JP6743701B2 - ポジ型感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、硬化物、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品 - Google Patents
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Description
しかし、従来のナフトキノンジアジド化合物を用いるポジ型感光性樹脂組成物により厚膜を形成すると、感光波長における透過率が低くなり、感度が悪化し、現像時間が長くなるという課題があった。一方、感度が高い樹脂組成物では、現像時間は短いが、未露光部も現像されてしまうという課題があった。
<1>(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)i線露光によって酸を発生するオニウム塩、(c)溶剤及び(d)架橋剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、前記(c)溶剤を除いたポジ型感光性樹脂組成物の合計質量に対して、(a)、(b)及び(d)成分の合計が88質量%以上であるポジ型感光性樹脂組成物。
<2>(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)i線露光によって酸を発生するオニウム塩、及び(c)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(a)成分100質量部に対して、ナフトキノンジアジド化合物又は酸反応性保護基含有化合物を0〜100ppm含有するポジ型感光性樹脂組成物。
<3>さらに、(d)架橋剤を含有する2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<4>前記(a)成分が、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ノボラック樹脂又はポリヒドロキシスチレンを含有する1〜3のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<5>前記(b)成分が、i線露光前はアルカリ水溶液に対する前記(a)成分の溶解を阻害し、i線露光後はアルカリ水溶液に対する前記(a)成分の溶解を阻害しない化合物である1〜4のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<6>前記(b)成分が、下記一般式(b−1)で表される化合物である1〜5のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<7>前記(b)成分が、下記式(b―2)で表される化合物である1〜6のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<8>層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜の形成に用いられる1〜7のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<9>UBMフリー構造を有する半導体装置の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜の形成に用いられる1〜7のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<10>1〜9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥し、感光性樹脂膜を形成する工程と、
得られた感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、
露光した樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像して、パターン樹脂膜を得る工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、
を含むパターン硬化膜の製造方法。
<11>前記加熱処理の温度が250℃以下である10に記載のパターン硬化膜の製造方法。
<12>1〜9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物。
<13>12に記載の硬化物を用いた層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜。
<14>13に記載の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜を有する電子部品。
本明細書において、「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
第1及び第2のポジ型感光性樹脂組成物を総括して「本発明のポジ型感光性樹脂組成物(樹脂組成物)」という場合がある。
本発明の第1のポジ型感光性樹脂組成物の第1の態様は、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)i線露光によって酸を発生するオニウム塩、(c)溶剤及び(d)架橋剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、前記(c)溶剤を除いたポジ型感光性樹脂組成物の合計質量に対して、(a)、(b)、及び(d)成分の合計が88質量%以上である。上記(a)、(b)、及び(d)成分の合計は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましく、100質量%でもよい。
また、本発明の第1のポジ型感光性樹脂組成物の第2の態様は、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)i線露光によって酸を発生するオニウム塩、(c)溶剤及び(d)架橋剤を含有し、(a)成分100質量部に対して、ナフトキノンジアジド化合物が0以上100ppm未満である。第2の態様は、前記(c)溶剤を除いたポジ型感光性樹脂組成物の合計質量に対して、(a)、(b)、及び(d)成分の合計が88質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上がさらに好ましく、100質量%でもよい。
それぞれ単に(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分と記す場合がある。第1の態様及び第2の態様を総括して、本発明の第1のポジ型感光性樹脂組成物という。以下、各成分について説明する。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に制限はないが、電気絶縁性が高いものが好ましい。例えば、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリヒドロキシスチレン、ノボラック樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。
