JPH11333885A - ファザ―・スタンパ―の大量製造方法 - Google Patents

ファザ―・スタンパ―の大量製造方法

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JPH11333885A
JPH11333885A JP11076841A JP7684199A JPH11333885A JP H11333885 A JPH11333885 A JP H11333885A JP 11076841 A JP11076841 A JP 11076841A JP 7684199 A JP7684199 A JP 7684199A JP H11333885 A JPH11333885 A JP H11333885A
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JP
Japan
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master
father
stamper
plating
substrate
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JP11076841A
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English (en)
Inventor
Seiji Morita
成二 森田
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高精度なファザー・スタンパーを安価に大量生
産 【解決手段】セラミックス製の原盤(3)上にメッキ法
によりファザー・スタンパー(4)を形成する→スタン
パー(4)を原盤(3)から剥離する→(好ましくは原
盤(3)の応力を緩和する)→原盤(3)上に再びファ
ザー・スタンパー(4)を形成する→スタンパー(4)
を原盤(3)から剥離する→以上の剥離とメッキを何度
も繰り返す

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファザー・スタン
パーの製造方法に関する。このスタンパーは微細な凹凸
を持つ樹脂基板の成形に使用される。 このような樹脂
基板は、光ディスク、磁気ディスク又はハードディスク
その他の用途に使用される。
【0002】
【従来の技術】光ディスク、ハードディスク等の情報記
録媒体は、大きな容量の情報を記録することができ、か
つ、高速でアクセス、再生、記録及び(場合により消
去)することができる。このため、これらの媒体は、C
D(compact disc) 、LD(laser disc) 、DVD(dig
ital video disc, digital versatile disc)等と呼ば
れ、音楽や映像ソフト、ゲームソフト等を収納する媒体
として使われ、その需要が増大している。コンピュータ
のメモリーとしても、これらの媒体は使用され、その需
要が増大している。光ディスクやハードディスクは、マ
ルチメディア時代のメインメモリ−として大きく発展す
ると期待されている。
【0003】光ディスクについて言えば、記録層の有無
及びその種類により、(1)再生専用タイプ(CD、L
D、CD−ROM、photo-CD、DVD−ROM、再生
専用型MD等)、(2)一度だけ記録可能なライトワン
スタイプ write-once type(CD─R、DVD−R、D
VD−WO等) 、(3)記録した後、消去することがで
き、何度でも書き替え可能な(rewritable)タイプ(光
磁気ディスク magneto-optical disk 、相変化(phase-
change)型ディスク、MD、CD−E、DVD−RA
M、DVD−RW等) がある。更に、将来使用される媒
体として、高密度のHD−DVDも提唱されている。
【0004】これらの光ディスクを製造する工程は、ま
ず、樹脂基板を原料樹脂で成形するところから始まる。
最初にスタンパーと呼ばれる成形型が用意される。この
成形型に原料樹脂(例えば、ポリカーボネート、アクリ
ル樹脂、ポリスチレン等)を加熱流動化した後、押しつ
けることにより、樹脂基板が成形(製造)される。成形
方法は、加圧成形の他、ほとんどは射出成形である。
【0005】樹脂基板を製造する理由は、基板表面に細
かな凹凸が必要であるからである。凹凸のある基板を大
量に短時間で製造するには、樹脂成形しかない。凹凸の
種類は、(1)情報単位を表すピットpit や(2)記録
ヘッド(ピックアップ)のトラッキングのためのガイド
グループ(溝) guide groove である。ピットやグルー
ブは、円形の基板上に同心円状又は渦巻き状に設けられ
る。半径方向に見たとき、グルーブとグルーブとの間は
ランドlandと呼ばれる。当初、ランドをトラックとし
て、そこに記録するランド記録方式であった。逆にグル
ーブに記録するグルーブ記録方式もある。
【0006】記録密度の向上のため、グルーブにもラン
ドにも記録するランド/グルーブ記録方式が開発され
た。この場合、両者がトラックであり、グルーブの幅と
ランドの幅はほぼ等しい。但し、理由があって他方を意
図的に広くする場合もある。光は裏面(平滑な面)から
基板に入射させる。基板側から見て奥にある方をランド
と呼び、手前にある方をグルーブと呼ぶ。
【0007】グルーブ、ランド及びピットの幅は、密度
記録の向上に伴い、例えば、1μm以下、0.8μm以
下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以
下、0.4μm以下、0.3μm以下と狭くなってきて
いる。グルーブ、ランド及びピットの深さも、高密度記
録に伴い、例えば、40nm以上、50nm以上、80
nm以上、100nm以上、120nm以上、130n
m以上、150nm以上、180nm以上、200nm
以上、220nm以上、250nm以上と深くなって来
ている。
【0008】幅が狭くなったり、深さが深くなると、つ
