JP2017203906A - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents

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Abstract

【課題】反応性が高く、またその硬化物のガラス転移温度が高く耐熱性が高い為、耐熱信頼性に優れる液晶表示セルを実現することができる液晶シール剤を提供する。【解決手段】一分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及び下記式(1)で表される骨格を、それぞれ1つ以上有する化合物を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭化水素基を表す。また、R1とR2は、結合することで環構造を形成していても良い。)【選択図】なし

Description

本発明は、液晶滴下工法に使用される液晶シール剤に関する。より詳細には、一分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及び特定の構造を有するエポキシ基をそれぞれ1つ以上有する化合物を含有する液晶シール剤に関する。この液晶シール剤は、反応性が高く、また非常に高耐熱である。したがって耐熱信頼性の高い液晶シール剤及びその硬化物でシールされた液晶表示セルを提供することができる。
近年の液晶表示セルの大型化に伴い、液晶表示セルの製造法として、より量産性の高い、いわゆる液晶滴下工法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。具体的には、一方の基板に形成された液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることにより液晶が封止される液晶表示セルの製造方法である。
しかし、液晶滴下工法は、未硬化の状態の液晶シール剤が液晶に接触するため、その際に液晶シール剤の成分が液晶に溶解(溶出)して液晶の抵抗値を低下させ、シール近傍の表示不良を発生させるという問題点がある。
この課題を解決する為、現在は液晶滴下工法用の液晶シール剤として光熱併用型のものが用いられ、実用化されている(特許文献3、4)。この液晶シール剤を使用した液晶滴下工法では、基板に挟まれた液晶シール剤に光を照射して一次硬化させた後、加熱して二次硬化させることを特徴とする。この方法によれば、未硬化の液晶シール剤を光によって速やかに硬化でき、液晶シール剤成分の液晶への溶解(溶出)を抑えることが可能である。さらに、光硬化のみでは光硬化時の硬化収縮等による接着強度不足という問題も発生するが、光熱併用型であれば加熱による二次硬化によって応力緩和効果が得られ、そういった問題も解消できるという利点を有する。
しかしながら、近年では、液晶表示素子の小型化に伴い、液晶表示素子のアレイ基板のメタル配線部分やカラーフィルター基板のブラックマトリックス部分により液晶シール剤に光が当たらない遮光部が生じ、シール近傍の表示不良の問題が以前よりも深刻なものとなっている。すなわち、遮光部の存在によって上記光による一次硬化が不十分となり、液晶シール剤中に未硬化成分が多量に残存する。この状態で熱による二次硬化工程に進んだ場合、当該未硬化成分の液晶への溶解は、熱によって促進されてしまうという結果をもたらし、シール近傍の表示不良を引き起こす。
この課題を解決する為には、硬化性樹脂の反応性を改善し、液晶への溶解前に硬化を進行させる手が非常に有用である。この為、熱反応性を改良する様々な検討がなされている。上記遮光部において、光によって十分に硬化していない液晶シール剤を、低温から速やかに反応させ、液晶汚染を抑えようという試みである。例えば、特許文献5、6では、熱ラジカル開始剤を用いる方法が開示されている。また、特許文献7では、硬化促進剤として多価カルボン酸を用いる方法が開示されている。
しかし、これら熱ラジカル開始剤や多価カルボン酸のような硬化促進剤の添加は、それ自体の液晶への溶出がある為、低液晶汚染性を充分に実現できるものとは言いえない。また、これらの成分は、反応速度を速くする効果より、逆に保存安定性を悪くするといったデメリットを内包する。
また、液晶滴下工法用液晶シール剤には耐熱性も求められている。しかし一般に耐熱性を向上することは、架橋密度を上げることでもあり、接着強度が低下するといった課題も存在し、両立が難しいとされている。
以上述べたように、液晶滴下工法用液晶シール剤の開発は非常に精力的に行われているにもかかわらず、高耐熱でありながら高い接着強度も有し、かつ低液晶汚染性と、良好な保存安定性をも併せ持つ液晶シール剤は未だ実現していない。
特開昭63−179323号公報 特開平10−239694号公報 特開平9−194567号公報 特開平10−3084号公報 特開2001−89743号公報 特開平01−243029号公報 特許第3162179号公報 特許第2846842号公報
本願発明は、上記状況に鑑みて、一分子中に特定の構造を有するエポキシ基、アクリロイル基、及びメタクリロイル基が併存する化合物を用いた液晶滴下工法用液晶シール剤を提案するものである。
この液晶滴下工法用液晶シール剤は、反応性、接着強度等の特性を両立し、かつ非情に高耐熱である為、信頼性の高い液晶表示パネルを実現できる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構造を有する化合物を含有する液晶シール剤は、反応性が高くまたその硬化物が非常に高耐熱であることを見出し、非常に優れた液晶表示セルの提供が可能であることを発見し本発明に至ったものである。
即ち本発明は、次の1)〜15)に関するものである。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味し、同様に「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」を意味する。
また、「液晶滴下工法用液晶シール剤」は単に、「液晶シール剤」と表現する場合がある。
また、本明細書において上付きのRTMは登録商標を意味する。
すなわち本発明は、
1)
(A)一分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及び下記式(1)で表される骨格を、それぞれ1つ以上有する化合物を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤、
Figure 2017203906
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基を表す。また、RとRは、結合することで環構造を形成していても良い。)
2)
上記(A)が、分子内に、さらにヒドロキシ基を1つ以上有する化合物である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
3)
上記(A)が、分子内に、さらにエステル結合を4つ以上有する化合物である上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
4)
更に、(B)熱ラジカル重合開始剤を含有する上記1)及至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
5)
更に、(C)(メタ)アクリル化合物を含有する上記1)及至4)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
6)
更に、(D)有機フィラーを含有する上記1)及至5)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
7)
上記成分(D)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される1又は2以上の有機フィラーである上記6)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
8)
更に、(E)無機フィラーを含有する上記1)及至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
