JP4909581B2 - 有機el素子のシール方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐透湿性、接着性に優れ、生産性が良好な有機ELシール材に関するものである。
近年、電子、電気業界において種々の表示素子を利用したフラットパネルディスプレイの開発、製造が行われている。これらのディスプレイの多くはガラスやプラスチックなどのセルに表示素子を封止したものである。その代表として、液晶(LC)ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等が挙げられる。それらの中でELディスプレイは、高輝度、高効率、高速応答性などの点で優れ、次世代のフラットパネルディスプレイとして注目を集めている。素子には、無機EL素子、有機EL素子があり、無機EL素子は時計のバックライト等で実用化されているが、フルカラー化にはまだ技術的課題があるとされている。有機EL素子は、高輝度、高効率、高速応答性、多色化の点で無機EL素子より優れており、カーオーディオの表示部や携帯電話用モニターなどで実用化されている。有機EL素子は水分によって劣化が進むことが知られており、実用的には特許文献1に示されるような、ガラスなど透明な基板上に形成された有機EL素子をガラスや金属の封止缶で封止する構造が採用されている。この構造では、透明基板と封止缶を接着するためのシール材が用いられる。有機EL用シール材は、有機EL素子の耐熱性が低いため、その耐熱温度である80〜120℃もしくはそれ以下の温度で硬化する熱硬化タイプのシール材、もしくは室温で硬化できる光硬化タイプのシール材が用いられている。
一方、最近では有機ELの更なる高性能化とコストダウンを目的として、特許文献2に示されるように、有機EL素子に直接、または無機薄膜などの保護層を介して封止用樹脂で覆ってしまう構造が検討され始めている。この構造を、全固体封止方式、あるいは全面封止方式などと呼ぶ。この構造では、従来一般的に使用されているUV硬化型の有機EL用シール材を用いると、全面に塗布されたシール材を硬化するためには有機EL素子にもUV光が照射されてしまうため、封止したときに有機EL素子の劣化が生じてしまう恐れがある。そのため、有機EL素子に影響が無い程度の低温硬化性で、かつ耐透湿性・接着性に優れた有機EL用シール材が求められている。また、基板同士を貼り合わせる作業を行う場合、シール材の粘度が高すぎる場合は所定の厚みまでシール材を押し広げるのに強い力が必要になり、有機EL素子に物理的な負荷がかかるため、好ましくない。逆に粘度が低すぎると、作業時に所定の範囲からシール材が流れ出てしまい、封止が困難になる。
また、特許文献1に示される構成の有機ELの場合は、通常有機EL素子の形成されている基板側から光を取り出して表示していたが、特許文献2に示される構成の有機ELの場合、封止板側から光を取り出す方式が検討されている。有機EL素子の形成されている基板から表示する方法は、下方光取り出し方式、あるいはボトムエミッション方式などと呼び、それに対して封止板側から表示する方法を上方光取り出し方式、あるいはトップエミッション方式などと呼ぶ。トップエミッション方式の場合、封止板を含め、光を取り出す側の部材は透明であることが求められ、シール材についても可視光領域で高い光線透過率を有することが必要となる。現在、これらの要求を満たすような、有機ELの全面封止に適したシール材が求められている。
特開平11−45778号公報 特開2002−216950号公報
本発明の目的は、有機EL素子に影響が無い程度の低温硬化性で、耐透湿性が良好で、接着性に優れ、作業性が良好な全面封止に適した有機ELシール材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、(A)エポキシ基を分子内に少なくとも1個含有する化合物100重量部に対し、(B)酸無水物硬化剤50〜1000重量部、(C)硬化促進剤0.01〜20重量部を含有し、粘度が100〜10000mPa・sの範囲にあることを特徴とする有機ELシール材を見出した。
また、(B)成分の中に、(B−1)酸無水物を分子内に少なくとも1個含有するポリマーを50〜1000重量部含有することが好ましい。さらに、このシール材は(D)シランカップリング剤、(E)無機微粒子フィラーを含有していても良い。また、前記シール材を用いたシール方法であり、このシール材を用いて得られた有機ELディスプレイである。
本発明により、有機EL素子に影響が無い程度の低温硬化性で、耐透湿性が良好で、接着性に優れ、作業性の良好な全面封止に適した有機EL用シール材を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[(A)エポキシ基を分子内に少なくとも1個含有する化合物]
本発明における(A)エポキシ基を分子内に少なくとも1個含有する化合物は、官能基としてエポキシ基を1分子中に少なくとも1個含有する化合物を使用する。(A)成分の具体的な例として次の化合物が挙げられる。フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチルジエチレングリコールグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエングリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルグリシジルエーテル等の1官能性エポキシ化合物、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル等の2官能性エポキシ化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。
