以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1実施例の車両自動運転装置1の全体構成]
図1〜図4は、この発明に係る車両自動運転装置1を車両の運転席2に搭載した状態で示している。図5,図6は、車両から取り外した状態で車両自動運転装置1の全体を示している。この車両自動運転装置1は、図示しないシャシダイナモメータ上で車両の走行試験を行う際に用いられるもので、車両外部に配置される制御装置からの信号によりアクセルペダル等のペダル操作と変速機のシフトレバー操作を行う。
ここで、本実施例の車両自動運転装置1は、後述するように、クラッチペダルを有する手動変速機型の車両であってもクラッチペダルを具備しない自動変速機型の車両であっても使用が可能であり、さらに、運転席が車両右側にあり左手でシフトレバー操作を行ういわゆる右ハンドル車と、運転席が車両左側にあり右手でシフトレバー操作を行ういわゆる左ハンドル車と、の双方に適用が可能である。図1〜図6に示した実施例は、特に、アクセルペダル45とブレーキペダル46とクラッチペダル47とを備えた手動変速機型の車両で、かつ右ハンドル車に適用される態様とした構成例の車両自動運転装置1を示している。
運転席2は、車両の車体フロア6(図3参照)の上に、図示しない前後スライド機構や上下昇降機構を介して支持されており、運転者が座る座面を構成するシートクッション3と、運転者の背中を支持するシートバック4と、運転者の頭部を支持するヘッドレスト5と、を備えている。なお、一般にシートバック4はシートクッション3に対する傾斜角度を調整可能ないわゆるリクライニング機構を備えている。
車両自動運転装置1は、シートバック4の上端部付近から車両前方へ向けて斜め下方へ延びるフレーム11と、フレーム11前端においてシートクッション3前端に沿うように下方へ延びた一対の脚部12と、フレーム11前端から車両前方へ延びて3つのペダル45,46,47をそれぞれ操作する3つのペダルアクチュエータ41と、フレーム11の中間部においてシートクッション3ならびにシートバック4から浮き上がった状態に支持された接続ボックスユニット101と、接続ボックスユニット101の上面に搭載されたトランスミッションアクチュエータユニット131と、から概略構成されている。
ペダルアクチュエータ41としては、詳しくは、アクセルペダル45を操作するアクセルペダルアクチュエータ41Aと、ブレーキペダル46を操作するブレーキペダルアクチュエータ41Bと、クラッチペダル47を操作するクラッチペダルアクチュエータ41Cと、を含んでいる(図2、図4参照)。これら3つのペダルアクチュエータ41は、完全に同一の構成であってもよいが、本実施例では、クラッチペダル47が弧を描くように動作し、かつストローク(踏込操作量)が比較的大きいことを考慮して、クラッチペダルアクチュエータ41Cが細部において他の2つのペダルアクチュエータ41A,41Bとは異なる構成となっている。アクセルペダルアクチュエータ41Aとブレーキペダルアクチュエータ41Bは、実質的に同一の構成を有している。なお、基本的な構成は、3つのペダルアクチュエータ41に共通であるので、特に区別する必要のないときは、ペダルアクチュエータ41と総称する。
接続ボックスユニット101は、車両自動運転装置1が具備する種々のアクチュエータ類やセンサ類と車両外部の制御装置から車両内に引き込まれるケーブル(電源系統と信号系統とを含む)との接続部を構成している。さらに、この接続ボックスユニット101は、トランスミッションアクチュエータユニット131の支持台としても機能している。
トランスミッションアクチュエータユニット131は、図示例では運転席2の左手側に位置するシフトレバーを操作するものであり、シフトレバーを車両幅方向に沿って操作(いわゆるセレクト操作)するセレクト用アクチュエータ133と、シフトレバーを車両前後方向に沿って操作(いわゆるシフト操作)するシフト用アクチュエータ134と、を組み合わせた構成となっている。詳しくは、トランスミッションアクチュエータユニット131は、図示しないシフトレバー頭部の例えば略球形状をなすノブないしグリップを把持するグリップハンド168を備えており、このグリップハンド168がシフト用アクチュエータ134の動作によって前後進するとともに、シフト用アクチュエータ134全体がセレクト用アクチュエータ133の動作によって車両幅方向に沿って移動することで、セレクト操作およびシフト操作の双方を実現する。
車両の運転席2に搭載された車両自動運転装置1は、運転席2の左右両側でベルト25を介して後方斜め下方へ引っ張ることにより車両に固定される。詳しくは、運転席2を傷等から保護するために、剛性を有するシートサポート27がシートクッション3後端に配置されており、左右に細長い形状をなすリング部29の両端にベルト25が掛けられている。シートサポート27は、シートクッション3後端からシートバック4下端に亘って略L字形に延びるプレート部28を備えており、運転席2の後方(つまり車両の後席側)から運転席2の下面に沿ってプレート部28を挿入するようにして取り付けられる(図4参照)。なお、ベルト25は、図示しない汎用のベルト締付器(いわゆる荷締め器)を介して左右のそれぞれでループ状に構成されており、このベルト締付器によって締付操作がなされる。後述するように、ベルト25を介して締付・固定した状態において、脚部12の下端が車体フロア6に当接し、フレーム11の上端がシートバック4上部に当接する。
次に、車両自動運転装置1を構成する各部をより詳細に説明する。
[フレーム11・脚部12の構成]
図7〜図10は、フレーム11および脚部12の構成を示している。フレーム11は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いて中空管状に構成したものであり、メインフレーム15と、サブフレーム16と、ベルト連係ビーム17と、一対のリブ23と、を備えており、これらが各部一体に構成されている。詳しくは、いくつかの部分に区分して成形したものを互いに接合して一体化してある。
メインフレーム15は、平面視(図6のように車両上方から見た状態をいう)において略U字形をなす。つまり、メインフレーム15は、互いに平行に位置する一対の直線状をなすメインビーム15aと、これら一対のメインビーム15aの上端を互いに連結する水平方向に沿った横ビーム15bと、を有する。車両搭載状態では、横ビーム15bがシートバック4の上部に当接し、ここからメインビーム15aがシートクッション3前端へ向かって斜め下方へ直線的に延びた姿勢となる。
サブフレーム16は、平面視において同様に略U字形をなし、互いに平行に位置する一対の直線状をなすサブビーム16aと、これら一対のサブビーム16aの上端を互いに連結する水平方向に沿った横ビーム16bと、を有する。サブフレーム16は、メインフレーム15の上半部において該メインフレーム15から斜め上方へ延びるように形成されている。換言すれば、サブビーム16aは、メインビーム15aから斜め上方へ分岐している。サブフレーム16の横ビーム16bは、メインフレーム15の横ビーム15bの上方(詳しくは横ビーム15bよりも僅かに後方となる位置)に位置し、互いに平行をなしている。そして、これら2つの横ビーム15b,16bが、上下方向に延びる一対の柱状のリブ23によって互いに連結されている。一対のリブ23は、互いに平行に配置されている。
これらの横ビーム15b,16bおよび一対のリブ23は、車両搭載状態においてシートバック4の上端部付近に当接するシートバック当接部22を構成している。つまり、矩形の四辺に沿うように位置する横ビーム15b,16bおよび一対のリブ23によって、一つの平面が規定され、この平面の周囲の四辺がシートバック4に広く当接する。ここで、横ビーム15b,16bおよび一対のリブ23が規定する平面は、車両におけるシートバック4の基本的な傾斜角に対応するように斜めに傾斜している。
また、シートバック4は、一般に、内部の材質(ひいては硬度)が互いに異なる上部パッド部4aと下部パッド部4bとを有しているが、両者の境界となる表皮の縫い目4cに沿ってメインフレーム15の横ビーム15bが位置するように、メインフレーム15の各部の基本的な寸法が設定されている(図9参照)。シートバック4の具体的な構成は、勿論車種によって異なるが、多くの場合、上部パッド部4aと下部パッド部4bとの境界の位置は概ね一定である。縫い目4cは相対的に窪んでいるので、この縫い目4cの位置にメインフレーム15の横ビーム15bを合わせて車両に搭載することで、車両自動運転装置1の位置決めが容易になるとともに、フレーム11の姿勢が安定する。なお、車種によっては、このような縫い目4cの位置と無関係に車両自動運転装置1を搭載することも勿論可能である。
ベルト連係ビーム17は、前述した固定用のベルト25を係止するためのものであり、側面視(図3のように車両側方から見た状態をいう)において頂角が鈍角の三角形状をなすように曲がっており、メインビーム15aの中間部において下方へ張り出すようにメインビーム15aと一体に形成されている。ベルト25は、図3、図10等に示すように、ベルト連係ビーム17とメインビーム15aとの間に生じる開口部を通してベルト連係ビーム17に巻き付けられる。ベルト25が接するベルト連係ビーム17の頂角部分は、緩い湾曲形状をなすように曲げられている。
サブフレーム16のサブビーム16aおよびベルト連係ビーム17は、平面視において、メインビーム15aと上下に重なり合う(図6参照)。つまり上下方向に延びる平面上にメインビーム15aとサブビーム16aとベルト連係ビーム17の三者が配置されている。また、メインフレーム15とサブフレーム16とベルト連係ビーム17の各々は、いずれも四角形のコーナ部分を斜めに面取りしたような形の8角形の中空断面形状を有している。メインフレーム15の断面の大きさは、サブフレーム16およびベルト連係ビーム17の断面の大きさよりも大きい。つまり、メインフレーム15は、サブフレーム16およびベルト連係ビーム17よりも太い中空管状をなす。
図7、図8に示すように、一対のメインビーム15aの互いに内側となる側面には、後述するように接続ボックスユニット101をスライド可能に案内するためのガイドレール20およびガイドスリット21が設けられている。チャンネル状をなすガイドレール20は、メインビーム15aの下半部に亘って該メインビーム15aに沿って延びるように取り付けられている。ガイドスリット21は、ガイドレール20の上端付近からサブビーム16aとの接続部付近に亘って、ガイドレール20と一直線上に並ぶように形成されている。
U字の開放端側となるメインフレーム15の下端(前端)においては、中空管からなるメインビーム15aが丸く閉じた形状に成形されており、このメインビーム15aの下端部に脚部用ブラケット32を介して円筒状の脚部12がそれぞれ取り付けられている。脚部用ブラケット32は、平面視において略U字形をなすように構成された一種のクランプであり、一対のメインビーム15aのそれぞれ外側となる位置に配置されている。メインビーム15aの内側には、脚部用ブラケット32を締め付けるためのロック機構34のロックレバー35が配置されている。ロック機構34のロックピン36は、メインビーム15aを貫通して脚部用ブラケット32に係合しており、ロック機構34を締め付けることで、円筒状の脚部12が脚部用ブラケット32に対して固定されるとともに、脚部用ブラケット32がメインビーム15aに対して固定されている。換言すれば、ロック機構34を緩めた状態では、メインビーム15aに対する脚部12の角度(ロックピン36を中心とした角度)を調整可能であり、かつ、脚部用ブラケット32に対する脚部12の上下取付位置の調整が可能である。基本的には、円筒状の脚部12の上端が脚部用ブラケット32の上面から上方に僅かに突出した状態に組み立てられる。
図示した実施例では、脚部12の下端に高さ調整ネジ13を備えており、車両に搭載した状態で車体フロア6に脚部12が確実に当接するように微調整が可能である。
一対の脚部用ブラケット32は、車両幅方向に延びるペダルアクチュエータ支持用スライドレール31によって互いに連結されている。このスライドレール31は、細長い長方形の板状をなし、車両前方を向くように脚部用ブラケット32の前面に取り付けられている。換言すれば、車両幅方向に延びた板状をなすスライドレール31の両端部背面に脚部用ブラケット32がそれぞれ固定されている。スライドレール31は、十分な剛性を有するように金属材料から形成されている。略U字形をなすメインフレーム15の開放端は、このスライドレール31によって閉じられた形となる。つまり、図6に示すように、フレーム11とスライドレール31とによって平面視で閉じた四角形が構成される。
スライドレール31は、前面側の上縁および下縁に、断面V字形に窪んだガイド面31aを備えており、このガイド面31aに噛み合うペダルアクチュエータサポート51をスライド可能に支持している。図7〜図10の例では、3つのペダルアクチュエータ41(アクセルペダルアクチュエータ41A、ブレーキペダルアクチュエータ41B、クラッチペダルアクチュエータ41C)に対応して3つのペダルアクチュエータサポート51を備えている。ペダルアクチュエータサポート51の詳細は後述する。スライドレール31は、ペダルアクチュエータサポート51の背面側から引き出されるケーブル(図示せず)を通すためのスリット33を備えている。
図9および図10は、フレーム11を運転席2に搭載した状態を示している。前述したように、運転席2の背部に設けられるシートサポート27との間にベルト25が架け渡され、このベルト25を図示しない締付器で締め付けることによってフレーム11が運転席2上で固定されている。このような搭載状態において、フレーム11は、シートバック4の上端部からシートクッション3の前端へと斜め下方へ延びた姿勢となる。詳しくは、メインフレーム15がシートバック4の縫い目4c付近からシートクッション3の前端へ向かって斜めに直線状に延び、メインフレーム15とサブフレーム16とで構成されるフレーム11上端(後端)のシートバック当接部22がシートバック4の上端部に当接する。
脚部12は、フレーム11の前端からシートクッション3前端に沿うようにして下方へ延びており、高さ調整ネジ13を具備した下端が車体フロア6に当接している。脚部12は、基本的に、車体フロア6上で垂直となる姿勢に配置される。
図10の矢印F1,F2,F3は、ベルト25の締付により支持点に生じる荷重を示している。フレーム11のベルト連係ビーム17に係止されたベルト25の締付によって、フレーム11は、矢印F1で示すように、斜め下方へ引っ張られる。この引張力により、脚部12は矢印F2で示すように車体フロア6に圧接する。また、フレーム11上端(後端)のシートバック当接部22が矢印F3で示すようにシートバック4上端部に圧接する。メインフレーム15やベルト連係ビーム17を含むフレーム11は、シートクッション3には支持されていない。つまり、フレーム11は、脚部12とシートバック当接部22の2点と、これら2点の中間部におけるベルト25の張力作用点(ベルト連係ビーム17の頂角付近)と、の計3点によって固定される。
図10から明らかなように、車両に対する固定点である脚部12下端とシートバック当接部22とを結ぶ線分(仮想の直線)のほぼ中央付近にベルト25の張力作用点(ベルト連係ビーム17の頂角)が位置し、しかも上記線分に対して概ね直交する方向にベルト25の引張力が作用するので、フレーム11が効率的にかつ堅固に固定・支持される。
一般にシートクッション3が乗り心地確保のために柔軟に構成されるのに比較してシートバック4は衝突時の耐荷重性確保のために堅固に構成されている。従って、ベルト25を十分に締め付けて大きな引張荷重を与えることが可能であるとともに、シートクッション3上に載置されている場合に比較してフレーム11の支持が堅固となる。
図3に示すように、トランスミッションアクチュエータユニット131やペダルアクチュエータ41等を含む車両自動運転装置1全体の荷重は、やはり、脚部12とシートバック当接部22の2箇所に作用し、シートクッション3には作用しない。換言すれば、車両の車体フロア6とシートバック4との2箇所で車両自動運転装置1の荷重を支持する形となる。上述したようにシートバック4は堅固に構成されているので、車両自動運転装置1の支持が確実となり、試験中の車両振動による車両自動運転装置1の振動や種々のアクチュエータの作動時の反力による車両自動運転装置1の位置ズレなどが抑制される。例えば、図3から理解できるように、ペダルアクチュエータ41の作動時の反力は、斜め上方に作用するが、その反力作用線上に概ね沿ってシートバック当接部22が位置するので、堅固なシートバック4によって反力が確実に支承される。
[接続ボックスユニット101の構成およびスライド構造]
図11は、フレーム11に接続ボックスユニット101を組み付けた状態を示し、図12および図13は、接続ボックスユニット101を単体状態で示している。
図11に示すように、接続ボックスユニット101は、フレーム11の中に位置し、詳しくは、平行な直線状をなす一対のメインビーム15aの間に位置している。
接続ボックスユニット101は、図12、図13に示すように、一対のメインビーム15aによって支持される接続ボックスフレーム102と、この接続ボックスフレーム102の上端に位置する剛性を有するアクチュエータ支持プレート105と、接続ボックスフレーム102とアクチュエータ支持プレート105とで構成される矩形の空間内に収容された接続ボックス106と、を備えている。
接続ボックスフレーム102は、フレーム11と同様に例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いて全体が一体に構成されたものであって、接続ボックスフレーム102の側面を構成する左右一対のサイドフレーム103と、これら2つのサイドフレーム103の前端部同士を互いに連結するように車両幅方向に棒状に延びたグリップ部104と、からなる。サイドフレーム103は、側面視において頂角が鈍角となった略三角形をなしている。つまり、車両搭載状態において基本的に水平となる一辺と、この辺の前端から斜め下方へ延びる一辺と、メインビーム15aに沿って傾斜する底辺と、を有する略三角形状をなしている。そして、この三角形と相似形をなす三角形の窓部103aが開口形成されている。グリップ部104は、作業者が握って接続ボックスユニット101を持ち運びできるように適宜な太さに形成されている。従って、接続ボックスフレーム102は、平面視においては、平行に位置する一対のサイドフレーム103の端部をグリップ部104が連結した略U字形をなしている。
また、図13に示すように、接続ボックスフレーム102は、サイドフレーム103やグリップ部104の各部が断面略U字形をなすように成形されている。換言すれば、接続ボックスフレーム102の各部は、下面(裏面)側が開放された中空状をなしている。
一対のサイドフレーム103の外側面には、上述した三角形の底辺に沿って直線状に延びたスライダ110がそれぞれ取り付けられている。このスライダ110は、前述したメインビーム15a内側面のガイドレール20とスライド可能に組み合わせられる断面形状を有している。
さらに、この棒状のスライダ110の上端(後端)に隣接して、一対のサイドフレーム103の後端部にそれぞれローラ111が配置されている。このローラ111は、前述したメインビーム15a内側面のガイドスリット21に組み合わせられるものであり、軸方向の中間部の溝111aがガイドスリット21に嵌合する。そして、このローラ111は、回転軸を兼ねるロックピン114とロックレバー115とからなるロック機構113を備えている。このロック機構113をロック状態とすると、ローラ111の溝111aの間隔が狭まり、ガイドスリット21を有するメインビーム15aの側壁を溝111a両側のローラ部分が軸方向に締め付けることで、ガイドスリット21に対するローラ111の移動ならびに回転が阻止される。従って、接続ボックスフレーム102ひいては接続ボックスユニット101のフレーム11に対する位置が固定される。一方、ロック機構113のロックを解除すると、ローラ111は自由に回転しつつガイドスリット21に沿って移動可能となり、スライダ110がガイドレール20に案内されることと相俟って、接続ボックスユニット101を上下(つまり前後)にスライドさせることができる。ロック機構113のロックレバー115は、一対のサイドフレーム103の互いに対向する内側にあるが、接続ボックスフレーム102の後端部でかつ上方に位置するので、外部から作業者が容易にアクセスすることができる。
金属板からなるアクチュエータ支持プレート105は、平面視において長方形状をなしており、三角形をなすサイドフレーム103の水平となる一辺に沿って配置されている。このアクチュエータ支持プレート105は、サイドフレーム103の上面に取り付けられており、平行に位置する一対のサイドフレーム103を互いに連結している。
アクチュエータ支持プレート105の上面には、後述するようにトランスミッションアクチュエータユニット131が着脱可能に取り付けられる。このトランスミッションアクチュエータユニット131の取付のために、長方形状をなすアクチュエータ支持プレート105の四隅に、ロック孔121aを備えたグロメット121がそれぞれ埋設されている。グロメット121は、一対の前側グロメット121A1,121A2と、一対の後側グロメット121B1,121B2と、を含んでいる。これらはいずれも同一の構成であるので、個々に区別する必要がない場合には、グロメット121と総称する。
同様に、アクチュエータ支持プレート105には、トランスミッションアクチュエータユニット131との間で電気的接続を行うためのトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123が設けられている。トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123は、第1コネクタ123A1および第2コネクタ123A2を組み合わせてなる前側コネクタ123A1,123A2と、第1コネクタ123B1および第2コネクタ123B2を組み合わせてなる後側コネクタ123B1,123B2と、を含んでいる。前側コネクタ123A1,123A2は、アクチュエータ支持プレート105の前側に位置し、一対の前側グロメット121A1,121A2の間に配置されている。後側コネクタ123B1,123B2は、アクチュエータ支持プレート105の後側に位置し、一対の後側グロメット121B1,121B2の間に配置されている。これらはいずれも同一の構成であるので、個々に区別する必要がない場合には、トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123と総称する。これらのトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123としては、アクチュエータ支持プレート105の上面(つまりトランスミッションアクチュエータユニット131の取付面)から上方へ端子片が突出し、かつ相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成された形式のコネクタが用いられている。
アクチュエータ支持プレート105の前側に位置する前側グロメット121A1,121A2および前側コネクタ123A1,123A2と、アクチュエータ支持プレート105の後側に位置する後側グロメット121B1,121B2および後側コネクタ123B1,123B2と、は、長方形状をなすアクチュエータ支持プレート105の中心を対称点とした点対称の関係にある。つまり、180°回転させたときに互いに重なる配置・構成となっている。
接続ボックス106は、上述したように種々のアクチュエータ類やセンサ類と車両外部の制御装置から車両内に引き込まれるケーブル(電源系統と信号系統とを含む)との接続部を構成するものであって、前面部分が階段状をなすように、アクチュエータ支持プレート105の直下に位置する上部ボックス106aと、この上部ボックス106aから前方へ張り出した下部ボックス106bと、を備えている。なお、図13に示すように、接続ボックス106全体は、一つの箱状の筐体となっている。つまり、接続ボックス106は、天井壁106cと、一対の側壁106dと、底壁106eと、上部ボックス106aの背部に相当する後壁106fと、下部ボックス106bの背部に相当する傾斜壁106gと、を備えており、天井壁106cがアクチュエータ支持プレート105に結合されることで接続ボックスフレーム102に支持されている。従って、天井壁106cおよび底壁106eは、基本的に水平面に沿った配置となる。
上部ボックス106aの前面には、外部の制御装置から車両内に引き込まれたケーブルの先端の比較的大型の集中コネクタ(図1等に符号116でもって示す)が接続されるメインコネクタ107が配置されている。下部ボックス106bの前面には、ペダルアクチュエータ41へ至るケーブル(図示せず)が接続されるペダル用コネクタ108等の複数の比較的小型のコネクタ類が配置されている。図13に示すように、接続ボックス106の背面にもいくつかのコネクタ類が配置されている。なお、接続ボックス106に接続されるケーブル類と干渉することがないように、グリップ部104は、接続ボックス106の底壁106eよりも相対的に下方に位置している。
