JP5057972B2 - ペクチンの改質方法及びその応用 - Google Patents

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Description

本発明は、ペクチンの改質方法、当該方法により改質されたペクチン及び当該改質ペクチンを含む組成物に関する。さらに本発明は、上記方法により改質されたペクチンを用いて、被験組成物の分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性及びゲル化性などの物性を改質または向上(改良)する方法に関する。
従来、食品の改良、例えば、分散性、乳化性、起泡性などの物性を改良したり、食物繊維を強化したりする目的で、種々の食品ハイドロコロイドが使用されている。食品ハイドロコロイドとは、水を分散媒として食品中に存在する、粒子径約1μm以下のたんぱく質および多糖類のことをいう。当該ハイドロコロイドは、粘性、ゲル化性、分散安定性、乳化性、起泡性、保水性および皮膜性などを有し、それ自身が食品素材として有用なだけでなく、他の食品に少量添加することで食品の物性や機能性を改良する作用がある。食品のおいしさを支配する要因の一つである食感(テクスチャー)と食品の物性の間には密接な関係があり、食品物性を制御することができる食品ハイドロコロイドはテクスチャーモディファイアーとも呼ばれている。最近では、咀嚼・嚥下困難者用食品のかたさや喉越しを改良する目的で食品ハイドロコロイドが汎用されており、その使用用途は拡大している。
食品ハイドロコロイドのうち多糖類には、種々の起源のものがあり、その機能も多種多様である。多糖類の起源としては、種子、根茎、樹液、果実、海藻、微生物等がある。それぞれ代表的な物質として、種子由来のものとしてはグァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、水溶性大豆多糖類、タマリンドシードガム及びサイリウムシードガム;根茎由来のものとしてはコンニャク粉、グルコマンナン及びでん粉;樹液由来のものとしてはアラビアガム、トラガントガム、カラヤガム及びガティガム;果実由来のものとしてはペクチン;海藻由来のものとしては寒天、カラギナン、アルギン酸及びアルギン酸塩;また微生物由来のものとしてはキサンタンガム、ジェランガム、プルラン及びカードラン等を挙げることができる。
多糖類の機能を最大限発揮させるためには、分散媒(通常は水)中に均一に溶解することが重要である。しかし、多量の多糖類を水中に投入すると、「ダマ」(「ままこ」ともいう)(未膨潤・未水和粒)ができてしまう。いったん「ダマ」ができるとその溶解は非常に難しく、製造効率が劇的に低下してしまうため、食品工業の分野では非常に大きな問題となっている。これを防ぐために、多糖類を小麦粉、砂糖及び又は脱脂粉乳等の粉末原料と予め混合する方法や、多糖類をサラダ油、液糖及び又はアルコール中に予め分散させた後、水に溶解する方法などがとられているが、更に簡便で効果的な方法が求められている。
一方、食品工業の分野においては、多様化する市場ニーズや消費者の嗜好の変化、あるいはコストダウンに対応するため、従来にも増して新規な食感や高度な機能性が求められている。これらの要望に応えるための方法として、食感や機能性の異なる複数の食品ハイドロコロイドを併用し、相補的・相乗的効果を生み出すことが考えられる。多糖類では、キサンタンガムとグァーガム、キサンタンガムとローカストビーンガム、キサンタンガムとグルコマンナン、カラギナンとローカストビーンガム及びカラギナンとグルコマンナン(コンニャク粉)等を組み合わせることにより、ゲル強度の上昇や離水の減少等に効果があることが知られている(非特許文献1)。しかし、これらだけで前述のような多様な市場ニーズに完全に応えられるものではない。
食品ハイドロコロイドの中でも、ペクチンはα-D-ガラクツロン酸を主鎖成分とする酸性多糖類である。当該ペクチンは、ゼリーやその他の菓子、およびジャムのゲル化剤、あるいは酸性乳飲料の安定剤として最も広く使用されている。しかしながら、化粧品や医薬品用途への展開を含め、使い勝手がよく、かつ新規な食感や高度の機能性を有するペクチンが求められている。
なお、ペクチンの処理に関しては、ペクチンを水に溶解若しくは分散した後、有機酸を添加し、加熱もしくは高圧下加熱処理することによって新規ペクチンを得る方法(特許文献1)、ペクチンを弱酸性下で100℃より高く150℃以下の温度で熱水処理することにより得られるペクチン成分が、分散液中の固形物を安定に分散させることのできる分散安定剤として有用であること(特許文献2)が知られている。しかし、これらの方法はいずれもペクチンを水の存在下で酸性条件下で高圧または高温で加熱する方法であるため、pH調整や加圧処理が必要であり、製造工程が煩雑となるという問題点がある。
また、特許文献3には、ペクチンなどの水溶性多糖類粉末の殺菌方法として、水溶性多糖類粉末を該粉体が溶解しない貧溶媒中に分散させて、酸化系殺菌剤と接触させて加熱処理(50〜95℃、30分〜5時間)する方法が記載されている。当該文献には、上記方法によって殺菌処理された水溶性多糖類粉末(ペクチンなど)を用いることによって細菌汚染のない保存性良好な食品が得られることが記載されているものの、上記方法による水溶性多糖類粉末(ペクチンなど)の物性(例えば、水分散性・分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性、食感、粘度発現性、ゲル化性)に与える影響については一切言及されていない。
特開平10−155432号公報 特開2002−330710号公報 特開平07−184565号公報 食品多糖類 乳化・増粘・ゲル化の知識 岡崎直道、佐野征男、幸書房(2001)
本発明は、代表的な食品ハイドロコロイドであるペクチンを改質し、所望の機能を付与または向上させることを目的とする。より詳細には、本発明は、上記目的に則したペクチンの改質方法を提供することを目的とする。また本発明は、上記方法で改質されたペクチン、並びに当該ペクチンを含む組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は上記方法で改質されたペクチンの用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、乾燥減量が20重量%以下のペクチンを粉末状態で加熱処理することにより、加熱前のペクチン(未改質ペクチン)に比して水への分散性が向上すること、またこの改質ペクチンを被験組成物に配合することにより当該被験組成物の物性〔分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、ゲル化性〕を改良(向上)することができることを見いだした。また、更にこのペクチンの改質方法として、特定条件下(50〜150℃、1分〜48時間)で加熱処理することが好ましく、また、50〜150℃で1分〜48時間の加熱処理を、相対湿度を20〜90%に調節し、減圧条件下で行うことが好ましいこと、また改質するペクチンとしては、エステル化度が50%以上のハイメトキシルペクチン(HMペクチン)またはサトウダイコン由来のシュガービートペクチンが好ましいことを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の態様を有する;
