JP3565693B2 - 反射体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型液晶表示装置などに用いられる、反射面に凹凸を有する反射体の製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、反射面に凹凸を有する反射板の製造方法として、ガラス基板表面やガラス基板上の合成樹脂膜表面に対してガラス微粒子を衝突させて凹凸を形成し、ついでこのようにして形成した凹凸表面上にアルミニウムなどからなる金属反射膜を形成する方法や、ガラス基板表面自体をフッ酸でエッチング処理し、ついでこのようにしてガラス基板表面に形成した凹凸面にアルミニウムなどからなる反射性金属膜を形成する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれら従来の製造方法は、反射体の製造条件を一定に制御するのが困難であり、製造して得られる反射体表面の凹凸形状が反射体毎に異なりやすく、反射特性にばらつきのない反射体を量産するのが困難であるという問題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みなされたもので、反射特性にばらつきのない反射体を容易かつ簡単に量産する製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の反射体の製造方法は、透明基体上に感光性樹脂層を塗布して軟化状態の感光性樹脂層に凹凸型面を有する型の該型面を押し付けながら前記透明基体の下方側から光を照射し、型押しされた前記感光性樹脂層部分を予備硬化させ、ついで予備硬化した前記感光性樹脂層から前記型を剥離する工程と、該工程を繰り返して前記感光性樹脂層上に所望の型付けを施し、それぞれ型付けを施した感光性樹脂部分を除いた感光性樹脂層をエッチング除去する工程と、前記型付けを施した感光性樹脂部分を加熱して本硬化する工程と、ついでそれぞれの本硬化した感光性樹脂部分上に金属反射膜を形成する工程とからなる。
かかる方法により、大面積の透明基体を用いて、同一形状の凹凸表面を持つ反射体を再現良く多数個一度に製造できるので、反射特性にばらつきのない反射体を容易かつ簡潔に量産することができる。
【0005】
また、本発明の反射体の製造装置は、凹凸型面を有し上下方向に可動な型と、前記型面の外周形状に合わせた外周形状を持ちかつ前記型面に対向配置した光透過窓を有する基台と、表面に感光性樹脂層を塗布した透明基体を支持し前記基台と前記型との間で水平方向に移動する基体移送部材と、基台の前記光透過窓を通して前記型に向けて光照射する光源とからなるものである。
かかる構成により、大面積の透明基体を用い、可動型及び基台と基体移送部材とを水平方向に相対移動させて多数の反射体を一度に製造できるので、反射体を容易かつ簡潔に量産することができる。
【0006】
さらに本発明の反射体の製造装置は、凹凸型面を有し上下方向に可動な型と、前記型面の外周形状に合わせた外周形状を持つ光透過窓を間隔をあけて複数個有し、前記型に対して水平方向に相対的に移動自在である、表面に感光性樹脂層を塗布した透明基体を支持する基台と、該基台の前記光透過窓を通して前記型に向けて光照射する光源とからなるものである。
かかる構成によっても、大面積の透明基体を用い、可動型と基台とを水平方向に相対移動させて多数の反射体を一度に容易かつ簡潔に製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の反射体製造装置の一実施形態を図1により説明する。
反射体製造装置は、平板状の基台2を備え、基台2の一部にその厚さ方向に貫通した矩形状の光透過窓3を有し、光透過窓3の上方に透明基体13を支持するための基体移送部材4を水平方向に移動可能に設けている。基体移送部材4は、その厚さ方向に貫通した孔5を有しており、この孔5に透明基体13を支持する透明な支持部材6をはめているとともに、孔5を除く周縁部分の枠部7には透明基体13を固定するための固定部材8をネジなどにより着脱自在に取り付けている。基体移送部材4自体は、図示を省略したシリンダなどによって水平方向に動くようになっている。
基体移送部材4の上方に、凹凸型面9aを光透過窓3に対向するように配置した可動型9を上下方向に可動に設けており、また基台2の下方には、紫外線などの光を発するための光源10を光透過窓3に臨ませて配設している。光透過窓3は、図示例では中空だが透明体を埋設していてもよい。光透過窓3は、凹凸型面9aの大きさを超えないよう、凹凸型面9aの外周形状に合わせた外周形状を持つ大きさに設定している。
