JPH11204259A - 電界発光素子 - Google Patents

電界発光素子

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JPH11204259A
JPH11204259A JP10002986A JP298698A JPH11204259A JP H11204259 A JPH11204259 A JP H11204259A JP 10002986 A JP10002986 A JP 10002986A JP 298698 A JP298698 A JP 298698A JP H11204259 A JPH11204259 A JP H11204259A
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JP
Japan
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layer
hole
organic
electroluminescent device
molecular orbital
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Application number
JP10002986A
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English (en)
Inventor
Yasunori Kijima
靖典 鬼島
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の材料の応用により発光効率を高めると
共に、長時間安定発光し、高輝度で色度良好な青色発光
が可能な電界発光素子を提供すること。 【解決手段】 ガラス基板6上に、ITO透明電極5、
ホール輸送層4、電子輸送層2及び金属電極1がこの順
に積層される構造のシングルヘテロ型の有機EL素子に
おいて、上記のホール輸送層4と電子輸送層2との間に
ホールブロック層33を設ける。これにより、ホール輸
送性発光層4bにおける電子−ホールの再結合を促進す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界発光素子に関
し、例えば、自発光の平面型ディスプレイであって、特
に、有機薄膜を電界発光層に用いる有機電界発光カラー
ディスプレイ等の表示素子又は発光性デバイスに好適な
電界発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、マルチメディア指向の商品を初め
として、人間と機械とのインターフェースの重要性が高
まってきている。人間がより快適に効率良く機械操作す
るためには、操作される機械からの情報を誤りなく、簡
潔に、瞬時に、充分な量で取り出す必要があり、そのた
めに、ディスプレイを初めとする様々な表示素子につい
て研究が行われている。
【0003】また、機械の小型化に伴い、表示素子の小
型化、薄型化に対する要求も日々、高まっているのが現
状である。
【0004】例えば、ノート型パーソナルコンピュー
タ、ノート型ワードプロセッサなどの、表示素子一体型
であるラップトップ型情報処理機器の小型化には目を見
張る進歩があり、それに伴い、その表示素子である液晶
ディスプレイに関しての技術革新も素晴らしいものがあ
る。
【0005】今日、液晶ディスプレイは、様々な製品の
インターフェースとして用いられており、ラップトップ
型情報処理機器はもちろんのこと、小型テレビや時計、
電卓を初めとして、我々の日常使用する製品に多く用い
られている。
【0006】これらの液晶ディスプレイは液晶が低電圧
駆動、低消費電力であるという特徴を生かし、小型から
大容量表示デバイスに至るまで、人間と機械のインター
フェースとして、表示素子の中心として研究されてき
た。
【0007】しかし、この液晶ディスプレイは自発光性
でないため、バックライトを必要とし、このバックライ
ト駆動に、液晶を駆動するよりも大きな電力を必要とす
るため、結果的に内蔵蓄電池等では使用時間が短くな
り、使用上の制限がある。
【0008】更に、液晶ディスプレイは、視野角が狭い
ため、大型ディスプレイ等の大型表示素子には適してい
ないことも問題である。
【0009】また、液晶ディスプレイは、液晶分子の配
向状態による表示方法であるので、視野角の中において
も、角度によりコントラストが変化してしまうのも大き
な問題であると考えられる。
【0010】また、駆動方式から考えれば、駆動方式の
一つであるアクティブマトリクス方式は、動画を扱うに
十分な応答速度を示すが、TFT(薄膜トランジスタ)
駆動回路を用いるため、画素欠陥により画面サイズの大
型化が困難である。
【0011】液晶ディスプレイにおいて、別の駆動方式
である単純マトリクス方式は、低コストである上に画面
サイズの大型化が比較的容易であるが、動画を扱うに十
分な応答速度を有していないという問題がある。
【0012】これに対し、自発光性表示素子は、プラズ
マ表示素子、無機電界発光素子、有機電界発光素子等が
研究されている。
【0013】プラズマ表示素子は低圧ガス中でのプラズ
マ発光を表示に用いたもので、大型化、大容量化に適し
ているが、薄型化、コストの面での問題を抱えている。
また、駆動に高電圧の交流バイアスを必要とし、携帯用
デバイスには適していない。
【0014】無機電界発光素子は、緑色発光ディスプレ
イ等が商品化されたが、プラズマ表示素子と同様に、交
流バイアス駆動であり、駆動には数百V必要であり、実
用性に欠けている。
【0015】しかし、技術の発展により、カラーディス
プレイ表示に必要なR(赤)、G(緑)、B(青)の三
原色の発光に成功はしているが、無機材料のために、分
