7
℃。(103)1R(KBr,cm-1)3459,3148,1750,1704,1392.NMR(1H,DMSO-d6):δ6.727(d,
J=8.1Hz,1H),7.053(q,J1=1.8Hz,J2=8.4Hz,1H),11.952(s,1H),11.998(s,1H).H
RMS:C8H5N2O2I(M+)m/zとしての計算値:287.9393:実
測値
:287.9390.DCKとの相対活性:4.7%。
実施例69.6,7−ジブロモ−5,8−ジヨード−1,4−ジヒドロ−2,3
−キノキサリンジオンの製造
リーゾン,P.D.等、(ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー34
:1243−1252 (1991))の方法を採用した。6,7−ジブロモ−
1,4−ジヒドロ−2,3−キノキサリンジオン(105mg,0.33mmol)を
濃硫酸(2.0ml)中に0℃で30分間溶解した。次いでこの溶液に、ICl(
358mg,2.19mmol、ベイカー)を加えた。この混合液は120℃で14時
間撹拌してから、室温に冷却し、氷水(5g)中に注入した。沈澱が析出するの
で、これを濾過して集めた。この沈澱を1NのKOH(10ml)に溶解した。赤
い沈澱を濾過して取り除き、濾液を4NのHClでpH=2の酸性にすると、白
色の沈澱が析出した。これを濾過で集め、50℃で4時間、空気中で乾燥すると
、標題化合物(240mg,>100%)が白色の粉末として得られた。EtOH
から結晶化すると、純粋な標題化合物(I40mg,75%)が得られた、mp:
>350℃。IR(KBr,cm-1): 3437,3287,1718,1593,1550.NMR(1H,DMSO-d6)δ12.2
97(s,2H).HRMS:C8H2N2O2BrI2(M+)m/zとしての計算値:56
9.6569。実測値:測定中。DCKとの相対活性:測定中。
実施例70.1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを使用する結合検
定と動物モデル
方法
A. 1μMグリシン刺激[3H]−MK801の結合検定
イン・ビトロにおけるグリシン拮抗物質の力価は、1μMグリシン刺激[3H
]−MK80Iの結合検定を用い測定した。この検定は、NMDAチャンネルの
細孔内部のPCPレセプターに対する[3H]−MK801の結合が、グルタメ
ートとグリシン両者の存在に依存していると言う事実を利用している。グリシン
が無くて、グルタメ−卜が存在している場合、[3H]−MK801はPCPレ
セプターに対し効果的に結合できない。この理由は、NMDAチャンネルが閉じ
たままになっていて、閉じたチャンネルの細孔内部のPCPレセプターに対する
[3H]−MK801の接近が、厳しく制限されるからである。
この検定は、NMDAレセプターが豊富に存在するラット脳の膜のホモジネー
トを用いて行った。膜は、次の様に調製された。冷凍したラット脳(ペル・フリ
ーズ、ロージャー、アーカンサスから入手)は、15倍容(重量/容槓)の氷冷
した0.32M蔗糖溶液中で均一化した。ホモジネー卜は1,000xgで10
分間回転した。上清を集め、44,000xgで20分間回転した。ペレットは
、15倍量(最初の脳の重量比)の水に懸濁した。ホモジネートは、再度44,
000xgで20分間回転した。ペレットを5倍量の水に再懸濁し、懸濁液を2
回凍結解凍する。最後の解凍サイクル後、懸濁液を水で15倍容にして44,0
00xgで20分間回転した。0.04%トリトンX-100を含むKOHでp
H7.4に調節された5倍量の氷冷10mM・HEPESにペレットを再懸濁し
た。膜をトリトン/HEPES緩衝液と37℃で15分間インキュベートした。
この容積を氷冷したpH7.4の10mM−HEPESで15倍容にし、洗浄の
間44,000xgの回転で回転洗浄を3回行った。最終のペレットを3倍容の
50mM・
HEPES、pH 7.4で懸濁し、標準的な色素結合蛋白質検定(バイオ・ラ
ッド社、リッチモンド、CA)を用いて蛋白質の濃度を測定した。この懸濁液は
使用する迄、−80℃に保管した。すべての緩衝液、懸濁液および洗浄液の調製
には、HPLC用品質の水のみを使用した。出来るだけ膜調製品から内因性のグ
リシンを除去する為に多くの洗浄が必要である。
検定の当日は、予め調製された膜を解凍し、これに5mMのトリス・塩酸緩衝
液、pH7.4を加えて最終の蛋白濃度を0.156mg/mlにした。結合検定の為
に、0.8mlの膜をピペットでポリプロピレン管の中へ取り、これに0.033
mlの15.1μM・5,7−ジクロロキヌレン酸(DCK)、0.033mlの3
0.3μMグリシン含有緩衝液(或いは緩衝液単独)、0.033mlの303μ
Mグルタメート含有緩衝液(或いは対照用にDCK/gly/gluの代替とし
て0.1mM・PCP)、0.033mlのグリシン拮抗物質含有緩衝液(或い
は緩衝液単独)、および200.000cpm[3H]−MK801を含有する0.
1ml緩衝液を加えた。PCPがない時と存在(最終濃度:100μM)する時と
の結合の差を、非特異的結合と定義した。[3H]−MK801の結合における
1μMのグリシンの影響を測定するため、10μMグルタメート(最終濃度)の
みが存在する時の結合放射能を、10μMグルタメートと1μMのグリシン(最
終濃度)の両者が存在する時の結台放射能から引さ算して決めた。5,7−ジク
ロロキヌレン酸(DCK)を最終濃度500nMになる様に、すべての検定管に
添加した。グリシン拮抗物質DCKのこの濃度は、膜調製過程で突行された回数
の多い洗浄によって除去できない、外因性残存グリシンの大部分を「緩衝化した
」。500nMのDCKは、1μMの外因性グリシンの添加により影響される[3
H]−MK801結合の刺激によっては干渉されなかった。
検定は、室温120分間のインキュベートして行い、その後0.3%のポリエ
チレンイミンで前処理したワットマン製ガラス繊維濾紙を用いて真空濾過をする
事によって、膜に結合した放射能を、遊離の放射能から分離した。濾過は、ブラ
ンデル48ウエル細胞収集器を使用して実施した。濾過された膜は、各3mlの氷
冷緩衝液で3回洗浄した。濾紙をシンチレーションバイアルに移し、5mlのシン
チレーション・カクテルを加えた。バイアルを終夜振盪し、放射能を液体シンチ
レーション分光器で計測した。検定は3重に行ない、すべての実験は少なくても
3回実施した。
阻止用量反応曲線は、グリシン拮抗物質の濃度を5nMから330μMまで増
量して作成した。IC50値は、1μMのグリシンで刺激された[3H]−MK8
01結合を阻害する活性のある化合物を、阻害曲線のコンピュータによるプロッ
トと補間によって決められた。グリシンで刺激された[3H]−MK801の結
合を阻害する化合物が見出された場合、グリシンで刺激された[3H]−MK8
01結合の阻害が、実際にNMDAレセプターのグリシン結合部位を介している
か否かを決定する実験が行なわれた。この実験においては、グリシンで刺激され
た[3H]−MK801結合を95%以上阻害するに十分な拮抗物質の一定濃度
で、グリシンを追加しない(1μM以上)時と、グリシンを追加して(2μMか
ら1μM)濃度を増して存在する時の両条件で、膜をインキュベーションした。
もしも1mMのグリシン存在下で薬剤により[3H]−MK801結合の阻害が
、グリシンの濃度を追加増量する事により十分に復帰するならば、[3H]−M
K801結合の阻害は、NMDAレセプターのグリシン結合部位で拮抗物質とし
て働いている薬剤によって、伝達されているとした。
阻止用量反応曲線を作成し、グリシンの可逆性を決定した後、グリシン拮抗物
質のK1値が、実験的に決められたIC50値と、検定におけるグリシンの既知濃
度(1μM)およびNMDAレセプターのグリシン結合部位に対するグリシンの
