JP5955147B2 - ゲル化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ゲル化剤に関する。例えば、加工食品の製造において好適に利用できるゲル化剤に関する。
加工食品用途の下で一般に使用されるゲル化剤としては、ゼラチン、寒天、ジェランガム、アルギン酸、カラギーナン、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合物など、さまざまな種類が知られている。中でも、グルコマンナンは、低カロリーであり、熱に対して安定で、加熱してもゲル形状を維持できることから、注目度の高い素材のひとつである。
しかしながら、グルコマンナンをゲル化させるためには、pHをアルカリ性にする必要があるために味にえぐみなどの影響を伴うことや、特有の臭いを伴うこと、水に長時間浸漬させたり、洗浄したりする必要があること、といった問題点がある。さらに、グルコマンナンが形成するゲルは、特有の弾力性を持っている。したがって、これまでに、グルコマンナンとセルロース系の素材を組み合わせる方法が開示されており、例えばpH調製を施さずにゲルを形成して、耐熱安定性を持つゲルを形成する方法や、麺やゼリー等の食品を製造する方法などがこれまでに知られている。
特許文献1には、微細繊維状セルロース複合体と、キサンタンガム、グルコマンナンを含む多糖類からなることを特徴とするゲル化剤が開示されている。該文献によると、非動物性であり、食品に用いた場合に、耐熱安定性に優れたゲルが得られるとされる。
特許文献2には、寒天および結晶セルロース、さらにキサンタンガム、グルコマンナンを配合し、加熱してゾル状物を形成した後、このゾル状物を冷却してゲル化し、凍結、解凍することを特徴とするゼリー状食品が、実施例とともに開示されている。該文献によると、寒天と結晶セルロースを併用してゾル状物を作製し、それを冷却してゲル化させ、凍結、解凍後に得られるゼリー状食品は、石細胞状の組織を有するとされている。特に、結晶セルロースの添加量を増やすと、石細胞状の組織が強くなっており、結晶セルロースがゲルの形状変化を引き起こしていると考えられる。
特許文献3には、グルコマンナンに所定量の結晶セルロースを加えて、低カロリーである麺様食品を提供する方法が開示されている。該文献には、粉末マンナンと、結晶セルロースとカラヤガムを含有する結晶セルロース複合体(旭化成ケミカルズ(株)セオラスRC−N81)を組み合わせてマンナンゲルを作製し、これを麺線状に切り分けて作製した麺様食品が記載されている。当該文献の実施例によれば、マンナン単独の麺様食品は弾力性が強すぎるのに対し、マンナンと結晶セルロース複合体の組み合わせでは適度な弾性と柔らかさを持つとされている。
特許文献4には、グルコマンナンおよびキサンタンガム、さらに結晶セルロース、ゼラチンを組み合わせて、もち様食品を提供する方法が開示されている。該文献によると、グルコマンナンとキサンタンガムを組み合わせた低粘性の弾性物質に、粘り成分としてゼラチンを添加し、さらに結晶セルロースを添加することにより、得られたもち様食品のスプーン切れがよくなり、またもちらしさが感じられる範囲内に破断歪みが調整できるとされている。そして、その実施例には、グルコマンナン、キサンタンガム、ゼラチンに結晶セルロース複合体としてRC−N81を添加すると、破断ひずみが調整できるとともに、食感はもち様の弾力を持つという効果も開示されている。
特許文献5には、微細セルロースとローカストビーンガムとキサンタンガムと親水性物質を含む微細セルロース複合体であることを特徴とする、麺質改良剤が開示されている。該文献によると、該麺質改良剤を添加した麺は、添加しないものと比較して、麺の食感や伸びの抑制、食味において優れることが開示されている。しかし、グルコマンナンとの併用は具体的に開示されていない。
特開2008−118988号公報 特開2000−69917号公報 特開2005−13143号公報 特開2005−160396号公報 特開2004−24155号公報
しかるに、特許文献1のように、セルロース系素材として微細繊維状セルロース複合体を用いると、微細繊維状セルロース複合体が非常に細長い形状を有するが故に、当該微細繊維状セルロース複合体とグルコマンナン及びその他ゲル化剤とが形成するゲル中のネットワークが疎な構造となるため、ゲルの破断性は向上し、破断しやすくなるものの、ゲル強度は低くなり過ぎる。また、特許文献1のゲル化剤や該ゲル化剤が形成するゲルを加工食品に添加すると、微細繊維状セルロース複合体が細長いために疎なネットワーク構造を有するが故、冷解凍後の食品やゲル中からの水や旨み成分などのドリップが激しく発生してしまうため、歩留まりを抑制する効果は認められなかった。また、該ゲルのゲル強度が低いため、加工食品の食感は柔らかすぎて歯ごたえのないものとなってしまうことや、さらには、加熱後に、加熱前の形状を維持できなくなってしまう問題があった。
また、前記のとおり、特許文献2は、寒天および結晶セルロース、さらにキサンタンガム、グルコマンナンを併用してゼリー状の食品を提供している。しかしながら、該文献ではセルロース系素材として結晶セルロースを使用しているものの、その結晶セルロースは表面にキサンタンガム等の水溶性高分子を被覆した複合体でないため、水系媒体中でネットワーク構造を形成することができない。したがって、該ゲル化剤が形成するゲルの強度は著しく弱い。また、寒天は耐熱安定性がないため、ゲル自体を加熱するとゲル状態を維持できなくなってしまう。さらに、該ゲル化剤や該ゲル化剤が形成するゲルを加工食品中に添加すると、ゲルのネットワーク構造が弱いために、食品加工中に生じる多量のドリップを抑制する効果が小さく、よって、ゲル化剤やそのゲルを添加しない食品並みの歩留まりとなってしまう。そのため、特許文献2記載のゲル化剤を使用しても、食品にジューシー感を付与することはできず、更に、加熱後に形状を維持できないという問題があった。加えて、該ゲルを加工食品に添加すると、食肉や魚肉のような食感とはほど遠くなってしまい、とりわけ、食感を柔らかくする効果は感じられず、寧ろ加工食品としての食感を損ねてしまうといった問題もあった。
特許文献3の実施例には、粉末マンナンに、結晶セルロースとカラヤガムを含有する結晶セルロース複合体(旭化成ケミカルズ(株)製、セオラスRC−N81)を組み合わせ、これに水酸化カルシウムを添加してマンナンゲルを作製し、これを麺線状に切り分けて作製した麺様食品が開示されている。すなわち、該文献では、水酸化カルシウムを添加してアルカリ域になるようpHを調製しているため、高いゲル強度と麺に似た弾力をもつゲルが作製できている。しかしながら、該ゲルはアルカリ処理をしているため、加工食品に添加すると、アルカリ特有の臭いや、味にえぐみ等があり、また、ジューシー感をも損ねてしまう問題があった。さらに、うどんのような強力なこしを持つゲルが形成されるため、一般的な加工食品としても硬すぎてしまい、例えば咀嚼時に破断しにくかったり、不必要な弾力を感じてしまうといった問題もあった。
特許文献4には、結晶セルロース複合体としてのRC−N81と、グルコマンナンおよびキサンタンガム、ゼラチンを組み合わせて、もち様の食感を有する食品が製造できることが開示されている。結晶セルロース複合体RC−N81を添加することで、スプーン切れはよく、もちらしさが感じられる範囲内に破断歪みが調整されており、よって、結晶セルロース複合体の添加により、もち様食品の食感を改良できることが理解される。しかしながら、RC−N81は、結晶セルロース表面にカラヤガムを被覆した複合体であり、後記の比較例のとおりに、実際に得られるゲルの耐熱安定性やゲル強度が相対的に劣った。また、加工食品に添加した場合には、歩留まりの抑制効果は小さく、加熱の形状維持の効果も小かった。
特許文献5では、微細セルロースとローカストビーンガムとキサンタンガムと親水性物質を含む微細セルロース複合体であることを特徴とし、該微細セルロース複合体のコロイド分画は30%以下である麺質改良剤が開示されている。しかしながら、後記の比較例のとおりに、コロイド状セルロース成分量が少ないと、セルロース表面にローカストビーンガムやキサンタンガム等の水溶性高分子が密に被覆されていない、あるいは水素結合等の結合が弱いため、当該ゲル化剤を水系媒体中に分散させたときに沈降成分が多く、ネットワークを形成する成分が少ない。したがって、特許文献5記載の微細セルロース複合体とグルコマンナンとを配合してゲルの形成を実際に試みても、水系媒体中への分散性が悪いため、ゲルを形成することは不可能であった。さらに、特許文献5記載の麺質改良剤を加工食品に添加しても、歩留まりの向上や、ジューシー感の向上、食感の改良(硬さの低減)や破断性の改善や、加熱後の形状の維持等の効果はみられなかった。さらに、分散不良のため、食品中でざらつきを感じてしまい、食感を損ねてしまう問題があった。
本発明者らは、上記課題に鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、結晶セルロースとキサンタンガムを含有し、且つコロイド状セルロース成分量が30質量%を超える結晶セルロース複合体とグルコマンナンを配合することを特徴とするゲル化剤が、高いゲル強度を有し、破断性に優れ、耐熱安定性に優れたゲルを形成することを見出した。さらに、該ゲル化剤、あるいは該ゲル化剤が形成するゲルを食肉および/または魚肉加工品に添加すると、歩留まりの向上、ジューシー感の向上、食感(硬さ)の低減、優れた破断性及び加熱後も形状を維持するという、いずれの優れた効果も奏されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)結晶セルロースとキサンタンガムを含有し、且つコロイド状セルロース成分量が30質量%を超える結晶セルロース複合体と、グルコマンナンを含んでなることを特徴とするゲル化剤。
(2)前記ゲル化剤が、結晶セルロース複合体5〜95質量%に対し、グルコマンナンを95〜5質量%含有することを特徴とする、上記(1)のゲル化剤。
(3)前記ゲル化剤が、さらにキサンタンガム、カードラン、アラビノキシラン、寒天、タマリンドシードガムからなる群から選択される1つ以上を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)のゲル化剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかのゲル化剤を水系媒体に分散して形成したゲルであって、形成されたゲルの強度が少なくとも0.5g/mm以上であることを特徴とする、ゲル。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかのゲル化剤および/または上記(4)のゲルが配合された食肉および/または魚肉加工品。
本発明のゲル化剤が形成するゲルは、高いゲル強度を有し、破断性に優れ、耐熱安定性に優れたゲルを形成する。該ゲル化剤、あるいは該ゲル化剤が形成するゲルを食肉および/または魚肉加工品に添加すると、歩留まりの向上、特に冷解凍後の歩留まりの向上、ジューシー感の向上、食感(硬さ)の低減、優れた破断性、加熱後も形状を維持する等、当該加工食品として好ましい特性を付与することができる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明は、結晶セルロースとキサンタンガムを含有し、且つコロイド状セルロース成分量が30質量%を超える結晶セルロース複合体と、グルコマンナンを配合することを特徴とするゲル化剤に関するものである。
<結晶セルロース>
本発明における結晶セルロースとは、セルロースを含有する天然由来の水溶性の繊維質物質である。原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然系セルロースを使用してもよいし、2種以上を混合したものを使用することも可能である。
本発明における結晶セルロース(MCC)の平均重合度は、500以下が好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)のセルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、水溶性高分子との複合化の工程において、結晶セルロースが攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、複合化が促進されやすくなるため好ましい。より好ましくは、平均重合度は300以下、さらに好ましくは、平均重合度は250以下である。平均重合度は、小さいほど複合化の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースや、リグニン等の不純物も、取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、混練工程等で、結晶セルロースと水溶性高分子に機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、結晶セルロースが微細化されやすくなる。その結果、結晶セルロースの表面積が高くなり、キサンタンガムを含む水溶性高分子との複合化の制御が容易になる。
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら、加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