9)
更に、(F)シランカップリング剤を含有する上記1)及至8)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
10)
更に、(G)エポキシ化合物を含有する上記1)及至9)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
11)
更に、(H)熱硬化剤を含有する上記1)及至10)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
12)
上記成分(H)が有機酸ヒドラジド化合物である上記11)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
13)
更に、(I)光ラジカル重合開始剤を含有する上記1)及至12)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
14)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
15)
上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル、に関する。
本発明の液晶シール剤は、反応性が高く、またその硬化物のガラス転移温度が高く耐熱性が高い為、本発明の液晶シール剤の硬化物でシールすることにより、耐熱信頼性の優れる液晶表示セルを実現することができる。また高耐熱性との両立が難しいとされる高接着強度も示すものである。
は接着強度の測定方法について示した図である。ギャップ剤を添加した液晶シール剤を約20mm×30mmの配向膜を塗布したガラス基片上に、ディスペンサーを用いて描画する。この際、線幅が0.7mmとなるように塗布量を設定し、また図1のような形で描画を行う。その後、対向基板として約10mm×25mmの配向膜を塗布したガラス基を貼り合わせ、3000mJ/cmのUV照射により光硬化させ、120℃オーブンに1時間投入してさらに熱硬化させ、これをテストピースとする。得られたテストピースをボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)にて下から上へ引き剥がす試験を行う。
[(A)一分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及び下記式(1)で表される骨格を、それぞれ1つ以上有する化合物]
本発明は、一分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及び上記式(1)で表される骨格を、それぞれ1つ以上有する(メタ)アクリル化合物を含有する。
上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基を表す。
炭化水素基とは、飽和又は不飽和の脂肪族であっても、芳香族であっても良く、また鎖状であっても環状であっても良い。また、さらに、複素原子を含むものであっても良い。
また当該炭化水素基上にさらに置換基を有しても良い。有しても良い置換基としては、例えばハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;(C1−C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基、(C1−C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1−C4)アルコキシ基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;ホスホ基;ニトロ基;アシル基;ウレイド基;アシルアミノ基、(C1−C4)アルコキシ基、スルホ基及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアシルアミノ基等で置換された(C1−C6)アルキル基等が挙げられる。
また、R及びRは結合することで環構造を形成していても良く、例えば以下式(2)、(3)、(4)で挙げられるような構造が含まれる。
Figure 2017203906
Figure 2017203906
Figure 2017203906
及びRとしては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。
また、RとRが結合して環状構造をとる場合が特に好ましい態様である。
上記成分(A)は、分子内にさらにヒドロキシ基を一つ以上有する場合が好ましい。また、さらにエステル結合を4つ以上有する場合が特に好ましい。
当該化合物は、例えば、以下[1]〜[3]の工程を経ることで得ることができる。
[1]対応する炭素−炭素二重結合含有無水カルボン酸化合物(a−1)に(メタ)アクリロイル基含有アルコール(a−2)を反応させエステルに変換する工程。
[2]上記[1]で得られた化合物に(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a−3)を反応させる工程。
[3]炭素−炭素二重結合を酸化してエポキシ基に変換する工程。
各工程を以下順に説明する。
[1]
本工程では、まず対応する炭素−炭素二重結合含有無水カルボン酸(a−1)と(メタ)アクリロイル基含有アルコール(a−2)を50〜120℃程度の温度で5〜10時間、攪拌し、対応するカルボン酸化合物のエステルを得る。
(a−1)炭素−炭素二重結合含有無水カルボン酸化合物としては、炭素−炭素二重結合を含有する無水カルボン酸であれば特に限定されるものではないが、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチルー4−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチルー4−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、下記式(5)に示すアルケニルコハク酸無水物等が挙げられる。このうち、炭素−炭素二重結合の酸化の容易さから、テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチルー4−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチルー4−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物 、下記式(2)に示すアルケニルコハク酸無水物のうちn及びmが1〜6であるものが好ましく、酸化により得られるエポキシ基の反応性から、テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチルー4−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチルー4−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、下記式(5)に示すアルケニルコハク酸無水物のうちR及びRが水素原子でありn及びmが1〜6であるものが特に好ましく、入手の容易さから、テトラヒドロフタル酸無水物、オクテニルコハク酸無水物が最も好ましい。
Figure 2017203906
(式(5)中、R乃至Rはそれぞれ独立に水素原子また炭素数1〜3の炭化水素基を表す。n及びmは、0〜6の整数を表す。)
(a−2)(メタ)アクリロイル基含有アルコールとしては、(メタ)アクリロイル基を含有する炭素数4〜16の直鎖又は分岐脂肪族アルコールであれば特に限定されるものではないが、入手のしやすさを考えると、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましく、反応性の高さからヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。(メタ)アクリロイル基含有アルコールの使用量としては、無水カルボン酸化合物を1モルとした場合に、0.8〜1.2モルである場合が好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1モルの場合であり、最も好ましくは、0.95〜1.05モルの場合である。