図14は、接続ボックスユニット101の上面にトランスミッションアクチュエータユニット131が取り付けられた状態を示しているが、特に、接続ボックスユニット101のフレーム11に対する位置調整を説明するための図である。前述したように、接続ボックスユニット101は、フレーム11のメインビーム15aに沿って上下に(つまり前後に)スライドさせることができる。図14は、接続ボックスユニット101を比較的高い位置に設定した状態を示しており、図1、図15は、接続ボックスユニット101を比較的低い位置に設定した状態を示している。このような接続ボックスユニット101の位置調整によって、トランスミッションアクチュエータユニット131の高さ位置ひいてはグリップハンド168の基本的な高さ位置が変化し、車種によって高さないし長さが異なるシフトレバーに広く対応することが可能となる。
ここで、図14のように接続ボックスユニット101の位置を高くすると、トランスミッションアクチュエータユニット131が相対的に後退し、図1等のように接続ボックスユニット101の位置を低くすると、トランスミッションアクチュエータユニット131が相対的に前進した位置となるが、このような前後方向の変化は、前後方向に動作するシフト用アクチュエータ134の初期位置の設定によって吸収可能である。例えば、仮に図14の場合と図1の場合とで車両におけるシフトレバーの前後位置が同一であると仮定すると、図14のように接続ボックスユニット101の位置を高くすると相対的にシフトレバーまでの距離が長くなることになるが、この場合にはグリップハンド168が比較的長く突出した位置を制御の基準位置とすることで、容易に対応できる。
なお、後述するように、図示の実施例では、シフト用アクチュエータ134は、セレクト用アクチュエータ133に対して上下に揺動可能である。従って、この上下揺動によっても、シフトレバー頭部の高さ位置の多少の差異に対応することができる。
上記のような接続ボックスユニット101(ひいてはトランスミッションアクチュエータユニット131)の上下・前後の位置調整は、車両自動運転装置1を図1等のように運転席2上に搭載した状態のまま行うことができる。従って、試行錯誤的な作業が不要であり、車両自動運転装置1を車両内に組み付けた後に、シフトレバーとの位置関係が最適となるように容易に調整が可能である。
[トランスミッションアクチュエータユニット131の構成および着脱構造]
トランスミッションアクチュエータユニット131は、接続ボックスユニット101に対して簡単に着脱できる構成を有する。そして、接続ボックスユニット101に対する取付姿勢(前後の向き)を180°反転させることで、いわゆる右ハンドル車用の態様と左ハンドル車用の態様とに容易に変更することができる。
図15、図16は、接続ボックスユニット101からトランスミッションアクチュエータユニット131を取り外した状態を示している。図19〜図21は、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131を単体で示している。
前述したように、トランスミッションアクチュエータユニット131は、車両幅方向に沿ったセレクト操作を行うセレクト用アクチュエータ133と、車両前後方向に沿ったシフト操作を行うシフト用アクチュエータ134と、を組み合わせて構成されている。
トランスミッションアクチュエータユニット131は、比較的厚く剛性の高いベースプレート132を備え、このベースプレート132の上にセレクト用アクチュエータ133が構成されている。セレクト用アクチュエータ133は、車両幅方向に沿って細長い箱状をなすアクチュエータハウジング135を有し、このアクチュエータハウジング135がベースプレート132上に固定されている。また、アクチュエータハウジング135の長手方向中央部に隣接して、一方の側に箱状のコネクタカバー137を備え、他方の側に箱状のモータカバー138を備えている。ベースプレート132は、平坦な板状をなし、図21等に示すように、これらのアクチュエータハウジング135とコネクタカバー137とモータカバー138の三者の外側の輪郭に概ね沿った外形を有している。すなわち、ベースプレート132は、長手方向の両端部では幅(車両前後方向の寸法)が狭く、中央部では幅が広くなった形状を有している。なお、モータカバー138の中には、図示しない電動モータと歯車式の減速機とが収容されているが、図21に示すように、電動モータの下面に相当する部分ではベースプレート132が切り欠かれており、多数の通気孔を有するメッシュ状に構成されたモータカバー138の底面が露出している。モータカバー138の上面においても、多数の通気孔が開口形成されている。
セレクト用アクチュエータ133は、上記の電動モータおよび減速機の作用によりアクチュエータロッドとなるラック軸141が車両幅方向に移動するピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータである。ラック軸141は、後退状態においてはそのほぼ全体がアクチュエータハウジング135の中に収容されており、アクチュエータハウジング135の一方の端部(コネクタカバー137を前方へ向けたときに左手側となる端部)からラック軸141の先端部のみが突出している。このラック軸141の先端部に、後述するように、シフト用アクチュエータ134が支持されている。図1等に示したいわゆる右ハンドル車用の構成では、運転席2上に位置するフレーム11や接続ボックスユニット101に対して左手側にシフト用アクチュエータ134が位置する。なお、ラック軸141は、シフト用アクチュエータ134の荷重を支承しつつ精度よく直線運動し得るように、アクチュエータハウジング135の内部の図示しないガイド機構によって案内されている。
図19、図21に示すように、コネクタカバー137の両側(車両幅方向に沿った両側)においては、ベースプレート132がアクチュエータハウジング135およびコネクタカバー137の輪郭から張り出しており、一対の延長部132aとして形成されている。そして、この一対の延長部132aの各々に、前述した接続ボックスユニット101側のアクチュエータ支持プレート105のグロメット121とともにロック機構143を構成するロックピン144が配設されている。ロックピン144は、下端部がベースプレート132の面から下方へ突出し、かつ、手指にて回転操作するための摘み部145を上端部に備えている。このロック機構143は、グロメット121のロック孔121aに挿入したロックピン144を一定角度(例えば90°ないし180°)回転させることで軸方向の締付を伴うロックが行われる汎用のスクリュー形式のものである(図17、図18参照)。
一対のロックピン144は、図15、図16等に示すように、いわゆる右ハンドル車用の態様では、アクチュエータ支持プレート105の前側に位置する前側グロメット121A1,121A2に係合する。一対のロック機構143をロック状態とすることで、ベースプレート132はアクチュエータ支持プレート105に対して締め付けられ、堅固に固定される。
また、図21に示すように、一対のロックピン144の間には、第1コネクタ171aと第2コネクタ171bとを組み合わせてなるコネクタ171が配置されている。この第1,第2コネクタ171a,171bは、アクチュエータ支持プレート105におけるトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123詳しくは前側コネクタ123A1,123A2にそれぞれ接続される。前述したように、アクチュエータ支持プレート105側のトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123は端子片が浮動状態に構成されているので、アクチュエータ支持プレート105の上にトランスミッションアクチュエータユニット131を載せ、かつロック機構143によりベースプレート132とアクチュエータ支持プレート105とを互いに締め付けるだけで、両コネクタ171,123の接続が完了する。
なお、ベースプレート132の上面側では、このコネクタ171の部分をコネクタカバー137が覆っている。コネクタ171に至る図示しないケーブルも、コネクタカバー137やアクチュエータハウジング135の内部を通して配線されており、外部には露出していない。
さらに、図21に示すように、トランスミッションアクチュエータユニット131の底面において上記コネクタ171(例えば第1コネクタ171a)と点対称となる位置に、位置決めタブ172が設けられている。この位置決めタブ172は、ベースプレート132の下面から下方へ舌片状に突出しており、前述したようにいわゆる右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット131が取り付けられたときに、アクチュエータ支持プレート105の後側コネクタ123B1,123B2(例えば第1コネクタ123B1)の内側に係合する。この位置決めタブ172と後側コネクタ123B1との係合によって、トランスミッションアクチュエータユニット131の取付作業時の位置決めがより容易になるとともに、取り付けられた状態での位置ズレ等が抑制される。なお、図示例では、メッシュ状に構成されたモータカバー138の下面部に位置決めタブ172が形成されている。
図5、図6等に示すように、アクチュエータ支持プレート105の上にトランスミッションアクチュエータユニット131が取り付けられた状態では、ベースプレート132の延長部132aを含む前縁(コネクタカバー137側の縁部)の外形状がアクチュエータ支持プレート105の前縁形状にほぼ対応している。アクチュエータ支持プレート105の後縁側では、右ハンドル車用の態様では使用されていない後側コネクタ123B1,123B2がモータカバー138部分のベースプレート132によって覆われている。つまり、使用されていない後側コネクタ123B1,123B2が露出することがない。
また、車両幅方向にフレーム11から突出するアクチュエータハウジング135の左右両端部は、その下面に位置するベースプレート132を含めて、フレーム11のメインビーム15aよりも上方にある(図1、図3等参照)。従って、アクチュエータハウジング135とメインビーム15aとが干渉することなく前述した接続ボックスユニット101およびトランスミッションアクチュエータユニット131の上下・前後スライドが可能である。なお、接続ボックスユニット101を最大限に後退させた位置においても、アクチュエータハウジング135とサブビーム16aとが干渉しない関係に各部が設定されている。
アクチュエータハウジング135の上面135aには、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131を作業者が持ち運びできるように、作業者によって把持可能な略U字形のハンドル136が取り付けられている。このハンドル136は、シフト用アクチュエータ134を含むトランスミッションアクチュエータユニット131全体の重心位置に対応した位置に配置されている。従って、ハンドル136を介して持ち上げたときにトランスミッションアクチュエータユニット131が大きく傾くことがなく、搬送作業が容易になることに加えて、接続ボックスユニット101に対する脱着作業が容易となる。
上記のように、トランスミッションアクチュエータユニット131は、一対のロック機構143を緩めるだけで接続ボックスユニット101から取り外すことが可能である。そして、逆に、接続ボックスユニット101の上にトランスミッションアクチュエータユニット131を載せ、一対のロックピン144を手指で回転させてロック機構143をロック状態とすることで、接続ボックスユニット101に取り付けることができる。取付と同時にコネクタ123,171による電気的接続がなされ、外部でのケーブルの接続等は不要である。
従って、車両自動運転装置1を車両に搭載するに際して、フレーム11(接続ボックスユニット101)からトランスミッションアクチュエータユニット131を取り外した状態としておき、フレーム11を運転席2上に固定・支持した後に車内でトランスミッションアクチュエータユニット131を接続ボックスユニット101に取り付けることができる。逆に車両自動運転装置1を車両から取り外す際にも、先にトランスミッションアクチュエータユニット131を取り外すことが容易である。これにより、ドア開口部を通した車内への車両自動運転装置1の搬入・搬出が容易となる。
一方、接続ボックスユニット101から取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131は、前後を180°反転させて接続ボックスユニット101に取り付けることが可能である。これにより、シフトレバーが運転席2の右側に位置する車両つまりいわゆる左ハンドル車に容易に対応することができる。
右ハンドル車用におけるトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢に対してトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢を180°反転させた左ハンドル車用の態様では、図24、図25に示すように、モータカバー138が前側に、コネクタカバー137が後側に、それぞれ位置する。トランスミッションアクチュエータユニット131における一対のロックピン144は、アクチュエータ支持プレート105の後側に配置された後側グロメット121B1,121B2と組み合わせられ、摘み部145による回転操作によってロックおよびロック解除がなされる。また、トランスミッションアクチュエータユニット131側のコネクタ171(第1コネクタ171aおよび第2コネクタ171b)は、それぞれアクチュエータ支持プレート105の後側コネクタ123B1,123B2と接続される。さらに、ベースプレート132から下方へ突出した位置決めタブ172が、使用されていない前側コネクタ123A1,123A2(例えば第1コネクタ123A1)に係合する。この使用されていない前側コネクタ123A1,123A2は、モータカバー138部分のベースプレート132によって覆われ、外部に露出することがない。
なお、左ハンドル車用の取付姿勢としたトランスミッションアクチュエータユニット131のロック機構143を誤って前側グロメット121A1,121A2に取り付けようとしても、両者のコネクタ123、171の位置が合致せず互いに干渉するので、誤って取り付けられることはない。
また、右ハンドル車用の取付姿勢では一対のロックピン144の後方にセレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135(ラック軸141)が位置し(図6参照)、左ハンドル車用の取付姿勢では一対のロックピン144の前方にセレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135(ラック軸141)が位置する(図25参照)。いずれの取付姿勢でも、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141の中心は、等しい位置にあり、互いに変化しない。
[シフト用アクチュエータ134の構成および着脱構造]
前述したようにシフト用アクチュエータ134は、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141の先端部に支持されているが、このシフト用アクチュエータ134はラック軸141の先端部から簡単に着脱できる。さらに、セレクト用アクチュエータ133に対するシフト用アクチュエータ134の取付姿勢を前後反転可能なように構成されている。すなわち、上述した右ハンドル車用の態様と左ハンドル車用の態様との間での変更に伴ってトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢を180°反転させた場合に、多くの車種では、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141よりもシフトレバーの位置が前側にあるので、シフト用アクチュエータ134の向き(つまりグリップハンド168が前後のどちら側にあるか)を変更する必要が生じる。本実施例では、シフト用アクチュエータ134の前後方向が容易に反転する。
図22および図23は、セレクト用アクチュエータ133からシフト用アクチュエータ134を取り外した状態を示している。なお、これらの図におけるシフト用アクチュエータ134の向き(セレクト用アクチュエータ133に対する姿勢)は、図1等のいわゆる右ハンドル車用の態様に相当する。
セレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135から進退するラック軸141は、角柱状をなしており、その先端部に、回転自在なジョイント152を介してL字形ブラケット151が取り付けられている。ジョイント152は、ラック軸141の長手方向と平行な回転中心軸を有し、L字形ブラケット151は、この回転中心軸を中心として揺動可能に支持されている。L字形ブラケット151は、ジョイント152の回転中心軸と平行な平面をなす長方形の取付面151aを有し、この取付面151aの両側に、該取付面151aから垂直に立ち上がった第1ガイド面151bおよび第2ガイド面151cを備えている。
ジョイント152の回転中心軸は、ラック軸141の下方にあり、かつ取付面151aは、ジョイント152の回転中心軸よりも下方にオフセットしている。従って、取付面151aは、ラック軸141の延長線上よりも下方に位置している。また、第1ガイド面151bおよび第2ガイド面151cは、ジョイント152の回転中心軸と直交する方向(換言すればラック軸141と直交する方向)に延びており、互いに平行である。
L字形ブラケット151の取付面151aの中心部には、ロック機構154を構成するロックピン155が配置されている。このロック機構154は、トランスミッションアクチュエータユニット131を固定するための前述したロック機構143と実質的に同一の汎用のスクリュー形式のロック機構であって、ロックピン155の下端には手指で回転操作するための摘み部156を備えている。
シフト用アクチュエータ134は、長方形の底面を有する箱状のアクチュエータハウジング161と、このアクチュエータハウジング161の内部に収容された減速機163と、この減速機163に接続された電動モータ165と、アクチュエータハウジング161の端部から先端部が突出したアクチュエータロッドとしてのラック軸166と、を備えている。ラック軸166は、歯部を除く基本形状として断面円形の棒状をなしている。アクチュエータハウジング161は、電動モータ165の下方を通って直線的に延びた円筒部161aを備えており、ラック軸166が後退位置にあるときはラック軸166の大部分がこの円筒部161aの中に収容されている。また、箱状をなすアクチュエータハウジング161の電動モータ165とは反対側となるコーナ部分は、傾斜面をなしている。
ラック軸166の先端に、前述したグリップハンド168が取り付けられている。このグリップハンド168は、二股状をなす固定フィンガー168aと、この固定フィンガー168aに対して開閉動作可能な可動フィンガー168bと、固定フィンガー168aに対する可動フィンガー168bの開閉動作ならびに締付固定を行う固定ネジ169と、を備えている。グリップハンド168は、図示しないシフトレバー頭部のノブないしグリップを把持するものであるが、固定ネジ169を介したフィンガー168a,168bの開閉調整によって、形状や大きさが異なる種々のノブないしグリップの把持が可能である。
アクチュエータハウジング161の底面は、剛性の高い比較的に厚肉の底部プレート161bによって構成されており、この底部プレート161bは、図23に示すように、ラック軸166の長手方向が長辺となる長方形をなしている。また、底部プレート161bの短辺側の幅は、上述したL字形ブラケット151の取付面151aの幅つまり第1ガイド面151bと第2ガイド面151cとの間の間隔に実質的に等しい。つまり、底部プレート161bは、L字形ブラケット151の第1,第2ガイド面151b,151cに挟まれた取付面151aに比較的密に嵌合し得る寸法を有している。そして、底部プレート161bの中心部には、ロックピン155が係合するロック孔162aを備えたグロメット162が取り付けられている。このグロメット162は、前述したアクチュエータ支持プレート105におけるグロメット121と同様のものであり、ロックピン155とともにロック機構154を構成している。
従って、アクチュエータハウジング161をL字形ブラケット151の上に載せ、ロックピン155を摘み部156を介して手指でロック方向に回転操作することにより、底部プレート161bがL字形ブラケット151の取付面151a上に締め付けられる。これにより、シフト用アクチュエータ134がL字形ブラケット151上に固定される。この取付状態では、底部プレート161bの左右側縁がL字形ブラケット151の第1,第2ガイド面151b,151cに係合するので、シフト用アクチュエータ134が左右に傾くようなことはない。つまり、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141とシフト用アクチュエータ134のラック軸166は、常に正しく直交状態を維持する。なお、ラック軸166中心軸線は、L字形ブラケット151の揺動中心つまりジョイント152の回転中心軸と交差する。従って、先端にグリップハンド168を備えたラック軸166は、該ラック軸166の中心軸線上にある揺動中心を中心として上下に揺動可能である。
また、L字形ブラケット151下面にある摘み部156をロック解除方向に回転操作すれば、ロック機構154のロックが解除され、図22、図23に示すようにシフト用アクチュエータ134をL字形ブラケット151から取り外すことができる。そして、取り外したシフト用アクチュエータ134を前後に180°反転させてL字形ブラケット151に再度取り付けることで、図26、図27に示すような逆向きの取付姿勢でもってセレクト用アクチュエータ133と組み合わせることができる。
グロメット162のロック孔162aは、アクチュエータハウジング161下面の底部プレート161bの中心、少なくとも底部プレート161bの短辺方向に沿った幅の中心に位置している。従って、シフト用アクチュエータ134を180°反転させた取付姿勢においても、底部プレート161bはL字形ブラケット151の第1,第2ガイド面151b,151c間の取付面151aに比較的密に嵌合し、かつロックピン155がロック孔162aに合致する。
なお、図19、図20等に示すように、セレクト用アクチュエータ133とシフト用アクチュエータ134とは、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141先端部からシフト用アクチュエータ134の電動モータ165へ至る2本のケーブル167によって接続されている。このケーブル167は、L字形ブラケット151からシフト用アクチュエータ134を取り外して姿勢を反転させるに必要な最小限の長さを備えている。従って、基本的にケーブル167を取り外すことなくシフト用アクチュエータ134の姿勢の反転作業が可能である。図23、図24では、図示の都合上、ケーブル167が切断されたかのように描かれているに過ぎない。必要であれば、ケーブル167をシフト用アクチュエータ134から取り外すことも可能である。
図22に示すように、ケーブル167は、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141の内部を通して延びており、最終的に、ベースプレート132下面のコネクタ171に接続されている。従って、外部に露出しているケーブル167の長さは最小限のものとなっている。
図28は、ラック軸166の中心軸に沿った断面におけるシフト用アクチュエータ134の断面図である。詳しくは、L字形ブラケット151上にロック機構154を介して固定支持されている状態の断面を示している。シフト用アクチュエータ134は、電動モータ165および減速機163の作用によりアクチュエータロッドとなるラック軸166が車両前後方向に移動するピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータである。図示するように、箱状をなすアクチュエータハウジング161の内側には、複数の歯車164を組み合わせた減速歯車列からなる減速機163が収容されており、電動モータ165の回転を減速している。ラック軸166には、歯車列の最終段のピニオンと噛み合うラック166aが形成されている。
上記のように、実施例の車両自動運転装置1にあっては、トランスミッションアクチュエータユニット131全体を2つの取付姿勢の中のいずれかで選択的に接続ボックスユニット101上に取り付けるとともに、このトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢に対応してセレクト用アクチュエータ133に対するシフト用アクチュエータ134の取付姿勢を変更することで、運転席2に対してシフトレバーが左側に位置するいわゆる右ハンドル車用の態様と、運転席2に対してシフトレバーが右側に位置するいわゆる左ハンドル車用の態様と、に容易に変更することができる。
