JP6596262B2 - 揚げ菓子 - Google Patents

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Description

本発明は揚げ菓子に関する。
詳しくは、気泡を含む菓子において、密度および食感が高度に制御された穀粉を含む固体状の揚げ菓子に関する。
ドーナツ菓子に代表される揚げ菓子は、小麦粉などの穀粉を主原料とし、水、油脂類、卵等を混ぜ合わせた生地を油でフライ、あるいは焼成することで得られる菓子である。ここではドーナツ菓子を例に説明する。
菓子は主に生地を膨張させる方法の違いにより、ケーキドーナツ、イーストドーナツ、フレンチクルーラーの3種類に大別される。ケーキドーナツはベーキングパウダー等の膨張剤により膨張させる。イーストドーナツはパンと同様にイースト酵母が排出する炭酸ガスを利用して膨張させる。フレンチクルーラーは膨張剤、イースト酵母を配合することなく、又は少量しか配合することなく、生地中に水分を多量に配合し、この水分が加熱時に膨張することを利用して、生地を膨張させる。このように、生地が膨張することにより、生地は表面、内部に多数の細孔が発生し、非常に粗い構造となる。このため、特に油でフライする際に、生地中に油を取り込んでしまい、食感が油っぽくなってしまう問題があった。この問題は、生地の密度が低く、粗い生地のものほど顕著であるが、密度を変えると同時に食感が変わってしまうため、菓子において食感に影響を与えることなく、吸油量を低減する方法が求められてきた。
また、近年は食の多様化が進み、新たな食感の食品が求められている。その中には、表面はサクサクにも関わらず、内部はふんわりとした食感のような複雑な食感もある。しかし、揚げ菓子の場合、フライ中の吸油のため上記のような食感を達成するのは困難であった。たとえ、上記のような食感を実現できても、試作後に長時間保存すると、内部の気泡がつぶれ、試作直後の食感が失われてしまう問題があった。このため、フライ工程を経る菓子において、サクサク且つふんわりとした食感を実現し、その食感を維持する方法が求められてきた。
一方、これまで、セルロースを含んだ食品について様々な検討がなされている。
特許文献1には86質量%以下の穀粉、糖類、油脂と、0.01質量%以上のセルロースを含み、密度が0.30〜1.00g/cm3である菓子について記載されている。
特許文献2には、水不溶性あるいは水膨潤性のカルボキシメチルセルロースを構成成分として含むことが必須であり、微細セルロース粉末を含むことを特徴とする、澱粉含有穀物粉末、水を必須成分とするドウ組成物について記載されている。
特許文献3には、アルギン酸エステルを含有することを特徴とするパン類およびドーナツ類の生地改良剤について述べられており、さらに添加してもよい繊維質の具体例としてセルロースや微結晶セルロースが記載されている。
特許文献4には、米粉とグルテンを原料として作られる米粉パンにおいて、米粉を使用したことに起因する生地のべたつきを改良するために、粉末結晶セルロースを配合することを特徴とする米粉パンについて記載されている。
特許文献5には、穀粉に水を加え混練した生地を乾燥し粉砕した粉砕物および増粘多糖類を含有することを特徴とするベーカリー製品について述べられており、増粘多糖類として微結晶セルロースを用いても良いと記載されている。
特開2014−87313号公報 特開平10−262541号公報 特開2004−65245号公報 特開2010−142189号公報 特開2013−179889号公報
上記の通り、セルロースを含んだ菓子、パン、ドウ組成物について様々な検討がなされている。
特許文献1には、菓子類にセルロースを配合することによって、食感に影響を与えることなく衝撃を与えた際の割れ欠けを抑制する旨が記載されている。
しかしながら、菓子類の具体例として、ビスケット、クッキー、プレッツエル、ウエハース、クラッカー、サブレ、ボーロの開示はあるが、密度が低い気泡を含む揚げ菓子についての記載はない。また、サクサク且つふんわりとした食感を付与し、その食感を長時間維持することも、フライ時の吸油を低減することについても記載されていない。
特許文献2に記載されているドウ組成物は、エーテル置換度0.01〜0.4のカルボキシメチルセルロースを配合し、さらに平均粒径が0.5μm以上40μm以下の微細セルロースを配合することで、ドウの粘着性の制御が容易になり、成型工程における装置への付着、ドウの切れなどの作業性を改善し、さらにサクイ性、クリスピー感を得られる旨が記載されている。
しかしながら、実施例に挙げられているドーナツは密度の高いケーキドーナツであり、生地の水分量が少なく、そもそも吸油性は特に問題とならないものである。なお、本発明者が特許文献2の実施例に記載された処方のケーキドーナツを作製して密度を測定したところ0.51g/cm3であり、サクサク且つふんわりとした食感も得られなかった。
特許文献3に記載されている、アルギン酸エステルを含有するパン類およびドーナツ類の生地改良剤は、前記生地改良剤を生地に配合することで、焼成またはフライ後に歪みや腰折れを生じ難く、ソフトで弾力のある状態を維持することができ、保形性、機械耐性および食感も優れているパン類およびドーナツ類が得られる旨が記載されている。そして、任意で添加してもよいとされる繊維質の具体例としてセルロースや微結晶セルロースが記載されている。
しかしながら、実施例には繊維質としてセルロースを配合した例が記載されておらず、また、開示されているドーナツも比較的密度の高いイーストドーナツであり、生地の水分量が少なく、そもそも吸油性は特に問題とならないものである。なお、本発明者がセルロースとして結晶セルロースを1%配合し、特許文献3の実施例に記載された処方の生地改良剤を配合したイーストドーナツを作製して、密度を測定したところ0.55g/cm3であり、サクサク且つふんわりとした食感も得られなかった。
特許文献4には、米粉とグルテンと粉末結晶セルロースを配合する米粉パンは、米粉特有の生地のべた付きが改良され、作業性が向上する上、焼き上げ製品の表面が柔らかくなる効果が得られる旨が記載されている。この米粉パンは、揚げパン、イーストドーナツとしても用いることが出来る旨が記載されているが、実施例には揚げパン、イーストドーナツの例は記載されていない。また、サクサク且つふんわりとした食感を付与し、フライ時の吸油を低減する効果についても記載されていない。
特許文献5に記載されている、穀粉に水を加え混練した生地を乾燥し粉砕した粉砕物、増粘多糖類を配合したベーカリー食品は、老化耐性およびレンジアップ耐性が付与される旨が記載されている。しかしながら、実施例では増粘多糖類としてセルロースではなくペクチンを使用したパンしか記載されていない。
このように、揚げ菓子において、フライ時の吸油を低減し、サクサク且つふんわりとした食感を付与すること、長時間保存しても、フライ直後の食感を維持することは、現在達成されておらず、本発明ではこの点を課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、密度が0.40g/cm3以下であり、最大荷重が200gf以下の揚げ菓子において、フライ前の生地にセルロースを配合することで、フライ時の生地の吸油を低減することができ、これにより、ふんわりとした食感を得られることを見出した。
さらに、生地にセルロースを配合した揚げ菓子は、フライ後長時間保存しても、フライ直後の食感を維持できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は下記の通りである。
[1]穀粉、油脂、及びセルロースを含み、内部の密度が0.40g/cm3以下であり、最大荷重が200gf以下である、揚げ菓子。
[2]厚みが10mm以上である、[1]に記載の揚げ菓子。
[3]前記セルロースが結晶セルロースである、[1]又は[2]に記載の揚げ菓子。
[4]前記セルロースが、長径と短径の比(L/D)が2.0以上の粒子形状を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の揚げ菓子。
[5]前記セルロースを0.01質量%以上含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の揚げ菓子
[6]穀粉、油脂、35質量%〜65質量%の水、及び、セルロースを含有する生地をフライする工程を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の揚げ菓子を製造する方法。
[7]穀粉、油脂、及び35質量%〜65質量%の水を含む生地をフライする際、前記生地にセルロースを添加することにより、生地への吸油を抑制する方法。
[8]穀粉、油脂、セルロース、及び、35質量%〜65質量%の水を含む、揚げ菓子用生地。
本発明によれば、揚げ菓子をフライする際の吸油を低減することができ、サクサク且つふんわりとした食感を有し、長時間保存してもフライ直後の食感を維持できる揚げ菓子を提供することができる。
実施例4と比較例1の菓子用生地の付着性について測定した際の時間−応力曲線である。
本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、以下に具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態は、穀物及び油脂を含む揚げ菓子に関するものであり、さらにセルロースを含有し、密度が0.40g/cm3以下であり、最大荷重が200gf以下であるものに関する。
<揚げ菓子の形状>
本実施形態の揚げ菓子の形状としては、任意の形状を選択することが出来る。例えば、立方体、直方体、棒状、円形、球状、円錐状、三角錐状、星形、ある特定の動物や、食物や、乗り物等、通常の菓子の製造で使用できる成形機で製造可能なものであれば、どのような形状でもよい。