項1.ペクチンを、粉末状態で50〜150℃、1分〜48時間加熱処理することを特徴とするペクチンの改質方法。
項2.ペクチンが、乾燥減量が20重量%以下のものである、項1記載のペクチンの改質方法。
なお、項2の態様において、必要に応じて、ペクチンの乾燥減量を10重量%より大きく20重量%以下の範囲に設定することもできる。
項3.相対湿度が20〜90%の条件下で加熱処理することを特徴とする、項1乃至2に記載のペクチンの改質方法。なお好ましくは、相対湿度が20〜90%の恒湿条件下での加熱処理である。
項4.加熱処理を減圧条件下で行うことを特徴とする、項1乃至項3のいずれかに記載のペクチンの改質方法。
項5.ペクチンがエステル化度50%以上のハイメトキシルペクチンである、項1乃至4のいずれかに記載のペクチンの改質方法。
項6.ペクチンがサトウダイコン由来のシュガービートペクチンである、項1乃至4のいずれかに記載のペクチンの改質方法。
なお、上記の「ペクチンの改質方法」は、「改質ペクチンの製造方法」と言い換えることができる。また、改質されるペクチンの物性としては、ペクチンそのものの水への分散性を挙げることができる。すなわち、ペクチンを改質することにより、改質前のペクチン(未改質ペクチン)よりも高い水分散性を備えたペクチン(改質ペクチン)を得ることができる。
また、改質されるペクチンの物性として、ペクチンを被験組成物に適用した場合に当該ペクチンが被験組成物に与える分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、およびゲル化性を挙げることができる。
項7.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチン。
項8.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンからなるか、またはそれを含有する分散剤または分散安定剤。
項9.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンからなるか、またはそれを含有する乳化剤または乳化安定剤。
項10.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンからなるか、またはそれを含有する離水防止剤。
項11.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンからなるか、またはそれを含有する食感改質剤。
項12.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンからなるか、またはそれを含有する粘度調節剤。なお、当該粘度調節剤は、改質されたペクチンの粘度発現性に応じて増粘剤として使用することもできるし、また粘度低減剤として使用することもできる。
項13.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンからなるか、またはそれを含有するゲル化剤。
項14.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを含む組成物。
項15.改質ペクチンを0.01〜10重量%の割合で含む項14記載の組成物。なお必要に応じて、改質ペクチンの配合割合を0.01重量%以上0.05重量%未満、5重量%より大きく10重量%以下の範囲に設定することもできる。
項16.食品である項14または15記載の組成物。
項17.項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の物性の改質もしくは向上方法。ここで、改質される被験組成物の物性としては、分散安定性、乳化性又は/及び乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、およびゲル化性を挙げることができる。なかでも被験組成物の分散安定性、乳化性又は/及び乳化安定性、および保水性(離水抑制性)については、本発明の改質ペクチンを用いることによって向上させることができる。
項18.前記被験組成物の物性が分散安定性であり、被験組成物の分散安定性を向上する方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の分散安定性の向上方法、と言い換えることもできる。
項19.前記被験組成物の物性が乳化性又は/及び乳化安定性であり、被験組成物の乳化性又は/及び乳化安定性を向上する方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の乳化性又は/及び乳化安定性の向上方法、と言い換えることもできる。
項20.前記被験組成物の物性が保水性または離水抑制性であり、被験組成物の保水性または離水抑制性を向上する方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の保水性(離水抑制性)の向上方法、と言い換えることもできる。
項21.前記被験組成物が食品および前記被験組成物の物性が食感であり、食品の食感を改良する方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の食感の改良方法、と言い換えることができる。
項22.前記被験組成物の物性が粘性であり、被験組成物の粘度を調節する方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の粘度を調節する方法、と言い換えることができる。
項23.前記被験組成物の物性が高粘度発現性であり、被験組成物の粘度を上昇させる方法である項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の粘度を上昇させる方法、と言い換えることができる。
項24.前記被験組成物の物性が低粘度発現性であり、被験組成物の粘度を低下させる方法である項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物の粘度を低下させる方法、と言い換えることができる。
項25.前記被験組成物の物性がゲル化性であり、被験組成物にゲル化性を付与する方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物にゲル化性を付与する方法、と言い換えることができる。
項26.前記被験組成物の物性がゲル化性であり、被験組成物のゲル強度を上昇させる方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物のゲル強度を上昇させる方法、と言い換えることができる。
項27.前記被験組成物の物性がゲル化性であり、被験組成物のゲル強度を低下させる方法である、項17に記載する方法。当該方法は、項1乃至6のいずれかに記載の方法により改質されたペクチンを被験組成物に配合することを特徴とする、当該被験組成物のゲル強度を低下させる方法、と言い換えることができる。
