JP6703880B2 - とろみを有する半固形食品及び調理食品 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ゼラチンや寒天をあんかけ食品に添加し、流通時には凝固しているが、喫食時電子レンジ加熱により流動性のあるあんになる、食品用凝固剤を添加して凝固させたあんを麺類又は米飯類に直接接触してのせた状態で容器に詰めた、常温ないしチルド流通のあんかけ食品が開示されている。
(1)60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77〜4.00、且つ[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.5以上であり、平均粒子径が50μm以下のセルロースを含むことを特徴とする、とろみを有する半固形食品。
(2)[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.53以上である、(1)に記載のとろみを有する半固形食品。
(3)セルロースを0.05〜3質量%含む、(1)又は(2)に記載のとろみを有する半固形食品。
(4)架橋澱粉を0.2〜5.0質量%含む、(1)〜(3)のいずれかに記載のとろみを有する半固形食品。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のとろみを有する半固形食品及びご飯を含む、調理食品。
(6)前記半固形食品及びご飯が分離された状態で容器に収容されている、(5)に記載の調理食品。
(7)前記半固形食品及びご飯を分離した状態で容器に収容してチルド状態で保存し、前記半固形食品及びご飯を60℃以上に加熱後に混合して喫食するためのものである、(5)又は(6)に記載の調理食品。
1実施形態において、本発明は、60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77〜4.00、且つ[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.3以上であることを特徴とする、とろみを有する半固形食品を提供する。
粘度[mPa・s]=ずり応力[mPa]/ずり速度[1/s] (1)
本実施形態のとろみを有する半固形食品は、セルロースを含んでいてもよい。セルロースは、とろみを付与するための増粘剤として半固形食品に添加した場合に、静置粘度に対して大きな降伏粘度を付与できる性質を有する。
本明細書において、セルロースとは、D−グルコピラノースがβ1→4結合で連なった構造を持つ、セルロースを主成分とする物質を意味する。セルロースの原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。一般に入手できるセルロースとしては、例えば、後述する粉末セルロース(セルロースフロック)や結晶セルロース等が挙げられる。
セルロースの平均重合度は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)の確認試験(3)に記載の、銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法にしたがって、測定することができる値である。上述したセルロースの効果を得るためには、上記の方法で測定されるセルロースの平均重合度は1000以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましく、350以下であることが特に好ましい。
粉末セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを処理した後、精製し、機械的に粉砕したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、粉末セルロースに該当するものが挙げられる。粉末セルロースの平均重合度は440より大きいことが好ましい。このような粉末セルロースとしては、例えば、日本製紙(株)製の、KCフロックシリーズ等が挙げられる。
結晶セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを酸で部分的に解重合し、精製したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、結晶セルロースに該当するものが挙げられる。結晶セルロースは、結晶セルロース粉末と、結晶セルロース複合体とに分類できるが、本実施形態の半固形食品にはこれらのいずれも使用可能である。結晶セルロースの平均重合度は350以下であることが好ましく、300以下であることが好ましい。
以下に、セルロースの平均粒子径の測定方法について説明する。まず、本実施形態の半固形食品を2mmの篩で漉し、2mmより大きい具材を除去する。続いて、篩を通過した試料の一部をスポイドにとり、スライドガラス上に一滴垂らす。その後、プレパラートで挟み、光学顕微鏡で偏光顕微鏡観察を実施する。光学顕微鏡としては、例えば、デジタルマイクロスコープ(商品名「HIROX KH−1300」、(株)ハイロックス)等を用いることができる。偏光顕微鏡観察とは、結晶性物質を含む組織を直行偏光板に挟んで観察すると、偏光の回転によってその組織が光って見える複屈折現象を利用し、結晶性物質であるセルロースの結晶部分を観察する方法である。偏光顕微鏡観察により、光っているセルロース粒子50個について長径を測定し、その平均値を平均粒子径とする。ここで、長径とは、セルロース粒子の一方の表面から、中心(重心)を経て、他方の表面に至る距離のうち、最も大きい距離を意味する。
