JP2010185002A - エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 保存時の着色が少なく、かつ、酸価の上昇しにくいエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを製造法を提供する。
【解決手段】 エポキシ樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を反応させることによってエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを得る際に、吸着剤により、処理温度30〜120℃、処理時間10分〜3時間で後処理するエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステル樹脂の製造法。吸着剤が、ハイドロタルサイト構造を有すると好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 エポキシ樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を反応させることによってエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを得る際に、吸着剤により、処理温度30〜120℃、処理時間10分〜3時間で後処理するエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステル樹脂の製造法。吸着剤が、ハイドロタルサイト構造を有すると好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法に関するものである。
近年、エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルは、塗料、インキ、接着剤分野等の各分野で用途が拡大している。従来、エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法として、触媒存在下、エポキシ基に対しα,β−不飽和カルボン酸を等モルから極微量過剰に使用し、反応液の酸価を測定して反応を追跡しある酸価以下となったところで反応完了とするのが一般的であった(たとえば、特許文献1)。そのため、エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルには反応時に使用するα,β−不飽和カルボン酸エステルが残存するため、保存時に着色を起こしやすい、酸価が上がりやすい等の問題がある。その問題を解消するために、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法と同様に反応完了液を中和、水洗するといった方法(たとえば、特許文献2)が考えられたが、工程が煩雑になる、廃水等の廃棄物が発生する等の問題が生じていた。また、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、吸着剤を使用する方法が考えられたが(たとえば、特許文献3)、多量の水分の存在下でないと吸着効果が発生されず、結果として工程が煩雑となってしまうという課題が残っていた。
本発明は、前記の課題を解消し保存時の着色性が少なく、かつ、酸価が上昇しにくい、エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法を提供するものである。
本発明は、[1]エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法であって、エポキシ樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を反応させた後に、処理温度30〜120℃、処理時間10分〜3時間で吸着剤により後処理することを特徴とするエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法に関する。
また、本発明は、[2]吸着剤がハイドロタルサイト構造を有するものである、上記[1]に記載のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法に関する。
また、本発明は、[3]α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル酸である上記[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法に関する。
また、本発明は、[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の製造法によって得られたエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを含む組成物に関する。
また、本発明は、[2]吸着剤がハイドロタルサイト構造を有するものである、上記[1]に記載のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法に関する。
また、本発明は、[3]α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル酸である上記[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法に関する。
また、本発明は、[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の製造法によって得られたエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを含む組成物に関する。
本発明のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法により、保存時の着色が少なくかつ、酸価の上昇しにくいエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを製造することができ、本発明のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを含む組成物は、塗料、インキ、接着剤分野等の各分野における用途で非常に有用である。
本発明においてエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルは、触媒の存在下エポキシ樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を反応させることによって得られる。反応に際してはα,β−不飽和カルボン酸をエポキシ樹脂中のエポキシ基に対して過剰に使用することが、反応を短時間に終わらせ反応転換率を向上させるために好ましい。通常、エポキシ樹脂が含有するエポキシ基1モルに対して、α,β−不飽和カルボン酸を1〜5モルの範囲で使用することが好ましく、特に1〜1.5倍モルの範囲で使用することが好ましい。α,β−不飽和カルボン酸の使用量が1倍モル未満であると反応が遅くなることにより反応が長時間化し、反応液の着色が生じやすくなる。またエポキシ基が残りやすくなってしまうため、エポキシ基に起因するゲル化が生じる可能性が高まるという問題点を生じる。逆にα,β−不飽和カルボン酸の使用量が1.5倍モルを超えると、反応完了後の吸着剤処理の際、多量の吸着剤を使用しなければならなくなり生産性が低くなる。
