JP7416116B2 - エポキシ樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、及び電子部品装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、及び電子部品装置 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、及び電子部品装置に関する。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化等に伴い、実装の高密度化が進んでいる。これにより、電子部品装置の主流は従来のピン挿入型のパッケージから、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の表面実装型のパッケージへと変化しつつある。
表面実装型のパッケージは、従来のピン挿入型のものと実装方法が異なっている。すなわち、ピンを配線板に取り付ける際、従来のピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後に配線板の裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることはなかった。しかし、表面実装型パッケージでは電子部品装置全体がはんだバス、リフロー装置等で処理されるため、パッケージが直接はんだ付け温度(リフロー温度)にさらされる。この結果、パッケージが吸湿した場合、はんだ付けの際に吸湿による水分が急激に膨張し、発生した蒸気圧が剥離応力として働き、素子、リードフレーム等のインサートと封止材との間で剥離を発生させ、パッケージクラック、電気的特性不良等の原因となる場合がある。このため、インサートに対する接着性に優れ、ひいてははんだ耐熱性(耐リフロー性)に優れる封止材料の開発が望まれている。
上記の要求に対応するために、低吸湿化の観点から、主材となるエポキシ樹脂について様々な検討がされている。また、素子リードフレーム等のインサートとの密着力向上の観点から、封止材に含まれる無機充填材の改質材として、シランカップリング剤の使用が検討されている。具体的には、エポキシ基含有シランカップリング剤又はアミノ基含有シランカップリング剤の使用(例えば、特許文献1参照)、硫黄原子含有シランカップリング剤の使用(例えば、特許文献2参照)等が検討されている。
特開平11-147939号公報 特開2000-103940号公報
しかしながら、耐リフロー性を実用的に充分に満足させる硬化性樹脂組成物は得られていないのが現状である。
本開示の第1の実施形態は、耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物、及び前記エポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置を提供することを課題とするものである。
本開示の第2の実施形態は、耐リフロー性に優れる硬化性樹脂組成物、及び前記硬化性樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するための手段には、以下の第1の実施態様が含まれる。
<1> 1分子中にエポキシ基を1個有する単官能エポキシ化合物、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物、及び硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
<2> 前記単官能エポキシ化合物が、1分子中に脂環式エポキシ基を1個有する単官能エポキシ化合物を含む、<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 前記単官能エポキシ化合物が、1分子中に非環式エポキシ基を1個とフェニル基とを有する単官能エポキシ化合物を含む、<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> 前記多官能エポキシ化合物100質量部に対する前記単官能エポキシ化合物の含有量が1質量部~30質量部である<1>~<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 硬化促進剤をさらに含有する<1>~<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> 無機充填材をさらに含有し、前記無機充填材の含有率が前記エポキシ樹脂組成物の総体積に対して70体積%~95体積%である、<1>~<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<7> シランカップリング剤をさらに含有する<1>~<6>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<8> <1>~<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
さらに、上記課題を解決するための手段には、以下の第2の実施形態が含まれる。
<9> 硬化性樹脂、硬化剤、及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する硬化性樹脂組成物。
<10> 前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子量が180~320である、<9>に記載の硬化性樹脂組成物。
<11> 前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む<9>又は<10>に記載の硬化性樹脂組成物。
<12> 前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、脂環構造を有する<9>~<11>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<13> 前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、エポキシ基を有する<9>~<12>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<14> 前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、脂環式エポキシ基を有する<9>~<13>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<15> さらに硬化促進剤を含有する<9>~<14>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<16> さらに無機充填材を含有し、前記無機充填材の含有率が前記硬化性樹脂組成物の総体積に対して70体積%~95体積%である、<9>~<15>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<17> さらにカップリング剤を含有する<9>~<16>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<18> <9>~<17>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
本開示の第1の実施形態によれば、耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物、及びエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置を提供することができる。
本開示の第2の実施形態によれば、耐リフロー性に優れる硬化性樹脂組成物、及び硬化性樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一方を意味する。
<第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物>
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、(A)1分子中にエポキシ基を1個有する単官能エポキシ化合物、(B)1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物、及び(C)硬化剤を含有する。エポキシ樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分をさらに含有していてもよい。以下、(A)1分子中にエポキシを1つ有する単官能エポキシ化合物を、単に「単官能エポキシ化合物」ともいう。また、(B)1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物を、単に「多官能エポキシ化合物」ともいう。
エポキシ樹脂組成物が単官能エポキシ化合物を含有することにより、耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得ることができる。単官能エポキシ化合物を含有させることにより耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得ることができる詳細な理由は必ずしも明らかではないが、単官能エポキシ化合物を含有するエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として単官能エポキシ化合物を含有しないエポキシ樹脂組成物よりも硬化物中の架橋密度が下がり、高温弾性率が低下するためであると推測される。一般的に、リフロー時の剥離応力の観点から、高温弾性率が低いほうがインサートと封止材との間で剥離が発生しにくくなるため、耐リフロー性に優れていると考えられる。なお、単官能エポキシ化合物は、エポキシ基を有することから反応性に優れ、前述のように架橋密度を低下させて弾性率を低下させる一方、硬化性も充分に維持されると考えられる。
(A)単官能エポキシ化合物