【0008】
基体移送部材4は、光源10から凹凸型面9aに向けて発せられた光が基体移送部材4と基台2との隙間で回折などにより減光しないよう、基台2との間隙をできるだけ小さくしている。
光源9は、紫外線などを発する紫外線ランプ11とミラー12とからなり、紫外線ランプ11及びミラー12を、ミラー12で反射された光がほぼ平行光となるよう配置している。
【0009】
凹凸型面9aは、黄銅製金属板の表面を切削加工して凹凸を形成してなるものである。また支持部材6は、透明基体13上の感光性樹脂層14に凹凸型面9aを型押しする押圧力に耐え得る強度を持つ必要があることから、十分に厚いガラス板などを用いることが必要であるが、ガラスは板厚が厚いほど紫外線を多く吸収するため、板材として紫外線の吸収率が小さい透明材料である石英を用いるのが望ましい。例えば、石英からなる厚さ50mm程度の板を用いるのが好ましい。また基体移送部材4の枠部7も、剛性の高い材料例えば鉄、セラミックスなどで構成する必要があるが、基体移送部材4全体を図示例とは異なり、石英などの透明材料で構成してもよい。
【0010】
可動型9には、透明基体13に設けた位置合わせマークなどを読み取るカメラを設けてもよい。また基台2と光源10との間には、感光性樹脂層14に紫外線を照射する時間を規定するために、基台2の裏面に沿って回動自在なシャッターを設けてもよい。
【0011】
次に、上述の反射体製造装置を用いた反射体の製造方法の一実施の形態を図3に基づいて述べる。
まず、ガラスなどからなる透明基体13上にスピンコート法などにより感光性樹脂液を所定の厚さで塗布し、ついで加熱炉等の加熱装置を用いて所定温度範囲で加熱して、軟化状態の感光性樹脂層14を成膜する。感光性樹脂としては、アクリル系感光性樹脂の他に、例えばポリスチレン系感光性樹脂、アジドゴム系感光性樹脂、およびイミド系感光性樹脂などを用いることができる。所定の加熱温度は、感光性樹脂にもよるが、40℃ないし150℃が望ましい。40℃未満の場合、感光性樹脂中に溶媒が残留するので、後述の工程における紫外線の照射時に凹凸型面9aと感光性樹脂部分16との界面で気泡が発生するおそれがあり、150℃を越えた場合、樹脂の流動性が悪くなって、型押しの際に凹凸を感光性樹脂部分の表面に十分に転写できなきくなるおそれがある。
成膜した透明基体13を基体移送部材4上に載置し、固定部材8で基体移送部材4上に固定し、基体移送部材4を可動型9に対して図1に示すよう所定の位置に設定する。
【0012】
この状態で図3(a)に示すように、透明基体13上の感光性樹脂層14に可動型9の凹凸型面9aを所定の押圧力にて押し付けながら、透明基体13の下方にある光源10から凹凸型面9aに向けて紫外線を照射する。紫外線は、光透過窓3の大きさが凹凸型面9aの大きさを超えないように設定してあるので、型押しされて凹凸型面5aの周辺部に盛り上がった感光性樹脂部分15には照射されない。したがって、型付けした感光性樹脂部分のみに紫外線を照射することができ、この感光性樹脂部分のみを予備硬化することができる。
【0013】
そして図3(b)に示すように、予備硬化した感光性樹脂部分16から可動型9を剥離する。このようにして、予備硬化感光性樹脂部分16の表面に、凹凸型面9aの表面形状を反転した形状の凹凸を転写することができる。
同様に感光性樹脂層14の型押しされていない所望領域上に可動型9が位置するよう基体移送部材4を移動させ、感光性樹脂層14に凹凸型面9aを押し付けながら、透明基体13の下方側から紫外線を照射して型付けした感光性樹脂部分17を予備硬化させた後、図3(c)に示すように、この予備硬化感光性樹脂部分17から可動型9を剥離する。さらに、同様の工程を繰り返すことにより、図3(d)に示すように予備硬化した感光性樹脂部分18を形成する。
ついで予備硬化した感光性樹脂部分16、17、18を形成した透明基体13をエッチング液中に浸漬し、各々型押しされた感光性樹脂部分16、17、18を除く感光性樹脂層をエッチング除去し、加熱装置を用いて感光性樹脂部分16、17、18を240℃以上に加熱し、本硬化を行って図3(e)に示す硬化樹脂部分16、17、18を形成する。
【0014】
