JPH05326146A - 有機el素子 - Google Patents

有機el素子

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JPH05326146A
JPH05326146A JP5017082A JP1708293A JPH05326146A JP H05326146 A JPH05326146 A JP H05326146A JP 5017082 A JP5017082 A JP 5017082A JP 1708293 A JP1708293 A JP 1708293A JP H05326146 A JPH05326146 A JP H05326146A
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organic
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film
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    • H10K50/00Organic light-emitting devices
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    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/11OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 理想的に動作し、高い発光効率で所望の色の
発光が得られる有機EL素子を提供する。 【構成】 少なくとも一方が複数層である電子注入用の
有機膜および正孔注入用の有機膜とこれらの間に形成さ
れた発光層となる有機膜との積層体と、前記積層体の電
子注入用の有機膜側に形成された電子注入用の第1の電
極と、前記積層体の正孔注入用の有機膜側に形成された
正孔注入用の第2の電極とを備え、前記電子注入用の第
1の電極から発光層となる有機膜までに存在する各層間
の電子注入障壁が0.6eV以下であり、かつ前記正孔
注入用の第2の電極から発光層となる有機膜までに存在
する各層間の正孔注入障壁が0.6eV以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機色素を含む有機膜を
用いた発光素子(EL素子)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、表示素子や照明素子などとして用
いられる有機EL素子の研究開発が盛んに行われてい
る。例えば、九州大学の斎藤省吾は、金属電極/芳香族
色素/ポリチオフェン/透明電極を用いた有機2層構造
のEL素子を報告している(J.J.Appl.Phy
s.,25,L773,1986)。しかし、この素子
では、有機膜の膜厚が1μm以上であり、印加電圧も1
00V以上と高い。これに対して、コダック社のC.
W.Tangらは、Mg−Ag/Alq3 /ジアミン/
ITOという有機2層構造のEL素子を報告している
(Appl.Phys.Lett.,51,913,1
987)。この報告によれば、有機膜の膜厚を100n
m以下にすることによって、印加電圧10V以下で駆動
し、実用上十分な輝度を示す素子が得られている。これ
らのEL素子は、電子注入性の色素と正孔注入性の色素
とを組み合わせて有機2層構造とし、有機膜をできるだ
け薄くすること、電子注入側の金属電極に仕事関数の小
さいものを選ぶこと、真空蒸着法又は昇華法によって有
機膜を形成する際に電気的欠陥が発生しないような材料
を選択すること、などを主要な特徴としている。更に、
九州大学の斎藤省吾は、電子注入層/発光層/正孔注入
層という有機3層構造の素子を提案している。この構造
では、発光層として高いフォトルミネセンスを示す色素
を選ぶことによって高輝度発光が得られている(J.
J.Appl.Phys.,27,L269,198
8)。
【0003】また、C.Adachi,T.Tsuts
ui,S.Saito,Appl.Phys.Let
t.,56,799(1990)には、Mg・Ag/電
子輸送膜/発光膜/正孔輸送膜/ITOという有機3層
構造の素子において、電子輸送膜にフェニルベンゾオキ
サジアゾール(PBD)、正孔輸送膜にジメチルテトラ
フェニルベンジジン(TAD)、発光膜にテトラフェニ
ルブタジエン分子を用いた場合、10Vの駆動電圧で1
00mA/cm2 の電流が流れ、輝度700cd/m2
の発光が得られたことが報告されている。ただし、他の
発光膜を用いた場合には、発光波長が長波長シフトした
り、輝度が著しく低下している。
【0004】有機EL素子は、輝度についてはほぼ実用
段階まできている。しかし、発光効率、素子寿命、素子
作製プロセスなどに関しては技術的に未解決の問題が多
い。発光効率は、現状ではよくて1%、通常0.1%程
度である。発光効率が低いということは、電極間に発光
に寄与しない電流が流れることを意味する。この電流は
ジュール熱を発生するから素子寿命を低下させる大きな
原因となる。したがって、有機EL素子を実用化するた
めには、発光効率を少なくとも数%から10%程度まで
高めることが要望されている。
【0005】有機EL素子の発光効率を高めるために
は、素子構造の最適化と、用いる材料の電気的性質の最
適化が必要である。しかし、従来は有機材料の性質に関
して、電子(または正孔)輸送性、電子(または正孔)
注入性、電子供与性、電子受容性、発光性といった定性
的な定義しかなされておらず、これでは素子条件が十分
規定されているとはいえない。
【0006】また、有機EL素子を用いてフルカラーデ
ィスプレイを構成しようとするとき、光の3要素である
赤、緑、青(RGB)のEL素子が必要になる。このう
ち特に青色発光の実現は困難であることがよく知られて
いる。これは、青色発光が波長にして470nm、エネ
ルギーにして2.6eVの高エネルギー発光であり、E
L素子中の不純物などの影響を非常に受けやすいためで
ある。このため、青色の発光が得られたとしても、その
効率と輝度は低く、しかも不純物準位からの間接遷移に
よると思われる予期せぬ長波長発光が観測され、色純度
も十分でない。以下、この問題についてさらに詳細に説
明する。
【0007】前記の定義に従えば、従来の有機EL素子
の基本構造は、陽極(第2の電極)、正孔注入性分子よ
りなる第2の有機膜、電子注入性分子よりなる第1の有
機膜、陰極(第1の電極)を順次積層したものである。
この構造で、青色発光(2.6eV)を実現する素子を
考える。有機材料の場合、発光の極大エネルギーは、バ
ンドギャップ(吸収端)より低エネルギー側に0.5e
V程度シフトすることが知られている(ストークスシフ
ト)。このことを考慮すれば、青色発光を得るためには
バンドギャップが3.0eV以上の材料を用いることが
好ましい。
【0008】第2の電極としては仕事関数ができるだけ
大きいものが用いられる。従来より多用されているIT
O透明電極の場合、仕事関数は4.8eVである。ま
た、第1の電極としては、電子注入が容易に起こるよう
に仕事関数ができるだけ小さいものが用いられる。例え
ば、Al電極の場合、仕事関数は4.2eVである。
【0009】また、従来の素子においては、第1の有機
膜としては、第1の電極(Al)から電子が注入されや
すい材料が用いられる。したがって、エネルギーレベル
としては、電子親和力が大きいすなわち伝導帯レベルが
3.8eV以上である材料が選択されている。第2の有
機膜としては、第2の電極(ITO)から正孔が注入さ
れやすい材料が用いられる。したがって、エネルギーレ
ベルとしては、イオン化ポテンシャルが小さいすなわち
価電子帯レベルが5.4eV以下の材料が選択されてい
る。有機膜のバンドギャップが3eVであるとき、第2
の有機膜の伝導帯レベルは2.4eV以下となり、第1
の有機膜の価電子帯レベルは6.8eV以上となる。
【0010】この素子について、フラットバンド状態に
おける接合を図40に示す。この素子では、2つの有機
膜の界面の接合障壁は伝導帯側も価電子帯側も1.0e
Vを超える値になる。この場合、極めて正孔が注入され
やすい強いドナー性分子と極めて電子が注入されやすい
強いアクセプタ性分子とを用いるほど、すなわちイオン
化ポテンシャルの小さい分子と電子親和力の大きい分子
を用いるほど、この接合障壁は高くなる。
【0011】このような素子において、第2の電極に正
のバイアスを印加した場合に、理想的には、図41およ
び図42に示すような動作が生じる。すなわち、第1の
電極から第1の有機膜に電子が注入され、第1の有機膜
と第2の有機膜との界面に蓄積される。一方、第2の電
極から第2の有機膜に正孔が注入され、第2の有機膜と
第1の有機膜との界面に蓄積される。電子と正孔とは有
機膜界面を隔てて電気2重層を形成する。電気2重層に
は強い電界が誘起され、電子または正孔はトンネル注入
されやすい状態にある。この結果、電子は第2の有機膜
へトンネル注入され、第2の有機膜中の正孔と再結合し
て発光する。一方、正孔は第1の有機膜へトンネル注入
され、第1の有機膜中の電子と再結合して発光する。こ
のような理想的な原理に基づいて動作するとすれば、発
光波長は第1の有機膜および第2の有機膜のバンドギャ
ップによって決定され、ストークスシフトを考慮しても
ほぼ2.7eVのエネルギーを中心とした青色領域の発
光が得られると考えられる。
【0012】しかし、現状のプロセスで作製された図4
0に示したような接合を有する素子では、ほとんどの場
合、電界発光は2.0eV以下の赤色領域で起こる。こ
の原因は、現状のプロセス技術で作製される素子では有
機膜の界面に構造の乱れが生じるからであることが判明
している。この点に関して以下に説明する。
【0013】いま、第2の有機膜上に第1の有機膜を蒸
着する場合を考える。蒸着装置内部では、第2の有機膜
の表面に第1の有機膜を構成する分子が高速で衝突す
る。この結果、例えば図43に示すように、第1の有機
膜の構成分子が第2の有機膜の中へ拡散する。その拡散
深さは数10nmに達することもある。また、図44に
示すように、分子が衝突することによって第2の有機膜
の構造が乱れ、第2の有機膜を構成する分子と第1の有
機膜を構成する分子が同程度の濃度で混合した中間層が
形成されることもある。図45に示すように、これらの
現象が生じると、第2の有機膜中において第1の有機膜
を構成する分子の伝導帯準位による新たな準位(以下、
電荷移動(CT)準位と称する)が形成される。このと
き、第1の電極から第1の有機膜へ注入された電子は、
有機膜界面に蓄積されるのではなく、この準位を移動し
て第2の有機膜側へ注入され、第2の電極から注入され
た第2の有機膜の価電子帯の正孔と再結合する。すなわ
ち、第1の有機膜中の電子が有機膜/有機膜の界面を通
して注入される電子注入速度をkinj 、電荷移動準位か
らの遷移により再結合する再結合速度をkCTとする。従
来の素子のように接合障壁が0.6eVを超える値にな
ると、熱励起過程による注入確率は激減し、kinj <<
CTとなっている。
【0014】前記の再結合エネルギーは約2.0eV以
下であるため、このような素子においては長波長の発光
しか得られない。しかも、強いドナー性分子と強いアク
セプタ性分子を用いるほど、CT準位の位置は第2の有
機膜の価電子帯へ近づくため発光はより長波長側へず
れ、上述したような青色発光用のEL素子を実現するこ
とはできないという問題を生じる。また、一般にCT発
光の発光スペクトルは半値幅0.4eV以上のブロード
なものであるうえ、トンネル注入された電子と正孔の再
結合による発光との混色も生じるため、色純度も著しく
低下してしまう。以上のようなCT発光を防止するため
には、有機膜積層時の分子の拡散を防止することが望ま
しいが、現状のプロセス技術では非常に困難である。
【0015】さらに、有機膜積層時に分子の拡散がなく
ても、第1の有機膜の伝導帯と第2の有機膜の価電子帯
が接近しているような場合には、第1の有機膜と第2の
有機膜の接合界面に蓄積した電子と正孔とが接合界面を
通して間接再結合する可能性がある。このときの発光波
