JPH0562254A - 光デイスクの製造方法 - Google Patents

光デイスクの製造方法

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JPH0562254A
JPH0562254A JP3222692A JP22269291A JPH0562254A JP H0562254 A JPH0562254 A JP H0562254A JP 3222692 A JP3222692 A JP 3222692A JP 22269291 A JP22269291 A JP 22269291A JP H0562254 A JPH0562254 A JP H0562254A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】将来の電子出版物として光ディスクが期待され
ているが、従来技術では生産速度が遅くこれに応えるこ
とができない。本発明はこの問題を解決する光ディスク
の製造方法を提供するものである。 【構成】図1に示すようにシリコン等の基板にクロムマ
スクを用いて密着露光、エッチングなどのリソグラフイ
技術により短時間で多数枚のスタンパを作ることができ
る。この多数枚のスタンパを用いることにより高速で大
量にレプリカ基板の転写が可能となる。 【効果】本発明により、従来のニッケルスタンパ、射出
成形法に比較して少なくとも10倍以上の速度で光ディ
スクを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CD−ROM等の再生
専用型光ディスクおよび追記型、可逆型光ディスクの製
法に係り、特に転写プロセスの高速化に優れた光ディス
クの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクには再生専用型と読み書き可
能型とがある。前者にはレーザディスク(LD)やコン
パクトディスク(CD)があり現在大量に生産されてい
る。再生専用型光ディスクには上記以外にマルチメデア
媒体としてCD−ROM、CD−I、DV−Iなどがあ
り、これらは今後大きく発展しようとしている。特に電
子出版物としての光ディスクに対する期待は大きい。ま
たディスクの寸法としては5〜1インチの小型ディスク
が主流となりつつある。このような円板を大量転写する
場合、従来のLDやCDの製造方法の主流である射出成
形法では製造速度に限度がある。
【0003】従来技術によると、まずスタンパはニッケ
ルの電鋳プロセスを採用しているので時間がかかりすぎ
る。さらに多数枚のニッケルスタンパを作製するために
は、そのたびに電鋳プロセスにかけなければならず、ま
すます長時間を必要とする。つまりオリジナルテープを
入手してからスタンパ完成までに時間がかかり、電子出
版のように短納期が要求される場合には応じきれないと
いう問題がある。一方転写プロセスとしての射出成形法
ではディスク一枚当たり10秒前後であり高速転写とは
いえない。この方法ではニッケルスタンパを装着した金
型内に溶融化した樹脂を高温高圧で充填し冷却したあ
と、取り出されるものである。330〜350℃の樹脂
を80℃近くまで冷却するために、10秒前後の時間が
必要である。この転写プロセスのあと、CD−ROMの
場合はアルミ等の反射膜が形成されるが、この成膜プロ
セスは能力的に十分速い。したがって全体の生産速度は
転写プロセスが律速となっている。
【0004】転写プロセスの高速化に関する発明として
特開平1−115621号、特開平2−44540号各
公報がある。これらは凹凸情報パターンを有するニッケ
ルスタンパを加熱しておいた樹脂シートの表面に押し付
けて転写させる方法であるがサブミクロンの微細パター
ンの転写性に問題があるといわれている。将来さらに微
細化することを考えると優れた方法とは言い難い。また
UV樹脂を用いた転写方法、いわゆる2P法(Phto-Pol
ymerization) による高速転写に関する発明として特開
昭56−51031号、特開昭56−87203号、特
開昭57−50304号、特開昭63−153745号
および特開昭64−48246号各公報がある。これら
は連続的に移動する透明樹脂シート上にUV樹脂を塗布
し、この上にスタンパを押しつけながらシートをとおし
て紫外光を照射しUV樹脂を硬化させる。スタンパから
UV樹脂硬化物を剥離させることにより転写が完了す
る。そのあと光反射膜、保護膜を形成し最後に円板状に
打ち抜くという方法である。スタンパとしては平坦状の
もの、またはドラム状の表面にスタンパを貼り付けたも
