JP4754722B2 - ルアー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は魚釣りに用いるルアー、特に、長手方向に錘が移動し重心を変化させることが可能な重心移動ルアーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のルアーには錘が長手方向に移動して重心位置を変化させることが可能なルアーがある。この種のルアーは、外形を魚に似せて形成され中空部を有するルアー本体と、ルアー本体の腹部付近に前記中空部の一部を区分けして形成された錘収納部と、ルアー本体の頭部付近に設けられ釣糸を係止可能な釣糸係止部と、ルアー本体の尾部付近及び腹部付近に連結されたフック(釣針)とを有している。そして、錘収納部には錘が収納されている。
【0003】
この種のルアーでは、釣糸係止部に釣糸を係止した状態で水中にキャスティングされる。キャスティング後はルアー本体腹部付近の錘収納部に配置された錘が腹部付近にルアーの重心位置を定めて安定した泳動姿勢をとり得る。釣人がリトリーブすると、ルアーは水中を安定した状態で泳動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこのような重心移動型ルアーは、錘をルアー本体内部に収納するので、内部が中空のルアー本体を有するタイプのルアーにしか適応されてこなかった。しかし、中実のルアー本体を有するルアーであっても、状況に応じて重心を移動させて用いる方が便利であることには相違ない。
【0005】
また、重心位置はなるべく下方に存在する方がルアーの水中での泳動姿勢は安定するが、従来のルアーのようにルアー本体内に錘を配置するタイプでは、その重心位置にも限界がある。
【0006】
本発明の課題は、中実のルアー本体においても重心移動を可能とし、安定した泳動姿勢を採り得るルアーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1にかかるルアーは、魚釣りに用いるルアーであって、ルアー本体と、ルアー本体の腹部に連結された第1釣針と、ルアー本体の尾部に連結された第2釣針と、第1釣針と第2釣針との間であってルアー本体の下表面にルアー本体の長手方向に伸びつつ尾部側ほど上側に傾いて設けられたレール部と、レール部に案内されレール部上を長手方向に移動自在な錘部とを備えている。また、レール部はルアー本体の下表面より一定の距離を隔てつつルアー本体の下表面に沿って長手方向に張られた線材であり、錘部は貫通孔を有しこの貫通孔に線材が挿通している。
【0008】
このルアーでは、錘部がルアー本体の下表面に設けられるレール部上を移動するものであり、中実のルアー本体であってもこのレール部を別途取り付けることで錘部を配置可能である。また、このルアーでは、錘部を挿通する線材がルアー本体の下表面に長手方向に張られており、この線材上を錘部が長手方向に移動する。従って、錘部がルアー本体外に存在し重心位置をより低い位置に設定している。
【0009】
使用時には、ルアー本体の頭部に釣糸を係止して水中にキャスティングされる。このキャスティングの際にはルアー本体の尾部側を飛翔方向として飛翔し、錘部がその勢いによって飛翔方向(尾部側:後側)に向かってレール部上を移動し、ルアー本体の重心位置を尾部側に移動させて、ルアー本体の飛翔姿勢を安定させる。一方、着水後においては、錘部はレール部の傾きによりレール部上を頭部側(前側)に移動し、重心を頭部側に移動させて泳動姿勢を安定させる。
【0010】
なお、錘部が外部に露出する結果、釣り人が必要に応じてその場で錘部を削作したり切り取ったりすることによって、錘部の重さを調整することも可能である。
【0011】
発明2にかかるルアーは、発明1のルアーであって、レール部の前側端部に錘部を保持するための保持部材をさらに備えている。
【0012】
このルアーでは、着水後に錘部がレール部の前側に移動した際に保持部材がその錘部を保持してレール部上を長手方向後方に移動するのを抑える。これにより、ルアーの泳動中には不用意に錘部が移動することなく、安定した状態でルアーが泳動する。
【0013】
発明3にかかるルアーは、発明1または2のルアーであって、ルアー本体は下表面に長手方向に伸びて凹入している窪み部を有し、レール部は窪み部内おいてルアー本体の下表面より一定の距離を隔てつつ配置されている。
【0014】
