JP2023092511A - エポキシ樹脂組成物、接着剤、成形材料及び硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、接着剤、成形材料及び硬化物 Download PDF

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JP2023092511A
JP2023092511A JP2022202774A JP2022202774A JP2023092511A JP 2023092511 A JP2023092511 A JP 2023092511A JP 2022202774 A JP2022202774 A JP 2022202774A JP 2022202774 A JP2022202774 A JP 2022202774A JP 2023092511 A JP2023092511 A JP 2023092511A
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一成 松村
Kazunari Matsumura
博己 濱本
Hiroki Hamamoto
亜依 小池
Ai Koike
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Abstract

【課題】常温及び低温において、優れた靭性を示し、高い接着強度を有する硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物とその硬化物、接着剤、成形材料及び繊維強化プラスチックを提供することを目的とする。【解決手段】マクロモノマー(a1)由来の構成単位およびビニル系ラジカル重合性単量体(a2)由来の構成単位を含有する(メタ)アクリル系重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の小角X線散乱の散乱強度の最大値が0.01~9.30であるエポキシ樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、接着剤、成形材料及び硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、剛性、耐熱性、電気的特性、耐久性等に優れるため、車両の構造用接
着剤、土木・建築用接着剤、電子材料用接着剤、工業用接着剤等の接着剤や成形材料、繊
維強化プラスチック等に用いられている。
一方で、エポキシ樹脂は一般的に脆いことが知られており、靭性について改善する、検
討が行われている。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂と、マクロモノマー由来の構成単位を有する(
メタ)アクリル系重合体とを含有するエポキシ樹脂組成物から、靭性及び接着強度に優れ
る硬化物が得られることが開示されている。
国際公開第2019/049951号
本発明は、エポキシ樹脂の靭性を向上させることを目的とし、特に、常温及び低温にお
いて、優れた靭性を示し、高い接着強度を有する硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物と
その硬化物、接着剤、成形材料及び繊維強化プラスチックを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] マクロモノマー(a1)由来の構成単位およびビニル系ラジカル重合性単量体(
a2)由来の構成単位を含有する(メタ)アクリル系重合体(A)、エポキシ樹脂(B)
及び硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物を硬
化して得られる硬化物の小角X線散乱の散乱強度の最大値が0.01~9.30であるエ
ポキシ樹脂組成物。
[2] 前記硬化物の小角X線散乱測定によって得られるドメイン間干渉散乱から得られ
る構造周期が45.0nm以下である[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 前記ビニル系ラジカル重合性単量体(a2)として、ホモポリマーの溶解性パラ
メーター(SP値)が20.0(J/cm1/2以上のビニル系ラジカル重合性単量
体由来の構成単位を含有する[1]、または[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記マクロモノマー(a1)が、ビニル系ラジカル重合性単量体(a3)由来の
構成単位を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記マクロモノマー(a1)が、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート
を構成単位として含有する[1]~[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] 前記マクロモノマー(a1)が、下記式(1)で表される構造を有する[1]~
[5]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2023092511000001
(式(1)中、X~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCH
Hであり、Y~Yは、それぞれ独立して、ビニル系ラジカル重合性単量体(a3)の
ビニル基に結合するX~Xn-1以外の置換基であり、Zは末端基であり、nは2~1
0000の整数である。)
[7] [1]~[6]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有する接着剤。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[9] [8]に記載の硬化物を含有する成形材料。
[10] [8]に記載の硬化物を含有する繊維強化プラスチック。
本発明によれば、常温及び低温において、優れた靭性を示し、高い接着強度を有する硬
化物が得られるエポキシ樹脂組成物とその硬化物、接着剤、成形材料及び繊維強化プラス
チックを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる
例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、
その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の総
称である。「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称
である。「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の
総称であり、CH=C(R)-C(=O)-(Rは水素原子又はメチル基)で表される
基である。「マクロモノマー」とは、ラジカル重合性基又は付加反応性の官能基を有する
化合物を意味する。「ビニル系ラジカル重合性単量体」とは、マクロモノマーではないエ
チレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、以下に示す(メタ)アクリル系重合体(A)(以下「
(A)成分」ともいう。)、エポキシ樹脂(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)及
び硬化剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)を含む。また、本発明のエポキシ樹
脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、(A)成分~(C)成分
以外の成分(以下、「任意成分」ともいう。)を含んでいてもよい。
<(A)成分>
(A)成分は、(メタ)アクリル系重合体である。(メタ)アクリル系重合体(A)は
、マクロモノマー(a1)(以下、「(a1)成分」ともいう。)由来の構成単位および
ビニル系ラジカル重合性単量体(a2)(以下、「(a2)成分」ともいう。)由来の構
成単位を含有する。(A)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい
マクロモノマー(a1)としては、ラジカル重合性基又は付加反応性の官能基を有する
化合物であれば特に限定はされないが、(B)成分への溶解性に対する設計度の高さの点
から、ビニル系ラジカル重合性単量体(a3)(以下、「(a3)成分」ともいう。)由
来の繰り返し構成単位を含む化合物であることが好ましく、(a3)成分由来の構成単位
を2つ以上含み、末端にラジカル重合性基を有する化合物であることがより好ましい。