<揚げ菓子>
本実施形態における揚げ菓子とは、後述するフライ工程を経て得られた菓子のことであり、例えば、JAS法における、米菓、油菓子、スナック菓子などに代表される菓子である。具体的には、ケーキドーナツ、イーストドーナツ、フレンチクルーラー、チュロス、揚げパン等が挙げられる。
<揚げ菓子の製造方法>
本実施形態における揚げ菓子は一般に公知の方法で製造される。すなわち、穀粉などの粉末原料をブレンド粉とする工程、水等の水分を含む原料を上記ブレンド粉と混合し生地を作製する工程、上記の生地を成形する工程、内容物がある場合は生地に内容物を包み込む工程、フライ、減圧乾燥、凍結乾燥等、冷凍の処理をする工程等を経て製造することができる。
生地をフライ後に、フライされた生地に糖液、チョコレート等の水系媒体で菓子をコーティングしても良い。また、ホイップクリーム、カスタードクリームなどの内容物を注入、又は菓子に切れ込みを入れて挟んでも良い。
<フライ工程>
本実施形態におけるフライ工程とは、生地を油に接触させる工程をいう。油と接触させることで、生地の表面の水分を瞬間的に蒸発させ、油と直接接触した食品部分を硬化させる調理方法である。
使用する油は、食用の油脂であれば制限はなく、例えばサラダ油、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油、ヤシ油、綿実油、ひまわり油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、魚油、これらの硬化油、エステル化油などが挙げられる。これらを2種類以上混合してもよい。フライの温度(食品を接触させる油の温度、通常は80℃以上の高温であり、例えば、120〜220℃、一般的には150〜190℃である。)や時間(通常は数秒〜数十分であり、例えば、1分〜15分、一般的には3分〜10分である)は、製品の大きさや形状により適宜調整されるものであり、特に制限はない。
<菓子の厚み>
本実施形態における菓子の「厚み」とは、フライ後の厚みであり、穀粉、液体原料、油脂類などを含んだ菓子用生地が油でフライされ膨張した後の、その生地自体の厚みのことである。
例えば、その他の食品と菓子用生地とを組み合わせて、フライした場合においては、その複合食品の厚みでなく、生地のみの厚みを指す。なお、ここでいう厚みはフライ後の菓子を包丁等で断面出しをした後に、ノギスを用いてその断面の厚みを測定することで得られる。
菓子のフライ後の厚みは10mm以上が好ましい。菓子のフライ後の厚みが10mm以上であると、加熱による膨張が十分であり、ふんわりとした食感の菓子を得ることが出来る。より好ましくは20mm以上であり、さらに好ましくは30mm以上であり、最も好ましくは40mm以上である。上限は特に制限はないが、調理の容易さ、喫食の容易さを勘案すると200mm以下である。
<吸油率>
本実施形態における吸油率とは、菓子の単位質量当たりの、フライ時に吸った油の割合のことであり、フライ前の生地中に含まれる油脂類の量は勘案されない。本実施形態においては、食感を勘案すると吸油率は35質量%以下が好ましい。吸油率が24質量%以下であると、フライ後の食感が軽く、高いクリスピー感を得られるためより好ましい。さらに好ましくは22質量%以下であり、なお好ましくは20質量%以下であり、最も好ましくは18質量%以下である。
<吸油率の測定方法>
本実施形態において、吸油率はフライ後の菓子から油分をエーテル抽出することで得られる。
具体的な測定方法は、フライ直後の菓子を5mm四方になるようにはさみでカットする。カットした菓子を精密天秤で3g計量し、ガラス製のビーカーに投入する。そのビーカーにジエチルエーテル100mlを投入し、マグネチックスターラーを用いて5時間撹拌し(100rpm)、油分を抽出する。その後、ロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−1100)を用いて、抽出液から溶媒を除去し(350mbar)、抽出物をスクリュー瓶に保存する。さらに真空乾燥器(東京理化器械(株)製、VACUUM OVEN VOS−301SD)を用いて、3時間真空乾燥する(圧力−0.1MPa以下、温度40℃)。真空乾燥後のスクリュー瓶の質量を測定し、フライ後の菓子から抽出された油の量を定量し、以下の計算式より油含有率を算出する。
吸油率(質量%)={(抽出された油の質量/スクリュー瓶に投入したフライ後の菓子の質量)×100}−フライ前の生地中に含まれる油脂類の量(質量%)
<密度>
本実施形態の菓子は、内部の密度が0.40g/cm3以下である。密度が当該範囲に入ることで、ふんわりとした食感が得られる。なお、ここでいう菓子の密度とは見かけ密度を意味し、菓子の内部を直方体形状に切断して質量を測定し、ノギスで各辺の長さを測定して体積を算出し、前記質量を該体積で割ることで求められる。なお、内部とは、油と接触したことにより硬質化した表面層よりも内側にある部分をいう。
本実施形態において密度(単位:g/cm3)とは、揚げ菓子の内部の密度であり、菓子が、クリーム等の具材を含む場合、その具材を全て除いた揚げ菓子部分の密度のことを指す。
菓子の密度が0.40g/cm3以上である場合、口どけが悪く、もさもさした食感になる。菓子の密度は、食感の観点から、より好ましくは、0.35g/cm3以下であり、最も好ましくは0.30g/cm3以下である。
また、密度が小さすぎる場合には、吸油率が高まる傾向にある。したがって、菓子の内部の密度は、0.1g/cm3以上であることが好ましく、0.2g/cm3以上であることがより好ましい。
<最大荷重>
本実施形態の菓子は最大荷重が200gf以下であることが必要である。最大荷重が前述の範囲を満たすことにより、クリスピー感がありサクサクとした好ましい食感の菓子になる。なお、最大荷重は、少なくとも喫食時(市場流通時)に200gf以下であることが必要である。最大荷重は、一般にフライ直後より経時的に低下するが、フライ直後においても200gf以下であることが好ましく、測定時期によらず常に200gf以下であることが好ましい。
本実施形態の菓子において、最大荷重の測定は、厚みが8mm以上である菓子をテストピースとして用いることが好ましい。最大荷重は、テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:P−20N型、温度:25.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−Test Speed:1.0mm/s,Test−Speed:1.0mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:5mm,Triger Type:Auto 5g)により測定することができる。本実施形態における最大荷重は、上述の測定で得られた時間−応力曲線上の、応力の最大値のことである。この最大荷重の値が大きいほど、菓子がサクサクとした食感であることを表している。
食感の観点から菓子の最大荷重が200gf以下である必要がある。より好ましくは、150gfであり、さらに好ましくは120gf以下であり、最も好ましくは、100gf以下である。
<最大荷重維持率>
本実施形態において、最大荷重維持率とは、フライ直後の最大荷重に対するフライ後2時間経過時の最大荷重の割合(%)をいう。
本実施形態の菓子は、最大荷重維持率が70%以上であることが好ましい。フライ後2時間経過時の最大荷重がフライ直後の最大荷重の7割以上の値を示すことで、試作直後のサクサクとした食感を維持することが出来る。
フライ後2時間経過時の最大荷重がフライ直後の最大荷重の70%以上の値であると、試作後時間が経過してもフライ直後の菓子本来の食感を維持できていると言える。他方、フライ後2時間経過時の最大荷重がフライ直後の最大荷重の70%以下の値であると、フライ直後の菓子の食感は失われてしまう。より好ましくは、75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、最も好ましくは85%以上である。
<ドーナツ菓子>
本実施形態において、ドーナツ菓子とは、穀粉、液体原料、及び、油脂を必須成分とし、必要に応じて、卵や食塩や糖類等の調味料や香料、食品衛生法によって定められる、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物などを含むドーナツ菓子用生地を、油でフライ、又は焼成することで得られる揚げ菓子のことである。
穀粉は後述するものがあげられ、例えば小麦粉である。液体原料としては、例えば水、酒類などの食用アルコール、牛乳、加工乳、豆乳、果汁、飲料など水を主体とする液体成分が挙げられる。油脂としては後述するものがあげられ、例えばバターやマーガリンである。油脂としては、2種以上の油脂を混合したものでもよく、常温で固体の油脂が好ましい。
穀粉、液体原料、及び、油脂以外の成分としては、生地の混練性や油脂の粘度等の物性に影響を与えない限り、あらゆる可食物を含んでも良く、例えば、澱粉などの増粘効果を有する材料、食塩や糖類等の調味料や香料、食品衛生法によって定められる、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物などを含んでいてもよい。
<フレンチクルーラー>
本実施形態において、フレンチクルーラーとは、菓子用の生地を膨張させる方法が、主に菓子用生地中に含まれる水分の気化に由来することを特徴とする菓子のことである。必要に応じて少量の膨張剤を用いても良い。一般に、フライ前のフレンチクルーラー用の生地の水分は30質量%以上である。水分が30%以上だとフライ時に高い膨張効果が得られる。より好ましくは35質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは45質量%以上であり、最も好ましくは50質量%以上である。上限についてはフライ時の保形性、食感を勘案すると70質量%以下であることが好ましい。
