JP6971493B2 - ルアー - Google Patents

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Description

本発明は、ボディ内部に重りが移動可能に収納され、その重りが前後に移動することによって重心が移動するルアーに関する。
従来、魚釣りに使用されるルアーの中で、その重心を移動させることができる重心移動式ルアーが知られている(特許文献1)。かかるルアーは、ボディの内部に延設された重り移動空間内を球状重りが転動することによって、その重心が前後に移動する。
具体的には、特許文献1の重心移動式ルアーは、キャスティング前において、重り移動空間の前端部に設けられた保持部材(磁石など)によって球状重りが重り移動空間の前端部に吸着保持されている。この時、ルアーの重心は、球状重りが前側に保持されることにより前側に偏っている。
このルアーをキャスティングすると、慣性により、保持部材による球状重りの吸着保持が解け、球状重りが重り移動空間の後側へ転動する。球状重りが重り移動空間の後側へ転動すると、ルアーの重心が後側へ移動するので、ルアーを安定的にキャスティングすることができ、その結果、ルアーを比較的遠くまで飛ばすことができる。そして、ルアーが着水した後に釣糸を引く(リーリング)すると、球状重りは前側に転動して、重り移動空間の前端部に設けられた保持部材によって再び吸着保持される。重心が前側に移動したルアーは、あたかも本物の魚のように遊泳する。
特許文献1の重心移動式ルアーは、重り移動空間の前端部に設けられた保持部材に球状重りが吸着されることにより、球状重りが重り移動空間の前端部に保持される。しかしながら、このルアーは、重り移動空間の前端部に保持部材が設けられており且つ重りが球状である。そのため、ルアーが着水した際、球状重りが勢いよく重り移動空間の前側に転動して保持部材に衝突する。そのため、このルアーを長期間に亘って使用すると、保持部材が破損する場合がある。保持部材が破損すると、ルアーの遊泳時において、球状重りが重り移動空間の前端部に保持され難くなり、本物の魚のようにルアーを遊泳させ難くなる場合がある。
また、このルアーは、着水後、水中で遊泳させているうちに、球状重りが保持部材から脱落して重り移動空間の後側へ転動し、重心が後側へ移動する場合がある。特に、水中でルアーを上下左右に激しくアクションさせた際に、球状重りが保持部材から比較的簡単に脱落して後側へ転動してしまう場合がある。このように遊泳中に球状重りの重心がルアーの後側へ移動すると、本物の魚のようにルアーを遊泳させ難くなる場合がある。
実公平3−15021号公報
本発明の課題は、着水後にスムーズに重り移動空間の前側へ重りが移動し、長期間に亘って使用しても遊泳時に重りが重り移動空間の前側に保持され易く、水中で上下左右に激しくアクションさせても重りが重り移動空間の後側へ移動し難いルアーを提供することである。
上述のように、従来のルアーを長期間に亘って使用すると、球状重りが保持部材に衝突して破損し、その結果、ルアーの遊泳時において、球状重りが重り移動空間の前側に保持され難くなる場合がある。この問題を解決するため、まず本発明者は、保持部材を用いず且つ重りの形状を非球体とすることを試みた。つまり、重りの形状を非球体とし、重り移動空間の底面と重りとの接触面積を大きくすれば、重りと重り移動空間の下面の摩擦力が大きくなり、ルアーの遊泳時に重りが前側から後側へと移動し難くなる(即ち、遊泳中に重りが重り移動空間の前側で保持され易くなる)と共に、保持部材をなくすことによって保持部材の破損という問題も生じなくなると考えた。この考えは正しいものの、重りと重り移動空間の下面の摩擦力が大きいと、ルアーの着水後に重りが重り移動空間の後側から前側へ移動し難くなるという新たな問題が発生する。
このような認識のもと、本発明者は、着水後においては重り移動空間の後側から前側へ比較的スムーズに重りが移動可能であるという第1の特徴、及び、着水後においては上下左右に激しくアクションさせても重りが前側から後側へ移動し難いという第2の特徴をバランス良く兼ね備えたルアーについて鋭意研究し、本発明を創出した。
本発明のルアーは、ボディと、前記ボディの内部において、前後方向に延設された重り移動空間と、前記重り移動空間に設けられた、前後方向に延びる一対のレールと、前記重り移動空間に収納された重りと、前記重りから左右方向に突設された支持体と、を有し、前記重りが、前記一対のレール上を前記支持体を介して前後方向に移動可能であり、前記支持体が、前記重りの前側において左右方向に突設された第1軸部と、前記重りの後側において左右方向に突設された第2軸部と、を有し、前記一対のレールが、前記重り移動空間の後側に位置する第1レール部と、前記重り移動空間の前側に位置し且つその後端部が前記第1レール部の前端部よりも下側に位置する第2レール部と、を有し、前記第1レール部と前記第2レール部との間に、前記重りを係止可能な係止部が設けられている。
本発明のルアーは、好ましくは、前記係止部が、前記第2レール部と前記第1レール部の間に位置し、前記第1レール部の前端部から下側へ延びる第3レール部である。
本発明のルアーは、重りが、一対のレール上を支持体を介して前後方向に移動可能であり、支持体が、重りの前側において左右方向に突設された第1軸部と、重りの後側において左右方向に突設された第2軸部と、を有し、一対のレールが、重り移動空間の後側に位置する第1レール部と、重り移動空間の前側に位置し且つその後端部が第1レール部の前端部よりも下側に位置する第2レール部と、を有する。そのため、ルアーの着水後において比較的容易に重り移動空間の前側へ重りを移動させることができる。
また、本発明のルアーは、第1レール部と第2レール部の間に係止部が設けられているため、着水後、水中でルアーを上下左右に激しくアクションさせても、重りが前側から後側へ移動し難い。
