JP6703880B2 - とろみを有する半固形食品及び調理食品 - Google Patents

とろみを有する半固形食品及び調理食品 Download PDF

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Description

本発明は、とろみを有する半固形食品及び調理食品に関する。
従来より、グラタン、シチュー、カレー、ホワイトソース、クリームソース、あんかけ惣菜、スープ等、具材を含有し全体にとろみを有する半固形食品がある。中でも、めん類やご飯等の穀類に、具材を配合したとろみを有する食品をかけて食べる調理食品は数多く存在し、これらはコンビニエンスストアやスーパーマーケットの弁当、総菜として人気がある。
近年、とりわけコンビニエンスストアの弁当として、チルド弁当と呼ばれるものが増えてきている。チルド弁当は、製造後3〜8℃前後のチルド状態で流通し、喫食時に電子レンジで加熱して喫食するものであり、賞味期限が3〜5日あり、従来の常温保存の弁当よりも賞味期限が長く、廃棄ロスが少なくなることもあり、近年は増加傾向にある。
チルド弁当の特徴として、長期保存することから、ご飯等の穀類と、おかず部分が別々の容器に保存された二段容器となっていることが挙げられる。この特徴から、チルド弁当の種類としては、カレー類、デミグラスソース類、あんかけ類等の、いわゆる丼の形態のものが多く販売されており、そのおかずの部分は、具材を配合した、とろみを有する半固形食品である場合が多い。
しかしながら、このような半固形食品は、材料の一部に小麦粉等の澱粉を使用して調理するため、澱粉によるとろみが付いたおかず部分を、調理完了後にチルド条件にまで冷却する時に澱粉の劣化が起こり、具材からの離水や離油、あるいは過剰なゲル化が起こる場合がある。さらに、チルド弁当の場合、喫食時に電子レンジ等での再加熱が必須であるが、その際に、離水や離油、あるいは過剰なゲル化が起こっている場合には加熱後も品質は劣化したままである。
また、チルド保存時に具材からの離水や離油、あるいは過剰なゲル化を抑制可能な、保存安定性を有する場合であっても、再加熱時に劣化が起こり、具材からの離水や離油が発生したり、とろみが弱くなったりしてしまい、喫食時まで半固形食品の良好な状態が維持されない場合がある。
この問題を解決するために、従来下記のような方法が用いられてきた。
例えば、特許文献1には、ゼラチンや寒天をあんかけ食品に添加し、流通時には凝固しているが、喫食時電子レンジ加熱により流動性のあるあんになる、食品用凝固剤を添加して凝固させたあんを麺類又は米飯類に直接接触してのせた状態で容器に詰めた、常温ないしチルド流通のあんかけ食品が開示されている。
また、特許文献2には、澱粉を含有した材料を使用して調理食品を製造するに際し、豆類由来のヘミセルロースを添加使用することで、加熱調理後、冷却保存した時のゲル化が防止され良好な流動性が維持される澱粉調理食品の製造法が開示されている。
また、特許文献3には、澱粉の糊化を利用して調理する流動性のある澱粉調理食品を製造するに際し、ヒドロキシプロピルセルロースを添加使用することで、製造後冷時に、流動性が低下したりゲル化したりすることなく、常に流動性を保つことができる澱粉含有組成物の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、特定のアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を含有させることにより、冷凍・チルド・冷蔵時の保存性等の長期安定性を保ちつつ、保形性に優れ、且つざらつきや糊状感のない口溶けと風味に優れたペースト状又はゲル状食品が開示されている。
また、特許文献5には、水、醤油、異性化糖等の液体原料に、0.5重量%以上の粉末セルロースと天然ガム類、天然澱粉、化工澱粉等の増粘剤を加え、攪拌、増粘させたことを特徴とする調味組成物が開示されている。
特開2007−28974号公報 特開平9−289880号公報 特開2006−314302号公報 特開2011−92087号公報 特開平6−141815号公報
特許文献1の技術のように、ゼラチンや寒天でチルド流通時には凝固して保形している場合は、チルド状態での陳列時には、完全に凝固した状態であるため、おかず部分の見た目は、喫食時の「とろみを有する」状態とかけ離れており、食欲をそそるものではない場合がある。また、チルド保存時に、寒天やゼラチンでおかず部分を「とろみを有する」半固形食品の状態にとどめた場合には、電子レンジ加熱時にはシャバシャバな状態となり、喫食時におかず部分が全くとろみを有さなくなる場合がある。さらに、寒天等比較的凝固する温度が高いものを使用した場合、電子レンジ加熱後の喫食中に冷めて温度が下がるにしたがい、再度ゲル化が始まり、ネチャネチャした食感となり、食感を悪くするとともに、風味も悪化させてしまう場合がある。
また、特許文献2、特許文献3は、それぞれ澱粉の糊化を利用して調理した食品について、ヘミセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースという水溶性高分子の増粘剤を添加することで、放冷時の澱粉のゲル化を防止する技術である。しかしながら、いずれの特許文献も、常温、すなわち20℃までのゲル化を抑制して、その後の鍋での再加熱を容易にすることを目的とした技術である。したがって、これらは、チルド弁当のような、5℃前後での長期間保存を考慮したものではない。
特許文献2、特許文献3に記載された水溶性の増粘剤を5℃前後にまで冷却すると、粘度の増加が避けられず、ゲル化を抑制することが困難である。したがって、特許文献1ほどではないにしても、5℃保存時にゲル化してしまい、喫食時とは見た目の変化が大きくなる。また、5℃で「とろみを有する」半固形状態にとどめた場合には、電子レンジ加熱時にはシャバシャバな状態となり、喫食時におかず部分が全くとろみを有さなくなる場合がある。
また、特許文献4に記載された加工澱粉は、とろみを有する半固形食品が、チルド保存時、及びチルド状態での輸送や陳列の際に外力が加わった際にも、具材からの離水や離油、あるいは過度のゲル化を起こさずに、安定した状態を保つために使用される。とろみを有する食品の安定性を付与するためには、外から力が加わった場合にその外力に負けて流動を開始する粘度、すなわち降伏粘度が高いことが必要である。しかしながら、特許文献4に開示されるような加工澱粉で食品の降伏粘度を高くした場合には、食品に何も力が加わっていない状態、すなわち静置状態での粘度も高くなる傾向にある。静値粘度が高い場合、喫食時の加熱直後に、食品の蓋を開封した時のフレーバーリリースをマスキングしてしまう傾向にある。また、口腔内に入れる瞬間のフレーバーリリースと、口腔内で咀嚼する直前の味の放出をマスキングしてしまうため、先味の発現が悪く、いわゆる「こもった味」となる場合がある。
また、特許文献5には、水、醤油、異性化糖等の液体原料に、0.5重量%以上の粉末セルロースと天然ガム類、天然澱粉、化工澱粉等の増粘剤を加え、攪拌、増粘させた焼き鳥のタレを製造する技術が記載されている。しかしながら、この技術は、高い降伏粘度に対して、高せん断力を与えた場合の粘度を低くする、いわゆるチキソトロピー性と呼ばれる性質を付与するものである。これは、製造時に撹拌を与えている間は流動性を付与して作業性を改善しながら、焼き鳥に付着させた後は高い降伏粘度によりタレが落下しにくく、効率を改善する技術である。この技術によれば、高せん断力を与えた時の粘度を低くすることはできるが、静値粘度は高い状態であることから、静置時のフレーバーリリース、及び口腔内に入れた瞬間の香りと味の放出をマスキングしてしまうため、先味の発現が良くない場合がある。
また、特許文献5に記載されるこれらのタレ類は、短径2mm以上の具材を含まないことから、保存中の具材の分離・偏りという問題や、具材からの離水や離油という問題は起こらない。また、通常は常温又は冷蔵で保管され、使用する場合もそのままの温度で使用されるため、喫食時に60℃に加熱する必要がなく、5℃と60℃の両方の状態での保存安定性や、5℃と60℃での外観の変化の小さいことが必要とされることはない。また、これらのタレ類の場合は、通常の使用方法として、使用時は容器から押し出すか、振って傾けて使用するため、その段階で高いせん断力がかかっていることから、喫食時の粘度は、降伏粘度よりも低くなっているため、風味がマスキングされることはない。ゆえに、そのような使用形態であるため、これらの具材を含まないタレ類は、高せん断力を与えた時に、降伏粘度に対してどのくらい粘度が下がるかということの指標である、チキソトロピー性が重視される。したがって、このような具材を含まないタレ類は、保存時の降伏粘度が高い方がよいことから、食品に何も力が加わっていない状態、すなわち静置状態での粘度(静値粘度)は高い方が好ましいと考えられており、静置時のフレーバーリリース、及び口腔内に入れた瞬間の香りと味の放出をマスキングするという点については考慮されていない。
このような背景のもと、本発明は、3〜8℃前後でのチルド状態での保存時及び電子レンジ加熱時に、具材の偏り、具材からの離水や離油、増粘によるゲル化等が起こらず、3〜8℃前後のチルド時における見た目が、電子レンジ加熱後すなわち喫食時の見た目と変わらず、加熱直後のフレーバーリリース及び口腔内に入れた瞬間の味と香りの放出が良好で、先味が良い食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、60℃における「降伏粘度/静値粘度」比が1.77以上の半固形食品において、3〜8℃前後でのチルド状態での保存時、及び電子レンジ加熱時に高い安定性を発現すると同時に、開封時、及び口腔内に入れた瞬間の味と香りの放出が良好で、先味が良い食品を提供することができること、「60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度」比が0.30以上の半固形食品において、3〜8℃前後でのチルド状態での保存時、及び電子レンジ加熱時に高い安定性を発現すると同時に、3〜8℃前後のチルド時の見た目が電子レンジ加熱、つまり喫食時と変わらないことを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の態様を含む。
(1)60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77〜4.00、且つ[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.5以上であり、平均粒子径が50μm以下のセルロースを含むことを特徴とする、とろみを有する半固形食品。
(2)[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.53以上である、(1)に記載のとろみを有する半固形食品。
(3)セルロースを0.05〜3質量%含む(1)又は(2)に記載のとろみを有する半固形食品。
(4)架橋澱粉を0.2〜5.0質量%含む(1)〜(3)のいずれかに記載のとろみを有する半固形食品。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のとろみを有する半固形食品及びご飯を含む調理食品。
(6)前記半固形食品及びご飯が分離された状態で容器に収容されている(5)に記載の調理食品。
(7)前記半固形食品及びご飯を分離した状態で容器に収容してチルド状態で保存し、前記半固形食品及びご飯を60℃以上に加熱後に混合して喫食するためのものである(5)又は(6)に記載の調理食品。
本発明によれば、3〜8℃前後でのチルド状態での保存時及び電子レンジ加熱時に、具材の偏り、具材からの離水や離油、増粘によるゲル化等が起こらず、3〜8℃前後のチルド時における見た目が、電子レンジ加熱後すなわち喫食時の見た目と変わらず、加熱直後のフレーバーリリース及び口腔内に入れた瞬間の味と香りの放出が良好で、先味が良い食品を提供することができる。
[とろみを有する半固形食品]
1実施形態において、本発明は、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77〜4.00、且つ[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.3以上であることを特徴とする、とろみを有する半固形食品を提供する。