エポキシ樹脂組成物は、単官能エポキシ化合物を含有する。エポキシ樹脂組成物に含有される単官能エポキシ化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単官能エポキシ化合物は、1分子中にエポキシ基を1個有する化合物であれば特に制限されない。単官能エポキシ化合物に含まれるエポキシ基は、エポキシシクロヘキシル基等の脂環式エポキシ基であってもよく、グリシジル基等の非環式エポキシ基であってもよい。1分子中に脂環式エポキシ基を1個有する単官能エポキシ化合物(以下、「単官能脂環式エポキシ化合物」ともいう)と、1分子中に非環式エポキシ基を1個有する単官能エポキシ化合物(以下、「単官能非環式エポキシ化合物」ともいう)とを組み合わせて用いてもよい。以下、(A1)単官能脂環式エポキシ化合物、及び(A2)単官能非環式エポキシ化合物のそれぞれについて説明する。
(A1)単官能脂環式エポキシ化合物
単官能脂環式エポキシ化合物は、1分子中に脂環式エポキシ基を1個有する単官能エポキシ化合物であれば特に制限されない。脂環式エポキシ基は、環状脂肪族骨格を構成する隣接する2つの炭素原子に酸素原子が結合して形成されているものである。
環状脂肪族骨格の炭素数は、特に制限されない。環状脂肪族骨格は、例えば、5員環~8員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。
脂環構造は不飽和結合を含んでいても含んでいなくてもよく、置換基を有していても有していなくてもよい。
単官能脂環式エポキシ化合物は、下記一般式(a)で表される脂環式エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。
一般式(a)中、Rはエポキシ基を含まない一価の置換基を表し、nは0~10の整数を表す。
Rで表されるエポキシ基を含まない一価の置換基は特に限定されず、炭化水素基等が挙げられる。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられ、これらは置換基を有していても有していなくてもよい。これらのなかでもアルキル基が好ましく、置換アルキル基が好ましい。Rが複数存在する場合、複数のRは同じでも異なってもよい。
nは1~4であることが好ましく、1であることがより好ましい。
Rが置換アルキル基の場合、アルキル基の置換基としては、エチレン性不飽和二重結合を有する基が好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する基がさらに好ましい。単官能脂環式エポキシ化合物がアルキル基の置換基としてエチレン性不飽和二重結合を有する場合、単官能脂環式エポキシ化合物における分子中のエチレン性不飽和二重結合の数は1であっても2以上であってもよい。
単官能脂環式エポキシ化合物の一例として、下記一般式(b)で表される化合物が挙げられる。
一般式(b)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはエポキシ基を含まない一価の置換基を表す。Xは単結合又は二価の連結基を表す。nは0~9の整数を表す。
はメチル基であることが好ましい。
の定義及び好ましい態様は式(a)のRの定義及び好ましい態様と同じである。
nは0~3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
Xのうち、二価の連結基は特に制限されず、脂肪族炭化水素等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、直鎖又は分岐のアルキレン基等が挙げられる。Xがアルキレン基である場合、アルキレン基に含まれる炭素数は特に限定されず、1~10であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。アルキレン基は置換基を有していてもよい。なお、上述のアルキレン基に含まれる炭素数は、分岐又は置換基に含まれる炭素数を含めないものとする。
一般式(b)で表される単官能脂環式エポキシ化合物の例としては、下記式(c)で表される化合物が挙げられる。
単官能脂環式エポキシ化合物のさらなる一例として、下記一般式(d)で表される化合物が挙げられる。
一般式(d)中、Xは単結合又は二価の連結基を表す。Xのうち、二価の連結基は特に制限されず、脂肪族炭化水素等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、直鎖又は分岐のアルキレン基等が挙げられる。Xがアルキレン基である場合、アルキレン基に含まれる炭素数は特に限定されず、1~10であってもよい。アルキレン基は置換基を有していてもよい。なお、上述のアルキレン基に含まれる炭素数は、分岐又は置換基に含まれる炭素数を含めないものとする。
一般式(d)で表される単官能脂環式エポキシ化合物の一例としては、下記式(e)で表される化合物が挙げられる。
(A2)単官能非環式エポキシ化合物
単官能非環式エポキシ化合物は、1分子中に非環式エポキシ基を1個有する単官能エポキシ化合物であれば特に限定されない。非環式エポキシ基としては、グリシジル基、グリシジルオキシ基等が挙げられる。
単官能非環式エポキシ化合物は、1分子中に非環式エポキシ基を1個とフェニル基とを有する単官能エポキシ化合物であることが好ましい。1分子中に非環式エポキシ基を1個とフェニル基とを有する化合物としては、1分子中にグリシジル基を1個とフェニル基とを有する化合物、1分子中にグリシジルオキシ基を1個とフェニル基とを有する化合物等が挙げられる。なかでも、単官能非環式エポキシ化合物は、下記一般式(f)で表される化合物であることが好ましい。
式(f)中、Rはエポキシ基を含まない一価の置換基を表し、nは0~5の整数を表す。
Rで表されるエポキシ基を含まない一価の置換基は特に制限されず、炭化水素基等が挙げられる。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられる。Rがアルキル基を表す場合、アルキル基は直鎖状であっても、分岐状でもよく、環状構造を有してもよく、分岐状であることが好ましい。Rがアリール基を表す場合、アリール基は置換基を有していても有していなくてもよい。Rが複数存在する場合、複数のRは同じでも異なっていてもよい。Rの置換位置は特に限定されず、オルト位又はパラ位であることが好ましい。
nは0~3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
一般式(f)で表される化合物の例としては、下記一般式(g)及び一般式(h)で表される化合物が挙げられる。
式(g)において、Rはエポキシ基を含まない一価の置換基を表し、nは0~4の整数を表す。
式(g)で表される化合物におけるRの定義及び好ましい態様は式(f)で表される化合物におけるRの定義及び好ましい態様と同じである。
nは0~2であることが好ましく、0であることがより好ましい。
式(h)において、R及びRはそれぞれ独立にエポキシ基を含まない一価の置換基を表し、pは0~4の整数を表し、qは0~5の整数を表す。
及びRで表されるエポキシ基を含まない一価の置換基の定義及び好ましい態様は、式(f)におけるRの定義及び好ましい態様と同じである。
pは0~2であることが好ましく、0であることがより好ましい。qは0~3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
単官能エポキシ化合物としては、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。単官能エポキシ化合物としては、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(例えば、商品名:CYCLOMER M100、株式会社ダイセル製)、4-t-ブチルフェニルグリシジルエーテル(例えば、商品名:ED-509S、ADEKA製)、2-ビフェニリルグリシジルエーテル(例えば、商品名:EX-142、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
単官能エポキシ化合物は常温(25℃)で固体であっても液体であってもよく、液体であることが好ましい。
単官能エポキシ化合物のエポキシ当量は特に制限されない。流動性及び耐リフロー性の観点からは、500g/eq以下が好ましく、300g/eq以下がより好ましい。
単官能エポキシ化合物の含有量は、後述の多官能エポキシ化合物100質量部に対して1質量部~30質量部であることが好ましく、5質量部~30質量部であることがより好ましく、5質量部~25質量部であることがさらに好ましく、10質量部~20質量部であることが特に好ましい。単官能エポキシ化合物の含有量が多官能エポキシ化合物100質量部に対して1質量部以上であると耐リフロー性の効果が充分に得られる傾向にある。また、30質量部以下であると、硬化性及び離型性の低下並びに成形不良の発生が抑制され、ハンドリング性が向上する傾向にある。
また、単官能エポキシ化合物の含有量は、硬化性及び離型性の観点から、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して0.05質量部~2質量部であることが好ましく、0.1質量部~1質量部であることがより好ましい。
(B)多官能エポキシ化合物
多官能エポキシ化合物は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する。多官能エポキシ化合物は、エポキシ樹脂組成物に一般的に使用されているものでよく、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであればその種類は特に制限されない。
多官能エポキシ化合物は、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であってよい。具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐リフロー性と流動性のバランスの観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれるエポキシ樹脂(これらを「特定エポキシ樹脂」と称する)が好ましい。特定エポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能エポキシ化合物が特定エポキシ樹脂を含む場合、特定エポキシ樹脂の性能を発揮する観点からは、その含有率が多官能エポキシ化合物全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
