JP5855386B2 - セルロース複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース複合体に関する。さらに詳しくはセルロースとジェランガムの複合体であり、食品、医薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、触媒、農薬、肥料、飼料等の用途分野において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、組織付与剤、クラウディー剤、研磨剤、食物繊維、油脂代替物等として使用される物質に関するものである。
これまでセルロースと水溶性高分子との複合体は多数知られており、様々な検討がなされている。
特許文献1は、セルロースとジェランガムの複合体について開示されている。
特許文献2は、結晶セルロースとジェランガムの複合体について開示されている。
特許文献3は、ネイティブジェランガム及び結晶セルロースを含有する食品について記載されている。
特開平11−302448号公報 特開2008−113572号公報 特開平10−234316号公報
特許文献1に記載のセルロース複合体や、特許文献2に記載の易分散安定剤では、チキソトロピー性が不十分であった。
特許文献3に記載の分散安定剤は、結晶セルロースとネイティブジェランガムの混合物であり、複合体とは異なるため、粘度、チキソトロピーの発現が不足する。従って、食品に配合する量が多くなるという問題があり、食感に影響する問題があった。
本発明は、上記問題を鑑み、低濃度で高い粘度、高いチキソトロピー特性、乳化安定性、高い増粘効果を有するセルロース複合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため、セルロースとジェランガムを特定の比率で、高度に複合化させたセルロース複合体は、水分散時の粘度とチキソトロピー性を高められることを見出した。例えば、本発明のセルロース複合体を食品へ利用すると低濃度での乳化安定性、ソースへのボディ付与、及び基材へのソース染み込み抑制に優れた効果を有することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)セルロースを0.5〜85質量%、ジェランガムを15〜99.5質量%含むセルロース複合体であり、該セルロース複合体を固形分0.5質量%の水分散液としたときのチキソトロピ−インデックスが1.5以上であるセルロース複合体。
(2)前記水分散液のチキソトロピーの挙動から得られるヒステリシスの面積が15以上である(1)に記載のセルロース複合体。
(3)(1)又は(2)に記載のセルロース複合体を含む食品加工品。
(4)(1)又は(2)に記載のセルロース複合体を含むソース類。
(5)(1)又は(2)に記載のセルロース複合体を含む乳化スープ。
(6)(1)又は(2)に記載のセルロース複合体を、固形分で0.001〜30質量%含む食品加工品。
本発明は、低濃度で高い粘度、高い増粘効果、高いチキソトロピー特性、乳化安定性を有するセルロース複合体を提供できる。また、このセルロース複合体を食品に配合することで、離水、分離、凝集、また、パン等の基材へソース染み込み抑制等の安定性が改良された食品を提供できる。
本発明の実施例2におけるセルロース複合体Bのチキソトロピー性を測定した結果である。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のセルロース複合体は、セルロースとジェランガムを特定量含み、特定のチキソトロピーインデックスを有するセルロース複合体である。本発明でいうセルロース複合化とは、セルロースの表面が水素結合等の化学結合により、ジェランガムで被覆されている状態をいい、セルロースとジェランガムの混合物とは異なる。
<セルロース>
本発明において、「セルロース」とは、セルロースを含有する天然由来の水不溶性繊維物質である。原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然セルロース系物質を使用しても、2種以上を混合したものを使用することも可能である。
本発明に用いるセルロースの平均重合度は、500以下の結晶セルロースが好ましい。平均重合度は、「第15改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、ジェランガムとの複合化の工程において、セルロース系物質が攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、複合化が促進されやすくなるため好ましい。より好ましくは、平均重合度は300以下、さらに好ましくは、平均重合度は250以下である。平均重合度は、小さいほど複合化の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースや、リグニン等の不純物も、取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、混練工程等で、セルロースとジェランガムに機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、ジェランガムとの複合化の制御が容易になる。
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら、加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
本発明のセルロース複合体中のセルロースは、微細な粒子状の形状であることが好ましい。セルロースの粒子形状は、本発明のセルロース複合体を、0.5質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、0.1〜0.4質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾されたものを、高分解能走査型顕微鏡(SEM)、又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)とした場合の比(L/D)で表され、100個〜150個の粒子の平均値として算出される。
L/Dは、20未満が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、5未満が格別に好ましく、4以下が最も好ましい。L/Dが小さいほど、ジェランガムと複合体を作りやすく、かつ、高いチキソトロピー性を有する。
<ジェランガム>
本発明に用いられるジェランガムとは、Sphingomonas elodeaという微生物が菌体外に産出する多糖類である。ジェランガムには、脱アシル型ジェランガムとネイティブジェランガムの2種類がある。ジェランガムは直鎖状のヘテロ多糖類で、グルコース、グルクロン酸、グルコース、ラムノースの4糖の繰り返し単位から構成されており、グルクロン酸由来のカルボキシ基を有している。脱アシル型とネイティブ型の違いは、1−3結合したグルコースに存在するアセチル基とグリセリル基の有無であり、これらアセチル基とグリセリル基を除去したものが脱アシル型ジェランガムである。本発明に用いるジェランガムはどちらでもよいが、好ましくはネイティブジェランガム(分子量60〜70万)である。アシル型ジェランガムよりもネイティブジェランガムの方がセルロースと複合体にしたときにチキソトロピー性が高められる。