(a1)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(a3)成分としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート、多官能の(メタ)ア
クリレート、単官能の(メタ)アクリレート及び多官能の(メタ)アクリレート以外のビ
ニル系化合物(以下、「他のビニル系化合物」ともいう。)などが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、コハ
ク酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2-(メタ)アクリロイルオキ
シエチル、フタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2-
(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシ基を含有する(メタ)アクリレート;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アク
リレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、i-
ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)ア
クリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、
n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(
メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリ
レート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n
-テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ
)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、i-アミル(メタ)アクリレート、2
-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、i-デシル
(メタ)アクリレート、3-i-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、i-ウンデシ
ル(メタ)アクリレート、2-t-ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、i-ドデシル
(メタ)アクリレート、i-トリデシル(メタ)アクリレート、i-テトラデシル(メタ
)アクリレート等のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(
メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキ
シヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、ジ
シクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、1、4-
シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等のシクロアルキル基を有する(メタ)ア
クリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキ
シエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート
、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)ア
クリレート、フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ
)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)
アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1-ナフチル)メチル(メタ)アクリ
レート等のアリール基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)
アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリ
レートグリシジルエーテル、(メタ)アクリレオイルモルフォリン、(3,4-エポキシ
シクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレ
ート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ
フルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-
4-イル)(メタ)アクリレート、(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチ
ル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート;2-メトキ
シエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル
(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキ
シジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)
アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシ
ルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のア
ルコキシ基を有する(メタ)アクリレート;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アク
リロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、
ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなどが挙
げられる。
これら単官能の(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
多官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(
メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ
エステルジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物
ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アク
リレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)ア
クリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能の(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メ
タ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシ
アヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ
)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(
メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これら多官能の(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
他のビニル系化合物としては、単官能の(メタ)アクリレート及び多官能の(メタ)ア
クリレートと共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルス
チレン、p-t-ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン又はスチレン誘導体;N
,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等の
アクリルアミド;(→単官能の(メタ)アクリレートの具体例に記載済みのため削除)イ
タコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリロニトリル等の
不飽和ニトリル;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イタコ
