JP6692668B2 - 肉まん - Google Patents

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Description

本発明は、食肉を含有する中種部が生地部で包餡された包餡食品に関する。
中華まん(肉まん)に代表される包餡食品は、食肉と各種野菜等を混ぜ合わせた中種(餡)を、小麦粉などの穀粉を主原料にした生地部で包み込み、加熱することで得られる食品である。中華まんは、コンビニエンスストア(以下、CVS)においては、秋から冬にかけての加温販売を中心に展開されており、量販店など他のチャネルでは、ドライ、チルド、フローズンと三温度帯で展開されている。商品の多様化と共に市場は拡大してきており、特にCVSにおける加温販売の伸長が著しい。CVSにおける加温販売向けの商品の流通形態は、フローズンやチルドがメインであるが、これらの流通形態においては、中華まんの製造元が一度加熱した後に、CVSにおいて販売前に蒸しあげる工程を取る。つまり、CVSにおいて客に提供される中華まんは、その販売形態上、加熱工程を2回経ることは避けがたい。
中種部に含まれる食肉は、加熱工程を経ることによって、蛋白質が凝集して硬くなってしまう。また、生地部によって中種部の水分が吸収されてしまうため、非包餡食品と比較して、包餡食品ではより中種部の食肉が凝集しやすい。このため、CVSにおいて提供される加熱後の中華まんは、中種が硬く、手で半分に割ろうとしても、きれいに割れずに中種部が一方に偏ってしまい、見た目が極端に低下してしまうという問題があった。
また近年、食の多様化に伴い、モチモチとした食感を呈する生地で包餡した中華まんが増加してきている。この生地は、吸湿するとその特有のモチモチとした食感が失われやすいため、通常の生地よりも中種部からの離水に気を配る必要がある。中種部からの離水を避けるため、中種部に加工澱粉等を添加することが一般的である。しかし、加工澱粉等によって中種部のほぐれ感が低下するため、加工澱粉を添加していない包餡食品よりも、手で半分に割ろうとすると中種部が一方に偏りやすいという問題がある。
一方、これまでに、包餡食品の食感を改善するために様々な検討がなされている。特許文献1には、包餡食品用中種に加熱時にゲル化可能な水溶性セルロースエーテルを配合することによって、包餡後加熱時の中種部の保水能力が高められ、ジューシー感を改善できることが記載されている。また、特許文献2には、(a)セルロース、(b)α化澱粉及び(c)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン有機酸脂肪酸エステルとを含有する惣菜食品用品質改良剤が記載されており、当該品質改良剤を包餡食品の中種部に添加することによって、加熱調理前の保水性が向上し、加熱調理後にソフトでジューシーな食感が得られることが記載されている。特許文献3には、中種部の原材料に、調味料、セルロース、及びゲル化剤を含むゼリー調味料を分散混入させることによって、包餡食品のジューシー感を手軽に向上させられることが記載されている。特許文献4には、粘度が特定の範囲内であるヒドロキシプロピルセルロースを挽肉に添加して混合することにより、食感、味質、及び肉粒感を満足させた挽肉加工製品が製造できることが記載されている。特許文献5には、畜肉や魚肉にアルギン酸エステルを含有させることにより、ソフト感・ジューシー感に優れた加工食品が製造できることが記載されている。特許文献6には、食肉練製品において、原料食肉の練り込み時に寒天を添加することによって、加熱調理時の縮みを防止できることが記載されている。
特開2011−119号公報 特開2011−30429号公報 特開2013−128419号公報 特開2013−78279号公報 特開2002−281942号公報 特開平6−292538号公報
特許文献1〜6に記載されている方法では、包餡食品のジューシー感は改善できるものの、いずれも中種部のほぐれ感は改善されず、また、包餡後に食品を手で半分に割った時に均一に割れる効果も得られない。特許文献1に記載されている中種部に加熱時にゲル化可能な水溶性セルロースエーテルを配合する方法では、加熱調理時の包餡食品の中種部の保水性は向上するが、水溶性エーテルがゲル化することによって口当たりの悪い食感となってしまう問題があった。
このように、中華まんをはじめとする包餡食品において、加熱調理時の中種部に含まれる食肉の凝集を抑制し、ほぐれ感のある食感を付与すること、さらに喫食時に手で包餡食品を割った際、きれいに半分に割れる効果は現在達成されておらず、本発明ではこの点を課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、生地部と中種部を有する包餡食品において、当該生地部の上部部分のみかけ密度を0.8g/cm以下とし、さらに当該中種部に含まれる食肉の凝集を、2回連続して最大荷重を測定した場合に、2回目の測定値が1回目の測定値よりもある程度大きくなるように調整することによって、ほぐれ感のある食感が付与され、かつ喫食時に手で綺麗に略半分に割ることができることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.22以上であり、
前記中種部が、結晶セルロース複合体を前記中種部に対して0.3質量%以上2.0質量%以下含有し、
前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まん。
[2] 食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.2以上であり、
前記中種部が、粒子の長径と短径の比L/Dが1.8以上2.2以下である結晶セルロースを含有し、
前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まん。
[3] 前記結晶セルロースが、水溶性多糖類との複合体である、前記[2]に記載の肉まん。
[4] 前記生地部が、澱粉を含有する、前記[1]〜[3]のいずれかの肉まん。
[5] 前記澱粉が、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、もち米澱粉、及びうるち米澱粉からなる群より選択される1種以上である、前記[4]の肉まん。
[6] 中種を生地組成物で包餡した後に加熱調理して、食肉を含有する中種部と前記中種部を包餡する生地部とを有する肉まんを製造する方法において、
前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、かつ
喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.22以上である肉まんを製造し、
前記中種部に、結晶セルロース複合体を前記中種部に対して0.3質量%以上2.0質量%以下配合し、
前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まんの製造方法。
[7] 中種を生地組成物で包餡した後に加熱調理して、食肉を含有する中種部と前記中種部を包餡する生地部とを有する肉まんを製造する方法において、
前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、かつ
喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.2以上である肉まんを製造し、
前記中種部に、粒子の長径と短径の比L/Dが1.8以上2.2以下である結晶セルロースを配合し、
前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まんの製造方法。
[8] 前記結晶セルロースが、水溶性多糖類との複合体である、前記[7]の肉まんの製造方法。
[9] 前記生地組成物が、澱粉を含有し、
前記澱粉が、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、もち米澱粉、及びうるち米澱粉からなる群より選択される1種以上である、前記[6]〜[8]のいずれかの肉まんの製造方法。
[10] 肉まんにほぐれ性を付与する方法であって、
前記肉まんは、食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.22以上であり、
前記中種部に、結晶セルロース複合体を前記中種部に対して0.3質量%以上2.0質量%以下配合し、
前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、方法。
[11] 肉まんにほぐれ性を付与する方法であって、
前記肉まんは、食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.2以上であり、
前記中種部に、粒子の長径と短径の比L/Dが1.8以上2.2以下である結晶セルロースを配合し、
前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、方法。
[12] 前記結晶セルロースが、水溶性多糖類との複合体である、前記[11]の方法。
本発明に係る包餡食品及びその製造方法によって、生地部はふんわりとした食感を有し、中種部はほぐれ感のある食感を有しており、かつ喫食時に手で半分に割った場合に生地部と共に中種部も略半分に割ることができる包餡食品を提供できる。
本発明について、以下に具体的に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明に係る包餡食品は、食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、喫食前の加熱調理後における前記中種部から取り出した食肉片について、同じ条件で2回連続して測定した場合の1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値]、以下、「最大荷重比」という。)が1.2以上である包餡食品である。生地部のみかけ密度を小さくし、かつ中種部中の食肉の最大荷重比を大きくすることにより、ジューシー感とほぐれ感に優れ、かつ喫食時に手できれいに略半分に割ることができる包餡食品が得られる。
<包餡食品のほぐれ性>
本発明及び本願明細書において、包餡食品の「ほぐれ性」とは、包餡食品を手で半分に割った際における、中種部の偏りの生じ難さを意味する。包餡食品の「ほぐれ性」は、生地部と中種部からなる包餡食品を、喫食前の加熱調理後に手で半分に割った際の中種部の割れた断面の形状に基づいて判断する。手で半分に割った際に、どちらか一方に中種部が寄っていた場合は、ほぐれ性が悪いと判断し、両方に中種部が均等に配分されて断面が均一な場合は、ほぐれ性が良いと判断する。手で半分に割った際に、中種部が均一に両側に分かれている包餡食品が、ほぐれ性が良好で好ましい。
<中種部の食肉の最大荷重>
本発明に係る包餡食品の中種部に含まれる食肉の最大荷重は、テクスチャー・アナライザーを用いた押し込み試験により測定される。テクスチャー・アナライザーとしては、例えば、TA.XT plus型(英弘精機株式会社製)を用いることができる。中種部から厚みが5mm以上である食肉片を選択的に取り出し、これを測定サンプルとする。中種部が一塊となっており、食肉を食肉以外の成分から選択的に取り出せない場合は、中種部を5mm四方にカットした中種片を測定サンプルとする。具体的には、中種部に含まれる食肉の最大荷重は、テクスチャー・アナライザー(TA.XT plus型)を用い、測定治具:P/3型(直径3mmの円柱状の治具)、Mode:Measure Force in compression、Option:Returen to start、Pre−test speed:1.5mm/s、Post−test speed:10mm/sとし、測定サンプルの温度、Trigger force、Test speed、Distanceを所望の値に設定して測定できる。本発明に係る包餡食品の中種部に含まれる食肉の最大荷重は、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で測定した値である。ここで、Trigger forceとは、測定プローブがサンプルに接触したときに感知する力を設定した値である。測定プローブは、予め設定したPre−test speedに従って上から下に降りてくる。そして、設定したTrigger forceを感知すると、Test speedに従って設定したDistanceの距離だけ押し込み試験を開始する。本発明及び本願明細書において、最大荷重とは、上述の測定で得られた距離−応力曲線上の、応力が最大となる値である。最大荷重の値が大きいほど、硬い食感であることを表している。
本発明に係る包餡食品の中種部に含まれる食肉の最大荷重としては、食感の観点から、少なくとも喫食時に50gf以上であることが好ましく、80gf以上であることがより好ましく、100gf以上であることがさらに好ましい。包餡食品の中種部中の食肉が、前記範囲を満たすことにより、肉粒感があり好ましい食感の中種部になる。なお、最大荷重は、少なくとも喫食時に50gf以上であることが好ましい。最大荷重は、一般に加熱直後より経時的に上昇するが、測定時の中種部中の食肉の温度によらず、常に50gf以上であることが好ましい。
<中種部の食肉の最大荷重比>