実施例において後述するように、本実施形態の半固形食品によれば、3〜8℃前後でのチルド状態での保存時、及び電子レンジ加熱時に具材からの離水や離油が起こらず、3〜8℃前後のチルド時における見た目が、電子レンジ加熱後すなわち喫食時の見た目と変わらず、加熱直後のフレーバーリリース及び口腔内に入れた瞬間の味と香りの放出が良好で、先味が良い食品を提供することができる。
本明細書における粘度は、試料をRheometric Scientific,Inc.製のAdvanced Rheometric Expansion System(以下、頭文字をとって「ARES」という。)を用いて、Double couette型、測定温度60℃、または5℃で、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら測定したずり応力[mPa]に基づいて、下記式(1)により計算した値である。
粘度[mPa・s]=ずり応力[mPa]/ずり速度[1/s] (1)
また、降伏粘度とは、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら測定した粘度の最大値である。また、静値粘度とは、測定の最初に測定する最小ずり速度である、ずり速度1[1/s]で測定した粘度である。
60℃における「降伏粘度」は、60℃の食品に外力が加わった時に、外力に負けて流動を開始する時の粘度の最大値であり、その食品の安定性に関わる指標である。ここで、食品が安定であるとは、食品中の具材の分離・偏り、具材成分からの離水や離油等が起こりにくいことをいう。一般的に、降伏粘度が高いほど食品の安定性が高い傾向にある。
一方、「静値粘度」は、食品に外力が加わっていない状態での粘度である。静置粘度が高いと、食品が静置されている状態で、香り成分や味成分が食品中に留まりやすくなるため、放出されにくくなり、味覚器官に届きにくくなる。そのため、喫食時に電子レンジ等で加熱した後に、食品の入った容器の蓋を開けた直後の食品のフレーバーリリースがマスキングされてしまう上に、口腔内に食品を入れた時にも、口腔内に入れた瞬間の、咀嚼する前に感じる、香りや味がマスキングされてしまうことから、先味を感じにくくなってしまい、いわゆる「こもった味」となってしまう傾向にある。
60℃における「降伏粘度/静値粘度」比が1.77よりも小さい場合、降伏粘度を高くして食品の安定性を高めようとすると、同時に静値粘度も高くなるため、先味がマスキングされてしまう傾向にある。逆に、先味を発現しやすくするために静値粘度を下げようとすると、降伏粘度も低下してしまうため、とろみを有する半固形食品を喫食し、咀嚼した時に感じる「とろみ」が弱くなってしまう傾向にある。また、降伏粘度が低下するため、食品中の具材の分離・偏りや、具材成分からの離水や離油が起こりやすくなる。
したがって、60℃における「降伏粘度/静値粘度」比は1.77以上であり、2.00以上であることが好ましく、2.20以上であることが更に好ましい。
また、60℃における「降伏粘度/静値粘度」比の値が大きい方が、降伏粘度に対して静値粘度を低くできるため、風味を発現しやすくなる傾向にある。しかしながら、60℃における「降伏粘度/静値粘度」比が大き過ぎると、静値粘度に対して降伏粘度が高くなり過ぎ、口中で食品を咀嚼する際に、半固形食品の半固形状態を壊すために高いせん断力が必要となり、硬い食感又は粘っこい食感となる場合がある。
したがって、60℃における「降伏粘度/静値粘度」比は4.00以下であり、3.50以下であることが好ましく、3.00以下であることが更に好ましく、2.80以下であることが特に好ましい。
また、本実施形態のとろみを有する半固形食品の[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比は0.3以上である。
ここで、5℃における降伏粘度は、半固形食品のチルド保存状態における降伏粘度を意味しており、60℃における降伏粘度は、喫食前に電子レンジ等で加熱した直後の半固形食品の降伏粘度を意味している。
[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]が0.3未満であるとは、60℃と5℃での降伏粘度が大きく異なり、60℃における降伏粘度に対して5℃における降伏粘度が著しく大きいことを意味する。つまり、60℃における降伏粘度を、適度な降伏粘度を有する範囲にしようとすると、5℃における降伏粘度が非常に大きくなって、ゲル状態となり、チルド保存で陳列している際の見た目が、喫食する際の状態と大きく異なる状態となるため、購買意欲を削いでしまう傾向にある。
一方、チルド保存状態、つまり5℃において、見た目がゲル状にならない程度に適度な降伏粘度を有する粘度にすると、60℃に加熱した時にはシャバシャバな状態となり、喫食時には、適度なとろみを有する状態ではなくなり、半固形食品の形態とならない場合がある。
このため、[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比は0.4以上が好ましく、0.5以上が更に好ましい。[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比の上限は特にないが、この値が1より大きいことは、60℃における降伏粘度の方が、5℃でのチルド保存時の降伏粘度よりも大きいことを意味する。5℃のチルド保存時にも降伏粘度は安定性のために付与する必要があることから、60℃に加熱した時にそれがさらに大きくなると、逆に喫食時の降伏粘度が過剰になり、食感等に悪影響を与える可能性がある。このため、[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比は2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.2以下であることが更に好ましい。
次に、とろみを有する半固形食品について説明する。本明細書において、とろみを有する半固形食品とは、液体より固体に近い半流動体であり、それ自体に力を加えなくても、自由に変形することができる食品を意味する。具体的には、とろみを有する食品を、2mmの篩で漉して具材を除去して、通過したとろみ部分の粘度を上記の方法で測定した時、60℃における降伏粘度が200〜8000mPa・sの範囲となる食品を意味する。
60℃における降伏粘度が8000mPa・sを超えるような場合、その食品はいわゆる「ゲル」状態であり、それ自体に力を加えない時に、そのままの形状を維持し、自由に変形しない。ゲル状態の具体的な食品としては、プリン、茶わん蒸し、卵豆腐、ゼリー等が挙げられる。これらの食品の場合、内部も流動性はほとんどないことから、離水や離油も起こりにくく、安定性は高い。
しかしながら、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77以上であったとしても、降伏粘度が8000mPa・sを超える場合、静値粘度も高くなるため、風味の発現は悪くなり、ゲル状態の食品の場合、[降伏粘度/静値粘度]比が1.77以上という数値は意味を成さなくなる傾向にある。
[降伏粘度/静値粘度]比が1.77以上であることによる効果を更に発現させるためには、とろみを有する半固形食品の60℃における降伏粘度の上限は、7000mPa・s以下であることが好ましく、6000mPa・s以下であることがより好ましく、5000mPa・s以下であることが更に好ましい。
一方、60℃における降伏粘度が200mPa・sよりも小さい食品は液体であり、液体より固体に近い半流動体とはいえない。例えば、特開2009−291163号公報には、粘度が20〜200mPa・sの飲料に関する記載があり、粘度が200mPa・sを超えるとどろりとした粘性を有し喉越しが悪いと感じる場合があると記載されている。逆にいえば、降伏粘度が200mPa・s以上であることが、とろみを有する半固形食品として適正である。
半固形食品としてのとろみを感じやすくするためには、半固形食品の60℃における降伏粘度の下限が400mPa・s以上であることが好ましく、700mPa・s以上であることがより好ましく、1000mPa・s以上であることが更に好ましい。
本実施形態の半固形食品は、短径が2mmより大きい具材を1質量%以上含んでいてもよい。短径が2mmより大きい具材について説明する。本明細書において、具材の短径とは、不定形の具材を用いた場合に、その一方の表面から、中心(重心)を経て、他方の表面に至る距離のうち、最も小さい距離を意味する。短径は、5mmより大きいことが好ましく、10mmより大きいことがより好ましい。
具材は、特に制限されず、動物性のものであっても植物性のものであってもよい。動物性の具材としては、鶏肉、豚肉、牛肉、及びこれらを干し肉、ハム、ソーセージ等に加工したもの等を含む畜肉類;魚類、貝類、及びこれらを魚節、カマボコ、ソーセージ等に加工したもの等を含む魚介類;全卵、卵黄、卵白等の卵;チーズ等の乳製品等が挙げられる。
植物性の具材としては、ポテト、人参、タマネギ、ゴボウ、ダイコン等の根菜類;チェーチ、枝豆等の豆類;レンコン、アスパラ等の茎菜類;ホウレンソウ、ハクサイ、キャベツ等の葉菜類;ナス、ピーマン、トマト、オクラ等の果菜類;ブロッコリー、カリフラワー等の花菜類;ワカメ、ヒジキ、コンブ等の藻類;シメジ、マッシュルーム、マイタケ等のきのこ類;パイナップル、リンゴ等の果実類;及びアーモンド等の種子類等が挙げられる。なお、具材の処理方法は特に制限されず、各具材について従来知られている方法を採用すればよい。
本実施形態の半固形食品が、短径が2mmより大きい具材を1質量%以上含む場合には、5℃前後のチルド状態で保存する一方で、喫食する際には60℃以上に加熱することになる。このため、5℃と60℃の両方で、具材の分離・偏りや、具材からの離水や離油、あるいはゲル化等の全てを抑制することが求められ、更に、5℃と60℃で外観が大きく変化しないことも必要とされる。このため、5℃と60℃の両方で安定性を付与することができる降伏粘度を有する必要がある。
更に、喫食時には、静置した状態で加熱して蓋を開けることから、蓋を開けた瞬間のフレーバーリリースを向上させる観点から、静置した状態での粘度は低い方が好ましく、静値粘度は降伏粘度に比べて小さいことが好ましい。
<セルロースの効果>
本実施形態のとろみを有する半固形食品は、セルロースを含んでいてもよい。セルロースは、とろみを付与するための増粘剤として半固形食品に添加した場合に、静置粘度に対して大きな降伏粘度を付与できる性質を有する。
したがって、本実施形態の半固形食品にセルロースを配合すると、食品の離水や離油を防止して高い保存安定性を付与可能な降伏粘度を与えながら、適度に静値粘度を小さくすることができる。この結果、半固形食品の先味を感じやすくし、風味を改善することができる。
従来、セルロースは、降伏粘度に比べて高せん断力を与えた時の粘度が大きく低下して高い流動性を持つという、いわゆるチキソトロピー性を付与する効果を有することが知られていた。このため、セルロースは、タレ類、飲料類等の多くの食品に添加されてきた。
しかしながら、本実施形態の半固形食品のように、セルロースが降伏粘度に対して静値粘度を低くする性質を有することは知られておらず、セルロースのこのような性質を利用した食品はこれまでになかった。
また、セルロースは、半固形食品にとろみを付与するための増粘剤として使用した場合に、温度が変化しても粘度の特性を変化しにくくする性質を持つ。
したがって、セルロースを半固形食品に増粘剤として添加することにより、チルド条件(5℃)と電子レンジ加熱時(60℃)のいずれの条件下でも、ほぼ同じとろみを付与することができる。
したがって、喫食時を想定した60℃での「とろみ」を目標に粘度を設計してセルロースを添加すれば、チルド保存時の5℃における粘度も大きく増加することがなく、ゲル化のような見た目の明らかな変化を抑えることができる。
<セルロース>
