以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
[車両自動運転装置1の全体構成]
図1〜図4は、この発明に係る車両自動運転装置1を車両の運転席2に搭載した状態で示している。図5〜図9は、車両から取り外した状態で車両自動運転装置1の全体を示している。この車両自動運転装置1は、図示しないシャシダイナモメータ上で車両の走行試験を行う際に用いられるもので、車両外部に配置される制御装置からの信号によりアクセルペダル等のペダル操作と変速機のシフトレバー操作を行う。
ここで、本実施例の車両自動運転装置1は、後述するように、クラッチペダルを有する手動変速機型の車両であってもクラッチペダルを具備しない自動変速機型の車両であっても使用が可能であり、さらに、運転席が車両右側にあり左手でシフトレバー操作を行ういわゆる右ハンドル車と、運転席が車両左側にあり右手でシフトレバー操作を行ういわゆる左ハンドル車と、の双方に適用が可能である。図1〜図9に示した実施例は、特に、アクセルペダル45とブレーキペダル46とクラッチペダル47とを備えた手動変速機型の車両で、かつ右ハンドル車に適用される態様とした構成例の車両自動運転装置1を示している。
運転席2は、車両の車体フロア6(図2参照)の上に、図示しない前後スライド機構や上下昇降機構を介して支持されており、運転者が座る座面を構成するシートクッション3と、運転者の背中を支持するシートバック4と、運転者の頭部を支持するヘッドレスト5と、を備えている。なお、一般にシートバック4はシートクッション3に対する傾斜角度を調整可能ないわゆるリクライニング機構を備えている。
車両自動運転装置1は、シートバック4の上端部付近から車両前方へ向けて斜め下方へ延びるフレーム11と、フレーム11前端においてシートクッション3前端に沿うように下方へ延びた一対の脚部12と、フレーム11前端から車両前方へ延びて3つのペダル45,46,47をそれぞれ操作する3つのペダルアクチュエータ41と、フレーム11の中間部においてシートクッション3ならびにシートバック4から浮き上がった状態に支持された可動ユニット101と、可動ユニット101の上面に搭載されたトランスミッションアクチュエータユニット131と、フレーム11の前端部に位置する接続ボックス106と、から概略構成されている。
ペダルアクチュエータ41としては、詳しくは、アクセルペダル45を操作するアクセルペダルアクチュエータ41Aと、ブレーキペダル46を操作するブレーキペダルアクチュエータ41Bと、クラッチペダル47を操作するクラッチペダルアクチュエータ41Cと、を含んでいる(図5、図31参照)。これら3つのペダルアクチュエータ41は、完全に同一の構成であってもよいが、本実施例では、クラッチペダル47が弧を描くように動作し、かつストローク(踏込操作量)が比較的大きいことを考慮して、クラッチペダルアクチュエータ41Cが細部において他の2つのペダルアクチュエータ41A,41Bとは異なる構成となっている。アクセルペダルアクチュエータ41Aとブレーキペダルアクチュエータ41Bは、実質的に同一の構成を有している。なお、基本的な構成は、3つのペダルアクチュエータ41に共通であるので、特に区別する必要のないときは、ペダルアクチュエータ41と総称する。
接続ボックス106は、車両自動運転装置1が具備する種々のアクチュエータ類やセンサ類と車両外部の制御装置から車両内に引き込まれる図示しないケーブル(電源系統と信号系統とを含む)との接続部を構成している。
可動ユニット101は、フレーム11に対して前後方向にスライド可能となるように構成されており、トランスミッションアクチュエータユニット131の支持台として機能する。この可動ユニット101と接続ボックス106とは、可撓性を有する平帯状のケーブル100を介して電気的に接続されている。このケーブル100は、複数本の電線を金属チェーンに類似した可撓性の保護部材によって保護した構成であり、U字形ないしJ字形に湾曲することで、可動ユニット101のスライド位置に拘わらず両者の接続が可能となっている。
トランスミッションアクチュエータユニット131は、図示例では運転席2の左手側に位置するシフトレバーを操作するものであり、シフトレバーを車両幅方向に沿って操作(いわゆるセレクト操作)するセレクト用アクチュエータ133と、シフトレバーを車両前後方向に沿って操作(いわゆるシフト操作)するシフト用アクチュエータ134と、を組み合わせた構成となっている。詳しくは、トランスミッションアクチュエータユニット131は、図示しないシフトレバー頭部の例えば略球形状をなすノブないしグリップを把持するグリップハンド168を備えており、このグリップハンド168がシフト用アクチュエータ134の動作によって前後進するとともに、シフト用アクチュエータ134全体がセレクト用アクチュエータ133の動作によって車両幅方向に沿って移動することで、セレクト操作およびシフト操作の双方を実現する。
車両の運転席2に搭載された車両自動運転装置1は、運転席2の左右両側でベルト25を介して後方斜め下方へ引っ張ることにより車両に固定される。詳しくは、運転席2を傷等から保護するために、剛性を有するシートサポート27がシートクッション3後端に配置されており、左右に細長い形状をなすリング部29の両端にベルト25が掛けられている。シートサポート27は、シートクッション3後端からシートバック4下端に亘って略L字形に延びるプレート部28を備えており、運転席2の後方(つまり車両の後席側)から運転席2の下面に沿ってプレート部28を挿入するようにして取り付けられる(図2参照)。なお、ベルト25は、図示しない汎用のベルト締付器(いわゆる荷締め器)を介して左右のそれぞれでループ状に構成されており、このベルト締付器によって締付操作がなされる。後述するように、ベルト25を介して締付・固定した状態において、脚部12の下端が車体フロア6に当接し、フレーム11の上端がシートバック4上部に当接する。
次に、車両自動運転装置1を構成する各部をより詳細に説明する。
[フレーム11・脚部12の構成]
図10〜図12は、フレーム11および脚部12の構成を示している。フレーム11は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いて中空管状に構成したものであり、メインフレーム15と、サブフレーム16と、を備えており、両者が一体に構成されている。詳しくは、いくつかの部分に区分して成形したものを互いに接合して一体化してある。
メインフレーム15は、平面視(図5のように車両上方から見た状態をいう)において略U字形をなす。つまり、メインフレーム15は、車両前後方向に斜めに延びる一対のメインビーム15aと、これら一対のメインビーム15aの上端を互いに連結する上下に拡がった帯状をなす水平方向に沿った横ビーム15bと、を有する。車両搭載状態では、横ビーム15bがシートバック4の上部に当接し、ここからメインビーム15aがシートクッション3前端へ向かって斜め下方へ直線的に延びた姿勢となる。
メインビーム15aは、矩形断面を有し、上下方向の寸法が長手方向(車両前後方向)の中央部で比較的小さく、後端部で上下方向に拡がって横ビーム15bに段差なく連続している。上下方向の寸法は、脚部12が取り付けられる前端部で中央部よりも僅かに拡大している。
また、矩形断面の幅方向寸法は、後端部から中央部に至る範囲では概ね一定である。そして、中央部から前端部へ向かって矩形断面の幅方向寸法が徐々に拡大する。脚部12が取り付けられる前端部においては、脚部12の取付部を構成するように矩形断面の幅方向の寸法が脚部12の投影面積に比較して十分に大きくなっており、かつ、サブフレーム16に連続するように互いに内側へ張り出している。
一対のメインビーム15aは、互いに対称形状をなしている。ここで、メインフレーム15の平面視においては、図5に示すように、全体として樽型をなすように各々のメインビーム15aがアーチ状に湾曲している。換言すれば、一対のメインビーム15aの間の間隔が、車両前後方向の中央部付近で大きくなっており、後端部(横ビーム15b)および前端部での間隔は中央部に比較して小さくなっている。
また側面視においては、メインビーム15aは完全な直線状ではなく、シートバック4とシートクッション3とがなす形状に相対的に近付くように、アーチ状に緩く湾曲している(図11参照)。
一対のメインビーム15aの中央部の上面には、帯状をなすベルト25が通るベルトループ26がそれぞれ取り付けられている。ベルトループ26は、偏平なU字形をなす金属部材からなり、メインビーム15aの表面との間に生じる隙間を通してベルト25がメインビーム15aに装着される。メインビーム15aの中で、このベルトループ26が位置する中央部が最も細く(メインビーム15aの周囲長が短い)なっており、かつ一対のメインビーム15aの間隔が最も広い。このようにベルト25が装着される箇所で一対のメインビーム15aが幅方向外側へ膨らんでいることで、図2に示すように、車両搭載状態においてシートサポート27から延びるベルト25がシートクッション3等と干渉することなく比較的真っ直ぐに(つまり車両前後方向に対し傾かずに)配置されることとなる。従って、ベルト25がシートクッション3やシートバック4の側縁に食い込んでしまうことがなく、シートクッション3やシートバック4の損傷が抑制される。なお、一実施例では、ベルト25の装着位置の調整が可能なように、複数個のベルトループ26が直列に並んで配置されている。
メインフレーム15の横ビーム15bは、シートバック4の基本的な傾斜角に沿うように僅かに傾いた略長方形の板状をなしており、車両搭載状態においてシートバック4の上端部付近に当接するシートバック当接部を構成している。シートバック4の傾斜をリクライニング機構により適宜に調整することで、横ビーム15bの略長方形をなす外側面がシートバック4に広く面接触する。ここで、シートバック4に当接するフレーム11の肩部つまり横ビーム15bの上縁両端部(メインビーム15aに連なるコーナ部)の表面には、適宜な弾性を有するエラストマからなるラバー部30がそれぞれ設けられている。
ペダルアクチュエータ41やシフト用アクチュエータ134の作動に伴う前後方向の反力がフレーム11に作用したときに、フレーム11の後端となる両肩部がシートバック4に強く圧接するが、この部分に弾性を有するラバー部30を備えることで、シートバック4の損傷が抑制される。さらにこのラバー部30は、シートバック4の表皮に対する滑り止めとしても機能する。ラバー部30は、例えばフレーム11の最終的な成形時に同時に貼着することができるが、後工程で接着するようにしてもよい。
また、シートバック4は、一般に、内部の材質(ひいては硬度)が互いに異なる上部パッド部4aと下部パッド部4bとを有しているが、両者の境界となる表皮の縫い目4cに概ね沿って横ビーム15bの下縁(つまりシートバック当接部の下縁)が位置するように、メインフレーム15の各部の基本的な寸法が設定されている(図12参照)。シートバック4の具体的な構成は、勿論車種によって異なるが、多くの場合、上部パッド部4aと下部パッド部4bとの境界の位置は概ね一定である。縫い目4cは相対的に窪んでいるので、この縫い目4cの位置にメインフレーム15の横ビーム15bを合わせて車両に搭載することで、車両自動運転装置1の位置決めが容易になるとともに、フレーム11の姿勢が安定する。なお、車種によっては、このような縫い目4cの位置と無関係に車両自動運転装置1を搭載することも勿論可能である。
サブフレーム16は、上述したように樽型をなすように膨らんだメインフレーム15の内側に位置している。サブフレーム16は、平面視において全体として略U字形をなしており、互いに平行に位置する一対の直線状をなすサブビーム16aと、これら一対のサブビーム16aの下端を互いに連結する中空プレート状の横ビーム16bと、横ビーム16bの下端から折れ曲がった形で前方へ延びる接続ボックス支持部16cと、を有する。
一対のサブビーム16aと横ビーム16bとは、メインフレーム15の傾斜に対応した一つの傾斜した平面に沿って延びている。換言すれば、傾斜した帯状ないし細長い長方形の母材からU字形の切欠部を切り取ったかのような形に一対のサブビーム16aと横ビーム16bとが形成されている。サブビーム16aは、それぞれ正方形に近い矩形断面を有している。このような傾斜したサブビーム16aおよび横ビーム16bに対し、接続ボックス支持部16cは、車両搭載状態において水平面に沿ったものとなるように形成されている。従って、サブビーム16aおよび横ビーム16bと、接続ボックス支持部16cとは、所定の角度を有して連続している。
水平面に沿った配置となる接続ボックス支持部16cは、メインフレーム15の一対のメインビーム15aの前端部の間に挟まれて位置し、かつ互いに一体化されている。つまり、平面視において略U字形をなすメインフレーム15は、接続ボックス支持部16cを介して閉構造に構成されている。また、サブビーム16aの後端(つまり上端)は、メインフレーム15の横ビーム15bの下縁内側面に接続されている。なお、メインフレーム15とサブフレーム16とは、前述したように、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた成形品として一体化されている。
側面視においては、図10,図11に示すように、サブフレーム16の全体的な傾斜とメインフレーム15の全体的な傾斜とがほぼ対応している。但し、メインビーム15aが緩く湾曲しているのに対し、サブビーム16aは直線状に延びている。サブフレーム16は、外側を囲むメインフレーム15を補強すると同時に、後述するように可動ユニット101をスライド可能に支持する支持部材およびガイド部材として機能する。
接続ボックス106は、中空管状をなすサブフレーム16の接続ボックス支持部16cに埋め込まれた形に配置されている。つまり、接続ボックス106の上面の表示パネル109が接続ボックス支持部16cの上面に沿って位置しており、内部の機構はサブフレーム16の中空部に収容されている。表示パネル109は、液晶等からなる表示部109aを有するとともに、複数の小型のコネクタ109bを備えている。また、後述するLEDライト76をオン・オフ操作するライトスイッチ109cが表示パネル109上に配置されている。接続ボックス支持部16cの下面には、図9に示すように、接続ボックス106の金属板からなる下部カバー108が着脱可能に取り付けられている。