長は、第1の有機膜の伝導帯と第2の有機膜の価電子帯
のエネルギー差に相当するので、この場合も同様に長波
長の発光が生じ、第1の有機膜および第2の有機膜のバ
ンドギャップによって決定される波長分布の発光を観測
することができない。
【0016】以上のように従来の有機EL素子では、種
々の要因によって界面における電気的な接合条件と薄膜
の構造的条件とが影響を受けるため、理想的に動作する
有機EL素子を作製することは困難であった。すなわち
従来の有機EL素子では、第1の有機膜および第2の有
機膜のバンドギャップによって決定される波長の発光以
外に上述したような間接再結合に基づく発光が生じるた
め、結果として色純度が低下し、また発光効率も低いと
いう問題があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解決して、理想的に動作し、高い発光効率で所望の
色の発光が得られる有機EL素子を提供することを目的
としている。
【0018】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の有機EL
素子は、発光層となる第1の有機膜および第2の有機膜
の積層体と、前記積層体の第1の有機膜側に形成された
電子注入用の第1の電極と、前記積層体の第2の有機膜
側に形成された正孔注入用の第2の電極とを備え、前記
第1の有機膜および第2の有機膜の価電子帯の真空準位
からのエネルギー差をそれぞれEV1、EV2としたとき、 EV1−EV2≦0.6eV の関係を満たし、かつ少なくとも接合障壁のより高い有
機膜と電極との界面が電界印加時の障壁厚みを低減しキ
ャリアをトンネル注入できる界面構造を有していること
を特徴とする。
【0019】本発明の他の有機EL素子は、第1の有機
膜および発光層となる第2の有機膜の積層体と、前記積
層体の第1の有機膜側に形成された電子注入用の第1の
電極と、前記積層体の第2の有機膜側に形成された正孔
注入用の第2の電極とを備え、前記第1の有機膜および
第2の有機膜の伝導帯の真空準位からのエネルギー差を
それぞれEC1、EC2としたとき、 EC1−EC2≦0.6eV の関係を満たし、かつ少なくとも接合障壁のより高い有
機膜と電極との界面が電界印加時の障壁厚みを低減しキ
ャリアをトンネル注入できる界面構造を有していること
を特徴とする。
【0020】本発明のさらに他の有機EL素子は、少な
くとも一方が複数層である電子注入用の有機膜および正
孔注入用の有機膜とこれらの間に形成された発光層とな
る有機膜との積層体と、前記積層体の電子注入用の有機
膜側に形成された電子注入用の第1の電極と、前記積層
体の正孔注入用の有機膜側に形成された正孔注入用の第
2の電極とを備え、前記電子注入用の第1の電極から発
光層となる有機膜までに存在する各層間の電子注入障壁
が0.6eV以下であり、かつ前記正孔注入用の第2の
電極から発光層となる有機膜までに存在する各層間の正
孔注入障壁が0.6eV以下であることを特徴とする。
【0021】なお、各有機膜の価電子帯の真空準位から
のエネルギー差は各有機膜のイオン化ポテンシャルIP
と等価であり、各有機膜の伝導帯の真空準位からのエネ
ルギー差は各有機膜の電子親和力EA と等価である。
【0022】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0023】図1は本発明に係る有機EL素子の一例を
示す断面図である。この素子は、ガラス基板1上に第2
の電極(M2 )2、第2の有機膜(O2 )3、第1の有
機膜(O1 )4、第1の電極(M1 )5が順次形成され
た構造を有している。この素子は、第1の有機膜および
第2の有機膜の価電子帯の真空準位からのエネルギー差
をそれぞれEV1、EV2としたとき、EV1−EV2≦0.6
eVの関係を満たしている。また、第1の電極5は例え
ばフィラメント状の突起を有するフィールドエミッショ
ン電極となっており、低電圧印加で第1の有機膜4へ電
子をトンネル注入できる。
【0024】図2に図1の有機EL素子のフラットバン
ドバイアスにおけるバンド図を示す。この素子の動作原
理を図3を用いて示す。第2の電極が正となるようにバ
イアス電圧を印加すると、第1の電極から第1の有機膜
の伝導帯に電子がトンネル注入され、第2の有機膜との
界面に電子が蓄積する。これとほぼ同時に第2の電極か
ら第2の有機膜の価電子帯に正孔が注入される。第2の
有機膜の第1の有機膜との界面の障壁は正孔の注入に関
して0.6eV以下のため、正孔はさらに第1の有機膜
に熱励起注入される。この結果、第1の有機膜の伝導帯
にすでに存在する電子と再結合して発光する。このとき
の発光スペクトルとしては、第1の有機膜を構成する有
機分子における直接遷移に由来するものが得られる。
【0025】図4は本発明に係る有機EL素子の他の例
を示す断面図である。この素子は、ガラス基板1上に第
2の電極(M2 )2、第2の有機膜(O2 )3、第1の
有機膜(O1 )4、第1の電極(M1 )5が順次形成さ
れた構造を有している。この素子は、第1の有機膜およ
び第2の有機膜の伝導帯の真空準位からのエネルギー差
をそれぞれEC1、EC2としたとき、EC1−EC2≦0.6
eVの関係を満たしている。また、第2の電極2は例え
ばフィラメント状の突起を有するフィールドエミッショ
ン電極となっており、低電圧印加で第2の有機膜3へ正
孔をトンネル注入できる。
【0026】図5に図4の有機EL素子のフラットバン
ドバイアスにおけるバンド図を示す。この素子の動作原
理を図6を用いて示す。第2の電極が正となるようにバ
イアス電圧を印加すると、第2の電極から第2の有機膜
の価電子帯に正孔がトンネル注入され、第1の有機膜と
の界面に正孔が蓄積する。これとほぼ同時に第1の電極
から第1の有機膜の伝導帯に電子が注入される。第1の
有機膜の第2の有機膜との界面の障壁は電子の注入に関
して0.6eV以下のため、電子はさらに第2の有機膜
に熱励起注入される。この結果、第2の有機膜の価電子
帯にすでに存在する正孔と再結合して発光する。このと
きの発光スペクトルとしては、第2の有機膜を構成する
有機分子における直接遷移に由来するものが得られる。
【0027】さらに図7は、EV1−EV2≦0.6eV、
C1−EC2≦0.6eVをともに満たす有機EL素子の
フラットバンドバイアスにおけるバンド図を示す。この
素子の動作原理を図8を用いて示す。第2の電極が正と
なるようにバイアス電圧を印加すると、第1の電極から
第1の有機膜の伝導帯に電子がトンネル注入され、これ
とほぼ同時に第2の電極から第2の有機膜の価電子帯に
正孔が注入される。この素子においては、第1の有機膜
と第2の有機膜との界面の障壁が正孔の注入に関しても
電子の注入に関しても0.6eV以下のため、正孔が第
1の有機膜に注入されて第1の有機膜の伝導帯にすでに
存在する電子と再結合することも、電子が第2の有機膜
に注入されて第2の有機膜の価電子帯にすでに存在する
正孔と再結合することも可能である。従ってこの素子で
は、第1および第2の有機膜のいずれも発光層となり得
る。
【0028】本発明では、上述したような有機EL素子
においてプロセス上の問題から第1および第2の有機膜
の界面の構造に乱れが生じた場合にも、第1および第2
の有機膜の界面の障壁が正孔または電子の注入に関して
0.6eV以下と小さいため、正孔または電子が第1お
よび第2の有機膜の間で熱励起注入されやすく、正孔ま
たは電子が第1または第2の有機膜に注入された後発光
再結合する確率が高い。すなわち、本発明の有機EL素
子では、発光層となる有機膜およびこれに接合する有機
膜の電気的性質が類似しており、両者の接合障壁が低く
なる。したがって、前述したキャリア注入速度
(kinj )が、分子間再結合速度(kCT)より非常に大
きくなる(kinj >>kCT)。この結果、熱励起過程な
どにより容易にキャリアが注入するので、発光層となる
有機膜への電子と正孔の注入再結合効率が飛躍的に改善
し、発光層となる有機膜のバンドギャップに相当する所
望の発光が得られ、かつ高輝度高効率の発光素子が実現
できる。また、本発明においては、発光層となる有機膜
とこれに隣接する電極との間にさらに第3の有機膜が形
成されてもよい。このとき、第3の有機膜の価電子帯レ
ベルをEV3、伝導帯レベルをEC3とすると、第1の有機
膜と第1の電極との間に形成される場合、第3の有機膜
は電子注入性でかつEC3−EC1≦0.6eVの関係を満
足することが好ましく、第2の有機膜と第2の電極との
間に形成される場合、第3の有機膜は正孔注入性でかつ
V2−EV3≦0.6eVの関係を満足することが好まし
い。
【0029】本発明で、第1および第2の有機膜に用い
ることのできる有機分子の組合せとしては、上述したE
V1−EV2≦0.6eVまたはEC1−EC2≦0.6eVの
関係を満たすものが選択され、例えば、弱いドナー性分
子と強いドナー性分子の組合せ、強いアクセプタ性分子
と弱いアクセプタ性分子の組合せ、弱いアクセプタ性分
子と弱いドナー性分子の組合せなどが挙げられる。な
お、第1および第2の有機膜の界面で障壁接合が形成さ
れるために、さらに上記のEV1、EV2、EC1、EC2がE
V1>EV2かつEC1>EC2を満たすことが好ましい。また
ここでアクセプタ性分子およびドナー性分子とは、それ
ぞれ有機分子の有する電子親和力およびイオン化ポテン
シャルの値によって定められるもので、電子親和力が
1.5eV以上の有機分子がアクセプタ性分子、イオン
化ポテンシャルが7.1eV以下の有機分子がドナー性
分子に相当する。また本発明において、弱いアクセプタ
性分子および弱いドナー性分子とは、それぞれ上記の電
子親和力が1.5〜3.0eVの有機分子およびイオン
化ポテンシャルが5.6〜7.1eVの有機分子を意味
し、強いアクセプタ性分子および強いドナー性分子と
は、これら以外のアクセプタ性分子およびドナー性分子
を意味するものとする。
【0030】このような本発明の有機EL素子の第1お
よび第2の有機膜に用いることのできる有機分子の組合
せの具体例を表1に示す。
【0031】
【表1】 (ただし、表中略号で示した化合物はそれぞれ次の(C
1)〜(C10)の化合物を表す。また、◎を付した有
機膜が発光層となる。)
【0032】
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】 本発明においては第1および第2の有機膜のうち、少な
くとも発光層となる側の有機膜には発光性の有機分子が
用いられる。この場合、前述したように発光層となる有
機膜のバンドギャップによって発光波長分布が決定され
るので、目的とする発光波長分布に応じて前記有機分子
が選択される。例えば、青色発光を実現する場合は、発
光層となる有機膜のバンドギャップが2.6eV以上、
好ましくは3.0eV以上となるような発光性の有機分
子が選択される。
【0035】具体的な発光性の有機分子としては、以下
のようなものがある。アクセプタ性分子では、シアノ
基、ジシアノメチン基、シアノカルボニルメチン基、キ
ノイド基、オキサゾール基、酸無水物基などを有する分
子が挙げられる。一方ドナー性分子では、多環芳香族炭
化水素分子、とくにヘテロ原子を有する分子が好まし
く、最適な分子としては、アニリン基、トリフェニルア
ミン基、トリフェニルメタン基、およびこれらの基にさ
らにアルキル基、アルコキシル基などの適当な置換基を
導入したもののいずれかを少なくとも1つ有する分子が
挙げられる。
【0036】本発明において、電子注入用の第1の電極
としてはできるだけ仕事関数EM1の小さい材料が用いら
れる。仕事関数EM1の小さい材料としては、具体的には
M1が2.8〜4.1eVであるAl、Mg、希土類元
素などが挙げられる。また正孔注入用の第2の電極とし
てはできるだけ仕事関数EM2の大きい材料が用いられ
る。仕事関数EM2の大きい材料としては、具体的にはE
M2が4.8〜5.5eVであるAu、Cu、Pt、I
r、ITOなどが挙げられる。
【0037】本発明において、少なくとも接合障壁のよ
り高い有機膜と電極との界面について、電界印加時に障
壁厚みが低減され、キャリアをトンネル注入できる構造