図5、図6は、右ハンドル車用の態様を示しており、フレーム11の左側にグリップハンド168が位置する。グリップハンド168は、セレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135よりも前方に位置する。トランスミッションアクチュエータユニット131のセレクト用アクチュエータ133とシフト用アクチュエータ134とは、図19、図20に示すような態様で組み合わせられている。
これに対し、図24、図25は、左ハンドル車用の態様を示しており、フレーム11の右側にグリップハンド168が位置する。グリップハンド168は、やはりセレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135よりも前方に位置する。トランスミッションアクチュエータユニット131のセレクト用アクチュエータ133とシフト用アクチュエータ134とは、図26、図27に示すような態様で組み合わせられている。
さらに、図29に示すように、グリップハンド168がセレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135よりも後方に位置するようにシフト用アクチュエータ134の取付姿勢を選択することも可能である。図29の例は、運転席2の左側にシフトレバーが位置する右ハンドル車用の例であり、シフトレバーが運転席2に対して比較的に後方寄りに位置する場合に適用される。つまり、図6に示す右ハンドル車用の態様に比較して、シフト用アクチュエータ134が前後反転した形でセレクト用アクチュエータ133に組み合わせられており、グリップハンド168が相対的に後方位置となる。
このような構成は、左ハンドル車用の態様においても同様であり、例えば図25の左ハンドル車用の態様においてシフト用アクチュエータ134を前後反転した形で組み合わせることが可能である。
前述したようにセレクト用アクチュエータ133の高さ位置ないし前後位置は接続ボックスユニット101のフレーム11に対するスライド位置によって変更可能であるので、シフト用アクチュエータ134の前後の向きの変更と組み合わせることで、多様なシフトレバー位置に対応が可能である。
また、シフトレバーの頭部の高さ位置は、一般にシフト操作に伴って上下に変位するが、シフト用アクチュエータ134がジョイント152の回転中心軸を中心として上下に揺動可能であるので、シフトレバーの頭部の高さ位置の変化が許容される。従って、円滑なシフト操作が可能である。
[ペダルアクチュエータ41の構成および着脱構造]
前述したように、実施例の車両自動運転装置1は、3つのペダルアクチュエータ41、すなわち、アクセルペダルアクチュエータ41Aと、ブレーキペダルアクチュエータ41Bと、クラッチペダルアクチュエータ41Cと、を備えている。そして、これらのペダルアクチュエータ41は、フレーム11の前端に取り付けられたペダルアクチュエータ支持用スライドレール31に、ペダルアクチュエータサポート51を介して支持されている。
図30は、フレーム11の前端に配置されたペダルアクチュエータ支持用スライドレール31とペダルアクチュエータサポート51の詳細を示している。また、図31〜図34は、ペダルアクチュエータ41の代表的な構成として、アクセルペダルアクチュエータ41Aないしブレーキペダルアクチュエータ41Bの詳細を示している。アクセルペダルアクチュエータ41Aとブレーキペダルアクチュエータ41Bは、本実施例では同一の構成である。
ペダルアクチュエータ支持用スライドレール31は車両幅方向に細長く延びた帯状をなしており、比較的厚く剛性を有する金属板からなる。ペダルアクチュエータサポート51は、正面視(車両前方から見た状態をいう)において、スライドレール31の上下に亘る寸法を有する縦長の長方形状をなしている。ペダルアクチュエータサポート51は、スライドレール31の前面に重なるプレート部51aを主体とし、その上縁および下縁が車両後方へと延びているとともに、図31に示すように、車両後方へと延びた上縁および下縁の内側に、傾斜したガイド面51bがそれぞれ形成されている。これら一対のガイド面51bは、スライドレール31の上縁および下縁のガイド面31aに噛み合っている。このガイド面51b,31a同士の係合によって、ペダルアクチュエータサポート51は、車両幅方向に沿ってスライド可能な形で、スライドレール31に支持されている。ペダルアクチュエータサポート51は、スライドレール31の両端からガイド面51b,31aを噛み合わせながら該スライドレール31の長手方向(車両幅方向)に沿って挿入可能である。
ペダルアクチュエータサポート51の下部には、車両幅方向に沿って適当な位置に調整したペダルアクチュエータサポート51をスライドレール31に固定するための固定ネジ55が設けられている。この固定ネジ55は、ペダルアクチュエータサポート51の下部を貫通してネジ先端がスライドレール31に達しており、締付によってペダルアクチュエータサポート51が固定される。図30に示すように、固定ネジ55は、頭部にL字形のレバー部分を備えており、手指にて締付操作が可能である。従って、アクセルペダルアクチュエータ41A、ブレーキペダルアクチュエータ41B、クラッチペダルアクチュエータ41Cの各々を、車種毎に異なる各ペダル45,46,47の位置に対応するように、車室内において、車両幅方向に容易に位置調整することができる。
ペダルアクチュエータサポート51のプレート部51aには、角筒状に前方へ向かって突出した筒状部52が一体に形成されており、この筒状部52の内側に、サポート側コネクタ53が配置されている。筒状部52は、プレート部51aの前面から車両前方へ垂直に起立している。なお、サポート側コネクタ53は、接続ボックスユニット101におけるトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123と同じく、相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成された形式のコネクタが用いられている。また、サポート側コネクタ53から後方へ図示しないケーブルが引き出されており、このケーブルは、スライドレール31のスリット33を通って接続ボックス106へと延びている。
プレート部51aの上部つまり筒状部52よりも上方位置には、ペダルアクチュエータ41用の後述するロック機構65の一部となるグロメット54が取り付けられている。このグロメット54は、前述したアクチュエータ支持プレート105におけるグロメット121やシフト用アクチュエータ134におけるグロメット162と同様のものであり、前方へ向かってロック孔54aが開口している。
ペダルアクチュエータ41は、やはりピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータであり、アクチュエータロッドとなるラック軸80をスライド可能に支持しかつ収容した細長いアクチュエータハウジング78と、このアクチュエータハウジング78の下面側に取り付けられた減速機82および電動モータ81と、を主体としている。なお、セレクト用アクチュエータ133やシフト用アクチュエータ134では電動モータの回転軸がラック軸と平行に配置されているのに対し、ペダルアクチュエータ41においては、ラック軸80の中心軸線と電動モータ81の回転軸とが90°異なる方向となっている。減速機82と電動モータ81とは直列に並んで配置されている。従って、減速機82および電動モータ81は、アクチュエータハウジング78の先端部寄りの位置において下方へ比較的大きく突出しており、該アクチュエータハウジング78とともに略L字形をなすように配置されている。
シートクッション3の高さに比べてペダル45,46,47は相対的に下方に位置しているので、アクチュエータハウジング78(換言すればラック軸80)は、ペダル45,46,47へ向かう先端側がフレーム11寄りの基端側よりも低い位置となるように傾斜している。ラック軸80は、断面円形の棒状をなしており、アクチュエータハウジング78から突出する先端部がペダル45,46,47を押圧する。
図31〜図34に示すアクセルペダルアクチュエータ41Aないしブレーキペダルアクチュエータ41Bにあっては、後述するロードセルジョイント85を介してラック軸80の先端にローラ86が取り付けられており、このローラ86がペダル45,46を押圧している。ローラ86は、車両幅方向に沿った回転中心軸を有しており、ペダル45,46の揺動に伴うペダル面の角度変化を許容しつつペダル45,46を押圧することができる。
図31に示すように、アクチュエータハウジング78は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61と、リンクアーム68と、スライドブラケット69と、を介してペダルアクチュエータサポート51に支持されている。
スライドブラケット69は、アクチュエータハウジング78を該アクチュエータハウジング78の下面側において前後にスライド可能に支持するものである。すなわち、アクチュエータハウジング78は、図33に示すように四角形(ほぼ正方形)の断面形状を有し、かつ下部両側縁に凹溝状のスライド溝78aを備えている。スライドブラケット69は、この一対のスライド溝78aに両側から係合する断面形状を有しており、これによりスライドブラケット69とアクチュエータハウジング78とが相対的にスライド可能となっている。そして、スライドブラケット69は、スライドさせて位置調整したアクチュエータハウジング78をスライドブラケット69に対して固定するための固定ネジ79を備えている。固定ネジ79は、ペダルアクチュエータサポート51における固定ネジ55と同様に頭部にL字形のレバー部分を備えており、手指にて締付操作が可能である。従って、車両におけるペダル45,46,47の位置に応じてアクチュエータハウジング78の前後位置を簡単に調整することができる。
ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、リンクアーム68を介してスライドブラケット69に組み付けられている。ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、ペダルアクチュエータサポート51に対して着脱可能に取り付けられ、これによって、ペダルアクチュエータ41がスライドレール31に支持される(図5等参照)。
ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、図33に示すように、厚肉の板状部材の一方の面つまりペダルアクチュエータサポート51との接合面61aに、ペダルアクチュエータサポート51の筒状部52に嵌合する凹部62を備えており、この凹部62よりも上方位置に、ロック機構65となるロックピン67が配置されている。凹部62は、角筒状をなす筒状部52と相補な形状をなしており、該凹部62の内側に、上記サポート側コネクタ53に対応したブラケット側コネクタ63を備えている。従って、凹部62を筒状部52に合致させながらペダルアクチュエータ支持ブラケット61をペダルアクチュエータサポート51に垂直に押し込むことで、凹部62と筒状部52とが比較的密に嵌合し、かつ接合面61aがペダルアクチュエータサポート51のプレート部51aに接する。そして、コネクタ53,63同士が電気的に接続される。
また、ロックピン67は、ペダルアクチュエータサポート51のグロメット54のロック孔54aに対応した位置にあり、手指にて回転操作可能なように頭部に摘み部66を備えている。このロックピン67とグロメット54とから構成されるロック機構65は、前述したトランスミッションアクチュエータユニット131固定用のロック機構143(ロックピン144、グロメット121)やシフト用アクチュエータ134固定用のロック機構154(ロックピン155、グロメット162)と実質的に同一の構成である。このロック機構65の締結によって、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61はペダルアクチュエータサポート51に確実に固定される。換言すれば、ペダルアクチュエータ41全体がペダルアクチュエータサポート51に固定・支持される。特に、ロック機構65が筒状部52および凹部62よりも上方に位置するので、筒状部52と凹部62との嵌合部を支点として下方へ作用するモーメントをロック機構65が確実に支承する。また嵌合部となる筒状部52が閉断面構造をなしているので、高い結合強度が得られる。
ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、接合面61aとは反対側の面に、水平方向へ延びたアーム部64を備えている。細長いプレート状をなすリンクアーム68の一端部は、回転軸となる固定ネジ72を介してアーム部64に連結されている。リンクアーム68の他端部は、回転軸となる固定ネジ73を介してスライドブラケット69に連結されている。固定ネジ72,73は、それぞれ、手指にて回転操作可能なように略十字形をなすグリップ部72a,73aを頭部に備えている。
図36は、図35におけるC部の拡大斜視図であり、固定ネジ72によって互いに連結されたアーム部64とリンクアーム68一端部の詳細を示している。アーム部64はペダルアクチュエータ支持ブラケット61の車両幅方向の一方の側に片寄って形成されており、固定ネジ72のグリップ部72aとアーム部64との間にリンクアーム68が挟まれている。アーム部64とリンクアーム68とは、固定ネジ72を中心として揺動可能である一方で、アーム部64の内側面(リンクアーム68との対向面)にブラケット側係合ディスク部70が形成され、かつリンクアーム68にはブラケット側係合ディスク部70に対向するリンク側係合ディスク部71が形成されていて、これら係合ディスク部70,71の係合によって互いの回転が阻止される構成となっている。つまり、互いに対向する係合ディスク部70,71の対向面は、それぞれ放射状に延びる係合溝(あるいは放射状に延びる係合突起)を備えた凹凸面となっており、アーム部64側に螺合する固定ネジ72を締め付けることで、凹凸面同士が圧接し、アーム部64に対してリンクアーム68が堅固に固定される。固定ネジ72を緩めれば、凹凸面同士の係合が緩み、固定ネジ72を中心としてリンクアーム68をアーム部64に対して揺動させ、角度調整を行うことが可能となる。
リンクアーム68の他端部とスライドブラケット69との関係も図36に示すアーム部64側の構成と同一であり、互いに対向する放射状の凹凸面を備えている。従って、固定ネジ73を緩めた状態でリンクアーム68に対してスライドブラケット69の角度(換言すればアクチュエータハウジング78の角度)を調整した上で、固定ネジ73を締め付けることで、リンクアーム68に対してスライドブラケット69つまりアクチュエータハウジング78を固定することができる。
固定ネジ72,73の中心軸は、車両幅方向に沿って延びており、従って、車両幅方向と直交する面に沿って、ペダルアクチュエータ41の取付姿勢を調整することができる。特に、これらのリンクアーム68両端部での角度調整とスライドブラケット69を介した前後方向の調整とを組み合わせることによって、車種によって異なるペダル位置やペダルの傾きに対応することが可能となる。
ペダルアクチュエータ41は、リンクアーム68やペダルアクチュエータ支持ブラケット61と組み合わせた状態のままペダルアクチュエータサポート51に対して着脱が可能である。上述したように、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の凹部62をペダルアクチュエータサポート51の筒状部52に嵌合させ、かつロックピン67を所定角度回転操作することで、ペダルアクチュエータ41全体がペダルアクチュエータサポート51に取り付けられる。逆に、ロックピン67を開放位置へ回転操作し、かつペダルアクチュエータ支持ブラケット61を前方へ引き抜けば、ペダルアクチュエータ41をスライドレール31(換言すればフレーム11)から取り外すことができる。
図示は省略しているが、ペダルアクチュエータ41の電動モータ81に至るケーブルは、アクチュエータハウジング78の内部を通して配置されており、その端部は、アクチュエータハウジング78のリンクアーム68側の端部から外部へ引き出された上で、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61内部を通してブラケット側コネクタ63に接続されている。
従って、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61をペダルアクチュエータサポート51に対して取り付けることで、同時に、コネクタ53,63を介した電気的接続がなされる。そのため、ペダルアクチュエータサポート51とペダルアクチュエータ41との間に外部のケーブルやコネクタ類は存在しない。
このようにペダルアクチュエータ41の着脱が容易であるので、車両自動運転装置1を車両に搭載するに際しては、フレーム11(スライドレール31)からペダルアクチュエータ41を取り外した状態としておき、フレーム11を運転席2上に固定・支持した後に車内でペダルアクチュエータ41を取り付けることができる。逆に車両自動運転装置1を車両から取り外す際にも、先にペダルアクチュエータ41を取り外してからフレーム11を車外へ出すことができる。これにより、ドア開口部を通した車内への車両自動運転装置1の搬入ならびに車外への搬出が容易となる。また、各ペダル45,46,47に対するペダルアクチュエータ41の位置調整は、フレーム11にペダルアクチュエータ41を取り付けた後に車内で容易に行うことができる。
[クラッチペダルアクチュエータ41Cの構成]
手動変速機を備えた車両においては、一般に、クラッチペダル47は弧を描くように動作し、そのストローク(踏込操作量)も比較的大きい。本実施例では、このようなクラッチペダル47の特性を考慮して、クラッチペダルアクチュエータ41Cが細部において他の2つのペダルアクチュエータ41A,41Bとは異なっている。
図37〜図40は、クラッチペダルアクチュエータ41Cを示している。図37は、図35のB部の拡大斜視図である。
相違点の1つは、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61およびリンクアーム68の連結部の構成である。説明の便宜のために、図35に示すように、アクセルペダルアクチュエータ41A用のペダルアクチュエータ支持ブラケット61およびブレーキペダルアクチュエータ41B用のペダルアクチュエータ支持ブラケット61をそれぞれ符号61A,61Bで示し、クラッチペダルアクチュエータ41C用のペダルアクチュエータ支持ブラケット61を符号61Cで示す。
前述したように、アクセルペダル45用のペダルアクチュエータ支持ブラケット61Aおよびブレーキペダル46用のペダルアクチュエータ支持ブラケット61Bは、互いに同一の構成である。これらのペダルアクチュエータ支持ブラケット61A,61Bにおいては、単一のアーム部64とリンクアーム68とが角度調整後に固定ネジ72により互いに固定される(図36参照)。
これに対し、クラッチペダル47用のペダルアクチュエータ支持ブラケット61Cは、図37に示すように、一対のアーム部64a,64bを有し、両者間にリンクアーム68が挟まれている。そして、このクラッチペダル用のリンクアーム68は、一端に円筒状の軸受部75を有し、一対のアーム部64a,64bに両端が固定された回転軸76を介して、軸受部75が回転自在に支持されている。つまり、クラッチペダルアクチュエータ41Cにあっては、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61Cとリンクアーム68とが揺動自在に連結されている。
リンクアーム68とスライドブラケット69との間の連結部は、アクセルペダルアクチュエータ41Aやブレーキペダルアクチュエータ41Bのものと変わりがない。つまり、角度調整後に固定ネジ73を締め付けることで、リンクアーム68に対してスライドブラケット69が固定される。
第2の相違点は、クラッチペダルアクチュエータ41Cでは、ラック軸80の先端に、前述したローラ86に代えて揺動プレート87を備えている点である。すなわち、図38や図39に示すように、ラック軸80の先端にロードセルジョイント85を介して揺動プレート87が揺動可能に取り付けられている。この揺動プレート87は、クラッチペダル47のペダル部183に重ねて配置され、図示しない適当な治具ないし固定具によってペダル部183に固定されている。揺動プレート87は、ローラ86と同様に車両幅方向に沿った回転中心軸を有するようにピン87aによって揺動可能に支持されている。
図39および図40は、クラッチペダルアクチュエータ41Cの伸縮動作を説明するものである。クラッチペダル47は、一般に、レバー181の上端がレバーピン182を介して車両に揺動可能に支持されており、ペダル部183がレバー181の下端に固定的に設けられている。従って、ペダル面183aの傾きは、クラッチペダル47のストローク(踏込)に伴って変化する。具体的には、図39に示すように、踏み込まれていない状態では、ペダル面183aが斜め上方を指向しており、クラッチペダル47が踏み込まれていくと、図40に示すように、ほぼ垂直となり、さらに極端な場合には逆に斜め下向きとなる。
仮にアクセルペダルアクチュエータ41Aやブレーキペダルアクチュエータ41Bのようにローラ86がペダル面183aに接しているとすると、ペダル面183aの角度変化に伴ってローラ86がペダル面183aから脱落する懸念があり、かつ正確なストロークが得られない。
これに対し、上記実施例のクラッチペダルアクチュエータ41Cにあっては、先端の揺動プレート87がペダル部183に固定されるため、ペダル面183aの角度変化に拘わらずクラッチペダルアクチュエータ41Cが確実にペダル部183を押圧操作することができる。
また、クラッチペダル47のレバーピン182を中心とした揺動に伴い、ペダル部183の高さ位置の変化が生じるが、この変化は、リンクアーム68とペダルアクチュエータ支持ブラケット61Cとの間が揺動自在であることによって吸収される。図39および図40の例では、図39のようにクラッチペダル47がストロークしていないときのアクチュエータハウジング78の水平面に対する傾斜が相対的に急であるのに対し、図40のようにクラッチペダル47のストロークが最大限となったときのアクチュエータハウジング78の水平面に対する傾斜が相対的に緩やかとなる。このようなアクチュエータハウジング78の角度変化が許容されることで、ラック軸80がペダル部183をストローク限界まで確実に押圧することができる。
換言すれば、アクセルペダルアクチュエータ41Aおよびブレーキペダルアクチュエータ41Bが直線運動としてアクセルペダル45やブレーキペダル46を押圧するのに対し、クラッチペダルアクチュエータ41Cは、揺動しながらクラッチペダル47を押圧する。
上記実施例では、アクチュエータハウジング78がスライドブラケット69およびリンクアーム68を介してペダルアクチュエータ支持ブラケット61に下側から支持されており、ラック軸80の延長線Lがペダルアクチュエータ支持ブラケット61の上方を通過する。従って、揺動するペダル部183に対する荷重作用方向が適切なものになるとともに、アクチュエータハウジング78から下方へ突出する電動モータ81部分がストローク中に過度に下がらず、車体フロア6との干渉が生じにくい。
また同時に、ペダルアクチュエータ41を支持するスライドレール31の高さ位置を低くすることが可能となり、図3等に示すように、シートクッション3の前端付近の高さ位置にスライドレール31を配置することが可能となる。この点は、アクセルペダルアクチュエータ41Aやブレーキペダルアクチュエータ41Bにおいても同様である。
なお、クラッチペダル47のストロークが小さい場合やクラッチペダル47の構造等によってローラ86を介したペダル部183の押圧が可能な場合には、3つのペダルアクチュエータ41を同じ構成とすることもできる。
逆に、アクセルペダルアクチュエータ41Aあるいはブレーキペダルアクチュエータ41Bとして、上記実施例のクラッチペダルアクチュエータ41Cのような構成を適用することも可能である。
[自動変速機型の車両への適用]
前述したように、ペダルアクチュエータ41は、フレーム11を車室内に搬入した後に、車室内においてフレーム11に取り付けることができる。例えば、クラッチペダル47を具備しない自動変速機型の車両に適用する場合には、クラッチペダルアクチュエータ41Cを除いて、アクセルペダルアクチュエータ41Aおよびブレーキペダルアクチュエータ41のみを取り付ければよい。
これにより、図41に示すように、自動変速機型の車両に用いられる車両自動運転装置1の態様とすることができる。
前述したようにペダルアクチュエータ41の着脱は簡単に行うことができるので、シャシダイナモメータにおける被試験車両が手動変速機型の車両から自動変速機型の車両へ変更されたような場合でも、対応は容易である。
[ペダルアクチュエータ41における踏力検出構造]
実施例のペダルアクチュエータ41は、いずれもラック軸80に作用する荷重を検出するロードセル192を備えており、ペダル45,46,47に作用する踏力(換言すればペダル反力)の検出が可能である。