また、エポキシ基を含有するポリマーも(A)成分として使用可能である。ポリマーにエポキシ基を導入する方法について本発明では制限するものではないが、例えば、エポキシ基を有するビニルモノマーなどを重合してポリマーとする方法が挙げられる。エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基を有するビニルモノマーなどと、他のビニルモノマーなどの共重合体でも良い。他のビニルモノマーの例としては、(メタ)アクリレート類が挙げられる。この(メタ)アクリレート類のエステル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボロニル基、ラウリル基、ミリスチル基等の直鎖状、分岐構造を問わず、非官能性アルキルエステルを有する物が好ましい。また、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等、(メタ)アクリレート類と共重合可能な物は、エポキシ基を含有するポリマーを構成する単量体として用いる事ができる。
以上に挙げたエポキシ基を有するビニルモノマーと、他のビニルモノマーなどを有機過酸化物やアゾ化合物をラジカル重合開始剤として用いることにより,有機溶剤中でラジカル重合することによりエポキシ基含有ポリマーが得られる。そのまま用いても構わないが、このポリマーを含む樹脂溶液から有機溶剤分を脱溶剤することによって用いることも可能である。また、エポキシ基含有ポリマーを得る他の方法としては、反応性官能基を有しないポリマーの側鎖を化学修飾してエポキシ基を形成する方法、重合開始剤や連鎖移動剤等にエポキシ基を有するものを用いてポリマーを重合する方法などが挙げられる。
本発明に用いるエポキシ基含有ポリマーのGPCによる重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、特に規定するものではなく、本発明の有機EL用シール材を形成する他の成分に相溶するものであれば良いが、好ましくは重量平均分子量で500〜50,000である。
また、この(A)成分の中には、脂環式エポキシ基を分子内に少なくとも1個含有する化合物も使用可能である。具体的には、下記式[化1]、[化2]、[化3]、[化4]で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0004909581
[化1]中、R1は酸素原子、硫黄原子や、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状あるいは分枝状の炭素原子数1〜20のアルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状あるいは分枝状の炭素原子数1〜120のポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状あるいは分枝状の不飽和炭素水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、分子鎖の途中にカルバモイル基を含むアルキレン基である。
Figure 0004909581
Figure 0004909581
[化3]中、R1は、水素原子、弗素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6個のアルキル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基等の炭素原子数1〜6個のフルオロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜18のアリール基、フリル基またはチエニル基である。R1は互いに同じでも異なっていてもよい。
Figure 0004909581
[化4]中、R1は、水素原子、弗素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6個のアルキル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基等の炭素原子数1〜6個のフルオロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜18のアリール基、フリル基またはチエニル基である。R1は、互いに同じでも異なっていてもよい。R2は、酸素原子、硫黄原子や、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状あるいは分枝状の炭素原子数1〜20のアルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状あるいは分枝状の炭素原子数1〜120のポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状あるいは分枝状の不飽和炭素水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、分子鎖の途中にカルバモイル基を含むアルキレン基である。
また、これら[化2]〜[化5]の化合物の炭素−水素結合の水素原子の一部または全部を弗素置換した化合物を使用することも可能である。より具体的には、ビスフェノールAグリシジルエーテル中のメチル基の水素計6個を弗素置換した化合物(ビスフェノールAFジグリシジルエーテル)、ビスフェノールAのメチル基の水素計6個を弗素置換した化合物とエポキシ化合物との反応物等が挙げられる。