子設計などによる発光波長等の制御は困難であり、フル
カラー化は困難であると思われる。
【0016】一方、有機化合物による電界発光現象は、
1960年代前半に、強く螢光を発生するアントラセン
単結晶へのキャリア注入による発光現象が発見されて以
来、長い期間、研究されてきたが、低輝度、単色で、し
かも単結晶であったため、有機材料へのキャリア注入と
いう基礎的研究として行われていた。
【0017】しかし、1987年にEastman Kodak 社の
Tangらが低電圧駆動、高輝度発光が可能なアモルファス
発光層を有する積層構造の有機薄膜電界発光素子を発表
して以来、各方面で、R、G、Bの三原色の発光、安定
性、輝度上昇、積層構造、作製方法等の研究開発が盛ん
に行われている。
【0018】さらに、有機材料の特徴であるが、分子設
計等により様々な新規材料が発明され、直流低電圧駆
動、薄型、自発光性等の優れた特徴を有する、有機電界
発光表示素子のカラーディスプレイへの応用研究も盛ん
に行われ始めている。
【0019】有機電界発光素子(以下、有機EL素子と
称することがある。)は、1μm以下の膜厚であり、電
流を注入することにより電気エネルギーを光エネルギー
に変換して面状に発光するなど、自発光型の表示デバイ
スとして理想的な特徴を有している。
【0020】図30は、従来の有機EL素子10の一例
を示す。この有機EL素子10は、透明基板(例えばガ
ラス基板)6上に、ITO(Indium tin oxide)透明電
極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、陰極
(例えばアルミニウム電極)1を例えば真空蒸着法で順
次成膜したものである。
【0021】そして、陽極である透明電極5と陰極1と
の間に直流電圧7を選択的に印加することによって、透
明電極5から注入されたキャリアとしてのホールがホー
ル輸送層4を経て、また陰極1から注入された電子が電
子輸送層2を経て移動し、電子−ホールの再結合が生
じ、ここから所定波長の発光8が生じ、透明基板6の側
から観察できる。
【0022】発光層3には、例えばアントラセン、ナフ
タリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレ
ン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン等
の発光物質を使用してよい。これは、電子輸送層2に含
有させることができる。
【0023】図31は、別の従来例を示すものであり、
発光層3を省略し、電子輸送層2に上記の如き発光物質
を含有させ、電子輸送層2とホール輸送層4との界面か
ら所定波長の発光18が生じるように構成した有機EL
素子20を示すものである。
【0024】図32は、上記の有機EL素子の具体例を
示す。即ち、各有機層(ホール輸送層4、発光層3又は
電子輸送層2)の積層体を陰極1と陽極5との間に配す
るが、これらの電極をマトリクス状に交差させてストラ
イプ状に設け、輝度信号回路34、シフトレジスタ内蔵
の制御回路35によって時系列に信号電圧を印加し、多
数の交差位置(画素)にてそれぞれ発光させるように構
成している。
【0025】従って、このような構成により、ディスプ
レイとしては勿論、画像再生装置としても使用可能とな
る。なお、上記のストライプパターンをR、G、Bの各
色毎に配し、フルカラー又はマルチカラー用として構成
することができる。
【0026】こうした有機EL素子を用いた、複数の画
素からなる表示デバイスにおいて、発光する有機薄膜層
2、3、4は一般に、透明電極5と金属電極1との間に
挟まれており、透明電極5側に発光する。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
有機EL素子は、なお未解決の問題を有している。
【0028】例えば、有機EL素子のカラーディスプレ
イへの応用を行う上で、R、G、Bの三原色の安定した
発光は必要不可欠な条件であるが、現在の段階では、緑
色発光材料以外には、ディスプレイに応用可能な十分な
安定性、色度、輝度等を兼ね備えた赤色、及び青色材料
についての報告はない。
【0029】殊に、青色発光については、発光に伴う熱
緩和過程からの発熱や一重項酸素等の存在により、安定
した発光すら得ることが困難であるのが現状である。
【0030】さらに、結晶性が高い色素の場合は、固体
化したときに多量体が生成することにより、発光波長が
長波長化し、発光しても直ぐに消光してしまう等の現象
が生じることが多い。
【0031】新規の青色発光材料の開発については、多
くの研究がなされているが、新規物質の開発、研究と共
に、既存材料の応用により安定した発光を得ることも重
要な課題であり、また、材料的にある程度は確立された
物質を用いることは、研究開発における時間短縮に大き
く貢献し、材料開発の指針を示すことにもなる。
【0032】例えば、蛍光収率の大きいクマリン系レー
ザー色素は、緑色発光の色純度向上のためのドープ材料
として応用でき、また、青色発光材料として発光が得ら
れたとの報告も今日では得られている。これは、クマリ
ン系短波長蛍光色素が一般的に単体では結晶性が高く、
アモルファスでは安定な青色発光材料として適さなかっ
たのであるが、共蒸着の手法を取ることによりアモルフ
ァス性の安定な薄膜が得られるようになったためと考え
られる。
【0033】例えばクマリン450などは最大蛍光波長
が446nm近辺に存在し、色度としてR、G、Bの青
色に対応しているが、クマリンは電子輸送性又はホール
輸送性を有していないため、発光材料としての特性は、
電子輸送性又はホール輸送性を有する材料と比較して明
らかに劣っている。
【0034】また、亜鉛金属錯体に代表されるような材