としたのは、以下のような理由による。
【0038】ここでは、第1の有機膜と第1の電極との
間、および第2の有機膜と第2の電極との間に、第3の
有機膜が形成されない場合で説明する。このとき、第1
の電極から第1の有機膜の伝導帯への電子の注入および
第2の電極から第2の有機膜の価電子帯への正孔の注入
を低いバイアス電圧の印加で可能とするために、 EM1−EC1≦1.0eV EV2−EM2≦1.0eV さらには EM1−EC1≦0.6eV EV2−EM2≦0.6eV の関係が満たされることが好ましい。また、第1の電極
から第1の有機膜の伝導帯へ注入される電子の数と第2
の電極から第2の有機膜の価電子帯へ注入される正孔の
数が大きく異なると、結果として有機EL素子の発光効
率が大きく低下するので、 |(EM1−EC1)−(EV2−EM2)|≦0.3eV の関係が満たされることがより好ましい。
【0039】ただし本発明の有機EL素子では、EM1
C1≦1.0eV、EV2−EM2≦1.0eVの関係がと
もに満たされること、特にEM1−EC1≦0.6eV、E
V2−EM2≦0.6eVの関係が満たされることは困難で
ある。これらの関係が満たされない場合、第1および第
2の電極からそれぞれ第1の有機膜の伝導帯および第2
の有機膜の価電子帯に電子、正孔を注入するために、高
いバイアス電圧の印加が必要となる。
【0040】これに対して、本発明においては、上記の
関係が満たされない電極について、電極の表面にフィラ
メント状の突起を設けるなどの手段により、電界印加時
に障壁厚みが低減され、低電圧印加で電極から隣接する
有機膜へキャリアをトンネル注入できるようにしてい
る。すなわち、突起部分に電界を集中させてフィールド
エミッションを利用することなどにより、トンネル効果
によるキャリアの注入が容易となり、これによって動作
電圧を低下させることができる。フィラメントの長さは
1〜10nmであることが好ましい。
【0041】電極の表面にフィラメント状の突起を設け
る方法は、電極上に有機膜を形成する場合と、有機膜上
に電極を形成する場合とで異なる。前者の場合には、フ
ォトリソグラフィー法により、電極の表面にミクロなフ
ィラメント状の突起を形成する。後者の場合には、有機
膜表面の形状を利用する方法が用いられる。有機膜の構
造は、単結晶、多結晶、アモルファスに大別される。ア
モルファス膜の表面は比較的平坦であるが、多結晶膜の
表面には凹凸が存在する。従って、多結晶膜の表面に金
属薄膜を形成すると、金属が隙間に入り込んでフィラメ
ント構造が形成される。有機膜を多結晶化するには、例
えば蒸着条件を制御すればよい。また、アモルファスの
有機膜上に多結晶膜として絶縁性または半導体性の無機
酸化物、例えばAl2 3 、MgO、In2 3 、Pb
O、SnO2 などを蒸着し、さらに電極を形成すること
によっても、同様な電極構造が得られる。この場合、前
記多結晶膜は有機膜の全面に形成する必要はなく、有機
膜上に突起状の多結晶膜を部分的に設けることがより好
ましい。
【0042】また、 EM1 − EC1 > 0.6eV かつ EV2 − EM2 > 0.6eV の場合には、第1の電極から第1の有機膜への電子注
入、第2の電極から第2の有機膜への正孔注入ともに困
難である。しかし、このような素子でも、第1の電極、
第2の電極ともに表面にフィラメント状の突起を設けて
電界を集中させ、フィールドエミッションを利用するこ
となどにより、トンネル効果による電子注入、正孔注入
が容易となり、これによって動作電圧を低下させること
ができる。
【0043】なお、本発明においては、電極/有機膜界
面の障壁厚みを低減する手段として、意図的に電極/有
機膜界面に不純物をドープして、界面準位を形成し、電
極に用いられた金属などのフェルミレベルをピン止めす
る方法を用いることもできる。不純物としては、電子注
入障壁を小さくしたい場合にはTCNQのような強力な
アクセプタ分子など、正孔注入障壁を小さくしたい場合
にはTTFのような強力なドナー分子が用いられる。こ
のような分子を界面にのみ高密度に存在させることによ
って、接合する電極表面からの電荷移動が起こり、電極
に用いられた金属などのフェルミレベルの位置に固定す
ることができる。この手法を用いれば、ある程度電極/
有機膜界面の接合障壁を軽減することができる。
【0044】次に、本発明に係る4層以上の多層構造の
有機EL素子について説明する。この有機EL素子は、
少なくとも一方が複数層である電子注入用の有機膜およ
び正孔注入用の有機膜とこれらの間に形成された発光層
となる有機膜との積層体と、前記積層体の電子注入用の
有機膜側に形成された電子注入用の第1の電極と、前記
積層体の正孔注入用の有機膜側に形成された正孔注入用
の第2の電極とを備え、前記電子注入用の第1の電極か
ら発光層となる有機膜までに存在する各層間の電子注入
障壁が0.6eV以下であり、かつ前記正孔注入用の第
2の電極から発光層となる有機膜までに存在する各層間
の正孔注入障壁が0.6eV以下である。
【0045】この素子においては、発光層となる有機膜
から見て電極側に存在する、電子注入用の有機膜および
正孔注入用の有機膜のうち少なくともいずれか一方が複
数層からなっているので、発光層となる有機膜を含んで
4層以上の有機膜が設けられている。また、複数の有機
膜が発光層となる場合もある。各有機膜のバンドギャッ
プ(Eg )がほぼ等しい場合には、複数の有機膜が発光
層となることが可能であり、このとき電極と隣接する有
機膜が発光層となってもよい。ただし一般に、無機半導
体などと比べて有機膜中でのキャリアの移動度が小さい
ことを考慮すると、電子と正孔とが再結合する有機膜
(発光層)は、通常1層である。特に、有機膜積層体の
中央部近傍にバンドギャップの狭い有機膜を設ければ、
その有機膜を発光層とすることができる。なお、第2の
電極上に合計n層の有機膜を形成し、最後に第1の電極
を真空蒸着法により形成するような場合、電極蒸着時の
影響を避けるために、発光層となる有機膜を有機膜の積
層体の中央部より第2の電極側に設けることが好まし
い。
【0046】本発明に係る有機EL素子が、第1の電
極、第1層〜第n層(n≧4)の有機膜、および第2の
電極から構成されるものとして、各層間のエネルギーレ
ベルの関係を説明する。ここで、第1、第2の電極の仕
事関数をEM1、EM2、第1層〜第n層の有機膜の伝導帯
の真空準位からのエネルギー差(以下、伝導帯レベルと
いう)をEC1〜ECn、第1層〜第n層の有機膜の価電子
帯の真空準位からのエネルギー差(以下、価電子帯レベ
ルという)をEV1〜EVnとする。また、有機膜の層の順
番はいずれも第1の電極側から数えるものとし、発光層
となる有機膜を第k層(1≦k≦n)とする。
【0047】電子注入用の第1の電極から発光層となる
有機膜までに存在する各層間の電子注入障壁が0.6e
V以下であるということは以下のように表される。
【0048】 EM1 − EC1 ≦ 0.6eV (1) ECm − ECm+1 ≦ 0.6eV (2) (mは1からk−1までの整数である。ただし、k=1
の場合を除く。)この電子注入障壁は、0.4eV以下
であることがより好ましい。また、(2)の関係式の値
が負になる、すなわち電子注入障壁が存在しない場合も
あり得る。発光層から、第2の電極までの間に存在する
各層間では、(2)の関係を満たしてもよいし、満たさ
なくてもよい。したがって、例えば発光層となる第k層
の有機膜と第k+1層の有機膜との間の電子注入障壁
を、0.6eVを超える値にすれば、発光層に電子を蓄
積させることもできる。
【0049】正孔注入用の第2の電極から発光層となる
有機膜までに存在する各層間の正孔注入障壁が0.6e
V以下であるということは以下のように表される。
【0050】 EVn − EM2 ≦ 0.6eV (3) EVm-1 − EVm ≦ 0.6eV (4) (mはk+1からnまでの整数である。ただし、k=n
の場合を除く。)この正孔注入障壁は、0.4eV以下
であることがより好ましい。また、(4)の関係式の値
が負になる、すなわち正孔注入障壁が存在しない場合も
あり得る。発光層から、第1の電極までの間に存在する
各層間では、(4)の関係を満たしてもよいし、満たさ
なくてもよい。したがって、例えば発光層となる第k層
の有機膜と第k−1層の有機膜との間の正孔注入障壁
を、0.6eVを超える値にすれば、発光層に正孔を蓄
積させることもできる。
【0051】前述したように、従来の有機EL素子で
は、発光層となる有機膜とこれに接合する有機膜との間
の価電子帯レベル(イオン化ポテンシャル)と伝導帯レ
ベル(電子親和力)との差(ΔE)が小さいために、分
子間遷移による発光が起こりやすくなっていた。これに
対して、(1)〜(4)の条件を満たす本発明の有機E
L素子では、発光層となる有機膜およびこれに接合する
有機膜の電気的性質が類似しており、両者の間のΔEが
小さくならないので、分子間遷移による長波長発光が起
こるのを防止できる。
【0052】さらに、本発明に係る有機EL素子では、
有機膜は4層以上の多層構造であるので、以下に示すよ
うに電極からの有機膜へのキャリア注入効率が向上す
る。
【0053】いま、図9のように第1の電極M1 、第1
層の有機膜O1 、第2層の有機膜O2 、第3層の有機膜
3 、第4層の有機膜O4 が形成されている場合と、図
10のように第1の電極M1 、第3層の有機膜O3 、第
4層の有機膜O4 が形成されている場合とを想定する。
ここで、第3層の有機膜O3 の伝導帯レベル(電子親和
力)EC3と、第1の電極M1 の仕事関数EM1とのエネル
ギー差が1.5eVであるとする。これらの両者につい
て、第1の電極M1 から第3層の有機膜O3 への電子注
入効率を比較する。
【0054】いずれの場合にも、第1の電極M1 から第
3層の有機膜O3 への電子注入に対する接合障壁高さ
(ΔΦe )は、 ΔΦe = EM1 − EC3= 1.5eV であり、無機半導体で成立する基本的なバンドモデルで
考えると、電極から有機膜への励起電流密度Jは、熱平
衡状態では、 J = A* 2 exp(−qΔΦe /KT) (A* はリチャードソン定数)で表される。このとき、
図10のように第1の電極M1 と第3層の有機膜O3
が隣接した状態でΔΦe =1.5eVである場合には、
電子の注入は困難である。したがって、このような場合
に高密度のキャリアを注入するには、図11に示すよう
に、高い電界印加状態でのショットキー効果、トンネル
効果などを利用する必要がある。
【0055】一方、図9のように電子注入障壁が分割さ
れていると、第1の電極と第1層の有機膜との接合障壁
がかなり低いため、比較的低い印加電圧でも電子が注入
される。電子は第1層の有機膜と第2層の有機膜との界
面に蓄積される(図12)。第1層の有機膜の擬フェル
ミレベルは第1の電極の仕事関数にほぼ一致し、第1層
の有機膜は電子注入電極とみなすことができる。これ以
降は、電子注入に要する以上の電圧はすべて第1層の有
機膜を除いた有機膜に印加される。第1層の有機膜と第
2層の有機膜との間の電子注入障壁も低いので、電圧を
それほど増加させなくても、蓄積された電子は第2層の
有機膜へ注入される。注入された電子は第2層の有機膜
と第3層の有機膜との界面に蓄積される(図13)。第
2層の有機膜も電子注入電極とみなすことができるの
で、電圧をそれほど増加させなくても、蓄積された電子
は第3層の有機膜へ注入される(図14)。このよう
に、図9の場合には、図10の場合と比較して、第3層
の有機膜への電子注入効率が高くなる。以上と同様な議
論は、正孔注入の場合にも成立する。したがって、本発
明の有機EL素子は、従来の素子と比較して、低い電圧
で効率よく動作する。
【0056】本発明に係る有機EL素子では、キャリア
の再結合効率も向上できる。すなわち、無機半導体で
は、キャリアの移動度が高く平均自由行程が長いため、
電子と正孔とが再結合する前に対向電極へ流れ去る確率
が高い。一方、本発明の有機EL素子を構成する有機膜
中ではキャリアの移動度が無機半導体に比べ相対的に小
さく平均自由行程が短い。しかも、前述したように注入
された電子と正孔とが多数の有機膜の界面で高密度に蓄