既知の親和力(100nM)を用いて、チェンとプルソフの式により計算された
。
B. [3H]−AMPAの放射性リガンド結合検定
1μMのグリシンで刺激された[3H]−MK801の結合検定に使用したの
と同じラット脳の膜ホモジネートが、この検定に用いられた。検定の当日は、凍
結膜(上述の通りに調製された)を解凍し、膜の最終濃度が1.25mg/ml膜蛋
白となる様に2.5mMのCaCl2と100mMのKSCNを含む30mMト
リス・塩酸緩衝液、pH7.4で希釈した。結合検定の為に、0.8mlの膜ホモ
ジネートがポリプロピレン管に加えられ、次に0.033mlの薬剤と0.067
mlの緩衝液(或いは、対照として0.1mlの緩衝液のみ)と200,000cpm
の[3H]−AMPAを含む0.1mlの緩衝液が加えられた。検定は、氷上で3
0分インキュベートした。結合放射能は、ブランデル48ウエル細胞収集器を使
用して、(0.3%のポリエチレンイミンで前処理した)ワットマンガラス繊維
濾紙を用いての濾過により、遊離の放射能を分離した。
濾過された膜は、各3mlの氷冷緩衝液で3回洗浄した。濾紙をシンチレーシ
ョンバイアルに移し、5mlのシンチレーション・カクテルを加えた。バイアルを
終夜振盪し、放射能を液体シンチレーション分光器で計測した。非特異的結合は
、10mMのグルタメート存在下、膜に結合して残っている放射能より測定した
。阻止用量反応曲線は、薬剤の濃度を10nMから100μMまで添加増量して
作成した。
C.[3H]−カイネートの放射性リガンド結合検定
[3H]−AMPAの結台検定に使用したものと同じ膜調製品が用いられた。
検定の当日は、凍結ラット脳膜を解凍し、膜の最終濃度が0.5mg/ml膜蛋白と
なる様に5mMトリス・塩酸緩衝液、pH7.4を加えた。結合検定の為には、0
.8mlの膜ホモジネートがポリプロピレン管に加えられ、次に0.033mlの薬
剤と0.067mlの緩衝液(或いは、対照として0.1mlの緩衝液のみ)と20
0,000cpmの[3H]−カイネートを含む0.1mlの緩衝液が加えられた。検
定は、氷上で2時間インキュベートした。結合放射能は、ブランデル48ウエル
細胞収集器を使用して、(0.3%のポリエチレンイミンで前処理した)ワット
マンガラス繊維濾紙を用いての濾過により、遊離の放射能を分離した。濾過され
た膜は、
各3mlの氷冷緩衝液で3回洗浄した。濾紙をシンチレーションバイアルに移し、
5mlのシンチレーション・カクテルを加えた。バイアルを終夜振盪し、放射能を
液体シンチレーション分光器で計測した。非特異的結合は、10mMのグルタメ
ート存在下、膜に結合して残っている放射能により測定した。阻止用量反応曲線
は、薬剤の濃度を250nMから330μMまで添加増量して作成した。
D.ラット脳皮質ニューロン細胞培養系におけるグルタメート神経毒性の阻害
に対するグリシン拮抗物質の効力の評価
チョー(D.W.チョー、ジャーナル・ニューロサイエンス.7:357(1
987))により開発されたモデルを修正した興奮毒性モデルが、新規グリシン
拮抗物質の抗興奮毒性効力を試験するために使用された。ラット胚芽19日の胎
児がタイムメイト(時間交尾)の妊娠ラットから取り出された。胎児から脳を取
り出して、大脳皮質を切開した。切開された皮質から、ランドンとロビンスの方
法(メソード・イン・エンザイモロジ−124:412(1986))に従って
機械的撹拌と酵素的消化との組合わせにより細胞が分離された。分離された細胞
を、80ミクロンのナイテックス篩に通し、細胞の生存度をトリパンブルーによ
り検定した。細胞をポリD−リジン被覆板の上に置き、91%O2/9%CO2を
含む気流中で、37℃でインキュベートした。6日後にフルオル−d−ウラシル
を非神経細胞の増殖を抑制するために、2日間添加した。培養12日目に、初代
ニューロン培養を、グリシン拮抗物質、或いは他の薬剤の投与量増加をするか、
もしくはせすに、5分間100μMのグルタメートに曝した。5分後に培養物を
洗浄し37゜C24時間インキュベートした。神経細胞の損傷は、培養の培地中
に放出された乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を測定する事により検定され
た。LDH活性はデッカー等の方法(デッカー他、ジャーナル・イムノロジカル
・メソード、15:16(I988))に従って測定された。
E.DBA−2マウスの聴原性発作モデルにおけるグリシン拮抗物質の抗痙攣活
性の算定
DBA−2マウスは、ジャクソン・ラボラトリー(バー ・ハーバー、メイン
)から入手した。生後27日令以下のこのマウスは、110デシベル(dB)で
14KHz(湾曲波)の音に曝された時、5−10秒以内に強直性の発作を生じ、
そして死に至る(ロンダール,D.、ディビロープメント・ファマコロジー ・
セオリー.4:28(1982))。音に曝される30分前に薬剤を投与された
動物が、1分間音に曝されている間に発作を生ぜず、また死に至らない場合を、
発作の保護と定義した。21日令のDBA−2マウスをすべての実験に使用した
。化合物は、常に生理食塩水、DMSO、或いはポリエチレングリコール−40
0溶液で腹腔内に投与された。固有の溶媒コントロールは、常に各実験に含めた
。投与量応答曲線は、薬剤の投与量を1mg/kgから100mg/kgまで増量投与して
作成した。各々の投与量群(或いは溶媒コントロール)は、少なくとも6匹から
成っていた。
F.ペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発発作試験における新規薬物の抗痙攣
効力の検定
50mg/kgのPTZを投与(腹腔内)した時、スイス/ウェブスター ・マウ
スは、薬物投与後5−15分以内に約5秒間、最小の痙攣性発作が生じる。グリ
シン拮抗物質(或いは他の薬剤)の抗痙攣効力は、PTZを使用する前30分に
薬剤を投与し、PTZ服用後45分まで発作が生じない時に、発作なしと定義し
た。グリシン拮抗物質、或いは他の薬剤は、常に生理食塩水、DMSO、或いは
ポリエチレングリコール−400溶液で腹腔内に投与された。固有の溶媒コント
ロールは、常に各実験に含めた。投与量応答曲線は、薬剤の投与量を1mg/kgか
ら100mg/kgまで増量投与して作成した。各々の投与量群(或いは溶媒コント
ロー
ル)ほ、少なくとも6匹から成っていた。
G.NMDA誘発死からマウスを保護するグリシン拮抗物質の効力検定
マウスに200mg/kgのN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)を腹腔
内投与した時、マウスは薬物投与後5−10分以内に発作が生じ、続いて死に至
る。NMDAを使用する前30分に薬剤を腹腔内投与する事によって、グリシン
拮抗物質のNMDA誘発死を保護する能力を試験した。グリシン拮抗物質、或い
は他の薬剤は、常に生理食塩水、DMSO、或いはポリエチレングリコール−4
00溶液で腹腔内に投与された。特定の溶媒コントロールは常に各実験に含めた
。用量反応曲線は、薬剤の投与量を1mg/kgから100mg/kgまで増量投与して作
成した。各々の投与量群(或いは溶媒コントロール)は、少なくとも6匹から成
っていた。
H.回転棒(ロトロッド)運動失調試験によるマウスの運動失調性副作用の算定
運動神経の調整不良の程度は、標準的なマウス回転棒の踏み車(フゴ・バジー
ル、バレース、イタリー)を使用する事により評価した。マウスは、本番の実験
の前に踏み車の上に乗せる事により、それに順応させる。正常な運動神経の調整
は、任意に決めた時間(1分)の間は連続的に回転棒の上に滞在する事が出来る
マウスの能力として定義される。この事は、運動神経の調整不良に対する各薬剤
の影響を評価する基礎として役立つ。ダル,M.S.、ジャーナル・ファマシュ
ウティカル・ファマコロジー.40:482−487(1988);ダル,M.
