JP7230079B2 - アゾ化合物又はその塩及びこれを含有する偏光膜 - Google Patents

アゾ化合物又はその塩及びこれを含有する偏光膜 Download PDF

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Description

本発明は、新規なアゾ化合物又はその塩、及びこれを含有する偏光膜等に関する。
偏光膜(偏光素子)は一般に、二色性色素であるヨウ素又は二色性染料をポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向させることにより製造されている。この偏光膜に接着剤層を介してトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを貼合して得られる偏光板は、液晶表示装置などに用いられる。二色性色素としてヨウ素を用いた偏光板はヨウ素系偏光板と呼ばれ、一方、二色性色素として二色性染料、例えば二色性を有するアゾ化合物を用いた偏光板は染料系偏光板と呼ばれる。これらのうち染料系偏光板は、高耐熱性、高湿熱耐久性、及び高安定性を有し、また、色素の配合による色の選択性が高いという特徴がある一方で、同じ偏光度を有するヨウ素系偏光板と比較して透過率及びコントラストが低いという問題があった。このため高い耐久性を維持し、色の選択性が多様であることに加え、より高い透過率で、高い偏光特性を有する偏光膜が望まれている。
光の透過・遮へい機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)等の表示装置の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も初期の頃の電卓及び時計等の小型機器から、ノートパソコン、ワープロ、液晶プロジェクター、液晶テレビ、カーナビゲーション、及び屋内外の情報表示装置、計測機器等が挙げられる。また偏光機能を有するレンズへの適用も可能であり、視認性の向上したサングラスや、近年では3Dテレビなどに対応する偏光メガネなどへの応用がなされている。また、ウェアラブル端末をはじめとする身近な情報端末への応用・実用化もされている。以上のような偏光板の用途が広範囲に広がっているため、使用条件も低温~高温、低湿度~高湿度、低光量~高光量の幅広い条件で使用されることから、偏光性能が高くかつ耐久性に優れた偏光板が求められている。
現在、偏光膜は、延伸配向したポリビニルアルコ-ル又はその誘導体のフィルム、あるいは、ポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸又はポリビニルアルコール系フィルムの脱水によりポリエンを生成して配向せしめたポリエン系のフィルムなどの偏光膜基材に、二色性色素としてヨウ素や二色性染料を染色乃至は含有せしめて製造される。これらのうち、二色性色素としてヨウ素を用いたヨウ素系偏光膜は、偏光性能には優れるものの、水及び熱に対して弱く、高温、高湿の状態で長時間使用する場合にはその耐久性に問題がある。耐久性を向上させるためにホルマリン、あるいは、ほう酸を含む水溶液で処理したり、また透湿度の低い高分子フィルムを保護膜として用いる方法などが考えられているがその効果は十分とはいえない。一方、二色性色素として二色性染料を用いた染料系偏光膜はヨウ素系偏光膜に比べ、耐湿性及び耐熱性は優れるものの、一般に偏光性能が十分でない。
染料系偏光膜の製造に用いられる染料としては、例えば特許文献1から特許文献5に記載されている水溶性アゾ化合物が知られている。
高分子フィルムに数種の二色性染料を吸着・配向させてなる中性色(以下、「ニュートラルグレー」とも称する。)の偏光膜において、2枚の偏光膜をその配向方向が直交するように重ね合わせた状態(直交位)で、可視光領域の波長領域における特定波長の光漏れ(色漏れ)があると、偏光膜を液晶パネルに装着したとき、暗状態において液晶表示の色相が変わってしまうことがある。そこで、偏光膜を液晶表示装置に装着したとき、暗状態において特定波長の色漏れによる液晶表示の変色を防止するためには、高分子フィルムに数種の二色性染料を吸着・配向させてなるニュートラルグレーの偏光膜において、可視光領域の波長領域における直交位の透過率(直交透過率)を一様に低くしなければならない。
近年まで液晶ディスプレイの画像の鮮明性を上げるために高い輝度で画像表示していた。そのようなディスプレイを搭載していたハイブリッドカー、屋外表示装置(例えば工業計器類やウェアラブル端末)などではバッテリーの駆動時間を長くしたいという要求が出てきた。このため、液晶ディスプレイの消費電力を下げるために輝度を落としても画像の鮮明性を上げることができるように、偏光性能の良好なニュートラルグレーの色相を呈する偏光板(以下、「ニュートラルグレー偏光板」とも称する。)が求められてきた。車載液晶ディスプレイでは、夏の車の中では高温高湿環境となることから偏光度変化のない偏光板も求められている。以前は偏光性能が良好でニュートラルグレーを呈するヨウ素系偏光板が車載液晶ディスプレイに使用されていた。しかし、ヨウ素系偏光板は前記したようにヨウ素が二色性色素であるが故に耐光性、耐熱性、及び耐湿熱性が十分でないという問題がある。この問題を解決するため、染料系の二色性染料を偏光子としたニュートラルグレー偏光板が使用されるようになってきた。ニュートラルグレー偏光板は、可視光波長領域全域での透過率、偏光性能を平均的に向上させるべく、通常3原色の色素を組み合わせて使用する。そこで3原色の各々について偏光性能が良好な二色性染料の開発が必要であった。
また、液晶ディスプレイごとに光源の輝線が異なる。そこで、偏光性能が良好な二色性染料を開発する上で、特に輝線の波長に合わせた色素の波長の設計が重要である。このため、3原色の色素に、それぞれある限られた波長域の光を確実に制御できる、吸収幅(半値幅)が広く、優れた偏光性能を持たせる必要がある。
さらに、色の選択性が多様である染料系偏光板であっても、これまでの偏光膜は、2枚の偏光膜の吸収軸方向が互いに平行な位置関係(以下、「平行位」とも称する。)になるように重ねて配置して白色を示す際(以下、「白表示時」又は「明表示時」とも称する。)に、白色が黄色味を帯びた白色を呈するという問題があった。この白色が黄色味を帯びるという問題を改善するため、黄色味を抑えて作製された偏光膜であっても、これまでの偏光板は、2枚の偏光膜を吸収軸方向が互いに直交する位置関係(以下、「直交位」とも称する。)になるように重ねて配置して黒色を示す際(以下、「黒表示時」又は「暗表示時」とも称する。)、黒色が青色に呈色するという問題があった。そのため、白表示時に無彩色の白色を示し、黒表示時に黒色を示す偏光板が求められていた。特に、白表示時に高品位な白を有する偏光板、通称、ペーパーホワイトな偏光板を得ることは難しかった。
偏光板が無彩色であるためには、平行位や直交位において透過率が波長によらずほぼ一定の値であることが必要であるが、そういった偏光板を得ることが、これまでは出来ていなかった。白表示時と黒表示時の色相が異なる理由としては、平行位と直交位とで透過率の波長依存性が同じではなく、特に、可視光領域にわたって透過率が一定でないことに起因する。さらに、二色性が可視光領域にわたり一定でないことも無彩色偏光板の実現が難しい要因の1つである。
ヨウ素系偏光板を例にして説明すると、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」とも称する。)を基材とし、二色性色素としてヨウ素を用いたヨウ素系偏光板は、一般的に、480nm及び600nmを中心とした吸収を有する。480nmの吸収は、ポリヨウ素I とPVAとの錯体、600nmの吸収はポリヨウ素I とPVAとの錯体に起因すると言われている。各波長における偏光度(二色性)は、ポリヨウ素I とPVAとの錯体に基づく偏光度(二色性)の方が、ポリヨウ素I とPVAとの錯体に基づく偏光度(二色性)よりも高い。つまり、直交位の透過率を各波長において一定にしようとすると、平行位の透過率が480nmと比べて600nmの方が高くなり、白表示時に白色が黄色く着色する現象が起こってしまっていた。逆に、平行位の透過率を一定にしようとすると、直交位の透過率が480nmと比べて600nmの方が低くなるため、黒表示時に黒色が青色に着色してしまっていた。白表示時に白色が黄色を呈している場合、一般的に劣化が進んだような印象を与えるため好ましいとは言えない。また、黒表示時に青い色が抜ける場合、明瞭な黒でないため高級感がないような印象を与える。また、ヨウ素系光板では、主に視感度の高い550nm付近には、その波長に基づく錯体がないために、色相の制御が難しい。このように、各波長の偏光度(二色性)が一定でないために、偏光度の波長依存性が生じてしまっていた。また、ヨウ素とPVAとの錯体による吸収である480nmと600nmの2つの二色性色素しかないため、ヨウ素とPVAからなるヨウ素系偏光板では色相の調整も出来なかった。
ヨウ素系偏光板の色相を改善する方法は、特許文献6又は7に記載されている。特許文献6には、ニュートラル係数を算出し、絶対値が0から3である偏光板が記載されている。特許文献7には、410nmから750nmにおける透過率をその平均値の±30%以内にし、ヨウ素に加えて、直接染料、反応染料、又は酸性染料を添加して着色調整してなる偏光膜が記載されている。
また、無彩色の染色系偏光板も開発されている(例えば、特許文献8)。
JP 2622748 B JP 2001-33627 A JP 5366947 B JP 2003-327858 A JP H3-12606 A JP 4281261 B JP 3357803 B WO 2014/162635 A1 JP 2003-215338 A1 JP H9-302250 A JP 3881175 B JP H2-61988 B JP H11-218611 A JP 4162334 B JP 4360100 B
染料化学;細田豊著、1957年、第621頁 機能性色素の応用、入江正浩監修、(株)CMC出版、第1刷発行版、第98~100頁
従って、本発明の目的はの一つは新規なアゾ化合物又はその塩を提供することであり、特に、優れた偏光性能及び耐湿性・耐熱性・耐光性を有する高性能な染料系偏光膜及び染料系偏光板、特に、ニュートラルグレーの高性能な染料系偏光膜及び染料系偏光板、並びにその製造を可能とするアゾ化合物又はその塩を提供することである。
また、特許文献6の偏光板は、実施例から分かるように、ニュートラル係数(Np)が低くても、JIS Z 8729から求められる平行位の色相が、a*値が-2から-1、かつ、b*値が2.5から4.0であることから、白表示時に黄緑色を呈していることが分かる。また、直交位の色相はa*値が0から1ではあるが、b*値が-1.5から-4.0であることから、黒表示が青色を呈している偏光板になってしまっている。
また、特許文献7の偏光膜は、偏光膜1枚のみを用いて測定されたUCS色空間におけるa値及びb値を絶対値2以下にして得られるものであり、偏光膜を2枚重ねた際の白表示時及び黒表示時の両方の色相において同時に無彩色を表現できるものではなかった。また、特許文献7の偏光膜の単体透過率の平均値は、実施例1で31.95%、実施例2で31.41%であり、低い値を示していた。このように、特許文献7の偏光膜は透過率が低いため、高透過率及び高コントラストを求められる分野、特に、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンスなどの分野では十分な性能を有するものではなかった。さらに、特許文献7の偏光膜は、主たる二色性色素としてヨウ素を用いていることから、耐久性試験後、特に、湿熱耐久性試験(例えば、85℃、相対湿度85%の環境)後に色変化が大きく、耐久性が劣っていた。
一方、染料系偏光板は、耐久性に優れているが、波長依存性が平行位と直交位で異なることは、ヨウ素系偏光板と同様である。平行位及び直交位で同じ色相を示す二色性を示すアゾ化合物はほぼ皆無であり、存在したとしても二色性(偏光特性)は低い。二色性を有するアゾ化合物の種類によっては、白表示時の白色が黄色を呈し、黒表示時の黒色が青色を呈するなど、直交位及び平行位で波長依存性が全く異なるアゾ化合物も存在する。また、光の明暗によっても人の色の感受性が異なるため、仮に、染料系偏光板の色補正をするとしても、直交位から平行位にわたって偏光をコントロールすることにより発生する光の明暗のそれぞれに適した色補正が必要である。無彩色偏光板は、平行位及び直交位のそれぞれにおいて、透過率が各波長でほぼ一定の値であり波長依存性がない状態でなければ達成することができない。さらに、高透過率及び高コントラストを有する偏光膜を得るためには、一定の透過率を平行位及び直交位で同時に満たすことに加えて、各波長の偏光度(二色比)が高く、かつ、一定である必要がある。アゾ化合物1種を偏光膜に応用した場合でも、直交位と平行位とで透過率の波長依存性が異なるにも関わらず、2種以上のアゾ化合物を配合して一定の透過率を達成するためには、1種ずつの平行位と直交位の透過率を考慮し、2種以上の二色比の関係を精密に制御しなければならない。
一方で、たとえ平行位と直交位の透過率と二色比の関係を精密に制御し、透過率をそれぞれにおいて一定に出来たとしても、高透過率かつ高コントラストを実現することは未だ出来ていなかった。つまり、高透過率又は高偏光度になればなるほど無彩色とすることが困難であり、高透過率又は高偏光度な無彩色な偏光板は達成できていなかった。高透過率かつ/又は高コントラストな無彩色偏光板を得ることは非常に難しく、単に色の三原色の二色性色素を適用すれば達成しうるものではない。特に、平行位における一定の透過率及び高い二色性を同時に実現することは非常に困難を極める。白は僅かに色が入るだけでも、高品位な白を表現できない。また、明状態である時の白は、輝度が高く、感度も高いため、特に重要である。よって、偏光膜として、白表示時に高品位な紙のような無彩色の白色を示し、黒表示時に無彩色の黒色を示すとともに、単体透過率35%以上及び高偏光度を有する偏光膜が求められている。特許文献8においても白表示時及び黒表示時に無彩色な偏光板が記載されているが、さらなる性能の向上が望まれている。
従って、本発明の目的の一つは、新規な偏光膜を提供することであり、特に、高透過率及び高偏光度を有するとともに、白表示時及び黒表示時の両方において無彩色であり、特に白表示時には高品位な白色を呈する高性能な無彩色偏光膜並びにこれを用いた無彩色偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、特定のアゾ化合物又はその塩を含有する偏光膜及び偏光板が、優れた偏光性能及び耐湿性・耐熱性・耐光性を有し、かつ、ニュートラルグレーの色相を実現するために非常に有用な広い吸収帯域を有することを見出した。
また、特定のアゾ化合物の配合によって、二色性に波長依存性がなく、平行位と直交位のそれぞれにおいて無彩色であり、かつ、これまでより高い偏光度を有する偏光膜を作製し得ることを見出した。本発明者は、高い透過率であっても可視光領域における波長非依存性を達成しうることを初めて見出し、高品位な紙のような品位の白色、通称、ペーパーホワイトを実現し得るより高い偏光度を有する偏光膜を開発した。
すなわち、本発明は、以下の[発明1]~[発明36]に関する。
本発明は複数の択一的記載を有し、その択一的記載のあらゆる組み合わせが本発明として本願明細書において開示されている。
[発明1]
式(1):
Figure 0007230079000001

(式中、Agは置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有するナフチル基を示し、Bg及びCgは、各々独立に式(BC-N)又は式(BC-P)で表され、両方又は一方が式(BC-N)を示し、Xgは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール、又は置換基を有してもよいフェニルアゾ基を示す)
Figure 0007230079000002

(式中、Rgは水素原子、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示し、kは0~2の整数を示す)
Figure 0007230079000003

(Rg及びRgは各々独立に水素原子、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示す)
で表されるアゾ化合物又はその塩。
[発明2]
Cgが、式(BC-N)で表される発明1に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明3]
Bg及びCgのうち一方が式(BC-N)で表され他方が式(BC-P)で表される発明1に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明4]
Bg及びCgが、各々独立に式(BC-N)で表される発明1に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明5]
kは1又は2である、発明1~4のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明6]
kは1である発明5に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明7]
Rg~Rgは各々独立に(Bg及びCgの両方が式(BC-N)で表される場合には、各Rgは各々独立に)水素原子、C1~5アルキル基、又はC1~5アルコキシ基である、発明1~6のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明8]
Xgが、式(X-PAM):
Figure 0007230079000004

(式中、R及びRは各々独立に水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す)
で表されるフェニルアミノ基である、発明1~7のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明9]
Xgが、式(X-B):
Figure 0007230079000005