硬化樹脂部分16、17、18のそれぞれの表面にスパッタ法等により金属性反射膜を成膜して反射体を製造し、ついで透明基体22を分割することにより、多数個の反射体を同時に製造する。また、反射体製造後、上述のように透明基体13を分割しないでそのまま利用し、各反射体の上に後述の液晶表示装置の各層を積層し、その後透明基体を分割して、図4に示したような液晶表示装置を製造してもよい。
なお金属性反射膜の成膜法としては、スパッタ法の他に蒸着、CVD(化学気相蒸着)、イオンプレーティング、無電界メッキ等が適用できる。また反射性金属として、Al、Al合金、Ag又はAg合金等を用いることができる。
【0015】
次に、本発明に係る反射体の製造装置の他の実施形態を図2により説明する。
この製造装置は、平板状の基台22と、この基台22の上方にあって上下方向に可動な図1に示した同じ型9とを、水平方向に相対的に移動可能に備えている。なお、図示例は、基台22を図示を省略したシリンダなどによって水平方向に移動自在とし、可動型23を水平方向には不動とした構造を示しているが、逆の配置になるよう、すなわち可動型9を水平方向にも移動自在とし、基台22を水平方向に不動とした構造であってもよい。
基台22は、その厚さ方向に貫通した矩形状の光透過窓24a、24b,24cを有しており、これら光透過窓24a,24b,24cのそれぞれに透明部材25a,25b,25cをはめるとともに、基台22の表面上に透明基体13を固定するための固定部材26をネジなどによって着脱自在に取り付けている。これら光透過窓は、凹凸型面9aの大きさを超えないよう、凹凸型面9aの外周形状に合わせた外周形状を持つ大きさに設定している。
可動型9は、基台22に対向する凹凸型面9aを備えている。基台22の下方には、基台22に向けて紫外線などを発するための光源27を配設している。光源27も、図1にて示した光源10と同様な構造、すなわち紫外線ランプ28とミラー29とからなる。
【0016】
透明部材25a、25b,25cとしては、透明基体13上の感光性樹脂層14に凹凸型面9aを型押しする押圧力に耐え得る強度を持つ必要があることから、十分に厚いガラス板などを用いることが必要であるが、ガラスは板厚が厚いほど紫外線を多く吸収するため、板材として紫外線の吸収率が小さな透明材料である石英を用いるのが望ましい。石英からなる厚さ50mm程度の板を用いるのが望ましく、たとえば50mmの石英の板が好ましい。また、基台22の透明部材25a,25b,25cを除く部分は、剛性の高い材料、例えば鉄、セラミックスなどで構成する。
この製造装置は、基台22が図1に示した基台2の機能と基体移送部材3の機能とを一体化した構成となっているので、図1の装置に比べてより簡単な装置構成となっている。
【0017】
次に、この製造装置を用いた反射体の製造方法の他の実施形態を、図2及び図3に基づいて述べる。
まず、軟化状態の感光性樹脂層14を成膜した透明基体13を、基台22上に載置し固定部材26で基台22上に固定して、ついで基台22を可動型9に対して所定の位置に設定する。この状態で図3(a)に示すように、透明基体13上の感光性樹脂層14に可動型9の凹凸型面9aを所定の押圧力にて押し付けながら、透明基体13の下方にある光源27から凹凸型面9aに向けて紫外線を照射し、型押しした感光性樹脂部分のみを予備硬化する。
そして図3(b)に示すように、予備硬化した感光性樹脂部分16から可動型9を剥離する。
さらに感光性樹脂層14の型押しされていない所定の領域上に可動型9が位置するよう基台22を移動し、感光性樹脂層14に凹凸型面9aを押し付けながら透明基体13の下方側から光を照射して感光性樹脂部分17を予備硬化させた後、図3(c)に示すように、この予備硬化感光性樹脂部分17から可動型9を剥離する。同様の工程を繰り返すことにより、図3(d)に示す予備硬化した感光性樹脂部分18をさらに形成する。
【0018】
以後、上述した本発明の一実施の形態に係る製造方法と同様な方法で、感光性樹脂部分16、17、18を形成した透明基体13をエッチング液中に浸漬し、各々型押しされた感光性樹脂部分16、17、18を除く感光性樹脂層をエッチング除去する。ついで加熱装置を用いて、感光性樹脂部分16、17、18を加熱装置により240℃以上に加熱して本硬化を行って、図3(e)に示す硬化樹脂部分16、17、18を形成する。
最後にスパッタ法等により、本硬化させた感光性樹脂部分16、17、18のそれぞれの表面に金属性反射膜を成膜して反射体を製造して、多数個の反射体を同時に製造する。
【0019】
かかる反射体を有する反射型液晶表示装置を、図4に示す。