結晶セルロースの場合でも、粉体に機械的応力を与える方法では、平均粒子径を20μm以下にするには困難が伴う。また、結晶セルロースのウエットケークを磨砕して20μm以下にした場合も、乾燥するとセルロースが再凝集して20μm以上に戻るし、磨砕後のウエットケークの状態で製品として流通させることは、輸送コストや防腐性という観点で難しい。
カラヤガムとは、アオギリ科カラヤの木の樹液を精製したもののことである。市販のグレードとしては、色調、樹皮、異物の割合から、Hand−picked−selected(HPS)、Superior No.1、Superior No.2、Superior No.3、Shiftingsがある(株式会社幸書房2001年発行、国崎、佐野著「食品多糖類」88ページ、表4−4参照)。本実施形態で用いるカラヤガムは食品で使用できるグレードであれば制限なく使用できる。この中でも、HPS、Superior No.1が好ましく、HPSが複合体の懸濁安定性の点で好ましい。特に、中央インド及び北インドのSterculia urens由来のものが、複合体の懸濁安定性の点で好適である。セルロースとカラヤガムとの質量比は、99/1〜80/20であることが好ましい。
キサンタンガムとは、トウモロコシ等の澱粉を細菌Xanthomonas campestrisにより発酵させて作られるガムであり、グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り返し単位からなるものである。本実施形態で用いるキサンタンガムには、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩も含まれる。上記の構造を有し、食品で使用できるグレードであれば粘度に制限なく使用できる。セルロースとキサンタンガムの質量比は、99/1〜80/20が好ましい。より好ましくは99/1〜90/10である。
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)とは、セルロースの水酸基が−OCH2COONaで置換されたものであり、D−グルコースがβ−1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、パルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酢酸(或いはそのナトリウム塩)でエーテル化して得られる。
結晶セルロース複合体は、結晶セルロースが20質量%〜99質量%に対し、水溶性高分子を1〜80質量%含むことが好ましく、結晶セルロースが30〜99質量%に対し、水溶性高分子を1〜70質量%含むことがより好ましい。結晶セルロースの含有量としては、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。また、水溶性高分子の含有量としては、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。結晶セルロースと水溶性高分子の配合比が前記範囲内であれば、結晶セルロースと水溶性高分子の複合化が促進されやすく、このため得られた結晶セルロース複合体は、とろみを有する半固形食品中でも、セルロースが小さく分散されやすい。
セルロース原料としては、セルロースのみからなるものであってもよいが、水系媒体への分散性を高める目的で、セルロースと共に高分子物質ではない親水性物質を含有するものであってもよい。当該親水性物質は、水系媒体中にセルロースを分散させた際の、崩壊剤又は導水剤として機能する。したがって、とろみを有する半固形食品の他の原料と混合させる前に、予め当該親水性物質と混合しておき、当該親水性物質で被覆されたセルロースをセルロース原料として用いることにより、セルロースがとろみを有する半固形食品組成物中でさらに分散しやすくなる。本発明において用いられるセルロース原料としては、水溶性多糖類との結晶セルロース複合体と高分子物質ではない親水性物質とを含むものが好ましい。
結晶セルロース複合体の製造方法としては、混練工程において、ウエットケーク状の水を含む結晶セルロースと、水溶性高分子に機械的せん断力をあたえ、結晶セルロースを微細化させるとともに、結晶セルロース表面に水溶性高分子を複合化させる処理を含む方法を挙げることができる。また、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の処理を経たものは、必要に応じて乾燥される。本発明の結晶セルロース複合体は上述の機械的せん断を経ていればよく、未乾燥のもの又はその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
結晶セルロース複合体は、結晶セルロースを微細化させるとともに、結晶セルロース表面に水溶性高分子を複合化させる処理を経ることから、結晶セルロース粒子が15μm以下の状態となっており、さらに、結晶セルロース表面が水溶性高分子で被覆された状態となるため、水中で分散力を与えて分散させた場合に、水溶性高分子が表面から格子状に広がって結晶セルロース粒子が15μm以下の粒子の状態で分散する。