S.他、ライフ・サイエンス.33:1363−1374(1983):および
ダルとウッド、ライフ・サイエンス.39:1429−1437(1986)参
照。ビヒクル(DMSO)、DMSOに溶かした6,7−ジクロロ−5−ニトロ
−1,
4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン或いは6,7−ジブロモ−5−ニト
ロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオをI−300mg/kgの投与量
(腹腔内投与:薬剤投与量或いはビヒクルコントロール当り6匹の動物)でマウ
スに投与した。投与後30分して、マウスを回転棒踏み車の上に乗るせた。踏み
車は、6rpmの速度で操作した。踏み車の上に60秒間滞在する事が出米るマウ
スは、有意な運動不調和は無しと、見做された。毒性投与量50(TD50)は、動
物の50%が回転棒踏み車から60秒以下の内に落下する様な薬物の投与量とし
て定義した。
結果
表IIは、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオン(#1)と5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオン(#2)に対するグリシン結合部位、カイネー
トレセプターおよびAMPAレセプターでの結合検定の結果を示している。
表IIIは、化合物#I、#2および#3を用いて抗痙攣動物モデルに対するイ
ン・ビボ実験の結果を示している(DBA−2マウスの聴原性発作;スイス/ウ
ェブスター・マウスのペンチレンテトラゾール誘発発作:およびスイス/ウェブ
スター・マウスのNMDA誘発発作/死)。
表IVは、他の1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンに対する結合の
データ、抗痙攣動物モデルによるイン・ビボ実験および神経保護の効力試験(イ
ン・ビトロ)の結果を示している。
表Vは、脳細胞培養を含む興奮毒性モデルを用いてのイン・ビトロ検定の結果
を示しており、それは、化合物#1および#2が神経細胞死を保護する事を表わ
している。
表VIはDBA−2マウスの聴原性発作モデルにおける6,7−ジ置換1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのイン・ビボ試験の結果を示している。
表VIIは、グリシン刺激[3H]−MK801結合の検定における、あるN−置
換6,7−ジ置換I,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの結果を示し
ている。
実施例71.5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオンによる全体的虚血保護
健常なアレチネズミおよび5分間両側の頚動脈を閉塞した動物における化合物
の生物活性を測定するために、5−クロロ−7−トリフルオロメチル−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの用量について一連のいろいろな評価を
実施した。図表VIIを参照。
これらの研究には、知覚があり且つ多の薬理的作用物を投与していない動物で
行なわれた。使用されるペントバルビタール麻酔剤を完全に消去するために、虚
血48時間前に、アレチネズミに予備処置を施した。薬剤で試験する時、動物に
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
ージオン、或いはビヒクルを腹腔内投与する。複合投与の場合は、2時間離して
動物に腹腔内投与し、最後の投与は局所虚血させる時期の30分前に施すか、或
いは後処置の場合には、局所虚血の再濯流後30分、2時間、4時間及び6時間
に投与した。
この化合物の直接の薬理活性、或いは潜在的活性を評価する為に、天然のアレ
チネズミに生理食塩水、或いは5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを、投与量を変えて投与した。動作の変
化は、光ビーム運動活動性チャンバーを用いて評価した。このチャンバーは、直
径2フィー卜の光ビーム検出付き円形台で出来ている。動物は、個々に直径2フ
ィートのチャンバーの中に入れられた。このチャンバーは、密封されたキャビネ
ットに収容されており、また素地が無色のノイズ発生器と送風機を使用する事に
より、物音が軽減されている。6時間間隔の最初の薬理的評価の場合に、動物は
このチャンバーに入れられ、各々の運統時間内の全活性がコンピュター制御系に
より累積される。
最初の1時間の活性のレベルが約1600カウントを示す対照動物により、図
1に示す様に、生理食塩水は初期の活性度が高い事を表わした。この対照活性の
程度は、この様な実験条件では、アレチネズミにとって典型的である。活動期間
が進むに従い動物の探究活性は減少し、最終期間で1時間当り約250カウント
に衰退した。
5−クロロ−7−トリ7ルオルメチル−I,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンは、投与量試験(1.0−32mg/kg)の範囲を横断して、自発的な
運動活動性における一貫性のある変化を起こさなかった。対照の挙動は、活動期
間の最初の時間における高い活性度と、6時間の活動期間の最終時間における顕
著
な活性の低下度により特徴づけられた。運動活動性試験につけ加えてアレチネズ
ミの観察は、32mg/kgの高投与量が正常な挙動を変化させない事を示した。1
.0mg/kg、3.2mg/kg、10mg/kg、及び32mg/kgの5−クロロ−7−トリル
オルロメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、最初の探究
度、或いは最終の探究の程度に対して有意な影響を与えなかった(図2−5)。
更に投与量を増加した時に表われる微細な差異がみられたが、それは実際の所、
ある挙動上の鎮静作用効果であるのかも知れない。32mg/kgの投与量では、最
初の探究活性は、生理食塩水の対照群における1200カウントに比較して、約
850から900カウントであった(図5)。時間が進むにつれて、活性は生理
食塩水のコントロールと同じ様式で衰退し、最後には、(最初の時間に比して)
明らかに低いレベルまで衰退したが、それは、種々の投与量の違いに関係なく同
じであった。従って5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオンは、NMDAレセプター拮抗剤MK801(U.S
.特許番号4,888,347参照)及びCGS−19755(シス−4−フォ
スフォノ−メチル−2−ピペリジン−カルボン酸)に認められる様な、重篤な挙
動上の興奮性(PCP様)或いは鎮静効果を有していないようである。すべての
動物は、32mg/kgまでの投与に対して全く良好な耐薬性があり、また重篤な毒
性の証拠を示さなかった。動物はすべて、これらの投与量後7日の間生存してい
た。
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−I,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンの評価に関する次の段階において、アレチネズミをこの化合物の種々
の投与量で予処置した後に、両側の頚動脈を5分間閉塞したままにした。再濯流
の開始に続いて、動物を円形の運動活動性試験装置の中へ入れ、再潅流に続く最
初の時間の初めからその後の4時間に亘って、活性を追跡した。
虚血に曝されずに、運動活動性チャンバーの中へ入れられる前に生理食塩水を
投与された対照動物は、運動活動性の最初の時間における活性が、すべての他の
時間の間よりも十分に高く、そして次第に衰退して4時間を超えると極めて低値
になると言う、特徴的なパターンを示した。図6(白丸記号)は、新規の運動活
動
性試験の環境に置かれた時に、大抵の薩歯類動物を代表する様な対照動物の活性
パターンを示す。4時間の試験期間中の累進的な活性の衰退に較べて、皮質の局
所虚血に5分間曝された対照動物は、完全に異なった運動活動性パターンを示し
た。最初の時間中は、極めて衰退した活性であるが、それに続いて累進的な増加
を示し、4時間の間に活性は、頚動脈閉塞を受けなかった動物が示す活性の10
倍高くなった(図6、黒丸記号)。これらの結果は代表的なものであり、またア
レチネズミを5分間両側の頚動脈を閉塞した時に起る変化の確実な結果である。
別のアレチネズミ群は、頚動脈の閉塞開始前30分に、5−クロロ−7−トリ
フルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンで予備処置さ
れてから、運動活動性チャンバーの中へ入れられて1時間再潅流された。5−ク
ロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ンは、活性に関して局所虚血後の減少と増加を共に妨げた(図7−10、黒丸記