特定エポキシ樹脂の中でも、流動性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂又は硫黄原子含有型エポキシ樹脂がより好ましく、耐熱性の観点からは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂又はアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であるYX-4000H(三菱ケミカル株式会社、商品名)、全てのRが水素原子である4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合並びにRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基でそれ以外のRが水素原子である場合の混合品であるYL-6121H(三菱ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(II)中、Rは水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数4~18の芳香族基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
スチルベン型エポキシ樹脂は、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合と、Rのうち3,3’,5,5’位のうちの3つがメチル基であり、1つがt-ブチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合との混合品であるESLV-210(住友化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(III)中、R及びR10は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂は、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子であり、R12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のR12が水素原子であるYSLV-80XY(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0007416116000011
式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
硫黄原子含有型エポキシ樹脂は、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’位がt-ブチル基であり、6,6’位がメチル基であり、それ以外のR13が水素原子であるYSLV-120TE(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0007416116000012
式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子であり、R15がメチル基であり、i=1であるESCN-190、ESCN-195(住友化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(VI)中、R14は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP-7200(DIC株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(VII)中、R16は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、トリフェニルメタン骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限されない。例えば、トリフェニルメタン骨格を持つ化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とのノボラック型フェノール樹脂等のトリフェニルメタン型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、kが0である1032H60(三菱ケミカル株式会社、商品名)、EPPN-502H(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(VIII)中、R17及びR18は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ナフトール化合物及びフェノール化合物と、アルデヒド化合物とから得られるノボラック樹脂をエポキシ化した共重合型エポキシ樹脂は、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でiが1であり、jが0であり、kが0であるNC-7300(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(IX)中、R19~R21は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、jは各々独立に0~2の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。l及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(l+m)は0~10の数を示す。式(IX)で表されるエポキシ樹脂の末端は、下記式(IX-1)又は(IX-2)のいずれか一方である。式(IX-1)及び(IX-2)において、R19~R21は、i、j及びkの定義は式(IX)におけるR19~R21は、i、j及びkの定義と同じである。nは1(メチレン基を介して結合する場合)又は0(メチレン基を介して結合しない場合)である。
上記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体等が挙げられる。これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アラルキル型エポキシ樹脂は、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂と、を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体とから合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。
下記一般式(X)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、R38が水素原子であるNC-3000S(日本化薬株式会社、商品名)、iが0であり、R38が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を質量比80:20で混合したCER-3000(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。また、下記一般式(XI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、jが0であり、kが0であるESN-175(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(X)及び(XI)において、R38は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R37、R39~R41は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、lはそれぞれ独立に0~6の整数を示す。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(II)~(XI)中のR~R21及びR37~R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8~88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR~R21及びR37~R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R~R21及びR37~R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(III)~(XI)における炭素数1~18の有機基はアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
上記一般式(II)~(XI)中のnは、平均値であり、それぞれ独立に0~10の範囲であることが好ましい。nが10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度が低下し、充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等の発生が抑制される傾向にある。nは0~4の範囲に設定されることがより好ましい。
以上、エポキシ樹脂組成物に使用可能な好ましい多官能エポキシ化合物の具体例を上記一般式(II)~(XI)に沿って説明したが、より具体的な好ましい多官能エポキシ化合物として、耐リフロー性の観点からは、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニルが挙げられ、成形性及び耐熱性の観点からは、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-ビフェニルが挙げられる。
また上記以外にも低反りの観点からは、アルキル置換若しくは芳香環置換又は非置換のアントラセン類のジグリシジルエーテルであるジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂(例えば、三菱ケミカル社製商品名:YX-8800)を、耐リフロー性と硬化性と流動性のバランスの観点からはメトキシナフタレン型エポキシ樹脂(例えば、DIC株式会社性商品名HP-5000)を用いることが好ましい。