<フライ前の菓子用生地の水分>
本実施形態における、フライ前の菓子用生地の水分は35質量%以上であることが好ましい。水分が35質量%以上であることにより、フライ時の膨張性が優れ、密度の低いふわふわとした食感の揚げ菓子が得られるためである。より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは45質量%以上であり、最も好ましくは50質量%以上であり、上限については、食感、吸油性を勘案すると65質量%以下であることが好ましい。より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。
水分が35質量%以上である場合には、フライ時の水分の気化により菓子を十分膨張させることができるので、イースト等のその他の膨張剤や、グルテン等の膨張助剤を含有させなくてもよい。
<フライ前の菓子用生地の水分測定方法>
本実施形態において菓子用生地の水分は公知の測定方法で測定することが出来る。例えば、赤外線水分計を用いて測定することもできるし、或いは、加熱前後の生地の質量を測定することによって、決定することもできる。すなわち、まず生地の質量を測定し、次いで生地を質量変化がなくなるまで105℃で維持する。質量変化がなくなったときの生地の質量を測定し、加熱前と比較して、加熱後に減少した質量から水分量を決定することができる。
<フライ前の菓子用生地の付着性>
本実施形態における菓子の付着性とは、フライ前の菓子用生地の混練機や型等に対する付着の度合いを示す指標である。
<フライ前の菓子用生地の付着性測定法>
本実施形態の菓子において、付着性は、フライ前の菓子用生地を直径50mm、高さ50mmの円筒形のSUS製容器に詰めたテストピースを用いて測定する。付着性は、テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:P/10型、温度:25.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−Test Speed:1.0mm/s,Test−Speed:1.0mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:5mm,Triger Type:Auto 5g)により測定することができる。
本実施形態における付着性は、上述の測定で得られた、測定治具を菓子用生地から引き上げる際の時間−応力曲線と、応力が0gfになるまでの時間により形成される面積値のことである。図1に該時間−応力曲線の具体例を示す。図1は後述する実施例4と比較例1の菓子用生地の付着性について測定した際の時間−応力曲線である。図1において塗りつぶした部分の面積値が付着性を示す。この面積値が大きいほど、生地の付着性が高いことを示している。
混練機や型への生地の付着性を勘案すると、付着値は−20gf・sec以上が好ましい。より好ましくは、−15gf・sec以上であり、さらに好ましくは−12gf・sec以上であり、最も好ましくは−10gf・sec以上である。
<穀粉>
本実施形態の菓子には、穀粉が配合される。穀粉を含むことで、充分な栄養価を持つ菓子になるためである。また、水分と反応してグルテンの網目構造を形成し、フライ時の熱により膨張した構造を支えるためである。
本実施形態において、穀粉とは、イネ科穀物類(小麦、大麦、ライ麦、米、とうもろこし、テフ、ひえ)、豆類(大豆、ヒヨコマメ、エンドウマメ等)、擬穀類(蕎麦、アマランサス等)、イモ類・根菜類(片栗、馬鈴薯、葛、タピオカ等)、木の実(栗、どんぐり)等を挽いて作られた粉末のことである。原料として、これらのうち1種の穀粉を使用しても、2種以上を混合したものを使用してもよい。
これらの中でも、食感(ふんわり感)の観点からは、米粉以外のイネ科穀物類の穀粉が好ましく、とりわけ小麦粉が好ましい。
<小麦粉>
小麦粉とは、小麦を挽いて作られた粉末のことである。小麦粉は、そこに含まれるタンパク質の割合と形成されるグルテンの性質によって薄力粉、中力粉、強力粉、浮き粉、全粒粉、グラハム粉、セモリナ粉等に分類されるが、いずれも本実施形態でいう小麦粉に該当する。
本実施形態において菓子に配合する小麦粉の量は、好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上であり、特に好ましくは30質量%以上であり、最も好ましくは35質量%である。小麦粉は多いほど、栄養価に優れるため好ましい。上限については、食感の観点で、80質量%以下が好ましい。
小麦粉の中でも、本実施形態の菓子には、生地の延性の観点から強力粉、中力粉、又は、薄力粉が好ましい。小麦粉中のタンパク質の割合が大きいと延性が悪くなるためである。強力粉は、タンパク質の割合が12質量%以上のもので、中力粉は、タンパク質の割合が11.9〜8.6質量%のもので、薄力粉は、タンパク質の割合が8.5質量%以下のものである。これらのうち1種の穀粉を使用しても、2種以上を混合したものを使用してもよい。
<糖類>
本実施形態において、菓子には、糖類を適宜配合してもよい。糖類を含むことで、甘味が付与でき、老若男女が好む味の菓子となる。
本実施形態で用いることのできる糖類とは、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖(グルコース)、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、D−キシロース、澱粉加水分解物、デキストリン等の糖類、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類をあげることができる。これらの糖類は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でもショ糖が味の点で好ましい。
菓子に配合する糖類の量としては、好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは無配合である。ただし、ここでいう配合とはフライ前の菓子用生地に配合される糖類のことであり、フライ後の菓子に対し、まぶす、液糖に浸すなどの方法で加えられた糖類は含まれない。糖類は、一般にグルテンの網目構造の形成を阻害する働きがあるため、多いほど、フライ後の食感、形状が悪化してしまう傾向がある。
<油脂>
本実施形態において、菓子には油脂が適宜配合される。油脂を含むことで、フライ後の菓子の風味が向上する。
本実施形態で用いることのできる油脂としては、例えば、植物性油脂、動物性油脂およびそれらの加工品が例示できる。また、そのような油脂類としては、市販の任意の油脂類が使用できる。当該油脂類の例としては、ショートニング、マーガリン、バター、ラード、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油及びヤシ油バター、生クリーム、硬化油脂、エステル交換油脂等が挙げられる。この中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの中でも、ショートニング、バター、ラード、マーガリン等が風味の点で、好ましい。
本実施形態の菓子に配合する油脂の量としては、フライ後の菓子の風味の観点から1質量%以上が好ましい。より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、最も好ましくは15質量%以上である。上限は特に定められるものでないが、食感、風味を勘案すると50質量%以下であることが好ましい。
<セルロース>
本実施形態の菓子は、セルロースを含有する。菓子にセルロースを配合することで、菓子にサクサク且つふんわりとした食感を付与し、フライ時の吸油抑制効果が向上し、さらにフライ直後の食感を維持する効果が得られる。
本実施形態において、「セルロース」とは、セルロースを含有する天然由来の水不溶性繊維質物質の粉末をいう。
原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然セルロース系物質を使用してもよいし、また2種以上を混合したものを使用することも可能である。
セルロースとしては、上記の原料を酸加水分解、酵素分解、アルカリ加水分解、或いは爆砕処理等により特定の重合度に加水分解し、必要に応じ、摩砕、粉砕等の機械的処理を経て、粉末化したものを用いることが好ましい。
セルロースとしては、粉末セルロース、結晶セルロースいずれも使用できるが、生地等との混合性において、結晶セルロースを使用することが好ましい。
ここでいう結晶セルロース(結晶形態であるセルロース)とは、例えば木材パルプ、精製リンターなどのセルロース系素材原料を、酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解などにより解重合処理して非晶領域(ヘミセルロース、リグニン等)を除いて得られるものをいう。平均重合度は、通常、10〜500程度である。
なお、ここでいう粉末セルロース(粉末形態であるセルロース)とは、セルロース系素材原料を、ヘミセルロース、リグニン等の非晶領域を除くことなく機械的に粉砕したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、粉末セルロースに該当するものである。
当該粉末セルロースの平均重合度は、一般に440より大きいと規定されている。この値は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)の確認試験(3)に記載の、銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従い、測定することができる。当該粉末セルロースとしては、例えば、日本製紙(株)製の、KCフロックシリーズなどが挙げられる。