脱アシル型ジェランガムの粘度は、0.15質量%の純水溶液において、20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましい。
ネイティブジェランガムの粘度は、0.15質量%の純水溶液において、100〜1500mPa・sが好ましく、300〜1000mPa・sがより好ましい。
なお、三栄源エフ・エフ・アイ(株)社製のケルコゲル(登録商標)LT−100、ケルコゲル(登録商標)HM、ケルコゲル(登録商標)HT等の市販品を使用することもできる。
<セルロースとジェランガムの組み合わせ>
本発明のセルロース複合体に用いられるジェランムは、ネイティブジェランガムと脱アシル型ジェランガムを組み合わせたものを配合してもよい。このネイティブジェランガムと脱アシル型ジェランガムとの組み合わせは、ネイティブジェランガム/脱アシル型ジェランガム=5/95〜95/5(質量比)であることが好ましい。
より好ましくは、10/90〜90/10、さらに好ましくは80/20〜20/80である。ネイティブジェランガムと脱アシル型ジェランガムを併用すると、セルロースとの吸着性が高まることで、セルロース複合体のネットワーク構造を剛直にし、結果として、水分散体のチキソトロピーが高く発現するために好ましい。
用いるネイティブジェランガムの粘度は、0.15質量%の純水溶液において、100〜1500mPa・sが好ましく、300〜1000mPa・sがより好ましい。脱アシル型ジェランガムの粘度は0.15質量%の純水溶液において、20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましい。
<セルロースとジェランガムの配合比率>
本発明のセルロース複合体は、セルロースを0.5〜85質量%、ジェランガムを15〜99.5質量%含む。ジェランガムがセルロース粒子の表面を被覆する形態で複合化することで、セルロース複合体がもつ分散安定性、懸濁安定性、乳化安定性、増粘性が向上する。また、セルロースとジェランガムを上記の組成とすることで、前記した複合化が促進される。複合化が促進されると、セルロース複合体は、水中において粒子同士のより強いネットワークを形成し、高い粘度、高いチキソトロピー性を示す。その結果、低濃度でも、セルロース複合体の分散液の粘度、チキソトロピー性が高まる。それによって、食品を配合した際、離水、分離、凝集が生じにくくなったり、ソースが増粘したり、ソースの基材への染み込みが抑制されたりする。
セルロースとジェランガムの好ましい比率としては、好ましくはセルロース2〜80質量%、ジェランガムは20〜98質量%、より好ましくはセルロース10〜70質量%、ジェランガムは30〜90質量%、さらに好ましくはセルロース20〜65質量%、ジェランガムは35〜80質量%である。
<チキソトロピーインデックス>
次に、本発明のセルロース複合体のチキソトロピーインデックスについて説明する。チキソトロピーインデックス(以下、TI値)とは、セルロース複合体の6rpmで測定した際の粘度値を60rpmで測定した際の粘度値で割った粘度の比のことである。粘度は、純水中に本発明のセルロース複合体を0.5質量%に調製した水溶液を200mlトールビーカーに充填し、25℃に温調した後、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10M形粘度計)を用いて、ローターを6rpmで30秒間回転させた直後の測定値である。また、その後、回転数を60rpmに変更し同じように30秒間回転させた直後の測定値でもあり、粘度の比とは6rpmで測定した粘度値を60rpmで測定した粘度値で割った次の式である。
TI値=6rpm/60rpm
TI値が高いほど、分散液のチキソトロピー性が高いことになり、それは、セルロース複合化物の複合化が促進されているので好ましい。
本発明のセルロース複合体は、TI値が1.5以上であることが必要であり、1.5未満の場合は、スープやソースに使用した際、ねばついた食感となる。より好ましいTI値は1.6以上であり、さらに好ましくは4.5以上である。その上限値は、特に設定されるものではないが、現実的な範囲として7.0以下である。
<水溶性ガム>
本発明のセルロース複合体は、セルロースとジェランガムを必須成分とするが、さらにジェランガム以外の水溶性ガムを含むことが好ましい。水溶性ガムとしては、水膨潤性が高く、セルロースと複合化しやすいガムが好ましい。
例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム(以下「ARG−Na」という。)、HMペクチン、LMペクチン(以下「LMP」という。)、アゾトバクター・ビネランジーガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下「CMC−Na」という。)、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。これらの水溶性ガムは2種以上を組み合わせてもよい。
上述の水溶性ガムの中でも、CMC−Na、キサンタンガム、LMP、ARG−Naから選ばれる1種以上が好ましい。これらのガムは、セルロース及びジェランガムと複合化しやすいため好ましい。
「CMC−Na」とは、セルロースの水酸基がモノクロロ酢酸で置換されたもので、D−グルコースがβ−1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、パルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酸(或いはそのナトリウム塩)でエーテル化して得られる。
特に、置換度と粘度が特定範囲に調製されたCMC−Naを用いることが、複合化の観点から好ましい。置換度とは、セルロース中の水酸基にカルボキシメチル基がエーテル結合した度合いのことであり、0.6〜2.0が好ましい。置換度が前記の範囲であれば、CMC−Naの分散性が十分であること、及び製造が容易であることから好ましい。より好ましくは、置換度は0.6〜1.3である。またCMC−Naの粘度は、1質量%の純水溶液において、500mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。特に好ましくは、20mPa・s以下である。CMC−Naの粘度が低いほど、セルロース、ジェランガムとの複合化が促進されやすく、下限は特に設定されるものではないが、好ましい範囲としては1mPa・s以上である。
「キサンタンガム」とは、主鎖がD−グルコースがβ−1,4結合した構造を有し、この主鎖のアンヒドログルコースにD−マンノース、D−グルクロン酸、D−マンノースからなる側鎖が結合したものである。主鎖に付くD−マンノースの6位はアセチル化され、末端のD−マンノースがピルビン酸とアセタール結合している枝分かれの多い構造である。