まり、高精度になると、樹脂基板の成形はますます難し
くなり、良品の歩留りは低下する。なお、成形された樹
脂基板の上には、最終の製品に応じて、反射層や記録
層、保護層等を形成する。また、ハードディスクは、通
常、アルミニウム基板又はガラス基板に磁気記録層を形
成したものである。記録は磁気ヘッドで実施される。高
密度化に伴い、記録層の表面は極めて平滑である。その
ため、磁気ヘッドが相対的に停止すると、ヘッドと記録
層が密着して離れなくなる現象が発生する。これを避け
るめた、ハードディスクには、磁気ヘッドを相対的に停
止したとき、これを置くガレージ領域(CSS領域=co
ntact stop and start)を設けてある。この領域の表面
は、レーザーテクスチャーlaser texture によりわざわ
ざ凹凸に仕上げてある。凹凸により密着が防止される。
また、高密度化に伴い、ヘッドのトラッキングが困難に
なる。そこで、光ディスクと同じように、ディスクにグ
ルーブを設けることが提案されている。このように、凹
凸やグルーブが要求されることから、ディスクの生産性
を上げるため、樹脂基板が提案されている。ハードディ
スクにおいても樹脂基板を用い、基板の成形時に凹凸や
グルーブを形成するのである。樹脂基板は軽いと言う利
点もある。
【0009】従来、成形型は一般に以下のようなプロセ
スで製造されている(図2参照)。古い先行技術として
は、米国特許第4,211,617(対応日本特許=公
告S59−16332)がある。まず、光学的面精度に
まで研磨されたガラス基板(1)を用意する。この基板
を洗浄したあと、密着性を改良するプライマー(例え
ば、シランカップリング剤silane-coupling agent) を
塗布する。それからフォトレジストphotoresist をスピ
ンコートし、プリベ−クpre-bakeする。(図2の(1)
参照)フォトレジストはポジ型(光が照射された部分が
現像で除去されるタイプ)が多く使用されている。次に
レ−ザービ−ムレコ−ダ laser-beam-recorder又はレー
ザーカッティング装置 laser cutting machine を使
って、ピットやグルーブのパタ−ンに従ってフォトレジ
ストを露光する。一般に、レーザービームの径がピット
やグルーブの幅を決める。一般に、ピットやグルーブの
深さはフォトレジストの厚さが決める。
【0010】次に現像処理するとガラス板表面にピット
やグルーブのパターンを持ったレジストパターンresist
patternが得られる。現像の後、場合により、レジスト
パターンは、80〜120℃で20〜60分のポストベ
ークpost-bake を受ける。ポストベークをした場合に
は、レジストパターンが室温まで冷えるのを待つ。約1
0時間待つ。この様子は図2の(2) に示される。
【0011】レジストパターンは、原盤(MASTER SUBSTR
ATE or MASTER)と呼ばれるが、本発明で言う原盤とは異
なる。以下、本明細書ではレジストパターンをプレ原盤
と言う。プレ原盤は、前記米国特許のFig.4のレプリカ
reprica 46に相当する。例えば、CD用のレジストパ
ターンを製造する場合を考える。この場合、露光が完了
するのに74分かかる。ポストベークをした場合には、
結局、プレ原盤を完成させるのに、約10時間以上かか
る。
【0012】加えて、レ−ザービ−ムレコ−ダ又はレー
ザーカッティング装置は1台約2億円と高価である。そ
のため、プレ原盤は高価であり、かつ、大量生産が難し
い。次にプレ原盤は導電化処理される。導電化処理は、
一般にスパッタリング(乾式)で、あるいは、場合によ
り、無電解メッキ(湿式)で行われる。導電化処理され
たプレ原盤の上にメッキ層が厚く形成される。メッキ層
は一般にニッケル(Ni)である。導電層とNiメッキ
層の2層構造体が目的とする第1成形型である。この様
子は図2の(3) に示される。この第1成形型はNi・
ファザー (FATHER) 又は単にファザー(4)と呼ばれ
る。実際には、ファザーをレジストパターン(プレ原
盤)から剥がすことで、自由なファザーが得られる。こ
の様子は図2の(4) に示される。ファザー(4)は、
前記米国特許のFig.6のマザーメンバー(mather member
)52に相当する。
【0013】ファザーは一般に200〜300μmと薄
いので、剥がすときに注意する。剥がしたとき、レジス
トの一部がファザー上に残るのでアセトン等の溶剤で溶
解除去する。仮にレジストが残っていると、凹凸を崩す
ので、レジストは確実に除去する。剥がしたとき、レジ
ストパターンは破損するので、1枚のプレ原盤から1枚
のファザーのみが得られる。
【0014】レジストを除去した後、ファザーの凹凸面
を保護コートで覆う。そして、裏面を研磨する。ファザ
ーの中心穴を打ち抜き、また、外径の外の不要な部分を
打ち落とす。これによりドーナツ状のファザーが完成す
る。こうして完成したファザーは、極めて正確な凹凸パ
ターンを有する。そして、それは高価である。高価な理
由は、(1)プレ原盤が高価なことと、(2)1枚のプ
レ原盤から1枚のファザーしか得られないからである。
【0015】ファザーは、そのまま樹脂成形のための成
形型に使用することができる。むしろ、DVD─RA
M、MD、HD─DVDその他の高密度記録媒体(グル
ーブ幅0.8μm以下)の場合には、極めて高精度な凹
凸パターンが要求されるので、ファザーがそのまま射出
成形に使用される。しかし、既述の通り、ファザーは極
めて高価である。そこで、ファザーをプレ原盤の代わり
に用い、同様にNi電鋳を行い、複製(第2成形型)を
得る。この様子は図2の(5) に示される。この第2成
形型は、マザー (MATHER) と呼ばれる。実際には、マザ
ーをファザーから剥がすことで、自由なマザー(5)が
得られる。この様子は図2の(6) に示される。マザー
は、前記米国特許のFig.8のサブマスター(submaster)
60に相当する。
【0016】マザーの剥離を容易にするため、電鋳の前