本発明の第1実施形態に係るルアーを右側から見た側面図。 同ルアーを前側から見た正面図。 図2のルアーをIII−III線で切断した縦断面図。 図3のルアーをIV−IV線で切断した横断面図。 図3のルアーを一部拡大した縦断面図。 図5のルアーをVI−VI線で切断した縦断面図。 同ルアーを構成する各部材の分解斜視図。 同ルアー内において、重りが係止部に係止した状態を表す縦断面図。 (a)は同ルアーで用いられる重り及び支持体の斜視図であり、(b)は(a)の重りを矢印IXbの方向から見た上面図。 (a)はキャスティング時、(b)及び(c)は着水後における重りの位置を表す同ルアーの縦断面図。 図10(b)を一部拡大した縦断面図。 本発明の第2実施形態に係るルアーの縦断面図。 (a)は本発明の第3実施形態に係るルアーの縦断面図であり、(b)は(a)のルアーをXIIIb−XIIIb線で切断した縦断面図。 (a)は本発明の第4実施形態に係るルアーの横断面図であり、(b)は同ルアーの縦断面図。 (a)は本発明の第5実施形態に係るルアーの横断面図であり、(b)は同ルアー内において重りが係止部に係止した状態を表す縦断面図。 本発明の第6実施形態に係るルアーで用いられる重り及び支持体の上面図。 (a)は第1実施形態の重り及び支持体が重り移動空間で右側に寄った状態を表す横断面図であり、(b)は第6実施形態の重り及び支持体が重り移動空間で右側に寄った状態を表す横断面図。 (a)は本発明の第7実施形態に係るルアーで用いられる重り及び支持体の斜視図であり、(b)は(a)の重り及び支持体を矢印XVIIIbの方向から見た上面図。 (a)及び(b)は、共に本発明の第8実施形態に係るルアーの縦断面図。 (a)は本発明の第9実施形態に係るルアーで用いられる重り及び支持体の斜視図であり、(b)は(a)の重り及び支持体をXXb−XXb線で切断した縦断面図。 (a)は本発明の第9実施形態に係るルアーで用いられる重り及び支持体の斜視図であり、(b)は(a)の重り及び支持体をXXIb−XXIb線で切断した縦断面図。
以下、図1乃至11を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るルアーについて説明した後、図12乃至図21を参照しつつ、第2乃至第9実施形態に係るルアーについて順番に説明する。第2乃至第9実施形態に係るルアーについては、これまでに説明したルアーとの相違点について説明し、共通する構成及び作用・効果については説明を適宜省略する。各図における寸法は、実際のものとは異なっている点に留意されたい。また、第2乃至第9実施形態の説明の際に参照する各断面図は、第1実施形態に係るルアーと同様の切断線で切断したものである。
本明細書では、ボディの釣糸連結部に結び付けられた釣糸を水中で引いた際にルアーが進む側を「前側」と称し、前側と反対側を「後側」と称し、前側と後側を結ぶ方向を「前後方向」と称する。また、遊泳中のルアーを基準にして水面に向かう側を「上側」と称し、上側と反対側を「下側」と称し、上側と下側を結ぶ方向を「上下方向」と称する。さらに、水中で遊泳中のルアーを前側から正面視した際、その「左側」及び「右側」を結ぶ方向を「左右方向」と称する。「左右方向」は、「前後方向」及び「上下方向」と直交する。図1に示すルアー10の側面図を例にすると、紙面の左側が「前側」に対応しており、紙面の右側が「後側」に対応しており、紙面の上側が「上側」に対応しており、紙面の下側が「下側」に対応している。また、図2に示すルアー10の正面図を例にすると、紙面の左側が「左側」に対応しており、紙面の右側が「右側」に対応している。
また、本明細書では、上述した「前後方向」、「上下方向」、及び「左右方向」とは独立して、重り移動空間2に収納された重り4を基準にして、重り4から離れる側を「外側」と称し、重り4に近付く側を内側と称する。例えば、「左右方向内側」とは、左右方向において重り4に近付く側を意味し、「左右方向外側」とは、左右方向において重り4から離れる側を意味する。
さらに、本明細書では、ルアー10を構成する各部材の寸法を説明する際、上下方向における長さを「高さ」と称し、前後方向における長さを「奥行き」と称し、左右方向における長さを「幅」と称する。
[第1実施形態]
<第1実施形態>
図1乃至図11は、本発明の第1実施形態に係るルアー10又はその部材を描写している。なお、本願では、図面の視認性を考慮して、ボディ1に含まれる釣糸連結部12、第1及び第2針連結部13,14及び複合針15にはハッチングを施していない。また、図1では、便宜上、ルアー10の内部にある重り移動空間2を一点鎖線で表しており、重り移動空間2に存在するレール3、重り4、支持体6、及び係止部5を図示している。また、図4の横断面図では、便宜上、係止部5に格子状の模様を付している(図14(a)、図15(a)及び図15(b)についても同様)。
図1乃至図6に示すように、本発明のルアー10は、ボディ1と、前記ボディ1の内部において、前後方向に延設された重り移動空間2と、重り移動空間2に収納された重り4と、を有する。以下、各構成部材ごとに分けながら、第1実施形態のルアー10の詳細を説明する。
[ボディ]
ボディ1は、ルアー10の中核となる部分である。ボディ1の形状は特に限定されず、対象魚(釣りの対象となる魚)の補食対象である本物の餌の全体又は一部を模した形状であってもよいし、本物の餌とは無関係な形状であってもよい。もっとも、釣果の向上を図るため、ボディ1は本物の餌の全部又は一部を模した形状であることが好ましい。本物の餌の一部を模した形状とする場合、模倣する部位は特に限定されず、対象魚の種類に応じて適宜変更することができるが、本物の餌の頭部を模した形状であることが好ましい。本実施形態では、図1に示すように、ボディ1は、小魚全体を模した形状とされている。
ボディ1の外面には、無数の小さな窪み(ディンプル)が形成されていることが好ましい(図示せず)。ボディ1の外面が無数の小さな窪みを有することにより、ルアー10をキャスティングした際、ルアー10が空気抵抗を受け難くなり、より遠くまでルアー10を飛行させることができる。
ボディ1は、それ自体、水(淡水及び海水を含む)に浮くことが好ましい。ボディ1の比重は、特に限定されないが、例えば、1.1以下であり、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.9以下であり、特に好ましくは0.6以下である。但し、前記ボディ1の比重は、ボディ1の形成材料の比重ではなく、ボディ1そのもの比重をいう。
また、ボディ1には、対象魚の興味を引くような彩色が施されていてもよい。この彩色は、本物の餌の器官(目、エラ、鱗など)を再現したものであってもよく、本物の餌とは無関係な模様を描いたものであってもよい。本実施形態では、ボディ1に本物の餌の目を模した模様が描かれている。