また、図9に示すように、接続ボックス106の下部後方に、比較的大型のメインコネクタ107が配置されている。このメインコネクタ107は、サブフレーム16の横ビーム16bの下方に位置し、後方を指向するように設けられている。このメインコネクタ107には、外部の制御装置から車両内に引き込まれたケーブル(図示せず)の先端の比較的大型の集中コネクタ116(図9参照)が接続される。
可動ユニット101と接続ボックス106とを電気的に接続する前述した平帯状にまとめられたケーブル100は、メインコネクタ107の上方において接続ボックス106に接続されており、サブフレーム16の一対のサブビーム16aの間を通って可動ユニット101に達している。このケーブル100は、チェーン状の保護部材によって外周側へは湾曲し得ない構成となっており、サブビーム16aの傾斜にほぼ沿ってU字形ないしJ字形の形を保ちつつ可動ユニット101の移動を許容している。
図9、図11に示すように、一対のサブビーム16aの各々の下面には、後述するように可動ユニット101をスライド可能に案内するための金属製のガイドレール20が取り付けられている。チャンネル状をなすガイドレール20は、レール面が下方を指向した形で取り付けられており、サブビーム16aの後端(つまり上端)付近から一部が横ビーム16bの範囲に重なるようにしてサブビーム16aの全長に亘って延びている。
サブフレーム16の接続ボックス支持部16cを介して互いに連結されているU字の開放端側となるメインフレーム15の下端(前端)の下面つまり一対のメインビーム15aの前端の下面には、円盤型をなす脚部取付座部33がそれぞれ形成されている。この脚部取付座部33に、円筒状の脚部12がそれぞれ取り付けられている。脚部12は、上端に該脚部12の中心線に沿って突出した図示する雄ネジを備えており、他方、脚部取付座部33は、中心に図示しない金属製のナット部を備えており、脚部12の雄ネジを上記ナット部にねじ込むことによって、脚部12が着脱可能に取り付けられている。例えば、車両自動運転装置1を車両へ搭載する際に、脚部12を取り外した状態でフレーム11を運転席2上に配置し、その後に脚部12を取り付けることが容易である。
図示した実施例では、脚部12の下端に高さ調整ネジ13を備えており、車両に搭載した状態で車体フロア6に脚部12が確実に当接するように微調整が可能である。
メインビーム15aの下端(前端)の上面には、球状をなすオプション部品取付部14がそれぞれ設けられている。このオプション部品取付部14は、平面視において脚部12と重なり合う位置にある。つまり、メインビーム15aを挟んで下面側に脚部12が位置し、上面側にオプション部品取付部14が位置する。このオプション部品取付部14は、任意のオプション部品、例えば空調装置用アクチュエータなどを取り付けるために用いられる。
一対のメインビーム15aの前端面には、車両幅方向に延びるペダルアクチュエータ支持用スライドレール31が取り付けられており、このペダルアクチュエータ支持用スライドレール31によって一対のメインビーム15aが互いに連結されている。
スライドレール31は、背面に左右一対のレール支持ブラケット32を備えており、これらのブラケット32を介して、車両前方を向くようにメインビーム15aの前端面に取り付けられている。スライドレール31は、十分な剛性を有するように金属材料から細長い板状に形成されており、図示例では、レール支持ブラケット32と一体に形成されている。略U字形をなすメインフレーム15の開放端は、このペダルアクチュエータ支持用スライドレール31によって閉じられた形となる。つまり、図5に示すように、メインフレーム15とスライドレール31とによって平面視で閉じた四角形ないし樽形が構成される。
ペダルアクチュエータ支持用スライドレール31は、前面側の上縁および下縁に、それぞれ断面半円形をなす第1ガイド面31aおよび第2ガイド面31bを備えており、これらの第1,第2ガイド面31a,31bによってペダルアクチュエータサポート51をスライド可能に支持している。図1〜図12の例では、3つのペダルアクチュエータ41(アクセルペダルアクチュエータ41A、ブレーキペダルアクチュエータ41B、クラッチペダルアクチュエータ41C)に対応して3つのペダルアクチュエータサポート51を備えている。ペダルアクチュエータサポート51の詳細およびこれに取り付けられる各ペダルアクチュエータ41の詳細は後述する。なお、図示例では、全体として細長い板状をなすペダルアクチュエータ支持用スライドレール31に、軽量化のための多数の開口部が設けられているとともに、不要な部分の肉抜きがなされており、これにより、第1ガイド面31aおよび第2ガイド面31bを構成する上縁部分および下縁部分が、断面半円の棒状の外観を呈している。
図12は、フレーム11を運転席2に搭載した状態を示している。前述したように、運転席2の背部に設けられるシートサポート27との間にベルト25が架け渡され、このベルト25を図示しない締付器で締め付けることによってフレーム11が運転席2上で固定されている。このような搭載状態において、フレーム11は、シートバック4の上端部からシートクッション3の前端へと斜め下方へ延びた姿勢となる。詳しくは、メインフレーム15の帯状をなす横ビーム15bがシートバック当接部としてシートバック4の上部に広く面接触し、ここからメインビーム15aがシートクッション3の前端へ向かって斜めに延び、メインビーム15aの前端がシートクッション3の前端から僅かに突出した状態となる。
脚部12は、フレーム11の前端からシートクッション3前端に沿うようにして下方へ延びており、高さ調整ネジ13を具備した下端が車体フロア6に当接している。脚部12は、基本的に、車体フロア6上で垂直となる姿勢に配置される。
図2の矢印F1,F2,F3は、ベルト25の締付により支持点に生じる荷重を示している。フレーム11のベルトループ26に係止されたベルト25の締付によって、フレーム11は、矢印F1で示すように、斜め下方へ引っ張られる。この引張力により、脚部12は矢印F2で示すように車体フロア6に圧接する。また、フレーム11上端(後端)のシートバック当接部つまり横ビーム16bが矢印F3で示すようにシートバック4上端部に圧接する。メインフレーム15やサブフレーム16を含むフレーム11は、シートクッション3には支持されていない。つまり、フレーム11は、脚部12とシートバック当接部の2点と、これら2点の中間部におけるベルト25の張力作用点(ベルトループ26付近)と、の計3点によって固定される。
図2から明らかなように、車両に対する固定点である脚部12下端とシートバック当接部とを結ぶ線分(仮想の直線)のほぼ中央付近にベルト25の張力作用点(ベルトループ26)が位置し、しかも上記線分に対して概ね直交する方向にベルト25の引張力が作用するので、フレーム11が効率的にかつ堅固に固定・支持される。
一般にシートクッション3が乗り心地確保のために柔軟に構成されるのに比較してシートバック4は衝突時の耐荷重性確保のために堅固に構成されている。従って、ベルト25を十分に締め付けて大きな引張荷重を与えることが可能であるとともに、シートクッション3上に載置されている場合に比較してフレーム11の支持が堅固となる。
図2、図12に示すように、トランスミッションアクチュエータユニット131やペダルアクチュエータ41等を含む車両自動運転装置1全体の荷重は、やはり、脚部12とシートバック当接部の2箇所に作用し、シートクッション3には作用しない。換言すれば、車両の車体フロア6とシートバック4との2箇所で車両自動運転装置1の荷重を支持する形となる。上述したようにシートバック4は堅固に構成されているので、車両自動運転装置1の支持が確実となり、試験中の車両振動による車両自動運転装置1の振動や種々のアクチュエータの作動時の反力による車両自動運転装置1の位置ズレなどが抑制される。例えば、図2から理解できるように、ペダルアクチュエータ41の作動時の反力は、斜め上方に作用するが、その反力作用線上に概ね沿ってシートバック当接部(横ビーム16b)が位置するので、堅固なシートバック4によって反力が確実に支承される。
また図示例では、フレーム11の肩部となる横ビーム16bの上縁両端部にラバー部30が設けられているので、シートバック4の表皮の損傷が抑制される。そして、このラバー部30は、滑り止めとしても機能し、ペダルアクチュエータ41の作動時の反力によるフレーム11全体の前後方向の変位が抑制される。
[可動ユニット101の構成およびスライド構造]
図8は、フレーム11に可動ユニット101を組み付けた状態を示し、図13および図14は、可動ユニット101を単体状態で示している。
図8に示すように、可動ユニット101は、フレーム11の中に位置し、詳しくは、メインフレーム15の一対のメインビーム15aの間に位置している。
可動ユニット101は、図13、図14に示すように、一対のサブビーム16aによって支持される可動フレーム102と、この可動フレーム102の上端ないし上面に位置する剛性を有するアクチュエータ支持プレート105と、を備えている。
可動フレーム102は、可動フレーム102の側面を構成する左右一対のサイドフレーム103と、この一対のサイドフレーム103の間に挟まれた断面三角形の箱状をなす第2接続ボックス104と、を備えている。
各々のサイドフレーム103は、フレーム11と同様に例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いて一部材として構成されたものであって、側面視において頂角が鈍角となった略三角形をなしている。つまり、車両搭載状態において基本的に水平となる一辺103aと、この辺103aの前端から斜め下方へ延びる一辺103bと、サブビーム16aに沿って傾斜する底辺103cと、を有する略三角形状をなしている。そして、トラス構造をなすように複数の窓部が開口形成されている。
一対のサイドフレーム103は、第2接続ボックス104によって互いに連結されている。第2接続ボックス104は、サイドフレーム103の辺103bに沿った前壁104aと、サイドフレーム103の底辺103cと平行となるように傾斜した後壁104bと、サイドフレーム103に隣接した一対の側壁104cと、を有し、内部空間に図示しない配線類が収容されている。接続ボックス106から延びる前述した平帯状のケーブル100の先端は、後壁104b側から第2接続ボックス104に接続されている。
一対のサイドフレーム103の底辺103cには、略長方形の板状をなすスライダカバープレート111がそれぞれ取り付けられている。一対のスライダカバープレート111は、各々のサイドフレーム103から互いに内側へ張り出すように設けられている。つまり、一対のサイドフレーム103は、サブビーム16aの車両幅方向外側に隣接して位置し、サイドフレーム103の各々の底辺103cからサブビーム16aの下面を覆うようにスライダカバープレート111が突出している。サブビーム16aの下面に対向する各々のスライダカバープレート111の上面には、前述したサブビーム16a下面のガイドレール20に対応した前後2つのスライダ110が取り付けられている(図14参照)。スライダ110は、チャンネル状をなすガイドレール20とスライド可能に係合する。このスライダ110とガイドレール20との係合によって、可動ユニット101の荷重が支持され、かつ、可動ユニット101がサブビーム16aに沿った方向にスライド可能に案内される。
ガイドレール20やスライダ110としては、市場で入手可能な汎用の部品を利用することができる。スライダ110は、前後2箇所にあり、可動ユニット101全体として四角形の頂点をなすように計4箇所に配置されているので、可動ユニット101の移動(位置調整に際してのスライド操作)が円滑となり、また、トランスミッションアクチュエータユニット131作動時に可動ユニット101に作用する反力に対する剛性が高く得られる。しかも、ガイドレール20とスライダ110との組み合わせによるガイド機構は、一般に、ガイドレール20の幅方向(取付面に沿った方向)における剛性ないし案内精度が高い。そのため、鉛直方向下方へ向かった姿勢で一対のガイドレール20を配置した図示の構成とすることで、可動ユニット101の車両幅方向についての支持剛性が高く得られる。
なお、前後2箇所のスライダ110の少なくとも一方は、自重による可動ユニット101の移動が生じない程度にガイドレール20との間でフリクションを与える構成であることが望ましい。
各々のスライダカバープレート111には、さらに、該スライダカバープレート111を貫通したネジ孔に螺合する固定ネジ113が設けられている。この固定ネジ113は、手指にて回転操作可能なように構成されており、先端が2つのスライダ110の間で図示せぬパッドないしシューを押圧する。つまり、この固定ネジ113をガイドレール20へ向かってねじ込むと、ネジ先端がパッドないしシューを介してガイドレール20に圧接し、これにより、可動ユニット101が移動しないようにスライド機構がロックされる。作業者は例えばシートクッション3ないしシートバック4とメインフレーム15との間に生じる隙間を通して固定ネジ113に容易にアクセスすることができる。
金属板からなるアクチュエータ支持プレート105は、平面視において長方形状をなしており、三角形をなすサイドフレーム103の水平となる辺103aに沿って配置されている。このアクチュエータ支持プレート105は、サイドフレーム103の辺103aの上面に取り付けられており、平行に位置する一対のサイドフレーム103を互いに連結している。アクチュエータ支持プレート105の車両幅方向の寸法は、一対のサイドフレーム103により形成される車両幅方向の寸法よりも大きく、従って、アクチュエータ支持プレート105の両側の側部は、それぞれサイドフレーム103よりも外側へ突出している。第2接続ボックス104は、アクチュエータ支持プレート105の下面を覆うように取り付けられている。なお、平面視においては、アクチュエータ支持プレート105は可動フレーム102の前寄りに片寄って位置しており、サイドフレーム103の後端部がアクチュエータ支持プレート105から後方へ突出している。
アクチュエータ支持プレート105の上面には、後述するようにトランスミッションアクチュエータユニット131が着脱可能に取り付けられる(図15,図16参照)。このトランスミッションアクチュエータユニット131の取付のために、長方形状をなすアクチュエータ支持プレート105の四隅の中の2箇所に、ロック孔121aを備えたグロメット121がそれぞれ埋設されている。つまり、グロメット121は、前側グロメット121Aと後側グロメット121Bとを含んでおり、両者が四角形の対角線上に配置されている。これらはいずれも同一の構成であるので、個々に区別する必要がない場合には、グロメット121と総称する。