本発明及び本願明細書においては、一個の食肉片に対して、同じ条件で2回連続して最大荷重を測定し、1回目の測定値に対する2回目の測定値の比を最大荷重比という。最大荷重比は、中種部のほぐれ性の指標となる。最大荷重比が中種部のほぐれ性の指標となる理由は明らかではないが、次のように推測される。包餡食品におけるほぐれ感の強さは、中種部の肉粒や肉片同士が結着していないことに起因する。1回目の押込み時は、食肉片中の肉粒同士が凝集しておらず、肉汁が十分に含まれているため柔らかいが、2回目の押し込み時は、肉汁が1回目の押込みで外に出てしまい、肉粒や肉片同士が結着しているため、最大荷重(強度)が増加する。つまり、肉粒や肉片同士があまり決着しておらず、それらの隙間に肉汁が十分に含まれている食肉片ほど、2回目の押し込み時の最大荷重は1回目の押し込み時の最大荷重よりも大きくなり、最大荷重比が大きくなる。
本発明に係る包餡食品の中種部に含まれる食肉の最大荷重比は、1.2以上であり、1.3以上がより好ましい。最大荷重比が前記範囲内であることにより、ほぐれ感のある食感が得られ、さらに包餡食品を手で割った際に、中種部も略均等に2等分することができる。
<中種部の食肉の破断距離>
本発明に係る包餡食品の中種部に含まれる食肉の破断距離は、前述した最大荷重の測定方法と同様にして行ったテクスチャー・アナライザーを用いた押し込み試験により測定される。食肉の破断距離は、上述の測定で得られた時間−応力曲線上の、原点から応力がゼロになるまでの時間に治具の動くスピード(Test−Speed:1.5mm/s)を乗じた値のことである。破断距離の値が小さいほど、ほぐれ感のある食感であるといえる。
また、上述の測定で得られた時間−応力曲線上の、原点から応力がゼロになるまでの時間に治具の動くスピード(Test−Speed:1.5mm/s)を乗じた値である。破断距離の値が小さいほど、ほぐれ感のある食感であるといえる。本発明に係る包餡食品の中種部に含まれる食肉の破断距離としては、4.8mm以下であることが好ましく、4.6mm以下であることがより好ましく、4.4mm以下であることがさらに好ましく、4.2mm以下であることが特に好ましい。
<中種部の水分値>
中種部の水分値とは、加熱調理した直後又は高温保存容器から取り出した直後の包餡食品の中種部に含まれる食肉の水分値を指す。本発明に係る包餡食品の中種部の水分値は、公知の測定方法で測定することができる。例えば、赤外線水分計を用いて測定することもでき、加熱調理前後の中種部の質量を測定することによって決定することもできる。すなわち、まず中種部の質量を測定し、次いで中種部の質量変化がなくなるまで105℃で維持する。質量変化がなくなったときの中種部の質量を測定し、加熱調理後と比較して、105℃保持後に減少した質量から、中種部の水分値を決定することができる。なお、ここでいう「質量変化がなくなる」とは、105℃環境下で60秒間静置した場合における質量変化が0.01g以下であることをいう。本発明に係る包餡食品の中種部の水分値としては、50質量%以上であることが好ましく、52質量%以上であることがより好ましく、54質量%以上であることがさらに好ましく、56質量%以上であることが特に好ましい。また、本発明に係る包餡食品の中種部の水分値としては、食感を勘案すると、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。中種部の水分値を前記範囲内とすることにより、より柔らかくジューシーな食感を得ることができる。
<中種部の加熱後の歩留り>
本発明に係る包餡食品において、「中種部の加熱後の歩留り」とは、加熱調理前の中種部の質量に対する、包餡食品を2度加熱調理した後の中種部の質量の比([加熱調理後の中種部の質量]/[加熱調理前の中種部の質量])である。加熱調理前後の中種部の質量を測定することによって求めることができる。例えば、加熱調理前の中種部の質量をあらかじめ測定しておき、加熱操作を加えた直後の包餡食品から中種部を取り出して質量を測定する。これらの測定値と下記の式から加熱後の歩留りを測定できる。本発明に係る包餡食品における中種部の加熱後の歩留りは、60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることが特に好ましい。中種部の加熱後の歩留りを前記範囲にすることにより、柔らかくジューシーな食感を得ることができる。
[歩留り(%)]=[加熱直後の中種部の質量]/[加熱前の中種部の質量]×100
<中種部>
本発明に係る包餡食品において、中種部とは、少なくとも食肉を配合し、その他野菜類、キノコ類、山菜類等を配合し、各種調味料で味付けをした中種(餡)からなり、生地部で包餡されているものである。中種の種類として、中華まんの具、餃子の具、シュウマイの具、春巻きの具等が挙げられる。
<食肉>
本発明及び本願明細書において、食肉とは、牛肉、豚肉、鶏肉、猪肉、羊肉、鹿肉、馬肉、熊肉、鰐肉、鯨肉、魚肉などの食肉全般を指す。本発明に係る包餡食品の中種部に含まれる食肉は、1種類であってもよく、2種類以上の食肉の混合物であってもよい。中種部の原料となる食肉は、動物のどの部位であってもよい。例えば豚肉であれば、肩ロース、ロース、バラ、肩、ヒレ、モモ、腕等のどの部位であってもよく、2種類以上の部位の混合物であってもよい。本発明に係る包餡食品の中種部における食肉の含有量は、味や食感の点から、中種部全体に対して、30質量%以上が好ましく、60質量%以下が好ましい。
<食肉の形状>
本発明に係る包餡食品の中種部の原材料とする食肉の形状は、特に限定されるものではなく、挽き肉、ブロック肉、スライス肉などの一般的な形状のものを用いることができる。挽き肉とは、食肉を細かく粉砕した後にダイスなどを通して成形した食肉を指す。本発明に係る包餡食品の中種部は、野菜などの他食材と練り合わせて使用されることが多く、このように練り合わせて調製された中種部は一塊となり、肉団子のような形状になる。挽き肉は、成形時に使用するダイスの目の細かさにより、粗挽き、中挽き、細挽きなどに分けられる。本発明において、原材料とする挽き肉は、粗挽きが好ましい。具体的には、成形する際に通すダイス径が5mmφ以上、好ましくは7mmφ以上、より好ましくは10mmφ以上であり、かつダイスを通す回数が1回である挽き肉が好ましい。ダイス径が5mmφ以上の粗挽きの挽き肉であれば、得られた包餡食品は、喫食時に肉粒感を感じ好ましい食感となるためである。また、ブロック肉とは、立体的に切断され、最も薄い部分の厚みが2mm以上ある形状の食肉を指し、スライス肉とは、2mm以内の厚みに薄くカットした食肉を指す。ブロック肉又はスライス肉を用いた場合には、他食材と混ぜ合わせて中種部を作製した場合でも、当該中種部の中の食肉は一塊とならず、個々の肉粒や肉片が独立して存在するため、喫食時に肉粒感を強く感じる好ましい食感の包餡食品が製造できる。本発明に係る包餡食品の中種部の原材料とする食肉は、いずれの形状であってもよいが、包餡食品を手で割った時の断面の見た目、食感等を勘案すると、ブロック肉又は挽き肉が好ましく、ブロック肉がより好ましい。
<食肉の形状とほぐれ性との関係>
本発明において用いられる食肉は、前述の通り、成形時に使用するダイスの目が小さい挽き肉よりも、ダイスの目が比較的大きな挽き肉のほうが好ましく、ブロック肉がより好ましい。これは、中種部に含まれる食肉が大きい方が、肉粒感が付与できることに加えて、食肉表面にセルロース等の多糖類が付着しやすいためである。
<多糖類>
本発明に係る包餡食品の中種部には、食肉材料に加えて、多糖類を含有することが好ましく、β結合型多糖類を含有することがより好ましい。多糖類が食肉表面に付着した結果、加熱による食肉同士の凝集が抑制され、さらに中種部からの離水・離油が抑制されるため、適度なほぐれ性を付与できる。β結合型多糖類以外の多糖類としては、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、プルラン、澱粉、各種化工・加工澱粉、乾燥こんにゃく加工品等を、利用可能なものとして挙げることができる。
<β結合型多糖類>
本発明及び本願明細書において、「β結合型多糖類」とは、多糖類の主鎖を構成する糖分子がβ結合で結合された多糖類のことである。ここでいう主鎖とは、多糖類を構成する分子鎖の中で最も炭素数が多い分子羅列構造のことである。またβ結合とは、糖構造のエクアトリアル方向(平面より上方向)で隣接する糖類などとグリコシド結合(主に糖構造中のヒドロキシル基同士が脱水縮合して形成する共有結合のこと)を形成する結合のことである。β結合型多糖類としては、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、タラガム、カードラン、ガティガム、グルコマンナン、カラヤガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、カラギナン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、セルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)、MC(メチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を挙げることができる。本発明に係る包餡食品の中種部に含有させるβ結合型多糖類としては、特にセルロースが好適である。
<セルロース原料>
本発明に係る包餡食品の中種部には、食肉材料に加えて、セルロースを含むことが好ましい。中種部にセルロースを配合することにより、最大荷重比を1.2以上に調整することが容易になり、包餡食品にほぐれ感のある食感を付与し、手で半分に割った際に生地部と共に中種部も略二等分されるという効果を奏する。中種部にセルロースを含有させることにより、ほぐれ感を高め、手で中種部も略二等分できるように中種部のほぐれ性を改善する効果(ほぐれ性改善効果)が得られる理由は明らかではないが、微細なセルロースが肉粒又は肉片の間に入りこむことによって、肉片中のタンパク質が結着するのが防止されるためと推察される。
特に断りのない限り、本発明及び本願明細書において、「セルロース」との用語には、当業者に通常受け入れられている定義に基づくセルロース、つまりD−グルコピラノースがβ1→4結合で連なった構造を持つ多糖類の総称(以下、「通常のセルロース」ということもある。)に加えて、後述する結晶セルロース複合体、及び微細繊維状セルロース複合体、並びにそれらの混合物をも意味するものとして用いられる。
また、「セルロース原料」は、中種部の原料のうち、セルロースを含有するものである。セルロース原料は、粉末状や顆粒状の固形物であってもよく、水系媒体にセルロースを分散させた分散液であってもよい。
<セルロースの平均重合度>
セルロースの平均重合度は、「第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)」の確認試験(3)に記載の銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従って測定することができる。
中種部に配合されるセルロースの平均重合度は特に限定されないが、500以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、250以下であることがさらに好ましい。平均重合度が500以下のセルロースであれば、食肉材料との混合工程において、セルロースが攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、混合が促進されやすくなる。平均重合度が小さいセルロースほど混合の制御が容易になるため、平均重合度の下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
<セルロースの加水分解>
セルロースの平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、後記のセルロース複合体を製造する場合には、セルロースと水溶性高分子に機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、水溶性高分子との複合化の制御が容易になる。
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、例えば、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分間以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。なお、加水分解時のセルロース原料の分散液には、水の他、本発明の効果を損なわない範囲において有機溶媒を少量含んでいてもよい。
<通常のセルロース>
通常のセルロースは、草木類や微生物、動物などから得られる天然セルロースであってもよく、化学的に合成された合成セルロースであってもよい。天然セルロースの原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等のセルロースを含有する天然物由来の繊維質物質が挙げられる。本発明において原料として用いられる通常のセルロースは、これらのうち、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。一般に入手できる通常のセルロースとしては、例えばセルロースフロックや結晶セルロース等の粉末形態である通常のセルロース(以下、「粉末セルロース」という。)が挙げられる。
<粉末セルロース(粉末形態である通常のセルロース)>
本発明において原料として用いられる「粉末セルロース」とは、セルロース系素材原料を、ヘミセルロース、リグニン等の非晶領域を除くことなく機械的に粉砕したものである。例えば、「第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)」に記載の「粉末セルロース」に該当するものである。当該粉末セルロースの平均重合度は、440より大きいと規定されている。当該粉末セルロースとしては、例えば、日本製紙(株)製の「KCフロックシリーズ」などが挙げられる。