上記反応において使用されるα,β−不飽和カルボン酸は特に限定されないが、たとえば(メタ)アクリル酸、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸、プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸等のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、(メタ)アクリル酸トリマー等の(メタ)アクリル酸オリゴマー等が挙げられる。これらのα,β−不飽和カルボン酸は1種類を単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。特に前記α,β−不飽和カルボン酸の中では、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさの点からアクリル酸が好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物を意味する。
ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物を意味する。
本発明におけるエポキシ樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を反応させる工程では、α,β−不飽和カルボン酸およびエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの重合を防ぐ意味で、重合防止剤を存在させることが好ましい。重合防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のハイドロキノン類、フェノチアジン、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、4−ヒドロキシ2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル等のN−オキシル化合物等があげられる。なかでも、製品の貯蔵時、および使用時に着色の少ない重合防止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテルが特に好ましい。
また重合防止剤の添加量は、生成するエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルに対して0〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%がより好ましい。1質量%を超えると、重合防止剤に起因する着色を生じたり、実際に顧客等において使用する際に硬化不良等により十分な硬化物が得られない場合があり、少なすぎると、重合防止効果が十分に得られず、保存時等に重合してしまう問題が生じることがある。
上記反応時において、反応液の重合防止のために、さらに少量の分子状酸素を吹き込むのが好ましい。分子状酸素としては、希釈された状態で使用するのが好ましく好適には空気が用いられる。また、分子状酸素の吹き込みは、蒸発して蒸気として存在したり、反応釜またはフラスコの壁等に凝縮したエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの重合を防止するためにも好ましい。
分子状酸素の使用量としては、反応器の形状や攪拌動力などによっても影響を受けるが、仕込み液100gに対して1〜500ml/分(空気として5〜2500ml/分)の速度で吹き込めばよい。1ml/分未満であると重合防止効果が充分でなく、500ml/分を超えると反応溶媒およびα,β−不飽和カルボン酸を系外に排出してしまう効果が強まり、その結果、目的物であるエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの残存エポキシ量が多くなり、エポキシ基に起因するゲル化が起こる可能性が高まるという問題点が生じる。
上記反応において、反応に関与しない不活性なものであれば、適宜溶媒を使用することもできる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の炭化水素類や、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などを挙げることができる。
上記反応において、反応温度は60〜130℃で行うのが好ましく、80〜120℃が特に好ましい。60℃未満であると反応速度が遅くなり、130℃を超えるとα,β−不飽和カルボン酸及びエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの着色や重合を引き起こすことがある。
上記反応において使用される反応触媒は特に限定されないが、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等の三級アミン、2−メチル−4−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等が使用される。特に前記触媒の中では反応性、取り扱いのし易さから、四級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィンが好ましい。
触媒の使用量は、生成するエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステル類に対して通常0.01〜20.0質量%の範囲が好ましく、0.5〜10.0質量%が特に好ましい。0.01質量%未満であると反応の進行が遅くなり、20.0質量%を超えて使用しても、特に利点はなく不経済である。
本発明において使用されるエポキシ樹脂は特に限定されないが、たとえばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有α,β−不飽和単量体、およびそれら単量体の単独重合体、およびその他の不飽和単量体と重合してなるポリマー、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等のエポキシ基含有物質を挙げることができる。
上記その他の不飽和単量体に関しては特に限定しないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のシクロアルキル基の炭素数が3〜20の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシロキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシロキシプロピル等のトリシクロアルキル基の炭素数が5〜20の(メタ)アクリル酸トリシクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドキシ基を有する(メタ)アクリル酸ヒドキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル等のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、(メタ)アクリルアミド等のビニル誘導体、マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル、ヒンダードアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ベンゾトリアゾール基を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種類を単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。特に前記重合性単量体の中では、合成時の重合安定性の点からアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステルから選ばれるシクロアルキルエステルから選ばれる。