同様に、アクチュエータ支持プレート105には、トランスミッションアクチュエータユニット131との間で電気的接続を行うためのトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123が設けられている。トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123は、前側コネクタ123Aと後側コネクタ123Bとを含んでいる。前側コネクタ123Aは、アクチュエータ支持プレート105の前側に位置し、前側グロメット121Aに隣接している。後側コネクタ123Bは、アクチュエータ支持プレート105の後側に位置し、後側グロメット121Bに隣接している。これらはいずれも同一の構成であるので、個々に区別する必要がない場合には、トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123と総称する。これらのトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123としては、アクチュエータ支持プレート105の上面(つまりトランスミッションアクチュエータユニット131の取付面)から上方へ端子片が突出し、かつ相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成された形式のコネクタが用いられている。また、トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123は、相手側のコネクタとの間で位置決めないし挿入時の案内を行うためのガイドピン123aおよびガイドスリーブ123bを備えた形式となっている。なお、トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123としては、市場で入手可能な汎用の部品を用いることができる。トランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123の各端子は、第2接続ボックス104内に収容された配線に接続されており、最終的には、第2接続ボックス104からケーブル100を介して接続ボックス106に接続されている。
アクチュエータ支持プレート105の前側に位置する前側グロメット121Aおよび前側コネクタ123Aと、アクチュエータ支持プレート105の後側に位置する後側グロメット121Bおよび後側コネクタ123Bと、は、長方形状をなすアクチュエータ支持プレート105の中心を対称点とした点対称の関係にある。つまり、180°回転させたときに互いに重なる配置・構成となっている。
また、アクチュエータ支持プレート105は、トランスミッションアクチュエータユニット131を位置決めするための四角形のロケート用開口部124を備えている。ロケート用開口部124は、前側ロケート用開口部124Aと後側ロケート用開口部124Bとを含んでいる。前側ロケート用開口部124Aは、アクチュエータ支持プレート105の前側において、前側グロメット121Aとは車両幅方向で反対側となる位置に配置されている。後側ロケート用開口部124Bは、アクチュエータ支持プレート105の後側において、後側グロメット121Bとは車両幅方向で反対側となる位置に配置されている。前側ロケート用開口部124Aと後側ロケート用開口部124Bとは、やはり長方形状をなすアクチュエータ支持プレート105の中心を対称点とした点対称の関係にある。
さらに、アクチュエータ支持プレート105の左右それぞれの側縁には、トランスミッションアクチュエータユニット131を位置決めするための略U字形をなすロケート用切欠部125がそれぞれ設けられている。この2つのロケート用切欠部125は、左右それぞれの側縁の中央に位置し、かつ互いに線対称および点対称となる関係にある。
図6〜図8は、可動ユニット101の上面にトランスミッションアクチュエータユニット131が取り付けられた状態を示しているが、特に、可動ユニット101のフレーム11に対する位置調整を説明するための図である。前述したように、可動ユニット101は、フレーム11のサブビーム16aに沿って上下に(つまり前後に)スライドさせることができる。図6は、可動ユニット101を比較的高い位置に設定した状態を示しており、図7、図8は、可動ユニット101を比較的低い位置に設定した状態を示している。このような可動ユニット101の位置調整によって、トランスミッションアクチュエータユニット131の高さ位置ひいてはグリップハンド168の基本的な高さ位置が変化し、車種によって高さないし長さが異なるシフトレバーに広く対応することが可能となる。
ここで、図6のように可動ユニット101の位置を高くすると、トランスミッションアクチュエータユニット131が相対的に後退し、図7等のように可動ユニット101の位置を低くすると、トランスミッションアクチュエータユニット131が相対的に前進した位置となるが、このような前後方向の変化は、前後方向に動作するシフト用アクチュエータ134の初期位置の設定によって吸収可能である。例えば、仮に図6の場合と図7の場合とで車両におけるシフトレバーの前後位置が同一であると仮定すると、図6のように可動ユニット101の位置を高くすると相対的にシフトレバーまでの距離が長くなることになるが、この場合にはグリップハンド168が比較的長く突出した位置を制御の基準位置とすることで、容易に対応できる。
なお、後述するように、図示の実施例では、シフト用アクチュエータ134は、セレクト用アクチュエータ133に対して上下に揺動可能である。従って、この上下揺動によっても、シフトレバー頭部の高さ位置の多少の差異に対応することができる。
上記のような可動ユニット101(ひいてはトランスミッションアクチュエータユニット131)の上下・前後の位置調整は、車両自動運転装置1を図1等のように運転席2上に搭載した状態のまま行うことができる。従って、試行錯誤的な作業が不要であり、車両自動運転装置1を車両内に組み付けた後に、シフトレバーとの位置関係が最適となるように容易に調整が可能である。
[トランスミッションアクチュエータユニット131の構成および着脱構造]
トランスミッションアクチュエータユニット131は、可動ユニット101に対して簡単に着脱できる構成を有する。そして、可動ユニット101に対する取付姿勢(前後の向き)を180°反転させることで、いわゆる右ハンドル車用の態様と左ハンドル車用の態様とに容易に変更することができる。
図8、図9、図15は、可動ユニット101からトランスミッションアクチュエータユニット131を取り外した状態を示している。図17〜図22は、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131を単体で示している。
前述したように、トランスミッションアクチュエータユニット131は、車両幅方向に沿ったセレクト操作を行うセレクト用アクチュエータ133と、車両前後方向に沿ったシフト操作を行うシフト用アクチュエータ134と、を組み合わせて構成されている。
トランスミッションアクチュエータユニット131は、比較的厚く剛性の高いベースプレート132を備え、このベースプレート132の上にセレクト用アクチュエータ133が構成されている。セレクト用アクチュエータ133は、車両幅方向に沿って細長い箱状をなすアクチュエータハウジング135を有し、このアクチュエータハウジング135がベースプレート132上に固定されている。また、アクチュエータハウジング135の長手方向中央部には、一方の側に箱状のコネクタカバー137を備え、他方の側に箱状のモータカバー138を備えている。なお、図示例では、コネクタカバー137はアクチュエータハウジング135と一体に連続している。
ベースプレート132は、平坦な板状をなし、図17、図18等に示すように、これらのアクチュエータハウジング135とコネクタカバー137とモータカバー138の三者の外側の輪郭に概ね沿った外形を有している。すなわち、ベースプレート132は、長手方向の両端部では幅(車両前後方向の寸法)が狭く、中央部では幅が広くなった形状を有している。
セレクト用アクチュエータ133は、モータカバー138の中に収容された電動モータおよび減速機の作用によりアクチュエータロッドとなるラック軸141が車両幅方向に移動するピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータである。ラック軸141は、後退状態においてはそのほぼ全体がアクチュエータハウジング135の中に収容されており、アクチュエータハウジング135の一方の端部(コネクタカバー137を前方へ向けたときに左手側となる端部)からラック軸141の先端部のみが突出している。このラック軸141の先端部に、後述するように、シフト用アクチュエータ134が支持されている。図1等に示したいわゆる右ハンドル車用の構成では、運転席2上に位置するフレーム11や可動ユニット101に対して左手側にシフト用アクチュエータ134が位置する。なお、ラック軸141は、シフト用アクチュエータ134の荷重を支承しつつ精度よく直線運動し得るように、アクチュエータハウジング135の内部の図示しないガイド機構によって案内されている。
図17、図18に示すように、コネクタカバー137の一側部(車両幅方向に沿った一方の側部)およびモータカバー138の反対側の一側部においては、ベースプレート132がアクチュエータハウジング135やコネクタカバー137およびモータカバー138の輪郭から張り出しており、対角線上に位置する一対の延長部132aとして形成されている。延長部132aを含めたベースプレート132中央部分の四角形の範囲は、可動ユニット101のアクチュエータ支持プレート105の外形状に対応した形状をなす。そして、この一対の延長部132aの各々に、前述した可動ユニット101側のアクチュエータ支持プレート105のグロメット121とともにロック機構143を構成するロックピン144が配設されている。ロックピン144は、下端部がベースプレート132の面から下方へ突出し、かつ、手指にて回転操作するための摘み部145を上端部に備えている。このロック機構143は、グロメット121のロック孔121aに挿入したロックピン144を一定角度(例えば90°ないし180°)回転させることで軸方向の締付を伴うロックが行われる汎用のスクリュー形式のものである(図15、図16参照)。
ここで説明の便宜のために、両者の区別が必要な場合は、コネクタカバー137側のロックピン144を第1ロックピン144Aと呼び、モータカバー138側のロックピン144を第2ロックピン144Bと呼ぶこととする。
一対のロックピン144は、それぞれアクチュエータ支持プレート105のグロメット121に係合する。詳しくは、図8等に示すように、いわゆる右ハンドル車用の態様では、アクチュエータ支持プレート105の前側に位置する前側グロメット121Aに第1ロックピン144Aが係合し、アクチュエータ支持プレート105の後側に位置する後側グロメット121Bに第2ロックピン144Bが係合する。一対のロック機構143をロック状態とすることで、ベースプレート132はアクチュエータ支持プレート105に対して締め付けられ、堅固に固定される。
また、ベースプレート132の底面においては、図20、図22に示すように、アクチュエータ支持プレート105におけるトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123に対応したトランスミッションアクチュエータ側コネクタ171が設けられている。このコネクタ171は、コネクタカバー137に覆われる位置にあり、特に、上述した右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105上に取り付けたときに、前側コネクタ123Aに対応することとなる位置に配置されている。コネクタ171は、アクチュエータ支持プレート105側のコネクタ123に対応して、端子片が浮動状態に構成されかつガイドピン171aおよびガイドスリーブ171bを備えた形式となっている。従って、コネクタ171,123同士で互いの位置が案内されることとなり、アクチュエータ支持プレート105の上にトランスミッションアクチュエータユニット131を載せ、かつロック機構143によりベースプレート132とアクチュエータ支持プレート105とを互いに締め付けるだけで、両コネクタ171,123の接続が完了する。
なお、ベースプレート132の上面側では、このコネクタ171の部分をコネクタカバー137が覆っている。コネクタ171に至る図示しないケーブルも、コネクタカバー137やアクチュエータハウジング135の内部を通して配線されており、外部には露出していない。
ベースプレート132において上記トランスミッションアクチュエータ側コネクタ171と点対称となる位置には、該コネクタ171と同様の大きさの長方形状をなす開口部175が開口形成されている。上述した右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105上に取り付けたときに、使用されていない後側コネクタ123Bのガイドピン171a等を含む突出部分は、開口部175に受容される。つまり、使用されていない後側コネクタ123Bがベースプレート132に干渉することがない。
さらに、ベースプレート132の底面には、コネクタ171を保護するための脚部176が角柱状に突出して設けられている。脚部176は、モータカバー138の下方位置にある第1脚部176Aと、ベースプレート132の中心線上で互いに左右に離れて位置した第2脚部176Bおよび第3脚部176Cと、を含んでいる。詳しくは、第1脚部176Aは、上述した右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105上に取り付けたときにアクチュエータ支持プレート105の後側ロケート用開口部124Bに対応する位置に配置されており、この後側ロケート用開口部124Bに比較的密に嵌合する。第2脚部176Bおよび第3脚部176Cは、同じく右ハンドル車用の態様でトランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105上に取り付けたときに、アクチュエータ支持プレート105の左右の側縁に設けられた一対のロケート用切欠部125にそれぞれ対応する位置にあり、このロケート用切欠部125に比較的密に係合する。