<結晶セルロース(結晶形態である通常のセルロース)>
セルロース原料としては、粉末セルロース、結晶セルロースのいずれも使用できるが、食肉材料とより混合しやすい点から、結晶セルロースを使用することが好ましい。
本発明において原料として用いられる「結晶セルロース」とは、例えば木材パルプ、精製リンターなどのセルロース系素材原料を、酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解などにより解重合処理して非晶領域(ヘミセルロース、リグニン等)を除いて得られるものをいう。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の「結晶セルロース」に該当するものである。結晶セルロースの平均重合度は、通常、10〜500程度である。
結晶セルロースと粉末セルロースとでは、水に分散させたときの状態が異なる。セルロースを水に分散させ、ホモジナイザーで磨砕して分散液を作製し、その状態を目視観察して比較すると、結晶セルロースの水分散液では、全体が白色不透明なクリーム状を呈し分離が生じないのに対し、粉末セルロースの水分散液では、分離が生じ上澄み液と沈殿とに分かれる。例えば、水分散液状態の比較は、セルロース含有量が10質量%となるように、水及びセルロースを量り取り、25℃雰囲気下にてTKホモミキサー(特殊機化工業(株)製、「MARK II」)を用いて12,000rpm、10分間撹拌して分散液を作製し、この分散液を高圧ホモジナイザー(APV社製、「マントンゴーリンホモジナイザー」、圧力15MPa)処理した白色の懸濁液を、25℃で1時間静置後の懸濁安定状態で比較することができる。
<結晶セルロース粉末>
本発明において原料として用いられる結晶セルロースは、粉末として利用することができる。本発明及び本願明細書では、結晶セルロースが粉末化されているものを「結晶セルロース粉末」といい、前記の「粉末セルロース」とは区別される。結晶セルロース粉末は、例えば加水分解処理された天然セルロースを乾燥することにより得られる。この場合、加水分解処理により得られる反応溶液から、加水分解処理されたセルロースを含む固形分を単離し、これを適当な媒体に分散させて調製したセルロース粒子分散液を乾燥してもよく、同加水分解溶液がそのままの状態でセルロース粒子分散液を形成している場合は、この分散液を直接乾燥してもよい。
結晶セルロース粉末の原料となる天然セルロースは、植物性でも、動物性でも、微生物由来でもよく、例えば、木材、竹、コットン、ラミー、ホヤ、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース等のセルロースを含有する天然物由来の繊維質物質であることが好ましい。原料として、上記物質のうち1種の天然セルロースを使用してもよく、2種以上を混合したものを使用してもよい。また、天然セルロースは、精製パルプの形態で使用することが好ましい。パルプの精製方法には特に制限はなく、溶解パルプ、クラフトパルプ、NBKPパルプ等のいずれのパルプを使用してもよい。
前記製法において、加水分解処理されたセルロースを含む固形分を、その後適当な媒体に分散させる場合に用いられる媒体としては、工業的に使用されるものであれば特に制限はないが、例えば、水及び/又は有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2−メチルブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類等が挙げられる。特に、媒体として用いる有機溶剤は、医薬品に使用されるものが好ましく、「医薬品添加剤事典2000」(薬事日報社(株)発行)に溶剤として分類されるものが好ましい。水、有機溶媒は、それを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、加水分解処理されたセルロースを含む固形分を、まず1種の媒体で一旦分散させた後、当該媒体を除去し、次いで異なる媒体に分散させてもよい。
<セルロース(粉末セルロース、結晶セルロース、結晶セルロース粉末)の粒子形状(L/D)>
粉末セルロース、結晶セルロース、結晶セルロース粉末の長径と短径の比(L/D)は、以下の方法で測定することができる。
エアージェットシーブ(ALPINE製、A200LS型)を用い、JIS標準篩75μmで篩過した粒子について、粒子の光学顕微鏡像を画像解析処理し、粒子に外接する長方形のうち面積が最小となる長方形の長辺と短辺の比(長辺/短辺)を任意の400個の粒子について測定し、その平均値をL/Dとする。但し、個々の粒子は絡まりがないように予めばらけた状態にして測定する必要がある。粒子の光学顕微鏡像を画像解析処理は、例えば、市販されている画像解析ソフトウェア((株)インタークエスト製、装置:「Hyper700」、ソフトウェア:「Imagehyper」)を使用して実施できる。
本発明において、中種部に配合するセルロース原料として粉末セルロース、結晶セルロース、結晶セルロース粉末を用いる場合、セルロース粒子の形状に特に限定はないが、L/Dが2.0以上のセルロース材料を用いることが好ましい。
<セルロース(粉末セルロース、結晶セルロース、結晶セルロース粉末)の平均粒子径>
本発明及び本願明細書において、セルロース粒子の平均粒子径とは、累積質量50%の粒子径の値をいう。粉末セルロース、結晶セルロース、結晶セルロース粉末の平均粒子径は、乾燥粉体で二次凝集体の状態で結晶セルロース粉末を篩上で振とうさせ、分画し、粒径に対する重量頻度を測定するような、公知の篩分けによる方法により行うことができる。典型的には、ロータップ式篩振蕩機(平工作所製、「シーブシェーカーA型」)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、サンプル10gを10分間篩粉することにより、平均粒子径を測定することができる。
本発明において用いられるセルロース原料の平均粒子径は、特に限定されるものではない。本発明において中種部に配合するセルロース原料として粉末セルロース、結晶セルロース、結晶セルロース粉末を用いる場合、ザラツキのない、なめらかな舌触りの中種部を製造できるため、セルロース粒子の平均粒子径は70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。また、本発明において用いられるセルロース原料としては、セルロース粒子の平均粒子径が1μm以上であるものが好ましい。
<セルロースの整粒>
加水分解処理後乾燥前のセルロース粒子分散液中のセルロース粒子は、湿潤状態で篩過(JIS標準篩使用)したときに、75−38μm篩に残留する粒子の平均L/Dが2.0−5.5の範囲にあることが好ましく、3.2−5.2の範囲にあることがより好ましい。セルロース粒子分散液中の粒子は乾燥により凝集してL/Dが小さくなるため、乾燥前の粒子の平均L/Dを一定範囲に保つことにより、ほぐれ性改善効果の高いセルロースが得られる。加水分解反応中又はその後工程における攪拌力を特定の強さに制御することにより、乾燥前の粒子の平均L/Dを一定範囲に保つことができる。
加水分解反応中又はその後工程における攪拌は、セルロース繊維を短くする作用がある。攪拌が強すぎると粒子の平均L/Dが小さくなりすぎ、十分な成形性を得られない場合があるため、粒子の平均L/Dが2.0以上となるように攪拌力を抑制することが好ましい。また攪拌が弱すぎるとL/Dが大きくなりすぎ、食感に悪影響を及ぼす可能性があるため、粒子の平均L/Dが5.5を超えないように攪拌力を維持することが好ましい。
攪拌力の大きさは、以下の経験式(1)により、P/V(kg/m・sec)として求めることが可能である。式(1)中、Np(−)は動力数、ρ(kg/m)はセルロース粒子分散液の液密度、n(rps)は攪拌翼の回転数、d(m)は攪拌翼の径、V(m)は液の体積である。
P/V=Np×ρ×n×d/V ・・・(1)
P/V値は、攪拌槽の大きさ、形状、攪拌翼の大きさ、形状、回転数、邪魔板数等に依存し、絶対的な数値ではない。乾燥前の各工程におけるP/Vの最大値は通常0.01〜10000の範囲内にあり、攪拌槽、攪拌翼の種類毎に回転数を制御することによって上記範囲内で下限、上限値を決定できる。例えばNp=8、V=0.03、d=0.3ではP/Vは0.3〜80の範囲に、Np=2.2、V=0.07、d=0.05では0.01〜5の範囲に、Np=2.2、V=1、d=1ではP/Vを1〜10000の範囲にする等、使用する攪拌漕、攪拌翼の回転数を変えた時のP/Vと75−38μmの粒子の平均L/Dの大きさを比較して適宜決定すればよい。
上記操作により得られたセルロース粒子分散液は、乾燥によって粉末にすることができる。加水分解反応後、洗浄、pH調整した乾燥前のセルロース粒子分散液のIC(電気伝導度)は、300μS/cm以下であることが好ましく、150μS/cmであることがより好ましく、100μS/cm以下であることがさらに好ましい。ICが300μS/cmを超えると、粒子の水中での分散性が悪くなり、崩壊性が悪くなる。
<セルロースの乾燥>
加水分解、及び、その後必要に応じて行われる撹拌により得られたセルロース粒子分散液を乾燥することにより、セルロース粉末が得られる。セルロース粒子分散液の乾燥方法は特に制限はない。当該乾燥方法としては、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥、及び有機溶剤と共に乾燥する乾燥方法等が挙げられる。
ほぐれ性改善効果の高いセルロースを得るためには、品温が130℃未満で噴霧乾燥を行うことが好ましい。品温は、好ましくは100℃未満である。本発明及び本願明細書において、品温とは、噴霧乾燥時の入口温度ではなく排風温度を指す。噴霧乾燥ではセルロース粒子分散液中の凝集粒子が全方向からの熱収縮応力によって圧密され、緻密化(重質化)して流動性が良好なものとなり、また凝集粒子間の水素結合が弱いために崩壊性が良好なものになる。
乾燥前のセルロース粒子分散液濃度は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。セルロース粒子分散液濃度が高すぎると、乾燥中に粒子が凝集しすぎてしまい、乾燥後の粒子の平均L/Dが低下し、ほぐれ性改善効果が低下するおそれがある。また、乾燥前のセルロース粒子分散液濃度としては、生産性の観点からより低コストでセルロース粉末が調製できるため、1質量%以上であることが好ましい。乾燥されたセルロースは、本発明の効果を損なわない程度に、粉砕することもできる。
<セルロースの比表面積>
セルロースの比表面積は、以下の測定方法に従って測定する。動的水蒸気吸着装置DVS−1(Surface Measurement Systems Ltd.製)を用い、吸着ガスとして水蒸気を使用し、以下の測定ステップに従って0−30%RHの範囲において試料の水蒸気吸着量を求め、BET法により算出する。水の分子占有面積は8.1Åとして計算する。試料はセルロース粉末約0.10gを5cm容サンプル管に入れ100℃、3時間真空乾燥し、試料中の水分を除去したものを0.01−0.02g上記装置に入れて測定を行う。
(測定ステップ)
試料を下記の各相対湿度下に下記の測定時間だけ放置し試料の水蒸気吸着量を測定する。
Figure 0006692668
本発明において用いられるセルロースは、水蒸気吸着による比表面積が80m/g以上であることが好ましく、85m/g以上であることがより好ましく、90m/g以上であることがさらに好ましい。当該比表面積が80m/g以上のセルロースであれば、粒子中への水や油の侵入面積が十分であるため、中種部から生地部への水分の移行を抑制し、食感の優れる包餡食品を提供することができる。
<セルロース複合体>
セルロースとして、セルロースと水溶性高分子が複合化されたセルロース複合体を用いても、ほぐれ性改善効果を得ることができる。包餡食品の中種部への分散性は、複合体の方がセルロース単体よりも優れている。このため、セルロース複合体をセルロース原料とすることにより、セルロース単体を原料とした包餡製品よりも、中種部における食肉の凝集が抑制されており、よりほぐれ感に優れ、かつ生地部と共に中種部も、手でより綺麗に半分に割ることができる包餡食品を製造しやすい。特に、複数回の加熱調理を経て喫食される包餡食品の場合には、中種部にセルロース複合体を含有させることが好ましい。
本発明及び本願明細書において、「セルロース複合体」とは、主成分であるセルロースに水溶性高分子が複合化されたものである。複合化とは、セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、水溶性高分子で被覆された形態を意味する。したがって、セルロース複合体は、セルロース粉末と水溶性高分子とを単に混合した状態ではなく、水溶性高分子がセルロース表面を被覆した状態である。そのため、セルロース複合体を水系媒体中に分散させると、該水溶性高分子がセルロース表面から剥離することなく、表面から放射状に広がった構造を形成し、水中でコロイド状となる。このコロイド状で存在するセルロース複合体は、それぞれの静電反発や立体反発、ファンデルワールス力等の相互作用によって、高次のネットワーク構造を形成することができる。