ラック軸80は、車両の運転席に支持されるフレーム11の前端部に支持されたアクチュエータハウジング78の長手方向に沿って進退するものである。
図42は、ラック軸80の先端部に設けられるロードセルジョイント85の断面図である。図示するように、ロードセルジョイント85は、ラック軸80の先端に嵌合する円筒状のスリーブ191を有している。スリーブ191の内径は、ラック軸80の外径よりも大径となっている。
スリーブ191は、取付ネジ197によってラック軸80の先端に、ラック軸80の長手方向(換言すれば軸方向)に沿ってスライド可能な状態で取り付けられている。取付ネジ197は、ラック軸80の先端外周面に形成された溝部80aに先端が係合している。溝部80aは、取付ネジ197が挿入可能な凹部であって、例えばラック軸80の長手方向(換言すれば軸方向)に沿った長円形状を呈している。
従って、スリーブ191は、当該スリーブ191を貫通した取付ネジ197の先端を溝部80aに挿入することで、ラック軸80の長手方向に沿った溝部80aの長さに応じたスライドが許容された状態でラック軸80の先端に取り付けられる。また、スリーブ191は、当該スリーブ191を貫通した取付ネジ197の先端を溝部80aに挿入することで、ラック軸80周りの回転が規制される。取付ネジ197は、緩みを防止するためのナット198を備えている。
スリーブ191は、ラック軸80とプッシュロッド195との境界部分の外周を囲み、後述するロードセル192を収容している。スリーブ191の先端は、キャップ状の保持部材196によって封止されており、かつこの保持部材196の中心を貫通してペダル側ロッドとしてのプッシュロッド195が配置されている。
プッシュロッド195は、例えばいわゆるロッドエンドベアリングであって、基端側となる棒状のロッド部195aと、先端側となる円筒状のベアリング部195bと、を有している。ロッド部195aは、ラック軸80側に位置している。ベアリング部195bは、ローラ86側もしくは揺動プレート87側(図では揺動プレート87側)に位置している。ロッド部195aは、保持部材196に螺合している。ベアリング部195bは、揺動プレート87のピン87aを回転可能に支持している。
プッシュロッド195は、ナット199によって緩み止めされている。なお、ナット199は、プッシュロッド195の位置決め機能も有している。プッシュロッド195は、ラック軸80の先端側にラック軸80の長手方向に沿って配置されている。つまり、プッシュロッド195は、ロッド部195aの中心軸線M1がラック軸80の中心軸線M2と一致するように配置される。中心軸線M1は、ベアリング部195bの中心軸線と直交している。スリーブ191から突出したプッシュロッド195のベアリング部195bには、前述したローラ86もしくは揺動プレート87が取り付けられている(図では揺動プレート87が取り付けられている)。
そして、スリーブ191の内部において、ラック軸80の先端面(先端)とプッシュロッド195の基端面(基端)との間には、ロードセル192が挟み込まれている。そのため、ラック軸80の押圧力は、ロードセル192を介してプッシュロッド195に伝達される。
従って、ラック軸80が伸長してペダル45,46,47を押圧したときに、ローラ86もしくは揺動プレート87がペダル45,46,47から受ける荷重がプッシュロッド195を介してロードセル192に作用し、ペダル反力として検出される。なお、スライド可能なスリーブ191は圧縮荷重を負担しない。
ロードセル192は、ラック軸80およびプッシュロッド195に対して、これらの部材の長手方向に沿って一列に並んで配置されている。
ロードセル192は、円盤形をなし、圧縮荷重を検出する検出部192aを中心部に有している。ロードセル192は、検出部192aの中心位置がプッシュロッド195の中心軸線M1およびラック軸80の中心軸線M2と一致するように配置されている。
つまり、ペダルアクチュエータ41は、検出部192aの中心位置と、プッシュロッド195の中心軸線M1と、ラック軸80の中心軸線M2とが同一直線上に位置するよう形成されている。
ロードセル192は、ロードセル保持部材200を介してラック軸80の先端に保持されている。ロードセル保持部材200は、ボルト(図示せず)によってラック軸80の先端面に固定されている。ロードセル保持部材200は、ロードセル192の一側面の外周縁を保持可能な凹部200aを有している。
ロードセル192は、ロードセル保持部材200の凹部200aの内周に係合することで、スリーブ191の開口部191aからの脱落が防止されている。
なお、スリーブ191がラック軸80の長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられているため、ラック軸80が動作していない状態では、ロードセル192の検出部192aとプッシュロッド195の基端との間に微小な隙間が存在する。
ロードセル192のケーブル193は、図示するように、ラック軸80の内部に該ラック軸80の長手方向に沿って形成された中空部194を通して配線されている。つまり、ケーブル193は、ラック軸80の内部を通してフレーム11側へ延びる。ケーブル193は電源系統と信号系統を含むものである。
詳述すると、ロードセル192のケーブル193は、スリーブ191の開口部191aを利用してスリーブ191の半径方向に引き出され、当該スリーブ191を貫通している。そして、ロードセル192のケーブル193は、スリーブ191の開口部191aを利用してロードセル保持部材200を迂回し、ロードセル保持部材200の背面側からラック軸80の中空部194に配線されている。このケーブル193は、前述したペダルアクチュエータ41の電動モータ81用のケーブル(図示せず)とともに、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61のブラケット側コネクタ63に接続されている。
[作用・効果]
以上のように、上記実施例の車両自動運転装置1においては、可動フレームとなる接続ボックスフレーム102を、運転席2上で傾斜姿勢となった一対の直線状メインビーム15aに沿ってスライドさせることで、シフトレバーの高さ位置に対応するようにトランスミッションアクチュエータユニット131の高さ位置を連続的に可変調整することができる。特に、ロック機構113のロック・ロック解除操作のみで簡単に高さ調整を行うことができる。
トランスミッションアクチュエータユニット131が取り付けられているアクチュエータ支持プレート105は、接続ボックスフレーム102を上下にスライドさせても水平姿勢を維持し、従って、トランスミッションアクチュエータユニット131は傾くことがない。基本的に、セレクト用アクチュエータ133およびシフト用アクチュエータ134の双方がそれぞれ水平に動作する姿勢が維持される。
接続ボックスフレーム102を固定するロック機構113には、メインビーム15aの傾斜角度に沿った分力としてトランスミッションアクチュエータユニット131を含む接続ボックスユニット101の重量が作用するだけなので、ロック機構113に必要な締付力は比較的小さく、かつ、重力による下方への位置ズレが生じにくい。
また、トランスミッションアクチュエータユニット131を支持した接続ボックスフレーム102が、車両幅方向の両側で一対のメインビーム15aによって支持されるので、接続ボックスフレーム102ひいてはトランスミッションアクチュエータユニット131がフレーム11に堅固に支持される。従って、走行試験中の加振力によるトランスミッションアクチュエータユニット131(セレクト用アクチュエータ133およびシフト用アクチュエータ134)の振動が抑制される。
さらに、上記実施例では、接続ボックスフレーム102の側面の対角線上に長く設けられた一対のスライダ110が、一対のメインビーム15aにおけるガイドレール20にそれぞれ係合し、長いスパンで直線的に案内されるので、左右それぞれに1箇所のロック機構113でもって確実な固定が可能であり、かつ、支持剛性が高く得られる。
なお、図12、図13から理解できるように、接続ボックスユニット101の一部はスライダ110つまりメインビーム15aよりも下方に張り出しており、トランスミッションアクチュエータユニット131を含む接続ボックスユニット101全体の重心の位置がそれだけメインビーム15aに近付く。これは、フレーム11に支持されたトランスミッションアクチュエータユニット131の振動抑制の上で有利となる。
また、接続ボックス106とともにトランスミッションアクチュエータユニット131が上下にスライドするので、両者間での複雑な外部配線が不要となる。
上記のトランスミッションアクチュエータユニット131の高さ位置の調整は、前述したように、車両自動運転装置1を図1等のように運転席2上に搭載した状態のまま行うことができる。従って、試行錯誤的な作業が不要であり、車両自動運転装置1を車両内に組み付けた後に、シフトレバーとの位置関係が最適となるように容易に調整が可能である。
[他の実施例]
上記実施例ではトランスミッションアクチュエータユニット131は、車両幅方向に動作するセレクト用アクチュエータ133と車両前後方向に動作するシフト用アクチュエータ134とを組み合わせた構成となっているが、本発明は、例えば自動変速機型車両に適用される簡易的な構成として車両前後方向に動作するアクチュエータのみを具備した構成にも適用が可能である。
また上記実施例では、メインビーム15aの各々にガイドレール20とガイドスリット21とが直列に並んで設けられているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、メインビーム15aがガイドレールおよびガイドスリットのいずれかのみを具備する構成とすることもできる。一対のメインビーム15aの一方がガイドレールを具備し、他方がガイドスリットを具備する構成も可能である。
またロック機構113としては、上記実施例のようにローラ111を利用したものに限らず、例えば、ペダルアクチュエータサポート51における固定ネジ55のような構成とすることも可能である。
[第2実施例]
次に、第2実施例の車両自動運転装置301について説明する。
[第2実施例の車両自動運転装置301の全体構成]
図43〜図46は、第2実施例の車両自動運転装置301を車両の運転席302に搭載した状態で示している。図47〜図51は、車両から取り外した状態で車両自動運転装置301の全体を示している。この車両自動運転装置301は、図示しないシャシダイナモメータ上で車両の走行試験を行う際に用いられるもので、車両外部に配置される制御装置からの信号によりアクセルペダル等のペダル操作と変速機のシフトレバー操作を行う。
ここで、本実施例の車両自動運転装置301は、後述するように、クラッチペダルを有する手動変速機型の車両であってもクラッチペダルを具備しない自動変速機型の車両であっても使用が可能であり、さらに、運転席が車両右側にあり左手でシフトレバー操作を行ういわゆる右ハンドル車と、運転席が車両左側にあり右手でシフトレバー操作を行ういわゆる左ハンドル車と、の双方に適用が可能である。図43〜図51に示した実施例は、特に、アクセルペダル345とブレーキペダル346とクラッチペダル347とを備えた手動変速機型の車両で、かつ右ハンドル車に適用される態様とした構成例の車両自動運転装置301を示している。
運転席302は、車両の車体フロア306(図44参照)の上に、図示しない前後スライド機構や上下昇降機構を介して支持されており、運転者が座る座面を構成するシートクッション303と、運転者の背中を支持するシートバック304と、運転者の頭部を支持するヘッドレスト305と、を備えている。なお、一般にシートバック304はシートクッション303に対する傾斜角度を調整可能ないわゆるリクライニング機構を備えている。
車両自動運転装置301は、シートバック304の上端部付近から車両前方へ向けて斜め下方へ延びるフレーム311と、フレーム311前端においてシートクッション303前端に沿うように下方へ延びた一対の脚部312と、フレーム311前端から車両前方へ延びて3つのペダル345,346,347をそれぞれ操作する3つのペダルアクチュエータ341と、フレーム311の中間部においてシートクッション303ならびにシートバック304から浮き上がった状態に支持された可動ユニット401と、可動ユニット401の上面に搭載されたトランスミッションアクチュエータユニット431と、フレーム311の前端部に位置する接続ボックス406と、から概略構成されている。
ペダルアクチュエータ341としては、詳しくは、アクセルペダル345を操作するアクセルペダルアクチュエータ341Aと、ブレーキペダル346を操作するブレーキペダルアクチュエータ341Bと、クラッチペダル347を操作するクラッチペダルアクチュエータ341Cと、を含んでいる(図47、図73参照)。これら3つのペダルアクチュエータ341は、完全に同一の構成であってもよいが、本実施例では、クラッチペダル347が弧を描くように動作し、かつストローク(踏込操作量)が比較的大きいことを考慮して、クラッチペダルアクチュエータ341Cが細部において他の2つのペダルアクチュエータ341A,341Bとは異なる構成となっている。アクセルペダルアクチュエータ341Aとブレーキペダルアクチュエータ341Bは、実質的に同一の構成を有している。なお、基本的な構成は、3つのペダルアクチュエータ341に共通であるので、特に区別する必要のないときは、ペダルアクチュエータ341と総称する。
接続ボックス406は、車両自動運転装置301が具備する種々のアクチュエータ類やセンサ類と車両外部の制御装置から車両内に引き込まれる図示しないケーブル(電源系統と信号系統とを含む)との接続部を構成している。
可動ユニット401は、フレーム311に対して前後方向にスライド可能となるように構成されており、トランスミッションアクチュエータユニット431の支持台として機能する。この可動ユニット401と接続ボックス406とは、可撓性を有する平帯状のケーブル400を介して電気的に接続されている。このケーブル400は、複数本の電線を金属チェーンに類似した可撓性の保護部材によって保護した構成であり、U字形ないしJ字形に湾曲することで、可動ユニット401のスライド位置に拘わらず両者の接続が可能となっている。
トランスミッションアクチュエータユニット431は、図示例では運転席302の左手側に位置するシフトレバーを操作するものであり、シフトレバーを車両幅方向に沿って操作(いわゆるセレクト操作)するセレクト用アクチュエータ433と、シフトレバーを車両前後方向に沿って操作(いわゆるシフト操作)するシフト用アクチュエータ434と、を組み合わせた構成となっている。詳しくは、トランスミッションアクチュエータユニット431は、図示しないシフトレバー頭部の例えば略球形状をなすノブないしグリップを把持するグリップハンド468を備えており、このグリップハンド468がシフト用アクチュエータ434の動作によって前後進するとともに、シフト用アクチュエータ434全体がセレクト用アクチュエータ433の動作によって車両幅方向に沿って移動することで、セレクト操作およびシフト操作の双方を実現する。
車両の運転席302に搭載された車両自動運転装置301は、運転席302の左右両側でベルト325を介して後方斜め下方へ引っ張ることにより車両に固定される。詳しくは、運転席302を傷等から保護するために、剛性を有するシートサポート327がシートクッション303後端に配置されており、左右に細長い形状をなすリング部329の両端にベルト325が掛けられている。シートサポート327は、シートクッション303後端からシートバック304下端に亘って略L字形に延びるプレート部328を備えており、運転席302の後方(つまり車両の後席側)から運転席302の下面に沿ってプレート部328を挿入するようにして取り付けられる(図44参照)。なお、ベルト325は、図示しない汎用のベルト締付器(いわゆる荷締め器)を介して左右のそれぞれでループ状に構成されており、このベルト締付器によって締付操作がなされる。後述するように、ベルト325を介して締付・固定した状態において、脚部312の下端が車体フロア306に当接し、フレーム311の上端がシートバック304上部に当接する。
次に、車両自動運転装置301を構成する各部をより詳細に説明する。
[フレーム311・脚部312の構成]
図52〜図54は、フレーム311および脚部312の構成を示している。フレーム311は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いて中空管状に構成したものであり、メインフレーム315と、サブフレーム316と、を備えており、両者が一体に構成されている。詳しくは、いくつかの部分に区分して成形したものを互いに接合して一体化してある。
メインフレーム315は、平面視(図47のように車両上方から見た状態をいう)において略U字形をなす。つまり、メインフレーム315は、車両前後方向に斜めに延びる一対のメインビーム315aと、これら一対のメインビーム315aの上端を互いに連結する上下に拡がった帯状をなす水平方向に沿った横ビーム315bと、を有する。車両搭載状態では、横ビーム315bがシートバック304の上部に当接し、ここからメインビーム315aがシートクッション303前端へ向かって斜め下方へ直線的に延びた姿勢となる。
メインビーム315aは、矩形断面を有し、上下方向の寸法が長手方向(車両前後方向)の中央部で比較的小さく、後端部で上下方向に拡がって横ビーム315bに段差なく連続している。上下方向の寸法は、脚部312が取り付けられる前端部で中央部よりも僅かに拡大している。
また、矩形断面の幅方向寸法は、後端部から中央部に至る範囲では概ね一定である。そして、中央部から前端部へ向かって矩形断面の幅方向寸法が徐々に拡大する。脚部312が取り付けられる前端部においては、脚部312の取付部を構成するように矩形断面の幅方向の寸法が脚部312の投影面積に比較して十分に大きくなっており、かつ、サブフレーム316に連続するように互いに内側へ張り出している。
一対のメインビーム315aは、互いに対称形状をなしている。ここで、メインフレーム315の平面視においては、図47に示すように、全体として樽型をなすように各々のメインビーム315aがアーチ状に湾曲している。換言すれば、一対のメインビーム315aの間の間隔が、車両前後方向の中央部付近で大きくなっており、後端部(横ビーム315b)および前端部での間隔は中央部に比較して小さくなっている。
また側面視においては、メインビーム315aは完全な直線状ではなく、シートバック304とシートクッション303とがなす形状に相対的に近付くように、アーチ状に緩く湾曲している(図53参照)。
一対のメインビーム315aの中央部の上面には、帯状をなすベルト325が通るベルトループ326がそれぞれ取り付けられている。ベルトループ326は、偏平なU字形をなす金属部材からなり、メインビーム315aの表面との間に生じる隙間を通してベルト325がメインビーム315aに装着される。メインビーム315aの中で、このベルトループ326が位置する中央部が最も細く(メインビーム315aの周囲長が短い)なっており、かつ一対のメインビーム315aの間隔が最も広い。このようにベルト325が装着される箇所で一対のメインビーム315aが幅方向外側へ膨らんでいることで、図44に示すように、車両搭載状態においてシートサポート327から延びるベルト325がシートクッション303等と干渉することなく比較的真っ直ぐに(つまり車両前後方向に対し傾かずに)配置されることとなる。従って、ベルト325がシートクッション303やシートバック304の側縁に食い込んでしまうことがなく、シートクッション303やシートバック304の損傷が抑制される。なお、一実施例では、ベルト325の装着位置の調整が可能なように、複数個のベルトループ326が直列に並んで配置されている。
メインフレーム315の横ビーム315bは、シートバック304の基本的な傾斜角に沿うように僅かに傾いた略長方形の板状をなしており、車両搭載状態においてシートバック304の上端部付近に当接するシートバック当接部を構成している。シートバック304の傾斜をリクライニング機構により適宜に調整することで、横ビーム315bの略長方形をなす外側面がシートバック304に広く面接触する。ここで、シートバック304に当接するフレーム311の肩部つまり横ビーム315bの上縁両端部(メインビーム315aに連なるコーナ部)の表面には、適宜な弾性を有するエラストマからなるラバー部330がそれぞれ設けられている。
ペダルアクチュエータ341やシフト用アクチュエータ434の作動に伴う前後方向の反力がフレーム311に作用したときに、フレーム311の後端となる両肩部がシートバック304に強く圧接するが、この部分に弾性を有するラバー部330を備えることで、シートバック304の損傷が抑制される。さらにこのラバー部330は、シートバック304の表皮に対する滑り止めとしても機能する。ラバー部330は、例えばフレーム311の最終的な成形時に同時に貼着することができるが、後工程で接着するようにしてもよい。
また、シートバック304は、一般に、内部の材質(ひいては硬度)が互いに異なる上部パッド部304aと下部パッド部304bとを有しているが、両者の境界となる表皮の縫い目304cに概ね沿って横ビーム315bの下縁(つまりシートバック当接部の下縁)が位置するように、メインフレーム315の各部の基本的な寸法が設定されている(図54参照)。シートバック304の具体的な構成は、勿論車種によって異なるが、多くの場合、上部パッド部304aと下部パッド部304bとの境界の位置は概ね一定である。縫い目304cは相対的に窪んでいるので、この縫い目304cの位置にメインフレーム315の横ビーム315bを合わせて車両に搭載することで、車両自動運転装置301の位置決めが容易になるとともに、フレーム311の姿勢が安定する。なお、車種によっては、このような縫い目304cの位置と無関係に車両自動運転装置301を搭載することも勿論可能である。
サブフレーム316は、上述したように樽型をなすように膨らんだメインフレーム315の内側に位置している。サブフレーム316は、平面視において全体として略U字形をなしており、互いに平行に位置する一対の直線状をなすサブビーム316aと、これら一対のサブビーム316aの下端を互いに連結する中空プレート状の横ビーム316bと、横ビーム316bの下端から折れ曲がった形で前方へ延びる接続ボックス支持部316cと、を有する。
一対のサブビーム316aと横ビーム316bとは、メインフレーム315の傾斜に対応した一つの傾斜した平面に沿って延びている。換言すれば、傾斜した帯状ないし細長い長方形の母材からU字形の切欠部を切り取ったかのような形に一対のサブビーム316aと横ビーム316bとが形成されている。サブビーム316aは、それぞれ正方形に近い矩形断面を有している。このような傾斜したサブビーム316aおよび横ビーム316bに対し、接続ボックス支持部316cは、車両搭載状態において水平面に沿ったものとなるように形成されている。従って、サブビーム316aおよび横ビーム316bと、接続ボックス支持部316cとは、所定の角度を有して連続している。
水平面に沿った配置となる接続ボックス支持部316cは、メインフレーム315の一対のメインビーム315aの前端部の間に挟まれて位置し、かつ互いに一体化されている。つまり、平面視において略U字形をなすメインフレーム315は、接続ボックス支持部316cを介して閉構造に構成されている。また、サブビーム316aの後端(つまり上端)は、メインフレーム315の横ビーム315bの下縁内側面に接続されている。なお、メインフレーム315とサブフレーム316とは、前述したように、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた成形品として一体化されている。
側面視においては、図52,図53に示すように、サブフレーム316の全体的な傾斜とメインフレーム315の全体的な傾斜とがほぼ対応している。但し、メインビーム315aが緩く湾曲しているのに対し、サブビーム316aは直線状に延びている。サブフレーム316は、外側を囲むメインフレーム315を補強すると同時に、後述するように可動ユニット401をスライド可能に支持する支持部材およびガイド部材として機能する。
接続ボックス406は、中空管状をなすサブフレーム316の接続ボックス支持部316cに埋め込まれた形に配置されている。つまり、接続ボックス406の上面の表示パネル409が接続ボックス支持部316cの上面に沿って位置しており、内部の機構はサブフレーム316の中空部に収容されている。表示パネル409は、液晶等からなる表示部409aを有するとともに、複数の小型のコネクタ409bを備えている。また、後述するLEDライト376をオン・オフ操作するライトスイッチ409cが表示パネル409上に配置されている。接続ボックス支持部316cの下面には、図51に示すように、接続ボックス406の金属板からなる下部カバー408が着脱可能に取り付けられている。
また、図51に示すように、接続ボックス406の下部後方に、比較的大型のメインコネクタ407が配置されている。このメインコネクタ407は、サブフレーム316の横ビーム316bの下方に位置し、後方を指向するように設けられている。このメインコネクタ407には、外部の制御装置から車両内に引き込まれたケーブル(図示せず)の先端の比較的大型の集中コネクタ416(図51参照)が接続される。
