JP3852966B2 - アゾ化合物及び該化合物を用いた偏光フィルム - Google Patents

アゾ化合物及び該化合物を用いた偏光フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なアゾ化合物、その金属錯塩化合物及びこれらを含む水溶性アゾ染料並びに該染料を高分子フィルムに二色性染料として含有、配向させた、高い偏光度を有する偏光フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、偏光フィルムは、延伸配向したポリビニルアルコール又はその誘導体、あるいは配向したポリエン系のフィルムに、偏光素子としてヨウ素や二色性色素を染色して製造するのが一般的である。
このうち、偏光素子としてヨウ素を用いた偏光フィルムは、初期偏光性能には優れるものの、水及び熱に対して弱く、高温、高湿の状態で長期間使用する場合には、その耐久性に問題がある。耐久性を向上させるために、ホルマリンあるいはホウ酸を含む水溶液での処理を強固にしたり、また、保護膜として透湿度の低い高分子フィルムを用いる方法等が考えられているが、高温、高湿の状態では耐久性が不十分である。
【0003】
また、偏光素子として二色性色素を用いた偏光フィルムは、ヨウ素を用いた偏光フィルムに比べ、耐湿および耐熱性は勝るものの、偏光性能が劣る。この欠点を改良するものとして、特開昭54−153648号公報、特開昭59−145255号公報、特開昭60−156759号公報、特開昭60−168743号公報、特開平3−68902号公報、及び特開平3−89203号公報等に、有機系染料を偏光素子として用いる耐熱性を改良した偏光フィルムが提案されている。しかし、かかる偏光フィルムは、偏光性能の点で必ずしも満足できるものではないのが実状である。
以上のことから、染料系偏光フィルムで、ヨウ素系偏光フィルム以上の偏光性能を示す染料の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高分子フィルムを基材とした偏光フィルムに好適な水溶性アゾ化合物、及び該化合物を配向して含有せしめることにより、優れた偏光性能および耐湿熱性を有する高性能な偏光フィルムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水溶性アゾ化合物を偏光素子として用いた偏光フィルムにおいて、偏光性能及び耐湿熱性の高い偏光フィルムを得るべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
▲1▼ 下記一般式(1)又は(2)(化7)で表されるアゾ化合物、
▲2▼ ▲1▼記載のアゾ化合物を含む水溶性染料、
▲3▼ ▲1▼記載のアゾ化合物が、高分子フィルムに、配向して含有される偏光フィルム、
▲4▼ ▲2▼記載の水溶性染料で染色した高分子フィルムを2〜9倍の延伸倍率で延伸して得られる偏光フィルム、および、その製造方法、ならびに、
▲5▼ 高分子フィルムが、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール樹脂、あるいは、それらをエチレン、プロピレン、アクリル酸、マレイン酸アクリルアミド等で変性したもの、および、セルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である▲4▼記載の偏光フィルムに関する。
【0006】
【化7】
Figure 0003852966
〔上式中、Yは下記一般式(1a)又は(1b)(化8)で表される基を示し、
【0007】
【化8】
Figure 0003852966
(式中、R8 、R9 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示し、R10、R11は水素原子、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示し、R12、R13は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はカルボキシ基を示し、R14、R15は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又は水酸基を示し、Zは酸素原子、硫黄原子又は−NH−基を示し、mは0、1又は2を、nは0、1又は2を、pは0、1又は2を示す)
1 、R7 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又は水酸基を示し、R2 、R3 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アルキルカルボニルアミノ基又は水酸基を示し、R4 は水素原子、カルボキシ基、メトキシ基又はエトキシ基を示し、R5 は水素原子、水酸基、アミノ基、メチルアミノ基、β- ヒドロキシエチルアミノ基、アセチルアミノ基、又は、フェニル核がニトロ基、アミノ基、水酸基、メチル基、エチル基、カルボキシ基、スルホン酸基もしくは塩素原子によって置換されていてもよいフェニルアミノ基又はベンゾイルアミノ基を示し、R6 はアゾ基に対してo−位又はp−位にある水酸基又はアミノ基を示し、jは0又は1を、kは0又は1を、lは0、1又は2をそれぞれ示し、Aは下記一般式(1c)又は(1d)(化9)で表される連結基を示し、
【0008】
【化9】
Figure 0003852966
(式中、X1 、X2 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、水酸基、アルキルカルボニルアミノ基又はスルホン酸基を示し、X3 は水素原子、メトキシ基又はエトキシ基を示し、qは、0又は1を示す)Metは銅、ニッケル、亜鉛又は鉄を示す〕