多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼等の各種特性バランスの観点からは、多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は、100g/eq~1000g/eqであることが好ましく、150g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
多官能エポキシ化合物の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
(C)硬化剤
硬化剤は、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものでよく、特に制限はない。
硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。なかでも、フェノール硬化剤、アミン硬化剤及び酸無水物硬化剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、フェノール硬化剤がより好ましい。
フェノール硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂及び多価フェノール化合物が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール硬化剤の中でも、耐リフロー性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(これらを「特定フェノール硬化剤」と称する)が好ましい。特定フェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤が特定フェノール硬化剤を含む場合、それらの性能を充分に発揮する観点から、特定フェノール硬化剤の含有率は硬化剤全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。アラルキル型フェノール樹脂は、さらに他のフェノール樹脂と共重合していてもよい。共重合したアラルキル型フェノール樹脂としては、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂等が挙げられる。
アラルキル型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XII)~(XIV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
式(XII)~(XIV)において、R23は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R22、R24、R25及びR28は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R26及びR27は水酸基又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、pはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(XII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R23が全て水素原子であるMEH-7851(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるXL-225、XLC(三井化学株式会社、商品名)、MEH-7800(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIV)で表されるフェノール樹脂の中でも、jが0であり、kが0であり、pが0であるSN-170(新日鉄住金化学株式会社、商品名)、jが0であり、kが1であり、R27が水酸基であり、pが0であるSN-395(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であるDPP(新日本石油化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(XV)中、R29は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂は、トリフェニルメタン骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるMEH-7500(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(XVI)中、R30及びR31は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、0~10の数である。
ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂は、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であり、qが0であるHE-510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(XVII)中、R32~R34は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、qはそれぞれ独立に0~5の整数である。l及びmはそれぞれ平均値であり、それぞれ独立に0~11の数である。ただし、lとmの合計は1~11の数である。
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社、商品名)、HP-850N(日立化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(XVIII)中、R35は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R36は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるR22~R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23~R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22~R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22及びR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30及びR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるnは、0~10の範囲であることが好ましい。10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も低くなり、未充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等が発生し難くなる。1分子中の平均nは0~4の範囲に設定されることが好ましい。
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
硬化剤の軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
(A)単官能エポキシ化合物及び(B)多官能エポキシ化合物の合計当量数と、(C)硬化剤の当量数との比、すなわち単官能エポキシ化合物及び多官能エポキシ化合物中のエポキシ基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/単官能エポキシ化合物及び多官能エポキシ化合物中のエポキシ基数)は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える関連からは、0.5~2.0の範囲にすることが好ましく、0.6~1.3の範囲にすることがより好ましい。成形性と耐リフロー性の観点からは、0.8~1.2の範囲にすることがさらに好ましい。
(D)硬化促進剤
エポキシ樹脂組成物は硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物で一般に使用されているものでよく、特に限定はない。具体的には、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等のシクロアミジン化合物;これらのシクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;これらの三級アミン化合物の誘導体;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物;これらのイミダゾール化合物の誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;これらの有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;これらのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート及びテトラフェニルボロン塩の誘導体などが挙げられる。これらの硬化促進剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも硬化促進剤は、硬化性及び流動性の観点からは第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましく、トリフェニルホスフィンとベンゾキノンとの付加物又はトリブチルホスフィンとベンゾキノンとの付加物がより好ましい。保存安定性の観点からはシクロアミジン化合物とフェノール樹脂との付加物が好ましく、ジアザビシクロウンデセンのノボラック型フェノール樹脂塩がより好ましい。上記で例示の硬化促進剤の含有率は、硬化促進剤全量中60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