この反射型液晶表示装置は、上側ガラス基板31と下側ガラス基板32との間に液晶層34を設け、上側ガラス基板31の上面側に2枚の位相差板35、36及び1枚の偏光板37を順次設けている。液晶層34中の液晶は、STN型液晶となっている。そして、下面ガラス基板32の対向面には、図2に示した工程により製造した反射体、すなわち凹凸部38aを表面に有する感光性樹脂層38上にAl等の金属膜を形成してなる反射膜39を設けている。
また、反射膜39表面にオーバーコート層40を形成し、このオーバーコート層40の上面側にはカラーフィルター層41、平坦化層42およびITOからなる透明電極層43と配向膜44とを順次積層している。一方、上側ガラス基板31の対向面にはITOからなる透明電極層45と保護層46と配向膜47とを順次積層している。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る反射体の製造方法によれば、軟化状態の感光性樹脂層に凹凸型面を押し付けながら光照射して予備硬化させる工程を繰り返し、それぞれ型付けを施した感光性樹脂部分を除いた感光性樹脂層をエッチング除去し加熱して本硬化させ、ついでそれぞれの本硬化した感光性樹脂部分上に金属反射膜を形成するので、大面積の透明基体を用いて、同一形状の凹凸表面を持つ反射体を再現良く一度に多数個製造でき、反射特性にばらつきのない反射体を容易かつ簡潔に量産することができる。
【0021】
また本発明に係る反射体の製造装置は、凹凸型面を有する可動型、光透過窓を有する基台、基台と可動型との間でこれら基台と可動型に対して水平方向に相対的に移動する基体移送部材、及び光透過窓を通して可動型に向けて光照射する光源からなるので、大面積の透明基体を用い、可動型と基体移送部材とを水平方向に相対移動させて上述の感光性樹脂部分の予備硬化を連続的に行えるので、反射体多数個を連続的に製造でき、反射体を容易かつ簡潔に量産することができる。
【0022】
本発明に係る他の反射体製造装置、すなわち凹凸型面を有する可動型、光透過窓を間隔をあけて複数個有し可動型に対して水平方向に相対的に移動可能である基体支持基台、光透過窓を通して可動型に向けて光照射する光源からなる反射体製造装置によっても、上述の反射体製造装置と同様に反射体を容易かつ簡潔に量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射体製造装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る反射体製造装置の他の実施の形態を示す断面図である。
【図3】図1及び図2の反射体製造装置を用いた反射体の製造方法を示す工程図である。
【図4】図3に示した製造方法によって製造した反射体を用いた反射型液晶表示装置を示す断面図である。
【符号の説明】
2 基台
3 光透過窓
4 基体移送部材
9 可動型
9a 凹凸型面
10 光源
13 透明基体
14 感光性樹脂層
16、17、18 型付けを施した感光性樹脂部分

Claims (3)

  1. 透明基体上に感光性樹脂層を塗布して軟化状態の感光性樹脂層に凹凸型面を有する型の該型面を押し付けながら前記透明基体の下方側から光を照射し、型押しされた前記感光性樹脂層部分を予備硬化させ、ついで予備硬化した前記感光性樹脂層から前記型を剥離する工程と、該工程を繰り返して前記感光性樹脂層上に所望の型付けを施し、それぞれ型付けを施した感光性樹脂部分を除いた感光性樹脂層をエッチング除去する工程と、前記型付けを施した感光性樹脂部分を加熱して本硬化する工程と、ついでそれぞれの本硬化した感光性樹脂部分上に金属反射膜を形成する工程とからなることを特徴とする反射体の製造方法。
  2. 凹凸型面を有し上下方向に可動な型と、前記型面の外周形状に合わせた外周形状を持ちかつ前記型面に対向配置した光透過窓を有する基台と、表面に感光性樹脂層を塗布した透明基体を支持し前記基台と前記型との間で水平方向に移動する基体移送部材と、基台の前記光透過窓を通して前記型に向けて光照射する光源とからなることを特徴とする反射体の製造装置。
  3. 凹凸型面を有し上下方向に可動な型と、前記型面の外周形状に合わせた外周形状を持つ光透過窓を間隔をあけて複数個有し、前記型に対して水平方向に相対的に移動自在である、表面に感光性樹脂層を塗布した透明基体を支持する基台と、該基台の前記光透過窓を通して前記型に向けて光照射する光源とからなることを特徴とする反射体の製造装置。
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