ボディ1の形成材料は、特に限定されず、例えば、ABS樹脂などの硬質合成樹脂、ウレタンなどの軟質合成樹脂、発泡ウレタンなどの発泡合成樹脂、木、及びこれらから選択される2以上の素材を組み合わせた材料などが挙げられる。好ましくは、ボディ1は、硬質合成樹脂、軟質合成樹脂、発泡合成樹脂及びこれらから2以上を組み合わせた材料から形成され、より好ましくは、硬質合成樹脂(硬質の発泡合成樹脂を含む)から形成される。ボディ1は、中空状であってもよいし、中実状であってもよい。なお、中実状のボディ1は、重り移動空間2以外に、その内部に空間を有さないボディ1であり、中空状のボディ1は、重り移動空間2及びそれ以外の空間をその内部に有するボディ1である。本実施形態では、図3に示すように、重り移動空間2以外の空間(以下、他空間7と称する)を有する中空状のボディ1を採用している。ボディ1の内部に他空間7を形成することにより、比重が1を超える材質(例えば、ABS樹脂など)を用いた場合でも、比重1未満のボディ1を容易に作製できる。
ボディ1の機械的強度を上げるため、ボディ1の他空間7に補強部材を設けてもよい。本実施形態では、図4に示すように、ボディの1の内側における側面(以下、内側面18と称する)から板状の補強部材11が突設されている。本実施形態では、補強部材11は3つ設けられているが、補強部材11の数は特に限定されず、3つより少なくてもよく、3つよりも多くてもよい。ボディ1の比重を小さくすることを考慮すると、補強部材11の数は、3〜7つが好ましい。本実施形態では、補強部材11は、ボディ1と一体的に形成されている。
本実施形態では、図3乃至図5に示すように、後述する仕切壁19の前端部とレール3の前端部との間に補強部材11が架設されている。
ボディ1の前端部には、釣糸を締結するための環状の釣糸連結部12が前側に突設されている。釣糸連結部12は、例えば、両端にそれぞれ環部を有する略8の字状の金属線材の、一方の環部から構成されている。その金属線材の一方の環部をボディ1から突出させつつ、他方の環部をボディ1内の支持軸に嵌め入れ且つ金属線材の中途部をボディ1内のハウジングによって固定することにより、釣糸連結部12がボディ1の外側へと突設されている。
また、ボディ1の後端部には、針を取り付けるための環状の第1針連結部13が後側に突設されている。この第1針連結部13も釣糸連結部12と同様に、略8の字状の金属線材から構成され、同様な構造にてボディ1に固定されている。
さらに、ボディ1の前後方向における中途部には、針を取り付けるための環状の第2針連結部14が下側に突設されている。この第2針連結部14も釣糸連結部12と同様に略8の字状の金属線材から構成されている。
前記第1針連結部13及び第2針連結部14に取り付ける針は、特に限定されず、例えば、図示したような、複数本のフックからなる複合針15(例えばトレブルフックなど)、1本のフックからなる単一針などが挙げられる。
さらに、ボディ1の釣糸連結部12の下側には、水流抵抗板16が前側に突設されている。本実施形態では、水流抵抗板16は、ボディ1と一体的に形成されている。水流抵抗板16は、水中でルアー10を揺れ動かす機能を有する。つまり、水中でルアー10を引っ張ったときに水流抵抗板16に水流が当たることによって、ルアー10が揺れ動く。もっとも、本発明のルアー10は、水流抵抗板16を有していなくてもよい。
ボディ1は、通常、複数の成形品を接合することによって形成される。例えば、ボディ1は、図7に示すように、左右対称一対の半割成形品1A,1Bを接着剤などを用いて接合することによって形成されている。このような一対の半割成形品を接合することにより、ボディ1の内部に重り移動空間2や他空間7を容易に形成でき且つその重り移動空間2に後述する重り4及び支持体6を容易に収納することができる。
なお、図7には、本実施形態のルアー10を構成する全ての部材(半割成形品1A,1B、釣糸連結部12、第1及び第2針連結部13,14、複合針15、重り4及び支持体6)を示している。
[重り移動空間とレール]
重り移動空間2は、ボディ1の内部において前後方向に延設された空間であり、後述する重り4及び支持体6が収納される空間である。重り移動空間2は、重り4と支持体6が収納可能であることを条件に、閉鎖空間(他空間7と連通していない空間)であってもよく、非閉鎖空間(他空間7と連通している空間)であってもよい。
本実施形態では、図1乃至図6(特に、図3、図5及び図6)に示すように、重り移動空間2は、ボディ1の内側における下面(以下、内下面17と称する)と、内下面17から上側に立設された一対の内側面18と、一対の内側面18の上下方向における中途部に架設され且つ前後方向に延びた仕切壁19の下面と、ボディ1の内側における後端面と、補強部材11の後面によって画成された空間である。本実施形態では、図5に示すように、補強部材11の下端部と内下面17との間には、僅かな空隙が形成されているため、重り移動空間2と他空間7は連通している。従って、本実施形態では、重り移動空間2は非閉鎖空間である。もっとも、補強部材11と内下面17を連接させることにより、重り移動空間2を閉鎖空間とすることも可能である(図示せず)。
なお、特に図示しないが、ボディ1が他空間7を有さない場合、ボディ1の形成材料によって画成される重り移動空間2は、必然的に閉鎖空間となる。
本実施形態では、図6に示すように、重り移動空間2の縦断面形状は略半円形状である。もっとも、重り移動空間2の縦断面形状は、略半円形状に限定されず、例えば、略円形状、略楕円形状、略多角形状(例えば、略三角形状や略矩形状)などを採用することも可能である(図示せず)。重り移動空間2の縦断面形状は、仕切壁19の形状やボディ1の内側の内下面17及び内側面18の形状を適宜変形させることで変更することが可能である。
なお、重り移動空間2の縦断面形状が、本実施形態のように略半円形状である場合、又は、略円形状又は略楕円形状である場合、ボディ1の内下面17と一対の内側面18との間には明確な境界が存在しない。この場合、重り移動空間2の内側における最下部が内下面17に相当する。
重り移動空間2の高さ(仕切壁19の下面から内下面17に至る最大長さ)は、特に限定されないが、例えば、5mm〜20mmである。重り移動空間2の奥行き(重り移動空間2の後端部から前端部(本実施形態では、補強部材11の後面)に至る前後方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば、50mm〜100mmである。重り移動空間2の幅(一対の内側面18間の最大長さ)は、特に限定されないが、例えば、5mm〜20mmである。