これら3つの脚部176がアクチュエータ支持プレート105の後側ロケート用開口部124Bおよびロケート用切欠部125に係合することで、トランスミッションアクチュエータユニット131はアクチュエータ支持プレート105に対して確実に位置決めされる。つまり、トランスミッションアクチュエータユニット131を取り付ける際のガイドとなるとともに、取り付けた後は、アクチュエータ支持プレート105に対する支持剛性の向上に寄与する。脚部176がロケート用開口部124およびロケート用切欠部125に比較的密に係合することで、例えば、トランスミッションアクチュエータユニット131の動作時の反力による位置ズレが抑制される。
なお、脚部176は、トランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105に載せる際に、コネクタ123,171同士が干渉する前に、該脚部176がロケート用開口部124ないしロケート用切欠部125に入り込んでトランスミッションアクチュエータユニット131の取付位置の案内がなされるように、その突出長を設定することが望ましい。
また3つの脚部176は、同一の突出長を有し、かつこの突出長は、ベースプレート132底面におけるロックピン144の突出長やコネクタ171のガイドピン171aおよびガイドスリーブ171bの突出長よりも大きい。従って、取り外し状態にあるトランスミッションアクチュエータユニット131を適当な置き台の上に載せたときに、これら3つの脚部176によってトランスミッションアクチュエータユニット131を支持することができ、かつロックピン144やコネクタ171が置き台と干渉することがない。
さらに、ベースプレート132の底面には、第1脚部176Aに隣接した位置に、セレクト用アクチュエータ133をロックするためのストッパ機構182(図25参照)を構成するストッパピン181が設けられている(図22参照)。このストッパピン181は、ベースプレート132の底面と直交する方向に沿って進退可能に配置されているとともに、内部のコイルスプリング185(図24参照)によって突出方向に常時付勢されている。このストッパピン181は、トランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105に取り付けた状態では、アクチュエータ支持プレート105の上面に当接し、該アクチュエータ支持プレート105に押されて後退する。つまり、ストッパピン181は、トランスミッションアクチュエータユニット131が取り外されている場合の自由状態における突出位置と、トランスミッションアクチュエータユニット131がアクチュエータ支持プレート105に取り付けられていて該アクチュエータ支持プレート105に押されているときの後退位置と、を有する。そして、ストッパピン181の突出位置では、内部のストッパ機構182がセレクト用アクチュエータ133をロックつまり固定し、ストッパピン181の後退位置ではストッパ機構182はセレクト用アクチュエータ133を解放つまり自由状態とする。
図24および図25は、ストッパ機構182の一例を示している。セレクト用アクチュエータ133の電動モータは、傘歯歯車183を介して歯車列からなる減速機184を駆動し、これによりラック軸141が進退するように構成されているが、ストッパ機構182として、減速機184の中の1つの歯車184aとストッパピン181の爪片181aとが噛み合う構成となっている。つまり、ストッパピン181が突出位置にあると、該ストッパピン181の爪片181aが歯車184aと係合し、これにより減速機184の回転が不能となる。一方、ストッパピン181が後退位置にあるときには、ストッパピン181の爪片181aと歯車184aとがストッパピン181の軸方向に離れた位置となり、歯車184aの自由な回転が可能となる。
従って、トランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105から取り外して持ち上げたときには、ストッパピン181がコイルスプリング185によって突出することで、セレクト用アクチュエータ133がロックされる。従って、ラック軸141が重力でもって突出するようなことがない。一方、トランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105上に取り付けた状態では、自然にロックが解放され、セレクト用アクチュエータ133の動作が可能となる。
突出位置におけるストッパピン181の突出長は、ベースプレート132の底面における3つの脚部176の突出長よりも短く設定されている。従って、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131を床面等に置いてもロックが外れることがない。また床面等との衝突によるストッパピン181の不要な損傷も回避される。
図6、図7等に示すように、アクチュエータ支持プレート105の上にトランスミッションアクチュエータユニット131が取り付けられた状態では、ベースプレート132の延長部132aを含む前縁(コネクタカバー137側の縁部)の外形状がアクチュエータ支持プレート105の前縁形状にほぼ対応している。アクチュエータ支持プレート105の後縁側では、同様にベースプレート132の延長部132aを含む後縁(モータカバー138側の縁部)の外形状がアクチュエータ支持プレート105の後縁形状にほぼ対応している。右ハンドル車用の態様では使用されていない後側コネクタ123Bはモータカバー138部分のベースプレート132によって覆われている。つまり、使用されていない後側コネクタ123Bが露出することがない。
また、平面視においてアクチュエータ支持プレート105はメインフレーム15の内側にある。一方、車両幅方向にサブフレーム16から突出するアクチュエータハウジング135の左右両端部は、メインフレーム15のメインビーム15aよりも上方の高さ位置にある(図2等参照)。従って、アクチュエータハウジング135とメインビーム15aとが干渉することなく前述した可動ユニット101およびトランスミッションアクチュエータユニット131の上下・前後スライドが可能である。なお、可動ユニット101を最大限に後退させた位置および最大限に前進させた位置においても、アクチュエータハウジング135とメインビーム15aとが干渉しない関係に各部が設定されている。
アクチュエータハウジング135の上面135aには、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131を作業者が持ち運びできるように、作業者によって把持可能な略U字形のハンドル136が取り付けられている。このハンドル136は、シフト用アクチュエータ134を含むトランスミッションアクチュエータユニット131全体の重心位置に対応した位置に配置されている。従って、ハンドル136を介して持ち上げたときにトランスミッションアクチュエータユニット131が大きく傾くことがなく、搬送作業が容易になることに加えて、可動ユニット101に対する脱着作業が容易となる。
上記のように、トランスミッションアクチュエータユニット131は、一対のロック機構143を緩めるだけで可動ユニット101から取り外すことが可能である。そして、逆に、可動ユニット101の上にトランスミッションアクチュエータユニット131を載せ、一対のロックピン144を手指で回転させてロック機構143をロック状態とすることで、可動ユニット101に取り付けることができる。取付と同時にコネクタ123,171による電気的接続がなされ、外部でのケーブルの接続等は不要である。
従って、車両自動運転装置1を車両に搭載するに際して、フレーム11(可動ユニット101)からトランスミッションアクチュエータユニット131を取り外した状態としておき、フレーム11を運転席2上に固定・支持した後に車内でトランスミッションアクチュエータユニット131を可動ユニット101に取り付けることができる。逆に車両自動運転装置1を車両から取り外す際にも、先にトランスミッションアクチュエータユニット131を取り外すことが容易である。これにより、ドア開口部を通した車内への車両自動運転装置1の搬入・搬出が容易となる。トランスミッションアクチュエータユニット131を取り外した状態では、ストッパピン181を用いたストッパ機構182によってセレクト用アクチュエータ133のラック軸141が固定されるので、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131の取り扱いが容易となる。自重によるラック軸141の突出が生じないので、例えば不用意にラック軸141が突出してドア開口部を傷付けてしまうようなことがない。
一方、可動ユニット101から取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131は、前後を180°反転させて可動ユニット101に取り付けることが可能である。これにより、シフトレバーが運転席2の右側に位置する車両つまりいわゆる左ハンドル車に容易に対応することができる。
右ハンドル車用におけるトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢に対してトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢を180°反転させた左ハンドル車用の態様では、図26、図27に示すように、モータカバー138が前側に、コネクタカバー137が後側に、それぞれ位置する。トランスミッションアクチュエータユニット131に対角線上に配置された一対のロックピン144は、それぞれ右ハンドル車用の態様とは異なる対角線上のグロメット121と組み合わせられ、摘み部145による回転操作によってロックがなされる。つまり、前側グロメット121Aに第2ロックピン144Bが係合し、後側グロメット121Bに第1ロックピン144Aが係合する。
また、トランスミッションアクチュエータ側コネクタ171は、アクチュエータ支持プレート105の後側コネクタ123Bと接続される。このとき、使用されない前側コネクタ123Aは、ベースプレート132の開口部175に受容され、ベースプレート132との干渉が回避されるとともに、外部に露出することがない。さらに、ベースプレート132下面の3つの脚部176は、アクチュエータ支持プレート105の前側ロケート用開口部124Aおよび左右一対のロケート用切欠部125に比較的密に係合する。
なお、右ハンドル車用の取付姿勢と左ハンドル車用の取付姿勢のいずれでも、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141の中心は、等しい位置にあり、互いに変化しない。つまり、アクチュエータ支持プレート105の前後方向中央に常にラック軸141が位置する。
[シフト用アクチュエータ134の構成および着脱構造]
前述したようにシフト用アクチュエータ134は、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141の先端部に支持されているが、このシフト用アクチュエータ134はラック軸141の先端部から簡単に着脱できる。さらに、セレクト用アクチュエータ133に対するシフト用アクチュエータ134の取付姿勢を前後反転可能なように構成されている。すなわち、上述した右ハンドル車用の態様と左ハンドル車用の態様との間での変更に伴ってトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢を180°反転させた場合に、多くの車種では、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141よりもシフトレバーの位置が前側にあるので、シフト用アクチュエータ134の向き(つまりグリップハンド168が前後のどちら側にあるか)を変更する必要が生じる。本実施例では、シフト用アクチュエータ134の前後方向が容易に反転する。
図21および図22は、セレクト用アクチュエータ133からシフト用アクチュエータ134を取り外した状態を示している。なお、これらの図におけるシフト用アクチュエータ134の向き(セレクト用アクチュエータ133に対する姿勢)は、図1等のいわゆる右ハンドル車用の態様に相当する。
セレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135から進退するラック軸141は、角柱状をなしており、その先端部に、回転自在に支持されたジョイント152を介してL字形ブラケット151が取り付けられている。ジョイント152は、ラック軸141の長手方向と平行な回転中心軸を有し、L字形ブラケット151は、この回転中心軸を中心として揺動可能に支持されている。L字形ブラケット151は、ジョイント152の回転中心軸と平行な平面をなす長方形の取付面151aを有し、この取付面151aの両側に、該取付面151aから垂直に立ち上がった第1ガイド面151bおよび第2ガイド面151cを備えている。
ジョイント152の回転中心軸は、ラック軸141の下方にあり、かつ取付面151aは、ジョイント152の回転中心軸よりも下方にオフセットしている。従って、取付面151aは、ラック軸141の延長線上よりも下方に位置している。また、第1ガイド面151bおよび第2ガイド面151cは、ジョイント152の回転中心軸と直交する方向(換言すればラック軸141と直交する方向)に延びており、互いに平行である。
L字形ブラケット151の取付面151aの中心部には、ロック機構154を構成するロックピン155が配置されている。このロック機構154は、トランスミッションアクチュエータユニット131を固定するための前述したロック機構143と実質的に同一の汎用のスクリュー形式のロック機構であって、ロックピン155の下端には手指で回転操作するための摘み部156を備えている。
図20〜図23等に示すように、シフト用アクチュエータ134は、長方形の底面を有する箱状のアクチュエータハウジング161と、このアクチュエータハウジング161の内部に収容された減速機163と、この減速機163に接続された電動モータ165と、アクチュエータハウジング161の端部から先端部が突出したアクチュエータロッドとしてのラック軸166と、を備えている。ラック軸166は、歯部を除く基本形状として断面円形の棒状をなしている。アクチュエータハウジング161は、後方へと直線的に延びた円筒部161aを備えており、ラック軸166が後退位置にあるときはラック軸166の大部分がこの円筒部161aの中に収容されている。また、箱状をなすアクチュエータハウジング161の電動モータ165とは反対側となるコーナ部分は、傾斜面をなしている。