積され、いわゆる空間電荷層が形成されることにより、
電子または正孔が対向電極へ流れ去るのが防止されてい
る。このため、電子と正孔とは両者の空間電荷層が重な
り合う領域の有機膜で選択的に再結合し、再結合効率が
高くなる。
【0057】また、従来の有機EL素子では、電子注入
効率が低下しないように、第1の電極としてAl、Mg
など仕事関数の小さい金属が用いられていた。しかし、
これらの金属は化学的な安定性に劣り、長期間空気中に
放置すると、電極の酸化により電流が流れなくなり、素
子寿命が短い。これに対して、本発明の有機EL素子に
おいて、(1)〜(4)の条件を満たしながら、有機膜
の層数を増加させると、第1層の有機膜として伝導帯レ
ベル(電子親和力)の大きい材料を適用することが可能
となり、第1の電極として仕事関数の大きい金属(例え
ばCu、Au、Ag、Pt、ITOなど)を用いること
ができる。これらの金属は化学的な安定性に優れている
ので、素子寿命を延ばすことができる。
【0058】さらに、本発明の有機EL素子では、前述
したように発光層となる有機膜から第2の電極までに存
在する各層間の電子注入障壁、および発光層となる有機
膜から第1の電極までに存在する各層間の正孔注入障壁
については、特に規定されない。したがって、発光層と
なる有機膜と第2の電極側の隣接する有機膜(正孔注入
膜)との間に比較的高い電子注入障壁が形成されていれ
ば、この有機膜より第2の電極側に存在する有機膜間の
電子注入障壁は非常に小さいか、存在しなくてもよい。
いいかえれば、第2の電極側の有機膜の伝導帯レベル
(電子親和力)は大きくてもよく、例えばその有機膜の
バンドギャップが発光層となる有機膜のバンドギャップ
よりも狭い場合も許容される。同様に、発光層となる有
機膜と第1の電極側の隣接する有機膜(電子注入膜)と
の間に比較的高い正孔注入障壁が形成されていれば、こ
の有機膜より第1の電極側に存在する有機膜間の正孔注
入障壁は非常に小さいか、存在しなくてもよい。いいか
えれば、第1の電極側の有機膜の価電子帯レベル(イオ
ン化ポテンシャル)は小さくてもよく、例えばその有機
膜のバンドギャップが発光層となる有機膜のバンドギャ
ップよりも狭い場合も許容される。
【0059】このことは、第1の電極に隣接する最もア
クセプタ性が強い第1層の有機膜、および第2の電極に
隣接する最もドナー性の強い第n層の有機膜として、バ
ンドギャップが狭い材料を選択できることを意味する。
前述したように本発明の有機EL素子を構成する有機膜
中ではキャリアが蓄積して空間電荷層を形成するので、
電子と正孔とは両者の空間電荷層が重なり合う領域の有
機膜で選択的に再結合する。したがって、第1層の有機
膜のバンドギャップを狭くしても、第1層の有機膜の価
電子帯に正孔が存在することはないため再結合は起こら
ず、電子は所定の発光層まで注入される。同様に、第n
層の有機膜のバンドギャップを狭くしても、第n層の有
機膜の伝導帯に電子が存在することはないため再結合は
起こらず、正孔は所定の発光層まで注入される。これに
対して、無機半導体では、キャリアの分布が平衡状態に
近く、電子と正孔との再結合は最もバンドギャップの狭
い領域で起こるため、このような構成を採用することは
困難である。
【0060】一般に、アクセプタ性またはドナー性が強
い分子は、バンドギャップを広くすることが困難であ
る。前述したように第1層の有機膜および第n層の有機
膜について、バンドギャップを狭くできれば、材料の選
択の範囲が広がり、合成の容易な材料を用いることがで
きる。
【0061】以上のように、(1)〜(4)の条件を満
たす本発明の有機EL素子では、発光層となる有機膜
(発光膜)およびこれに接合する有機膜の電気的性質が
類似しており、両者の接合障壁が低くなる。したがっ
て、前述したキャリア注入速度(kinj )が、分子間再
結合速度(kCT)より非常に大きくなる(kinj >>k
CT)。この結果、熱励起過程などにより容易にキャリア
が注入するので、発光膜への電子と正孔の注入再結合効
率が飛躍的に改善し、発光膜のバンドギャップに相当す
る所望の発光が得られ、かつ高輝度高効率の発光素子が
実現できる。
【0062】さらに発光膜のバンドギャップを、発光膜
に直接接合する電子注入膜と正孔注入膜のバンドギャッ
プより狭くし、かつ発光膜/電子注入膜界面の価電子帯
側の正孔注入障壁が0.6eVを超えるように、発光膜
/正孔注入膜界面の伝導帯側の電子注入障壁が0.6e
Vを超えるようにすることによって、発光膜を特定して
電子と正孔の再結合効率を高めることができる。すなわ
ち、前述の条件(1)〜(4)に加え、好ましくは以下
の条件を規定する。
【0063】 ECk − ECk+1 > 0.6eV (5) EVk-1 − EVk > 0.6eV (6) 発光膜に注入された電子は、発光膜から正孔注入膜へ逃
げ去ろうとするが、発光膜/正孔注入膜界面の伝導帯側
の電子注入障壁が存在するためにブロックされる。ま
た、発光膜に注入された正孔は発光膜から電子注入膜へ
逃げ去ろうとするが、発光膜/電子注入膜界面の価電子
帯側の正孔注入障壁が存在するためにブロックされる。
結果的に電子と正孔は発光膜内に閉じこめられ、高効率
に再結合する。
【0064】なお、本発明において、条件(1)〜
(4)を満たす各層の有機膜を構成する分子の選択が困
難な場合がある。このような場合には、2種の異なる基
本骨格を組み合わせた有機分子を合成することが有効で
ある。ここで、基本骨格とは、その分子の電子注入性ま
たは正孔注入性を支配する主要な分子骨格である。
【0065】例えば、電子注入性の3つの有機膜、第
(m−1)層の有機膜、第m層の有機膜、第(m+1)
層の有機膜を考える。このうち第(m−1)層の有機膜
と第(m+1)層の有機膜とは互いに異なる基本骨格を
有する。そして、第(m−1)層の有機膜と第(m+
1)層の有機膜を直接接合したとき、その電子注入障壁
が0.6eVを超えるとする。この場合、第m層の有機
膜を構成する分子として、第(m−1)層の有機膜を構
成する分子の基本骨格と第(m+1)層の有機膜を構成
する分子の基本骨格とを同時に併せ持つものを合成す
る。このような3種の有機分子を用いれば、電子注入特
性を決定する伝導帯レベルについて、第m層の有機膜の
レベルを第(m−1)層の有機膜と第(m+1)層の有
機膜のレベルの中間にすることができる。この結果、第
(m−1)層の有機膜と第m層の有機膜の間の電子注入
障壁および第m層の有機膜と第(m+1)層の有機膜の
間の電子注入障壁を0.6eV以下にすることができ
る。正孔注入側についても同様な手法をとることができ
る。
【0066】この方法について、より具体的に説明す
る。まず、電子注入性の基本骨格の例を電子注入性の弱
い順、すなわち伝導帯レベルの真空準位からの差が小さ
い順に以下に示す。
【0067】ペンタセンテトロン(C11)、ジフェニ
ルナフタレンテトラカルボキシイミド(C12)、アロ
キサジン(C13)、ペリレンテトラカルボキシイミド
(C14)、p−ビニルシアノアルキルエステル(C1
5)、シアヌイック酸(C16)、N−フェニルナフタ
レンジカルボキシイミド(C17)、ピペロナールビニ
ルシアノアルキルエステル(C18)、PY(C1
9)、OXD(C20)、BOX(C21)、OX(C
22)、HPB(C23)。
【0068】
【化4】
【0069】
【化5】
【0070】
【化6】 上記の電子注入性骨格のうち2つを選択し、第(m−
1)層の有機膜には電子注入性の強い一方の骨格を持つ
分子、第(m+1)層の有機膜には電子注入性の弱い他
方の骨格を持つ分子を用い、第m層の有機膜にはその両
方の骨格を併せ持つ分子を用いることにより、(2)の
関係を満たす有機膜の設計が可能である。
【0071】次に、正孔注入性の基本骨格の例を正孔注
入性の弱い順、すなわち価電子帯レベルの真空準位から
の差が大きい順に以下に示す。
【0072】BOX(C21)、OX(C22)、HP
B(C23)、TPCP(C27)、トリフェニルメタ
ン(C24)、テトラフェニルメタン(C25)、テト
ラフェニルブタジエン(C26)、TPA(C28)、
ジアルキルフェニルアミン(C29)、キナクリドン
(C30)。
【0073】
【化7】
【0074】
【化8】 上記の正孔注入性骨格のうち2つを選択し、第(m−
1)層の有機膜には正孔注入性の弱い一方の骨格を持つ
分子、第(m+1)層の有機膜には正孔注入性の強い他
方の骨格を持つ分子を用い、第m層の分子膜にはその両
方の骨格を併せ持つ分子を用いることにより、(4)の
関係を満たす有機膜の設計が可能である。
【0075】2種の基本骨格を結合させるには、2種の
基本骨格の炭素どうしを直接結合させるか、または2種
の基本骨格を−CH2 −、−O−、−S−、ベンゼン
環、チオフェン環、ピラジン環などを介して結合させる
方法が挙げられる。
【0076】また、2種の基本骨格を1つずつ結合させ
るだけでなく、基本骨格の少なくとも片方を2つ以上結
合させてもよい。有機EL素子は電流注入型の素子であ
るため、電気的な欠陥をなくすことが重要となってく
る。そのためには、例えばベンゼンの1,3,5位に3
個の基本骨格を導入するというように、放射状に結合さ
せることが有効である。このような方法をとれば、アモ
ルファス性の有機膜を形成しやすくなり、結晶化による
電気的な欠陥の生成を防ぐことができる。
【0077】この他にも、隣り合う有機膜間の電子注入
障壁または正孔注入障壁を低減化する方法として、同一
の基本骨格を有するが、一方には電子注入性を上げる置
換基または正孔注入性を上げる置換基を導入した2種の
有機分子を隣り合う有機膜にそれぞれ用いる方法があ
る。電子注入性を上げる置換基としては、例えば−C
N、−CF3 、−F、−Clなどが挙げられる。また、
正孔注入性を上げる置換基としては、例えば−NR
2 (ただしRはアルキル基)、−OR(ただしRはアル
キル基)などが挙げられる。さらに、各有機膜ごとに、
置換基の個数を段階的に変えることにより、価電子帯レ
ベルまたは伝導帯レベルを段階的に変えることができ
る。
【0078】なお、本発明の有機EL素子において、上
述したような条件を満たすような材料を選択するにあた
っては、各接合面でのエネルギーレベルの大小関係を測
定する方法が必要である。これは、次に述べるような変
位電流法または紫外電子分光法を用いればよい。
【0079】まず図15(a)、(b)にそれぞれ変位
電流法で用いられる素子の断面図、および印加される電
圧の波形図を示す。すなわち、この変位電流法は、金属
電極21/シリコン22/シリコン酸化膜23/有機膜
24/金属電極25からなる素子を形成し、この素子に
三角波電圧を印加し、そのときの素子の変位電流を測定
するものである。いま、素子の容量をCとすれば、変位
電流は、I=C・dV/dtで表される。前述した素子
構造において有機膜24がない場合を考えると、素子は
通常知られたMOS素子となり、その容量はシリコン酸
化膜23によって決まる。これに対して、有機膜24が
ある場合には、有機膜24のフェルミレベルと金属電極
25の仕事関数の大小関係によって次のような変位電流
が観測される。なお、ここで前記金属電極25の仕事関
数をEM 、有機膜24の伝導帯レベルをEC 、価電子帯
レベルをEV とする。
【0080】(a)EM −EC >0.6eVかつEV
M >0.6eVの場合。
【0081】この場合、金属電極25と有機膜24との
接合は電子、正孔のいずれに対しても高い障壁を持つ接
合となる。有機膜24は絶縁膜とみなせるため、素子容
量はシリコン酸化膜23と有機膜24との直列容量とな
り、MOS素子のそれより小さい一定値を示す。したが
って、三角波電圧を印加したときの変位電流は、図16
に示したように電圧によらず一定の小さい値を示す。
【0082】(b)EM −EC ≦0.6eVかつEV
M >0.6eVの場合。
【0083】この場合、金属電極25と有機膜24と
は、金属電極25から有機膜24へ電子が注入されやす
い接合を形成する。従って、前記三角波電圧を印加した
場合、金属電極25側が負になるとき、金属電極25か
ら有機膜24へ電子が注入され、この電子は有機膜24
とシリコン酸化膜23との界面に蓄積される。この状態
