JP2004136692A - 金属製第3成形型を大量に製造する方法、樹脂基板を製造する方法及び樹脂基板 - Google Patents

金属製第3成形型を大量に製造する方法、樹脂基板を製造する方法及び樹脂基板 Download PDF

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Abstract

 【課題】 表面粗さRaやうねりWaの少ない個性のない金属製第3成形型(Niスタンパー)を大量に安価に作る。
 【解決手段】原盤から電鋳法により、金属製の第1成形型(3)を製造する工程、前記第1成形型からアクリルウレタン樹脂製の第2成形型(4)を製造する工程、前記第2成形型(4)から金属製の第3成形型(6)を製造する工程とからなる(図3のA)。
【選択図】 図3

Description

 本発明は、金属製第3成形型を大量に製造する方法、製造された金属製第3成形型から樹脂基板を製造する方法及び製造された樹脂基板に関する。金属製第3成形型は、微細な凹凸パターンを持つ樹脂基板の成形に使用される。このような樹脂基板は、光ディスク、磁気ディスク、ハードディスク、その他の用途に使用される。
 光ディスク、ハードディスク等の情報記録媒体は、大きな容量の情報を記録することができ、かつ、高速でアクセス、再生、記録及び(場合により消去)することができる。このため、これらの媒体は、CD(compact disc) 、LD(laser disc) 、DVD(digital video disc, digital versatile disc)等と呼ばれ、音楽や映像ソフト、ゲームソフト等を収納する媒体として使われ、その需要が増大している。コンピュータのメモリーとしても、これらの媒体は使用され、その需要が増大している。光ディスクやハードディスクは、マルチメディア時代のメインメモリ−として大きく発展すると期待されている。
 光ディスクについて言えば、記録層の有無及びその種類により、(1)再生専用タイプ(CD、LD、CD−ROM、photo-CD、DVD−ROM、再生専用型MD等)、(2)一度だけ記録可能なライトワンスタイプ write-once type (CD─R、DVD−R、DVD−WO等) 、(3)記録した後、消去することができ、何度でも書き替え可能な(rewritable)タイプ(光磁気ディスク magneto-optical disk 、相変化(phase-change)型ディスク、MD、CD−E、DVD−RAM、DVD−RW等) がある。更に、将来使用される媒体として、高密度のHD−DVDも提唱されている。
 これらの光ディスクを製造する工程は、まず、樹脂基板を原料樹脂で成形するところから始まる。最初にスタンパーと呼ばれる金属製成形型が用意される。この成形型に原料樹脂(例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン等)を加熱流動化した後、押しつけることにより、樹脂基板が成形(製造)される。成形方法は、加圧成形法の他、ほとんどは射出成形法である。
 樹脂基板を製造する理由は、基板表面に微細な凹凸パターンが必要であるからである。凹凸パターンのある基板を大量に短時間で製造するには、樹脂成形しかない。凹凸の種類は、(1)情報単位を表すピットpit や(2)記録ヘッド(ピックアップ)のトラッキングのためのガイド溝 guide groove である。ピットや溝は、円形の基板上に同心円状又は渦巻き状に設けられる。半径方向に見たとき、溝と溝との間はランドlandと呼ばれる。当初、ランドをトラックとして、そこに記録するランド記録方式であった。逆に溝に記録するグルーブ記録方式もある。
 記録密度の向上のため、溝にもランドにも記録するランド/溝記録方式が開発された。この場合、両者がトラックであり、溝の幅とランドの幅はほぼ等しい。但し、理由があって他方を意図的に広くする場合もある。光は裏面(平滑な面)から基板に入射させる。基板側から見て奥にある方をランドと呼び、手前にある方を溝と呼ぶ。
 溝、ランド及びピットの幅は、密度記録の向上に伴い、例えば、1μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下と狭くなってきている。
 溝、ランド及びピットの深さも、高密度記録に伴い、例えば、40nm以上、50nm以上、80nm以上、100nm以上、120nm以上、130nm以上、150nm以上、180nm以上、200nm以上、220nm以上、250nm以上と深くなって来ている。
 幅が狭くなり深さが深くなると、つまり、高精度になると、樹脂基板の成形はますます難しくなり、良品の歩留りは低下する。
 なお、成形された樹脂基板の上には、最終の製品に応じて、反射層や記録層、保護層等を形成する。
 また、ハードディスクは、通常、アルミニウム基板又はガラス基板に磁気記録層を形成したものである。記録は磁気ヘッドで実施される。高密度化に伴い、記録層の表面は極めて平滑である。そのため、磁気ヘッドが相対的に停止すると、ヘッドと記録層が密着して離れなくなる現象が発生する。これを避けるため、ハードディスクには、磁気ヘッドを相対的に停止したとき、これを置くガレージ領
域(CSS領域=contact stop and start)を設けてある。この領域の表面は、レーザーテクスチャーlaser texture によりわざわざ凹凸に仕上げてある。凹凸により密着が防止される。また、高密度化に伴い、ヘッドのトラッキングが困難になる。そこで、光ディスクと同じように、ディスクに溝を設けることが提案されている。このように、凹凸や溝が要求されることから、ディスクの生産性を上
げるため、樹脂基板が提案されている。ハードディスクにおいても、樹脂基板を用い、基板の成形時に凹凸や溝を形成するのである。樹脂基板は軽いと言う利点もある。
 従来、成形型は一般に以下のようなプロセスで製造されている(図3の(B)参照、(A)は本発明の実施例2である)。古い先行技術としては、米国特許第4,211,617(対応日本特許=公告S59−16332)がある。
 まず、光学的面精度にまで研磨されたガラス基板(1)を用意する。この基板を洗浄したあと、密着性を改良するプライマー(例えば、シランカップリング剤 silane-coupling agent) を塗布する。それからフォトレジストphotoresist をスピンコートし、プリベ−クpre-bakeする(図3の(B1) 参照)。フォトレジストはポジ型(光が照射された部分が現像で除去されるタイプ)が多く使用されている。次にレ−ザービ−ムレコ−ダ laser-beam-recorder又はレーザーカッティング装置 laser cutting machine  を使って、ピットや溝のパタ−ンに従ってフォトレジストを露光する。一般に、レーザービームの径がピットや溝の幅を決める。一般に、ピットや溝の深さはフォトレジストの厚さが決める。
 次に現像処理するとガラス板表面にピットやグルーブのパターンを持ったレジストパターンresist patternが得られる。現像の後、場合により、レジストパターンは、80〜120℃で20〜60分のポストベークpost-bake を受ける。ポストベークをした場合には、レジストパターンが室温まで冷えるのを待つ。約10時間待つ。この様子は図3の(B2) に示される。
 レジストパターンは、原盤(MASTER SUBSTRATE or MASTER)と呼ばれる。本明細書ではこの原盤を原盤Iと言う。原盤Iは、前記米国特許のFig.4のレプリカreplica 46に相当する。
 例えば、CD用のレジストパターンを製造する場合を考える。この場合、露光が完了するのに74分かかる。ポストベークをした場合には、結局、原盤Iを完成させるのに、約10時間以上かかる。