タマリンドシードガムとは、主鎖がグルコースで、キシロースを側鎖に持つキシログルカンである。キサンタンガムの粘度は、1質量%の純水溶液において、1500mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。
「LMP」とは、ガラクツロン酸を主体とする酸性多糖類(ガム類)と数種の中性糖が存在する構造をもつものをいう。この化学構造を有するものは、原料・製造方法に関係なく本発明におけるLMPに該当する。ペクチンは、植物組織中でセルロースなどと結合し、水に不溶な成分として存在するため、高温酸性下で、他の可溶性成分とともにプロトペクチンと分離して得られる。LMPは、上述のガラクツロン酸において、メチルエステルの形と酸の2つの形で存在しているが、エステル化度(エステルの形で存在するガラクツロン酸の割合)が50%未満のものが、セルロース、ジェランガムとの複合化の観点から好ましい。
「ARG−Na」とは、α−L−グルクロン酸、β−D−マンヌロン酸が、ピラノース型で1,4−グリコシド結合した構造をもつものであり、この化学構造を有するものは、原料・製造方法に関わらず、本発明におけるARG−Naに該当する。ARG−Naは、主にワカメ、コンブ、ヒジキに代表される褐藻に含まれる多糖類の一種である。
工業的には、アルギン酸は、アルギン酸含有量が多い、レッソニア属、マクロシスティス属、カジメ属、ダービリア属、アスコフィラム属等の原藻から得られる。前記原藻を、粉砕したものを酸処理して抽出し、これをろ過して得た沈殿物を酸処理することによりアルギン酸を得る。このアルギン酸を炭酸ナトリウム等でナトリウム化させ、乾燥、粉砕させることにより、粉体状のアルギン酸ナトリウムが得られる。
ARG−Na水溶液は、中性で、滑らかな粘性を示す。ARG−Naの粘度は、1質量%の純水溶液において300mPa・s以下が好ましい。より好ましくは、粘度は100mPa・s以下である。さらに好ましくは、粘度は30mPa・s以下である。この粘度が低いほど、セルロース、ジェランガムとの複合化が進みやすいため好ましい。
水中での分散及び安定性を阻害しない程度に本発明のセルロース複合体に配合できる水溶性ガムを配合することは自由である。
<親水性物質>
本発明のセルロース複合体に、水への分散性を高める目的で、ジェランガム及び水溶性ガム以外に、さらに親水性物質を加えてもよい。親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等が適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、糖アルコール、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましく、特に糖アルコールが好ましい。弱い分散条件でも小粒子のセルロース複合体が得られるという点で、糖アルコールのなかでもソルビトールが好ましい。
その他の成分の配合については、水中での分散及び安定性を阻害しない程度に配合することは自由である。
<粘度>
次に、本発明のセルロース複合体の粘度について説明する。本発明のセルロース複合体は、セルロース複合体を0.5質量%含む純水分散液の粘度が500mPa・s以上であることが好ましい。ここで、粘度とは、純水中に0.5質量%に調製した水溶液を200mlビーカーに充填し、25℃に温調した後、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10M形粘度計)を用いて、ローターを60rpmで30秒間回転させた直後の測定値を指す。但し、ローターは、粘度によって適宜変更できる。使用するロータはNo.3、No.4である。
粘度が高いほど、セルロースとの複合化が促進されているので好ましい。また、スープやソースに使用した際、ねばついた食感とならないため好ましい。より好ましくは600mPa・s以上であり、さらに好ましくは700mPa・s以上である。その上限値は、特に設定されるものではないが、工業原料として得られる範囲としては、9999mPa・s以下が好ましい。
<チキソトロピー性>
次に、本発明のセルロース複合体のチキソトロピー性について説明する。チキソトロピーとは、一定の応力で攪拌し続けると構造が壊れ時間と共に液体の粘度は下がっていくが、応力を取り除くと構造が回復し、時間の経過に伴い元の状態に戻る、という現象である。チキソトロピーとは、構造が回復するときには構造が壊れた時と異なった挙動(ヒステリシス)を示し、そのヒステリシスの面積が大きいほどチキソトロピーが大きいと言い、食感が良好である等、良好な特性を示す。
本発明のセルロース複合体は、図1に示すように、本発明のセルロース複合体を0.5質量%含む純水分散液をRheometric Scientific,Inc.製のAdvanced Rheometric Expansion System(以下、頭文字をとって「ARES」という。)にて次の条件でチキソトロピーの挙動を求め、その得られたヒステリシスの面積が15以上であることが好ましい。
チキソトロピーの測定方法は、まず、セルロース複合体を高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、0.5質量%の純水分散体を調製する。その水分散体を25℃の恒温水槽中に1時間静置させ、ずり速度を上下した時の応力をARESで測定する。測定条件は、ジオメトリ(Geometry)=ダブルクエット(Double Couetto)カップ内径(Inside Cup Diameter=27.94[mm]、ボブ内径(Inside Bob Diameter)=29.5[mm]、ボブ外径(Outside Bob Diameter)=32.0[mm]、カップ外径(Outside Cup Diameter)=34.0[mm])ボブの長さ(Bob Length)=31.98[mm]、ジオメトリのシリアルナンバー(Tool Serial Num)=000、ジオメトリの慣性(Tool Inertia)=0.0[g・cm]、ジオメトリの熱膨張係数に合わせてギャップを変動させる(Change Gap to Match Tool Thermal Expansion Coefficent)=0.0[μm/℃]、液体の密度(Fluid Density)=1.0[g/cm]、試験タイプ(Test Type)=チキソトロピックループ(Thixotropic Loop)、温度(Temperature)=25.0[℃]、サンプリングモード(Sampling Mode)=対数(Log)、ゾーン当たりのポイント数(Points Per Zone)=200、最終せん断速度(Final Shear Rate)=200.0[1/s]、ゾーン時間(Zone Time)=60、60[s]、方向(Direction)=時計回り(Clockwise)、オプション(Options)=オートテンション(Auto Tension)、試験前の待ち時間(Delay Before Test)=オン(On)、試験前の待ち時間(Delay Before Test)=300[s]、開始温度に達したら自動的に試験を開始する(Automatically start test when on Temperature)=オフ(Off)、エレクトロレオロジー(ElectroRheology Mode)=オフ(Off)、モーターのスイッチを切る(Turn OFF Motor)=ノー(No)、法線応力のホールド(Turn Hold ON)=ノー(No)、温調のスイッチを切る(Turn OFF Temp Controller)=ノー(No)、試験終了後の温度を設定(Set End of Test Temp)=ノー(No)、アナログデータ収集(Analog Data Collection)=オフ(Off)、である。水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込む。ヒステリシスの面積は、せん断速度(Shear Rate)が0⇒200[1/s](せん断速度を1ずつ上げ、最終は200(1/s)まで上げる)の時のせん断応力(stress[Pa])から、200⇒0[1/s](せん断速度を200から1ずつ下げ、最終は0(1/s)まで下げる)のせん断応力(stress[Pa])を求め、ループ面積(Pa/s)は台形則で求めた。