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す)
で表されるベンゾイルアミノ基である、発明1~7のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明10]
Xgが、式(X-N):
Figure 0007230079000006

(式中、mは1又は2を示す)
で表されるナフトトリアゾール基である、発明1~7のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明11]
Xgが、式(X-PAZ):
Figure 0007230079000007

(式中、R~Rは各々独立に水素原子、ヒドロキシ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す)
で表されるフェニルアゾ基である、発明1~7のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明12]
Agが、式(A-P):
Figure 0007230079000008

(式中、R及びRは、各々独立に水素原子、スルホ基、カルボキシ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を表す)
で表される、発明1~11のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明13]
及びRのうち、一方はスルホ基、スルホ基を有するC1~5アルコキシ基、又はカルボキシ基であり、他方は、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、メチル基、メトキシ基、又はスルホ基を有するアルコキシ基を示す、発明12に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明14]
Bg及びCgが、各々独立に式(BC-N)で表され、かつ、k=1であって、下記i)又はii)を満たすことを特徴とする発明12に記載のアゾ化合物またはその塩:
i)(A-P)におけるR及びRのいずれか一方が水素原子、他方が水素原子、カルボキシ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示す:
ii)(A-P)におけるR及びRは、各々独立にスルホ基、カルボキシ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を表す。
[発明15]
Agが、式(A-N):
Figure 0007230079000009

(式中、R、R、及びRは各々独立に水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示し、Dは0、1、又は2を示す)
で表される、発明1~11のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明16]
Agが、式(A-N1):
Figure 0007230079000010

(式中、Rは水素原子又はヒドロキシ基を示し、aは1又は2を示す)
で表される、発明1~11のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明17]
Agが、式(A-N2):
Figure 0007230079000011

(式中、R10及びR11は各々独立に水素原子、ヒドロキシ基、又はスルホ基を示し、bは1又は2を示す)
で表される、発明1~11のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明18]
~R11は水素原子である、発明16又は17に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明19]
Agが、式(A-N3):
Figure 0007230079000012

(式中、cは0、1、又は2を示し、R12及びR13は各々独立に水素原子であり、他方はスルホアルコキシ基:HOS-(CH-O-であり、dは3又は4を示す)
で表される、発明1~11のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明20]
12がスルホアルコキシ基:HOS-(CH-O-である、発明19に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明21]
dが3である、発明19又は20に記載のアゾ化合物又はその塩。
[発明22]
発明1~21のいずれかに記載のアゾ化合物又はその塩及び偏光膜基材を含む偏光膜。
[発明23]
前記アゾ化合物又はその塩以外の有機染料を1種類以上含む、発明22に記載の偏光膜。
[発明24]
2種以上の前記アゾ化合物又はその塩を含む、発明22又は23に記載の偏光膜。
[発明25]
式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩をさらに含む、発明22~24のいずれか一項に記載の偏光膜。
Figure 0007230079000013

(式中、Arは置換基を有するフェニル基またはナフチル基を示し、RrおよびRrは各々独立に、水素原子、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、またはスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示し、Xrは置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、または置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を示す)
[発明26]
式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩を含む、発明22~25のいずれか一項に記載の偏光膜。
Figure 0007230079000014

(式中、Ryはスルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、またはヒドロキシ基を示し、RyおよびR
は各々独立に、水素原子、スルホ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、または、スルホ基を
有するC1~5アルコキシ基を示し、nは1~3の整数を示す)
[発明27]
発明22~26のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
前記偏光膜2枚を吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて測定して求められる420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0%以下である、
前記偏光膜。
[発明28]
発明22~27のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
JIS Z 8781-4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められるa*値およびb*値の絶対値が、
前記偏光膜単体で、ともに1.0以下であり、
前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で、ともに2.0以下である、
前記偏光膜。
[発明29]
発明22~28のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
前記偏光膜の単体透過率が35%から65%であり、
前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で求められる520nmから590nmの平均透過率が25%から50%である、
前記偏光膜。
[発明30]
発明22~29のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように重ねて配置した状態で求められる透過率について、420nmから480nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が0.3%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が0.6%以下である、
前記偏光膜。
[発明31]
発明22~30のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように重ねて配置した状態で、JIS Z 8781-4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められるa*値およびb*値の絶対値が2.0以下である、
前記偏光膜。
[発明32]
前記偏光膜基材がポリビニルアルコール系樹脂又はその誘導体から形成されるフィルムである、発明22~31のいずれか一項に記載の偏光膜。
[発明33]
発明22~32のいずれか一項に記載の偏光膜の片面又は両面に透明保護層を貼合して得られる、偏光板。
[発明34]
発明22~32のいずれか一項に記載の偏光膜又は発明33に記載の偏光板を備えた表示装置。
[発明35]
発明22~32のいずれか一項に記載の偏光膜又は発明33に記載の偏光板を備える車載用表示装置又は屋外表示装置。
[発明36]
発明22~32のいずれか一項に記載の偏光膜又は発明33に記載の偏光板を備える製品であって、スマートウィンドウ、有機エレクトロルミネッセンス(通称、OLED)、レンズ、フィルター、又はメガネである、製品。
本発明は、優れた偏光性能及び耐湿性・耐熱性・耐光性を有する高性能な染料系偏光膜及び染料系偏光板、特に、ニュートラルグレーの高性能な染料系膜及び染料系偏光板、並びにその製造を可能とするアゾ化合物又はその塩を提供することができる。
また、本発明は、高透過率及び高偏光度を有するとともに、白表示時及び黒表示時の両方において無彩色であり、特に白表示時には高品位な白色を呈する高性能な無彩色偏光膜並びにこれを用いた無彩色偏光板及び種々の製品(液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(通称OLED)等の表示装置、レンズ、フィルター、メガネ等)を提供することができる。
<アゾ化合物又はその塩>
本発明のアゾ化合物は、式(1):
Figure 0007230079000015

で表される。
Bg及びCgは、各々独立に、式(BC-N)又は式(BC-P)で表されるが、Bg及びCgの両方又は一方が式(BC-N)で表される。
Figure 0007230079000016

Figure 0007230079000017
本発明の一態様において、Cgは式(BC-N)で示される。
本発明の一態様において、Bg及びCgのうち一方が式(BC-N)で表され他方が式(BC-P)で表される。
本発明の一態様において、Bg及びCgが、各々独立に式(BC-N)で表される
式(BC-N)において、kは0~2である。本発明の一態様において、kは1又は2である。本発明の別の一態様において、kは1である。
Rg~Rgは、各々独立に(Bg及びCgの両方が式(BC-N)で表される場合には、各Rgは各々独立に)水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基である。
好ましくは、Rgは、水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、又はメトキシ基である。特に好ましいRgは、水素原子又はメトキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましい。スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基及び4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。
本願の請求項及び明細書において、低級アルキル及び低級アルコキシの「低級」は、炭素原子数が1~5個(C1~5)であることを示し、好ましくは炭素原子数が1~4個(C1~4)、より好ましくは炭素原子数が1~3個(C1~3)であることを示す。
式(BC-N)において、Rgの置換位置は、Xgを有するナフトール基に近いアゾ基に対して2位又は3位が好ましく、より好ましくは2位である。スルホ基(-SOH)がある場合には、そのスルホ基の置換位置は、Xgを有するナフトール基に近いアゾ基に対して好ましくは5位、6位、7位、及び8位であり、より好ましくは6位又は7位がであり、特に好ましくは7位である。
式(BC-P)において、Rg及びRgは、各々独立に、好ましくは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基は、好ましくはアルコキシ基末端がスルホ基で置換された直鎖アルコキシであり、より好ましくは3-スルホプロポキシ基、4-スルホブトキシ基である。Rg及びRgは、特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基、3-スルホプロポキシ基、又は、4-スルホプロポキシ基である。Rg及びRgの置換位置は、Xgを有するナフトール基に近いアゾ基に対して、2位のみ、5位のみ、2位及び5位、3位及び5位、2位及び6位、又は、3位及び6位の組合せが適用できる。好ましくは、2位のみ、5位のみ、2位及び5位である。なお、2位のみ、5位のみとは、Rg及びRgのうち一方が水素原子以外の置換基であって、2位又は5位のみに結合し、他方が水素原子であることを示す。
式(1)において、Xgは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、又は置換基を有してもよいフェニルアゾ基を示す。ここで、「置換基を有してもよい」とは、置換基を有していない場合も含まれることを意味する。例えば、「置換基を有してもよいフェニルアミノ基」は、非置換の単なるフェニルアミノ基と、置換基を有するフェニルアミノ基を含む。
Xgが置換基を有してもよいアミノ基である場合、好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はスルホ基を有しても良い炭素数が1~5個のアルキル基を有するアミノ基である。
Xgが置換基を有するベンゾイルアミノ基、置換基を有するフェニルアミノ基、又は置換基を有するフェニルアゾ基である場合、その置換基としては水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、又は置換アミノ基が好ましい。Xgが置換基を有するナフトトリアゾール基である場合、その置換基はスルホ基が好ましい。
本願の請求項及び明細書において、「置換アミノ基」は、置換基として、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はスルホ基を有してもよい炭素数が1~5個のアルキル基を有するアミノ基であり、フェニルアミノ基等の環構造を有するアミノ基は除く。
Xgが置換基を有してもよいフェニルアミノ基である場合、式(X-PAM):
Figure 0007230079000018

で表されるフェニルアミノ基であることが好ましい。
式(X-PAM)において、R及びRは各々独立に水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示し、好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基、又はアミノ基を示す。R及びRの置換位置は特に限定されないが、R及びRのうち少なくとも1つがアミノ基に対してp-位であることが好ましい。式(X-PAM)で示されるフェニルアミノ基としては、例えば、フェニルアミノ基、4-メチルフェニルアミノ基、4-メトキシフェニルアミノ基、4-アミノフェニルアミノ基、4-アミノ-2-スルホフェニルアミノ基、4-アミノ-3-スルホフェニルアミノ基、4-スルホメチルアミノフェニルアミノ基及び4-カルボキシエチルアミノフェニルアミノ基等が挙げられる。
Xgが置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基である場合、式(X-B):
Figure 0007230079000019

で表されるベンゾイルアミノ基であることが好ましい。
式(X-B)において、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示し、好ましくは水素原子、アミノ基、又は置換アミノ基を示す。Rの置換位置は特に限定されないが、p-位であることが好ましい。式(X-B)で示されるベンゾイルアミノ基としては、例えば、ベンゾイルアミノ基、4-アミノベンゾイルアミノ基、4-ヒドロキシベンゾイルアミノ基及び4-カルボキシエチルアミノベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
Xgが置換基を有するナフトトリアゾール基である場合、式(X-N):
Figure 0007230079000020

で表されるナフトトリアゾール基であることが好ましい。
式(X-N)において、mは1又は2を示し、好ましくは2を示す。式(X-N)で表されるナフトトリアゾール基としては、例えば、6,8-ジスルホナフトトリアゾール基、7,9-ジスルホナフトトリアゾール基、7-スルホナフトトリアゾール基、及び5-スルホナフトトリアゾール基等が挙げられる。
Xgが置換基を有するフェニルアゾ基である場合、式(X-PAZ)、
Figure 0007230079000021

で表されるフェニルアゾ基であることが好ましい。
式(X-PAZ)において、R~Rは各々独立に水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示し、好ましくはヒドロキシ基、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示し、より好ましくはヒドロキシ基を示す。式(X-PAZ)で示されるフェニルアゾ基は、1置換であることが好ましく、R~Rのうち1つがヒドロキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基であり、残りが水素原子であることが好ましい。
式(X-PAZ)で表されるフェニルアゾ基としては、例えば、2-メチルフェニルアゾ基、3-メチルフェニルアゾ基、2,5-ジメチルフェニルアゾ基、3-メトキシフェニルアゾ基、2-メトキシ-5-メチルフェニルアゾ基、2,5-ジメトキシフェニルアゾ基、4-アミノフェニルアゾ基、4-ヒドロキシフェニルアゾ基又は4-カルボキシエチルアミノフェニルアゾ基等が挙げられる。4-アミノフェニルアゾ基、4-ヒドロキシフェニルアゾ基、又は4-カルボキシエチルアミノフェニルアゾ基であることが好ましい。
式(1)において、Agは置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有するナフチル基を示す。
Agがフェニル基である場合には、その置換基としてスルホ基又はカルボキシ基を少なくとも1つ有することが好ましい。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合は、好ましいのは、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基でありその他の置換基がスルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基、又は低級アルキルアミノ基であることである。その他の置換基は、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、又はアミノ基であり、特に好ましくはスルホ基、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、又はカルボキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基及び4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。フェニル基が有する置換基の数は1又は2が好ましく、置換位置は特に限定されないが、2位のみ、4位のみ、2位と4位の組合せ、及び3位と5位の組合せが好ましい。
Agがフェニル基である場合、好ましくは、Agは式(A-P):
Figure 0007230079000022

で表される。
式(A-P)において、R及びRは各々独立に、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。スルホ基を有する低級アルコキシ基は、好ましくはアルコキシ基末端がスルホ基で置換された直鎖アルコキシ基であり、より好ましくは4-スルホプロポキシ基又は4-スルホブトキシ基である。R及びRのうち、一方はスルホ基、スルホ基を有する炭素数1~5のアルコキシ基、又はカルボキシ基であり、他方は水素原子、スルホ基、カルボキシ基、メチル基、メトキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基であることが好ましい。R及びRの置換位置は特に限定されないが、2位と4位、2位と5位、又は3位と5位の組合せが好ましく、2位と4位が特に好ましい。
さらに、Bg及びCgが、各々独立に式(BC-N)の時、かつ、k=1である場合、i)(A-P)におけるRまたはRのいずれか一方が水素原子、他方が水素原子、カルボキシ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示す、もしくは、ii)(A-P)におけるR及びRは、各々独立にスルホ基、カルボキシ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を表す、において、i)またはii)を満たす時、そのアゾ化合物またはその塩は、さらに性能を向上させることが出来、好ましい。
Agがナフチル基である場合、その置換基としてはスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましい。置換基を2つ以上有する場合は、好ましいのは、その置換基の少なくとも1つがスルホ基でありその他の置換基がスルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基であることである。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基及び4-スルホブトキシ基であるが、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。
本発明の一態様において、スルホ基の数が2の場合、ナフチル基上のスルホ基の位置は、5,7位の組合せ、及び6,8位の組合せが好ましく、6,8位の組合せがより好ましい。ナフチル基が有するスルホ基の数が3の場合、スルホ基の置換位置として好ましくは3,6,8位の組合せが特に好ましい。より具体的に、好ましい置換基および置換基の位置について説明する。
本発明の一態様において、Agは式(A-N):
Figure 0007230079000023

で表される。
式(A-N)において、R、R、及びRは各々独立に水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Dは1又は2を示す。前記スルホ基を有する低級アルコキシ基は、スルホ基がアルコキシ基末端に置換した直鎖アルコキシ基が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基、又は4-スルホブトキシ基である。
スルホ基は1~8位のいずれに置換されてもよく、好ましくは2位、4位、5位、7位、1,3位、2,4位、2,7位、2,8位、4,8位、又は5,7位である。
式(A-N)において、-N=N-結合の置換位置は、6位、7位、又は8位が好ましい。
本発明の一態様において、Agは式(A-N1):
Figure 0007230079000024

で表される。
式(A-N1)において、Rは水素原子又はヒドロキシ基を示す。aは1又は2を示す。スルホ基の置換位置は、2位及び4位のいずれか1か所又は2か所であることが好ましく、より好ましくは2位、4位、1,3位、又は2,4位である。
式(A-N1)において、-N=N-結合の置換位置は、5位、6位、又は7位が好ましく、より好ましくは、6位又は7位である。
本発明の一態様において、Agは式(A-N2):
Figure 0007230079000025