 加えて、レ−ザービ−ムレコ−ダ又はレーザーカッティング装置は1台約2億円と高価である。そのため、原盤Iは高価であり、かつ、大量生産が難しい。
 次に原盤は導電化処理される。導電化処理は、一般にスパッタリング(乾式)で、あるいは、場合により、無電解メッキ(湿式)で行われる。導電化処理された原盤Iの上にメッキ層が厚く形成される。メッキ層は一般にニッケル(Ni)である。導電層とNiメッキ層の2層構造体が目的とする第1成形型である。この様子は図3の(B3) に示される。この第1成形型はファザー (FATHER) と呼ばれる。実際には、ファザーをレジストパターン(原盤)から剥がすことで、自由なファザーが得られる。この様子は図3の(B4) に示される。なお、前記米国特許のFig.6のマザーメンバー(mother member )52は、ここで言うファザーに相当する。
 ファザーは一般に200〜300μmと薄いので、剥がすときに注意する。剥がしたとき、レジストの一部がファザー上に残るのでアセトン等の溶剤で溶解除去する。仮にレジストが残っていると、微細な凹凸パターンを崩すので、レジストは確実に除去する。剥がしたとき、レジストパターンは破損するので、1枚の原盤から1枚のファザーのみが得られる。
 レジストを除去した後、ファザーの凹凸面を保護コートで覆う。そして、裏面を研磨する。ファザーの中心穴を打ち抜き、また、外径の外の不要な部分を打ち落とす。これによりドーナツ状のファザーが完成する。
 こうして完成したファザーは、極めて正確な凹凸パターンを有する。そして、それは高価である。高価な理由は、(1)原盤Iが高価なことと、(2)1枚の原盤Iから1枚のファザーしか得られないからである。
 ファザーは、そのまま樹脂成形のための成形型に使用することができる。むしろ、DVD─RAM、MD、HD─DVDその他の高密度記録媒体(溝幅0.8μm以下)の場合には、極めて高精度な凹凸パターンが要求されるので、ファザーがそのまま射出成形に使用される。
 しかし、既述の通り、ファザーは極めて高価である。そこで、ファザーを原盤Iの代わりに用い、同様にNi電鋳を行い、複製(第2成形型)を得る。こ
の様子は図3の(B5) に示される。この第2成形型はマザー (MOTHER) と呼ばれる。実際には、マザーをファザーから剥がすことで、自由なマザーが得られる。この様子は図3の(B6) に示される。マザーは、前記米国特許のFig.8のサブマスター(submaster) 60に相当する。
 マザーの剥離を容易にするため、電鋳の前にファザーは表面処理される。処理には重クロム酸カリウム溶液、過マンガン酸カリウム溶液等が用いられる。この処理はパッシベーション(passivation )と呼ばれる。
 マザーをファザーから剥がすときにファザーが少し破損されるので、何度も繰り返しファザーを使用することはできない。せいぜい2〜3回である。そのため1枚のファザーから2〜3枚のマザーしか得られない。マザーがそのまま射出成形に使用されることもある。
 更に複製を増やすため又は凹凸を反転させるため、マザーを原盤Iの代わり
に用い、同様にNi電鋳を行い、複製(第3成形型)を得る。図3の(B7) にこの様子が示される。第3成形型はサン(息子 SON) と呼ばれる。実際には、サンをマザーから剥がすことで、自由なサンが得られる。この様子は図3の(B8) に示される。サンは、前記米国特許のFig.9のスタンパーメンバー(stamper member)70に相当する。
 サンの剥離を容易にするため、電鋳の前にマザーをパッシベーションする。この場合にも、サンをマザーから剥がすときにマザーが破損されるので、何度も繰り返しマザーを使用することはできない。せいぜい2〜3回である。そのため1枚のマザーから2〜3枚のサンしか得られない。
 結局、高価な1枚のファザーから2×2〜3×3=4〜9枚のサンが得られるに過ぎない。
 通常はサン(場合よりファザー又はマザー)を用いて、射出成形法により、大量に樹脂基板が成形される。この基板は光ディスクやハードディスク等の情報記録媒体の素材として使われる。1枚のサンから約2万〜3万枚の樹脂基板を成形することができる。しかし、それ以上は、サンが破損し、使用できない。仮に使用しても、樹脂基板の品質が低下する。
 情報記録媒体は、エンドユーザーに対し今や1枚数百円(CD−Rの場合)で売られ、益々、低価格のものが要求されている。これに伴い、サンも安価に大量に供給することが求められている。
米国特許第4,211,617(対応日本特許=公告S59−16332) 特開平2−310027号 特開平3−156747号
 極めて高精度な凹凸パターンが要求される場合には、ファザーが使用され、そのため、高価であると言う問題点Aがあった。
 価格を下げるため、サンを複製しても、複製はまだ少ない(4〜9枚)。そのため、サンはまだまだ高価である(問題点B)。そのほか、大量生産も困難である(問題点C)。
 仮に価格を下げるため、1枚のファザーから大量のマザーを製造したり、1枚のマザーから大量のサンを製造することも提案された。しかし、そうすると、得られた大量のマザー及びサンは、高い精度を有しない(問題点D)。
 また、同種のファザーが多数必要になり、多数のファザーを製造した場合、どうしてもファザーの間で微妙な違いがでる(問題点E)。この微妙な違いをここでは個性と呼ぶ。個性のため、ファザーを交換するごとに、射出成形の成形条件(例えば、金型温度、射出圧力)を微妙に調整する必要がある。同様にマザー同士の間及びサン同士の間でも調整が必要である。ファザーとマザーとの間でも、マザーとサンとの間でも、ファザーとサンとの間でも調整が必要である(問題点E)。射出成形業者は、調整時間が基板の生産性を落とすので個性を大変に嫌っている(問題F)。
 本発明の目的は、これらの問題点の1つ又は2つ以上を解決又は軽減することにある。
 このため、本発明は、以下の第1〜第5工程からなる、個性のない金属製第3成形型を大量に製造する方法を提供する。工程の番号は便宜的なものである。
(1)基板上にレジストパターンが形成された、微細な凹凸パターンを有する原盤I又は(2)当該原盤Iをエッチングした後、前記基板上に残ったレジス
トを除去することにより得られた、微細な凹凸パターンを有する原盤IIを用意
する第1工程;
原盤I又は原盤IIから、電鋳法により、10nm以下の表面粗さRaを有する
金属製第1成形型を製造する第2工程;
 第1成形型の凹凸パターンと「25℃で10〜4800CPSの粘度を有する紫外線硬化型のアクリルウレタン樹脂液」を接触させ、その状態で紫外線を照射するごとにより前記樹脂液を硬化させ、その硬化物を第1成形型から剥がすことより、10nm以下の表面粗さRaを有する樹脂製の第2成形型を製造する第3工程;
 第2成形型を製造した後に残された第1成形型を使って同じ工程を繰り返すことにより1個の第1成形型から20枚以上の個性のない第2成形型を製造する第4工程;
 並びに
 第2成形型から、20枚以上のそれぞれについて、電鋳法により、10nm以下の表面粗さRaを有する金属製の第3成形型を製造する第5工程。
 本発明(複数)のほかの発明については、以下に説明する。
 本発明によれば、1枚の原盤からサン(第3成形型)が安価に大量に製造される。しかも、それらのサンは肌荒れが少ない。サンの表面粗さは原盤と(ほとんど)同一である。先行技術では、どうしてもサンの表面粗さは原盤より劣る。そのため、本発明のサンを用いれば、高レベルに評価される樹脂基板(例えば、光ディスク)の製造が可能である。評価項目には、ウォブル・フォーマット信号のノイズ、変調度、ジッタ、エラーレート、クロストーク(cross-talk)、クロック安定性、ファイン・クロック・マーク品質がある。
 従って、本発明のサンは、「ウォブル信号を持つ光ディスク、例えば、CD─R、CD−RW、MD、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW等」の樹脂基板を成形するのに有用である。