セルロース複合体のヒステリシスの面積は20以上がより好ましく、3500以上がさらに好ましく、最も好ましくは4500以上である。上限は、特に設定されるものではないが、現実的な範囲として10000以下である。
<乳化安定性>
次に、本発明のセルロース複合体の乳化安定性について説明する。本発明のセルロース複合体を高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)にて0.3質量%で分散した30gと純水120gとサラダ油150g(油/水の比が50/50)とを、TKホモミキサーにて10000rpmで10分間攪拌(室温)し、それを100mlの沈降管に移し、25℃の雰囲気で7日間、静置した際の乳化状態のことを乳化安定性と言う。7日間静置した状態が離水・分離せず、均一な乳化層を保っていることが、乳化系の食品に応用した際に安定した状態に繋がる。
セルロース複合体の乳化安定性は、7日間静置後の乳化層が85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、さらに好ましくは95%以上である。
<セルロース複合体の体積平均粒子径>
セルロース複合体の体積平均粒子径は、30μm以下であることが好ましい。ここで、該体積平均粒子径は、セルロース複合体を、0.5質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径のことである。
また、セルロース複合体は、体積平均粒子径が0.01〜200μmのセルロース複合体微粒子からなることが好ましい。乾燥粉末として製造されたものは、これらの微粒子が凝集し、見かけの重量平均粒子径が10〜250μmの二次凝集体を形成している。この二次凝集体は、水中で攪拌すると崩壊し、上述のセルロース複合体微粒子に分散する。この二次凝集体の見かけの重量平均粒子径は、ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより得られた粒度分布における累積重量50%粒径のことである。尚、この乾燥後のセルロース複合体の二次凝集体の重量平均粒子径と、レーザー回折法による分散液中のセルロース複合体の体積平均粒子径は測定原理が全く異なるため、それぞれで得られた値は必ずしも相関するものではない。
セルロース複合体の体積平均粒子径が30μm以下であると、セルロース複合体の乳化安定、増粘性がより容易に向上する。また、セルロース複合体を含有する食品を食した際に、ザラツキのない、なめらかな舌触りのものを提供することができる。より好ましくは、体積平均粒子径は25μm以下であり、特に好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。体積平均粒子径が小さいほど、セルロース複合体の乳化安定性、増粘性がより容易に向上するため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては0.1μm以上である。
<セルロース複合体のコロイド状成分量>
さらに、セルロース複合体は、コロイド状セルロース成分を30質量%以上含有することが好ましい。ここでいうコロイド状セルロース成分の含有量とは、セルロース複合体を、0.5質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力2,000rpm(5600G※Gは重力加速度)×15分間)し、遠心後の上澄みに残存する固形分(セルロースと、ジェランガムを含む。また、本発明のセルロース複合体が水溶性ガムを含む場合さらに、水溶性ガムを含む)の質量百分率のことである。
コロイド状セルロース成分の含有量が30質量%以上であると、分散安定性、懸濁安定性がより容易に向上する。より好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上である。コロイド状セルロース成分含有量は、多ければ多いほど、分散安定性が高いため、その上限は特に制限されないが、好ましい範囲としては、100質量%以下である。
<セルロース複合体の製造方法>
次に、本発明のセルロース複合体の製造方法を説明する。
本発明の特定のチキソトロピー性を満たすセルロース複合体は、混練工程においてセルロースとジェランガムに機械的せん断力をあたえ、セルロースを微細化させるとともに、セルロース表面にジェランガムを複合化させることによって得られる。また、ジェランガム以外の水溶性ガムや、その他の添加剤などを添加してもよい。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。本発明のセルロース複合体には、上述の機械的せん断を経て、未乾燥のもの及びその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよく、二種以上の機種を組み合わせて用いることも可能であるが、高いチキソトロピーを達成するためには、脱気しながら混練することが好ましい。
混練時の脱気の条件は、速くセルロース複合体が作製できることより、真空ポンプで−0.1MPaより強く引くことが好ましい。脱気することで、容易に本発明のセルロース複合体のTI値を1.5以上とすることができる。
セルロースとジェランガム、また、その他の水溶性ガム、親水性物質を仕込む場合の固形分は、水分含量を高くし、シャバシャバな状態で仕込む状態が好ましい。原料の仕込む状態をシャバシャバにすることにより、ジェランガム、ジェランガム、親水性物質が水に溶解した状態となり、セルロース表面に均一にむらなく行き渡った状態になるので、セルロースとの絡み合いがよくなる。その結果、セルロース複合体同士の絡み合いが密に生じることで、ネットワーク構造が剛直になり、粘度、及びチキソトロピー性が向上し、分散安定性、懸濁安定性が高くなる。
混練時の仕込みの固形分は、好ましくは0.1〜20質量%以下であり、より好ましくは0.5〜10質量%である。更に好ましいのは1〜5質量%以下である。