[(B)酸無水物硬化剤]
本発明の(B)酸無水物硬化剤は、有機EL素子の耐熱温度である80〜120℃もしくはそれ以下の温度で硬化可能なものを用いることが望ましい。具体的な例としては、無水フタル酸やテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸などの酸無水物系硬化剤である。
更に、この(B)成分の中には(B−1)酸無水物を分子内に少なくとも1個含有するポリマーも使用可能である。ポリマー中に酸無水物基を導入する方法について本発明では制限するものではないが、例えば、酸無水物基を有するビニルモノマーなどを重合してポリマーとする方法が挙げられる。酸無水物基を有するビニルモノマーなどの例としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸、4−メタクリル酸エチル無水トリメリット酸エステル等分子中に酸無水物基とビニル基を有する化合物等が挙げられる。また、酸無水物基を有するビニルモノマーなどと、他のビニルモノマーなどとの共重合体でも良い。他のビニルモノマーの例としては、(メタ)アクリレート類が挙げられる。この(メタ)アクリレート類のエステル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボロニル基、ラウリル基、ミリスチル基等の直鎖状、分岐構造を問わず、非官能性アルキルエステルを有する物が好ましい。また、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等、酸無水物基を有するビニルモノマー類と共重合可能な物は、酸無水物基を含有するポリマーを構成する単量体として用いる事ができる。
以上に挙げた酸無水物基を有するビニルモノマーと、他のビニルモノマーなどを有機過酸化物やアゾ化合物をラジカル重合開始剤として用いることにより,有機溶剤中でラジカル重合することにより酸無水物基を含有するポリマーが得られる。そのまま用いても構わないが、このポリマーを含む樹脂溶液から有機溶剤分を脱溶剤することによって用いることも可能である。
また、酸無水物基含有ポリマーを得る他の方法としては、酸無水物基を有しないポリマーの主鎖、側鎖もしくは末端を化学修飾してエポキシ基を形成する方法、重合開始剤や連鎖移動剤等に酸無水物基を有するものを用いてポリマーを重合する方法などが挙げられる。本発明に用いる酸無水物基含有ポリマーのGPCによる重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、特に規定するものではなく、本発明の有機EL用シール材を形成する他の成分に相溶するものであれば良いが、好ましくは重量平均分子量で500〜50,000である。この(B−1)酸無水物を分子内に少なくとも1個含有するポリマーは、他の酸無水物と併用することができる。
本発明の樹脂組成物におけるこれら(B)硬化剤の成分の含有割合は、前記(A)成分との化学量論量前後で用いることが好ましく、(A)100重量部に対して、通常50〜1000重量部となる。また、(B−1)酸無水物を分子内に少なくとも1個含有するポリマーを使用する場合は、(B)成分中に、硬化性の点で50〜1000重量部含有することが好ましい。
[(C)硬化促進剤]
一般的に酸無水物を用いた硬化系では硬化温度が150℃程度と高く、有機EL用シール剤としてはより低温での硬化が望まれる。そこで本発明では、(C)硬化促進剤を併用することにより硬化性を向上し、有機EL素子の耐熱温度である80〜120℃程度で硬化可能なシール剤を実現している。本発明の硬化促進剤は、ベンジルジメチルアミンや2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第三アミン化合物、2−メチルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物などを用いることが出来るが、その他ルイス塩基化合物ならば使用することが出来る。
本発明の樹脂組成物におけるこれら(C)硬化促進剤の成分の含有割合は、硬化促進剤の反応性などを考慮して決定するが、前記(A)100重量部に対して、通常0.01〜20重量部が好ましい。0.01重量部未満ではシール材の硬化性が悪く、20重量部を超えるとポットライフが無くなり作業性が悪くなる。
[(D)カップリング剤]
本発明の有機EL用シール材には、基材との界面密着性を向上させるために、任意成分(D)カップリング剤を添加することが出来る。カップリング剤としては、例えば下記
[化7](RO)-Si-R
[化8](RO)-Ti-R
で表される化合物を使用することが可能である。
[化7]、[化8]中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキレン基である。Rは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状あるいは分枝状の炭素原子数1〜20のアルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状あるいは分枝状の炭素原子数1〜120のポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状あるいは分枝状の不飽和炭素水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、分子鎖の途中にカルバモイル基を含むアルキレン基、フェニル基である。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキレン基、グリシジルエーテル基。1級アミン、チオール基、ビニル基、イソシアネート基である。また、これらカップリング剤の炭素−水素結合の水素原子の一部または全部を弗素置換している材料を使用することが可能である。好ましくは、メチレン基およびまたはメチル基の水素を弗素で置換した材料を使用する。