料系は、電子輸送性の青色発光層をシングルヘテロ型の
素子構造で作製することにより、安定した青色発光を得
ることが可能である。しかし、十分な輝度を得るために
印加電圧を大きくしていくことに伴い、発光スペクトル
が700nm近辺の視感度の良い領域での発光が大きく
なり、結果として、青色発光の色度がずれ、白色発光に
近付くという欠点がある。
【0035】更に、一般的に有機電界発光素子の寿命は
短いため、長寿命化のための研究が各方面で活発に行わ
れている。
【0036】しかし、ディスプレイとして実用化するた
めには、初期輝度(200カンデラ程度)からの半減時
間が一万時間以上であることが好ましいが、このような
耐用時間が得られてはいない。これは、有機電界発光素
子の実用化に向けて改善すべき大きな問題である。
【0037】本発明の目的は、高発光効率及び高輝度で
色度が良好な青色発光も可能であり、長時間安定した発
光が可能な素子構造を有する電界発光素子を提供するこ
とにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な実情を鋭意検討し、材料的にも確立している既存の材
料を応用することにより、高輝度においても色度の良い
発光が可能なアモルファス性薄膜を効率良く発光するこ
とができれば、研究開発の大幅な時間短縮や、カラーデ
ィスプレイを初めとするフルカラー化と共に、素子の長
寿命化に貢献することができることに着目し、本発明に
到達した。
【0039】即ち、本発明は、発光領域が有機化合物か
らなり、前記発光領域を含む有機物質からなる積層体に
より構成される発光素子において、ホール輸送性有機材
料中で電子−ホールの再結合による発光が得られること
を特徴とする、電界発光素子に係るものである。
【0040】本発明の電界発光素子によれば、上記のホ
ール輸送性有機材料中で電子−ホールの再結合による発
光が得られること(即ち、ホール輸送層が電子−ホール
の再結合領域である発光層を兼ねた構造であること)に
よって、低電圧駆動でも安定かつ高輝度の発光、特に青
色発光が可能になる。
【0041】従って、これまで、非発光性の優れた電子
輸送材料が存在しないために困難な構造であると考えら
れてきた、電界発光素子(特に、低電圧駆動、自発光、
薄型のアモルファス有機電界発光素子)において、ホー
ル輸送層が発光層を兼ねると共に、長時間の安定した発
光を与える長寿命な素子構造の電界発光素子を提供する
ことができる。
【0042】即ち、ホール輸送層が発光層である有機電
界発光素子でも、高輝度、高効率の安定した発光を得る
ことができ、特に、青色発光に関しては顕著であり、D
C駆動で10000cd/m2 以上、1/100デュー
ティ比でのパルス駆動でも直流換算でピーク輝度550
00cd/m2 以上を得ることが可能である。
【0043】また、青色発光素子以外でも、緑色発光、
更にドーピングによる赤色発光、黄色発光、またドーピ
ングによる色度の調節も可能である。これにより、優れ
た色度を持つ青色発光を高輝度で得ることができる有機
電界青色発光素子を作製することが可能であり、材料開
発における可能性と時間短縮、また、新たな発光材料系
及び電子輸送材料の設計指針を示すことができる。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明による電界発光素子におい
ては、前記発光領域が主として有機ホール輸送層であ
り、このホール輸送層中で前記再結合を起こすためのホ
ールブロック層を有することが望ましい。
【0045】また、前記ホールブロック層がホール輸送
層と電子輸送層との間に設けられていることが望まし
い。
【0046】そして、前記ホールブロック層の最高占有
分子軌道レベルが、前記ホールブロック層の両側に接し
て積層された各有機層(特に前記ホール輸送層及び前記
電子輸送層)のそれぞれの最高占有分子軌道レベルのう
ちエネルギー的に低い方の最高占有分子軌道レベル以下
にあることが望ましい。
【0047】また、前記ホールブロック層の最低非占有
分子軌道レベルが、前記ホールブロック層の両側に接し
て積層された各有機層(特に前記ホール輸送層及び前記
電子輸送層)のそれぞれの最低非占有分子軌道レベルの
うちエネルギー的に低い方の最低非占有分子軌道レベル
以上にあり、かつエネルギー的に高い方の最低非占有分
子軌道レベル以下にあることが望ましい。
【0048】また、前記ホールブロック層は蛍光収率の
低い非発光性材料からなっていることが望ましく、複数
層の積層構造であってもよい。
【0049】更に、ホールブロック層は材料面での制限
はないが、ホール輸送性発光層との界面でのエキサイプ
レックス(exciplex:2量体)の生成(即ち、発光効率
の低下)を防止するためにも、蛍光収率の低い非発光性
の材料であることが好ましい。
【0050】前記発光領域が短波長発光用のホール輸送
性材料からなっているのがよい。また、前記ホールブロ
ック層に使用可能な材料としては、図2に示すフェナン
トロリン誘導体が好適であり、具体的に例示すれば、例
えば、図3に示す構造式1、図4に示す構造式2、図5
に示す構造式3、図6に示す構造式4、図7に示す構造
式5、図8に示す構造式6、図9に示す構造式7、図1
0に示す構造式8、図11に示す構造式9、図12に示
す構造式10の各材料が挙げられる。
【0051】上記の素子は、光学的に透明な基体上に、
透明電極、有機層(特に有機ホール輸送層、ホールブロ
ック層、有機電子輸送層)及び金属電極が順次積層され
ていることが望ましい。
【0052】これにより、上記の素子は、好適な有機電
界発光素子として構成され、カラーディスプレイ用の素
子としても好適なものとなる。
【0053】以下、本発明の好ましい実施の形態を説明
する。
