JP6643949B2 - 新規(メタ)アクリル化合物及びそれを用いた樹脂組成物 - Google Patents
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Description
一方アクリル化合物は主に光によるラジカル反応性化合物として用いられることが多い。この場合非常に反応速度が速いという特徴を有する一方で、硬化収縮が大きく、構造体に応力を貯めてしまうという課題が存在する。
これらの特徴を両立させる樹脂組成物を実現する為に、部分(メタ)アクリル化エポキシ化合物等の分子内にエポキシ基とアクリロイル基とを併せ持つ化合物が種々提案されている(特許文献1)。
この化合物は、高い耐熱性を有し、樹脂組成物の主剤としても利用できるほか、硬化物の高耐熱化を目的とした添加剤としても利用することができる。
即ち本発明は、次の1)〜14)に関するものである。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味し、同様に「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」を意味する。
また、本明細書において上付きのRTMは登録商標を意味する。
下記式(1)又は(2)で表される(メタ)アクリル化合物。
2)
上記式(1)又は(2)において、R1が水素原子であり、R2がメチル基である上記1)に記載の(メタ)アクリル化合物。
3)
上記式(1)又は(2)において、R3が水素原子である上記1)又は2)に記載の(メタ)アクリル化合物。
4)
上記式(1)又は(2)において、nが1である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル化合物。
5)
(a)上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル化合物を含有する樹脂組成物。
6)
さらに、(b)ラジカル重合開始剤を含有する請求項5に記載の樹脂組成物。
7)
さらに、(c)無機フィラーを含有する上記5)又は6)に記載の樹脂組成物。
8)
さらに、(d)シランカップリング剤を含有する上記5)乃至7)のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
9)
さらに、(e)熱硬化剤を含有する上記5)乃至8)のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
10)
上記5)乃至9)のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた電子部品用接着剤。
11)
上記10)に記載の電子部品用接着剤を硬化して得られる硬化物で接着された電子部品。
12)
上記5)乃至9)のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた液晶表示セル用接着剤。
13)
上記5)乃至9)のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた液晶シール剤。
14)
上記12)又は13)に記載の液晶表示セル用接着剤又は液晶シール剤を用いて接着された液晶表示セル。
[(a)式(1)で表される(メタ)アクリル化合物]
本発明の、上記式(1)で表される(メタ)アクリル化合物は、以下[1]〜[3]の工程を経ることで合成することができる。
[1]対応する炭素−炭素二重結合含有無水カルボン酸化合物に(メタ)アクリロイル基含有アルコールを反応させエステルに変換する工程。
[2]上記[1]で得られた化合物に(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物を反応させる工程。
[3]炭素−炭素二重結合を酸化してエポキシ基に変換する工程。
[1]
本工程では、まず対応する無水カルボン酸と(メタ)アクリロイル基含有アルコールを50〜120℃程度の温度で5〜10時間、攪拌し、対応するカルボン酸化合物のエステルを得る。
対応する無水カルボン酸化合物とは、炭素−炭素二重結合と無水カルボン酸骨格を有する化合物であり、具体的には、下記式(3)で表される化合物である。
本工程では、上記無水カルボン酸化合物のエステルを合成する工程に続いて、当該カルボン酸化合物のカルボキシ基に(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物を0〜80℃で混合した後に、50〜120℃で1〜20時間反応させる。
上記式(5)又は(6)で表される化合物を酸化することで本発明のアクリル化合物とすることができる。酸化の手法としては過酢酸等の過酸で酸化する方法、過酸化水素水で酸化する方法、空気(酸素)で酸化する方法などが挙げられるが、これらに限らない。
過酸によるエポキシ化の手法としては具体的には特開2006−52187号公報に記載の手法などが挙げられる。使用できる過酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、安息香酸、m−クロロ安息香酸、フタル酸などの有機酸およびそれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素と反応して有機過酸を生成する効率、反応温度、操作の簡便性、経済性などの観点からは、ギ酸、酢酸、無水フタル酸を使用するのが好ましく、特に反応操作の簡便性の観点から、ギ酸または酢酸を使用するのがより好ましい。
過酸化水素水によるエポキシ化の手法においては種々の手法が適応できるが、具体的には、特開昭59−108793号公報、特開昭62−234550号公報、特開平5−213919号公報、日本国特開平11−349579号公報、日本国特公平1―33471号公報、日本国特開2001−17864号公報、日本国特公平3−57102号公報等に挙げられるような手法が適応できる。
他にも、非特許文献1(James V.Crivello and Ramesh Narayan、Novel Epoxynorbornane Monomers. 1. Synthesis and Characterization、Macromolecules 1996、29巻、433〜438頁)に記載されている方法も適用することができる。具体的には、オキソンを使用して、オレフィン基をエポキシ化して得ることができる。