硬化促進剤として第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を用いる場合、第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の総含有率は、硬化促進剤全量中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられる第三ホスフィンとしては特に制限はない。具体的には、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン等のアリール基を有する第三ホスフィンが挙げられる。成形性の観点からはトリフェニルホスフィン及びトリブチルホスフィンが好ましい。
また、第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられるキノン化合物としては特に制限はない。具体的には、o-ベンゾキノン、p-ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4-ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられる。耐湿性又は保存安定性の観点からはp-ベンゾキノンが好ましい。
硬化促進剤の含有量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に限定されるものではなく、(A)単官能エポキシ化合物、(B)多官能エポキシ化合物、及び(C)硬化剤の合計(以下、「樹脂成分」とも称する)100質量部に対して0.1質量部~10質量部であることが好ましく、0.3質量部~5質量部であることがより好ましい。0.1質量部以上であると、時間が短縮できる傾向がある。また10質量部以下であると硬化速度が速くなりすぎることが抑制され、より良好な成形品が得られる傾向がある。
(E)無機充填材
エポキシ樹脂組成物は、無機充填材を含有してもよい。特に、エポキシ樹脂組成物を半導体パッケージの封止材として用いる場合には、無機充填材を含有することが好ましい。
無機充填材の種類は、特に制限されない。具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填材の状態としては粉末、粉末を球形化したビーズ、繊維等が挙げられる。
無機充填材の平均粒子径は特に制限されない。なかでも成形性の観点から、5μm~50μmであることが好ましく、10μm~30μmであることがより好ましい。なお、無機充填材の平均粒子径は、レーザー回折散乱方式粒度分布測定装置を用い、体積平均粒子径として測定される。
エポキシ樹脂組成物又はその硬化物中の無機充填材の体積平均粒子径は、公知の方法によって測定することができる。例えば、有機溶剤、硝酸、王水等を用いて、エポキシ樹脂組成物又は硬化物から無機充填材を抽出し、超音波分散機等で充分に分散して分散液を調製する。この分散液を用いて、レーザー回折散乱方式粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布から、無機充填材の体積平均粒子径を測定することができる。あるいは、硬化物を透明なエポキシ樹脂等に埋め込み、研磨して得られる断面を走査型電子顕微鏡にて観察して得られる体積基準の粒度分布から、無機充填材の体積平均粒子径を測定することができる。さらには、FIB装置(集束イオンビームSEM)等を用いて、硬化物の二次元の断面観察を連続的に行い、三次元構造解析を行なうことで測定することもできる。
エポキシ樹脂組成物の流動性の観点からは、無機充填材の粒子形状は角形よりも球形が好ましく、また無機充填材の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。
エポキシ樹脂組成物の低反り性の観点からは、線膨張率の大きいものが好ましい。例えば、エポキシ樹脂組成物中の無機充填材がシリカの場合は、溶融シリカより結晶シリカのほうが好ましい。
また無機充填材の比表面積は特に制限されない。なかでも成形性と強度の観点から、0.5m/g~12m/gであることが好ましく、1m/g~5m/gであることがより好ましい。なお、無機充填材の比表面積は、JIS Z 8830:2013に準じて77Kでの窒素吸着能から測定される。
無機充填材の含有率は特に制限されず、難燃性、成形性、吸湿性及び強度の向上並びに線膨張係数の低減の観点から、エポキシ樹脂組成物中70質量%~95質量%であることが好ましく、吸湿性の向上及び線膨張係数の低減の観点から85質量%~95質量%であることがより好ましい。無機充填材の含有率が70質量%以上であると、難燃性及び耐リフロー性が向上する傾向がある。また95質量%以下であると、流動性に優れる傾向がある。また、無機充填材の含有率は、エポキシ樹脂組成物の総体積に対し70体積%~95体積%であることが好ましく、75体積%~95体積%であることがより好ましく、80体積%~90体積%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率が70体積%以上であると、難燃性及び耐リフロー性が向上する傾向がある。また95体積%以下であると、流動性に優れる傾向がある。
[各種添加剤]
エポキシ樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、接着促進剤、離型剤、難燃剤、着色剤、熱可塑性樹脂、応力緩和剤等の各種添加剤を含有してもよい。エポキシ樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含有してもよい。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物が無機充填材を含有する場合は、樹脂成分と無機充填材との接着性を高めるために、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。カップリング剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、カップリング剤はシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤中のアルコキシシリル基とアルコキシシリル基以外の有機官能基の種類及び数は、必要に応じて選定してよい。
エポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有量は、無機充填材100質量部に対して0.05質量部~5質量部であることが好ましく、0.1質量部~2.5質量部であることがより好ましい。カップリング剤の含有量が無機充填材100質量部に対して0.05質量部以上であると、フレームとの接着性がより向上する傾向にある。カップリング剤の含有量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
(イオン交換体)
エポキシ樹脂組成物は、イオン交換体を含有してもよい。特に、エポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を必要に応じて含有してもよい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びにマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。イオン交換体は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO ……(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
エポキシ樹脂組成物がイオン交換体を含有する場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、樹脂成分100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~5質量部であることがより好ましい。
(接着促進剤)
エポキシ樹脂組成物は、接着性をより向上させる観点から、必要に応じて接着促進剤を含有してもよい。具体的には、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等の誘導体、アントラニル酸、没食子酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アミノフェノール、キノリン等及びこれらの誘導体、脂肪族酸アミド化合物、ジチオカルバミン酸塩、チアジアゾール誘導体などが挙げられる。これらの接着促進剤は1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含有してもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量は樹脂成分100質量部に対して0.01質量部~10質量部が好ましく、0.1質量部~5質量部がより好ましい。離型剤の含有量が樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。10質量部以下であると、より良好な接着性が得られる傾向にある。
(難燃剤)
エポキシ樹脂組成物は、組成物の難燃性向上の観点から、従来公知の難燃剤を必要に応じて含有してもよい。具体的には、ブロム化エポキシ樹脂;三酸化アンチモン、赤リン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機物;フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等で被覆された赤リン;リン酸エステル等のリン化合物;メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物;シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物;下記組成式(II)で示される複合金属水酸化物;などが挙げられる。
p(M1)・q(M2)・m(HO) ・・・式(II)
式(II)において、M1及びM2は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びmは正の数を示す。