 本発明の製法に従って製造された複数のサンは、互いにクローンと呼ばれる程に個性がない。そのため、射出成形機にサンをセットして樹脂基板を成形するとき、サンごとに成形条件を変える必要がない。成形条件としては、金型温度、樹脂温度、射出圧力、サイクルタイムなどである。先行技術では、成形条件を変えないと、同一の転写形状、反り、複屈折率等を持つ樹脂基板が得られない。しかし、成形条件を変えるのはなかなか面倒であり、成形業者はそれを嫌う。それに対し、本発明のサン(複数)を使うとき、その面倒がない。
 射出成形の成形条件を微妙に調整しても、成形された樹脂基板に「くもり」と当業者が呼ぶ模様がでることがある。その模様の部分は、鏡面のような反射がなく、美観を損ねる。それに加えて、高精度が要求される樹脂基板では、くもりは不良品を意味する。本発明のサンは、くもりを発生させることがない。
 先行技術では、Niマザーからサンを剥がした後、サンに異物が付着していることが多い。この異物は洗浄でも容易に落ちないようである。異物の原因は、本発明者の推測によれば、サンの剥離を容易にするためNiマザーに施したパッシベーションにある。パッシベーションに用いた重クロム酸カリや過マンガン酸カリがNiマザー表面に残留する。これらの物質がサンと反応してサンに付着するようである。このことは、NiファザーからNiマザーを複製するときも生じるだろう。このためかどうか正確には判らないが、先行技術のマザー及びサンは肌が荒れている。
 本発明では、パッシベーションが必要ないので、異物がマザーやサンに付着しない。ファザー、マザー及びサンの清浄化も容易である。
 本明細書では、樹脂基板が光ディスクに使用される場合を詳しく説明したが、樹脂基板は他の用途に使用されるものでもよい。微細な凹凸を持つどんな樹脂基板も本発明のサンを用い成形することができる。そのような樹脂基板には、例えば、磁気ディスク(ハードディスク)用基板、光カード用基板、液晶デバイス用基板、半導体デバイス用基板、プリンターの部品用基板、情報記録/再生装置の部品用基板、パーソナルコンピュータの部品用基板、自動車の部品用基板、光学部品自体(例えば、ゾーンプレート、非球面レンズ、回折格子、ホログラム板、フォトマスク、レティクル)又はその基板、エンコーダ部品用の基板等がある。
 以下に実施の形態を説明するが、これは本発明を限定するものではない。本発明では原盤(MASTER)には大きく分けてI型とII型がある。両者を総称し
て「原盤」と言うこともある。
 〔原盤I(MASTER I) 〕
 まず、基板substrate を用意する。一般的に基板は円板状であるが、円板状に限定されるものではなく角形でもよい。基板材料としては主にソ−ダライムガラス(青板ガラス) 、アルミノシリケ−トガラス( 白板ガラス) 、無アルカリガラス、低膨張化ガラス、結晶化ガラス等のガラス材料やセラミックス材料等が用いられる、セラミックス材料としては、溶融石英、合成石英等の石英、Siでも良い。
 基板の表面は、高精度な表面精度(平滑面) を得るため精密に研磨される。基板表面に表面層を形成しても良い。表面層の材料としては、(1) SiO2 のよう板表面に表面層を形成しても良い。表面層の材料としては、(1) SiO2 のようなSi酸化物、(2) Si3 4 のようなのSi窒化物、(3) TiSi2 のようなのSi金属化合物、または(4) Ti,Al,Cu,Cr,Ta,Au,Ag,Pt等の金属、あるいは(5) TiO2 ,TiN,Al2 3 ,AlN,TaO2
Ta2 5 ,Ta3 4 等の金属酸化物や金属窒化物が挙げられる。表面層は、基板表面を酸化又は窒化することで形成してもよい。多くの場合、表面層は、薄膜の積層技術(例えば、真空蒸着、スパッタリング)により形成される。その場合に、表面層は、前記材料を2種以上組み合わせて積層した多層構造からできていてもよい。また、表面層は、平滑性を向上させるためにCMP(chemical mechanical polishing)やその他の手法で精密研磨しても良い。
 次に基板表面にフォトレジストを塗布する。一般には、フォトレジストの塗布の前に、基板にシランカップリング剤のようなのプライマーprimerを塗布する。プライマーは、基板とフォトレジストとの密着性を向上させる。しかし、表面層にCr、TiN等が存在する場合、プライマーは必要ないこともある。そして、フォトレジストをスピンコートのような方法で塗布する。一般にフォトレジストの厚さがピットや溝の深さを決定する。
 溝、ランド及びピットの幅は、密度記録の向上に伴い、例えば、1μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下と狭くなってきている。
 溝、ランド及びピットの深さも、密度記録の向上に伴い、例えば、40nm以上、50nm以上、80nm以上、100nm以上、120nm以上、130nm以上、150nm以上、180nm以上、200nm以上、220nm以上、250nm以上と深くなって来ている。
 フォトレジスト塗布後に、レジスト感度の調整のために低い温度でプリベ−クを行う。その後、レ−ザビ−ムレコ−ダを使ってピットや溝その他のパタ−ンに沿ってレ−ザビ−ムをレジストに照射する。これによりレジストを露光する。
 次いで、露光したレジストを現像液に浸して現像する。現像液は、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ溶液である。無機に代えて有機アルカリ溶液も使用することができる。フォトレジストがポジ型の場合、露光した部分が現像液に溶ける。ネガ型の場合、露光しなかった部分が現像液に溶ける。その後、超純水でレジストを洗浄する。溶けた部分では、下地の基板が露出している。
 こうして、表面にフォトレジストのパタ−ンを有する基板が得られる。このような基板を、本明細書では、基板を含めてレジストパタ−ンと呼ぶ。このレジストパタ−ンが原盤Iである。
 原盤Iは、現像の後、やや高い温度でポストベ−クpost-bake してもよ
い。ポストベ−クにより、形成される溝やピットの側壁角度が急峻になる場合もある。また、レジストのエッチング抵抗性を向上させることができる。更に、ポストベ−クはレジストと基板との密着性を向上させることもできる。ポストベ−クは、レジスト表面の硬度を上げる場合もある。硬度が上がれば、この後に導電膜を形成するときや、その上に更に電鋳法でメッキ層を形成するときに、レジストはそれらに耐えることができる。
  〔原盤II( MASTER II)〕
 まず、原盤I(レジストパタ−ン)を用意する。このレジストの一部では基板が露出しているので、この露出部分をエッチングして基板に凹部を設けるのである。この凹部パターンはレジストのパタ−ンと同一である。
 エッチング方法は湿式(wet process)でもよいが、乾式(dry process)が好ましい。乾式エッチングの中で、とりわけ反応性イオンエッチング(RIE)が有効である。他に、マグネトロンRIE、ECR(電子サイクロトロン・レゾナンス)、ICP(誘導結合型プラズマ)、ヘリコン波等を用いたエッチングも使用可能である。RIEは、通常の低プラズマ密度(1010個/cm3 程度以下)の
プロセスでも良い。しかし、エッチング部分の肌荒れや側壁の肌荒れを低減するには、高プラズマ密度(1011個/cm3 程度以上)のプロセスが好ましい。後者には、ICP、ヘリコン波を用いるRIEが含まれる。後者はパターンが更に微細になった場合に効果的である。
 乾式エッチング(dry etching)を使えば、ピットの前端及び後端の側壁角度を急峻にすることができる。そのため、光ディスクの再生信号ジッタ(jitter)が低減される。セラミックス型(原盤II)の方が、レジストパター