【0054】<第1の実施の形態>図1は、本発明の第
1の実施の形態による青色発光性の有機EL素子の要部
を示す概略断面図である。
【0055】本実施の形態では、ガラス基板6上にIT
O(Indium Tin Oxide)やZnをドープしたインジウム
酸化物等からなる透明電極5をスパッタリング又は真空
蒸着等の方法により形成し、その上に順次、ホール輸送
層4a、ホール輸送性発光層4b、ホールブロック層3
3、電子輸送層2、カソード電極1を真空蒸着法により
積層し、アモルファス有機薄膜からなる有機電界発光素
子(有機EL素子)21を作製したものである。
【0056】この有機EL素子21は、ホール輸送層4
が発光層としての性能を兼ね備えた構造として構成さ
れ、その基本構造は後述する他の実施の形態でも同様で
ある。
【0057】本実施の形態の有機EL素子21の特徴
は、上記のホールブロック層33がホール輸送層4と電
子輸送層2との間に挿入されて積層されているので、ホ
ール輸送層4中での電子−ホールの再結合を促進させ、
ホール輸送層4での発光が得られることである。
【0058】図13は、上記した本実施の形態(図1)
の積層構造をバンドモデルで模式的に示したものであ
る。
【0059】図13において、Al及びAl−Li(ア
ルミニウム−リチウム)からなるカソード1及びITO
透明電極5の層に示した太線(L1 、L2 )は、それぞ
れのメタルの凡その仕事関数であり、これらの両電極間
の各層においては上部の太線l1 、l2 、l3 、l4
び数値はそれぞれの最低非占有分子軌道(LUMO)の
レベルを示し、下方の太線l5 、l6 、l7 、l8 及び
数値はそれぞれの最高占有分子軌道(HOMO)のレベ
ルを示している。但し、図13中のエネルギーレベル値
は一例であって、材質によって種々に変化するものであ
る。
【0060】この有機EL素子においては、図13に示
すように、アノードとしての透明電極5から注入された
ホールhがホール輸送層4を経て移動し、一方、カソー
ドの金属電極1から注入された電子eが電子輸送層2を
経て移動し、この電子−ホールがホール輸送性発光層4
において再結合して発光を生じる。
【0061】カソードとしての金属電極1から注入され
る電子eは、エネルギーレベルの低い方へ移動する性質
があるため、金属電極1、電子輸送層2、ホールブロッ
ク層33、ホール輸送性発光層4b、ホール輸送層4a
の順に各層の最低非占有分子軌道(LUMO)レベルl
1 〜l4 を経由してホール輸送性発光層4b、4aに到
達することができる。
【0062】一方、アノードとしてのITO透明電極5
から注入されるホールhは、エネルギーレベルの高い方
へ移動する性質があるため、ホール輸送層4a、ホール
輸送性発光層4b、ホールブロック層33の順に各層の
最高占有分子軌道(HOMO)レベルl5 〜l7 を経由
して電子輸送層2へ移動することができる。
【0063】しかし、図13に示す如く、ホールブロッ
ク層33の最高占有分子軌道(HOMO)レベルl7
りも電子輸送層2の最高占有分子軌道(HOMO)レベ
ルl8 の方がエネルギー的に低いため、注入されたホー
ルhはホールブロック層33から電子輸送層2へ移動し
難くなり、ホールブロック層33に充満するようにな
る。
【0064】この結果、ホールブロック層33に充満し
たホールhがホール輸送層4での電子−ホールの再結合
を促進させ、ホール輸送層4を構成するホール輸送性発
光層4a、4bの発光材料を発光させることになる。
【0065】このように、ホールブロック層33を設け
ることにより、ホール輸送層4において電子−ホールの
再結合を効率よく生じるようにホールブロック層33に
おいてホールhの輸送を効果的に制御している。そし
て、これにより発光するホール輸送性発光層4a、4b
のうち、主としてホールブロック層33に隣接するホー
ル輸送性発光層4bによる発光にホール輸送性発光層4
aの発光も加わり、図22の如き特定波長(青色)の光
を放出する。
【0066】本来、カソード電極1からの電子の注入と
アノード電極5からのホールの注入とにより、電子輸送
層2及びホール輸送層4はそれぞれの層において電子−
ホールの再結合が生じる。従って、上記の如ホールブロ
ック層33が存在しない場合には、電子輸送層2とホー
ル輸送層4との界面において電子−ホールの再結合が生
じ、長波長の発光しか得られない。しかし、本実施例の
如くホールブロック層33を設けることにより、発光性
物質が含有されているホール輸送層4を発光領域として
青色発光を促進させることが可能になる。
【0067】上記のように、ホールブロック層33はホ
ールhの輸送を制御するためのものであり、このために
は、ホールブロック層33の最高占有分子軌道(HOM
O)が、ホール輸送性発光層4b及び電子輸送層2の最
高占有分子軌道(HOMO)レベルのエネルギー的に低
い方のレベルの最高占有分子軌道(HOMO)レベル以
下にあり、かつ、ホールブロック層33の最低非占有分
子軌道(LUMO)が、ホール輸送性発光層4b及び電
子輸送層2の最低非占有分子軌道(LUMO)レベル
の、エネルギー的に低い方の最低非占有分子軌道(LU
MO)レベル以上であり、エネルギー的に高い方の最低
非占有分子軌道(LUMO)レベル以下であればよく、
上記の構成に限定されるものではない。
【0068】上記のホールブロック層33は、種々の材
質で形成できると共に、その厚みもその機能を保持する
ことができる範囲で変化させてよい。その厚みは1Å〜
1000Å(0.1nm〜100nm)とするのがよい
が、厚みがあまり薄いと、ホールブロック能が不完全で
再結合領域がホール輸送層及び電子輸送層にまたがり易
く、またあまり厚いと、膜抵抗の増加から発光しないこ
とがある。
【0069】上記の有機EL素子21は、図14のよう