セルロースとして、セルロースと水溶性ガムが複合化されたセルロース複合体を用いても、フライ時の吸油抑制効果が得られ、さらにフライ直後の食感を維持する効果が付与される。また菓子用生地への分散性は、複合体の方がセルロース単体よりも優れる。さらに、セルロース複合体として、セルロースに水溶性ガムに加えて、親水性物質が配合された易分散性セルロース複合体を用いると、上述の菓子用生地への分散性が通常のセルロース複合体に対し、より向上するため好ましい。これらのセルロース複合体や易分散性セルロース複合体については、後で詳細に説明する。
<セルロースの配合量>
本実施形態において、セルロースの含有量に限定はないが、好ましくは、菓子に対して0.01質量%以上であり、より好ましくは、0.1質量%以上であり、さらに好ましくは、0.5質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。セルロースを0.01質量%以上含むことにより、フライ時の吸油抑制効果が得られ、さらにフライ直後の食感を維持する効果が得られるため好ましい。
一方、セルロースの含有量が菓子に対して5質量%以下であれば、焼成後の食感(特にふんわり感)の悪化が少ないので好ましい。より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは、1.0質量%以下である。
ここで、セルロースの含有量は、セルロース単体を菓子に配合する場合は、セルロース自体の質量より算出され、セルロース複合体の形態で菓子に配合する場合は、該セルロース複合体の質量から算出される(該セルロース複合体中のセルロース含量ではない)。
<セルロースの添加方法>
本実施形態において、菓子にセルロースを含有させる方法に限定はなく、例えば、セルロースを、生地を調整する前に穀粉などの粉末原料と共に粉末状でブレンドする方法、セルロース又はセルロース複合体を水等の液体原料と共に分散してから穀粉等を混合する方法、一旦セルロース以外の原料と水を混合し、生地を調整した後、セルロースを加えて再度混合する方法等の方法で菓子に添加しても良い。特に、粉末原料と共にブレンドする方法、又は、セルロース又はセルロース複合体を水等の液体原料と共に分散してから穀粉等を混合する方法が、セルロースの分散が促進されるため好ましい。水分を多量に含む原料(例えば、卵(水分約75%))を穀粉に添加する際に、予め、それらと混合し、分散された状態で添加してもよい。また、これらの各方法を組み合わせて、多段階で添加しても良い。
<セルロースの平均重合度>
本実施形態に用いるセルロースの平均重合度に限定はないが、500以下であることが好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、生地との混合工程において、セルロースが攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、混合が促進されやすくなるため好ましい。より好ましくは、平均重合度は300以下、さらに好ましくは、平均重合度は250以下である。平均重合度は、小さいほど混合の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
<セルロースの加水分解>
上記のような範囲にセルロースの平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、セルロース複合体を製造する場合には、セルロースと水溶性ガムに機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、水溶性ガムとの複合化の制御が容易になる。
加水分解の方法は特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌しながら加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調整されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、20〜140℃、好ましくは40〜100℃の温度で、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
なお、加水分解時のセルロース系物質の分散液には、水の他、本件発明の効果を損なわない範囲であれば、有機溶媒を少量含んでいてもよい。
<セルロースの整粒>
加水分解処理後乾燥前のセルロース粒子分散液中のセルロース粒子は、湿潤状態で篩過(JIS標準篩使用)したときに、75−38μm篩に残留する粒子の平均L/Dが2.0−5.5の範囲にあることが好ましい。好ましくは3.2−5.2である。セルロース粒子分散液の粒子は乾燥により凝集し、L/Dが小さくなるので、乾燥前の粒子の平均L/Dを一定範囲に保つことで吸油抑制効果の高いセルロースが得られる。乾燥前の粒子の平均L/Dを一定範囲に保つには、加水分解反応中又はその後工程における攪拌力を特定の強さに制御することにより達成できる。
加水分解反応中又はその後工程における攪拌は、セルロース繊維を短くする作用があり、攪拌が強すぎると粒子の平均L/Dが小さくなって十分な成形性を得られないことがあるので、粒子の平均L/Dが2.0以上となるように攪拌力を抑制することが好ましい。また攪拌が弱すぎるとL/Dが大きくなり食感に悪影響を及ぼす可能性か生じるため、粒子の平均L/Dが5.5を超えないように攪拌力を維持するのが好ましい。
攪拌力の大きさは、以下の経験式(2)により、P/V(kg/m2・sec)として求めることが可能である。しかしながらP/V値は攪拌槽の大きさ、形状、攪拌翼の大きさ、形状、回転数、邪魔板数等に依存するので絶対的な数値ではない。乾燥前の各工程におけるP/Vの最大値は通常0.01〜10000の範囲内にあり、攪拌槽、攪拌翼の種類毎に回転数を制御することによって上記範囲内で下限、上限値を決定できる。例えばNp=8、V=0.03、d=0.3ではP/Vは0.3〜80の範囲に、Np=2.2、V=0.07、d=0.05では0.01〜5の範囲に、Np=2.2、V=1、d=1ではP/Vを1〜10000の範囲にする等、使用する攪拌漕、攪拌翼の回転数を変えた時のP/Vの値と75μm〜38μmの粒子の平均L/Dの大きさを比較して適宜決定すればよい。
P/V=Np×ρ×n3×d5/V(2)
ここでNp(−)は動力数、ρ(kg/m3)はセルロース粒子分散液の液密度、n(rps)は攪拌翼の回転数、d(m)は攪拌翼の径、V(m3)は液の体積である。
上記操作により得られたセルロース分散液は乾燥によって粉末にする必要がある。反応後、洗浄、pH調整した乾燥前のセルロース分散液のIC(電気伝導度)は300μS/cm以下であることが好ましい。300μS/cmを超えると、粒子の水中での分散性が悪くなり崩壊が悪くなる。好ましくは150μS/cm、さらに好ましくは100μS/cm以下である。
<セルロースの乾燥>
加水分解、及び、その後必要に応じて行われる撹拌により得られたセルロース粒子分散液を乾燥することにより、セルロース粉末が得られる。
吸油抑制効果の高いセルロースを得るためには、品温が130℃未満で噴霧乾燥を行うことが好ましい。品温は、好ましくは100℃未満である。本実施形態でいう品温とは、噴霧乾燥時の入口温度ではなく排風温度のことである。噴霧乾燥ではセルロース粒子分散液中の凝集粒子が全方向からの熱収縮応力によって圧密され、緻密化(重質化)して流動性が良好なものとなり、また凝集粒子間の水素結合が弱いために崩壊性が良好なものになる。
乾燥前のセルロース粒子分散液濃度は25質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは20質量%以下である。セルロース粒子分散液濃度が高すぎると乾燥中に粒子が凝集しすぎてしまい、乾燥後の粒子の平均L/Dが低下し、吸油抑制効果が低下して好ましくない。またセルロース粒子分散液濃度の下限については、1質量%以上であることが好ましい。1質量%未満では生産性の観点からもコスト高となり好ましくない。本実施形態の効果を損なわない程度に、乾燥後に粉砕することは可能である。
<セルロースの粒子形状(L/D)>
本実施形態において、セルロース粒子の形状に限定はないが、長径と短径の比(L/D)が2.0以上のであることが好ましい。L/Dは以下の方法で測定することができる。
エアージェットシーブ(ALPINE製、A200LS型)を用い、JIS標準篩75μmで篩過した粒子について、粒子の光学顕微鏡像を画像解析処理し(例えば、(株)インタークエスト製、装置:Hyper700,ソフトウエア:Imagehyperを使用することができる。)、粒子に外接する長方形のうち面積が最小となる長方形の長辺と短辺の比(長辺/短辺)を任意の400個の粒子について測定し、その平均値をL/Dとする。但し、個々の粒子は絡まりがないように予めばらけた状態にして測定する必要がある。
本実施形態において、セルロース粒子のL/Dは、食感の観点で2.0以上が好ましい。L/Dが大きいほど、吸油低減の効果が高く、食感の観点で好ましい。2.2以上がより好ましく、最も好ましくは2.5以上である。上限については、喫食時の食感(硬さ)を勘案すると、20以下であることが好ましい。
<セルロース複合体の粒子形状(L/D)>
本実施形態において用いるセルロース複合体の形状に限定はないが、微細な粒子状の形状であることが好ましい。具体的には、長径と短径の比(L/D)が20未満であることが好ましい。L/Dは以下の方法で測定することができる。
セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザー ED−7」)で、処理条件:回転数15,000rpm×5分間で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾されたものを、高分解能走査型顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像に外接する長方形のうち面積が最小となる長方形の長辺と短辺の比(長辺/短辺)を任意の150個の粒子について測定し、その平均値をL/Dとする。
本実施形態において、セルロース複合体のL/Dは、生地に対する分散性の観点で20未満が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、5未満が格別に好ましく、4以下が最も好ましい。L/Dの下限はその定義より1である。
<セルロースの平均粒子径>
本実施形態で用いるセルロース(結晶セルロース、粉末セルロース)の平均粒子径に限定はないが、平均粒子径が70μm以下であると、セルロースを含有する菓子を食した際に、ザラツキのない、なめらかな舌触りのものを提供することができる。より好ましくは60μm以下であり、特に好ましくは50μm以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは1μm以上である。
ここで、平均粒子径とは、累積質量50%の粒子径の値をいい、例えば、ロータップ式篩振蕩機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩粉することにより、粒度分布を測定することによって求めることができる。
<セルロース複合体粒子の体積平均粒子径>
本実施形態で用いるセルロース複合体粒子の体積平均粒子径(水分散体における平均粒子径)が小さいものが好ましい。この粒子の体積平均粒子径は次の方法で測定できる。
まず、セルロース複合体を、1.0質量%の濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザー ED−7」)で、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(例えば、堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」において超音波処理1分、屈折率1.20の条件)で測定することにより得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径を体積平均粒子径とする。
セルロース複合体粒子の体積平均粒子径が20μm以下であると、セルロース複合体の菓子用生地への分散性がより向上する。また、セルロース複合体を含有する食品を食した際に、ザラツキのない、なめらかな舌触りのものを提供することができる。
より好ましくは、体積平均粒子径は15μm以下であり、特に好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。体積平均粒子径が小さいほど、セルロース複合体の分散安定性、懸濁安定性がより容易に向上するため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては0.1μm以上である。
<セルロース複合体>
前記のとおり、本実施形態においては、セルロースとして、セルロース複合体を使用してもよい。ここで、セルロース複合体とは、セルロースと水溶性ガムからなり、セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、該水溶性ガムで被覆されたものである。菓子用生地を混練する際、強い撹拌力がかけられない場合には、セルロース単体と比較して分散性の高いセルロース複合体を使用するのが好ましい。
セルロース複合体の組成としては、セルロース20〜99質量%と水溶性ガム1〜80質量%から構成されるものが好ましい。より好ましい範囲としては、セルロース30〜95質量%と水溶性ガム5〜70質量%であるが、この割合は水溶性ガムの種類に応じて、適宜調整されるものである。通常、セルロースは、その割合が99重量%以下であればセルロース表面の水溶性ガムの被覆が充分であり、菓子の製造工程において生地の表面が荒れず、滑らかな生地が得られ、焼成後の菓子の膨張性が高く、且つ食する際にもぼそぼそとせずに、食感が優れたものが得られる。他方、水溶性ガムが80質量%以下であれば、生地を混練する際にべたつきが出にくく、製造しやすい。
セルロースと複合化させる水溶性ガムとしては、例えば、カラヤガム、ポリデキストロース、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、キトサン、アラビアガム、ガッティガム、トラガントガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
上述の中でも、特に、カラヤガム、キサンタンガムは、セルロースと複合化しやすいため好ましい。
なお、セルロース複合体には、セルロース及び水溶ガム以外に他の食品材料、例えばオリゴ糖類、糖アルコール、澱粉分解物、加工澱粉を含む澱粉類、油脂類、蛋白質類、食塩、各種リン酸塩等の塩類、乳化剤、増粘安定剤、色素等を所望に応じて配合することができる。これらの食品材料はセルロース複合体製造時に添加することもできるし、セルロース複合体製造後に添加することもできる。それらの詳細については後で説明する。
<カラヤガム>
前述の水溶性ガムとして好適なカラヤガムとは、アオギリ科カラヤの木の樹液を精製したもののことである。市販のグレードとしては、色調、樹皮、異物の割合から、Hand−picked−selected(HPS)、Superior No.1、Superior No.2、Superior No.3、Shiftingsがある(株式会社幸書房2001年発行、国崎、佐野著「食品多糖類」88ページ、表4−4参照)。本実施形態で用いるカラヤガムは食品で使用できるグレードであれば制限なく使用できる。この中でも、本実施形態に用いるには、HPS、Superior No.1が好ましく、HPSが複合体の懸濁安定性の点で好ましい。特に、中央および北インドのSterculia urens由来のものが、複合体の懸濁安定性の点で好適である。
ここで、セルロースとカラヤガムとの質量比は、99/1〜80/20であることが好ましい。
<キサンタンガム>
同じく水溶性ガムとして好適なキサンタンガムとは、トウモロコシなどの澱粉を細菌 Xanthomonas campestrisにより発酵させて作られるガムであり、グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り返し単位からなるものである。本実施形態で用いるキサンタンガムには、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩も含まれる。上記の構造を有し、食品で使用できるグレードであれば粘度に制限なく使用できる。
セルロースとキサンタンガムの質量比は、99/1〜80/20が好ましい。より好ましくは99/1〜90/10である。
<セルロース複合体に配合される親水性物質>
本実施形態に用いるセルロース複合体は、水への分散性を高める目的で、セルロースと水溶性ガム以外に、親水性物質を加えてもよい。親水性物質とは、水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、例えば、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラクチュロース、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等、ビタミン類、コラーゲン、キトサン等が適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましい。
上述の「溶解性が高く粘性をほとんどもたらさない」とは、1質量%の純水溶液にの粘度が100mPa・s以下であることをいう。ここでいう粘度は、以下の方法で測定される。
高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」)を用いて、処理条件:回転数15,000rpm×5分間で純水中に分散し、水溶液を調製する。次に得られた水溶液について、分散3時間後(25℃保存)に、B型粘度計(ローター回転数60rpm)にセットして60秒静置後に、30秒間回転させて測定する。
上記粘度は、80mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。
セルロース複合体における親水性物質の配合量には制限はないが、好ましい範囲としては、5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。
<難消化性デキストリン>
親水性物質としてセルロース複合体の製造に用いることのできる難消化性デキストリンは、澱粉を加熱、酵素等で処理して得られるもので、食物繊維の平均分子量が500から3000程度、グルコース残基がα−1,4、α−1,6、β−1,2、β−1,3、β−1,6−グルコシド結合し、還元末端の一部はレボグルコサン(1,6−アンヒドログルコース)である、分岐構造の発達したデキストリンである。市販品としては、食品添加物公定書第8版に記載の規格に合致するものが使用できる。
親水性物質として難消化性デキストリンを用いる場合、その組成としては、セルロース30〜70質量%、難消化性デキストリンが30〜70質量%となるようにするのが好ましい。
<セルロース複合体のコロイド状セルロース成分>
さらに、セルロース複合体は、コロイド状セルロース成分(セルロース複合体のうち、水系媒体に分散させたときに安定的に分散できるもの)を30質量%以上含有することが好ましい。