本明細書において、セルロースとは、D−グルコピラノースがβ1→4結合で連なった構造を持つ、セルロースを主成分とする物質を意味する。セルロースの原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。一般に入手できるセルロースとしては、例えば、後述する粉末セルロース(セルロースフロック)や結晶セルロース等が挙げられる。
<セルロースの平均重合度>
セルロースの平均重合度は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)の確認試験(3)に記載の、銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法にしたがって、測定することができる値である。上述したセルロースの効果を得るためには、上記の方法で測定されるセルロースの平均重合度は1000以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましく、350以下であることが特に好ましい。
セルロースの平均重合度が1000よりも高い場合は、非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースや、リグニン等の不純物が多く存在し、繊維質で硬い状態であることから、上記のセルロースの効果が出にくくなり、セルロースを小さくすることが困難になる傾向にある。
本実施形態の半固形食品に含有させるのに好適なセルロースとしては、粉末セルロース、結晶セルロースが挙げられ、以下に説明する。
<粉末セルロース>
粉末セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを処理した後、精製し、機械的に粉砕したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、粉末セルロースに該当するものが挙げられる。粉末セルロースの平均重合度は440より大きいことが好ましい。このような粉末セルロースとしては、例えば、日本製紙(株)製の、KCフロックシリーズ等が挙げられる。
<結晶セルロース>
結晶セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを酸で部分的に解重合し、精製したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、結晶セルロースに該当するものが挙げられる。結晶セルロースは、結晶セルロース粉末と、結晶セルロース複合体とに分類できるが、本実施形態の半固形食品にはこれらのいずれも使用可能である。結晶セルロースの平均重合度は350以下であることが好ましく、300以下であることが好ましい。
結晶セルロースは、非晶質セルロースに加え、ヘミセルロース、リグニン等の不純物が取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。そのため、結晶セルロースは、水分を含んだウエットケークの状態でも、乾燥後の粉体の状態でも、それらに磨砕や粉砕といった機械的応力を与えて平均粒子径を小さくすることが、粉末セルロースと比較して容易である。
したがって、本実施形態の半固形食品に添加するセルロースとしては、粉末セルロースよりも、結晶セルロースの方が好ましい。
本実施形態の半固形食品は、50μm以下の平均粒子径のセルロースを含むことが好ましく、25μm以下の平均粒子径のセルロースを含むことがより好ましく、20μm以下の平均粒子径のセルロースを含むことが更に好ましく、15μm以下の平均粒子径のセルロースを含むことが特に好ましい。平均粒子径下限は特に制限されないが、例えば0.1μm以上であることが好ましい。
<セルロースの平均粒子径の測定方法>
以下に、セルロースの平均粒子径の測定方法について説明する。まず、本実施形態の半固形食品を2mmの篩で漉し、2mmより大きい具材を除去する。続いて、篩を通過した試料の一部をスポイドにとり、スライドガラス上に一滴垂らす。その後、プレパラートで挟み、光学顕微鏡で偏光顕微鏡観察を実施する。光学顕微鏡としては、例えば、デジタルマイクロスコープ(商品名「HIROX KH−1300」、(株)ハイロックス)等を用いることができる。偏光顕微鏡観察とは、結晶性物質を含む組織を直行偏光板に挟んで観察すると、偏光の回転によってその組織が光って見える複屈折現象を利用し、結晶性物質であるセルロースの結晶部分を観察する方法である。偏光顕微鏡観察により、光っているセルロース粒子50個について長径を測定し、その平均値を平均粒子径とする。ここで、長径とは、セルロース粒子の一方の表面から、中心(重心)を経て、他方の表面に至る距離のうち、最も大きい距離を意味する。
上述したセルロースの添加による効果は、とろみを有する食品中のセルロースの粒子径が小さく、均一かつ数多く存在するほど発現されやすくなることから、粒子径は小さい方が好ましい。セルロースの粒子径が50μmを超えると、セルロースの効果を得るための添加量が多く必要となる傾向にある。
<結晶セルロース複合体>
結晶セルロースの場合でも、粉体に機械的応力を与える方法では、平均粒子径を20μm以下にするには困難が伴う。また、結晶セルロースのウエットケークを磨砕して20μm以下にした場合も、乾燥するとセルロースが再凝集して20μm以上に戻るし、磨砕後のウエットケークの状態で製品として流通させることは、輸送コストや防腐性という観点で難しい。
したがって、とろみを有する食品中に平均粒子径が20μm以下、好ましくは15μm以下のセルロースを存在させる方法としては、結晶セルロース及び水溶性高分子からなる結晶セルロース複合体をセルロースの原料として使用することが好ましい。
結晶セルロース複合体とは、主成分である結晶セルロースに水溶性高分子が複合化されたものである。複合化とは、結晶セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、水溶性高分子で被覆された形態を意味する。したがって、結晶セルロース複合体は、結晶セルロース粉末と水溶性高分子とを単に混合した状態ではなく、水溶性高分子が結晶セルロース表面を被覆した状態である。そのため、結晶セルロース複合体を水系媒体中に分散させると、水溶性高分子が結晶セルロース表面から剥離することなく、表面から放射状に広がった構造を形成し、水中でコロイド状となる。そのため、結晶セルロース複合体の場合、セルロースは、乾燥させて一次粒子が凝集した粉体の状態からでも、元のセルロースの一次粒子の大きさに分散させることができる。
水溶性高分子とは、親水性高分子物質のことである。ここで、親水性とは、常温のイオン交換水に一部が溶解する特性を有することを意味する。定量的に親水性を定義すると、水溶性高分子0.05gを、50mLのイオン交換水に、攪拌下(スターラーチップ等による)で平衡まで溶解させ、目開き1μmのメンブレンフィルターを通過させた際に、水溶性高分子の1質量%以上が通過することであるといえる。
水溶性高分子としては、化学構造の一部に糖又は多糖を含むものが挙げられる。多糖類の場合には、ジェランガム、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、ガッティガム、グルコマンナン、トラガントガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、カードラン、プルラン、デキストラン、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が好適な例として挙げられる。また、糖を含まない水溶性高分子として、ゼラチン等も使用できるが、これらに限定されない。水溶性高分子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶セルロースと複合体を形成する水溶性多糖類としては、陰イオン性多糖類がより好ましい。陰イオン性多糖類とは、それを水中で分散又は溶解した際に、陽イオンが遊離し、それ自身が陰イオンとなるものである。陰イオン性多糖類は、セルロースと複合化しやすく、このため得られた結晶セルロース複合体は、とろみを有する半固形食品中でも、セルロースが小さく分散されやすい。
陰イオン性多糖類としては、キサンタンガム、カラヤガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、HMペクチン、LMペクチン等が挙げられる。これらの陰イオン性多糖類は、1種のみを結晶セルロースと複合化してもよく、2種以上を組み合わせてセルロースと複合化してもよい。
中でも、カラヤガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、結晶セルロースと複合化しやすいため好ましい。さらに、カラヤガム、キサンタンガムは、結晶セルロース複合体としてとろみを有する半固形食品に添加すると、食感が優れるため、より好ましい。
本発明において原料として用いられる結晶セルロース複合体は、結晶セルロースと水溶性多糖類以外の水溶性高分子との複合体であってもよい。当該水溶性高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
<カラヤガム>
カラヤガムとは、アオギリ科カラヤの木の樹液を精製したもののことである。市販のグレードとしては、色調、樹皮、異物の割合から、Hand−picked−selected(HPS)、Superior No.1、Superior No.2、Superior No.3、Shiftingsがある(株式会社幸書房2001年発行、国崎、佐野著「食品多糖類」88ページ、表4−4参照)。本実施形態で用いるカラヤガムは食品で使用できるグレードであれば制限なく使用できる。この中でも、HPS、Superior No.1が好ましく、HPSが複合体の懸濁安定性の点で好ましい。特に、中央インド及び北インドのSterculia urens由来のものが、複合体の懸濁安定性の点で好適である。セルロースとカラヤガムとの質量比は、99/1〜80/20であることが好ましい。
<キサンタンガム>
キサンタンガムとは、トウモロコシ等の澱粉を細菌Xanthomonas campestrisにより発酵させて作られるガムであり、グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り返し単位からなるものである。本実施形態で用いるキサンタンガムには、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩も含まれる。上記の構造を有し、食品で使用できるグレードであれば粘度に制限なく使用できる。セルロースとキサンタンガムの質量比は、99/1〜80/20が好ましい。より好ましくは99/1〜90/10である。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム>
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)とは、セルロースの水酸基が−OCHCOONaで置換されたものであり、D−グルコースがβ−1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、パルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酢酸(或いはそのナトリウム塩)でエーテル化して得られる。
特に、置換度と粘度が特定範囲に調製されたCMC−Naを用いることが、複合化の観点から好ましい。置換度とは、セルロースのグルコース単位中の3個の水酸基のうち、カルボキシメチル基がエーテル結合したものの数の平均値のことであり、0.6〜2.0が好ましい。置換度が前記の範囲であれば、CMC−Naの分散性が十分であること、及び製造が容易であることから好ましい。より好ましくは、置換度は0.6〜1.3である。またCMC−Naを1質量%の純水溶液としたときの溶液の粘度は、500mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下が更に好ましく、20mPa・s以下が特に好ましい。1質量%CMC−Na純水溶液の粘度が低いほど、セルロースと親水性ガムとの複合化が促進されやすい。下限は特に設定されるものではないが、例えば、1mPa・s以上が好ましい。セルロースとCMC−Naとの質量比は、99/1〜80/20であることが好ましく、94/6〜84/16がより好ましく、92/8〜86/14が更に好ましい。