上記グリシジル基含有α,β−不飽和単量体及びその他の不飽和単量体と重合してなるポリマーの製造方法に関しては、通常のラジカル重合方法を利用することができ、特にその方法は制限されるものではない。好ましくは、有機溶媒と重合開始剤の存在下で行われる。好ましい反応温度は50℃〜200℃であり、特に好ましい反応温度は70℃〜150℃である。反応時間は3〜10時間とするのが好ましい。
上記ラジカル重合方法において、有機溶剤として芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤等を使用することができる。芳香族系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、例えば、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ、単独又は2種類以上の有機溶剤を併用してもよい。
上記ラジカル重合法において、重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾビス系化合物等を使用することができる。有機過酸化物としては、例えば、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジシクロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサド、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、2−ジエチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられ、アゾ系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニル)、2,2’−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合に際して、前記各重合性単量体は、予め混合物とした上で反応系に添加してもよいし、別に反応系に添加してもよく、また、この混合物を分割して反応系に添加してもよい。
重合に際して、前記各重合性単量体は、予め混合物とした上で反応系に添加してもよいし、別に反応系に添加してもよく、また、この混合物を分割して反応系に添加してもよい。
重合開始剤の使用量は、共重合体成分の目的とする分子量により決められるものであるが、通常、不飽和二重結合を有する重合性単量体の総量に対し、0.1〜10質量%とすることが好ましい。
上記ラジカル重合法において、必要に応じて連鎖移動剤を用いて分子量調整をしてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明において用いられる吸着剤としては、活性白土、ハイドロタルサイト、多孔質の重合体(多孔質の吸着材は、BET表面積が5m2/g以上、好ましくは30〜600m2/g、気孔容積が0.05ml/g以上、好ましくは0.5〜1.5ml/g)、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂)、活性炭などの有機系吸着剤、吸着樹脂、シリカゲル、シリカアルミナ系吸着剤、アルミナゲル、活性アルミナ、粒径が0.1〜10.0μmの粒子からなる二酸化ケイ素、ゼオライト、酸性イオン交換体、酸吸着剤(Li2CO3、Na2CO3、MgCO3、CaCO3等の周期律表第I族および第II族の炭酸塩、MgO、CaO、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Al2O3、Al(OH)3等の第II族および第III族の酸化物もしくは水酸化物、2.5MgO・Al2O3・xH2O、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg4Al2(OH)13CO3・3.5H2O等の第II族、第III族の複合塩またはこれらの混合物)等が挙げられる。この中でも特にハイドロタルサイト構造を有するハイドロタルサイト類が吸着力、取り扱い、経済性の観点で好ましい。
上記吸着剤の添加量は、生成するエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステル類に対して0.05〜20質量%であることが好ましく、0.08〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることが最も好ましい。0.05質量%未満であると、α,β−不飽和カルボン酸の除去効果が充分に得られず、20質量%を超えて使用すると、不経済なばかりでなく、製品をろ過する際に負荷を生じさせたりする。
上記吸着剤処理を行うときの処理温度としては、系内の温度が30〜120℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。30℃未満であると、α,β−不飽和カルボン酸の除去効果が得られなり、120℃を超えると得られるエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステル類の着色、重合を引き起こす可能性があり好ましくない。
上記吸着剤処理を行うときの処理時間としては、10分〜3時間が好ましく、30分〜2時間がより好ましい。10分未満であると、吸着を充分に行うことができず、結果として生成するエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステル中のα,β−不飽和カルボン酸の除去効果が充分でなくなり、3時間を超えると、特性としては特に問題はないが、工程の長期化に繋がってしまう。
上記吸着剤による後処理後、ろ過により異物及び添加した吸着剤を取り除く。ろ過は、加圧ろ過でも減圧ろ過でもよい。またこの際、ろ過の負荷防止のために、ケイ藻土をろ過助剤として使用してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」及び「%」は、特に限りのない限り、それぞれ質量部及び質量%を意味する。
下記に、本発明で用いた各種測定法を示した。
下記に、本発明で用いた各種測定法を示した。
[重量平均分子量の測定方法]
以下の機器測定条件で測定し、標準ポリスチレン換算分子量を求めた。
使用機器 :日立L6000型高速液体クロマトグラフィー(株式会社日立製作所商品名)
カラム :ゲルパックR400、R450及びR400M(日立化成工業株式会社商品名)
溶離液 :テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1g/5ml
流量 :2ml/min
検出器 :日立L3350型示差屈折率計
以下の機器測定条件で測定し、標準ポリスチレン換算分子量を求めた。
使用機器 :日立L6000型高速液体クロマトグラフィー(株式会社日立製作所商品名)
カラム :ゲルパックR400、R450及びR400M(日立化成工業株式会社商品名)
溶離液 :テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1g/5ml
流量 :2ml/min
検出器 :日立L3350型示差屈折率計
[ガラス転移温度(Tg)算出方法]
下記式を用い、各成分の単独重合体のTg(文献値)から算出した。
下記式を用い、各成分の単独重合体のTg(文献値)から算出した。
[エポキシ当量の算出方法]
1当量のエポキシ基が樹脂固形分1000g当りに含有する不飽和カルボン酸(短鎖不飽和カルボン酸(d1)と長鎖不飽和カルボン酸(d2)の合計モル数)とイソシアナト基含有重合性不飽和化合物(e)との合計モル数を配合計算値から算出した。
1当量のエポキシ基が樹脂固形分1000g当りに含有する不飽和カルボン酸(短鎖不飽和カルボン酸(d1)と長鎖不飽和カルボン酸(d2)の合計モル数)とイソシアナト基含有重合性不飽和化合物(e)との合計モル数を配合計算値から算出した。
