JP2010132849A - エポキシ樹脂組成物および硬化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エポキシ樹脂組成物は、水酸化アルミニウム粒子を下記式(1)
【化1】
(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はアルキレン基を表し、Mは1価のカチオンを表す。nは1〜10の数を表し、mは1〜3の整数を表す。)
で示される少なくとも1種のリン酸エステルで表面処理してなる水酸化アルミニウム複合体と、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ基含有成分とを含む。硬化物の製造方法は、前記エポキシ樹脂組成物を重合反応させる。
【選択図】 なし
Description
(1)水酸化アルミニウム粒子を下記式(1)
で示される少なくとも1種のリン酸エステルで表面処理してなる水酸化アルミニウム複合体と、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ基含有成分とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(2)前記エポキシ基含有成分がグリシジルメタクリレートをも含有する前記(1)記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)前記水酸化アルミニウム複合体中の水酸化アルミニウム含有率が40〜70質量%である前記(1)または(2)記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)前記水酸化アルミニウム複合体は、中心粒子径が1〜150nmである水酸化アルミニウム粒子を前記リン酸エステルで表面処理してなるものである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)エポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量が、前記水酸化アルミニウム複合体および前記エポキシ基含有成分の総量100質量部に対して3〜20質量部である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を重合反応させることを特徴とする硬化物の製造方法。
(7)前記重合反応を塊状重合法により行う前記(6)記載の硬化物の製造方法。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ基含有成分とともに、水酸化アルミニウム複合体を含む。本発明において、水酸化アルミニウム複合体とは、水酸化アルミニウム粒子を上記式(1)で示される特定のリン酸エステル(以下「特定リン酸エステル」と称することもある)で表面処理してなるものであり、このような水酸化アルミニウム複合体を含有することにより、得られる硬化物の透明性を損なうことがなく、機械的強度を格段に向上させることができる。
特定リン酸エステルを示す上記式(1)において、Mで表される1価のカチオンの例としては、水素イオン、ナトリウムイオンやカリウムイオンの如きアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜4程度のアルキル基で置換されたアンモニウムイオンなどが挙げられる。
前記水性媒体としては、特に制限はなく、例えば、水、アルコール等を用いることができる。特に、水性媒体は、酸性溶液であることが分散性の点から好ましく、硝酸水溶液や塩酸等が好適である。
で示される脂環式エポキシド(例えば、n=1である、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなど)が特に好ましい。これらエポキシ樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
硬化剤の使用量は、エポキシ基含有成分100質量部に対して、通常10〜200質量部、好ましくは50〜150質量部である。
硬化促進剤の使用量は、エポキシ基含有成分100質量部に対して、通常0.01〜1質量部である。
粒度分析計(日機装社製「Nanotrac Model UPA−EX150」)を用いて、動的光散乱法により粒度分布曲線を求め、50質量%相当の粒子径を求めた。
比表面積測定装置(マウンテック社製「Macsorb Model−1201」)を用いて窒素ガス吸着法により測定した。
水酸化アルミニウム複合体を一定量(W0)秤取り、TGA(熱重量分析装置)により室温(約25℃)から10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温し、600℃に到達したときの質量(W1)を測定し、下記式に基づき水酸化アルミニウム含有率(%)を算出した。
Refletance Transmition meater(Murakami Color Research Laboratory社製「HR−100」)を用いて、波長600nmにおける光線透過率(%)およびHaze値(%)を求めた。
JIS―K7171に従い、最大強度(MPa)、たわみ(%)、および曲げ弾性率(GPa)を求めた。
JIS−K5400の鉛筆硬度試験に従い、得られた厚さ2mmの硬化物を試験片として鉛筆硬度試験を行い、表面硬度(鉛筆硬度)を求めた。
アルミニウムのアルコキシドの加水分解法により得られた比表面積490m2/gの擬ベーマイト型水酸化アルミニウム粒子を、1mol/Lの硝酸水溶液に加えて超音波分散させたのち、85℃で2時間加熱した。室温まで冷却した後、遠心分離により粗粒分を除去し、高圧ホモジナイザーにて分散させることにより、中心粒子径40nmの水酸化アルミニウム粒子が水素イオン濃度pH3.5の硝酸水溶液中に分散されたゾル(固形分10.4重量%)を得た。
製造例1と同様にして、中心粒子径40nmの水酸化アルミニウム粒子が水素イオン濃度pH3.5の硝酸水溶液中に分散されたゾル(固形分10.4重量%)を得た。得られたゾルを24時間攪拌後、沈殿物を遠心分離により回収し、蒸留水で洗浄後、真空乾燥することにより、水酸化アルミニウム粒子を得た。