コロイド状セルロース成分の含有量とは、セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(例えば、日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」)で、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(例えば、久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型を用いて、処理条件:遠心力2,000rpm(5600G※Gは重力加速度)×15分間)したときに、遠心後の上澄みに残存する固形分(セルロース、水溶性ガム、及び、親水性物質を含む)の質量百分率のことである。
コロイド状セルロース成分の含有量が30質量%以上であると、食感の観点から好まし。より好ましくは、40質量%以上であり、さらに好ましくは、50質量%以上であり、特に好ましくは60質量%以上であり、最も好ましくは70質量%以上である。コロイド状セルロース成分含有量は、多ければ多いほど、分散安定性が高く、食感に悪影響を及ぼすことがなくなるため、その上限は特に制限されないが、好ましい範囲としては、100質量%以下である。
<セルロース複合体の製造方法>
本実施形態において使用することができるセルロース複合体の製造方法を説明する。
セルロース複合体は、例えば、セルロースと水溶性ガムの混合物に機械的せん断力をあたえ、セルロースを微細化させるとともに、セルロース表面に水溶性ガムを複合化させることによって得ることができる。その際、セルロースと水溶性ガムの混合物に、親水性物質や、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。本実施形態において、セルロース複合体は、上述の機械的せん断を経て、未乾燥のものであっても、その後乾燥されたものであっても、いずれの形態でもよい。
<易分散性セルロース複合体>
本実施形態の菓子は、セルロース複合体のなかでも、易分散性のものを使用することが好ましい。易分散性セルロース複合体を使用することで、生地の混練工程でセルロース複合体が微粒子状に分散しやすいため、菓子の生地中に均一に分散し、菓子のざらつきが低減され、食感が優れる。
易分散性セルロース複合体とは、エクセルオートホモジナイザー等の高せん断力の機器を使用せずとも、プロペラ攪拌等の弱い攪拌で完全に分散するセルロース複合体のことである。典型的な当該易分散性セルロース複合体は、上述のセルロース、水溶性ガム及び親水性物質を含むセルロース複合体において、上述の親水性物質が20質量%以上配合されるものである。親水性物質が多くなることで、セルロース複合体の分散性が高くなるため、好ましい。親水性物質の含有量は、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。上限については、95質量%以下であることが好ましい。
前記の易分散性セルロース複合体は、上述のセルロース、水溶性ガム、及び、必要に応じて含まれる親水性物質に加え、後で具体的に説明する崩壊剤を含んでもよい。崩壊剤は、生地を混練する際に、セルロース複合体の分散性を高める作用を有し、上述の効果(吸油低減、食感維持)を促進するものである。特に、味付けの目的で、生地に、塩分及び/又は酸を添加する際には、崩壊剤の添加効果が大きい。崩壊剤の添加量としては、セルロース複合体に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。上限は、40質量%以下である。
<易分散性セルロース複合体の平均粒子径>
易分散性セルロース複合体の平均粒子径は、25μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
易分散性セルロース複合体の平均粒子径とは、易分散性セルロース複合体を4質量%の濃度で純水懸濁液とし、プロペラ攪拌機(例えば、HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段、条件:400rpm×20分間、25℃)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で測定した際の体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)のことである。
<易分散性セルロース複合体に配合される崩壊剤>
本実施形態の易分散性セルロース複合体に配合される崩壊剤は、水膨潤性のものを使用することが好ましい。ここでは、冷水に溶解した際に、自身の2倍以上の体積に膨潤する粒子のことをいう。例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等のガラクトース含有量の少ないガラクトマンナン粒子、加工デンプン、部分アルファー化澱粉から選ばれる1種以上を使用することができる。分散効果の点で、加工デンプンを用いることが好ましい。
<易分散性セルロース複合体に使用する加工澱粉>
易分散性セルロース複合体においては、さらに加工澱粉を添加することが好ましい。用いられ得る加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、澱粉グルコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウムが好ましい。これらは、アルファー化加工したもの、部分的にアルファー化加工したもの、アルファー化加工をしていないもののうち、いずれの形態のものでも使用できる。また、酸処理された澱粉、又は生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉も使用できる。上述の加工澱粉は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
特に飲食品に用いる場合には、厚生労働省令第151号にて定められた11種の加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉)、並びに生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉が好ましい。
上述の中でも、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉、アルファー化澱粉がセルロース組成物の分散性の点でより好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉がさらに好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉が最も好ましい。
<易分散性セルロース複合体の製造方法>
易分散性セルロース複合体は、セルロース複合体と親水性物質、及び、その他必要に応じて添加される加工澱粉等の添加剤とを水系媒体に分散させて、分散液を形成する工程と、それに続き、この分散液を均質化する工程と、さらに、均質化された分散液を乾燥する工程を経て製造することが好ましい。
ここでセルロース複合体と、親水性物質、及びその他必要に応じて添加される添加剤が、スラリー状態で、分散、均質化されることが、易分散性セルロース複合体の分散性を高める上で好ましい。スラリー状で、均質化することで、セルロースと親水性物質、及びその他の添加剤が、過度に複合化しないため、分散性が良好なものが得られる。具体的な製造条件について、以下に説明する。
<その他原材料>
本実施形態の菓子は、前記以外は、本実施形態の効果に影響を与えない限りにおいて、通常の食品と同様の構成をとることができる。例えば、卵、膨張剤、水、オリゴ糖、タンパク質、増粘剤、具材、風味原料、調味料、香料、色素、乳化剤等より選択された添加材料を、所定の割合で混合してよい。
もっとも、食感(ふんわり感)の観点からは、グルテンは含まないことが好ましい。
<卵>
本実施形態で用いる卵としては、食用卵として流通しているものを用いることができ、鳥卵を用いることが好ましい。鳥卵としては、鶏卵、ウズラ卵、アヒル卵、ダチョウ卵、ハト卵が挙げられ、これらを組合せて使用することもできる。特に、本実施形態では、加工性、味の点で鶏卵を用いることが好ましい。卵は、生卵をそのまま用いることも、乾燥された加工卵を用いることもできるが、加工性の点で生卵を用いることが好ましい。
<膨張剤>
本実施形態の菓子には、フライ時の膨張性を向上させる目的で、膨張剤を適宜配合しても良い。膨張剤としては、市販の任意の膨張剤が使用可能であり、ベーキングパウダー、重曹、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸マグネシウム、ミョウバンの中から1種又は2種以上を併用することができる。味の観点から好ましくは、ベーキングパウダー、重曹、重炭酸アンモニウムであるが、最も好ましくは膨張剤を配合しないことである。
<オリゴ糖及びタンパク質>
オリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラクチュロース、α−、β、γ−シクロデキストリン等が挙げられる。これらの中でも、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖は、味質改善効果が高いため好ましい。
タンパク質としては、通常、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳或いは生クリームなどの乳由来のタンパク質、大豆タンパク質などを使用することができる。
<増粘剤>
増粘剤は、本実施形態の効果に悪影響を及ぼさない限度で、菓子に添加することができる。例えば、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、タマリンドシードガム、タラガム、カードラン、ラムザンガム、ガティガム、グルコマンナン、カラヤガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、各種化工・加工澱粉、CMC、MC、HPC、HPMC、乾燥こんにゃく加工品等を、利用可能なものとして挙げることができる。