ン(原盤I)に比べ、ピットや溝の側壁が荒れていない。乾式エッチングであれば、エッチングの後も、凹部の底面や側壁の表面粗さは極めて小さい。乾式エッチングは、急峻な側壁角度を有する凹部を形成することもできる。乾式に限らず、エッチングは、より深い凹部を形成することができる。凹部が深いことや、凹部の側壁角度が急峻なことは、様々な利点を光ディスクにもたらす。利点には、ノイズ低減や隣接トラック間の光学的クロストークcross-talk、熱的クロスト−クthermal cross-talk(=クロスクレーズ cross-erase) の低減がある。
 表面層を有する基板を使用した場合、表面層だけをエッチングしてもよい。この場合には、仮に表面層とその下地である基板との材質が異なれば、エッチング速度も異なるので、エッチングの終点を揃えることができると言う利点がもたらされる。この場合には、表面層の厚さが溝やその他の深さを決定する。
 エッチングの後、残留したレジストを除去する。除去は酸素プラズマによる乾式エッチング(アッシング) で可能である。あるいは、残留したレジストを「濃い酸性溶液(例えば、濃硫酸や濃硝酸)を加熱したもの」の中に浸すことで、除去が可能である。その溶液中に過酸化水素水を添加することは効果的である。こうしてレジストを除去した後、超純水等で基板表面を洗浄する。
 これにより、ピットや溝などに相当する凹部を有する基板が得られる。この基板こそ原盤IIである。基板材料は特にセラミックスが好ましい。何故なら、
セラミックスは表面(肌)が大変に滑らかであるからである。つまり、セラミックスの表面粗さRaは極めて小さい(Ra≦10nm、場合によりRa≦10m)。このことは、光ディスクを製造した場合、光ディスクのノイズを低くする。そこで、本明細書では、原盤IIをセラミックス型と呼ぶことがある。
 〔第1成形型(ファザー)〕
 まず、原盤(I又はII)を用意する。ファザーは原盤をメッキすること(厚
膜法)により製造する。メッキ層がファザーとなる。メッキには乾式と湿式がある。湿式には、無電解メッキと電解メッキがある。乾式は真空薄膜形成技術と呼ばれる。真空薄膜形成技術には、真空蒸着、イオンプレ−ティング、スパッタリング等がある。第1の方法は乾式メッキ又は無電解メッキである。第2の方法は電解メッキである。
 第2の方法(電解メッキ)は電鋳electro-forming とも呼ばれる。電鋳は短時間で厚いメッキ層を形成することができる。電鋳を行う場合、原盤が導電性を持たないので、最初に原盤表面に薄い(一般に約50〜100nm)金属層を形成する。金属層は導電層と呼ばれ、この形成を導電化処理と呼ぶ。
 導電化処理は第1の方法によって行われる。金属はNi(ニッケル)が好ましく、それ以外にAu、Pt、Pd、Ag、Ti、Ta、Cr等がある。その他導電率の高い金属やその金属化合物が使用可能である。また、金属にリンを含有させてもよい。金属として、Niを使用する場合、予めNiに近いか又は等しい熱膨張係数を有する他の金属や金属化合物を第2プライマー層として形成しておいてもよい。その第2プライマー層の上に導電層を形成するのである。第2プライマー層は、電鋳時または終了後に「電鋳層が応力で歪む現象」を軽減することができる。この現象は、場合によりピットや溝等の凹部を破壊する。第2プライマー層は、場合によって、ファザーが完成した後、除去される。
 その後、導電層が形成された原盤は、電鋳を行うためメッキ浴に浸される。メッキ浴には、多くの場合、スルファミン酸ニッケル溶液が使用される。電鋳を行うと導電層の上にNiメッキ層が形成される。このNiメッキ層がファザー(第1成形型)である。Niに代えて、他の金属を使用することもできる。あるいは、Niに他の金属例えばTiや元素例えばP(燐)を混ぜてもよい。Tiを混ぜ
れば、比較的強固で耐久性の良好な型が得られる。Pを混ぜれば、表面硬度が高い型を得ることができるかもしれない。導電層、その上のメッキ層又はその両方をNi−PやTi−P、Ni−Ti−P等の合金で構成すれば、高硬度で高耐久性のファザーを得ることが可能である。
 また、Niメッキ層の単層ではなく、Niメッキ層に加えて他のメッキ層(例えば、銀や銅、クロムのような金属又はそれらの合金)を積層した多層構造でも良い。
 形成されるメッキ層の厚さが約100μmを越えると、原盤の凹凸は表面に現れなくなる。即ち、外から見た場合、メッキ層の表面は平になっている。メッキ層の厚さが約200〜約600μm(一般には約250〜約300μm)になったら、メッキを止める。これでファザーが完成する。
 ファザー(第1成形型)は完成した直後は、原盤の上に付着しているので、ファザーを原盤から剥がす。ファザーは薄い金属膜の状態なので、剥がすのに注意を要する。剥がした後、ファザー表面にレジスト、プライマーその他の汚れが付着している可能性があるので、ファザーを洗浄する。洗浄には、(1)有機溶剤や超純水を用いた湿式や、(2)アッシング、プラズマ処理、UV照射、オゾン
洗浄等の乾式がある。
 なお、ここまでのプロセスは、米国特許5,673,250(対応日本特許=公開 Kokai H8−22621)の第11欄第56行〜第12欄第39行及びFIG.9にもいくらか説明されている。
 〔第2成形型(マザー)〕
 簡単に言えば、マザーは次のように作られる。ファザーの凹凸パターン上に樹脂液を載せ(逆も可)、その後、樹脂を硬化cureさせる。硬化した樹脂は、ファザーの凹凸パターンを転写しており、ファザーから剥がす。剥がされた樹脂がマザー又は第2成形型(複製型)である。つまり、マザーは樹脂製である。これが本発明の特徴の一つである。この点で、先行技術の金属製のマザーと異なる。
 先行技術と大きく異なる点は、1つのファザーからマザーを製造した後、ファザーは繰り返し何度でも再使用可能なことである。先行技術では、ファザーはせいぜい3回再使用できるに過ぎない。本発明なら、10000回以上再使用できる。更に異なる点は、1つのファザーから製造される複数のマザーが、マザー間で比較して個性がない。つまり、それらのマザーは、全く同一物(クローン)で
あることである。そのため、それぞれのマザーを使って、それぞれ金属製のサン(第3成形型)を製造した場合、得られたサンは互いにクローンになる。
 マザーを作る樹脂を硬化させる手段は、(a) 加熱又は(b) 放射線照射である。あるいは、(c) 2つの樹脂液を混合し、放置するだけで互いに反応し高分子化する手段もある。 放射線としては、イオンビーム、電子線、紫外線、遠紫外線、レーザー光線、X線、シンクロトロン放射線等が挙げられる。なかでも、紫外線が取扱い易いだろう。
 好ましい方法を説明する。ファザーが薄い(一般に250〜300μm程度)ため、平面性が悪い。そこで、まずファザーを平面性の高い基板で裏打ちすることが好ましい。基板は金属又はガラスである。金属としては、例えば、鉄、銅、真鍮、アルミニウム、ステンレス、青銅等がある。基板の厚さは1〜20mm程度である。基板は接着剤でファザーに接着する。
 ファザーを凹凸面を上に向けて置く。上から低粘度の放射線硬化可能な樹脂液を垂らす。泡が入らないように樹脂液の上に透明板(一般にガラス板)を置く。透明板を通じて放射線を照射して樹脂を硬化させる。硬化した樹脂を透明板と共にファザーから剥離する。こうして硬化樹脂と透明板の2層からなるマザーが得られる。
 透明板としてのガラス板の厚さは、0.6mm以上、好ましくは約4mm〜約10mmである。ガラス板の表面粗さは、原盤の基板に比べて低くて良い。表面粗さRaは5nm〜1μmでよい。ガラス板に代えて、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル樹脂等の樹脂も使用可能である。
 ガラス板を使用する場合、予め洗浄を行った後、樹脂との接着性を向上させる第3プライマーを塗布してもよい。塗布した後、加熱bakeすることが好ましい。第3プライマーの例はシランカップリング剤である。