本発明により、ペクチンを特定条件で加熱処理するという簡便かつ安全な方法で、分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、ゲル化性などの物性について、所望の機能を有するように、ペクチンを改質することができる。かかる方法で得られた改質ペクチンは、それ自体、従来の未改質ペクチンに比して水への分散性が向上しており使用しやすいという利点を有するだけでなく、食品、化粧品または医薬品分野で、分散安定剤、乳化安定剤、離水防止剤、食感改質剤、粘度調節剤、またはゲル化剤として有効に使用することができる。
(1)ペクチンの改質方法、及び当該方法で得られたペクチン
本発明のペクチンの改質方法は、乾燥減量が20重量%(以下、「%(w/w)」)以下の原料ペクチンを粉末状態で加熱することによって実施することができる。
かかる条件で加熱処理を行う場合、処理槽内の相対湿度が所定の湿度の範囲になるように調節し制御することが好ましい。かかる相対湿度範囲としては20〜90%の範囲を挙げることができ、この範囲内で適宜調節することができる。好ましくは45〜85%の範囲である。
加熱する原料ペクチンは、乾燥減量20%(w/w)以下の乾燥状態であれば特に制限されない。乾燥減量として好ましくは10%(w/w)以下、より好ましくは5%(w/w)以下、更に好ましくは3%(w/w)以下である。加熱処理を50%より低い相対湿度条件下で加熱処理を行なう場合は、できるだけ乾燥減量の低い原料ペクチンを用いることが好ましい。
なお、本発明において「乾燥減量」はペクチンの乾燥度を示すために用いられる。当該乾燥減量は、常圧下105℃、3時間の条件で加熱処理した際に減じる重量の割合を言い、下式によって求めることができる。
Figure 0005057972
具体的には、「乾燥減量が20%(w/w)のペクチン」とは、常圧下105℃で3時間加熱処理した後の重量が、加熱処理する前の重量(この重量を100%(w/w)とする)に比して20%(w/w)減量するペクチンを意味する。
50%より低い相対湿度条件下で加熱処理を行なう場合、原料ペクチンの乾燥減量が20%(w/w)より大きいと、長時間の熱処理により着色(褐変)および固結(ケーキング)する傾向がある。このため、乾燥減量が20%(w/w)を超える原料ペクチンは、予め真空乾燥及び凍結乾燥等の方法で、乾燥減量を20%(w/w)以下まで下げておくことが望ましい。
一方、50%以上の相対湿度条件下で加熱処理を行なう場合は、原料ペクチンは、前記乾燥減量による悪影響はなく、粉末状態である限り、任意の乾燥減量を有するペクチンを使用することができる。
改質に用いる粉末状ペクチンの粒子径としては、特に制限されないが、通常10メッシュ篩過程度以下の粒子径を例示することができる。なお、粉末状ペクチンは、ペクチン抽出液にアルコールを加えて回収した繊維状のペクチンを乾燥、粉砕する方法や、ペクチン抽出液をスプレードライにより乾燥、粉末化する方法、固形のペクチンを粉末状に粉砕する方法、粉末状のペクチンを予備凍結して凍結乾燥する方法等の方法によって調製することができる。
原料ペクチンの加熱温度は下限を50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上とし、上限を150℃以下、好ましくは140℃以下または140℃未満、より好ましくは120℃以下に設定することが望ましい。次に述べる加熱時間との兼ね合いにもよるが、加熱温度が50℃より極端に低くなると改質効果は十分でなく、逆に150℃を大きく超えると外観の劣化(褐変)が著しく、水不溶性成分が大量に形成される場合がある。加熱時間は1分〜48時間、好ましくは5分〜36時間、更に好ましくは10分〜24時間である。前述の加熱温度との兼ね合いにもよるが、加熱時間が1分より極端に短い場合は改質効果が十分でなく、逆に48時間を大きく超えても更なる改質効果が期待できない場合や、外観の劣化(褐変)が著しく、水不溶性成分が大量に形成される場合がある。
加熱温度が比較的低い場合(例えば80℃以下、具体的には50〜80℃)は、比較的高い相対湿度条件下(例えば50%以上、具体的には50〜90%)で処理する方が、より短時間の処理で所望の改質効果(分散性、分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、ゲル化性などを改質する効果)が得られたり、同じ処理時間でより大きな改質効果が期待できる場合が多い。
なお、大気中常圧下で加熱処理すると、褐変など外観の劣化が起こりやすくなることから、加熱処理は減圧下で行うことが好ましい。減圧条件としては、制限されないが、例えば0.01〜500mmHg程度、好ましくは0.01〜300mmHg程度、より好ましくは0.01〜200mmHg程度の条件を挙げることができる。
ペクチンの改質の目的が、当該ペクチンそのものの水分散性の向上(水に溶解する際のダマ形成の抑制)である場合、120〜150℃程度で10〜60分程度加熱する方法、好ましくは120〜140℃程度で20〜40分程度加熱する方法を挙げることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。相対湿度を比較的高め(例:80%)に調整することで、比較的低温の加熱でもペクチンの水分散性を向上させることが可能である。相対湿度80%の恒湿状態では、50〜80℃程度で10〜150分加熱する方法を挙げることができる。この場合に使用する原料ペクチンとしては、エステル化度50%以上のHMペクチンを好適に例示することができる。
ペクチンの改質の目的が、pH5以下であり且つタンパク質を0.1重量%以上含む酸性蛋白飲料(被験組成物)に対する分散安定力(乳タンパクの凝集抑制作用および沈澱防止作用)の向上にある場合には、50〜110℃程度で10〜60分程度加熱する方法、好ましくは100〜110℃程度で20〜40分程度加熱する方法を用いることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。この場合に使用する原料ペクチンとしては、エステル化度50%以上のHMペクチンを好適に例示することができる。
ペクチンの改質の目的が、被験組成物の乳化性または乳化安定性の向上にある場合は、50〜150℃程度で10分〜48時間程度加熱する方法、好ましくは60〜100℃程度で1時間〜24時間程度加熱する方法を挙げることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。この場合に使用する原料ペクチンとしては、サトウダイコン由来のシュガービートペクチンを好適に例示することができる。
ペクチンの改質の目的が、被験組成物の保水性(離水抑制性)の向上である場合、50〜80℃程度で10〜360分程度加熱する方法、80〜110℃程度で5〜60分程度加熱する方法、または110〜120℃程度で1〜20分程度加熱する方法を挙げることができる。好ましくは70〜90℃程度で10〜60分程度、より好ましくは70〜90℃程度で20〜40分程度加熱する方法を用いることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。この場合に使用する原料ペクチンとしては、エステル化度50%以上のHMペクチンを好適に例示することができる。一方、原料ペクチンとしてサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを使用する場合には、50〜150℃程度で10分〜16時間加熱する方法を挙げることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。