にファザーは表面処理される。処理には重クロム酸カリ
ウム溶液、過マンガン酸カリウム溶液等が用いられる。
この処理はパッシベーション(passivation )と呼ばれ
る。マザーをファザーから剥がすときにファザーが少し
破損されるので、何度も繰り返しファザーを使用するこ
とはできない。せいぜい2〜3回である。そのため1枚
のファザーから2〜3枚のマザーしか得られない。マザ
ーがそのまま射出成形用に使用されることもある。
【0017】更に複製を増やすため又は凹凸を反転させ
るため、マザーをプレ原盤の代わりに用い、同様にNi
電鋳を行い、複製(第3成形型)を得る。図2の(7)
にこの様子が示される。第3成形型はサン(息子 SON)
・スタンパー又は単にサンと呼ばれる。実際には、サン
をマザーから剥がすことで、自由なサン(6)が得られ
る。この様子は図2の(8) に示される。サンは、前記
米国特許のFig.9のスタンパーメンバー(stamper membe
r)70に相当する。
【0018】サンの剥離を容易にするため、電鋳の前に
マザーをパッシベーションする。この場合にも、サンを
マザーから剥がすときにマザーが破損されるので、何度
も繰り返しマザーを使用することはできない。せいぜい
2〜3回である。そのため1枚のマザーから2〜3枚の
サンしか得られない。結局、高価な1枚のファザーから
2×2〜3×3=4〜9枚のサンが得られるに過ぎな
い。
【0019】通常はサン(場合よりファザー又はマザ
ー)を用いて、射出成形法により、大量に樹脂基板が成
形される。この基板は光ディスクやハードディスク等の
情報記録媒体の素材として使われる。1枚のサンから約
2万〜3万枚の樹脂基板を成形することができる。しか
し、それ以上は、サンが破損し、使用できない。仮に使
用しても、樹脂基板の品質が低下する。
【0020】情報記録媒体は、エンドユーザーに対し今
や1枚数百円(CD−Rの場合)で売られ、益々、低価
格のものが要求されている。これに伴い、サンも安価に
大量に供給することが求められている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】極めて高精度な凹凸パ
ターンが要求される場合には、ファザーが使用され、そ
のため、高価であると言う問題点Aがあった。価格を下
げるため、サンを複製しても、複製はまだ少ない(4〜
9枚)。そのため、サンはまだまだ高価である(問題点
B)。そのほか、大量生産も困難である(問題点C)。
【0022】仮に価格を下げるため、1枚のファザーか
ら大量のマザーを製造したり、1枚のマザーから大量の
サンを製造することも提案された。しかし、そうする
と、得られた大量のマザー及びサンは、高い精度を有し
ない(問題点D)。また、同種のファザーが多数必要に
なり、多数のファザーを製造した場合、どうしてもファ
ザーの間で微妙な違いがでる(問題点E)。この微妙な
違いをここでは個性と呼ぶ。個性のため、ファザーを交
換するごとに、射出成形の成形条件(例えば、金型温
度、射出圧力)を微妙に調整する必要がある。同様にマ
ザー同士の間及びサン同士の間でも調整が必要である。
ファザーとマザーとの間でも、マザーとサンとの間で
も、ファザーとサンとの間でも調整が必要である(問題
点E)。射出成形業者は、調整時間が基板の生産性を落
とすので個性を大変に嫌っている(問題F)。
【0023】本発明の目的は、これらの問題点の1つ又
は2つ以上を解決又は軽減することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、第
一に「セラミックス製の原盤を用意する第1工程と、前
記原盤上にメッキ法によりファザー・スタンパーを形成
する第2工程と、前記スタンパーを前記原盤から剥離す
る第3工程と、剥離された後に残された前記原盤上に再
びファザー・スタンパーを形成する第4工程と、前記ス
タンパーを前記原盤から剥離する第5工程と、前記第4
工程と前記第5工程で1つのサイクルを形成し、このサ
イクルを複数回繰り返す工程とからなることを特徴とす
るファザー・スタンパーの大量製造方法(請求項1)」
を提供する。
【0025】また、本発明は「前記メッキ法が電鋳であ
ることを特徴とする請求項1記載の方法(請求項2)」
を提供する。また、本発明は「前記メッキ法がイオンプ
レーティング法であることを特徴とする請求項1記載の
方法(請求項3)」を提供する。また、本発明は「前記
メッキ法が湿式無電解メッキ法であることを特徴とする
請求項1記載の方法(請求項4)」を提供する。
【0026】また、本発明は「前記複数回が100回以
上であることを特徴とする請求項1記載の方法(請求項
5)」を提供する。また、本発明は「前記原盤が、所定
のレジストパターンの形成された石英基板を用意する工
程と、エッチングにより前記基板に凹部を成形する工程
と、残留した前記レジストを除去する工程とから製造さ
れたものであることを特徴とする請求項1記載の方法
(請求項6)」を提供する。
【0027】また、本発明は「前記原盤の表面粗さRa
が1nm以下であり、前記スタンパーの表面粗さRa も1
nm以下であることを特徴とする請求項1〜4記載の方法
(請求項7)」を提供する。また、本発明は「前記第4
工程の前に、前記原盤の応力を緩和する第6工程を挿入
したことを特徴とする請求項1〜7記載の方法(請求項
8)」を提供する。
【0028】また、本発明は「前記第6工程が熱処理で
あることを特徴とする請求項6記載の方法(請求項
9)」を提供する。また、本発明は「セラミックス製の
原盤を用意する第1B工程と、前記原盤上にメッキ法に
より「原盤の凹凸が見えないほどに厚く、かつ所定の厚
さ(一般に約250〜約350μm)より薄い状態(一
般に約90〜約150μm)のスタンパー」を形成する
第2B工程と、前記スタンパーを前記原盤から剥離する
第3B工程と、剥離された前記スタンパーの凹凸面に保
護コート(ストリッパブル・樹脂コート)を施す第4B
工程と、前記保護コートで保護された前記スタンパーに