アルカリ水溶液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等の有機アンモニウム水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液などが挙げられる。一般には、濃度が2.38重量%のTMAH水溶液を用いることが好ましい。よって、(a)成分はTMAH水溶液に対して可溶であることが好ましい。
R3〜R10の1価の有機基としては、メチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。良好なi線透過率及び低応力の観点から、2つ以上がメチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
aは1〜5の整数が好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって測定することができ、標準ポリスチレン検量線を用いて換算することによって求めることができる。
(b)成分は、i線感度を有するオニウム塩であれば特に制限なく用いることができるが、ヨードニウム構造又はスルホニウム構造を有する化合物であることが好ましい。高コントラスト化の観点から、ヨードニウム構造を有する化合物がより好ましい。
(b)成分は、例えば、樹脂組成物を基板上に塗布し、形成した樹脂膜に光を照射した場合に、光に反応して、露光部と未露光部の現像液に対する溶解性に差異を付与する機能を有するものである。
(b)成分は、(a)成分と相溶性の高いものであることが好ましい。
(c)成分としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン等が挙げられる。通常、感光性樹脂組成物中の他の成分を充分に溶解できるものであれば特に制限はない。
この中でも、各成分の溶解性と樹脂膜形成時の塗布性に優れる観点から、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。
(d)成分は、樹脂組成物を塗布、露光及び現像後にパターン樹脂膜を加熱処理する工程において、アルカリ可溶性樹脂と反応(架橋反応)する、又は、架橋剤自身が重合することができる。これにより、樹脂組成物を比較的低い温度、例えば250℃以下で硬化した場合も、良好な機械特性、薬品耐性及びフラックス耐性を付与させることができる。
これらの基がベンゼン環に結合している化合物、N位がメチロール基若しくはアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂又は尿素樹脂が好ましい。また、これらの基がフェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合している化合物は、現像する際に露光部の溶解速度が増加して感度が向上させることが出来る点でより好ましい。
ナフトキノンジアジド化合物が上記範囲内であることにより、本発明の第1の樹脂組成物は、塗布後膜厚20μm以上の厚膜においても、良好な感光特性を保つことができる。
上記ポリヒドロキシ化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。また、必ずしもここに挙げられたものに限定されない。
上記範囲であることにより、PEB(Post Exposure Bake)工程が必須の化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物に比べ、低コストで厚膜のパターンを形成することができる。
本発明の第2のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)i線露光によって酸を発生するオニウム塩、及び(c)溶剤を含有し、(a)成分100質量部に対して、ナフトキノンジアジド化合物又は酸反応性保護基含有化合物を0〜100ppm含有する。
(a)〜(c)成分は第1のポジ型感光性樹脂組成物と同様である。第2のポジ型感光性樹脂組成物は、(d)架橋剤を含有してもよいし含有しなくてもよい。(d)成分は第1のポジ型感光性樹脂組成物と同様である。
ナフトキノンジアジド化合物が上記範囲内であることにより、第2の樹脂組成物は、塗布後の膜厚が20μm以上のような厚膜であっても、良好な感光特性を保つことができる。
上記範囲であることにより、PEB(Post Exposure Bake)工程が必須の化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物に比べ、低コストで厚膜のパターン硬化膜を形成することができる。
本発明の製造方法では、上述の樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥し、感光性樹脂膜を形成する工程と、得られた感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、露光した樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像して、パターン樹脂膜を得る工程と、パターン樹脂膜を加熱処理する工程とを含むことで、パターン硬化膜を製造することができる。
基板としては、ガラス、半導体、TiO2、SiO2等の金属酸化物絶縁体、窒化ケイ素、銅、銅合金などが挙げられる。
塗布は、特に制限はないが、スピナー等を用いて行うことができる。
樹脂膜の膜厚は、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。
露光工程では、マスクを介して所定のパターンに露光することができる。照射する活性光線は、i線を含む紫外線、可視光線、放射線等が挙げられるが、i線であることが好ましい。露光装置としては、平行露光機、投影露光機、ステッパ、スキャナ露光機等を用いることができる。
現像処理することで、パターン形成された樹脂膜(パターン樹脂膜)を得ることができる。一般的に、ポジ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、露光部を現像液で除去する。
現像液として用いるアルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
アルカリ水溶液の濃度は、0.1〜10質量%が好ましい。
現像時間は、用いるポリマーの種類によっても異なるが、10秒間〜15分間であることが好ましく、10秒間〜5分間であることがより好ましく、生産性の観点からは、30秒間〜4分間であることがさらに好ましい。
パターン樹脂膜を加熱処理することにより、(a)成分の官能基同士、又は、(a)成分と(d)成分間等に架橋構造を形成し、パターン硬化膜を得ることができる。(a)成分がポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含む場合、各前駆体が脱水閉環反応を起こし、対応するポリマーとすることができる。
上記範囲内であることにより、基板やデバイスへのダメージを小さく抑えることができ、デバイスを歩留り良く生産することが可能となり、プロセスの省エネルギー化を実現することができる。
上記範囲内であることにより、架橋反応又は脱水閉環反応を充分に進行することができる。
また、加熱処理の雰囲気は大気中であっても、窒素等の不活性雰囲気中であってもよいが、パターン樹脂膜の酸化を防ぐことができる観点から、窒素雰囲気下が好ましい。