またこの工程の際には触媒を用いてもよい。使用する触媒としては反応を促進するものであれば特に制限されるものではないが、アンモニウム塩、アミン化合物又はホスフィン化合物が好ましく、除去の容易さからアンモニウム塩又はアミン化合物が特に好ましい。
反応温度は50〜120℃であり、反応時間は、5〜20時間程度であることが好ましい。反応はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等によって追跡することができる。目的のエステルを含む反応液は、そのまま次の反応である、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物との反応に用いても良く、また抽出、濃縮、晶析等の分離操作により、反応液から単離精製して、次の反応に用いても良い。
本工程によって得られる化合物は、下記式(6)で表される化合物である。
Figure 2017203906
(式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を表し、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R及びRの少なくともどちらかは炭素−炭素二重結合を必ず含有する。また、R10とR11は結合して環構造を形成してもよい。lは0〜6の整数を表す。)
上記式(6)において、R10、R11が結合して環構造を形成している場合とは、例えば下記式(7)〜(9)で表される構造を意味する。
Figure 2017203906
Figure 2017203906
Figure 2017203906
[2]
本工程では、上記無水カルボン酸化合物のエステルを合成する工程に続いて、当該カルボン酸化合物のカルボキシ基に(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a−3)を0〜80℃で混合した後に、50〜120℃で1〜20時間反応させる。
この工程は、必ずしも溶剤を必要とはしないが、有機溶剤を用いて行ってもかまわない。使用できる有機溶剤の具体的な例としてはヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。また、場合によっては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、アノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル等のエステル化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物等も使用可能である。
本工程は、例えば上記有機溶剤に、上記式(6)で表される化合物を溶解させ、0℃〜80℃で、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物を添加することによって行う。添加後、50℃から120℃に加熱して1時間〜20時間反応させることによって、下記式(10)又は(11)で表される化合物を得ることができる。なお、式(10)及び(11)中R〜R11及びlは上記式(6)におけるものと同じ意味を表す。
Figure 2017203906
Figure 2017203906
(式(10)及び(11)中、R14は水素原子又はメチル基を表す。)
(a−3)(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物としては、(メタ)アクリロイル基を含有する炭素数6〜18のエポキシ化合物であれば特に限定されるものではないが、入手のしやすさを考えると、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましく、反応の制御しやすさからグリシジル(メタ)アクリレートが最も好ましい。(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物の使用量としては、無水カルボン酸化合物のエステル、1モルに対し、0.8〜1.2モルが好ましく、0.9〜1.1モルがさらに好ましく、0.95〜1.05モルが最も好ましい。
またこの工程の際には触媒を用いてもよい。使用する触媒としては反応を促進するものであれば特に制限されるものではないが、アンモニウム塩、アミン化合物又はホスフィン化合物が好ましく、除去の容易さからアンモニウム塩又はアミン化合物が特に好ましい。前工程と同一の触媒を用いてもよく、異なる触媒を用いてもよい。
反応の終点は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、エポキシ当量測定等によって確認することができる。上記式(10)又は(11)で表される化合物を含む反応液は、そのまま次の反応である、炭素−炭素二重結合の酸化反応に用いても良く、また抽出、濃縮、晶析等の分離操作により、反応液から単離精製して、次の反応に用いても良い。
[3]
上記式(10)又は(11)で表される化合物を酸化することで本発明のアクリル化合物とすることができる。酸化の手法としては過酢酸等の過酸で酸化する方法、過酸化水素水で酸化する方法、空気(酸素)で酸化する方法などが挙げられるが、これらに限らない。
過酸によるエポキシ化の手法としては具体的には日本国特開2006−52187号公報に記載の手法などが挙げられる。使用できる過酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、安息香酸、m−クロロ安息香酸、フタル酸などの有機酸およびそれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素と反応して有機過酸を生成する効率、反応温度、操作の簡便性、経済性などの観点からは、ギ酸、酢酸、無水フタル酸を使用するのが好ましく、特に反応操作の簡便性の観点から、ギ酸または酢酸を使用するのがより好ましい。
過酸化水素水によるエポキシ化の手法においては種々の手法が適応できるが、具体的には、日本国特開昭59−108793号公報、日本国特開昭62−234550号公報、日本国特開平5−213919号公報、日本国特開平11−349579号公報、日本国特公平1―33471号公報、日本国特開2001−17864号公報、日本国特公平3−57102号公報等に挙げられるような手法が適応できる。
他にも、非特許文献1(James V.Crivello and Ramesh Narayan、Novel Epoxynorbornane Monomers. 1. Synthesis and Characterization、Macromolecules 1996、29巻、433〜438頁)に記載されている方法も適用することができる。具体的には、オキソンを使用して、オレフィン基をエポキシ化して得ることができる。
以下、工程[3]として特に好ましい方法を例示する。
まず、本発明のアクリル化合物の前駆体である上記式(10)又は(11)で表される化合物、ポリ酸類及び4級アンモニウム塩を有機溶剤と過酸化水素水との二層で反応を行う。
本発明で使用するポリ酸類は、ポリ酸構造を有する化合物であれば特に制限はないが、タングステン又はモリブデンを含むポリ酸類が好ましく、タングステンを含むポリ酸類が更に好ましく、タングステン酸塩類が特に好ましい。
ポリ酸類に含まれる具体的なポリ酸及びポリ酸塩としては、タングステン酸、12−タングストリン酸、12−タングストホウ酸、18−タングストリン酸及び12−タングストケイ酸等から選ばれるタングステン系の酸、モリブデン酸及びリンモリブデン酸等から選ばれるモリブデン系の酸、ならびにそれらの塩等が挙げられる。
これらの塩のカウンターカチオンとしては、アンモニウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオン等が挙げられる。
具体的にはカルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属イオン等が挙げられるがこれらに限定されない。特に好ましいカウンターカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンである。