号)。局所虚血後における活性の減少は、再潅流の最初の時間中、零に近かった
。5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンによる予備処置は、この行動の初期的抑圧状態を確実に減少するか、
或いは予防した。その上、5−クロロ−7−トリフルオルメチル−I,4−ジヒ
ドロキノキサリン−2,3−ジオンは行動の局所虚血後の興奮を予防した。再潅
流の3番目と4番目の時間中に確実に起る活性の興奮を、すべての投与量が予防
した(図7−10参照)。局所虚血後の期間の評価に関する、最初と4番目の時
間中の局所虚血後の行動パターンの変化を、図11と12に示す。特に図12は
、5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンの投与量0.32−32mg/kgによる検定において、4番目の時間中
、局所虚血後に見られる機能亢進の激的な減少を、明瞭に示している。
比較する目的で我々はまた、非ストリキニン性グリシン拮抗物質である3−ア
ミノ−1−ヒドロキシピロリド−2−オン(HA966)を用いて、種々の腹腔
内投与による前処置の効果を評価した。HA966の投与量を局所虚血を開始す
る1時間前に服用すると、不活性と活性の投与量間で明らかな分離が見られた。
HA966の1mg/kgは効果がないか、或いは動物が再潅流後24時間の運動活
動性を試験された時、再潅流後に起る行動の変化を悪化させるかであった。同様
にHA966の3.2mg/kgを用いて試験すると、運動活動性において一層大き
な変化が見られた。この条件では、対照動物の活性レベル総計が、毎時約336
1カウントであった。投与量をごくわずか増量すると、両側の頚動脈閉塞による
行動の変化に対して有意な保護作用が観察された。5.6mg/kgと10mg/kgのH
A966は共に、局所虚血後24時間における活性の増加を予防する上で、有効
であると思われた。それ故に、5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンとHA966は、アレチネズミにおいて
大脳の局所虚血応答の特徴である所の、この特別な行動変化の減少に対して有効
である。
単回投与量による前処置の評価を完成してから、続いてアレチネズミに5−ク
ロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ンを多回投与して評価した。5分間の局所虚血開始の前、6時間、4時間、2時
間、30分に腹腔内投与した。後処置方式においては、32と100mg/kgの投
与量を再濯流の開始後30分、2時間、4時間、6時間に服用させた。6−トリ
フルオルメチル−7−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
及び5,7−ジニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(MN
QX)に対比して、5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオンを用いての単回投与量による後処置においては、意
味ある効果が観察された。5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒ
ドロキノキサリン−2,3−ジオンを用いての局所虚血後の治療は、運動活動性
の増加を投与量依存的に予防した(図13)。その上、多回の後処置は、潅流後
の機能充進において有意な減少が認められた(図14)。この活性のレベルは、
同投与量による単回の後処置とは明らかに異なっていた。
すべての動物は24時間中、8本腕の光迷路によって巡回行動の差異が評価さ
れた。この手順においては、動物を迷路の中央出発チャンバーの中へ入れて、防
壁を除き、動物が間違った時間の量と数を、迷路の8本の腕木中での探究を完成
する前に記録した。エラーは、動物により尾を含まない全身の範囲まで入った事
を、一本の腕を再巡回したとして定義された。もし動物が、5分以上腕木から立
去るのを辛抱したり、或いは失敗したら、このセッションは終了とした。これら
すべての評価の場合に動物は、決して5分間の削除点を超過しなかったし、また
エラーの程度は違っていたが、8本の腕木すべてを成功裡に探究した。動物の対
照母集団においては、前経験なし(自然)の迷路のエラーと探究の数は約6回の
間違いであった。これは、Nが28のアレチネズミにとって平均的な値である。
5分間の両側の頚動脈閉塞後、24時間での試験は、アレチネズミのエラーの数
が平均21になった。動物を5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジ
ヒドロキノキサリン−2,3−ジオンで前処置すると、発生するエラーの数は明
らかに減少した。(X=14)これらのデータは、図15に示されているが、次
の事を表わしている。即ち、5分間の局所虚血の前に前処置として投与すると、
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−I,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンにより生じる24時間の運動活動性に変化が見られるのみでなく、光の
腕木迷路の動作において誘導される挙動上のわずかな変化もあるらしいと言う事
を表している。
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンの32mg/kgで後処置しても、局所虚血/再濯流後24時間の短期記
憶損傷が軽減された。これは、このモデルで試験された化合物の中で唯一の発見
である。その上、明白な挙動上の影響がない事は、この中でのより積極的な試験
、及び他のイン・ビボのモデルが保証されている事を示唆している。5−クロロ
−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの
高投与量により明白な毒性応答がないのは、この化合物が良質な治療上の候補に
なる上で安全性の限界を持つている事を示唆している。
背面の海馬における神経細胞死に対して5分間両側の頚動脈を閉塞した影響を
、局所虚血と再灌流の負傷後7日の動物で評価した。神経の変質は、大脳の局所
虚
血に続いて約3日後に始まる事が、予備的な研究により示されている。7日まで
には、影響を受けたこれらのニューロンは細胞が溶解して変質が完結するか、或
いはうす黒い細胞核に見える様になって、細胞核が変性核のある好酸性原形質に
置換されてしまう。局所虚血の5分間の損傷は、本質的に海馬内の背面海馬のC
AI領域に制限されている。角質の中間側面区域は影響を受けておらず、また歯
状回と/或いは、CA3内には病状が認められなかった。アレチネズミは、60
mg/kgのペントバルビタールで局所虚血させて後7日目に麻酔がかけられた。氷
冷生理食塩水に続いて10%のパラホルムアルデヒド緩衝液で、心臓を介して脳
の灌流を行った。脳を取り出して固定液に浸し、切片を作った。切片をヘマトキ
シリン・エオシンで染色し、神経細胞数を100マイクロメーター当りの神経核
の数によって勘定した。図16は、対照の健常動物(局所虚血と再潅流の負傷を
受けていない)では、この領域内にある正常密度の細胞核に有意な変化が認めら
れなかった。5分間両側の頚動脈を閉塞しておくと、CAI領域にある細胞核の
数が、明らかに減少する結果になった。一般的にこの損傷は、10分間の局所虚
血が行なわれた時に見られる集密的な壊死の代わりに、不調和な壊死になってし
まう。0.32−32mg/kgの投与量で5−クロロ−7−トリフルオルメチル−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを前処置すると、海馬神経の変
質が明らかに保護される(図16)。32mg/kgで後処置すると、局所虚血と再
潅流の負傷後に起るCA−1内の細胞損失の程度は減少した(図17)。
結果の要約
1.5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリ2,
3−ジオンは、コントロールの健常動物に有意な行動上の副作用を示さなかった
。
2.5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンの0.32−32mg/kg投与量による前処置は、5分間の大脳の
局所虚血による行動の影響に対して、保護作用が投与量に依存して生
じる。
3.5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンの3.2mg/kgの投与量を局所虚血後に投与すると、海馬のCA
−1細胞に対する局所虚血後の損傷を予防した。0.32−32mg/kgの4投与
量を局所虚血前に投与すると、CA−1領域の海馬細胞に対する局所虚血後の損
傷を予防した。
4.行動上の保護作用は、海馬細胞の損傷に対する保護作用よりも感度が良好
であった。
5.32mg/kgの5−クロロ−7−トリフルオルチル−1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオンによる後処置は、行動上の影響を減少させ、また5分