本発明における結晶セルロース複合体中の結晶セルロースは、微細な粒子状の形状であることが好ましい。結晶セルロースの粒子形状は、本発明における結晶セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾したものを、高分解能走査型顕微鏡(SEM)、又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)とした場合の比(L/D)で表され、100個〜150個の粒子の平均値として算出される。
L/Dは、20未満が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、7以下が特に好ましく、5未満が格別に好ましく、4以下が最も好ましい。L/Dは、大きいほど、結晶セルロースは細長い形状であることを意味する。細長すぎる構造であると、結晶セルロース複合体が形成するネットワーク構造は、互いの絡み合いの程度が小さくなり、疎な構造となる。したがって、結晶セルロース複合体を含有するゲル化剤が、ゲル強度アップや、歩留まりの向上、加熱後の形状維持の効果を発揮するためには、L/Dは前記の範囲内であることが好ましい。
<結晶セルロース複合体>
本発明における結晶セルロース複合体とは、結晶セルロースとキサンタンガムとを含み、これらが複合化されたものを意味する。本発明における複合化とは、結晶セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、キサンタンガムで被覆された形態を意味する。結晶セルロース複合体は、結晶セルロースとキサンタンガムとを単に混合した状態ではなく、キサンタンガムが結晶セルロース表面を被覆した状態であるため、水系媒体中に分散させても、キサンタンガムが結晶セルロース表面から剥離することなく、表面から放射状に広がった構造を形成する。キサンタンガムは、水中で陽イオンが遊離し、それ自身が陰イオンとなり、結晶セルロース複合体は、水中でコロイド状となる。このコロイド状で存在する結晶セルロース複合体は、それぞれの静電反発や立体反発、ファンデルワールス力等の相互作用によって、高次のネットワーク構造を形成する。複合化の程度は、結晶セルロースとキサンタンガムの水素結合の割合と考えられる。したがって、複合化が進むと、結晶セルロースの表面上にキサンタンガムが多く被覆された状態となり、水系媒体中で、結晶セルロースが絡み合い、密なネットワーク構造を形成し、安定に存在しやすくなる。また、複合化が進むと、コロイド状セルロース成分量は増える傾向を示す。そのため、本発明の効果は発揮されやすくなる。
<キサンタンガム>
本発明の、結晶セルロース複合体に配合されるキサンタンガムは、キサントモナス・キャンペストリスと呼ばれる微生物から生産される多糖類を成分にもつものである。キサンタンガムの主鎖は、β−D−グルコースが(1→4)結合したもので、この主鎖のアンヒドログルコースに、D−マンノース、D−グルクロン酸、D−マンノースからなる側鎖が結合している。主鎖に付くD−マンノースの6位はアセチル化されていることが多く、側鎖の末端のD−マンノースはピルビン酸とアセタール結合した構造を持つ。主鎖がグルコース、側鎖がマンノースとグルクロン酸で構成されるものを、本発明におけるキサンタンガムとする。例えば、第8版食品添加物公定書厚生労働省復刻版(日本食品添加物協会発行)に記載の、「キサンタンガム」に相当するものである。
本発明の結晶セルロース複合体は、キサンタンガムを含む水溶性高分子が結晶セルロース表面に被覆されていることを必要とする。本発明の結晶セルロース複合体を水系媒体中に分散させた際、キサンタンガムを含有するが故、結晶セルロース複合体が形成するネットワーク構造は、安定に存在することができる。したがって、キサンタンガムを含有し、コロイド状セルロース成分量が30質量%を超える結晶セルロース複合体とグルコマンナンを含むゲル化剤を、水系媒体中に分散させることにより形成したゲルは、グルコマンナンとともに密なネットワークを形成することから、ゲル強度は強くなる。特に、キサンタンガムは、グルコマンナンと相乗効果を持つため、該ゲルは、グルコマンナン中のネットワーク中に結晶セルロース複合体のネットワークが入り込んだ構造を形成すると推測できるため、グルコマンナン単独のゲルと比較して破断しやすくなり、ゲルの食感を改良することができる。本発明で用いるキサンタンガムとしては、キサンタンガム溶液の粘度が5mPa・s以上であることが好ましい。より好ましくは20mPa・s以上であり、さらに好ましくは30mPa・s以上、特に好ましくは40mPa・s以上、格段に好ましくは50mPa・s以上、最も好ましくは60mPa・s以上である。上限としては、300mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がさらに好ましく、100mPa・s以下が格段に好ましい。ここでいう粘度とは、キサンタンガム溶液の濃度が0.1質量%水溶液となるようイオン交換水中にキサンタンガムを高せん断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数10,000rpm×5分間)攪拌後、1時間、25℃雰囲気下で静置させた後、B形粘度計(東機産業(株)製、ローター回転数は60rpmで、セットして60秒後に、30秒間回転させたときの値を測定、ローターNo.1を使用)で粘度を測定した値である。この範囲内の粘度を持つキサンタンガムであれば、結晶セルロースと複合化させる場合、取り扱い上および結晶セルロースと複合化の進みやすさの点から、好ましい。
<結晶セルロースとキサンタンガムの配合比率>
本発明における結晶セルロース複合体は、複合化することで、キサンタンガムが結晶セルロース粒子の表面に、水素結合等の化学結合により被覆された状態をとる。結晶セルロースとキサンタンガムの配合比率は、結晶セルロースを50質量%以上に対し、キサンタンガムを50質量%以下含むことが好ましい。より好ましくは、結晶セルロースが60質量%以上であり。さらに好ましくは、結晶セルロースが70質量%以上であり、格段に好ましくは、結晶セルロースが75質量%以上である。キサンタンガムは、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下、格段に好ましくは25質量%以下である。結晶セルロース配合比率の上限値としては、99.9質量%以下が好ましく、キサンタンガムの配合比率の下限値は、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、結晶セルロースが99質量%以下、さらに好ましくは、結晶セルロースが95質量%以下、格段に好ましくは、結晶セルロースが90質量%以下である。キサンタンガムの下限値は、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が格段に好ましい。この比率であれば、結晶セルロース表面にキサンタンガムを複合化させる場合、複合化が進みやすく、また結晶セルロースの表面全体を覆う形で、キサンタンガムが被覆される。したがって、該結晶セルロース複合体を水系媒体中に分散した場合は、結晶セルロースが密に絡み合い、安定なネットワークを形成しやすくなる。そのため、グルコマンナンとともに、本発明の結晶セルロース複合体をゲル化剤に配合すると、該ゲル化剤、あるいは該ゲル化剤が形成するゲルは、グルコマンナンが形成するネットワーク中に結晶セルロース複合体のネットワークが入り込んだ構造であると推測できるため、グルコマンナン単独のゲルと比較して、ゲルは破断しやすくなり、食感の改良(硬さの低減)等の本発明の効果を、発揮することができる。
<結晶セルロース複合体のコロイド状成分量>
本発明における結晶セルロース複合体は、コロイド状セルロース成分が30質量%を超える範囲を含有することが必要である。ここでいうコロイド状セルロース成分の含有量とは、結晶セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力2,000rpm(5600G:Gは重力加速度)×15分間)し、遠心後の上澄みに残存する固形分(結晶セルロース)の質量百分率のことである。コロイド状セルロース成分の大きさは10μm以下であり、より好ましくは5.0μm以下であり、さらに好ましくは3.0μm以下であり、格段に好ましくは1.0μm以下である。ここでいうコロイド状セルロース成分の大きさは、遠心分離後の上澄み液を試料として、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)のことである。コロイド状セルロース成分含有量は、多ければ多いほど、結晶セルロースの複合化が効率よく進んでいると判断できるため、水系媒体中に分散させると、小さなコロイド状セルロースが密なネットワーク構造を形成し、分散安定性は高くなる。そのため、コロイド状セルロース成分の含有量が30質量%を超えていれば、ゲル化剤として配合した場合も、水系媒体中に密なネットワーク構造を安定に形成するため、ゲルの強度アップや、ゲルの破断しやすさに寄与できる。また、結晶セルロース自身にも耐熱安定性があるため、ゲルにも耐熱安定性を付与することができる。コロイド状セルロース成分量は、より好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、格別に好ましくは70質量%以上、最も好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。
<結晶セルロース複合体の体積平均粒子径>
本発明における結晶セルロース複合体の体積平均粒子径は、20μm以下であることが好ましい。ここで、該体積平均粒子径は、セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径のことである。
また、結晶セルロース複合体は、体積平均粒子径が0.01〜200μmの結晶セルロース複合体微粒子からなることが好ましい。乾燥粉末として製造されたものは、これらの微粒子が凝集し、見かけの重量平均粒子径が10〜250μmの二次凝集体を形成している。この二次凝集体は、水中で攪拌すると崩壊し、上述の結晶セルロース複合体微粒子に分散する。この見かけの重量平均粒子径は、ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより得られた粒度分布における累積重量50%粒径のことである。尚、この乾燥後のセルロース複合体の二次凝集体の重量平均粒子径と、レーザー回折法による分散液中の結晶セルロース複合体の体積平均粒子径は測定原理が全く異なるため、それぞれで得られた値は必ずしも相関するものではない。
結晶セルロース複合体の体積平均粒子径が20μm以下であると、結晶セルロース複合体を水系媒体中に分散させた場合の分散安定性が、より容易に向上する。また、結晶セルロース複合体を含有する該ゲル化剤、あるいは該ゲル化剤が形成するゲルを添加した食品を食した際に、ザラツキのない、なめらかな舌触りのものを提供することができる。特に、加工食品中に添加した場合、ざらつきを感じず、結晶セルロース複合体中に旨み成分等の液体状の成分を捕捉することができるため、加熱後や冷解凍後もジューシーな食感を付与することができる。また、より小さい粒子径の結晶セルロースが絡み合ったネットワーク構造を形成することにより、加熱後に形状が大幅に変化することなく、成型前に近い形状を維持することができる。より好ましくは、体積平均粒子径は15μm以下であり、特に好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。体積平均粒子径が小さいほど、結晶セルロース複合体の分散安定性がより容易に向上するため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては0.1μm以上である。
<水溶性高分子>
本発明における結晶セルロース複合体には、複合化の進みやすさや、結晶セルロース表面の被覆状態の変化、あるいはネットワーク構造の補強を目的として、キサンタンガムと一緒に他の水溶性高分子も複合化してもよい。本発明における水溶性高分子とは、化学構造の一部に糖又は多糖を含む親水性高分子物質のことである。ここで親水性とは、常温のイオン交換水に、一部が溶解する特性を有することである。定量的に親水性を定義すると、この水溶性高分子0.05gを、50mLのイオン交換水に、攪拌下(スターラーチップ)で平衡まで溶解させ、目開き1μmのメンブレンフィルターで処理した際に、通過する成分が、水溶性高分子中に1質量%以上含まれることである。水溶性高分子として多糖類を用いる場合には、ジェランガム、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、ガッティガム、グルコマンナン、トラガントガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が好適な例として挙げられるが、これに限定されない。また、これらの水溶性高分子は1種類でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
<親水性物質>
本発明における結晶セルロース複合体は、水系媒体への分散性を高める目的で、上記の水溶性高分子に加えて、又はそれに替えて、親水性物質を含んでもよい。親水性物質は、ゲル化剤として水系媒体中に分散させた際の、崩壊剤、または導水剤として機能する。したがって、結晶セルロース表面に親水性物質を被覆することで、さらに分散しやすくなる。