で表される。
式(A-N2)において、R10及びR11は各々独立に水素、ヒドロキシ基、又はスルホ基を示す。bは1又は2を示す。R10及びR11の一方がスルホ基である場合、他方は水素原子又はヒドロキシ基であることが好ましい。R10及びR11の位置は、特に限定されないが、5位、6位、7位であることが好ましい。
-N=N-結合の置換位置は、1位、2位、又は3位が好ましく、より好ましくは1位又は2位である。
本発明の一態様において、(SOH)の置換位置は、2位、4位のいずれか1か所又は2か所が好ましい。
本発明の一態様において、bは1であり、R10又はR11はスルホ基であり、スルホ基の置換位置は好ましくは1,5位、又は1,6位である。
本発明の一態様において、Agは式(A-N3):
Figure 0007230079000026

で表される。
式(A-N3)において、cは0、1、又は2を示し、好ましくは1である。R12及びR13は各々独立に水素原子であり、他方はスルホアルコキシ基:HOS-(CH-O-であり、dは3又は4を示し、好ましくは3を示す。スルホ基を有する低級アルコキシ基の置換位置は2位及び4位のいずれかが好ましく、特に4位が好ましい。スルホ基は1~8位のいずれに置換されてもよく、好ましくは2位、4位、及び7位のいずれか1か所又は2か所であり、より好ましくは2位、4位、又は2,7位であり、特に好ましくは2位である。スルホ基を有する低級アルコキシ基は、好ましくはスルホ基がアルコキシ基末端に置換した直鎖アルコキシ基であり、より好ましくは3-スルホプロポキシ基、又は4-スルホブトキシ基である。
式(A-N3)において、-N=N-結合の置換位置は、6位、7位、又は8位が好ましく、より好ましくは、6位又は7位である。
次に、式(1)で表されるアゾ化合物の具体例を以下に挙げる。なお、式中のスルホ基、カルボキシ基及びヒドロキシ基は遊離酸の形態で表す。
Figure 0007230079000027

Figure 0007230079000028

Figure 0007230079000029

Figure 0007230079000030

Figure 0007230079000031

Figure 0007230079000032

Figure 0007230079000033

Figure 0007230079000034

Figure 0007230079000035

Figure 0007230079000036

Figure 0007230079000037

Figure 0007230079000038

Figure 0007230079000039

Figure 0007230079000040

Figure 0007230079000041

Figure 0007230079000042

Figure 0007230079000043

Figure 0007230079000044

Figure 0007230079000045
Figure 0007230079000046

Figure 0007230079000047

Figure 0007230079000048

Figure 0007230079000049

Figure 0007230079000050

Figure 0007230079000051

Figure 0007230079000052

Figure 0007230079000053

Figure 0007230079000054

Figure 0007230079000055

Figure 0007230079000056

Figure 0007230079000057

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Figure 0007230079000064

Figure 0007230079000065

Figure 0007230079000066

Figure 0007230079000067

Figure 0007230079000068

Figure 0007230079000069

Figure 0007230079000070

Figure 0007230079000071
Figure 0007230079000072

Figure 0007230079000073

Figure 0007230079000074

Figure 0007230079000075

Figure 0007230079000076

Figure 0007230079000077

Figure 0007230079000078

Figure 0007230079000079

Figure 0007230079000080

Figure 0007230079000081

Figure 0007230079000082

Figure 0007230079000083

Figure 0007230079000084

Figure 0007230079000085

Figure 0007230079000086

Figure 0007230079000087

Figure 0007230079000088

Figure 0007230079000089

Figure 0007230079000090

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式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩は、[特許文献3]及び[非特許文献1]に記載されるような通常のアゾ染料の製造方法に従い、ジアゾ化、カップリングを行うことにより容易に製造することができる。
具体的な製造方法の例としては次の方法が挙げられる。
式(i)で示されるアニリン類又はアミノナフタレン類をジアゾ化し、式(ii)で示されるアミノナフタレン類又はアニリン類と一次カップリングさせ、式(iii)で示されるモノアゾアミノ化合物を得る。ここで、Ag及びBgは式(1)におけるものと同じ意味を表す。
Figure 0007230079000178

Figure 0007230079000179

Figure 0007230079000180
次いで、式(iii)で示されるモノアゾアミノ化合物をジアゾ化し、式(iv)で示されるアニリン類又はアミノナフタレン類と二次カップリングさせ、式(v)で示されるジスアゾアミノ化合物を得る。ここで、Cgは式(1)におけるものと同じ意味を表す。
Figure 0007230079000181

Figure 0007230079000182
式(v)のジスアゾアミノ化合物をジアゾ化し、式(vi)のナフトール類と三次カップリングさせることにより式(1)のアゾ化合物が得られる。ここで、Xgは式(1)におけるものと同じ意味を表す。
Figure 0007230079000183
上記製造方法において、ジアゾ化工程は、ジアゾ成分の塩酸、硫酸などの鉱酸水溶液又はけん濁液に亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩を混合するという順法によるか、あるいはジアゾ成分の中性又は弱アルカリ性の水溶液に亜硝酸塩を加えておき、これと鉱酸を混合するという逆法によって行うことが好ましい。ジアゾ化の温度は、-10~40℃が適当である。また、アニリン類とのカップリング工程は塩酸、酢酸などの酸性水溶液と上記各ジアゾ液を混合し、温度が-10~40℃でpH2~7の酸性条件で行うことが好ましい。
カップリングして得られた式(iii)のモノアゾ化合物及び式(v)のジスアゾ化合物は、そのまま濾過するか、酸析や塩析により析出させ濾過して取り出すか、溶液又はけん濁液のまま次の工程へ進むこともできる。ジアゾニウム塩が難溶性でけん濁液となっている場合は濾過し、プレスケーキとして次のカップリング工程で使うこともできる。
式(v)で表されるジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物と、式(vi)で表されるナフトール類との三次カップリング反応は、温度が-10~40℃でpH7~10の中性からアルカリ性条件で行われることが好ましい。反応終了後、得られた式(1)のアゾ化合物又は塩を、好ましくは塩析により析出させ濾過して取り出す。また、精製が必要な場合には、塩析を繰り返すか又は有機溶媒を使用して水中から析出させればよい。精製に使用する有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類等の水溶性有機溶媒が挙げられる。
式(i)で表され式(A-P)に対応するアニリン(アミノベンゼン)化合物の例として、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノ安息香酸、2-アミノ-5-メチルベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-エチルベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-プロピルベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-ブチルベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-メチルベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-エチルベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-プロピルベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-ブチルベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-メトキシベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-エトキシベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-プロポキシベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-ブトキシベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-メトキシベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-エトキシベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-プロポキシベンゼンスルホン酸、4-アミノ-3-ブトキシベンゼンスルホン酸、2-アミノ-4-スルホ安息香酸、2-アミノ-5-スルホ安息香酸等、5-アミノイソフタル酸、2-アミノ-5-クロロベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-ブロモベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2,5-ジアミノベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-ジメチルアミノベンゼンスルホン酸、2-アミノ-5-ジエチルアミノベンゼンスルホン酸、5-アセトアミド-2-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼン-1,3-ジスルホン酸、及び2-アミノベンゼン-1,4-ジスルホン酸、等が挙げられる。4-アミノベンゼンスルホン酸、2―アミノ-5―メトキシベンゼンスルホン酸、4-アミノ-2-メチルベンゼンスルホン酸、及び4-アミノベンゼン-1,3-ジスルホン酸が好ましい。
式(i)で表され式(A-N1)に対応するアミノナフタレン化合物の例としては、6-アミノナフタレン-2-スルホン酸、5 - アミノナフタレンスルホン酸、6 - アミノナフタレンスルホン酸、7 - アミノナフタレンスルホン酸、7 - アミノナフタレン- 3 - スルホン酸、5 - アミノナフタレン- 2 - スルホン酸、5 - アミノナフタレン- 3 - スルホン酸、7 - アミノナフタレン- 1 , 3 - ジスルホン酸、6 - アミノナフタレン- 1 , 3 - ジスルホン酸、及び7 - アミノナフタレン- 1 , 5 - ジスルホン酸等が挙げられる。その中でも、7 - アミノナフタレン- 3 - スルホン酸、6 - アミノナフタレン- 1 , 3 - ジスルホン酸、7 - アミノナフタレン- 1 ,5 - ジスルホン酸が好ましい。ヒドロキシ基で置換された化合物の例として、6-アミノ-1-ヒドロキシナフタレン-3-スルホン酸、及び7-アミノ-1-ヒドロキシナフタレン-3-スルホン酸等が挙げられる。
式(i)で表され式(A-N2)に対応するアミノナフタレン化合物の例としては、1-アミノナフタレン-4-スルホン酸、2-アミノナフタレンスルホン酸、1-アミノナフタレン-3,6-ジスルホン酸、1-アミノナフタレン-4,8-ジスルホン酸、及び2-アミノナフタレン-4,8-ジスルホン酸等が挙げられる。R10及びR11の一方がスルホ基の場合、他方は水素原子又はヒドロキシ基であることが好ましく、例としては、3-アミノ-5-ヒドロキシナフタレン-2,7-ジスルホン酸、1-アミノ-8-ヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸等が挙げられる。また、R10及びR11の両方がスルホ基である例としては、3-アミノナフタレン-2,5,7-トリスルホン酸等が挙げられる。また、R10がヒドロキシ基、R11が水素原子である例としては1-アミノ-8-ヒドロキシナフタレン-4-スルホン酸等、及び1-アミノ-8-ヒドロキシナフタレン-4,6-ジスルホン酸等が挙げられる。
式(i)で表され式(A-N3)に対応するアミノナフタレン化合物の例としては、7-アミノ-4-(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-2-スルホン酸、7-アミノ-4-(4-スルホブトキシ)ナフタレン-2-スルホン酸、6-アミノ-4-(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-2-スルホン酸、6-アミノ-4-(4-スルホブトキシ)ナフタレン-2-スルホン酸、3-アミノ-5-(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-2,7-ジスルホン酸、3-アミノ-5-(4-スルホブトキシ)ナフタレン-2,7-ジスルホン酸、6-アミノ-3-(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-1-スルホン酸、6-アミノ-3-(4-スルホブトキシ)ナフタレン-1-スルホン酸、6-アミノ-3-(4-スルホブトキシ)ナフタレン-1-スルホン酸、6-アミノ-3-(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-1-スルホン酸等が挙げられる。
式(ii)又は式(iv)で表され(BC-N)式又は式(BC-P)に対応するアミノナフタレン類の例として、1-アミノナフタレン、1-アミノナフタレン-6-スルホン酸、1-アミノナフタレン-7-スルホン酸、1-アミノ-2-メトキシナフタレン-6-スルホン酸、1-アミノ-2-メトキシナフタレン-7-スルホン酸、1-アミノ-2-エトキシナフタレン-6-スルホン酸、1-アミノ-2-エトキシナフタレン-7-スルホン酸である。好ましくは1-アミノナフタレン-7-スルホン酸、及び1-アミノ-2-メトキシナフタレン-7-スルホン酸が挙げられる。これらのアミノナフタレン類はアミノ基が保護されていてもよい。
また、式(ii)又は式(iv)で表され式(BC-N)又は式(BC-P)に対応するアニリン類は、スルホ基を有する低級アルコキシル基を有するアニリン類及びそれ以外のアニリン類に分類される。前記スルホ基を有する低級アルコキシル基を有するアニリン類の例として、3-(2-アミノ-4-メチルフェノキシ)プロパン-1-スルホン酸、3-(2-アミノフェノキシ)プロパン-1-スルホン酸、及び3-(2-アミノ-4-メチルフェノキシ)ブタン-1-スルホン酸等が挙げられる。前記それ以外のアニリン類の例として、アニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、2-エチルアニリン、3-エチルアニリン、2,5-ジメチルアニリン、2,5-ジエチルアニリン、2-メトキシアニリン、3-メトキシアニリン、2-メトキシ-5-メチルアニリン、2,5-ジメトキシアニリン、3,5-ジメチルアニリン、2,6-ジメチルアニリン、及び3,5-ジメトキシアニリン等が挙げられる。これらのアニリン類はアミノ基が保護されていてもよい。保護基の例として、そのω-メタンスルホン基が挙げられる。
三次カップリング成分である式(vi)のナフトール類におけるXgは、式(1)におけるXgについて上述した通りである。
<偏光膜(偏光素子)>
本発明に係るアゾ化合物又はその塩は、偏光膜(偏光素子)用の染料として有用である。本発明に係るアゾ化合物又はその塩によれば、優れた偏光性能及び耐湿性・耐熱性・耐光性を有する高性能な染料系偏光板を製造することができ、特に、可視光領域の波長領域における直交位の色漏れが少ない、ニュートラルグレーの高性能な染料系偏光板を実現することができる。よって、本発明に係るアゾ化合物又はその塩は、高温高湿条件下で使用される車載用又は屋外表示用の表示装置用のニュートラルグレー偏光板の作製に好適に用いることができる。
好ましくは、本発明の偏光膜は、これらのアゾ化合物又はその塩と、上記アゾ化合物又はその塩が吸着された偏光膜基材(以下、基材とも記載する)とを含む。基材は、二色性色素、特にアゾ化合物を吸着し得る親水性高分子を製膜して得られるフィルム等であることが好ましい。親水性高分子は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、アミロース系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、及びポリアクリル酸塩系樹脂などである。親水性高分子は、二色性色素の染色性、加工性及び架橋性などの観点からポリビニルアルコール系樹脂及びその誘導体であることが最も好ましい。基材に、アゾ化合物又はその塩を吸着させ、延伸等の配向処理を適用することによって、偏光膜を作製することができる。
本発明に係る偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩に加えて、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩を含有してもよい。本発明に係る偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩に加えて、式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩を含有してもよい。本発明は、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩及び式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩の両方を含有してもよい。
式(2)で表されるアゾ化合物について説明する。
Figure 0007230079000184
式(2)中、Arは置換基を有するフェニル基又は置換基を有するナフチル基を示す。
Arがフェニル基である場合には、その置換基としてスルホ基又はカルボキシ基を少なくとも1つ有することが好ましい。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合は、好ましいのは、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基でありその他の置換基がスルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基、又は低級アルキルアミノ基、置換アミノ基であることである。より好ましくは、その他の置換基はスルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、又はアセチルアミノ基であり、特に好ましくはスルホ基、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、又はカルボキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基及び4-スルホブトキシ基であるが、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。フェニル基が有するスルホ基の数は1又は2が好ましく、置換位置については特に限定はしないが、2位のみ、4位のみ、2位と4位の組合せ、及び3位と5位の組合せが好ましい。
Arが置換基を有するナフチル基の場合、その置換基としてはスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましく、置換基を2つ以上有する場合は、好ましいのは、その置換基の少なくとも1つがスルホ基でありその他の置換基がスルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基であることである。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基及び4-スルホブトキシ基であるが、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。スルホ基の数が2の場合、ナフチル基上のスルホ基の位置は、5,7位の組合せ、及び6,8位の組合せが好ましく、6,8位の組合せがより好ましい。ナフチル基が有するスルホ基の数が3の場合、スルホ基の置換位置として好ましくは3,6,8位の組合せが特に好ましい。
Rr及びRrは各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。Rr及びRrは各々独立に、好ましくは水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、又はメトキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシ基が好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3-スルホプロポキシ基及び4-スルホブトキシ基であるが、特に好ましくは3-スルホプロポキシ基である。Rr、又は、Rrの置換位置は、Rr及びRrが共に水素原子である場合を除き、2位のみ、5位のみ、2位及び5位、3位及び5位、2位及び6位が挙げられるが、好ましくは、2位のみ、5位のみ、2位及び5位、3位及び5位、より好ましくは2位のみ、5位のみ、2位及び5位であることが良い。
Xrは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を示し、好ましくは置換基を有してもよいフェニルアミノ基である。置換基を有してもよいアミノ基は、好ましくは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1つ又は2つの置換基を有するアミノ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1つ又は2つの置換基を有するアミノ基である。置換基を有してもよいフェニルアミノ基は、好ましくは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1つ又は2つの置換基を有するフェニルアミノ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、及びアミノ基からなる群から選択される1つ又は2つの置換基を有するフェニルアミノ基である。置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基は、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される1つを有するベンゾイルアミノ基である。置換基を有してもよいフェニルアゾ基は、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される1~3つを有するフェニルアゾ基である。Xrは、好ましくは、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、及び置換基を有してもよいフェニルアミノ基であり、より好ましくは、フェニルアミノ基である。置換基の位置は特に限定されないが、置換基が1つはp位であることが特に好ましく、具体的な例として、フェニルアミノ基の場合、アミノ基に対してp位に置換基があることが好ましい。
式(2)で表されるアゾ化合物の例としては、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 117、C.I.Direct Violet 9及びC.I.Drect Red 127、並びに特許文献9~11等に記載されているアゾ化合物が挙げられる。
式(2)で示されるアゾ化合物のさらなる具体例を、遊離酸の形式で以下に示す。
Figure 0007230079000185