 シランカップリング剤としては、例えばビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等がある。ビニルシランとしてはビニルトリクロルシラン、ビニルトリス( β−メトキシエトキシ) シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等があり、アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等があり、エポキシシランとしてはβ−(3,4エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメチルジエトキシシラン等があり、アミノシランとしてはN−β( アミノエチル) γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β( アミノエチル) γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。その他、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等も使用される。
 その他のプライマーの例は、シラン(例えば、クロロシラン、アルコキシシラン)やシラザンや特殊シリル化剤である。これらのプライマーは2種以上混合して使用しても良い。プライマーは、トルエン、キシレン、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等の溶媒で希釈して使用しても良い。
 マザーの樹脂としては、アクリルウレタン樹脂が使用される。ファザーに接触させる時は低分子量の樹脂液が使用される。その樹脂液には、硬化触媒又は硬化剤を含めてもよい。紫外線で硬化させるので、硬化触媒として光増感剤が使用される。光増感剤の代表的なものとしてはアセトフェノン系、ベンゾインアルキルエーテル系、プロピオフェノン系、ケトン系、アントラキノン系、チオキサントン系が挙げられる。複数種を混合して使用してもよい。特にケトン系の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が転写性能、離型性能、品質安定性の面で有用である。紫外線で硬化する樹脂は紫外線硬化型(curable)樹脂と呼ばれる。本発明では、この紫外線硬化型(curable)樹脂をマザーを作るために使用する。
 樹脂液には、後の電鋳工程やイオンプレーティング工程における静電気対策のために、帯電防止剤を樹脂液に混合してもよい。あるいは、マザーが完成した後に、薄い帯電防止層(例えば、Pt層)を形成しても良い。このような対策は、焼け焦げ、変形、剥離、ゴミ付着等の問題を防止する。また、マザーの厚さをより均一にする
上でも、これらの対策は有効かもしれない。
 予め裏打ちがない場合、ファザーからマザーを剥離する前に、ファザーは薄いので、ファザーを金属板で裏打ちすることが好ましい。鉄、銅、真鍮、アルミニウム、ステンレス、青銅等の金属板をファザーの裏面に接着する。そうすると、ファザーからマザーを剥離し易い。
 剥離されたマザーは、肌荒れがない。ファザーの表面粗さRa が10nm以下の場合、マザーの表面粗さRa も10nm以下となる。ファザーの表面粗さRa が1nm以下の場合は、マザーの表面粗さRa も1nm以下となる。これが本発明の特徴の一つである。
 剥離された後のファザーは、再びマザーを製造するために使うことができる。本発明は、ファザーを繰り返し使うことが特徴の一つである。実施例2ではファザーは1000回使われた。本発明者の推測では、ファザーは10000回以上繰り返し使用することができる。これは、マザーが樹脂でできているため、剥離時にファザーを損傷すること(特に肌を荒らすこと)がないためと推測される。
損傷がないので、10000回以上繰り返し使用されても、製造された10000枚以上のマザーは、互いに個性ない(又は個性が極めて似ている)。それ故、それらのマザーはクローンに例えられよう。
 そして、高価なファザーに比べれば、マザーはずっと安価に速く製造される。
 〔第3成形型(サン)〕
 サンはファザーと同じく金属製である。サンの製造方法は、ファザーと同じである。その場合、原盤に代えてマザーが使用される。サンはマザーをメッキすることにより製造される。ただし、マザーの上にいきなり導電化処理しメッキするのではなく、その前に、1〜20Åのフォトレジストを塗布してもよい。その後で導電化処理し、そしてメッキするのである。こうすると、RaやWaが多少改
良される。これ以上は、第1成形型(ファザー)の説明を見て欲しい。ここでは省く。
 サンはマザー上で完成するので、完成した後、マザーから剥離する。剥離後、マザーは100回以上繰り返し使用可能である。
 サンの平面性を高めるために、(1)サンの剥離前又は(2)剥離後に、サンの裏面を機械的に研磨する。(2)剥離後に研磨する場合は、サンの凹凸面を保護するため、マザーから剥離後、サンの凹凸面に保護コートを施す。保護コートは、剥離可能型の保護塗料を塗布し、乾燥させることによって形成される。
 いずれにせよ、マザーから剥離され、かつ、研磨されたサンは、サンの中心付近を機械的に打ち抜く。サンの外径も同様に打ち抜く。これでドーナツ状のサンが仕上がる。これでサンは出荷が可能となる。
 本発明の特徴であるが、剥離後のサンの肌荒れが小さい。そのため、マザーの表面粗さRaが10nm以下の場合、サンの表面粗さRa も10nm以下となる。マザーの表面粗さがRaで1nm以下の場合、サンの表面粗さRa も1nm以下となる。これが本発明の特徴の一つである。本発明によれば、場合により、Ra で0.5nm以下(RMSで0.3nm以下)の表面粗さを有するサンも製造可能である。更に、より良好な条件を選択すれば、Raで0.3nm以下(RMSで0.2nm以下又は0.1nm以下) のサンも提供可能である。
 マザーがクローンであることから、1つのファザーから製造されたサンもクローンである。極端に言えば、サンはファザーともクローンの関係にある。高価なファザーから多数の安価なサンが製造される。
 樹脂基板が仮に百万枚必要な場合、約50枚のサンが必要となる。何故なら、1枚のサンは約2万〜3万枚で損傷し、使えなくなるからである。50枚のサンを用意する場合、先行技術では、50÷9=6枚のファザーが必要である。何故ならば、1枚のファザーからせいぜい9枚のサン(兄弟のサン)が得られるに過ぎないからである。本発明では、1枚のファザーから10000枚以上のマザーが得られる。従って、1枚のマザーから1枚のサンを製造したとしても、1枚のファザーから10000枚のサン(クローンのサン)が得られるので、1枚のファザーがあれば、十分である。
 なお、RIEで製造された原盤IIを使用した場合、サンの肌荒れが少なく、
特に高品質のサンが製造される。
〔識別〕
 このように多くのサンを区別するのは困難である。そこで、サンの所定位置に刻印してもよい。位置は、例えば信号領域がサンの半径22mm〜59mmであれば、それ以外の部分(例えば、半径20mm〜21mmの部分)である。刻印は、単なる溝grooveや凹部又はピットでもよい。刻印は、数字や記号でもよい。細かい凹部の集合により、目で見た場合、文字や数字、記号を表しているものが好ましい。刻印は、レーザー加工、スタンピング加工、プレス加工によって行われる。また、刃物、やすり、研磨テープ等で直接サンに傷を付けることにより刻印してもよい。
 刻印は、原盤やファザー、マザーに行ってもよい。これらの刻印は樹脂基板に転写されるので、樹脂基板を見れば、どの型が使用されたか判る。刻印は、樹脂基板の品質管理に利用される。
 〔樹脂基板の成形〕
 サンを用いて、サン表面の凹凸パターンを転写する方法で、樹脂基板が製造(成形)される。成形方法は、射出成形法で、それは高い生産性を持つ。