重り移動空間2には、前後方向に延びる一対のレール3が設けられている。一対のレール3は、図6に示すように、一対の内側面18の上下方向における中途部から左右方向内側に突出した長状の突部である。このレール3によって後述する重り4が支持される。本実施形態では、レール3は、ボディ1と、即ち、一対の内側面18と連結手段を用いることなく一体的に形成されている。そのため、レール3の形成材料とボディ1の形成材料は同じである。もっとも、レール3とボディ1は別体で構成され且つ適当な連結手段(接着剤など)を介して連結されていてもよい(図示せず)。この場合、レール3の形成材料はボディ1と同じであってもよく、異なっていてもよい。レール3とボディ1が別体である場合、レール3の形成材料としてアルミニウム、ステンレス、及びタングステンなど、耐摩耗性の高い金属を用いることが好ましい。レール3の形成材料として耐摩耗性の高い金属を用いると、重り4の前後方向への移動によってレール3が摩耗することを効果的に防止することができる。
本発明では、一対のレール3は、重り移動空間2の後側に位置する第1レール部31と、前記重り移動空間2の前側に位置し且つその後端部が第1レール部31の前端部よりも下側に位置する第2レール部32と、を有する。本実施形態では、第1レール部31と第2レール部32は、共に前後方向と平行に延びている。
第1レール部31及び第2レール部32の上側には、仕切壁19が設けられており、重り4が仕切壁19よりも上側に移動しないように(即ち、重り移動空間2から抜け出さないように)制限している。以後、第1レール部31の上側に位置する仕切壁19の一部を第1壁191と称し、第2レール部32の上側に位置する仕切壁19の一部を第2壁192と称する。本実施形態では、図5に示すように、第1壁191は第1レール部31と平行に延びており、第2壁192は第2レール部32と平行に延びている。また、本実施形態では、第1壁191の前端部は第1レール部31の前端部よりもやや前側に位置しており、第2壁192の後端部は第2レール部32の後端部よりもやや後側に位置している。また、第2壁192の後端部が第1壁191の前端部よりも下側に位置しており、第2壁192の後端部と第1壁191の前端部が第3壁193によって架設されている。本実施形態では、第3壁193は、後側から前側にかけて下側に傾斜した傾斜面である。なお、特に図示しないが、第3壁193は上下方向と平行に延びる鉛直面であってもよい(この場合、前後方向における第1壁191の前端部と第2壁192の後端部の位置は同じである)。
上下方向における第1レール部31と第1壁191の間隔は、第1レール部31に乗った重り4が第1壁191に非接触となることを条件として、適宜設定されるが、通常、3mm〜5mmである。また、上下方向における第2レール部32と第2壁192の間隔は、通常、5mm〜8mmである。
上下方向における第1レール部31とボディ1の内下面17の間隔は、レール3に乗った重り4がボディ1の内下面17に非接触となることを条件として、適宜設定されるが、なるべく短い(即ち、レール3が重り移動空間2のできるだけ下側に位置する)ことが好ましい。レール3が下側に位置すればするほど重り4もより下側に位置することになり、ルアー10の重心を低くすることができ、その結果、ルアー10をより安定的に遊泳させることができる。上下方向における第1レール部31とボディ1の内下面17の間隔は、通常、5mm〜10mmである。また、上下方向における第2レール部32とボディ1の内下面17の間隔は、通常、3mm〜7mmである。
レール3の奥行きは、特に限定されないが、例えば、50mm〜100mmである。本実施形態では、レール3は、重り移動空間2の後端部から前端部にかけて設けられている(即ち、前後方向において重り移動空間2の全体に設けられている)。そのため、レール3の奥行きは重り移動空間2の奥行きと等しい。
もっとも、レール3は、前後方向において、重り移動空間2の全体に設けられていなくてもよく、例えば、重り移動空間2の後端部と前端部にはレール3が設けられておらず、スポンジなどの消音部材が設けられていてもよい(図示せず)。重り移動空間2の後端部と前端部にこのような消音部材が設けられていれば、重り移動空間2の後端部又は前端部に移動した重り4がボディ1又は補強部材11に衝突し、これらの部材が破損することを効果的に防止できる。
本発明では、図3に示すように、第1レール部31の奥行きAは第2レール部32の奥行きBよりも長いことが好ましい。具体的には、奥行きAと奥行きBの比率(A/B)は、5/1〜4/3が好ましく、3/1〜4/3がより好ましい。第1レール部31の奥行きAを第2レール部32の奥行きBよりも長くすることで、キャスティングの際、空中で飛行するルアー10の内部において、重り4が不意に第1レール部31から第2レール部32に移動することをより効果的に防止できる。
また、第1及び第2レール部31,32の幅は、後述する支持部材6によって重り4を支持可能であることを条件として特に限定されず、後述する重り4及び支持部材6の大きさや重り移動空間2の幅に合わせて適宜設定可能であるが、通常、それぞれ独立して1mm〜3mmであり、好ましくは1mm〜2mmである。
本実施形態では、図4及び図6に示すように、第1及び第2レール部31,32の先端は、それぞれ前後方向と平行に延びている、第1及び第2レール部31,32の先端は、それぞれ前後方向と非平行に延びていてもよい(図示せず)。
[係止部]
第1レール部31と第2レール部32との間には、後述する重り4を係止可能な係止部5が設けられている。係止部5は、ルアー10が水中で遊泳している際、重り4が第2レール部32から第1レール部31に移動しないように保つ部材である。
本実施形態では、図4乃至図6に示すように、係止部5として、第1レール部31の前端部から下側へ延びる第3レール部51を用いている。具体的には、本実施形態において、第3レール部51は、第1レール部31の前端部から重り移動空間2の前側且つ下側へ向けて傾斜しており、その前端部は、第2レール部32の後端部と連接している。
本実施形態では、第3レール部51は、第1及び第2レール部31,32と同様、重り移動空間2の一対の内側面18の上下方向における中途部から左右方向内側に突出した長状の突部である。