可動ユニット401と接続ボックス406とを電気的に接続する前述した平帯状にまとめられたケーブル400は、メインコネクタ407の上方において接続ボックス406に接続されており、サブフレーム316の一対のサブビーム316aの間を通って可動ユニット401に達している。このケーブル400は、チェーン状の保護部材によって外周側へは湾曲し得ない構成となっており、サブビーム316aの傾斜にほぼ沿ってU字形ないしJ字形の形を保ちつつ可動ユニット401の移動を許容している。
図51、図53に示すように、一対のサブビーム316aの各々の下面には、後述するように可動ユニット401をスライド可能に案内するための金属製のガイドレール320が取り付けられている。チャンネル状をなすガイドレール320は、レール面が下方を指向した形で取り付けられており、サブビーム316aの後端(つまり上端)付近から一部が横ビーム316bの範囲に重なるようにしてサブビーム316aの全長に亘って延びている。
サブフレーム316の接続ボックス支持部316cを介して互いに連結されているU字の開放端側となるメインフレーム315の下端(前端)の下面つまり一対のメインビーム315aの前端の下面には、円盤型をなす脚部取付座部333がそれぞれ形成されている。この脚部取付座部333に、円筒状の脚部312がそれぞれ取り付けられている。脚部312は、上端に該脚部312の中心線に沿って突出した図示する雄ネジを備えており、他方、脚部取付座部333は、中心に図示しない金属製のナット部を備えており、脚部312の雄ネジを上記ナット部にねじ込むことによって、脚部312が着脱可能に取り付けられている。例えば、車両自動運転装置301を車両へ搭載する際に、脚部312を取り外した状態でフレーム311を運転席302上に配置し、その後に脚部312を取り付けることが容易である。
図示した実施例では、脚部312の下端に高さ調整ネジ313を備えており、車両に搭載した状態で車体フロア306に脚部312が確実に当接するように微調整が可能である。
メインビーム315aの下端(前端)の上面には、球状をなすオプション部品取付部314がそれぞれ設けられている。このオプション部品取付部314は、平面視において脚部312と重なり合う位置にある。つまり、メインビーム315aを挟んで下面側に脚部312が位置し、上面側にオプション部品取付部314が位置する。このオプション部品取付部314は、任意のオプション部品、例えば空調装置用アクチュエータなどを取り付けるために用いられる。
一対のメインビーム315aの前端面には、車両幅方向に延びるペダルアクチュエータ支持用スライドレール331が取り付けられており、このペダルアクチュエータ支持用スライドレール331によって一対のメインビーム315aが互いに連結されている。
スライドレール331は、背面に左右一対のレール支持ブラケット332を備えており、これらのブラケット332を介して、車両前方を向くようにメインビーム315aの前端面に取り付けられている。スライドレール331は、十分な剛性を有するように金属材料から細長い板状に形成されており、図示例では、レール支持ブラケット332と一体に形成されている。略U字形をなすメインフレーム315の開放端は、このペダルアクチュエータ支持用スライドレール331によって閉じられた形となる。つまり、図47に示すように、メインフレーム315とスライドレール331とによって平面視で閉じた四角形ないし樽形が構成される。
ペダルアクチュエータ支持用スライドレール331は、前面側の上縁および下縁に、それぞれ断面半円形をなす第1ガイド面331aおよび第2ガイド面331bを備えており、これらの第1,第2ガイド面331a,331bによってペダルアクチュエータサポート351をスライド可能に支持している。図43〜図54の例では、3つのペダルアクチュエータ341(アクセルペダルアクチュエータ341A、ブレーキペダルアクチュエータ341B、クラッチペダルアクチュエータ341C)に対応して3つのペダルアクチュエータサポート351を備えている。ペダルアクチュエータサポート351の詳細およびこれに取り付けられる各ペダルアクチュエータ341の詳細は後述する。なお、図示例では、全体として細長い板状をなすペダルアクチュエータ支持用スライドレール331に、軽量化のための多数の開口部が設けられているとともに、不要な部分の肉抜きがなされており、これにより、第1ガイド面331aおよび第2ガイド面331bを構成する上縁部分および下縁部分が、断面半円の棒状の外観を呈している。
図54は、フレーム311を運転席302に搭載した状態を示している。前述したように、運転席302の背部に設けられるシートサポート327との間にベルト325が架け渡され、このベルト325を図示しない締付器で締め付けることによってフレーム311が運転席302上で固定されている。このような搭載状態において、フレーム311は、シートバック304の上端部からシートクッション303の前端へと斜め下方へ延びた姿勢となる。詳しくは、メインフレーム315の帯状をなす横ビーム315bがシートバック当接部としてシートバック304の上部に広く面接触し、ここからメインビーム315aがシートクッション303の前端へ向かって斜めに延び、メインビーム315aの前端がシートクッション303の前端から僅かに突出した状態となる。
脚部312は、フレーム311の前端からシートクッション303前端に沿うようにして下方へ延びており、高さ調整ネジ313を具備した下端が車体フロア306に当接している。脚部312は、基本的に、車体フロア306上で垂直となる姿勢に配置される。
図44の矢印F1,F2,F3は、ベルト325の締付により支持点に生じる荷重を示している。フレーム311のベルトループ326に係止されたベルト325の締付によって、フレーム311は、矢印F1で示すように、斜め下方へ引っ張られる。この引張力により、脚部312は矢印F2で示すように車体フロア306に圧接する。また、フレーム311上端(後端)のシートバック当接部つまり横ビーム316bが矢印F3で示すようにシートバック304上端部に圧接する。メインフレーム315やサブフレーム316を含むフレーム311は、シートクッション303には支持されていない。つまり、フレーム311は、脚部312とシートバック当接部の2点と、これら2点の中間部におけるベルト325の張力作用点(ベルトループ326付近)と、の計3点によって固定される。
図44から明らかなように、車両に対する固定点である脚部312下端とシートバック当接部とを結ぶ線分(仮想の直線)のほぼ中央付近にベルト325の張力作用点(ベルトループ326)が位置し、しかも上記線分に対して概ね直交する方向にベルト325の引張力が作用するので、フレーム311が効率的にかつ堅固に固定・支持される。
一般にシートクッション303が乗り心地確保のために柔軟に構成されるのに比較してシートバック304は衝突時の耐荷重性確保のために堅固に構成されている。従って、ベルト325を十分に締め付けて大きな引張荷重を与えることが可能であるとともに、シートクッション303上に載置されている場合に比較してフレーム311の支持が堅固となる。
図44、図54に示すように、トランスミッションアクチュエータユニット431やペダルアクチュエータ341等を含む車両自動運転装置301全体の荷重は、やはり、脚部312とシートバック当接部の2箇所に作用し、シートクッション303には作用しない。換言すれば、車両の車体フロア306とシートバック304との2箇所で車両自動運転装置301の荷重を支持する形となる。上述したようにシートバック304は堅固に構成されているので、車両自動運転装置301の支持が確実となり、試験中の車両振動による車両自動運転装置301の振動や種々のアクチュエータの作動時の反力による車両自動運転装置301の位置ズレなどが抑制される。例えば、図44から理解できるように、ペダルアクチュエータ341の作動時の反力は、斜め上方に作用するが、その反力作用線上に概ね沿ってシートバック当接部(横ビーム316b)が位置するので、堅固なシートバック304によって反力が確実に支承される。
また図示例では、フレーム311の肩部となる横ビーム316bの上縁両端部にラバー部330が設けられているので、シートバック304の表皮の損傷が抑制される。そして、このラバー部330は、滑り止めとしても機能し、ペダルアクチュエータ341の作動時の反力によるフレーム311全体の前後方向の変位が抑制される。
[可動ユニット401の構成およびスライド構造]
図50は、フレーム311に可動ユニット401を組み付けた状態を示し、図55および図56は、可動ユニット401を単体状態で示している。
図50に示すように、可動ユニット401は、フレーム311の中に位置し、詳しくは、メインフレーム315の一対のメインビーム315aの間に位置している。
可動ユニット401は、図55、図56に示すように、一対のサブビーム316aによって支持される可動フレーム402と、この可動フレーム402の上端ないし上面に位置する剛性を有するアクチュエータ支持プレート405と、を備えている。
可動フレーム402は、可動フレーム402の側面を構成する左右一対のサイドフレーム403と、この一対のサイドフレーム403の間に挟まれた断面三角形の箱状をなす第2接続ボックス404と、を備えている。
各々のサイドフレーム403は、フレーム311と同様に例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いて一部材として構成されたものであって、側面視において頂角が鈍角となった略三角形をなしている。つまり、車両搭載状態において基本的に水平となる一辺403aと、この辺403aの前端から斜め下方へ延びる一辺403bと、サブビーム316aに沿って傾斜する底辺403cと、を有する略三角形状をなしている。そして、トラス構造をなすように複数の窓部が開口形成されている。
一対のサイドフレーム403は、第2接続ボックス404によって互いに連結されている。第2接続ボックス404は、サイドフレーム403の辺403bに沿った前壁404aと、サイドフレーム403の底辺403cと平行となるように傾斜した後壁404bと、サイドフレーム403に隣接した一対の側壁404cと、を有し、内部空間に図示しない配線類が収容されている。接続ボックス406から延びる前述した平帯状のケーブル400の先端は、後壁404b側から第2接続ボックス404に接続されている。
一対のサイドフレーム403の底辺403cには、略長方形の板状をなすスライダカバープレート411がそれぞれ取り付けられている。一対のスライダカバープレート411は、各々のサイドフレーム403から互いに内側へ張り出すように設けられている。つまり、一対のサイドフレーム403は、サブビーム316aの車両幅方向外側に隣接して位置し、サイドフレーム403の各々の底辺403cからサブビーム316aの下面を覆うようにスライダカバープレート411が突出している。サブビーム316aの下面に対向する各々のスライダカバープレート411の上面には、前述したサブビーム316a下面のガイドレール320に対応した前後2つのスライダ410が取り付けられている(図56参照)。スライダ410は、チャンネル状をなすガイドレール320とスライド可能に係合する。このスライダ410とガイドレール320との係合によって、可動ユニット401の荷重が支持され、かつ、可動ユニット401がサブビーム316aに沿った方向にスライド可能に案内される。
ガイドレール320やスライダ410としては、市場で入手可能な汎用の部品を利用することができる。スライダ410は、前後2箇所にあり、可動ユニット401全体として四角形の頂点をなすように計4箇所に配置されているので、可動ユニット401の移動(位置調整に際してのスライド操作)が円滑となり、また、トランスミッションアクチュエータユニット431作動時に可動ユニット401に作用する反力に対する剛性が高く得られる。しかも、ガイドレール320とスライダ410との組み合わせによるガイド機構は、一般に、ガイドレール320の幅方向(取付面に沿った方向)における剛性ないし案内精度が高い。そのため、鉛直方向下方へ向かった姿勢で一対のガイドレール320を配置した図示の構成とすることで、可動ユニット401の車両幅方向についての支持剛性が高く得られる。
なお、前後2箇所のスライダ410の少なくとも一方は、自重による可動ユニット401の移動が生じない程度にガイドレール320との間でフリクションを与える構成であることが望ましい。
各々のスライダカバープレート411には、さらに、該スライダカバープレート411を貫通したネジ孔に螺合する固定ネジ413が設けられている。この固定ネジ413は、手指にて回転操作可能なように構成されており、先端が2つのスライダ410の間で図示せぬパッドないしシューを押圧する。つまり、この固定ネジ413をガイドレール320へ向かってねじ込むと、ネジ先端がパッドないしシューを介してガイドレール320に圧接し、これにより、可動ユニット401が移動しないようにスライド機構がロックされる。作業者は例えばシートクッション303ないしシートバック304とメインフレーム315との間に生じる隙間を通して固定ネジ413に容易にアクセスすることができる。
金属板からなるアクチュエータ支持プレート405は、平面視において長方形状をなしており、三角形をなすサイドフレーム403の水平となる辺403aに沿って配置されている。このアクチュエータ支持プレート405は、サイドフレーム403の辺403aの上面に取り付けられており、平行に位置する一対のサイドフレーム403を互いに連結している。アクチュエータ支持プレート405の車両幅方向の寸法は、一対のサイドフレーム403により形成される車両幅方向の寸法よりも大きく、従って、アクチュエータ支持プレート405の両側の側部は、それぞれサイドフレーム403よりも外側へ突出している。第2接続ボックス404は、アクチュエータ支持プレート405の下面を覆うように取り付けられている。なお、平面視においては、アクチュエータ支持プレート405は可動フレーム402の前寄りに片寄って位置しており、サイドフレーム403の後端部がアクチュエータ支持プレート405から後方へ突出している。
アクチュエータ支持プレート405の上面には、後述するようにトランスミッションアクチュエータユニット431が着脱可能に取り付けられる(図57,図58参照)。このトランスミッションアクチュエータユニット431の取付のために、長方形状をなすアクチュエータ支持プレート405の四隅の中の2箇所に、ロック孔421aを備えたグロメット421がそれぞれ埋設されている。つまり、グロメット421は、前側グロメット421Aと後側グロメット421Bとを含んでおり、両者が四角形の対角線上に配置されている。これらはいずれも同一の構成であるので、個々に区別する必要がない場合には、グロメット421と総称する。
同様に、アクチュエータ支持プレート405には、トランスミッションアクチュエータユニット431との間で電気的接続を行うためのトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423が設けられている。トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423は、前側コネクタ423Aと後側コネクタ423Bとを含んでいる。前側コネクタ423Aは、アクチュエータ支持プレート405の前側に位置し、前側グロメット421Aに隣接している。後側コネクタ423Bは、アクチュエータ支持プレート405の後側に位置し、後側グロメット421Bに隣接している。これらはいずれも同一の構成であるので、個々に区別する必要がない場合には、トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423と総称する。これらのトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423としては、アクチュエータ支持プレート405の上面(つまりトランスミッションアクチュエータユニット431の取付面)から上方へ端子片が突出し、かつ相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成された形式のコネクタが用いられている。また、トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423は、相手側のコネクタとの間で位置決めないし挿入時の案内を行うためのガイドピン423aおよびガイドスリーブ423bを備えた形式となっている。なお、トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423としては、市場で入手可能な汎用の部品を用いることができる。トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423の各端子は、第2接続ボックス404内に収容された配線に接続されており、最終的には、第2接続ボックス404からケーブル400を介して接続ボックス406に接続されている。
アクチュエータ支持プレート405の前側に位置する前側グロメット421Aおよび前側コネクタ423Aと、アクチュエータ支持プレート405の後側に位置する後側グロメット421Bおよび後側コネクタ423Bと、は、長方形状をなすアクチュエータ支持プレート405の中心を対称点とした点対称の関係にある。つまり、180°回転させたときに互いに重なる配置・構成となっている。
また、アクチュエータ支持プレート405は、トランスミッションアクチュエータユニット431を位置決めするための四角形のロケート用開口部424を備えている。ロケート用開口部424は、前側ロケート用開口部424Aと後側ロケート用開口部424Bとを含んでいる。前側ロケート用開口部424Aは、アクチュエータ支持プレート405の前側において、前側グロメット421Aとは車両幅方向で反対側となる位置に配置されている。後側ロケート用開口部424Bは、アクチュエータ支持プレート405の後側において、後側グロメット421Bとは車両幅方向で反対側となる位置に配置されている。前側ロケート用開口部424Aと後側ロケート用開口部424Bとは、やはり長方形状をなすアクチュエータ支持プレート405の中心を対称点とした点対称の関係にある。
さらに、アクチュエータ支持プレート405の左右それぞれの側縁には、トランスミッションアクチュエータユニット431を位置決めするための略U字形をなすロケート用切欠部425がそれぞれ設けられている。この2つのロケート用切欠部425は、左右それぞれの側縁の中央に位置し、かつ互いに線対称および点対称となる関係にある。
図48〜図50は、可動ユニット401の上面にトランスミッションアクチュエータユニット431が取り付けられた状態を示しているが、特に、可動ユニット401のフレーム311に対する位置調整を説明するための図である。前述したように、可動ユニット401は、フレーム311のサブビーム316aに沿って上下に(つまり前後に)スライドさせることができる。図48は、可動ユニット401を比較的高い位置に設定した状態を示しており、図49、図50は、可動ユニット401を比較的低い位置に設定した状態を示している。このような可動ユニット401の位置調整によって、トランスミッションアクチュエータユニット431の高さ位置ひいてはグリップハンド468の基本的な高さ位置が変化し、車種によって高さないし長さが異なるシフトレバーに広く対応することが可能となる。
ここで、図48のように可動ユニット401の位置を高くすると、トランスミッションアクチュエータユニット431が相対的に後退し、図49等のように可動ユニット401の位置を低くすると、トランスミッションアクチュエータユニット431が相対的に前進した位置となるが、このような前後方向の変化は、前後方向に動作するシフト用アクチュエータ434の初期位置の設定によって吸収可能である。例えば、仮に図48の場合と図49の場合とで車両におけるシフトレバーの前後位置が同一であると仮定すると、図48のように可動ユニット401の位置を高くすると相対的にシフトレバーまでの距離が長くなることになるが、この場合にはグリップハンド468が比較的長く突出した位置を制御の基準位置とすることで、容易に対応できる。
なお、後述するように、図示の実施例では、シフト用アクチュエータ434は、セレクト用アクチュエータ433に対して上下に揺動可能である。従って、この上下揺動によっても、シフトレバー頭部の高さ位置の多少の差異に対応することができる。
上記のような可動ユニット401(ひいてはトランスミッションアクチュエータユニット431)の上下・前後の位置調整は、車両自動運転装置301を図43等のように運転席302上に搭載した状態のまま行うことができる。従って、試行錯誤的な作業が不要であり、車両自動運転装置301を車両内に組み付けた後に、シフトレバーとの位置関係が最適となるように容易に調整が可能である。
[トランスミッションアクチュエータユニット431の構成および着脱構造]
トランスミッションアクチュエータユニット431は、可動ユニット401に対して簡単に着脱できる構成を有する。そして、可動ユニット401に対する取付姿勢(前後の向き)を180°反転させることで、いわゆる右ハンドル車用の態様と左ハンドル車用の態様とに容易に変更することができる。
図50、図51、図57は、可動ユニット401からトランスミッションアクチュエータユニット431を取り外した状態を示している。図59〜図64は、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット431を単体で示している。
前述したように、トランスミッションアクチュエータユニット431は、車両幅方向に沿ったセレクト操作を行うセレクト用アクチュエータ433と、車両前後方向に沿ったシフト操作を行うシフト用アクチュエータ434と、を組み合わせて構成されている。
トランスミッションアクチュエータユニット431は、比較的厚く剛性の高いベースプレート432を備え、このベースプレート432の上にセレクト用アクチュエータ433が構成されている。セレクト用アクチュエータ433は、車両幅方向に沿って細長い箱状をなすアクチュエータハウジング435を有し、このアクチュエータハウジング435がベースプレート432上に固定されている。また、アクチュエータハウジング435の長手方向中央部には、一方の側に箱状のコネクタカバー437を備え、他方の側に箱状のモータカバー438を備えている。なお、図示例では、コネクタカバー437はアクチュエータハウジング435と一体に連続している。
ベースプレート432は、平坦な板状をなし、図59、図60等に示すように、これらのアクチュエータハウジング435とコネクタカバー437とモータカバー438の三者の外側の輪郭に概ね沿った外形を有している。すなわち、ベースプレート432は、長手方向の両端部では幅(車両前後方向の寸法)が狭く、中央部では幅が広くなった形状を有している。
セレクト用アクチュエータ433は、モータカバー438の中に収容された電動モータおよび減速機の作用によりアクチュエータロッドとなるラック軸441が車両幅方向に移動するピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータである。ラック軸441は、後退状態においてはそのほぼ全体がアクチュエータハウジング435の中に収容されており、アクチュエータハウジング435の一方の端部(コネクタカバー437を前方へ向けたときに左手側となる端部)からラック軸441の先端部のみが突出している。このラック軸441の先端部に、後述するように、シフト用アクチュエータ434が支持されている。図43等に示したいわゆる右ハンドル車用の構成では、運転席302上に位置するフレーム311や可動ユニット401に対して左手側にシフト用アクチュエータ434が位置する。なお、ラック軸441は、シフト用アクチュエータ434の荷重を支承しつつ精度よく直線運動し得るように、アクチュエータハウジング435の内部の図示しないガイド機構によって案内されている。
図59、図60に示すように、コネクタカバー437の一側部(車両幅方向に沿った一方の側部)およびモータカバー438の反対側の一側部においては、ベースプレート432がアクチュエータハウジング435やコネクタカバー437およびモータカバー438の輪郭から張り出しており、対角線上に位置する一対の延長部432aとして形成されている。延長部432aを含めたベースプレート432中央部分の四角形の範囲は、可動ユニット401のアクチュエータ支持プレート405の外形状に対応した形状をなす。そして、この一対の延長部432aの各々に、前述した可動ユニット401側のアクチュエータ支持プレート405のグロメット421とともにロック機構443を構成するロックピン444が配設されている。ロックピン444は、下端部がベースプレート432の面から下方へ突出し、かつ、手指にて回転操作するための摘み部445を上端部に備えている。このロック機構443は、グロメット421のロック孔421aに挿入したロックピン444を一定角度(例えば90°ないし180°)回転させることで軸方向の締付を伴うロックが行われる汎用のスクリュー形式のものである(図57、図58参照)。