【0009】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のアゾ化合物は、前記一般式(1)又は(2)で表されるアゾ化合物である。一般式(1)又は(2)において、R1 、R7 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又は水酸基を、R2 、R3 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アルキルカルボニルアミノ基又は水酸基を、R4 は水素原子、カルボキシ基、メトキシ基又はエトキシ基を、R5 は水素原子、水酸基、アミノ基、メチルアミノ基、β- ヒドロキシエチルアミノ基、アセチルアミノ基、又は、フェニル核がニトロ基、アミノ基、水酸基、メチル基、エチル基、カルボキシ基、スルホン酸基もしくは塩素原子によって置換されていてもよいフェニルアミノ基又はベンゾイルアミノ基を、R6 はアゾ基に対してo−位又はp−位にある水酸基又はアミノ基を示す。また、jは0又は1を、kは0又は1を、lは0、1又は2を、mは0又は1を、nは0又は1を、pは0、1又は2をそれぞれ示す。
【0010】
Yは下記一般式(1a)または(1b)で表される基である。一般式(1a)において、R8 、R9 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示し、R10、R11は水素原子、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示す。また、一般式(1b)において、R12、R13は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はカルボキシ基を示し、R14、R15は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又は水酸基を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、又は−NH−基を示し、mは0、1又は2を、nは0、1又は2を、pは0、1又は2を示す。
また、Aは一般式(1c)又は(1d)で表される連結基を示す。一般式(1c)又は(1d)において、X1 、X2 は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、水酸基、アルキルカルボニルアミノ基又はスルホン酸基を示し、X3 は水素原子、メトキシ基又はエトキシ基を示し、qは0又は1を示す。また、一般式(2)において、Metは銅、ニッケル、亜鉛又は鉄を示す。
【0011】
本発明において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が例示でき、アルキルカルボニルアミノ基としては、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ等が例示できる。
本発明の一般式(1)及び(2)で表されるアゾ化合物は、通常、ナトリウム塩として利用するが、その他、遊離酸として、或いは、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、アルキルアミン類、エタノールアミン類の塩としても利用することができる。
【0012】
本発明の一般式(1)で表されるアゾ化合物は、公知のアゾ染料の製法に従い、例えば、細田豊著「理論製造染料化学」(株式会社技報堂、昭和38年10月1日発行)、第 602頁〜第 618頁等に記載の方法に準じて、通常のジアゾ化、カップリングの繰り返しにより製造することができる。
例えば、一般式(1)においてj=0の場合、下記一般式(3a)又は(3b)(化10)で表される化合物を、鉱酸中0〜30℃で亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化し、下記一般式(4)(化10)で表されるアニリン類と温度0〜30℃、pH3〜5でカップリングして、下記一般式(5a)又は(5b)(化10)で表されるモノアゾ化合物を製造することができる。ここで、化合物(3a)は、例えば、Theodorus A. Kortekaas et. al., J. Chem.Soc., Perkin II, 445 ( 1978 ) に記載の方法により、化合物(3b)は、例えば、前記「理論製造染料化学」、第 514頁〜第 515頁に記載の方法により製造することができる。
【0013】
【化10】
Figure 0003852966
(上式中、R1 〜R3 、R7 〜R15、Z、m、n及びpは前記と同じ)
更に、一般式(5a)又は(5b)で表されるモノアゾ化合物を、公知の方法、例えば、鉱酸中0〜30℃で亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化し、下記一般式(6)(化11)で表されるナフタレン類と、温度0〜30℃、PH5〜10でカップリングして、一般式(1)においてj=0で表される下記一般式(7a)または(7b)(化11)のアゾ化合物が得られる。勿論、これ以外の製造ルートによっても、本発明のアゾ化合物は製造することができる。
【0014】
【化11】
Figure 0003852966
(上式中、R1 〜R15、Z、k、l、m、n及びpは前記と同じ)
また、一般式(1)においてj=1の場合、一般式(3a)又は(3b)で表される化合物を、鉱酸中0〜30℃で亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化し、下記一般式(8)又は(9)(化12)で表される化合物とカップリングし、下記一般式(10a)又は(10b)(化12)で表されるモノアゾ化合物を製造することができる。
【0015】
【化12】
Figure 0003852966
(上式中、R8 〜R15、X1 〜X3 、Z、A、m、n、p及びqは前記と同じ)
