JP2000311786A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JP2000311786A
JP2000311786A JP11120745A JP12074599A JP2000311786A JP 2000311786 A JP2000311786 A JP 2000311786A JP 11120745 A JP11120745 A JP 11120745A JP 12074599 A JP12074599 A JP 12074599A JP 2000311786 A JP2000311786 A JP 2000311786A
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compound
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organic compound
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Hisato Takeuchi
久人 竹内
Osamu Watanabe
修 渡辺
Hiromitsu Tanaka
洋充 田中
Makoto Mori
誠 毛利
Seiji Tokito
静士 時任
Tomohiko Mori
朋彦 森
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れ青色より長波長側の発光が可能
な有機EL素子の提供。 【解決手段】 2つの電極間に、発光層を含む有機化合
物層が形成された有機電界発光素子において、前記有機
化合物層の材料として、化学式(1) 【化12】 で表され、該式(1)中のX1からX6の少なくとも1が
窒素原子であるアザナフトフルオランテン誘導体化合物
を用いる。この誘導体化合物は、骨格中の窒素、及び長
い共役系の存在により、高効率で緑色系の蛍光を発し、
1〜R8として所望の置換基を導入することで発光波長
の調整が可能である。分子構造が、平面的に広がらず直
線的であること、分子長軸の中心から見て非対称構造で
あることなどにより、薄膜化した場合に結晶化し難く、
有機EL素子に用いた場合に素子の耐熱性、寿命向上を
図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、有機電界発光素
子(以下、有機EL素子という)、特にその有機化合物
層の材料に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、透明ガラス基板上に、
透明第1電極(例えばITO)と、強い蛍光をもつ有機
化合物を含む有機化合物層と、金属(例えばMg)の第
2電極とが順に積層されて構成されている。
【0003】前記有機層は例えば正孔輸送機能分子層と
発光機能分子層と電子輸送機能分子層とが順に積層され
た3層構造を備え、対の電極へ電界を印加することによ
り発光する。すなわち、第1電極から正孔を、第2電極
から電子を注入すると、注入された正孔と電子は上記有
機層の正孔輸送機能分子層と発光機能分子層および電子
輸送機能分子層内を移動して衝突、再結合を起こして消
滅する。この再結合により発生したエネルギーは発光性
分子が励起状態を生成するのに使われ、これにより有機
EL素子が蛍光を発する。
【0004】このような発光に用いられる有機発光材料
としては、例えば、特開平10−340782号公報、
特開平10−340784号公報には、フロオランテン
誘導体を用いることが提案されており、特開平10−2
94177号公報、特開平10−340783号公報に
は、ナフトフルオランテン誘導体を有機EL素子の発光
材料として用いることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有機EL素子では、上
述のような既に提案されている有機化合物を用いてある
程度高い発光輝度が実現されている。しかし、これらの
有機化合物の耐熱性、安定性、発光色についてはまだ不
十分であったり、最適化されていない。このため、ディ
スプレイや平面光源として有機EL素子を用いる場合
に、素子寿命、発光色等における要求を十分に満たすに
は至っていない。
【0006】例えば、上記公報において、フルオランテ
ン誘導体化合物、ナフトフルオランテン誘導体化合物を
用いた場合、有機EL素子の発光効率向上に寄与すると
の開示がある。しかし、他方、素子の寿命を延ばすため
に重要な有機化合物の耐熱性(融点やガラス転移温度)