[色相の測定方法]
JIS K0071に準じて、比色法にて確認した。
JIS K0071に準じて、比色法にて確認した。
[酸価の測定方法]
試料を0.1N 水酸化カリウム溶液で滴定し、下記式にて酸価を算出した。
試料を0.1N 水酸化カリウム溶液で滴定し、下記式にて酸価を算出した。
<参考合成例>
(エポキシ樹脂(A)(B)の合成)
下記の表1に示した配合に従い、反応容器中に(I)を仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら110℃まで加熱した。110℃で(II)(重合性単量体成分とパーブチルO(日本油脂株式会社製 商品名)の混合液)を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、更に1時間110℃で反応を行い、その後、(III)を1時間に亘って滴下した。滴下終了後、145℃に加熱させ更に2時間反応を続け、100℃以下に冷却後(IV)を添加してエポキシ樹脂(A)(B)を合成した。得られたエポキシ樹脂(A)(B)は、下記の表1に示す特性であった。
(エポキシ樹脂(A)(B)の合成)
下記の表1に示した配合に従い、反応容器中に(I)を仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら110℃まで加熱した。110℃で(II)(重合性単量体成分とパーブチルO(日本油脂株式会社製 商品名)の混合液)を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、更に1時間110℃で反応を行い、その後、(III)を1時間に亘って滴下した。滴下終了後、145℃に加熱させ更に2時間反応を続け、100℃以下に冷却後(IV)を添加してエポキシ樹脂(A)(B)を合成した。得られたエポキシ樹脂(A)(B)は、下記の表1に示す特性であった。
実施例1〜11(エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの合成)
下記の表2に示した配合に従い、反応容器中に(I)(II)(III)を仕込み、空気を50ml/分で通気しながら昇温した。仕込み液が80℃となったところで(IV)を仕込み、1時間保温した。その後、昇温し、液温が100℃となったところを反応0時間とした。その後、酸価を測定しながら反応を追跡し、表2に示したそれぞれの酸価となったところで反応完了とした。その後、表2に示した液温(吸着剤処理温度)に調節した後、(V)を添加、所定時間撹拌し、吸着剤処理を行った。吸着剤処理後、珪藻土(ラヂオライト900:昭和化学工業株式会社製)を10%添加した後、ろ過して各々のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを得た。
下記の表2に示した配合に従い、反応容器中に(I)(II)(III)を仕込み、空気を50ml/分で通気しながら昇温した。仕込み液が80℃となったところで(IV)を仕込み、1時間保温した。その後、昇温し、液温が100℃となったところを反応0時間とした。その後、酸価を測定しながら反応を追跡し、表2に示したそれぞれの酸価となったところで反応完了とした。その後、表2に示した液温(吸着剤処理温度)に調節した後、(V)を添加、所定時間撹拌し、吸着剤処理を行った。吸着剤処理後、珪藻土(ラヂオライト900:昭和化学工業株式会社製)を10%添加した後、ろ過して各々のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを得た。
比較例1〜5
実施例1の反応温度、吸着剤処理条件を表3に示したように変更し、それ以外の条件は変更せずに行った。
実施例1の反応温度、吸着剤処理条件を表3に示したように変更し、それ以外の条件は変更せずに行った。
表3に示したように、比較例1(a)の反応温度が50℃と低い場合、反応が完了せず、また、比較例2(b)の反応温度が140℃と高い場合、ゲル化が生じた。吸着剤の処理温度が20℃と低い比較例3(c)では、色相、酸価は、やや低下するが実施例に比べ劣り、処理温度が140℃と高い比較例4(d)では、酸価は低下するが色相が高くなった。そして、吸着剤の処理時間が5分と短い比較例5(e)では、色相、酸価は低下するが実施例に比べ十分ではない。
[保存安定性]
実施例1で得られたものと、吸着剤処理しない以外は実施例1と同様の方法で得られたものとを、透明なガラス瓶にとり50℃の恒温槽に保管し、3ヶ月間保管し、1ヵ月後と3ヵ月後の酸化、色相を測定した。その結果、実施例の(A)は色相、酸価ともにほとんど変化は見られなかったが、比較例の吸着剤処理しない試料では、色相、酸価ともに増加することが確認された。
実施例1で得られたものと、吸着剤処理しない以外は実施例1と同様の方法で得られたものとを、透明なガラス瓶にとり50℃の恒温槽に保管し、3ヶ月間保管し、1ヵ月後と3ヵ月後の酸化、色相を測定した。その結果、実施例の(A)は色相、酸価ともにほとんど変化は見られなかったが、比較例の吸着剤処理しない試料では、色相、酸価ともに増加することが確認された。
本発明の製造法により得られるエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルは、保存時の着色が少なく、かつ、酸価の上昇しにくいものとすることができ、これにより、本発明で得られるエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを、塗料、インキ、接着剤の成分として含む組成物は、着色変化が無く、反応性が常に一定であり、優れた品質の成分を提供できるので、塗料、インキ、接着剤分野等の各分野において非常に有用である。
Claims (4)
- エポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法であって、エポキシ樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を反応させた後に、処理温度30〜120℃、処理時間10分〜3時間で吸着剤により後処理することを特徴とするエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法。
- 吸着剤が、ハイドロタルサイト構造を有するものである、請求項1に記載のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法。
- α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル酸である請求項1または請求項2に記載のエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の製造法によって得られたエポキシ樹脂のα,β−不飽和カルボン酸エステルを含む組成物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011078113A1 (ja) * | 2009-12-25 | 2011-06-30 | 協立化学産業株式会社 | 部分エステル化エポキシ樹脂及びその製造方法 |
JP2014152127A (ja) * | 2013-02-06 | 2014-08-25 | Tokuyama Corp | オルメサルタンメドキソミルの製造方法 |
-
2009
- 2009-02-12 JP JP2009029694A patent/JP2010185002A/ja active Pending
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