 樹脂基板に使用される樹脂は、一般に熱可塑性樹脂(特に比較的硬い樹脂)である。その例としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン系ポリマーアロイ、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレ−ト系) 、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アモルファス・ポリオレフィンなどがある。しかし、場合により熱硬化性樹脂も使用可能である。その例としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン、不飽和アクリル樹脂、不飽和ポリエステル、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂などがある。樹脂基板の成形は先行技術と同じなので、これ以上説明しない。
 次に実施例を示す。ここでは、RaとWaの値は、Wyko Corp. 社の"TOPO-SYSTEM" で測定した。
 本実施例を図1を引用して説明する。
 〔原盤II〕
 まず、基板材料として合成石英板を2枚用意した。これらの板をそれぞれ外径185mm、内径20mm、厚み6mmのドーナツ状円板に加工し、基板(1)とした。その後、基板表面をそれぞれ表面粗さ:Ra=1nm以下に精密研磨した。洗浄後、基板表面に「プライマーとしてのヘキサメチルジシラザン」とフォトレジストを順にスピンコートした。プリベ−クすると、厚さ約200nmのフォトレジスト層(2)がそれぞれの基板(1)上に形成された。このフォトレジスト(2)が形成された基板(1)が、図1の(1)に示される。
 次にレ−ザーカッティング装置を用いて、第1の基板上のフォトレジストを露光した。露光のパターンは、書き換え可能型MD(ミニディスク) フォ−マットに従って、(a)ウォッブル(wobble)ガイド溝パタ−ン及び(b)TOC(table of contents) パタ−ンとなるプリピットprepit である。トラックピッチは、1.6μm、溝幅は1.2μm、溝のウォッブル(wobble)振幅は約30〜40
nm、TOCパターンにおけるプリピット(prepit)幅は約0.4μmとした。
 第2の基板上のフォトレジストには、別のパターンを露光した。パターンは、4.7Gbyte/sideのDVD−RAMフォーマットに従って、(a)シングルスパイラル・ランド/溝と(b)アドレス・ピットである。トラックピッチは0.58μm( "ランド/溝"フォーマットなので、溝ピッチは、その2倍で1.16μm)である。溝幅は約0.58μmである。アドレス部分のピット幅は約0.3μm、ウォッブル振幅は約10〜20nmである。
 露光を終えた2枚の基板上のレジストを、それぞれ無機アルカリ現像液で現像した。レジスト表面をスピン洗浄し、その後、120℃で30分ポストベークした。これによりレジストパターン(2)が形成された。この様子は図1の(2)に示される。
 基板を反応性イオンエッチング(RIE)装置内に入れ、ドライエッチングを行った。この様子は図1の(3)に示される。
 残ったレジストを除去し、洗浄すると、原盤IIが得られた。これらの原盤IIは石英基板(1)に直接にパターンが食刻されたものである。この様子は
、図1の(4)に示される。
 第1の原盤II(MDフォーマット)は、ピット及び溝深さが約65nmであ
った。第2の原盤II(DVD−RAMフォーマット)は、ピット及び溝深さは
約140nmであった。
 これらの原盤IIは、RIEプロセスで製造されたので、溝の側壁、ピットの
側壁及びピット前後のエッジがいずれも非常にシャープであった。このことは、光ディスクに次の(a)〜(f)の利点をもたらす。(a)ウォッブル信号の再生が正確である。(b)CNRが向上する。(c)クロスイレーズ及びクロストークが低くなる。(e)書き込み、読み取りの各信号のドロップアウトも非常に少なくなる。また、ピットの底及び側壁の表面粗さ、溝の底及び側壁の表面粗さが非常に小さいために、ノイズが小さくなる。
 〔ファザー〕
 第1の原盤IIをスパッタリング装置にセットし、表面に厚さ約50〜70n
mのNi層(導電層)を付着depositionさせた。これにより導電化処理を終えた。原盤IIの凹凸が深い場合は、RF放電下でスパッタリングすることが
好ましい。RF放電下では、原盤IIの帯電による悪影響(例えばスパッタリン
グ速度ムラ)を受け難くなる。そこで本実施例では、RF放電(電力:400W)下でスパッタリングを実施した。もう一つの原盤IIの上にも同様に導電層
を形成させた。Ni層が厚いと、後でNiメッキ層が剥がれる場合がある。その場合には、Ni層(導電層)の厚さを10nm〜40nm程度に薄くする。
 次に原盤IIをスルファミン酸ニッケルを溶かしたメッキ浴に入れた。浴の温
度は約45〜55℃にした。そして、通電することによりNi電鋳を開始した。開始時は、電流密度を低くし、徐々に電流密度を上げた。電鋳は、得られたNiメッキ層(3)の厚さが293μmになったとき止めた。
 第2の原盤IIについても同様にNiメッキ層(3)を形成した。主にこのメ
ッキ(3)がファザーを構成する。この様子は図1の(5)に示される。
ファザー(3)をそれぞれ原盤IIから剥がした。剥がしたファザーは図1の(
6)に示される。ファザー(3)の表面粗さRaは1nm以下であった。ファザーの凹凸面に保護塗料として商品名:クリンコ−トS(ファインケミカル ジャパン社製)をスピンコート法により塗布した。塗布した後、塗膜を約10時間自然乾燥させた。これにより凹凸面は保護コートで覆われた。ファザーの裏面を研磨した後、その内径と外径を打ち抜いて落とした。こうして、ドーナツ状のファザー2枚が仕上がった。いずれのファザーも仕上がるのに約13時間を要した。
 ファザーを剥がした後の原盤IIは損傷を受けていない。そこで、各々の原盤
IIを洗浄した後、再び、本工程を実施して、2枚目のファザーを各々作成した
。こうして、合計2×2=4枚のファザーを得た。ファザーの裏面に、エポキシ接着剤でステンレス基板を接着した(不図示)。これによりファザーの平面性が向上する。
 〔マザー〕
 紫外線硬化型樹脂液を用意する。この樹脂液は、
1)化学構造式1のアセタールグリコールジアクリレートを70部、
2)化学構造式2と化学構造式3の混合物であるウレタンアクリレートを30部、そして、
3)1−ヒドロキシシクロヘキシシクロヘキシルフェニルケトン( 商品名:イルガキュア−184;チバ・ガイギー(株)製) を3部
混合することで調製された。
     化学構造式1
     化学構造式2
     化学構造式3
 樹脂液としては、熱や光の吸収特性、離型性、耐光性、耐久性、硬度を考えると、色数(APHA)が30〜50、屈折率が25℃で1.4〜1.8程度のものが好ましい。本実施例では、離型性及び後の電鋳を複数回数行なうことを考えて、色数40、屈折率1.47〜1.48の樹脂液を用いた。
 樹脂液の比重は、25℃で0.8〜1.3程度、粘度は25℃で10〜4800CPS程度のものが転写性の点で好ましい。本実施例では、マザーの複製時間の短縮化及び混入する泡の低減を目的として、比重が1.08程度、粘度が4500〜4780CPS程度の樹脂液を用いた。粘度は、低分子量の成分を用いることで可能である。つまり、ウレタンアクリレート(化学構造式2及び3)の分子量は、1000〜2000程度と大きいので、別の低分子量の成分を用いれば粘度を低くすることができる。
 別に、外径200mm、内径10mm、厚み6mmの青板ガラス円板を用意した。そして、円板を洗浄し、表面にプライマーであるシランカップリング剤塗布した。シランカップリング剤は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン( 化学構造式4参照) を溶媒(トルエン)に溶かして、2%程度の溶液としたものである。塗布法はスピンシャワー法である。塗布後、120℃でベ−クbakeした。