まず、本発明のアクリル化合物の前駆体である上記式(5)又は(6)で表される化合物、ポリ酸類及び4級アンモニウム塩を有機溶剤と過酸化水素水との二層で反応を行う。
ポリ酸類に含まれる具体的なポリ酸及びポリ酸塩としては、タングステン酸、12−タングストリン酸、12−タングストホウ酸、18−タングストリン酸及び12−タングストケイ酸等から選ばれるタングステン系の酸、モリブデン酸及びリンモリブデン酸等から選ばれるモリブデン系の酸、ならびにそれらの塩等が挙げられる。
これらの塩のカウンターカチオンとしては、アンモニウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオン等が挙げられる。
具体的にはカルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属イオン等が挙げられるがこれらに限定されない。特に好ましいカウンターカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンである。
具体的にはトリデカニルメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリアルキルメチル(アルキル基がオクチル基である化合物とデカニル基である化合物の混合タイプ)アンモニウム塩、トリヘキサデシルメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、トリセチルメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられるがこれらに限定されない。
またこれら塩のアニオン種は、カルボン酸イオンを使用する。カルボン酸イオンとしては、酢酸イオン、炭酸イオン、ギ酸イオンが好ましい。また、特に酢酸イオンが好ましい。
4級アンモニウム塩の炭素数が100を上回ると、疎水性が強くなりすぎて水層への溶解性が悪くなる場合がある。一方、4級アンモニウム塩の炭素数が10未満であると、親水性が強くなり、同様に有機層への相溶性が悪くなる場合がある。
4級アンモニウム塩には一般にハロゲンが残存する。本発明においては特に、1質量%以下、より好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは700ppm以下である。総ハロゲン量が1質量%を超える場合、生成物に多量にハロゲンが残存するため好ましくない。
タングステン酸類と4級アンモニウムのカルボン酸塩の使用量は使用するタングステン酸類の価数倍の0.01〜0.8倍当量、あるいは1.1〜10倍当量が好ましい。より好ましくは0.05〜0.7倍当量、あるいは1.2〜6.0倍当量であり、さらに好ましくは0.05〜0.5倍当量、あるいは1.3〜4.5倍当量である。
例えば、タングステン酸であればH2WO4で2価であるので、タングステン酸1モルに対し、4級アンモニウムのカルボン酸塩は0.02〜1.6モル、もしくは2.2〜20モルの範囲が好ましい。またタングストリン酸であれば3価であるので、同様に0.03〜2.4モル、もしくは3.3〜30モル、ケイタングステン酸であれば4価であるので0.04〜3.2モル、もしくは4.4〜40モルが好ましい。
4級アンモニウムのカルボン酸塩の量が、タングステン酸類の価数倍の1.1倍当量よりも低い場合、エポキシ化反応が進行しづらい(場合によっては反応の進行が早くなる)、また副生成物ができやすいという問題が生じる。10倍当量よりも多い場合、過剰の4級アンモニウムのカルボン酸塩の処理が大変であるばかりか、反応を抑制する働きがあり、好ましくない。
特に本発明においては触媒であるタングステン酸類を溶解した際に、pH5〜9の間になるように調整されることが好ましい。
緩衝液の使用方法は、例えば好ましい緩衝液であるリン酸−リン酸塩水溶液の場合は過酸化水素に対し、0.1〜10モル%当量のリン酸(あるいはリン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩)を使用し、塩基性化合物(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等)でpH調整を行うという方法が挙げられる。ここでpHは過酸化水素を添加した際に前述のpHになるように添加することが好ましい。また、リン酸二水素ナトリウム又はリン酸水素二ナトリウム等を用いて調整することも可能である。好ましいリン酸塩の濃度は0.1〜60重量%、好ましくは5〜45重量%である。
また、本反応においては緩衝液を使用せず、pH調整無しに、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウムあるいはトリポリリン酸ナトリウム等(またはその水和物)のリン酸塩を直接添加しても構わない。工程の簡略化、という意味合いではpH調整のわずらわしさが無く、直接の添加が特に好ましい。この場合のリン酸塩の使用量は、過酸化水素に対し、通常0.1〜5モル%当量、好ましくは0.2〜4モル%当量、より好ましくは、0.3〜3モル%当量である。この際、過酸化水素に対し、5モル%当量を超えるとpH調整が必要となり、0.1モル%当量未満の場合、生成したエポキシ樹脂の加水分解物が進行しやすくなる、あるいは反応が遅くなる等の弊害が生じる。
その使用量としては水、あるいは有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等の各種溶剤)に溶解するものであれば、その使用量は過剰分の過酸化水素のモル数に対し、通常0.01〜20倍モル、より好ましくは0.05〜10倍モル、さらに好ましくは0.05〜3倍モルである。これらは水、あるいは前述の有機溶剤の溶液として添加しても単体で添加しても構わない。
水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合、系中に残存する過酸化水素の量に対し、質量比で1〜1000倍の量を使用することが好ましい。より好ましくは10〜500倍、さらに好ましくは10〜300倍である。水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合は、後に記載する水層と有機層の分離の後、処理を行っても構わない。