間の両側の頚動脈閉塞による組織病理学的結果を減少させるか、或いは予防させ
た。
結論
検定した3種類の化合物、即ち6−ニトロ,7−トリフルオル−QXと5,7
−ジニトロ−QX,5−クロロ−7−トリフルオル−QXの中で、5−クロロ−
7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが、
アレチネズミの局所虚血保護にとって抜群に良い化合物である。この化合物には
、行動上重篤な直接の影響が全くなかった。然しながら、これは局所虚血の前に
服用すると、強力な保護剤であった。その上、前処置並びに後処置の複合投与量
は、有意な保護作用を示した。行動上の保護作用は、運動活動性と光腕木迷路の
動作の両方に及んだ。この強い行動上の保護作用と両立して、5−クロロ−7−
トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、また
ニューロンの損傷に対しても保護作用を示した。
実施例72.慢性の痛みにおける5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、6,7−ジクロロ−5−
ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、及び6,7−ジブロ
モ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの効果
NMDAレセプターは、神経や組織の損傷に続いて生じる持統的な痛みの発生
に深く関与している事が知られている。試験動物の後足に少量のホルマリンの皮
下注射によって起る様な組織の損傷が、脊髄中のグルタメートとアスパラギン酸
を即時的に増加させる事は、スキリングにより示されている(スキリング,S.
R.他.、ジャーナル・ニューロサイエンス、10:1309−1318(19
90))。NMDAレセプター遮断薬の服用は、ホルマリンの注射に続いて生じ
る脊髄の背部角質ニューロン応答を減少する(ディケンスとエイダー、ニューロ
サイエンス・レター、121:263−266(1991);ハレー,J.E.
他.、ブレン・リサーチ、518:218−226 (1990))。これらの
背部角質ニューロンは、脊髄から脳へ痛みのシグナルを伝達するのに重要であり
、またこれらニューロンの応答の減少は、ホルマリンの皮下注射によって痛みを
負わされた試験動物が知覚する痛みの減少を表わしている。
NMDAレセプター拮抗物質が、ホルマリンの皮下注射によって誘発される背
部角質ニューロンの応答を遮断し得ると言う観察から、NMDAレセプター拮抗
物質は、手術か、切断(錯覚的な痛み)か、或いは他の負傷の苦痛(負傷痛)に
より生じる痛みの様な慢性的な痛みの治療にとって潜在力がある。然しながら、
慢性的な痛みを予防したり、或いは治療したりするのに使うMK801やCGS
19755の様な普通のNMDA拮抗物質の使用は、これらの薬剤により生じる
有害なPCP様行動の副作用によって、きびしく制限されている。この発明の主
題であるNMDAレセプターのグリシン結合部位に作用する1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン系の拮抗物質は、動物の後足へのホルマリンの皮下
注射によって誘発される、マウスの慢性的な痛みの予防に対し、極めて効果的で
ある。本発明の1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン系のグリシン拮
抗
物質は、PCP的副作用がないので、これらの薬剤は、PCP様不利益な挙動上
の副作用を誘導する事のない、慢性的な痛みの予防、或いは治療において高い有
効性がある。
25−35グラムの雄スイス/ウェブスター系マウス5匹を、餌や水への通路
が自由な檻に収容して、12時聞照明(8時に点灯開始)を持統した。5−クロ
ロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン
(1−40mg/kg)、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオン(5−40mg/kg)、或いは6,7−ジブロモ−5−ニ
トロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(1−40mg/kg)、を
DMSOに溶解した。DMSOがビヒクルとして用いられた。すべての薬剤は、
皮下に注射(1μ1/g)された。ホルマリン試験は、デュビソンとデニスの記載
(ペイン、4:HI61−174(1977))により行なった。径25cm、高
さ30cmのプレキシグラス製シリンダーの中で、マウスを観察した。一本の後足
の裏表面に、5%ホルマリンの20μlを皮下に注射した。動物が次の時間間隔
、即ち0−5’(初期相);5’−10’、10’−15’そして15’−50
’(後期相)の間、ホルマリン注射された後足をなめる事に使う時間量を測定し
て痛みの程度を決めた。2種類のグリシン拮抗物質が実験動物の慢性的痛みを予
防するか否かを試験するために、1mg/kgから40mg/kgの投与量にビヒクルで溶
解したビヒクル(DMSO)や薬剤を、ホルマリン注射の30分前に皮下注射し
た。薬剤やビヒクルコントロールは、各投与量ごとに少なくとも6匹の動物に投
与された。
図18は次の事を示している、即ち、後足へのホルマリン注射前30分に行な
う5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンの皮下注射は、ビヒクルコントロールに比較してホルマリン誘導の痛
みを投与量依存的に有意義に阻止した。この結果は、マウスがホルマリン注射さ
れた足をなめる事に使う時間の、グリシン拮抗物質の投与量増加による減少で判
定した。5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンは、初期と後期の両相においてすべての投与量(1−40mg/k
g)で、ホルマリン誘導のなめる動作を阻止した。
図19は、次の事を示している、即ち、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,
4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの腹腔内注射もまた、動物がホリマ
リンを注射された後足をなめる時間を抑制する事により判定する所の、ホルマリ
ン誘導の痛みを、ビヒクルコントロールに比較して阻止した。6,7−ジクロロ
−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、後期相では
5−40mg/kgでホルマリン誘導のなめる動作を阻止した。一方、初期相におい
ては10−40mg/kgの投与量で阻止された。6,7−ジブロモ−5−ニトロ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、マウスのホルマリン誘導の
痛みに対して、5mg/kgのED50で予防効果を示した。
図20Aと20Bに示す様に6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオンは、痛み(なめる)応答の初期相(0−5分、
図20A)、及び痛みをなめる応答の後期相(15−50分、図20B)の両相
で、ホルマリン誘導のなめる動作を投与量依存的に阻止したが、これは、慢性痛
の動物モデルにおける強い抗疼痛(抗モシセプティブ)効力を示している。
これらの結果は、5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒド
ロキノキサリン−2,3−ジオン、及び6,7−ジブロモ−5−ニトロ−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは、ホルマリンの皮下注射により誘導
される慢性痛の治療に効果がある事を示している。両化合物は、NMDAレセプ
ターのグリシン部位に働く拮抗物質である為、これらの結果は、グリシン拮抗物
質によるNMDAレセプターのグリシン部位の封鎖が、哺乳動物の慢性痛の治療
に対して新しい方法を意味するものである事を、示唆している。本発明のグリシ
ン拮抗物質は、NMDAレセプター遮断薬に共通の重篤な行動上の(PCP様)
副作用がないので、この発明は、できればヒトをも含めて啼乳動物の慢性痛治療
に対して、新しく、また非常に改良された方法を与えるものである。
実施例73.1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジォンのコリン塩とカリ
ウム塩の溶解性の比較
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンは水に不溶であるが、4当量のKOH(又は5当量のNaOH)存在
下溶解する。そのとき液のpHは12.7である。この塩は、1当量の酢酸を加え