本発明及び本願明細書において、「水溶性高分子」とは、親水性高分子物質であって、冷水及び/若しくは温水に溶解又は膨潤する物質のことである。ここで「親水性」とは、常温のイオン交換水に、一部が溶解する特性を有することである。「親水性」を定量的に定義すると、水溶性高分子0.05gを、50mLのイオン交換水に、攪拌下(スターラーチップ等による)で平衡まで溶解させた後、目開き1μmのメンブレンフィルターで処理した際に、該メンブレンフィルターを通過する成分が水溶性高分子中に1質量%以上含まれることである。当該水溶性高分子は、乾燥時におけるセルロース同士の角質化を防止する作用を有するため、水溶性高分子と複合体化したセルロース複合体は、他の粉末に対して均一に混合しやすく、水系媒体へも容易に分散しやすい。当該セルロース複合体を原料とすることにより、食肉材料にセルロースをより簡便に均一に混合できる。このため、製造された包餡食品の中種部内において、セルロースの網目構造が全体に均一に形成され、肉片や肉粒同士の結着を効率よく防止でき、かつより多くの肉汁を安定して保持できる。つまり、中種部にセルロース複合体を含有させることにより、よりほぐれ感に優れ、手できれいに割ることができる包餡食品を製造できる。
本発明において原料として用いられるセルロース複合体は、セルロースと水溶性多糖類との複合体が好ましい。当該水溶性多糖類としては、キサンタンガム、カラヤガム、ジェランガム、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、グアーガム、酵素分解グアーガム、タマリンドシードガム、クインスシードガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、ガッティーガム、カードラン、カラギーナン、ファーセルラン、プルラン、デキストラン、グルコマンナン、寒天、ゼラチン、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、水溶性大豆多糖類、キトサン、アゾトバクター・ビネランジーガム、アルギン酸及びその塩、セルロース誘導体等が挙げられる。ペクチンとしては、HMペクチン、LMペクチンのいずれであってもよい。アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。セルロース複合体の形成に用いられる水溶性多糖類は、1種であってもよく、2種以上を併用してもよい。
セルロースと複合体を形成する水溶性多糖類としては、陰イオン性多糖類がより好ましい。陰イオン性多糖類とは、それを水中で分散又は溶解した際に、陽イオンが遊離し、それ自身が陰イオンとなるものである。陰イオン性多糖類は、セルロースと複合化しやすく、このため得られたセルロース複合体は、懸濁安定性が高く、よって食肉材料と均一に混合しやすい。
陰イオン性多糖類としては、キサンタンガム、カラヤガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、HMペクチン、LMペクチン等が挙げられ、キサンタンガム、カラヤガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。これらの陰イオン性多糖類は、1種のみをセルロースと複合化してもよく、2種以上を組み合わせて複合化してもよい。
<キサンタンガム>
水溶性多糖類の中でも、特に、キサンタンガムは、セルロースと複合化しやすいため好ましい。キサンタンガムとは、トウモロコシなどの澱粉を細菌 Xanthomonas campestrisにより発酵させて作られる水溶性多糖類であり、グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り返し単位からなるものである。本発明で用いられるキサンタンガムには、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩も含まれる。前記の構造を有し、食品で使用できるグレードであれば、粘度に制限なく使用できる。セルロースとの複合体において、セルロースとキサンタンガムの質量比は、99/1〜80/20が好ましく、99/1〜90/10がより好ましい。
なお、本発明において原料として用いられるセルロース複合体は、セルロースと水溶性多糖類以外の水溶性高分子との複合体であってもよい。当該水溶性高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
<セルロースと水溶性高分子の配合比>
セルロース複合体におけるセルロースと水溶性高分子の配合比は、水溶性高分子の種類に応じて、適宜調整される。通常、セルロースは、セルロースと水溶性高分子の混合物全体に占める割合が99質量%以下であれば、セルロース表面の水溶性高分子の被覆が充分であり、中種部の製造工程において、食肉材料や野菜等と均一に混ぜ合わせることができ、食感の優れた包餡食品が得られる。他方、複合体中の水溶性高分子の含有量が80質量%以下であれば、生地を混練する際にべたつきが出にくく、製造しやすい。本発明において用いられるセルロース複合体としては、セルロースが20質量%〜99質量%に対し、水溶性高分子を1〜80質量%含むことが好ましく、セルロースが30〜95質量%に対し、水溶性高分子を5〜70質量%含むことがより好ましい。セルロースの含有量としては、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。また、水溶性高分子の含有量としては、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。
<高分子物質ではない親水性物質>
セルロース原料としては、セルロースのみからなるものであってもよいが、水系媒体への分散性を高める目的で、セルロースと共に高分子物質ではない親水性物質を含有するものであってもよい。当該親水性物質は、水系媒体中にセルロースを分散させた際の、崩壊剤、又は導水剤として機能する。したがって、食肉原料等の他の原料と混合させる前に、予め当該親水性物質と混合しておき、当該親水性物質で被覆されたセルロースをセルロース原料として用いることにより、セルロースが中種中でさらに分散しやすくなる。本発明において用いられるセルロース原料としては、水溶性多糖類とのセルロース複合体と高分子物質ではない親水性物質とを含むものが好ましい。
「高分子物質ではない親水性物質」とは、冷水への溶解性が高く、粘性をほとんどもたらさない有機物質を意味する。具体的には、澱粉加水分解物、加工澱粉等の比較的低分子量の多糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類;ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類;マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類が挙げられる。その他、ビタミン類、コラーゲン、キトサン等も高分子物質ではない親水性物質として用いられる。
澱粉加水分解物としては、デキストリン類が挙げられる。
加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウム等が挙げられる。これらの加工澱粉を加工する原料となる澱粉は、アルファー化加工したもの、部分的にアルファー化加工したもの、アルファー化加工していないもののうち、いずれの形態のものも使用できる。また、酸処理された澱粉、又は生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉も使用できる。中でも、厚生労働省令第151号にて定められた11種の加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉)、並びに生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉が好ましく、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉、アルファー化澱粉がセルロース組成物の分散性の点でより好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉がさらに好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉が最も好ましい。
本発明において用いられるセルロース原料が含有する親水性物質としては、澱粉加水分解物及び加工澱粉からなる群より選択される1種以上が好ましく、デキストリン及び加工澱粉からなる群より選択される1種以上がより好ましく、デキストリンと加工澱粉の両方がさらに好ましい。中でも、デキストリンは、水溶性高分子としての機能も、僅かではあるがあわせ持つため、水溶性高分子と複合体化していないセルロースを原料とする場合には、デキストリンを用いることが特に好ましい。なお、セルロースに対する当該親水性物質の配合量は、セルロースの種類、親水性物質の種類等を考慮して、水系媒体中における分散性やその安定性を阻害しない程度に適宜調製することができる。
上述の「溶解性が高く粘性をほとんどもたらさない」とは、1質量%の純水溶液における粘度が100mPa・s以下であることをいう。ここでいう粘度は、以下の方法で測定される。高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」)を用いて、処理条件:回転数15,000rpm×5分間で純水中に分散し、水溶液を調製する。次に得られた水溶液について、分散3時間後(25℃保存)に、B型粘度計(ローター回転数60rpm)にセットして60秒静置後に、30秒間回転させて測定する。上記粘度は、80mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。セルロース複合体における親水性物質の配合量には制限はないが、好ましい範囲としては、5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。
なお、セルロース複合体には、セルロース及び水溶性高分子以外に他の食品材料、例えばオリゴ糖類、糖アルコール、澱粉分解物、加工澱粉を含む澱粉類、油脂類、蛋白質類、食塩、各種リン酸塩等の塩類、乳化剤、増粘安定剤、色素等を所望に応じて配合することができる。これらの食品材料は、セルロース複合体製造時に添加してもよく、セルロース複合体製造後に添加してもよい。
<セルロース複合体のコロイド状セルロース成分>
コロイド状セルロース成分の含有量とは、セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」)で、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(例えば、久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型を用いて、処理条件:遠心力2,000rpm(5600G※Gは重力加速度)×15分間)したときに、遠心後の上澄みに残存する固形分(セルロース、水溶性ガム、及び、親水性物質を含む)の質量百分率のことである。
本発明において用いられるセルロース複合体は、コロイド状セルロース成分(セルロース複合体のうち、水系媒体に分散させたときに安定的に分散できるもの)を30質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがより好ましく、50質量%以上含有することがさらに好ましく、60質量%以上含有することがよりさらに好ましく、70質量%以上100質量%以下含有することが特に好ましい。コロイド状セルロース成分含有量は、多ければ多いほど、分散安定性が高く、食感に悪影響を及ぼすことが少なくなる。
<セルロース複合体の粒子形状(L/D)>
セルロース複合体の長径と短径の比(L/D)は、以下のようにして測定できる。まず、セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザー ED−7」)で、処理条件:回転数15,000rpm×5分間で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾されたものを、高分解能走査型顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像に外接する長方形のうち面積が最小となる長方形の長辺と短辺の比(長辺/短辺)を任意の150個の粒子について測定し、その平均値をL/Dとする。
本発明において用いられるセルロース複合体の形状に限定はないが、微細な粒子状の形状であることが好ましい。具体的には、中種部における分散性の観点から、セルロース複合体のL/Dは、20未満が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、5未満が格別に好ましく、4以下が最も好ましい。L/Dの下限値は、その定義より1である。
<セルロース複合体粒子の体積平均粒子径>
セルロース複合体粒子の体積平均粒子径(水分散体における平均粒子径)は、次の方法で測定できる。
まず、セルロース複合体を、1.0質量%の濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザー ED−7」)で、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(例えば、堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」において超音波処理1分、屈折率1.20の条件)で測定することにより得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径を体積平均粒子径とする。