では、素子容量はシリコン酸化膜23で決まる値とな
り、変位電流はMOS素子のレベルまで増加する。一
方、金属電極25側が正になるとき、有機膜24内の電
子は金属電極25に流れ去り、変位電流は有機膜24が
絶縁体であるとみなせる場合と同程度の小さい値まで減
少する。このとき、図17に示されるように上述した電
子の注入が始まる電圧をVth1 、フラットバンド電位を
FBとすると、有機膜に印加されている電圧V
th,orgは、 Vth,org=Vth1 [Cox/(Cox+Corg )](Vth1 −VFB) (ただし、Corg は有機膜24の容量、Coxはシリコン
酸化膜23の容量。)である。ここで、このVth,org
近似的に、金属電極25から有機膜24への電子注入に
対する障壁高さ(EM −EC )に相当する。従って、E
M が既知であれば、Vth1 およびVFBを測定することに
より、EC を求めることができる。さらに、EC が求め
られれば、光学測定によって有機膜24のバンドギャッ
プを測定することによりEV も求めることができる。
【0084】(c)EM −EC >0.6eVかつEV
M ≦0.6eVの場合。
【0085】この場合、金属電極25と有機膜24と
は、金属電極25から有機膜24へ正孔が注入されやす
い接合を形成する。従って、前記三角波電圧を印加した
場合、金属電極25側が正になるとき、金属電極25か
ら有機膜24へ正孔が注入され、この正孔は有機膜24
とシリコン酸化膜23との界面に蓄積される。この状態
では、素子容量はシリコン酸化膜23で決まる値とな
り、図18に示すように変位電流はMOS素子のレベル
まで増加する。一方、金属電極25側が負になるとき、
有機膜24内の正孔は金属電極25に流れ去り、変位電
流は有機膜24が絶縁体であるとみなせる場合と同程度
の小さい値まで減少する。また、このときは、正孔の注
入が始まる電圧Vth2 およびVFBを測定することにより
V を求めることができ、さらに有機膜24のバンドギ
ャップを測定することによりEC を求めることができ
る。
【0086】さらに、有機膜/有機膜界面の接合障壁が
0.6eV以下であるか否かについても、変位電流法に
よって調べることができる。この場合、図19のよう
に、金属電極21/シリコン22/シリコン酸化膜23
/有機膜(II)24−2/有機膜(I)24−1/金
属電極25という素子構造を採用する。前記と同様に三
角波電圧を素子に印加すると、有機膜(I)24−1/
有機膜(II)24−2界面の接合障壁に依存して、観
測される波形が異なる。以下、説明を簡単にするため
に、有機膜(I)24−1と有機膜(II)24−2が
電子注入性の有機膜である場合について考える。
【0087】有機膜(I)24−1/有機膜(II)2
4−2界面の接合障壁が0.6eVを超えるときは、有
機膜(I)24−1から有機膜(II)24−2への電
子注入は起こりにくい。したがって、その変位電流波形
は、図20の破線のように、金属電極25から有機膜
(I)24−1への電子注入が起こる負電圧(Vth1
で電流が増加するが、その電流強度はMOS素子レベル
まで達せず、途中で一定となる。
【0088】有機膜(I)24−1/有機膜(II)2
4−2界面の接合障壁が0.6eV以下であるときは、
有機膜(I)24−1から有機膜(II)24−2への
電子注入が起こる。したがって、その変位電流波形は、
図20の実線のように、金属電極25から有機膜(I)
24−1への電子注入が起こる負電圧(Vth1 )で電流
が増加し、さらに有機膜(I)24−1から有機膜(I
I)24−2への電子注入が起こる負電圧で(Vth2
で電流が増加し、その電流強度はMOS素子レベルまで
達する。
【0089】正孔注入障壁についても同様に調べること
ができる。
【0090】また、紫外電子分光法では、銅、金、ステ
ンレスなどの金属基板上に、有機膜を真空蒸着法により
厚さ100nm程度形成して試料とする。光源として水
素放電管を用い、これを真空紫外分光器で分光し、前記
試料に水素の多線スペクトルを120〜200nmの波
長範囲すなわち6〜10eVのエネルギー範囲で照射す
る。このとき試料から放出された光電子を、この試料を
中心として取り囲み、内側をグラファイトや金でコート
してある球形電極で捕集する。この結果から、真空準位
を基準とする有機膜の価電子帯レベルEV を求めること
ができる。さらにEV が求められれば、光学測定によっ
て有機膜のバンドギャップを測定することにより伝導帯
レベルEC を求めることができる。
【0091】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 比較例1 以下のような方法により有機EL素子を作製した。ガラ
ス基板上に、スパッタ法によりシート抵抗10Ω/cm
2 のITO膜(第2の電極)を形成した。真空蒸着装置
を用い、基板温度を20℃に保ち、真空度を約10-6
orrに設定して、真空昇華法により(C31)で示さ
れる有機色素を0.5nm/秒の速度で着膜させ、膜厚
100nmの第2の有機膜を形成した。前記と同様な条
件で、真空昇華法により(C32)で示される有機色素
を着膜させ、膜厚100nmの第1の有機膜を形成し
た。真空蒸着法により膜厚100nmのAl膜(第1の
電極)を形成した。なお、前記の条件で形成された第2
の有機膜および第1の有機膜はアモルファス構造であっ
た。
【0092】
【化9】 この素子を構成する各層に関して、真空準位とのエネル
ギー差は以下のような値であることが確認されている。
【0093】 EM2 = 4.8eV EV2 = 5.0eV、 EC2 = 1.5eV EV1 = 5.5eV、 EC1 = 2.0eV EM1 = 3.2eV この素子について、第2の電極(ITO電極)が正にな
るようにバイアスを印加すると、20Vの電圧で、10
0mA/cm2 の電流密度、輝度1000cd/m2
発光が得られた。このときの発光波長は470nmであ
り、第1の有機膜のバンドギャップに相当していた。 実施例1 比較例1と同一の条件すなわち基板温度を20℃に保
ち、真空度を約10-6Torrに設定して、真空昇華法
により(C31)で示される有機色素を0.5nm/秒
の速度でガラス基板/ITO電極上に着膜させ、膜厚8
0nmの第2の有機膜を形成した。この第2の有機膜は
アモルファス構造を有している。次に、基板温度を50
℃に設定し、(C32)で示される有機色素を0.02
nm/秒の速度で着膜させ、膜厚20nmの第1の有機
膜を形成した。この第1の有機膜を走査型電子顕微鏡に
よって観察した結果、直径20nm程度の粒子が集合し
た多結晶構造を有することが確認された。この上に第1
の電極を形成すると、金属が第1の有機膜内へ20nm
程度フィラメント状に入り込み、フィールドエミッショ
ン電極が形成された。このようにして、図1に示す有機
EL素子を作製した。
【0094】得られた素子に、ITO電極が正になるバ
イアスを印加すると、比較例1より低い15Vの電圧
で、100mA/cm2 の電流密度、輝度1000cd
/m2の発光が得られた。発光波長は470nmであ
り、青色発光素子を実現することができた。 実施例2 比較例1と同一の条件すなわち基板温度を20℃に保
ち、真空度を約10-6Torrに設定して、0.5nm
/秒の速度で膜厚80nmの第2の有機膜をガラス基板
/ITO電極上に形成した。さらに、第2の有機膜上に
膜厚20nmの第1の有機膜を形成した後、得られたア
モルファスの第1の有機膜上に絶縁性または半導体性の
無機酸化物(Al2 3 、MgOなど)を20nm蒸着
形成した。この上に第1の電極を形成すると、金属が無
機酸化物中にフィラメント状に入り込み、フィールドエ
ミッション電極が形成された。
【0095】得られた素子に、ITO電極が正になるバ
イアスを印加すると、比較例1より低い15Vの電圧、
100mA/cm2 の電流密度で、輝度1000cd/
2の発光が得られた。発光波長は470nmであり、
青色発光素子を実現することができた。 実施例3 比較例1と同一の条件でガラス基板/ITO電極上に第
2の有機膜を形成し、さらに第1の有機膜を形成した
後、スピンコート法により膜厚50nmのフォトレジス
トを塗布した。直径5μm、間隔15μmのドットパタ
ーンを有するフォトマスクを用いて露光し、現像してフ
ォトレジストに直径5μmのピンホールを設けた。この
ようにして形成されたレジストパターンの上に第1の電
極を蒸着すると、金属が第1の有機膜へ直径5μmのフ
ィラメント状に入り込んだ。
【0096】得られた素子に、ITO電極が正になるバ
イアスを印加すると、実施例2より低い10Vの電圧、
100mA/cm2 の電流密度で、輝度1000cd/
2の発光が得られた。発光波長は470nmであり、
青色発光素子を実現することができた。 比較例2 以下のような方法により、有機EL素子を作製した。ガ
ラス基板上に、スパッタ法によりシート抵抗10Ω/c
2 のITO膜(第2の電極)を形成した。真空蒸着装
置を用い、真空度を約10-6Torrに設定して、真空
昇華法により(C33)で示される有機色素を着膜さ
せ、膜厚100nmの第2の有機膜を形成した。前記と
同様な条件で、真空昇華法により(C34)で示される
有機色素を着膜させ、膜厚100nmの第1の有機膜を
形成した。真空蒸着法により膜厚100nmのMg膜
(第1の電極)を形成した。
【0097】
【化10】 この素子を構成する各層に関して、真空準位とのエネル
ギー差は以下のような値であることが確認されている。
【0098】 EM2 = 4.8eV EV2 = 6.5eV、 EC2 = 3.5eV EV1 = 7.5eV、 EC1 = 4.0eV EM1 = 4.8eV この素子について、第2の電極(ITO電極)が正にな
るようにバイアスを印加すると、50Vの電圧で、10
0mA/cm2 の電流密度、輝度1000cd/m2
発光が得られた。このときの発光波長は470nmであ
り、第2の有機膜のバンドギャップに相当していた。 実施例4 比較例2と同様に、ガラス基板上に、スパッタ法により
シート抵抗10Ω/cm2 のITO膜(第2の電極)を
形成した。さらに、この基板を10wt%のHCl溶液
に1分間浸漬して表面をエッチングした。これによっ
て、100nm程度の凹凸を形成し、フィールドエミッ
ション電極とした。この後、比較例2と同様に、膜厚1
00nmの第2の有機膜(C33)、膜厚100nmの
第1の有機膜(C34)、膜厚100nmのMg膜(第
1の電極)を順次形成した。このようにして、図4に示
す有機EL素子を作製した。
【0099】この素子について、第2の電極(ITO電
極)が正になるようにバイアスを印加すると、比較例2
より低い15Vの電圧で、100mA/cm2 の電流密
度、輝度1000cd/m2 の発光が得られた。このと
きの発光波長は470nmであり、第2の有機膜のバン
ドギャップに相当していた。 実施例5 以下のような方法により、有機EL素子を作製した。ま
ずアルカリ成分を含まないガラス基板(HOYA社製、
NA40)上に、スパッタ法によりシート抵抗10Ω/
cm2 のITO膜(第2の電極)を200nm形成し
た。ITO膜は多結晶構造であり、その表面は20〜3
0nm程度の凹凸を有しているため、このままでもフィ
ールドエミッション電極としての役目をある程度果た
す。さらにその効果を向上させるために、このITO膜
を電気化学的に溶解させた。すなわち、このITO膜と
対向電極としてPt電極を交流電源に接続し、電解質溶
液に浸漬して電流を流すと、ITO膜が電気化学的にエ
ッチングされる。この結果、その表面の凹凸は50nm
程度に増し、良好なフィールドエミッション電極となっ
た。
【0100】次いで真空蒸着装置を用い、基板温度を1
5℃に保ち、真空度を約10-6Torrに設定して、真
空蒸着法により(C1)で示される有機分子(PPC
P)を0.1nm/秒の速い速度で蒸着し、膜厚100
nmの第2の有機膜を形成した。つづいて、成膜速度を
やはり1.0nm/秒の速い蒸着速度として真空蒸着法
により前記(C7)で示される有機分子(BBOT)を
蒸着し、膜厚が100nmとなった後、蒸着速度を0.