混練物の仕上がりの固形分は、20質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。上限は特に限定されないが、混練物が水分量の少ないパサパサな状態にならず、充分な混練効果と均一な混練状態が得られることを考慮して、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、固形分を上記範囲とするために、加水するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよいし、混練工程の途中で加水してもよいし、両方実施しても良い。
混練温度は、低いほど、ジェランガム、水溶性ガムの劣化が抑えられ、結果として得られるセルロース複合体の粘度、及びチキソトロピー性が高くなるため好ましい。混練温度は、0〜100℃が好ましく、2〜90℃がより好ましく、5〜70℃がさらに好ましく、10〜60℃が特に好ましく、10〜50℃が最も好ましい。上記の混練温度を維持するには、ジャケット冷却、放熱等の除熱、もしくは、加温を工夫することも自由である。
ここで混練エネルギーについて説明する。
混練エネルギーとは混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義するものである。混練エネルギーは、3Wh/kg以上とすることが好ましい。混練エネルギーが3Wh/kg以上であれば、混練物に与える磨砕性が高く、セルロースとジェランガム、及びジェランガム等との複合化が促進され、ルロース複合体の分散安定性、懸濁安定性は向上する。より好ましくは5Wh/kg以上であり、さらに好ましくは10Wh/kg以上である。混練エネルギーは、高い方が、複合化が促進されると考えられるが、混練エネルギーをあまり高くすると、ジェランガム、及び水溶性ガム等との低分子化が進み粘度、及びチキソトロピー性が逆に低下することから、混練エネルギーの上限は500Wh/kgとするのが好ましい。上記の混練エネルギーは無負荷時の値を引いた値のことである。
複合化の程度は、セルロースとその他の成分の水素結合の割合と考えられる。複合化が進むと、水素結合の割合が高くなり本発明の効果が向上する。また、複合化が進むことで、セルロース複合体の粘度、及びチキソトロピー性が高くなる。
本発明のセルロース複合体を得るにあたって、前述の混練工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。乾燥後のセルロース複合体の含水率は1〜20質量%が好ましい。含水率を20%以下とすることで、べたつき、腐敗等の問題や運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。また、乾燥後のセルロース複合体の含水率を1%以上とすることで、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。より好ましくは1.5%以上である。
セルロース複合体を市場に流通させる場合、その形状は、粉体の方が取り扱い易いので、乾燥により得られたセルロース複合体を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥したセルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(重量平均粒子径)としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。
乾燥したセルロース複合体を水中で攪拌した際、容易に分散し、セルロースが均一に分散した、なめらかな組織を持つザラツキの無い安定なコロイド分散体が形成される。特に、油や高塩濃度において、セルロースが凝集や分離を起こさず、安定なコロイド分散体を形成するために、安定剤として優れた機能を奏する。
<食品の種類・用途>
本発明のセルロース複合体は、種々の食品に使用できる。例を挙げると、コーヒー、紅茶、抹茶、ココア、汁粉、ジュース等の嗜好飲料、生乳、加工乳、乳酸菌飲料、豆乳等の乳性飲料、カルシウム強化飲料等の栄養強化飲料並びに食物繊維含有飲料等含む各種の飲料類、アイスクリーム、アイスミルク、ソフトクリーム、ミルクシェーキ、シャーベット等の氷菓類、バター、チーズ、ヨーグルト、コーヒーホワイトナー、ホイッピングクリーム、カスタードクリーム、プリン等の乳製品類、マヨネーズ、マーガリン、スプレッド、ショートニング等の油脂化工食品類、各種の乳化スープ、シチュー、ソース、タレ、ドレッシング等の調味料類、練りからしに代表される各種練りスパイス、ジャム、フラワーペーストに代表される各種フィリング、各種のアン、ゼリーを含むゲル・ペースト状食品類、パン、麺、パスタ、ピザ、各種プレミックスを含むシリアル食品類、キャンディー、クッキー、ビスケット、ホットケーキ、チョコレート、餅等を含む和・洋菓子類、蒲鉾、ハンペン等に代表される水産練り製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等に代表される畜産製品、クリームコロッケ、中華用アン、グラタン、ギョーザ等の各種の惣菜類、塩辛、カス漬等の珍味類、ペットフード類及び経管流動食類等である。
本発明のセルロース複合体は、これらの用途において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性改善剤、保型剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基材、食物繊維基剤、油脂代替などのカロリー化基剤として作用するものである。また、上記の食品がレトルト食品、粉末食品、冷凍食品、電子レンジ用食品等形態又は用時調製の加工手法が異なっていても本発明の効果は発揮される。
<食品へのセルロース複合体の添加方法>
食品中に本発明のセルロース複合体を添加する方法としては次の方法が挙げられる。主原料と同時に本発明のセルロース複合体を水に分散させることによって添加する方法、又は着色料、香料、酸味料、増粘剤等の主原料以外の成分と同時に本発明のセルロース複合体を水に分散させ、それを主原料に添加する方法が挙げられる。また、セルロース複合体の乾燥粉末を高塩濃度の水系媒体に分散する場合には、セルロース複合体を一旦、水に分散したあと、目的とする食品形態に添加する方が、セルロース複合体の分散性がより向上するために好ましい。セルロース複合体が乾燥粉末の場合、水への分散方法は、食品等の製造工程で通常使用される各種の分散機・乳化機・磨砕機等の混練機を使用して分散することができる。混練機の具体例としては、プロペラ攪拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー等の高圧ホモジナイザーに代表される分散機・乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクスとルーダー、タービュライザー等に代表される混練機等が使用できる。2種以上の分散機を組み合わせて使用してもかまわない。また、加温しながら行ったほうが分散は容易である。
<セルロース複合体の添加量>
本発明のセルロース複合体を食品に使用する場合、その添加量は、食品の種類によって変わるもので適宜決定すべきであるが、おおむね固形分で0.001〜30質量%である。好ましくは、0.005〜25質量%であり、より好ましくは0.01〜20質量%であり、さらに好ましくは0.02〜15質量%である。