ン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル等のビニルエステルなどが挙げられる。
これら他のビニル系化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(a3)成分として、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート由来の構成単位を
含むことが好ましい。環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートとしては、硬化剤(
C)との反応により、靭性と接着強度を高められる点から、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(3,4-エポ
キシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アク
リレートが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(a1)成分の総質量100質量%に対して、環状エーテル基を有する(メタ)アクリ
レートの含有量は、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、3
0~70質量%がさらに好ましい。
環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート以外の(a3)成分としては、(B)成
分への溶解性が高く、硬化物の接着強度と耐衝撃性を高められる点から、アルキル基を有
する(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が1~8のアルキル基を有する(メタ)ア
クリレートがより好ましく、メチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
(a1)成分は、(a2)成分とのラジカル重合性に優れる点から、下記一般式(1)
で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2023092511000002
式(1)中、X~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCH
Hであり、Y~Yは、それぞれ独立して、前記ビニル系ラジカル重合性単量体(a3
)のビニル基に結合するX~Xn-1以外の置換基であり、Zは末端基であり、nは2
~10000の整数である。
なお、式(1)中の「-・・・-」は、単量体単位が重合している状態を表す。
~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCHOHであり、メ
チル基が好ましい。
合成し易さの点から、X~Xn-1の半数以上がメチル基であることが好ましい。
~Yは、それぞれ独立して、ビニル系ラジカル重合性単量体(a3)のビニル基
に結合するX~Xn-1以外の置換基である。このような置換基としては、例えば、O
、ハロゲン原子、COR、COOR、CN、CONR、NHCOR、又
はRなどが挙げられる。なお、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル
基、シクロアルキル基、環状エーテル基、アリール基又はヘテロアリール基等である。
Zは末端基である。末端基としては、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基
と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
nは(a1)成分の1分子中における単量体単位の数を意味する。nは、2~1000
0の整数であり、5~1000の整数が好ましく、10~500の整数がより好ましい。
(a1)成分の数平均分子量(Mn)は、300~30000が好ましく、500~2
0000がより好ましく、1000~10000がさらに好ましい。マクロモノマー(a
1)の数平均分子量が上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとな
る。
(a1)成分の質量平均分子量(Mw)は、500~100000が好ましく、100
0~50000がより好ましく、2000~30000がさらに好ましい。(a1)成分
の質量平均分子量が上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとなる
(a1)成分のMw/Mnは、1~5が好ましく、1.5~3がより好ましい。(a1
)成分のMw/Mnが上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとな
る。
なお、(a1)成分の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、それぞれ
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
(a1)成分は、公知の方法で製造したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよ
い。
(a1)成分の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法
(米国特許4680352号明細書等)、α-ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化
合物を連鎖移動剤として用いる方法(国際公開第1988/04304号)、重合性基を
化学的に結合させる方法(特開昭60-133007号公報及び米国特許5147952
号明細書等)、熱分解による方法(特開平11-240854号公報等)などが挙げられ
る。
(a1)成分の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数の高い触媒を使
用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。コバルト連鎖移動剤
は連鎖移動定数が高いため、少量の添加で分子量が制御された(a1)成分を得ることが
できる。
コバルト連鎖移動剤としては、公知のコバルト錯体が使用できる。
コバルト連鎖移動剤の使用量は、(a3)成分100質量部に対して、0.00001
~0.1質量部が好ましく、0.00005~0.05質量部がより好ましく、0.00
01~0.02質量部がさらに好ましい。
(A)成分の(B)成分への溶解性を向上し、硬化物の靭性と接着強度を高めることが
できる点から、(a1)成分の含有量は、(A)成分の総量100質量%に対して、1~
60質量%が好ましく、5~55質量%がより好ましく、10~50質量%がさらに好ま
しい。
ビニル系ラジカル重合性単量体(a2)としては、例えば、前記(a3)成分として挙
げた化合物が挙げられる。(a2)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
(a2)成分として、ホモポリマーの溶解性パラメーター(SP値)が、20.0(J
/cm1/2以上であるビニル系ラジカル重合性単量体を含有することが好ましく、
20.0~30.0(J/cm1/2であるビニル系ラジカル重合性単量体を含有す
ることがより好ましく、20.0~27.0(J/cm1/2であるビニル系ラジカ
ル重合性単量体を含有することがさらに好ましい。
ここで、ホモポリマーの「SP値」とは、下記式(2)で表されるFedorsの式(
R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14,(2),1974)によ
り求めた値をいう。
Figure 2023092511000003
式(2)において、δ(J/cm1/2は単量体(j)のSP値、ΔE(J/m
ol)は単量体(j)の凝集エネルギー密度、V(cm/mol)は単量体(j)のモ
ル体積、Δe(J/mol)は原子又は原子団の(i)の蒸発エネルギー、Δv(c
/mol)は原子又は原子団(i)のモル体積を示す。
ホモポリマーの溶解性パラメーター(SP値)が20.0(J/cm1/2以上の
ビニル系ラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、スチレン、(メタ)アクリル
酸、コハク酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2-(メタ)アクリロ
イルオキシエチル、フタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタ
ル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシ基を含有する(メタ)アクリ