式(II)中のM1及びM2は互いに異なる金属元素であれば特に制限はない。難燃性の観点からは、M1が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB~IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、M1がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、M2が鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。また流動性の観点からは、M1がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルであるものが好ましい。p及びqの比(p/q)は特に制限はなく、1/99~1/1であることが好ましい。なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期律表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行う。
その他の難燃剤としては、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物などが挙げられる。これらの難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は特に制限はない。なかでも(A)エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部~30質量部が好ましく、2質量部~15質量部がより好ましい。
(着色剤)
エポキシ樹脂組成物は、着色剤をさらに含有してもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(熱可塑性樹脂)
エポキシ樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル、インデン及びアルキルインデン等のインデン類とスチレン及びアルキルスチレン等のスチレン類とフェノール類の共重合樹脂であるインデンオリゴマーなどの熱可塑性樹脂を必要に応じて含有してよい。熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(応力緩和剤)
エポキシ樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含有してもよい。応力緩和剤を含有することにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、MBS(メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シリコーン系応力緩和剤が好ましい。シリコーン系応力緩和剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられる。
(エポキシ樹脂組成物の調製方法)
エポキシ樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、各種成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した各種成分を撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
エポキシ樹脂組成物は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)において固体であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物が固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物がタブレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
<第1の実施形態に係る電子部品装置>
第1の実施形態に係る電子部品装置は、上述のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等の支持部材に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載して得られた素子部をエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した素子をエポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した素子を、エポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、エポキシ樹脂組成物で素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、プリント配線板においてもエポキシ樹脂組成物を好適に使用することができる。
エポキシ樹脂組成物を用いて電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法等が挙げられる。これらの中では、低圧トランスファ成形法が一般的である。
<第2の実施形態に係る硬化性樹脂組成物>
第2の実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、(A’)硬化性樹脂、(B’)硬化剤、及び(C’)(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する。硬化性樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分をさらに含有してもよい。以下、(C’)(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、「特定アクリル化合物」と称することがある。
硬化性樹脂組成物が特定アクリル化合物を含有すると、耐リフロー性に優れる硬化性樹脂組成物を得ることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、アクリル樹脂は反応後も極性基が無く、吸水率が低いため、耐リフロー性に優れていると推測される。
(C’)特定アクリル化合物
硬化性樹脂組成物は、特定アクリル化合物を含有する。特定アクリル化合物は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特定アクリル化合物は、(メタ)アクリルロイル基を有する化合物であれば特に制限されない。
特定アクリル化合物に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は限定されず、1~10であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。本検討においては、特定アクリル化合物は(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基を有することがより好ましい。本検討において特定アクリル化合物は(メタ)アクリル酸エステル化合物を含むことが好ましい。
特定アクリル化合物の具体的な例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
特定アクリル化合物は常温(25℃)で固体であっても液体であってもよく、液体であることが好ましい。
特定アクリル化合物の分子量は特に制限されない。流動性及び耐リフロー性の観点からは、180~320であることが好ましく、180~270であることがより好ましく、190~220であることがさらに好ましい。
一実施形態では、特定アクリル化合物は脂環構造を有してもよい。脂環構造は不飽和結合を含んでも含まなくてもよい。脂環構造は置換基を有していても有していなくてもよい。例えば、特定アクリル化合物はジシクロペンタジエン骨格を有していてもよい。
さらなる一実施形態では、特定アクリル化合物はエポキシ基を有していてもよい。特定アクリル化合物がエポキシ基を有すると、硬化性が充分に維持される傾向にある。
特定アクリル化合物がエポキシ基を有する場合、特定アクリル化合物に含まれるエポキシ基の数は制限されないが、耐リフロー性の観点から、1であることが好ましい。
なかでも、耐リフロー性、硬化性等の観点から、特定アクリル化合物は脂環式エポキシ基を有することが好ましい。特定アクリル化合物が脂環式エポキシ基を有する場合、脂環式エポキシ基は、環状脂肪族骨格を構成する隣接する2つの炭素原子に酸素原子が結合して形成されているものである。脂環式エポキシ基の環状脂肪族骨格の炭素数は、特に制限されない。環状脂肪族骨格は、例えば、5員環~8員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。
脂環式エポキシ基を有する特定アクリル化合物の一例として、下記一般式(a)で表される化合物が挙げられる。
一般式(a)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは一価の置換基を表す。Xは単結合又は二価の連結基を表す。nは0~9の整数を表す。
はメチル基であることが好ましい。
で表される一価の置換基は特に限定されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられる。Rが複数存在する場合、複数のRは同じでも異なってもよい。
Xのうち、二価の連結基は特に制限されず、脂肪族炭化水素等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、直鎖又は分岐のアルキレン基等が挙げられる。Xがアルキレン基である場合、アルキレン基に含まれる炭素数は特に限定されず、1~10であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。アルキレン基は任意の置換基を有していてもよい。なお、上述のアルキレン基に含まれる炭素数は、分岐又は置換基に含まれる炭素数を含めないものとする。
nは0~3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
一般式(a)で表される脂環式エポキシ基を有する特定アクリル化合物の一例としては、下記式(b)で表される化合物(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート)が挙げられる。