また、ペクチンの改質の目的が、被験組成物の食感の改質にある場合は、50〜120℃で10〜60分程度、好ましくは70〜110℃程度で20〜40分程度加熱する方法を用いることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。この場合に使用する原料ペクチンとしては、エステル化度50%以上のHMペクチンを好適に例示することができる。
本発明で粘度発現性とは、ペクチンを水に完全溶解したときに粘度を発現する性質をいう。本発明の改質ペクチンは、加熱条件によって、低粘度発現性を示す場合(未改質のペクチンを水に溶解したときの粘度より低粘度を示す)と、高粘度発現性を示す場合(未改質のペクチンを水に溶解したときの粘度より高粘度を示す)とがあり、目的に応じて粘度発現の高低を調節することができる。
ペクチンの改質の目的が、被験組成物の粘度向上(高粘度発現性)である場合、50〜80℃程度で10〜360分程度加熱する方法、80〜110℃程度で5〜60分程度加熱する方法、または110〜120℃程度で1〜20分程度加熱する方法を挙げることができる。好ましくは70〜90℃程度で10〜60分程度、より好ましくは70〜90℃程度で20〜40分程度加熱する方法を用いることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。この場合、原料ペクチンとしてエステル化度50%以上のHMペクチンを好適に使用することができる。一方、原料ペクチンとしてサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを使用する場合には、50〜150℃程度で10分〜16時間程度加熱する方法を挙げることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。
ペクチンの改質の目的が、被験組成物の粘度抑制(低粘度発現性)である場合、100〜120℃程度で150分以上加熱する方法、120〜140℃程度で30分以上加熱する方法、または140℃程度で10分以上加熱する方法を挙げることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。
この場合、原料ペクチンとしてエステル化度50%以上のHMペクチンを好適に使用することができる。一方、原料ペクチンとしてサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを使用する場合には、比較的高湿度(例えば70%以上)で80℃以上の温度条件で長時間(例えば24〜48時間程度)加熱する方法を挙げることができる。
ゲル化性とは、一般的には、水分を保持して自重で流れなくなる、固体と液体の中間状態を示す(ゲルを生じる)性質を言う。ペクチンの場合は、HMペクチンとLMペクチンでゲル化する条件が異なる。HMペクチンの場合、約50%以上の糖質などの固形分が共存し、かつpHが3.5以下の条件のときにゲルを生じる。また、LMペクチンの場合は、固形分量やpHにあまり影響されることなく、カルシウムやマグネシウムなどの多価イオンが存在する条件で、熱安定性の比較的高いゲルを生じる。
本発明の改質ペクチンは、加熱条件によって、硬いゲルを生じる(未改質のペクチンで調製するゲルより破断強度値の高いゲルを生じる)場合と柔らかいゲルを生じる(未改質のペクチンで調製するゲルより破断強度値の低いゲルを生じる)場合とがあり、目的に応じて生成するゲルの硬さを調節することができる。なお、本発明では硬いゲルを生じさせる性質を「硬いゲル化特性」、柔らかいゲルを生じさせる性質を「柔らかなゲル化特性」という。
ペクチンの改質の目的が、被験組成物に対して硬いゲル化特性を付与する場合は、50〜120℃程度で10〜60分程度加熱する方法、好ましくは100〜110℃程度で20〜40分程度加熱する方法を用いることができる。かかる加熱処理時の湿度条件としては相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%の恒湿状態を好適に例示することができる。この場合に使用する原料ペクチンとしては、エステル化度50%以上のHMペクチンを好適に例示することができる。
一方、ペクチンの改質の目的が、被験組成物に対して柔らかなゲル化特性を付与する場合は、140℃程度以上で30分以上加熱する方法を用いることができる。この場合に使用する原料ペクチンとしては、エステル化度50%以上のHMペクチンを好適に例示することができる。
本発明において用いる原料ペクチンは、前述する乾燥減量を有するものであれば特に制限されないが、特に改質対象とする物性が、分散安定性またはゲル化性にある場合は、前述するように、エステル化度50%以上のハイメトキシルペクチン(HMペクチン)を使用することが望ましい。かかるHMペクチンは商業的に入手可能であり、例えばSM−762(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)等を挙げることができる。一方、メチルエステル基含量が低いエステル化度50%未満のローメトキシルペクチン(LMペクチン)では、加熱処理によるペクチン主鎖の分解がHMペクチンに比べてより顕著になり、分散安定性およびゲル化性が低下する場合がある。
なお、加熱処理時の相対湿度が50%以上の場合はこの限りではなく、粉末のペクチンを乾燥減量の割合に関わらず使用することができる。
また、特に改質対象とする物性が、乳化性・乳化安定性である場合は、原料ペクチンとしてサトウダイコン(Beta vulgaris LINNE var. rapa DUMORTIER)由来のシュガービートペクチンを使用することが望ましい。シュガービートペクチンは、シュガービートパルプの構成多糖類の一つであり、α−1,4グリコシド結合したD−ガラクツロン酸の主鎖と、主にアラビノースやガラクトース等の中性糖からなる側鎖、及び側鎖に結合したタンパク質によって構成されており、平均分子量は40万から50万とされている。また、主鎖骨格中にβ−L-ラムノースが存在する場合がある。シュガービートペクチンの主鎖部分は糖鎖全体の約4割を占めており、主鎖の構成糖であるD−ガラクツロン酸は部分的にアセチル化およびメチルエステル化されている。サトウダイコン由来のシュガービートペクチンを原料ペクチンとして使用する場合、メチルエステル基含量の高低にかかわらず、本発明の効果を得ることができる。かかるシュガービートペクチンは商業的に入手可能であり、例えばビストップ[商標]D−2250(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)等を挙げることができる。
改質対象とする物性が、ペクチンの水分散性、保水性(離水抑制性)、または粘度発現性にある場合は、エステル化度が50%以上のHMペクチンおよびサトウダイコン由来のシュガービートペクチンのいずれも使用することができる。