のを輪転機のように回転させる方法も記載されている。
また複数枚のスタンパを用い一回の照射により多数枚の
転写を可能とする方法についても述べられている。しか
しながらスタンパに関する詳細は記述されていないか、
あるいは従来法で作製したニッケルスタンパを用いるこ
とが述べられているだけである。ニッケルスタンパを従
来法で作製した場合、短時間で多数枚のスタンパを作製
することができず、短時間に大量の光ディスクを作製す
ることができない。
【0005】一方、スタンパに関する発明として特開昭
59−224320号公報がある。シリコン基板上に形
成したフォトレジスト膜に対して記録すべき情報に基づ
いて光変調したレーザ光ビームを照射(これをカッテン
グプロセスという)したあと現像、エッチングにより凹
凸パターンを形成し、これをスタンパとする方法であ
る。この場合でも多数枚のスタンパを作製するためには
毎回カッテイングプロセスの必要があるのでやはり時間
がかかりすぎる。電鋳プロセスがなくなる分、時間効率
は改善されるが、一回につき60〜30分かかるカッテ
ングプロセスを毎回必要とするからである。またこの方
法では作製されたスタンパ面上の情報である凹凸ピット
の形状、寸法にスタンパ間のバラツキが生じ易い。した
がって従来方法としてはカッテイングプロセスでパター
ニングされて得られる原盤(第1図b)は厳密な検査を
経たものだけが次のプロセスに使用されることになる。
数多くのスタンパをこのような方法で作製することは困
難である。また、イオンミリングを使ってNiスタンパ
を短時間で直接作製する手法もあるが、この方法ではパ
ターンの凹凸が逆になって凹パターンになってしまう。
こうなると先のインジェクション(射出成形)法によっ
て光ディスクを複製しようとすると微細なパターンの転
写が困難であり、不良品が数多くできてしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
の欠点を解決し、短時間で大量に光ディスクを作製する
方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明の特徴は、フ
ォトレジスト膜付シリコン、石英、ガラスまたは金属か
らなる基板のフォトレジスト膜に露光、現像、エッチン
グ処理を施して得られるスタンパから紫外線硬化樹脂を
用いて透明樹脂基板に光ディスクの情報パターンを転写
させて光ディスクのレプリカ基板を作製する工程を有す
る光ディスクの製造方法おいて、上記露光が、光ディス
クの情報パターンを有する光非透過性マスク付基板のマ
スク側の面を上記フォトレジスト膜付基板のレジスト側
の面に密着させて行われる光ディスクの製造方法にあ
る。
【0008】この場合には、信号部が凹状パターンにな
っている凹型スタンパとなる。
【0009】上記フォトレジストとしては、ナフトキノ
ンアジドとフェノール樹脂との混合物であるポジ型フォ
トレジストを使用することができる。また、上記のスタ
ンパ材である金属としては、ニッケル、銅、クロム、コ
バルト、チタン等を用いることができる。さらに上記紫
外線硬化樹脂としては、低分子量のモノ、ジ、トリまた
はテトラアクリル酸エステルに光重合開始剤を添加した
混合物を用いることができる。アクリル酸エステルとし
ては、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリ
レート、フェニルアクリレート、2−エトキシエチルア
クリレート、オクタデシルアクリレート、1、4−ブタ
ンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコール
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート等が好ましく、また、光重合開始剤としては、ベン
ゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンゾイン等
が好ましい。
【0010】第2の発明の特徴は、フォトレジスト膜付
シリコン、石英、ガラスまたは金属からなる基板のフォ
トレジスト膜に露光、現像、エッチング処理を施して得
られるスタンパから紫外線硬化樹脂を用いて透明樹脂基
板に光ディスクの情報パターンを転写させて光ディスク
のレプリカ基板を作製する工程を有する光ディスクの製
造方法おいて、上記露光が、光ディスクの情報パターン
を有する光非透過性マスク付基板のマスク側の面を上記
フォトレジスト膜付基板のレジスト側の面に密着させて