な真空蒸着装置11を用いて作製される。この装置の内
部には、アーム12の下に固定された一対の支持手段1
3が設けられ、この双方の固定手段13、13の間に
は、透明ガラス基板6を下向きにし、マスク22をセッ
トできるステージ機構(図示省略)が設けられている。
そして、ガラス基板6及びマスク22の下方には、支軸
14aに支持されたシャッター14が配置され、その下
方に所定個数の各種蒸着源28を配置する。各蒸着源
は、電源29による抵抗加熱方式で加熱される。この加
熱には、必要に応じてEB(電子線)加熱方式等も使用
される。
【0070】上記の装置において、マスク22は画素用
であり、シャッター14は蒸着材料用である。そして、
シャッター14は支軸14aを中心に回動し、蒸着材料
の昇華温度に合わせて、材料の蒸気流を遮断するための
ものである。
【0071】図15は、上記の真空蒸着装置により作製
した有機EL素子21の具体例を示す平面図である。即
ち、サイズLが30mm×30mmのガラス基板6上
に、サイズが2mm×2mmのITO透明電極5を上記
した真空蒸着装置により約100nmの厚さで蒸着後
に、全面にSiO2 30を蒸着し、これを所定の画素パ
ターンにエッチングして多数の開口31を形成し、ここ
に透明電極5をそれぞれ露出させる。従って、SiO2
によって2mm×2mmの発光領域(画素)PXに対し
蒸着マスク22を用いて各有機層4、33、2及び金属
電極1を順次形成する。
【0072】この真空蒸着装置11においては、上記し
た図15のような多数の画素を有するもの以外に、サイ
ズの大きい画素を単独に形成することもできる。
【0073】上記のように、発光領域中で電子−ホール
の再結合の効率を改善するための有機層33を積層する
ことによって、安定した、高輝度で低電圧駆動の、ホー
ル輸送性発光層4を有する有機EL素子を形成すること
ができる。特に、詳しくは後述するように、青色発光に
関しては直流駆動で10000cd/m2 以上、1/100
デューティ比でのパルス駆動でも、直流換算でピーク輝
度55000cd/m2 以上の輝度を得ることが可能とな
る。
【0074】上記電界発光素子の透明電極、有機ホール
輸送層、有機ホールブロック層、有機電子輸送層及び金
属電極は、それぞれが複数層からなる積層構造であって
もよい。
【0075】また、上記電界発光素子における各有機層
は、真空蒸着以外にも、昇華又は気化を伴う他の成膜方
法、或いはスピンコートやキャスト等の方法で形成して
もよい。
【0076】また、上記した電界発光素子のホール輸送
性発光層は、この素子の発光スペクトルの制御のために
微量分子の共蒸着を行ってもよく、例えば、ペリレン誘
導体、クマリン誘導体等の有機物質を微量含む有機薄膜
であってもよい。
【0077】また、ホール輸送材料として使用可能な材
料としては、ベンジジン又はその誘導体、スチリルアミ
ン又はその誘導体、トリフェニルメタン又はその誘導体
をはじめ、ポルフィリン又はその誘導体、トリアゾール
又はその誘導体、イミダゾール又はその誘導体、オキサ
ジアゾール又はその誘導体、ポリアリールアルカン又は
その誘導体、フェニレンジアミン又はその誘導体、アリ
ールアミン又はその誘導体、オキサゾール又はその誘導
体、アントラセン又はその誘導体、フルオレノン又はそ
の誘導体、ヒドラゾン又はその誘導体、スチルベン又は
その誘導体、またはポリシラン系化合物、ビニルカルバ
ゾール系化合物、チオフェン系化合物、アニリン系化合
物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマー、ポリマ
ー等が挙げられる。
【0078】具体的には、α−ナフチルフェニルジアミ
ン、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン、
金属ナフタロシアニン、4,4’,4”−トリメチルト
リフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチ
ルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、N,
N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)p−フェニ
レンジアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−
4,4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾ
ール、4−ジ−p−トリルアミノスチルベン、ポリ(パ
ラフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレ
ン)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)等が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
【0079】また、電子輸送性材料として使用可能な材
料としては、キノリン又はその誘導体、ペリレン又はそ
の誘導体、ビススチリル又はその誘導体、ピラジン又は
その誘導体等が挙げられる。
【0080】具体的には、8−ヒドロキシキノリンアル
ミニウム、アントラセン、ナフタリン、フェナントレ
ン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリ
ン、アクリジン、スチルベン、又はこれらの誘導体等が
挙げられる。
【0081】また、上記電界発光素子のアノード電極、
カソード電極等の使用材料にも制限はない。
【0082】カソード電極材料については、効率良く電
子を注入するために、電極材料の真空準位からの仕事関