重り4が第2レール部32の上に位置した状態において、ルアー10を前側から後側にかけて下側に傾けると、重り4は、重り移動空間2の後側(第1レール部31)に移動しようとする。しかし、図8に示すように、本実施形態では、第1レール部31の前端部から下側に延びた係止部5である第3レール部51に支持部材6(正確には、重り4に設けられた支持部材6である第2軸部62)が当たり、その結果、第3レール部51よりも後側へ重り4が移動することが抑制される。従って、水中でルアー10を激しくアクションさせても重り4が第2レール部32から第1レール部31に移動し難い。そのため、本発明のルアー10は、水中において安定的に遊泳することができ、その結果、優れた釣果を奏する。
図5に示す第3レール部51の傾斜角度α(第3レール部51と前後方向に延びる水平面Xの交差によって形成される内角)は特に限定されないが、通常、10°〜90°であり、好ましくは10°〜80°である。傾斜角度αがこのような範囲内であれば、重り4の位置を第2レール部32に強固に保つことができ、ルアー10を水中で激しくアクションさせても重り4が第1レール部31に移動し難い。
[重り]
重り4は、重り移動空間2に収納されており、重り移動空間2を前後方向に移動することでルアー10の重心を移動させる部材である。本発明では、図9に示すように、重り4には、左右方向に突設された支持体6が設けられている。重り4は、上述した一対のレール3の上を支持体6を介して前後方向に移動可能である。即ち、重り4は支持体6を介してレール3の上に乗っており、ルアー10を傾斜させることにより重り4がレール3の上を前後方向に移動する。重り4はレール3の上に乗らない。
本発明では、支持体6を介してレール3の上に重り4が乗っているため、重りの形状がその前後方向の動きに殆ど影響しない。そのため、重り4の形状は特に限定されず、任意の形状とすることが可能である。もっとも、重り4は、その重心ができるだけ低位置となるような形状であることが好ましい。重り4の重心を低くすれば、ルアー10の重心も低くなり、水中において安定的にルアー10を遊泳させ易くなる。
例えば、本実施形態では、重り4は、図9(a)及び図9(b)に示すように、その高さHが奥行きDよりも十分に小さな略直方体状に形成されている。もっとも、重り4の形状は略直方体状に限定されず、略円柱状であってもよく、略角錐台状であってもよく、不定形であってもよい(図示せず)。好ましくは、重り4は略直方体状である。重り4を略直方体状にすれば、これと同体積の球状重りよりも重心を十分に低くすることができる。
重り4の高さHと奥行きDの比率(H/D)の下限値は1/10が好ましく、より好ましくは3/10であり、さらに好ましくは1/5である。また、重り4の高さHと奥行きDの比率(H/D)の上限値は3/4が好ましく、より好ましくは2/3である。重り4の具体的な高さH及び奥行きDは、重り移動空間2の寸法を考慮して適宜設定することができる。後述するように、重り4は、ルアー10が着水した後、重り移動空間2の前側であって第2レール部32の上に位置する。そのため、重り4の奥行きDは第2レール部32の奥行きBよりも短い。また、重り4の高さHは、重り移動空間2の高さよりも十分に短い。
重り4の幅Wは、重り移動空間2の幅よりも短いことを条件に、特に限定されない。本実施形態では、図9に示すように、重り4の側面から支持体6が突設されているため、レール3の上に重り4を乗せると、重り4の側面が一対のレール3の間に位置する必要がある。従って、重り4の幅Wは、一対のレール3の先端の間隔よりも短い(図6参照)。
重り4の形成材料は特に限定されないが、ルアー10の重心をできるだけ下側に位置させるという観点から、できるだけ重い形成材料を用いることが好ましい。もっとも、重り4があまりに重すぎると、重り4とレール3の摩擦力が大きくなり、レール3の上で重り4がスムーズに前後に移動し難くなる虞がある。これを考慮すると、重り4の形成材料の比重の下限値は、2であり、好ましくは5であり、より好ましくは7である。また、その上限値は20であり、好ましくは18であり、より好ましくは15である。なお、比重は、大気圧下、4℃の水(基準物質)に対する比である。
上記に示した比重の範囲を満たす形成材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、タングステン、銅、鉛などの純金属、及び、これらの合金などが挙げられる。好ましくは、重り4の形成材料は、鉛、鉛合金、タングステン、又はタングステン合金であり、より好ましくは、タングステン以外にニッケル、鉄及び銅から選ばれる少なくとも1種の金属を含むタングステン合金である。タングステン合金は、タングステンを70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。タングステン合金は耐久性が高いため、重り4の形成材料としてタングステン合金を用いれば、長期に亘ってルアー10を使用することができる。
重り4には、支持体6が設けられている。支持体6は、重り4から左右方向に突設されている。本実施形態では、支持体6は、重り4の側面から左右方向外側に突設されている。支持体6が上述したレール3の上に乗ることにより、間接的に重り4がレール3の上に支持される。支持体6の形状は特に限定されない。もっとも、支持体6とレール3の接触面積が小さければ、重り4がレール3の上をよりスムーズに前後方向に移動することができるため、支持体6はレール3との接触面積ができるだけ小さくなるような形状であることが好ましい。このような支持体6としては、例えば、棒状の軸が挙げられる。
本実施形態では、支持体6は、重り4の前側において左右方向に突設された第1軸部61と、重り4の後側において左右方向に突設された第2軸部62と、を有する。図9(a)及び図9(b)に示すように、第1軸部61は、重り4の側面の前側において左右方向内側に穿設された第1軸孔41に、重り4の幅Wよりも十分に長い軸を圧入し、その両端部を重り4から左右方向外側に突出させることで構成されている。同様に、第2軸部62は、重り4の側面の後側において左右方向内側に穿設された第2軸孔42に、重り4の幅Wよりも十分に長い軸を圧入し、その両端部を重り4から左右方向外側に突出させることで構成されている。支持体6の形成材料は特に限定されず、重り4又はボディ1と同様の形成材料を用いることができる。