本発明の樹脂組成物は、(b)ラジカル重合開始剤を含有しても良い。
本発明の樹脂組成物が含有しても良いラジカル重合開始剤(b)としては、ラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤が好ましく、どちらか一方を使用してもよいが両者を併用してもかまわない。
本発明の樹脂組成物は、(c)無機フィラーを含有しても良い。
本発明の樹脂組成物が含有しても良い無機フィラー(成分(c))としては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いても良い。特に下記液晶表示セル用接着剤として用いる場合には、その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、3μm以下が適当であり、好ましくは2μm以下である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定した。
本発明の樹脂組成物は、(d)シランカップリング剤を含有しても良い。
本発明の樹脂組成物が含有しても良いシランカップリング剤(成分(d))としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の樹脂組成物に占める含有量は、本発明の樹脂組成物の全体を100質量部とした場合、0.01〜3質量部が好適である。
本発明の樹脂組成物は、(e)熱硬化剤を含有しても良い。
本発明の樹脂組成物が含有しても良い熱硬化剤(e)としては、特に限定されるものではなく(ただし上記熱ラジカル重合開始剤を含まない)、多価アミン類、多価フェノール類、ヒドラジド化合物等を挙げる事ができるが、ヒドラジド化合物が特に好適に用いられる。 例えば、芳香族ヒドラジドであるサリチル酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることが出来る。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。硬化反応性と潜在性のバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒ ドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートである。かかる熱硬化剤を使用する場合の使用量としては、本発明の樹脂組成物の全体を100質量部とした場合に0.1質量部−20質量部含有する場合が好ましく、更に好ましくは1質量部−10質量部であり、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、有機酸等の硬化促進剤、ラジカル重合防止剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤などの添加剤を配合することができる。
上記硬化促進剤としては、有機酸等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
本発明の液晶シール剤において、硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
ラジカル重合防止剤の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
LC/MSの各種条件
装置:Ultimate 3000/Q−Exactive(Thermo)
検出器:PDA(190−800nm)、FT−MS(m/z=150−2000)
カラム:YMC−Triart C18 2.1×150mm、1.9μm(YMC)
カラム温度:40℃
フロー速度:0.3mL/分
流動層:(A)5mM酢酸アンモニウム水溶液/(B)アセトニトリル
グラジエント(B%):50%−15分−95%(10分)
インジェクション:0.2μL
[実施例1]
[4,5−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイル−2−ヒドロキシプロピル)の合成(表1中化合物番号1)]
(工程1)
1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸55.6g、ヒドロキシエチルアクリレート43.3gをトルエン42gに溶解させ、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.5gを加え、95℃まで昇温した。95℃で6時間攪拌した後、60℃まで放冷した。この反応液へ、トルエン59g、グリシジルメタクリレート53.0g、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド40%水溶液0.8gを添加し、98℃まで昇温した。98℃で18時間撹拌した後、室温まで放冷し、トルエン150g、メチルイソブチルケトン300gを加え、水洗した。有機溶剤をエバレーターを除去し、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイルー2−ヒドロキシプロピル)を得た。(1H−NMRデータ:6.4(1H)、6.1(2H)5.9(1H)、5.7(2H)、5.6(1H)、4.0〜4.5(8H)、3.8(1H)、3.1(2H)、2.5(2H)、2.3(2H)、1.9(3H)、LC−MSデータ:m/z=428.19[M+NH4+])、m/z=469.17[M+CH3COO−])
(工程2)
工程1で合成した1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイルー2−ヒドロキシプロピル)28.9g、トルエン29g、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート0.3g(ライオンアクゾ製 50%キシレン溶液、TOMAA−50)、水2g、12−タングストリン酸0.5g、タングステン酸ナトリウム0.2g、リン酸二水素ナトリウム2.9gを加え、50±3℃に昇温攪拌しながら、35重量%過酸化水素水8.9gを加え、そのまま50±3℃で30時間攪拌した。1H−NMRにて反応の進行を確認したところ、反応終了後の炭素−炭素二重結合からエポキシへのコンバージョン率は>99%であり、原料の炭素−炭素二重結合ピークは消失(1%以下)していた。