これらを用いることにより、基板やデバイスの温度を、例えば220℃以下に保ったままで、パターン樹脂膜のみを効果的に加熱することができる(例えば、特許第2587148号公報参照)。マイクロ波を用いて硬化を行う場合、周波数を変化させながらマイクロ波をパルス状に照射すると、定在波を防ぐことができ、基板面を均一に加熱することができる。
基板として電子部品のように金属配線を含む場合は、周波数を変化させながらマイクロ波をパルス状に照射すると金属からの放電等の発生を防ぐことができ、電子部品を破壊から守ることができる。
マイクロ波をパルス状に照射すると、設定した加熱温度を保持することができ、パターン樹脂膜や基板へのダメージを防ぐことができる。
本発明の硬化物は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物である。硬化物を得る方法としては、前述の加熱処理工程を採用することができる。
本発明の硬化物は、前述のパターン硬化膜であってもよい。
上記方法により製造したパターン硬化膜及び硬化物は、層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜として用いることができる。
上記層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜等を用いて、信頼性の高い、半導体装置、多層配線板、各種電子デバイス等の電子部品を製造することができる。
本発明の方法を用いて、半導体装置、特にUBM層を設けていないパッケージ構造を有する装置を製造することができる。
UBM層を設けていないパッケージ構造は、銅の再配線上に直接はんだバンプを搭載しており、バンプにかかる応力を緩和して信頼性を確保するため、最外層の樹脂組成物がバンプを補強する構造となっている。
上記パッケージでは、最外層のパターン樹脂膜がバンプを補強することで信頼性を確保するため、パターン硬化膜の厚みを、従来の膜厚(10μm以下)から厚くすることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を用い、カバーコート層160を厚膜形成することで、複雑な形成プロセスのUBM層を設けることなく、半導体装置を製造することができる。
合成例1
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド10.69g(40mmol)を10分間で滴下した後、フラスコ中の溶液を60分間攪拌した。上記溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーIとする)。ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法標準ポリスチレン換算により求めた、ポリマーIの重量平均分子量は33,100、分散度は2.0であった。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L4000 UV
ポンプ :株式会社日立製作所製L6000
株式会社島津製作所製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5×2本
溶離液 :THF/DMF=1/1(容積比)
LiBr(0.03mol/l)、H3PO4(0.06mol/l)
流速 :1.0ml/min、検出器:UV270nm
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド11.86g(40mmol)を10分間で滴下した後、室温に戻しフラスコ中の溶液を3時間攪拌した。上記溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマーIIとする)。合成例1と同様にGPC法標準ポリスチレン換算により求めた、ポリマーIIの重量平均分子量は22,400、分散度は3.2であった。
合成例1で使用したドデカン二酸ジクロリド10.69g(40mmol)を、ドデカン二酸ジクロリド7.48g(28mmol)及び4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド3.56g(12mmol)に置き換えた以外は、合成例1と同様に合成を行い、ポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマーIIIとする)。合成例1と同様に標準ポリスチレン換算により求めた、ポリマーIIIの重量平均分子量は41,800、分散度は2.0であった。
合成例4
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン50gを仕込み、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル13.82g(18mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−オキシジフタル酸二無水物6.20g(20mmol)を10分間で滴下した後、室温に戻しフラスコ中の溶液を3時間攪拌した。上記溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリアミド酸を得た(以下、ポリマーIVとする)。合成例1と同様にGPC法標準ポリスチレン換算により求めた、ポリマーIVの重量平均分子量は39,000、分散度は4.5であった。
合成例5
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、イオン交換水150mLを仕込み、ジフェニルヨードニウムクロリド4.3g(14mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。また、別途、攪拌機、温度計を備えた1.0リットルのフラスコ中に、イオン交換水300mLを仕込み、9,10−ジメトキシアントラセンスルホン酸ナトリウム4.7g(14mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。続いて、ジフェニルヨードニウムクロリド水溶液を9,10−ジメトキシアントラセンスルホン酸ナトリウム水溶液に注ぎ、室温に戻るまで3時間撹拌した。析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧して乾燥することで、ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート(b1)を得た。
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、イオン交換水300mLを仕込み、ジフェニルヨードニウムクロリド10.0g(32mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。また、別途、攪拌機、温度計を備えた1.0リットルのフラスコ中に、イオン交換水300mLを仕込み、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸アンモニウム10.0g(32mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。続いて、ジフェニルヨードニウムクロリド水溶液を8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸アンモニウム水溶液に注ぎ、室温に戻るまで3時間撹拌した。析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧して乾燥することで、ジフェニルヨードニウム−8−アニリノナフタレン−1−スルホナート(b2)を得た。