ポリ酸類の使用量は上記式(10)又は(11)で表される化合物における(メタ)アクリロイル基以外の炭素−炭素二重結合1モル(官能基当量)に対し、金属元素換算(タングテン酸ならタングステン原子、モリブデン酸ならモリブデン原子のモル数)で1.0〜20ミリモル、好ましくは2.0〜20ミリモル、さらに好ましくは2.5〜10ミリモルである。
4級アンモニウム塩としては、総炭素数が10以上、好ましくは25〜100、より好ましくは25〜55の4級アンモニウム塩が好ましく使用でき、特にそのアルキル鎖が全て脂肪族鎖であるものが好ましい。
具体的にはトリデカニルメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリアルキルメチル(アルキル基がオクチル基である化合物とデカニル基である化合物の混合タイプ)アンモニウム塩、トリヘキサデシルメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、トリセチルメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられるがこれらに限定されない。
またこれら塩のアニオン種は、カルボン酸イオンを使用する。カルボン酸イオンとしては、酢酸イオン、炭酸イオン、ギ酸イオンが好ましい。また、特に酢酸イオンが好ましい。
4級アンモニウム塩の炭素数が100を上回ると、疎水性が強くなりすぎて有機層への溶解性が悪くなる場合がある。一方、4級アンモニウム塩の炭素数が10未満であると、親水性が強くなり、同様に有機層への相溶性が悪くなる場合がある。
4級アンモニウム塩には一般にハロゲンが残存する。本発明においては特に、1質量%以下、より好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは700ppm以下である。総ハロゲン量が1質量%を超える場合、生成物に多量にハロゲンが残存するため好ましくない。
タングステン酸類と4級アンモニウムのカルボン酸塩の使用量は使用するタングステン酸類の価数倍の0.01〜0.8倍当量、あるいは1.1〜10倍当量が好ましい。より好ましくは0.05〜0.7倍当量、あるいは1.2〜6.0倍当量であり、さらに好ましくは0.05〜0.5倍当量、あるいは1.3〜4.5倍当量である。
例えば、タングステン酸であればH2WO4で2価であるので、タングステン酸1モルに対し、4級アンモニウムのカルボン酸塩は0.02〜1.6モル、もしくは2.2〜20モルの範囲が好ましい。またタングストリン酸であれば3価であるので、同様に0.03〜2.4モル、もしくは3.3〜30モル、ケイタングステン酸であれば4価であるので0.04〜3.2モル、もしくは4.4〜40モルが好ましい。
4級アンモニウムのカルボン酸塩の量が、タングステン酸類の価数倍の1.1倍当量よりも低い場合、エポキシ化反応が進行しづらい(場合によっては反応の進行が早くなる)、また副生成物ができやすいという問題が生じる。10倍当量よりも多い場合、過剰の4級アンモニウムのカルボン酸塩の処理が大変であるばかりか、反応を抑制する働きがあり、好ましくない。
カルボン酸イオンをアニオンとする4級アンモニウム塩は、市販品を使用してもよいし、例えば、原料4級アンモニウム塩を金属水酸化物やイオン交換樹脂で処理し、4級アンモニウムハイドロオキサイドに変換し、さらに各種カルボン酸と反応させるなどの方法により製造してもよい。原料4級アンモニウム塩としては、4級アンモニウムのハロゲン化物や各種金属塩等が挙げられる。また好適な4級アンモニウムハイドロオキサイドがあればそれを用いても構わない。
緩衝液としてはいずれも用いることができるが、本反応においてはリン酸塩水溶液を用いるのが好ましい。そのpHとしてはpH4〜10の間に調整されたものが好ましく、より好ましくはpH5〜9である。pH4未満の場合、エポキシ基の加水分解反応、重合反応が進行しやすくなる。またpH10を超える場合、反応が極度に遅くなり、反応時間が長すぎるという問題が生じる。
特に本発明においては触媒であるタングステン酸類を溶解した際に、pH5〜9の間になるように調整されることが好ましい。
緩衝液の使用方法は、例えば好ましい緩衝液であるリン酸−リン酸塩水溶液の場合は過酸化水素に対し、0.1〜10モル%当量のリン酸(あるいはリン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩)を使用し、塩基性化合物(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等)でpH調整を行うという方法が挙げられる。ここでpHは過酸化水素を添加した際に前述のpHになるように添加することが好ましい。また、リン酸二水素ナトリウム又はリン酸水素二ナトリウム等を用いて調整することも可能である。好ましいリン酸塩の濃度は0.1〜60重量%、好ましくは5〜45重量%である。
また、本反応においては緩衝液を使用せず、pH調整無しに、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウムあるいはトリポリリン酸ナトリウム等(またはその水和物)のリン酸塩を直接添加しても構わない。工程の簡略化、という意味合いではpH調整のわずらわしさが無く、直接の添加が特に好ましい。この場合のリン酸塩の使用量は、過酸化水素に対し、通常0.1〜5モル%当量、好ましくは0.2〜4モル%当量、より好ましくは、0.3〜3モル%当量である。この際、過酸化水素に対し、5モル%当量を超えるとpH調整が必要となり、0.1モル%当量未満の場合、生成したエポキシ樹脂の加水分解物が進行しやすくなる、あるいは反応が遅くなる等の弊害が生じる。
本反応は過酸化水素を用いてエポキシ化を行う。本反応に使用する過酸化水素としては、その取扱いの簡便さから過酸化水素濃度が10〜40重量%の濃度である水溶液が好ましい。濃度が40重量%を超える場合、取扱いが難しくなる他、生成したエポキシ樹脂の分解反応も進行しやすくなることから好ましくない。
本反応は有機溶剤を使用してもよい。使用する有機溶剤の量としては、反応基質である上記式(10)又は(11)で表される化合物1に対し、質量比で0.3〜10であり、好ましくは0.3〜5、より好ましくは0.5〜2.5である。質量比で10を超える場合、反応の進行が極度に遅くなることから好ましくない。使用できる有機溶剤の具体的な例としてはヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類が挙げられる。また、場合によっては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、アノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル等のエステル化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物等も使用可能である。
具体的な反応操作方法としては、例えばバッチ式の反応釜で反応を行う際は、上記式(10)又は(11)で表される化合物、過酸化水素(水溶液)、ポリ酸類(触媒)、緩衝液、4級アンモニウム塩及び有機溶剤を加え、二層で撹拌する。撹拌速度に特に指定は無い。過酸化水素の添加時に発熱する場合が多いことから、各成分を添加した後に過酸化水素を徐々に添加する方法でも構わない。
反応温度は特に限定されないが0〜90℃が好ましく、さらに好ましくは0〜75℃、特に15℃〜60℃が好ましい。反応温度が高すぎる場合、加水分解反応が進行しやすく、反応温度が低いと反応速度が極端に遅くなる。
また反応時間は反応温度、触媒量等にもよるが、工業生産という観点から、長時間の反応は多大なエネルギーを消費することになるため好ましくはない。好ましい範囲としては1〜48時間、好ましくは3〜36時間である。
反応終了後、過剰な過酸化水素のクエンチ処理を行う。クエンチ処理は、塩基性化合物を使用して行なうことが好ましい。また、還元剤と塩基性化合物を併用することも好ましい。好ましい処理方法としては塩基性化合物でpH6〜12に中和調整後、還元剤を用い、残存する過酸化水素をクエンチする方法が挙げられる。pHが6未満の場合、過剰の過酸化水素を還元する際の発熱が大きく、分解物を生じる可能性がある。