上記の加熱処理によりペクチンの表面構造が変化し水分散性が改善される。原料ペクチンとしてHMペクチンを使用する場合、特に、120〜150℃程度で10〜60分程度加熱処理された改質ペクチン、好ましくは120〜140℃程度で20〜40分程度加熱処理された改質ペクチン、あるいは比較的高めの相対湿度下(例:80%)で、比較的低温の加熱条件(例えば、50〜80℃程度で10〜360分)で処理された改質ペクチンは、未加熱処理(未改質)のペクチンに比べて水分散性がよく、ダマになりにくいため、ペクチンを水に溶解する時など作業性が著しく改善される。この作用機序としては、ペクチンを水に添加して緩く攪拌して溶解する場合、加熱処理によって形成された部分的なゲル構造が粉末表面における急激な吸水を抑制し、従って水分散性が改善されるものと考えられる。
前述するように、相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%に調節された条件下で、好ましくはエステル化度50%以上のHMペクチンを50〜110℃程度で10〜60分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチン、好ましくは100〜110℃程度で20〜40分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチンは、未加熱処理(未改質)のペクチンに比べて、酸性域における乳タンパクの分散安定効果(経時的な沈殿発生の抑制効果)が高い。その他、果汁中のパルプ質の分散安定効果も高い。従って、かかる方法によって調製された改質ペクチンは、分散安定化剤として有効に利用することができる。この作用機序としては、加熱処理によりペクチンと乳タンパクとの電気的な相互作用が安定化することが考えられるが、そのメカニズムは十分に解明できていない。
また、相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%に調節された条件下で、好ましくはサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを50〜150℃程度で10分〜48時間程度加熱することによって調製される改質ペクチン、好ましくは比較的高湿度(例えば70%以上)、60〜100℃程度で1〜48時間程度加熱することによって調製される改質ペクチンは、未加熱処理(未改質)のペクチンに比べて、水中油型(O/W)エマルションを調製した場合の油滴の平均粒子径が小さく、その経時的な変化も少ない。このため、かかる方法で調製された改質ペクチンは、乳化剤若しくは乳化安定化剤として有効に利用することができる。この作用機序としては、加熱による分子間或いは分子内相互作用により、ペクチンの疎水性が増し、従って界面活性が上昇するものと考えられる。なお、本発明で得られた改質ペクチンは、あらゆる均質機を使用した攪拌を行っても高い乳化性を維持することができる。つまり、実際の食品の製造において均質化の条件は様々であるが、本発明により得られる改質ペクチンのうち、種々の均質化条件に適した改質ペクチンを選択することができる。
相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%に調節された条件下で、エステル化度50%以上のHMペクチンを50〜80℃程度で10〜360分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチン、80〜110℃程度で5〜60分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチン、110〜120℃程度で1〜20分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチン、または70〜90℃程度で10〜60分程度、好ましくは70〜90℃程度で20〜40分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチン、ならびにサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを50〜150℃程度で10分〜16時間程度加熱処理することによって調製される改質ペクチンは、未加熱処理(未改質)のペクチンに比べて同濃度において離水抑制効果(保水効果)が高く、またその多くの場合粘度が高い(高粘度発現性)。このため、かかる改質ペクチンは離水抑制剤(保水剤)または粘度調節剤(増粘剤)として有効に利用することができる。この作用機序としては、分子間相互作用による部分的なゲル構造が、より多くの水分を捕捉し、より強固に水分を束縛するため、保水性および高粘度発現性が改善されるものと考えられる。
相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%に調節された条件下で、エステル化度50%以上のHMペクチンを50〜120℃で10〜60分程度加熱することによって調製される改質ペクチン、好ましくは70〜110℃程度で20〜40分程度加熱することによって調製される改質ペクチンは、食感改質剤として有効に利用することができる。
相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%に調節された条件下で、エステル化度50%以上のHMペクチンを50〜80℃程度で10〜360分程度加熱することによって調製される改質ペクチン、80〜110℃程度で5〜60分程度加熱することによって調製される改質ペクチン、110〜120℃程度で1〜20分程度加熱することによって調製される改質ペクチン、または70〜90℃程度で10〜60分程度加熱することによって調製される改質ペクチン、好ましくは70〜90℃程度で20〜40分程度加熱することによって調製される改質ペクチンは、被験組成物に対してその粘度を向上させる目的(高粘度発現性の付与)で使用することができる。
また、相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%に調節された条件下で、サトウダイコン由来のシュガービートペクチンを50〜150℃程度で10分〜16時間程度加熱することによって調製される改質ペクチンも、被験組成物に対してその粘度を向上させるの目的(高粘度発現性の付与)で使用することができる。
一方、エステル化度50%以上のHMペクチンを100〜120℃程度で150分以上加熱することによって調製される改質ペクチン、120〜140℃程度で30分以上加熱することによって調製される改質ペクチン、または140℃程度で10分以上加熱することによって得られる改質ペクチン、及びサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを比較的高湿度(例えば70%以上)で長時間(例えば24〜48時間程度)加熱することによって得られる改質ペクチンは、被験組成物に対してその粘度を抑制する目的(低粘度発現性の付与)で、例えば粘度低減剤として使用することができる。