ラック軸166の先端に、前述したグリップハンド168が取り付けられている。このグリップハンド168は、二股状をなす固定フィンガー168aと、この固定フィンガー168aに対して開閉動作可能な可動フィンガー168bと、固定フィンガー168aに対する可動フィンガー168bの開閉動作ならびに締付固定を行う固定ネジ169と、を備えている。グリップハンド168は、図示しないシフトレバー頭部のノブないしグリップを把持するものであるが、固定ネジ169を介したフィンガー168a,168bの開閉調整によって、形状や大きさが異なる種々のノブないしグリップの把持が可能である。
アクチュエータハウジング161の底面は、剛性の高い比較的に厚肉の底部プレート161bによって構成されており、この底部プレート161bは、図22に示すように、ラック軸166の長手方向が長辺となる長方形をなしている。また、底部プレート161bの短辺側の幅は、上述したL字形ブラケット151の取付面151aの幅つまり第1ガイド面151bと第2ガイド面151cとの間の間隔に実質的に等しい。つまり、底部プレート161bは、L字形ブラケット151の第1,第2ガイド面151b,151cに挟まれた取付面151aに比較的密に嵌合し得る寸法を有している。そして、底部プレート161bの中心部には、ロックピン155が係合するロック孔162aを備えたグロメット162が取り付けられている。このグロメット162は、前述したアクチュエータ支持プレート105におけるグロメット121と同様のものであり、ロックピン155とともにロック機構154を構成している。
従って、アクチュエータハウジング161をL字形ブラケット151の上に載せ、ロックピン155を摘み部156を介して手指でロック方向に回転操作することにより、底部プレート161bがL字形ブラケット151の取付面151a上に締め付けられる。これにより、シフト用アクチュエータ134がL字形ブラケット151上に固定される。この取付状態では、底部プレート161bの左右側縁がL字形ブラケット151の第1,第2ガイド面151b,151cに係合するので、シフト用アクチュエータ134が左右に傾くようなことはない。つまり、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141とシフト用アクチュエータ134のラック軸166は、常に正しく直交状態を維持する。なお、ラック軸166中心軸線は、L字形ブラケット151の揺動中心つまりジョイント152の回転中心軸と交差する。従って、先端にグリップハンド168を備えたラック軸166は、該ラック軸166の中心軸線上にある揺動中心を中心として上下に揺動可能である。
また、L字形ブラケット151下面にある摘み部156をロック解除方向に回転操作すれば、ロック機構154のロックが解除され、図21、図22に示すようにシフト用アクチュエータ134をL字形ブラケット151から取り外すことができる。そして、取り外したシフト用アクチュエータ134を前後に180°反転させてL字形ブラケット151に再度取り付けることで、図26、図27に示すような逆向きの取付姿勢でもってセレクト用アクチュエータ133と組み合わせることができる。
グロメット162のロック孔162aは、アクチュエータハウジング161下面の底部プレート161bの中心、少なくとも底部プレート161bの短辺方向に沿った幅の中心に位置している。従って、シフト用アクチュエータ134を180°反転させた取付姿勢においても、底部プレート161bはL字形ブラケット151の第1,第2ガイド面151b,151c間の取付面151aに比較的密に嵌合し、かつロックピン155がロック孔162aに合致する。
なお、図17、図18等に示すように、セレクト用アクチュエータ133とシフト用アクチュエータ134とは、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141先端部からシフト用アクチュエータ134の電動モータ165へ至る2本のケーブル167によって接続されている。このケーブル167は、L字形ブラケット151からシフト用アクチュエータ134を取り外して姿勢を反転させるに必要な最小限の長さを備えている。従って、基本的にケーブル167を取り外すことなくシフト用アクチュエータ134の姿勢の反転作業が可能である。必要であれば、ケーブル167をシフト用アクチュエータ134から取り外すことも可能である。
ケーブル167は、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141の内部を通して延びており、最終的に、ベースプレート132下面のコネクタ171に接続されている。従って、外部に露出しているケーブル167の長さは最小限のものとなっている。
図23は、ラック軸166の中心軸に沿った断面におけるシフト用アクチュエータ134の断面図である。詳しくは、L字形ブラケット151上にロック機構154を介して固定支持されている状態の断面を示している。シフト用アクチュエータ134は、電動モータ165および減速機163の作用によりアクチュエータロッドとなるラック軸166が車両前後方向に移動するピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータである。図示するように、箱状をなすアクチュエータハウジング161の内側には、複数の歯車164を組み合わせた減速歯車列からなる減速機163が収容されており、電動モータ165の回転を減速している。ラック軸166には、歯車列の最終段のピニオンと噛み合うラック166aが形成されている。
上記のように、実施例の車両自動運転装置1にあっては、トランスミッションアクチュエータユニット131全体を2つの取付姿勢の中のいずれかで選択的に可動ユニット101上に取り付けるとともに、このトランスミッションアクチュエータユニット131の取付姿勢に対応してセレクト用アクチュエータ133に対するシフト用アクチュエータ134の取付姿勢を変更することで、運転席2に対してシフトレバーが左側に位置するいわゆる右ハンドル車用の態様と、運転席2に対してシフトレバーが右側に位置するいわゆる左ハンドル車用の態様と、に容易に変更することができる。
図5、図6は、右ハンドル車用の態様を示しており、フレーム11の左側にグリップハンド168が位置する。グリップハンド168は、セレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135よりも前方に位置する。トランスミッションアクチュエータユニット131のセレクト用アクチュエータ133とシフト用アクチュエータ134とは、図17、図18に示すような態様で組み合わせられている。
これに対し、図26、図27は、左ハンドル車用の態様を示しており、フレーム11の右側にグリップハンド168が位置する。グリップハンド168は、やはりセレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135よりも前方に位置する。トランスミッションアクチュエータユニット131のセレクト用アクチュエータ133とシフト用アクチュエータ134とは、図示するようにシフト用アクチュエータ134を反転させた態様で組み合わせられている。
さらに、図示は省略するが、グリップハンド168がセレクト用アクチュエータ133のアクチュエータハウジング135よりも後方に位置するようにシフト用アクチュエータ134の取付姿勢を選択することも可能である。例えば、運転席2の左側にシフトレバーが位置する右ハンドル車用の態様として図1のようにトランスミッションアクチュエータユニット131を搭載した上で、シフトレバーが運転席2に対して比較的に後方寄りに位置する場合に、シフト用アクチュエータ134を前後反転した形でセレクト用アクチュエータ133に組み合わせることができる。これにより、グリップハンド168が相対的に後方位置となる。
このような構成は、左ハンドル車用の態様においても同様であり、例えば図26の左ハンドル車用の態様においてシフト用アクチュエータ134を前後反転した形で組み合わせることが可能である。
前述したようにセレクト用アクチュエータ133の高さ位置ないし前後位置は可動ユニット101のフレーム11に対するスライド位置によって変更可能であるので、シフト用アクチュエータ134の前後の向きの変更と組み合わせることで、多様なシフトレバー位置に対応が可能である。
また、シフトレバーの頭部の高さ位置は、一般にシフト操作に伴って上下に変位するが、シフト用アクチュエータ134がジョイント152の回転中心軸を中心として上下に揺動可能であるので、シフトレバーの頭部の高さ位置の変化が許容される。従って、円滑なシフト操作が可能である。
[可動ユニット101の変形例]
図39〜図41は、可動ユニット101の変形例として、シフトレバーの頭部の高さ位置が比較的高く斜めに操作する必要がある場合(例えば、運転席前方のダッシュパネルに短いシフトレバーが配置されている形式など)に対応できるように、チルト機構を備えた可動ユニット101を示している。
この可動ユニット101においては、一対のサイドフレーム103の各々が、アウターサイドフレーム103Aとインナーサイドフレーム103Bとを組み合わせた構成となっている。アウターサイドフレーム103Aは、車両幅方向の外側に位置し、前述したサイドフレーム103と同様に3つの辺103Aa,103Ab,103Acを有する略三角形をなし、かつ、上方の辺103Aaがアクチュエータ支持プレート105に固定されている。
インナーサイドフレーム103Bは、アウターサイドフレーム103Aの車両幅方向の内側面に沿って重ねられており、3つの辺103Ba,103Bb,103Bcを有する相対的に小さな略三角形をなしている。スライダカバープレート111(前後2つのスライダ110および固定ネジ113を含む)は、インナーサイドフレーム103Bの底辺103Bcに取り付けられている。従って、インナーサイドフレーム103Bがサブビーム16aによって前後スライド可能に案内される。
アウターサイドフレーム103Aとインナーサイドフレーム103Bとは、後方の頂点においてヒンジピン186を介して互いに揺動可能に連結されている。アウターサイドフレーム103Aの下方の頂点にロックネジ187が設けられており、インナーサイドフレーム103Bの前方の辺103Bbの上下2箇所に配置された第1グロメット188Aもしくは第2グロメット188Bに、このロックネジ187が螺合する。つまり、ロックネジ187が螺合するグロメット188をいずれかに選択することによって、スライダ110(換言すれば可動ユニット101を案内するサブビーム16a)に対するアウターサイドフレーム103Aの傾斜角度を変更することができる。
ロックネジ187が下方の第1グロメット188Aに螺合した状態では、アクチュエータ支持プレート105は基本的に水平姿勢となる。従って、シフト用アクチュエータ134は、基本的に水平姿勢となる。
これに対し、ロックネジ187が第2グロメット188Bに螺合した状態では、アクチュエータ支持プレート105は前縁側が相対的に高位となる傾斜姿勢となる。従って、シフト用アクチュエータ134は、同様に傾斜した姿勢となる。一つの例では、例えば30°程度の角度でもってアクチュエータ支持プレート105を傾斜させることができる。これにより、例えば、シフトレバーがダッシュパネルに配置されているような形式であっても、斜め上方および斜め下方へシフト操作することができる。
なお、図示例では、傾斜角度が2段階に変更されるが、グロメット188をより多数配置し、さらに多段階に角度変更が可能となるように構成することもできる。
[シフト用アクチュエータ134の支持部の変形例]
前述したように、実施例のトランスミッションアクチュエータユニット131においては、セレクト用アクチュエータ133の高さ位置に対するシフト用アクチュエータ134の高さ位置が固定的に定まっているが、より多様なシフトレバーの頭部位置に簡単に対応できるように、セレクト用アクチュエータ133に対するシフト用アクチュエータ134の高さ位置を変更可能とすることもできる。
図42〜図44は、このようなシフト用アクチュエータ134の支持部の変形例を示している。前述した実施例と同様に、セレクト用アクチュエータ133のラック軸141の先端に、回転自在に支持されたジョイント152Aを介してL字形ブラケット151Aが取り付けられているが、図42に示すように、両者が上下にスライド可能に組み合わされている。例えば、ジョイント152Aが上下方向に沿ったガイド溝221を有し、L字形ブラケット151Aには、このガイド溝221に対応した上下方向に沿ったガイドレール部222が形成されている。このガイドレール部222がガイド溝221にスライド可能に係合することで、L字形ブラケット151Aはジョイント152Aに対し上下に移動することができる。
また、ジョイント152Aの前端面にプランジャ223が取り付けられており、このプランジャ223の先端部が進入する係合孔224がガイドレール部222の前縁の複数箇所例えば3箇所に形成されている。つまり、高さの異なる3箇所に係合孔224が配置されている。プランジャ223は、図示せぬ内部のスプリングによって係合孔224と係合する方向に常に付勢されている。
図42は、L字形ブラケット151Aが最も低い位置にある状態を示しており、プランジャ223は、最も高い位置にある係合孔224に係合している。なお、この位置では、シフト用アクチュエータ134のラック軸166の中心線がジョイント152Aの回転中心軸と交差する。この状態から作業者が手指によりプランジャ223を引っ張って係合孔224との係合を解除すれば、L字形ブラケット151Aの高さ位置を上方の第2の位置もしくは第3の位置へと容易に変更することができる。例えば、図43は、L字形ブラケット151Aが最も高い位置にある状態を示しており、プランジャ223は、最も低い位置にある係合孔224に係合している。
従って、セレクト用アクチュエータ133の高さ位置に対するシフト用アクチュエータ134の高さ位置を3段階に簡単に調節することができる。
[ペダルアクチュエータ41の着脱構造]