親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等が適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましい。親水性物質の中には、デキストリン類のように、水溶性高分子としての機能も、僅かではあるがあわせ持つものもある。そのような親水性物質を用いる場合でも水溶性高分子をあわせて用いることが望ましいが、そのような場合には水溶性高分子を用いなくてもよい別の態様もある。その他の成分の配合については、組成物の水中での分散及び安定性を阻害しない程度に配合することは自由である。
<結晶セルロース複合体の製造方法>
次に、本発明の結晶セルロース複合体の製造方法を説明する。
本発明のセルロース複合体は、混練工程において結晶セルロースと水溶性高分子に機械的せん断力をあたえ、結晶セルロースを微細化させるとともに、結晶セルロース表面にキサンタンガムを含む水溶性高分子を複合化させることによって得られる。また、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。本発明の結晶セルロース複合体は上述の機械的せん断を経ていればよく、未乾燥のもの又はその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
混練時の温度は成り行きでもよいが、20〜100℃に制御することが好ましい。この温度範囲であれば、結晶セルロースの磨砕や、キサンタンガムとの複合化が容易に進み、またキサンタンガムや水溶性高分子の劣化が抑制され、結果として結晶セルロース複合体が形成するネットワーク構造が密になるからである。好ましくは、30〜95℃、より好ましくは40〜95℃である。混練の際の複合化反応、摩擦等により発熱する場合にはこれを除熱しながら混練してもよい。温度を制御するためには、ジャケット冷却、放熱等の除熱を工夫することも自由である。
混練時の固形分は、20質量%以上とすることが好ましい。混練物の粘性が高い半固形状態で混練することで、混練物がシャバシャバな状態にならず、下記に述べる混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるため好ましい。混練時の固形分は、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上、格別に好ましくは45質量%以上である。上限は特に限定されないが、混練物が水分量の少ないパサパサな状態にならず、充分な混練効果と均一な混練状態が得られることを考慮して、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、固形分を上記範囲とするために、加水するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよいし、混練工程の途中で加水してもよいし、全加水量の一部づつにつき両方実施しても良い。
ここで、混練エネルギーについて説明する。混練エネルギーとは混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義するものである。混練エネルギーは、50Wh/kg以上とすることが好ましい。混練エネルギーが50Wh/kg以上であれば、混練物に与える磨砕性が高く、結晶セルロースとキサンタンガムを含む水溶性高分子との複合化が促進され、結晶セルロース複合体のコロイド状セルロース成分量も増えるため、水系媒体中で形成するネットワーク構造は、密になり、安定に存在しやすくなるからである。より好ましくは60Wh/kg以上であり、さらに好ましくは70Wh/kg以上、特に好ましくは80Wh/kg、格別に好ましくは90Wh/kg以上である。
混練エネルギーは、高い方が、複合化が促進されると考えられるが、混練エネルギーをあまり高くすると、工業的に過大な設備となること、設備に過大な負荷がかかることから、混練エネルギーの上限は1000Wh/kgとするのが好ましい。
本発明の結晶セルロース複合体を得るにあたって、前述の混練工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。乾燥後のセルロース複合体の含水率は1〜20質量%が好ましい。含水率を20%以下とすることで、べたつき、腐敗等の問題や運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。また、1%以上とすることで、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。より好ましくは1.5%以上である。
結晶セルロース複合体を市場に流通させる場合、その形状は、粉体の方が取り扱い易いので、乾燥により得られたセルロース複合体を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥した結晶セルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(重量平均粒子径)としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。
乾燥した結晶セルロース複合体を水中で攪拌した際、容易に分散し、結晶セルロースが均一に分散した、なめらかな組織を持つザラツキの無い安定なコロイド分散体が形成される。さらに、ゲル化剤にした場合も、結晶セルロース複合体が、凝集や分離を起こさず、安定なコロイド分散体を形成するため、ゲル化剤等として優れた機能を奏する。
<グルコマンナン>
本発明におけるグルコマンナンは、植物分類上、サトイモ科のコンニャク属に属するもので、こんにゃく芋(Amorphophallus Konjac K.Kooh)の塊茎(イモ)に含まれる、貯蔵性多糖類を含有するものである。この多糖類は、D−グルコースとD−マンノースが、約2:3の割合で、β−1,4結合した構造を持つ。グルコマンナンは、精製度が低いと特有の刺激臭を有するため、精製度の高いものを使用することが好ましい。粒度としては、特に制限はないが、180μmの篩を全通するものが好ましい。この粒子サイズであれば、水系媒体中に添加して攪拌し、膨潤させてゲルを形成する際、溶解が容易にすすみやすいからである。グルコマンナン溶液の粘度としては、1mPa・s以上であることが好ましい。より好ましくは2mPa・s以上であり、さらに好ましくは、5mPa・s以上である。格別に好ましくは10mPa・s以上、最も好ましくは20mPa・s以上である。上限としては、特に制限はないが、1000mPa・s以下であることが好ましい。この粘度範囲のものであれば、結晶セルロースとグルコマンナンのネットワーク構造の相互作用により、pH調整しなくてもゲルを形成することができ、またゲル化の工程において、溶解や膨潤の取り扱いがしやすいためである。ここでいう粘度とは、0.2質量%水溶液となるようイオン交換水中にグルコマンナンを高せん断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数5,000rpm×5分間)攪拌後に、25℃雰囲気下で1時間静置させた後、B形粘度計(東機産業(株)製、ローター回転数は60rpmで、セットして60秒後に、30秒間回転させたときの値を測定、ローターNo.1を使用)の測定値である。用途に応じて、コンニャク粉やコンニャクマンナンも使用可能である。
<ゲル化剤>
本発明におけるゲル化剤は、上記で説明した本発明の結晶セルロース複合体(以下、「特定の結晶セルロース複合体」ということがある。)とグルコマンナンを含有することが必要である。当該特定の結晶セルロース複合体とグルコマンナンは、それぞれ独立した状態で含有してもよいし、グルコマンナンを、キサンタンガムや他の水溶性高分子とともに結晶セルロースと複合化させた状態でもよい。ただし、結晶セルロース複合体とグルコマンナンを独立した状態で配合したほうが、ゲル強度やゲルの破断性等のゲル物性を制御しやすくなるため、好ましい。ゲル化剤の形態としては、固体でも、液体でも、固体と液体の中間体でも、どんな状態でもよく、特に制限はない。例えば、粉体状、微粉末状、顆粒状、造粒物状、シート状、ブロック状、フィルム状、麺状、棒状、層状、鱗片状、凝集体、ペースト状、乳化物状、クリーム状、ゾル状、ゲル状、分散液状、溶解液状、綿状などが挙げられる。中でも、取り扱いや保存上の問題を考慮すると、粉体状、微粉末状、顆粒状、シート状、フィルム上、鱗片状、ゲル状が好ましい。
<ゲル化剤の製造方法>
本発明のゲル化剤を製造するにあたっては、特定の結晶セルロース複合体とグルコマンナンとを所定の比率で配合すればよい。該ゲル化剤は、防腐や保存の問題上、粉体等の乾燥状態が望ましいが、その形態は特に問わない。配合の方法としては、いずれの原材料も乾燥状態であれば、ポリ袋等の容器に所定比率のグルコマンナンと結晶セルロース複合体及び、場合によりその他成分を量り入れ、封をして手で振って混合してもよいし、工業的に機械を使って混合してもよい。例えば、容器が水平円筒型や、V型、ダブルコーン型や立方体型等で、容器ごと回転するものや、容器は固定で、リボン型、スクリュー型、パドル型等の内部の混合羽根が回転するタイプ、流動層のような気流で攪拌することにより混合するタイプや、重力ブレンダーのように重力で混合するタイプ、あるいはこれらを組み合わせた混合方法がある。液状であれば、特定の結晶セルロース複合体の分散液とグルコマンナンの溶解液あるいは膨潤液とを準備し、これらを併せてもよいし、あるいは、予め特定の結晶セルロース複合体とグルコマンナンとを混合したものを液体中に投入してもよい。これらを攪拌して均一な液体状態としてもよいし、ゾル状、あるいはゲル状、ペースト状、シート状、フィルム状等に加工してもよい。使用する液体としては、水系媒体が、分散や溶解のしやすさの観点から好ましいが、アルコール媒体でも、有機溶媒でも特に問題はない。
<結晶セルロース複合体とグルコマンナンの配合比率>
本発明のゲル化剤において、特定の結晶セルロース複合体とグルコマンナンの配合比率は、当該結晶セルロース複合体が5質量%以上に対し、グルコマンナンが95質量%以下であることが好ましい。より好ましい配合比率は、結晶セルロース複合体が10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、格段に好ましくは20質量%以上であり、最も好ましくは30質量%以上である。グルコマンナンの配合比率は、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下が格段に好ましく、70質量%以下が最も好ましい。特定の結晶セルロース複合体の配合比率の上限としては、95質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以下であり、格別に好ましくは80質量%以下であり、最も好ましくは70質量%以下である。グルコマンナンの配合比率の下限値としては、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、格別に好ましくは20質量%以上であり、30質量%以上が最も好ましい。この範囲内であれば、グルコマンナンを含む本発明のゲル化剤を水に分散させてゲルを形成した場合、pH調整することなくゲルを形成できる。さらに、該ゲルは、ゲル強度が強く、且つその食感が適度な弾力性を示し得る。そのため、該ゲル化剤および/または該ゲルを配合した食品は、スプーンや箸、フォーク等で切る場合でも軽い力で破断でき、またそれを咀嚼した場合には、子供から高齢者まで、適度な歯ごたえを感じながら、容易に噛み切ることができるというように、優れた破断性を示す。
<ゲル化成分>
本発明のゲル化剤は、特定の結晶セルロース複合体とグルコマンナンを含有することが必要であるが、目的や用途に応じて、その他のゲル化成分を添加することも可能である。その他のゲル化成分としては、キサンタンガム、カードラン、アラビノキシラン、寒天、タマリンドシードガムガムのうち、1つ以上を含有することも可能である。
<キサンタンガム>
キサンタンガムの一般的な起源と構造については、前記で説明した。本発明において、特定の結晶セルロース複合体中に配合される以外の目的で、すなわち、上記「ゲル化成分」として使用されるキサンタンガムとしては、グルコマンナンとキサンタンガムの混合溶液の粘度が100〜800mPa・sを示し得ることが好ましい。より好ましくは200〜700mPa・sであり、さらに好ましくは300〜650mPa・sであり、格段に好ましくは400〜600mPa・sである。ここでいう混合溶液の粘度とは、グルコマンナンが0.03質量%及びキサンタンガムが0.02質量%で、トータルが0.05質量%濃度の混合水溶液となるよう、イオン交換水中にグルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS)とキサンタンガムを予め粉混合した粉体を投入し、高せん断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数10,000rpm×5分間)攪拌後、1時間、25℃雰囲気下で静置させた後、B形粘度計(東機産業(株)製、ローター回転数は60rpmで、セットして60秒後に、30秒間回転させたときの値を測定、ローターNo.2を使用)で粘度を測定した値である。この範囲内の粘度を持つキサンタンガムであれば、本発明のゲル化剤を用いてゲル化した際に、グルコマンナンとキサンタンガムが相乗効果を発揮して、ゲル強度の高いゲルを作製できるため、好ましい。
<カードラン>