<ソース類>
ソースとは、野菜、果実の搾汁、煮出汁、ピューレもしくはこれを濃縮したものに糖類、食酢、食塩、及び香辛料を添加し調製したもの、又はこれにカラメル、酸味料、アミノ酸液、糊料等を添加して調製した液体調味料として日本農林規格(JAS)で規格化されている。ウスターソース類は、粘度の違いによって、最もさらっとしたウスターソース(粘度が0.2Pa・s未満)、ややとろみのある中濃ソース(粘度が0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満)、中濃よりもさらに粘度の高い濃厚ソース(粘度が2.0Pa・s以上)に分けられている。ソースの例として、とんかつソース、ステーキソース、デミグラスソース、カレーソース、てりやきソース、焼きそばソース、焼きうどんソース、パスタソース、ハンバーガーソース、ブラウンソース、ピザソース、たこ焼きソース、お好み焼きソース、もんじゃ焼きソース、クリームソース等がある。本発明のセルロース複合体は、いずれの粘度のソースにも適用できる。
パン等の上にソースや具材がのったできあいの食品は、食品が製造されてから実際に食べられるまでに時間が経過している。時間の経過と共にソース、具材、たれ等の水分が離水を生じたり、その水分が基材のパン等へ染み込んだりして、外観上好ましくなくなり、酷くなると商品価値を損なうことがありクレームとなる。ソースの水分がパン等に染みこみを避ける為に、パンの切れ目の部分に予めバターやマーガリンを塗っておく場合もあるが、効果としては低いのが現状である。本開発品のセルロース複合体をソース等に配合すると、離水抑制効果が高く、水分の染みこみがパン等の食品への染みこみが抑制される。ソースに配合する複合体の配合量は、0.001〜5質量%、さらには0.01〜3質量%、最も好ましくは0,01〜1質量%である。
<乳化スープ>
乳化スープとは、水と油と本発明のセルロース複合体を含有する食品である。
具体的には、スープ類(ポタージュスープ、コーンクリームスープ、コンソメスープ、ホワイトスープ、ラーメンスープ、等)、ドレッシング類、たれ類などである。特にトンコツラーメンスープに本発明のセルロース複合体を配合すると、長時間において、著しく乳化性が向上し、水と油の分離が抑制されると共に、風味、コクの増強されたラーメンスープとなる。従来は、油成分主体のスープと水溶性成分主体のスープの2剤型のスープが使われるような油成分の風味に特徴のあるスープを1剤とすることが可能となる。スープに配合する複合体の配合量は、0.001〜5質量%、さらには0.01〜3質量%、最も好ましくは0,01〜1質量%である。
[実施例]
本発明を実施例に基づいて説明する。まず、以下に測定方法の説明をする。
<チキソトロピックインデックス(TI値)>
純水中にセルロース複合体の濃度を0.5質量%に調製した水溶液を、200mlトールビーカーに充填し、25℃に温調した後、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10M形粘度計)を用いて、ローターを6rpmで30秒間回転させた直後の粘度を測定した。その後、回転数を60rpmに変更し同じように30秒間回転させた直後の粘度を測定し、6rpmで測定した粘度値を60rpmで測定した粘度値で割った比を求めた。
<セルロース複合体の体積平均粒子径>
(1)セルロース複合体を、0.5質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた。
(2)得られた水分散体を、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で粒度分布を測定した。ここで得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径をセルロース複合体の体積平均粒子径とした。
<セルロース複合体の粘度測定法>
上記の体積平均粒子径の測定法で得られた水分散体ついて、分散1時間後(25℃保存)に、B形粘度計(ローター回転数60rpm。セットして30秒静置後に、30秒間回転させて測定した。
<セルロース複合体のチキソトロピー測定法>
上記の体積平均粒子径の測定法で得られた水分散体ついて、分散30分後(25℃保存)に、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:25.0℃一定、Shear Rate:0⇔200(1/s)、Zone Time:60秒で測定した。水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、5分間静置した後に、Thixotropic Loopモードで測定を開始する)により測定した。Shear Rate:0⇔200(1/s)のヒステリシスの面積を求めチキソトロピーとした。
<セルロース複合体の乳化安定>
セルロース複合体0.3質量%の分散液30gと純水120gとサラダ油150g(油/水の比が50/50)とを、TKホモミキサーにて10000rpmで10分間攪拌(室温)し、それを100mlの沈降管に移し、25℃の雰囲気で7日間、静置した際の懸濁している乳化層を目視で評価し、乳化層の割合を%で示した。
(実施例1)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、ウエットケーキ状のセルロース(以下、MCC)、ネイティブジェランガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製 ケルコゲル(登録商標)LT100)を用意し、二軸脱泡ミキサー5LVT型((株)小平製作所製、攪拌羽根はフック型)にMCC/ネイティブジェランガムの質量比が80/20となるように投入し、固形分15質量%となるように加水した。
その後、真空ポンプ(−0.1MPa)で吸引しながら、500rpmで混練し、混練上がりの固形分を20質量%となるセルロース複合体Aを得た。混練エネルギーは、18Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して、20〜43℃であった。
得られたセルロース複合体AのTI値は1.6であり、粘度は、590mPa・sであり、ヒステリシスの面積は45であった。また、セルロース複合体Aの体積平均粒子径は22.3μmであり、コロイド状セルロース成分は65質量%であった。セルロース複合体Aの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
また、セルロース複合体Aを0.3質量%濃度で純水懸濁液とし、スリーワンモーター(新東科学(株)製、「BL600」処理条件500rpm×10分間)で分散させた。得られた水分散体を、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理なし、屈折率1.20)で粒度分布を測定し、体積平均粒子径を測定した結果、98.3μmであった。
(実施例2)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガムの質量比が18/82、仕込みの固形分が20質量%となるように加水した。