このルアーでは、レール部が窪み部内に収納されており、ルアーの泳動中にレール部上の錘部が流水を直接受けることが少なくなる。これにより、泳動中の不用意な錘部の長手方向後方への移動や、不要な流水抵抗の増大を防止し得る。
【0015】
発明4にかかるルアーは、発明1〜3の何れかのルアーであって、錘部は金属粉を混入したゴム樹脂からなる。
【0016】
このルアーでは、錘部が金属粉を混入したゴム樹脂からなり、錘部とレール部との不要な接触音や、複数の錘部を設けた場合の錘部同士の衝突音を防止できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本発明の第1実施形態を採用したルアーは、図1に示すように、外形を魚に似せて形成した中実のルアー本体1を有する。このルアー本体1は、左右一対の半割部材を貼り合わせて形成されたり、いわゆる射出成形によって形成される合成樹脂製部材であり、例えば、ABS樹脂やポリウレタン等の発泡樹脂等からなる。もっとも、ルアー本体1を金属製とすることも当然可能である。そして、表面には魚の外形に似せて鱗模様や目など様々な模様が塗装される。
【0019】
このルアー本体1には、頭部側端部に設けられた釣糸を係止するための釣糸係止部2と、頭部下面に斜め下方に向けて突出したリップ部3と、腹部及び尾部付近にそれぞれ設けられた釣針を連結するためのアイ4,5とを有する。釣針係止部2,アイ4,5は、例えば、ルアー本体1にねじ込み等によって挿入され固定される。そして、アイ4,5にはそれぞれスプリットリング6,7を介して、釣針8,9が連結される。
【0020】
このルアー本体1の下面側の腹部付近、詳しくは、アイ4とアイ5との間の表面には、ルアー本体1の下表面から一定の距離を隔てつつルアー本体1の外形線に沿って尾部側ほど上方に傾いて長手方向に伸びる金属線10が張られている。金属線10の両端は折り曲げられルアー本体1に挿入され固定されている。この金属線10の頭部側部分は下方に一度折り曲げられたフック部10aとなっており、後述の錘部11がこの部分にはまって保持されるようになっている。
【0021】
金属線10には錘部11が長手方向に移動自在に配置される。具体的には、錘部11には貫通孔が設けられており、この貫通孔を金属線10が挿通した状態で、錘部11は金属線10上に配置されている。この錘部11は鉛やタングステン等の金属粉末をゴム樹脂に混入して形成したものである。この錘部11は金属粉の混入によってその比重が8〜17程度に高められている。なお、この実施形態では、錘部11は一つのみ用いているが、必要に応じて複数の錘部11を用いることも可能である。
【0022】
このように構成されたルアーは、釣糸係止部2に釣糸を係止して水中にキャスティングされる。このキャスティングの際にはルアー本体の尾部側を飛翔方向として飛翔し、その勢いにより錘部11が尾部側に向かって金属線10上を移動し、ルアー本体1の重心位置を尾部側に移動させて、ルアー本体1の飛翔姿勢を安定させる。これによりより遠くの狙ったポイントにルアーを投げ入れ易くなる。
【0023】
一方、着水後においては、錘部11は金属線10の傾きにより頭部側に移動してフック部10a内に収まる。そして、重心位置を頭部側に移動させて泳動姿勢を安定させる。特に、図2に示すように、上下方向の重心位置がルアー本体1よりももっと下方に存在することになり、ルアー本体1の左右の揺れに対しても重心位置を十分に安定させる。
【0024】
なお、この状態では泳動中に流水等によって錘部11が振動することも考えられるが、フック部10a内に収まっている錘部11は不用意に尾部側に移動してしまうこともない。また、金属線10やルアー本体1自体と錘部11が接触することも考えられるが、錘部11は金属粉を混入した合成樹脂からなり、不要な衝突音を発生しにくく、魚に不要な警戒心を与えない。また、ルアー自体を傷付けてしまうことも抑えられる。
【0025】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図3に示すように、本発明の第2実施形態を採用したルアーは、第1実施形態と同様に、左右半割の一対の部材からなる中実のルアー本体21を有し、釣糸係止部22、リップ部23、アイ24,25とを有している。
【0027】
このルアー本体21の腹部付近は長手方向中央付近から尾部にかけて凹入する窪み部21aが形成されている(図4参照)。この窪み部21aはおよそ後述の錘部11がその一部を露出させつつ収納可能な程度の空間とするのが好ましい。また、この窪み部21aはルアー本体21に即して形成されており、尾部側ほど上方に傾いた状態となる。また、この窪み部21aの前側のルアー本体1下表面には下方側に張り出して設けられる水よけ13が形成されている。