対し、再びメッキすることにより、前記所定の厚さのフ
ァザー・スタンパー」を形成する第5B工程と、からな
ることを特徴とするファザー・スタンパーの製造方法
(請求項10)」を提供する。この場合、原盤に入る応力
が少なく、そのため原盤を繰り返し何度も使用すること
ができる。
【0029】また、本発明は「請求項10記載の第3B工
程で剥離された原盤を前記原盤の代わりに使う請求項10
記載の第1B工程と、請求項10記載の第2B〜第5B工
程で1つのサイクルを形成し、このサイクルを複数回繰
り返すことにより、大量のファザー・スタンパーを製造
する方法(請求項10)」を提供する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に実施の形態を説明するが、
これは本発明を限定するものではない。 〔プレ原盤〕まず、基板substrate を用意する。一般的
に基板は円板状であるが、円板状に限定されるものでは
なく角形でもよい。基板材料としては主にソ−ダライム
ガラス(青板ガラス) 、アルミノシリケ−トガラス( 白
板ガラス) 、無アルカリガラス、低膨張化ガラス、結晶
化ガラス等のガラス材料やセラミックス材料等が用いら
れる、セラミックス材料としては、溶融石英、合成石英
等の石英、Siでも良い。場合によっては、基板材料は
Al、Fe、Cu等の金属でも良い。
【0031】基板の表面は、高精度な表面精度(平滑
面) を得るため精密に研磨される。基板表面に表面層を
形成しても良い。表面層の材料としては、(1) SiO2
のよう板表面に表面層を形成しても良い。表面層の材料
としては、(1) SiO2 のようなSi酸化物、(2) Si
3 4 のようなのSi窒化物、(3) TiSi2 のような
のSi金属化合物、または(4) Ti,Al,Cu,C
r,Ta,Au,Ag,Pt等の金属、あるいは(5) T
iO2 ,TiN,Al2 3 ,AlN,TaO2 ,Ta
2 5 ,Ta3 4 等の金属酸化物や金属窒化物が挙げ
られる。表面層は、基板表面を酸化又は窒化することで
形成してもよい。多くの場合、表面層は、薄膜の積層技
術(例えば、真空蒸着、スパッタリング)により形成さ
れる。その場合に、表面層は、前記材料を2種以上組み
合わせて積層した多層構造からできていてもよい。ま
た、表面層は、平滑性を向上させるためにCMP(chem
ical mechanical polishing)やその他の手法で精密研磨
しても良い。
【0032】次に基板表面にフォトレジストを塗布す
る。一般には、フォトレジストの塗布の前に、基板にシ
ランカップリング剤のようなのプライマーprimerを塗布
する。プライマーは、基板とフォトレジストとの密着性
を向上させる。しかし、表面層にCr、TiN等が存在
する場合、プライマーは必要ないこともある。そして、
フォトレジストをスピンコートのような方法で塗布す
る。一般にフォトレジストの厚さがピットやグルーブの
深さを決定する。
【0033】グルーブ、ランド及びピットの幅は、密度
記録の向上に伴い、例えば、1μm以下、0.8μm以
下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以
下、0.4μm以下、0.3μm以下と狭くなってきて
いる。グルーブ、ランド及びピットの深さも、密度記録
の向上に伴い、例えば、40nm以上、50nm以上、
80nm以上、100nm以上、120nm以上、13
0nm以上、150nm以上、180nm以上、200
nm以上、220nm以上、250nm以上と深くなっ
て来ている。
【0034】フォトレジスト塗布後に、レジスト感度の
調整のために低い温度でプリベ−クを行う。その後、レ
−ザビ−ムレコ−ダを使ってピットやグルーブその他の
パタ−ンに沿ってレ−ザビ−ムをレジストに照射する。
これによりレジストを露光する。次いで、露光したレジ
ストを現像液に浸して現像する。現像液は、例えばリン
酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等の無機アルカリ溶液である。無機に代え
て有機アルカリ溶液も使用することができる。フォトレ
ジストがポジ型の場合、露光した部分が現像液に溶け
る。ネガ型の場合、露光しなかった部分が現像液に溶け
る。その後、超純水でレジストを洗浄する。溶けた部分
では、下地の基板が露出している。
【0035】こうして、表面にフォトレジストのパタ−
ンを有する基板が得られる。このような基板を、本明細
書では、基板を含めてレジストパタ−ンと呼ぶ。このレ
ジストパタ−ンがプレ原盤である。プレ原盤は、現像の
後、やや高い温度でポストベ−クpost-bake してもよ
い。ポストベ−クにより「形成されるグルーブやピット
の側壁角度」が急峻になる場合もある。また、レジスト
のエッチング抵抗性を向上させることができる。更に、
ポストベ−クはレジストと基板との密着性を向上させる
こともできる。ポストベ−クは、レジスト表面の硬度を
上げる場合もある。硬度が上がれば、この後に導電膜を
形成するときや、その上に更に電鋳法でメッキ層を形成
するときに、レジストはそれらに耐えることができる。
【0036】〔原盤〕上記プレ原盤を用意する。このレ
ジストの一部では基板が露出しているので、この露出部
分をエッチングして基板に凹部を設けるのである。この
凹部パターンはレジストのパタ−ンと同一である。エッ
チング方法は湿式(wet process)でもよいが、乾式(dr
y process)が好ましい。乾式エッチングの中で、とりわ
け反応性イオンエッチング(RIE)が有効である。他
に、マグネトロンRIE、ECR(電子サイクロトロン
・レゾナンス)、ICP(誘導結合型プラズマ)、ヘリ
コン波等を用いたエッチングも使用可能である。RIE
は、通常の低プラズマ密度(1010個/cm3 程度以
下)のプロセスでも良い。しかし、エッチング部分の肌
荒れや側壁の肌荒れを低減するには、高プラズマ密度
(1011個/cm3 程度以上)のプロセスが好ましい。