その後、実施例1と同じように真空ポンプ(−0.1MPa)で吸引しながら、500rpmで混練し、混練上がりの固形分を35質量%となるセルロース複合体Bを得た。混練エネルギーは、20Wh/kgであった。混練温度は、22〜45℃であった。得られたセルロース複合体BのTI値は3.5であり、粘度は、2800mPa・sであり、ヒステリシスの面積は3671であった。また、セルロース複合体Bの体積平均粒子径は25.0μmであり、コロイド状セルロース成分は62質量%であった。セルロース複合体Bの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガムの質量比が40/60、仕込みの固形分が10質量%となるように加水した。
その後、実施例1と同じように真空ポンプ(−0.1MPa)で吸引しながら、500rpmで混練し、混練上がりの固形分を42質量%となるセルロース複合体Cを得た。混練エネルギーは、40Wh/kgであった。混練温度は、25〜48℃であった。
その後、混練物をステンレス容器に薄く全面に置き、オーブン(エスペック(株)製 PV−211)の温度100℃中に約30分間放置し乾燥させた後、超遠心粉砕器((株)日本精機製作所製)で粉体(回転数14,000rpm、スクリーン1.0mmφ)にし、セルロース複合体Cを得た。
得られたセルロース複合体CのTI値は4.8であり、粘度は、4410mPa・sであり、ヒステリシスの面積は4522であった。また、セルロース複合体Cの体積平均粒子径は22.6μmであり、コロイド状セルロース成分は65質量%であった。セルロース複合体Cの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガム/CMC−Na(第一工業製薬(株)、F−7A、1%溶解液の粘度11mPa・s)の質量比が40/50/10、仕込みの固形分が15質量%となるように加水した。
その後、実施例1と同じように真空ポンプ(−0.1MPa)で吸引しながら、500rpmで混練し、混練上がりの固形分を37質量%となるセルロース複合体Dを得た。混練エネルギーは、30Wh/kgであった。混練温度は、20〜42℃であった。
得られたセルロース複合体DのTI値は4.7であり、粘度は、3311mPa・sであり、ヒステリシスの面積は3600であった。また、セルロース複合体Dの体積平均粒子径は15.9μmであり、コロイド状セルロース成分は67質量%であった。セルロース複合体Dの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガム/ソルビトール(物産フードサイエンス(株)製 ソルビトールFP)の質量比が20/30/50、仕込みの固形分が10質量%となるように加水した。その後、実施例1と同じように真空ポンプ(−0.1MPa)で吸引しながら、500rpmで混練し、混練上がりの固形分を42質量%となるセルロース複合体Eを得た。混練エネルギーは、40Wh/kgであった。混練温度は、25〜48℃であった。その後、混練物をステンレス容器に薄く全面に置き、オーブン(エスペック(株)製 PV−211)の温度100℃中に約30分間放置し乾燥させた後、超遠心粉砕器((株)日本精機製作所製)で粉体(回転数14,000rpm、スクリーン1.0mmφ)にし、セルロース複合体Eを得た。
得られたセルロース複合体EのTI値は3.3であり、粘度は2570mPa・sであり、ヒステリシスの面積は3005であった。また、セルロース複合体Eの体積平均粒子径は8.5μmであり、コロイド状セルロース成分は73質量%であった。セルロース複合体Cの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
また、実施例1と同じようにセルロース複合体Eを0.3質量%濃度で純水懸濁液とし、スリーワンモーター(新東科学(株)製、「BL600」処理条件500rpm×10分間)で分散させた。得られた水分散体を、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理なし、屈折率1.20)で粒度分布を測定し、体積平均粒子径を測定した結果、8.8μmであり、易分散性を示した。
(実施例6)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガム/脱アシル型ジェランガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製 ケルコゲル(登録商標))との質量比が60/20/20となるように、固形分15質量%となるように加水した。その後、実施例1と同じように真空ポンプ(−0.1MPa)で吸引しながら、500rpmで混練し、混練上がりの固形分を25質量%となるセルロース複合体Fを得た。混練エネルギーは、25Wh/kgであった。混練温度は、24〜49℃であった。その後、混練物をステンレス容器に薄く全面に置き、オーブン(エスペック(株)製 PV−211)の温度100℃中に約30分間放置し乾燥させた後、超遠心粉砕器((株)日本精機製作所製)で粉体(回転数14,000rpm、スクリーン1.0mmφ)にし、セルロース複合体Fを得た。
得られたセルロース複合体FのTI値は2.3であり、粘度は650mPa・sであり、ヒステリシスの面積は90であった。また、セルロース複合体Fの体積平均粒子径は21.2μmであり、コロイド状セルロース成分は75質量%であった。セルロース複合体Fの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガム/脱アシル型ジェランガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製 ケルコゲル(登録商標))との質量比が60/20/20となるように、固形分30質量%となるように加水した。その後、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)で126rpmにて混練して、セルロース複合体Gを得た。混練上がりの固形分は35質量%であった。混練エネルギーは19Wh/kgであり、混練温度は、実施例1と同様に測定され、混練を通して20〜58℃であった。
セルロース複合体GのTI値は1.8であり、粘度は610mPa・sであり、ヒステリシスの面積は82であった。また、セルロース複合体Gの体積平均粒子径は24.3μmであり、コロイド状セルロース成分は68質量%であった。セルロース複合体Gの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガムとの質量比が80/20となるよう秤量し、固形分30質量%となるように加水した。その後、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)で126rpmにて混練し、セルロース複合体Hを得たが、非常に柔らかいものであった。混練上がりの固形分は30質量%であった。混練エネルギーは0Wh/kgであり、混練温度は、実施例1と同様に測定され、混練を通して20〜21℃であった。セルロース複合体HのTI値は1.0であり粘度は2mPa・sであり、ヒステリシスの面積は0であった。また、セルロースの複合体Hの体積平均粒子径は47.3μmであり、コロイド状セルロース成分は8質量%であった。セルロース複合体Hの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表―1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様にしてウェットケーキ状のセルロースを作成し、MCC/ネイティブジェランガムとの質量比が90/10となるよう秤量し、固形分15質量%となるように加水した。その後、実施例1と同じように真空ポンプ(−0.1MPa)で吸引しながら、500rpmで混練し、混練上がりの固形分を35質量%となるセルロース複合体Iを得た。混練エネルギーは、20Wh/kgであった。混練温度は、21〜46℃であった。