第1及び第2軸部61,62(支持体6)の断面形状は特に限定されないが、レール3の接触面積ができるだけ小さくなるような形状であることが好ましい。このような断面形状としては、例えば、略円形状、略楕円形状、略多角形状などが挙げられ、好ましくは略円形状又は略楕円形状である(本実施形態では、略円形状を採用している)。第1及び第2軸部61,62の断面形状が略円形状又は略楕円形状であれば、第1及び第2軸部61,62とレール3の接触面積が小さくなるため、レール3の上において重り4をスムーズに前後方向に移動させることができる。なお、第1及び第2軸部61,62の断面形状は、同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
また、第1及び第2軸部61,62(支持体6)は、回転不能であってもよく回転可能であってもよい。第1及び第2軸部61,62が回転不能である場合、重り4はレール3の上を滑動し、第1及び第2軸部61,62が回転可能である場合、重り4はレール3の上を転動する。本実施形態では、第1及び第2軸部61,62は、第1及び第2軸孔41,42と略同じ径を有する軸を軸孔に圧入することで構成されている。そのため、第1及び第2軸部61,62は回転不能である。なお、第1及び第2軸部61,62を回転可能に構成する場合、第1レール部31は、後側から前側にかけて上側に傾斜させることが好ましい(図示せず)。このようにすれば、ルアー10が空中で飛行中に重り4が第2レール部32に移動し難くなる。
本発明では、重り4が第1レール部31又は第2レール部32に乗った状態において、重り4がボディ1の内下面17及び仕切壁19と非接触である。具体的には、図8に示すように、重り4が第2レール部32の上に乗った状態において、重り4の下面とボディ1の内下面17との間に形成される空隙G1は、1mm〜5mmであることが好ましく、重り4の上面と仕切壁19(第2壁192)との間に形成される空隙G2は、0.5mm〜2mmであることが好ましい。同様に、図示しないが、重り4が第1レール部31に乗った状態において、重り4の下面とボディ1の内下面17との間に形成される空隙は、1mm〜5mmが好ましく、重り4の上面と仕切壁19(第1壁191)との間に形成される空隙は、0.5mm〜2mmが好ましい。
本発明では、支持体6を介してレール3の上に乗った重り4がボディ1の内下面17及び仕切壁19と非接触であるため、重り4がレール3の上を前後方向に移動した際、重り4がボディ1の内下面17及び仕切壁19と擦れ合わない。そのため、キャスティング時から水中でルアー10を遊泳させるまでの間に、重り移動空間2において重り4をスムーズに前後方向に移動させることができる。以下、重り4の動きについて図10を参照しつつ説明する。
まず、釣糸を介してルアー10の釣糸連結部12と釣り竿を連結し、釣り竿を振りかぶってルアー10をキャスティングする。この際、重り4に強い慣性力が加わることにより、図10(a)に示すように、重り4は重り移動空間2の後側(第1レール部31の後端部)にまで移動する。重り4が重り移動空間2の後側に位置することにより、空中においてルアー10は安定的に飛行し、遠くまでルアー10を飛行させることができる。
次に、ルアー10が着水した後、釣糸を引くと、第1レール部31の後端部に位置していた重り4は、第1レール部31の前端部にまで移動し、図10(b)に示すように、その前端部が第2レール部32に向かって傾斜する。そして、傾斜した重り4は、そのまま第2レール部32にまで滑落して、図10(c)に示すように第2レール部32の上に乗る。このようにして第2レール部32にまで移動した重り4は、ルアー10が水中で遊泳している間、上述した第3レール部51(係止部5)によって第2レール部32に保持される。その結果、ルアー10を安定的に遊泳させることができる。
図8に示すように、第3レール部51の高さG3(第1レール部31と第2レール部の高低差)は重り4の高さHよりも高いことが好ましい。第3レール部51の高さG3が重り4の高さHよりも高い場合、ルアー10が遊泳中、第2レール部32に重り4をより確実に保持することができる。
第3レール部51の高さG3と重り4の高さHの比率(G3/H)は特に限定されないが、6/5〜3/1が好ましく、6/5〜2/1がより好ましく、6/5〜3/2がさらに好ましい。
本実施形態では、重り4の側面に第1及び第2軸部61,62(支持体6)が設けられている。そのため、図11に示すように、重り4が第2レール部32に滑落する瞬間、重り4の最前下端部がボディ1の内下面17と最も近接する。これを考慮すると、図11に示すように、第1軸部61から重り4の最前下端部に至る仮想線VLの長さLは、ボディ1の内下面17と第2レール部32の高低差G4よりも十分に短いことが好ましい。仮想線VLの長さLが高低差G4よりも長い場合、重り4が第1レール部31から第2レール部32に滑落する瞬間、重り4の最前下端部がボディ1の内下面17に衝突し、その結果、重り4又はボディ1が破損する虞、又は、重り4がボディ1の内下面17に引っ掛かり、第2レール部32に重り4が移動し難くなる虞がある。
仮想線VLの長さLと高低差G4の比率(L/G4)は特に限定されないが、通常、1/3〜5/6であり、好ましくは2/3〜5/6であり、より好ましくは2/3〜4/5である。なお、図11では、便宜上、重り4及び支持体6の断面を示すハッチングを施していない。
このように、本発明のルアー10は、重り4が、一対のレール3の上を前記支持体6を介して前後方向に移動可能であり、一対のレール3が、重り移動空間2の後側に位置する第1レール部31と、重り移動空間2の前側に位置し且つその後端部が第1レール部31の前端部よりも下側に位置する第2レール部32と、を有する。そのため、ルアー10の着水後において比較的スムーズに重り移動空間2の第2レール部32へ重り4を移動させることができる。また、本発明のルアー10は、第1レール部31と第2レール部32の間に係止部5が設けられているため、着水後、水中でルアー10を上下左右に激しくアクションさせても、重り4が第2レール部32から第1レール部31へ移動し難い。
また、本発明のルアー10は、従来のルアーのように保持部材である磁石を用いていないため、重り4が保持部材に衝突する虞がなく、保持部材が破損するという問題が生じない。従って、本発明のルアー10は、長期間に亘って安定的に使用することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1レール部31の構成を第1実施形態から変更している。