本実施形態においては、結晶セルロース複合体のなかでも、易分散性のものを使用することが好ましい。とろみを有する食品は、多くの場合、塩分を多く含む。塩分濃度が高い場合、上記の結晶セルロース複合体は、結晶セルロース粒子が解離しにくくなり、高速撹拌機を用いてもセルロースの分散性が不充分となる場合がある。そうなると、本発明でセルロースに求める、「60℃と5℃の降伏粘度比が小さい」、「60℃における降伏粘度/静値粘度比が大きい」という効果を発現しにくくなる場合がある。
易分散性結晶セルロース複合体の体積平均粒子径は、25μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
本実施形態において、易分散性結晶セルロース複合体に崩壊剤を配合する場合、水膨潤性の粒子を使用することが好ましい。ここで水膨潤性の粒子とは、冷水に溶解した際に、自身の2倍以上の体積に膨潤する粒子のことをいう。例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等のガラクトース含有量の少ないガラクトマンナン粒子、加工澱粉、部分アルファー化澱粉から選ばれる1種以上を使用することができる。分散効果の点で、加工澱粉を用いることが好ましい。
易分散性結晶セルロース複合体において、崩壊剤として用いられ得る加工澱粉としては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、澱粉グルコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウムが挙げられる。これらは、アルファー化加工したもの、部分的にアルファー化加工したもの、アルファー化加工をしていないもののうち、いずれの形態のものでも使用できる。また、酸処理された澱粉、又は生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉も使用できる。上述の加工澱粉は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
易分散結晶セルロース複合体は、結晶セルロース複合体と親水性物質、及び必要に応じて添加される加工澱粉とを水系媒体に分散させて、分散液を形成する工程(分散工程)と、それに続き、この分散液を均質化する工程(均質化工程)と、更に、均質化された分散液を乾燥する工程(乾燥工程)を経て製造することが好ましい。
まず、上記の結晶セルロース複合体と親水性物質、(及び加工澱粉)を水に分散溶解させる。その際の、固形分濃度は1〜70質量%となるように、水を含めたそれぞれの量を調整することが望ましい。固形分濃度がこの範囲であれば、水分散液の取り扱い性が良好で、生産性が高く、後の乾燥エネルギーの負荷も許容できる範囲である。より好ましくは3〜50質量%であり、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下であり、最も好ましくは30質量%以下である。前述の理由により、分散液は、スラリー状態とすることが好ましい。分散液の状態は、用いる結晶セルロース複合体と親水性物質(及び加工澱粉)の種類、およびそれらの質量比にもよるが、固形分濃度が35質量%以下であれば、通常は、スラリー状態といえる。
易分散結晶セルロース複合体の製造においては、結晶セルロース複合体と親水性物質、(及び加工澱粉)を均質化する工程を経る必要がある。ここで均質化とは、結晶セルロース複合体が、凝集体ではなく、一次粒子に分散された状態のことである。具体的には、均質化後の分散液において、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば、HORIBA製 商品名LA−910を使用、フローセル中で1分間循環、超音波処理なし、屈折率1.20)で測定される体積頻度の平均粒子径(メジアン径)が、20μm以下となった状態として定義することができる。
周速(m/s)=攪拌翼の直径(m)×π(円周率)×攪拌翼の回転数(n/s) (2)
易分散結晶セルロース複合体の形状は、粉体の方が取り扱い易いので、上記の均質化後に、乾燥、粉末化されることが好ましい。易分散結晶セルロース複合体を乾燥する方法としては、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。
本実施形態のとろみを有する半固形食品は、セルロースを0.05〜3質量%含むことが好ましい。セルロースの添加量が0.05質量%より小さい場合には、セルロースの粒子の数が少ないため、上述のセルロースの効果が発揮されにくい傾向にある。また、添加量が3質量%よりも多い場合には、食品が白く濁ったり、粘度が8000mPa・sを超えてゲル状になる場合がある。また、セルロースが3質量%よりも多いと60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が4.00以上となりやすい傾向にある。
架橋澱粉としては、厚生労働省令第151号にて定められた11種の加工澱粉に指定されている架橋澱粉である、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉が好ましい。その中でも、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉が本発明の架橋澱粉としてより好適に利用でき、アセチル化アジピン酸架橋澱粉が、自然な食感を与えるため最も好適である。