前述したように、実施例の車両自動運転装置1は、3つのペダルアクチュエータ41、すなわち、アクセルペダルアクチュエータ41Aと、ブレーキペダルアクチュエータ41Bと、クラッチペダルアクチュエータ41Cと、を備えている。そして、これらのペダルアクチュエータ41は、フレーム11の前端に取り付けられたペダルアクチュエータ支持用スライドレール31に、ペダルアクチュエータサポート51を介して支持されている。
図32は、フレーム11の前端に配置されたペダルアクチュエータ支持用スライドレール31とペダルアクチュエータサポート51の詳細を示している。また、図28〜図30は、ペダルアクチュエータ41の代表的な構成として、ブレーキペダルアクチュエータ41Bの詳細を示している。
ペダルアクチュエータ支持用スライドレール31は車両幅方向に細長く延びた帯状をなしており、比較的厚く剛性を有する金属板からなる。そして、軽量化のために不要な部分の肉抜きおよび開口部の形成が施されており、上縁部分および下縁部分が断面半円の棒状をなしている。このスライドレール31の上縁には、半円筒面をなす第1ガイド面31aが車両幅方向に連続して形成されており、スライドレール31の下縁には、半円筒面をなす第2ガイド面31bが車両幅方向に連続して形成されている。第1ガイド面31aと第2ガイド面31bは、互いに逆向きの半円形断面を有している。
ペダルアクチュエータサポート51は、例えば硬質合成樹脂を用いて各部一体に成形されたものであって、正面視(車両前方から見た状態をいう)において、スライドレール31の上下に亘る寸法を有する縦長の長方形状をなしている。ペダルアクチュエータサポート51は、スライドレール31の前面に重なる矩形の基部51aを有するとともに、第1ガイド面31aの上方において車両後方へ延びる上部壁51bと、第2ガイド面31bの下方において車両後方へ延びる下部壁51cと、左右一対の側壁51dと、を備えている。換言すれば、ペダルアクチュエータサポート51は、スライドレール31へ向かう背面が開口した箱状に形成されている。一対の側壁51dは、第1ガイド面31aにスライド可能に係合する半円形の上部切欠部51eと、第2ガイド面31bにスライド可能に係合する半円形の下部切欠部51fと、を有する。これらの切欠部51e,51fが第1,第2ガイド面31a,31bに係合することで、ペダルアクチュエータサポート51はペダルアクチュエータ支持用スライドレール31にスライド可能に支持されている。
従って、アクセルペダルアクチュエータ41A、ブレーキペダルアクチュエータ41B、クラッチペダルアクチュエータ41Cの各々を、車種毎に異なる各ペダル45,46,47の位置に対応するように、車室内において、車両幅方向に容易に位置調整することができる。なお、ペダルアクチュエータサポート51は、スライドレール31の両端から切欠部51e,51fを噛み合わせながら該スライドレール31の長手方向(車両幅方向)に沿って挿入可能である。
また、箱状をなすペダルアクチュエータサポート51の下部には、コネクタ収容部51gが基部51aから前方へ張り出すようにして一体に形成されている。コネクタ収容部51gは、基部51a側の下部壁51cが前方へ延びており、この下部壁51cの前端から上方へ立ち上がった前部壁51hを有するとともに、左右一対の側壁51jを有している。これらの下部壁51c、前部壁51hおよび一対の側壁51jによって、コネクタ収容部51gは、上面が上方へ向かって開口した箱状に構成されており、このコネクタ収容部51gの内部空間に、サポート側コネクタ53がそれぞれ収容されている。サポート側コネクタ53は、上述したトランスミッションアクチュエータユニット用コネクタ123等と同様の構成であり、相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成されているとともに、挿入時の案内を行うためのガイドピン53aおよびガイドスリーブ53bを備えた形式となっている。図32に示すように、サポート側コネクタ53は、上方へ向かって配置されており、つまり挿入方向となるガイドピン53aおよびガイドスリーブ53bが上下方向に沿っている。
なお、サポート側コネクタ53から後方へ図示しないケーブルが引き出されており、このケーブルは、スライドレール31の開口部を通って接続ボックス106へと延びている。
コネクタ収容部51gの側壁51jは、基部51a側縁に沿った側壁51dよりも僅かに車両幅方向外側に位置する。つまり、側壁51dと側壁51jとの間には所定の段差があり、この段差を利用して、ペダルアクチュエータサポート51の側面に、上下方向に沿った凹溝部52が形成されている。換言すれば、コネクタ収容部51gの側壁51jの面から車両幅方向に凹んだ形に凹溝部52が形成されている。凹溝部52は、コネクタ収容部51gの上縁から下方へ向かって延び、コネクタ収容部51gの側面に入り込むようにして形成されている。またコネクタ収容部51gよりも上方の部分では、コネクタ収容部51gの側壁51jを上方へ細長く延長してなる突条部51jaによって、凹溝部52に連続するように相対的に凹んだガイド部52aが構成されている。凹溝部52の底面およびこれに連続したガイド部52aの底面は、ペダルアクチュエータサポート51の側壁51dの一部を構成している。また、ガイド部52aに隣接する突条部51jaの側面によって、凹溝部52の側面に連続したガイド面52bが形成されている。
スライドレール31の第2ガイド面31bにスライド可能に係合する半円形の下部切欠部51fは、厳密にはコネクタ収容部51gの側壁51jに形成されている。
ペダルアクチュエータサポート51の上部壁51bの中央部には、ペダルアクチュエータ41用の後述するロック機構65の一部となるグロメット54が取り付けられている。このグロメット54は、前述したアクチュエータ支持プレート105におけるグロメット121やシフト用アクチュエータ134におけるグロメット162と同様のものであり、前方へ向かってロック孔54aが開口している。
図31、図34に示すように、ペダルアクチュエータサポート51には、各々のペダルアクチュエータ41のペダルアクチュエータ支持ブラケット61が着脱可能に取り付けられ、該ペダルアクチュエータ支持ブラケット61を介してペダルアクチュエータ41が支持される。
ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、図28〜図30および図33に示されている。ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、ペダルアクチュエータサポート51と同様に、例えば硬質合成樹脂を用いて各部一体に成形されたものであって、正面視(車両前方から見た状態をいう)において、スライドレール31の上下に亘る寸法を有する縦長の長方形状をなしている。基本的に、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、ペダルアクチュエータサポート51と組み合わせたときに両者が略直方体の形状をなすように、ペダルアクチュエータサポート51に対して相補な形状を有している。図33、図30に示すように、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61は、ペダルアクチュエータサポート51の上部壁51bの上に重なる上部壁61aと、ペダルアクチュエータサポート51の側壁51dの上に重なるとともにコネクタ収容部51gの側壁51jと同一平面を呈する左右一対の側壁61bと、これら上部壁61aと側壁61bとに接続した前部壁61cと、を有し、後方(背面)および下方(下面)が開放された箱状をなしている。前部壁61cは、アクチュエータサポート51側のコネクタ収容部51gの前部壁51hと連続して同一平面を呈するように形成されている。
側壁61bは、コネクタ収容部51gの側壁51jに対して車両幅方向に凹んでいるペダルアクチュエータサポート51の側壁51dを覆う形状つまり該側壁51dに対応した形状をなしている。特に、ペダルアクチュエータサポート51側の凹溝部52と相補の形状をなす略長方形の突起片55が下方へ突出した形に形成されている。また、側壁61bの上部は、スライドレール31の上方を通って後方へと延びるように形成されており、この側壁61bの上部に、スライドレール31の第1ガイド面31aに上方から嵌合可能な半円形のレール嵌合部61dが切欠形成されている。図示例では、レール嵌合部61dは、アクチュエータサポート51の上部切欠部51eと同一の形状をなしている。
ペダルアクチュエータサポート51の上部壁51bに重なるペダルアクチュエータ支持ブラケット61の上部壁61aの中央部には、ペダルアクチュエータサポート51側のグロメット54に対応したロックピン67が取り付けられている。ロックピン67は、ペダルアクチュエータサポート51のグロメット54のロック孔54aに対応した位置にあり、手指にて回転操作可能なように頭部に摘み部66を備えている。このロックピン67とグロメット54とから構成されるロック機構65は、前述したトランスミッションアクチュエータユニット131固定用のロック機構143(ロックピン144、グロメット121)やシフト用アクチュエータ134固定用のロック機構154(ロックピン155、グロメット162)と実質的に同一の構成である。
また、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の上部かつ前部のコーナ部には、後述するようにペダルアクチュエータ41が連結される金属製の支持ピン72が埋設されている。この支持ピン72は、ペダルアクチュエータサポート51と干渉しない位置にあり、かつ車両幅方向に沿って配置されている。そして、円筒面を有する一端の頭部72aがペダルアクチュエータ支持ブラケット61の車両幅方向一方のコーナ部において露出している。
また、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の内側の空間には、ペダルアクチュエータサポート51のサポート側コネクタ53に対応したブラケット側コネクタ63が収容されている。このブラケット側コネクタ63は、前述した各コネクタと同様のものであり、相手側との間で多少の位置ズレを許容し得るように端子片が浮動状態に構成されているとともに、挿入時の案内を行うためのガイドピン63aおよびガイドスリーブ63bを備えた形式となっている。ブラケット側コネクタ63は、サポート側コネクタ53と対向するように下方へ向かって配置されている。
図34は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61をペダルアクチュエータサポート51に組み合わせた状態を示している。このように組み合わせた状態では、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61とペダルアクチュエータサポート51とで略直方体の箱状の外観を呈する。すなわち、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の前部壁61cの下縁とコネクタ収容部51gの前部壁51hの上縁とが合致し、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の側壁61bがペダルアクチュエータサポート51の側壁51dに重なり、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の上部壁61aがペダルアクチュエータサポート51の上部壁51bに重なる。ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の側壁61bの外縁は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61のコネクタ収容部51gの側壁51j上縁と、凹溝部52周囲と、ガイド部52aとなる突条部51jaの側縁と、に合致し、上部のレール嵌合部61dがスライドレール31の第1ガイド面31aに嵌合した状態となる。
また、ロックピン67とグロメット54とからなる上部のロック機構65を締結することで、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61とペダルアクチュエータサポート51とが相対的に上下方向に締め付けられ、相補の形状をなす両者がより堅固に密接した状態となる。従って、ロック機構65の締結によって、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61ひいてはペダルアクチュエータ41がペダルアクチュエータサポート51に堅固に支持される。
ここで、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61のレール嵌合部61dは、ロック機構65を締結してペダルアクチュエータ支持ブラケット61が相対的に下方へ引っ張られたときに、スライドレール31の第1ガイド面31aに強く圧接するように、その位置および寸法が設定されている。これにより、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61およびペダルアクチュエータサポート51は、スライドレール31に沿ったスライドが不能となり、車両幅方向に固定される。換言すれば、ペダルアクチュエータサポート51の上部切欠部51eと下部切欠部51fは、スライドレール31に対するペダルアクチュエータサポート51のスライドを許容するように寸法が設定されている。これに対し、ロック機構65を締め付けてペダルアクチュエータ支持ブラケット61とペダルアクチュエータサポート51とを一体化した状態では、レール嵌合部61dと下部切欠部51fとの間でスライドレール31の第1,第2ガイド面31a,31bを上下に締め付けるように、各部の寸法が設定されている。従って、ペダルアクチュエータ41をペダルアクチュエータ支持ブラケット61とともにペダルアクチュエータサポート51に組み付けた後、車両幅方向に沿って適宜な位置に調整した上でロック機構65を締結すれば、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61とペダルアクチュエータサポート51とが互いに固定されると同時に、ペダルアクチュエータ41の全体がスライドレール31に対して固定される。
すなわち、一つのロック機構65が、車両幅方向へスライド可能なペダルアクチュエータ41の位置を固定するためのロック機構と、着脱可能なように2分割して構成されるペダルアクチュエータサポート51とペダルアクチュエータ支持ブラケット61とを一体化するためのロック機構と、の2つの機能を奏している。