後者には、ICP、ヘリコン波を用いるRIEが含まれ
る。後者はパターンが更に微細になった場合に効果的で
ある。
【0037】乾式エッチング(dry etching)を使えば、
ピットの前端及び後端の側壁角度を急峻にすることがで
きる。そのため、光ディスクの再生信号ジッタ(jitter)
が低減される。セラミックス型(原盤)の方が、レジス
トパターン(プレ原盤)に比べ、ピットやグルーブの側
壁が荒れていない。乾式エッチングであれば、エッチン
グの後も、凹部の底面や側壁の表面粗さは極めて小さ
い。乾式エッチングは、急峻な側壁角度を有する凹部を
形成することもできる。乾式に限らず、エッチングは、
より深い凹部を形成することができる。凹部が深いこと
や、凹部の側壁角度が急峻なことは、様々な利点を光デ
ィスクにもたらす。利点には、ノイズ低減や隣接トラッ
ク間の光学的クロストークcross-talk、熱的クロスト−
クthermalcross-talk(=クロスクレーズ cross-erase)
の低減がある。
【0038】表面層を有する基板を使用した場合、表面
層だけをエッチングしてもよい。この場合には、仮に表
面層とその下地である基板との材質が異なれば、エッチ
ング速度も異なるので、エッチングの終点を揃えること
ができると言う利点がもたらされる。この場合には、表
面層の厚さがグルーブやその他の深さを決定する。エッ
チングの後、残留したレジストを除去する。除去は酸素
プラズマによる乾式エッチング(アッシング) で可能で
ある。あるいは、残留したレジストを「濃い酸性溶液
(例えば、濃硫酸や濃硝酸)を加熱したもの」の中に浸
すことで、除去が可能である。その溶液中に過酸化水素
水を添加することは効果的である。こうしてレジストを
除去した後、超純水等で基板表面を洗浄する。
【0039】これにより、ピットやグルーブなどに相当
する凹部を有するセラミックス基板が得られる。この基
板こそ本発明の原盤である。セラミックスは表面(肌)
が大変に滑らかであるからである。つまり、セラミック
スの表面粗さRaは極めて小さい(Ra≦10nm、場
合によりRa≦10m)。このことは、光ディスクを製
造した場合、光ディスクのノイズを低くする。
【0040】〔ファザー〕まず、原盤を用意する。目的
とするファザーは、メッキすることにより製造される。
メッキ層がファザーとなる。メッキには乾式と湿式があ
る。湿式には、無電解メッキと電解メッキがある。乾式
は真空薄膜形成技術と呼ばれる。真空薄膜形成技術には
真空蒸着、イオンプレ−ティング、スパッタリング等が
ある。第1の方法は乾式と無電解メッキを含む。第2の
方法は電解メッキである。メッキは第1の方法又は第2
の方法により行われる。
【0041】第2の方法(電解メッキ)は電鋳electro-
forming とも呼ばれる。電鋳は短時間で厚いメッキ層を
形成することができる。電鋳を行なう場合、原盤が導電
性を持たないので、最初に原盤表面に薄い(一般に約5
0〜100nm)金属層を形成する。金属層は導電層と
呼ばれ、この形成を導電化処理と呼ぶ。導電化処理は第
1の方法によって行われる。金属はNi(ニッケル)が
好ましく、それ以外にAu、Pt、Pd、Ag、Ti、
Ta、Cr等がある。その他導電率の高い金属やその金
属化合物が使用可能である。また、金属にリンを含有さ
せてもよい。金属として、Niを使用する場合、予めN
iに近いか又は等しい熱膨張係数を有する他の金属や金
属化合物を第2プライマー層として形成しておいてもよ
い。その第2プライマー層の上に導電層を形成するので
ある。第2プライマー層は、電鋳時または終了後に「電
鋳層が応力で歪む現象」を軽減することができる。この
現象は、場合によりピットやグルーブ等の凹部を破壊す
る。第2プライマー層は、場合によって、ファザーが完
成した後、除去される。
【0042】その後、導電層が形成された原盤は、電鋳
を行うためメッキ浴に浸される。メッキ浴には、多くの
場合、スルファミン酸ニッケル溶液が使用される。電鋳
を行うと導電層の上にNiメッキ層が形成される。この
Niメッキ層がサン(第3成形型)である。Niに他の
金属例えばTiや、元素例えばP(燐)を混ぜてもよ
い。Tiを混ぜれば、比較的強固で耐久性の良好な型が
得られる。Pを混ぜれば表面硬度が高い型を得ることが
できるかもしれない。導電層、その上のメッキ層又はそ
の両方をNi−PやTi−P、Ni−Ti−P等の合金
で構成すれば、高硬度で高耐久性のファザーを得ること
が可能である。
【0043】また、Niメッキ層の単層ではなく、Ni
メッキ層に加えて他のメッキ層(例えば、銀や銅、クロ
ムのような金属又はそれらの合金)を積層した多層構造
でも良い。場合によっては、電鋳も用いることなしに、
第1の方法(乾式又は無電解メッキ法)により、ファザ
ーを製造することも可能である。乾式はメッキ液の廃液
処理の問題がない。乾式の中でもイオンプレ−ティング
は特に低い表面粗さを有する型を与えることができる。
【0044】形成されるメッキ層の厚さが約100μm
を越えると、ファザーの凹凸は表面に現れなくなる。即
ち、外から見た場合、メッキ層の表面は平になってい
る。メッキ層の厚さが約200〜約600μm(一般に
は約250〜約300μm)になったら、メッキを止め
る。これでファザーが完成する。ファザーは完成した直
後は、原盤上に付着しているので、ファザーを原盤から
剥がす。ファザーは、薄い金属膜の状態(一般に250
〜300μm程度)なので、剥がすのに注意を要する。
【0045】なお、請求項10の発明では、スタンパーの
厚さが約110μm以下の時点、特に約90〜約110
μmの時点で、一旦、メッキを止めて、得られた薄いス
タンパーを原盤から剥離し、剥離された薄いスタンパー
に対して、メッキを続け、厚さを約250μm以上にす
る。この方法では、原盤に入る応力が少なく、繰り返し
使用しても原盤の寿命が長い。
【0046】本発明者らの知見によれば、ファザーを剥
がした後の原盤は、レジストパターン(プレ原盤)と違