ここで説明の便宜のために、両者の区別が必要な場合は、コネクタカバー437側のロックピン444を第1ロックピン444Aと呼び、モータカバー438側のロックピン444を第2ロックピン444Bと呼ぶこととする。
一対のロックピン444は、それぞれアクチュエータ支持プレート405のグロメット421に係合する。詳しくは、図50等に示すように、いわゆる右ハンドル車用の態様では、アクチュエータ支持プレート405の前側に位置する前側グロメット421Aに第1ロックピン444Aが係合し、アクチュエータ支持プレート405の後側に位置する後側グロメット421Bに第2ロックピン444Bが係合する。一対のロック機構443をロック状態とすることで、ベースプレート432はアクチュエータ支持プレート405に対して締め付けられ、堅固に固定される。
また、ベースプレート432の底面においては、図62、図64に示すように、アクチュエータ支持プレート405におけるトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423に対応したトランスミッションアクチュエータ側コネクタ471が設けられている。このコネクタ471は、コネクタカバー437に覆われる位置にあり、特に、上述した右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405上に取り付けたときに、前側コネクタ423Aに対応することとなる位置に配置されている。コネクタ471は、アクチュエータ支持プレート405側のコネクタ423に対応して、端子片が浮動状態に構成されかつガイドピン471aおよびガイドスリーブ471bを備えた形式となっている。従って、コネクタ471,423同士で互いの位置が案内されることとなり、アクチュエータ支持プレート405の上にトランスミッションアクチュエータユニット431を載せ、かつロック機構443によりベースプレート432とアクチュエータ支持プレート405とを互いに締め付けるだけで、両コネクタ471,423の接続が完了する。
なお、ベースプレート432の上面側では、このコネクタ471の部分をコネクタカバー437が覆っている。コネクタ471に至る図示しないケーブルも、コネクタカバー437やアクチュエータハウジング435の内部を通して配線されており、外部には露出していない。
ベースプレート432において上記トランスミッションアクチュエータ側コネクタ471と点対称となる位置には、該コネクタ471と同様の大きさの長方形状をなす開口部475が開口形成されている。上述した右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405上に取り付けたときに、使用されていない後側コネクタ423Bのガイドピン471a等を含む突出部分は、開口部475に受容される。つまり、使用されていない後側コネクタ423Bがベースプレート432に干渉することがない。
さらに、ベースプレート432の底面には、コネクタ471を保護するための脚部476が角柱状に突出して設けられている。脚部476は、モータカバー438の下方位置にある第1脚部476Aと、ベースプレート432の中心線上で互いに左右に離れて位置した第2脚部476Bおよび第3脚部476Cと、を含んでいる。詳しくは、第1脚部476Aは、上述した右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405上に取り付けたときにアクチュエータ支持プレート405の後側ロケート用開口部424Bに対応する位置に配置されており、この後側ロケート用開口部424Bに比較的密に嵌合する。第2脚部476Bおよび第3脚部476Cは、同じく右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405上に取り付けたときに、アクチュエータ支持プレート405の左右の側縁に設けられた一対のロケート用切欠部425にそれぞれ対応する位置にあり、このロケート用切欠部425に比較的密に係合する。
これら3つの脚部476がアクチュエータ支持プレート405の後側ロケート用開口部424Bおよびロケート用切欠部425に係合することで、トランスミッションアクチュエータユニット431はアクチュエータ支持プレート405に対して確実に位置決めされる。つまり、トランスミッションアクチュエータユニット431を取り付ける際のガイドとなるとともに、取り付けた後は、アクチュエータ支持プレート405に対する支持剛性の向上に寄与する。脚部476がロケート用開口部424およびロケート用切欠部425に比較的密に係合することで、例えば、トランスミッションアクチュエータユニット431の動作時の反力による位置ズレが抑制される。
なお、脚部476は、トランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405に載せる際に、コネクタ423,471同士が干渉する前に、該脚部476がロケート用開口部424ないしロケート用切欠部425に入り込んでトランスミッションアクチュエータユニット431の取付位置の案内がなされるように、その突出長を設定することが望ましい。
また3つの脚部476は、同一の突出長を有し、かつこの突出長は、ベースプレート432底面におけるロックピン444の突出長やコネクタ471のガイドピン471aおよびガイドスリーブ471bの突出長よりも大きい。従って、取り外し状態にあるトランスミッションアクチュエータユニット431を適当な置き台の上に載せたときに、これら3つの脚部476によってトランスミッションアクチュエータユニット431を支持することができ、かつロックピン444やコネクタ471が置き台と干渉することがない。
さらに、ベースプレート432の底面には、第1脚部476Aに隣接した位置に、セレクト用アクチュエータ433をロックするためのストッパ機構482(図67参照)を構成するストッパピン481が設けられている(図64参照)。このストッパピン481は、ベースプレート432の底面と直交する方向に沿って進退可能に配置されているとともに、内部のコイルスプリング485(図66参照)によって突出方向に常時付勢されている。このストッパピン481は、トランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405に取り付けた状態では、アクチュエータ支持プレート405の上面に当接し、該アクチュエータ支持プレート405に押されて後退する。つまり、ストッパピン481は、トランスミッションアクチュエータユニット431が取り外されている場合の自由状態における突出位置と、トランスミッションアクチュエータユニット431がアクチュエータ支持プレート405に取り付けられていて該アクチュエータ支持プレート405に押されているときの後退位置と、を有する。そして、ストッパピン481の突出位置では、内部のストッパ機構482がセレクト用アクチュエータ433をロックつまり固定し、ストッパピン481の後退位置ではストッパ機構482はセレクト用アクチュエータ433を解放つまり自由状態とする。
図66および図67は、ストッパ機構482の一例を示している。セレクト用アクチュエータ433の電動モータは、傘歯歯車483を介して歯車列からなる減速機484を駆動し、これによりラック軸441が進退するように構成されているが、ストッパ機構482として、減速機484の中の1つの歯車484aとストッパピン481の爪片481aとが噛み合う構成となっている。つまり、ストッパピン481が突出位置にあると、該ストッパピン481の爪片481aが歯車484aと係合し、これにより減速機484の回転が不能となる。一方、ストッパピン481が後退位置にあるときには、ストッパピン481の爪片481aと歯車484aとがストッパピン481の軸方向に離れた位置となり、歯車484aの自由な回転が可能となる。
従って、トランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405から取り外して持ち上げたときには、ストッパピン481がコイルスプリング485によって突出することで、セレクト用アクチュエータ433がロックされる。従って、ラック軸441が重力でもって突出するようなことがない。一方、トランスミッションアクチュエータユニット431をアクチュエータ支持プレート405上に取り付けた状態では、自然にロックが解放され、セレクト用アクチュエータ433の動作が可能となる。
突出位置におけるストッパピン481の突出長は、ベースプレート432の底面における3つの脚部476の突出長よりも短く設定されている。従って、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット431を床面等に置いてもロックが外れることがない。また床面等との衝突によるストッパピン481の不要な損傷も回避される。
図48、図49等に示すように、アクチュエータ支持プレート405の上にトランスミッションアクチュエータユニット431が取り付けられた状態では、ベースプレート432の延長部432aを含む前縁(コネクタカバー437側の縁部)の外形状がアクチュエータ支持プレート405の前縁形状にほぼ対応している。アクチュエータ支持プレート405の後縁側では、同様にベースプレート432の延長部432aを含む後縁(モータカバー438側の縁部)の外形状がアクチュエータ支持プレート405の後縁形状にほぼ対応している。右ハンドル車用の態様では使用されていない後側コネクタ423Bはモータカバー438部分のベースプレート432によって覆われている。つまり、使用されていない後側コネクタ423Bが露出することがない。
また、平面視においてアクチュエータ支持プレート405はメインフレーム315の内側にある。一方、車両幅方向にサブフレーム316から突出するアクチュエータハウジング435の左右両端部は、メインフレーム315のメインビーム315aよりも上方の高さ位置にある(図44等参照)。従って、アクチュエータハウジング435とメインビーム315aとが干渉することなく前述した可動ユニット401およびトランスミッションアクチュエータユニット431の上下・前後スライドが可能である。なお、可動ユニット401を最大限に後退させた位置および最大限に前進させた位置においても、アクチュエータハウジング435とメインビーム315aとが干渉しない関係に各部が設定されている。
アクチュエータハウジング435の上面435aには、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット431を作業者が持ち運びできるように、作業者によって把持可能な略U字形のハンドル436が取り付けられている。このハンドル436は、シフト用アクチュエータ434を含むトランスミッションアクチュエータユニット431全体の重心位置に対応した位置に配置されている。従って、ハンドル436を介して持ち上げたときにトランスミッションアクチュエータユニット431が大きく傾くことがなく、搬送作業が容易になることに加えて、可動ユニット401に対する脱着作業が容易となる。
上記のように、トランスミッションアクチュエータユニット431は、一対のロック機構443を緩めるだけで可動ユニット401から取り外すことが可能である。そして、逆に、可動ユニット401の上にトランスミッションアクチュエータユニット431を載せ、一対のロックピン444を手指で回転させてロック機構443をロック状態とすることで、可動ユニット401に取り付けることができる。取付と同時にコネクタ423,471による電気的接続がなされ、外部でのケーブルの接続等は不要である。
従って、車両自動運転装置301を車両に搭載するに際して、フレーム311(可動ユニット401)からトランスミッションアクチュエータユニット431を取り外した状態としておき、フレーム311を運転席302上に固定・支持した後に車内でトランスミッションアクチュエータユニット431を可動ユニット401に取り付けることができる。逆に車両自動運転装置301を車両から取り外す際にも、先にトランスミッションアクチュエータユニット431を取り外すことが容易である。これにより、ドア開口部を通した車内への車両自動運転装置301の搬入・搬出が容易となる。トランスミッションアクチュエータユニット431を取り外した状態では、ストッパピン481を用いたストッパ機構482によってセレクト用アクチュエータ433のラック軸441が固定されるので、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット431の取り扱いが容易となる。自重によるラック軸441の突出が生じないので、例えば不用意にラック軸441が突出してドア開口部を傷付けてしまうようなことがない。
一方、可動ユニット401から取り外したトランスミッションアクチュエータユニット431は、前後を180°反転させて可動ユニット401に取り付けることが可能である。これにより、シフトレバーが運転席302の右側に位置する車両つまりいわゆる左ハンドル車に容易に対応することができる。
右ハンドル車用におけるトランスミッションアクチュエータユニット431の取付姿勢に対してトランスミッションアクチュエータユニット431の取付姿勢を180°反転させた左ハンドル車用の態様では、図68、図69に示すように、モータカバー438が前側に、コネクタカバー437が後側に、それぞれ位置する。トランスミッションアクチュエータユニット431に対角線上に配置された一対のロックピン444は、それぞれ右ハンドル車用の態様とは異なる対角線上のグロメット421と組み合わせられ、摘み部445による回転操作によってロックがなされる。つまり、前側グロメット421Aに第2ロックピン444Bが係合し、後側グロメット421Bに第1ロックピン444Aが係合する。
また、トランスミッションアクチュエータ側コネクタ471は、アクチュエータ支持プレート405の後側コネクタ423Bと接続される。このとき、使用されない前側コネクタ423Aは、ベースプレート432の開口部475に受容され、ベースプレート432との干渉が回避されるとともに、外部に露出することがない。さらに、ベースプレート432下面の3つの脚部476は、アクチュエータ支持プレート405の前側ロケート用開口部424Aおよび左右一対のロケート用切欠部425に比較的密に係合する。
なお、右ハンドル車用の取付姿勢と左ハンドル車用の取付姿勢のいずれでも、セレクト用アクチュエータ433のラック軸441の中心は、等しい位置にあり、互いに変化しない。つまり、アクチュエータ支持プレート405の前後方向中央に常にラック軸441が位置する。
[シフト用アクチュエータ434の構成および着脱構造]
前述したようにシフト用アクチュエータ434は、セレクト用アクチュエータ433のラック軸441の先端部に支持されているが、このシフト用アクチュエータ434はラック軸441の先端部から簡単に着脱できる。さらに、セレクト用アクチュエータ433に対するシフト用アクチュエータ434の取付姿勢を前後反転可能なように構成されている。すなわち、上述した右ハンドル車用の態様と左ハンドル車用の態様との間での変更に伴ってトランスミッションアクチュエータユニット431の取付姿勢を180°反転させた場合に、多くの車種では、セレクト用アクチュエータ433のラック軸441よりもシフトレバーの位置が前側にあるので、シフト用アクチュエータ434の向き(つまりグリップハンド468が前後のどちら側にあるか)を変更する必要が生じる。本実施例では、シフト用アクチュエータ434の前後方向が容易に反転する。
図63および図64は、セレクト用アクチュエータ433からシフト用アクチュエータ434を取り外した状態を示している。なお、これらの図におけるシフト用アクチュエータ434の向き(セレクト用アクチュエータ433に対する姿勢)は、図43等のいわゆる右ハンドル車用の態様に相当する。
セレクト用アクチュエータ433のアクチュエータハウジング435から進退するラック軸441は、角柱状をなしており、その先端部に、回転自在に支持されたジョイント452を介してL字形ブラケット451が取り付けられている。ジョイント452は、ラック軸441の長手方向と平行な回転中心軸を有し、L字形ブラケット451は、この回転中心軸を中心として揺動可能に支持されている。L字形ブラケット451は、ジョイント452の回転中心軸と平行な平面をなす長方形の取付面451aを有し、この取付面451aの両側に、該取付面451aから垂直に立ち上がった第1ガイド面451bおよび第2ガイド面451cを備えている。
ジョイント452の回転中心軸は、ラック軸441の下方にあり、かつ取付面451aは、ジョイント452の回転中心軸よりも下方にオフセットしている。従って、取付面451aは、ラック軸441の延長線上よりも下方に位置している。また、第1ガイド面451bおよび第2ガイド面451cは、ジョイント452の回転中心軸と直交する方向(換言すればラック軸441と直交する方向)に延びており、互いに平行である。
L字形ブラケット451の取付面451aの中心部には、ロック機構454を構成するロックピン455が配置されている。このロック機構454は、トランスミッションアクチュエータユニット431を固定するための前述したロック機構443と実質的に同一の汎用のスクリュー形式のロック機構であって、ロックピン455の下端には手指で回転操作するための摘み部456を備えている。
図62〜図65等に示すように、シフト用アクチュエータ434は、長方形の底面を有する箱状のアクチュエータハウジング461と、このアクチュエータハウジング461の内部に収容された減速機463と、この減速機463に接続された電動モータ465と、アクチュエータハウジング461の端部から先端部が突出したアクチュエータロッドとしてのラック軸466と、を備えている。ラック軸466は、歯部を除く基本形状として断面円形の棒状をなしている。アクチュエータハウジング461は、後方へと直線的に延びた円筒部461aを備えており、ラック軸466が後退位置にあるときはラック軸466の大部分がこの円筒部461aの中に収容されている。また、箱状をなすアクチュエータハウジング461の電動モータ465とは反対側となるコーナ部分は、傾斜面をなしている。
ラック軸466の先端に、前述したグリップハンド468が取り付けられている。このグリップハンド468は、二股状をなす固定フィンガー468aと、この固定フィンガー468aに対して開閉動作可能な可動フィンガー468bと、固定フィンガー468aに対する可動フィンガー468bの開閉動作ならびに締付固定を行う固定ネジ469と、を備えている。グリップハンド468は、図示しないシフトレバー頭部のノブないしグリップを把持するものであるが、固定ネジ469を介したフィンガー468a,468bの開閉調整によって、形状や大きさが異なる種々のノブないしグリップの把持が可能である。
アクチュエータハウジング461の底面は、剛性の高い比較的に厚肉の底部プレート461bによって構成されており、この底部プレート461bは、図64に示すように、ラック軸466の長手方向が長辺となる長方形をなしている。また、底部プレート461bの短辺側の幅は、上述したL字形ブラケット451の取付面451aの幅つまり第1ガイド面451bと第2ガイド面451cとの間の間隔に実質的に等しい。つまり、底部プレート461bは、L字形ブラケット451の第1,第2ガイド面451b,451cに挟まれた取付面451aに比較的密に嵌合し得る寸法を有している。そして、底部プレート461bの中心部には、ロックピン455が係合するロック孔462aを備えたグロメット462が取り付けられている。このグロメット462は、前述したアクチュエータ支持プレート405におけるグロメット421と同様のものであり、ロックピン455とともにロック機構454を構成している。
従って、アクチュエータハウジング461をL字形ブラケット451の上に載せ、ロックピン455を摘み部456を介して手指でロック方向に回転操作することにより、底部プレート461bがL字形ブラケット451の取付面451a上に締め付けられる。これにより、シフト用アクチュエータ434がL字形ブラケット451上に固定される。この取付状態では、底部プレート461bの左右側縁がL字形ブラケット451の第1,第2ガイド面451b,451cに係合するので、シフト用アクチュエータ434が左右に傾くようなことはない。つまり、セレクト用アクチュエータ433のラック軸441とシフト用アクチュエータ434のラック軸466は、常に正しく直交状態を維持する。なお、ラック軸466中心軸線は、L字形ブラケット451の揺動中心つまりジョイント452の回転中心軸と交差する。従って、先端にグリップハンド468を備えたラック軸466は、該ラック軸466の中心軸線上にある揺動中心を中心として上下に揺動可能である。
また、L字形ブラケット451下面にある摘み部456をロック解除方向に回転操作すれば、ロック機構454のロックが解除され、図63、図64に示すようにシフト用アクチュエータ434をL字形ブラケット451から取り外すことができる。そして、取り外したシフト用アクチュエータ434を前後に180°反転させてL字形ブラケット451に再度取り付けることで、図68、図69に示すような逆向きの取付姿勢でもってセレクト用アクチュエータ433と組み合わせることができる。
グロメット462のロック孔462aは、アクチュエータハウジング461下面の底部プレート461bの中心、少なくとも底部プレート461bの短辺方向に沿った幅の中心に位置している。従って、シフト用アクチュエータ434を180°反転させた取付姿勢においても、底部プレート461bはL字形ブラケット451の第1,第2ガイド面451b,451c間の取付面451aに比較的密に嵌合し、かつロックピン455がロック孔462aに合致する。
なお、図59、図60等に示すように、セレクト用アクチュエータ433とシフト用アクチュエータ434とは、セレクト用アクチュエータ433のラック軸441先端部からシフト用アクチュエータ434の電動モータ465へ至る2本のケーブル467によって接続されている。このケーブル467は、L字形ブラケット451からシフト用アクチュエータ434を取り外して姿勢を反転させるに必要な最小限の長さを備えている。従って、基本的にケーブル467を取り外すことなくシフト用アクチュエータ434の姿勢の反転作業が可能である。必要であれば、ケーブル467をシフト用アクチュエータ434から取り外すことも可能である。
ケーブル467は、セレクト用アクチュエータ433のラック軸441の内部を通して延びており、最終的に、ベースプレート432下面のコネクタ471に接続されている。従って、外部に露出しているケーブル467の長さは最小限のものとなっている。
図65は、ラック軸466の中心軸に沿った断面におけるシフト用アクチュエータ434の断面図である。詳しくは、L字形ブラケット451上にロック機構454を介して固定支持されている状態の断面を示している。シフト用アクチュエータ434は、電動モータ465および減速機463の作用によりアクチュエータロッドとなるラック軸466が車両前後方向に移動するピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータである。図示するように、箱状をなすアクチュエータハウジング461の内側には、複数の歯車464を組み合わせた減速歯車列からなる減速機463が収容されており、電動モータ465の回転を減速している。ラック軸466には、歯車列の最終段のピニオンと噛み合うラック466aが形成されている。
上記のように、実施例の車両自動運転装置301にあっては、トランスミッションアクチュエータユニット431全体を2つの取付姿勢の中のいずれかで選択的に可動ユニット401上に取り付けるとともに、このトランスミッションアクチュエータユニット431の取付姿勢に対応してセレクト用アクチュエータ433に対するシフト用アクチュエータ434の取付姿勢を変更することで、運転席302に対してシフトレバーが左側に位置するいわゆる右ハンドル車用の態様と、運転席302に対してシフトレバーが右側に位置するいわゆる左ハンドル車用の態様と、に容易に変更することができる。
図47、図48は、右ハンドル車用の態様を示しており、フレーム311の左側にグリップハンド468が位置する。グリップハンド468は、セレクト用アクチュエータ433のアクチュエータハウジング435よりも前方に位置する。トランスミッションアクチュエータユニット431のセレクト用アクチュエータ433とシフト用アクチュエータ434とは、図59、図60に示すような態様で組み合わせられている。
これに対し、図68、図69は、左ハンドル車用の態様を示しており、フレーム311の右側にグリップハンド468が位置する。グリップハンド468は、やはりセレクト用アクチュエータ433のアクチュエータハウジング435よりも前方に位置する。トランスミッションアクチュエータユニット431のセレクト用アクチュエータ433とシフト用アクチュエータ434とは、図示するようにシフト用アクチュエータ434を反転させた態様で組み合わせられている。