     化学構造式4



 そして、凹凸面を上にしたファザーの上に樹脂液を垂らした。上からガラス円板を押しつけ、樹脂液を円板とファザーでサンドイッチした。このとき、樹脂液に泡が入らないように注意した。更にガラス円板(5)を加圧して粘彫な樹脂液をファザ−表面全体に均一に押し拡げた。
 ガラス円板を通して、樹脂液に水銀ランプからの紫外線を5〜60秒程照射する。これにより樹脂液は硬化し硬い樹脂層(4)が生成した。ここでは樹脂層(4)とガラス円板(5)の2層構造物がマザーである。この様子は図1の(7)に示される。
 次にマザーをファザーから剥離した。剥離は両者を損傷しないように注意深く実施した。他の3枚のファザーについても同様に処理し、それぞれマザーを製造した。いずれのマザーの表面粗さRaも、1nm以下であった。
 剥離した後に残されたファザーは、損傷していないので繰り返し使用可能である。驚くべきことに、ファザーには樹脂が付着しておらず、残存樹脂の除去は不要であった。そこで、再び、そのままファザーを使用してマザーを製造した。ファザーは繰り返し1000回使用した。その結果、1枚の原盤IIから2×1000=2000枚(2種合計で4000枚)のマザーが製造された。この様子は図1の(8)に示される。マザーの製造時間は短く、ここでは15〜60分で1枚が製造された。
 〔サン〕
 各マザーからそれぞれサンを製造した。製造方法は、上記のファザーと同じである。但し、原盤IIの代わりにマザーを使用した。図1の(9)に示すよう
に、製造直後は、サン(6)はマザーの上にある。そこで、サンをマザーから剥離すると、図1の(10)に示す自由なサン(6)が得られる。
 サンの凹凸面に保護コートを施した後、裏面を研磨して、均一な厚さを得た。そして、サンの内径と外径を打ち抜き、仕上げた。こうして、Niサンが完成した。サンの厚みは293μmであった。サンの表面粗さRa及びうねりWaは1nm以下であった。
 サンを剥がした後のマザーは、損傷しておらず、マザーは100回以上繰り返し使用可能であった。驚くべきことに、マザーには樹脂が付着しておらず、残存樹脂の除去は不要であった。しかし、ここでは繰り返し使用は止めた。
 各マザーより各1枚のサンを複製したので、1種2000枚、2種合計4000枚のサンが得られた。
 これらのファザー及びこれらのサンをそれぞれ順に「専用の再生装置」にセットして、その再生信号をチェックした。信号の種類は、トラッキング信号、ノイズ、ウォブル信号、アドレス信号、欠陥数である。その結果、信号の品質は、ファザーからの再生信号と同等であった。また、2000枚のサンからの再生信号も互いに同等であった。
 先行技術では、1種2000枚のサンを製造するのに、2000枚〜223枚(=2000枚÷3÷3)の原盤IIが必要になる。原盤IIは非常に高価であるので、結局、先行技術のサンは高価なものとなる。それに対して、本実施例では、高価な原盤IIが1枚で済むのでサンは安価である。
 1種2000枚のサンについて、それぞれ射出成形機にセットし、試みに樹脂基板を成形した。成形条件は変えずに成形することができた。そのため、1種2000枚のサンは個性がなくクローンと呼ぶことができる。
 本実施例を図2を引用して説明する。
 〔原盤I〕
 まず、基板材料として青板ガラスを2枚用意した。これらの板をそれぞれ外径200mm、内径10mm、厚み6mmのドーナツ状円板に加工し、基板(1)とした。その後、基板表面を表面粗さRaが1nm以下になるまで精密に研磨した。洗浄後、基板表面に「プライマーとしてのヘキサメチルジシラザン」とフォトレジストを順にスピンコートした。 プリベ−クすると、第1の基板(1)では、厚さ約70nm(MD用)、第2の基板(1)では厚さ約145nm(DVD用)のフォトレジスト層(2)が形成された。フォトレジスト(2)が形成された基板(1)が、図2の(1)に示される。
 次にレ−ザーカッティング装置を用いて、フォトレジストを露光した。露光パターンは、第1の基板については実施例1のMDフォ−マットと同じで、第2の基板については、実施例1のDVD−RAMフォ−マットと同じである。
 露光後、各レジストを実施例1と同様に現像した。これにより図2の(2)に示すレジストパターン(原盤I)が得られた。レジスト層の厚さは、現像でやや薄くなり、第1の基板では、約65nm(MD用)、第2の基板では、約140nm(DVD用)であった。
 ここでは、フォトレジスト材料として「残存率が95%以上のもの」を使ったので、溝の側壁、ピット側壁及びピット前後エッジがいずれもシャープに形成された。そのため、ウォッブル信号の再生が正確である。また、CNRの向上、クロスイレーズcross-erase の減少及びクロストークcross-talkの減少がもたらされる。書き込み信号及び読み取り信号のドロップアウトも少なくなった。溝の底及び側壁の表面粗さ、ピットの底及び側壁の表面粗さがそれぞれ小さいため、ノイズが小さくなった。
 〔ファザー〕
 原盤IIの代わりに原盤Iを用い、実施例1の〔ファザー〕と同様にして、フ
ァザーを製造した(図2の(3)参照)。原盤Iからファザー(3)を剥がした(図2の(4)参照)後、アセトン等の有機溶剤で表面の残留レジストを洗い落とした。その後、ファザーをスピン洗浄した。ファザーの凹凸面に商品名:シリテクトSILITECTO (エース産業 ACE INDUSTRIALS Co.社製) をスピンコートした。こうして保護されたファザー裏面を研磨した。ファザーの形を整えるため、内径16mm、外径170mmのドーナツ状に切断した。ファザーの厚みは293μmであった。原盤Iが2枚(2種)あったので、2枚のファザーが得られた。これらのファザーの裏面に実施例1と同様にステンレス基板を接着した(不図示)。
 〔マザー〕
 実施例1と同様にファザーから樹脂製マザーを製造(複製)した。マザーを剥離した後のファザーには損傷がなかった。驚くべきことに、ファザーには樹脂が付着しておらず、残存樹脂の除去は不要であった。そこで、そのまま、ファザーを繰り返し使用した。繰り返しは1000回行い、1枚のファザーから1000枚のマザーを製造した。この様子は図2の(5)、(6)に示される。これらの1000枚のマザーは全く同一の凹凸信号を持っているはずである。
 別の凹凸信号を持っている第2のファザーからも同様に1000枚のマザーを複製した。これらの1000枚のマザーは全く同一の凹凸信号を持っているはずである。
 〔サン〕
 実施例1と同様に樹脂製マザーからNiサンを製造(複製)した。Niサンの厚さは293μmであった。Niサンを剥離した後のマザーに損傷はなかった。驚くべきことに、マザーには樹脂が付着しておらず、残存樹脂の除去は不要であった。そこで、そのまま、マザーを繰り返し使用した。繰り返しは10回行い、1枚のマザーから10枚のNi製サンを製造した。この様子は、図2の(7)、(8)に示される。サンの表面粗さRa及びうねりWaは1nm以下であった。
 第1のマザー(MDフォ−マット)1000枚からそれぞれ10枚のNi製サンを製造した。これで合計10×1000=10000枚のサンを得た。これらの10000枚のサンは全く同一の凹凸信号を持っており、かつ、個性がない。従って、10000枚のサンはクローンに例えられる。
 第2のマザー(DVD−RAMフォ−マット)は、第1のマザーと別の信号を持っている。第2のマザー1000枚からそれぞれ10枚のNi製サンを製造した。これで合計10×1000=10000枚のサンを得た。これらの10000枚のサンは全く同一の凹凸信号を持っており、かつ、個性がない。従って、10000枚のサンはクローンに例えられる。