レート、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート
等のアルキル基を有するメタクリレートおよびアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシ
ヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト等の水酸基を有する(メタ)アクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキ
シルアクリレート等のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート、フェニル(メタ
)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレング
リコール(メタ)アクリレート等のアリール基を有する(メタ)アクリレート、テトラヒ
ドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリレオイルモルフォリ
ン、2-メトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート等の
アルコキシ基を有するアクリレート等が挙げられる。
硬化物の靭性を優れたものにし、接着強度をより高めることができる点から、水酸基を
有する(メタ)アクリレート、アリール基を有する(メタ)アクリレート、アルコキシ基
を有するアクリレートが特に好ましい。
(A)成分の(B)成分への溶解性を向上し、硬化物の靭性と接着強度をより高めるこ
とができる点から、(a2)成分の含有量は、(A)成分の総量100質量%に対して、
40~99質量%が好ましく、45~95質量%がより好ましく、50~90質量%がさ
らに好ましい。
(A)成分及びマクロモノマー(a1)の製造は、例えば、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合、レドックス重合等の公知の方法で行うことができる。
(A)成分の質量平均分子量(Mw)は、1000~1000000が好ましく、10
000~800000がより好ましく、30000~600000がさらに好ましい。(
A)成分の質量平均分子量が上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なも
のとなる。
(A)成分の数平均分子量(Mn)は、500~300000が好ましく、1000~
100000がより好ましく、3000~50000がさらに好ましい。(A)成分の数
平均分子量が上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとなる。
(A)成分のMw/Mnは、1~10が好ましく、1.5~8がより好ましい。(A)
成分のMw/Mnが上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとなる

なお、(A)成分の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、それぞれゲ
ル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
<(B)成分>
(B)成分は、エポキシ樹脂である。
(B)成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型
エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、
ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキ
シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン
型エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、(B)成分としては、前記エポキシ樹脂のプレポリマーやポリエーテル変性エポ
キシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂のような前記エポキシ樹脂と他の重合体との共重
合体、及び前記エポキシ樹脂の一部がエポキシ基を有する反応性希釈剤で置換されたもの
を挙げることもできる。
反応性希釈剤としては、例えば、レゾルシングリシジルエーテル、t-ブチルフェニル
グリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ル、フェニルグリシジルエーテル、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、1-(3-グリシドキシプロピル)-1
,1,3,3,3-ペンタメチルシロキサン、N-グリシジル-N,N-ビス[3-(ト
リメトキシシリル)プロピル]アミン等のモノグリシジル化合物;2-(3,4)-エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のモノ脂環式エポキシ化合物などが挙
げられる。これら反応性希釈剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい
これらの中でも、液状で取り扱いやすい点と、ガラス転移点が高く硬化物の接着強度が
より高まる点で、(B)成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂が好ましい。
これら(B)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<(C)成分>
(C)成分は、(B)成分を硬化させるものであり、エポキシ樹脂組成物の硬化性及び
硬化物特性を調整するために用いられる。
(C)成分としては公知のものが使用でき、例えば、酸無水物、アミン化合物、フェノ
ール化合物、潜在性硬化剤等が挙げられる。
(C)成分の具体例としては、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチ
ルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、
トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセ
ンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリ
メリテート、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリ(エチルオクタデ
カン二酸)無水物等の酸無水物;2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2
,2,1]ヘプタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、
ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメ
タン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス
(4-アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメ
タン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジエチルトル
エンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)、4,4’
-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)のようなジアミノジフェニルスルホ
ン、ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、ビスアニリン、ジメチルアニリン、ト
リエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメ
チル)フェノール、ベンジルジメチルアニリン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミ
ノジフェニルメタン(MOCA)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,4’-ジ
アミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジ
フェニルメタン、2,2’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、2,
4-ジアミノフェノール、2,5-ジアミノフェノール、o-フェニレンジアミン、m-
フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、2,3-トリ
レンジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,5-トリレンジアミン、2,6-トリレ
ンジアミン、3,4-トリレンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエ
ンジアミン、ジシアンジアミド等のアミン化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾー
ルノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、及びこ
れらビスフェノール類のジアリル化物の誘導体等のフェノール化合物;カルボヒドラジド
、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸
ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラ
ジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘ
キサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコー
ル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラ
ジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6-ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’-ビスベ
ンゼンジヒドラジド、1,4-ナフトエ酸ジヒドラジド、アミキュアVDH、アミキュア
UDH(いずれも商品名、味の素株式会社製)、クエン酸トリヒドラジド等のヒドラジド
化合物などが挙げられる。
これらの中でも、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好なものにできる点から、(C
)成分としては、アミン化合物、ヒドラジド化合物が好ましく、ジシアンジアミド、ヒド
ラジド化合物がより好ましい。
これら(C)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<任意成分>
任意成分としてはとしては、例えば、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジ
メチルウレア(DCMU)、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾ
ール、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂のアダクト類、トリフェニルホスフィン、テト
ラフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等
の硬化促進剤;2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレ
ゾール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-
4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3
-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6
-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、トリエチルホスファイト、トリ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、
トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、
トリストリデシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイ
ト、ジヘキシルスルフィド、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシ
ル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート
、ジステリアル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(
β-ラウリルチオプロピオネート)等の酸化防止剤;シリコーンオイル、天然ワックス、
合成ワックス等の離型剤;ガラスビーズ、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム
、アルミナ、炭酸カルシウム等のフィラー;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、セル
ロースナノファイバー等の繊維;三酸化アンチモン等の難燃剤;ハイドロタルサイト、希
土類酸化物等のハロゲントラップ剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;シランカ
ップリング剤;消泡剤;レオロジー調整剤:顔料;染料などが挙げられる。
また、任意成分として、コアシェル構造を有するポリマーを加えても良い。コアシェル
構造を有するポリマーを加えることで、硬化物の靭性及び接着強度をさらに高めることが
できる。コアシェル構造を有するポリマーの構造は、コア層がジエン系ゴム重合体、アク
リル系ゴム重合体、及びオルガノシロキサン系ゴム重合体からなる群より選ばれる1種以
上であり、シェル層がビニル系重合体であることが好ましい。
ジエン系ゴム重合体としては、例えば、1,3-ブタジエンと、これと共重合しうるビ
ニル系単量体と、必要に応じて架橋性単量体とからなる共重合体が挙げられる。
コアシェル構造を有するポリマーは、(B)成分への配合のしやすさから、ラテックス
から水と乳化剤を除去し、エポキシ樹脂で置換した「コアシェル構造を有するポリマーの
エポキシ分散液」として取り扱うことが好ましい。
コアシェル構造を有するポリマーのエポキシ分散液としては市販品を用いてもよい。市
販品としては、株式会社カネカ製の商品名「カネエースMXシリーズ」などが挙げられる
。「カネエースMXシリーズ」の一例である「カネエースMX154」は、コア層がポリ
ブタジエンであり、シェル層がビニル系重合体であるコアシェルゴム(約40質量%)を
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(約60質量%)に単一粒子分散させた分散液である。
これら任意成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<含有量>
前記(A)~(C)成分の総質量を100質量%としたときの、各成分の好ましい含有
量は以下の通りである。
(A)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物を作業性が良好な低粘度としつつ、硬化物
の靭性と接着強度をより高めることができることから、1~60質量%が好ましく、5~
55質量%がより好ましく、10~50質量%がさらに好ましい。
(B)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物を作業性が良好な低粘度とすることができ
ることから、20~90質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましく、40~7
0質量%がさらに好ましい。
(C)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好なものとしつつ、硬化
物を得るのに充分な硬化性が得られることから、0.1~10質量%が好ましく、0.5
~9質量%がより好ましく、1~8質量%がさらに好ましい。
<製造方法>
エポキシ樹脂組成物の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を使用することができる
。例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、必要に応じて、任意成分とを同時
に混合してもよく、一部の成分(例えば、(A)成分と(B)成分)を予め混合し、その
混合物と残りの成分とを混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、自転・公転ミキサー、三本ロール、ニーダー等の公知の混
合機を用いることができる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させたものである。
エポキシ樹脂組成物の硬化方法としては特に限定されるものではなく、公知の手法を用
いることができ、例えば、熱硬化法が用いられる。