一般式(10a)又は(10b)で表されるモノアゾ化合物を公知の方法、例えば、鉱酸中0〜30℃で亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化し、一般式(4)で表されるアニリン類と温度0〜30℃、pH3〜5でカップリングして、下記一般式(11a)又は(11b)(化13)で表されるジスアゾ化合物を製造することができる。
【0016】
【化13】
Figure 0003852966
(上式中、R1 〜R3 、R7 〜R15、Z、A、m、n及びpは前記と同じ)
更に、一般式(11a)又は(11b)で表されるジスアゾ化合物を、公知の方法、例えば、鉱酸中0〜30℃で亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化し、一般式(6)で表されるナフタレン類と、温度0〜30℃、PH5〜10でカップリングして、一般式(1)においてj=1で表される下記一般式(12a)又は(12b)(化14)のアゾ化合物が得られる。勿論、これ以外の製造ルートによっても、本発明のアゾ化合物は製造することができる。
【0017】
【化14】
Figure 0003852966
(上式中、R1 〜R15、A、Z、k、l、m、n及びpは前記と同じ)
【0018】
又、本発明の一般式(2)で表されるアゾ化合物は、公知のアゾ染料の製法に従い、例えば、細田豊著「理論製造染料化学」(株式会社技報堂、昭和38年10月1日発行)第627頁〜第631頁等に記載の方法に準じて製造することができる。即ち、一般式(13a)または(13b)(化15)で表されるアゾ化合物を、水又は/及び親水性溶媒中、例えば、エチレングリコール、エチルセロソルブ類と水との混合溶媒中に、溶解又は分散し、アルカリ性において、好ましくは、アンモニア、モノエタノールアミン、又はジエタノールアミン等の存在下に、50〜100℃、好ましくは、80℃以上の温度で、硫酸銅、塩化銅、テトラミン銅、酢酸銅、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸鉄、塩化鉄等の水溶液を作用させることによって目的とする一般式(2)で表される遷移金属含有アゾ化合物を得ることができる。
【0019】
【化15】
Figure 0003852966
(式中、R1 〜R5 、R8 〜R15、A、Z、j、k、l、m、nおよびpは前記と同じ意味を表し、R16は水酸基又はメトキシ基を表す)
本発明で用いる一般式(3a)で表されるビフェニル類の具体例としては、4'−アミノ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−アミノ−3'−クロロ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−アミノ−3'−メトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−アミノ−4−ビフェニルスルホン酸、4'−アミノ−3',4−ビフェニルジスルホン酸等が挙げられる。
【0020】
本発明で用いる一般式(3b)で表される化合物の具体的な例としては、2−(p−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール、2−(p−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール−5−スルホン酸、2−(p−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール−7−スルホン酸、6−カルボキシ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾチアゾール−7−スルホン酸、2−(4'−アミノ−3'−スルホフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール−7−スルホン酸、2−アミノベンゾチアゾール、2−(p−アミノフェニル)−5−メチルベンゾオキサゾール、2−(p−アミノフェニル)−5−メチルベンゾオキサゾール−4−スルホン酸、2−(4'−アミノ−3'−スルホフェニル)−5−メチルベンゾオキサゾール−4−スルホン酸、2−(4'−アミノビフェニル)ベンゾチアゾール、2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(4'−アミノビフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(4−アミノフェニル)ベンゾイミダソール、2−(4'−アミノビフェニル)ベンゾイミダゾールおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
【0021】
一般式(4)又は(8)で表されるアニリン類の具体的な例としては、p−クレシジン、2,5−ジメトキシアニリン、2,5−ジエトキシアニリン、o−アニシジン、m−アセチルアミノ−o−アニシジン、5−アセチルアミノ−2−メトキシアニリン、5−アセチルアミノ−2−エトキシアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−キシリジン、m−アニシジン、m−アセチルアミノアニリン、m−アセチルアミノ−o−アニシジン、アニリン等が挙げられる。
一般式(9)で表されるナフタレン類の具体的な例としては、2−エトキシ−1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、2−メトキシ−1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、2−エトキシ−1−ナフチルアミン、1−ナフチルアミン、2−メトキシ−1−ナフチルアミン、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、1−ナフチルアミン−7−スルホン酸等が挙げられる。