てpHを11.9に下けても可溶性のままである。更に1当量の酢酸を加えると沈
殿を形成する。pH11になるまでに沈殿は本質的に完了する。
スペクトルの観測(300MHz1NMR、FTIR)及び融点測定により、pH沈殿物は、
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3
−ジオンのモノK又はモノNa+塩であり、そのモノ塩は水には全く不溶である
ことが示唆される。
意外なことに、5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオンは1又は2当量の水酸化コリンに容易に溶けることが
わかった。5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリ
ン−2,3−ジオンを1当量の水酸化コリンに溶かし、酢酸を加えると、pH9
.4になるまで沈殿は形成しない。このように、5−クロロ−7−トリフルオル
メチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを1当量の水酸化コリ
ンに溶解するとモノコリン塩ができ、これはナトリウムやカリウム塩と異なり水
によく溶ける。図21参照。
モノコリン塩は溶液の凍結乾燥により単離した。単褐色の乾燥粉末が得られた
。水を加えて90mg/1mlの水溶液とする。粉末は直ちに溶解し、澄明な単褐色
の溶液となる。このようにして5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのモノコリン塩は純粋な形で単離するこ
とができる。
2番目の実験では、6,7−ジクロロ−5−ニトロ−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオンのモノコリン塩も水溶性が高いことがわかった。この化
合物を1当量の水酸化コリンに溶かした後、酢酸を加えていくと、pH8になって
初めて沈殿する。
このようにして水溶性の高いキノキサリンジオンのアンモニウム塩が調製でき
る。水溶性は医療用には不可欠であるので、この発見は技術的に重要な前進であ
る。
実施例74.5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンのトリス(トロメタミン)中での製剤化
5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンの5mg/mlの溶液は、5−ニトロ−6,7−キノキサリン−2,3−ジオン
を、10%ポリエチレングリコール400(PEG400)、0.45%ツィー
ン−80及び0.18Mトリス(トロメタミン)を含んだ水溶液に、5−ニトロ
−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの最終濃
度が5mg/mlとなるように溶かすことにより調製した。5−ニトロ−6,7−ジ
クロロー1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンはこの製剤に容易に溶
けた。溶液をオートクレーブで滅菌したものは2ヶ月以上安定であることがわか
った。この溶液は最低1〜2年間は安定であると予測される。5−ニトロ−6,
7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの10mg/mlの
溶液は、この化合物を、50% PEG−400、0.5% ツィーン−80、
及び0.1M卜リス(トロメタミン)を含んだ水溶液に溶かすことにより調製し
た。5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンは、60〜100℃に加温するとこの溶液に容易に溶けた。溶液をオート
クレーブにかけたものは2ヶ月以上安定であることがわかった。この溶液は最低
1〜2年間は安定であると予測される。5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4
−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの5mg/mlの溶液は、この化合物を、
0.05Mトリス(トロメタミン)、0.5%ツィーン−80、及び5%グルコ
ースを含んだ水溶液に溶かすことにより、PEG−400を用いなくても調製で
きた。溶液を滅菌したものは2ヶ月以上安定であることがわかった。この溶液は
最低1〜2年間は安定
であると予測される。
実施例75.5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオンのビスートリスープロパン中での製剤化
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンの10mg/mlの溶液は、この化合物を、0.1Mビスートリスープロ
パン、50%PEG−400又はプロピレングリコール、0.75%ッィーン−
80に溶かし、調製した。この化合物は、沸騰水浴中で加温することにより容易
に溶けた。溶液をオートクレーブにかけたものは2ヶ月以上安定であることがわ
かった。ビスートリスープロパン中のこの化合物は最低1〜2年間は安定である
と予測される。
実施例76.5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ン、及び6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの
マウスの正向反射試験における鎮静/催眠作用
マウスを仰向けにすると直ちに向き直って立ち上がる。鎮静催眠剤又は麻酔剤
は低投与量では正向反射を遅延させ、高投与量では動物をより長時間仰向けのま
まにさせる。5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ン、及びその類似体の6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンについてマウスの腹腔内に注射した後の正向反射に対する効果を調べ
るために実験を行った。2種のキノキサリンジオンを、麻酔作用を持つ既知のN
MDAチャンネル遮断薬であるケタミンと比較した。
雄のスイス/ウェブスター ・マウス(25〜30g)の腹腔内に、5,7−
ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、或いは6,7−ジ
クロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのDMSO溶液(1μ
l/g)をどちらも50mg/kgの投与量で、若しくはケタミンの生理食塩水溶液(1
μl/g)
を50mg/kgの投与量で注射した。正向反射は動物を5分ごとに仰向けにして試
験した。薬物の正向反射に対する効果は次のように採点した:仰向けにしたあと
すぐに立ち直った動物は0点とする:1〜2秒間で立ち直った動物は1点とする
:2〜10秒間で立ち直った動物は2点とする;10秒後も立ち直らなかった動
物は3点とする。5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンの群は13匹で試験し、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリ
ン−2,3−ジオンの群は10匹で試験し、ケタミンの群は10匹で試験した。
図22Aは3種の薬物の正向反射に対する効果を示す。50mg/kgの5,7−
ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは強力で持統性のあ
る正向反射阻害を示した。対照的に、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオンは同投与量(50mg/kg)で全く作用を示さなかった
。ケタミンは50mg/kgで約15分間持続する短時間の正向反射阻害を示した。
ケタミンは、5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ンで認められた程度の正向反射阻害には達しなかった。このように、グリシン/
NMDA拮抗物質である5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2
,3−ジオンは、臨床で麻酔薬として用いられているケタミンよりもかなり高い
効力を有する鎮静/催眠及び麻酔作用を持つ化合物である。ケタミンはNMDA
レセプターのPCP部位に作用するので、PCP様行動の副作用を持つ。5,7
−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンはグリシン拮抗物
質であるので,PCP様の副作用はない。
5,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、及び6
,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンのグリシン、
カイネート塩及びAMPAレセプターに対する結合親和性は、二化合物で実質上