熱硬化法でエポキシ樹脂組成物を硬化させる場合、エポキシ樹脂組成物に含まれる(C
)成分の種類や量に応じて最適条件は異なるが、例えば50~250℃で0.1~10時
間程度の加熱条件により、エポキシ樹脂組成物を硬化することが好ましい。
[小角X線散乱測定]
本発明の硬化物は、小角X線散乱の散乱強度の最大値が0.01~9.30である。0
.02~8.00であることがより好ましく、0.04~7.00であることがさらに好
ましく、0.06~6.00であることが特に好ましい。散乱強度は、標準サンプル(グ
ラッシーカーボン)を用いて絶対散乱強度へ変換した実験散乱スペクトルIに対し、さら
に散乱ベクトルqの二乗をかけることで補正したIqプロファイルのピーク強度値を読
み取ることで求められる。散乱強度は、本発明の硬化物中において(A)成分に由来する
分離相の周期性及び相溶性を表す数値である。散乱強度の最大値を上記範囲内とすること
で、硬化物の接着強度を良好なものとできる。
また、本発明の硬化物は、小角X線散乱測定によって得られるドメイン間干渉散乱から
得られる構造周期が45.0nm以下であることが好ましく、20.0~45.0nmで
あることがより好ましく、30.0~44.0nmであることがさらに好ましく、35.
0~43.0nmであることが特に好ましい。構造周期は、qプロファイルのピーク位
置「qpeak」から「2π/qpeak」を計算することで求められる。構造周期は、
本発明の硬化物中において(A)成分に由来する分離相のドメイン間距離に依存する数値
である。構造周期を上記範囲内とすることで、硬化物の接着強度をさらに良好なものとで
きる。
<作用効果>
以上説明した本発明のエポキシ樹脂組成物は、上述した(A)成分、(B)成分及び(
C)成分を含み、該エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、小角X線散乱測定
によって得られる散乱強度の最大値(ピークトップ強度)が0.01~9.30の範囲に
あるため、常温及び低温において、優れた靭性を示し、高い接着強度を有する。
<用途>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、常温及び低温において、優れた靭性を示し、高い接着
強度を有する硬化物が得られることから、接着剤や成形材料及び繊維強化プラスチックと
して有用である。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の用途は上記に限定されるものではない。本発明の
エポキシ樹脂組成物は他の用途に用いることもでき、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂が使用される各種の用途に用いることができる。そのような用途の例としては、塗料
、コーティング剤、絶縁材料、封止剤等が挙げられる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物を含有する接着剤、成形材料及び繊維強化プラスチ
ックについて説明する。
[接着剤]
本発明の接着剤は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を含有する。
接着剤としては、例えば、自動車等の構造接着剤を含む車両用接着剤、土木・建築用接
着剤、電子材料用接着剤、一般事務用接着剤、医療器具用接着剤、工業用接着剤などが挙
げられる。
車両用接着剤としては、例えば、ヘミング用接着剤、ウエルドボンド用接着剤、マスチ
ック用接着剤、ダイレクトグレージング用接着剤、スポットシーラー、ボディーシーラー
、アンダーコートなどが挙げられる。
電子材料用接着剤としては、例えば、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダ
イボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、
異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤な
どが挙げられる。
これらの接着剤用途には、高い接着強度が求められる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させたものである。
エポキシ樹脂組成物の硬化方法としては特に限定されるものではなく、公知の手法を用
いることができ、例えば、熱硬化法が用いられる。
熱硬化法でエポキシ樹脂組成物を硬化させる場合、エポキシ樹脂組成物に含まれる(C
)成分の種類や量に応じて最適条件は異なるが、例えば50~250℃で0.1~10時
間程度の加熱条件により、エポキシ樹脂組成物を硬化することが好ましい。
[成形材料]
本発明の成形材料は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を含有する。
成形材料としては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られるシート、
フィルム等が挙げられる。成形方法としては、トランスファー成形や注型成形等の手法が
挙げられる。成形材料の用途としては、例えば、航空機部品、自動車部品、スポーツ用品
、建材、電子回路基盤、半導体封止材、光半導体用リフレクタなどが挙げられる。
これらの成形材料には、優れた靭性が求められる。
[繊維強化プラスチック]
本発明の繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Pla
stics)は、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維に本発明のエポキシ樹脂組成物を含侵し
たプリプレグを硬化したものである。
繊維強化プラスチックの用途としては、例えば、航空機部品、自動車部品、船舶部品、
スポーツ用品、建材、風力発電用ブレード、ガスタンク、ロボット、電子回路基盤などが
挙げられる。
これらの繊維強化プラスチックには、優れた靭性が求められる。また、含浸するエポキ
シ樹脂組成物には、繊維に対する高い接着強度が求められる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超え
ない限り、以下の実施例に制限されるものではない。以下の各例において、特に断りがな
い限り「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
[測定・評価方法]
<マクロモノマー(a1)の分子量の測定>
(a1)成分の分子量について、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC装置)(東ソー株式
会社製、製品名「HLC-8320」)を用い、以下のようにして測定した。
(a1)成分を濃度が0.2質量%になるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解
してTHF溶液(1)を調製した。
東ソー株式会社製のカラム(TSKgel SuperHZM-M(内径4.6mm、
長さ15cm)1本、HZM-M(内径4.6mm、長さ15cm)1本、HZ-200
0(内径4.6mm、長さ15cm)1本、TSKguardcolumn Super
HZ-L(内径4.6mm、長さ3.5cm)1本)が装着されたGPC装置に上記のT
HF溶液(1)10μLを注入し、流量:0.35mL/分、溶離液:安定剤としてジブ
チルヒドロキシトルエン(BHT)を含有するTHF、カラム温度:40℃の条件で測定
し、標準ポリスチレン換算にて質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出
した。
<(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量の測定>
(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量について、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC
装置)(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8320」)を用い、以下のようにして測
定した。
(メタ)アクリル系重合体(A)を濃度が0.2質量%になるようにテトラヒドロフラ
ン(THF)に溶解してTHF溶液(2)を調製した。
東ソー株式会社製のカラム(TSKgel SuperHZM-H(内径6.0mm、
長さ15cm)2本、TSKguardcolumn SuperHZ-H(内径4.6
mm、長さ3.5cm)1本)が装着されたGPC装置に上記のTHF溶液(2)10μ
Lを注入し、流量0.5mL/分、溶離液:安定剤としてBHTを含有するTHF、カラ
ム温度:40℃の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて質量平均分子量(Mw)及び