に関しては考慮されていない。そして、これらの化合物
は、薄膜化した場合に容易に結晶化してしまい、高い融
点、ガラス転移温度Tgを実現することは難しいと考え
られる。なぜなら、開示されている分子構造は、殆どが
分子の長軸方向の中心(化学構造式中での右左の中心)
に対し対称的な構造であったり、あるいは二次元的に広
がった平面的な分子構造を有し、薄膜化した際、膜内
で、分子同士で重なる面積が大きくなり、分子間力が働
きやすいためである。
【0007】更に、これらの化合物は、青色蛍光を示す
発光材料として使用できるが、カラー有機ELディスプ
レイ等を実現するには、より長波長側の蛍光を示す発光
材料も望まれる。
【0008】特開平9−13025号公報には、有機E
L素子の電子輸送材料として基本骨格中に窒素原子を有
するキノキサリン誘導体化合物を用いることが提案さ
れ、式(2)
【化2】 のような、一部にフルオランテン誘導体骨格を備える化
合物が開示されている。
【0009】これらのキノキサリン誘導体化合物は、従
来の電子輸送材料と比べてガラス転移温度Tgが向上す
る旨の記載があるが、例えば、上記化学式(2)の右側
はフェナントレン環であり、分子の長軸(式中の左右)
方向から二方向に広がっており、また分子の長軸方向の
中心に対して対称的な構造を有している。よって、薄膜
化した場合に分子同士で重なる面積が大きいため、結晶
化が起こりやすい。このため有機EL素子の寿命向上の
ために十分高いガラス転移温度Tgを達成しているとは
いえない。
【0010】以上のように、有機EL素子の特性向上、
材料の最適化のためには、十分高い発光輝度、発光効率
を有すると共に、安定で耐熱性の高い新たな有機化合物
を提案することが望まれている。
【0011】本発明は、優れた特性を備え新規な有機化
合物の提供及びこの有機化合物を用いた有機EL素子の
提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、2つの電極間に、発光層を含む有機化合
物層が形成されている有機電界発光素子において、前記
有機化合物層が化学式(1)
【化3】 に示すような分子構造の材料を含むことを特徴とする。
【0013】上記化学式(1)に示す化合物は、アザナ
フトフルオランテン誘導体であり、該式において、ナフ
トフルオランテン骨格中のX1からX6の少なくとも1つ
が窒素原子である。このアザナフトフルオランテン誘導
体は、効率的に緑色系の蛍光を発する発光機能材料であ
り、単独で有機EL素子の発光層を構成することも可能
であり、又、他の既知の発光材料からなるホスト材料に
対し、ゲスト材料としてドープして有機EL素子の発光
層を構成することも可能である。
【0014】ナフトフルオランテン誘導体骨格(X1
6の少なくとも1つ)に窒素原子が導入されているた
め、ナフトフルオランテン自体の蛍光波長よりもその蛍
光波長が長波長側にシフトしている。
【0015】置換基R1〜R8は、互いに独立しており、
水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、パーフルオロア
ルキル基、アルコキシル基、シアノ基、エステル基、又
はカルボキシル基を用いることができる。また、置換基
1及びR2、R3及びR4、R7及びR8は、互いに結合し
た芳香族環であっても良い。例えば、置換基R1及びR2
が縮合したベンゼン誘導体、ナフタレン誘導体、アント
ラセン誘導体などである構成も適用可能である。そし
て、R1〜R8等として所望の置換基等を導入することに
より発光波長の微妙な調整をすることができる。
【0016】また、本発明に係るアザナフトフルオラン
テン誘導体は、フルオランテン骨格のkの位置に、例え
ばナフタレン骨格が縮合した骨格(X1〜X6の少なくと
も一つが窒素原子の場合を含む)である。このため、共
役系が一方向へ長く延びる分子構造であり、発光波長の
長波長化に寄与している。
【0017】本発明に係るアザナフトフルオランテン誘
導体は、その分子構造が平面的に広がらず、直線的に延
びる部分が多い。例えば、化学式(1)に示すアザナフ
トフルオランテン誘導体は、上述のように芳香族環が一
方向(この場合、左方向)へ直線的に延びていることで
ある。このような分子構造であれば、薄膜化した場合に
も分子間で重なる面積が小さいため分子間力が働きにく
く、非晶質状態を維持しやすく、薄膜の耐熱性が向上す
る。また、分子の長軸方向の中心からみて分子構造が非
対称構造であることも、結晶化を起き難くするため、膜
の耐熱性向上に寄与する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いてこの発明の好