【0022】
一般式(6)で表されるナフタレン類の具体的な例としては、1-ヒドロキ-6- アミノナフタレン-3- スルホン酸(以下J酸と略す)N-フェニルJ酸、 N-(p-メチルフェニル)J酸、N-メチルJ酸、N-アセチルJ酸、N-メチル-N- アセチルJ酸、N-ベンゾイルJ酸、N-(3- または4-カルボキシフェニル) J酸、N-(3- または4-スルホフェニル) J酸、N-(4- アミノ-3- スルホフェニル) J酸、N-(4- ヒドロキシ-3- カルボキシフェニル) J酸、N-(4- アミノベンゾイル)J酸、N-(4- アミノ-3- スルホベンゾイル) J酸、N-(4- ヒドロキシ-3- カルボキシベンゾイル) J酸、N-(4- ニトロフェニル)J酸、N-(4- ニトロベンゾイル) J酸、N-(4- アミノ-3- メチルベンゾイル)J酸、N-(3または4- カルボキシベンゾイル)J酸、N-(3- または4- カルボキシベンゾイル)J酸、N-(3- または4- スルホベンゾイル)J酸、N-( β- ヒドロキシエチル)J酸、
1-ヒドキシ-7- アミノナフタレン-3- スルホン酸(以下γ酸と略す)、N-フェニルγ酸、N-メチルγ酸、N-アセチルγ酸、N-メチル-N- アセチルγ酸、N-ベンゾイルγ酸、N-(3- または4-カルボキシフェニル) γ酸、N-(3- または4-スルホフェニル) γ酸、N-(4- アミノ-3- スルホフェニル) γ酸、N-(4- ヒドロキシ-3- カルボキシフェニル) γ酸、N-(4- アミノベンゾイル)γ酸、N-(4- アミノ-3- スルホベンゾイル) γ酸、N-(4- ヒドロキシ-3- カルボキシベンゾイル) γ酸、N-(4- ニトロフェニル)γ酸、N-(4- ニトロベンゾイル) γ酸、N-(4- アミノ-3- メチルベンゾイル)γ酸、N-(3または4- カルボキシベンゾイル)γ酸、N-(3- または4- カルボキシベンゾイル)γ酸、N-(3- または4- スルホベンゾイル)γ酸、N-( β- ヒドロキシエチル)γ酸、
1-ヒドロキシ-8- アミノナフタレン-3,6- ジスルホン酸(以下H酸と略す)、N-アセチルH酸、N-ベンゾイルH酸、N-(p- トルエンスルホニル)H酸、N-( ベンゼンスルホニル)H酸、N-(p- クロルベンゾイル)H酸、
1-ヒドロキシ-8- アミノナフタレン-3,5- ジスルホン酸(以下K 酸と略す)、N-アセチルK酸、
1-ヒドロキシ-8- アミノナフタレン-5,7- ジスルホン酸, 1-ヒドロキシ-7- アミノナフタレン-3,6- ジスルホン酸、1-ナフトール-3,6- ジスルホン酸等が挙げられる。
【0023】
本発明の偏光フィルムに用いる高分子フィルムとしては、親水性高分子フィルムが好ましく、その素材の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、あるいはそれらをエチレン、プロピレン、アクリル酸、又はマレイン酸アクリルアミド等で変性したもの、もしくは、セルロース樹脂等が挙げられる。これらの高分子重合体は、水あるいは親水性有機溶剤への溶解性が良好であり、本発明の化合物との相溶性も良好である上、製膜性に優れ且つ製膜後延伸配向させたときに本発明の化合物が配向し易い点で特に有用である。
【0024】
上記の高分子重合体及び本発明の化合物を用いて、本発明の偏光フィルムを製造する方法としては、
▲1▼高分子重合体を製膜してフィルムとし、フィルムを延伸した後、本発明の化合物を染色する方法、
▲2▼高分子重合体を製膜してフィルムとし、本発明の化合物を染色した後、染色フィルムを延伸する方法、
▲3▼高分子重合体の溶液に本発明の化合物を添加し、原液染色で製膜した染色フィルムを延伸する方法、等を挙げることができる。
【0025】
上記▲3▼の染色フィルムの製造方法は、一般的に以下の方法によって行うことができる。即ち、高分子重合体を水及び/又はアルコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド等の親水性有機溶媒に溶解し、本発明の化合物を添加して原液染色を行い、この染色原液を流延法、溶液塗布法、押出法等により製膜して染色フィルムを製造する。溶媒に溶解させる高分子重合体の濃度としては、高分子重合体の種類によっても異なるが、5〜30wt%、好ましくは10〜20wt%である。また、溶媒に溶解する本発明の化合物の濃度としては、高分子重合体の種類、化合物の種類、製膜したときのフィルム厚みあるいは偏光フィルムとしたときの要求性能等によって変わるが、高分子重合体に対して0.1〜5wt%、好ましくは0.8〜2.5wt%程度である。
【0026】
上記▲1▼及び▲2▼におけるフィルムの染色方法は、一般的に以下の方法によって行うことができる。即ち、本発明の化合物を、フィルムに対して0.1〜5wt%、好ましくは0.8〜2.5wt%含む染浴に、必要に応じて、塩化ナトリウム、ボウ硝等の無機塩、界面活性剤等の染色助剤を加えた後、20〜80℃、好ましくは、30〜50℃で、1〜60分間、好ましくは、3〜20分間、高分子フィルムを浸漬して染色し、乾燥する。
また、上記▲1▼、▲2▼及び▲3▼における延伸の方法としては、湿式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にてロール間圧縮延伸を行う方法等があり、いずれの方法を用いて行ってもよい。延伸倍率は2〜9倍にて行われるが、ポリビニルアルコール及びその誘導体を用いた場合は、2.5〜6倍の範囲が好ましい。
【0027】
延伸、配向処理したあとで、該延伸フィルムの耐水性向上と偏光性向上の目的でホウ酸処理を実施する。ホウ酸処理により、偏光フィルムの光線透過率と偏光度が向上する。ホウ酸処理の条件は、用いる親水性高分子重合体の種類、化合物の種類によって異なるが、一般的には、ホウ酸濃度としては1〜15wt%、好ましくは3〜10wt%、また処理温度としては30〜80℃、好ましくは、40〜80℃の範囲にあることが望ましい。ホウ酸濃度が1wt%以下、温度が30℃以下の場合は処理効果が小さく、また、ホウ酸濃度が15wt%以上、温度80℃以上の場合は偏光フィルムがもろくなり易く好ましくない。