本発明で使用できるカードランは、土壌菌であるAgrobacterium biovarI、またはRhizobium radiobacterによって算出される微生物多糖類を含むものであり、グルコースがβ−1,3−グルコシド結合した直鎖状のグルカンである。例えば、第8版食品添加物公定書厚生労働省復刻版(日本食品添加物協会発行)に記載の、「カードラン」に相当するものである。
<アラビノキシラン>
本発明で使用できるアラビノキシランは、針葉樹やイネ科の植物に含まれるヘミセルロースの一つである。β1−4結合したキシロースの主鎖に対し、キシロース10残基当たり、α1−3結合でL−アラビノフラノースが1残基、α1−2結合で4−O−メチルグルクロン酸が2残基結合した構造である。
<寒天>
本発明におけて、寒天は、オゴノリ(Gracilaria)、マクサ(Gelidium amansil)、オニクサ(Ge.japonicum)、オバクサ(Pterocladia capillacea)等を原料として製造されたものであれば、その化学的組成に関係なく、いずれも使用することができる。寒天は、1,3位で結合したβ−D−ガラクトースピラノースと、1,4位で結合した3,6−アンヒドロ−α−L−ガラクトースピラノースを繰り返し単位とする、アガロース、およびアガロース以外のイオン性多糖類であるアガロペクチンからなる物質である。
<タマリンドシードガム>
本発明におけるタマリンドシードガムとは、マメ科タマリンド属の常緑高木の種子を原料とし、分離精製して得られる多糖類のことであり、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、デキストリンまたはマルトースを含むことがある。タマリンドは、果肉・種子ともに利用されている。タマリンドシードガムは、β−1,4結合したグルカンを主鎖とし、側鎖にキシロース、ガラクトースを側鎖に持つ構造である。例えば、第8版食品添加物公定書厚生労働省復刻版(日本食品添加物協会発行)に記載の、「タマリンドシードガム」に相当するものである。
<グルコマンナンとゲル化成分の比率>
本発明におけるグルコマンナンと前記ゲル化成分の比率について説明すると、グルコマンナン配合比率の上限としては100質量%であり、ゲル化成分の配合比率の下限としては0質量%以上である。つまり、ゲル化成分を敢えて配合しなくても本発明のゲル化剤として十分な効果が発揮されるのであるが、本発明の結晶セルロース複合体とグルコマンナンを含有するゲル化剤に上記のゲル化成分をさらに配合することで、ゲル化成分との相乗効果により、さらに効果が増す。従って、典型的なグルコマンナンの配合比率の下限としては10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。ゲル化成分の配合比率の上限値は、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。より好ましいグルコマンナンの配合比率の上限値は90質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。より好ましいゲル化成分の配合比率の下限値は10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。この範囲内であれば、グルコマンナンとゲル化成分が相乗効果を発揮し、これがさらに特定の結晶セルロース複合体と相乗効果を発揮することで、ゲル強度をアップさせ、さらに加工食品中において、ジューシー感の向上や、加熱後の形状の維持に効果を奏することができるからである。
<ゲルの作製方法>
本発明のゲル化剤を用いたゲルの作製方法について説明する。典型的には、本発明のゲル化剤を水系媒体中で分散させ、これを静置させることによりゲルを形成する。本発明のゲル化剤の分散方法には、プロペラ攪拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、フードカッター、ジューサー、カッター等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー等の高圧ホモジナイザーに代表される分散機、乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクルトルーダー、タービュライザー等に代表される混練機等が使用できる。2種以上の混練機を組み合わせて使用してもかまわない。加温しながら行ったほうが、分散は容易に進みやすい。
作製した分散液を、そのまま静置しておけばゲルを形成するが、一旦加熱した後に冷却するとゲル強度はさらにアップするため、好ましい。ゲル化剤分散液の加熱は80℃以上で、15分〜60分程度加熱するのが好ましい。加熱した後、室温で放置する、あるいは冷却水や冷蔵で保存することにより、ゲル強度はさらにアップする。
本発明のゲル化剤の、水系媒体中への添加量には特に制限はないが、ゲルを形成するためには0.5質量%以上であることが好ましい。0.5質量%以上添加することにより、ゲルの弾力、保水性、保油性、耐熱安定性のあるゲルが形成できる。より好ましくは0.8質量%以上である。上限は特にないが、10質量%以下であるのが好ましい。10質量%以下とすることで、ざらつきのないゲルを形成することができる。
<ゲル強度>
本発明のゲル化剤が形成するゲルの強度(「ゲル強度」)は、0.5g/mm以上であることが好ましい。ゲル強度は、上述の方法で形成したゲルを用いて、テクスチャーアナライザー(英弘精機(株)製、商品名「TA XT plus」)で測定できる。ロードセルは5kgを使用し、ステージ上にセルを置く。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用する。テストモードはReturn to Startで行う。プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5gとして、押し込み距離を25mmに設定して測定する。この測定において、最大値となるStressの値(単位面積あたりの荷重値)を、ゲル強度として測定する。また、最大値が出現するときの押し込み距離を、測定する。この押し込み距離が短いほど、ゲルは弱い力で破断できるため、咀嚼したときに噛み切りやすく、押し込み距離が長くなると、ゲルの破断に強い力を要するため、咀嚼したときに噛み切りにくいといえる。ゲル強度の値としては、好ましくは1g/mm以上であり、より好ましくは3g/mm以上であり、さらに好ましくは4g/mm以上であり、格別に好ましくは5g/mm以上であり、最も好ましくは7g/mm以上である。また、本発明のゲル化剤が、他のゲル化成分を含む3成分以上で構成されるゲル化剤であれば、そのゲル強度は、好ましくは10g/mm以上であり、より好ましくは20g/mm以上であり、さらに好ましくは25g/mm以上である。このゲル強度であれば、該ゲルを加工食品中に添加した場合、ジューシー感の付与や、焼きあがり後に形状を維持する効果が期待できる。ゲル強度の上限は特にないが、該ゲルを食品中に添加した際、喫食時に人が咀嚼できることを考慮すると、500g/mm以下であることが好ましい。
<食肉>
本発明における、加工食品の原料となる食肉としては、動物性で、食することのできるものであれば何でもよい。食肉の一例としては、豚、牛、馬、山羊、羊、鶏、アヒル、七面鳥、鶉、ダチョウ、猪、鹿、熊、兎などが挙げられる。好ましい食肉としては、容易に入手可能であることから、豚、牛、鶏、馬、羊であり、さらに好ましくは豚、牛、鶏である。これらの肉を単独で使用してもよいし、牛豚合挽きミンチのように、2種以上を組み合わせて使用してもよい。使用可能な部位としては特に限定されず、例えば豚肉の場合、肩肉、ロース肉、ばら肉、もも肉、ウデ肉、半丸枝肉または胴肉など、食することができれば、何れの部位も使用することができる。肉の形態としては、スライス、ブロック、ミンチ状等でも何でもよいが、ゲルと併せる場合であれば、ゲルと混ざりやすさの観点から、ミンチの状態が好ましい。
<魚肉>
本発明における、加工食品の原料となる魚肉としては、食することができるものであれば、何でもよい。食肉の一例としては、マグロ、タイ、サケ、タラ、スケソウダラ、カツオ、カレイ、ヒラメ、ブリ、ハマチ、サメ、サンマ、サバ、アジ、イワシ、カンパチ、エビ、タコ、イカ、エイ、エソ、タチウオ、ホッケ、ニシン、ハモ、サワラ、ホタテ、などが挙げられる。好ましい魚肉としては、容易に入手可能であることから、マグロ、タイ、タラ、スケトウダラ、アジ、イワシ、エビ、イカであり、さらに好ましくは、マグロ、スケトウダラ、アジ、イワシ、エビである。これら魚肉を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。使用可能な部位としては、食することができれば、何れの部位でもかまわない。肉の状態は、スライス、ブロック、ミンチ状等でも何でもよいが、ゲルと併せる場合であれば、ゲルと混ざりやすさの観点から、ミンチやすり身の状態が好ましい。
<食肉および/または魚肉加工食品>
本発明における食肉および/または魚肉加工食品とは、食肉および/または魚肉を、必要に応じて他の構成素材と混合し、これらと混ぜ合わせて製造される食品を意味する。混ぜ合わせる素材としては、肉類どうしを混ぜ合わせることの他に、卵、大豆、大豆食品等の第一群、牛乳、乳製品、海藻や小魚等の第二群、緑黄色野菜等の第三群、淡色野菜、果物等第四群、砂糖、穀類、イモ類の第五群、油脂類等の第六群等の基礎食品群や、その他調味料、香辛料、増粘多糖類等、酸化防止剤、着色料、保存料、日持ち向上剤、酸味料、甘味料、香料、強化剤、乳化剤、品質改良剤、酵素、かんすい等が挙げられる。加工食品の形態としては、混ぜ合わせた食材を成型しただけの状態でもよいし、これを鉄板、オーブン、フライヤー、蒸し器、電子レンジ、直火等で加熱調理した状態でもよいし、これをさらに冷蔵、常温、冷凍で保存した状態でもよく、要は食することのできる状態であれば、あらゆる状態を含む。一般的には、本発明のゲル化剤は、耐熱安定性があり、歩留まりの抑制の効果に優れるため、加工食品が、加熱等により加熱の工程を経た形態であるが好ましい。特に、本発明のゲル化剤は、冷解凍後の歩留まりの抑制に効果を奏するため、加工食品が、冷凍保存する形態のものが好ましい。より詳しく言うと、本発明のゲル化剤には旨み成分等のドリップの流出を抑制して、食品中に留める効果があるため、当該ゲルを含有する加工食品を再度加熱して食する際に、旨み成分を留めつつ、ジューシーに味わうことが可能となる。
食肉および/または魚肉を用いた加工食品の一例としては、ハム、ソーセージ、肉団子(ミートボール)、つくね、ハンバーグ、メンチカツ、コロッケや、ミートローフ、グラタン、パスタ、ラザニア、ドリアなどのミートソース、シュウマイ、餃子、ロールキャベツ、肉まん、マーボー、坦坦麺の具や、すり身、つみれ、蒲鉾、ちくわ、はんぺん、揚げ蒲鉾、さつま揚げ、缶詰などが挙げられる。好ましくは、肉団子、つくね、ハンバーグ、メンチカツ、シュウマイ、餃子、肉まん、揚げ蒲鉾、缶詰である。これらの加工食品は、肉の含有率が高く、また、食品加工時に熱を与えるとドリップが大量に発生するという問題が顕著であったり、あるいは食感や咀嚼時の噛み応えの改良が強く要求されるので興味深い。
例えば、ハンバーグを例にして説明すると、ハンバーグは、栄養があり、消化もよく、小さな子供から高齢者まで好まれる、肉加工品としてはポピュラーな食品の1つであり、家庭料理の他、学校給食、スーパー、コンビニエンスストア、惣菜、お弁当、ファミリーレストラン、ファーストフード店等の外食産業等で流通している。その際の保存形態としては、チルドや冷凍、レトルトなどの常温等、さまざまである。使用する肉の種類としては牛、豚、鶏、魚肉、あるいはその合挽き等、さまざまな種類を用いることができる。それらの肉のミンチを主原料として、好みに応じて、玉葱等の野菜、パン粉、卵、牛乳、塩、コショウの調味料などの素材を添加し、混ぜ合わせて捏ね、成型した後、加熱する工程によって調理できる。例えば、牛豚合挽きミンチの40〜80質量%に対し、玉葱を15〜30質量%、パン粉を1〜10質量%、卵を1〜10質量%、牛乳を1〜10質量%添加し、これに塩、コショウ等の調味料を配合すればよい。加熱の方法としては、フライパンや鉄板、オーブンや電子レンジで焼く方法や、スチームで蒸す方法、あるいは複数の方法を組み合わせる等、好みや目的に応じてさまざまである。ハンバーグとしての形態の他、ハンバーガーのパテや、ソースとともに煮込んだ、煮込みハンバーグ等、形態もさまざまである。
しかして、本発明のゲル化剤、或いは該ゲル化剤が形成するゲルを、肉の一部または全部を代替する材料として添加することもできる。例えば、ハンバーグの肉の一部を本発明のゲル化剤やゲル化剤が形成するゲルで代替することにより、歩留まりを向上させ、ジューシー感や咀嚼時の食感、歯ごたえや、加熱後の形状を損なうことなく、低カロリーかつ食物繊維を付与した、ハンバーグを提供することができる。つまり、本ゲル化剤は、低カロリーかつ、食物繊維を付与することができるため、現代の健康志向、ダイエットやカロリーコントロール思考のニーズにマッチした食品も提供できる。
<加工食品へのゲル化剤の添加方法>
本発明のゲル化剤、或いは当該ゲル化剤が形成するゲルを加工食品中に添加することにより、歩留まりの向上、ジューシー感の向上、食感(硬さ)の低減、優れた破断性、加熱後も形状を維持するなどの効果が期待できる。また、肉の一部または全部を代替する材料として加工食品中に添加することもできる。本発明のゲル化剤は、低カロリーかつ、食物繊維を付与することができるため、現代の健康志向、ダイエットやカロリーコントロール思考のニーズにマッチした食品が提供できる。