1実施形態において、本発明は、上述した半固形食品及びご飯を含むことを特徴とする、調理食品を提供する。
ではない。
(1)5℃における降伏粘度
調理後のとろみを有する半固形食品をプラスチック容器に入れ、更に透明なプラスチック製の蓋を閉め、フィルムで包装した後に、5℃で3日間保存後した。その後、フィルムを取り、蓋を開け、とろみを有する半固形食品を、2mmの篩で漉し、2mmより大きい具材を除去後に、通過した「とろみ」を100mLビーカーに入れ、3時間更に静置した。その後、Rheometric Scientific,Inc.製のAdvanced Rheometric Expansion System(以下、頭文字をとって「ARES」という。)を用いて、Double couette型、測定温度5℃で、ずり速度を1〜50[1/s]にて、ずり応力[mPa]を測定した。ここで、下記式(1)により粘度を計算し、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら測定した時の粘度の最大値を、5℃における降伏粘度とした。
粘度[mPa・s]=ずり応力[mPa]/ずり速度[1/s] (1)
(1)で使用した、100mLビーカーに入っている「とろみ」の残りを、60℃のウオーターバスで加熱し、60℃に加温した。その後、ARESを用いて、Double couette型、測定温度60℃で、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら、ずり応力[mPa]を測定した。ここで、上記式(1)により粘度を計算し、ずり速度が1[1/s]の時の粘度を60℃における静値粘度とし、ずり速度を1から50[1/s]に上げながら測定した時の粘度の最大値を60℃における降伏粘度とした。
(1)及び(2)で使用した、100mLビーカーに入っている「とろみ」の残りの一部をスポイドにとり、スライドガラス上に一滴垂らした。その後、プレパラートで挟み、光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープ、(株)ハイロックス、商品名「HIROX KH−1300」)で偏光顕微鏡観察した。光って見えるセルロース粒子50個について長径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
調理後のとろみを有する半固形食品をプラスチック容器に入れ、更に透明なプラスチック製の蓋を閉め、フィルムで包装した後に、5℃で3日間保存後、下記の評価を実施した。
以下の評価基準で外観を評価した。
○:喫食時(60℃加熱時)と変わらない適度なとろみ状態であった。
×:喫食時と異なり、ゲル状に固まっていた。
以下の評価基準で具材の沈降を評価した。
○:具材の沈降はなく、具材が均一に存在していた。
△:具材がやや底面に沈降していたが、実用上問題のない程度であった。
×:具材が底面に沈降しており、表面はとろみ部分のみとなっていた。
以下の評価基準で離水・離油を評価した。
○:離水・離油は見られなかった。
△:離水・離油がやや見られたが、実用上問題のない程度であった。
×:離水・離油が激しかった。
5℃で3日間保存したとろみを有する半固形食品を、電子レンジに入れ、60℃になるまで加熱し、フィルムを剥がし、蓋を開けた瞬間の食品からの香り立ちを以下の評価基準で評価した。
◎:香り立ちが非常に良く、食欲がそそられた。
○:香り立ちが良かった。
△:やや香り立ちが悪かったが、実用上問題のない程度であった。
×香り立ちが悪く、食欲がそそられなかった。
12人のパネラーに、上記の3段階で点数をつけてもらい、最も多かった回答を、評価結果とした。
上述した「電子レンジ加熱直後の香り立ち」の評価で加熱した、とろみを有する半固形食品を、かき混ぜずにスプーンで掬って口の中に入れ、以下の評価基準で食感を評価した。
○:その食品として、適度なとろみを感じられた。
△:その食品として、ややとろみ不足又はややとろみ過多であったが、実用上問題のない程度であった。
×:その食品として、とろみ不足又はとろみ過多であった。
12人のパネラーに、上記の3段階で点数をつけてもらい、最も多かった回答を、評価結果とした。
まず、次のようにしてセルロースAを調製した。セルロースAの平均重合度は150であった。
(1)イカ4部、エビ5部、にんじん9部、玉ねぎ11部、白菜10部、たけのこ10部、水44部、醤油3.5部、砂糖1部、塩1.5部、ごま油1部を合計500gとなるように準備した。
(2)イカ、エビ、にんじん、玉ねぎ、白菜、たけのこを一口大(短径2mm以上)に切り、熱したフライパンに炒め用油を適量引き、良く炒めた。
(3)60℃に温めた水44部に、架橋澱粉としてアセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.0部、セルロースとしてセルロースAを0.5部加え、15分間プロペラ攪拌機(HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段)を用いて撹拌し、とろみ液を作製した。