行われ、かつ、上記現像が、光非照射領域の上記フォト
レジスト膜を除去し、その下に配置された基板表面をエ
ッチングし、光ディスクの情報パターンを有する凸型ス
タンパを作製する光ディスクの製造方法にある。
【0011】上記フォトレジストとしては、ポジ型画像
反転レジストまたはネガ型レジストを使用し、凸型スタ
ンパを製造し、これを使用することが好ましい。
【0012】凸型スタンパとは、信号部が凸状パターン
になっているスタンパのことである。ポジ型画像反転レ
ジストとしては、上記ポジ型フォトレジストと同じ材料
を用いることができる。ただし、これは露光の後に画像
反転のためのリバーサルベークを行い、さらに全面均一
露光を行った後、現像すると、あたかもネガレジストの
ように、光が照射された部分のレジストが残存するもの
である。ネガ型レジストとしては、環化ゴムに芳香族ビ
スアジドを添加したもの、または、ポリメチルイソプロ
ペニルケトンにビスアジドを混合したものを用いること
ができる。
【0013】シリコン、石英、ガラス、または金属のエ
ッチングには、湿式法、反応性イオンエッチング法、イ
オンミリング法を用いることができる。湿式法によるサ
イドエッチングではサブミクロンパターンの形成には問
題がある。これに対して反応性イオンエッチング法は、
反応ガスとしてCF4、CHF3等を用いるもので、高分
解能であり、シリコン、石英、ガラス等のエッチングと
して望ましい。ニッケル、クロム等の金属のエッチング
には、加速Arイオンを照射するイオンミリング法が望
ましい。
【0014】上記露光、現像、エッチング処理を繰り返
して得られる複数枚のスタンパをホルダーに固定し、一
回の転写プロセスで複数枚のレプリカ基板を作製するこ
とができる。
【0015】ホルダーはAl等の金属、プラスチック、
あるいはセラミックスからなり、上記スタンパを接着剤
などで固定できる平面を有するものである。
【0016】上記転写プロセスにおいては、連続的ある
いは間歇的に移動している透明樹脂シート上に液状紫外
線硬化樹脂を凸状態に置き、その上に上記ホルダーを押
しつけてから紫外光を照射して硬化させた後スタンパか
ら剥離する工程を有することが好ましい。
【0017】透明樹脂シートとしては、ポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル、ポリオレ
フィン、ポリエチレンテレフタレート等を用いることが
できる。
【0018】上記ホルダーを少なくとも3個使用し、ホ
ルダーで紫外線硬化樹脂を押しつけ、紫外光照射および
スタンパからの剥離を連続的におこなっても良いし、各
面に複数枚のスタンパを固定させた多面体を有するホル
ダーを使用しても良い。
【0019】また、上記シリコン、石英、ガラスあるい
は金属のスタンパ表面をフッソ化合物、シリコン化合物
から選ばれる少なくとも1つの離型剤で処理したスタン
パを用いることがレプリカ基板のスタンパからの剥離上
好ましい。
【0020】上記光非透過性マスクは、好ましくはクロ
ム、タンタル、モリブデン、ニッケルまたは白金等をス
パッタリングあるいは蒸着によってガラス基板等の透明
基板に積層して得られる。本発明に用いる光非透過性マ
スクとしては、クロムマスクまたはタンタルマスクが密
着露光プロセスに必要な硬度の点から特に好ましい。
【0021】なお、通常光ディスクを作製するには、上
記レプリカ基板を作製する工程の次に、光反射膜または
光記録膜および保護膜を順次形成する工程が行なわれ
る。
【0022】上記光反射膜としては、アルミニウム、
金、銀、白金などの金属膜を用いることができる。ま
た、光記録膜としては、追記型記録膜としてTe系、色
素系を、可逆型記録膜としては、カルコゲナイド系の相
変化材料およびTeFeCo系の光磁気材料を用いるこ
とができる。また、上記保護膜としては、前述の紫外線
硬化樹脂あるいは数10μm厚さのプラスチックシート
を用いることができる。
【0023】次に、本発明を図面によりさらに詳しく説
明する。
【0024】図1(a)に示すようにクロムマスク2付き
ガラス基板1にフォトレジスト3を塗布し、カッテング
装置により情報に応じたレーザ光5をレンズ4により集
光して照射する。その後現像とエッチングとにより図1
(b)に示すような情報パターン付きクロムマスクを得
る。クロムマスクを用いる利点として、欠陥箇所を修正
できるということもある。次に鏡面研磨したシリコンウ
エハ、石英板、ガラス板あるいは金属板6にポジ型のフ
ォトレジスト3を塗布し、図1(c)に示すようにこの上
にクロムマスクを密着させ露光、現像し、図1(d)のよ