本発明で用いられるセルロース複合体粒子としては、体積平均粒子径が20μm以下のものが好ましく、15μm以下のものがより好ましく、10μm以下のものがさらに好ましく、8μm以下のものが特に好ましい。セルロース複合体粒子の体積平均粒子径が20μm以下であると、セルロース複合体の中種部における分散性がより向上する。また、セルロース複合体を含有する食品を食した際に、ザラツキのない、なめらかな舌触りのものを提供することができる。体積平均粒子径が小さいほど、セルロース複合体の分散安定性、懸濁安定性がより容易に向上するため、体積平均粒子径の下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては0.1μm以上である。
<セルロース複合体の製造方法>
セルロース複合体は、混練工程においてセルロースと水溶性高分子に機械的せん断力を与え、セルロースを微細化させるとともに、セルロース表面に水溶性高分子を複合化させることによって製造できる。セルロースの微細化時には、水溶性高分子以外のその他の添加剤などを添加してもよい。特に親水性物質は、セルロースと水溶性高分子を複合化する工程において一緒に添加してもよく、複合体形成後に添加してもよい。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。本発明で用いられるセルロース複合体は、上述の機械的せん断を経ていればよく、未乾燥のもの又はその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、2種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
セルロースと水溶性高分子の混練時の温度は、成り行きでもよいが、20〜100℃に制御することが好ましい。当該温度範囲内であれば、セルロースの磨砕や、水溶性高分子との複合化が容易に進み、また、熱による水溶性高分子の劣化が抑制され、結果としてセルロース複合体が形成するネットワーク構造が密になるためである。混練時の温度は、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。混練の際の複合化反応や摩擦等により発熱する場合には、除熱しながら混練してもよい。温度を制御するためには、ジャケット冷却、放熱等の除熱を工夫することも自由である。
混練時の固形分は、20質量%以上とすることが好ましい。20質量%以上で混練することにより、混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるためである。混練時の固形分は、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。混練時の固形分の上限は特に限定されないが、充分な混練効果と、均一な混練状態が得られることを考慮すると、現実的範囲は90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。また、固形分を前記範囲とするために、水を添加するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよく、混練工程の途中で加水してもよく、全加水量の一部毎につき両方実施してもよい。
セルロース複合体を得るにあたって、前述の混練工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。乾燥後のセルロース複合体の含水率は、1〜20質量%が好ましい。含水率を20質量%以下とすることにより、べたつき、腐敗等の問題や、運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。乾燥後のセルロース複合体の含水率は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、該含水率を好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上とすることにより、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。
乾燥により得られたセルロース複合体は、予め粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥したセルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(重量平均粒子径)としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。
<易分散性セルロース複合体>
本発明においては、セルロース複合体のなかでも、易分散性のものを使用することが好ましい。易分散性セルロース複合体は、中種の混練工程で微粒子状のまま中種全体に容易に均一に分散するため、当該中種を生地に包餡させて製造された包餡食品は、セルロースが全体に均一に分散した中種部を備える。つまり、易分散性セルロース複合体を使用することにより、凝集したセルロースによるざらつきが低減されており、かつ中種部全体に均一に形成されたセルロースの網目構造により肉片や肉粒同士が結着し難く、よりほぐれ感の強い包餡食品を製造できる。易分散性セルロース複合体としては、水溶性高分子とセルロースとが複合体化したセルロース複合体に、前記高分子物質ではない親水性物質を混合したものが好ましく、当該セルロース複合体に、澱粉加水分解物及び/又は加工澱粉を混合したものがより好ましい。当該澱粉加水分解物及び加工澱粉は、前記で列挙したものを使用することができる。
易分散性セルロース複合体とは、エクセルオートホモジナイザー等の高せん断力の機器を使用せずとも、プロペラ攪拌等の弱い攪拌で完全に分散するセルロース複合体である。典型的な当該易分散性セルロース複合体は、上述のセルロース、水溶性高分子、及び高分子物質ではない親水性物質を含むセルロース複合体において、複合体全体に対して当該親水性物質が20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上配合されているものである。当該親水性物質の含有量が多くなることにより、セルロース複合体の分散性が高くなる。当該親水性物質の含有量の上限については、95質量%以下であることが好ましい。
<崩壊剤>
前記易分散性セルロース複合体は、上述のセルロース、水溶性高分子、及び、必要に応じて含まれる高分子物質ではない親水性物質に加え、崩壊剤を含んでもよい。崩壊剤は、中種中へのセルロース複合体の分散性を高める作用を有する。特に、味付けの目的で、中種に、塩分及び/又は酸を添加する際には、崩壊剤の添加効果が大きい。崩壊剤の添加量としては、セルロース複合体に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。崩壊剤のセルロース複合体に対する添加量の上限は、40質量%以下である。
易分散性セルロース複合体に配合される崩壊剤は、水膨潤性のものが好ましい。「水膨潤性の崩壊剤」とは、冷水に溶解した際に、自身の2倍以上の体積に膨潤する粒子のことをいう。例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等のガラクトース含有量の少ないガラクトマンナン粒子、加工澱粉、部分アルファー化澱粉から選ばれる1種以上を使用することができる。分散効果の点で、加工澱粉を用いることが好ましい。
<易分散性セルロース複合体の平均粒子径>
易分散性セルロース複合体の平均粒子径とは、易分散性セルロース複合体を4質量%の濃度で純水懸濁液とし、プロペラ攪拌機(例えば、HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段、条件:400rpm×20分間、25℃)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で測定した際の体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)のことである。
本発明において用いられる易分散性セルロース複合体の平均粒子径は、25μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
<易分散性セルロース複合体の製造方法>
易分散性セルロース複合体は、例えば、セルロース複合体と高分子物質ではない親水性物質、及び必要に応じて添加される崩壊剤等の添加剤とを水系媒体に分散させて、分散液を形成する工程と、それに続き、この分散液を均質化する工程と、さらに、均質化された分散液を乾燥する工程を経て製造することができる。
ここでセルロース複合体と高分子物質ではない親水性物質、及びその他必要に応じて添加される添加剤が、スラリー状態で、分散、均質化されることが、易分散性セルロース複合体の分散性を高める上で好ましい。スラリー状で均質化することにより、セルロースと親水性物質、及びその他の添加剤が、過度に複合化しないため、分散性が良好な複合体が得られる。
<その他の生地組成物の原材料>
本発明に係る包餡食品の中種部には、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、通常の飲食品に配合される原材料を適宜配合させることができる。例えば、卵、膨張剤、水、オリゴ糖、タンパク質、増粘剤、具材、風味原料、調味料、香料、色素、乳化剤、栄養剤等の添加材料を、所定の割合で食肉材料に混合してもよい。
<風味原料>
本発明に係る包餡食品の中種部に配合し得る風味原料としては、種子類(ピーナッツ、アーモンド、マカデミアナッツ、カシューナッツ、栗等)、豆類(小豆、エンドウマメ、大豆等)、魚介類(えび、かに、鮭、ホタテ、たらこ等)、乳類(牛乳、生クリーム、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、チーズ、ヨーグルト等)、野菜類(にんじん、トマト、たまねぎ、ピーマン、ケール等)、果実類(イチゴ、オレンジ、レーズン、りんご、キウイ、パイナップル、梅、バナナ、イチジク、モモ、なし等)、嗜好飲料類(コーヒー、紅茶、ココア、ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎等)、調味料(食塩、みそ、醤油、ソース、食酢等)、香辛料類(こしょう、カレー粉、シナモン等)が挙げられる。これらの原料の形態は、生、乾燥品、粉末、ペースト、ピューレ、液体等の任意の形態であってよい。包餡食品に目的とする風味を付与するために、1種又は2種以上の風味原料を配合することができる。
<栄養剤>
本発明に係る包餡食品の中種部に配合し得る栄養剤としては、ビタミン、カルシウム、鉄、DHA、EPA、セサミン、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、マカ、ウコン、コラーゲン、オルニチン、スクワラン、コエンザイムQ10、ローヤルゼリー等が挙げられる。包餡食品には、1種又は2種以上の栄養剤を配合することができる。
<セルロースの配合量>
本発明に係る包餡食品の中種部における多糖類の含有量は、ほぐれ性改善効果が得られる量であれば特に限定されるものではなく、使用する多糖類の種類や食肉材料の大きさや形状等を考慮して適宜調整することができる。例えば、中種部の最大荷重比が1.2以上となるように、中種に配合する多糖類の量を調整することができる。
多糖類としてセルロースを含有する場合には、セルロースの含有量は、特に限定はされないが、中種部に対して0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましい。セルロースを0.05質量%以上含むことにより、充分なほぐれ性改善効果が得られる。一方、セルロースの配合量が過剰になると、中種部は硬化してしまい、ほぐれ感は得られなくなっていく。このため、セルロースの含有量は、中種部に対して3質量%以下にすることが好ましいく、2.5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。ここで、セルロースの含有量は、セルロース複合体の形態で中種部に配合する場合には、当該セルロース複合体中のセルロース含有量ではなく、当該セルロース複合体の質量から算出される。
<中種の製造方法>
中種部を構成する中種(餡)は、食肉材料をはじめとする材料を混合し、常法により製造することができる。中種は、配合する全ての材料を一度に混合して調製してもよく、材料を複数回に分けて混合して調製してもよい。また、中種全体に均一にセルロースが分散されるように、食肉材料、セルロース原料、及びその他の材料を含む混合物は、生地部に包餡させる前に混練しておくことが好ましい。また、中種は、生地に包餡させる前に加熱調理を施してもよく、未加熱の中種を生地に包餡させてもよい。
<多糖類の添加方法>
本発明において、中種部にセルロース等の多糖類を含有させる方法に限定はなく、例えば、多糖類を粉体状のまま直接中種部の原材料と混ぜ合わせる方法、多糖類を調味料などの粉末原料と共に粉末状でブレンドする方法、多糖類を水や調味料等の液体原料と共に分散してから混合する方法、中種部の原材料をセルロース分散液等の多糖類の水分散液に浸漬させる方法、多糖類の水分散液を食肉に直接インジェクションする方法等の方法で中種部に添加することができる。また、これらの各方法を組み合わせて、多段階で添加してもよい。ただし、ゲル化剤などを用いて多糖類をゼリー状等にしてから添加すると十分な効果が得られない場合があるため、粉体の状態で添加することが好ましい。本発明においては、中種部中に均一に多糖類が分散されることが好ましく、このため、多糖類を粉体状のまま直接中種部の原材料と混ぜ合わせる場合には、多糖類が全体に均一に分散されるまで充分に混合することが好ましい。
<生地部>