適な実施の形態(以下実施形態という)について説明す
る。
【0019】図1は、この発明の実施形態に係る有機E
L素子の概略構造を示す図である。
【0020】この素子は、透明基板10上に第1電極1
2と、電界の印加により発光する有機化合物層14と第
2電極16とが順に積層されて構成されている。
【0021】透明基板10としては、ガラス基板、透明
セラミックス基板、ダイヤモンド基板等を用いることが
できる。第1電極12としては、高い光透過性および導
電性を有する透明電極が用いられ、例えば、ITO(In
dium Tin Oxide)、SnO2、In23 、ポリアニリン
等の薄膜材料を用いることができる。
【0022】有機化合物層14は、電界の印加により発
光する部位であり、例えば発光層の単層構造、正孔輸送
層と発光層の2層構造、正孔輸送層と発光層と電子輸送
層の3層構造などから構成される。なお、単層、多層ど
ちらで構成されてもよい。有機化合物層14の厚みは数
十から数百nmである。
【0023】そして、この有機化合物層14の発光機能
材料として、特に、本発明の実施形態では、発光層の材
料として、上記式(1)に示す有機化合物を用いる。化
学式(1)に示す化合物は、アザフルオランテン誘導
体、より具体的にはアザナフトフルオランテン誘導体で
あり、効率的に緑色系の蛍光を発する発光機能を備え
る。上記化学式(1)において、ナフトフルオランテン
骨格中のX1〜X6の少なくとも1つは、窒素原子であ
る。このように骨格中に窒素原子が導入されているた
め、ナフトフルオランテン自体の蛍光波長よりもその蛍
光波長が長波長側にシフトしている。
【0024】置換基R1〜R8は、互いに独立しており、
水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、パーフルオロア
ルキル基、アルコキシル基、シアノ基、エステル基、又
はカルボキシル基を用いることができる。また、置換基
1及びR2、R3及びR4、R7及びR8は、互いに結合し
た芳香族環であっても良い。R1〜R8等として所望の置
換基等を導入することにより発光波長の微妙な調整をす
ることができる。また、アザナフトフルオランテン誘導
体は、フルオランテン骨格のk位置に、ナフタレン骨格
が縮合した骨格(X1〜X6の少なくとも一つが窒素原子
の場合を含む)である。上記置換基R1及びR2が互いに
結合した芳香族環である場合には、上記フルオランテン
骨格のk位置に他のアセン系の多環芳香族環であるアン
トラセン誘導体、ナフタセン誘導体などが縮合した構造
も採りうる。このため、分子は、一方向に芳香族間が縮
合してつながった構造となり、共役系が一方向へ長く延
びることで発光波長の長波長化に寄与している。
【0025】化学式(1)のアザナフトフルオランテン
誘導体は、具体的には例えば下記化学式(4)
【化4】 に示す化合物1及び化合物2などが挙げられる。但し、
これらの構造には限られない。
【0026】以上説明したような構造のアザナフトフル
オランテン誘導体は、単独で有機EL素子の発光層を構
成することが可能である。また現在知られている発光材
料、例えば下式(5)
【化5】 に示すようなアルミキノリノール錯体(Alq3)や、
下式(6)
【化6】 に示すようなジスチルアリレーン誘導体(DPVBi)
などをホスト材料として用い、このホスト材料中に、ゲ
スト材料として所定割合(例えば0.1重量%〜10.
0重量%)でドーピングすることで発光層を構成するこ
とも可能である。
【0027】正孔輸送層、電子輸送層等には、現在知ら
れている電子輸送機能分子、正孔輸送機能分子を用いる
ことができる。一例として、正孔輸送機能分子として
は、下記化学式(7)
【化7】 に示される正孔輸送機能を備えるトリフェニルアミン4
量体(TPTE)や、銅−フタロシアニン等、電子輸送
機能分子としては、上述の発光機能を兼用するAlq3
等を用いることができる。
【0028】有機化合物層14の上に形成されている第
2電極16としては、例えばMg、Ag、Mg−Ag、
AlLi、LiF/Al等の金属電極が用いられてい
る。
【0029】以上のような構成の有機EL素子におい
て、第1電極12を陽極として、第2電極16を陰極と
して用い、これらの電極から正孔及び電子を有機化合物
層14に注入することで、有機化合物層14内で注入さ
れた正孔と電子が再結合し、発光材料が励起され、本発
明に係るアザナフトフルオランテン誘導体に起因した色
の蛍光が得られる。
【0030】