相対湿度20〜90%、好ましくは45〜85%に調節された条件下で、エステル化度50%以上のHMペクチンを50〜120℃程度で10〜60分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチン、好ましくは100〜110℃程度で20〜40分程度加熱処理することによって調製される改質ペクチンは、未加熱処理(未改質)のペクチンから形成されるゲルに比べて同濃度でゲル強度(破断応力)の高いゲル(硬いゲル)を形成する性質を有する。この作用機序としては、加熱処理による分子間相互作用により、ペクチンの平均分子鎖長が長くなり、従って、ゲル構造が密にかつ強固になるため、ゲル強度が高まるものと考えられる。一方、エステル化度50%以上のHMペクチンを140℃程度以上で30分以上加熱処理することによって調製される改質ペクチンは、未加熱処理(未改質)のペクチンから形成されるゲルに比べて同濃度でゲル強度(破断応力)の低いゲル(柔らかなゲル)を形成する性質を有する。これらのことから、上記方法によって調製された改質ペクチンはゲル化剤として有効に利用することができる。
(2)改質ペクチン含有組成物、及びその用途
更に、本発明は、前述の加熱処理により調製される改質ペクチンを含む組成物に関する。前述するように、当該改質ペクチンは、それが有する分散安定作用、乳化・乳化安定作用、保水作用(離水抑制作用)、粘度発現作用、ゲル化作用に基づいて、それぞれ、分散安定剤、乳化性・乳化安定剤、保水性付与剤(離水抑制剤)、粘度調節剤、ゲル化剤として有効に利用することができる。このため、かかる改質ペクチンを食品組成物、化粧品組成物、または医薬品組成物などの各種の組成物(被験組成物)に添加すると、被験組成物の種類に応じて、被験組成物に対して所望の物性〔分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、ゲル化性〕を付与したり、または当該被験組成物が本来有する物性〔分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、ゲル化性〕を改質若しくは向上(改良)させることができる。
特に食品、医薬品等の経口組成物の物性(力学特性)は食感(テクスチャー)と密接な関係があることから、当該改質ペクチンを配合することによって、食感を改質することもできる。
当該改質ペクチンの被験組成物への添加量は、対象となる組成物の種類や用途、改質する対象の被験組成物が本来有する物性〔分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、食感、粘度発現性、ゲル化特性〕、および使用する改質ペクチンの処理条件などによっても種々異なる。例えば、被験組成物が食品である場合、概して食品100重量%中に配合される改質ペクチンの割合として0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%程度を挙げることができる。被験組成物への改質ペクチンの添加方法は常法に従えばよく、特に限定されるものではない。
食品に改質ペクチンを添加する場合の効果として、具体的には粉末を水に溶解する際のダマ形成の抑制、即ちペクチンそのものの水分散性の向上が挙げられる。また、脂肪のクリーミング抑制、エマルションの分離抑制及び酸性領域での乳タンパク質の凝集抑制等といった食品の分散安定性;乳化性または乳化安定性の向上;経時的な離水の抑制や調理歩留まりの上昇等の保水性向上;ソフト感の上昇、しっとり感の上昇及びジューシー感の上昇等の食感改質効果が挙げられる。更に、未処理のペクチンを使用する場合に比べて、同一濃度で粘度やゲル強度を高くすることも可能であるため、例えばジャム等では添加量を削減することができ、即ちコストダウンが可能となる。更には、高分子化された改質ペクチンは物性的にはゲル的な構造をとりやすく、食感的にはキレが良く粘りが少なく、口溶けのよい食感であるため、脂肪代替物としても利用できる。
本発明の改質されたペクチンを含む組成物として、食品の場合は、例えばアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、及び氷菓等の冷菓類;牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、イオン飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、ゼリー飲料及び粉末飲料等の飲料類;カスタードプリン,ミルクプリン及び果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)やタフィ等のキャラメル類;ソフトビスケットやソフトクッキー等の菓子類;乳化タイプドレッシング、セパレートドレッシング及びノンオイルドレッシング等のドレッシング類、ケチャップ、たれ及びソース等のソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム及びプレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ等の加工用果実;ハム、ソーセージ、及び焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き及び鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;食パン、菓子パン、及び惣菜パン等のパン類、コーヒークリーム、生クリーム、カスタードクリーム、ホイップクリーム、発酵クリーム及びサワークリーム等のクリーム類、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清汁、シチュウ、カレー、及びグラタン等のスープ類;その他、各種総菜及び加工食品等を挙げることができる。また、このような一般食品に加えて、蛋白質・リン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、濃厚流動食、ミキサー食、及びキザミ食等の特殊食品や治療食及びいわゆるトロミ剤と呼ばれる咀嚼・嚥下補助食品等を挙げることができる。また、食品以外の分野、即ち化粧品や医薬品の分野でも使用することができる。
以下、本発明の内容を以下の調製例、実施例及び比較例等を用いて具体的に説明する。但し、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、文中*印を付した製品は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品であること、文中※印を付した名称は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
調製例1〜4:改質HMペクチンの調製
ペクチンとして、HMペクチンに相当する「SM−762」*(エステル化度70〜72%)を用いた。乾燥減量5〜10%の粉末状のHMペクチンを17倍容量の70容量%エタノール水溶液を用いて洗浄を3回繰り返し、これを−40℃で予備凍結し、次いで凍結乾燥した。得られたHMペクチンは粉末状であり、乾燥減量は3%未満であった。