うにフォトレジストにパターンを形成したあと、ドライ
エッチングすることにより図1(e)に示すような凹パタ
ーンを有するスタンパ6−1が得られる。この方法の特
徴は、カッティングにより一枚のクロムマスクを作製す
れば、その後短時間で多数枚の凹パターンスタンパを容
易に作り出せることである。
【0025】また、上記フォトレジストとして、ポジ型
の画像反転フォトレジスト3−1を用いて、図2
(a)、図2(b)のプロセス及び図2(c)の密着露
光の後、図2(d)のレジストのリバーサルベークを行な
い、現像することで、図2(e)に示すような、あたか
もネガレジストのように光が照射された部分のレジスト
が残存したパターンを得ることが出来る。
【0026】従って、これをドライエッチングすると図
2(f)に示すような凸パターンを有するスタンパ6−
1が得られる。
【0027】またUV樹脂硬化物とスタンパとの剥離を
容易にするためスタンパの表面を、フッ素化合物、シリ
コン化合物等の離型剤でコートする処理を施すと作業性
は向上する。
【0028】離型剤には、スタンパ表面を低エネルギー
の表面にすることにより離型力を小さくする作用があ
る。このような作用を有するフッ素化合物としては、F
(CF2n−(CH22−Si(OCH33、但し、n
は1〜8、また、シリコン化合物としては、Cn2n+1
Si(OCH33、但し、nは8〜18、を用いること
ができる。
【0029】シリコン、石英、ガラスの研磨面は粗さが
小さく、金属の研磨面に比較して光ディスクとしてのノ
イズが10〜15dB低いという特長がある。しかし金
属板の中でも研磨なしにフォトレジスト膜面にニッケル
のスパッタリングと電鋳で作製したニッケル板表面のノ
イズは十分低く、本発明においてスタンパ用基板として
使用できる。得られるニッケルスタンパは従来の射出成
形法にも使用できることは当然である。
【0030】次に図3に示すように複数枚のスタンパを
ホルダー8に固定する。ポリカーボネート等の透明樹脂
シート10上に液状の紫外線硬化樹脂11を置き、この
上からスタンパを押しつけた後、紫外線を照射し樹脂を
硬化させる。この2P法は転写性に優れた方法である。
一回の転写プロセスでセットしたスタンパの枚数分のレ
プリカが得られる。また図4に示すようにスタンパを複
数枚固定したホルダーを3個以上用意したプロセスとす
ることにより、さらに転写の高速化が可能となる。また
図5に示すように多面体のそれぞれに一枚以上のスタン
パをセットしたドラム型のホルダーを透明樹脂シートの
移動に合わせて回転させることによっても高速転写が可
能となる。
【0031】
【作用】シリコンウエハ、石英板、ガラス板あるいは金
属板を基板とするスタンパ作製時に、ポジ型レジストを
使用し、光照射領域のレジストを除去し、その下に配置
された基板表面をエッチングするリソグラフイ技術を応
用することで、より短時間で多数枚のスタンパを作製す
ることができる。この時、カッティングにより一枚の光
非透過マスクを作成すれば、その後短時間で多数枚のス
タンパを容易に作り出せる。従って、得られた複数枚の
スタンパをホルダーにセットし、透明樹脂シートを連続
的に移動させながら紫外線硬化樹脂を用いてシート面上
に一回の紫外線照射、剥離プロセスで複数枚のレプリカ
基板の転写を可能とし、転写プロセスの高速化を達成す
ることができる。
【0032】また、ポジ型画像反転レジストまたはネガ
型レジストを使用すると凸型スタンパを作製することが
できる。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〕半導体用のガラス製クロムマスク基板にポ
ジ型フォトレジストAZ−1350を0.2μmの厚さに
塗布し、80℃で一時間ベーキングした。クロムマスク
膜の厚さは約0.1μmであり、ポジ型のフォトレジス
トとして、東京応化社製TSMRV5を用いた。次に、
Arイオンレーザを備えたカッティング装置により、図
1(a)に示すようにレンズ4でレーザ光5を集光し、記
録情報に応じたレーザ光のパルスを照射して、フォトレ
ジスト膜内に潜像を形成した。東京応化社製NMD−3
の現像液を用い、現像液濃度を2.38%として約1分
現像処理を行なった。その結果、露光された部分のレジ
ストが除去され、パターン形成が完了した。
【0034】次にこれを100℃で30分間ポストベー
クし、Arイオンのミリング装置にかけてクロム膜をエ
ッチングした(クロム膜のエッチングは、硝酸第2セリ
ウムアンモニウム水溶液(関東化学製 混酸S−2N)
による湿式エッチングでも可能であった)。エッチング