Figure 0007230079000186

Figure 0007230079000187

Figure 0007230079000188
式(2)で示されるアゾ化合物を得る方法としては、特許文献9~11等に記載されている方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の偏光膜において、式(BC-N)で表されるアゾ化合物又はその塩が含有される場合、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩の含有量は、式(1)のアゾ化合物の含有量100質量部に対して、0.01~1000質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02~500質量部である。
本発明において、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩と式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩を組み合わせる場合には、既知の式(1)で表される化合物を使用することもできる。式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩の例としては、
C.I.Direct Blue 34、C.I.Direct Blue 69、C.I.Direct Blue 70、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 72、C.I.Direct Blue 75、C.I.Direct Blue 78、C.I.Direct Blue 81、C.I.Direct Blue 82、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 186、C.I.Direct Blue 258、Benzo Fast Chrome Blue FG(C.I.34225)、Benzo Fast Blue BN(C.I.34120)、C.I.Direct Green 51、等のアゾ化合物が挙げられる。
本発明の偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物及び式(2)で表されるアゾ化合物の組み合わせを含有することにより、従来の無彩色偏光板よりも高い透過率及び高い偏光度を有しつつも、白表示時に高品位な紙のような白色、通称、ペーパーホワイトを実現し、黒表示時に無彩色の黒色、特に高級感のある明瞭な黒色を実現することができる。
本発明の偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物に加えて、式(3)で表されるアゾ化合物を含有することが性能をより向上させるために好ましい。式(1)で表されるアゾ化合物及び式(2)で表されるアゾ化合物の組合せに加えて、式(3)で表されるアゾ化合物をさらに含有することもまた、性能の点で好ましい。
Figure 0007230079000189
式(3)において、Ryは、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、又はヒドロキシ基であり、好ましくはスルホ基、ヒドロキシル基、メトキシ基エトキシ基又はカルボキシ基であり、さらに好ましくはスルホ基またはカルボキシ基である。Ry又はRyは、各々独立に、水素原子、スルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシル基を示すが、好ましくは水素原子、スルホ基、メチル基、メトキシ基、3-スルホプロポキシ基、又は、4-スルホブトキシ基であり、特に好ましくは水素原子であることが良い。nは1~3の整数を示す。
本発明の偏光膜が式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩及び式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩を共に含有する場合、式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩の含有量は、式(2)のアゾ化合物又はその塩の含有量100質量部に対して、0.01~300質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~200質量部である。又、式(1)が100質量部に対して、式(3)は0.01~500質量部であることが良く、好ましくは0.05~300質量部、特に好ましくは0.1~200質量部が好ましく用いることが出来る。
本発明の偏光膜における上記アゾ化合物の配合比は、上述した各アゾ化合物の含有量において、透過率及び色度が後述する好ましい範囲になるようにさらに調整されていることが好適である。偏光膜の性能は、偏光膜における各アゾ化合物の配合比のみならず、アゾ化合物を吸着させる基材の膨潤度や延伸倍率、染色時間、染色温度、染色時のpH、塩の影響等の様々な要因により変化する。このため、各アゾ化合物の配合比は、基材の膨潤度、染色時の温度、時間、pH、塩の種類、塩の濃度、さらには延伸倍率に応じて決定することができる。このような配合比の決定は、当業者が後述の説明に基づいて、試行錯誤なしに行うことができる
式(3)で表されるアゾ化合物は、400~500nmの透過率に影響を与える。偏光膜において、特に、400~500nmの短波長側の透過率と偏光度(二色性)は、黒表示時の青抜けや白表示時の白色の黄色化に影響を与える。式(3)で表されるアゾ化合物は、偏光膜の平行位の短波長側の透過率の低下を抑え、かつ、400~500nmの偏光特性(二色性)を向上させ、白表示時の黄色っぽさと黒表示時の青色の抜けをさらに低下させることができる。偏光膜は、式(3)で表されるアゾ化合物をさらに含有することにより、単体透過率が35~65%の範囲において、より中性な色相を示し、白表示時により高品位な紙のような白色を表現し、さらに偏光度が向上する。
式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩は、例えばWO2007/138980等に記載される方法により合成することができるが、市販のものを入手することもできる。
式(3)で表されるアゾ化合物の具体例としては、例えば、C.I.Direct Yellow 4、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 72、及びC.I.Direct Orange 39、並びにWO2007/138980等に記載されるスチルベン構造を有するアゾ化合物等があるが、これらに限定されるものではない。
式(3)で表されるアゾ化合物のさらなる具体例を以下に挙げる。なお、化合物例は、遊離酸の形態で表す。なお、式(3-2)中のnは1~3の整数である。
Figure 0007230079000190
本発明の偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物に加え、式(2)で表されるアゾ化合物及び/又は式(3)で表されるアゾ化合物を含有することにより、高い透過率及び高い偏光度を有しつつも、白表示時にさらに高品位なペーパーホワイトを実現し、黒表示時にさらに高級感のある明瞭な黒色を実現することができる。
式(1)で表されるアゾ化合物、式(2)で表されるアゾ化合物、及び式(3)で表されるアゾ化合物は、遊離形態であっても、塩の形態であってもよい。塩は、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、又は、アンモニウム塩やアルキルアミン塩などの有機塩であり得る。塩は、好ましくは、ナトリウム塩である。
本発明に係る偏光膜は、後述する好ましい範囲の色度a*値及びb*値、単体透過率、及び特定波長帯域における平均透過率等の性能を有することができる。
本発明の偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩を少なくとも含む二色性色素と、偏光膜基材とを含む染料系偏光膜である。本発明の偏光膜は、カラー偏光膜及びニュートラルグレー偏光膜のいずれでもあり得、好ましくはニュートラルグレー偏光膜である。ここで、「ニュートラルグレー」は、2枚の偏光膜をその配向方向が互いに直交するように重ね合わせた状態で、可視光領域の波長領域における特定波長の光漏れ(色漏れ)が少ないことを意味する。
本発明の偏光膜は、二色性色素として、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩を単独又は複数含み、必要に応じて他の有機染料を1種以上さらに含むことができる。併用される他の有機染料は、特に制限はないが、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩の吸収波長領域と異なる波長領域に吸収特性を有する染料であって二色性の高いものであることが好ましい。併用する有機染料としては、例えばC.I. Direct Yellow28、C.I. Direct Yellow44、C.I. Direct Orange26、C.I. Direct Orange71、C.I. Direct Orange107、C.I. Direct Red2、C.I. Direct Red31、C.I. Direct Red79、C.I. Direct Red247、C.I. Direct Green80、及びC.I. Direct Red59、並びに特許文献1~5に記載された染料等が代表例として挙げられる。上述の通り、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩及び/又は式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩がさらに含有されてもよい。これらの色素は、遊離酸として、あるいはアルカリ金属塩(例えばNa塩、K塩、Li塩)、アンモニウム塩、又はアミン類の塩として偏光膜に含有される。
他の有機染料を併用する場合、目的とする偏光膜が、ニュートラルグレーの偏光膜、液晶プロジェクター用カラー偏光膜、その他のカラー偏光膜であるかよって、それぞれ配合される他の有機染料の種類は異なる。他の有機染料の配合割合は特に限定されるものではないが、式(1)のアゾ化合物又はその塩の含有量100質量部を基準として、1種又は複数種の他の有機染料の合計が0.01~5000質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~3000質量部であり、特に好ましくは1~1000質量部の範囲である。
ニュートラルグレーの偏光膜の場合、得られた偏光膜が可視光領域の波長領域における色漏れが少なくなるように、併用される他の有機染料の種類及びその配合割合の調整が行われる。
カラーの偏光膜の場合、得られた偏光膜が特定の波長域において高い単板平均光透過率を有し、直交位の平均光透過率が低くなるように、例えば、特定の波長域において39%以上の単板平均光透過率と、0.4以下の直交位の平均光透過率を有するように、併用される他の有機染料の種類及びその配合割合の調整が行われる。
各種カラーの偏光膜又はニュートラルグレーの偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩を少なくとも含み、必要に応じて他の有機染料をさらに含む二色性色素を、偏光膜基材(例えば、高分子フィルム)に公知の方法で含有させ配向させる、液晶と共に混合させる、又は塗工方法により配向させることにより製造することが出来る。
偏光膜基材は、好ましくは高分子フィルムであり、二色性色素、特にアゾ化合物を吸着し得る親水性高分子を製膜して得られるフィルム等であることが好ましい。親水性高分子は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、アミロース系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、及びポリアクリル酸塩系樹脂などである。親水性高分子は、二色性色素の染色性、加工性及び架橋性などの観点から、より好ましくはポリビニルアルコール樹脂又はその誘導体からなるフィルムである。偏光膜基材の具体例としてはポリビニルアルコール又はその誘導体、及びこれらのいずれかをエチレン、プロピレン等のオレフィンや、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸などで変性したもの等が挙げられる。偏光膜基材としては、ポリビニルアルコール又はその誘導体からなるフィルムが、染料の吸着性及び配向性の観点から好適に用いられる。偏光膜基材の厚さは通常10~100μm、好ましくは25~80μm程度である。
偏光膜基材が高分子フィルムである場合、式(1)のアゾ化合物又はその塩である二色性色素を含有せしめるにあたっては、通常、高分子フィルムを染色する方法を採用することができる。染色は、例えば次のように行うことができる。まず、本発明のアゾ化合物又はその塩、及び必要によりこれ以外の有機染料を水に溶解して染浴を調製する。染浴中の染料濃度は特に制限されないが、通常は0.001~10質量%程度の範囲から選択される。また、必要により染色助剤を用いてもよく、例えば、芒硝を0.1~10質量%程度の濃度で用いるのが好適である。このようにして調製した染浴に高分子フィルムを例えば1~10分間浸漬し、染色を行う。染色温度は、好ましくは25~80℃程度、特に好ましくは35~50℃の範囲である。
式(1)のアゾ化合物又はその塩を含む二色性色素の配向は、染色された高分子フィルムを延伸することによって行われる。延伸する方法としては、例えば湿式法、乾式法など、任意の公知の方法を用いることができる。延伸倍率は2~8倍に延伸されるのが一般的であり、好ましくは3~7倍、より好ましくは4~6.5倍である。高分子フィルムの延伸は、場合により、染色の前に行ってもよい。この場合には、染色の時点で水溶性染料の配向が行われる。水溶性染料を含有及び配向せしめた高分子フィルムは、必要に応じて公知の方法によりホウ酸処理などの後処理が施される。このような後処理は、偏光膜の光線透過率及び偏光度を向上させる目的で行われる。ホウ酸処理の条件は、用いる高分子フィルムの種類や用いる染料の種類によって異なるが、一般的にはホウ酸水溶液のホウ酸濃度を0.1~15質量%、好ましくは1~10質量%の範囲とし、処理は例えば30~80℃、好ましくは40~75℃の温度範囲で、例えば0.5~10分間浸漬して行われる。さらに必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液で、フィックス処理を併せて行ってもよい。
(透過率)
透過率は、JIS Z 8722:2009に従って求められる、視感度補正後の透過率である。透過率の測定は、測定試料(例えば、偏光膜又は偏光板)について、400~700nmの各波長について、5nm又は10nmごとに分光透過率を測定し、これを2度視野(C光源)により、視感度に補正することで求めることができる。
(I)2つの波長帯域の平均透過率の差
本発明の偏光膜は、特定の波長帯域間の平均透過率の差が所定の値以下であることが好ましい。平均透過率は、特定の波長帯域における透過率の平均値である。
波長帯域420nmから480nm、520nmから590nm、及び600nmから640nmは、JIS Z 8781-4:2013において色を示す際に計算で用いる等色関数に基づく主な波長帯域である。具体的には、JIS Z 8781-4:2013の元になるJIS Z 8701のXYZ等色関数において、600nmを最大値とするx(λ)、550nmを最大値とするy(λ)、455nmを最大値とするz(λ)のそれぞれの最大値を100としたとき、20以上となる値を示すそれぞれの波長が、420nmから480nm、520nmから590nm、及び600nmから640nmの各波長帯域である。
本発明の偏光膜は、偏光膜2枚を吸収軸方向が平行になるように重ねて配置した状態(明表示時、又は、白表示時)について測定して得られる透過率(以下、「平行位透過率」とも称する。)について、420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.0%以下である。さらに、平行位透過率について、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。このような偏光膜は、平行位で高品位な紙のような白色を表示することができる。
さらに、偏光膜2枚を吸収軸方向が直交になるように重ねて配置した状態(黒表示時、又は、暗表示時)について測定して得られる透過率(以下、「直交位透過率」とも称する。)について、420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値は、0.3%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値は、0.6%以下であることが好ましい。このような偏光膜は、直交位で無彩色な黒色を表示することができる。さらに、直交位透過率について、420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値は、より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。直交位透過率について、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値は、より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
さらに、波長帯域380nmから420nm、480nmから520nm、及び640nmから780nmの各々における単体透過率、平行透過率、及び直交透過率のそれぞれの平均透過率は、上記波長帯域420nmから480nm、520nmから590nm、600nmから640nmにおける平均透過率が上述したように調整されている場合には、色素により大きな影響は受けにくいが、ある程度調整されていることが好ましい。波長帯域380nmから420nmの平均透過率と、420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下であることが好ましく、480nmから520nmの平均透過率と、420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下、480nmから520nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率と差が15%以下、640nmから780nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差が20%以下であることが好ましい。
(II)単体透過率
本発明に係る偏光膜は、単体透過率が35%から65%であることが好ましい。単体透過率は、測定試料(例えば、偏光膜又は偏光板)1枚について、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。偏光板の性能としては、透過率がより高いものが求められるが、単体透過率が35%から60%であれば表示装置に用いても、違和感なく明るさを表現できる。透過率が高いほど偏光度は下がる傾向にあるため、偏光度とのバランスの観点からは、単体透過率は、37%から50%であることがより好ましく、さらに好ましくは38%から45%である。単体透過率が65%を超えると偏光度が低下する場合があるが、偏光膜の明るい透過率、又は、特定の偏光性能やコントラストを求める場合には、単体透過率が65%を超えてもよい。
(III)特定波長帯域における平均透過率
偏光膜は、平行位で測定された520nmから590nmの波長帯域における平均透過率が、例えば25%から50%であり、好ましくは28%から50%である。このような偏光膜は、表示装置に設けた際に、明るく、輝度の高い明瞭な表示装置とすることができる。520nmから590nmの波長帯域の透過率は、JIS Z 8781-4:2013において色を示す際に計算で用いる等色関数に基づく主な波長帯域の1つである。特に、520nmから590nmの各波長帯域は、等色関数に基づく最も視感度の高い波長帯域であり、この範囲における透過率が、目視で確認できる透過率と近い。このため、520nmから590nmの波長帯域の透過率を調整することが非常に重要である。平行位で測定された520nmから590nmの波長帯域の平均透過率は、より好ましくは29%から50%であり、さらに好ましくは30%から40%である。さらに、このときの偏光膜の偏光度は、80%から100%であることが好ましく、より好ましくは95%から100%、さらに好ましくは99%から100%である。偏光度は、高い方が好ましいが、偏光度と透過率との関係において、明るさを重視するか、偏光度(又はコントラスト)を重視するかにより、適した透過率及び偏光度に調整することができる。
単板平均光透過率は、偏光膜、又はAR(反射防止)層及び透明ガラス板等の支持体の設けていない1枚の偏光板(以下、単に偏光板と言うときは同様な意味で使用する)に自然光を入射したときの特定波長領域における光線透過率の平均値である。直交位の平均光透過率は、配向方向を直交になるように配置した2枚の偏光膜又は偏光板に自然光を入射したときの特定波長領域における光透過率の平均値である。
(色度a*値及びb*値)
色度a*値及びb*値は、JIS Z 8781-4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる値である。JIS Z 8781-4:2013に定められる物体色の表示方法は、国際照明委員会(略称:CIE)が定める物体色の表示方法に相当する。色度a*値及びb*値の測定は、測定試料(例えば、偏光膜又は偏光板)に自然光を照射して行われる。なお、以下において、測定試料1枚について求められる色度a*値及びb*値はa*-s及びb*-s、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態(白表示時)について求められる色度a*値及びb*値はa*-p及びb*-p、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態(黒表示時)について求められる色度a*値及びb*値はa*-c及びb*-cと示す。
本発明の一態様において、本発明の偏光膜は、a*-s及びb*-sの絶対値の各々が1.0以下であることが好ましく、a*-p及びb*-pの絶対値の各々が2.0以下であることが好ましい。このような偏光膜は、単体で中性色であり、白表示時に高品位な白色を表示することができる。偏光膜のa*-p及びb*-pの絶対値は、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以下である。さらに、偏光膜は、a*-c及びb*-cの絶対値の各々が2.0以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。このような偏光膜は、黒表示時に無彩色の黒色を表示することができる。
色度a*値及びb*値の絶対値に0.5の差があるだけでも人間は色の違いを知覚でき、人によっては色の違いを大きく感じることがある。このため、偏光膜において、これらの値を制御することは非常に重要である。特に、a*-p、b*-p、a*-c、及びb*-cの絶対値の値が、各々、1.0以下である場合には、白表示時の白色及び黒表示時の黒色にその他の色がほぼ確認できない、良好な偏光板が得られる。平行位で無彩色性、すなわち高品位な紙のような白色を実現し、かつ、直交位で無彩色な高級感ある明瞭な黒色を実現することができる。
本発明の一態様において、本発明の偏光膜は、高コントラスト及び高透過率を有しながら、単体での無彩色性と高偏光度を有する。さらに、本発明の偏光膜は、白表示時に高品位な紙のような白色(ペーパーホワイト)を表現することができ、黒表示時に無彩色な黒色、特に高級感ある明瞭な黒色を表現することができる。これまでは、このような高透過率と無彩色性を兼ね備えた偏光膜は存在していなかった。本発明の偏光膜は、さらに、高耐久性であり、特に高温及び高湿度に対する耐久性を有する。
本発明の一態様において、本発明の偏光膜は、700nm以上の波長の光の吸収が一般的に用いられるヨウ素系偏光板や特許文献3に比べて少ないため、太陽光などの光を照射しても発熱が少ないという利点がある。例えば、屋外等で液晶ディスプレイを使用する場合には、太陽光が液晶ディスプレイに照射され、その結果、偏光膜にも照射される。太陽光は、700nm以上の波長の光も有し、発熱効果を有する近赤外線を含む。例えば、特許文献12の実施例3に記載されるようなアゾ化合物を用いた偏光膜は波長700nm付近の近赤外の光を吸収するために、若干発熱するが、本発明の偏光膜は、近赤外線の吸収が極めて少ないため、屋外で太陽光に暴露されても発熱が少ない。本発明の偏光膜は、発熱が少ないことにより、劣化も少ない点で優れている。
以下、ポリビニルアルコール系樹脂製の基材にアゾ化合物を吸着させて作製する場合を例に、具体的な偏光膜の作製方法を説明する。なお、本発明に係る偏光膜の製造方法は、以下の製法に限定されるものではない。
(原反フィルムの準備)
原反フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜することにより作製することができる。ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されず、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成されたものを用いてもよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合する他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、及び不飽和スルホン酸類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であることが好ましく、より好ましくは95モル%以である。ポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用できる。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、粘度平均重合度を意味し、当該技術分野において周知の手法によって求めることができ、通常1,000~10,000程度が好ましく、より好ましくは重合度1,500~6,000程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。この場合、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムには、可塑剤としてグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコールなどが含有されていてもよい。可塑剤の量はフィルム全量中に好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは8~15質量%である。原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば、5μm~150μm程度、好ましくは10μm~100μm程度である。
(膨潤工程)
以上により得られた原反フィルムに、膨潤処理を施す。膨潤処理は20~50℃の溶液に、原反フィルムを30秒から10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。溶液は水が好ましい。延伸倍率は、1.00~1.50倍に調整することが好ましく、1.10~1.35倍に調整することがより好ましい。偏光膜を製造する時間を短縮する場合には、後述する染色処理時にも原反フィルムが膨潤するため膨潤処理を省略することもできる。
(染色工程)
染色工程では、原反フィルムを膨潤処理して得られた樹脂フィルムにアゾ化合物を吸着及び含浸させる。膨潤工程を省略した場合には、染色工程において原反フィルムの膨潤処理を同時に行うことができる。アゾ化合物を吸着及び含浸させる処理は、樹脂フィルムに着色する工程であるため、染色工程としている。
アゾ化合物としては、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩を用い、任意に式(2)及び/又は式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩等の他の有機染料をさらに用いることができる。また、非特許文献2などで例示される二色性染料であるアゾ化合物を、本願の偏光膜の性能が損なわれない程度に用いて色を調整してもよい。これらのアゾ化合物は遊離酸の形態で用いるほか、当該化合物の塩を用いてもよい。そのような塩は、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、又は、アンモニウム塩やアルキルアミン塩などの有機塩であり、好ましくは、ナトリウム塩である。
染色工程は、色素を樹脂フィルムに吸着及び含浸させる方法であれば特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムを染色溶液に浸漬させることにより行うことが好ましく、樹脂フィルムに染色溶液を塗布することによって行うこともできる。染色溶液中の各アゾ化合物は、例えば、0.001~10質量%の範囲内で調整することができる。
この工程での溶液温度は、5~60℃が好ましく、20~50℃がより好ましく、35~50℃が特に好ましい。溶液に浸漬する時間は適度に調節できるが、30秒から20分で調節するのが好ましく、1~10分がより好ましい。
染色溶液は、アゾ化合物に加え、染色助剤を必要に応じてさらに含有してもよい。染色助剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、及びトリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。染色助剤の含有量は、染料の染色性による時間及び温度によって任意の濃度で調整できるが、それぞれの含有量としては、染色溶液中に0.01~5質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。
(洗浄工程1)
染色工程後、次の工程に入る前に洗浄工程(以下、「洗浄工程1」とも称する。)を行うことができる。浄工程1は、染色工程で樹脂フィルムの表面に付着した染色溶液を洗浄する工程である。洗浄工程1を行うことによって、次に処理する液中に染料が移行するのを抑制することができる。洗浄工程1では、洗浄液として一般的には水が用いられる。洗浄方法は、洗浄液に浸漬することが好ましいが、洗浄液を樹脂フィルムに塗布することによって洗浄することもできる。洗浄の時間は、特に限定されないが、好ましくは1~300秒、より好ましくは1~60秒である。洗浄工程1での洗浄液の温度は、樹脂フィルムを構成する材料(例えば、親水性高分子、ここではポリビニルアルコール系樹脂)が溶解しない温度であることが必要となる。一般的には5~40℃で洗浄処理される。ただし、洗浄工程1の工程がなくとも、性能には問題は出ないため、洗浄工程は省略することもできる。
(架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程)
染色工程又は洗浄工程1の後、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程を行うことができる。樹脂フィルムに架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる方法は、処理溶液に浸漬することが好ましいが、処理溶液を樹脂フィルムに塗布又は塗工してもよい。処理溶液は、架橋剤及び/又は耐水化剤を少なくとも1種と、溶媒とを含む。この工程での処理溶液の温度は、5~70℃が好ましく、5~50℃がより好ましい。この工程での処理時間は30秒~6分が好ましく、1~5分がより好ましい。
架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂又はホウ酸アンモニウムなどのホウ素化合物、グリオキザール又はグルタルアルデヒド等の多価アルデヒド、ビウレット型、イソシアヌレート型又はブロック型等の多価イソシアネート系化合物、チタニウムオキシサルフェイト等のチタニウム系化合物等を用いることができるが、他にもエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリアミドエピクロルヒドリン等を用いることができる。耐水化剤としては、過酸化コハク酸、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カルシウム、ベンゾインエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、塩化アンモニウム又は塩化マグネシウム等が挙げられるが、好ましくはホウ酸が用いられる。架橋剤及び/又は耐水化剤のための溶媒としては、水が好ましいが限定されるものではない。架橋剤及び/又は耐水化剤の含有濃度は、その種類に応じて当業者が適宜決定することができるが、ホウ酸を例にして示すと処理溶液中に濃度0.1~6.0質量%が好ましく、1.0~4.0質量%がより好ましい。ただし、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させることが必須でなく、時間を短縮したい場合には、架橋処理又は耐水化処理が不必要な場合には、この処理工程を省略してもよい。
(延伸工程)
染色工程、洗浄工程1、又は架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程を行った後に、延伸工程を行う。延伸工程は、樹脂フィルムを1軸に延伸することにより行う。延伸方法は湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれでもよい。延伸倍率は、3倍以上であることが好ましく、より好ましくは4~8倍であり、特に好ましくは5~7倍である。
乾式延伸法の場合には、延伸加熱媒体が空気媒体の場合には、空気媒体の温度が常温から180℃で樹脂フィルムを延伸するのが好ましい。また、湿度は20~95%RHの雰囲気中とすることが好ましい。加熱方法としては、例えば、ロール間ゾーン延伸法、ロール加熱延伸法、圧延伸法、及び赤外線加熱延伸法等が挙げられるが、その延伸方法は限定されるものではない。延伸工程は1段で延伸することもできるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
湿式延伸法の場合には、水、水溶性有機溶剤、又はその混合溶液中で樹脂フィルムを延伸することが好ましい。架橋剤及び/又は耐水化剤を少なくとも1種含有する溶液中に浸漬しながら延伸処理を行うことが好ましい。架橋剤及び耐水化剤としては、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程について上述したのと同じものを用いることができる。延伸工程での架橋剤及び/又は耐水化剤の溶液中の濃度は、例えば、0.5~15質量%が好ましく、2.0~8.0質量%がより好ましい。延伸温度は40~60℃で処理することが好ましく、45~58℃がより好ましい。延伸時間は通常30秒~20分であるが、2~5分がより好ましい。湿式延伸工程は1段で延伸することができるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
(洗浄工程2)
延伸工程を行った後には、樹脂フィルム表面に架橋剤及び/又は耐水化剤の析出、又は異物が付着することがあるため、樹脂フィルム表面を洗浄する洗浄工程(以下、「洗浄工程2」とも称する)を行うことができる。洗浄時間は1秒~5分が好ましい。洗浄方法は、樹脂フィルムを洗浄液に浸漬することが好ましいが、溶液を樹脂フィルムに塗布又は塗工によって洗浄することもできる。洗浄液としては、水が好ましい。1段で洗浄処理することもできるし、2段以上の多段処理をすることもできる。洗浄工程の溶液温度は、特に限定されないが通常5~50℃、好ましくは10~40℃である。
ここまでの処理工程で用いる処理液又はその溶媒としては、水の他、例えば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリメチロールプロパン等のアルコール類、エチレンジアミン及びジエチレントリアミン等のアミン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。処理液又はその溶媒は、最も好ましくは水である。また、これらの処理液又はその溶媒は、1種単独で用いることもできるが、2種以上の混合物を用いることもできる。
(乾燥工程)
延伸工程又は洗浄工程2の後には、樹脂フィルムの乾燥工程を行う。乾燥処理は、自然乾燥により行うことができるが、より乾燥効率を高めるためにはロールによる圧縮やエアーナイフ、又は吸水ロール等による表面の水分除去等により行うことができ、及び/又は送風乾燥により行うこともできる。乾燥処理温度としては、20~100℃で乾燥処理することが好ましく、60~100℃で乾燥処理することがより好ましい。乾燥処理時間は例えば30秒~20分であるが、5~10分であることが好ましい。
偏光膜の作製方法では、膨潤工程における基材の膨潤度、染色工程における各アゾ化合物の配合比、染色溶液の温度、pH、塩化ナトリウムや芒硝、トリポリリン酸ナトリウム等の塩の種類やその濃度、及び染色時間、並びに延伸工程における延伸倍率は、偏光膜が以下の(i)~(v)の条件の少なくとも1つを満たすように調整することが好適であり、(vi)及び(vii)の条件をさらに満たすように調整することがより好適である。
(i)平行位透過率について、420nmから480nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5以下となり、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0以下となる。
(ii)直交位透過率について、420nmから480nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が0.3以下となり、520nmから590nmの平均透過率と600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が0.6以下となる。
(iii)単体透過率が35%から65%となる。
(iv)a*値及びb*値の絶対値の各々が、偏光膜単体でともに1.0以下となり、平行位でともに2.0以下となる。
(v)直交位で測定されたa*値及びb*値の絶対値の各々が、ともに2以下となる。
(vi)平行位透過率について、520nmから590nmの平均透過率が25~50%となる。
(vii)380nmから420nmの平均透過率と420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下、480nmから520nmの平均透過率と420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下、480nmから520nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率と差が15%以下、及び/又は640nmから780nmの平均透過率と600nmから640nmの平均透過率との差が20%以下となる。
以上の方法により、式(1)で表されるアゾ化合物を含有する偏光膜を製造することができる。かかる偏光膜は、従来より高い透過率及び高い偏光度を有しながらも、偏光膜2枚を吸収軸方向が平行になるように重ねて配置した際に高品位な紙のような白色を表現でき、かつ、単体で中性色(ニュートラルグレー)を有する色相である。さらに、偏光膜は、偏光膜2枚を吸収軸方向が直交になるように重ねて配置した際に、高級感のある無彩色な黒を示す。また、偏光膜は、高温及び高湿度に対して耐久性が高い。
得られた染料系偏光膜は、保護膜を付けることにより偏光板として使用され得、必要に応じて保護層又はAR層及び支持体等をさらに設けることができる。本発明の染料系偏光膜の用途としては、例えば、液晶プロジェクター、電卓、時計、ノートパソコン、ワープロ、液晶テレビ、カーナビゲーション、屋内外の計測器や表示器等、及びレンズやメガネ等が挙げられる。本発明の染料系偏光膜は、ヨウ素を用いた偏光膜に匹敵する高い偏光性能を有し、かつ、耐久性にも優れる。このため、高い偏光性能と耐久性を必要とする各種液晶表示体用、液晶プロジェクター用、車載用、及び屋外表示用(例えば、工業計器類の表示用途やウェアラブル用途)表示装置に特に好適である。
液晶表示装置に限られず、本発明は、有機EL(通称:OLED)、シースルーディスプレイ等の表示装置にも使用できる。また、本発明は波長依存性がなく一定の透過率であり、且つ色相が平行位及び直交位で無彩色であるため、スマートウィンドウ、レンズ、フィルター、メガネにも好適である。特に、これまでの偏光板に比べて各波長による透過度の差が少なく、高耐久性を有しているため、センサー用偏光板として非常に好適である。