本発明の樹脂組成物における(D)カップリング剤の成分の含有割合は、前記(A)100重量部に対して、0〜30重量部が好ましい。
[(E)微粒子無機フィラー]
本発明の有機EL用シール材には、任意成分(E)微粒子無機フィラーを添加することが出来る。微粒子無機フィラーとは、一次粒子の平均径が0.005〜10μmの無機フィラーである。具体的には、シリカ、タルク、アルミナ、ウンモ、炭酸カルシウム等が挙げられる。微粒子無機フィラーは、表面未処理のもの、表面処理したものともに使用できる。表面処理した微粒子無機フィラーとして、例えば、メトキシ基化、トリメチルシリル基化、オクチルシリル基化、又はシリコーンオイルで表面処理した微粒子無機フィラー等が挙げられる。これらの成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の樹脂組成物における(E)微粒子無機フィラーの成分の含有割合は、シール材に要求される透明性や粘度によって調整する必要があるが、前記(A)100重量部に対して、0〜500重量部含有することにより、耐透湿性、接着力、揺変性付与等に効果が得られる。
[その他添加物]
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲においてその他樹脂成分、充填剤、改質剤、安定剤等その他成分を含有させることができる。
<他の樹脂成分>
他の樹脂成分としては、たとえば、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジェン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジェン−スチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー等が挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
<充填剤>
充填剤としては、たとえば、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等が挙げられる。
これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
<改質剤>
改質剤としては、たとえば、重合開始助剤、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤等が挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
<安定剤>
安定剤としては、たとえば、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
[樹脂組成物の調整]
本発明の全面封止に適した有機ELシール材は、各組成物を均一に混合するように調製する。粘度は樹脂の配合比やその他の成分の添加により調整できる。その粘度は全面封止に適した作業性の観点から、100〜10000mPa・sの範囲にあることを特徴とする。好ましくは、500〜8000mPa・sの範囲である。ここで粘度測定は25℃でE型粘度計(東機産業製 RC−500)によって測定されたものである。
前記各原料を混合し、シール材組成物を得る際に、トップエミッション方式で用いるシール材の場合、可視光領域で高い透明性が要求される。シール材を透明にするためには、各原料に着色の無いものを選択して用い、微粒子無機フィラーを用いる場合にはエポキシ樹脂など有機成分と屈折率を合わせたり、無機微粒子フィラーの粒径を可視光の波長よりも十分に小さくしたりすることで光散乱をなくし、透明性を確保すればよい。
[シール方法]
本発明のシール材は、基板上に形成された有機EL素子上に直接、または無機薄膜などの保護膜を介して有機EL素子全面を覆うように硬化物を形成して用いる全面封止用有機ELシール材に好適である。シール材のディスプレイ基材への塗布方法は、均一にシール材が塗布できれば塗布方法に制限はない。例えばスクリーン印刷やディスペンサーを用いて塗布する方法等公知の方法により実施すればよい。また、樹脂製フィルムやガラス板、金属板など防湿性に優れた板状の部材を封止板として用い、ディスプレイ基板と封止板の間にシール材を充填する形態で使用することも可能である。シール剤を塗布後、加熱してシール剤を硬化させる。硬化条件としては、例えば100℃の恒温槽内で1時間保管することで硬化する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<原材料>
成分(A)エポキシ基を分子内に少なくとも1個含有する化合物;ビスフェノールFジグリシジルエーテル(商品名EXA−830LVP、大日本インキ工業(株)製)、フェノールノボラックエポキシ(商品名YDPN638、東都化成(株)製)成分(B)酸無水物硬化剤;ヒドロメチル無水フタル酸(商品名エピキュアYH300、ジャパンエポキシレジン(株)製)成分(B−1)酸無水物を分子内に少なくとも1個含有するポリマー;以下の製造例により得られた酸無水物基含有ポリマーを用いた。