還元剤としては亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドラジン、シュウ酸、ビタミンC等が挙げられる。還元剤の使用量としては過剰分の過酸化水素もモル数に対し、通常0.01〜20倍モル、より好ましくは0.05〜10倍モル、さらに好ましくは0.05〜3倍モルである。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩、イオン交換樹脂、アルミナ等の塩基性固体が挙げられる。
その使用量としては水、あるいは有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等の各種溶剤)に溶解するものであれば、その使用量は過剰分の過酸化水素のモル数に対し、通常0.01〜20倍モル、より好ましくは0.05〜10倍モル、さらに好ましくは0.05〜3倍モルである。これらは水、あるいは前述の有機溶剤の溶液として添加しても単体で添加しても構わない。
水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合、系中に残存する過酸化水素の量に対し、質量比で1〜1000倍の量を使用することが好ましい。より好ましくは10〜500倍、さらに好ましくは10〜300倍である。水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合は、後に記載する水層と有機層の分離の後、処理を行っても構わない。
過酸化水素のクエンチ後(もしくはクエンチを行う前に)、この際、有機層と水層が分離しない、もしくは有機溶剤を使用していない場合は前述の有機溶剤を添加して操作を行い、水層より反応生成物の抽出を行う。この際使用する有機溶剤は、原料である上記式(10)又は(11)で表される化合物に対して重量比で0.5〜10倍、好ましくは0.5〜5倍である。この操作を必要に応じて数回繰り返した後に有機層を分離し、必要に応じて該有機層を水洗して精製する。
得られた有機層は必要に応じてイオン交換樹脂や金属酸化物(特に、シリカゲルやアルミナ等が好ましい)、活性炭(中でも特に薬品賦活活性炭が好ましい)、複合金属塩(中でも特に塩基性複合金属塩が好ましい)、粘度鉱物(中でも特にモンモリロナイト等層状粘度鉱物が好ましい)等により、不純物を除去し、さらに水洗及びろ過等を行った後、溶剤を留去し、目的とするエポキシ化合物を得る。場合によってはさらにカラムクロマトグラフィーや蒸留により精製しても構わない。
本発明の、樹脂組成物は、成分(A)の他に硬化性化合物を含有してもよい。この硬化性化合物としては、エポキシ化合物、(メタ)アクリル化エポキシ化合物、(メタ)アクリル酸エステルのモノマー、(メタ)アクリル酸エステルのオリゴマー、部分(メタ)アクリル化エポキシ化合物等を挙げることができる。また、接着剤用途の場合には、本発明のアクリル化合物の他に、上記のうち、エポキシ化合物、(メタ)アクリル化エポキシ化合物及び部分(メタ)アクリル化エポキシ化合物から選択される1種もしくは2種以上を含有する場合が特に好ましい。例えば、エポキシ化合物、エポキシ化合物と(メタ)アクリル化エポキシ化合物の混合物、(メタ)アクリル化エポキシ化合物、部分(メタ)アクリル化エポキシ化合物等が挙げられる。特に液晶表示セル用接着剤として用いる場合であり、液晶と直接接触する部分で使用する場合には、液晶に対する汚染性、溶解性が低いものが好ましく、好適なエポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールFノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ヒダントイン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ化合物、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。(メタ)アクリロイル化エポキシ化合物、部分(メタ)アクリロイル化エポキシ化合物は、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の周知の反応により得ることができる。例えば、エポキシ化合物に所定の当量比の(メタ)アクリル酸と触媒(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等)と、重合防止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等)を添加して、例えば80〜110℃でエステル化反応を行うことにより得られる。原料となるエポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールFノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ヒダントイン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ化合物、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、より好ましいものはビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂である。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステルのモノマー及び/又はオリゴマーを使用しても良い。そのようなモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸の反応物、ジペンタエリスリトール・カプロラクトンと(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
成分(A)の含有量としては、液晶シール剤の総量中、1〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜30質量%であり、5〜20質量%が特に好ましい。
本発明の液晶シール剤は、成分(B)として、熱ラジカル重合開始剤を含有しても良い。当該熱ラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。なお、本明細書中、上付きのRTMは登録商標を意味する。
成分(B)として好ましいものは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物のヒドロキシ基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
成分(B)は粒径を細かくし、均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる際のギャップ形成が上手くできない等の不良要因となるため、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。また、際限なく細かくしても差し支えないが、通常下限は0.1μm程度である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定できる。
成分(B)の含有量としては、液晶シール剤の総量中、0.0001〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.0005〜5質量%であり、0.001〜3質量%が特に好ましい。
本願発明の液晶シール剤は、成分(C)として(メタ)アクリル化合物を含有しても良い。(ここで「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。以下同様。)成分(C)としては、例えば、(メタ)アクリルエステル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
なお、成分(C)の(メタ)アクリル化合物には、成分(A)の化合物は含まない。