さらに、図示は省略するが、グリップハンド468がセレクト用アクチュエータ433のアクチュエータハウジング435よりも後方に位置するようにシフト用アクチュエータ434の取付姿勢を選択することも可能である。例えば、運転席302の左側にシフトレバーが位置する右ハンドル車用の態様として図43のようにトランスミッションアクチュエータユニット431を搭載した上で、シフトレバーが運転席302に対して比較的に後方寄りに位置する場合に、シフト用アクチュエータ434を前後反転した形でセレクト用アクチュエータ433に組み合わせることができる。これにより、グリップハンド468が相対的に後方位置となる。
このような構成は、左ハンドル車用の態様においても同様であり、例えば図68の左ハンドル車用の態様においてシフト用アクチュエータ434を前後反転した形で組み合わせることが可能である。
前述したようにセレクト用アクチュエータ433の高さ位置ないし前後位置は可動ユニット401のフレーム311に対するスライド位置によって変更可能であるので、シフト用アクチュエータ434の前後の向きの変更と組み合わせることで、多様なシフトレバー位置に対応が可能である。
また、シフトレバーの頭部の高さ位置は、一般にシフト操作に伴って上下に変位するが、シフト用アクチュエータ434がジョイント452の回転中心軸を中心として上下に揺動可能であるので、シフトレバーの頭部の高さ位置の変化が許容される。従って、円滑なシフト操作が可能である。
[可動ユニット401の変形例]
図81〜図83は、可動ユニット401の変形例として、シフトレバーの頭部の高さ位置が比較的高く斜めに操作する必要がある場合(例えば、運転席前方のダッシュパネルに短いシフトレバーが配置されている形式など)に対応できるように、チルト機構を備えた可動ユニット401を示している。
この可動ユニット401においては、一対のサイドフレーム403の各々が、アウターサイドフレーム403Aとインナーサイドフレーム403Bとを組み合わせた構成となっている。アウターサイドフレーム403Aは、車両幅方向の外側に位置し、前述したサイドフレーム403と同様に3つの辺403Aa,403Ab,403Acを有する略三角形をなし、かつ、上方の辺403Aaがアクチュエータ支持プレート405に固定されている。
インナーサイドフレーム403Bは、アウターサイドフレーム403Aの車両幅方向の内側面に沿って重ねられており、3つの辺403Ba,403Bb,403Bcを有する相対的に小さな略三角形をなしている。スライダカバープレート411(前後2つのスライダ410および固定ネジ413を含む)は、インナーサイドフレーム403Bの底辺403Bcに取り付けられている。従って、インナーサイドフレーム403Bがサブビーム316aによって前後スライド可能に案内される。
アウターサイドフレーム403Aとインナーサイドフレーム403Bとは、後方の頂点においてヒンジピン486を介して互いに揺動可能に連結されている。アウターサイドフレーム403Aの下方の頂点にロックネジ487が設けられており、インナーサイドフレーム403Bの前方の辺403Bbの上下2箇所に配置された第1グロメット488Aもしくは第2グロメット488Bに、このロックネジ487が螺合する。つまり、ロックネジ487が螺合するグロメット488をいずれかに選択することによって、スライダ410(換言すれば可動ユニット401を案内するサブビーム316a)に対するアウターサイドフレーム403Aの傾斜角度を変更することができる。
ロックネジ487が下方の第1グロメット488Aに螺合した状態では、アクチュエータ支持プレート405は基本的に水平姿勢となる。従って、シフト用アクチュエータ434は、基本的に水平姿勢となる。
これに対し、ロックネジ487が第2グロメット488Bに螺合した状態では、アクチュエータ支持プレート405は前縁側が相対的に高位となる傾斜姿勢となる。従って、シフト用アクチュエータ434は、同様に傾斜した姿勢となる。一つの例では、例えば30°程度の角度でもってアクチュエータ支持プレート405を傾斜させることができる。これにより、例えば、シフトレバーがダッシュパネルに配置されているような形式であっても、斜め上方および斜め下方へシフト操作することができる。
なお、図示例では、傾斜角度が2段階に変更されるが、グロメット488をより多数配置し、さらに多段階に角度変更が可能となるように構成することもできる。
[シフト用アクチュエータ434の支持部の変形例]
前述したように、実施例のトランスミッションアクチュエータユニット431においては、セレクト用アクチュエータ433の高さ位置に対するシフト用アクチュエータ434の高さ位置が固定的に定まっているが、より多様なシフトレバーの頭部位置に簡単に対応できるように、セレクト用アクチュエータ433に対するシフト用アクチュエータ434の高さ位置を変更可能とすることもできる。
図84〜図86は、このようなシフト用アクチュエータ434の支持部の変形例を示している。前述した実施例と同様に、セレクト用アクチュエータ433のラック軸441の先端に、回転自在に支持されたジョイント452Aを介してL字形ブラケット451Aが取り付けられているが、図84に示すように、両者が上下にスライド可能に組み合わされている。例えば、ジョイント452Aが上下方向に沿ったガイド溝521を有し、L字形ブラケット451Aには、このガイド溝521に対応した上下方向に沿ったガイドレール部522が形成されている。このガイドレール部522がガイド溝521にスライド可能に係合することで、L字形ブラケット451Aはジョイント452Aに対し上下に移動することができる。
また、ジョイント452Aの前端面にプランジャ523が取り付けられており、このプランジャ523の先端部が進入する係合孔524がガイドレール部522の前縁の複数箇所例えば3箇所に形成されている。つまり、高さの異なる3箇所に係合孔524が配置されている。プランジャ523は、図示せぬ内部のスプリングによって係合孔524と係合する方向に常に付勢されている。
図84は、L字形ブラケット451Aが最も低い位置にある状態を示しており、プランジャ523は、最も高い位置にある係合孔524に係合している。なお、この位置では、シフト用アクチュエータ434のラック軸466の中心線がジョイント452Aの回転中心軸と交差する。この状態から作業者が手指によりプランジャ523を引っ張って係合孔524との係合を解除すれば、L字形ブラケット451Aの高さ位置を上方の第2の位置もしくは第3の位置へと容易に変更することができる。例えば、図85は、L字形ブラケット451Aが最も高い位置にある状態を示しており、プランジャ523は、最も低い位置にある係合孔524に係合している。
従って、セレクト用アクチュエータ433の高さ位置に対するシフト用アクチュエータ434の高さ位置を3段階に簡単に調節することができる。
[ペダルアクチュエータ341の着脱構造]
前述したように、実施例の車両自動運転装置301は、3つのペダルアクチュエータ341、すなわち、アクセルペダルアクチュエータ341Aと、ブレーキペダルアクチュエータ341Bと、クラッチペダルアクチュエータ341Cと、を備えている。そして、これらのペダルアクチュエータ341は、フレーム311の前端に取り付けられたペダルアクチュエータ支持用スライドレール331に、ペダルアクチュエータサポート351を介して支持されている。
図74は、フレーム311の前端に配置されたペダルアクチュエータ支持用スライドレール331とペダルアクチュエータサポート351の詳細を示している。また、図70〜図72は、ペダルアクチュエータ341の代表的な構成として、ブレーキペダルアクチュエータ341Bの詳細を示している。
ペダルアクチュエータ支持用スライドレール331は車両幅方向に細長く延びた帯状をなしており、比較的厚く剛性を有する金属板からなる。そして、軽量化のために不要な部分の肉抜きおよび開口部の形成が施されており、上縁部分および下縁部分が断面半円の棒状をなしている。このスライドレール331の上縁には、半円筒面をなす第1ガイド面331aが車両幅方向に連続して形成されており、スライドレール331の下縁には、半円筒面をなす第2ガイド面331bが車両幅方向に連続して形成されている。第1ガイド面331aと第2ガイド面331bは、互いに逆向きの半円形断面を有している。
ペダルアクチュエータサポート351は、例えば硬質合成樹脂を用いて各部一体に成形されたものであって、正面視(車両前方から見た状態をいう)において、スライドレール331の上下に亘る寸法を有する縦長の長方形状をなしている。ペダルアクチュエータサポート351は、スライドレール331の前面に重なる矩形の基部351aを有するとともに、第1ガイド面331aの上方において車両後方へ延びる上部壁351bと、第2ガイド面331bの下方において車両後方へ延びる下部壁351cと、左右一対の側壁351dと、を備えている。換言すれば、ペダルアクチュエータサポート351は、スライドレール331へ向かう背面が開口した箱状に形成されている。一対の側壁351dは、第1ガイド面331aにスライド可能に係合する半円形の上部切欠部351eと、第2ガイド面331bにスライド可能に係合する半円形の下部切欠部351fと、を有する。これらの切欠部351e,351fが第1,第2ガイド面331a,331bに係合することで、ペダルアクチュエータサポート351はペダルアクチュエータ支持用スライドレール331にスライド可能に支持されている。
従って、アクセルペダルアクチュエータ341A、ブレーキペダルアクチュエータ341B、クラッチペダルアクチュエータ341Cの各々を、車種毎に異なる各ペダル345,346,347の位置に対応するように、車室内において、車両幅方向に容易に位置調整することができる。なお、ペダルアクチュエータサポート351は、スライドレール331の両端から切欠部351e,351fを噛み合わせながら該スライドレール331の長手方向(車両幅方向)に沿って挿入可能である。
また、箱状をなすペダルアクチュエータサポート351の下部には、コネクタ収容部351gが基部351aから前方へ張り出すようにして一体に形成されている。コネクタ収容部351gは、基部351a側の下部壁351cが前方へ延びており、この下部壁351cの前端から上方へ立ち上がった前部壁351hを有するとともに、左右一対の側壁351jを有している。これらの下部壁351c、前部壁351hおよび一対の側壁351jによって、コネクタ収容部351gは、上面が上方へ向かって開口した箱状に構成されており、このコネクタ収容部351gの内部空間に、サポート側コネクタ353がそれぞれ収容されている。サポート側コネクタ353は、上述したトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ423等と同様の構成であり、相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成されているとともに、挿入時の案内を行うためのガイドピン353aおよびガイドスリーブ353bを備えた形式となっている。図74に示すように、サポート側コネクタ353は、上方へ向かって配置されており、つまり挿入方向となるガイドピン353aおよびガイドスリーブ353bが上下方向に沿っている。
なお、サポート側コネクタ353から後方へ図示しないケーブルが引き出されており、このケーブルは、スライドレール331の開口部を通って接続ボックス406へと延びている。
コネクタ収容部351gの側壁351jは、基部351a側縁に沿った側壁351dよりも僅かに車両幅方向外側に位置する。つまり、側壁351dと側壁351jとの間には所定の段差があり、この段差を利用して、ペダルアクチュエータサポート351の側面に、上下方向に沿った凹溝部352が形成されている。換言すれば、コネクタ収容部351gの側壁351jの面から車両幅方向に凹んだ形に凹溝部352が形成されている。凹溝部352は、コネクタ収容部351gの上縁から下方へ向かって延び、コネクタ収容部351gの側面に入り込むようにして形成されている。またコネクタ収容部351gよりも上方の部分では、コネクタ収容部351gの側壁351jを上方へ細長く延長してなる突条部351jaによって、凹溝部352に連続するように相対的に凹んだガイド部352aが構成されている。凹溝部352の底面およびこれに連続したガイド部352aの底面は、ペダルアクチュエータサポート351の側壁351dの一部を構成している。また、ガイド部352aに隣接する突条部351jaの側面によって、凹溝部352の側面に連続したガイド面352bが形成されている。
スライドレール331の第2ガイド面331bにスライド可能に係合する半円形の下部切欠部351fは、厳密にはコネクタ収容部351gの側壁351jに形成されている。
ペダルアクチュエータサポート351の上部壁351bの中央部には、ペダルアクチュエータ341用の後述するロック機構365の一部となるグロメット354が取り付けられている。このグロメット354は、前述したアクチュエータ支持プレート405におけるグロメット421やシフト用アクチュエータ434におけるグロメット462と同様のものであり、前方へ向かってロック孔354aが開口している。
図73、図76に示すように、ペダルアクチュエータサポート351には、各々のペダルアクチュエータ341のペダルアクチュエータ支持ブラケット361が着脱可能に取り付けられ、該ペダルアクチュエータ支持ブラケット361を介してペダルアクチュエータ341が支持される。
ペダルアクチュエータ支持ブラケット361は、図70〜図72および図75に示されている。ペダルアクチュエータ支持ブラケット361は、ペダルアクチュエータサポート351と同様に、例えば硬質合成樹脂を用いて各部一体に成形されたものであって、正面視(車両前方から見た状態をいう)において、スライドレール331の上下に亘る寸法を有する縦長の長方形状をなしている。基本的に、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361は、ペダルアクチュエータサポート351と組み合わせたときに両者が略直方体の形状をなすように、ペダルアクチュエータサポート351に対して相補な形状を有している。図75、図72に示すように、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361は、ペダルアクチュエータサポート351の上部壁351bの上に重なる上部壁361aと、ペダルアクチュエータサポート351の側壁351dの上に重なるとともにコネクタ収容部351gの側壁351jと同一平面を呈する左右一対の側壁361bと、これら上部壁361aと側壁361bとに接続した前部壁361cと、を有し、後方(背面)および下方(下面)が開放された箱状をなしている。前部壁361cは、アクチュエータサポート351側のコネクタ収容部351gの前部壁351hと連続して同一平面を呈するように形成されている。
側壁361bは、コネクタ収容部351gの側壁351jに対して車両幅方向に凹んでいるペダルアクチュエータサポート351の側壁351dを覆う形状つまり該側壁351dに対応した形状をなしている。特に、ペダルアクチュエータサポート351側の凹溝部352と相補の形状をなす略長方形の突起片355が下方へ突出した形に形成されている。また、側壁361bの上部は、スライドレール331の上方を通って後方へと延びるように形成されており、この側壁361bの上部に、スライドレール331の第1ガイド面331aに上方から嵌合可能な半円形のレール嵌合部361dが切欠形成されている。図示例では、レール嵌合部361dは、アクチュエータサポート351の上部切欠部351eと同一の形状をなしている。
ペダルアクチュエータサポート351の上部壁351bに重なるペダルアクチュエータ支持ブラケット361の上部壁361aの中央部には、ペダルアクチュエータサポート351側のグロメット354に対応したロックピン367が取り付けられている。ロックピン367は、ペダルアクチュエータサポート351のグロメット354のロック孔354aに対応した位置にあり、手指にて回転操作可能なように頭部に摘み部366を備えている。このロックピン367とグロメット354とから構成されるロック機構365は、前述したトランスミッションアクチュエータユニット431固定用のロック機構443(ロックピン444、グロメット421)やシフト用アクチュエータ434固定用のロック機構454(ロックピン455、グロメット462)と実質的に同一の構成である。
また、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の上部かつ前部のコーナ部には、後述するようにペダルアクチュエータ341が連結される金属製の支持ピン372が埋設されている。この支持ピン372は、ペダルアクチュエータサポート351と干渉しない位置にあり、かつ車両幅方向に沿って配置されている。そして、円筒面を有する一端の頭部372aがペダルアクチュエータ支持ブラケット361の車両幅方向一方のコーナ部において露出している。
また、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の内側の空間には、ペダルアクチュエータサポート351のサポート側コネクタ353に対応したブラケット側コネクタ363が収容されている。このブラケット側コネクタ363は、前述した各コネクタと同様のものであり、相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成されているとともに、挿入時の案内を行うためのガイドピン363aおよびガイドスリーブ363bを備えた形式となっている。ブラケット側コネクタ363は、サポート側コネクタ353と対向するように下方へ向かって配置されている。
図76は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361をペダルアクチュエータサポート351に組み合わせた状態を示している。このように組み合わせた状態では、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361とペダルアクチュエータサポート351とで略直方体の箱状の外観を呈する。すなわち、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の前部壁361cの下縁とコネクタ収容部351gの前部壁351hの上縁とが合致し、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の側壁361bがペダルアクチュエータサポート351の側壁351dに重なり、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の上部壁361aがペダルアクチュエータサポート351の上部壁351bに重なる。ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の側壁361bの外縁は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361のコネクタ収容部351gの側壁351j上縁と、凹溝部352周囲と、ガイド部352aとなる突条部351jaの側縁と、に合致し、上部のレール嵌合部361dがスライドレール331の第1ガイド面331aに嵌合した状態となる。
また、ロックピン367とグロメット354とからなる上部のロック機構365を締結することで、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361とペダルアクチュエータサポート351とが相対的に上下方向に締め付けられ、相補の形状をなす両者がより堅固に密接した状態となる。従って、ロック機構365の締結によって、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361ひいてはペダルアクチュエータ341がペダルアクチュエータサポート351に堅固に支持される。
ここで、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361のレール嵌合部361dは、ロック機構365を締結してペダルアクチュエータ支持ブラケット361が相対的に下方へ引っ張られたときに、スライドレール331の第1ガイド面331aに強く圧接するように、その位置および寸法が設定されている。これにより、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361およびペダルアクチュエータサポート351は、スライドレール331に沿ったスライドが不能となり、車両幅方向に固定される。換言すれば、ペダルアクチュエータサポート351の上部切欠部351eと下部切欠部351fは、スライドレール331に対するペダルアクチュエータサポート351のスライドを許容するように寸法が設定されている。これに対し、ロック機構365を締め付けてペダルアクチュエータ支持ブラケット361とペダルアクチュエータサポート351とを一体化した状態では、レール嵌合部361dと下部切欠部351fとの間でスライドレール331の第1,第2ガイド面331a,331bを上下に締め付けるように、各部の寸法が設定されている。従って、ペダルアクチュエータ341をペダルアクチュエータ支持ブラケット361とともにペダルアクチュエータサポート351に組み付けた後、車両幅方向に沿って適宜な位置に調整した上でロック機構365を締結すれば、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361とペダルアクチュエータサポート351とが互いに固定されると同時に、ペダルアクチュエータ341の全体がスライドレール331に対して固定される。
すなわち、一つのロック機構365が、車両幅方向へスライド可能なペダルアクチュエータ341の位置を固定するためのロック機構と、着脱可能なように2分割して構成されるペダルアクチュエータサポート351とペダルアクチュエータ支持ブラケット361とを一体化するためのロック機構と、の2つの機能を奏している。
また、車両自動運転装置301を運転席302上に搭載する際には、ペダルアクチュエータ341は予めペダルアクチュエータ支持ブラケット361に組み付けられており、このペダルアクチュエータ支持ブラケット361を含むペダルアクチュエータ341が車室内でフレーム311に取り付けることとなるが、上記の構成では、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361がペダルアクチュエータサポート351に仮保持されるため、狭い車室内での組立が容易である。
ペダルアクチュエータ支持ブラケット361とペダルアクチュエータサポート351とは上下方向に組み合わされる構成となっており、作業者は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の一対の突起片355をペダルアクチュエータサポート351側のガイド部352aに沿って凹溝部352内に嵌め込むようにして、上方からペダルアクチュエータサポート351に組み合わせることとなる。基本的に、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361はペダルアクチュエータサポート351の上に載った形となる。このとき、突起片355が凹溝部352に上方から入り込むと同時に、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361上部のレール嵌合部361dがスライドレール331の第1ガイド面331aに係合する。またほぼ同時に、ロック機構365のロックピン367がグロメット354のロック孔354aに入り、仮に係合した状態となる。
重量物であるペダルアクチュエータ341の荷重は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361の上部の支持ピン372に作用するので、下部の突起片355が凹溝部352に係合した状態では、この突起片355と凹溝部352との係合部(第1の係合部)を支点として前方へ向かうモーメントが発生する。このモーメントに対し、上部でのレール嵌合部361dとガイド面331aとの係合部あるいはロックピン367とロック孔354aとの係合部が第2の係合部としてモーメントを支承する。従って、作業者がペダルアクチュエータ支持ブラケット361をペダルアクチュエータサポート351の上に載せた後、ペダルアクチュエータ341を支持する手を離したとしても、ペダルアクチュエータ341が落下することはなく、スライドレール331に仮に保持された状態となる。そのため、作業者は、狭い車室内で、ペダルアクチュエータ341の位置調整を行いつつスライドレール331つまりフレーム311にペダルアクチュエータ341を容易に取り付けることができる。
ペダルアクチュエータサポート351におけるサポート側コネクタ353とペダルアクチュエータ支持ブラケット361におけるブラケット側コネクタ363とは、上記のようにペダルアクチュエータサポート351とペダルアクチュエータ支持ブラケット361とを上下方向に沿って組み立てることで、互いに接続される。両コネクタ353,363は、各々のガイドピン353a,363aとガイドスリーブ353b,363bとの嵌合によって位置合わせがなされるが、好ましくは、両コネクタ353,363が互いに接触する前つまりガイドピン353a,363aとガイドスリーブ353b,363bとが接触する前に、突起片355の先端が凹溝部352に挿入されるように突起片355の突出長が設定されている(図77参照)。これにより、ある程度の位置合わせがなされた状態でガイドピン353a,363aとガイドスリーブ353b,363bとが係合することとなり、コネクタ353,363の損傷が確実に回避される。