特定アクリル化合物としては、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(商品名:CYCLOMER M100、株式会社ダイセル製)等が挙げられる。
特定アクリル化合物の含有量は、硬化性樹脂100質量部に対して1質量部~30質量部であることが好ましく、5質量部~25質量部であることがより好ましく、5質量部~20質量部であることがさらに好ましく、10質量部~20質量部であることが特に好ましい。特定アクリル化合物の含有量が硬化性樹脂100質量部に対して1質量部以上であると流動性に優れ、耐リフロー性の効果が充分に得られる傾向にある。また、30質量部以下であると、硬化性及び離型性の低下並びに成形不良の発生が抑制され、ハンドリング性が向上する傾向にある。
また、特定アクリル化合物の含有量は、硬化性及び離型性の観点から、硬化性樹脂組成物100質量部に対して0.05質量部~2質量部であることが好ましく、0.1質量部~1質量部であることがより好ましい。
特定アクリル化合物が硬化性樹脂組成物に含まれるか否かは、例えば、溶媒抽出物のマススペクトル測定によって確認することができる。
(A’)硬化性樹脂
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。硬化性樹脂は特に制限されず、熱硬化性であっても光硬化性であってもよい。硬化性樹脂は、熱硬化性であることが好ましい。硬化性樹脂は、自己重合により硬化するものであっても、硬化剤、架橋剤等との反応により硬化するものであってもよい。
硬化性樹脂の反応を生じる官能基は特に制限されず、グリシジル基等の非環式エポキシ基、脂環式エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アクリロイル基、イソシアネート基などが挙げられる。封止材としての特性のバランスの観点からは、環状エーテル基を含む硬化性樹脂が好ましく、エポキシ基を含む硬化性樹脂(エポキシ樹脂)がより好ましい。
硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合のエポキシ樹脂の詳細は第1の実施形態に係る(B)多官能エポキシ化合物の詳細と同様である。なお、第1の実施形態に係る(B)多官能エポキシ樹脂の説明における「多官能エポキシ化合物」との記載は「エポキシ樹脂」と読み替え、「エポキシ樹脂組成物」との記載は「硬化性樹脂組成物」と読み替える。
硬化性樹脂の官能基当量は特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼等の各種特性バランスの観点からは、硬化性樹脂の官能基当量は、100g/eq~1000g/eqであることが好ましく、150g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
硬化性樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、硬化性樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
(B’)硬化剤
硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤の種類は特に制限されず、硬化性樹脂の種類、硬化性樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合の硬化剤としては、第1の実施形態に係る硬化剤として記載したものが挙げられる。硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合の硬化剤の詳細は第1の実施形態に係る硬化剤の詳細と同様である。
なお、第1の実施形態に係る硬化剤の説明における「エポキシ樹脂組成物」との記載は「硬化性樹脂組成物」と読み替える。
また、第1の実施形態に係る硬化剤の説明における「(A)単官能エポキシ化合物及び(B)多官能エポキシ化合物の合計当量数と、(C)硬化剤の当量数との比、すなわち単官能エポキシ化合物及び多官能エポキシ化合物中のエポキシ基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/単官能エポキシ化合物及び多官能エポキシ化合物中のエポキシ基数)」との記載は「硬化性樹脂と硬化剤との当量比、すなわち硬化性樹脂中の官能基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/硬化性樹脂中の官能基数)」と読み替える。
(D’)硬化促進剤
硬化性樹脂組成物は硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の詳細は第1の実施形態に係る硬化促進剤の詳細と同様である。
なお、第1の実施形態に係る硬化促進剤の説明における「エポキシ樹脂組成物」との記載は「硬化性樹脂組成物」と読み替える。
また、第1の実施形態に係る硬化促進剤の含有量の説明における「樹脂成分」とは「硬化性樹脂と硬化剤の合計」を意味するものとする。
(E’)無機充填材
硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含有してもよい。無機充填材の詳細は第1の実施形態に係る無機充填材の詳細と同様である。
なお、第1の実施形態に係る無機充填材の説明における「エポキシ樹脂組成物」との記載は「硬化性樹脂組成物」と読み替える。
[各種添加剤]
硬化性樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、接着促進剤、離型剤、難燃剤、着色剤、熱可塑性樹脂、応力緩和剤等の各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤の詳細は第1の実施形態に係る各種添加剤の詳細と同様である。
なお、第1の実施形態に係る各種添加剤の説明における「エポキシ樹脂組成物」との記載は「硬化性樹脂組成物」と読み替える。
(硬化性樹脂組成物の調製方法)
硬化性樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。硬化性樹脂組成物の調製方法の詳細は第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物の調製方法の詳細と同様である。なお、第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物の調製方法の説明における「エポキシ樹脂組成物」との記載は「硬化性樹脂組成物」と読み替える。
<第2の実施形態に係る電子部品装置>
第2の実施形態に係る電子部品装置は、上述の硬化性樹脂組成物により封止された素子を備える。電子部品装置の詳細は第1の実施形態に係る電子部品装置の詳細と同様である。なお、第1の実施形態に係る電子部品装置の説明における「エポキシ樹脂組成物」との記載は「硬化性樹脂組成物」と読み替える。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔第1の実施形態に係る実施例〕
(実施例1-1~1-8、比較例1-1~1-5)
以下の成分をそれぞれ下記表1及び表2に示す量(単位:質量部)で配合し、混練温度100℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例1-1~1-8及び比較例1-1~1-5のエポキシ樹脂組成物をそれぞれ調製した。なお表中の空欄は「配合無し」を表す。
実施例の単官能エポキシ化合物としては、以下を使用した。
・エポキシ化合物1:エポキシ当量196g/eqの式(c)で表されるエポキシ化合物(株式会社ダイセル社製、CYCLOMER M100)
・エポキシ化合物2:エポキシ当量226g/eqの2-ビフェニリルグリシジルエーテル
比較用のエポキシ化合物としては、以下を使用した。
・エポキシ化合物3:エポキシ当量126g/eqの2官能脂環式エポキシ化合物(株式会社ダイセル社製、CELLOXIDE2021)
多官能エポキシ化合物(1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物)としては、以下を使用した。
・多官能エポキシ化合物4:エポキシ当量250g/eq、軟化点58℃のメトキシナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP-5000)
・多官能エポキシ化合物5:エポキシ当量241g/eq、軟化点96℃のビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、CER-3000L)
・多官能エポキシ化合物6:エポキシ当量282g/eq、軟化点56℃のビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC-3000)
硬化剤としては、水酸基当量175g/eq、軟化点70℃のキシリレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEHC-7800SS)を使用した。
硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィンとp-ベンゾキノンとのベタイン型付加物を使用した。
無機充填材としては、平均粒子径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融シリカを使用した。
シランカップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用した。
その他の添加成分としては、カルナバワックス、及びカーボンブラックを使用した。
[エポキシ樹脂組成物の評価]
実施例1-1~1-8及び比較例1-1~1-5で調製したエポキシ樹脂組成物の特性を、次の(1)~(5)の各特性試験により評価した。評価結果を下記表1及び表2に示す。なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、明記しない限りトランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120秒で行った。また、必要に応じて後硬化を175℃で5時間の条件で行った。