01nm/秒に落としてさらに50nm蒸着し、第1の
有機膜を形成した。蒸着速度の速いときにはアモルファ
ス構造の平坦な有機膜が形成されるのに対し、蒸着速度
を遅くすると多結晶構造の有機膜が形成される。この上
にEB蒸着法により膜厚100nmのMg−Ag膜(第
1の電極)を形成すると、第1の有機膜にフィラメント
状に入り込んだフィールドエミッション電極を形成する
ことができた。
【0101】また得られた有機EL素子においては、第
1の有機膜および第2の有機膜の価電子帯レベルをそれ
ぞれEV1、EV2としたとき、EV1−EV2≦0.6eVの
関係を満たすことが上述したような変位電流法により確
認されている。
【0102】この素子について、第2の電極(ITO電
極)が正になるようにバイアス電圧を印加すると、15
Vの電圧で100mA/cm2 の電流密度、輝度200
0cd/m2 の青色発光が得られた。このときの発光ピ
ーク波長は477nmであり、ストークスシフトを考慮
した場合の第1の有機膜のバンドギャップに相当してい
た。 実施例6〜24 基板温度を10〜30℃、真空度を10-5Torr以下
に設定し、それぞれ表2に示した有機分子を蒸着して第
1および第2の有機膜を形成した以外は実施例5と同様
にして実施例6〜24の有機EL素子を作製した。
【0103】
【表2】 (ただし、表中◎を付した有機膜が発光層となる有機膜
である。)なお、これらの有機EL素子において、第1
および第2の有機膜の価電子帯レベルをそれぞれEV1
V2、伝導帯レベルをEC1、EC2としたとき、実施例1
0、11、15、16、19〜23ではEV1−EV2
0.6eV、実施例6〜9、11〜14、17〜19、
24ではEC1−EC2≦0.6eVの関係を満たすことが
変位電流法により確認されている。
【0104】この素子について、第2の電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、電圧10〜15Vの
範囲で第1及び第2の有機膜の少なくとも一方にて10
0mA/cm2 の電流密度、輝度1000〜2000c
d/m2 の青色発光が得られた。このときの発光ピーク
波長は表2に示したように371〜482nmでありス
トークスシフトを考慮した場合の発光層となる有機膜の
バンドギャップに相当していた。 比較例3〜6 実施例5と同様の条件で、それぞれ表3に示した有機分
子を蒸着して第1および第2の有機膜を形成し、比較例
3〜6の有機EL素子を作製した。
【0105】
【表3】 なお得られた有機EL素子では、第1および第2の有機
膜の価電子帯レベルをそれぞれEV1、EV2、伝導帯レベ
ルをEC1、EC2としたとき、EV1−EV2≦0.6eV、
C1−EC2≦0.6eVの関係をいずれも満たしていな
いことが変位電流法により確認されている。
【0106】この素子について、第2の電極が正になる
ようにバイアスを印加したところ、それぞれ表3に示し
たピーク波長を有する発光スペクトルが観測された。な
お表3において、第1および第2の有機膜に用いられて
いる有機分子はいずれもバンドギャップが3.1eV以
上である。換言すれば、このバンドギャップによって決
定される波長よりも長波長の発光が得られた。従ってこ
れらの素子では、第1および第2の有機膜の界面に形成
されたCT準位に起因して、CT発光が生じていること
が判った。 実施例25 本実施例では図21に示す有機EL素子を作製した。こ
の素子は、上から見て、電子注入用のAl電極
(M1 )、(C35)で示される有機化合物からなる有
機膜(O1 )、(C36)で示される有機化合物からな
る有機膜(O2 )、(C37)で示される有機化合物か
らなる有機膜(O3 )、(C38)で示される有機化合
物からなる有機膜(O4 )、正孔注入用のITO電極
(M2 )およびガラス基板1から構成されている。光は
ガラス基板1側から取り出される。
【0107】ITO電極はスパッタ法により形成され、
シート抵抗は10Ω/cm2 である。各有機膜は、約1
-6Torrの真空度で真空昇華法により順次形成さ
れ、それぞれの膜厚は30nmである。Al電極は真空
蒸着法により形成され、その膜厚は100nmである。
【0108】
【化11】
【0109】
【化12】 この素子を構成する各層に関して、真空準位とのエネル
ギー差は以下のような値であることが変位電流法により
確認されている。
【0110】 Al電極 EM1=4.2eV EC (EA ) EV (IP ) Eg 1 3.6eV 6.6eV 3.0eV O2 3.1eV 6.1eV 3.0eV O3 2.7eV 5.7eV 3.0eV O4 2.2eV 5.2eV 3.0eV ITO電極 EM2=4.8eV これらの各層を接合した場合のフラットバンド図を図2
2に示す。この素子は図23および図24に示すような
原理で動作する。ITO電極が正となるようにバイアス
電圧を印加する。このとき、Al電極から有機膜O1
電子が注入される。さらに、電子は、空間電荷層を形成
しながら有機膜O2 、有機膜O3 へと注入される。一
方、ITO電極から有機膜O4 へ正孔が注入される。さ
らに、正孔は、空間電荷層を形成しながら、有機膜
3 、有機膜O2 へと注入される。電子と正孔とは有機
膜O2 およびO3 中で再結合し、このとき発光が生じ
る。
【0111】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、7Vの電圧で、10
0mA/cm2 の電流密度、輝度1000cd/m2
発光が得られた。このときの発光波長は470nmであ
り、有機膜O2 、O3 のバンドギャップに相当してい
た。ただし、この素子を空気中で保管すると、電極の酸
化により徐々に発光輝度が低下する。したがって、この
素子について初期の特性を保つためには、窒素中または
真空中で保管する必要がある。この素子を10mA/c
2 の電流密度で動作させ、寿命を測定したところ、約
1000時間であった。 実施例26 本実施例では図25に示す有機EL素子を作製した。こ
の素子は、上から見て、電子注入用のAu電極(M1 '
)、(C39)で示される有機化合物からなる有機膜
(O5 )、(C40)で示される有機化合物からなる有
機膜(O6 )、(C35)で示される有機化合物からな
る有機膜(O1 )、(C36)で示される有機化合物か
らなる有機膜(O2 )、(C37)で示される有機化合
物からなる有機膜(O3 )、(C38)で示される有機
化合物からなる有機膜(O4 )、正孔注入用のITO電
極(M2 )およびガラス基板1から構成されている。こ
の有機EL素子を構成する各層は、実施例25と同様に
して形成された。
【0112】
【化13】 この素子を構成する各層に関して、真空準位とのエネル
ギー差は以下のような値であることが変位電流法により
確認されている。
【0113】 Au電極 EM1' =5.1eV EC (EA ) EV (IP ) Eg 5 4.5eV 7.5eV 3.0eV O6 4.0eV 7.0eV 3.0eV O1 3.6eV 6.6eV 3.0eV O2 3.1eV 6.1eV 3.0eV O3 2.7eV 5.7eV 3.0eV O4 2.2eV 5.2eV 3.0eV ITO電極 EM2=4.8eV これらの各層を接合した場合のフラットバンド図を図2
6に示す。
【0114】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、15Vの電圧で、5
0mA/cm2 の電流密度、輝度500cd/m2 の発
光が得られた。発光波長は470nmであり、有機膜O
2 、O3 のバンドギャップに相当していた。
【0115】また、電子注入用の電極として仕事関数の
大きい金属(Au)を用いているので、電極の化学的変
化を防ぐことができ、素子寿命を延ばすことができる。
実際に、この素子を空気中に1か月以上保管しても、特
性の変化は認められなかった。この素子を10mA/c
2 の電流密度で動作させ、寿命を測定したところ、約
10000時間であった。 実施例27 本実施例では図27に示す有機EL素子を作製した。こ
の素子は、上から見て、電子注入用のCu電極(M1 '
')、(C41)で示される有機化合物からなる有機膜
(O7 )、(C42)で示される有機化合物からなる有
機膜(O8 )、(C43)で示される有機化合物からな
る有機膜(O9 )、(C44)で示される有機化合物か
らなる有機膜(O10)、(C45)で示される有機化合
物からなる有機膜(O11)、(C46)で示される有機
化合物からなる有機膜(O12)、正孔注入用のITO電
極(M2 )およびガラス基板1から構成されている。各
有機膜の膜厚は、有機膜O7 および有機膜O12が150
nm、有機膜O8 〜O11が10nmである。
【0116】
【化14】
【0117】
【化15】 この素子を構成する各層に関して、真空準位とのエネル
ギー差は以下のような値であることが変位電流法により
確認されている。
【0118】 Cu電極 EM1''=4.6eV EC (EA ) EV (IP ) Eg 7 4.3eV 6.8eV 2.5eV O8 4.0eV 6.5eV 2.5eV O9 3.7eV 6.2eV 2.5eV O10 3.4eV 5.9eV 2.5eV O11 3.1eV 5.6eV 2.5eV O12 2.8eV 5.3eV 2.5eV ITO電極 EM2=4.8eV これらの各層を接合した場合のフラットバンド図を図2
8に示す。この素子は図29に示すような原理で動作す
る。
【0119】この素子では、電極に隣接する有機膜の膜
厚を厚くしているので、電極形成時に発光領域の有機膜
がダメージを受けるのを防止できる。また、発光領域の
有機膜の膜厚が薄いので、電子および正孔の空間電荷層
を発光領域に集中させることができ、再結合効率を向上
できる。
【0120】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、14Vの電圧で、1
00mA/cm2 の電流密度、輝度500cd/m2
発光が得られた。発光波長は550nmであり、中央部
の有機膜O9 、O10のバンドギャップに相当していた。
この素子を10mA/cm2 の電流密度で動作させ、寿
命を測定したところ、約5000時間であった。 実施例28 本実施例では図30に示す有機EL素子を作製した。こ
の素子は、上から見て、電子注入用のAl電極
(M1 )、(C47)で示される有機化合物からなる有
機膜(O13)、(C48)で示される有機化合物からな
る有機膜(O14)、(C49)で示される有機化合物か
らなる有機膜(O15)、(C50)で示される有機化合
物からなる発光膜(L)、(C51)で示される有機化
合物からなる有機膜(O17)、(C52)で示される有
機化合物からなる有機膜(O18)、正孔注入用のITO
電極(M2 )およびガラス基板1から構成されている。
光はガラス基板1側から取り出される。
【0121】ITO電極はスパッタ法により形成され、
シート抵抗は10Ω/cm2 である。各有機膜は、約1
-6Torrの真空度で真空昇華法により順次形成さ
れ、それぞれの膜厚は30nmである。Al電極は真空
蒸着法により形成され、その膜厚は100nmである。
【0122】
【化16】
【0123】
【化17】 この素子を構成する各層に関して、真空準位とのエネル
ギー差は以下のような値であることが変位電流法により
確認されている。