 これらのファザー及びこれらのサンをそれぞれ順に「専用の再生装置」にセットし、再生信号をチェックした。信号の種類は、トラッキング信号、ノイズ、ウォブル信号、アドレス信号、欠陥数である。その結果、信号の品質は、ファザーからの再生信号と同等であった。また、10000枚のサンからの再生信号は互いに同等であった。
 1種10000枚のサンについて、それぞれ射出成形機にセットし、試みに樹脂基板を成形した。成形条件は変えずに成形することができた。そのため、1種10000枚のサンは個性がなくクローンと呼ばれる。
 射出成形機として、住友重機械工業株式会社(Sumitomo Heavy Industries, Ltd. )製の商品名「SD30」を用意した。
 樹脂基板用の樹脂として、帝人株式会社製のポリカーボネート・商品名「AD5503」を用意し、上記成形機に供給可能にセットした。
 実施例2(DVD─RAMフォーマット)で製造された10000枚の第3成形型(サン)の中から、無作為に10枚(第1サン〜第10サンと呼ぶ)を選びだした。第1サンを上記成形機にセットした。金型温度を125℃、樹脂温度を340℃、射出圧力を30t、サイクルタイムを12秒の成形条件で樹脂基板を成形した。基板の厚さは0.6mmである。2時間で600枚の樹脂基板(DVD─RAMフォーマット・φ=120mm)が製造された。
 その後、第1サンを上記成形機から外し、第2サンをセットし、同様に600枚の樹脂基板を製造した。このとき、サンを変えても成形条件は変えなかった。同様に第3〜第10サンを使用して樹脂基板を製造した。結局、600×10=6000枚の樹脂基板を得た。
 各サンから成形した樹脂基板の中から任意の2枚を選びだした。つまり、合計で2×10=20枚の樹脂基板を選びだした。そして、これらの20枚の樹脂基板について、電子顕微鏡(HR−SEM)及び原子間力顕微鏡(AFM)で溝形状及びピット形状を観察した。
形状とは、頂部の幅、底部の幅、深さ及び側壁の傾きの4種を言う。
 その結果、20枚の樹脂基板のどの基板についても、同じ溝形状及びピット形状を有することが判った。
 更にこれらの樹脂基板について、ソリ(tilt (or warp))と複屈折を測定した。その結果、ソリはどの基板についても±0.3度(degree)以内に収まっていた。複屈折は、どの基板についても50nm以内に収まっていた。また、表面のうねりWaについて測定したところ、1nm以下であった。更に、どの基板も「くもりcloud 」がなかった。
比較例1
 実施例2と同様にして10個の原盤I(DVD−RAMフォーマット)を製造した。このとき、製造条件は全く変えなかった。
 そして、各原盤Iから実施例2と同様にしてファザー10枚を製造した。このときも製造条件は全く変えなかった。
 得られたファザー10枚をそれぞれ実施例2のサンと同じ外径及び同じ内径に打ち抜いた。これらのファザー10枚は、経験に基づけば個性を持つ。打ち抜いたファザー10枚をサンの代わりに用いて実施例3を繰り返した。このとき、ファザーを変えても成形条件は変えずに樹脂基板を600枚成形した。得られた基板から任意に600枚を選びだし、それらのソリ(tilt)と複屈折を測定した。その結果、ソリが±0.3度(degree)以内に収まっていた基板を良品として、良品率は40%であった。複屈折が50nm以内に収まっていた基板を良品として、良品率は50%であった。ソリ、複屈折の両方とも良品な基板を最良品として、最良品率は20%であった。
 そこで、今度は成形条件をいろいろに変えて樹脂基板を成形した。こうした施行錯誤を繰り返して、最良品率が100%となる条件を見いだした。見いだすまでに6時間を要した。
 なお、5%の基板は「くもり」があった。「くもり」のある基板は不良品として廃棄した。
 各ファザー(10枚)から成形された最良品を任意に2枚(但し、「くもり」のないもの)選んだ。選んだ基板について、電子顕微鏡(HR−SEM)及び原子間力顕微鏡(AFM)で溝形状及びピット形状を観察した。その結果、20枚の樹脂基板のどの基板についても、同じ溝形状及び同じピット形状を有するものは一組もなかった。しかも、成形条件が異なるために、ランドの角が丸みを帯びている基板や、ランドの端に小さな突起(角)を持つ基板が少なからずあった。
実施例1(原盤II)にかかるプロセスチャートである。 実施例2(原盤I)にかかるプロセスチャートである。 実施例2(原盤I)と先行技術を比較するプロセスチャートである。
符号の説明
    1・・・基板(ガラス、石英)                 
    2・・・フォトレジスト                    
    3・・・ファザー(第1成形型)
    4・・・樹脂                         
    4b・・Ni製マザー(第2成形型)
    5・・・基板(ガラス)
    6・・・サン(第3成形型)
    図1の(4)・・・原盤II                   

    図2の(2)・・・原盤I                   
    図1の(8)・・・樹脂製マザー(第2成形型)
    図2の(6)・・・樹脂製マザー(第2成形型)
    図3の(6A)・・・樹脂製マザー(第2成形型)
                                  以上

Claims (8)

  1. (1)基板上にレジストパターンが形成された、微細な凹凸パターンを有する原盤I又は(2)当該原盤Iをエッチングした後、前記基板上に残ったレジス
    トを除去することにより得られた、微細な凹凸パターンを有する原盤Iを用意
    する工程;
    原盤I又は原盤IIから、電鋳法により、10nm以下の表面粗さRaを有する
    金属製第1成形型を製造する工程;
     第1成形型の凹凸パターンと「25℃で10〜4800CPSの粘度を有する紫外線硬化型のアクリルウレタン樹脂液」を接触させ、その状態で紫外線を照射するごとにより前記樹脂液を硬化させ、その硬化物を第1成形型から剥がすことより、10nm以下の表面粗さRaを有する樹脂製の第2成形型を製造する工程;
     第2成形型を製造した後に残された第1成形型を使って同じ工程を繰り返すことにより1個の第1成形型から20枚以上の個性のない第2成形型を製造する工程;
     並びに
     第2成形型から、20枚以上のそれぞれについて、電鋳法により、10nm以下の表面粗さRaを有する金属製の第3成形型を製造する工程;
     からなる、樹脂基板を成形するための、個性のない金属製第3成形型を大量に製造する方法。
  2. 前記第1成形型、前記第2成形型及び前記第3成形型がいずれも1nm以下の表面粗さRaを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3.  前記第3成形型が0.5nm以下の表面粗さRaを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  4.  前記樹脂基板が情報記録用媒体の基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の方法で製造された金属製第3成形型を用い、原料樹脂から、射出成形法により、「有効直径が50〜130mmであって、表面のうねりWa が1nm以下の樹脂基板」を製造する方法。
  6. 前記樹脂基板が情報記録媒体用の樹脂基板であることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 請求項5の方法によって製造された、有効直径が50〜130mmであって、表面のうねりWa が1nm以下の樹脂基板。
  8.  請求項6の方法によって製造された、有効直径が50〜130mmであって、表面のうねりWa が1nm以下の、情報記録媒体用の樹脂基板。
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