[ペダルアクチュエータ341の構成およびその姿勢調整機構]
図70〜図73を参照して説明する。ペダルアクチュエータ341は、やはりピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータであり、アクチュエータロッドとなるラック軸380をスライド可能に支持しかつ収容した細長いアクチュエータハウジング378と、このアクチュエータハウジング378の先端部側面に取り付けられたモータハウジング381を、備え、モータハウジング381内に減速機および電動モータが収容されている。なお、必要な電動モータの容量が各ペダルアクチュエータ341で異なることから、モータハウジング381の大きさも異なるものとなっている。図示例では、アクセルペダルアクチュエータ341Aは、ラック軸380と平行にコイルスプリングからなるリターンスプリング382を備えている。これにより、例えば電源喪失時に、アクセルペダルの不要な踏込が生じることはない。ブレーキペダルアクチュエータ341Bは、リターンスプリング382を具備しておらず、この相違点を除けば、アクセルペダルアクチュエータ341Aとブレーキペダルアクチュエータ341Bは実質的に同じ構成である。クラッチペダルアクチュエータ341Cは、後述するようにいくつかの点でアクセルペダルアクチュエータ341Aやブレーキペダルアクチュエータ341Bと異なっている。
シートクッション303の高さに比べてペダル345,346,347は相対的に下方に位置しているので、アクチュエータハウジング378(換言すればラック軸380)は、ペダル345,346,347へ向かう先端側がフレーム311寄りの基端側よりも低い位置となるように傾斜している。ラック軸380は、断面円形の棒状をなしており、アクチュエータハウジング378から突出する先端部がペダル345,346,347を押圧する。
アクセルペダルアクチュエータ341Aないしブレーキペダルアクチュエータ341Bにあっては、ラック軸380の先端に円柱形の押圧部材386が取り付けられており、この押圧部材386がペダル345,346を押圧している。
図72、図73および図75に示すように、アクチュエータハウジング378は、上述したペダルアクチュエータ支持ブラケット361と、リンクアーム368と、スライドブラケット369と、支持アーム370と、を介してペダルアクチュエータサポート351に支持されている。
スライドブラケット369は、アクチュエータハウジング378を該アクチュエータハウジング378の下面側において前後にスライド可能に支持するものである。スライドブラケット369は、スライドさせて位置調整したアクチュエータハウジング378をスライドブラケット369に対して固定するための固定ネジ379を備えている。すなわち、アクチュエータハウジング378下面にペダルアクチュエータ341の軸方向(前後方向)に沿ったガイドスリット371が開口形成されており、固定ネジ379の軸部が該ガイドスリット371を貫通しているとともに、アクチュエータハウジング378内側に位置するパッド369Aに螺合している。従って、固定ネジ379を緩めた状態では、パッド369Aが緩み、スライドブラケット369とアクチュエータハウジング378とが相対的にスライド可能となる。そして、固定ネジ379の締付によりアクチュエータハウジング378がスライドブラケット369に固定される。固定ネジ379は、頭部にL字形のレバー部分を備えており、手指にて締付操作が可能である。従って、車両におけるペダル345,346,347の位置に応じてアクチュエータハウジング378の前後位置を簡単に調整することができる。
図78の断面図(図71のD−D線に沿った断面図)に示すように、スライドブラケット369の後端部には、円筒状の軸受部374が形成されており、該軸受部374を介して支持アーム370が揺動可能に連結されている。すなわち、支持アーム370は、軸受部374に回転可能に嵌合する第1円筒部370aと、該第1円筒部370aからスライドブラケット369の下方へと延びたレバー部370bと、レバー部370bを挟んで第1円筒部370aとは反対側となる軸方向に延びた第2円筒部370cと、を有する。図示例では、第1円筒部370aと第2円筒部370cは、互いの中心軸が一致するように構成され、かつ互いに等しい径を有する。
リンクアーム368は、両端部に円筒状の軸連結部を有する部材であって、円筒状をなす一端部368aがペダルアクチュエータ支持ブラケット361における支持ピン372の頭部372aの外周に揺動可能に連結され、円筒状をなす他端部368bが支持アーム370の第2円筒部370cの外周に揺動可能に連結されている。詳しくは、図78に示すように、リンクアーム368が支持アーム370のレバー部370bの軸方向外側に隣接し、リンクアーム368の他端部368bが第2円筒部370cの外周に嵌合している。
リンクアーム368は、中央のロッド部368cが2つ割り状(半割状)に形成されており、円筒状をなす各端部368a,368bが同様に半径線に沿って厳密には略C字状となるように切り離されている。ロッド部368cの中央には、このように略C字状となる各端部を直径方向に締め付けるように固定ネジ373が設けられている。固定ネジ373は、スライドブラケット369の固定ネジ379と同様に、手指にて締付操作するためのL字形のレバー部分を備えている。
固定ネジ373を緩めた状態では、リンクアーム368の一対の端部368a,368bの各々が内側の軸部材(支持ピン372の頭部372a、および、支持アーム370の一部である第2円筒部370c)に対して揺動自在となる。そのため、支持ピン372を中心としたスライドブラケット369の揺動高さ位置を自在に変更できるとともに、支持アーム370がリンクアーム368に対して自在に揺動する。
これに対し、固定ネジ373を締め付けた状態では、リンクアーム368の一対の端部368a,368bの各々が内側の軸部材(支持ピン372の頭部372a、および、支持アーム370の一部である第2円筒部370c)に対して固定される。そのため、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361に対するリンクアーム368の角度が固定され、かつ、このリンクアーム368に対する支持アーム370の角度が固定される。このとき、支持アーム370の軸受部374の内周にある第1円筒部370aは締付力を受けず、従って、スライドブラケット369は支持アーム370やリンクアーム368に対して揺動可能に連結されている。
支持アーム370やリンクアーム368に対するスライドブラケット369の角度(ひいてはペダルアクチュエータ341の傾斜姿勢)は、最終的に、支持アーム370のレバー部370b先端とスライドブラケット369前端部との間に配設されたネジ機構を用いた可変長ロッド383によって調整され、かつ固定される(図76参照)。
可変長ロッド383は、図79の断面図にも示すように、互いに逆向きの螺条を有する一対のネジロッド384A,384Bと、これら2つのネジロッド384A,384Bの先端部が中心のネジ孔に螺合した調整ナット385と、この調整ナット385の端面にそれぞれ隣接した一対のロックナット385A,385Bと、を備えている。ネジロッド384Aの基端は、レバー部370b先端の連結部370dに揺動可能に連結されており、ネジロッド384Bの基端は、スライドブラケット369前端部の連結部369aに揺動可能に連結されている。調整ナット385およびロックナット385A,385Bは、いずれも、手指での回転操作が可能なように周囲に凹凸を形成した円盤状に形成されている。可変長ロッド383は、いわゆるターンバックルに類した機構であり、一対の逆向きのネジを組み合わせることで、調整ナット385の回転操作に伴って全長(つまり2つの連結部370d,369aの間の距離)が変化する。調整ナット385による角度調整後、ロックナット385A,385Bを調整ナット385に接するように締め付ければ、調整ナット385の不用意な回転つまり緩みが制限される。
容易に理解できるように、可変長ロッド383は三角形の一辺に相当するので、可変長ロッド383の全長を長くすれば、ペダルアクチュエータ341の傾斜角は緩くなり(つまりラック軸380の先端位置が高くなる)、可変長ロッド383の全長を短くすれば、ペダルアクチュエータ341の傾斜角は急になる(つまりラック軸380の先端位置が低くなる)。可変長ロッド383の長さはネジ機構により連続的に変化し得るので、ペダルアクチュエータ341の傾斜角も連続的に可変調整可能である。
なお、可変長ロッド383の伸縮変化に伴い、スライドブラケット369と支持アーム370との相対的な角度が変化する。支持アーム370の円筒状の基部には、該支持アーム370側に設けられたストッパ片375aと、このストッパ片375aを挟むようにしてスライドブラケット369側に設けられた一対のストッパ片375b,375cと、からなるストッパ機構375が設けられており、このストッパ機構375が、支持アーム370に対するスライドブラケット369の角度変化を所定範囲に制限している。
このように、ペダルアクチュエータ341は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361を介して車両自動運転装置301のフレーム311詳しくはペダルアクチュエータ支持用スライドレール331に着脱可能に取り付けられる。スライドレール331により車両幅方向に沿ったペダルアクチュエータ341の位置調整がなされる。そして、リンクアーム368の傾斜角度の調整によりペダルアクチュエータ341の後端部側の高さ位置を変更できるとともに、可変長ロッド383により車両幅方向と直交する面に沿ってペダルアクチュエータ341の傾斜姿勢を調整でき、かつ、スライドブラケット369を介した前後方向の調整が可能である。従って、これらの組み合わせにより、車種によって異なるペダル位置やペダルの傾きに対応することが可能となる。
なお、ペダルアクチュエータ341の電動モータに至るケーブルは、アクチュエータハウジング378の内部を通して配置されており、その端部は、アクチュエータハウジング378のリンクアーム368側の端部から外部へ引き出された上で、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361内部を通してブラケット側コネクタ363に接続されている。
従って、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361をペダルアクチュエータサポート351に対して取り付けることで、同時に、コネクタ353,363を介した電気的接続がなされる。そのため、ペダルアクチュエータサポート351とペダルアクチュエータ341との間に外部のケーブルやコネクタ類は存在しない。
このようにペダルアクチュエータ341の着脱が容易であるので、車両自動運転装置301を車両に搭載するに際しては、フレーム311(スライドレール331)からペダルアクチュエータ341を取り外した状態としておき、フレーム311を運転席302上に固定・支持した後に車内でペダルアクチュエータ341を取り付けることができる。逆に車両自動運転装置301を車両から取り外す際にも、先にペダルアクチュエータ341を取り外してからフレーム311を車外へ出すことができる。これにより、ドア開口部を通した車内への車両自動運転装置301の搬入ならびに車外への搬出が容易となる。また、各ペダル345,346,347に対するペダルアクチュエータ341の位置調整は、フレーム311にペダルアクチュエータ341を取り付けた後に車内で容易に行うことができる。
さらに、図51に示すように、各々のペダルアクチュエータサポート351の下面つまり下部壁351cの下面には、比較的小型のLEDライト376をそれぞれ備えている。各々のLEDライト376は、斜め下方を指向するように配置されており、換言すれば、各ペダルアクチュエータサポート351が支持するペダルアクチュエータ341の先端部付近を照らすように構成されている。
このLEDライト376は、基本的に、車両自動運転装置301を車室内に搬入してペダルアクチュエータ341の取付ないし位置調整作業を行う際に使用するための照明であり、接続ボックス406に内蔵されている二次電池より具体的にはキャパシタを電源として動作する。二次電池となるキャパシタは、接続ボックス406にメインコネクタ407を介して外部電源が接続されているときに、接続ボックス406内部の充電回路を介して自動的に充電される。換言すれば、車両自動運転装置301を用いた試験運転中に、特に操作を要することなく、繰り返し充電される。
車両自動運転装置301を車室内に設置する作業時には、一般にメインコネクタ407に外部電源からのケーブルは接続されていない。このような状況下で、二次電池を利用してLEDライト376を点灯することで、最も暗い運転席前方のペダル付近を照らすことができ、操作性が向上する。
前述したように接続ボックス406上面の表示パネル409にライトスイッチ409cが配置されており、このライトスイッチ409cによってLEDライト376がオン・オフ操作される。LEDライト376がペダルアクチュエータサポート351のサポート側コネクタ353の近傍に位置することで、ペダルアクチュエータサポート351における配線の取り回しは容易となる。
[ペダルアクチュエータ支持用スライドレール331の変形例]
上記のようにペダルアクチュエータ341の後端部(基部)の高さ位置は、リンクアーム368の角度調整により変更することができるが、フレーム311に対するペダルアクチュエータ支持用スライドレール331の高さ位置を可変調整すれば、より柔軟に多様な車種に対応することができる。
図87〜図89は、ペダルアクチュエータ支持用スライドレール331を高さ調整可能とした変形例を示している。この構成では、上下方向の寸法がスライドレール331の上下方向の寸法よりも大きな略長方形状をなす金属製のレール支持ブラケットプレート332Aが、前述したレール支持ブラケット332に代えて、ペダルアクチュエータ支持用スライドレール331の本体部分とは別体に設けられている。レール支持ブラケットプレート332Aは、メインフレーム315の前端詳しくはメインビーム315aの前端面に取り付けられており、メインフレーム315の前端の開放端を閉じている(図88、図89参照)。
スライドレール331は、複数本のネジ377Aによってレール支持ブラケットプレート332Aに固定されている。レール支持ブラケットプレート332Aには、レール支持ブラケットプレート332Aの高さ位置(取付位置)を上下に変更可能なように、高さ位置が異なる複数箇所にネジ孔377Bが配置されている。従って、必要に応じてスライドレール331を脱着し、高さ位置を変更することが可能である。
図87〜図89は、スライドレール331を最も低い位置に取り付けた状態を示している。
[クラッチペダルアクチュエータ341Cの構成]
手動変速機を備えた車両においては、一般に、クラッチペダル347は弧を描くように動作し、そのストローク(踏込操作量)も比較的大きい。本実施例では、このようなクラッチペダル347の特性を考慮して、クラッチペダルアクチュエータ341Cが細部において他の2つのペダルアクチュエータ341A,341Bとは異なっている。以下、図73、図75および図76を参照しつつ相違点を説明する。
相違点の1つは、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361とペダルアクチュエータ341との間のリンクアーム368や支持アーム370による連結部の構成である。クラッチペダルアクチュエータ341Cにおいても、アクチュエータハウジング378は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361と、リンクアーム368と、スライドブラケット369と、支持アーム370と、を介してペダルアクチュエータサポート351に支持されている。ペダルアクチュエータ支持ブラケット361、リンクアーム368、スライドブラケット369、支持アーム370、といった主要な部品は、アクセルペダルアクチュエータ341Aやブレーキペダルアクチュエータ341Bのものと変わりがない。
しかしながら、クラッチペダルアクチュエータ341Cにおいては、リンクアーム368の一端部368aの内周面とペダルアクチュエータ支持ブラケット361の支持ピン372の頭部372aとの間に、図示しないスリーブが介在している。そのため、リンクアーム368の固定ネジ373を締め付けても、リンクアーム368は支持ピン372に対して固定されず、支持ピン372に対して揺動可能な状態を維持する。つまり、クラッチペダルアクチュエータ341Cにあっては、ペダルアクチュエータ支持ブラケット361とリンクアーム368とが揺動自在に連結されている。リンクアーム368の他端部368bにおいては、固定ネジ373の締付により、前述したように支持アーム370が固定される。つまり、リンクアーム368とレバー部370bとの間の角度が一定に固定される。
また、図76等に示すように、レバー部370b先端の連結部370dとスライドブラケット369の連結部369aとの間には、前述した可変長ロッド383に代えて、固定長のロッド部材388が取り付けられている。これにより、支持アーム370とスライドブラケット369ひいてはアクチュエータハウジング378との角度関係が常に一定となる。
従って、クラッチペダルアクチュエータ341Cは、全体としてペダルアクチュエータ支持ブラケット361の支持ピン372を中心として揺動可能に支持されている。また、固定ネジ373を介した調整により、リンクアーム368の他端部368bの位置つまりリンクアーム368とアクチュエータハウジング378との接続点の位置(主に高さ位置)の変更が可能である。
なお、上記実施例では、他の2つのペダルアクチュエータ341A,341Bとの間で、リンクアーム368等の主要な部品の共用化を図っている。
第2の相違点は、クラッチペダルアクチュエータ341Cでは、ラック軸380の先端に、前述した押圧部材386に代えて揺動プレート387を備えている点である。すなわち、図73や図47に示すように、ラック軸380の先端に揺動プレート387が揺動可能に取り付けられている。この揺動プレート387は、クラッチペダル347のペダル部に重ねて配置され、図示しない適当な治具ないし固定具によってペダル部に固定されている。揺動プレート387は、車両幅方向に沿った回転中心軸を有するようにピン387aによって揺動可能に支持されている。
クラッチペダル347にあっては、一般に、ペダル面の傾きが、クラッチペダル347のストローク(踏込)に伴って比較的大きく変化する。具体的には、踏み込まれていない状態では、ペダル面が斜め上方を指向しており、クラッチペダル347が踏み込まれていくと、ペダル面は、ほぼ垂直となり、さらに極端な場合には逆に斜め下向きとなる。
仮にアクセルペダルアクチュエータ341Aやブレーキペダルアクチュエータ341Bのように単純に押圧部材386がペダル面に接しているとすると、ペダル面の角度変化に伴って押圧部材386がペダル面から脱落する懸念があり、かつ正確なストロークが得られない。
これに対し、上記実施例のクラッチペダルアクチュエータ341Cにあっては、先端の揺動プレート387がペダル部に固定されるため、ペダル面の角度変化に拘わらずクラッチペダルアクチュエータ341Cが確実にペダル部を押圧操作することができる。
また、クラッチペダル347の上部のレバーピンを中心とした揺動に伴い、ペダル部の高さ位置の変化が生じるが、この変化は、リンクアーム368とペダルアクチュエータ支持ブラケット361との間が揺動自在であることによって吸収される。アクチュエータハウジング378の自由な角度変化が許容されることで、ラック軸380がペダル部をストローク限界まで確実に押圧することができる。
換言すれば、アクセルペダルアクチュエータ341Aおよびブレーキペダルアクチュエータ341Bが直線運動としてアクセルペダル345やブレーキペダル346を押圧するのに対し、クラッチペダルアクチュエータ341Cは、揺動しながらクラッチペダル347を押圧する。
上記実施例では、アクチュエータハウジング378がスライドブラケット369およびリンクアーム368を介してペダルアクチュエータ支持ブラケット361に下側から支持されており、ラック軸380の延長線がペダルアクチュエータ支持ブラケット361の上方を通過する。従って、揺動するペダル部に対する荷重作用方向が適切なものになるとともに、アクチュエータハウジング378から下方へ突出するモータハウジング381がストローク中に過度に下がらず、車体フロア306との干渉が生じにくい。
また同時に、ペダルアクチュエータ341を支持するスライドレール331の高さ位置を低くすることが可能となり、図44等に示すように、シートクッション303の前端付近の高さ位置にスライドレール331を配置することが可能となる。この点は、アクセルペダルアクチュエータ341Aやブレーキペダルアクチュエータ341Bにおいても同様である。
なお、クラッチペダル347のストロークが小さい場合やクラッチペダル347の構造等によって押圧部材386を介したペダル部の押圧が可能な場合には、3つのペダルアクチュエータ341を同じ構成とすることもできる。
逆に、アクセルペダルアクチュエータ341Aあるいはブレーキペダルアクチュエータ341Bとして、上記実施例のクラッチペダルアクチュエータ341Cのような構成を適用することも可能である。
[自動変速機型の車両への適用]
前述したように、ペダルアクチュエータ341は、フレーム311を車室内に搬入した後に、車室内においてフレーム311に取り付けることができる。例えば、クラッチペダル347を具備しない自動変速機型の車両に適用する場合には、クラッチペダルアクチュエータ341Cを除いて、アクセルペダルアクチュエータ341Aおよびブレーキペダルアクチュエータ341のみを取り付ければよい。
これにより、図80に示すように、自動変速機型の車両に用いられる車両自動運転装置301の態様とすることができる。
前述したようにペダルアクチュエータ341の着脱は簡単に行うことができるので、シャシダイナモメータにおける被試験車両が手動変速機型の車両から自動変速機型の車両へ変更されたような場合でも、対応は容易である。
[作用・効果]
以上のように、上記第2実施例の車両自動運転装置301は、前述した第1実施例と同様に、可動フレーム402が傾斜したサブフレーム316のサブビーム316aに沿って前後にスライドすることで、シフトレバーの高さ位置に対応するようにトランスミッションアクチュエータユニット431の高さ位置を連続的に可変調整することができる。
このトランスミッションアクチュエータユニット431の高さ位置の調整は、車両自動運転装置301を運転席302上に搭載した状態のまま行うことができ、車両自動運転装置301を車両内に組み付けた後に、シフトレバーとの位置関係が最適となるように容易に調整が可能である。
具体的には、ロック機構となる固定ネジ413を手指で回転操作することで、簡単に高さ調整を行うことができる。ロック機構となる固定ネジ413には、サブビーム316aの傾斜角度に沿った分力のみが作用するので、ロックに必要な締付力は比較的小さく、かつ、重力による下方への位置ズレが生じにくい。
トランスミッションアクチュエータユニット431が取り付けられているアクチュエータ支持プレート405は、可動フレーム402を上下にスライドさせても水平姿勢を維持するので、トランスミッションアクチュエータユニット431は傾くことがない。
チルト機構を備えた図81〜図83に示す構成にあっても、アクチュエータ支持プレート405の傾斜角度は、可動フレーム402の上下スライドの影響を受けることがない。可動フレーム402がチルト機構を備えることで、より多様な車種に対応することが可能となる。
また、第2実施例においては、特に、一対のガイドレール320がサブビーム316aの下面に下方を指向した形に取り付けられている。ガイドレール320とスライダ410とを組み合わせてなるガイド機構は、一般に、ガイドレール320の幅方向つまり取付面に沿った方向における剛性ないし案内精度が高い。そのため、トランスミッションアクチュエータユニット431を支持する可動フレーム402車両幅方向についての支持剛性が高く得られる。
さらに、第2実施例においては、可動フレーム402の外側を囲むメインフレーム315がベルト325の張力や脚部312からの反力などを受けるのに対し、メインフレーム315とは別のサブフレーム316がトランスミッションアクチュエータユニット431を含む可動ユニット401の荷重を支持し、かつスライド可能に案内する。そのため、ベルト325の張力によるサブビーム316aの変形などが回避され、トランスミッションアクチュエータユニット431の位置精度が高く維持される。
また第2実施例では、接続ボックス406自体は移動しないので、メインコネクタ407に外部から接続されるケーブルの移動が生じない。接続ボックス406と第2接続ボックス404とは、一定長の可撓性のケーブル400で接続されており、可動ユニット401のスライド操作を損なうことはない。