って、繰り返し100回以上再使用可能である。そこ
で、本発明では、原盤を繰り返し使用する。そのため、
高価な原盤1枚から100枚以上のファザー・スタンパ
ーが得られるので、ファザーが安価になる。しかもファ
ザーは互いに個性がない特徴がある。
【0047】〔応力緩和〕但し、場合により、ファザー
(スタンパー)を剥がした後の原盤に応力が入る(残
る)ことがある。この応力は、凹凸面の直ぐ下に肉眼で
も内部が割れたように見える(上から見るとギザギザの
島状に見える)ので認識することができる。大きな応力
をそのままにしておくと、取扱い中やメッキ中に、欠け
る。特に周辺部はスタンパーを剥がすときに欠け易い。
内部に割れたように見える応力は、特に次の電鋳のとき
に、凸部分を剥がし、細かい破片がメッキ液に漂い、剥
離するときのスタンパーに付着したり、スタンパーを傷
付けたりする。
【0048】そこで、請求項8の発明では、再使用する
前に原盤の応力を緩和する第6工程を設ける。応力緩和
の方法は、熱処理が簡単で好ましい。熱処理は、800
〜1200℃で30分〜10時間加熱することである。
加熱処理後、原盤の温度を室温に戻す場合、10〜10
0℃/時間の割合で徐々に戻すことが好ましい。こうす
れば、1枚の原盤を繰り返し使用することにより、10
0枚以上のファザーが製造可能である。
【0049】〔後処理〕ファザーの平面性を高めるため
に、(1)ファザーの剥離前又は(2)剥離後に、ファ
ザーの裏面を機械的に研磨する。(2)剥離後に研磨す
る場合は、ファザーの凹凸面を保護するため、原盤から
剥離後、ファザーの凹凸面に保護コートを施す。保護コ
ートは、剥離可能型の保護塗料を塗布し、乾燥させるこ
とによって形成される。
【0050】いずれにせよ、原盤から剥離され、かつ、
研磨されたファザーは、ファザーの中心付近を機械的に
打ち抜く。ファザーの外径も同様に打ち抜く。これでド
ーナツ状のファザーが仕上がる。これでファザーは出荷
が可能となる。本発明の特徴であるが、剥離後のファザ
ーの肌荒れが小さい。そのため、原盤の表面粗さRaが
で10nm以下の場合、ファザーの表面粗さRa も10
nm以下となる。原盤の表面粗さがRaで1nm以下の
場合、ファザーの表面粗さRaも1nm以下となる。こ
れが本発明の特徴の一つである。本発明によれば、場合
により、Ra で0.5nm以下(RMSで0.3nm以
下)の表面粗さを有するファザーも製造可能である。更
に、より良好な条件を選択すれば、Raで0.3nm以
下(RMSで0.2nm以下又は0.1nm以下) のフ
ァザーも提供可能である。
【0051】樹脂基板が仮に百万枚必要な場合、約50
枚のサンが必要となる。何故なら、1枚のサンは約2万
〜3万枚で損傷し、使えなくなるからである。50枚の
サンを用意する場合、先行技術では、50÷9=6枚の
高価なファザー(高価なプレ原盤)が必要である。何故
ならば、1枚のファザーからせいぜい9枚のサンが得ら
れるに過ぎないからである。
【0052】それに対して、本発明では、1枚の原盤
(1枚のプレ原盤)から100枚以上のスタンパー(フ
ァザー)が得られるので、1枚の原盤があれば、全く十
分である。そして、そのスタンパーは転写をファザー→
マザー→サンと繰り返さないので精度も高いし、肌荒れ
も少ない。なお、RIEで製造された原盤を使用した場
合、特に肌荒れが少なく、特に高品質のファザーが製造
される。
【0053】〔識別〕このように多くのファザーを区別
するのは困難である。そこで、ファザーの所定位置に刻
印してもよい。位置は、例えば信号領域がファザーの半
径22mm〜59mmであれば、それ以外の部分(例え
ば、半径20mm〜21mmの部分)である。刻印は、
単なるグルーブgrooveや凹部又はピットでもよい。刻印
は、数字や記号でもよい。細かい凹部の集合により、目
で見た場合、文字や数字、記号を表しているものが好ま
しい。刻印は、レーザー加工、スタンピング加工、プレ
ス加工によって行われる。また、刃物、やすり、研磨テ
ープ等で直接ファザーに傷を付けることにより刻印して
もよい。
【0054】刻印は、原盤やプレ原盤に行ってもよい。
これらの刻印は樹脂基板に転写されるので、樹脂基板を
見れば、どの型が使用されたか判る。刻印は、樹脂基板
の品質管理に利用される。 〔樹脂基板の成形〕ファザーを用いて、ファザー表面の
凹凸を転写する方法で、樹脂基板が製造又は成形され
る。成形方法は、射出、プレス、注型などがある。なか
でも、射出成形法が高い生産性を持つ。
【0055】樹脂基板に使用される樹脂は、一般に熱可
塑性樹脂(特に比較的硬い樹脂)である。その例として
は、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン系ポリ
マーアロイ、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタク
リレ−ト系) 、ポリ塩化ビニール、ポリエステル、ナイ
ロン、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アモルファス・ポリ
オレフィンなどがある。しかし、場合により熱硬化性樹
脂も使用可能である。その例としては、エポキシ樹脂、
熱硬化性ポリウレタン、不飽和アクリル樹脂、不飽和ポ
リエステル、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート樹脂などがある。樹脂基板の成形は先行技術と同じ
なので、これ以上説明しない。
【0056】
【実施例1】本実施例を図1を引用して説明する。 〔プレ原盤〕まず、基板材料として合成石英板を2枚用
意した。これらの板をそれぞさ外径185mm、内径2
0mm、厚み6mmのドーナツ状円板に加工し、基板
(1)とした。その後、基板表面をそれぞれ表面粗さ:
Ra=1nm以下に精密研磨した。洗浄後、基板表面に
「プライマーとしてのヘキサメチルジシラザン」とフォ
トレジストを順にスピンコートした。プリベ−クする
と、厚さ約200nmのフォトレジスト層(2)がそれ