本発明に係る包餡食品において、生地部とは、小麦粉などの穀粉にぬるま湯、イーストを加え混練した生地組成物を発酵させた後に加熱調理したものであり、中種部を包餡している。本発明に係る包餡食品の生地部の形状は、通常の菓子の製造で使用できる成形機で製造可能なものであれば、どのような形状でもよく、任意の形状を選択することができる。例えば、立方体、直方体、棒状、円形、球状、円錐状、三角錐状、星形であってもよく、ある特定の動物、食物、乗り物等の形状であってもよい。
<生地部のみかけ密度>
本発明に係る包餡食品の生地部のみかけ密度は、加熱時に中種部よりも上部に存在する生地部から、生地部表面及び中種部が付着している部分を除き、1cm四方の生地片を切りだし、当該生地片の質量と体積を測定し、質量を体積で除することによって求める。質量は精密天秤で測定し、体積は各辺を例えばノギスで測定し、底面積と高さを乗ずることにより算出できる。
本発明に係る包餡食品の生地部の上部部分のみかけ密度は、0.8g/cm以下である。生地部のみかけ密度を前記範囲にすることにより、生地部にふんわりとした食感を付与できる。当該みかけ密度の下限値は特に限定されるものではないが、食感を勘案すると0.2g/cm以上であることが好ましい。本発明に係る包餡食品の生地部の上部部分のみかけ密度は、0.5〜0.75g/cmであることが好ましく、0.6〜0.75g/cmであることがより好ましく、0.7〜0.75g/cmであることがさらに好ましい。
<生地部の厚み>
本発明に係る包餡食品の生地部の厚みは、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることがさらに好ましい。生地部の厚みを10mm以上にすることによって、ふんわりとした食感を付与することができる。本発明に係る包餡食品において「生地部の厚み」とは、生地部において最も厚い部分の厚みのことを指す。生地部の厚みの測定方法は、加熱調理後の包餡食品を、包丁等を使って又は手で半分に割って断面をむき出しにした後に、最も厚い部分をノギス等を使用して測定する。
<生地部の製造方法>
本発明に係る包餡食品の生地部は、中華まん等の製造において一般に公知の方法で製造することができる。当該公知の方法としては、ストレート法(直捏法)、中種製法、液種製法、湯種製法等が挙げられる。具体的には、例えば、水等の水分を含む原料とイーストを小麦粉などの粉末原料と混合して生地組成物を製造する工程、当該生地組成物を発酵させる工程、発酵後の生地組成物を成型する工程、及び成型した生地組成物を加熱調理する工程を経て製造することができる。なお、生地組成物の製造においては、穀粉以外の粉体原料と穀粉を混ぜ合わせるブレンド工程、粉体原料を篩にかける篩粉工程があってもよく、発酵後成型前や成型後に、生地組成物を冷却又は冷凍する工程があってもよい。また、発酵工程の回数は2回以上であってもよい。
中種は、発酵後の生地組成物を成型する際に、生地組成物が中種を包餡するように成型し、得られた成形物を加熱調理することによって、包餡食品が製造できる。また、成型した生地組成物を加熱調理し、製造された生地部に中種を注入することによっても、中種部が生地部に包餡された包餡食品を製造できる。
<穀粉>
生地部を形成するための生地組成物が含有する粉末原料は、穀粉を主原料とする。穀粉とは、イネ科穀物類(小麦、大麦、ライ麦、米、とうもろこし、テフ、ひえ)、豆類(大豆、ヒヨコマメ、エンドウマメ等)、擬穀類(蕎麦、アマランサス等)、イモ類・根菜類(片栗、馬鈴薯、葛、タピオカ等)、木の実(栗、どんぐり)等を挽いて作られた粉末のことである。原料として、これらのうち1種類の穀粉を使用しても、2種類以上を混合したものを使用してもよい。生地部が穀粉を含むことにより、充分な栄養価を持つ包餡食品が製造できる。また、穀粉は水分と反応してグルテンの網目構造を形成し、加熱調理時の熱により膨張した構造を支えることができる。
生地組成物が含有する粉末原料としては、食感の観点からは、米粉以外のイネ科穀物類の穀粉が好ましく、とりわけ小麦粉が好ましい。また、モチモチとした食感を付与するためには、イネ科穀物類に根菜類の穀粉を併用することが好ましく、イネ科穀物類とタピオカ澱粉を併用することがより好ましく、小麦粉とタピオカ澱粉を併用することがさらに好ましい。
<小麦粉>
小麦粉とは、小麦を挽いて作られた粉末のことである。小麦粉は、そこに含まれるタンパク質の割合と形成されるグルテンの性質によって、薄力粉、中力粉、強力粉、浮き粉、全粒粉、グラハム粉、セモリナ粉等に分類される。強力粉はタンパク質の割合が12質量%以上の小麦粉であり、中力粉はタンパク質の割合が11.9〜8.6質量%の小麦粉であり、薄力粉はタンパク質の割合が8.5質量%以下の小麦粉である。本発明に係る包餡食品の生地部の原料としては、これらのいずれの小麦粉を用いてもよい。生地の延性の観点から、本発明に係る包餡食品の生地部の原料としては、強力粉、中力粉、又は薄力粉が好ましい。小麦粉中のタンパク質の割合が大きいと延性が悪くなるためである。本発明に係る包餡食品の生地部の原料としては、1種類の小麦粉を使用してもよく、2種類以上を混合したものを使用してもよい。
<増粘剤>
生地部の食感改良や物性改良のため、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限度で、生地部に増粘剤を添加することができる。当該増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、タマリンドシードガム、タラガム、カードラン、ラムザンガム、ガティガム、グルコマンナン、カラヤガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、カラギーナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、澱粉、各種化工・加工澱粉、CMC、MC、HPC、HPMC、乾燥こんにゃく加工品等を、利用可能なものとして挙げることができる。
<膨張剤>
本発明に係る包餡食品の生地部には、加熱時の膨張性を向上させる目的で、膨張剤を適宜配合しても良い。膨張剤としては、市販の任意の膨張剤が使用可能であり、ベーキングパウダー、重曹、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸マグネシウム、ミョウバンの中から1種又は2種以上を併用することができる。味の観点から好ましくは、ベーキングパウダー、重曹、重炭酸アンモニウムであるが、最も好ましくは膨張剤を配合しないことである。
<澱粉>
本発明に係る包餡食品は、生地部に澱粉を含むことが好ましい。生地部に澱粉を配合することによって、モチモチとした好ましい食感を付与することが出来る。
本発明において用いられる澱粉としては、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、もち米澱粉、及びうるち米澱粉からなる群より選択される1種以上が好ましい。これらの澱粉を選択することにより、よりモチモチとした食感を付与することができる。これらの澱粉は、未加工の澱粉であってもよく、アルファー化加工した澱粉であってもよく、部分的にアルファー化加工した澱粉であってもよく、これらの澱粉に各種加工処理を施した加工澱粉であってもよい。当該加工処理としては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋化処理、アセチル化酸化処理、アセチル化リン酸架橋処理、オクテニルコハク酸処理、酢酸処理、酸化処理、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋処理、ヒドロキシプロピル化処理、リン酸架橋処理、リン酸化処理及びリン酸モノエステル化リン酸架橋処理等が挙げられる。本発明に係る包餡食品の生地部は、これらの澱粉の1種を単独で含有してもよく、2種以上を併用して含有してもよい。
<澱粉の原料>
澱粉の原料としては、小麦、トウモロコシ、モロコシ、モチ種トウモロコシ(ワキシーコーンスターチ)、馬鈴薯、モチ種馬鈴薯、キャッサバ(タピオカ)、うるち米、もち米、さつまいも、さごやし、わらび、蓮根、葛、緑豆、その他豆類等が挙げられる。これらの中でも、食感の観点からモチ種トウモロコシ、キャッサバ、米、もち米、馬鈴薯が好ましく、より好ましくはキャッサバである。
<タピオカ澱粉>
タピオカ澱粉とは、キャッサバの根茎から製造した澱粉である。タピオカ澱粉を包餡食品の生地部に配合することによって、生地部によりモチモチとした食感を付与できるため好ましい。生地部に配合するタピオカ澱粉には、各種加工処理、α化処理、部分α化処理を施してもよい。
<澱粉の配合量>
本発明に係る包餡食品の生地部の澱粉の含有量は、生地組成物を構成する粉体原料全量の0.5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。生地組成物の澱粉の含有量は、食感等を勘案すると、粉体原料全量の60質量%以下が好ましい。
<その他の生地組成物の原材料>
本発明に係る包餡食品の複合食品の生地組成物には、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、通常の飲食品に配合される原材料を適宜配合させることができる。例えば、卵、膨張剤、水、オリゴ糖、タンパク質、増粘剤、具材、風味原料、調味料、香料、色素、乳化剤等より選択された添加材料を、所定の割合で穀粉に混合してもよい。
<包餡食品の製造方法>
本発明に係る包餡食品は、中華まん等の製造に用いられている一般に公知の方法で製造することができる。当該公知の方法としては、生包餡法と加熱包餡法が挙げられる。生包餡法とは、具材を生で混ぜ合わせて中種を製造した後に、得られた生の中種を生地組成物で包み込んで成形した後に加熱する方法である。一方、加熱包餡法とは、加熱しながら具材を混ぜ合わせて中種を製造した後に、得られた加熱調理した中種を、生の生地組成物で包み込んで成形した後又は加熱調理された生地部の内部に注入した後に、再度加熱する方法である。中種を加熱調理する方法及び中種を生地組成物(又は生地)で包餡したものを加熱調理する方法は、蒸し(スチーム加熱)、焼成、フライ、煮る、赤外加熱、マイクロウェーブ加熱等のいずれの加熱方法でもよい。本発明に係る包餡食品の製造においては、加熱調理後の食感に優れていることから、蒸し(スチーム加熱)が最も好ましい。加熱温度は70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。
<包餡食品の保存方法>
本発明に係る包餡食品は、喫食されるまでの間保存することができる。包餡食品の保存温度は特に限定されるものではなく、常温保存、冷蔵保存、チルド保存、冷凍保存のいずれであってもよい。中種部からの離水等を勘案すると、本発明に係る包餡食品の保存方法としては、チルド保存又は冷凍保存が好ましい。
<包餡食品の再加熱方法>
本発明に係る包餡食品は、喫食される前に再度加熱することが好ましい。再加熱する場合の加熱調理方法としては、蒸し(スチーム加熱)、焼成、フライ、煮る、赤外加熱、マイクロウェーブ加熱等のいずれの加熱方法でもよい。本発明に係る包餡食品の喫食前の再加熱調理としては、加熱調理後の食感に優れていることから、蒸し(スチーム加熱)が最も好ましい。加熱温度は70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。
本発明を、下記の実施例により説明する。ただし、これらは、本発明の範囲を制限するものではない。
<肉まんの製造方法>
以下の実施例等において、物性評価に用いた肉まんは、次のようにして製造した。
(生地組成物の製造)
まず、強力粉及び薄力粉の混合物に40℃の温水を加え、プラネタリーミキサーを用いて126rpmで1分間混練した。得られた混練物に、砂糖、塩、ドライイーストを投入し、プラネタリーミキサーを用いて126rpmで5分間混練した後、さらにラードを添加し、再度プラネタリーミキサーを用いて126rpmで3分間混練し、生地組成物を得た。得られた生地組成物を、湿度80%、30℃に調整した恒温恒湿機に投入し、1時間発酵させた。
(中種の製造)
まず、豚ひき肉(肩肉、7mmφ)に食塩を練り込み、ねばりを出した後、精製ラードとゴマ油を練り込んだ。次いで、得られた混練物に、砂糖、塩、胡椒を練り込んだ後、さらに醤油、みりん、おろし生姜、おろしにんにくを練り込み、最後にたまねぎ、ねぎ、たけのこを練り込んだ。練り込みは全て、プラネタリーミキサーを用いて126rpmで1分間混練することにより行った(遂次混合)。
(肉まんの製造)
発酵させた生地組成物60gに、中種40gを包餡して、中種を生地組成物で包み込んだ成形物を製造した。当該成型物を、湿度80%、温度40℃に調整した恒温恒湿機に投入し、生地組成物を発酵させた。次いで、当該成型物を、ウォーターオーブン(SHARP(株)製、商品名:「HEALSIO AX−PX3」)を用いて、100℃で20分間蒸し上げた後、冷凍庫(−20℃)で24時間保存した。その後、再度ウォーターオーブンを用いて、当該成型物を80℃で50分間蒸し上げて、肉まんを得た。
<セルロースの平均粒子径>
セルロースを4質量%の濃度で純水懸濁液とし、プロペラ攪拌機(HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段、条件:400rpm×20分間、25℃)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で測定した際の体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)を平均粒子径とした。
<中種部の最大荷重比>
以下の実施例等において、肉まんの中種部の最大荷重比は、以下のようにして測定した。