(メタ)アクリルエステル化合物の具体例としては、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフロフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸のエステルジアクリレートやネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸のエステルのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート等のモノマー類を挙げることができる。好ましくは、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
成分(C)は単独で用いても良いし、2種類以上を混合しても良い。本発明の液晶シール剤において、成分(C)を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%である。
本願発明の液晶シール剤は、成分(D)として有機フィラーを含有しても良い。上記有機フィラーとしては、例えばウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子及びシリコーン微粒子が挙げられる。なおシリコーン微粒子としてはKMP−594、KMP−597、KMP−598(信越化学工業製)、トレフィルRTME−5500、9701、EP−2001(東レダウコーニング社製)が好ましく、ウレタン微粒子としてはJB−800T、HB−800BK(根上工業株式会社)、スチレン微粒子としてはラバロンRTMT320C、T331C、SJ4400、SJ5400、SJ6400、SJ4300C、SJ5300C、SJ6300C(三菱化学製)が好ましく、スチレンオレフィン微粒子としてはセプトンRTMSEPS2004、SEPS2063が好ましい。
これら有機フィラーは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。これらのうち、好ましくは、アクリル微粒子、シリコーン微粒子である。
上記アクリル微粒子を使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、特に好ましくはコア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーン微粒子としては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらの微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。本発明の液晶シール剤において、成分(D)を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。
本発明の液晶シール剤は、成分(E)として、無機フィラーを含有しても良い。本発明で含有する無機フィラーとしては、シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムが挙げられるが、好ましくはシリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いても良い。
無機フィラーの平均粒子径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、2000nm以下が適当であり、好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。また好ましい下限は10nm程度であり、さらに好ましくは100nm程度である。粒子径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。
本発明の液晶シール剤において、無機フィラーを使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。無機フィラーの含有量が5質量%より低い場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。又、無機フィラーの含有量が50質量%より多い場合、フィラー含有量が多すぎるため、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
本発明の液晶シール剤は、成分(F)としてシランカップリング剤を添加して、接着強度や耐湿性の向上を図ることができる。
成分(F)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。本発明の液晶シール剤において、成分(F)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、0.05〜3質量%が好適である。
本願発明の液晶シール剤は、成分(G)としてエポキシ化合物を含有しても良い。エポキシ化合物としては特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。
なお成分(G)のエポキシ化合物には、成分(A)の化合物は含まない。
成分(G)は単独で用いても良いし、2種類以上を混合しても良い。本発明の液晶シール剤において、成分(G)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。
本発明の液晶シール剤は、成分(H)として熱硬化剤を含有する。成分(H)は、上記成分(B)熱ラジカル重合開始剤とは異なり、加熱によってラジカルを発生しない熱硬化剤を意味する。具体的には、非共有電子対や分子内のアニオンによって、求核的に反応するものであって、例えば多価アミン類、多価フェノール類、有機酸ヒドラジド化合物等を挙げる事ができる。ただしこれらに限定されるものではない。これらのうち有機酸ヒドラジド化合物が特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるテレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることが出来る。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。硬化反応性と潜在性のバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートである。
成分(H)は単独で用いても良いし、2種類以上を混合しても良い。本発明の液晶シール剤において、成分(H)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
本願発明の液晶シール剤は、成分(I)として光ラジカル重合開始剤を含有しても良い。光ラジカル重合開始剤としては、紫外線や可視光の照射によって、ラジカルや酸を発生し、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスヒンオキサイド、カンファーキノン、9−フルオレノン、ジフェニルジスルヒド等を挙げることができる。具体的には、IRGACURERTM 651、184、2959、127、907、369、379EG、819、784、754、500、OXE01、OXE02、DAROCURERTM1173、LUCIRINRTM TPO(いずれもBASF社製)、セイクオールRTMZ、BZ、BEE、BIP、BBI(いずれも精工化学株式会社製)等を挙げることができる。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
本発明の液晶シール剤において、成分(I)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常0.001〜3質量%、好ましくは0.002〜2質量%である。
本発明の液晶シール剤には、さらに必要に応じて、有機酸やイミダゾール等の硬化促進剤、ラジカル重合防止剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤などの添加剤を配合することができる。
上記硬化促進剤としては、有機酸やイミダゾール等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2 ,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