条件は、Ar圧約3×10~2Pa、加速電圧を600V
とした。この時のエッチング速度は0.013μm/分で
あった。また、残っているフォトレジストを酸素アッシ
ングにより除去し、情報パターン付きクロムマスクが得
られた。情報パターンは直径3.0インチ内に記録する
ようにした。
【0035】一方、3.5インチの円形状シリコンウエ
ハ(厚さ0.4mm)表面にポジ型フォトレジストAZ−
1350を0.2μmの厚さに塗布し、80℃で一時間ベ
ーキングした。次に図1(c)に示すようにして得られた
クロムマスクとシリコンウエハを密着させて高圧水銀灯
の光で露光した。
【0036】次に現像処理後ポストベークし、CF4
反応ガスとして反応性イオンエッチィング装置(RI
E)によりシリコンウエハ表面をエッチングした(シリ
コン表面はArイオンビームによってもエッチングする
ことができた。しかし湿式エッチングではサイドエッチ
となり望ましい凹状ピットは得られなかった)。用いた
装置は平行平板型であり、周波数を13.56MHzと
した。ガス圧を5Pa、パワーを400Wとしたところ
エッチング速度は0.032μm/分であった。シリコ
ン表面上に深さが0.14μmの凹となるように制御し
た。残っているフォトレジストは酸素アッシングで除去
し、シリコンスタンパが得られた。ここでは一バッチ3
枚のシリコンウエハを処理したが、さらに小型のディス
クの場合にはより多くのスタンパを処理できる。
【0037】次に紫外線硬化樹脂硬化物から容易に剥離
できるようにシリコン表面をフッ素化合物で処理し表面
エネルギーを低下させた。具体的にはF(CF28
(CH22−Si(OCH33の溶液を回転塗布する
か、あるいは蒸発させてシリコン表面をこの分子でおお
ったあと100℃で10分間熱処理した。この表面処理
によりシリコン表面は水に対する接触角が約110度と
なり、表面エネルギーが低下していること、および紫外
線硬化樹脂硬化物からの剥離力が、未処理スタンパのと
きと比べて数分の一になることを確認した。熱処理によ
りフッ素化合物はシリコン表面に化学結合するので、転
写プロセスで離脱することはない。ただし、フッ素化合
物処理の際、情報の凹凸パターンが埋まらないように付
着量を正確に制御する必要がある。前記化合物以外に、
市販されているフッ素系コーテイング剤およびシロキサ
ン系処理剤でも同様の効果があった。
【0038】このようにして得られた3枚のシリコンス
タンパを図3に示すようにAl製のホルダーに固定す
る。この際、高速硬化型のエポキシ系の接着剤9を使用
した。図4に示すように厚さ0.6mmのポリカーボネー
トシート10をロール(図示せず)から引きだす。シー
トの幅は300mm、また、シートのリタデーション(複
屈折率)はダブルパスで60nm以下である。このシート
上に液状の紫外線硬化樹脂11を凸状に滴下し、その上
からスタンパ付きホルダ8を押しつけた。
【0039】紫外線硬化樹脂としては、1、4−ブタン
ジオールジアクリレート50重量%とトリメチロールプ
ロパントリアクリレート50重量%との混合物に光重合
用開始剤としてベンゾフェノンを2重量%添加したもの
を用いた。凸状に滴下するのは、紫外線硬化樹脂と点接
触し気泡が入らないための工夫である。また紫外線硬化
樹脂を図6のようにスタンパの下面に供給するようにす
れば、液体樹脂の形状は下に凸となり、透明樹脂シート
と接触するとき、やはり気泡が入りにくくなる。
【0040】紫外線硬化樹脂がスタンパ全面に拡げられ
たあと高圧水銀灯により、シート側から紫外線7を一秒
間照射した。用いた高圧水銀灯の出力は80W/cmであ
った。硬化速度は紫外線硬化樹脂の光感度と光源の強度
に依存するが、硬化速度が高いほど高速で転写できるこ
とになる。得られた紫外線硬化樹脂層の厚さは20μm
程度であった。次に硬化した紫外線硬化樹脂層をスタン
パから剥離した。
【0041】以上のようにホルダ一個の場合には剥離後
再びつぎの液状紫外線硬化樹脂を押しつけることになる
ので紫外線硬化樹脂が拡がるまで待たなければならな
い。その分、レプリカ基板の転写プロセスの速度が低下
する。そこでこの待ち時間を短縮するために、図4に示
すようにスタンパを一列に並べたホルダーを3個用意
し、そのうち一個が紫外線硬化樹脂を拡げる工程、もう
一個は紫外光照射工程、3個目は剥離工程とすることに
よりさらに高速化が可能となった。一秒間の紫外光照射
で硬化が不十分の場合には剥離後も紫外光が照射できる
ようにした。つまり硬化が不十分でもスタンパから転写