【0028】
一般式(1)または(2)で表されるアゾ化合物は、単独で又はそれら同士で混合して使用できる他、更にはこれらの化合物と他の染料と配合することにより種々の色相に染色された高偏光度の偏光フィルムを製造することができる。
この場合に用いる染料としては、本発明に用いる化合物の吸収波長領域と異なる波長領域に吸収を有する染料であって、二色性の高いものであれば、どんなものでもよいが、特に好ましい染料としては、カラー・インデックス・ジェネリック・ネーム(C.I.Generic Name)で表して、次のようなものが例示される。例えば、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 44、
C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 142 、C.I.Direct Red 2、
C.I.Direct Red 79 、C.I.Direct Red 81 、C.I.Direct Red 247、
C.I.Direct Vioret 9 、C.I.Direct Vioret 51、C.I.Direct Orenge 26、
C.I.Direct Orenge 39、C.I.Direct Orenge 107 、C.I.Direct Blue 1 、
C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 78、C.I.Direct Blue 168 、
C.I.Direct Blue 202 、C.I.Direct Brouwn 106 、C.I.Direct Brouwn 223 、
C.I.Direct Green 85 、C.I.Direct Black 17 、C.I.Direct Black 19
等である。
【0029】
特に多用されるグレーまたはブラック用の配合成分として、一般式(1)又は(2)で表される化合物を使用した場合、優れた偏光性能及び好ましい吸収特性を示す偏光フィルムが得られる。また、その耐湿熱性も優れている。
このようにして製造した偏光フィルムは、種々の加工を施して使用することができる。例えば、フィルム又はシートにしてそのまま使用する他、使用目的によっては、トリアセテート、アクリル又はウレタン系等のポリマーによりラミネーションして保護層を形成し、或いは、偏光フィルムの表面に蒸着、スパッタリングまたは塗布法により、インジウム−スズ系酸化物等の透明導電性膜を形成して実用に供する。
【0030】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は、これらに限定されるものではない。実施例中、構造式はすべて遊離酸の形で示し、部は重量部を示す。
なお、本発明における偏光度とは、次の方法によって測定した値である。即ち、2枚の偏光フィルムを延伸方向が平行と成るべく重ねて分光光度計の光路に置き測定した可視領域最大吸収波長での光線透過率(T‖)、及び、2枚の偏光フィルムを延伸方向が直交すべく重ねて測定した同波長での光線透過率(T⊥)より次式(数1)を用いて偏光度(V)を算出した。
【0031】
【数1】
Figure 0003852966
【0032】
実施例1
4'−アミノ−4−ビフェニルカルボン酸32.1部を、水321部に懸濁させさせ、35%塩酸54.9部を加え、0〜10℃に冷却した後、20%亜硝酸ナトリウム水溶液57部を滴下し、同温で2時間反応させた。次いで、スルファミン酸を加えて、過剰の亜硝酸ナトリウムを除去し、ジアゾ液とした。別に、p−クレシジン20.7部を、水207部、35%塩酸20.4部へ加えた溶液を、上記ジアゾ液に加え、0〜10℃で2時間攪拌しカップリング反応を行った。反応終了後、濾過、乾燥して、下記化合物(A)(化16)51.2部を得た。
次に、化合物(A)16.2部、水酸化ナトリウム1.8部を、水535.3部に加え、室温で1時間攪拌した後、亜硝酸ナトリウム4.7部を加えて、更に30分間攪拌した。この溶液に、5%塩酸164部を加えて、室温で2時間反応させた。次いで、スルファミン酸を加えて、過剰の亜硝酸ナトリウムを除去し、ジアゾ液とした。別に、N−フェニルJ酸14.2部、水酸化ナトリウム11.7部を水284部へ加え、室温で1時間攪拌した後、同温度で上記ジアゾ液を加え、2時間攪拌し、カップリング反応を行った。反応終了後、塩化ナトリウムの大過剰を加えて塩析し、1時間攪拌し、濾過、10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥して、下記式で表される化合物(B)(化16)31.7部を得た。
【0033】
【化16】
Figure 0003852966
化合物(B)を0.25g/l含む染浴を調製し、42℃に保持し、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを10分間浸漬し、染色した。この染色したフィルムを、3%ホウ酸水溶液中で、43℃で5倍に延伸し、この状態のまま水洗、乾燥して、紫色の偏光フィルムを製造した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率40%、λmax =565nmで、Vは99.8%と優れていた。
この偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置したが、色相の変化及び偏光度の低下は実質的に認められなかった。
【0034】
実施例2