【0124】 Al電極 EM1=4.2eV EC (EA ) EV (IP ) Eg 13 3.9eV 7.0eV 3.1eV O14 3.5eV 6.7eV 3.2eV O15 3.1eV 6.6eV 3.5eV L 3.0eV 5.9eV 2.9eV O17 2.5eV 6.0eV 3.5eV O18 2.0eV 5.4eV 3.4eV ITO電極 EM2=4.8eV このように、発光膜のバンドギャップが最も狭くなって
いる。また、発光膜に対して、電子注入用のAl電極側
に3層の有機膜、正孔注入用のITO電極側に2層の有
機膜が設けられている。これらの各層を接合した場合の
フラットバンド図を図31に示す。
【0125】この素子は図32および図33に示すよう
な原理で動作する。ITO電極が正となるようにバイア
ス電圧を印加する。このとき、Al電極から有機膜O13
へ電子が注入される。さらに電子は空間電荷層を形成し
ながら有機膜O14、有機膜O15へと注入される。この
際、各有機膜間の電子注入障壁が低いため、効率が低下
することなく電子注入が起こる。有機膜O15へ注入され
た電子は、低い障壁を通して発光膜Lへ注入される。一
方、ITO電極から有機膜O18へ正孔が注入される。さ
らに正孔は空間電荷層を形成しながら、有機膜O17へと
注入される。有機膜O17へ注入された正孔は、低い障壁
を通して発光膜Lへ注入され、電子と再結合し、このと
き発光が生じる。
【0126】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、5Vの電圧、30m
A/cm2 の電流密度で、輝度1000cd/m2 の発
光が得られた。発光波長は480nmであり、発光膜L
のバンドギャップに相当していた。ただし、この素子を
空気中で保管すると、電極の酸化により徐々に発光輝度
が低下する。したがって、この素子について初期の特性
を保つためには、窒素中または真空中で保管する必要が
ある。この素子を10mA/cm2 の電流密度で動作さ
せ、寿命を測定したところ、約1000時間であった。 実施例29 本実施例では図34に示す有機EL素子を作製した。こ
の素子は、上から見て、電子注入用のAl電極
(M1 )、(C53)で示される有機化合物からなる有
機膜(O19)、(C54)で示される有機化合物からな
る有機膜(O20)、(C55)で示される有機化合物か
らなる有機膜(O21)、(C56)で示される有機化合
物からなる発光膜(L' )、(C57)で示される有機
化合物からなる有機膜(O23)、正孔注入用のITO電
極(M2 )およびガラス基板1から構成されている。有
機膜O19の膜厚は5nm、有機膜O20、有機膜O21およ
び発光膜L' の膜厚は30nm、有機膜O23の膜厚は6
0nmである。
【0127】
【化18】
【0128】
【化19】 この素子を構成する各層に関して、真空準位とのエネル
ギー差は以下のような値であることが変位電流法により
確認されている。
【0129】 Al電極 EM1=4.2eV EC (EA ) EV (IP ) Eg 19 3.9eV 6.4eV 2.5eV O20 3.4eV 6.1eV 2.7eV O21 3.0eV 6.5eV 3.5eV L' 2.6eV 5.8eV 3.2eV O23 1.5eV 5.4eV 3.9eV ITO電極 EM2=4.8eV この素子では、電子注入用のAl電極に隣接する有機膜
19およびそれに隣接する有機膜O20のバンドギャップ
が、発光膜L' のバンドギャップよりも狭くなってい
る。これらの各層を接合した場合のフラットバンド図を
図35に示す。
【0130】この素子は図36に示すような原理で動作
する。ITO電極が正となるようにバイアス電圧を印加
する。このとき、Al電極から有機膜O19へ電子が注入
される。さらに電子は空間電荷層を形成しながら有機膜
20、有機膜O21へと注入される。この際、各有機膜間
の電子注入障壁が低いため、効率が低下することなく電
子注入が起こる。有機膜O21へ注入された電子は、低い
障壁を通して発光膜L' へ注入されるが、発光膜L' か
ら有機膜O23への障壁が高いので、発光膜L'中に蓄積
される。一方、ITO電極から有機膜O23へ正孔が注入
される。有機膜O23へ注入された正孔は、低い障壁を通
して発光膜L' へ注入され、蓄積されていた電子と再結
合し、このとき発光が生じる。
【0131】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、7Vの電圧、20m
A/cm2 の電流密度で、輝度1000cd/m2 の発
光が得られた。発光波長は480nmであり、発光膜L
' のバンドギャップに相当していた。この素子を10m
A/cm2 の電流密度で動作させ、寿命を測定したとこ
ろ、約1000時間であった。 実施例30 本実施例では図37に示す有機EL素子を作製した。こ
の素子は、上から見て、電子注入用のAu電極(M1 '
)、(C58)で示される有機化合物からなる有機膜
(O24)、(C59)で示される有機化合物からなる有
機膜(O25)、前記(C53)で示される有機化合物か
らなる有機膜(O19)、前記(C54)で示される有機
化合物からなる有機膜(O20)、前記(C55)で示さ
れる有機化合物からなる有機膜(O21)、前記(C5
6)で示される有機化合物からなる発光膜(L' )、前
記(C57)で示される有機化合物からなる有機膜(O
23)、(C60)で示される有機化合物からなる有機膜
(O26)、正孔注入用のITO電極(M2 )およびガラ
ス基板1から構成されている。この素子では、実施例2
9の素子に対して、Au電極側に有機膜O24および有機
膜O25が、ITO電極側に有機膜O26がそれぞれ追加さ
れ、Au電極と有機膜O19との間の電子注入障壁および
ITO電極と有機膜O23との間の正孔注入障壁もすべて
0.6eV以下となっている。これらの追加された有機
膜の膜厚は5nmである。
【0132】
【化20】 これらの各層を接合した場合のフラットバンド図を図3
8に、動作原理を図39にそれぞれ示す。
【0133】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、8Vの電圧、30m
A/cm2 の電流密度で、輝度500cd/m2 の発光
が得られた。発光波長は480nmであり、発光膜L'
のバンドギャップに相当していた。
【0134】また、電子注入用の電極として仕事関数の
大きい金属(Au)を用いているので、電極の化学的変
化を防ぐことができ、素子寿命を延ばすことができる。
実際に、この素子を空気中に1か月以上保管しても、特
性の変化は認められなかった。この素子を10mA/c
2 の電流密度で動作させ、寿命を測定したところ、約
10000時間であった。 比較例7 C.Adachi,T.Tsutsui,S.Sait
o,Appl.Phys.Lett.,56,799
(1990)に記載されている、Mg・Ag/PBD
(電子輸送膜)/テトラフェニルブタジエン(発光膜)
/TAD(正孔輸送膜)/ITOという有機3層構造の
素子に関しては、10Vの駆動電圧、100mA/cm
2 の電流密度で、輝度700cd/m2 の発光が得られ
ている。
【0135】しかしながら、この素子を作製して空気中
で動作したところ、10mA/cm2 の電流密度で素子
寿命が1〜10時間と劣っていた。
【0136】また、従来の素子構造で、電子注入用の電
極としてAuまたはCuを用いた場合には、50Vの駆
動電圧を印加しても、1mA/cm2 以上の電流密度は
得られず、発光は生じない。50Vを超える駆動電圧を
印加した場合には、素子が短絡破壊する。
【0137】これら従来の素子の特性と比較すると、本
発明の有機EL素子は、駆動電圧、輝度、寿命のうち少
なくともいずれか1つの特性が優れている。 実施例31 本実施例では図21と同様な4層構造の有機膜を有する
有機EL素子を作製した。この素子は、上から見て、電
子注入用のAl電極(M1 )、(C61)で示されるオ
キサジアゾール誘導体からなる有機膜、(C62)で示
されるテトラフェニルエチレン誘導体からなる有機膜、
(C63)で示されるテトラフェニルエチレン−トリフ
ェニルアミンからなる有機膜、(C64)で示されるト
リフェニルアミン誘導体からなる有機膜、正孔注入用の
ITO電極(M2 )およびガラス基板から構成されてい
る。光はガラス基板側から取り出される。
【0138】ITO電極はスパッタ法により形成され、
シート抵抗は10Ω/cm2 である。各有機膜は、約1
-6Torrの真空度で真空昇華法により順次形成さ
れ、それぞれの膜厚は30nmである。Al電極は真空
蒸着法により形成され、その膜厚は100nmである。
【0139】
【化21】
【0140】
【化22】 この素子では、Al電極と発光層となる(C63)で示
されるテトラフェニルエチレン−トリフェニルアミンか
らなる有機膜との間に存在する電子注入障壁およびIT
O電極とこの発光層となる有機膜との間に存在する正孔
注入障壁がすべて0.6eV以下であることが変位電流
法により確認されている。
【0141】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、10Vの電圧、10
0mA/cm2 の電流密度で、輝度2000cd/
2 、発光ピーク波長540nmの緑色発光が得られ
た。この発光スペクトルは、(C63)で示されるテト
ラフェニルエチレン−トリフェニルアミン誘導体からな
る有機膜の光励起による発光スペクトルと一致した。 実施例32 本実施例では5層構造の有機膜を有する有機EL素子を
作製した。この素子は、上から見て、電子注入用のAl
電極(M1 )、(C65)で示されるN−フェニルナフ
タレンジイミド誘導体からなる有機膜、(C66)で示
されるN−フェニルナフタレンジイミド−オキサジアゾ
ール誘導体からなる有機膜、(C61)で示されるオキ
サジアゾール誘導体からなる有機膜、(C67)で示さ
れるPPCP誘導体からなる有機膜、(C64)で示さ
れるトリフェニルアミン誘導体からなる有機膜、正孔注
入用のITO電極(M2 )およびガラス基板から構成さ
れている。
【0142】
【化23】 この素子では、Al電極と発光層となる(C67)で示
されるPPCP誘導体からなる有機膜との間に存在する
電子注入障壁およびITO電極とこの発光層となる有機
膜との間に存在する正孔注入障壁がすべて0.6eV以
下であることが変位電流法により確認されている。
【0143】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、7Vの電圧、100
mA/cm2 の電流密度で、輝度1000cd/m2
発光ピーク波長450nmの青色発光が得られた。この
発光スペクトルは、(C67)で示されるPPCP誘導
体からなる有機膜の光励起による発光スペクトルと一致
した。 実施例33 本実施例では5層構造の有機膜を有する有機EL素子を
作製した。この素子は、上から見て、電子注入用のAl
電極(M1 )、(C68)で示されるオキサジアゾール
誘導体からなる有機膜、(C69)で示されるオキサジ
アゾール誘導体からなる有機膜、(C61)で示される
オキサジアゾール誘導体からなる有機膜、(C67)で
示されるPPCP誘導体からなる有機膜、(C64)で
示されるトリフェニルアミン誘導体からなる有機膜、正
孔注入用のITO電極(M2 )およびガラス基板から構
成されている。
【0144】
【化24】 このように、(C68)および(C69)で示されるオ
キサジアゾール誘導体は、互いに電子注入性を上げる置
換基−CF3 の数が異なっている。
【0145】この素子でも、Al電極と発光層となる
(C67)で示されるPPCP誘導体からなる有機膜と