本発明の液晶シール剤において、硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
上記ラジカル重合防止剤としては、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤等から発生するラジカルと反応して重合を防止する化合物であれば特に限定されるものではなく、キノン系、ピペリジン系、ヒンダードフェノール系、ニトロソ系等を用いることができる。具体的には、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン、パラベンゾキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ステアリルβ−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β―(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、パラメトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、チオジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアルミニウム塩、商品名アデカスタブLA−81、商品名アデカスタブLA−82(株式会社アデカ製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちナフトキノン系、ハイドロキノン系、ニトロソ系ピペラジン系のラジカル重合防止剤が好ましく、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、ハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−P−クレゾール、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が更に好ましく、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が最も好ましい。
ラジカル重合防止剤の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
本発明の液晶シール剤を得る方法の一例としては、次に示す方法がある。まず、(A)成分、必要に応じて(C)成分、(G)成分、(I)成分を加熱溶解する。次いで室温まで冷却後、必要に応じて(B)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(H)成分、消泡剤、及びレベリング剤、溶剤等を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合し、金属メッシュにて濾過することにより本発明の液晶シール剤を製造することができる。
本発明の液晶表示セルは、基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法としては、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサ(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサー、またはスクリーン印刷装置等を用いて該液晶シール剤を塗布した後、必要に応じて、80〜120℃で仮硬化を行う。その後、該液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。ギャップ形成後、90〜130℃で1時間〜2時間硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。また光熱併用型として使用する場合は、紫外線照射機により液晶シール剤部に紫外線を照射させて光硬化させる。紫外線照射量は、好ましくは500〜6000mJ/cm、より好ましくは1000〜4000mJ/cmの照射量が好ましい。その後必要に応じて、90〜130℃で1〜2時間硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。スペーサとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤100質量部に対し通常0.1〜4質量部、好ましくは0.5〜2質量部、更に、好ましくは0.9〜1.5質量部程度である。
本発明の液晶シール剤は、熱硬化性が非常に良好であり、液晶滴下工法における加熱工程において速やかに硬化し、その硬化物は接着性に優れ、且つ液晶汚染性が良好なため、本発明の液晶シール剤を用いることにより、信頼性に優れる液晶表示セルを作成することが可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準である。
合成例、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。ここで、部は特に断りのない限り重量部を表す。
H−NMR:日本電子株式会社製 JNM−ECS400を用いて、重クロロホルム溶媒で測定した。
○LC/MS:LC/MSは下記条件にて測定した。
LC/MSの各種条件
装置:Ultimate 3000/Q−Exactive(Thermo)
検出器:PDA(190−800nm)、FT−MS(m/z=150−2000)
カラム:YMC−Triart C18 2.1×150mm、1.9μm(YMC)
カラム温度:40℃
フロー速度:0.3mL/分
流動層:(A)5mM酢酸アンモニウム水溶液/(B)アセトニトリル
グラジエント(B%):50%−15分−95%(10分)
インジェクション:0.2μL
[合成例1]
[4,5−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイル−2−ヒドロキシプロピル)の合成]
(工程1)
1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸55.6g、ヒドロキシエチルアクリレート43.3gをトルエン42gに溶解させ、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.5gを加え、95℃まで昇温した。95℃で6時間攪拌した後、60℃まで放冷した。この反応液へ、トルエン59g、グリシジルメタクリレート53.0g、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド40%水溶液0.8gを添加し、98℃まで昇温した。98℃で18時間撹拌した後、室温まで放冷し、トルエン150g、メチルイソブチルケトン300gを加え、水洗した。有機溶剤をエバレーターを除去し、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイルー2−ヒドロキシプロピル)を得た。(H−NMRデータ:6.4(1H)、6.1(2H)5.9(1H)、5.7(2H)、5.6(1H)、4.0〜4.5(8H)、3.8(1H)、3.1(2H)、2.5(2H)、2.3(2H)、1.9(3H)、LC−MSデータ:m/z=428.19[M+NH4])、m/z=469.17[M+CH3COO])
(工程2)
工程1で合成した1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイルー2−ヒドロキシプロピル)28.9g、トルエン29g、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート0.3g(ライオンアクゾ製 50%キシレン溶液、TOMAA−50)、水2g、12−タングストリン酸0.5g、タングステン酸ナトリウム0.2g、リン酸二水素ナトリウム2.9gを加え、50±3℃に昇温攪拌しながら、35重量%過酸化水素水8.9gを加え、そのまま50±3℃で30時間攪拌した。1H−NMRにて反応の進行を確認したところ、反応終了後の炭素−炭素二重結合からエポキシへのコンバージョン率は>99%であり、原料の炭素−炭素二重結合ピークは消失(1%以下)していた。