また、車両自動運転装置1を運転席2上に搭載する際には、ペダルアクチュエータ41は予めペダルアクチュエータ支持ブラケット61に組み付けられており、このペダルアクチュエータ支持ブラケット61を含むペダルアクチュエータ41が車室内でフレーム11に取り付けることとなるが、上記の構成では、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61がペダルアクチュエータサポート51に仮保持されるため、狭い車室内での組立が容易である。
ペダルアクチュエータ支持ブラケット61とペダルアクチュエータサポート51とは上下方向に組み合わされる構成となっており、作業者は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の一対の突起片55をペダルアクチュエータサポート51側のガイド部52aに沿って凹溝部52内に嵌め込むようにして、上方からペダルアクチュエータサポート51に組み合わせることとなる。基本的に、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61はペダルアクチュエータサポート51の上に載った形となる。このとき、突起片55が凹溝部52に上方から入り込むと同時に、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61上部のレール嵌合部61dがスライドレール31の第1ガイド面31aに係合する。またほぼ同時に、ロック機構65のロックピン67がグロメット54のロック孔54aに入り、仮に係合した状態となる。
重量物であるペダルアクチュエータ41の荷重は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61の上部の支持ピン72に作用するので、下部の突起片55が凹溝部52に係合した状態では、この突起片55と凹溝部52との係合部(第1の係合部)を支点として前方へ向かうモーメントが発生する。このモーメントに対し、上部でのレール嵌合部61dとガイド面31aとの係合部あるいはロックピン67とロック孔54aとの係合部が第2の係合部としてモーメントを支承する。従って、作業者がペダルアクチュエータ支持ブラケット61をペダルアクチュエータサポート51の上に載せた後、ペダルアクチュエータ41を支持する手を離したとしても、ペダルアクチュエータ41が落下することはなく、スライドレール31に仮に保持された状態となる。そのため、作業者は、狭い車室内で、ペダルアクチュエータ41の位置調整を行いつつスライドレール31つまりフレーム11にペダルアクチュエータ41を容易に取り付けることができる。
ペダルアクチュエータサポート51におけるサポート側コネクタ53とペダルアクチュエータ支持ブラケット61におけるブラケット側コネクタ63とは、上記のようにペダルアクチュエータサポート51とペダルアクチュエータ支持ブラケット61とを上下方向に沿って組み立てることで、互いに接続される。両コネクタ53,63は、各々のガイドピン53a,63aとガイドスリーブ53b,63bとの嵌合によって位置合わせがなされるが、好ましくは、両コネクタ53,63が互いに接触する前つまりガイドピン53a,63aとガイドスリーブ53b,63bとが接触する前に、突起片55の先端が凹溝部52に挿入されるように突起片55の突出長が設定されている(図35参照)。これにより、ある程度の位置合わせがなされた状態でガイドピン53a,63aとガイドスリーブ53b,63bとが係合することとなり、コネクタ53,63の損傷が確実に回避される。
[ペダルアクチュエータ41の構成およびその姿勢調整機構]
図28〜図31を参照して説明する。ペダルアクチュエータ41は、やはりピニオン・ラック形式の直線運動型アクチュエータであり、アクチュエータロッドとなるラック軸80をスライド可能に支持しかつ収容した細長いアクチュエータハウジング78と、このアクチュエータハウジング78の先端部側面に取り付けられたモータハウジング81を、備え、モータハウジング81内に減速機および電動モータが収容されている。なお、必要な電動モータの容量が各ペダルアクチュエータ41で異なることから、モータハウジング81の大きさも異なるものとなっている。図示例では、アクセルペダルアクチュエータ41Aは、ラック軸80と平行にコイルスプリングからなるリターンスプリング82を備えている。これにより、例えば電源喪失時に、アクセルペダルの不要な踏込が生じることはない。ブレーキペダルアクチュエータ41Bは、リターンスプリング82を具備しておらず、この相違点を除けば、アクセルペダルアクチュエータ41Aとブレーキペダルアクチュエータ41Bは実質的に同じ構成である。クラッチペダルアクチュエータ41Cは、後述するようにいくつかの点でアクセルペダルアクチュエータ41Aやブレーキペダルアクチュエータ41Bと異なっている。
シートクッション3の高さに比べてペダル45,46,47は相対的に下方に位置しているので、アクチュエータハウジング78(換言すればラック軸80)は、ペダル45,46,47へ向かう先端側がフレーム11寄りの基端側よりも低い位置となるように傾斜している。ラック軸80は、断面円形の棒状をなしており、アクチュエータハウジング78から突出する先端部がペダル45,46,47を押圧する。
アクセルペダルアクチュエータ41Aないしブレーキペダルアクチュエータ41Bにあっては、ラック軸80の先端に円柱形の押圧部材86が取り付けられており、この押圧部材86がペダル45,46を押圧している。
図30、図31および図33に示すように、アクチュエータハウジング78は、上述したペダルアクチュエータ支持ブラケット61と、リンクアーム68と、スライドブラケット69と、支持アーム70と、を介してペダルアクチュエータサポート51に支持されている。
スライドブラケット69は、アクチュエータハウジング78を該アクチュエータハウジング78の下面側において前後にスライド可能に支持するものである。スライドブラケット69は、スライドさせて位置調整したアクチュエータハウジング78をスライドブラケット69に対して固定するための固定ネジ79を備えている。すなわち、アクチュエータハウジング78下面にペダルアクチュエータ41の軸方向(前後方向)に沿ったガイドスリット71が開口形成されており、固定ネジ79の軸部が該ガイドスリット71を貫通しているとともに、アクチュエータハウジング78内側に位置するパッド69Aに螺合している。従って、固定ネジ79を緩めた状態では、パッド69Aが緩み、スライドブラケット69とアクチュエータハウジング78とが相対的にスライド可能となる。そして、固定ネジ79の締付によりアクチュエータハウジング78がスライドブラケット69に固定される。固定ネジ79は、頭部にL字形のレバー部分を備えており、手指にて締付操作が可能である。従って、車両におけるペダル45,46,47の位置に応じてアクチュエータハウジング78の前後位置を簡単に調整することができる。
図36の断面図(図29のD−D線に沿った断面図)に示すように、スライドブラケット69の後端部には、円筒状の軸受部74が形成されており、該軸受部74を介して支持アーム70が揺動可能に連結されている。すなわち、支持アーム70は、軸受部74に回転可能に嵌合する第1円筒部70aと、該第1円筒部70aからスライドブラケット69の下方へと延びたレバー部70bと、レバー部70bを挟んで第1円筒部70aとは反対側となる軸方向に延びた第2円筒部70cと、を有する。図示例では、第1円筒部70aと第2円筒部70cは、互いの中心軸が一致するように構成され、かつ互いに等しい径を有する。
リンクアーム68は、両端部に円筒状の軸連結部を有する部材であって、円筒状をなす一端部68aがペダルアクチュエータ支持ブラケット61における支持ピン72の頭部72aの外周に揺動可能に連結され、円筒状をなす他端部68bが支持アーム70の第2円筒部70cの外周に揺動可能に連結されている。詳しくは、図36に示すように、リンクアーム68が支持アーム70のレバー部70bの軸方向外側に隣接し、リンクアーム68の他端部68bが第2円筒部70cの外周に嵌合している。
リンクアーム68は、中央のロッド部68cが2つ割り状(半割状)に形成されており、円筒状をなす各端部68a,68bが同様に半径線に沿って厳密には略C字状となるように切り離されている。ロッド部68cの中央には、このように略C字状となる各端部を直径方向に締め付けるように固定ネジ73が設けられている。固定ネジ73は、スライドブラケット69の固定ネジ79と同様に、手指にて締付操作するためのL字形のレバー部分を備えている。
固定ネジ73を緩めた状態では、リンクアーム68の一対の端部68a,68bの各々が内側の軸部材(支持ピン72の頭部72a、および、支持アーム70の一部である第2円筒部70c)に対して揺動自在となる。そのため、支持ピン72を中心としたスライドブラケット69の揺動高さ位置を自在に変更できるとともに、支持アーム70がリンクアーム68に対して自在に揺動する。
これに対し、固定ネジ73を締め付けた状態では、リンクアーム68の一対の端部68a,68bの各々が内側の軸部材(支持ピン72の頭部72a、および、支持アーム70の一部である第2円筒部70c)に対して固定される。そのため、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61に対するリンクアーム68の角度が固定され、かつ、このリンクアーム68に対する支持アーム70の角度が固定される。このとき、支持アーム70の軸受部74の内周にある第1円筒部70aは締付力を受けず、従って、スライドブラケット69は支持アーム70やリンクアーム68に対して揺動可能に連結されている。
支持アーム70やリンクアーム68に対するスライドブラケット69の角度(ひいてはペダルアクチュエータ41の傾斜姿勢)は、最終的に、支持アーム70のレバー部70b先端とスライドブラケット69前端部との間に配設されたネジ機構を用いた可変長ロッド83によって調整され、かつ固定される(図34参照)。
可変長ロッド83は、図37の断面図にも示すように、互いに逆向きの螺条を有する一対のネジロッド84A,84Bと、これら2つのネジロッド84A,84Bの先端部が中心のネジ孔に螺合した調整ナット85と、この調整ナット85の端面にそれぞれ隣接した一対のロックナット85A,85Bと、を備えている。ネジロッド84Aの基端は、レバー部70b先端の連結部70dに揺動可能に連結されており、ネジロッド84Bの基端は、スライドブラケット69前端部の連結部69aに揺動可能に連結されている。調整ナット85およびロックナット85A,85Bは、いずれも、手指での回転操作が可能なように周囲に凹凸を形成した円盤状に形成されている。可変長ロッド83は、いわゆるターンバックルに類した機構であり、一対の逆向きのネジを組み合わせることで、調整ナット85の回転操作に伴って全長(つまり2つの連結部70d,69aの間の距離)が変化する。調整ナット85による角度調整後、ロックナット85A,85Bを調整ナット85に接するように締め付ければ、調整ナット85の不用意な回転つまり緩みが制限される。
容易に理解できるように、可変長ロッド83は三角形の一辺に相当するので、可変長ロッド83の全長を長くすれば、ペダルアクチュエータ41の傾斜角は緩くなり(つまりラック軸80の先端位置が高くなる)、可変長ロッド83の全長を短くすれば、ペダルアクチュエータ41の傾斜角は急になる(つまりラック軸80の先端位置が低くなる)。可変長ロッド83の長さはネジ機構により連続的に変化し得るので、ペダルアクチュエータ41の傾斜角も連続的に可変調整可能である。
なお、可変長ロッド83の伸縮変化に伴い、スライドブラケット69と支持アーム70との相対的な角度が変化する。支持アーム70の円筒状の基部には、該支持アーム70側に設けられたストッパ片75aと、このストッパ片75aを挟むようにしてスライドブラケット69側に設けられた一対のストッパ片75b,75cと、からなるストッパ機構75が設けられており、このストッパ機構75が、支持アーム70に対するスライドブラケット69の角度変化を所定範囲に制限している。
このように、ペダルアクチュエータ41は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61を介して車両自動運転装置1のフレーム11詳しくはペダルアクチュエータ支持用スライドレール31に着脱可能に取り付けられる。スライドレール31により車両幅方向に沿ったペダルアクチュエータ41の位置調整がなされる。そして、リンクアーム68の傾斜角度の調整によりペダルアクチュエータ41の後端部側の高さ位置を変更できるとともに、可変長ロッド83により車両幅方向と直交する面に沿ってペダルアクチュエータ41の傾斜姿勢を調整でき、かつ、スライドブラケット69を介した前後方向の調整が可能である。従って、これらの組み合わせにより、車種によって異なるペダル位置やペダルの傾きに対応することが可能となる。
なお、ペダルアクチュエータ41の電動モータに至るケーブルは、アクチュエータハウジング78の内部を通して配置されており、その端部は、アクチュエータハウジング78のリンクアーム68側の端部から外部へ引き出された上で、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61内部を通してブラケット側コネクタ63に接続されている。
従って、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61をペダルアクチュエータサポート51に対して取り付けることで、同時に、コネクタ53,63を介した電気的接続がなされる。そのため、ペダルアクチュエータサポート51とペダルアクチュエータ41との間に外部のケーブルやコネクタ類は存在しない。
このようにペダルアクチュエータ41の着脱が容易であるので、車両自動運転装置1を車両に搭載するに際しては、フレーム11(スライドレール31)からペダルアクチュエータ41を取り外した状態としておき、フレーム11を運転席2上に固定・支持した後に車内でペダルアクチュエータ41を取り付けることができる。逆に車両自動運転装置1を車両から取り外す際にも、先にペダルアクチュエータ41を取り外してからフレーム11を車外へ出すことができる。これにより、ドア開口部を通した車内への車両自動運転装置1の搬入ならびに車外への搬出が容易となる。また、各ペダル45,46,47に対するペダルアクチュエータ41の位置調整は、フレーム11にペダルアクチュエータ41を取り付けた後に車内で容易に行うことができる。