<乳化剤>
菓子に添加できる乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸あるいは乳酸等の有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、ポリソルベート、ステアロイル乳酸塩(ナトリウム、カルシウム)等を挙げることができるが、これに限定されない。
<内容物>
本実施形態の菓子は、本実施形態の効果に影響を与えない限りにおいて、内容物を含んでもよい。内容物としては、植物性、動物性のいずれのものでもよい。植物性の具材としては、果実、野菜、ナッツ、穀物等を生でカットしたもの、及び/又はそれらを乾燥、浸漬等の加工処理したものを使用することができる。動物性の具材としては、牛肉、豚肉、鶏肉、または、それらを干し肉、ハム、ソーセージ等に加工されたもの、魚肉、または、それらを魚節、カマボコ、ソーセージ等に加工されたもの、チーズ等の乳を発酵したものを用いることもできる。
<風味原料>
本実施形態の菓子は、本実施形態の効果に影響を与えない限りにおいて、風味原料を含んでもよい。風味原料の例としては、種子類(ピーナッツ、アーモンド、マカデミアナッツ、カシューナッツ、栗等)、豆類(小豆、エンドウマメ、大豆等)、魚介類(えび、かに、鮭、ホタテ、たらこ等)、乳類(牛乳、生クリーム、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、チーズ、ヨーグルト等)、野菜類(にんじん、トマト、たまねぎ、ピーマン、ケール等)、果実類(イチゴ、オレンジ、レーズン、りんご、キウイ、パイナップル、梅、バナナ、イチジク、モモ、なし等)、嗜好飲料類(コーヒー、紅茶、ココア、ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎等)、調味料(食塩、みそ、醤油、ソース、食酢等)、香辛料類(こしょう、カレー粉、シナモン等)が挙げられる。これらの原料の形態は、生、乾燥品、粉末、ペースト、ピューレ、液体等の任意の形態であってよい。菓子に目的とする風味を付与するために、1種又は2種以上を併用することができる。
<高甘味度甘味料>
本実施形態の菓子には、本実施形態の効果に影響を与えない限りにおいて、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等も添加してもよい。
<栄養剤>
本実施形態の菓子には、本実施形態の効果に影響を与えない限りにおいて、ビタミン、カルシウム、鉄、DHA、EPA、セサミン、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、マカ、ウコン、コラーゲン、オルニチン、スクワラン、コエンザイムQ10、ローヤルゼリーの栄養剤を強化することも可能である。
本実施形態を下記の実施例により説明する。ただし、これらは本実施形態の範囲を制限するものではない。
物性評価にはフレンチクルーラーを用いた。フレンチクルーラーの作製方法、各種物性の評価方法を説明する。
<フレンチクルーラーの作製方法>
1)金属製の鍋中でバター、水、食塩を混合し、中火で撹拌しながら沸騰させた。
2)火を止めて、薄力粉を一気に投入した。
3)2)を再度中火で加熱して、木べらを用いて、150秒間緩やかに撹拌した。
4)3)にセルロースを投入し、溶いた全卵を全体の1/3量ずつ3回に分けて投入し、プラネタリーミキサー(パドル:フック型)を用いて126rpmで1分×3回の計3分間混合した。
5)4)を絞り出し器を用いて、厚みが1.5cmになるように、クッキングシート上に円形に20g絞り出した。
6)5)をクッキングシートごと170℃に加熱したサラダ油中に投入し、5分間フライした。フライ後のフレンチクルーラーは、直径:約10cm、高さ:約4cmであった。
<生地の水分測定>
上記のフレンチクルーラー作製方法における4)終了時点の生地を、赤外線水分計(秤と加熱装置が一体になっており、装置に試料をセットすると質量が測定され、赤外線ヒーターによって質量変化がなくなるまで加熱され、加熱後の質量を測定した上で、プログラムにより水分が算出されるもの)(株式会社ケツト科学研究所(kett)製、型番:FD−240)を用いて、まず菓子の質量を測定し、次いで菓子を質量変化がなくなるまで105℃で維持した。質量変化がなくなったときの質量を測定し、加熱前と比較して、加熱後に減少した質量から水分量を決定した。
<生地の付着性測定>
上記のフレンチクルーラー作製方法における4)終了時点の生地を直径50mm、高さ50mmの円筒形のSUS製容器に詰めたテストピースを用いて以下の方法で測定した。
テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:P/10型、温度:25.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−Test Speed:1.0mm/s,Test−Speed:1.0mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:5mm,Triger Type:Auto 5g)を用い、上記テストピースの表面に接触させた測定治具を、1.0mm/sの速度で生地中に5mmの深さまで垂直に押し下げた後、1.0mm/sの速度で垂直に引き上げ、その際に治具にかかる最大荷重(gf)(応力)の経時変化を測定し、時間−応力曲線を作成した。
治具にかかる応力がマイナスに転じた後(引き上げ開始後)0(gf)になるまでの応力の積分値、すなわち、時間−応力曲線と時間軸(応力=0(gf))とに囲まれた部分の面積値(gf・sec)を求め、これを付着性を示す指標とした。
<密度測定>
上記方法で作製したフレンチクルーラーをフライ中に直接油と接触し硬化した部分を除き、直方体形状に切断した。切断後に質量を測定し、ノギスで各辺の長さを測定して体積を算出し、前記質量を該体積で割ることで求めた。
<最大荷重測定>
上記方法で作製したフライ直後のフレンチクルーラーを用いて、最大荷重を測定した。具体的には、テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:P/2N型、温度:25.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−TestSpeed:1.0mm/s,Test−Speed:1.0mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:20mm,Triger Type:Auto 5g)により測定した。無作為に抽出した5個のフレンチクルーラーについて、10回ずつ測定を行い、その平均値を最大荷重とした。
<厚み測定方法>
上記方法で作製したフレンチクルーラーをノギスを用いて厚みを測定した。中心付近を5か所測定し、その平均を厚みとした。
<吸油性評価方法>
上記方法で作製したフレンチクルーラーを用いて、下記の方法にて評価した。
1)試作直後の各水準のフレンチクルーラーを5mm四方になるようにはさみでカットした。
2)カットしたフレンチクルーラーを精密天秤で3g計量し、ガラス製ビーカーに投入した。
3)ジエチルエーテル100mlをガラス製ビーカーに投入した。
4)マグネチックスターラーで5時間撹拌し(100rpm)、油分を抽出した。
5)ロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−1100)を用いて、抽出液から溶媒を除去した(350mbar)。
6)抽出物をあらかじめ質量を測定しておいたスクリュー瓶に入れ、真空乾燥器(東京理化器械(株)製、VACUUM OVEN VOS−301SD)を用いて、3時間真空乾燥した(圧力−0.1MPa以下、温度40℃)。
7)真空乾燥後のスクリュー瓶の質量を測定し、フレンチクルーラーから抽出された油の量を定量し、以下の計算式より油含有率を算出した。
吸油率[質量%]={(抽出された油の質量/スクリュー瓶に投入したフレンチクルーラーの質量)×100}−菓子に配合される油脂類の量(質量%)
<最大荷重維持率評価方法>
上記方法で作製した直後のフレンチクルーラーを用いて、最大荷重を測定した。具体的には、テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:P/2N型、温度:25.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−TestSpeed:1.0mm/s,Test−Speed:1.0mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:20mm,Triger Type:Auto 5g)により測定した。無作為に抽出した5個のフレンチクルーラーについて、10回ずつ測定を行い、その平均値を最大荷重とした。同様のフレンチクルーラーを用いて、同様の測定条件にて、フライ後2時間経過時の最大荷重を測定し、下記の計算式より最大荷重維持率を算出した。
最大荷重維持率[%]=(フライ後2時間経過時のフレンチクルーラーの最大荷重/フライ直後のフレンチクルーラーの最大荷重)×100
<食感評価方法>
26歳から、63歳の男女11名のパネルにより、上記製法で作製し、1時間経過後のフレンチクルーラーを実際に食してもらい、「舌触り」「サクサク感」、「ふんわり感」について官能評価を実施した。いずれの項目においても優れると感じるものから1点刻みで5〜0点の点数をつけ、平均点を求め、以下の基準で評価した。なお、本発明においては、「舌触り」が優れるもの程、セルロースの生地への分散性が高いものとした。