ぞれの基板(1)上に形成された。このフォトレジスト
(2)が形成された基板(1)が、図1の(1)に示さ
れる。
【0057】次にレ−ザーカッティング装置を用いて、
第1の基板上のフォトレジストを露光した。露光のパタ
ーンは、書き換え可能型MD(ミニディスク) フォ−マ
ットに従って、(a)ウオッブル(wobble)ガイドグルー
ブパタ−ン及び(b)TOC(table of contents) パタ
−ンとなるプリピットprepits である。トラックピッチ
は、1.6μm、グルーブ幅は1.2μm、グルーブの
ウォッブル(wobble)振幅は約30〜40nm、TOC
パターンにおけるプリピット(prepit)幅は、約0.4μ
mとした。
【0058】第2の基板上のフォトレジストには、別の
パターンを露光した。パターンは、4.7Gbyte/side
のDVD−RAMフォーマットに従って、(a)シング
ルスパイラル・ランド/グルーブと(b)アドレス・ピ
ットである。トラックピッチは0.58μm(“ランド
/グルーブ”フォーマットなので、グルーブピッチは、
その2倍で1.16μm)である。グルーブ幅は約0.
58μmである。アドレス部分のピット幅は、約0.3
μm、ウォッブル振幅は約10〜20nmである。
【0059】露光を終えた2枚の基板上のレジストを、
それぞれ無機アルカリ現像液で現像した。レジスト表面
をスピン洗浄し、その後、120℃で30分ポストベー
クした。これによりレジストパターン=プレ原盤(1&
2)が形成された。この様子は図1の(2)に示され
る。 〔原盤〕プレ原盤を反応性イオンエッチング(RIE)
装置内に入れ、ドライエッチングを行った。この様子は
図1の(3)に示される。
【0060】残ったレジストを除去し、洗浄すると、図
1の(4)に示される原盤(3)が得られた。これらの
原盤(3)は石英基板に直接にパターンが食刻されたも
のである。第1の原盤(MDフォーマット)はピット及
びグルーブ深さが約65nmであった。第2の原盤(D
VD−RAMフォーマット)は、ピット及びグルーブ深
さは約140nmであった。
【0061】これらの原盤(3)は、RIEプロセスで
製造されたので、グルーブの側壁、ピットの側壁及びピ
ット前後のエッジがいずれも非常にシャープであった。
このことは光ディスクに次の(a)〜(f)の利点をも
たらす。(a)ウォッブル信号の再生が正確である。
(b)CNRが向上する。(c)クロスイレーズ及びク
ロストークが低くなる。(e)書き込み、読み取りの各
信号のドロップアウトも非常に少なくなる。また、ピッ
トの底及び側壁の表面粗さ、グルーブの底及び側壁の表
面粗さが非常に小さいために、ノイズが小さくなる。
【0062】〔ファザー〕第1(MDフォーマット)の
原盤(3)をスパッタリング装置にセットし、表面に厚
さ約50〜70nmのNi層(導電層)を付着depositi
onさせた。これにより導電化処理を終えた。原盤(3)
の凹凸が深い場合は、RF放電下でスパッタリングする
ことが好ましい。RF放電下では、マザーの帯電による
悪影響(例えばスパッタリング速度ムラ)を受け難くな
る。そこで本実施例では、RF放電(電力:400W)
下でスパッタリングを実施した。第2(DVD−RAM
フォーマット)の原盤(3)の上にも同様に導電層を形
成させた。
【0063】Ni層が厚いと、後でNiメッキ層が剥が
れる場合がある。その場合には、Ni層(導電層)の厚
さを10nm〜40nm程度に薄くする。次に原盤
(3)をスルファミン酸ニッケルを溶かしたメッキ浴に
入れた。浴の温度は約45〜55℃にした。そして、通
電することにより、Ni電鋳を開始した。開始時は、電
流密度を低くし、徐々に電流密度を上げた。電鋳は、得
られたNiメッキ層(4)の厚さが285μmになった
とき止めた。
【0064】第2の原盤についても同様にNiメッキ層
(4)を形成した。主にこのメッキ(4)がファザーを
構成する。この様子は図1の(5)に示される。図1の
(5)に示すように、製造直後は、ファザー(4)は原
盤(3)の上にある。そこで、ファザー(4)を原盤
(3)から剥離すると、図1の(6)に示す自由なファ
ザー(4)が得られる。ファザー(3)の表面粗さRa
は1nm以下であった。
【0065】ファザー(4)の凹凸面に保護塗料として
商品名:クリンコ−トS(ファインケミカル ジャパン
社製)をスピンコート法により塗布した。塗布した後、
塗膜を約10時間自然乾燥させた。これにより凹凸面は
保護コートで覆われた。サンの裏面を研磨した後、その
内径と外径を打ち抜いて落とした。こうして、ドーナツ
状のファザー2枚が仕上がった。
【0066】ファザー(4)を剥がした後の原盤(3)
は、損傷を受けていない。 〔応力緩和〕原盤(3)を再使用すべく、応力緩和の熱
処理を施した。熱処理では、1000℃で1時間加熱し
た。加熱処理後、原盤の温度を50℃/時間の割合で徐
々に戻した。
【0067】〔再使用〕応力緩和した原盤(3)を再び
使用して、上記〔ファザー〕工程と同じ方法でファザー
を製造した。この後、上記〔応力緩和〕工程及び上記
〔ファザー〕工程を100回繰り返し、合計で102枚
のファザー・スタンパーを得た。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、1枚のプレ原盤、1枚
の原盤からファザー・スタンパーが安価に大量に製造さ
れる。しかも、スタンパーの肌荒れが少ない。スタンパ
ーの表面粗さは原盤と(ほとんど)同一である。先行技
術では、どうしてもサンの表面粗さは原盤より劣る。そ
のため、本発明のファザーを用いれば、高レベルに評価
される樹脂基板(例えば、光ディスク)の製造が可能で
ある。評価項目には、ウォブル・フォーマット信号のノ
イズ、変調度、ジッタ、エラーレート、クロストーク(c
ross-talk)、クロック安定性、ファイン・クロック・マ
ーク品質がある。
【0069】従って、本発明のスタンパーは、「ウォブ
ル信号を持つ光ディスク、例えば、CD─R、CD−R