さらに、図9に示すように、各々のペダルアクチュエータサポート51の下面つまり下部壁51cの下面には、比較的小型のLEDライト76をそれぞれ備えている。各々のLEDライト76は、斜め下方を指向するように配置されており、換言すれば、各ペダルアクチュエータサポート51が支持するペダルアクチュエータ41の先端部付近を照らすように構成されている。
このLEDライト76は、基本的に、車両自動運転装置1を車室内に搬入してペダルアクチュエータ41の取付ないし位置調整作業を行う際に使用するための照明であり、接続ボックス106に内蔵されている二次電池より具体的にはキャパシタを電源として動作する。二次電池となるキャパシタは、接続ボックス106にメインコネクタ107を介して外部電源が接続されているときに、接続ボックス106内部の充電回路を介して自動的に充電される。換言すれば、車両自動運転装置1を用いた試験運転中に、特に操作を要することなく、繰り返し充電される。
車両自動運転装置1を車室内に設置する作業時には、一般にメインコネクタ107に外部電源からのケーブルは接続されていない。このような状況下で、二次電池を利用してLEDライト76を点灯することで、最も暗い運転席前方のペダル付近を照らすことができ、操作性が向上する。
前述したように接続ボックス106上面の表示パネル109にライトスイッチ109cが配置されており、このライトスイッチ109cによってLEDライト76がオン・オフ操作される。LEDライト76がペダルアクチュエータサポート51のサポート側コネクタ53の近傍に位置することで、ペダルアクチュエータサポート51における配線の取り回しは容易となる。
[ペダルアクチュエータ支持用スライドレール31の変形例]
上記のようにペダルアクチュエータ41の後端部(基部)の高さ位置は、リンクアーム68の角度調整により変更することができるが、フレーム11に対するペダルアクチュエータ支持用スライドレール31の高さ位置を可変調整すれば、より柔軟に多様な車種に対応することができる。
図45〜図47は、ペダルアクチュエータ支持用スライドレール31を高さ調整可能とした変形例を示している。この構成では、上下方向の寸法がスライドレール31の上下方向の寸法よりも大きな略長方形状をなす金属製のレール支持ブラケットプレート32Aが、前述したレール支持ブラケット32に代えて、ペダルアクチュエータ支持用スライドレール31の本体部分とは別体に設けられている。レール支持ブラケットプレート32Aは、メインフレーム15の前端詳しくはメインビーム15aの前端面に取り付けられており、メインフレーム15の前端の開放端を閉じている(図46、図47参照)。
スライドレール31は、複数本のネジ77Aによってレール支持ブラケットプレート32Aに固定されている。レール支持ブラケットプレート32Aには、レール支持ブラケットプレート32Aの高さ位置(取付位置)を上下に変更可能なように、高さ位置が異なる複数箇所にネジ孔77Bが配置されている。従って、必要に応じてスライドレール31を脱着し、高さ位置を変更することが可能である。
図45〜図47は、スライドレール31を最も低い位置に取り付けた状態を示している。
[クラッチペダルアクチュエータ41Cの構成]
手動変速機を備えた車両においては、一般に、クラッチペダル47は弧を描くように動作し、そのストローク(踏込操作量)も比較的大きい。本実施例では、このようなクラッチペダル47の特性を考慮して、クラッチペダルアクチュエータ41Cが細部において他の2つのペダルアクチュエータ41A,41Bとは異なっている。以下、図31、図33および図34を参照しつつ相違点を説明する。
相違点の1つは、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61とペダルアクチュエータ41との間のリンクアーム68や支持アーム70による連結部の構成である。クラッチペダルアクチュエータ41Cにおいても、アクチュエータハウジング78は、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61と、リンクアーム68と、スライドブラケット69と、支持アーム70と、を介してペダルアクチュエータサポート51に支持されている。ペダルアクチュエータ支持ブラケット61、リンクアーム68、スライドブラケット69、支持アーム70、といった主要な部品は、アクセルペダルアクチュエータ41Aやブレーキペダルアクチュエータ41Bのものと変わりがない。
しかしながら、クラッチペダルアクチュエータ41Cにおいては、リンクアーム68の一端部68aの内周面とペダルアクチュエータ支持ブラケット61の支持ピン72の頭部72aとの間に、図示しないスリーブが介在している。そのため、リンクアーム68の固定ネジ73を締め付けても、リンクアーム68は支持ピン72に対して固定されず、支持ピン72に対して揺動可能な状態を維持する。つまり、クラッチペダルアクチュエータ41Cにあっては、ペダルアクチュエータ支持ブラケット61とリンクアーム68とが揺動自在に連結されている。リンクアーム68の他端部68bにおいては、固定ネジ73の締付により、前述したように支持アーム70が固定される。つまり、リンクアーム68とレバー部70bとの間の角度が一定に固定される。
また、図34等に示すように、レバー部70b先端の連結部70dとスライドブラケット69の連結部69aとの間には、前述した可変長ロッド83に代えて、固定長のロッド部材88が取り付けられている。これにより、支持アーム70とスライドブラケット69ひいてはアクチュエータハウジング78との角度関係が常に一定となる。
従って、クラッチペダルアクチュエータ41Cは、全体としてペダルアクチュエータ支持ブラケット61の支持ピン72を中心として揺動可能に支持されている。また、固定ネジ73を介した調整により、リンクアーム68の他端部68bの位置つまりリンクアーム68とアクチュエータハウジング78との接続点の位置(主に高さ位置)の変更が可能である。
なお、上記実施例では、他の2つのペダルアクチュエータ41A,41Bとの間で、リンクアーム68等の主要な部品の共用化を図っている。
第2の相違点は、クラッチペダルアクチュエータ41Cでは、ラック軸80の先端に、前述した押圧部材86に代えて揺動プレート87を備えている点である。すなわち、図31や図5に示すように、ラック軸80の先端に揺動プレート87が揺動可能に取り付けられている。この揺動プレート87は、クラッチペダル47のペダル部に重ねて配置され、図示しない適当な治具ないし固定具によってペダル部に固定されている。揺動プレート87は、車両幅方向に沿った回転中心軸を有するようにピン87aによって揺動可能に支持されている。
クラッチペダル47にあっては、一般に、ペダル面の傾きが、クラッチペダル47のストローク(踏込)に伴って比較的大きく変化する。具体的には、踏み込まれていない状態では、ペダル面が斜め上方を指向しており、クラッチペダル47が踏み込まれていくと、ペダル面は、ほぼ垂直となり、さらに極端な場合には逆に斜め下向きとなる。
仮にアクセルペダルアクチュエータ41Aやブレーキペダルアクチュエータ41Bのように単純に押圧部材86がペダル面に接しているとすると、ペダル面の角度変化に伴って押圧部材86がペダル面から脱落する懸念があり、かつ正確なストロークが得られない。
これに対し、上記実施例のクラッチペダルアクチュエータ41Cにあっては、先端の揺動プレート87がペダル部に固定されるため、ペダル面の角度変化に拘わらずクラッチペダルアクチュエータ41Cが確実にペダル部を押圧操作することができる。
また、クラッチペダル47の上部のレバーピンを中心とした揺動に伴い、ペダル部の高さ位置の変化が生じるが、この変化は、リンクアーム68とペダルアクチュエータ支持ブラケット61との間が揺動自在であることによって吸収される。アクチュエータハウジング78の自由な角度変化が許容されることで、ラック軸80がペダル部をストローク限界まで確実に押圧することができる。
換言すれば、アクセルペダルアクチュエータ41Aおよびブレーキペダルアクチュエータ41Bが直線運動としてアクセルペダル45やブレーキペダル46を押圧するのに対し、クラッチペダルアクチュエータ41Cは、揺動しながらクラッチペダル47を押圧する。
上記実施例では、アクチュエータハウジング78がスライドブラケット69およびリンクアーム68を介してペダルアクチュエータ支持ブラケット61に下側から支持されており、ラック軸80の延長線がペダルアクチュエータ支持ブラケット61の上方を通過する。従って、揺動するペダル部に対する荷重作用方向が適切なものになるとともに、アクチュエータハウジング78から下方へ突出するモータハウジング81がストローク中に過度に下がらず、車体フロア6との干渉が生じにくい。
また同時に、ペダルアクチュエータ41を支持するスライドレール31の高さ位置を低くすることが可能となり、図2等に示すように、シートクッション3の前端付近の高さ位置にスライドレール31を配置することが可能となる。この点は、アクセルペダルアクチュエータ41Aやブレーキペダルアクチュエータ41Bにおいても同様である。
なお、クラッチペダル47のストロークが小さい場合やクラッチペダル47の構造等によって押圧部材86を介したペダル部の押圧が可能な場合には、3つのペダルアクチュエータ41を同じ構成とすることもできる。
逆に、アクセルペダルアクチュエータ41Aあるいはブレーキペダルアクチュエータ41Bとして、上記実施例のクラッチペダルアクチュエータ41Cのような構成を適用することも可能である。
[自動変速機型の車両への適用]
前述したように、ペダルアクチュエータ41は、フレーム11を車室内に搬入した後に、車室内においてフレーム11に取り付けることができる。例えば、クラッチペダル47を具備しない自動変速機型の車両に適用する場合には、クラッチペダルアクチュエータ41Cを除いて、アクセルペダルアクチュエータ41Aおよびブレーキペダルアクチュエータ41のみを取り付ければよい。
これにより、図38に示すように、自動変速機型の車両に用いられる車両自動運転装置1の態様とすることができる。
前述したようにペダルアクチュエータ41の着脱は簡単に行うことができるので、シャシダイナモメータにおける被試験車両が手動変速機型の車両から自動変速機型の車両へ変更されたような場合でも、対応は容易である。
[作用・効果]
以上のように、上記実施例の車両自動運転装置1は、アクチュエータ支持部材としてのアクチュエータ支持プレート105の上に着脱可能に取り付けられるトランスミッションアクチュエータユニット131の下面にストッパピン181が設けられており、このストッパピン181に関連するストッパ機構182によって移動体としてのラック軸141の固定がなされる。すなわち、トランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105から取り外すと、ストッパピン181が所定の突出位置となり、ストッパピン181の係止爪つまり爪片181aがラック軸141に連動する歯車184aと係合する。これにより、ラック軸141の動きが拘束される。従って、トランスミッションアクチュエータユニット131を車室内に搬入したり車室内から搬出する際に、重量物であるシフト用アクチュエータ134を先端に備えたラック軸141が重力でもって突出するようなことがない。そのため、取り外した状態でのトランスミッションアクチュエータユニット131の取り扱いが容易となり、ドア開口部にシフト用アクチュエータ134をぶつけてしまうようなことが回避される。
また、トランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105の上に置けば、ストッパピン181が押されてストッパ機構182によるラック軸141のロックが解除される。すなわち、ラック軸141の固定および解除に格別の作業は不要であり、トランスミッションアクチュエータユニット131をアクチュエータ支持プレート105の上に置けばラック軸141が自由となり、単にアクチュエータ支持プレート105から取り外せばラック軸141が固定される。そのため、トランスミッションアクチュエータユニット131の脱着の際の作業工数の増加を回避できるとともに、作業者によるラック軸141のロックのし忘れが生じる余地がない。
また、上記実施例ではアクチュエータ支持プレート105が複数の脚部176を備えているので、取り外したトランスミッションアクチュエータユニット131を床面においてもストッパ機構182によるラック軸141のロックが解除されることがない。また、床面と衝突してストッパピン181が損傷したり曲がってしまったりすることがない。
なお、上記実施例では、ストッパピン181が軸方向に移動することで爪片181aが歯車184aと係合する比較的単純な構成となっているが、本発明においては、ストッパ機構182は、このような構成に限定されるものではない。ストッパピン181が自由状態として突出したときに移動体(ラック軸141)の動きを拘束する機構であれば、いかなる機構であってもよい。例えば、ラック軸141の一部とストッパピンが直接に係合するように構成したり、ストッパピンの軸方向の動きに連動するレバー等を介して電動モータからラック軸141に至る動力伝達機構のいずれかの箇所を拘束する、などが可能である。
上記実施例では、ストッパピン181はコイルスプリング185によって突出方向に付勢されているが、他の付勢手段であってもよい。例えば、重力を利用してストッパピン181を突出方向に付勢することもできる。
上記実施例では、トランスミッションアクチュエータユニット131は、セレクト用アクチュエータ133とシフト用アクチュエータ134とを組み合わせた構成となっているが、本発明は、アクチュエータ支持部材に着脱可能に取り付けられるトランスミッションアクチュエータが一方向に動作するアクチュエータのみを具備した構成であってもよい。
なお、図示例では、シフト用アクチュエータ134はストッパ機構を具備していないが、回転可能なジョイント152を支点とした重量バランスとして電動モータ165側の方が相対的に重く、トランスミッションアクチュエータユニット131を持ち上げたときに常に円筒部161a側が下方へ下がった姿勢となる。従って、グリップハンド168を備えたラック軸166が突出する現象は生じにくい。