ついで30%水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした後、20%チオ硫酸ナトリウム水溶液25部を加え30分攪拌を行い、静置した。2層に分離した有機層を取り出し、ここに活性炭(味の素ファインテクノ製 SD)6gとモンモリロナイト(クミアイ化学製クニピアF)3gを加え、室温で4時間攪拌後、ろ過した。得られたろ液の有機溶剤を留去することで、目的とする4,5−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(アクリロイルエチル)(メタアクリロイルー2−ヒドロキシプロピル)25.3gを得た。(H−NMRデータ:6.4(1H)、6.1(2H)5.9(1H)、5.6(1H)、4.0〜4.5(8H)、3.8(1H)、3.2(2H)、3.0(2H)、2.2〜2.3(4H)、1.9(3H)、LC−MSデータ:m/z=444.19[M+NH4])、m/z=485.17[M+CH3COO])
[参考合成例1]
[アクリル化レゾルシンジグリシジルエーテルの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(ナガセケムテックス株式会社)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート(アクリル化レゾルシンジグリシジルエーテル)253gを得た。
[参考合成例2]
[1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンの合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
(液晶シール剤の調整)
[実施例1、比較例1]
下記表1に示す割合で、一分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及び式(1)で表される骨格を、それぞれ1つ以上有する化合物(成分(A))、(メタ)アクリル樹脂(成分(C))エポキシ樹脂(成分(G))、光ラジカル重合開始剤(成分(I))、を90℃で加熱溶解させた後、室温まで冷却し、シランカップリング剤(成分(F))、無機フィラー(成分(E))、有機フィラー(成分(D))、熱ラジカル重合開始剤(成分(B))、硬化剤(成分(H))を添加し、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶滴下工法用シール剤実施例1および比較例1を調製した。
評価試験は下記の方法で実施した。
(ガラス転移温度測定)
実施例、比較例で製造された液晶シール剤をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み厚み100μmの薄膜としたものを、UV照射機により3000mJ/cmの紫外線を照射後、オーブンに投入して120℃1時間熱硬化させた。硬化後PETフィルムをはがしシール剤硬化膜を得たのち、これを5mm×5mmの短冊状にカットしサンプル片とした。このサンプル片を動的粘弾性測定装置(DMS−6100:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)の引っ張りモードにて周波数10Hz、昇温温度3℃/分の条件で測定を行い、得られた損失係数Tanδのカーブにおいて最大値となる温度をガラス転移温度とした。結果を表1に示す。
(接着強度)
得られた液晶シール剤1gにスペーサーとして3μmのグラスファイバー0.01gを添加して混合攪拌を行い、この液晶シール剤を約20mm×30mmの配向膜を塗布したガラス基片上に、ディスペンサーを用いて描画した。この際、線幅が0.7mmとなるように塗布量を設定し、また図1のような形で描画を行った。その後、対向基板として約10mm×25mmの配向膜を塗布したガラス基を貼り合わせ、3000mJ/cmのUV照射により光硬化させ、120℃オーブンに1時間投入してさらに熱硬化させ、テストピースを作成した。得られたテストピースをボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)にて下から上へ引き剥がす試験を行い、ピール接着強度を測定した。
Figure 2017203906
表1の結果より、本願発明の(メタ)アクリル化合物を含有する液晶シール剤は、その硬化物が高いガラス転移温度を有し耐熱性に優れることが確認された。また接着強度も高いことが確認された。
本願発明の(メタ)アクリル化合物を含有する液晶シール剤は非常に高耐熱であり、耐熱信頼性の高い液晶シール剤及びその硬化物でシールされた液晶表示セルを提供する。

Claims (15)

  1. (A)一分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及び下記式(1)で表される骨格を、それぞれ1つ以上有する化合物を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。
    Figure 2017203906
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基を表す。また、RとRは、結合することで環構造を形成していても良い。)
  2. 前記(A)が、分子内に、さらにヒドロキシ基を1つ以上有する化合物である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  3. 前記(A)が、分子内に、さらにエステル結合を4つ以上有する化合物である請求項1又は2に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  4. 更に、(B)熱ラジカル重合開始剤を含有する請求項1及至3のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  5. 更に、(C)(メタ)アクリル化合物を含有する請求項1及至4のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  6. 更に、(D)有機フィラーを含有する請求項1及至5のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  7. 前記成分(D)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される1又は2以上の有機フィラーである請求項6に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  8. 更に、(E)無機フィラーを含有する請求項1及至7のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  9. 更に、(F)シランカップリング剤を含有する請求項1及至8のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  10. 更に、(G)エポキシ化合物を含有する請求項1及至9のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  11. 更に、(H)熱硬化剤を含有する請求項1及至10のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  12. 前記成分(H)が有機酸ヒドラジド化合物である請求項11に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  13. 更に、(I)光ラジカル重合開始剤を含有する請求項1及至12のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  14. 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至13のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
  15. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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