これを10gづつアルミパウチに封入し(厚み約5mm)、60mmHgまで減圧後、ヒートシールした。これを熱風乾燥機中(相対湿度条件:50%未満)で、加熱温度80℃、105℃、120℃、及び140℃の温度条件下で、それぞれ15分、30分、60分、150分、及び300分間加熱処理し、表1の改質ペクチン(調製例1-1〜1-5、調製例2-1〜2-5、調製例3-1〜3-5、調製例4-1〜4-5)を得た。
Figure 0005057972
調製例5〜7:改質HMペクチンの調製
調製例1〜4と同様にして、粉末状、乾燥減量3%未満のHMペクチンを調製した。これを約20gづつセラミック製の容器に量りとり、厚みを一定(約5mm)にして、60℃に設定した恒温恒湿槽内で、相対湿度50%、70%、及び80%、加熱時間15分、30分、60分、150分、及び300分間の条件で処理し、表2の改質ペクチン(調製例5-1〜5-5、調製例6-1〜6-5、調製例7-1〜7-5)を得た。
Figure 0005057972
調製例8〜9:改質シュガービートペクチンの調製
ペクチンとして、サトウダイコン由来のシュガービートペクチンである「ビストップ[商標]D−2250」*(エステル化度約55%、アセチル化度約20%)を用いた。乾燥減量5〜10%の粉末状のシュガービートペクチンを17倍容量の70容量%エタノール水溶液を用いて洗浄を3回繰り返し、これを−40℃で予備凍結し、次いで凍結乾燥した。得られたシュガービートペクチンは粉末状であり、乾燥減量は3%未満であった。これを10gづつアルミパウチに封入し、60mmHgまで減圧後、ヒートシールした。これを熱風乾燥機中(相対湿度条件:50%未満)で、加熱温度60℃、80℃、105℃、120℃、及び140℃の条件で、30分間加熱処理し、表3の改質ペクチンを得た(調製例8-1〜8-5)。
同様に、熱風乾燥機中(相対湿度条件:50%未満)で、加熱温度105℃で、15分、30分、60分、150分、及び300分の条件で加熱処理し、表4の改質ペクチンを得た(調製例9-1〜9-5)。
Figure 0005057972
Figure 0005057972
調製例10:改質シュガービートペクチンの調製
調製例8〜9と同様にして、粉末状のシュガービートペクチン(乾燥減量8〜12%)を、約20gずつセラミック製の容器に量りとり、厚みを一定(約5mm)にした。温度80℃、相対湿度80%に設定した恒温恒湿槽(小型環境試験器 SM-641,ESPEC Corp.製)内で、加熱時間15分、30分、60分、150分、及び300分間の条件で処理し、表5の改質ペクチン(調製例10-1〜10-5)を得た。
Figure 0005057972
調製例11〜16:改質シュガービートペクチンの調製
粉末状のシュガービートペクチン(乾燥減量8〜12%)を、約20gずつセラミック製の容器に量りとり、厚みを一定(約5mm)にした。相対湿度を50%に設定した恒温恒湿槽(小型環境試験器SM-641,ESPEC,Corp.製)内で、加熱温度60℃および80℃、加熱時間1時間〜24時間の条件で加熱処理し、表6の改質ペクチンを得た(調製例11-1〜11-4および調製例12-1〜12-4)。
同様に、相対湿度を70%に設定した恒温恒湿槽内で、加熱湿度60℃および80℃、加熱時間1時間〜48時間の条件で加熱処理し、表7の改質ペクチンを得た(調製例13-1〜13-4および調製例14-1〜14-6)。
また、相対湿度を80%に設定した恒温恒湿槽内で、加熱温度60℃および80℃、加熱時間1時間〜48時間の条件で加熱処理し、表8の改質ペクチンを得た(調製例15-1〜15-4および調製例16-1〜16-7)。
Figure 0005057972
Figure 0005057972
Figure 0005057972
実施例1〜8:HMペクチンの水分散性の改良
300mL容量のビーカーに250mLの脱イオン水(常温25℃)を測りとり、攪拌羽を250rpmで攪拌しながら(弱い攪拌条件)、ペクチン(実施例1〜4としてそれぞれ調製例1-2、2-2、3-2及び4-2で調製した改質ペクチン、及び比較例1として未加熱処理(未改質)のペクチン(調製例1〜4で調製した加熱前の粉末状HMペクチン(乾燥減量3%未満))を、濃度0.2%(w/v)となるように約20秒間かけて添加した。1分間攪拌後の外観(ダマのできやすさ)及び1分間攪拌後25℃にて静置した時のペクチンの水和時間(溶液が、外観上均一になるのに要する時間)を観察した。
同様に、実施例5〜8として調製例7-2、7-3、7-4、及び7-5で調製した改質ペクチン、及び比較例1として未加熱処理(未改質)のペクチンの水分散性を評価した。
結果を表9に示す。1分間攪拌後の外観(ダマの有無)については、下記の評価基準に従って評価した。
<評価基準>
5:ダマはほとんどないか少ない(直径1mmに満たないダマが1個以下)。
4:小さなダマができる(直径約1〜3mmのダマが1〜3個)。
3:小さなダマが多数出来る(直径約1〜3mmのダマが3個以上認められる)。
2:大きなダマが出来る(直径約3mm以上のダマが1〜3個は認められる)。
1:大きなダマが多数出来るか、非常に大きなダマが出来る(直径約3mm以上のダマが3個以上ある)。
Figure 0005057972
表9に示すように、実施例1〜4で用いた調製例1-2〜4-2の改質ペクチン(相対湿度未調整の条件で改質)は、比較例1の未加熱処理ペクチンに比べて、1分間攪拌後の外観(ダマの有無)において優れており、水分散性が向上していた。このことから、上記加熱処理がペクチンの水分散性向上(水分散性改善)において効果のあることがわかった。特に、実施例3で用いた120℃、30分間加熱改質ペクチン(調製例3-2)および実施例4で用いた140℃、30分間加熱改質ペクチン(調製例4-2)は、実施例1で用いた80℃、30分間加熱改質ペクチン(調製例1-2)及び実施例2で用いた105℃、30分間加熱改質ペクチン(調製例2-2)に比べて、一層水分散性がよく、これから加熱温度が高いほどダマになりにくい傾向が認められた。但し、加熱処理温度が高くなると、改質ペクチンを水に添加した当初に生じる未膨潤粒(未水和粒)が多くなり、ペクチンの水和時間が長くなる傾向があった。水分散性(ダマの有無)及び水和時間(分散時間)の両面から、実施例3に示す調製例3-2の120℃加熱改質ペクチンが最も優れていた。
一方、実施例5〜8で用いた調製例7-2〜7-5の改質ペクチン(恒湿条件で改質)は、比較例1の未加熱処理ペクチンに比べて、1分間攪拌後の外観(ダマの有無)において優れており、水分散性が向上していた。このことから、上記条件(相対湿度80%、60℃、30-300分)下での加熱処理が水分散性向上(水分散性改善)において効果のあることがわかった。但し、加熱時間が長くなると、ペクチンの水和時間が長くなる傾向があった。水分散性(ダマの有無)及び水和時間(分散時間)の両面から、実施例5で用いた調製例7-2の改質ペクチン(相対湿度80%、60℃条件下での30分加熱)、及び実施例6で用いた調製例7-3の改質ペクチン(相対湿度80%、60℃条件下での60分加熱))が優れていた。
実施例9〜57;HMペクチンおよびシュガービートペクチンの粘度発現性の改良