数の小さい金属を用いるのが好ましく、アルミニウム−
リチウム合金以外にも、例えば、アルミニウム、インジ
ウム、マグネシウム、銀、カルシウム、バリウム、リチ
ウム等の低仕事関数金属を単体で、または他の金属との
合金として安定性を高めて使用してもよい。
【0083】また、アノード電極側から有機電界発光を
取り出すため、後述する実施例はアノード電極には透明
電極であるITOを用いたが、効率良くホールを注入す
るために、アノード電極材料の真空準位からの仕事関数
が大きいもの、例えば金、二酸化スズ−アンチモン混合
物、酸化亜鉛−アルミニウム混合物の電極を用いてもよ
い。
【0084】また、モノカラー用の有機電界発光素子は
勿論、発光材料を選択することによって、R、G、Bの
三色を発光するフルカラー用、又はマルチカラー用の有
機電界発光素子を作製することができる。その他、本発
明はディスプレイ用としてだけでなく、光源用としても
使用可能な有機電界発光素子に適用できると共に、他の
光学的用途にも適用することができる。
【0085】なお、上記した有機電界発光素子は、安定
性を高めるためにゲルマニウム酸化物等で封止を行って
大気中の酸素等の影響を排してもよく、また真空に引い
た状態で素子を駆動してもよい。
【0086】<第2の実施の形態>図20は、本発明の
第2の実施の形態による有機EL素子の要部を示す概略
断面図である。
【0087】本実施の形態による有機EL素子22で
は、図1の素子と比べて、ITO透明電極5上に、ホー
ル輸送性発光層4bを形成し、ホール輸送性発光層を単
層に形成していることが異なっている。
【0088】<第3の実施の形態>図21は、本発明の
第3の実施の形態による有機電界発光素子の要部を示す
概略断面図である。
【0089】本実施の形態による有機EL素子23で
は、図1の素子と比べて、ITO透明電極5上に、ホー
ル輸送層(ホール輸送性発光層を兼ねる)4aを形成
し、上記した第2の実施の形態と同様にホール輸送性発
光層を単層に形成している。
【0090】
【実施例】以下、本発明を実施例について更に詳細に説
明する。
【0091】実施例1 本実施例による有機EL素子21の具体的な構成をその
製造方法に基づいて説明する。
【0092】まず、30mm×30mmのガラス基板6
に例えば膜厚約100nmのITO透明電極5を設け、
この上に、SiO2 蒸着により2mm×2mmの発光領
域以外をマスクした有機電界発光素子作製用のセルを作
製した。
【0093】そして、上記のITO透明電極5上に、ホ
ール輸送層4aとしてm−MTDATA(4,4’,
4”−tris(3−methylphenylphenylamino)triphenyla
mine:図16の構造式のもの)を蒸着速度0.2〜0.
4nm/secで真空蒸着法により真空下で30nmの厚み
に蒸着した。
【0094】次に、このホール輸送層4a上に、ホール
輸送性発光層4bとして、α−NPD(α−naphtylphe
nyldiamine:図17の構造式のもの。これは図18
(A)のα−PPD又は図18(B)のα−TPDでも
よい。)を53nmの厚みに真空蒸着(蒸着速度0.2
〜0.4nm/sec)して、発光性を有した2層構造のホ
ール輸送層4を形成した。
【0095】次に、このホール輸送層4上に、図2に示
す一般式で表されるフェナントロリン誘導体、例えばバ
ソクプロイン(2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−
1,10−phenanthroline:図4の構造式2で示される
もの)をホールブロック層33として、15nmの厚み
(蒸着速度0.2〜0.4nm/sec)に真空蒸着した。
【0096】そして、このホールブロック層33の上
に、電子輸送層2としてAlq3 (8−hydroxy quinol
ine aluminum:図19の構造式のもの)を20nmの厚
みに蒸着し、カソード電極1としてAl−Li(アルミ
ニウム−リチウム合金:Li濃度約1mol%)を約
0.5nmの厚みに、更にAlを200nmの厚みに真
空蒸着して、図1に示す青色発光性の有機EL素子21
を作製した。
【0097】次に、この実施例による有機EL素子につ
いて、素子の特性を測定し、その結果を示す。
【0098】図22は、図1に示した実施例1による有
機EL素子21の分光特性を示すグラフである。即ち、
最大発光波長(吸収ピーク)は約435nmであり、ま
た、CIE色度座標上での座標は(0.16,0.2)であり、
良好な青色発光を呈した。
【0099】そして輝度は、図23に示す如く、電流密
度500mA/cm2において10000cd/m2 であった。
また、電流密度1mA/cm2の時の発光効率は1.21m
/Wであった。
【0100】発光スペクトルの形状から、α−NPDか
らなるホール輸送性発光層4b(図1参照)からの発光
であることは明らかであった。
【0101】更に、この有機EL素子21をデューティ
比1/100でパルス駆動したところ、電流密度550
0mA/cm2の時に、直流駆動に換算するとピーク輝度5
5000cd/m2 、CIE色度座標上での座標は(0.15,
0.16)であり、色度も改善され、十分に実用に耐えるこ
とのできる高性能で高輝度の青色発光素子を作製するこ
とができた。
【0102】実施例2 本発明の第2の実施例による有機EL素子をその製造方
法に基づいて説明する。
【0103】本実施例による有機EL素子22では、3
0mm×30mmのガラス基板6に例えば膜厚約100
nmのITO透明電極5を設け、この上に、SiO2
真空蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスク
した有機EL素子作製用のセルを作製した。
【0104】そして、その上に、ホール輸送性発光層4