<結晶セルロースと水溶性高分子の配合比>
結晶セルロース複合体は、結晶セルロースが20質量%〜99質量%に対し、水溶性高分子を1〜80質量%含むことが好ましく、結晶セルロースが30〜99質量%に対し、水溶性高分子を1〜70質量%含むことがより好ましい。結晶セルロースの含有量としては、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。また、水溶性高分子の含有量としては、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。結晶セルロースと水溶性高分子の配合比が前記範囲内であれば、結晶セルロースと水溶性高分子の複合化が促進されやすく、このため得られた結晶セルロース複合体は、とろみを有する半固形食品中でも、セルロースが小さく分散されやすい。
<高分子物質ではない親水性物質>
セルロース原料としては、セルロースのみからなるものであってもよいが、水系媒体への分散性を高める目的で、セルロースと共に高分子物質ではない親水性物質を含有するものであってもよい。当該親水性物質は、水系媒体中にセルロースを分散させた際の、崩壊剤又は導水剤として機能する。したがって、とろみを有する半固形食品の他の原料と混合させる前に、予め当該親水性物質と混合しておき、当該親水性物質で被覆されたセルロースをセルロース原料として用いることにより、セルロースがとろみを有する半固形食品組成物中でさらに分散しやすくなる。本発明において用いられるセルロース原料としては、水溶性多糖類との結晶セルロース複合体と高分子物質ではない親水性物質とを含むものが好ましい。
「高分子物質ではない親水性物質」とは、冷水への溶解性が高く、粘性をほとんどもたらさない有機物質を意味する。具体的には、澱粉加水分解物、加工澱粉等の比較的低分子量の多糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類;ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類;マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等が挙げられる。
澱粉加水分解物としては、デキストリン類が挙げられる。加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウム等が挙げられる。これらの加工澱粉を加工する原料となる澱粉は、アルファー化加工したもの、部分的にアルファー化加工したもの、アルファー化加工していないもののうち、いずれの形態のものも使用できる。
セルロース原料が含有する親水性物質としては、澱粉加水分解物及び加工澱粉からなる群より選択される1種以上が好ましく、デキストリン及び加工澱粉からなる群より選択される1種以上がより好ましく、デキストリンと加工澱粉の両方が更に好ましい。中でも、デキストリンは、僅かではあるが水溶性高分子としての機能も合わせ持つため、水溶性高分子と複合体化していないセルロースを原料とする場合には、デキストリンを用いることが特に好ましい。
結晶セルロース複合体における親水性物質の配合量には制限はないが、好ましい範囲としては、5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。上限は特にないが、結晶セルロース複合体としての物性を勘案すると、80質量%以下としてもよいし、75質量%以下としてもよいし、70質量%以下としてもよい。
<結晶セルロース複合体の製造方法>
結晶セルロース複合体の製造方法としては、混練工程において、ウエットケーク状の水を含む結晶セルロースと、水溶性高分子に機械的せん断力をあたえ、結晶セルロースを微細化させるとともに、結晶セルロース表面に水溶性高分子を複合化させる処理を含む方法を挙げることができる。また、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の処理を経たものは、必要に応じて乾燥される。本発明の結晶セルロース複合体は上述の機械的せん断を経ていればよく、未乾燥のもの又はその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
混練時の温度は成り行きでもよいが、20〜100℃に制御することが好ましい。この温度範囲であれば、結晶セルロースの磨砕や、水溶性高分子との複合化が容易に進み、また熱による水溶性高分子の劣化が抑制され、結果として結晶セルロース複合体が形成するネットワーク構造が密になるからである。好ましくは30〜95℃であり、より好ましくは40〜95℃である。混練の際の複合化反応や、摩擦等により発熱する場合にはこれを除熱しながら混練してもよい。温度を制御するためには、ジャケット冷却、放熱等の除熱を調整することが挙げられる。
混練時の固形分は、20質量%以上とすることが好ましい。20質量%以上で混練することで、混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるため好ましい。混練時の固形分は、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上であり、特に好ましくは40質量%以上である。上限は特に限定されないが、充分な混練効果と、均一な混練状態が得られることを考慮すると、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以下である。また、固形分を上記範囲とするために、水を添加するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよいし、混練工程の途中で加水してもよいし、全加水量の一部毎につき両方実施しても良い。
ここで、混練エネルギーについて説明する。混練エネルギーとは混練時に消費される混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義される値である。混練エネルギーは、200Wh/kg以下であることが好ましい。より好ましくは150Wh/kg以下であり、更に好ましくは100Wh/kg以下であり、特に好ましくは80Wh/kg以下であり、格別に好ましくは60Wh/kg以下である。下限値としては、30Wh/kg以上とすることが好ましい。より好ましくは40Wh/kg以上である。この範囲内に制御できれば、水溶性高分子の劣化を起こさずに、結晶セルロースと水溶性高分子との複合化が促進される傾向にある。
結晶セルロース複合体を得るにあたり、混練工程で得られた混練物を乾燥する場合には、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。乾燥後のセルロース複合体の含水率は1〜20質量%が好ましい。含水率を20%以下とすることで、べたつき、腐敗等の問題や運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。より好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。また、1%以上とすることで、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。より好ましくは1.5%以上である。
結晶セルロース複合体を市場に流通させる場合、その形状は、粉体の方が取り扱い易いので、乾燥により得られたセルロース複合体を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥した結晶セルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(重量平均粒子径)としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。
市販品で容易に入手が可能なセルロース複合体として、旭化成ケミカルズ社製の商品名セオラス(登録商標)のRC−591(セルロース/CMC−Na=89/11(質量比))、RC−591S(セルロース/CMC−Na=89/11(質量比))、RC−N81(セルロース/カラヤガム/デキストリン=80/10/10(質量比))、RC−N30(セルロース/キサンタンガム/デキストリン=75/5/20(質量比))、SP−N50(セルロース/キサンタンガム/デキストリン=80/10/10(質量比))、SC−900(セルロース/キサンタンガム/CMC−Na/デキストリン/ナタネ油=72/2.8/5/20/0.2(質量比))、SC−900S(セルロース/キサンタンガム/CMC−Na/デキストリン/ナタネ油=72/2.8/5/20/0.2(質量比))、FMC社製のアビセル(登録商標)BV−1518、GP−3282、JRS社のMCG−811F、MCG−500F、明台化工社製のNEO−C91、NEO−C90等が挙げられる。
<結晶セルロース複合体の特徴>
結晶セルロース複合体は、結晶セルロースを微細化させるとともに、結晶セルロース表面に水溶性高分子を複合化させる処理を経ることから、結晶セルロース粒子が15μm以下の状態となっており、さらに、結晶セルロース表面が水溶性高分子で被覆された状態となるため、水中で分散力を与えて分散させた場合に、水溶性高分子が表面から格子状に広がって結晶セルロース粒子が15μm以下の粒子の状態で分散する。
これに対して、結晶セルロースが単一で水素結合して凝集している、結晶セルロース粉末は、水中で分散力を与えても、結晶セルロース同士の水素結合力が非常に強いため、20μm以下の粒子に分散させることは非常に困難である。
したがって、本実施形態の半固形食品におけるセルロース配合による効果は、セルロース粒子が小さく、数多く均一に分散するほど高い効果が得られるため、結晶セルロース粒子を20μm以下、好ましくは15μm以下に分散させることが可能なセルロースとして、結晶セルロース複合体を用いることが好ましい。
<易分散性結晶セルロース複合体>
本実施形態においては、結晶セルロース複合体のなかでも、易分散性のものを使用することが好ましい。とろみを有する食品は、多くの場合、塩分を多く含む。塩分濃度が高い場合、上記の結晶セルロース複合体は、結晶セルロース粒子が解離しにくくなり、高速撹拌機を用いてもセルロースの分散性が不充分となる場合がある。そうなると、本発明でセルロースに求める、「60℃と5℃の降伏粘度比が小さい」、「60℃における降伏粘度/静値粘度比が大きい」という効果を発現しにくくなる場合がある。
これに対し、易分散性結晶セルロース複合体を使用すると、塩分を多く含む半固形食品中でも、結晶セルロース粒子が解離しやすくなり、セルロースの効果が得られやすくなる。
易分散性結晶セルロース複合体とは、エクセルオートホモジナイザー等の高せん断力の機器を使用せずとも、プロペラ攪拌等の弱い攪拌で完全に分散する結晶セルロース複合体のことである。典型的な当該易分散性結晶セルロース複合体は、上述の結晶セルロースと水溶性ガムから得られる結晶セルロース複合体において、上述の高分子物質ではない親水性物質(以下単に「親水性物質」ともいう。)が20質量%以上配合されるものである。親水性物質が多くなることで、結晶セルロースの分散性が高くなるため、好ましい。より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。上限は95質量%以下である。
易分散性結晶セルロース複合体は、上述の結晶セルロース、水溶性ガム、親水性物質に加え、後で具体的に説明する崩壊剤を含んでもよい。崩壊剤は、半固形食品中を撹拌する際に、結晶セルロースの分散性を高める作用を有し、上述のセルロースの効果を促進するものである。特に、味付けの目的で、とろみを有する半固形食品中に塩分を添加する際には、崩壊剤の添加効果が大きい。崩壊剤の添加量としては、結晶セルロース複合体に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。上限は40質量%以下である。
<易分散の結晶セルロース複合体の体積平均粒子径>