された凹凸パターンが変形しない程度に硬化しておれば
良く、残りの硬化は後の照射で達成させようという考え
方である。またホルダー内のスタンパを図3のように一
列だけでなく、複数列並べればさらにレプリカ基板の転
写プロセスを高速化することができる。ポリカーボネー
トシートは一定速度で移動させるだけでなく、一定時間
停止しておき次に高速で移動させるという間歇的なもの
でも良い。
【0042】情報パターンが転写されたポリカーボネー
トシートに反射膜としてアルミ膜を約1×10~4Paで
スパッタリングし、厚さを約70nmとした。この場合も
シートは連続的にスパッタリング装置内を通過させた。
次に各転写パターンの中心を光学的な手法で検出しなが
ら3.0インチサイズの光ディスクとして打ち抜いた。
その上に保護膜として転写時の紫外線硬化樹脂と同じも
のを用いて形成した(保護膜を設けたあとで打ち抜いて
も同じものが得られた)。
【0043】得られたCD−ROMの電気信号特性とし
てのC/N比は、従来のCDと同等の55〜60dBで
あった。また追記型や可逆型光ディスクの場合には、ア
ルミ反射膜の代わりに、約1×10~4Paでスパッタリ
ングして、Te80Se20追記型記録膜を約25nm、Ge21Sb26
Te53相変化可逆記録膜を約30nmまたはTb24Fe62Co14
磁気記録膜を約30nm積層し評価したところ、いずれも
C/N比は55〜60dBとなり、良質の光ディスクで
あることが確認できた。
【0044】〔実施例2〕実施例1のポジ型レジストと
して、ヘキストジャパン社製のAZ5200ポジ型画像
反転用レジストを用いた他は、実施例1と同様にして密
着露光を行ない、画像反転のためのリバーサルベーク
(120℃、5分)を行ない、全面均一露光を行なった
後、現像処理したところ、あたかもネガレジストのよう
に、光が照射された部分のレジストが残存したパターン
をが得られた。次に、ポストベークし、CF4を反応ガ
スとして反応性イオンエッチィング装置(RIE)によ
りシリコンウエハ表面を深さ0.14μmの凸となるよ
うに制御してエッチングした(シリコン表面はArイオ
ンビームによってもエッチングすることができた。しか
し湿式エッチングではサイドエッチとなり望ましい凸状
ピットは得られなかった)。残っているフォトレジスト
は酸素アッシングで除去し、シリコンスタンパが得られ
た。ここでは一バッチ3枚のシリコンウエハを処理した
が、さらに小型のディスクの場合にはより多くのスタン
パを処理できる。
【0045】次に、実施例1と同様にして、シリコン表
面を剥離剤で処理し、紫外線硬化樹脂を用いて情報パタ
ーンを転写した後、情報パターンが転写されたポリカー
ボネートシートに反射膜としてアルミ膜を約1×10~4
Paでスパッタリングし、厚さを約70nmとした。この
場合もシートは連続的にスパッタリング装置内を通過さ
せた。次に各転写パターンの中心を光学的な手法で検出
しながら3.0インチサイズの光ディスクとして打ち抜
いた。その上に保護膜として紫外線硬化樹脂膜を設けた
(保護膜を設けたあとで打ち抜くこともできた)。
【0046】得られたCD−ROMの電気信号特性とし
てのC/N比は、従来のCDと同等の55〜60dBで
あった。また、アルミ反射膜の代わりに、約1×10~4
Paでスパッタリングして、Te80Se20追記型記録膜を約
25nm、Ge21Sb26Te53相変化可逆記録膜を約30nmまた
はTb24Fe62Co14光磁気記録膜を約30nm積層し評価した
ところ、いずれもC/N比は55〜60dBとなり、良
質の光ディスクであることが確認できた。
【0047】上記ポジ型画像反転用レジストの代わり
に、ネガ型レジストを使用した場合は、分解能が低く、
C/N比の測定ができなかった。
【0048】〔実施例3〕実施例1又は実施例2のシリ
コンウエハの代わりに表面が鏡面研磨してある3.5イ
ンチ、厚さ1mmの石英板を用いた。石英の表面エッチン
グには、反応ガスとしてCF4を用いる反応性イオンエ
ッチングを用い、その他は実施例1と同様なプロセスに
よってCD−ROMとして打ち抜いた。得られたCD−
ROMの電気信号特性としてのC/N比は、55〜60
dBとなり、良好な電気信号特性が得られた。
【0049】〔実施例4〕実施例1又は実施例2のシリ
コンウエハの代わりにニッケル板を用いた例を次に示
す。
【0050】5インチ径のガラス円板(厚さ5mm)の上
にフォトレジストを0.2μmの厚さに塗布し、80℃で
一時間ベーキングした。このフォトレジスト表面上にニ
ッケル膜(厚さ60nm)をスパッタ法により形成したあ