数平均分子量(Mn)を算出した。
<靭性、接着強度の評価>
幅25mm×長さ150mm×厚み0.5mmの鋼板(株式会社エンジニアリングテス
トサービス製、商品名「JISG3141SPCC-SP」)の片面の長さ方向の一端か
ら50mmまでの部分を掴みしろとし、残りの部分にエポキシ樹脂組成物を塗布した。同
様の大きさのもう一枚の鋼板を、エポキシ樹脂組成物塗付面に貼り合せ、エポキシ樹脂組
成物層の厚みが一定となるように固定し、180℃で30分間加熱することでエポキシ樹
脂組成物を硬化させて積層体を得た。得られた積層体の側面からはみ出したエポキシ樹脂
組成物の硬化物を削り取り、2枚の鋼板それぞれの掴みしろ部分を外側へ向かって直角に
90°折り曲げて、T字型の試験片を得た。
精密万能試験機(株式会社島津製作所製、製品名「オートグラフAGX-10kNVD
、ロードセル1kN)を用いて、得られた試験片の掴みしろ部分を上下に保持し、200
mm/分の条件で剥離強度を測定した。測定は、23℃および-40℃で実施した。最初
の25mmと最後の25mmを除いた荷重の平均値をT型剥離強度とした。3つの試験片
についてT型剥離強度を測定してその平均値を求め、接着強度を評価した。T型剥離強度
が高いほど、接着強度に優れることを意味する。また、T型剥離強度が高いほど、靭性に
優れることを意味する。
<小角X線散乱測定(SAXS)>
エポキシ樹脂組成物を180℃で30分間加熱することで厚み約1mmの平板状の硬化
物を得た。小角X線散乱装置(AntonPaar社製、製品名「SAXSpoint
2.0 System」)を用いて、得られた硬化物のSAXSプロファイルを取得した
。X線としてCuKα線(波長1.54Å)を用い、サンプルから二次元検出器までの距離
を1075mmに設定、測定環境は真空として露光時間30分の測定を3回積算した。測
定より得られた二次元散乱プロファイルに対してビームストッパーを除いた範囲で円環平
均することで、横軸を散乱ベクトルq(nm-1)、縦軸を散乱強度とする一次元散乱プ
ロファイルを得た。また、バックグラウンドとしてセルにサンプルをセットしていない状
態の一次元散乱プロファイルも同様にして取得した。各サンプルの一次元散乱プロファイ
ルからバックグラウンドの一次元散乱プロファイルを露光時間(秒)で除し、透過率補正し
て差し引くことで、バックグラウンド補正後の1次元散乱プロファイルを得た。
次に、標準サンプルであるグラッシーカーボンを同様の条件で測定し、サンプルと同様
の処理を実施することでバックグラウンド補正後のグラッシーカーボンの一次元散乱プロ
ファイルを取得した。この一次元散乱プロファイルをグラッシーカーボンの厚みで除し、
単位厚み、単位時間当たりの散乱プロファイルSTを取得した。アメリカ国立標準技術研
究所(Nist)から公開されているグラッシーカーボンの絶対散乱強度を前記散乱プロフ
ァイルSTで除し、0.1nm-1≦q≦1nm-1の範囲における各qに対する係数値
を平均化することで絶対散乱強度補正するためのスケールファクターを取得した。
次に、各サンプルのバックグラウンド補正後の一次元散乱プロファイルを各サンプルの
厚みで除し、単位厚み、単位時間当たりの散乱強度に補正し、前記の方法で得たスケール
ファクターを乗ずることで絶対散乱強度I(cm-1)を得た。
上記の方法で得られた絶対散乱強度Iに散乱ベクトルq(nm-1)の二乗をかけるこ
とで、横軸を散乱ベクトルq(nm-1)、縦軸をIqとする一次元散乱プロファイル
を得た。このプロファイルより確認できるドメイン間干渉散乱の一次ピークより、散乱強
度の最大値と構造周期(nm)を算出した。なお、構造周期は2π/(散乱強度が最大値
となるqの値)より求めた。
[分散剤]
<合成例1:分散剤(1)の合成>
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水900
部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及び
メタクリル酸メチル(MMA)12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、
50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピ
オンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、さらに60℃に昇温した。昇温後、滴下ポ
ンプを使用して、MMAを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液
を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散
剤(1)を得た。
[連鎖移動剤]
<合成例2:連鎖移動剤(1)の合成>
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.
00g及びジフェニルグリオキシム1.93g、予め窒素バブリングにより脱酸素したジ
エチルエーテル80mLを入れ、室温で30分間撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエ
チルエーテル錯体10mLを加え、さらに6時間撹拌した。混合物をろ過し、固体をジエ
チルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体である連鎖移動剤(1)2.
12gを得た。
<製造例1:マクロモノマー(a1-1)の製造>
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水145
部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤(1)(固形分10%)0.25部を入れて撹拌
し、均一な水溶液とした。次に、ビニル系ラジカル重合性単量体(a3)としてMMA5
0部及びグリシジルメタクリレート(GMA)50部、連鎖移動剤(1)0.0040部
及び重合開始剤として1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキ
サノエート(日油株式会社製、商品名「パーオクタO」)2部加え、水性懸濁液とした。
次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して3.5時間反応し、さらに重合率を
上げるため、90℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マ
クロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をフィルタで濾過し、フィルタ上
に残った残留物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノ
マー(a1-1)を得た。
得られたマクロモノマー(a1-1)の分子量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2023092511000004
表1中の略号は以下の通りである。
・MMA:メチルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名「アクリエステルM」)。
・GMA:グリシジルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名「アクリエステルG」)

・連鎖移動剤(1):合成例2で合成した連鎖移動剤。
・パーオクタO:1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノ
エート(日油株式会社製、商品名「パーオクタO」)。
<製造例2:(メタ)アクリル系重合体(A-1)の製造>
撹拌装置、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、初期仕込み
溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)45部、イソプロピルアルコール10部、(
a1)成分として、マクロモノマー(a1-1)20部を入れ、窒素ガス通気下で外温を
85℃に昇温した外温が85℃に達し、内温が安定した後、MEK20部と、(a2)成
分として2-メトキシエチルアクリレート40部、n-ブチルアクリレート40部、重合
開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:「ナイパーBMT-
K40」)0.13部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持し
た後、重合開始剤として1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘ
キサノエート(日油株式会社製、商品名「パーオクタO」)0.5部及びMEK10部か
らなる混合物を1時間かけて添加した。その後、2時間保持した後、固形分((モノマー
+溶剤仕込み量)中のモノマー仕込み量の割合)が50%になるようにMEKを添加した
後、室温まで冷却して(メタ)アクリル系重合体(A-1)溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系重合体(A-1)の分子量を測定した。結果を表2に示す
<製造例3~11:(メタ)アクリル系重合体(A-2)~(A-10)の製造>
(a1)および(a2)成分の種類と配合量及び、初期仕込み溶剤の種類と配合量を表
2に示す値に変更した以外は、製造例2と同様にして(メタ)アクリル系重合体(A-2
)~(A-10)の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系重合体(A-2)~(A-10)の分子量を測定した。結
果を表2に示す。
Figure 2023092511000005
表2中の略号は以下の通りである。
・a1-1:製造例1で製造したマクロモノマー。
・2-MTA:2-メトキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「2-
MTA」)、SP値=20.78。
・4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(新菱製、商品名「4HBA」)、SP
値=26.57。
・n-BA:n-ブチルアクリレート、SP値=19.98。
・2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート、SP値=18.86。
・PO-A:フェノキシエチルアクリレート(Miwon社製、商品名「Miramer
M140」)、SP値=21.53
・EC-A:エトキシジエチレングリコールアクリレート(共栄社化学製、商品名「ライ
トアクリレートEC-A」)、SP値=20.09
・MEK:メチルエチルケトン。
・IPA:イソプロピルアルコール。
[実施例1]
製造例2で得られた(メタ)アクリル系重合体(A-1)溶液100部に、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER828」)50部を混
合し、真空乾燥機を用いてMEK及びIPAを減圧留去することで、(メタ)アクリル系
重合体(A-1)を50部含有する(メタ)アクリル系重合体含有エポキシ樹脂を得た。
混合容器に、(A)成分及び(B)成分として(メタ)アクリル系重合体含有エポキシ樹
脂60部(内訳:(メタ)アクリル系重合体(A-1)が30部、jER828が30部
)と、(B)成分としてjER828を20部、(C)成分としてジシアンジアミド(三
菱ケミカル株式会社製、商品名「DICY7」)4部と、硬化促進剤として3-(3,4
-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名
「DCMU」)0.8部と、フィラーとして炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製
、商品名「ホワイトンB」)15.2部及びガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株
式会社製、商品名「J-100」)0.8部を加え、撹拌脱泡装置(株式会社シンキー製
、製品名「あわとり練太郎」)を用いて混合して、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、接着強度の評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例2~8、比較例1~2]
(A)成分の種類および、各成分の配合量を表3に示に変更した以外は、実施例1と同
様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、接着強度の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2023092511000006
表3中の略号は以下の通りである。
・A-1~A-10:製造例2~11で製造した(メタ)アクリル系重合体(A)。
・jER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「
jER828」)。
・DICY:ジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製、商品名「DICY7」)。
・DCMU:3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(保土ヶ谷化
学工業株式会社製、商品名「DCMU」)。
・ホワイトンB:炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、商品名「ホワイトンB」
)。
・J-100:ガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製、商品名「J-10
0」)。
表3から明らかなように、実施例1~8で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、2
3℃および-40℃の接着強度に優れていた。
一方、各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、23℃および-40℃の接
着強度に劣っていた。
本発明のエポキシ樹脂組成物からは、常温及び低温において、靭性及び接着強度に優れ
る硬化物が得られるので、本発明のエポキシ樹脂組物は、例えば、自動車等の車両用接着
剤、土木・建築用接着剤、電子材料用接着剤、一般事務用接着剤、医療用接着剤、工業用
接着剤等の接着剤、成形材料、繊維強化プラスチックなどとして有用である。

Claims (10)

  1. マクロモノマー(a1)由来の構成単位およびビニル系ラジカル重合性単量体(a2)
    由来の構成単位を含有する(メタ)アクリル系重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び硬
    化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物を硬化して
    得られる硬化物の小角X線散乱の散乱強度の最大値が0.01~9.30であるエポキシ
    樹脂組成物。
  2. 前記硬化物の小角X線散乱測定によって得られるドメイン間干渉散乱から得られる構造
    周期が45.0nm以下である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記ビニル系ラジカル重合性単量体(a2)として、ホモポリマーの溶解性パラメータ
    ー(SP値)が20.0(J/cm1/2以上のビニル系ラジカル重合性単量体由来
    の構成単位を含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記マクロモノマー(a1)が、ビニル系ラジカル重合性単量体(a3)由来の構成単
    位を有する、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記マクロモノマー(a1)が、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートを構成
    単位として含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記マクロモノマー(a1)が、下記式(1)で表される構造を有する、請求項1に記
    載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2023092511000007
    (式(2)中、X~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCH
    Hであり、Y~Yは、それぞれ独立して、ビニル系ラジカル重合性単量体(a3)の
    ビニル基に結合するX~Xn-1以外の置換基であり、Zは末端基であり、nは2~1
    0000の整数である。)
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有する接着剤。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
  9. 請求項8に記載の硬化物を含有する成形材料。
  10. 請求項8に記載の硬化物を含有する繊維強化プラスチック。
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