易分散性結晶セルロース複合体の体積平均粒子径は、25μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
ここで言う易分散性結晶セルロース複合体の体積平均粒子径とは、易分散性結晶セルロース複合体を4質量%の濃度で純水懸濁液とし、プロペラ攪拌機(例えば、HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段)で、条件:400rpm×20分間、25℃で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(例えば、堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で測定した際の体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)のことである。
この体積平均粒子径を満たす易分散性結晶セルロース複合体を、とろみを有する半固形食品中に配合した場合に、先の<セルロース平均粒子径の測定方法>で規定した、半固形食品中のセルロースの平均粒子径を15μm以下にすることが容易になる。
<易分散性結晶セルロース複合体に配合される崩壊剤>
本実施形態において、易分散性結晶セルロース複合体に崩壊剤を配合する場合、水膨潤性の粒子を使用することが好ましい。ここで水膨潤性の粒子とは、冷水に溶解した際に、自身の2倍以上の体積に膨潤する粒子のことをいう。例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等のガラクトース含有量の少ないガラクトマンナン粒子、加工澱粉、部分アルファー化澱粉から選ばれる1種以上を使用することができる。分散効果の点で、加工澱粉を用いることが好ましい。
<易分散結晶セルロース複合体に使用できる加工澱粉>
易分散性結晶セルロース複合体において、崩壊剤として用いられ得る加工澱粉としては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、澱粉グルコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウムが挙げられる。これらは、アルファー化加工したもの、部分的にアルファー化加工したもの、アルファー化加工をしていないもののうち、いずれの形態のものでも使用できる。また、酸処理された澱粉、又は生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉も使用できる。上述の加工澱粉は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
特に飲食品に用いる場合には、厚生労働省令第151号にて定められた11種の加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉)、並びに生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉が好ましい。
中でも、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉、アルファー化澱粉が易分散結晶セルロース複合体の分散性の点でより好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉が更に好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉が特に好ましい。
<易分散結晶セルロース複合体の製造方法>
易分散結晶セルロース複合体は、結晶セルロース複合体と親水性物質、及び必要に応じて添加される加工澱粉とを水系媒体に分散させて、分散液を形成する工程(分散工程)と、それに続き、この分散液を均質化する工程(均質化工程)と、更に、均質化された分散液を乾燥する工程(乾燥工程)を経て製造することが好ましい。
ここで、結晶セルロース複合体と、親水性物質、(及び加工澱粉)が、スラリー状態で、分散、均質化されることが、易分散結晶セルロース複合体の分散性を高める上で好ましい。スラリー状態で均質化されることで、セルロースと親水性物質、(及び加工澱粉)が、過度に複合化しないため、分散性が良好なものが得られる。具体的な製造条件について、以下に説明する。
《分散工程》
まず、上記の結晶セルロース複合体と親水性物質、(及び加工澱粉)を水に分散溶解させる。その際の、固形分濃度は1〜70質量%となるように、水を含めたそれぞれの量を調整することが望ましい。固形分濃度がこの範囲であれば、水分散液の取り扱い性が良好で、生産性が高く、後の乾燥エネルギーの負荷も許容できる範囲である。より好ましくは3〜50質量%であり、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下であり、最も好ましくは30質量%以下である。前述の理由により、分散液は、スラリー状態とすることが好ましい。分散液の状態は、用いる結晶セルロース複合体と親水性物質(及び加工澱粉)の種類、およびそれらの質量比にもよるが、固形分濃度が35質量%以下であれば、通常は、スラリー状態といえる。
結晶セルロース複合体と、親水性物質、加工澱粉の添加順序は、特に制限されない。分散液の均一性を高めるために、水系媒体に投入する好ましい順序は、親水性物質、加工澱粉、結晶セルロース複合体の順である。
分散工程での攪拌方法には、特に制限がなく、目視で直径数mm〜数cmの凝集物がなくなるように攪拌されることが好ましい。攪拌装置としては、タンクに攪拌翼がセットされたものが好ましく、プロペラ翼式攪拌装置、パドル翼式攪拌装置、ファウドラー翼式攪拌装置、アンカー翼式攪拌装置、ヘリカルリボン翼式攪拌装置等を用いることができる。また、タンク式以外でも、スタティック式のラインミキサー、サニタリーポンプ等のライン攪拌装置を用いてもよい。
分散温度は特に制限されず、結晶セルロース複合体と、親水性物質、加工澱粉の過度の複合化を抑えるために、例えば0〜60℃であってもよく、10〜50℃であってもよく、15〜40℃であってもよい。
《均質化工程》
易分散結晶セルロース複合体の製造においては、結晶セルロース複合体と親水性物質、(及び加工澱粉)を均質化する工程を経る必要がある。ここで均質化とは、結晶セルロース複合体が、凝集体ではなく、一次粒子に分散された状態のことである。具体的には、均質化後の分散液において、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば、HORIBA製 商品名LA−910を使用、フローセル中で1分間循環、超音波処理なし、屈折率1.20)で測定される体積頻度の平均粒子径(メジアン径)が、20μm以下となった状態として定義することができる。
均質化は、上記の平均粒子径が達成できれば、原料の添加順序、添加方法には制限はない。例えば、全ての成分を混合して一括処理を行ってもよいし、各成分を水に分散し、成分ごとに均質化処理を行った後に、全ての成分を混合してもよい。
均質化の方法は、高速攪拌機で高剪断を与える方法と、高圧ホモジナイザーで高圧分散する方法、ビーズ様のメディアを使用したミルで均質化する方法、ロールミルを用いて均質化する方法等を用いることができる。均質化が達成できる方法であれば、順不同で、上記の方法を組み合わせてもよい。
簡便な工程で均質化を達成するには、高速攪拌機で高剪断を与える方法と、高圧ホモジナイザーで高圧分散する方法を、好適に用いることができる。ここで、均質化濃度、均質化温度は、上述の分散工程と同様の条件が適用できる。
高速攪拌機を用いる均質化は、分散工程で得られた分散液に、高速回転する攪拌を与えることで達成される。均質化に、高速攪拌機を用いる場合には、分散と均質化が一度でできるため、前述の分散工程を省略することも可能である。
高速攪拌は、攪拌翼の周速で定められ、周速は下記式(2)により計算することができる。
周速(m/s)=攪拌翼の直径(m)×π(円周率)×攪拌翼の回転数(n/s) (2)
上記の周速が大きいほど短時間で均質化できるため好ましい。具体的には、周速は、5m/s以上であることが好ましく、10m/s以上であることがより好ましく、15m/s以上であることが特に好ましい。周速の上限は特に規定されるものではないが、工業的に使用される機器を想定すると、100m/s以下が好ましい。処理時間は、被処理物の平均粒子径との兼ね合いで決まるものであり、特に制限はないが、10分以上が好ましい。
高速攪拌機の例としては、商品名:TKホモジナイザー、TKホモミキサー、TKロボミックス、TKオートミクサー、ラボ・リューション、TKホモディスパー、ハイビスディスパーミックス、フィルミキサー(プライミクス社製)、エースホモジナイザー、カンキミキサー(関西機械工業社製)、超振動α−攪拌機(日本テクノ社製)、家庭用ミキサー等の装置を用いることができる。
高速攪拌機として、TKホモミキサーMARKII fモデル(プライミクス社製)を使用する場合、回転数600〜13,000rpmで、pH3〜8、温度0〜80℃及び固形分濃度が10〜60%の上記分散液を処理することが望ましい。この回転数の範囲内であれば、分散液の体積頻度の平均粒子径を20μm以下とすることができる。高速攪拌機の回転数は、より好ましくは2000〜13,000rpmであり、5,000〜13,000rpmが最も好ましい。
高圧ホモジナイザーによる均質化は、分散工程で得られた分散液を、一旦加圧して、装置内の間隙を通し、固体粒子が間隙を通り抜ける際のせん断力を利用して均質化を行うものである。ここで、均質化を達成するには、圧力を4〜150MPaの範囲で運転することが好ましい。この圧力は、高いほど均質化が進むが、高すぎると結晶セルロース複合体中のセルロースと多糖類との結合が弱まる。従って、圧力のより好ましい範囲としては、5〜100MPaであり、さらに好ましくは10〜50MPaである。
ここで使用できる高圧ホモジナイザーの例としては、例えば、商品名:ナノマイザー(ナノマイザー社製)、商品名:マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディスク社製)、商品名:アリート(ニロソアビ社製)、商品名:APVホモジナイザー(APV社製)、マントンゴーリンホモジナイザー等の装置がある。尚、高圧ホモジナイザーの処理回数は1回でよいが、複数回処理してもよい。
《乾燥工程》
易分散結晶セルロース複合体の形状は、粉体の方が取り扱い易いので、上記の均質化後に、乾燥、粉末化されることが好ましい。易分散結晶セルロース複合体を乾燥する方法としては、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。
乾燥後の易分散結晶セルロース複合体の含水率は、1〜20質量%が好ましい。含水率を20質量%以下とすることで、べたつき、腐敗等の問題や、運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。含水率は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。また、含水率を1質量%以上とすることで、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。含水率は、より好ましくは1.5質量%以上である。
乾燥した易分散結晶セルロース複合体は、目開き1mmの篩いを全通する程度に粉末化されることが好ましい。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(見かけの重量平均粒子径)としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。これらの乾燥粉末は、結晶セルロース複合体(と場合により加工澱粉)の微粒子が凝集し、二次凝集体を形成しているものである。この二次凝集体は、水中で攪拌すると崩壊し、上述の結晶セルロース複合体微粒子に分散する。二次凝集体の見かけの重量平均粒子径は、ロータップ式篩振盪機(例えば、平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより得られた粒度分布における累積重量50%粒径のことである。
乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕が必要なく、最も好ましい乾燥方法である。その他の方法で、乾燥した結晶セルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。
噴霧乾燥は、均質化工程を経て得られた分散液をミスト状に噴霧して、そのミストに熱風を当てて、水を蒸発させ、粉末化する方法である。本実施形態においては、分散液の噴霧方法として、ケスナー、ベーン、ピン型等のアトマイザーを用いる方法、二流体ノズル、四流体ノズル等から噴霧する方法を採用できる。また、熱風は、向流式、併流式のいずれでもよいが、アトマイザー法では併流式、ノズル法では向流式が一般的である。
上述の粉体水分、粉体粒子径が達成できれば、乾燥条件には制限がない。例えば、熱風温度は、入口温度100〜200℃、出口温度40〜99℃の範囲であってもよい。このようにして得られた易分散セルロース複合体を用いると、塩分濃度が高い条件下でも、高速撹拌機を用いることなく、プロペラ撹拌程度のせん断力で、半固形食品中でセルロースがバラバラに解離するため、上述のセルロースの様々な効果が発揮されやすくなる。
<セルロースの添加量>
本実施形態のとろみを有する半固形食品は、セルロースを0.05〜3質量%含むことが好ましい。セルロースの添加量が0.05質量%より小さい場合には、セルロースの粒子の数が少ないため、上述のセルロースの効果が発揮されにくい傾向にある。また、添加量が3質量%よりも多い場合には、食品が白く濁ったり、粘度が8000mPa・sを超えてゲル状になる場合がある。また、セルロースが3質量%よりも多いと60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が4.00以上となりやすい傾向にある。
セルロースの添加量の下限は0.10質量%以上がより好ましく、0.20質量%以上が更に好ましく、0.30質量%以上が特に好ましい。また、セルロースの添加量の上限としては、2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が更に好ましい。
ここで、セルロースの含有量は、セルロースを単独でとろみを有する半固形食品に配合する場合は、セルロース自体の質量より算出され、結晶セルロース複合体の形態でとろみを有する半固形食品に配合する場合は、該結晶セルロース複合体の質量から算出される(該結晶セルロース複合体中のセルロースのみの質量ではない)。
本実施形態のとろみを有する半固形食品は、架橋澱粉を0.2〜5.0質量%含むことが好ましい。架橋澱粉が0.2質量%よりも少ないと、架橋澱粉の冷蔵耐性、機械耐性といった効果が発揮されない。架橋澱粉が5.0質量%よりも多い場合は、食品の降伏粘度が8000mPa・sよりも高く、ゲル状になる。
<架橋澱粉>
架橋澱粉としては、厚生労働省令第151号にて定められた11種の加工澱粉に指定されている架橋澱粉である、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉が好ましい。その中でも、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉が本発明の架橋澱粉としてより好適に利用でき、アセチル化アジピン酸架橋澱粉が、自然な食感を与えるため最も好適である。
架橋澱粉の原料としては、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉(ワキシーコーンスターチ)、馬鈴薯澱粉、モチ種馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、もち米澱粉、さつまいも澱粉、さご澱粉、くず澱粉等が挙げられる。上述の澱粉は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上述したように、セルロースは、60℃における「降伏粘度/静値粘度」が大きい点と、60℃及び5℃における温度での降伏粘度の差が小さい。このため、本実施形態の半固形食品はセルロースを含むことが好ましい。しかしながら、セルロースは水に不溶なため、多量に添加すると食品が白濁してしまう場合がある。またセルロースの添加量が一定量を超えると、降伏粘度が大幅に増加する領域があるため、セルロースだけで半固形食品の60℃における「降伏粘度/静値粘度」を4.00以下に制御することが難しい場合がある。
一方、架橋澱粉は、添加量に対する粘度の増加がセルロースよりも緩やかで、降伏粘度の調整はセルロースよりも容易である。しかしながら、架橋澱粉だけで降伏粘度を制御しようとすると、60℃における「降伏粘度/静値粘度」が小さくなりやすい。すなわち、所望の降伏粘度を得ようとした時に、静値粘度も降伏粘度に近く高い値となり、静置時のフレーバーリリースが悪くなったり、口中に入れた時の風味の発現が悪くなったりする問題が起こりやすい。
そこで、0.2〜5質量%の架橋澱粉を添加することで、ある程度のベースとなる降伏粘度を付与した上で、0.05〜3質量%のセルロースを併用して添加することにより、降伏粘度を目的のところまで増加させて調節しながら、静値粘度の増加を抑えることができる。これにより、とろみを有する半固形食品において、5℃と60℃の両方で、具材からの離水や離油、具材の偏り、あるいは過剰なゲル化を抑制し、且つ5℃と60℃で外観の変化を小さくすることが容易になる。
本実施形態の食品に添加することができる具材以外の原料としては、通常の加工食品に使用されるものであれば特に制限されない。例えば、増粘剤として、セルロースと架橋澱粉以外にも、通常使用される増粘剤を更に使用してもよい。このような増粘剤としては、例えば、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、カードラン、カラギーナン、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、キチン、キトサン、グアーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、ゼラチン、タマリンドシードガム、デキストラン、プルラン、HMペクチン、LMペクチン、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記の増粘剤以外にも、蛋白質、油脂、糖質、調味料、香料、色素、乳化剤等を添加してもよい。
[調理食品]
1実施形態において、本発明は、上述した半固形食品及びご飯を含むことを特徴とする、調理食品を提供する。
本実施形態の調理食品の種類は限定されないが、調理食品は、とろみを有する半固形食品とご飯との組み合わせからなり、とろみを有する半固形食品は、ご飯に和えて食するためのものであることが好ましい。
また、本実施形態の調理食品は、半固形食品及びご飯を分離した状態で容器に収容してチルド状態で保存し、前記半固形食品及びご飯を60℃以上に加熱後に混合して喫食するためのものであることが好ましい。
本実施形態の調理食品の例としては、例えば、カレーライス、ハヤシライス、シチューライス、あんかけの丼物等が挙げられる。あんかけの丼物としては、例えば、中華丼、麻婆丼、親子丼、キムチ丼、ロコモコ丼、ビーフシチュー丼、あんかけ炒飯、チンジャオロース丼、エビチリ丼等が挙げられる。
チルド状態とは、5℃前後(3〜8℃)程度の状態をさす。この状態で保存することにより、製造調理後の菌数の増加スピードを遅くすることができるため、日持ちがする上、保存料を少なくすることができる。これによって、消費期限を従来の常温保存の弁当の3倍以上に延ばすことが可能になった。しかしながら、従来の3倍以上、保存期間が延びるということは、具材からの離水や離油の防止、具材の偏りの防止、あるいは増粘によるゲル化抑制といった安定性についても、従来の3倍以上の期間持たせる必要がある。
つまり、保存中に菌が増殖しなくても、保存中に具材からの離水や離油、具材の偏りが起こったり、あるいは粘度が変化したりしてはいけない。したがって、従来の常温の弁当よりも長期間に渡って食品の安定性が必要となり、かつ輸送時、陳列時の揺れ、振動に対しても安定であることが求められることから、ある程度高い降伏粘度が必要となる。
一方で、5℃前後のチルド状態で保存している間の見た目が、喫食前に電子レンジ等で60℃程度に加熱した時と変わらないことも求められる。スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される際は、前記の半固形食品が、ご飯へ染み込むのを防ぐために、前記の半固形食品と、ご飯が分離された状態で容器に入れられており、前記の半固形食品は上に置かれ、透明な容器とフィルムで目に見える状態となっているためである。
チルド状態で陳列されている際に、前記の半固形食品がゲル状になっているなど、喫食時の形態と大きく異なっている場合、消費者は購買意欲を損ねてしまう場合がある。また、20℃程度以下で増粘し始めるような増粘剤を用いた場合は、喫食中に冷めていく過程で粘度が変化し、冷めていくにしたがってネチャついて風味が悪くなるという問題も起こる場合がある。
また、本実施形態の調理食品においては、60℃と5℃での降伏粘度の差が小さく、かつ降伏粘度が高い、という条件を満たすだけでは、不充分であり、60℃における静値粘度が降伏粘度に対して小さく、その差が大きいことが求められる。
降伏粘度と静値粘度の差が小さい場合、安定性付与のため、あるいはその食品に求められるとろみ付与のためには、降伏粘度を高くする必要があるが、その場合、静値粘度も高くなってしまうことから、加熱直後の開封時のフレーバーリリースがマスキングされ、更に口腔内に入れた瞬間の味の発現も抑制されてしまう場合がある。
逆に、風味を出すために静値粘度を下げようとすると、降伏粘度も下げざるを得なくなるため、食品の安定性を損なう上に、場合によってはその食品に求められるとろみの領域に達しない場合がある。
とろみを有する半固形食品を、ご飯に和えて食べる場合、とろみを有する半固形食品は、ご飯の上に載った状態であり、そのままご飯ごとすくって食べることが一般的であり、その場合、口の中に入れて、咀嚼を開始するまでには、大きなせん断力はかかっていない状態である。したがって、静値粘度が降伏粘度に比べて低いこと、すなわち、本発明における、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77以上でないと、口中での香りや味がマスキングされやすく、こもった味になりやすい。
これは、容器から押し出してせん断力を与えて使用し、粘度が充分に低下した状態で食する、タレ類等の形態の食品には求められない性質であり、とろみを有する半固形食品を、ご飯に和えて食べる場合特有に求められる性質である。
本発明を下記の実施例により説明する。ただし、これらは本発明の範囲を制限するもの
ではない。
まず、各種物性の評価方法を説明する。
(1)5℃における降伏粘度
調理後のとろみを有する半固形食品をプラスチック容器に入れ、更に透明なプラスチック製の蓋を閉め、フィルムで包装した後に、5℃で3日間保存後した。その後、フィルムを取り、蓋を開け、とろみを有する半固形食品を、2mmの篩で漉し、2mmより大きい具材を除去後に、通過した「とろみ」を100mLビーカーに入れ、3時間更に静置した。その後、Rheometric Scientific,Inc.製のAdvanced Rheometric Expansion System(以下、頭文字をとって「ARES」という。)を用いて、Double couette型、測定温度5℃で、ずり速度を1〜50[1/s]にて、ずり応力[mPa]を測定した。ここで、下記式(1)により粘度を計算し、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら測定した時の粘度の最大値を、5℃における降伏粘度とした。
粘度[mPa・s]=ずり応力[mPa]/ずり速度[1/s] (1)
(2)60℃における静値粘度、降伏粘度