ついで30%水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした後、20%チオ硫酸ナトリウム水溶液25部を加え30分攪拌を行い、静置した。2層に分離した有機層を取り出し、ここに活性炭(味の素ファインテクノ製 SD)6gとモンモリロナイト(クミアイ化学製クニピアF)3gを加え、室温で4時間攪拌後、ろ過した。得られたろ液の有機溶剤を留去することで、目的とする4,5−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイルー2−ヒドロキシプロピル)25.3gを得た。(1H−NMRデータ:6.4(1H)、6.1(2H)5.9(1H)、5.6(1H)、4.0〜4.5(8H)、3.8(1H)、3.2(2H)、3.0(2H)、2.2〜2.3(4H)、1.9(3H)、LC−MSデータ:m/z=444.19[M+NH4+])、m/z=485.17[M+CH3COO−])
[参考合成例1]
[アクリル化レゾルシンジグリシジルエーテルの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(ナガセケムテックス株式会社)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート(アクリル化レゾルシンジグリシジルエーテル)253gを得た。
[参考合成例2]
[1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンの合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
[実施例2]
下記表3に示す割合で硬化性樹脂成分(成分(a))を混合攪拌した後、光重合開始剤(成分(b))を加え、90℃で加熱溶解した。室温まで冷却し、熱ラジカル重合開始剤(成分(b))、無機フィラー(成分(c))、シランカップリング剤(成分(d))、熱硬化剤(成分(e))を添加し、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶シール剤を調製した。
[比較例1]
硬化性樹脂成分(成分(a))として、実施例1で合成した化合物に代えて、比較合成例1で合成したアクリル化レゾルシンジグリシジルエーテル2gを用いた以外は、実施例2と同様にして、液晶シール剤を調製した。
実施例、比較例で製造された液晶シール剤をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み厚み100μmの薄膜としたものを、UV照射機により3000mJ/cm2の紫外線を照射後、オーブンに投入して120℃1時間熱硬化させた。硬化後PETフィルムをはがしシール剤硬化膜を得たのち、これを5mm×5mmの短冊状にカットしサンプル片とした。このサンプル片を動的粘弾性測定装置(DMS−6100:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)の引っ張りモードにて周波数10Hz、昇温温度3℃/分の条件で測定を行い、得られた損失係数Tanδのカーブにおいて最大値となる温度をガラス転移温度とした。結果を表3に示す。
(接着強度測定)
得られた液晶シール剤1gにスペーサーとして3μmのグラスファイバー0.01gを添加して混合攪拌を行い、この液晶シール剤を約20mm×30mmの配向膜を塗布したガラス基片上に、ディスペンサーを用いて描画した。この際、線幅が0.7mmとなるように塗布量を設定し、また図1のような形で描画を行った。その後、対向基板として約10mm×25mmの配向膜を塗布したガラス基を貼り合わせ、3000mJ/cm2のUV照射により光硬化させ、120℃オーブンに1時間投入してさらに熱硬化させ、テストピースを作成した。得られたテストピースをボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)にて下から上へ引き剥がす試験を行い、ピール接着強度を測定した。
Claims (13)
- 前記式(1)又は(2)において、R1が水素原子であり、R2がメチル基である請求項1に記載の(メタ)アクリル化合物。
- 前記式(1)又は(2)において、R3が水素原子である請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル化合物。
- 前記式(1)又は(2)において、nが1である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル化合物。
- (a)前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル化合物を含有する樹脂組成物。
- さらに、(b)ラジカル重合開始剤を含有する請求項5に記載の樹脂組成物。
- さらに、(c)無機フィラーを含有する請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
- さらに、(d)シランカップリング剤を含有する請求項5乃至7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- さらに、(e)熱硬化剤を含有する請求項5乃至8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項5乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた電子部品用接着剤。
- 請求項5乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた液晶表示セル用接着剤。
- 請求項5乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いた液晶シール剤。
- 請求項5乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物。
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