化合物(A)8.1部、水酸化ナトリウム0.9部を、水81部に加え、室温で1時間攪拌した後、0〜10℃に冷却した。次いで、3%塩酸100部を加えた後、20%亜硝酸ナトリウム水溶液7.8部を滴下し反応させた。次いで、スルファミン酸を加えて、過剰の亜硝酸ナトリウムを除去し、ジアゾ液とした。別に、H酸8.4部、炭酸ナトリウム3.9部を、水168部に加え、0〜10℃に冷却し1時間攪拌した後、同温度で上記ジアゾ液を加え、2時間攪拌しカップリング反応を行った。反応終了後、塩化ナトリウムの大過剰を加えて塩析し、1時間攪拌し、濾過、10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥して、下記式で表される化合物(C)(化17)31.7部を得た。
【0035】
【化17】
Figure 0003852966
化合物(C)を0.25g/l含む染浴を調製し、42℃に保持し、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを10分間浸漬し、染色した。この染色したフィルムを、3%ホウ酸水溶液中で、43℃で、5倍に延伸し、この状態のまま水洗、乾燥して、青色の偏光フィルムを製造した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率40%、λmax =595nmで、Vは99.8%と優れていた。
この偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置したが、色相の変化及び偏光度の低下は実質的に認められなかった。
【0036】
実施例3
実施例1記載の化合物(B)16.8部を、水280部に加え、モノエタノールアミン16部、アンモニア水4部及び硫酸銅6部を加えて、90℃で6時間攪拌した。塩化ナトリウムを大過剰加え、塩析し、1時間攪拌した後、濾過し、10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥して、下記式で表される化合物(D)(化18)16.5部を得た。
【0037】
【化18】
Figure 0003852966
化合物(D)を0.25g/l含む染浴を調製し、42℃に保持し、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを10分間浸漬し、染色した。この染色したフィルムを、3%ホウ酸水溶液中で、43℃で、5倍に延伸し、この状態のまま水洗、乾燥して、青色の偏光フィルムを製造した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率40%、λmax =600nmで、Vは99.8%と優れていた。
この偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置したが、色相の変化及び偏光度の低下は実質的に認められなかった。
【0038】
実施例4〜27
実施例1において、色素を第1表に示す各種アゾ化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、偏光フィルムを作製した。
第1表(表1〜表6)に、色素の構造式、ポリビニルアルコールフィルムを染色して得た偏光フィルムの単板透過率、偏光度及び色相を示した。耐湿熱性については、偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置した後、色相の変化及び偏光度の低下が実質的に認められなかったものについて「〇」で表示した。得られた偏光フィルムは、いずれも優れた偏光性能を有していた。
【0039】
【表1】
Figure 0003852966
【0040】
【表2】
Figure 0003852966
【0041】
【表3】
Figure 0003852966
【0042】
【表4】
Figure 0003852966
【0043】
【表5】
Figure 0003852966
【0044】
【表6】
Figure 0003852966
【0045】
実施例28
実施例1において、染浴として、本発明の実施例4の染料を0.08wt% 、C.I.Direct Red 2を0.045wt% 、C.I.Direct Yellow 12を0.006wt% 、C.I.Direct Violet 9 を0.04wt% の濃度とする染浴を用いた以外は、実施例1と同様な方法により、中性色の偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの偏光度Vを測定した結果、単板透過率41%における偏光度は99.0%と優れていた。
【0046】
実施例29
2−(p−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール−7−スルホン酸14.4部、水酸化ナトリウム1.8部を、水144部に溶解させ、35%塩酸16.4部を加え、0〜10℃に冷却した後、20%亜硝酸ナトリウム水溶液17部を滴下し、同温で2時間反応させた。次いで、スルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸ナトリウムを除去し、ジアゾ液とした。別に、p−クレシジン6.2部を、水62部、35%塩酸6.2部へ加えた溶液を、上記ジアゾ液に加え、0〜10℃で2時間攪拌し、カップリング反応を行った。反応終了後、濾過、乾燥して、下記化合物(E)(化19)17.2部を得た。
次に、化合物(E)14.7部を、水356.9部に加え、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶解させ、室温で1時間攪拌した後、亜硝酸ナトリウム2.1部を加えて、更に30分間攪拌した。この溶液に、5%塩酸109部を加えて、室温で2時間反応させた。次いで、スルファミン酸を加えて、過剰の亜硝酸ナトリウムを除去し、ジアゾ液とした。別に、N−フェニルJ酸9.5部、水酸化ナトリウム7.8部を、水189部へ加え、室温で1時間攪拌した後、同温度で上記ジアゾ液を加え、2時間攪拌しカップリング反応を行った。反応終了後、塩化ナトリウムの大過剰を加えて塩析し、1時間攪拌し、濾過、10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥して、下記式で表される化合物(F)(化19)17.3部を得た。