【実施例】本実施形態の具体例である実施例と、その比
較例について説明する。
【0031】[実施例1] (実施例1−1:化合物1の合成)本実施例では、アザ
ナフトフルオランテン誘導体の一例として、上式(4)
の化合物1を以下の化学反応式(8)
【化8】 に示すような手法により合成した。
【0032】具体的には、エタノール150mlに、ア
セナフテンキノン1.15g(6.31mmol)と、
2,3−ジアミノナフタレン1.0g(6.32mmo
l)を加え、4時間環流した。その後、溶液を室温まで
冷却し、生成した黄色沈殿をろ過し、エタノールで洗浄
した。これにより黄色固体の化合物1を1.86g得
た。この化合物1の融点を測定したところ、融点は35
0℃を超えていた。また、化合物1の溶液(CHC
3)中での蛍光量子収率は2.0%であった。NM
R、IRにより構造を確認したところ以下のような結果
となった。NMR(CDCl3):8.77(s,2H),8.47(d,2
H),8.15(dd,2H),8.14(d,2H),7.88(dd,2H),7.61(dd,2
H)。IR(KBr)1605,1555,1475,1430,1410cm-1
【0033】(実施例1−2:化合物1を用いた有機E
L素子)上式(4)及び上式(8)中の化合物1を発光
層材料として用い、図2に示すような構成の有機EL素
子を作製した。まず、ガラス基板上にITO電極を形成
し(但し、予めITOが形成された市販のガラス基板を
用いても良い)、次に、ITO電極上に正孔輸送層とし
て化学式(7)に示すTPTEを蒸着(600Å)形成
した。更に発光層として上記化合物1を蒸着(600
Å)し、最後に金属電極としてMg/Ag(9:1)を
蒸着し、有機EL素子を得た。
【0034】この有機EL素子を室温、窒素ガス雰囲気
下で駆動させたところ、10mA/m2の電界印加で3
00cd/cm2の発光輝度が得られた。蛍光ピーク波
長は555nmであった。
【0035】[実施例2] (実施例2−1:化合物2の合成)本実施例では、アザ
ナフトフルオランテン誘導体の一例として、上式(4)
中に示す化合物2を以下の手法により合成した。
【0036】合成は、上記反応式(8)中のアセナフテ
ンキノンに代えて、以下の化学式(9)
【化9】 に示すアセアンスレンキノンを用いた。エタノール75
mlに、このアセアンスレンキノン0.944g(4.
07mmol)と、2,3−ジアミノナフタレンを0.
644g(4.07mmol)を加え、4時間環流し
た。次に、溶液を室温まで冷却し、生成した橙色沈殿を
ろ過し、エタノールで洗浄した。得られた橙色粉末をク
ロロホルム100mlに加え、超音波洗浄器で1時間処
理した。分散液をろ過し、橙色粉末の上式(4)中に示
す化合物2を0.983g得た。この化合物2の融点を
測定したところ326.7℃であった。また、化合物2
の溶液(CHCl3)中での蛍光量子収率は19.8%
であった。NMR,IRにより構造を確認したところ以
下のような結果が得られた。NMR(CFCl3):9.7
4(d,1H),8.86(s,1H),8.77(s,1H),8.71(s,1H),8.49(d,1
H),8.25(d,2H),8.22(d,1H),8.17(m,2H),7.88(dd,1H),7.
86(dd,1H),7.69(dd,1H),7.61(m,2H)。IR(KBr)17
00,1620,1570,1520,1430cm-1
【0037】(実施例2−2:化合物2を用いた有機E
L素子)上式(4)中の化合物2を発光層材料として用
いて有機EL素子を作製した。素子構成は、図2と同じ
である。まず、ガラス基板上にITO電極を形成し(但
し、予めITOが形成された市販のガラス基板を用いて
も良い)、ITO電極上に正孔輸送層としてTPTEを
蒸着(600Å)形成した。更に発光層として化合物2
を蒸着(600Å)し、最後に金属電極としてMg/A
g(9:1)を蒸着し、有機EL素子を得た。
【0038】この素子を室温、窒素ガス雰囲気下で駆動
させたところ、10mA/m2の電界印加で500cd
/cm2の発光輝度が得られた。蛍光ピーク波長は60
5nmであった。
【0039】(実施例2−3:化合物2をドーピングし
た有機EL素子)本実施例では、化合物2を発光層にド
ーピングして有機EL素子を構成した。図3は、本実施
例に係る有機EL素子の構成を示している。ガラス基板
上にITO電極を形成し(予めITOが形成された市販
のガラス基板を用いても良い)、ITO電極上に正孔輸
送層としてTPTEを蒸着(600Å)形成した。更に
式(4)に示す化合物2と、上述の式(6)に示すよう