は異ならないので、それらの鎮静/催眠効果での差は、5,7−ジクロロ−1,
4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンが血液・脳関門を通過するのに対し
、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンは通過し
ないという事実によるものと結論できる。これらの発見は、5,7−ジクロロ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンはDAB−2マウスにおける音
誘導発作を
強く防止する作用があるが、6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンは全く作用を示さないという既出の結果にも適用できる。
キノキサリン環の5位の置換は、鎮静/催眠及び鎮痙作用を含め、系統的投与
後のイン・ビボの作用を達成するのに必須であると結論できる。今回の発明はこ
の発見を目指すものである。
実施例77.5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサ
リン−2,3−ジオン、及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ
キノキサリン−2,3−ジオンのラットにおけるPCPの識別
フェンシクリジン(PCP)は乱用という点で重要な薬剤であり、麻酔作用を
示さないような投与量を摂取しても障害となるような中毒を引き起こす(バルス
ター,R.L.”フェンシクリジンの行動薬理学”サイコファマコロジー:ザ・
サード・ジェネレーション・オブ・プログレス、メルツァー,H.Y.、編より
、レイヴン・プレス、ニューヨーク、1573〜1579頁(1987))。薬
剤がヒトでPCP様の中毒を引き起こす力を予測できる動物モデルが開発された
。このモデルでは、動物にPCP中毒を知覚するよう教えるという薬剤識別訓練
方法を用いている。毎日、食餌を補給してほしいときにはレバーを押すよう訓練
されたラットに、ケージ中の2個のレバーのうちどちらが正しいかを選択させる
。正しいレバーを選択するために受ける刺激は、ラットがPCPを注射されたか
、賦形薬を注射されたかを検知する能力のみである。約2箇月間の訓練の後、P
CPの注射と賦形薬の注射をよく識別できるようになり、他の薬剤についてそれ
をPCPと識別できるかどうか調べる試験に用いられるようになる。
この方法で試験を行うと、PCP様の中毒を引き起こすことが知られている他
の薬剤はPCPの代用となる。これらの薬物には、ケタミン、シグマ・アゴニス
ト薬剤であるN−アリルノルメタゾシン、及び1,3−置換ジオキソランである
デキソキサドロール及びエトキサドロールのような種々のPCP類似体が含まれ
る(ブラディー他、ファマコロジー ・バイオケミカル・ビヘビアー.17:2
91−295(1982);ブラディー他、サイエンス.212:178−18
0(1982);ブラディー他、ジャーナル・ファマコロジカル・エクスペリメ
ンタル・セオリ.220:56−62(1982);スライファーとバルスター
、サブスト・アルコール・アクションズ/ミズース.5:273−280(19
84);バルスターとウィレッツ、”レセプター ・メディエーション・オブ・
ザ・ディスクリミネーティブ・スティミラス・プロパティ・オブ・フェンシクリ
ジン・アンド・シグマーオピオイド・アゴニスト.” トランスダクション・メ
カニズム・オブ・ドラッグ・スティムリ、コルペアト・アンド・バルスター編よ
り、シュプリンガー・フェアラーク、べルリン、122−135頁(1988)
)。
この研究のために、2mg/kgのPCPと生理食塩水の賦形薬を識別できるよう
に訓練されたラットを用いて、5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−
ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンについて試験を行った。各化合
物の投与量範囲は、脳及び行動に効果をもたらすに十分な高投与量で確実に試験
できるよう注意して選択した。
方法
それぞれ別に収容し、食餌摂取を制限した成熟した雄のスプレーグ・ドーリー
・ラット(COBSC DNチャールズ・リバー・ファームズ、ウィルミントン
、DE)6匹を、被検動物とした。
装置.実験は、市販のレバーの2個ついた、音と光を減じるための仕切りに囲
まれたラットの操作チャンバーの中で行った。チャンバーは45mgの小球を出す
ディスペンサーを備え付けている。実験中は刺激光を点灯した。
訓練.この研究を始めるに先立って、毎日(月曜日から金曜日まで)30分間
にわたり、一定の割合の32のスケジュールのもとに、食餌補給を求めるときに
はレバーを押すようラットを訓練した。訓練中は、片方のレバーにのみ応答した
ときのみ食餌が補給され、正しくないレバーに応答したときは、正しいレバー
についての一定の割合の要求事項を変えた。訓練中は、各レバーは2mg/kgのP
CP、或いは生理食塩水の注射と対応させた。PCPと生理食塩水の訓練は二交
替制で行った。訓練は、被検動物が連続4回の訓練期間中、各期間を正しいレバ
ーで始められるようになるまで続けた。訓練終了後(2〜3ヶ月)、試験を開始
した。
試験.一般化試験は一週間に2回(火曜日と金曜日)行った。試験の間の期間
は、動物にはPCPと生理食塩水注射の訓練を続けさせた。先の訓練期間中に、
最初に一定の割合で正しいレバーを押し、正答率が85%を超えたとき、試験を
行った。試験中はどちらのレバーに応答しても食餌は補給した。2.0mg/kgの
PCPN及び生理食塩水の試験は、各投与量反応曲線を求める最初に行った。試
験は、PCP(0.5、1.0、2.0、4.0、及び8.0mg/kg)、5−ク
ロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオ
ン(6.0、12.5、及び25mg/kg)、及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ
−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(2.0、4.0、6.0、
8.0、及び16.0mg/kg)について行った。5−クロロ−7−トリフルオル
メチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、及び5−ニトロ−6
,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの試験に先立
って、0.5ml/kgのDMSOビヒクルについても試験を行った。
薬剤.フェンシクリジン塩酸塩は、ナショナル・インスティチュー卜・オン・
ドラッグ・アビュースから入手した。生理食塩水に溶かし、訓練及び試験の15
分前に1.0ml/kgを腹腔内に投与した。投与量は塩酸塩で示した。5−クロロ
−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、
及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−
ジオンは、どの投与量でも注射容量が0.5ml/kgとなるようにDMSOに溶か
した。5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオン、及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキ
サリン−2,3−ジオンとも、試験の40分前に腹腔内に注射した。
データ解析.試験薬剤のPCP2.0mg/kgとの同等性は、PCPのレバーに
対する応答率の平均値に反映されている。行動に対する非特異的効果は、生理食
塩水コントロールに対する平均応答率の差に表れている。高い薬剤投与量での応
答率か0.05秒未満しか下がらなければ、その試験におけるその被検動物のP
CPレバーへの応答率は群平均には含めなかった。こうしたのは、被検動物がひ
どく損傷を受けている場合はレバー選択のデータを解釈するのが困難であること
による。
結果
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンについての結果を図23A及び23Bに示す。図の左側に、1
.0mg/kgの生理食塩水、2mg/kgのPCP、及び0.5ml/kgのDMSOによる
コントロール試験の結果を示す。生理食塩水、及びDMSOとも試験したいずれ
の場合にもO%のPCPレバー応答を示した(上の図)。PCPは、各投与量反
応曲線測定の前に試験したときは100%のPCPレバー応答を示した。このよ
うに一貫して正確であるということが、この識別実験で典型的にみられることで
ある。生理食塩水、PCPN及びDMSO(下の図)のあとの応答率はいくぶん
変動しやすいが、PCPにもDMSOにも、生理食塩水によるコントロール試験
の応答率と異なった値を示させるだけの明確な効果はなかった。