と、これを電極としてニッケル層(厚さ0.2〜0.5m
m)を電鋳法により形成した。これをフォトレジスト膜
とガラス円板との界面で剥離し、表面の平坦なニッケル
円板を作製した。この場合ニッケル層が薄い場合にはニ
ッケル円板の平坦性が低下するので、鉄などの平坦な裏
打円板を接着剤により貼りつけたあとフォトレジスト膜
とガラス円板との界面で剥離させた。得られたニッケル
円板は、3.5インチ径となるように外周を加工した。
【0051】このニッケル円板を実施例1のシリコンウ
エハの代わりに使用してニッケルスタンパを作製した。
ニッケルのエッチングにはArイオンビームエッチング
法を採用した。前述のようなニッケル円板をあらかじめ
数多く準備しておけば、実施例1のように短時間に多数
枚のレプリカ基板を作ることができる。
【0052】得られたニッケルスタンパをホルダーにセ
ットし転写させたあとアルミ膜、保護膜を順次形成し、
最後に3.0インチのCD−ROMとして打ち抜いた。
得られたCD−ROMの電気信号特性としてのC/N比
は、55〜60dBとなり従来のCDと比べて同等以上
であった。
【0053】
【発明の効果】本発明ではシリコン、石英、ガラスある
いは金属をスタンパ材として用い、密着露光、ドライエ
ッチング等のリソグラフイ技術で短時間に多数枚の凹型
スタンパまたは凸型スタンパを作製することができる。
したがって、得られた多数枚のスタンパを用いて2P法
により高速転写を行ない、多数枚のレプリカ基板を短時
間で作製することができる。
【0054】すなわち、本発明によりオリジナルテープ
を入手してから短時間の間に大量の光ディスクを作製す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のスタンパ作製までのプロセスを示
す説明図である
【図2】第2の発明のスタンパ作製までのプロセスを示
す説明図である
【図3】本発明のスタンパ作製プロセスで得られたスタ
ンパを固定した金型(ホルダ)の平面図(a)と断面図
(b)である
【図4】本発明のレプリカ基板転写プロセスの一実施例
を示す図である
【図5】本発明のレプリカ基板転写プロセスの一実施例
を示す図である
【図6】本発明で用いる紫外線硬化樹脂供給の一実施例
を示す図である
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…クロムマスク、3…フォトレジス
ト、3−1…画像反転フォトレジスト、4…レンズ、5
…レーザ光、6…シリコンウエハ、石英、ガラス、また
は金属板、6−1…スタンパ、7…紫外光、8…ホル
ダ、9…接着剤、10…透明樹脂シート、11…紫外線
硬化樹脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 恵三 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 白石 洋 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フォトレジスト膜付シリコン、石英、ガラ
    スまたは金属からなる基板のフォトレジスト膜に露光、
    現像、エッチング処理を施して得られるスタンパから紫
    外線硬化樹脂を用いて透明樹脂基板に光ディスクの情報
    パターンを転写させて光ディスクのレプリカ基板を作製
    する工程を有する光ディスクの製造方法において、上記
    露光が、光ディスクの情報パターンを有する光非透過性
    マスク付基板のマスク側の面を上記フォトレジスト膜付
    基板のレジスト側の面に密着させて行われることを特徴
    とする光ディスクの製造方法。
  2. 【請求項2】上記露光、現像、エッチング処理を繰り返
    して得られる複数枚のスタンパをホルダーに固定し、一
    回の転写プロセスで複数枚のレプリカ基板を作製するこ
    とを特徴とする請求項1記載の光ディスクの製造方法。
  3. 【請求項3】上記転写プロセスにおいて、連続的あるい
    は間歇的に移動している透明樹脂シート上に紫外線硬化
    樹脂を凸状態に置き、その上に上記ホルダーを押しつけ
    てから紫外光を照射して硬化させた後スタンパから剥離
    する工程を有することを特徴とする請求項2記載の光デ
    イスクの製造方法。
  4. 【請求項4】上記転写プロセスにおいて、上記ホルダー
    を少なくとも3個使用し、ホルダーで紫外線硬化樹脂を
    押しつけ、紫外光照射およびスタンパからの剥離を連続