製造例1で得た水酸化アルミニウム複合体7.1質量部を、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学社製「CEL2021P」;以下「CEL2021P」と称する)とグリシジルメタクリレート(以下「GMA」と称する)とをCEL2021P:GMA(質量部)=80:20の割合で含むエポキシ基含有成分92.9質量部中に加え、30分間充分に攪拌した後、30分間超音波処理することにより分散させた。次いで、得られた分散体に、硬化剤であるメチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸(日立化成工業社製「HN−5500」)をエポキシ基含有成分1モルに対して1モルに相当する量(47.1質量部)と、硬化促進剤であるN,N−ジメチルベンジルアミンをエポキシ基含有成分に対して0.1質量%に相当する量(0.074質量部)と、ラジカル重合開始剤である過酸化ベンゾイルを水酸化アルミニウム複合体中の特定リン酸エステル部位およびGMAの総量に対して0.3質量%に相当する量(0.068質量部)とを加えて溶解させ、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量は、水酸化アルミニウム複合体およびエポキシ基含有成分の総量100質量部に対して3質量部である。
製造例1で得た水酸化アルミニウム複合体の量を7.1質量部から14.2質量部に増量するとともに、この増量分(7.1質量部)だけ、CEL2021PとGMAの割合を変えないでエポキシ基含有成分の量を減らしたこと以外、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量は、水酸化アルミニウム複合体およびエポキシ基含有成分の総量100質量部に対して6質量部である。
なお、硬化剤、硬化促進剤およびラジカル重合開始剤の量に関して「実施例1と同様にして」とは、それぞれ、「エポキシ基含有成分」もしくは「水酸化アルミニウム複合体中の特定リン酸エステル部位およびGMAの総量」に対する比率を同じにした、という意味である(以降の実施例および比較例においても同様)。
製造例1で得た水酸化アルミニウム複合体の量を7.1質量部から21.4質量部に増量するとともに、この増量分(14.3質量部)だけ、CEL2021PとGMAの割合を変えないでエポキシ基含有成分の量を減らしたこと以外、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量は、水酸化アルミニウム複合体およびエポキシ基含有成分の総量100質量部に対して9質量部である。
製造例1で得た水酸化アルミニウム複合体の量を7.1質量部から21.4質量部に増量するとともに、この増量分(14.3質量部)だけエポキシ基含有成分の量を減らし、かつ該エポキシ基含有成分としてCEL2021Pのみを用いた(すなわちGMAを使用しない)こと以外、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量は、水酸化アルミニウム複合体およびエポキシ基含有成分の総量100質量部に対して9質量部である。
なお、得られた硬化物について、実施例3と同様に、透過型電子顕微鏡による観察を行ったところ、凝集は認められず、水酸化アルミニウムの分散性は実施例3と同等であった。
製造例1で得た水酸化アルミニウム複合体7.1質量部に代えて、比較製造例1で得た水酸化アルミニウム粒子9質量部を用いるとともに、この増量分(1.9質量部)だけ、CEL2021PとGMAの割合を変えないでエポキシ基含有成分の量を減らしたこと以外、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量は、水酸化アルミニウム粒子およびエポキシ基含有成分の総量100質量部に対して9質量部である。
製造例1で得た水酸化アルミニウム複合体7.1質量部に代えて、比較製造例1で得た水酸化アルミニウム粒子9質量部を用いるとともに、この増量分(1.9質量部)だけエポキシ基含有成分の量を減らし、かつ該エポキシ基含有成分としてCEL2021Pのみを用いた(すなわちGMAを使用しない)こと以外、実施例1と同様にして(この場合、水酸化アルミニウム複合体中の特定リン酸エステル部位およびGMAの総量はゼロであるから、ラジカル重合開始剤である過酸化ベンゾイルは用いていない)、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量は、水酸化アルミニウム粒子およびエポキシ基含有成分の総量100質量部に対して9質量部である。
なお、得られた硬化物について、実施例3と同様に、透過型電子顕微鏡による観察を行ったところ、水酸化アルミニウムの凝集が認められた。このときのTEM写真を図2に示す。
すなわち、得られた厚さ2mmの硬化物を55mm×10mmの大きさに切り出して試験片とし、粘弾性スペクトロメータ(DMS)(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製「EXSTAR DMS6100」)を用いて、周波数1Hz、昇温速度2℃/分の条件で、25℃〜200℃の温度領域でtanσ(損失正接)を測定し、縦軸をtanσ、横軸を温度(℃)として動的粘弾性を示すグラフを得、そのピーク温度によって耐熱性を評価した。かかるピーク温度が高いほど、当該硬化物の耐熱性が高いことを意味する。
Claims (7)
- 水酸化アルミニウム粒子を下記式(1)
で示される少なくとも1種のリン酸エステルで表面処理してなる水酸化アルミニウム複合体と、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ基含有成分とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 - 前記エポキシ基含有成分がグリシジルメタクリレートをも含有する請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記水酸化アルミニウム複合体中の水酸化アルミニウム含有率が40〜70質量%である請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記水酸化アルミニウム複合体は、中心粒子径が1〜150nmである水酸化アルミニウム粒子を前記リン酸エステルで表面処理してなるものである請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂組成物中の水酸化アルミニウム含有量が、前記水酸化アルミニウム複合体および前記エポキシ基含有成分の総量100質量部に対して3〜20質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を重合反応させることを特徴とする硬化物の製造方法。
- 前記重合反応を塊状重合法により行う請求項6記載の硬化物の製造方法。
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