製造直後の肉まんから中種部を取りだし、中種部に含まれる食肉を5mm四方にカットした後に、最大荷重を、テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:P/3型、温度:60.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−TestSpeed:1.5mm/s,Test−Speed:1.5mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:3mm,Trigger force:Auto 5g)により測定した。その後、時間を置かず、同条件でもう一度測定を行い、以下の式に従って最大荷重比を算出した。同様の操作を無作為に抽出した3個の肉まんから、肉まん1個当たり食肉片を5個取りだし、この連続した2回の測定を食肉片1個当たり1回ずつ行い、各食肉片について最大荷重比を算出した。5個の食肉片の最大荷重比の平均値を、肉まんの中種部の最大荷重比とした。
[最大荷重比]=[2回目測定時の最大荷重値]/[1回目測定時の最大荷重値]
<中種部の破断距離>
以下の実施例等において、肉まんの中種部の破断距離は、以下のようにして測定した。
製造直後の肉まんから中種部を取りだし、中種部に含まれる食肉を5mm四方にカットした後に、食肉片をテクスチャー・アナライザーに設置し、前記<中種部の最大荷重比>と同じ条件で測定し、破断距離を求めた。無作為に抽出した3個の肉まんの中種部から、肉まん1個当たり食肉片を5個取り出し、食肉片1個当たり1回ずつ測定を行い、その平均値を破断距離とした。
<中種部の水分値の測定方法>
以下の実施例等において、肉まんの中種部の水分値は、以下のようにして測定した。
作製直後の肉まんから中種部を取りだし、中種部に含まれる食肉を、赤外線水分計(秤と加熱装置が一体になっており、装置に試料をセットすると質量が測定され、赤外線ヒーターによって質量変化がなくなるまで加熱され、加熱後の質量を測定した上で、プログラムにより水分が算出されるもの)(株式会社ケツト科学研究所(kett)製、型番:FD−240)を用いて、まず中種部の質量を測定し、次いで中種部を質量変化がなくなるまで105℃で保持した。質量変化がなくなったときの質量を測定し、作製直後の肉まんと比較して、105℃保持後に減少した質量から水分値を決定した。
<中種部の加熱後の歩留り測定方法>
以下の実施例等において、肉まんの中種部の加熱後の歩留りは、以下のようにして測定した。
まず、中種を生地組成物で包み込んだ成形物について、発酵後、ウォーターオーブンで蒸し上げる前に、その中種部の質量を測定した。次いで、当該成形物をウォーターオーブンで2回蒸し上げて肉まんを製造した。作製直後の肉まんから中種部を取りだし、質量を測定し、下記の式に従って加熱後の歩留りを測定した。
[歩留り(%)]=[加熱直後の中種部の質量]/[加熱前の中種部の質量]×100
<肉まんのほぐれ性評価方法>
以下の実施例等において、肉まんのほぐれ性は、以下のようにして評価した。
肉まんを、両手で一定の力を加えて半分に割り、割れた断面の均一さを目測で評価した。評価基準は、以下の通りとした。
○:中種部が均一に両側に分かれている。
△:中種部の一部がどちらか片一方に寄っている。
×:中種部が完全にどちらか片一方に寄っている。
<生地部のみかけ密度>
以下の実施例等において、肉まんの生地部のみかけ密度は、以下のようにして評価した。
肉まんの生地部の上部部分から、生地部表面及び中種部が付着している部分を除き、1cm四方の生地片を切りだし、当該生地片の質量と体積を測定し、質量を体積で除することによって、生地部のみかけ密度を求めた。質量は精密天秤で測定し、体積は各辺をノギスで測定し、底面積と高さを乗ずることにより算出した。
<官能評価方法>
以下の実施例等において、肉まんの官能評価は、以下のようにして行った。
26歳から64歳までの男女11名のパネルが肉まんを実際に食し、生地部の「もちもち感」、「ふんわり感」、「べたべた感」、及び中種部の「ほぐれ感」、「もさもさ感」について、官能評価を実施した。なお、中種部の「もさもさ感」とは、「口当たり」、より具体的には「口腔内で咀嚼中に繊維質の存在の感じかた」を意味する。口腔内で咀嚼中に、繊維質の存在が感じられないものを、もさもさ感が優れていると評価し、繊維質の存在が強く感じられるものを、もさもさ感が劣っていると評価した。具体的には、各評価項目について、各パネルが、1点刻みで5〜0点の点数をつけ(劣っている:0点、非常に優れている:5点)、全パネルによる評点の平均点に基づいて、以下の基準で評価した。
◎: 平均3.5点以上。
○: 平均3点以上、3.5点未満。
△: 平均2点以上、3点未満。
×: 平均2点未満。
[実施例1]
生地組成物を、全仕込み量500gに対し、強力粉19質量%、薄力粉43質量%、ぬるま湯33.95質量%、ドライイースト0.9質量%、砂糖0.9質量%、塩0.2質量%、ラード2質量%となるように配合して製造し、中種を、全仕込量350gに対し、豚ひき肉35質量%、食塩0.5質量%、精製ラード5質量%、ごま油3質量%、砂糖3質量%、胡椒0.1質量%、醤油4.2質量%、みりん3質量%、おろし生姜1.0質量%、おろしにんにく0.2質量%、たまねぎ(みじん切り)25質量%、ねぎ(みじん切り)10質量%、たけのこ9.5質量%、粉末セルロース(日本製紙ケミカル(株)製、商品名:「W−300G」)0.5質量%配合して製造した以外は、前記<肉まんの製造方法>と同様にして、肉まんを製造した。
[実施例2]
粉末セルロースを以下の結晶セルロースAに変更した以外は、実施例1と同様にして肉まんを製造した。
<結晶セルロースAの製造>
市販SPパルプを裁断した後、0.14N塩酸中で121℃、1時間、低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器、翼径30cm)を用いて撹拌(撹拌速度:30rpm)しながら加水分解した。加水分解後、水洗、濾過、及び中和反応を行い、得られた反応物を、90L容の樹脂製バケツに入れ、スリーワンモーター(HEIDEN製、タイプ1200G、8M/M、翼径:5cm)で撹拌(撹拌速度:500rpm)しながら、固形分濃度が17質量%のセルロース粒子分散液を調製した。得られたセルロース粒子分散液を噴霧乾燥(液供給速度:6L/h、入口温度:180〜220℃、出口温度:70℃)して結晶セルロースA(L/D=1.7)を得た。結晶セルロースAの平均重合度は220であった。
[実施例3]
粉末セルロースを以下の結晶セルロースBに変更した以外は、実施例1と同様にして肉まんを製造した。
<結晶セルロースBの製造>
結晶セルロースAを、ジェットミル(ホソカワミクロン(株)製、製品名:「スパイラルジェットミルAS」)を用いて、平均粒子径が20μmになるまで粉砕を行い、結晶セルロースBを得た。
[実施例4]
粉末セルロースを以下の結晶セルロースCに変更した以外は、実施例1と同様にして肉まんを製造した。
<結晶セルロースCの製造>
市販SPパルプを裁断した後、4N塩酸中で40℃、48時間、低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器、翼径:30cm)を用いて撹拌(撹拌速度:5rpm)しながら加水分解した。加水分解後、水洗、濾過、及び中和反応を行い、得られた反応物を、90L容の樹脂製バケツに入れ、スリーワンモーター(HEIDEN製、タイプ1200G、8M/M、翼径:5cm)で撹拌(撹拌速度:50rpm)しながら、固形分濃度が12質量%のセルロース粒子分散液を調製した。得られたセルロース粒子分散液を噴霧乾燥(液供給速度:6L/h、入口温度:180〜220℃、出口温度:50〜70℃)して結晶セルロースA(L/D=2.6)を得た。結晶セルロースCの平均重合度は220であった。
[実施例5]
粉末セルロースを以下の結晶セルロースDに変更した以外は、実施例1と同様にして肉まんを製造した。
<結晶セルロースDの製造>
市販SPパルプ(平均重合度:790、レベルオフ重合度:220)を裁断した後、4N塩酸中で60℃、48時間、低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器、翼径:約30cm)で攪拌(攪拌速度:5rpm)しながら加水分解した。得られた酸不溶解残渣はヌッチェを使用して濾過し、濾過残渣をさらに70Lの純水で4回洗浄し、続いてアンモニア水で中和した後、90L容の樹脂製バケツに入れて純水を加え、スリーワンモーター(HEIDON製、タイプ1200G、8M/M、翼径:約5cm)で攪拌(攪拌速度:50rpm)しながら、固形分濃度が12質量%のセルロース粒子分散液(pH:6.5、IC:40μS/cm)を調製した。得られたセルロース粒子分散液を噴霧乾燥(液供給速度:6L/h、入口温度:180〜220℃、出口温度:50〜70℃)してセルロース粉末D(L/D=2.2)を得た。
[実施例6]
粉末セルロースを以下の結晶セルロース複合体Aに変更した以外は、実施例1と同様にして肉まんを製造した。
<結晶セルロース複合体Aの製造>
市販SPパルプを裁断した後、2.5N塩酸中で105℃、15分間加水分解した。加水分解後、水洗及び濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーク状の結晶セルロースを作製した。当該結晶セルロースの平均重合度は220であった。
次に、ウェットケーク状の結晶セルロースと市販キサンタンガム(三栄源FFI製、商品名:「ビストップD−712」)と市販デキストリン(三和澱粉製、商品名:「サンデック♯30」、以下、「Dex」ともいう。)を用意し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、「5DM−03−R」、撹拌羽根はフック型を使用)の容器に、セルロース/キサンタンガム/デキストリンの質量比が75/5/20となるように投入し、固形分濃度が52質量%となるように加水して、混錬した。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は、70Wh/kgであった。混練温度の制御は、ジャケット冷却の調整で行われ、熱伝対を用いて混練物の温度が直接測定された。当該温度は、混練を通して20〜65℃であった。得られた混練物をペレット化した後、乾燥、粉砕、篩い分けを行い、結晶セルロース複合体Aを得た。
[実施例7]
粉末セルロースを以下の易分散性結晶セルロース複合体Aに変更した以外は、実施例1と同様にして肉まんを製造した。
<易分散性結晶セルロース複合体Aの製造>
デキストリン(三和澱粉製、商品名:「サンデック#100」)180g、ワキシーコーンスターチ由来のヒドロキシプロピル化澱粉(日澱化学製、商品名:「デリカWH」)95g、及び実施例6で製造した結晶セルロース複合体A225gを、湿潤状態で分散させた後、乾燥、粉砕、篩い分けを行い、易分散性結晶セルロース複合体A(セルロースの平均重合度:190、セルロースの粒子L/D:1.8)を得た。
[実施例8]
易分散性結晶セルロースAの配合量を0.3質量%、たけのこの配合量を9.7質量%にした以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例9]
易分散性結晶セルロースAの配合量を0.1質量%、たけのこの配合量を9.9質量%にした以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例10]
易分散性結晶セルロースAの配合量を0.05質量%、たけのこの配合量を9.95質量%にした以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例11]
易分散性結晶セルロースAの配合量を3質量%、たけのこの配合量を7質量%にした以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例12]
易分散性結晶セルロースAの配合量を2質量%、たけのこの配合量を8質量%にした以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例13]
易分散性結晶セルロースAの配合量を1質量%、たけのこの配合量を9質量%にした以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例14]
豚ひき肉(7mmφ)を5mmφの豚ひき肉に変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例15]
豚ひき肉(7mmφ)を10mmφの豚ひき肉に変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例16]
豚ひき肉(7mmφ)を豚ブロック肉(肩肉、5mm四方)に変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例17]
薄力粉の配合量を43質量%から23質量%とし、馬鈴薯α化澱粉(日本澱粉工業(株)製、製品名:「アミコールHF」)20質量%を配合するように変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例18]
薄力粉の配合量を43質量%から23質量%とし、モチ種トウモロコシヒドロキシプロピル澱粉(三和澱粉工業(株)製、製品名:「デリカWH」)20質量%を配合するように変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例19]
薄力粉の配合量を43質量%から23質量%とし、もち米α化澱粉(上越スターチ(株)製、製品名:「モチールアルファー」)20質量%を配合するように変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例20]