の間に存在する電子注入障壁およびITO電極とこの発
光層となる有機膜との間に存在する正孔注入障壁がすべ
て0.6eV以下であることが変位電流法により確認さ
れている。
【0146】この素子について、ITO電極が正になる
ようにバイアス電圧を印加すると、9Vの電圧、100
mA/cm2 の電流密度で、輝度1000cd/m2
発光ピーク波長450nmの青色発光が得られた。この
発光スペクトルは、(C67)で示されるPPCP誘導
体からなる有機膜の光励起による発光スペクトルと一致
した。 実施例34 まず、4層構造の有機膜を有する有機EL素子を作製し
た。この素子は、上から見て、電子注入用のCu・Al
電極、(C70)で示される有機化合物からなる第1層
の有機膜、(C71)で示される有機化合物からなる第
2層の有機膜、(C72)で示される有機化合物からな
る第3層の有機膜、(C73)で示される有機化合物か
らなる第4層の有機膜、正孔注入用のITO電極および
ガラス基板から構成されている。各有機膜は、約10-6
Torrの真空度で真空昇華法により順次形成され、そ
れぞれの膜厚は30nmである。Cu・Al電極は真空
蒸着法により形成され、その膜厚は100nmである。
この素子では、Cu・Al電極と発光層となる第3層の
有機膜との間に存在する電子注入障壁およびITO電極
とこの第3層の有機膜との間に存在する正孔注入障壁の
うち第1層の有機膜/第2層の有機膜界面のみ電子注入
障壁が0.6eVを超える。この素子について、ITO
電極が正になるようにバイアス電圧を印加すると、十分
な発光輝度を得るまでに電流密度を増加させることは困
難であった。
【0147】次に、第1層の有機膜と第2層の有機膜の
間に、(C75)または(C76)からなる第5層の有
機膜および(C77)からなる第6層の有機膜を挿入し
た。(C75)または(C76)は、第1層の有機膜の
(C70)において電子注入性を発現する基本骨格であ
るナフチルイミド骨格を、ベンゼン環またはトリフェニ
ルメタン骨格を介して3個結合させることにより、電子
注入性が弱められている(伝導帯レベルが小さくなって
いる)。第6層の有機膜の(C77)は、ナフチルイミ
ド骨格と第2層の有機膜の(C71)の基本骨格である
オキサジアゾール基とをベンゼン環を介して結合させた
構造を有している。この第6層の有機膜の伝導帯レベル
は、第5層の有機膜と第2層の有機膜の中間に位置す
る。これらの第5層と第6層の有機膜を加えることによ
って、第1層の有機膜と第2層の有機膜との間の電子注
入障壁が0.6eV以下に分割され、25Vと動作電圧
は高いものの、100mA/cm2 の電流密度で、輝度
1000cd/m2 、発光ピーク波長450nmの青色
発光が得られた。
【0148】さらに、この素子では第2層の有機膜と第
3層の有機膜の界面における電子注入障壁は0.6eV
に近いため、第2層の有機膜と第3層の有機膜の間に
(C78)からなる第7層の有機膜を挿入した。(C7
8)は、第2層の有機膜の(C71)の基本骨格である
オキサジアゾール基と、第3層の有機膜の(C72)の
基本骨格であるシクロペンタジエン基とを結合させたも
のである。これによって第7層の有機膜の伝導帯レベル
は第2層の有機膜と第3層の有機膜のそれらの中間に位
置し、電子注入障壁を小さくすることができる。この第
7層の有機膜を加えることによって、動作電圧は15V
と低くなり、100mA/cm2 の電流密度で、輝度も
2000cd/m2 に向上した。
【0149】さらに第1層の有機膜の(C70)の代わ
りに(C74)を、第5層の有機膜の(C75)または
(C76)の代わりに(C80)を、第6層の有機膜の
(C77)の代わりに(C79)を使った素子を作製し
た。
【0150】この素子でも、Cu・Al電極と第3層の
有機膜との間に存在する電子注入障壁およびITO電極
と第3層の有機膜との間に存在する正孔注入障壁はすべ
て0.6eV以下となっている。
【0151】この結果、動作電圧は10Vと低くなり、
100mA/cm2 の電流密度で、輝度も4000cd
/m2 に向上した。
【0152】
【化25】
【0153】
【化26】
【0154】
【化27】
【0155】
【化28】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機EL素子の一例を示す断面
図。
【図2】図1の有機EL素子について、各層の接合状態
を示すフラットバンドバイアスにおけるバンド図。
【図3】図1の有機EL素子の動作原理を説明するバン
ド図。
【図4】本発明に係る有機EL素子の他の例を示す断面
図。
【図5】図4の有機EL素子について、各層の接合状態
を示すフラットバンドバイアスにおけるバンド図。
【図6】図4の有機EL素子の動作原理を説明するバン
ド図。
【図7】本発明に係るさらに他の有機EL素子につい
て、各層の接合状態を示すフラットバンドバイアスにお
けるバンド図。
【図8】図7の有機EL素子の動作原理を説明するバン
ド図。
【図9】本発明に係る多層構造の有機EL素子につい
て、各層の接合状態を部分的に示すフラットバンド図。
【図10】従来の有機EL素子について、各層の接合状
態を部分的に示すフラットバンド図。
【図11】図10の有機EL素子について、第1の電極
からこれに隣接する有機膜への電子注入の様子を示すバ
ンド図。
【図12】図9の有機EL素子について、第1の電極か
ら第1層の有機膜への電子注入の様子を示すバンド図。
【図13】図9の有機EL素子について、第1層の有機
膜から第2層の有機膜への電子注入の様子を示すバンド
図。
【図14】図9の有機EL素子について、第2層の有機
膜から第3層の有機膜への電子注入の様子を示すバンド
図。
【図15】(a)は変位電流法による測定において用い
られる素子の断面図、(b)は変位電流法で印加される
電圧の波形図。
【図16】変位電流法において図15(a)の素子で検
出される変位電流の一例を示す図。
【図17】変位電流法において図15(a)の素子で検
出される変位電流の他の例を示す図。
【図18】変位電流法において図15(a)の素子で検
出される変位電流のさらに他の例を示す図。
【図19】変位電流法による測定において用いられる他
の素子の断面図。
【図20】変位電流法において図19の素子で検出され
る変位電流の一例を示す図。
【図21】本発明の実施例25における有機EL素子を
示す断面図。
【図22】図21の有機EL素子のフラットバンドバイ
アスにおけるバンド図。
【図23】図21の素子に弱いバイアス電圧を印加した
ときの動作原理を説明するバンド図。
【図24】図21の素子にさらに強いバイアス電圧を印
加したときの動作原理を説明するバンド図。
【図25】本発明の実施例26における有機EL素子を
示す断面図。
【図26】図25の有機EL素子のフラットバンドバイ
アスにおけるバンド図。
【図27】本発明の実施例27における有機EL素子を
示す断面図。
【図28】図27の有機EL素子のフラットバンドバイ
アスにおけるバンド図。
【図29】図27の素子の動作原理を説明するバンド
図。
【図30】本発明の実施例28における有機EL素子を
示す断面図。
【図31】図30の有機EL素子のフラットバンドバイ
アスにおけるバンド図。
【図32】図30の素子に弱いバイアス電圧を印加した
ときの動作原理を説明するバンド図。
【図33】図30の素子にさらに強いバイアス電圧を印
加したときの動作原理を説明するバンド図。
【図34】本発明の実施例29における有機EL素子を
示す断面図。
【図35】図34の有機EL素子のフラットバンドバイ
アスにおけるバンド図。
【図36】図34の素子の動作原理を説明するバンド
図。
【図37】本発明の実施例30における有機EL素子を
示す断面図。
【図38】図37の有機EL素子のフラットバンドバイ
アスにおけるバンド図。
【図39】図37の素子の動作原理を説明するバンド
図。
【図40】第1および第2の有機膜として強いアクセプ
タ性分子および強いドナー性分子を用いた従来の有機E
L素子について、各有機膜の接合状態を示すフラットバ
ンドバイアスにおけるバンド図。
【図41】図40の素子に弱いバイアス電圧を印加した
ときの動作原理を説明するバンド図。
【図42】図40の素子にさらに強いバイアス電圧を印
加したときの動作原理を説明するバンド図。
【図43】従来の有機EL素子にCT準位が形成された
状態を示すフラットバンドバイアスにおけるバンド図。
【図44】従来の有機EL素子に中間層が形成された状
態を示すフラットバンドバイアスにおけるバンド図。
【図45】図43または図44においてCT発光が発生
する動作原理を説明するバンド図。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…第2の電極、3…第2の有機膜、
4…第1の有機膜、5…第1の電極、21…金属電極、
22…シリコン、23…シリコン酸化膜、24…有機
膜、25…金属電極。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光層となる第1の有機膜および第2の
    有機膜の積層体と、前記積層体の第1の有機膜側に形成
    された電子注入用の第1の電極と、前記積層体の第2の
    有機膜側に形成された正孔注入用の第2の電極とを備
    え、前記第1の有機膜および第2の有機膜の価電子帯の
    真空準位からのエネルギー差をそれぞれEV1、EV2とし
    たとき、 EV1−EV2≦0.6eV の関係を満たし、かつ少なくとも接合障壁のより高い有
    機膜と電極との界面が電界印加時の障壁厚みを低減しキ
    ャリアをトンネル注入できる界面構造を有することを特
    徴とする有機EL素子。
  2. 【請求項2】 第1の電極と第1の有機膜との間に電子
    注入性の第3の有機膜が形成されてなることを特徴とす
    る請求項1記載の有機EL素子。
  3. 【請求項3】 第1の有機膜および発光層となる第2の
    有機膜の積層体と、前記積層体の第1の有機膜側に形成
    された電子注入用の第1の電極と、前記積層体の第2の
    有機膜側に形成された正孔注入用の第2の電極とを備
    え、前記第1の有機膜および第2の有機膜の伝導帯の真
    空準位からのエネルギー差をそれぞれEC1、EC2とした
    とき、 EC1−EC2≦0.6eV の関係を満たし、かつ少なくとも接合障壁のより高い有
    機膜と電極との界面が電界印加時の障壁厚みを低減しキ
    ャリアをトンネル注入できる界面構造を有することを特
    徴とする有機EL素子
  4. 【請求項4】 第2の電極と第2の有機膜との間に正孔
    注入性の第3の有機膜が形成されてなることを特徴とす
    る請求項3記載の有機EL素子。
  5. 【請求項5】 少なくとも一方が複数層である電子注入
    用の有機膜および正孔注入用の有機膜とこれらの間に形
    成された発光層となる有機膜との積層体と、前記積層体
    の電子注入用の有機膜側に形成された電子注入用の第1
    の電極と、前記積層体の正孔注入用の有機膜側に形成さ
    れた正孔注入用の第2の電極とを備え、前記電子注入用
    の第1の電極から発光層となる有機膜までに存在する各
    層間の電子注入障壁が0.6eV以下であり、かつ前記
    正孔注入用の第2の電極から発光層となる有機膜までに
    存在する各層間の正孔注入障壁が0.6eV以下である
    ことを特徴とする有機EL素子。
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