<偏光板>
本発明に係る偏光板は、偏光膜と、該偏光膜の片面又は両面に設けられた透明保護層とを備える。透明保護層は、偏光膜の耐水性や取扱性の向上等を目的として設けられる。
透明保護層は、透明物質を用いて形成された保護フィルムである。保護フィルムは、偏光膜の形状を維持できる層形状を有するフィルムであり、透明性や機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れるプラスチック等が好ましい。これと同等な層を形成することで同等な機能を設けることでもよい。保護フィルムを構成するプラスチックの一例としては、ポリエステル系樹脂、(セルロース)アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン系共重合体等のフッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系及びシリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂などから得られるフィルムが挙げられ、これらのうちポリオレフィン系樹脂としては、非晶性ポリオレフィン系樹脂であってノルボルネ系モノマー又は多環状ノルボルネン系モノマーのような環状ポリオレフィンの重合単位を有する樹脂が挙げられる。一般的に、保護フィルムをラミネートした後に偏光膜の性能を阻害しない保護フィルムを選択することが好ましく、そのような保護フィルムとして、セルロースアセテート系樹脂よりなるトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィン系フィルム、及びノルボルネンフィルムが特に好ましい。また、保護フィルムは、本発明の効果を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理などを施したものであってもよい。保護膜の厚さは通常10~200μmであることが好ましく、より好ましくは20~80μmである。
偏光板は、透明保護層と偏光膜との間に、透明保護層を偏光膜と貼り合わせるための接着剤層をさらに備えることが好ましい。接着剤層を構成する接着剤としては特に限定されないが、その例として、ポリビニルアルコール系接着剤、ウレタンエマルジョン系接着剤、アクリル系接着剤、及びポリエステルーイソシアネ-ト系接着剤等が挙げられる。ポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤として、例えば、ゴーセノールNH-26(日本合成社製)及びエクセバールRS-2117(クラレ社製)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。接着剤には、架橋剤及び/又は耐水化剤を添加することができる。ポリビニルアルコール系接着剤としては、無水マレイン酸-イソブチレン共重合体を用いることが好ましく、必要により架橋剤を混合した接着剤を用いることができる。無水マレイン酸-イソブチレン共重合体としては、例えば、イソバン#18(クラレ社製)、イソバン#04(クラレ社製)、アンモニア変性イソバン#104(クラレ社製)、アンモニア変性イソバン#110(クラレ社製)、イミド化イソバン#304(クラレ社製)、及びイミド化イソバン#310(クラレ社製)等が挙げられる。その際の架橋剤には水溶性多価エポキシ化合物を用いることができる。水溶性多価エポキシ化合物としては、例えば、デナコールEX-521(ナガセケムテック社製)及びテトラット-C(三井ガス化学社製)等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の接着剤として、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系といった公知の接着剤を用いることも出来る。特に、アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコールを用いることが好ましく、さらにはその架橋剤として、多価アルデヒドを用いることが好ましい。また、接着剤の接着力の向上又は耐水性の向上を目的として、亜鉛化合物、塩化物、及びヨウ化物等の添加物を単独で又は同時に0.1~10質量%程度の濃度で含有させることもできる。接着剤への添加物は、特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。透明保護層と偏光膜とを接着剤で貼り合せた後、適切な温度で乾燥又は熱処理を行うことによって偏光板を得ることができる。
偏光板の表面には、さらなる透明な保護層を設けてもよい。さらなる透明保護層としては、例えばアクリル系やポリシロキサン系のハードコート層やウレタン系の保護層等が挙げられる。また、単板光透過率をより向上させるために、この保護層の上にAR層を設けることが好ましい。AR層は、例えば二酸化珪素、酸化チタン等の物質を蒸着又はスパッタリング処理によって形成することができ、またフッ素系物質を薄く塗布することにより形成することができる。偏光板は、表面に位相差板をさらに貼付し、楕円偏光板として使用することもできる。
偏光板は場合によって、例えば液晶、有機エレクトロルミネッセンス(通称、OLED又はOEL)等の表示装置に貼り合わせる場合、後に非露出面となる保護層又はフィルムの表面に視野角改善及び/又はコントラスト改善のための各種機能性層、輝度向上性を有する層又はフィルムを設けることもできる。各種機能性層は、例えば、位相差を制御する層又はフィルムである。偏光板は、これらのフィルムや表示装置に、粘着剤により貼り合わされることが好ましい。
偏光板は、保護層又はフィルムの露出面に、反射防止層、防眩層、及びハードコート層等の公知の各種機能性層を備えていてもよい。この各種機能性を有する層を作製するには塗工方法が好ましいが、その機能を有するフィルムを接着剤又は粘着剤を介して貼合せることもできる。
偏光板は、用途に応じてカラー偏光板及びニュートラル偏光板のいずれであってもよい。
本発明に係る偏光板は、高い透過率及び高い偏光度を有しながらも無彩色性を実現することができ、特に、白表示時に高品位な紙のような白色を表現でき、かつ、黒表示時にニュートラルな黒色を表現し得る、高耐久性の偏光板である。
本発明のニュートラルグレー偏光板は、可視光領域の波長領域において直交位の色漏れが少なく、偏光性能に優れ、さらに高温高湿状態でも変色や偏光性能の低下が防止され、可視光領域における直交位での光漏れが少ないという特徴を有し、車載用又は屋外表示用表示装置に好適である。
車載用又は屋外表示用の表示装置用のニュートラルグレー偏光板は、偏光膜と保護膜からなる偏光板に、単板光透過率をより向上させるために、AR層を設け、AR層付き偏光板としたものが好ましく、さらに透明樹脂などの支持体を設けたAR層及び支持体付きの偏光板がより好ましい。AR層は、偏光板の片面又は両面に設けることができる。支持体は、偏光板の片面に設けることが好ましく、偏光板上にAR層を介して設けられていても直接設けられていてもよい。支持体は偏光板を貼付するための平面部を有しているものが好ましく、また光学用途であるため、透明基板であること好ましい。透明基板としては、大きく分けて無機基板と有機基板があり、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、水晶基板、サファイヤ基板、及びスピネル基板等の無機基板、並びにアクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びシクロオレフィンポリマー等の有機基板が挙げられるが、有機基板が好ましい。透明基板の厚さや大きさは所望のサイズでよい。
カラー偏光板は、偏光性能に優れ、高温高湿状態でも変色や偏光性能の低下を起こさないため、液晶プロジェクター用、車載用、及び屋外表示用表示装置に好適である。これらの偏光板に使用される偏光膜も、前記の本発明の偏光膜の製造法の箇所で記載した方法で製造され、さらに保護膜を付け偏光板とし、必要に応じて保護層又はAR層及び支持体等を設けて用いられる。
液晶プロジェクター用カラー偏光板は、該偏光板の必要波長域(A.超高圧水銀ランプを用いた場合;青色チャンネル用420~500nm、緑色チャンネル500~580nm、赤色チャンネル600~680nm、B.3原色LEDランプを用いた場合のピ-ク波長;青色チャンネル430~450nm、緑色チャンネル520~535nm、赤色チャンネル620~635nm)における、単板平均光透過率が39%以上、直交位の平均光透過率が0.4%以下であることが好ましく、より好ましくは該偏光板の必要波長域における単板平均光透過率が41%以上、直交位の平均光透過率が0.3%以下であり、直交位の平均光透過率はさらに好ましくは0.2%以下である。特に好ましくは、該偏光板の必要波長域における単板平均光透過率が42%以上、直交位の平均光透過率が0.1%以下である。液晶プロジェクター用カラー偏光板は、上述した通り、明るさと優れた偏光性能を有するものである。
車載用又は屋外表示用の表示装置用の支持体付カラー偏光板は、例えば、支持体平面部に透明な接着(粘着)剤を塗布し、次いでこの塗布面に偏光板を貼付することにより製造することができる。また、偏光板に透明な接着(粘着)剤を塗布し、ついでこの塗布面に支持体を貼付してもよい。ここで使用する接着(粘着)剤は、例えばアクリル酸エステル系のものが好ましい。なお、この偏光板を楕円偏光板として使用する場合、位相差板側を支持体側に貼付するのが通常であるが、偏光板側を透明基板に貼付してもよい。
<表示装置等の製品>
本発明の偏光膜又は偏光板は、必要に応じて保護層又は機能層及びガラス、水晶、サファイア等の透明な支持体等を設け、液晶プロジェクター、電卓、時計、ノートパソコン、ワープロ、液晶テレビ、偏光レンズ、偏光メガネ、カーナビゲーション、及び屋内外の計測器や表示器等に適用される。本発明の偏光膜又は偏光板は、液晶表示装置、例えば、反射型液晶表示装置、半透過液晶表示装置、及び有機エレクトロルミネッセンス等に好適に用いられる。高い偏光性能と耐久性を必要とする各種表示体、例えば車載用及び屋外表示用(例えば、工業計器類の表示用途やウェアラブル用途)表示装置(液晶及び非液晶を含む)に好適に用いられる。本発明の偏光膜又は偏光板を用いた表示装置は、高品位な紙のような白色及びニュートラルな黒色を表現することができる。さらに、該表示装置は、高耐久性を有し信頼性が高く、長期的に高コントラストで、かつ、高い色再現性を有する表示装置になる。
液晶表示装置に備えられる偏光膜又は偏光板は、ニュートラルグレーであることが好適である。ニュートラルグレーの偏光膜又は偏光板を用いることにより、暗状態において液晶表示の色相が変わってしまうことがある。そこで、偏光膜を液晶表示装置に装着したとき、暗状態において特定波長の色漏れによる液晶表示の変色を防止
液晶表示装置においては、液晶セルの入射側又は出射側のいずれか一方又は両方に偏光板が配置される。該偏光板は液晶セルに接触していても、接触していなくてもよいが、耐久性の観点からは接触していないほうが好ましい。液晶セルの出射側において、偏光板が液晶セルに接触している場合、液晶セルを偏光板の支持体とすることができる。偏光板が液晶セルに接触していない場合、液晶セル以外の支持体を使用した偏光板を使用することが好ましい。また、耐久性の観点から、液晶セルの入射側又は出射側の両方に偏光板が配置されることが好ましく、さらに偏光板の偏光板面を液晶セル側に、支持体面を光源側に配置することが好ましい。なお、液晶セルの入射側とは、光源側のことであり、反対側を出射側という。
車載用又は屋外表示用表示装置、特に車載用又は屋外表示用液晶表示装置に備えられる液晶セルは、例えばアクティブマトリクス型であり、電極及びTFTが形成された透明基板と対向電極が形成された透明基板との間に液晶を封入して形成されるものであることが好ましい。冷陰極管ランプ又は白色LED等の光源から放射された光は、ニュートラルグレー偏光板を通過し、次いで液晶セル、カラーフィルター、さらにニュートラルグレー偏光板を通過し表示画面上に投影される。
このように構成した車載用又は屋外表示用表示装置は、ニュートラルグレー偏光板が明るさと優れた偏光性能、耐久性及び耐光性を有するため、車内や屋外の高温高湿状態でも変色や偏光性能の低下を起こし難く、信頼性が高いという特徴を有する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本発明をなんら限定するものではない。例中にある%及び部は、特にことわらないかぎり質量基準である。
[実施例1]
<1>
4-アミノベンゼン-1,3-ジスルホン酸(Ag-NHとして)25.3部を水200部に加え、35%塩酸を40部加えた。次に40%亜硝酸ナトリウム水溶液を17.3部加えて攪拌し、10~20℃でジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノナフタレン-7-スルホン酸(Bg-NHとして)22.3部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(A2’)で示されるモノアゾアミノ化合物39.0部を得た。
Figure 0007230079000191
<2>
上で得られたモノアゾアミノ化合物(A2’)39.0部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液13.8部を加え、次に10~30℃で35%塩酸32.0部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノナフタレン-7-スルホン酸(Cg-NHとして)17.8部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(A2”)で示されるジスアゾアミノ化合物46.1部を得た。
Figure 0007230079000192
<3>
上で得られたジスアゾアミノ化合物(A2”)46.1部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液を11.0部加え、次に20~30℃で35%塩酸25.6部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。一方、6-(4’-メトキシフェニルアミノ)-1-ナフトール-3-スルホン酸(式(vi)の化合物として)22.1部を水100部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性として溶解した。この液に、先に得られたジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物をpH8~10に保って滴下し、攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(1-A2)で示されるトリスアゾ化合物55.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は604nmであった。
[実施例2]
<2>
Ag-NHとして2-アミノ-4-メトキシベンゼンスルホン酸 18.7重量部を用い第1工程を行い、かつ、1-アミノ-2-メトキシナフタレン-6-スルホン酸(Cg-NHとして)16.2部を用い第2工程を行った以外は実施例1と同様にして式(A10”)で示されるジスアゾアミノ化合物46.1部を得た。
Figure 0007230079000193
<3>
上で得られたジスアゾアミノ化合物(A10”)46.1を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液を11.0部加え、次に20~30℃で35%塩酸25.6部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。一方、6-フェニルアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸(式(vi)の化合物として)16.1部を水100部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性として溶解した。この液に、先に得られたジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物をpH8~10に保って滴下し、攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(1-A10)で示されるトリスアゾ化合物55.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は637nmであった。
[実施例3]
Ag-NHとして4-アミノベンゼンスルホン酸17.3部を用いた点以外は実施例2と同様にして式(1-A11)で示されるトリスアゾ化合物51.1部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は630nmであった。
[実施例4]
<1>
4-アミノ-3-メチルベンゼンスルホン酸(Ag-NHとして)18.7部を水200部に加え、35%塩酸を40部加えた。次に40%亜硝酸ナトリウム水溶液を17.3部加えて攪拌し、10~20℃でジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノナフタレン-6-スルホン酸(Bg-NHとして)22.3部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(A12’)で示されるモノアゾアミノ化合物33.7部を得た。
Figure 0007230079000194
<2>
上で得られたモノアゾアミノ化合物(A12’)33.7部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液13.8部を加え、次に10~30℃で35%塩酸32.0部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノ-2-メトキシナフタレン-6-スルホン酸(Cg-NHとして)16.2部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(A12”)で示されるジスアゾアミノ化合物44.9部を得た。
Figure 0007230079000195
<3>
Ag-N=N-Bg-N=N-Cg-NHとして上で得られたジスアゾアミノ化合物(A12”)44.9を用いた点以外は実施例2の第3工程と同様にして式(1-A12)で示されるトリスアゾ化合物51.8部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は636nmであった。
[実施例5]
Bg-NHとして1-アミノナフタレン11.4部を用いた点以外は実施例4と同様にして式(1-A13)で示されるトリスアゾ化合物47.7部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は632nmであった。
[実施例6]
Ag-NHとして5-アミノイソフタル酸18.1部を用いた点及びCg-NHとして1-アミノナフタレン-7-スルホン酸を用いた点以外は実施例2と同様にして、式(1-A14)で示されるトリスアゾ化合物51.1部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は614nmであった。
[実施例7]
<1>
7-アミノナフタレン-1,3-ジスルホン酸(Ag-NHとして)30.3部を水300部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加え、完溶させた。次に、35%塩酸を40部加え、次に40%亜硝酸ナトリウム水溶液を17.3部加えて攪拌し、10~20℃でジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノナフタレン-7-スルホン酸(Bg-NHとして)22.3部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、ろ過を行い、式(B7’)で示されるモノアゾアミノ化合物43.0部を得た。
Figure 0007230079000196
<2>
上で得られたモノアゾアミノ化合物(B7’)43.0部を水500部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液13.8部を加え、次に10~30℃で35%塩酸32.0部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノナフタレン-7-スルホン酸(Cg-NHとして)17.8部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムを加えて塩析させた後、濾過し、式(B7”)で示されるジスアゾアミノ化合物49.3部を得た。
Figure 0007230079000197
<3>
上で得られたジスアゾアミノ化合物(B7”)49.3部を水300部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液を11.0部加え、次に20~30℃で35%塩酸25.6部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。一方、6-フェニルアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸(式(vi)の化合物として)20.2部を水100部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性として溶解した。この液に、先に得られたジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物をpH8~10に保って滴下し、攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、濾過して式(1-B7)で示されるトリスアゾ化合物56.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は602nmであった。
[実施例8]
式(vi)の化合物として6-(4’-メトキシフェニルアミノ)-1-ナフトール-3-スルホン酸22.1部を用いた点以外は実施例7と同様にして、式(1-B8)で示されるトリスアゾ化合物57.7部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は606nmであった。
[実施例9]
<1>
Ag-NHとして7-アミノナフタレン-1,5-ジスルホン酸30.3部を用いた点以外は実施例7の第1工程と同様にして式(C12’)で示されるモノアゾアミノ化合物43.0部を得た。
Figure 0007230079000198
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたモノアゾアミノ化合物(C12’)43.0部を用いた点以外は実施例7の第2工程と同様にして式(C12”)で示されるジスアゾアミノ化合物49.3部を得た。
Figure 0007230079000199
<3>
Ag-N=N-Bg-N=N-Cg-NHとして上で得られたジスアゾアミノ化合物(C12”)49.3部を用いた点以外は実施例7の第3工程と同様にして式(1-C12)で示されるトリスアゾ化合物56.1部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は604nmであった。
[実施例10]
(式(vi)の化合物として6-(4’-メトキシフェニルアミノ)-1-ナフトール-3-スルホン酸22.1部を用いた点以外は実施例9と同様にして、式(1-C13)で示されるトリスアゾ化合物57.7部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は614nmであった。
[実施例11]
<1>
4-アミノナフタレン-1-スルホン酸(Ag-NHとして)22.3部を水300部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加え、完溶させた。次に、35%塩酸を40部加え、次に40%亜硝酸ナトリウム水溶液を17.3部加えて攪拌し、10~20℃でジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノナフタレン-7-スルホン酸(Bg-NHとして)22.3部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、濾過を行い、式(C18’)で示されるモノアゾアミノ化合物36.6部を得た。
Figure 0007230079000200
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたモノアゾアミノ化合物(C18’)36.6部を用いた点以外は実施例7の第2工程と同様にして式(C18”)で示されるジスアゾアミノ化合物44.2部を得た。
Figure 0007230079000201
<3>
上で得られたジスアゾアミノ化合物(C18”)44.2部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解し、40%亜硝酸ナトリウム水溶液11.0部加え、次に20~30℃で35%塩酸25.6部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。一方、6-(4-メトキシフェニル)アミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸(式(vi)の化合物として)22.1部を水100部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性として溶解した。この液に、先に得られたジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物をpH8~10に保って滴下し、攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(1-C18)で示されるトリスアゾ化合物53.6部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は610nmであった。
[実施例12]
<1>
Ag-NHとして、特許文献5を参考に合成した7-アミノ-4(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-2-スルホン酸36.1部を用いた点以外は実施例11の第1工程ど同様にして式(D5’)で示されるモノアゾアミノ化合物47.6部を得た。
Figure 0007230079000202
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたモノアゾアミノ化合物(D5’)47.6部を用いた点以外は実施例7の第2工程と同様にして式(D5”)で示されるジスアゾアミノ化合物53.1部を得た。
Figure 0007230079000203
<3>
上で得られたジスアゾアミノ化合物(D5”)53.1部を水300部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液を11.0部加え、次に20~30℃で35%塩酸25.6部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。一方、6-(4’-メトキシフェニルアミノ)-1-ナフト-ル-3-スルホン酸(式(vi)の化合物として)22.1部を水100部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性として溶解した。この液に、先に得られたジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物をpH8-10に保って滴下し、攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、濾過して式(1-D5)で示されるトリスアゾ化合物60.7部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は606nmであった。
[実施例13]
Ag-NHとして、特許文献1を参考に合成した6-アミノ-4(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-2-スルホン酸36.1部を用いた点以外は、実施例12と同様にして式(1-D6)で示されるトリスアゾ化合物60.7部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は606nmであった。
[実施例14]
<1>
4-アミノ-3-メチルベンゼンスルホン酸(Ag-NHとして)18.7部を水300部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加え、完溶させた。次に、35%塩酸を40部加え、40%亜硝酸ナトリウム水溶液を17.3部加えて攪拌し、10~20℃でジアゾ化した。そこへ、15%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた1-アミノナフタレン-7-スルホン酸(Bg-NHとして)25.3部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、濾過を行い、下記式(E9’)で示されるモノアゾアミノ化合物33.7部を得た。
Figure 0007230079000204
<2>
上で得られたモノアゾアミノ化合物(E9’)33.4部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液13.8部を加え、次に10~30℃で35%塩酸32.0部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。そこへ、10%塩酸水溶液に溶解させた2,5-ジメトキシアニリン(Cg-NHとして)12.2部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して下記式(E9”)で示されるジスアゾアミノ化合物37.5部を得た。
Figure 0007230079000205
<3>
Ag-N=N-Bg-N=N-Cg-NHとして上で得られたジスアゾアミノ化合物(E9”)48.6部を用いた点以外は実施例1の第3工程と同様にして式(1-E9)で示されるトリスアゾ化合物48.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は607nmであった。
[実施例15]
<1>
4-アミノベンゼン-1,3-ジスルホン酸(Ag-NHとして)25.3部を水300部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加え、完溶させた。次に、35%塩酸を40部加え、40%亜硝酸ナトリウム水溶液を17.3部加えて攪拌し、10~20℃でジアゾ化した。そこへ、10%塩酸水溶液に溶解させた2,5-ジメトキシアニリン(Bg-NHとして)12.2部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して下記式(E12’)で示されるモノアゾアミノ化合物33.4部を得た。
Figure 0007230079000206
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたモノアゾアミノ化合物(E12’)42.1部を用いた点以外は実施例2の第2工程と同様にして下記式(E12”)で示されるジスアゾアミノ化合物43.6部を得た。
Figure 0007230079000207
<3>
上で得られたジスアゾアミノ化合物(E12”)41.1部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液を11.0部加え、次に20~30℃で35%塩酸25.6部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。一方、6-フェニルアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸(式(vi)の化合物として)20.2部を水100部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性として溶解した。この液に、先に得られたジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物をpH8~10に保って滴下し、攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して式(1-E12)で示されるトリスアゾ化合物51.6部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は610nmであった。
[実施例16]
Ag-NHとして5-アミノイソフタル酸18.1部を用いた点及び式(vi)の化合物として6-フェニルアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸20.2部を用いた点以外は実施例14と同様にして、式(1-E15)で示されるトリスアゾ化合物46.3部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は609nmであった。
[実施例17]
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして実施例7の第1工程で得られたモノアゾアミノ化合物(B7’)43.0部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液13.8部を加え、次に10~30℃で35%塩酸32.0部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。そこへ、10%塩酸水溶液に溶解させた2,5-ジメトキシアニリン(Cg-NHとして)12.2部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して下記式(F7”)で示されるジスアゾアミノ化合物44.9部を得た。
Figure 0007230079000208
<3>
Ag-N=N-Bg-N=N-Cg-NHとして上で得られたジスアゾアミノ化合物(F7”)44.9を用いた点以外は実施例1の第3工程と同様にして式(1-F7)で示されるトリスアゾ化合物54.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は614nmであった。
[実施例18]
<1>
Bg-NHとして2,5-ジメトキシアニリン15.3部を用いた点以外は実施例7の第1工程と同様にして式(F8’)で示されるモノアゾアミノ化合物37.4部を得た。
Figure 0007230079000209
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたモノアゾアミノ化合物(F8’)37.4部を用いた点以外は実施例1の第2工程と同様にして式(F8”)で示されるジスアゾアミノ化合物44.9部を得た。
Figure 0007230079000210
<3>
Ag-N=N-Bg-N=N-Cg-NHとして上で得られたジスアゾアミノ化合物(F8”)44.9を用いた点以外は実施例1の第3工程と同様にして式(1-F8)で示されるトリスアゾ化合物54.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は610nmであった。
[実施例19]
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして実施例9の第1工程で得られたモノアゾアミノ化合物(C12’)43.0を用いた点以外は実施例17の第2工程と同様にして式(G7”)で示されるジスアゾアミノ化合物44.9部を得た。
Figure 0007230079000211
<3>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたジスアゾアミノ化合物(G7”)44.9を用いた点以外は実施例1の第3工程と同様にして式(1-G7)で示されるトリスアゾ化合物54.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は614nmであった。
[実施例20]
<1>
Ag-NHとして4-アミノナフタレンスルホン酸24.5部を用いた点以外は実施例15の第1工程と同様にして式(G8’)で示されるモノアゾアミノ化合物32.7部を得た。
Figure 0007230079000212
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたモノアゾアミノ化合物(G8’)32.7部を用いた点以外は実施例1の第2工程と同様にして式(G8”)で示されるジスアゾアミノ化合物41.1部を得た。
Figure 0007230079000213
<3>
Ag-N=N-Bg-NHとしてジスアゾアミノ化合物(G8”)41.1部を用いた点以外は実施例1の第3工程と同様にして式(1-G8)で示されるトリスアゾ化合物51.1部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は610nmであった。
[実施例21]
<2>
Ag-NHとして実施例12の第1工程で得られたモノアゾアミノ化合物(D5’)47.6部を水400部に加え、25%水酸化ナトリウムで溶解させた。40%亜硝酸ナトリウム水溶液13.8部を加え、次に10~30℃で35%塩酸32.0部を加え、20~30℃で1時間攪拌し、ジアゾ化した。そこへ、10%塩酸水溶液に溶解させた2,5-ジメトキシアニリン12.2部を加え、この溶液に15%炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH2とし、さらに攪拌してカップリング反応を完結させた。その後、塩化ナトリウムで塩析させた後、濾過して下記式(H7”)で示されるジスアゾアミノ化合物48.6部を得た。
Figure 0007230079000214
<3>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたジスアゾアミノ化合物(H7”)に示すジスアゾアミノ化合物48.6を用いた点以外は実施例1の第3工程と同様にして式(1-H7)で示されるトリスアゾ化合物54.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は619nmであった。
[実施例22]
<1>
Ag-NHとして特許文献5を参考に合成した7-アミノ-4(3-スルホプロポキシ)ナフタレン-2-スルホン酸36.1部を用いた点以外は実施例15の第1工程と同様にして式(H8’)で示されるモノアゾアミノ化合物42.1部を得た。
Figure 0007230079000215
<2>
Ag-N=N-Bg-NHとして上で得られたモノアゾアミノ化合物(H8’)42.1部を用いた点以外は実施例1の第2工程と同様にして式(H8”)で示されるジスアゾアミノ化合物41.1部を得た。
Figure 0007230079000216
<3>
Ag-N=N-Bg-N=N-Cg-NHとしてジスアゾアミノ化合物(H8”)41.1を用いた点以外は実施例1の第3工程と同様にして式(1-H8)で示されるトリスアゾ化合物54.2部を得た。この化合物の水溶液中における極大吸収波長は615nmであった。
[偏光膜の作製例1]
実施例1で得られた式(1-A2)の化合物の0.03%及び芒硝0.1%の濃度とした45℃の水溶液からなる染色液に、厚さ75μmのポリビニルアルコールを4分間浸漬した。このフィルムを3%ホウ酸水溶液中で50℃で5倍に延伸し、緊張状態を保ったまま水洗、乾燥して偏光膜を得た。
[偏光膜の作製例2~22]
式(1-A2)の化合物に代えて、実施例2~22で得られたアゾ化合物を用いた点以外は偏光膜の作製例1と同様にして偏光膜を得た。
(偏光膜の極大吸収波長及び偏光率の測定)
偏光膜の作製例1で得られた偏光膜について、極大吸収波長及び偏光率を測定した。偏光膜の極大吸収波長の測定及び偏光率の算出は、偏光入射時の平行透過率、並びに直交透過率を分光光度計(日立製作所製 U-4100)を用いて測定し、算出した。ここで平行透過率(Ky)とは、絶対偏光子の吸収軸と偏光膜の吸収軸が、平行時の透過率であり、直交透過率(Kz)とは、絶対偏光子の吸収軸と偏光膜の吸収軸が、直交時の透過率を示す。各波長の平行透過率及び直交透過率は、380~780nmにおいて、1nm間隔で測定した。それぞれ測定した値を用いて、式より各波長の偏光率を算出し、380~780nmにおいて最も高い時の偏光率と、その極大吸収波長(nm)を得た。結果を表1に示す。