薄力粉の配合量を43質量%から23質量%とし、うるち米澱粉(上越スターチ(株)製、製品名:「ファインスノウ」)20質量%を配合するように変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例21]
薄力粉の配合量を43質量%から23質量%とし、タピオカヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(王子コーンスターチ(株)製、製品名:「てんじん」)20質量%を配合するように変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例22]
豚ひき肉(5mmφ)を豚ブロック肉(肩肉、7mm四方)に変更した以外は、実施例21と同様にして肉まんを製造した。
[実施例23]
薄力粉の配合量を43質量%から38質量%とし、強力粉を無配合(0質量%)とし、タピオカヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(王子コーンスターチ(株)製、製品名:「てんじん」)5質量%を配合するように変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例24]
強力粉の配合量を19質量%とし、薄力粉を無配合(0質量%)とし、タピオカヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(王子コーンスターチ(株)製、製品名:「てんじん」)50質量%を配合するように変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例25]
中種部調製時に、フードプロセッサーを用いて原料を一括で300秒間混合した(一括混合)以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例26]
中種部調製時のフードプロセッサーによる混合時間を10秒間に変更した以外は、実施例25と同様にして肉まんを製造した。
[実施例27]
易分散性結晶セルロース複合体AをCMC−Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム)(ダイセルファインケム(株)製、商品名:「F−SH」)に変更した以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[実施例28]
易分散性結晶セルロース複合体Aをネイティブ型ジェランガム(三栄源FFI(株)販売、CPケルコ製、商品名:「ケルコゲルLT−100」)に変更した以外は、実施例10と同様にして肉まんを製造した。
[比較例1]
結晶セルロースAを無配合(0質量%)とした以外は、実施例1と同様にして肉まんを製造した。
[比較例2]
易分散性結晶セルロース複合体Aを無配合(0質量%)とした以外は、実施例17と同様にして肉まんを製造した。
[比較例3]
生地部を市販の餃子の皮(みかけ密度:1.1g/cm)とした以外は、実施例7と同様にして肉まんを製造した。
[比較例4]
結晶セルロースAを無配合(0質量%)とし、あらかじめ作成したゼリー状調味料20質量%を配合し、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株)、商品名:「UF−711F」)1.6質量%外割で配合し、たまねぎの配合量を15質量%、ねぎの配合量を5質量%、及びたけのこの配合量を5質量%に変更した以外は、実施例2と同様にして肉まんを製造した。
なお、当該ゼリー状調味料は、セルロース複合体(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:「DX−2」)1.7質量%、ゼラチン(ニッピ(株)製、商品名:「ゼラチンCS」)5.0質量%、水93.3質量%を配合した混合物を、70℃で、スリーワンモーター(HEIDEN製、タイプ1200G、8M/M、翼径:5cm)で撹拌(撹拌速度:400rpm、15分間)して調製した。
[試験例1]
実施例1〜28及び比較例1〜4において製造された肉まんについて、中種部の最大荷重比、中種部の破断距離(mm)、中種部の水分値(%)、及び中種部の加熱後の歩留り(%)を測定し、ほぐれ性を評価し、生地部及び中種部の官能評価を行った。原料として用いたセルロースの平均粒子径(μm)、水蒸気吸着による比表面積(m/g)、L/D、生地部のみかけ密度(g/cm)の結果を表2に示す。また、各肉まんの測定と評価の結果を、使用した食肉の形状及び混練方法と共に、表3〜8に示す。なお、実施例1、2、4、9〜11、14、26〜28は、参考例である。
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生地部の上部部分のみかけ密度が0.8g/cm以下であり、かつ中種部の最大荷重比が1.2以上である実施例1〜28の肉まんは、いずれも生地部のふんわり感が良好であり、中種部のほぐれ性やほぐれ感も良好であった。一方で、生地部の上部部分のみかけ密度が0.8g/cm以下であるが、中種部の最大荷重比が1.2未満である比較例4の肉まんでは、ほぐれ性やほぐれ感はあるものの、生地部のふんわり感は感じられなかった。また、中種部の最大荷重比が1.2以上であるが、生地部の上部部分のみかけ密度が0.8g/cmより大きい比較例3の肉まんでは、ほぐれ性も劣っていた。
含有させるβ結合型多糖類の種類の異なる実施例1〜7、27及び28の肉まんを比較すると、実施例1及び実施例4の肉まんでは、咀嚼時に繊維質の存在が比較的強く感じられてしまい、もさもさ感に劣っていた。これは、粉末セルロースやL/Dの大きい結晶セルロースは、プラネタリーミキサー等により撹拌(分散)してもほとんどサイズリダクションすることがなく、中種部中に均一に分散することが難しいためと推察される。一方で、結晶セルロース複合体や易分散性結晶セルロース複合体を配合した実施例6及び7の肉まんでは、粉末セルロースや結晶セルロース、CMC−Na、ネイティブ型ジェランガムを配合した肉まんよりも、最大荷重比が大きく、かつほぐれ性とほぐれ感のいずれもより良好であり、さらにも咀嚼時の口当たりも良好でもさもさ感も優れていた。特に、易分散性結晶セルロース複合体を配合した実施例7の肉まんは、中種部の最大荷重比が1.3以上と非常に大きく、かつ加熱調理後の歩留りが70%以上、水分値が55%以上といずれも高く、ジューシーな食感にも優れていた。これは、結晶セルロース複合体や易分散性結晶セルロース複合体は、撹拌工程中に中種中で粒子が砕けやすく、よって中種部全体に細かく均一に分散するためと推察される。
中種部に含有させるセルロースの量をふった実施例7〜13の肉まんの結果から、中種部のセルロース含有量依存的に、最大荷重比が大きくなり、ほぐれ性やほぐれ感が改善される傾向が観察された。生地部に澱粉を配合した実施例17〜24の肉まんの結果から、澱粉の配合により、生地部のもちもち感は改善されるが、ふんわり感は抑えられることが確認された。中種部の食肉の形状と大きさが異なる実施例13〜16の結果から、食肉が大きいほど、ほぐれ性とほぐれ感が改善される傾向が観察された。
中種の調製を、原材料を複数の段階に分けて遂次混合して行った実施例7の肉まんと、原材料を一括で混合した実施例25の肉まんを比較すると、遂次混合した実施例7の肉まんのほうが、最大荷重比が大きく、ほぐれ感も良好であった。また、中種を一括混合した場合の混合時間の異なる実施例25と26の肉まんを比較すると、混合時間の長い実施例25の肉まんのほうが、最大荷重比が大きく、ほぐれ性とほぐれ感、もさもさ感のいずれも良好であった。これらの結果から、中種調製時に充分に混合し、中種内にβ結合型多糖類をより均一に分散させるほど、咀嚼時に繊維質の存在を感じさせることなく、ほぐれ性とほぐれ感が改善できることがわかった。

Claims (12)

  1. 食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
    前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
    喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.22以上であり、
    前記中種部が、結晶セルロース複合体を前記中種部に対して0.3質量%以上2.0質量%以下含有し、
    前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まん。
  2. 食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
    前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
    喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.2以上であり、
    前記中種部が、粒子の長径と短径の比L/Dが1.8以上2.2以下である結晶セルロースを含有し、
    前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まん。
  3. 前記結晶セルロースが、水溶性多糖類との複合体である、請求項2に記載の肉まん。
  4. 前記生地部が、澱粉を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の肉まん。
  5. 前記澱粉が、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、もち米澱粉、及びうるち米澱粉からなる群より選択される1種以上である、請求項4に記載の肉まん。
  6. 中種を生地組成物で包餡した後に加熱調理して、食肉を含有する中種部と前記中種部を包餡する生地部とを有する肉まんを製造する方法において、
    前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、かつ
    喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.22以上である肉まんを製造し、
    前記中種部に、結晶セルロース複合体を前記中種部に対して0.3質量%以上2.0質量%以下配合し、
    前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まんの製造方法。
  7. 中種を生地組成物で包餡した後に加熱調理して、食肉を含有する中種部と前記中種部を包餡する生地部とを有する肉まんを製造する方法において、
    前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、かつ
    喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.2以上である肉まんを製造し、
    前記中種部に、粒子の長径と短径の比L/Dが1.8以上2.2以下である結晶セルロースを配合し、
    前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、肉まんの製造方法。
  8. 前記結晶セルロースが、水溶性多糖類との複合体である、請求項7に記載の肉まんの製造方法。
  9. 前記生地組成物が、澱粉を含有し、
    前記澱粉が、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、もち米澱粉、及びうるち米澱粉からなる群より選択される1種以上である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の肉まんの製造方法。
  10. 肉まんにほぐれ性を付与する方法であって、
    前記肉まんは、食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
    前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
    喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.22以上であり、
    前記中種部に、結晶セルロース複合体を前記中種部に対して0.3質量%以上2.0質量%以下配合し、
    前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、方法。
  11. 肉まんにほぐれ性を付与する方法であって、
    前記肉まんは、食肉を含有する中種部と、前記中種部を包餡する生地部とを有し、
    前記生地部の上部部分のみかけ密度が、0.8g/cm以下であり、
    喫食前の加熱調理後における前記中種部から厚みが5mm以上である食肉片を取り出し、当該食肉片の最大荷重を、テクスチャー・アナライザーにより、食肉片の中心温度が60±3℃、Trigger forceをAuto 5gとし、円柱状の測定プローブを1.5mm/sの速度で3mm押し込む条件で2回連続して測定した場合に、1回目に測定された最大荷重値に対する2回目に測定された最大荷重値の比([2回目に測定された最大荷重値]/[1回目に測定された最大荷重値])が1.2以上であり、
    前記中種部に、粒子の長径と短径の比L/Dが1.8以上2.2以下である結晶セルロースを配合し、
    前記食肉が直径7mm以上の挽き肉又はブロック肉である、方法。
  12. 前記結晶セルロースが、水溶性多糖類との複合体である、請求項11に記載の方法。
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