な構造で青色の蛍光を示すDPVBiとを共蒸着(60
0Å)し、ゲスト材料である化合物2がホスト材料であ
るDPVBiに1.5重量%ドーピングされた発光層を
形成した。発光層を形成した後、更に電子輸送層として
Alq3を蒸着(600Å)し、最後に金属電極として
Mg/Ag(9:1、重量比)を蒸着形成し、有機EL
素子を得た。
【0040】この有機EL素子を室温、窒素ガス雰囲気
下で駆動させたところ、10mA/m2の電界印加で5
00cd/cm2の発光輝度が得られた。蛍光ピーク波
長は500nmの緑色であった。
【0041】(実施例2−4:化合物2をドーピングし
た有機EL素子)本実施例2−4では、上記実施例2−
3と同様に化合物2をAlq3をホスト材料とする発光
層にドーピングして有機EL素子を構成した。素子の構
造は、図3と同じである。ガラス基板上にITO電極を
形成し(予めITOが形成された市販のガラス基板を用
いても良い)、ITO電極上に正孔輸送層としてTPT
Eを蒸着(600Å)形成した。更に発光層として化合
物2とAlq3を共蒸着(600Å)し、ゲスト材料で
ある化合物2をホスト材料であるAlq3に1.3重量
%ドーピングして発光層を形成した。次に、電子輸送層
としてAlq3を蒸着(600Å)し、最後に金属電極
としてMg/Ag(9:1)を蒸着し、有機EL素子を
得た。
【0042】この有機EL素子を室温、窒素ガス雰囲気
下で駆動させたところ、10mA/m2の電界印加で5
00cd/cm2の発光輝度が得られた。蛍光ピーク波
長は560nmであった。
【0043】[比較例]ガラス基板上にITO電極を形
成し、その上に正孔輸送層としてTPTEを蒸着(60
0Å)形成した。更に発光層としてAlq3を蒸着(6
00Å)し、最後にMg/Ag(9:1)を蒸着して有
機EL素子を作製した。この電界発光素子を室温、窒素
ガス雰囲気下で駆動させたところ、10mA/m2の電
界印加で200cd/cm2の発光輝度が得られ、蛍光
ピーク波長は515nm〜520nmであった。
【0044】[比較検討結果] (i)発光輝度 同一の電界印加条件下で、比較例の有機EL素子の発光
輝度が200cd/cm2であるのに対し、上述のよう
に各実施例の有機EL素子は、300cd/cm2(実
施例1−2)、500cd/cm2(実施例2−2,2
−3,2−4)と高い輝度が得られており、本発明のア
ザナフトフルオランテン誘導体を発光機能材料として用
いることで発光効率の高い素子が得られていることがわ
かる。
【0045】(ii)発光波長 Alq3を単独で発光層材料として用いた場合、比較例
のように蛍光ピーク波長は515nm〜520nm
(緑)である。一方、アザナフトフルオランテン誘導体
の一種である化合物1及び化合物2を単独で有機EL素
子の発光層材料として用いると、ピークは更に長波長側
にシフトし、上述のように化合物1の場合555nm、
化合物2の場合605nmの蛍光ピーク波長が得られて
いる。
【0046】本発明に係るアザナフトフルオランテン誘
導体は、基本骨格中に窒素原子が存在(フルオランテン
化合物及びナフトフルオランテン化合物は青色に発光)
することと、芳香族環が特定方向に長くつながっている
ことにより、長波長側にピークがシフトしており、所望
の緑色から黄色の蛍光が得られている。
【0047】また、化合物1の場合と化合物2の場合の
蛍光ピークの比較からわかるように、化学式(1)に示
すアザナフトフルオランテン誘導体の置換基R1〜R8
して所望の基を分子中に導入することで、発光ピーク波
長の調整が可能となる。
【0048】(iii)耐熱性 本発明に係るアザナフトフルオランテン誘導体は、分子
が特定方向に直線的に延びた構造を有する。また、分子
の長軸(構造式中の左右方向)の中心位置から見た場
合、分子は対象構造でない。従って、有機発光層として
用いた場合に、分子同士で平面的に重なる部分が少な
く、結晶化し難い。このため各実施例1−1、2−1で
作製した化合物1及び化合物2の融点は、共に300℃
を超えている。従って、本発明のようなアザナフトフル
オランテン誘導体を有機発光層の材料として用いること
で、発光層の耐熱性が向上し、結果として有機EL素子
の耐熱性向上を図ることが可能となる。
【0049】(iv)蛍光量子収率 本発明に係るアザナフトフルオランテン誘導体化合物
は、高い蛍光量子収率が得られる。これは、以下のよう
な理由によると考えられる。
【0050】例えば、上述の特開平9−13025号公
報に示されたキノキサリン誘導体の内、上式(2)の化