【0047】
【化19】
Figure 0003852966
化合物(F)を0.25g/l含む染浴を調製し、42℃に保持し、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを10分間浸漬し、染色した。この染色したフィルムを、3%ホウ酸水溶液中で、43℃で、5倍に延伸し、この状態のまま水洗、乾燥して、紫色の偏光フィルムを製造した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率40%、λmax =570nmで、Vは99.5%と優れていた。
この偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置したが、色相の変化及び偏光度の低下は実質的に認められなかった。
【0048】
実施例30
化合物(E)10.5部、水酸化ナトリウム0.9部を、水120部に加え、室温で1時間攪拌した後、0〜10℃に冷却した。次いで、3%塩酸100部を加えた後、20%亜硝酸ナトリウム水溶液7.8部を滴下し反応させた。次いで、スルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸ナトリウムを除去し、ジアゾ液とした。別に、H酸7.6部、炭酸ナトリウム3.5部を、水151部に加え、0〜10℃に冷却し1時間攪拌した後、同温度で上記ジアゾ液を加え、2時間攪拌し、カップリング反応を行った。反応終了後、塩化ナトリウムの大過剰を加えて塩析し、1時間攪拌し、濾過、10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥して、下記式で表される化合物(G)(化20)14.7部を得た。
【0049】
【化20】
Figure 0003852966
化合物(G)を0.25g/l含む染浴を調製し、42℃に保持し、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを10分間浸漬し、染色した。この染色したフィルムを、3%ホウ酸水溶液中で、43℃で、5倍に延伸し、この状態のまま水洗、乾燥して、青色の偏光フィルムを製造した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率40%、λmax =590nmで、Vは99.3%と優れていた。
この偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置したが、色相の変化及び偏光度の低下は実質的に認められなかった。
【0050】
実施例31
実施例29記載の化合物(F)18.3部を、水293部に加え、モノエタノールアミン16部、アンモニア水4部及び硫酸銅6部を加えて、90℃で6時間攪拌した。塩化ナトリウムを大過剰加え、塩析し、1時間攪拌した後、濾過し、10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥して、下記式で表される化合物(H)(化21)15.1部を得た。
【0051】
【化21】
Figure 0003852966
化合物(H)を0.25g/l含む染浴を調製し、42℃に保持し、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを10分間浸漬し、染色した。この染色したフィルムを、3%ホウ酸水溶液中で、43℃で、5倍に延伸し、この状態のまま水洗、乾燥して、青色の偏光フィルムを製造した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率41%、λmax =600nmで、Vは99.2%と優れていた。
この偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置したが、色相の変化及び偏光度の低下は実質的に認められなかった。
【0052】
実施例32〜103
実施例29において、色素を第2表(表7〜表24)に示す各種アゾ化合物に代えた以外は、実施例29と同様にして、偏光フィルムを作製した。第2表に、色素の構造式、ポリビニルアルコールフィルムを染色して得た偏光フィルムの単板透過率、偏光度及び色相を示した。耐湿熱性については、偏光フィルムを、80℃、相対湿度85%の条件下で、500時間放置した後、色相の変化及び偏光度の低下が実質的に認められなかったものについて「〇」で表示した。得られた偏光フィルムは、いずれも優れた偏光性能を有していた。
【0053】
【表7】
Figure 0003852966
【0054】
【表8】
Figure 0003852966
【0055】
【表9】
Figure 0003852966
【0056】
【表10】
Figure 0003852966
【0057】
【表11】
Figure 0003852966
【0058】
【表12】
Figure 0003852966
【0059】
【表13】
Figure 0003852966
【0060】
【表14】
Figure 0003852966
【0061】
【表15】
Figure 0003852966
【0062】
【表16】
Figure 0003852966
【0063】
【表17】
Figure 0003852966
【0064】
【表18】
Figure 0003852966
【0065】
【表19】
Figure 0003852966
【0066】
【表20】
Figure 0003852966
【0067】
【表21】
Figure 0003852966
【0068】
【表22】
Figure 0003852966