加工食品に、本発明のゲル化剤を添加する方法としては、次の方法が挙げられる。主原料、調味料、増粘剤等の原料と併せて、本発明のゲル化剤は、その形態を問わないため、粉体状や顆粒状、シート状、ペースト状、鱗ぺん状、クリーム状等、ゲル化剤としての形態のまま、直接、加工食品中に添加することもできる。あるいは、本発明のゲル化剤を、水等の水系媒体中に添加し、これを攪拌した後に静置してゲルを作製し、ゲル状態のまま添加することもできるし、一旦小さく破砕してから添加することもできる。ゲルを形成する際は、攪拌したゲル化液を加熱してもよい。加熱した後、冷却してゲルを形成すると、加熱しない場合と比較して、ゲル強度はアップするため、好ましい。ゲル化剤を分散させる際に使用する溶媒は、水系媒体であれば何でも使用できる。液温は、室温のままでもよいし、加温してもよい。塩や砂糖、その他調味料で味付けしてもよいし、食材と併せてゲルを形成してもよい。本発明のゲル化剤を添加する順番も、特に制限はない。
<加工食品への添加量>
本発明のゲル化剤を加工食品に添加する量は、特に制限はないが、粉体のまま添加する場合であれば、0.05質量%以上が好ましい。ゲル化剤の添加量を0.05質量%以上とすることで、歩留まりの向上やジューシー感の向上、食感の改良の効果が優れる。好ましくは、0.1質量%である。上限は特に制限はないが、5質量%以下とすることで、食した際の舌のざらつきや粘りをほとんど感じない。
本発明のゲル化剤をゲルとして添加する場合は、0.5質量%以上が好ましい。ゲル化剤の添加量を0.5質量%以上とすることで、ゲルに、歩留まりの向上やジューシー感の向上に必要なゲル強度を持たせ、さらにゲルやそのゲルを添加した食品に、適度な歯ごたえを残しつつ、咀嚼しやすい食感を与えるよう、食感を改良し、さらに食品に適度な硬さと弾力を持たせることができる。より好ましくは0.8質量%以上である。さらに好ましくは1質量%以上である。上限は特にないが、10質量%以下であるのが好ましい。10質量%以下とすることで、硬すぎず、またざらつきのない、喉越しや舌触りのよいゲルを形成することができる。
<食肉および/または魚肉以外の加工食品>
本発明のゲル化剤は、さまざまな加工食品中に添加することができる。応用できる食品の例としては、前記のような食肉および/または魚肉加工品以外にも、プリン、ゼリー、ヨーグルトなどのデザート類、わらびもちや大福、おはぎ等の和菓子、アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベットなどの冷菓、飲料、みつまめ、ヨーグルトなどにアクセント付けとして添加される具材、嚥下障害者用食品、介護食、きざみ食、とろみ食などのユニバーサルデザインフード、チュアパックゼリー等のゼリー状飲料、ソース、タレ、ドレッシング、マヨネーズなどの調味料、各種練り調味料、米飯類、麺類、パンやスポンジケーキ等の小麦粉食品、フルーツソース、フルーツプレパレーション、ジャムなどの果実加工品、食品に区分される流動食類、健康食品や栄養強化食品、茶碗蒸しや煮こごりなどのゲル状食品、豆腐や厚揚げ、煮豆、味噌、豆乳を用いた大豆食品、ホイップクリームやチーズなどの乳製品、惣菜・弁当類、コーヒー、茶類、アイソトニック飲料、牛乳、乳飲料、豆乳類、抹茶、ココア、しるこ、ジュースなどの通常飲料として摂取されるもののゲル化物、ペットフード類などがあげられる。なお、レトルト食品、冷凍食品、電子レンジ用食品等のように、形態または使用時の調製の加工手法が異なっていてもよい。
本発明のゲル化剤やゲル化剤が形成するゲルを、肉の一部または全部を代替する材料として添加することもできる。本ゲル化剤は、低カロリーかつ、食物繊維を付与することができるため、現代の健康志向、ダイエットやカロリーコントロール思考のニーズにマッチした食品が提供できる。
一般的な食品は、pH3〜8、食塩濃度0.01〜20%程度で提供されることが多く、食品用ゲル組成物には、これらの条件下でも機能を発現することが求められている。本発明のゲル化剤が形成するゲルは、このような条件下でも良好な耐熱安定性とゲル強度を示し、食品に使用することで、歩留まりの向上やジューシー感の向上、食感の改良等の効果を示す。
本発明のゲル化剤は、耐熱安定性に優れ、また加工食品に添加した場合に、歩留まりの向上、ジューシー感の向上、食感(硬さ)の低減、破断性に優れ、加熱後も形状を維持する効果が向上したものであるため、食品以外にも、医薬品、化粧品、食品用・工業用洗剤および処理剤原料、家庭用(衣料、台所、住居、食器等)洗剤原料、塗料、顔料、セラミックス、水系ラテックス、乳化(重合)用、農薬用、繊維加工用(精錬剤、染色助剤、柔軟剤、撥水剤)、防汚加工剤、コンクリート用混和剤、印刷インキ用、潤滑油用、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、脱墨剤等が用途としてあげることができる。記載したのはほんの一例であり、前記以外にも、幅広い食品用途で使用することも可能である。
本発明のゲル化剤が形成するゲルには、水系媒体に加えてその他の成分が配合されていても良い。例えば、食品素材(畜肉、魚肉、豆・穀類およびその粉砕物、牛乳・乳製品、はっ酵乳、野菜、果物、果汁、食用油脂等)、嗜好飲料(コーヒー、茶類、ジュース、乳飲料、豆乳等)、調味料(みそ、しょうゆ、砂糖、塩、グルタミン酸ナトリウム等)、甘味料、糖類、糖アルコール類、香料、色素、香辛料、酸味料、乳化剤、界面活性剤、保存料、日持向上剤、抗菌剤、崩壊剤、消泡剤、発泡剤、pH調整剤、増粘安定剤、食物繊維、栄養強化剤(ビタミン、ミネラル、アミノ酸類等)、エキス類、タンパク質、でんぷん類、ペプチド、アルコール類、有機溶剤、可塑剤、油脂、緩衝液、燃料、火薬・爆薬類、酸、アルカリ、イオン性物質、マイクロカプセル、美容成分(美白成分、保湿成分等)、生理活性物質、薬効成分、医薬品添加物、農薬、肥料、消臭剤、殺虫剤、金属類、触媒、セラミック、塗料、インク、顔料、研磨剤、合成高分子(プラスチック、ゴム、合成繊維等)、天然由来高分子(コラーゲン、ヒアルロン酸、天然繊維等)、紙などが配合されていても良い。
本発明のゲル化剤が形成するゲルは、比較的少量のゲル化剤の使用で大きいゲル破断強度を有し、かつ耐熱性に優れている。そのため、食品用途だけではなく、医薬医療品、化粧品、工業製品用途にも応用できる。
応用できる医薬医療品の例としては、経口医薬品、ホルモン剤などの経鼻医薬品、経腸医薬品、外皮用薬、経皮医薬品などの医薬品類、造影剤、医薬品に区分される流動食類、薬用化粧品、ビタミン含有保健剤、毛髪用剤、薬用歯磨き剤、浴用剤、殺虫剤・防虫剤、腋臭防止剤、口内清涼剤などの医薬部外品、人工軟骨、薬物担体、DNA担体、生体用接着剤、創傷被覆材、人工臓器などの生体材料、貼布剤、コーティング剤などがあげられる。
また、応用できる化粧品の例としては、美容成分含有ゲル状化粧料、パック、モイスチャークリーム、マッサージクリーム、コールドクリーム、クレンジングクリーム、洗顔料、バニシングクリーム、エモリエントクリーム、ハンドクリーム、日焼け止め用化粧料などの皮膚用化粧品、ファンデーション、口紅、リップクリーム、ほほ紅、サンスクリーン化粧料、まゆ墨、マスカラ等まつげ用化粧料、マニキュアや除光液等のつめ化粧料などの仕上げ用化粧品、シャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ポマード、チック、ヘアクリーム、香油、整髪料、ヘアスタイリング剤、ヘアスプレー、染毛料、育毛剤や養毛剤などの頭髪用化粧品、さらにはハンドクリーナーのような洗浄剤、浴用化粧品、ひげそり用化粧品、芳香剤、歯磨き剤、軟膏、貼布剤などがあげられる。
本発明を、下記の実施例により説明する。ただし、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
<結晶セルロース複合体のコロイド状セルロース成分含有率>
(1)結晶セルロース複合体を、1質量%濃度の水分散液とし、高せん断ホモジナイザー(日本精機(株)製、エクセルオートホモジナイザーED−7、処理条件;15,000rpmを5分間)を用いてイオン交換水に分散させた。
(2)次に、遠心分離した。(久保田商事(株)製、6800型遠心分離機、ロータータイプRA−400、処理条件:遠心力2,000rpm(5600G、Gは重力加速度)×15分間、仕込み量:50g(遠沈管))
(3)遠心分離後の上澄み液をガラス製秤量瓶に導入し、60℃で15時間、その後105℃で2時間乾燥し、デシケーター内で恒量した後、重量を測定した。また、別途、未遠心の水分散体も同様に乾燥し、重量を測定した。それらの結果から、上澄みに残存するコロイド状セルロース固形分の質量百分率を、以下の式より求めた。
コロイド状セルロース成分含有率=(上澄み50gの固形分)/(未遠心50g中の固形分)×100
<ゲル強度>
(1)ゲル化剤を、家庭用ミキサー(三洋電機(株)製、SM−L56型)で3分間攪拌し、イオン交換水に分散させ、4%の水分散液とした。
(2)次に、この4%分散液の入った容器を、85℃の湯浴中に入れて、30分間加熱した。
(3)容器を湯浴から取り出し、直径4.5mmの円筒型の容器に流し入れ、ラップと輪ゴムで蓋をした。これを流水中で60分間冷却し、さらに室温で60分間静置させて、ゲルを作製した。
(4)このゲルのラップを外して試料とし、テクスチャーアナライザー(英弘精機(株)製、商品名「TA XT plus」)により、ゲル強度を測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離を25mmとして測定した。この測定において、最大値となるStressの値(単位面積あたりの荷重値)を、ゲル強度として測定した。
<ゲルの破断距離>
上記<ゲル強度>の項の(1)〜(4)と同様にしてゲルを作製し、同じテクスチャーアナライザーを用いてゲル強度を測定した。押し込み距離を25mmとし、最初に凸型のピークが出現したときの押し込み距離を、ゲルの破断距離として測定した。
<加工食品の加熱後の歩留まり>
ハンバーグや、その他加工食品を、成型し、予め重量を測定した(加熱前の重量)。次に、加熱した後、クッキングペーパー(リードヘルシークッキングペーパー、ライオン(株)製)で包んで、余分なドリップを吸い取った。その後の重量を加熱後のとして測定した。加熱後の歩留まりの割合は、以下の式により算出した。
加熱後の歩留まり=100−{(加熱前の重量)−(加熱後の重量)/(加熱前の重量)}×100
<加工食品の冷解凍後の歩留まり>
ハンバーグや、その他加工食品の加熱前および加熱後の重量を前記のようにして測定した。次に、−20℃で冷凍した加熱後の加工食品を、電子レンジを用いて600Wで3分間加熱し、解凍した。解凍した加工食品のドリップを、クッキングペーパーで吸い取った。その後、重量を測定した(冷解凍後の重量)。冷解凍後の歩留まりの割合は、以下の式により算出した。
冷解凍後の歩留まり=100−{(加熱前の重量)−(冷解凍後の重量)/(加熱前の重量)}×100
<加工食品のジューシー感>
12人のパネラーに、加工食品のジューシー感について、1〜5段階で点数をつけてもらった。そのうち、一番高い点数と低い点数を一人ずつ除外し、10人の点数の平均値を採用した。点数は最高点を5点とし、以下4、3、2、1として点数をつけてもらった。評価の基準は、最もジューシー感を感じるものを5点とし、以下、ややジューシー感を感じるものを4点、どちらともいえないものを3点、ジューシー感があまり感じられないものを2点、ジューシー感が感じられないものを1点として採点した。
<加工食品の高さ>
前記のテクスチャーアナライザーを用いて、ゲル強度の測定時に計測される高さの値を記述した。すなわち、加工食品を成型する際、同一の型(高さ17mm)に入れて成型した。加熱し、冷凍したものを、電子レンジで解凍した。そのときの高さが、17mmよりも高くなったものは、食感がふっくらしており、低くなったものは、形状を維持できずに縮んだといえる。
<加工食品の表面の硬さ>
加工食品の表面の硬さを、前記のテクスチャーアナライザーを用いて測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離は、加工食品が破断されないよう、5mmとして測定した。このときの最大値となるStressの値(単位面積あたりの荷重値)を、加工食品の表面の硬さとして測定した。Stressの値が大きいほど、加工食品の表面の硬さは硬く、手や舌で触った際に感じる硬さを表現する。
<加工食品の内部の硬さ>
加工食品の内部の硬さを、前記のテクスチャーアナライザーを用いて測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離は、加工食品が破断するよう、20mmとして測定した。このときの最大値となるStressの値(単位面積あたりの荷重値)を、加工食品の表面の硬さとして測定した。Stressの値が大きいほど、加工食品の内面の硬さは硬く、咀嚼時に歯ごたえを感じる。
<加工食品の破断距離>
加工食品の内部の硬さを、前記のテクスチャーアナライザーを用いて測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離は、加工食品が破断するよう、20mmとして測定した。このときの最初に出現するピーク値となる破断距離の値を測定した。破断距離が短いほど、箸やスプーン、フォーク等で破断する際に破断しやすく(弱い力で破断できる)、破断距離が長いほど、加工食品は弾力性があり、破断時に強い力を要するといえる。
実施例1