(1)で使用した、100mLビーカーに入っている「とろみ」の残りを、60℃のウオーターバスで加熱し、60℃に加温した。その後、ARESを用いて、Double couette型、測定温度60℃で、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら、ずり応力[mPa]を測定した。ここで、上記式(1)により粘度を計算し、ずり速度が1[1/s]の時の粘度を60℃における静値粘度とし、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら測定した時の粘度の最大値を60℃における降伏粘度とした。
(3)セルロースの平均粒子径
(1)及び(2)で使用した、100mLビーカーに入っている「とろみ」の残りの一部をスポイドにとり、スライドガラス上に一滴垂らした。その後、プレパラートで挟み、光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープ、(株)ハイロックス、商品名「HIROX KH−1300」)で偏光顕微鏡観察した。光って見えるセルロース粒子50個について長径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
(4)とろみを有する半固形食品の評価
調理後のとろみを有する半固形食品をプラスチック容器に入れ、更に透明なプラスチック製の蓋を閉め、フィルムで包装した後に、5℃で3日間保存後、下記の評価を実施した。
<5℃保存時の外観の評価>
以下の評価基準で外観を評価した。
○:喫食時(60℃加熱時)と変わらない適度なとろみ状態であった。
×:喫食時と異なり、ゲル状に固まっていた。
<5℃保存時の具材の沈降(外観)>
以下の評価基準で具材の沈降を評価した。
○:具材の沈降はなく、具材が均一に存在していた。
△:具材がやや底面に沈降していたが、実用上問題のない程度であった。
×:具材が底面に沈降しており、表面はとろみ部分のみとなっていた。
<5℃保存時の離水・離油(外観)>
以下の評価基準で離水・離油を評価した。
○:離水・離油は見られなかった。
△:離水・離油がやや見られたが、実用上問題のない程度であった。
×:離水・離油が激しかった。
<電子レンジ加熱直後の香り立ち>
5℃で3日間保存したとろみを有する半固形食品を、電子レンジに入れ、60℃になるまで加熱し、フィルムを剥がし、蓋を開けた瞬間の食品からの香り立ちを以下の評価基準で評価した。
◎:香り立ちが非常に良く、食欲がそそられた。
○:香り立ちが良かった。
△:やや香り立ちが悪かったが、実用上問題のない程度であった。
×香り立ちが悪く、食欲がそそられなかった。
12人のパネラーに、上記の3段階で点数をつけてもらい、最も多かった回答を、評価結果とした。
<咀嚼時の食感>
上述した「電子レンジ加熱直後の香り立ち」の評価で加熱した、とろみを有する半固形食品を、かき混ぜずにスプーンで掬って口の中に入れ、以下の評価基準で食感を評価した。
○:その食品として、適度なとろみを感じられた。
△:その食品として、ややとろみ不足又はややとろみ過多であったが、実用上問題のない程度であった。
×:その食品として、とろみ不足又はとろみ過多であった。
12人のパネラーに、上記の3段階で点数をつけてもらい、最も多かった回答を、評価結果とした。
[実施例1]
まず、次のようにしてセルロースAを調製した。セルロースAの平均重合度は150であった。
高速攪拌機(プライミクス製 商品名TKホモミキサーMARKII)を用いて、25℃の水道水1500gを2000rpmで攪拌しながら、親水性物質としてデキストリン(三和澱粉製 商品名サンデック#100)を180g加え、5分間攪拌した。その後、加工澱粉として、ワキシーコーンスターチ由来のヒドロキシプロピル化澱粉(日澱化学製 商品名デリカWH)を95g加えた後に、更に5分間攪拌した。続いて、セルロース複合体として、セルロースとキサンタンガムの複合体(旭化成ケミカルズ製 商品名セオラスRC−N30、組成:セルロース/キサンタンガム/デキストリン=75/5/20(質量比))を225g加えて、12、000rpmで60分間攪拌し、分散液とした。
続いて、この分散液を、スプレードライヤー(東京理科製 商品名SD−1000型)を使用し、フィード速度10g/分で、入口温度160〜200℃、出口温度60〜80℃の範囲で乾燥させた。得られた乾燥物を、目開き500μmの篩を通過させ、セルロースAを得た。
その後、下記の要領で、とろみを有する食品として、中華丼の具を作成した。
(1)イカ4部、エビ5部、にんじん9部、玉ねぎ11部、白菜10部、たけのこ10部、水44部、醤油3.5部、砂糖1部、塩1.5部、ごま油1部を合計500gとなるように準備した。
(2)イカ、エビ、にんじん、玉ねぎ、白菜、たけのこを一口大(短径2mm以上)に切り、熱したフライパンに炒め用油を適量引き、良く炒めた。
(3)60℃に温めた水44部に、架橋澱粉としてアセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.0部、セルロースとしてセルロースAを0.5部加え、15分間プロペラ攪拌機(HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段)を用いて撹拌し、とろみ液を作製した。
(4)(2)で炒めた具材に、醤油、砂糖、塩、ごま油の各調味料を加えて味付けした。
(5)(4)で味付けした具材に、上記のとろみ液を一気に混ぜ、全体に馴染んだところで火から離した。
(6)(5)を冷ました。
このようにして作成したとろみを有する食品を、プラスチック容器に入れ、更に透明なプラスチック製の蓋を閉め、フィルムで包装した後に、5℃で3日間保存後、評価に供した。評価結果を表1に示した。
[実施例2]
セルロースとして、セルロースB(結晶セルロースとキサンタンガムの複合体(旭化成ケミカルズ製 商品名セオラスRC−N30、平均重合度150))を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
[実施例3]
セルロースとして、セルロースC(結晶セルロース粉体の機械粉砕品(旭化成ケミカルズ製 商品名セオラスFD−F20、平均重合度200))を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
[実施例4]
セルロースとして、セルロースD(結晶セルロース粉体(旭化成ケミカルズ製 商品名セオラスST−02、平均重合度240))を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
[実施例5]
セルロースとして、以下の手順でセルロースEを調製した。
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、ウエットケーク状のセルロースを作製した。このウエットケーク1200gを二軸式エクストルーダー(栗本鉄工所製 商品名KRCニーダー、パドル径2インチ、回転数100rpm)を使用し、8.3kg/hの送り量で、4パス処理し、摩砕を行い、セルロースEを得た。セルロースEの平均重合度は150であり、固形分濃度は40%であった。
セルロースEのセルロース固形分が、実施例1と同様に0.5部となるように、1.25部、水の量を43.25部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
[実施例6]
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.1部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.6部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
[実施例7]
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.3部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.4部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
[実施例8]
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.7部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.9部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
[実施例9]
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.95部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.65部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
[実施例10]
セルロースとして、セルロースAの添加量を1.1部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.4部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
[実施例11]
セルロースとして、セルロースAの添加量を1.1部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
[実施例12]
セルロースとして、セルロースAの添加量を3.0部とし、架橋澱粉を0部(使用しなかった)とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
[比較例1]
セルロースとして、セルロースF(粉末セルロース、平均重合度1500)を下記の方法で調製した。
市販DPパルプを裁断後、ナイフミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、商品名グラインドミックスGM300)を使用し、500g仕込み、3000rpmで3分間処理した。その後、気流式粉砕機((株)セイシン企業製、商品名シングルトラックジェットミルSTJ−200型)を使用して粉砕圧力4.0MPa、粉体供給速度10kg/hで粉砕し、セルロースFを得た。平均重合度は1500であった。
セルロースとして、セルロースFを使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
[比較例2]
セルロースを0部(使用しなかった)、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.8部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
[比較例3]
セルロースを0部(使用しなかった)、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.5部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
[比較例4]
セルロースとして、セルロースAの添加量を5.0部とし、架橋澱粉を0部(使用しなかった)とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
[比較例5]
セルロースを使用しない替わりに、ゼラチンを1部添加した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
[比較例6]
セルロースと架橋澱粉を使用しない代わりに、ゼラチンを1部添加した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
[比較例7]
セルロースを使用しない代わりに、水溶性ヘミセルロース(不二製油(株)製、商品名ソヤファイブ−S−DN)を0.2部添加し、架橋澱粉としてアセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.0部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
[比較例8]