【0028】
この窪み部21a内には、長手方向に伸びる金属線10が張られており、その両端は折り曲げられルアー本体1に挿入され固定されている。また、窪み部21aの頭部側(前側)端部には磁石12が埋め込まれて固定されている。
【0029】
この金属線10には、第1実施形態と同様に、錘部11が長手方向に移動自在に配置される。錘部11はおよその部分が窪み部21a内に収納されるような状態である。本実施形態においては錘部11の形状を球状体としたがこれに限定されるものではなく、任意の形状を採用可能である。
【0030】
このように構成されたルアーは、第1実施形態と同様に、キャスティング時には錘部11が窪み部21a内の金属線10を尾部側に移動し、重心位置を尾部側に移動させる。そして、着水後には、錘部11は頭部側に移動し、窪み部21aの頭部側に埋め込まれている磁石12によって保持され、重心位置を頭部側に移動させて泳動姿勢を安定させる。
【0031】
また、水よけ13を窪み部21aの前方に設けることで、錘部11が流水により不当に移動してしまうことも十分に防止できる。
【0032】
[他の実施形態]
(a)上記実施形態においては、ルアー本体が中実の場合を例示しているが、中空のルアー本体を有するルアーにおいても、同様の構造を採用することも可能である。
(b)レール部と錘部とに関しては、上記実施形態の他にも様々な構成が考えられる。例えば、図5に示すように、窪み部21aの出口側付近に軸方向に伸びる一対の金属線14を配置し、この金属線14によって錘部11を支えて長手方向に滑動可能としてもよい。また、図6に示すように、窪み部21aの出口側付近に軸方向に伸びる金属線15を配置し、この金属線15に沿ったレール溝を有する錘部11を用意し、金属線15上を滑動させてもよい。
(c)錘部11について、上記実施形態では合成樹脂に金属粉末を混入した物を用いているが、普通の金属、例えば、鉛,鉄,タングステン等またはこれらの合金を用いることも可能である。
(d)さらに、図7に示すように、ルアー本体1の下側面に左右に一対の金属線を張って、錘部をそれぞれに配置した2本線タイプのものとしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係るルアーは、キャスティング時と水中での泳動時においてそれぞれ重心位置を移動させることができると共に、安定した泳動姿勢を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を採用したルアーを示した図。
【図2】 図1のII−II断面図。
【図3】 本発明の第2実施形態を採用したルアーを示した図。
【図4】 図3のIV−IV断面図。
【図5】 本発明の他の実施形態を採用したルアーの図4に相当する図。
【図6】 本発明の他の実施形態を採用したルアーの図4に相当する図。
【図7】 本発明の他の実施形態を採用したルアーの図4に相当する図。
【符号の説明】
1,21 ルアー本体
10 金属線
11 錘部
21a 窪み部
Claims (4)
- 魚釣りに用いるルアーであって、
ルアー本体と、
前記ルアー本体の腹部に連結された第1釣針と、
前記ルアー本体の尾部に連結された第2釣針と、
前記第1釣針と前記第2釣針との間であって前記ルアー本体の下表面に前記ルアー本体の長手方向に伸び尾部側ほど上方に傾いて設けられたレール部と、
前記レール部に案内され前記レール部上を長手方向に移動自在な錘部と、
を備え、
前記レール部は前記ルアー本体の下表面より一定の距離を隔てつつ前記ルアー本体の下表面に沿って長手方向に張られた線材であり、
前記錘部は貫通孔を有し前記貫通孔に前記線材が挿通している、
ルアー。 - 前記レール部の前側端付近に前記錘部を保持するための保持部材をさらに備えた、請求項1に記載のルアー。
- 前記ルアー本体は下表面に長手方向に伸びて凹入している窪み部を有し、前記レール部は前記窪み部内において前記ルアー本体の下表面より一定の距離を隔てつつ配置されている、請求項1または2に記載のルアー。
- 前記錘部は金属粉を混入したゴム樹脂からなる、請求項1〜3の何れかに記載のルアー。
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