合物と比較すると、化学式(2)は、その構造式の右側
にフェナントレン環が縮合した構造となっている。この
ため、フェナントレン部分について注目すると、電子の
振動方向が分子中少なくとも2方向に分散する可能性が
あり、高い蛍光量子収率は期待できない。一方、本発明
の化合物は、フルオランテン誘導体のkの位置にナフタ
レン誘導体等のアセン系縮合多環式芳香族環(窒素を骨
格内に有するものを含む)が結合しており、共役系が一
方向に長く延びている。従って、化学式(2)のキノキ
サリン誘導体と比較すると、本発明に係る化合物は、電
子の振動方向が一方向に偏るため、発光が起こりやす
く、結果として蛍光量子収率が向上する。
【0051】[他の構成]以上本発明の実施形態、実施
例1、2においては、一般式が化学式(1)で表される
化合物を有機EL素子の発光機能材料として用いている
が、下記化学式(10)、化合物(11)
【化10】
【化11】 で示されるような構造の共役系の長いアザフルオランテ
ン誘導体も適用可能である。このアザフルオランテン誘
導体も、緑色系の蛍光を示し、フルオランテン骨格の一
部が窒素原子で置換されているとともに、このアザフル
オランテン骨格にアントラキノンが縮合した構造を備え
ている。このような化合物は、上記実施形態、実施例に
係るアザナフトフルオランテン誘導体化合物と同様に、
基本骨格に窒素原子を有することで発光ピークが長波長
側にシフトする。また、アザフルオランテン部分に対
し、アントラキノン部分のa位置(1、2位)が縮合し
たような構造を有し、分子構造全体としては、一直線状
ではないが、共役系が途中で一方向に折れ曲がった直線
的な構造である。このため、分子の長軸(構造式中では
左右方向)の中心から見た場合、分子は非対象構造であ
り、有機発光層として薄膜化した場合に分子間で相互作
用が起きにくく、結晶化し難い。従って、有機発光層の
耐熱性向上を図ることが可能となる。但し、共役系が一
直線状に延びる上述のアザナフトフルオランテン誘導体
より発光効率等は低い。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るアザ
ナフトフルオランテン誘導体は、青色より長波長側での
発光が可能であると共に、薄膜化した際の膜の安定性・
耐熱性を向上させることが可能となる。また、誘導体に
導入する置換基に応じて、発光波長の調整が可能であ
る。
【0053】このアザナフトフルオランテン誘導体は、
有機EL素子の発光機能材料、例えば有機発光層の主材
料や、ドーピング材料として用いることができ、このよ
うな誘導体を用いた有機EL素子は、緑色系の蛍光を示
す寿命の長い素子となる。さらに発光波長の微妙な調整
が可能であり、本発明のようにアザナフトフルオランテ
ン誘導体を用いた有機EL素子は、より広い範囲の要求
や用途に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る有機EL素子の概略
構成を示す図である。
【図2】 本発明の実施例に係る有機EL素子の概略構
成を示す図である。
【図3】 本発明の実施例に係る有機EL素子の概略構
成を示す図である。
【符号の説明】
10 透明基板、12 第1電極(ITO電極,陽
極)、14 有機化合物層、16 第2電極(金属電
極,陰極)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 洋充 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 毛利 誠 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 時任 静士 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 森 朋彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3K007 AB00 AB02 AB03 AB04 AB14 CA00 CA01 CA02 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの電極間に、発光層を含む有機化合
    物層が形成された有機電界発光素子において、 前記有機化合物層が、 下記一般式(1) 【化1】 で表され、該式(1)中のX1からX6の少なくとも1つ
    が窒素原子である有機化合物を含むことを特徴とする有
    機電界発光素子。
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