(4)(2)で炒めた具材に、醤油、砂糖、塩、ごま油の各調味料を加えて味付けした。
(5)(4)で味付けした具材に、上記のとろみ液を一気に混ぜ、全体に馴染んだところで火から離した。
(6)(5)を冷ました。
セルロースとして、セルロースB(結晶セルロースとキサンタンガムの複合体(旭化成ケミカルズ製 商品名セオラスRC−N30、平均重合度150))を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
セルロースとして、セルロースC(結晶セルロース粉体の機械粉砕品(旭化成ケミカルズ製 商品名セオラスFD−F20、平均重合度200))を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
セルロースとして、セルロースD(結晶セルロース粉体(旭化成ケミカルズ製 商品名セオラスST−02、平均重合度240))を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表1に示した。
セルロースとして、以下の手順でセルロースEを調製した。
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、ウエットケーク状のセルロースを作製した。このウエットケーク1200gを二軸式エクストルーダー(栗本鉄工所製 商品名KRCニーダー、パドル径2インチ、回転数100rpm)を使用し、8.3kg/hの送り量で、4パス処理し、摩砕を行い、セルロースEを得た。セルロースEの平均重合度は150であり、固形分濃度は40%であった。
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.1部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.6部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.3部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.4部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.7部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.9部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
セルロースとして、セルロースAの添加量を0.95部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.65部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
セルロースとして、セルロースAの添加量を1.1部、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.4部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
セルロースとして、セルロースAの添加量を1.1部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
セルロースとして、セルロースAの添加量を3.0部とし、架橋澱粉を0部(使用しなかった)とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表2に示した。
セルロースとして、セルロースF(粉末セルロース、平均重合度1500)を下記の方法で調製した。
市販DPパルプを裁断後、ナイフミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、商品名グラインドミックスGM300)を使用し、500g仕込み、3000rpmで3分間処理した。その後、気流式粉砕機((株)セイシン企業製、商品名シングルトラックジェットミルSTJ−200型)を使用して粉砕圧力4.0MPa、粉体供給速度10kg/hで粉砕し、セルロースFを得た。平均重合度は1500であった。
セルロースを0部(使用しなかった)、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を2.8部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
セルロースを0部(使用しなかった)、架橋澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.5部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
セルロースとして、セルロースAの添加量を5.0部とし、架橋澱粉を0部(使用しなかった)とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
セルロースを使用しない替わりに、ゼラチンを1部添加した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
セルロースと架橋澱粉を使用しない代わりに、ゼラチンを1部添加した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