bとしてα−NPD(α−naphtylphenyl diamine:図
17の構造式のもの。これは、図18(A)のα−PP
D又は図18(B)のα−TPD又は(C)のTPDで
もよい。)を真空蒸着法により真空下で例えば50nm
の厚みに蒸着(蒸着速度0.2〜0.4nm/sec)して
おり、上記した第1の実施例と異なってホール輸送性発
光層を単層に形成した。
【0105】そして、その上に、図4に示したバソクプ
ロイン(2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,1
0−phenanthroline)をホールブロック層33として2
0nmの厚み(蒸着速度0.2〜0.4nm/sec)に真
空蒸着した。
【0106】そして、その上に、電子輸送層2としてA
lq3 (8−hydroxy quinoline aluminum:図19の構
造式のもの)を例えば30nmの厚みに蒸着し、カソー
ド電極1としてAl−Li(アルミニウム−リチウム合
金)を約200nmの厚みに真空蒸着(Li濃度約1m
ol%)して、図20に示す有機EL素子22を作製し
た。
【0107】図24は、図20に示した実施例2による
有機EL素子22の分光特性を示すグラフである。
【0108】この実施例の場合は、最大発光波長(吸収
ピーク)は約460nmであり、またCIE色度座標上
での座標は(0.155 ,0.11)であり、良好な青色発光を
呈した。
【0109】そして、図25に示す如く、電流密度40
0mA/cm2での輝度は1400cd/m2 であった。
【0110】発光スペクトルの形状から、α−NPDか
らなるホール輸送性発光層4bからの発光であることは
明らかであった。
【0111】しかも、図26のしきい値電圧特性に示す
如く、電圧が5V位までは電流は殆ど流れず、5Vを過
ぎて徐々に流れ始め、6V過ぎから急速に流れ出す。即
ち、低電圧駆動が可能であると共に、しきい値電圧特性
が良好であることを示している。
【0112】実施例3 本発明の第3の実施例による有機EL素子をその製造方
法に基づいて説明する。
【0113】本実施例による有機EL素子23では、3
0mm×30mmのガラス基板6に例えば膜厚約100
nmのITO透明電極5を設け、この上に、SiO2
真空蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスク
した有機EL素子作製用のセルを作製した。
【0114】そして、その上に、ホール輸送性発光層4
aとしてm−MTDATA(4,4’,4”−tris(3
−methylphenylphenylamino)triphenylamine:図16の
構造式のもの)を真空蒸着法により、真空下で50nm
の厚みに蒸着(蒸着速度0.2〜0.4nm/sec)して
おり、上記した第2の実施例と同様にホール輸送性発光
層を単層に形成した。
【0115】そして、その上に、図4に示したバソクプ
ロイン(2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,1
0−phenanthroline)をホールブロック層33として例
えば20nmの厚み(蒸着速度0.2〜0.4nm/se
c)に真空蒸着した。
【0116】そして、その上に、電子輸送層2としてA
lq3 (8−hydroxy quinoline aluminum:図19の構
造式のもの)を30nmの厚みに蒸着し、カソード電極
1としてAl−Li(アルミニウム−リチウム合金)を
約200nmの厚みに真空蒸着(Li濃度約1mol
%)して、図21に示す有機EL素子23を作製した。
【0117】図27は、図21に示した実施例3による
有機EL素子23の分光特性を示すグラフである。
【0118】この実施例の場合は、最大発光波長(吸収
ピーク)は約500nmであり、またCIE色度座標上
での座標は(0.26,0.47)であり、良好な緑色発光を呈
した。
【0119】そして、図28に示す如く、電流密度11
0mA/cm2での輝度は280cd/mであった。
【0120】発光スペクトルの形状から、m−MTDA
TAからなるホール輸送性発光層4aからの発光である
ことは明らかであった。
【0121】図29に示す電圧:輝度特性からも、低電
圧での駆動が可能であり、輝度が良好である。
【0122】上記したことから明らかなように、本発明
に基づく各実施例1〜3の有機EL素子は、ホールブロ
ック層33をホール輸送性発光材料4a及び/又は4b
と電子輸送層2との間に設けることにより、ホール輸送
層での電子−ホールの再結合が十分となって発光層を兼
ねることができ、効率の高い安定した発光を得ることが
できる。
【0123】また、実施例1、2の如き青色発光だけで
なく、実施例3で示したような緑色発光や、更にはドー
ピングによる赤色発光、ドーピングによる色度の調節も
可能であった。
【0124】上記した各実施例により、既存の材料を用
いても、優れた色度を持つ青色発光を高輝度で得られる
有機EL素子を作製することが可能であることが示さ
れ、材料開発における可能性と時間短縮を実現でき、ま
た、新たな発光材料系及び電子輸送材料の設計指針を示
すことができるものと考えられる。
【0125】
【発明の作用効果】本発明は、上述した如く、ホール輸
送性有機材料中に電子−ホールの再結合による発光が得
られるようにしたこと(特に、ホールブロック層を、ホ
ール輸送性発光材料と電子輸送層の間に挿入する構造)
によって、従来、非発光性の優れた電子輸送材料が存在
しないことで困難な構造であると考えられてきた、ホー
ル輸送層が発光層である有機電界発光素子でも、高輝
度、高効率の安定した発光を得ることができる。特に、
青色発光に関しては顕著であり、DC駆動で10000