偏光率(%)=[(Ky-Kz)/(Ky+Kz)]×100
Figure 0007230079000217
表1の通り、作製例1~22で得られた偏光膜は、いずれも高い偏光率を有していた。
(吸収帯域の半値幅の測定)
実施例1~22で得られたアゾ化合物の水溶液中における吸収帯域の半値幅を測定した。測定は、分光光度計(日立製作所製 U-4100)を用いて半値幅を計算した。
また、比較例1として、特許文献5の実施例3における化合物(4)の水溶液中の吸収帯域の半値幅も同様にして測定した。
Figure 0007230079000218
表2に示される通り、実施例1~22で各々得られた化合物の吸収帯域の半値幅は、132~167nmであり、広い吸収帯域を示した。一方、比較例1の化合物は、吸収帯域の半値幅が116nmであり、本発明の化合物と比較して狭い吸収帯域を示した。
これらの結果から、本発明の化合物は、ニュートラルグレーの色相を呈する偏光板を作製するために重要な特性である幅広い吸収を持つことが示され、ニュートラルグレー偏光板の作製のための色素として特に有用であることが示された。
[ニュートラルグレー偏光板の作製例]
染色液として、実施例で得られた化合物(1-A2)、(1-B7)、(1-C12)、(1-D5)、(1-E9)、(1-F7)、(1-G7)、及び(1-H7)のそれぞれにおいて、それを0.2%、さらにC.I. Direct Orange39を0.07%、C.I. Direct Red81を0.02%、及び芒硝0.1%の濃度とした45℃の水溶液を用いた点以外は、偏光膜の作製例1と同様にして偏光膜を作製した。得られた偏光膜において、極大吸収波長は600nmである偏光板が得られ、380~780nmにおける視感度補正単板透過率は42%、直交位の平均光透過率は0.15%であり、高い偏光度を有していた。さらに、平行位及び直交位ともに可視光領域における透過率がほぼ一定であり、ニュートラルグレーの色相を呈していた。
この偏光膜の両面に、1枚ずつのトリアセチルセルロ-スフィルム(TACフィルム;富士写真フィルム社製;商品名TD-80U)をポリビニルアルコ-ル水溶液の接着剤を介してラミネ-トした。次いで、片方のTACフィルム上に、粘着剤を用いてAR支持体(日油社製;リアルックX4010)を積層させて、AR支持体付きのニュートラルグレーの偏光板を得た。得られた偏光板は、偏光膜と同様に、ニュートラルグレーの色相を呈し、かつ、高い偏光率を有していた。
さらに、データは示していないが、得られた偏光板は、高温且つ高湿の状態でも長時間にわたる耐久性を示し、また、長時間暴露に対する耐光性も優れていた。
さらに、以下、実施例により組み合わせに関する本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例M1]
ケン化度99%以上の平均重合度2400のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS)を45℃の温水に2分浸漬し、膨潤処理を適用し延伸倍率を1.30倍とした。水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(2-1)の化合物を0.116質量部、式(1-C6)の化合物を0.280質量部、(式3-1)の化合物を0.26質量部含有した45℃の染色液に、膨潤したフィルムを6分00秒間浸漬して、フィルムにアゾ化合物を含有させた。得られたフィルムをホウ酸(Societa Chimica Larderello s.p.a.社製)20g/lを含有した40℃の水溶液に1分浸漬した。浸漬後のフィルムを、5.0倍に延伸しながら、ホウ酸30.0g/lを含有した50℃の水溶液中で5分間の延伸処理を行った。得られたフィルムを、その緊張状態を保ちつつ、25℃の水に20秒間浸漬させることにより洗浄処理した。洗浄後のフィルムを70℃で9分間乾燥させ、偏光膜を得た。この偏光膜に対して、ポリビニルアルコール(日本酢ビポバール社製 NH-26)を4%で水に溶解したものを接着剤として用いて、アルカリ処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム社製 ZRD-60)をラミネートして偏光板を得た。得られた偏光板は上記偏光膜が有していた光学性能、特に単体透過率、色相、偏光度等を維持していた。この偏光板を実施例M1の測定試料とした。
[実施例M2]
実施例M1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(2-1)の化合物を0.116質量部、式(1-A1)の化合物を0.290質量部、(式3-1)の化合物を0.26質量部を含有した染色液を用いた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M3]
実施例M1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(2-1)の化合物を0.116質量部、式(1-C12)を0.255質量部、式(3-1)の化合物を0.26質量部を含有した染色液を用いた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M4]
実施例M1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(2-4)の化合物を0.09質量部、式(1-C12)の化合物を0.255質量部、式(3-1)の化合物を0.26質量部を含有した染色液を用いた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M5]
実施例M4において、アゾ化合物の含有時間を6分から4分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例M6]
実施例M4において、アゾ化合物の含有時間を6分から2分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例M7]
実施例M4において、アゾ化合物の含有時間を6分から5分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例M8]
実施例M4において、アゾ化合物の含有時間を6分から1分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例M9]
実施例M1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(2-4)の化合物を0.09質量部、式(1-C6)を0.28質量部、式(3-1)の化合物を0.26質量部を含有した染色液を用いた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M10]
実施例M1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(2-4)の化合物を0.09質量部、式(1-C1)を0.35質量部、式(3-1)の化合物を0.26質量部を含有した染色液を用いた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M11]
0.100質量部の式(2-1)の化合物に代えて、0.125質量部の式(2-13)の化合物(C.I.Direct Red 81)を染色液に含有させた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M12]
0.100質量部の式(2-1)の化合物に代えて、0.130質量部の式(2-14)の化合物(特許第3661238 IIIa-I)を染色液に含有させた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M13]
0.26質量部の式(3-1)の化合物に代えて、0.21質量部の式(3-2)の化合物を染色液に含有させた点以外は実施例M9と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M14]
0.26質量部の式(3-1)の化合物に代えて、0.29質量部のC.I.Direct Yellow 28を染色液に含有させた点以外は実施例M9と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M15]
0.26質量部の式(3-1)の化合物に代えて、0.23質量部のC.I.Direct Orange 72を染色液に含有させた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例M16]
実施例M1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(2-1)の化合物を0.09質量部、式(1-A14)の化合物を0.255質量部、式(3-1)の化合物を0.27質量部を含有した染色液を用いた点以外は実施例M1と同様にして偏光板を作製した。
[比較例R1]~[比較例R5]
実施例M1においてアゾ化合物を含有する水溶液(染色液)を特許文献8の実施例1と同じ組成としたことし、染色時間を12分、10分、8分、5分30秒、4分と変えた以外は、本願の実施例M1と同様にして、実施例M1とほぼ同等の透過率になるようにアゾ化合物を含有させて偏光板を作製した(それぞれ、比較例R1~R5とした)。
[比較例R6]
ニュートラルグレー色を有するポラテクノ社製の高透過率偏光板SHC-115を入手し、測定試料とした。
[比較例R7]
ニュートラルグレー色の、高コントラストを有するポラテクノ社製の偏光板SHC-128を入手し、測定試料とした。
[比較例R8~R13]
特開2008-065222号の比較例1の製法に従い、ヨウ素含有時間を、比較例R8において5分30秒、比較例R9において4分45秒、比較例R10において4分15秒、比較例R11において3分30秒、比較例R12において4分00秒、及び、比較例R13において5分15秒とし、アゾ化合物を含まないヨウ素系偏光板を作製し、測定試料とした。
[比較例R14]
平行位においてペーパーホワイト色を示すポラテクノ社製のヨウ素系偏光板SKW-18245Pを入手し、測定試料とした。
[比較例R15]
偏光板に関する特許文献13の実施例1の通りに、偏光板を作製した。
[比較例R16]
偏光板に関する特許文献14の実施例3の通りに、偏光板を作製した。
[比較例R17]
偏光板に関する特許文献15の実施例1の通りに、偏光板を作製した。
[比較例R18]
0.116質量部の式(2-1)の化合物に代えて、同色でウレイド骨格を有するアゾ化合物である1.51質量部のC.I.Direct Red 80を用いて、直交位の透過率がほぼ一定で、その色が黒になるように調整した点以外は実施例M1と同様にして、偏光板を作製した。
[比較例R19]
0.28質量部の式(1-C6)に代えて、同色の二色性を有するジアニシジン骨格を有するアゾ化合物である0.29質量部のC.I.Direct Blue 6を用いて、直交位の透過率がほぼ一定で、その色が黒になるように設計した点以外は実施例M1と同様にして、偏光板を作製した。
[評価]
実施例M1~M16及び比較例R1~R19で得られた測定試料の評価を次のようにして行った。
(a)単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tc
各測定試料の単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcを、分光光度計(日立製作所社製“U-4100”)を用いて測定した。ここで、単体透過率Tsは、測定試料を1枚で測定した際の各波長の透過率である。平行位透過率Tpは、2枚の測定試料をその吸収軸方向が平行となるように重ね合せて測定した各波長の分光透過率である。直交位透過率Tcは、2枚の偏光板をその吸収軸が直交するように重ね合せて測定した分光透過率である。測定は、400~700nmの波長にわたって行った。
平行位透過率Tp及び直交位透過率Tcの各々の420~480nmにおける平均値、520~590nmにおける平均値、及び600~640nmにおける平均値を求め、表3に示す。
(b)単体透過率Ys、平行位透過率Yp、及び直交位透過率Yc
各測定試料の単体透過率Ys、平行位透過率Yp、及び直交位透過率Ycをそれぞれ求めた。単体透過率Ys、平行位透過率Yp、及び直交位透過率Ycは、400~700nmの波長領域で、所定波長間隔dλ(ここでは5nm)おきに求めた上記単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcのそれぞれについて、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。具体的には、上記単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcを、下記式(I)~(III)に代入して、それぞれ算出した。なお、下記式(I)~(III)中、Pλは標準光(C光源)の分光分布を表し、yλは2度視野等色関数を表す。結果を表3に示す。
Figure 0007230079000219
(c)コントラスト
同一の測定試料を2枚用いて測定される平行位透過率と直交位透過率との比(Yp/Yc)を算出することにより、コントラストを求めた。結果を表3に示す。
Figure 0007230079000220
(d)2つの波長帯域の平均透過率の差の絶対値
表4には、各測定試料の平行位透過率Tp及び直交位透過率Tcの各々の520~590nmにおける平均値と420~480nmにおける平均値との差の絶対値、及び520~590nmにおける平均値と600~640nmにおける平均値との差の絶対値を示す。
Figure 0007230079000221
表3及び表4に示されるように、実施例M1~M16の測定試料の平行位透過率Tpは、520~590nmにおける平均値が25%以上であった。さらに、平行位透過率Tpは、420~480nmにおける平均値と、520~590nmにおける平均値との差の絶対値が1.0%以下であり、かつ、520~590nmにおける平均値と、590~640nmにおける平均値との差の絶対値が1.0%以下であり、両者ともに非常に低い値であった。また、直交位透過率Tcは、420~480nmにおける平均値と、520~590nmの平均値との差の絶対値が0.2%以下であり、かつ、520~590nmの平均透過率と、600~640nmにおける平均値との差の絶対値が0.6%以下であり、両者ともに非常に低い値であった。よって、実施例M1~M16で得られた測定試料は、各波長の平均透過率がほぼ一定であることが示された。
一方、比較例R6~R19の測定試料は、表4に示される平行位透過率Tpの上記波長帯域間の平均値の差の絶対値、及び、直交位透過率Tcの上記波長帯域間の平均値の差の絶対値のうちの少なくともいずれかが高い値を示した。
また、単体透過率が約41%である実施例M1~M4、M16と比較例R1とを比べると、実施例M1~M4、および、M16のコントラストは各々187、139、257、224、291であるのに対し、比較例R1のコントラストは53となり、実施例M1~M4、および、M16は比較例R1の約2.6~5.5倍のコントラストを有していた。このように、実施例M1~M4、および、M16の測定試料は特許文献8に従って作製した比較例R1の無彩色な偏光板と比較して、コントラストが向上していた。
(e)偏光度ρy
各測定試料の偏光度ρyを、以下の式に、平行透過率Yp及び直交透過率Ycを代入して求めた。その結果を表5に示す。