    的におこなうことを特徴とする請求項2記載の光デイス
    クの製造方法。
  5. 【請求項5】上記転写プロセスにおいて、各面に複数枚
    のスタンパを固定させた多面体を有するホルダーを使用
    したことを特徴とする請求項2記載の光デイスクの製造
    方法。
  6. 【請求項6】上記シリコン、石英、ガラスあるいは金属
    のスタンパ表面をフッソ化合物、シリコン化合物から選
    ばれる少なくとも1つの離型剤で処理したスタンパを用
    いることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに
    記載の光デイスクの製造方法。
  7. 【請求項7】上記光非透過性マスクがクロムマスクまた
    はタンタルマスクであることを特徴とする請求項1記載
    の光ディスクの製造方法。
  8. 【請求項8】上記レプリカ基板を作製する工程の次に、
    光反射膜または光記録膜および保護膜を順次形成する工
    程を有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク
    の製造方法。
  9. 【請求項9】フォトレジスト膜付シリコン、石英、ガラ
    スまたは金属からなる基板のフォトレジスト膜に露光、
    現像、エッチング処理を施して得られるスタンパから紫
    外線硬化樹脂を用いて透明樹脂基板に光ディスクの情報
    パターンを転写させて光ディスクのレプリカ基板を作製
    する工程を有する光ディスクの製造方法おいて、上記露
    光が、光ディスクの情報パターンを有する光非透過性マ
    スク付基板のマスク側の面を上記フォトレジスト膜付基
    板のレジスト側の面に密着させて行われ、かつ、上記現
    像が、光非照射領域の上記フォトレジスト膜を除去し、
    その下に配置された基板表面をエッチングし、光ディス
    クの情報パターンを有する凸型スタンパを作製すること
    を特徴とする光ディスクの製造方法。
  10. 【請求項10】上記露光、現像、エッチング処理を繰り
    返して得られる複数枚のスタンパをホルダーに固定し、
    一回の転写プロセスで複数枚のレプリカ基板を作製する
    ことを特徴とする請求項9記載の光ディスクの製造方
    法。
  11. 【請求項11】上記転写プロセスにおいて、連続的ある
    いは間歇的に移動している透明樹脂シート上に液状紫外
    線硬化樹脂を凸状態に置き、その上に上記ホルダーを押
    しつけてから紫外光を照射して硬化させた後スタンパか
    ら剥離する工程を有することを特徴とする請求項10記
    載の光デイスクの製造方法。
  12. 【請求項12】上記転写プロセスにおいて、上記ホルダ
    ーを少なくとも3個使用し、ホルダーで紫外線硬化樹脂
    を押しつけ、紫外光照射およびスタンパからの剥離を連
    続的におこなうことを特徴とする請求項10記載の光デ
    イスクの製造方法。
  13. 【請求項13】上記転写プロセスにおいて、各面に複数
    枚のスタンパを固定させた多面体を有するホルダーを使
    用したことを特徴とする請求項10記載の光デイスクの
    製造方法。
  14. 【請求項14】上記シリコン、石英、ガラスあるいは金
    属のスタンパ表面をフッソ化合物、シリコン化合物から
    選ばれる少なくとも1つの離型剤で処理したスタンパを
    用いることを特徴とする請求項9から13までのいずれ
    かに記載の光デイスクの製造方法。
  15. 【請求項15】上記光非透過性マスクがクロムマスクま
    たはタンタルマスクであることを特徴とする請求項9記
    載の光ディスクの製造方法。
  16. 【請求項16】上記レプリカ基板を作製する工程の次
    に、光反射膜または光記録膜および保護膜を順次形成す
    ることを特徴とする請求項9記載の光ディスクの製造方
    法。
  17. 【請求項17】上記フォトレジストとして、ポジ型画像
    反転レジストを使用し、凸型スタンパを製造し、これを
    使用したことを特徴とする請求項9記載の光ディスクの
    製造方法。
  18. 【請求項18】上記フォトレジストとして、ネガ型レジ
    ストを使用し、凸型スタンパを製造し、これを使用した
    ことを特徴とする請求項9記載の光ディスクの製造方
    法。
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