cd/m2 以上、1/100デューティ比でのパルス駆
動でも直流換算でピーク輝度55000cd/m2 以上
を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による有機EL素子
の要部の概略断面図である。
【図2】同、ホールブロック層に使用可能なフェナント
ロリン誘導体の一般式を示す図である。
【図3】同、フェナントロリン誘導体の構造式1を示す
図である。
【図4】同、フェナントロリン誘導体の構造式2を示す
図である。
【図5】同、フェナントロリン誘導体の構造式3を示す
図である。
【図6】同、フェナントロリン誘導体の構造式4を示す
図である。
【図7】同、フェナントロリン誘導体の構造式5を示す
図である。
【図8】同、フェナントロリン誘導体の構造式6を示す
図である。
【図9】同、フェナントロリン誘導体の構造式7を示す
図である。
【図10】同、フェナントロリン誘導体の構造式8を示
す図である。
【図11】同、フェナントロリン誘導体の構造式9を示
す図である。
【図12】同、フェナントロリン誘導体の構造式10を
示す図である。
【図13】同、実施の形態による有機EL素子の積層構
造を模式的に示すバンドモデル図である。
【図14】同、実施の形態に使用する真空蒸着装置の概
略断面図である。
【図15】同、実施の形態に使用する有機EL素子の平
面図である。
【図16】同、実施の形態に使用するm−MTDATA
(ホール輸送性発光材料)の構造式を示す図である。
【図17】同、実施の形態に使用するα−NPD(ホー
ル輸送性発光材料)の構造式を示す図である。
【図18】同、実施の形態に使用可能な他のホール輸送
性発光材料を示し、(A)はα−PPDの構造式、
(B)はα−TPDの構造式、(C)はTPDの構造式
を示す図である。
【図19】同、実施の形態に使用したAlq3 (電子輸
送材料)の構造式を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態による有機EL素
子の要部の概略断面図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態による有機EL素
子の要部の概略断面図である。
【図22】本発明の第1の実施例による有機EL素子の
分光特性を示すグラフである。
【図23】同、第1の実施例による有機EL素子の電流
−輝度特性を示すグラフである。
【図24】本発明の第2の実施例による有機EL素子の
分光特性を示すグラフである。
【図25】同、第2の実施例による有機EL素子の電流
−輝度特性を示すグラフである。
【図26】同、第2の実施例による有機EL素子の電圧
−輝度特性を示すグラフである。
【図27】本発明の第3の実施例による有機EL素子の
分光特性を示すグラフである。
【図28】同、第3の実施例による有機EL素子の電流
−輝度特性を示すグラフである。
【図29】同、第3の実施例による有機EL素子の電圧
−輝度特性を示すグラフである。
【図30】従来の有機EL素子の一例を示す概略断面図
である。
【図31】同他の有機EL素子の一例を示す概略断面図
である。
【図32】同有機EL素子の具体例を示す概略斜視図で
ある。
【符号の説明】
1…金属電極(カソード)、2…電子輸送層、4…ホー
ル輸送層、4a、4b…ホール輸送性発光層、5…IT
O透明電極(アノード)、6…ガラス基板、10、2
0、21…有機EL素子、33…ホールブロック層、e
…電子、h…ホール

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光領域が有機化合物からなり、前記発
    光領域を含む有機物質からなる積層体により構成される
    発光素子において、ホール輸送性有機材料中で電子−ホ
    ールの再結合による発光が得られることを特徴とする電
    界発光素子。
  2. 【請求項2】 ホール輸送層中で前記再結合を起こすた
    めのホールブロック層を有する、請求項1に記載した電
    界発光素子。
  3. 【請求項3】 前記ホールブロック層がホール輸送層と
    電子輸送層との間に設けられている、請求項2に記載し
    た電界発光素子。
  4. 【請求項4】 前記ホールブロック層の最高占有分子軌
    道レベルが、前記ホールブロック層の両側に接して積層
    された各有機層のそれぞれの最高占有分子軌道レベルの
    うちエネルギー的に低い方の最高占有分子軌道レベル以
    下にある、請求項2に記載した電界発光素子。
  5. 【請求項5】 前記ホールブロック層の最低非占有分子
    軌道レベルが、前記ホールブロック層の両側に接して積
    層された各有機層のそれぞれの最低非占有分子軌道レベ
    ルのうちエネルギー的に低い方の最低非占有分子軌道レ
    ベル以上にあり、かつエネルギー的に高い方の最低非占
    有分子軌道レベル以下にある、請求項2に記載した電界
    発光素子。
  6. 【請求項6】 前記発光領域が短波長発光用のホール輸
    送性材料からなり、前記ホールブロック層がフェナント
    ロリン誘導体からなっている、請求項2に記載した電界
    発光素子。
  7. 【請求項7】 光学的に透明な基体上に、透明電極、有
    機層及び金属電極が順次積層されている、請求項1に記
    載した電界発光素子。
  8. 【請求項8】 有機電界発光素子として構成されてい
    る、請求項7に記載した電界発光素子。
  9. 【請求項9】 カラーディスプレイ用の素子として構成
    されている、請求項8に記載した電界発光素子。
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