ρy={(Yp-Yc)/(Yp+Yc)}1/2×100
(f)色度a*値及びb*値
各測定試料について、JIS Z 8781-4:2013に従って、単体透過率Ts測定時、平行位透過率Tp測定時及び直交位透過率Tc測定時の各々における色度a*値及びb*値を測定した。測定には、上記の分光光度計を使用し、透過色、反射色共に室外側から入射して測定した。光源には、C光源を用いた。結果を表5に示す。ここで、a*-s及びb*-s、a*-p及びb*-p並びにa*-c及びb*-cは、単体透過率Ts、平行位透過率Tp及び直交位透過率Tcの測定時における色度a*値及びb*値にそれぞれ対応する。
(g)色の観察
各測定試料について、白色の光源の上に、同一の測定試料を、平行位と直交位のそれぞれの状態で2枚重ね、その際に観察された色を調査した。観察は、10人の観察者が目視により行い、最も多く観察された色を表5に示す。なお、表5中、平行位の色は、同一試料2枚を、その吸収軸方向が互いに平行となるように重ねた状態(白表示時)での色を意味し、直交位の色は同一試料2枚を、その吸収軸方向が互いに直交するように重ねた状態(黒表示時)での色を意味する。基本的に、偏光色は、平行位の色は「白(W)」であり、直交位の色は「黒(B)」ではあるが、実施例では、例えば、黄色味を帯びた白を「黄(Y)」、青紫色を帯びた黒を「青紫(PB)」と示す。青緑をBG、黄緑をYG、赤橙をRG、及び赤黒をRBと示す。
Figure 0007230079000222
表5に示されるように、実施例M1~M16の測定試料は、35%以上の単体透過率を有していた。実施例M1~M16の測定試料は、高透過率を有しつつも、特許文献8よりも高偏光度でコントラストが高いため、白と黒の明暗がより明瞭になり、より白と黒とを十分に表現できることが分かった。さらに、実施例M1~M16の測定試料は、a*-s、b*-s、及びa*-pの各々の絶対値は1.0以下であり、b*-p、a*-c及びb*-cの絶対値は2.0以下であり、非常に低い値を示していた。実施例M1~M16の測定試料は、目視で観察した場合にも、平行位で高品位な紙のような白色を表現し、直交位で高級感のある明瞭な黒色を表現していた。一方、比較例R6~R19は、a*-s、b*-s、a*-p、b*-p、a*-c及びb*-cの少なくともいずれかが高い値を示しており、目視で観察すると平行位又は直交位で無彩色ではなかった。
以上より、本発明の偏光膜は、高い単体透過率及び平行位透過率を維持しつつも、平行位で高品位な紙のような白色を表現でき、かつ、単体で中性色(ニュートラルグレー)を有する色相であることが示された。さらに、本発明の偏光膜は、高い透過率を維持し、平行位で無彩色性を発現していることに加えて、高い偏光度も兼ね備えていることが分かる。さらに、本発明の偏光膜は、直交位で、高級感のある無彩色な黒を示す偏光膜を得ることが可能になっていることが分かる。
(h)耐久性試験
実施例M1~M16及び比較例R8~R14の測定試料を、85℃、相対湿度85%RHの環境に240時間に適用した。その結果、実施例M1~M16の測定試料は透過率や色相の変化は見られなかった。これに対し、比較例R8~R14は偏光度が10%以上低下し、b*-cは-10より低くなり、見た目の色として青色に変化し、特に2枚の測定試料を直交位に配置した場合には黒色が大いに青色を呈色した。
このことから、本発明に係る偏光膜又は偏光板を用いた液晶表示装置は信頼性が高く、長期的に高コントラストで、かつ、高い色再現性を有する液晶表示装置になることが分かる。