合成例7
100mLの3口フラスコに4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル 4.54g(17.6mmol)を入れ、30gのN−メチルピロリドンに懸濁させた。氷冷しながらクロロメチルエチルエーテルを3.74g (39.6 mmol)加え、続けてトリエチルアミンを3.55g (35.1 mmol)加えた。氷浴中で3時間攪拌した後に、析出した結晶をろ過により除いた。母液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を数滴加えて反応を停止し、酢酸エチルにて抽出した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ別後、溶剤を減圧下溜去し、乾燥することで、酸反応性保護基含有化合物(e1)を得た。
実施例1〜19及び比較例1〜13
表1〜4に示した成分及び配合量にて、実施例1〜19及び比較例1〜13の感光性樹脂組成物を調製した。表1〜4の配合量は、(a)成分である各ポリマー100質量部に対する、(b)〜(d)成分、(b’−1)及び(e1)の質量部である。
尚、用いた各成分は以下の通りである。
ポリマーI:合成例1で得られたポリマーI
ポリマーII:合成例2で得られたポリマーII
ポリマーIII:合成例3で得られたポリマーIII
ポリマーIV:合成例4で得られたポリマーIV
ポリマーV:クレゾールノボラックEP4020G(旭有機材工業株式会社製)
(b1):合成例5で得られたジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート
(b2):合成例6で得られたジフェニルヨードニウム−8−アニリノナフタレン−1−スルホナート
BLO:γ−ブチロラクトン
NMP:N−メチルピロリドン
EL:乳酸エチル
(b’−1):2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを1:3のモル比で反応させた化合物
実施例1〜19及び比較例1〜13の感光性樹脂組成物を、それぞれシリコン基板上にスピンコートし、120℃で3分間乾燥して、乾燥後膜厚が10又は25μmの樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜に、干渉フィルターを介して、超高圧水銀灯、プロキシミティ露光装置UX−1000SM−XJ01(ウシオ電機株式会社製)を用いて露光を行い、400mJ/cm2のi線を所定のパターンに照射した。
露光後、TMAHの2.38質量%水溶液にて、23℃で、露光部のシリコン基板が露出するまで現像(各例において要した現像時間をそれぞれの現像時間とする)した後、水でリンスして、パターン樹脂膜を得た。
露光部溶解速度(nm/s)=乾燥後膜厚/現像時間
未露光部溶解速度(nm/s)=(乾燥後膜厚−現像後の未露光部膜厚)/現像時間
溶解コントラスト=露光部溶解速度/未露光部溶解速度
結果を表1〜4に示す。
表5に示した成分及び配合量にて、実施例20〜28及び比較例14〜15の感光性樹脂組成物を調製した。表5の配合量は、表1〜4と同様である。
乾燥後膜厚を10〜30μmとし、露光量を800mJ/cm2とし、現像時間を150秒間とした以外、実施例1〜19及び比較例1〜13と同様にパターン樹脂膜を形成した。
実施例29〜44及び比較例16〜28
表6〜8に示した成分及び配合量にて、実施例29〜44及び比較例16〜28の感光性樹脂組成物を調製した。表6〜8の配合量は、(a)成分である各ポリマー100質量部に対する、(b)〜(d)成分、及び(b’)成分の質量部である。
(b’)成分は以下の通りである。
(b’1):合成例7で得られた酸反応性保護基含有化合物(実施例1〜28、比較例1〜15における(e1))
(b’2):下記構造式で示される化合物(ダイトーケミックス株式会社製TPPA528(商品名)、ナフトキノンジアジド化合物)
実施例1〜19及び比較例1〜13と同様にして溶解速度及び溶解コントラストを評価した。実施例29〜44及び比較例16〜28においては、以下の評価基準を用いた。
露光部溶解速度が150nm/s以上の場合をA、50以上150nm/sの場合をB、50nm/sより遅い場合をCとした。
未露光部溶解速度が30nm/s以下の場合をA、30以上100nm/sの場合をB、100nm/sより速い場合をCとした。
溶解コントラストが6以上をA、4以上6より小さい場合をB、2以上4より小さい場合をC、2より小さい場合をDとした。
結果を表6,7に示す。
表8に示した成分及び配合量にて、実施例45〜49及び比較例29,30の感光性樹脂組成物を調製した。
実施例20〜28、比較例14、15と同様にしてパターン形成性を評価した。結果を表8に示す。
この明細書に記載の文献及び本願のパリ優先の基礎となる日本出願明細書の内容を全てここに援用する。
Claims (10)
- 前記(b)成分が、i線露光前はアルカリ水溶液に対する前記(a)成分の溶解を阻害し、i線露光後はアルカリ水溶液に対する前記(a)成分の溶解を阻害しない化合物である請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜の形成に用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- UBMフリー構造を有する半導体装置の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜の形成に用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥し、感光性樹脂膜を形成する工程と、
得られた感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、
露光した樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像して、パターン樹脂膜を得る工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、
を含むパターン硬化膜の製造方法。 - 前記加熱処理の温度が250℃以下である請求項6に記載のパターン硬化膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物。
- 請求項8に記載の硬化物を用いた層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜。
- 請求項9に記載の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜を有する電子部品。
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