◎: 平均3.5点以上
○: 平均3点以上、3.5点未満
△: 平均2点以上、3点未満
×: 平均2点未満
(実施例1)
上述のフレンチクルーラーの作製方法において、バターを120g(水分15%)、食塩を3g、薄力粉を160g、全卵を250g(水分75%)、水を150g、以下の結晶セルロースAを全仕込み量683gに対し、0.01質量%配合し、フレンチクルーラーを試作した。
上記の配合で作製したフレンチクルーラーについて上述の評価を行った。結果を表1に示す。
<結晶セルロースAの製造>
市販SPパルプを裁断後、4N塩酸中で40℃、48時間,低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器、翼径30cm)で撹拌(撹拌速度5rpm)しながら加水分解した(重合度220)。加水分解後、水洗・濾過・中和を行い、90Lのポリバケツに入れ、スリーワンモーター(HEIDEN製、タイプ1200G、8M/M、翼径5cm)で撹拌(撹拌速度50rpm)しながら濃度12%のセルロース粒子分散液とした。これを噴霧乾燥(液供給速度6L/hr、入口温度180〜220℃、出口温度50〜70℃)して結晶セルロースA(L/D=3.0)を得た。
(実施例2)
実施例1のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAの配合量を0.1質量%にした以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAの配合量を0.5質量%にした以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAの配合量を1.0質量%にした以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAの配合量を5.0質量%にした以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAを以下の結晶セルロースBに変更した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<結晶セルロースBの製造>
市販SPパルプを裁断後、0.14N塩酸中で121℃、1時間,低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器、翼径30cm)で撹拌(撹拌速度30rpm)しながら加水分解した(重合度220)。加水分解後、水洗・濾過・中和を行い、90Lのポリバケツに入れ、スリーワンモーター(HEIDEN製、タイプ1200G、8M/M、翼径5cm)で撹拌(撹拌速度500rpm)しながら濃度17%のセルロース粒子分散液とした。これを噴霧乾燥(液供給速度6L/hr、入口温度180〜220℃、出口温度70℃)して結晶セルロースB(L/D=1.8)を得た。
(実施例7)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAを以下の結晶セルロース複合体Aに変更した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<結晶セルロース複合体Aの製造>
市販SPパルプを裁断後、2.5N塩酸中で105℃、15分間加水分解した(重合度220)。加水分解後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーク状の結晶セルロースを作製した。
次に、ウェットケーク状の結晶セルロースと、市販キサンタンガム(三栄源FFI製 商品名ビストップD−712)、市販デキストリン(三和澱粉製サンデック♯30:以下Dexともいう。)を用意し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)に、セルロース/キサンタンガム/デキストリンの質量比が75/5/20(質量比)となるように投入し、固形分52質量%となるように加水した。その後、混錬、ペレット化、乾燥、粉砕、篩粉を行い結晶セルロース複合体Aを得た。
混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は、70Wh/kgであった。混練温度の制御は、ジャケット冷却の調整で行われ、熱伝対を用いて混練物の温度が直接測定された。当該温度は、混練を通して20〜65℃であった。
(実施例8)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAを以下の易分散性結晶セルロース複合体Aに変更した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<易分散性結晶セルロース複合体Aの製造>
デキストリン(三和澱粉製 商品名サンデック#100)180g、ワキシーコーンスターチ由来のヒドロキシプロピル化澱粉(日澱化学製 商品名デリカWH)95g、上述の結晶セルロースとキサンタンガムとデキストリンとからなる結晶セルロース複合体Aを225g湿潤状態で分散後、乾燥、粉砕、篩い分けを行い、易分散性結晶セルロース複合体A(セルロースの平均重合度190、セルロースの粒子L/D1.8)を得た。
(実施例9)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAを粉末セルロース(日本製紙ケミカル(株)製、商品名「KCフロックW−400G」)に変更した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、水の配合量を120gに変更し、その相当量分の薄力粉を増量した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、水の配合量を90gに変更し、その相当量分の薄力粉を増量した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、バターを88.8g(水分15%)、食塩を3g、薄力粉を129.8g、全卵を136.6g(水分75%)、水を331.9g、結晶セルロースAを全仕込み量683gに対し、1.0質量%配合した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1のフレンチクルーラーの作製方法において、結晶セルロースAを無配合にした以外は、同様にパイ生地を作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、バターを147.5g(水分15%)、食塩を3g、薄力粉を273.2g、全卵を204.9g(水分75%)、水を54.5g、結晶セルロースAを全仕込み量683gに対し、1.0質量%配合し、フレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例5のフレンチクルーラーの作製方法において、水の配合量を120gに変更し、その相当量分の薄力粉を増量した以外は、同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例4のフレンチクルーラーの作製方法において、生地を絞り出す際、厚みを3mm、全量4gを円形に絞り出した以外は同様にフレンチクルーラーを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
特許文献2の製造例1に記載の方法に従って水膨潤性カルボキシメチルセルロースを得た(平均粒径13.3μ)。
さらに実施例10に記載の処方で上記水膨潤性カルボキシメチルセルロースを小麦粉100質量部に対し1部、微細セルロース粉末(日本製紙(株)製、KCフロックW−200G)を小麦粉100質量部に対し1部配合したケーキドーナツを作製し、同様に評価を行った。結果は表2に示す。
本発明は各種揚げ菓子に利用できる。具体的には、ケーキドーナツ、イーストドーナツ、フレンチクルーラー、チュロス、揚げパン等の、密度および食感が高度に制御された揚げ菓子に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 穀粉、油脂、及びセルロースを含み、
    内部の密度が0.40g/cm3以下であり、最大荷重が200gf以下であり、
    前記セルロースが、結晶セルロース及び/又は結晶セルロース複合体である、
    揚げ菓子(大豆粉末を含む揚げ菓子を除く)。
  2. 厚みが10mm以上である、請求項1に記載の揚げ菓子。
  3. 前記セルロースが、長径と短径の比(L/D)が2.0以上の粒子形状を有する、請求項1または2に記載の揚げ菓子。
  4. 前記セルロースを0.01質量%以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載の揚げ菓子。
  5. 穀粉、油脂、35質量%〜65質量%の水、及び、セルロースを含有する生地をフライする工程を含み、
    前記セルロースが、結晶セルロース及び/又は結晶セルロース複合体である、
    請求項1〜4のいずれかに記載の揚げ菓子(大豆粉末を含む揚げ菓子を除く)を製造する方法。
  6. 穀粉、油脂、及び35質量%〜65質量%の水を含む生地をフライする際、前記生地にセルロースを添加することにより、生地への吸油を抑制する方法であって、
    前記セルロースが、結晶セルロース及び/又は結晶セルロース複合体である、前記方法。
  7. 前記セルロースの量が、前記生地に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下である、請求項6に記載の方法。
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