Claims (24)

  1. 式(1):
    Figure 0007230079000223

    (式中、Agは式(A-P)で表され、Bg及びCgは、各々独立に式(BC-N)又は式(BC-P)で表され、両方又は一方が式(BC-N)を示し、Xgは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、又は置換基を有してもよいフェニルアゾ基を示す)
    Figure 0007230079000224

    (式中、Rgは水素原子、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示し、kは0~2の整数を示す)
    Figure 0007230079000225

    (Rg及びRgは各々独立に水素原子、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示す)
    Figure 0007230079000226

    (式中、R及びRは、各々独立に水素原子、スルホ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を表す)
    で表されるアゾ化合物又はその塩及び式(2):
    Figure 0007230079000227

    (式中、Arは置換基を有するフェニル基またはナフチル基を示し、RrおよびRrは各々独立に、水素原子、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、またはスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示し、Xrは置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、または置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を示す)
    で表されるアゾ化合物又はその塩偏光膜基材に含有し延伸した、偏光膜であって、
    前記偏光膜2枚を吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて測定して求められる420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0%以下である、
    及び/又は
    前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように重ねて配置した状態で求められる透過率について、420nmから480nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が0.3%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が0.6%以下である、
    前記偏光膜。
  2. Cgが、式(BC-N)で表される請求項1に記載の偏光膜。
  3. Bg及びCgのうち一方が式(BC-N)で表され他方が式(BC-P)で表される請求項1に記載の偏光膜。
  4. Bg及びCgが、各々独立に式(BC-N)で表される請求項1に記載の偏光膜。
  5. kは1又は2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の偏光膜。
  6. kは1である請求項5に記載の偏光膜。
  7. Rg~Rgは各々独立に(Bg及びCgの両方が式(BC-N)で表される場合には、各Rgは各々独立に)水素原子、C1~5アルキル基、又はC1~5アルコキシ基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の偏光膜。
  8. Xgが、式(X-PAM):
    Figure 0007230079000228

    (式中、R及びRは各々独立に水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す)
    で表されるフェニルアミノ基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の偏光膜。
  9. Xgが、式(X-B):
    Figure 0007230079000229

    (式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す)
    で表されるベンゾイルアミノ基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の偏光膜。
  10. Xgが、式(X-N):
    Figure 0007230079000230

    (式中、mは1又は2を示す)
    で表されるナフトトリアゾール基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の偏光膜。
  11. Xgが、式(X-PAZ):
    Figure 0007230079000231

    (式中、R~Rは各々独立に水素原子、ヒドロキシ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す)
    で表されるフェニルアゾ基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の偏光膜。
  12. 及びRのうち、一方はスルホ基又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基であり、他方は、水素原子、スルホ基、メチル基、メトキシ基、又はスルホ基を有するアルコキシ基を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の偏光膜。
  13. Bg及びCgが、各々独立に式(BC-N)で表され、かつ、k=1であって、下記i)又はii)を満たすことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の偏光膜:
    i)(A-P)におけるR及びRのいずれか一方が水素原子、他方が水素原子、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を示す:
    ii)(A-P)におけるR及びRは、各々独立にスルホ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホ基を有するC1~5アルコキシ基を表す。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩以外の有機染料を1種類以上含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の偏光膜。
  15. 請求項1~13のいずれか一項に記載の式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩を2種以上含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の偏光膜。
  16. 式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の偏光膜。
    Figure 0007230079000232

    (式中、Ryはスルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、またはヒドロキシ基を示し、RyおよびRyは各々独立に、水素原子、スルホ基、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、または、スルホ基を
    有するC1~5アルコキシ基を示し、nは1~3の整数を示す)
  17. 請求項1~16のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
    JIS Z 8781-4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められるa*値およびb*値の絶対値が、
    前記偏光膜単体で、ともに1.0以下であり、
    前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で、ともに2.0以下である、
    前記偏光膜。
  18. 請求項1~17のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
    前記偏光膜の単体透過率が35%から65%であり、
    前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で求められる520nmから590nmの平均透過率が25%から50%である、
    前記偏光膜。
  19. 請求項1~18のいずれか一項に記載の偏光膜であって、
    前記偏光膜2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように重ねて配置した状態で、JIS Z 8781-4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められるa*値およびb*値の絶対値が2.0以下である、
    前記偏光膜。
  20. 前記偏光膜基材がポリビニルアルコール系樹脂又はその誘導体から形成されるフィルムである、請求項1~19のいずれか一項に記載の偏光膜。
  21. 請求項1~20のいずれか一項に記載の偏光膜の片面又は両面に透明保護層を貼合して得られる、偏光板。
  22. 請求項1~20のいずれか一項に記載の偏光膜又は請求項21に記載の偏光板を備えた表示装置。
  23. 請求項1~20のいずれか一項に記載の偏光膜又は請求項21に記載の偏光板を備える車載用表示装置又は屋外表示装置。
  24. 請求項1~20のいずれか一項に記載の偏光膜又は請求項21に記載の偏光板を備える製品であって、スマートウィンドウ、有機エレクトロルミネッセンス(通称、OLED)、レンズ、フィルター、又はメガネである、製品。
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