本実施形態では、図12に示すように、第1レール部31は、後側から前側にかけて下側に傾斜するように設けられている。本実施形態のように、第1レール部31を傾斜させることで、ルアー10が着水した後、重り4をより確実に第2レール部32にまで移動させることができる。なお、一見、このように第1レール部31が後側から前側にかけて下側に傾斜している場合、キャスティング時において重り4が重り移動空間2の後側に移動し難くなる(即ち、図10(a)に示すような状態になり難くなる)ように思われる。しかし、実際は、キャスティング時に釣り竿を振りかぶると、重り4に大きな慣性力が加わり、第1レール部31がある程度傾斜していても十分に重り4を重り移動空間2の後側にまで移動させることが可能である。
もっとも、第1レール部31が傾斜し過ぎている場合、ルアー10が飛行中に重り4が第2レール部32に移動する虞がある。これを考慮すると、第1レール部31と前後方向に延びる水平面Xの交差によって形成される内角βは、0°より大きく15°以下であることが好ましく、0°より大きく10°以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態では、第1レール部31の傾斜に対応して第1壁191も第1レール部31と平行となるように傾斜させているが、第1壁191は第1レール部31と非平行であってもよい(図示せず)。
<第3実施形態>
第3実施形態では、仕切壁19の構成を第1実施形態から変更している。
本実施形態では、図13(a)及び図13(b)に示すように、仕切壁19は、レール状に形成されている。換言すると、本実施形態の仕切壁19は、その中央部に前後方向に延びる開口部194を有する。
本実施形態では、開口部194の幅は、重り4の幅よりも長く、支持体6(第1及び第2軸部61,62)の幅よりも短く形成されている。そのため、図13(a)に示すように、第2レール部32に乗った重り4の上面より第2壁192の高さを低くすることができる(第1壁191についても同様)。本実施形態でも、第1実施形態と同様、仕切壁19によって重り4が重り移動空間2から抜け出すことを防止できる。
<第4実施形態>
第4実施形態では、係止部5の構成を第1実施形態から変更している。
第1実施形態では、係止部5として第3レール部51を用いており、第3レール部51は、第1及び第2レール部31,32と同様、重り移動空間2の一対の内側面18の上下方向における中途部から突出した長状の突部である。他方、本実施形態では、図14(a)及び図14(b)に示すように、第3レール部51は、重り移動空間2の一対の内側面18から突出しておらず、第3レール部51と一対の内側面18との間には空隙Sが形成されている。即ち、本実施形態では、第3レール部51は、第1レール部31の前端部と第2レール部32の後端部に架設され、且つ、ボディ1の内側面18と非接触な板状部材である。
第3レール部51のレール幅は特に限定されないが、あまりに短いと第3レール部51の機械的強度が低下する虞がある。これを考慮すると、第3レール部51のレール幅は、第1レール部31又は第2レール部32のレール幅の1/2以上が好ましく、2/3以上がより好ましい。
本実施形態のように第3レール部51がこのように重り移動空間2の一対の内側面18から突出していなくても、第1実施形態と同様に、重り4を第2レール部32に保つことが可能である(図8参照)。
なお、特に図示しないが、第1及び第2レール部31,32も、本実施形態の第3レール部51と同様、重り移動空間2の一対の内側面18から突出しないように構成することも可能である。この場合、第1レール部31は、重り移動空間2の後端部(ボディ1の内側における後端部)から第3レール部51の後端部にかけて延出した板状部材であり、第2レール部32は、第1レール部31の前端部から重り移動空間2の前端部(補強部材11)にかけて延出した板状部材である。
<第5実施形態>
第5実施形態では、係止部5の構成を第1実施形態から変更している。
第1実施形態では、係止部5として第3レール部51を用いているが、本実施形態では、図15(a)及び図15(b)に示すように、係止部5として第1レール部31の前端部及び第2レール部32の後端部に架設された1枚の壁部52を用いている。本実施形態では、壁部52の幅は、重り移動空間2の幅と等しく、壁部52の側端部はボディ1の一対の内側面18と連接している。もっとも、壁部52の幅は、重り移動空間2の幅よりも小さくてもよい。この場合、特に図示しないが、壁部52と重り移動空間2の一対の内側面18との間には、第4実施形態で示したような空隙が形成される。
本実施形態において、係止部5(壁部52)の傾斜角度γ(壁部52と前後方向に延びる水平面Xの交差によって形成される内角)は特に限定されないが、通常、10〜90°であり、好ましくは10〜80°であり、より好ましくは20°〜60°である。
第1実施形態では、重り4に設けられた支持体6である第2軸部62が係止部5(第3レール部51)に当たることにより、係止部5よりも後側へ重り4が移動することが抑制されるが、本実施形態では、係止部5として壁部52を用いているため、図15(b)に示すように、重り4の後端部が係止部5である壁部52に当たることで重り4の後側への移動が抑制される。
壁部52の形成材料は特に限定されないが、ボディ1又はレール3と同じ形成材料であることが好ましい。また、壁部52の厚みは特に限定されないが、機械的強度を担保するため、0.5mm〜2mmであることが好ましく、1mm〜2mmであることがより好ましい。
<第6実施形態>
第4実施形態では、重り4の構成を第1実施形態から変更している。
第1実施形態では、重り4の側面が前後方向と平行な平面とされているが、本実施形態では、重り4の側面は前後方向と非平行な部分を有する。
具体的には、図16に示すように、重り4に設けられた第1軸部61と第2軸部62の間に位置する一対の第1側面43は、内側に窪んだ曲面とされており、第1軸部61よりも前側に位置する一対の第2側面44は、後側から前側へ向かって互いに近接する傾斜面とされており、第2軸部62よりも後側に位置する一対の第3側面45は、前側から後側へ向かって互いに近接する傾斜面とされている。即ち、本実施形態では、重り4の側面全体が、前後方向と非平行とされている。
第1実施形態では、重り4の側面が前後方向と平行である。そのため、ルアー10が右側に傾いた際、図17(a)に示すように、重り4の側面とレール3が接触する(左側に傾いた場合も同様である)。他方、本実施形態のように、重り4の側面が前後方向と非平行な部分を有すると、ルアー10の傾きにより重り4が右側又は左側に寄った際、第1実施形態に比して重り4とレール3の接触面積を著しく減らすことができる(図17(b)参照)。従って、第1実施形態に比して、よりスムーズに重り4を前後方向に移動させることができる。