セルロースを使用しない代わりに、水溶性ヘミセルロース(不二製油(株)製、商品名ソヤファイブ−S−DN)を0.2部添加し、架橋澱粉としてアセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.0部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
セルロースを使用しない代わりに、ヒドロキシプロピルセルロース(ハーキュリーズ社製、商品KLUCEL EF)を0.2部添加し、架橋澱粉としてアセチル化アジピン酸架橋澱粉を1.0部とした以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表3に示した。
架橋澱粉として、アセチル化リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
架橋澱粉として、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
架橋澱粉として、リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
架橋澱粉として、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉を使用した以外は、実施例1と同様な方法で中華丼の具を作成し、評価を行った。その結果を表4に示した。
下記の要領で、とろみを有する食品として、カレーの具を作成した。
(1)豚肉うす切り肉200部、たまねぎ(くし切り)200部、じゃがいも(乱切り)200部、にんじん(乱切り)100部、サラダ油30部、コンソメ5部、塩5部、砂糖10部、サラダ油30部、薄力粉36部、カレー粉12部、水700部、セルロースA10部、アセチル化アジピン酸架橋澱粉20部を準備した。
(2)鍋にサラダ油を入れて熱し、みじん切りにした玉ねぎをきつね色になるまで炒めた。
(3)豚肉を加えて炒め、肉の色が変わったら、くし型切りにした玉ねぎと、乱切りにしたにんじん、じゃがいもを加え更に炒めた。
(4)水・コンソメを入れ、沸騰したらアクを取り、鍋のふたを少し開けて煮込んだ。
(5)フライパンにサラダ油大さじ2と1/2、薄力粉を入れ、焦がさないように薄いきつね色になるまで炒めた。
(6)火を止めて、フライパンをぬれぶきんの上で冷やし、カレー粉、セルロースA、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を加えてよく混ぜ合わせてカレールウを作った。
(7)(6)に、(4)の煮汁をおたま1杯程度ずつ数回に分けて加え、均一にのばしてから、煮込み終わって火を止めた(4)に移した。ルウをよく溶かし混ぜてから再び火をつけた。
(8)軽く煮込んでとろみがついたら、塩、砂糖を入れ、味を調えた。
セルロースAを0部(使用しなかった)、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を30部とした以外は、実施例17と同様な方法でカレーの具を作成し、評価を行った。その結果を表5に示した。
実施例1の要領で中華丼の具を作成した。その後、二重底になっているプラスチック容器を用意し、下の容器にご飯210gを詰め、上に容器に中華丼の具を入れた後に上下の容器を重ねた。さらに、その上に透明なプラチック製の蓋をし、全体をフィルムで包装した。
比較例3の要領で中華丼の具を作成した。その後、実施例18と同様に評価を行った。試験終了後、容器を観察すると具材が片方にやや偏っていた。また、上の容器の縁から少し中華丼のとろみ部分が少しこぼれてフィルム伝いに下の容器の方へ浸み出しており、見た目が悪くなっていた。これは、架橋澱粉のみを使用して、香り立ちを良くしようとして、60℃での静値粘度を実施例18並みにしたことで、5℃での降伏粘度も低めになってしまったため、振動によってとろみ部分が流動しやすくなってしまったためと考えられた。
Claims (7)
- 60℃における[降伏粘度/静値粘度]比が1.77〜4.00、且つ[60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.5以上であり、平均粒子径が50μm以下のセルロースを含むことを特徴とする、とろみを有する半固形食品。
- [60℃における降伏粘度/5℃における降伏粘度]比が0.53以上である、請求項1に記載のとろみを有する半固形食品。
- セルロースを0.05〜3質量%含む、請求項1又は2に記載のとろみを有する半固形食品。
- 架橋澱粉を0.2〜5.0質量%含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のとろみを有する半固形食品。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のとろみを有する半固形食品及びご飯を含む、調理食品。
- 前記半固形食品及びご飯が分離された状態で容器に収容されている、請求項5に記載の調理食品。
- 前記半固形食品及びご飯を分離した状態で容器に収容してチルド状態で保存し、前記半固形食品及びご飯を60℃以上に加熱後に混合して喫食するためのものである、請求項5又は6に記載の調理食品。
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