【0069】
【表23】
Figure 0003852966
【0070】
【表24】
Figure 0003852966
【0071】
実施例104
実施例29において、染浴として、本発明の実施例32の染料を0.08wt% 、C.I.Direct Red 2を0.045wt% 、C.I.Direct Yellow 12を0.006wt% 、C.I.Direct Violet 9 を0.04wt% の濃度とする染浴を用いた以外は、実施例29と同様な方法により、中性色の偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの偏光度Vを測定した結果、単板透過率41%における偏光度は99.0%と優れていた。
【0072】
比較例1
実施例1において合成したアゾ化合物の代わりに、特開昭59−145255号公報の実施例3において公開されている下記構造式(I)(化22)で表される化合物を使用する以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率41%、λmax =625nmで、Vは98.0%であり、本発明の化合物より劣っていた。
【0073】
【化22】
Figure 0003852966
【0074】
比較例2
実施例1において合成したアゾ化合物の代わりに、特開平3−89203号公報中において式(VIII)で公開されている下記構造式(J)(化23)で表される化合物を使用する以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。
その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率41%、λmax =585nmで、Vは98.0%であり、本発明の化合物より劣っていた。
【0075】
【化23】
Figure 0003852966
【0076】
比較例3
実施例28において、本発明の実施例4の染料の代わりに、特開平3−68902号公報の実施例10において公開されている下記構造式(K)(化24)の化合物を用いた以外は、実施例28と同様な方法により、中性色の偏光フィルムを作製した。
その偏光フィルムの偏光度Vを測定した結果、単板透過率41%における偏光度は97.0%で、本発明の偏光フィルムより劣っていた。
【0077】
【化24】
Figure 0003852966
【0078】
比較例4
実施例29において合成したアゾ化合物の代わりに、特開昭54−153648号公報中において、No.3で公開されている下記構造式(L)(化25)で表される化合物を使用する以外は、実施例29と同様にして偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの吸収極大波長(λmax )での偏光度Vを測定した結果、単板透過率41%、λmax =450nmで、Vは95%であり、本発明の化合物より劣っていた。
【0079】
【化25】
Figure 0003852966
【0080】
【発明の効果】
本発明の新規なアゾ化合物を含む水溶性染料、及びこれを用いて得た偏光フィルムは、高い熱安定性並びに高い偏光度を与えるものであり、従来のヨウ素を用いた偏光フィルムに匹敵する光学特性を示す工業的に価値のある顕著な効果を奏するものである。

Claims (4)

  1. 高分子フィルムに、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物
    Figure 0003852966
    (1)
    〔式中、Yは下記一般式(1a)で表される基を示し、
    Figure 0003852966
    (1a)
    (式中、R8 、R9 水素原子又はカルボキシ基を示し、R10、R11水素原子を示す)
    1 、R7 水素原子、メトキシ基又は水酸基を示し、R2 、R3 水素原子又はメチル基を示し、R4 水素原子を示し、R5 水素原子、アミノ基又はフェニルアミノ基を示し、R6 はアゾ基に対してo−位にある水酸基を示し、jはを、kはを、lは0又は1をそれぞれ示す〕
    又は下記一般式(2)で表されるアゾ化合物
    Figure 0003852966
    (2)
    〔式中、Yは下記一般式(1a)で表される基を示し、
    Figure 0003852966
    (1a)
    (式中、R8 、R9 水素原子又はカルボキシ基を示し、R10、R11水素原子を示す)
    1 水素原子、メトキシ基又は水酸基を示し、R2 、R3 水素原子又はメチル基を示し、R4 水素原子を示し、R5 水素原子、アミノ基又はフェニルアミノ基を示し、Metは銅、ニッケル、亜鉛又は鉄を示し、jはを、kはを、lは0又は1をそれぞれ示す〕
    が、配向して含有されることを特徴とする偏光フィルム。
  2. 請求項1記載の一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ化合物を含む水溶性染料で染色した高分子フィルムを2〜9倍の延伸倍率で延伸して得られる偏光フィルム。
  3. 高分子フィルムが、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール樹脂、あるいはそれらをエチレン、プロピレン、アクリル酸、マレイン酸アクリルアミド等で変性したもの、および、セルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の偏光フィルム。
  4. 請求項1記載の一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ化合物を含む水溶性染料で染色した高分子フィルムを2〜9倍の延伸倍率で延伸する偏光フィルムの製造方法。
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