(1)スパイラルフロー
EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、エポキシ樹脂組成物を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)熱時硬度
エポキシ樹脂組成物を上記条件で直径50mm×厚み3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計(株式会社上島製作所製、HD-1120(タイプD))を用いて測定した。
(3)260℃せん断接着力
エポキシ樹脂組成物を上記条件で、銀メッキした銅板に底面直径4mm、上面直径3mm、高さ4mmのサイズに成形し、上記条件で後硬化した。その後、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製、シリーズ4000を用い、銅板の温度を260℃に保ちながら、せん断速度50μm/sでせん断接着力(MPa)を求めた。
(4)吸水率
上記(2)で成形した円板を上記条件で後硬化した。その後、得られた円板を85℃、60%RHの条件下で168時間放置し、放置前後の質量変化を測定した。測定結果から下記式により吸水率を計算した。
吸水率(質量%)={(放置後の円板質量-放置前の円板質量)/放置前の円板質量}×100
(5)耐リフロー性
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、ダイパッド部上面及びリード先端銀メッキ処理品)を、エポキシ樹脂組成物を用いて上記条件で成形し、上記条件で後硬化した。得られたパッケージを85℃、85%RHの条件で168時間加湿した。その後、250℃、260℃、又は270℃の温度で、10秒の条件でリフロー処理をそれぞれ行い、パッケージ外部のクラックの有無を目視で、パッケージ内部の剥離発生の有無を超音波探傷装置(日立建機株式会社製、HYE-FOCUS)でそれぞれ観察した。試験パッケージ数(10)に対する、クラック及び剥離のいずれかが発生したパッケージ数の総和で耐リフロー性を評価した。
表1及び表2に示されるように、単官能エポキシ化合物を含有する実施例1-1~1-8は、単官能エポキシ化合物を含有しない比較例1-1~1-5と比較し、特に260℃以上における耐リフロー性に優れていた。また、硬化性も充分維持されていた。
また、実施例1-1~1-5のなかでも、単官能エポキシ化合物の含有量が多官能エポキシ化合物に対して5質量部~20質量部である実施例1-1、1-3、1-4、1-5では、スパイラルフローに優れ、良好な流動性を示す傾向にあった。
〔第2の実施形態に係る実施例〕
(実施例2-1~2-7、比較例2-1~2-5)
以下の成分をそれぞれ下記表3及び表4に示す量(単位:質量部)で配合し、混練温度100℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例2-1~2-7及び比較例2-1~2-5の硬化性樹脂組成物をそれぞれ調製した。なお表中の空欄は「配合無し」を表す。
実施例の特定アクリル化合物としては、以下を使用した。
・特定アクリル化合物1:エポキシ当量196g/eqの式(b)で表されるエポキシ化合物(株式会社ダイセル社製、CYCLOMER M100)
比較用の化合物としては、以下を使用した。
・比較用化合物1:エポキシ当量126g/eqの2官能脂環式エポキシ化合物(株式会社ダイセル社製、CELLOXIDE2021;(メタ)アクロイル基不含)
硬化性樹脂としては、以下を使用した。
・エポキシ樹脂1:エポキシ当量250g/eq、軟化点58℃のメトキシナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP-5000)
・エポキシ樹脂2:エポキシ当量241g/eq、軟化点96℃のビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、CER-3000L)
・エポキシ樹脂3:エポキシ当量282g/eq、軟化点56℃のビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC-3000)
硬化剤としては、水酸基当量175g/eq、軟化点70℃のキシリレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEHC-7800SS)を使用した。
硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィンとp-ベンゾキノンとのベタイン型付加物を使用した。
無機充填材としては、平均粒子径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融シリカを使用した。
シランカップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用した。
その他の添加成分としては、カルナバワックス、及びカーボンブラックを使用した。
[硬化性樹脂組成物の評価]
実施例2-1~2-7及び比較例2-1~2-5で調製した硬化性樹脂組成物の特性を、次の(1)~(5)の各特性試験により評価した。評価結果を下記表3及び表4に示す。なお、硬化性樹脂組成物の成形は、明記しない限りトランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120秒で行った。また、必要に応じて後硬化を175℃で5時間の条件で行った。
(1)スパイラルフロー
EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、硬化性樹脂組成物を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)熱時硬度
硬化性樹脂組成物を上記条件で直径50mm×厚み3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計(株式会社上島製作所製、HD-1120(タイプD))を用いて測定した。
(3)260℃せん断接着力
硬化性樹脂組成物を上記条件で、銀メッキした銅板に底面直径4mm、上面直径3mm、高さ4mmのサイズに成形し、上記条件で後硬化した。その後、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製、シリーズ4000を用い、銅板の温度を260℃に保ちながら、せん断速度50μm/sでせん断接着力(MPa)を求めた。
(4)吸水率
上記(2)で成形した円板を上記条件で後硬化した。その後、得られた円板を85℃、60%RHの条件下で168時間放置し、放置前後の質量変化を測定した。測定結果から下記式により吸水率を計算した。
吸水率(質量%)={(放置後の円板質量-放置前の円板質量)/放置前の円板質量}×100
(5)耐リフロー性
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、ダイパッド部上面及びリード先端銀メッキ処理品)を、硬化性樹脂組成物を用いて上記条件で成形し、上記条件で後硬化した。得られたパッケージを85℃、85%RHの条件で168時間加湿した。その後、250℃、260℃、又は270℃の温度で、10秒の条件でリフロー処理をそれぞれ行い、パッケージ外部のクラックの有無を目視で、パッケージ内部の剥離発生の有無を超音波探傷装置(日立建機株式会社製、HYE-FOCUS)でそれぞれ観察した。試験パッケージ数(10)に対する、クラック及び剥離のいずれかが発生したパッケージ数の総和で耐リフロー性を評価した。
表3及び表4に示されるように、特定アクリル化合物を含有する実施例2-1~2-7は、特定アクリル化合物を含有しない比較例2-1~2-5と比較し、特に260℃以上における耐リフロー性に優れていた。また、熱時硬度も充分維持されていた。
また、実施例2-1~2-5のなかでも、特定アクリル化合物の含有量が多官能エポキシ化合物に対して5質量部~20質量部である実施例2-1、2-3、2-4、2-5では、スパイラルフローに優れ、良好な流動性を示す傾向にあった。
2017年3月31日に出願された日本国特許出願2017-072118号、及び2017年3月31日に出願された日本国特許出願2017-072119号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び 技術規格は、個々の文献、特許出願、及び 技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (7)

  1. 硬化性樹脂、硬化剤、無機充填材、及び(メタ)アクリロイル基と脂環構造とを有する化合物を含有し、
    前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、
    前記(メタ)アクリロイル基と脂環構造とを有する化合物が、エポキシ基を有する化合物であり、
    前記無機充填材の含有率が硬化性樹脂組成物の総体積に対して70体積%~95体積%である、硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(メタ)アクリロイル基と脂環構造とを有する化合物の分子量が180~320である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(メタ)アクリロイル基と脂環構造とを有する化合物が、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む請求項1又は請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(メタ)アクリロイル基と脂環構造とを有する化合物が、脂環式エポキシ基を有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. さらに硬化促進剤を含有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. さらにカップリング剤を含有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
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