[製造例1]
窒素下において、撹拌機、温度計、還流冷却機、滴下槽などを備えた内容量2Lのアクリル樹脂組成物製造装置に、キシレン340.0gを仕込んだ後、重合温度の135℃まで昇温した。ここに、ラジカル重合性モノマーとして無水マレイン酸175g、スチレン325g、ラジカル開始剤としてターシャルブチル2−エチルヘキサノエーテト20gを混合した物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間135℃で攪拌を続けた。続いて、この製造装置を真空にする事により、キシレンと残存モノマーを留去し、成分(B−1)の酸無水物基含有ポリマーを得た。
[製造例2、3]
ラジカル重合性モノマー量とラジカル開始剤量を変更した以外は製造例1と同様に行った。
以下、表1に示す。
Figure 0004909581
[実施例1]
(樹脂組成物の調製)
表2に示す配合処方により、エポキシ基を分子内に少なくとも1個含有する化合物、酸無水物硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、微粒子無機フィラー、反応性官能基含有(メタ)アクリルポリマーを3本ロールで混練することにより、液状組成物を得た。
この樹脂組成物につき、各種の評価を行い、その結果を表2に示す。
[実施例2〜6、比較例1,2]
表2に示す組成の成分を表2に示す量で用いた以外は、実施例1と同様にして、表2に示す配合処方により樹脂組成物を調製し、各種の評価を行い、その結果を表2に示す。
<測定法>
得られた有機EL用シール材及び硬化物について以下の評価を行った。
(粘度)
樹脂組成物の粘度を25℃でE型粘度計(東機産業製 RC−500)によって測定した。
(硬化性)
硬化性は、ガラス板に樹脂組成物を膜厚100μmで塗布し、100℃恒温槽内に1時間保管した後の硬化状態を指触により評価した。
○:硬化、△:一部硬化、×:未硬化
(フィルム透湿量)
JIS Z0208に準じてシール材硬化物フィルム(厚み100μm)の透湿量を40℃90%RH条件で測定した。
(接着強度)
接着強度は、1枚のガラス板に対し、ガラス板を組み合わせて樹脂組成物(厚み20μm)ではさみ、加熱硬化して接着させた。これら2枚の基材を引き剥がすときの接着強度を引っ張り速度は2mm/minで測定した。
(作業性)
作業性とは、基板を貼りあわせる際に必要な時間で評価した。具体的には、0.2cmのシール材をガラス板上に滴下し、その上に40mm×45mm×1mmのガラス板をのせた際に、直径40mmの円状に広がるまでの時間を測定した。
○:30秒未満、△:30秒以上〜60秒未満、×:60秒以上
実施例及び比較例について、各評価結果を表2に示す。
Figure 0004909581
成分(C)硬化促進剤;2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール(商品名アミキュア3010、ジャパンエポキシレジン(株)製)成分(D)シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトシキシラン(商品名SH6040、東レダウ・コーニングシリコーン(株)製)成分(E)微粒子無機フィラー;微粒子タルク(商品名SG−2000、日本タルク(株)製)。
耐透湿性に優れ、様々な被着体に対する良好な接着強度が得られるため、電子材料分野をはじめとする様々な分野に使用が可能である。

Claims (6)

  1. (A)エポキシ基を分子内に少なくとも1個含有する化合物100重量部に対して
    (B)酸無水物硬化剤50〜1000重量部
    (C)硬化促進剤0.01〜20重量部
    を含有し、25℃における粘度が1550〜8000mPa・sの範囲にある有機ELシール材を、
    基板上に形成された有機EL素子上に直接、または保護膜を介して有機EL素子全面を覆うようにスクリーン印刷法により塗布し、前記有機ELシール材の硬化物を形成して全面封止をすることを特徴とする有機EL素子のシール方法。
  2. 前記有機ELシール材は、前記(B)中に、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び無水メチルナジック酸からなる群から選ばれる、少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のシール方法。
  3. 前記有機ELシール材は、前記(B)が、(B−1)無水イタコン酸、無水マレイン酸、及び4−メタクリル酸エチル無水トリメリット酸エステルからなる群から選ばれる、少なくとも1種を単量体として含むポリマーからなることを特徴とする請求項1に記載のシール方法。
  4. 前記有機ELシール材は、前記(A)100重量部に対して、(D)シランカップリング剤を0〜30重量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシール方法。
  5. 前記有機ELシール材は、前記(A)100重量部に対して、(E)無機微粒子フィラーを0〜500重量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシール方法。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のシール方法で得られる有機ELディスプレイ。
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