W、MD、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RA
M、DVD−RW等」の樹脂基板を成形するのに有用で
ある。本発明の製法に従って製造された複数のファザー
・スタンパーは、互いにクローンと呼ばれる程に個性が
ない。そのため、射出成形機にスタンパーをセットして
樹脂基板を成形するとき、スタンパーごとに成形条件を
変える必要がない。成形条件としては、金型温度、樹脂
温度、射出圧力、サイクルタイムなどである。先行技術
では、成形条件を変えないと、同一の転写形状、反り、
複屈折率等を持つ樹脂基板が得られない。しかし、成形
条件を変えるのはなかなか面倒であり、成形業者はそれ
を嫌う。それに対し、本発明のスタンパー(複数)を使
うとき、その面倒がない。
【0070】射出成形の成形条件を微妙に調整しても、
成形された樹脂基板にクラウドcloud 又は「くもり」と
当業者が呼ぶ模様がでることがある。その模様の部分
は、鏡面のような反射がなく、美観を損ねる。それに加
えて、高精度が要求される樹脂基板では、くもりは不良
品を意味する。本発明のスタンパーは、くもりを発生さ
せることがない。
【0071】本明細書では、樹脂基板が光ディスクに使
用される場合を詳しく説明したが、樹脂基板は他の用途
に使用されるものでもよい。微細な凹凸を持つどんな樹
脂基板も本発明のサンを用い成形することができる。そ
のような樹脂基板には、例えば、磁気ディスク(ハード
ディスク)用基板、光カード用基板、液晶デバイス用基
板、半導体デバイス用基板、プリンターの部品用基板、
情報記録/再生装置の部品用基板、パーソナルコンピュ
ータの部品用基板、自動車の部品用基板、光学部品自体
(例えば、ゾーンプレート、非球面レンズ、回折格子、
ホログラム板、フォトマスク、レティクル)又はその基
板、エンコーダ部品用の基板等がある。
【0072】なお、本発明のファザー・スタンパーをそ
のまま樹脂成形に使用するのではなく、これを基にマザ
ー・スタンパー、サン・スタンパーを製造し、サン・ス
タンパーを樹脂成形に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例にかかるプロセスチャートで
ある。
【図2】 先行技術にかかるプロセスチャートである。
【符号の説明】
1 :セラミックス基板 2 :フォトレジスト 3 :原盤 4 :ファザー・スタンパー 以上

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス製の原盤を用意する第1工
    程と、前記原盤上にメッキ法によりファザー・スタンパ
    ーを形成する第2工程と、前記スタンパーを前記原盤か
    ら剥離する第3工程と、剥離された後に残された前記原
    盤上に再びファザー・スタンパーを形成する第4工程
    と、前記スタンパーを前記原盤から剥離する第5工程
    と、前記第4工程と前記第5工程で1つのサイクルを形
    成し、このサイクルを複数回繰り返す工程とからなるこ
    とを特徴とするファザー・スタンパーの大量製造方法。
  2. 【請求項2】 前記メッキ法が電鋳であることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記メッキ法がイオンプレーティング法
    であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記メッキ法が湿式無電解メッキ法であ
    ることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記複数回が100回以上であることを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記原盤が、所定のレジストパターンの
    形成された石英基板を用意する工程と、エッチングによ
    り前記基板に凹部を成形する工程と、残留した前記レジ
    ストを除去する工程とから製造されたものであることを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記原盤の表面粗さRa が1nm以下であ
    り、前記スタンパーの表面粗さRa も1nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記第4工程の前に、前記原盤の応力を
    緩和する第6工程を挿入したことを特徴とする請求項1
    〜7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記第6工程が熱処理であることを特徴
    とする請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 セラミックス製の原盤を用意する第1B
    工程と、前記原盤上にメッキ法により「原盤の凹凸が見
    えないほどに厚く、かつ所定の厚さより薄い状態のスタ
    ンパー」を形成する第2B工程と、前記スタンパーを前
    記原盤から剥離する第3B工程と、剥離された前記スタ
    ンパーの凹凸面に保護コートを施す第4B工程と、前記
    保護コートで保護された前記スタンパーに対し、再びメ
    ッキすることにより、前記所定の厚さのファザー・スタ
    ンパー」を形成する第5B工程と、からなることを特徴
    とするファザー・スタンパーの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の第3B工程で剥離された
    原盤を前記原盤の代わりに使う請求項10記載の第1B工
    程と、請求項10記載の第2B〜第5B工程で1つのサイ
    クルを形成し、このサイクルを複数回繰り返すことによ
    り、大量のファザー・スタンパーを製造する方法。
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