<第7実施形態>
第7実施形態では、重り4の構成を第1実施形態から変更している。
第1実施形態では、重り4の側面から左右方向外側に支持体6が突設されているが、本実施形態では、図18(a)及び図18(b)に示すように、重り4の上面から左右方向外側に支持体6(第1軸部61及び第2軸部62)が突設されている。
本実施形態では、支持体6が重り4の上面から左右方向外側に突設されているため、重り4がレール3に乗った際、重り4の位置を第1実施形態よりもさらに下側に位置させることができる。従って、ルアー10の重心がより下側に位置し易くなり、ルアー10をより安定的に遊泳させることができる。
<第8実施形態>
第8実施形態では、第2レール部32の構成を第1実施形態から変更している。
本実施形態では、第2レール部32の前後方向における中途部に、重り4に設けられた第1軸部61を係止する係止部(以下、第1レール部31と第2レール部32との間に設けられた係止部5と区別するため、第2レール部32の前側に設けられた係止部を第2係止部8と称する)が設けられている。
第2係止部8は、図19(a)に示すように、第1軸部61が嵌入可能なスリット部81であってもよく、図19(b)に示すように、第1軸部61が嵌入可能な段差部82であってもよい。
第2係止部8を設けることにより、着水後に第1レール部31から第2レール部32に移動した重り4をより強固に第2レール部32に保持することができる。そのため、水中でルアー10を上下左右に激しくアクションさせても、重り4が第1レール部31から第2レール部32へより移動し難い。
なお、スリット部81及び段差部82の奥行きは、第1軸部61が嵌入可能であることを条件に特に限定されないが、好ましくは第1軸部61の直径の1.1〜2.0倍であり、より好ましくは1.1〜1.5倍である。
<第9実施形態>
第9実施形態では、重り4の構成を第1実施形態から変更している。
第1実施形態では、第1及び第2軸部61,62(支持体6)は、回転不能に構成されていたが、本実施形態では、第1及び第2軸部61,62が回転可能に構成されている。
具体的には、図20(a)及び図20(b)に示すように、重り4の第1軸孔41には、第1軸孔41の内径と略同じ外径を有する筒状部材9が嵌入されている。本実施形態では、筒状部材9は、第1軸孔41よりも長い幅長さを有し、且つ、その両端部が第1軸孔41から左右方向外側へ突出した1本の筒である。この筒状部材9には、筒状部材9の内径よりも小さな直径を有する第1軸部61が挿入されている。従って、第1軸部61は回転可能である。同様に、第2軸孔42にも、筒状部材9と第2軸部62が挿入されており、第2軸部62は回転可能である。筒状部材9の内面には、第1軸部61及び第2軸部62を回転し易くするため、潤滑剤を塗布してもよい。
筒状部材9の幅長さは、図20(a)及び図20(b)に示すように第1及び第2軸孔41,42の幅長さよりも長くてもよいが、第1及び第2軸孔41,42の幅長さと略同じ又は短くすることも可能である。第1及び第2軸孔41,42の幅長さよりも十分に短い筒状部材9としては、例えば、図21(a)及び図21(b)に示すようなグロメット状の筒状部材9を用いることが考えられる。
具体的には、グロメット状の筒状部材9は、第1及び第2軸孔41,42の幅長さよりも十分に短い筒部91と、筒部91の端部から延設されたフランジ部92と、を有する。フランジ部92は、重り4の側面に当接することにより、筒部91がそれ以上第1及び第2軸孔41,42の内側に入り込まないように抑制する部分である。図21(b)に示すように、グロメット状の筒状部材9は、第1軸孔41の右端部及び第1軸孔41の左端部にそれぞれ1つずつ嵌入されている。この2つの筒状部材9の内径は、第1軸部61の直径よりも大きいため、第1軸孔41に挿入された第1軸部61は回転可能である。第2軸部62についても同様である。
本実施形態のように、支持体6を回転可能とすれば、水中からルアー10を引き上げた際に重り4が重り移動空間2の後側(第1レール部31)に移動し易くなる。つまり、水中からルアー10を引き上げた際、ルアー10は直立姿勢(図1に示すルアー10の前端部が上側に向き、且つ、その後端部が下側に向いた姿勢)をとり、その結果、前側(第2レール部32の上)に位置していた重り4が下側に落下し、第1レール部31の上へ移動する。従って、再びルアー10をキャスティングする前に、確実に重り4を重り移動空間2の後側へ位置させることができる。
なお、本発明のルアー10は、第1乃至第9実施形態で示した具体的な構成に限定されず、本発明の意図する範囲内で、各実施形態の構成を組み合わせるなど、適宜設計変更することができる。
例えば、第2実施形態の重り4を、第7実施形態又は第8実施形態の重り4に変更してもよく、第3実施形態のレール3(第1レール部31)を第2実施形態のように傾斜させてもよい。
10 ルアー
1 ボディ
2 重り移動空間
3 レール
31 第1レール部
32 第2レール部
4 重り
5 係止部
51 第3レール部
52 壁部
6 支持体
61 第1軸部
62 第2軸部

Claims (2)

  1. ボディと、
    前記ボディの内部において、前後方向に延設された重り移動空間と、
    前記重り移動空間に設けられた、前後方向に延びる一対のレールと、
    前記重り移動空間に収納された重りと、
    前記重りから左右方向に突設された支持体と、を有し、
    前記重りが、前記一対のレール上を前記支持体を介して前後方向に移動可能であり、
    前記支持体が、前記重りの前側において左右方向に突設された第1軸部と、前記重りの後側において左右方向に突設された第2軸部と、を有し、
    前記一対のレールが、前記重り移動空間の後側に位置する第1レール部と、前記重り移動空間の前側に位置し且つその後端部が前記第1レール部の前端部よりも下側に位置する第2レール部と、を有し、
    前記第1レール部と前記第2レール部との間に、前記重りを係止可能な係止部が設けられている、ことを特徴とするルアー。
  2. 前記係止部が、前記第2レール部と前記第1レール部の間に位置し、前記第1レール部の前端部から下側へ延びる第3レール部である、請求項1に記載のルアー。
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