異なった投与量のPCPで試験したとき、PCPレバー応答は投与量依存的に
増加を示した。2mg/kg以上では100%一般化できる。PCP投与量が8mg/kg
のときだけ応答率は減少したが、このことはこの方法が低投与量のPCP様の識
別剌激効果に特異的であることを示すものである。
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンのいずれも、試験したどの投与量においてもPCPレバ−応答
を示さなかった。5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノ
キサリン−2,3−ジオンは、12.5、及び25mg/kgにおいて投与量依存性
の応
答率の減少効果があった。5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオンは、6、8、及び16mg/kgにおいて応答率の減少
効果があった。これらのデータのばらつきを考慮すると、5−クロロ−7−トリ
フルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンよりも、5−
ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンか
応答率に対する効果において、確実に強力であると結論づけることはできない。
しかしながら、両化合物の、行動に対し活性を有する投与量範囲を評価できたこ
とは明らかである。
検討及び結論
5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオン及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンとも、PCP様の識別刺激効果は全くなかった。この点では、
この実験において完全にPCPの代用となりうるPCPN ジゾシルピン、ケタ
ミン、(+)−N−アリルノルメタゾシン等のPCP部位に競合しないNMDA拮
抗物質とは劇的に差を示した(ブラディ他、サイエンス.212:178−18
0(1982):ウィレッツとバルスター、ヨ一ロッピイアン・ジャーナル・フ
ァマコロジー.146:167−169(1988))。試験した化合物がラッ
トにおいてPCP様効果を示せるということは、ヒトにおいてPCP様の精神病
類似の効果を示し、乱用の危険性があるということを予測させる。このように、
これらのデータから5−クロロ−7−トリフルオルメチル−1,4−ジヒドロキ
ノキサリン−2,3−ジオン、及び5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジ
ヒドロキノキサリン−2,3−ジオンともこれらPCP様の副作用がないと結論
づけることができよう。他方、これらのデータからではこれらの化合物に他の副
作用がないとは結論できず、PCPにより引き起こされる副作用に類似したもの
ではないだろうと結論づけられるのみである。
実施例78.マウスにおける5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロ
キ
ノキサリン−2,3−ジオンによるPCP様の運動性刺激の欠如
序論
NMDAレセプター拮抗物質、特にNMDAチャンネル遮断薬は醤歯類に行動
刺激を起こす(ケーク他、ジャーナル・ファマコロジカル・エクスペリメンタル
・セオリ.245:969(1988))。行動剌激はヒトにおけるPCPの精
神病類似の副作用のもとになっていると考えられる(ケーク他、ジャーナル・フ
ァマコロジカル・エクスペリメンタル・セオリ.245:969(1988);
トリックルバンク他、ヨーロッピイアン・ジャーナル・ファマコロジー.167
:127−135(1989))。行動刺激は、MK801やPCP等のNMD
Aチャンネル遮断薬で特に顕著であるが、CGSI9755のような競合的NM
DA拮抗物質によっても引き起こされる(トリックルバンク等、ヨーロッピイア
ン・ジャーナル・ファマコロジー.167:127−135(1989))。
5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンが醤歯類において行動刺激効果があるかどうか試験するために、同化合物に
ついて運動活動性試験を行った。5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒ
ドロキノキサリン−2,3−ジオンは、麻酔剤レベル以下の投与量では、運動活
動性により判断する限り、行動刺激を引き起こさないことがわかった。対照的に
、MK081は麻酔作用に至らない投与量で運動行動に強い剌激を示した。これ
らの結果から、5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン
−2,3−ジオンはPCP様の行動刺激効果はないことが示唆される。
方法及び材料
雄のスイス/ウェブスター・マウス(25〜30g)はサイモンセンから入手
し、温度管理し、照明・暗黒の周期を12時間とした部屋に8〜10匹の群に分
けて収容した。食餌及び水は自由に摂取させた。
運動活動性はオムニテック運動活動性装置を用いて試験した。動物には、DM
SO、或いは5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−
2,3−ジオンのDMSO溶液を、0.1、0.25、0.5、1、及び5mg/k
gの投与量で腹腔内に注射した。注射容量は1ml/kgとした。次に動物を運動活動
性チャンバーに入れ、その運動行動を15分間隔で4回連続して記録した。他の
動物には、生理食塩水又はMK801の生理食塩水溶液を、0.1、0.25、
0.5、1、及び5mg/kgの投与量で注射(腹腔内)し、運動活動性を記録した
。
結果
MK801をスイス/ウェブスター・マウスに注射(腹腔内)すると、投与量
に依存して運動活動性か増加した(図24)。最高の運動活動性レベルは、2回
目の15分間隔で得られた。そこで、薬剤注射後2回目の15分間隔における運
動活動性を図24に示す。運動活動性のピークはMK801の投与量が0.25
mg/kgのときであった。MK801の投与量を更に増量しても、0.25mg/kg
の投与量のときに比べて運動活動性は低かった。MK801の投与量が5mg/kg
のときには、運動活動性は低下し、ベースラインを下回った。対照的に、5−ニ
トロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンはベ
ースラインを超える運動活動性刺激を全く示さなかった(図24)。5−ニトロ
−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの投与量
が5mg/kgのときには、運動活動性は低下し、ベースラインを下回った。より高
投与量の5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,
3−ジオンについても試験した(10、20、及び50mg/kg)。どの投与量で
も運動活動性刺激を認めなかった。50mg/kgの投与量では、動物は腹腔内注射
後30分間全く正向反射を示さなかった。また5−ニトロ−6,7−ジクロロ−
1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン50mg/kgの投与量では、麻酔
作用を示唆する痛覚応答の顕著な消失を認めた。
結論
5−ニトロ−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジ
オンは、マウスに運動活動性刺激を示さなかった。対照的に、NMDAチャンネ
ル
遮断薬であるMK−801は、強い運動活動性剌激を示したが、これはこの化合
物により引き起こされるPCP様の行動効果と矛盾しない。PCP様の行動刺激
効果を欠いているということは、NMDA/グリシン拮抗物質である5−ニトロ
−6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンには、他
種類のNMDA拮抗物質の臨床開発を障害した行動刺激の副作用がないことを示
唆している。
この発明についてすべてを記載し終えたが、この分野で通常の技術レベルを持
つ人なら、この発明の範囲及び発明の実施に影響を及ぼすことなく、条件、製剤
化、その他の点において広くかつ同等の範囲で、同じことが実施できると理解で
きるだろう。ここで引用した全ての特許及び出版物は、丸ごとこの中の参考文献
に完全に組み込まれる。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CZ,FI,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,M
G,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,RU,SD
,SK,UA,US,VN
(72)発明者 キーナ、ジョン・エフ・ダブリュ
アメリカ合衆国97405 オレゴン、ユージ
ーン、オニックス・ストリート 3854番