セルロース複合体IのTI値は1.2であり、粘度は27mPa・sであり、ヒステリシスの面積は13であった。また、セルロース複合体Iの体積平均粒子径は22.6μmであり、コロイド状セルロース成分は62質量%であった。セルロース複合体Iの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。
(比較例3)
MCCとしてセオラス(登録商標)FD−301(旭化成ケミカルズ(株)製)とネイティブジェランガムとの質量比が40/60となるようにポリ袋中で粉混合しセルロース混合物Jを得た。セルロース混合物JのTI値は1.1であり、粘度は3170mPa・sであり、ヒステリシスの面積は2079であった。また、セルロースとネイティブジェランガムの混合体であるセルロース混合物Jの体積平均粒子径は31.2μmであり、コロイド状セルロース成分は25質量%であった。セルロース粉混合物Jの乳化安定性(乳化層)について評価し、結果を表−1に示す。

結晶セルロース複合体C、結晶セルロース混合物J、ネイティブジェランガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製 ケルコゲル(登録商標)LT100)それぞれを高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で粘度が2000mPa・sとなる分散液を作成した。結晶セルロース複合体Cの分散液は0.38質量%、結晶セルロース混合物Jの分散液は0.40質量%、ネイティブジェランガムの分散液が0.23%であった。
(実施例8)
トマトケチャップ200質量部に純水60質量部、結晶セルロース複合化物C 0.38質量%の分散液(分散液の粘度は2000mPa・s)20質量部をステンレス容器に入れて、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製、MARKII)8,000rpmで5分間攪拌しトマトソースを作製した。作製したトマトソース10.0質量部を、食パン(縦4.0cm、横5.5cm、厚さ3cm)上部に均一に塗り、タッパに入れて室温で2日間静置した。その後、トマトソースの水分がどの程度食パンへ染みこんでいるかの評価を行った。染みこみの評価は、ソースをのせた上面と床に密着している下面以外の4面において、食パン全体像をデジタルカメラで撮影し、パンの面積とソースの染み込みの面積を画像解析装置で評価した。ソースが染み込んだ割合は食パンにソースが染み込んだ部分を食パン前面の面積で除した値を計算し、食パンにソースが染み込んだ割合とした。結晶セルロース複合化物Cの染みこみは11.3%であった。
(比較例4)
結晶セルロース混合物J0.40質量%の分散液(分散液の粘度が2000mPa・s)20質量部以外は、実施例6と同じ操作でトマトソースを作製し、染みこみ部分の割合を評価した。結晶セルロース混合物Jの染みこみは、26.2%であった。
(比較例5)
ネイティブジェランガム0.23質量%の分散液(分散液の粘度が2000mPa・s)20質量部以外は、実施例6と同じ操作でトマトソースを作製し、染みこみ部分の割合を評価した。染みこみは27.0%であった。
(実施例9)
結晶セルロース複合体C0.23質量%(分散液の粘度が425mPa・s)の分散液20質量部以外は、実施例8と同じ操作でトマトソースを作製し、染みこみ部分の割合を評価した。染みこみ部分は13.2%であった。
(比較例6)
純水60質量部を80質量部に変え、結晶セルロース複合体を0質量部以外は、実施例8と同じようにトマトソースを作製し、染みこみ部分の割合を評価した。染みこみは31.0%であった。
(比較例7)
市販のとんこつラーメンスープ(グリコ栄養食品(株)商品名:麺好亭 香 内容量43g)を500mlのステンレスビーカーに入れて、お湯(水道水:95℃)を300g注ぎ、TKホモミキサーで10,000rpmで5分間攪拌した。その後、100mlを沈降管に入れて室温で静置(25℃)し、7日後の状態を目視で観察した。沈降管の目盛り6体積%に分離が生じ、沈降管底部より、スパイスの沈降量も観察したが、かなり多かった。また、作製したラーメンスープの粘度を粘度計で測定した結果、2.5mPa・sであった。
(実施例10)
セルロース複合体Cを配合したラーメンスープを作製した。セルロース複合体Cを0.11g配合(セルロース複合体Cの固形分42質量%)、お湯の量を299.89gにすること以外は、比較例7と同じ操作である。(ラーメンスープ全量300gに対し、セルロース複合化物の濃度は、0.015質量%)
比較例7と同じように評価し、分離は全く生じず、スパイスの沈降は極微量であった。ラーメンスープの粘度は3.2mPa・sであった。
(比較例8)
セルロース複合体Hを配合したラーメンスープを作製した。セルロース複合体Cを0.11g配合(セルロース複合体Cの固形分42質量%)、お湯の量を299.89gにすること以外は、比較例7と同じ操作である。(ラーメンスープ全量300gに対し、セルロース複合体の濃度は、0.015質量%)
比較例7と同じように評価し、沈降管の目盛り5体積%に分離が生じ、スパイスの沈降は多かった。ラーメンスープの粘度は、3.0mPa・sであった。
本発明は、本発明のセルロース複合体を含有するソースやスープの食品において、ボディ付与、基材へのソース染み込み抑制に優れた効果を発揮するので、これらの食品の商品価値を高めるのに有用である。

Claims (6)

  1. セルロースを0.5〜85質量%、ジェランガムを15〜99.5質量%含むセルロース複合体であり、該セルロース複合体を固形分0.5質量%の水分散液としたときのチキソトロピ−インデックスが1.5以上であるセルロース複合体。
  2. 前記水分散液のチキソトロピーの挙動から得られるヒステリシスの面積が15以上である請求項1に記載のセルロース複合体。
  3. 請求項1又は2に記載のセルロース複合体を含む食品加工品。
  4. 請求項1又は2に記載のセルロース複合体を含むソース類。
  5. 請求項1又は2に記載のセルロース複合体を含む乳化スープ。
  6. 請求項1又は2に記載のセルロース複合体を、固形分で0.001〜30質量%含む食品加工品。
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