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状の結晶セルロース(MCC)を作製した(平均重合度は220であった)。
次に、ウエットケーキ状のMCCと、キサンタンガム(Xanと表記、丸善製薬(株)製、FJ、0.1質量%溶液の粘度は46mPa・s)を用意し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)にMCC/Xanの質量比が94/6となるように投入し、固形分が45質量%となるよう、イオン交換水を添加した。
その後、126rpmで混練し、セルロース複合体Aを得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は、65Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Aの体積平均粒子径は8.2μmであり、コロイド状セルロース成分量は、65質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Aと、グルコマンナン(GMと表記、清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体A/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Aを作製した。
ゲル化剤Aを用いて、ゲルを作製した。イオン交換水とゲル化剤Aを用意し、ゲル化剤Aの濃度が4質量%となるよう、イオン交換水中に添加した。これを、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製、MARKII)を用いて、5,000rpmで10分間攪拌した。この分散液を、室温で1時間静置させた後、ゼリーカップに充填して蓋を覆い、ウォーターバス中に浸漬させて、85℃で30分間加熱した。これを冷水中で1時間、さらに室温で1時間静置させて、ゲルAを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及びゲルの破断距離の測定結果を表2に示した。
このゲルAで、肉の50%を代替した、低カロリーハンバーグを作製した。フードプロセッサー(Panasonic(株)製、MK−K61型、低速)の容器中に、牛肉と豚肉が、7:3質量%の割合で混合された合挽きミンチ140gと、ゲルAを140g(あらかじめフードプロセッサーで低速で10秒間攪拌して破砕したもの)、玉葱(3mmの大きさにみじん切りし、電子レンジ(松下電器産業(株)製、NE−J20型)で600Wで10分加熱調理したもの)、パン粉(日清製粉(株)製、ソフトパン粉)16g、全卵((株)サン・ファーム、朝採りもみじたまご)16g、牛乳(南日本酪農協同(株)製、デーリィ牛乳)10g、食塩(伯方塩業(株)、伯方の塩)4.8g、砂糖(大日本明治製糖(株)、ばら印の白砂糖)4.0g、コショウ(ヱスビー食品(株)製、テーブルコショー)0.8g、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)0.4gを添加して全量400gとし、低速にて、10秒攪拌して蓋をあけて、側面をシリコン製のスパチュラで掻き落とすというサイクルを3セット繰り返し、合計30秒間攪拌して、混ぜ合わせた。これを70gずつ量り取り、空気を抜きながらハンバーグ成型器(明道メタル(株)製、小判型、高さ17mm)に入れて平らな小判型に成型した。成型したハンバーグをクッキングシート(旭化成ホームプロダクツ(株)製、クックパー)上に並べて、予め予熱230℃で温めておいたオーブン(松下電器産業(株)製、NE−J20型)に入れて、230℃で10分間加熱し、加熱した。加熱後、オーブンから取り出して、クッキングペーパー(ライオン(株)製、リードヘルシークッキングペーパー)で余分なドリップを吸い取った。その後、ハンバーグの重量を測定して、加熱後の歩留まりを算出した。このハンバーグを、室温で静置して放冷した後、−20℃で冷凍した。冷凍したハンバーグを、電子レンジ600Wで3分間加熱して解凍した。解凍したハンバーグのドリップをクッキングペーパーで吸い取った後、重量を測定し、冷解凍後の歩留まりを算出した。このハンバーグの高さ、表面および内面の硬さ、破断距離を、テクスチャーアナライザーを用いて計測した。その結果を表2に示した。ただし、測定値はn=5の平均値を示す。また、官能評価によるジューシー感の評価結果を、表1に示す。
実施例2
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(丸善製薬(株)製、FNS、0.1質量%溶液の粘度は61mPa・s)の質量比が、88/12となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Bを作製した。混練エネルギーは95Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Bの体積平均粒子径は7.3μmであり、コロイド状セルロース成分量は、72質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Bを作製した。
このゲル化剤Bを用いて、実施例1と同様にしてゲルBを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルBを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例3
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Cを作製した。混練エネルギーは83Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Cの体積平均粒子径は6.8μmであり、コロイド状セルロース成分量は、74質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Cと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体C/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Cを作製した。
このゲル化剤Cを用いて、実施例1と同様にしてゲルCを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルCを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例4
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、60/40となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Dを作製した。混練エネルギーは59Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Dの体積平均粒子径は8.4μmであり、コロイド状セルロース成分量は、58質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Dと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体D/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Dを作製した。
このゲル化剤Dを用いて、実施例1と同様にしてゲルDを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルDを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例5
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、60/40となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Eを作製した。混練エネルギーは55Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Eの体積平均粒子径は10.5μmであり、コロイド状セルロース成分量は、48質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Eと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体D/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Eを作製した。
このゲル化剤Eを用いて、実施例1と同様にしてゲルDを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルEを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例6
実施例2と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(丸善製薬(株)製、FNS、0.1質量%溶液の粘度は61mPa・s)の質量比が、88/12となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が33質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Fを作製した。混練エネルギーは52Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Fの体積平均粒子径は12.6μmであり、コロイド状セルロース成分量は、33質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Fと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体F/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Fを作製した。
このゲル化剤Fを用いて、実施例1と同様にしてゲルFを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルFを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例7
実施例2と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(丸善製薬(株)製、FNS、0.1質量%溶液の粘度は61mPa・s)の質量比が、88/12となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が42質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Gを作製した。混練エネルギーは48Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Gの体積平均粒子径は9.6μmであり、コロイド状セルロース成分量は、42質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Fと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体G/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Gを作製した。
このゲル化剤Gを用いて、実施例1と同様にしてゲルFを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルGを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例8
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスLM、0.2質量%溶液の粘度は2mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Hを作製した。
このゲル化剤Hを用いて、実施例1と同様にしてゲルHを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルHを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例9
実施例3と同様にして、結晶セルロース複合体Cを作製した。この結晶セルロース複合体Cと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックス、0.2質量%溶液の粘度50mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Iを作製した。
このゲル化剤Iを用いて、実施例1と同様にしてゲルIを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルIを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例10
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=12/88となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Jを作製した。