セルロースを使用しない代わりに、ヒドロキシプロピルセルロース(ハーキュリーズ社製、商品KLUCEL EF)を0.2部添加し、架橋澱粉としてアセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.0部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
理論に拘束されるつもりはないが、上記実施例及び比較例で得られた結果について、以下で考察する。
セルロースの種類の影響を、実施例1〜5、及び比較例1で検討した。とろみを有する食品中のセルロースの平均粒子径が最も小さい実施例1は、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が最も高く、電子レンジ加熱直後の香り立ちが最も感じられた。セルロースの平均粒子径が大きくなるほど、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比は小さくなる傾向を示し、それに合わせて香り立ちも少しずつ悪くなっていく傾向が見られた。
比較例1のセルロースの平均粒子径が大きいセルロースFの場合、60℃における[降伏粘度/静値粘度]が最も小さく、電子レンジ加熱後の香り立ちが悪く、風味がマスキングされていた。
次に、実施例1〜5の比較で、最もセルロースが分散し、良好な結果を示したセルロースAを用いて、セルロースと架橋澱粉との配合量について、実施例6〜11、及び比較例2、3で検討した。ここでは、60℃における降伏粘度が2600mPa・s前後となるように、セルロースAの量に応じて、架橋澱粉の配合量を変化させた。すなわち、セルロースAの添加量が少なくなるにしたがって、60℃における降伏粘度を上げるために、架橋澱粉の添加量は多くなり、逆にセルロースAの添加量が多くなるにしたがって、60℃における降伏粘度を下げるために、架橋澱粉の添加量は少なくなる。
セルロースが配合されず、架橋澱粉だけでとろみを付与している比較例2の場合、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が小さい、すなわち60℃における静値粘度が高くなるため、電子レンジ加熱直後の香り立ちが悪く、風味がマスキングされていた。比較例3は、香り立ちを改善するため、架橋澱粉の添加量を減らして、60℃における静値粘度を低くしたが、降伏粘度が低下し、実施例1などの2/3程度となってしまったため、中華丼のとろみとしては物足りないものとなってしまった。
それらに対して、セルロースAを添加しながら、架橋澱粉の量を調整していくと、降伏粘度が維持され、食感は変わらないまま、静値粘度が低くなっていき、電子レンジ加熱直後の香り立ちは良くなっていった。
ただし、実施例10のように、セルロースAの添加量が1%を超えると、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が3.00を超えるようになり、60℃における降伏粘度を維持する場合、60℃における静値粘度が低下していく傾向となる。そのため、具材の野菜からの離水が少し見られた。実施例11では、架橋澱粉の量を増やして、60℃における静値粘度を上げた。静値粘度が増加した効果により、具材野菜からの離水は見られなくなった。しかしながら、60℃における降伏粘度が実施例1などの1.5倍程度大きくなり、中華丼のとろみとしては、やや強い感じとなった。
実施例12は、セルロースAのみを約3質量%配合し、でとろみを付けたものであるが、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が3.00を超えたため、実施例10同様に具材の野菜からの離水が少し見られ、具材が食品の底面にやや沈降していることが確認された。
比較例4は、セルロースAのみでとろみ付けを行い、さらに60℃における静値粘度を高めるため、セルロースAを約5質量%添加した。静値粘度の増加により、具材の底への沈降や野菜からの離水は減少したが、60℃における降伏粘度が実施例1などの約2倍となり、中華丼のとろみとしては強すぎ、不適であった。
比較例5は、ゼラチンと架橋澱粉を使用してとろみ付けを行ったものである。5℃に冷却したところ、粘度が10000mPa・sを大きく超えるところまで増加し、傾けても全く流動しない、ゲル状態となってしまい、中華丼のとろみとはかけ離れたものになってしまい、中身の見えるチルド弁当としての形態としてはそぐわない状態であった。また、60℃における降伏粘度は実施例並であるが、セルロースを配合していないため、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が低く、電子レンジ加熱直後の香り立ちが悪かった。
比較例6は、ゼラチンのみを使用し、5℃における降伏粘度を実施例1並みにしたものである。5℃における降伏粘度が実施例1並みであるため、5℃での見た目の状態は、実施例とほぼ変わらないものであった。しかし、これを電子レンジで60℃に加熱したところ、とろみが完全になくなり、シャバシャバな状態となり、とても中華丼のとろみとは言えないものになった。
比較例7、比較例8は、セルロースの替わりに、水溶性ヘミセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースを用いてとろみ付けを行ったものである。これらは両者とも、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比がセルロース使用時の値に近く、60℃に加熱した状態では、香り立ちもまずまずであった。しかし、水溶性ヘミセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースは、常温程度であれば粘度の増加はそれほどでもないが、5℃にまで冷却すると粘度の増加が起こる。このため、ゼラチンほどではないが、5℃で保存している時の外観が変化し、比較例4同様に、傾けても全く流動しないゲル状態となってしまい、中華丼のとろみとはかけ離れたものになってしまった。
[実施例13]
架橋澱粉として、アセチル化リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
[実施例14]
架橋澱粉として、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
[実施例15]
架橋澱粉として、リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
[実施例16]
架橋澱粉として、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
実施例13〜16は、架橋澱粉の種類を変えた影響をみたものであるが、上記項目の評価結果はいずれも大差なかった。ただし、実施例1のアセチル化アジピン酸架橋澱粉が最も舌触りが自然で、且つ咀嚼後の味に影響を与えずに良好であった。
[実施例17]
下記の要領で、とろみを有する食品として、カレーの具を作成した。
(1)豚肉うす切り肉200部、たまねぎ(くし切り)200部、じゃがいも(乱切り)200部、にんじん(乱切り)100部、サラダ油30部、コンソメ5部、塩5部、砂糖10部、サラダ油30部、薄力粉36部、カレー粉12部、水700部、セルロースA10部、アセチル化アジピン酸架橋澱粉20部を準備した。
(2)鍋にサラダ油を入れて熱し、みじん切りにした玉ねぎをきつね色になるまで炒めた。
(3)豚肉を加えて炒め、肉の色が変わったら、くし型切りにした玉ねぎと、乱切りにしたにんじん、じゃがいもを加え更に炒めた。
(4)水・コンソメを入れ、沸騰したらアクを取り、鍋のふたを少し開けて煮込んだ。
(5)フライパンにサラダ油大さじ2と1/2、薄力粉を入れ、焦がさないように薄いきつね色になるまで炒めた。
(6)火を止めて、フライパンをぬれぶきんの上で冷やし、カレー粉、セルロースA、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を加えてよく混ぜ合わせてカレールウを作った。
(7)(6)に、(4)の煮汁をおたま1杯程度ずつ数回に分けて加え、均一にのばしてから、煮込み終わって火を止めた(4)に移した。ルウをよく溶かし混ぜてから再び火をつけた。
(8)軽く煮込んでとろみがついたら、塩、砂糖を入れ、味を調えた。
このようにして作成したとろみを有する食品を、プラスチック容器に入れ、更に透明なプラスチック製の蓋を閉め、フィルムで包装した後に、5℃で3日間保存後、評価に供した。評価結果を表5に示した。
[比較例9]
セルロースAを0部(使用しなかった)、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を30部とした以外は、実施例17と同様な方法でカレーの具を作成し、評価を行った。その結果を表5に示した。
実施例17は、60℃における静値粘度が、静値粘度に比べて低めであったため、カレーのスパイシーな香り立ちが良好であったが、比較例9は、60℃における降伏粘度は実施例17と同程度だったが、静値粘度が実施例17よりも高かったため、カレーのスパイシーな香り立ちが不足し、物足りなさを感じた。
[実施例18]
実施例1の要領で中華丼の具を作成した。その後、二重底になっているプラスチック容器を用意し、下の容器にご飯210gを詰め、上に容器に中華丼の具を入れた後に上下の容器を重ねた。さらに、その上に透明なプラチック製の蓋をし、全体をフィルムで包装した。
包装した容器を、振動試験機(IMV社製、型式 i210/SAIM)を用いて、5℃の環境下で、JIS Z 0200のランダム振動試験法にて、試験を行った。試験終了後、容器を観察すると、輸送試験後であったが、具材の偏りや離水・離油は見られなかった。また、上の容器の縁からの中華丼のとろみ部分のこぼれもなかった。
[比較例10]
比較例3の要領で中華丼の具を作成した。その後、実施例18と同様に評価を行った。試験終了後、容器を観察すると具材が片方にやや偏っていた。また、上の容器の縁から少し中華丼のとろみ部分が少しこぼれてフィルム伝いに下の容器の方へ浸み出しており、見た目が悪くなっていた。これは、架橋澱粉のみを使用して、香り立ちを良くしようとして、60℃での静値粘度を実施例18並みにしたことで、5℃での降伏粘度も低めになってしまったため、振動によってとろみ部分が流動しやすくなってしまったためと考えられた。
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本発明は、とろみを有する食品に好適に利用することができる。特に、とろみを有する半固形食品と、ご飯からなる調理食品であって、前記の半固形食品と、ご飯が分離された状態で容器に入れられてチルド状態で保存されており、喫食時に、60℃以上に加熱後に、前記の半固形食品を、ご飯に和えることを特徴とする調理食品に好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77〜4.00、且つ[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.5以上であり、平均粒子径が50μm以下のセルロースを含むことを特徴とする、とろみを有する半固形食品。
  2. [60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.53以上である、請求項1に記載のとろみを有する半固形食品。
  3. セルロースを0.05〜3質量%含む請求項1又は2に記載のとろみを有する半固形食品。
  4. 架橋澱粉を0.2〜5.0質量%含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のとろみを有する半固形食品。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のとろみを有する半固形食品及びご飯を含む調理食品。
  6. 前記半固形食品及びご飯が分離された状態で容器に収容されている請求項5に記載の調理食品。
  7. 前記半固形食品及びご飯を分離した状態で容器に収容してチルド状態で保存し、前記半固形食品及びご飯を60℃以上に加熱後に混合して喫食するためのものである請求項5又は6に記載の調理食品。
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