このゲル化剤Jを用いて、実施例1と同様にしてゲルJを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルJを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例11
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=25/75となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Kを作製した。
このゲル化剤Kを用いて、実施例1と同様にしてゲルKを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルKを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例12
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=84/16となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Lを作製した。
このゲル化剤Lを用いて、実施例1と同様にしてゲルLを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルLを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例13
実施例12と同様にして、ゲル化剤Lを作製した。このゲル化剤Lを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作した。ゲルではなく、粉体状のゲル化剤を、そのままフードプロセッサー中に投入した。牛肉と豚肉が、7:3質量%の割合で混合された合挽きミンチ140gと、ゲル化剤Lを5.6g(固形分換算)、玉葱のみじん切り、パン粉16g、全卵16g、牛乳10g、食塩4.8g、砂糖4.0g、コショウ0.8g、味の素0.4gを添加し、残りはイオン交換水を添加して、全量400gとなるよう調製した。実施例1と同様にハンバーグを作製し、加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離について評価した結果を、表1に示した。実施例12では、ゲル化剤Lで、一旦ゲルLを形成したものを、肉の代替素材として添加したのに対し、実施例13では、ゲル化せずに、ゲル化剤をそのままハンバーグ中に添加した。ゲル状態で添加した実施例12のほうが良好な結果が得られているものの、ゲル化剤のまま添加しても、本発明の効果を十分に発揮しており、遜色のない結果が得られた。
実施例14
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=23/10/67となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Mを作製した。
このゲル化剤Mを用いて、実施例1と同様にしてゲルMを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルMを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例15
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=35/15/50となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Nを作製した。
このゲル化剤Nを用いて、実施例1と同様にしてゲルNを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルNを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例16
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=47/20/33となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Oを作製した。
このゲル化剤Oを用いて、実施例1と同様にしてゲルOを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルOを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例17
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Pを作製した。
このゲル化剤Oを用いて、実施例1と同様にしてゲルPを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルPを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例18
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(小川香料(株)製、FA−R−C、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が335mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Qを作製した。
このゲル化剤Qを用いて、実施例1と同様にしてゲルQを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルQを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例19
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=66/28/6となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Rを作製した。
このゲル化剤Rを用いて、実施例1と同様にしてゲルRを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルRを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例20
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=68/29/3となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Sを作製した。
このゲル化剤Sを用いて、実施例1と同様にしてゲルSを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルSを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例21
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、タマリンドシードガム(TSGと表記、大日本住友製薬(株)製、グリロイド2A)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/TSG=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Tを作製した。
このゲル化剤Tを用いて、実施例1と同様にしてゲルTを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルTを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例22
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、寒天(Agaと表記、伊那食品工業(株)製、イナアガーL)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Aga=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Tを作製した。
このゲル化剤Tを用いて、実施例1と同様にしてゲルTを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
このゲルTを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
実施例23
実施例2と同様にして、ゲル化剤Bを作製した。ゲル化剤Bを用いて、ゲルBを作製した。このゲルBを用いて、鶏肉の50%をゲルで代替した、低カロリー鶏肉団子を試作した。鶏肉(モモ肉)のミンチ150g、ゲルB(あらかじめフードプロセッサーで低速で10秒間攪拌して破砕したもの)150g、全卵30g、玉葱のみじん切り30g、パン粉30g、鶏がらスープの素((株)味の素、丸鶏がらスープ)4g、食塩3g、コショウ3g(全量400g)をフードプロセッサーに投入し、低速で20秒間攪拌した。これを、70gずつ空気を抜きながらハンバーグ成型器に入れて成型する。成型した原料を、沸騰した湯の中に投入して茹でる。茹で上がった鶏肉団子から、クッキングペーパーで、余分なドリップを吸い取った。その後、鶏肉団子の重量を測定して、加熱後の歩留まりを算出した。この鶏肉団子を室温で静置して放冷した後、−20℃で冷凍した。冷凍した鶏肉団子を、沸騰した湯の中に投入して8分間加熱して解凍した。解凍した鶏肉団子のドリップをクッキングペーパーで吸い取った後、重量を測定し、冷解凍後の歩留まりを算出した。この鶏肉団子の高さ、表面および内面の硬さ、破断距離を、テクスチャーアナライザーを用いて計測した。その結果を表2に示した。ただし、測定値はn=5の平均値を示す。また、官能評価によるジューシー感の評価結果を、表2に示す。
実施例24
実施例2と同様にして、ゲル化剤Bを作製した。ゲル化剤Bを用いて、ゲルBを作製した。このゲルBを用いて、魚のすり身の50%をゲルで代替した、低カロリーさつま揚げを試作した。魚のすり身150g、ゲルB(あらかじめフードプロセッサーで低速で10秒間攪拌して破砕したもの)150g、生姜(ヱスビー食品(株)、本生生しょうが)5g、醤油(キッコーマン(株)製、しぼりたて生しょうゆ)5g、砂糖15g、酒((株)ミツカングループ製、料理酒)15g、食塩5g、片栗粉30g、全卵60g(全量435g)をフードプロセッサーに投入し、低速で20秒間攪拌した。これを、70gずつ空気を抜きながらハンバーグ成型器に入れて成型する。成型した原料を、160℃の揚げ油(日清オイリオ(株)製、キャノーラ油)中に静かに入れて、揚げる。一旦、網の上に取り出して、10分間静置して余分な油を切った後、さらにクッキングペーパーで余分なドリップを吸い取った。その後、さつま揚げの重量を測定して、加熱後の歩留まりを算出した。このさつま揚げを、−20℃で冷凍した。冷凍したさつま揚げを、電子レンジ600Wで3分間加熱して解凍した。解凍したさつま揚げのドリップをクッキングペーパーで吸い取った後、重量を測定し、冷解凍後の歩留まりを算出した。このさつま揚げの高さ、表面および内面の硬さ、破断距離を、テクスチャーアナライザーを用いて計測した。その結果を表2に示した。ただし、測定値はn=5の平均値を示す。また、官能評価によるジューシー感の評価結果も表2に示した。
Figure 0005955147
Figure 0005955147
比較例1
結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株)製、セオラスPH−301、複合体ではない)と、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比がMCC/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Iを作製した。
このゲル化剤Iを用いて、実施例1と同様にしてゲルIを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
このゲル化剤Iを用いて、実施例13と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤Iに使用した結晶セルロースは、複合体ではないため、水系媒体中に分散させてもネットワーク構造を形成することができず、沈降してしまう。そのため、グルコマンナンと混ぜ合わせてゲル化剤とし、ゲルを形成しようとしてもネットワーク構造を形成することができず、また、グルコマンナン単独では、アルカリで処理しないと、ゲルを形成することができないため、粘調液の状態であった。そのため、ハンバーグ中にゲル化剤を添加すると、ドリップが大量に発生し、ジューシー感を損ねてしまった。また、ドリップが大量に発生したことにより、収縮し、高さは成型前よりも低くなった。また、ハンバーグ内部の液体成分が抜けてしまい、表面、内面ともに硬くなった。
比較例2
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。MCC/カラヤガム(ソマール(株)製、ガムカラヤ)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が45質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Iを作製した。混練エネルギーは74Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Iの体積平均粒子径は8.8μmであり、コロイド状セルロース成分量は、63質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体Iと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体I/カラヤガム=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤IIを作製した。
このゲル化剤IIを用いて、実施例1と同様にしてゲルIIを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
このゲル化剤IIを用いて、比較例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤IIには、結晶セルロース複合体Iが配合され、組成にカラヤガムも配合されてはいるが、キサンタンガムは配合されていない。そのため、結晶セルロース複合体I自体は水系媒体中で安定にネットワーク構造を形成することが出来るが、グルコマンナンと一緒にゲル化剤としてゲル化させようとしても、結晶セルロース複合体とグルコマンナンとの相互作用が弱いため、ゲルを形成することができない。したがって、ゲル化剤IIをハンバーグ中に添加すると、結晶セルロース複合体を含む故、歩留まりの向上やジューシー感の向上に効果を示すも、キサンタンガムを組成に持つ複合体と比較すると、その効果は小さい。そのため、本発明のゲル化剤ほどの効果は得られなかった。
比較例3
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。MCC/カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCと表記、第一工業製薬(株)製、F−7A)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が45質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体IIを作製した。混練エネルギーは78Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体IIの体積平均粒子径は7.9μmであり、コロイド状セルロース成分量は、71質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体IIと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体II/CMC=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤IIIを作製した。
このゲル化剤IIIを用いて、実施例1と同様にしてゲルIIIを作製し、評価した。ゲル強度および破断距離の結果を、表3に示した。
このゲルIIIを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤IIIには、結晶セルロース複合体IIが配合され、組成にCMCが配合されてはいるが、キサンタンガムは配合されていない。そのため、結晶セルロース複合体II自体は水系媒体中で安定にネットワーク構造を形成することが出来るが、グルコマンナンと一緒にゲル化剤としてゲル化させようとしても、結晶セルロース複合体とグルコマンナンとの相互作用が弱い。ただし、カラヤガムを組成に持つゲル化剤IIよりはネットワークを形成したため、なんとかゲルを形成できたが、ゲルの構造は不安定である。したがって、ゲル化剤IIIが形成するゲルIIIをハンバーグ中に添加すると、結晶セルロース複合体を含む故、歩留まりの向上やジューシー感の向上に効果を示すも、キサンタンガムを組成に持つ複合体と比較すると、その効果は小さい。そのため、本発明のゲル化剤ほどの効果は得られなかった。ただし、ゲル化剤IIよりは若干良好な結果が得られた。
比較例4
実施例3と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が28質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体IIIを作製した。混練エネルギーは46Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体IIIの体積平均粒子径は18.5μmであり、コロイド状セルロース成分量は、27質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体IIIと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体III/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤IVを作製した。
このゲル化剤IVを用いて、実施例1と同様にしてゲルIVを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
このゲル化剤IVを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤IV中に配合された結晶セルロース複合体IIIは、キサンタンガムを組成に持つが、コロイド状セルロース成分量が30質量%未満である。これは、結晶セルロースとキサンタンガムとの複合化の工程において、混練エネルギーが弱く、複合化が十分にすすんでおらず、結晶セルロースの表面に、キサンタンガムが十分に被覆されていないことに起因していると考えられる。したがって、結晶セルロース複合体IIIは、水系媒体中に分散させても安定なネットワーク構造を形成することができないため、ゲル化剤中に配合して、グルコマンナンと一緒にゲル化させようと試みても、互いが絡み合ったネットワークを形成することができないので、ゲル化できなかった。このゲル化剤IVを、ハンバーグ中に添加しても、結晶セルロース表面に被覆されたキサンタンガムの量は少ないため、ドリップの抑制効果や、ハンバーグ中でネットワークを形成することによるハンバーグの形状維持の効果が小さかった。
比較例5
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。このウェットケーキ状のMCCに、ローカストビーンガム(LBGと表記、MRCポリサッカライド(株)製、MC1000)とキサンタンガム(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)、デキストリン(Dexと表記、松谷化学(株)製、パインデックス♯100)を、MCC/LBG/Xan/Dex=70/6/4/20となるようとなるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が35質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体IVを作製した。混練エネルギーは44Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体IVの体積平均粒子径は10.8μmであり、コロイド状セルロース成分量は、28質量%、粒子L/Dは1.6であった。
この結晶セルロース複合体IVと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体IV/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Vを作製した。
このゲル化剤Vを用いて、実施例1と同様にしてゲルVを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
このゲル化剤Vを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤Vがゲルを形成できず、また、ハンバーグに添加しても十分な効果がえられなかったのは、比較例4のゲル化剤IVと同様、コロイド状セルロース成分量が少ないことにより、水系媒体中で安定なネットワーク構造を形成できないためであると考える。
Figure 0005955147
比較例6
市販のバガスパルプ(平均重合度1320、α−セルロース含有量77質量%)を、6×16mm角のパルプチップに裁断し、固形濃度が77質量%となるよう、イオン交換水を添加した。水とパルプチップができるだけ分離しないよう注意しながら、カッターミル(カッティングヘッド/水平刃間隙:2.03mm、インペラー回転数3,600rpm)に1回通した。セルロース濃度が2質量%になるようにカッターミル処理品と水を量りとり、これらを混合して繊維の絡みがなくなるまで攪拌した。得られた水分散液を、高圧ホモジナイザー(処理圧力90MPa)で9パス処理し、微細繊維状セルロースのスラリーを得た。高分解能走査型顕微鏡(SEM)で観察したところ、長径/短径比が、20〜250の極めて微細な繊維状のセルロースが観察された。この微細繊維状セルロースのスラリーに、CMC、デキストリンを、微細繊維状セルロース/CMC/Dex=68/12/20となるようそれぞれ秤量した。これを、攪拌型ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製、T.K.AUTO HOMO MIXER)を用いて、8,000rpmで30分間攪拌混合した後、前記の高圧ホモジナイザーで20MPaで1パス処理し、微細繊維状セルロース混合液を得た。ついで、この混合液を、アプリケーターを用いて厚さ2mmでアルミニウム板状にキャストし、熱風乾燥機を使用して、120℃で45分間乾燥して、フィルム状とした。これを、カッターミル(不二パウダル(株)製)で、目開き1mmの篩を全通する程度まで粉砕し、微細繊維状セルロース複合体aを得た。混練エネルギー(攪拌型ホモジナイザーによる攪拌エネルギー)は、総量として0.01Wh/kg未満であり、攪拌時の温度は、20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。微細繊維状セルロース複合体aの体積平均粒子径は38.2μmであり、コロイド状セルロース成分量は、71質量%であった。
この微細繊維状セルロース複合体aと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、微細繊維状セルロース複合体a/GM/Xan=50/35/15となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤VIを作製した。
このゲル化剤VIを用いて、実施例1と同様にしてゲルVIを作製し、評価した。ゲル強度および破断距離の結果を、表4に示した。
このゲルVIを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表4に示した。ゲル化剤VI中に配合された微細繊維状セルロース複合体aは、本発明の結晶セルロース複合体と比較して、非常に細長い形状を有する。そのため、微細繊維状セルロース複合体が形成するネットワークは、非常に疎な構造である。したがって、ゲル化剤VIが形成するゲルVIは、ゲル中のネットワークが疎であるため、ゲルの破断性には優れる一方、ゲル強度は低い。さらに、ハンバーグ中に添加すると、ハンバーグ中の水や旨み成分等のドリップをネットワーク構造中に捕捉できないため、歩留まり抑制の効果が見られず、食感もジューシーさに欠けた。また、ゲル強度が低いため、ハンバーグは柔らかく、歯ごたえのない食感となり、また加熱後に形状を維持できずに、ハンバーグはだれてしまい、高さは加熱前よりも低くなった。
Figure 0005955147
本発明は、結晶セルロースとキサンタンガムを含有し、コロイド状セルロース成分量が30質量%を超える結晶セルロース複合体と、グルコマンナンを配合することを特徴とする、ゲル化剤に関するものである。該ゲル化剤が形成するゲルは、pH調製しなくてもゲルを形成し、該ゲルは高いゲル強度を有し、破断性に優れ、耐熱安定性に優れる。さらに、該ゲル化剤、あるいは該ゲル化剤が形成するゲルを食肉および/または魚肉加工品に添加すると、歩留まりの向上、特に冷解凍後の歩留まりの向上、ジューシー感の向上、食感の改良(硬さの低減)、破断性に優れ、加熱後も形状を維持する効果に優れるため、例えば、加工食品や食品添加物製造業等において有用である。

Claims (5)

  1. 結晶セルロースとキサンタンガムを含有し、且つコロイド状セルロース成分量が30質量%を超える結晶セルロース複合体と、グルコマンナンを含んでなることを特徴とするゲル化剤。
  2. 前記ゲル化剤が、結晶セルロース複合体5〜95質量%に対し、グルコマンナンを95〜5質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のゲル化剤。
  3. 前記ゲル化剤が、さらにキサンタンガム、カードラン、アラビノキシラン、寒天、タマリンドシードガムからなる群から選択される1つ以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のゲル化剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル化剤を水系媒体に分散して形成したゲルであって、形成されたゲル強度が少なくとも0.5g/mm以上であることを特徴とする、ゲル。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル化剤および/または請求項4に記載のゲルが配合された食肉および/または魚肉加工品。
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