最初に、HMペクチンの粘度発現性について検討した。300mL容量のビーカーに200mLの脱イオン水(常温)を測りとり、90℃まで加熱した。攪拌羽を2000rpmで攪拌しながら(強い攪拌条件)、ペクチン〔調製例1-1〜1-5(実施例9〜13)、調製例2-1〜2-5(実施例14〜18)、調製例3-1〜3-5(実施例19〜23)、調製例4-1〜4-5(実施例24〜28)で調製した改質ペクチン、及び比較例2として未加熱処理(未改質)のペクチン(調製例1〜4で調製した加熱前の粉末状HMペクチン(乾燥減量3%))を、濃度2%(w/v)となるように約20秒間かけて添加した。10分間攪拌、8℃で10分冷却、さらに20℃で2時間冷却し、脱イオン水で重量を補正した。室温で1時間放置した後、粘度を測定した(B型回転粘度計、回転速度60rpm、測定温度20℃、ローター番号については、60rpmにおける粘度が500mPa・sを超える場合は#3,100〜500mPa・sの場合は#2,100mPa・s未満の場合は#1)で測定した。
同様に、実施例29〜33として調製例5-1〜5-5で調製した改質ペクチン、実施例34〜38として調製例6-1〜6-5で調製した改質ペクチン、実施例39〜43として調製例7-1〜7-5で調製した改質ペクチン、並びに比較例2として未加熱処理(未改質)のペクチンについて、粘度発現性を評価した。
次に、シュガービートペクチンの粘度発現性について検討した。300mL容量のビーカーに200mLの脱イオン水(常温)を測りとり、90℃まで加熱した。攪拌羽を2000rpmで攪拌しながら(強い攪拌条件)、実施例44〜57として、調製例8-1〜8-5で調製した改質ペクチン、調製例9-1〜9-5で調製した改質ペクチン、調製例10-2〜10-5で調製した改質ペクチン、及び比較例3として未加熱処理(未改質)のペクチン(調製例8〜9で調製した加熱前の粉末状シュガービートペクチン(乾燥減量3%))を、濃度3%(w/v)となるように約20秒間かけて添加した。10分間攪拌、8℃で10分冷却、さらに20℃で2時間冷却し、脱イオン水で重量を補正した。室温で1時間放置した後、粘度を測定した(B型回転粘度計、回転速度60rpm、測定温度20℃、ローター#2)で測定した。
結果を表10および11に示す。
Figure 0005057972
Figure 0005057972
HMペクチンでは(表10)、相対湿度未調整の条件下、80℃では短時間〜長時間にわたる加熱処理で粘度の増加が認められ、また105℃では100分程度以下の加熱処理、120℃では20分程度以下の加熱処理で粘度の増加が認められた(高粘度発現性)。さらに上記結果の傾向から、140℃では5分程度以下の短時間の加熱処理が有効であると思われる(高粘度発現性)。なお、実験した範囲内で、最も高い粘度増加を示した改質ペクチンは80℃で30分間加熱した改質ペクチン(実施例10;調製例1-2)であった。
一方、加熱温度が高くなるに従い、また加熱時間が長くなるに従い、改質ペクチン含有水溶液の粘度は低下する傾向にあった(低粘度発現性)。具体的には、105℃では150分程度以上の加熱処理、120℃では30分程度以上の加熱処理、また140℃では10分程度以上の加熱処理で粘度が低下する傾向が認められた。
これらのことから、加熱温度と加熱時間の組み合わせで、未加熱処理ペクチン含有水溶液(比較例2)に比べて粘度を増加させたり(高粘度発現性)、減少させたりすることができ(低粘度発現性)、ペクチンの粘度発現性をコントロールできることがわかる。
実施例3及び4(表9)で良好な水分散性を示した改質ペクチン(調製例3-2及び4-2)で調製した試料(実施例20及び実施例25)は未加熱処理のペクチン(比較調製例)で調製した試料(比較例2)に比べて粘度が低かった。このことから、これらの改質ペクチンは、調製後1時間程度では水和は十分にされていないと考えられた。120℃、30分、または140℃、30分といった比較的高温条件下での加熱処理により改質されたペクチン(調製例3-2及び4-2)では、高分子化により分子内あるいは分子間に部分的なゲル構造が形成されると考えられるため、急速な水の浸透が起こらず(水和が起こりにくく)、このため水分散性が改良される(向上する)ものと考えられる。
一方、実施例9〜16及び19のように、未加熱ペクチンを用いた比較例2に比べて粘度が高い試料では、加熱処理による高分子化によって生じたペクチンのゲル構造が比較的弱く、攪拌によって容易に崩壊するため、溶液の粘度が上昇するものと考えられる。更に、140℃、150分および300分等のように高温下での長時間にわたる加熱処理により改質したペクチン(調製例4-4及び4-5)で調製した試料(実施例27及び28)は、粘度は低いものの、起泡性が非常に高かった。このことから、これら高温・長時間の条件下での加熱処理ではペクチンの低分子化が起こっていることが示唆された。
一方、相対湿度を調整した場合、比較例2の未加熱処理ペクチンに比べて、実施例29〜33で用いた調製例5-1〜5-5の改質ペクチン(相対湿度50%、60℃条件下での15-300分加熱)、実施例34〜37で用いた調製例6-1〜6-4の改質ペクチン(相対湿度70%、60℃条件下での15-150分加熱)、および実施例39〜41で用いた調製例7-1〜7-3の改質ペクチン(相対湿度80%、60℃条件下での15-60分加熱)で、粘度の増加が認められた(高粘度発現性)。また、相対湿度が高いほど短時間の加熱処理で粘度が高くなることがわかり、相対湿度の調整によって製造条件を最適化(短縮化)できることがわかった。
一方、加熱時間が高くなるに従い、改質ペクチン含有水溶液の粘度は低下する傾向にあった(低粘度発現性)。具体的には、相対湿度70%の場合は60℃で300分程度以上の加熱処理(実施例38)、相対湿度80%の場合は60℃で150分程度以上の加熱処理(実施例42〜43)で粘度が低下する傾向が認められた。
これらの結果から、相対湿度を調整する場合でも、加熱温度と加熱時間の組み合わせで、未加熱処理ペクチン含有水溶液(比較例2)に比べて粘度を増加させたり(高粘度発現性)、減少させたりすることができ(低粘度発現性)、HMペクチンの粘度発現性をコントロールできることがわかった。
シュガービートペクチンでは(表11)、湿度未調整の場合、加熱温度が高くなるほど、また加熱時間長くなるほど、粘度が上昇する傾向が見られた。
一方、湿度を調整した場合(相対湿度80%)、加熱時間が長くなるほど粘度が上昇した(高粘度発現性)が、加熱時間が16時間を超えると粘度は低下し、比較例3よりも粘度が低くなった(低粘度発現性)。加熱温度と加熱時間の組み合わせで、未加熱処理ペクチン含有水溶液(比較例3)に比べて粘度を増加させたり(高粘度発現性)、減少させたりすることができ(低粘度発現性)、シュガービートペクチンの粘度発現性をコントロールできることがわかった。
実施例58〜65;HMペクチンのゲル化性の改良
調製例1-2、2-2、3-2、及び4-2の改質ペクチンおよび未加熱ペクチン(比較調製例)を用い、ペクチンゲル(ペクチン濃度0.3%、砂糖濃度70%、pH3)を調製した(実施例58〜61、比較例4)。
具体的には、まず、予め混合しておいたペクチン1.5gと砂糖25gを90℃の脱イオン水に添加し、その後砂糖325gを加えて10分間攪拌溶解した。これを脱イオン水で重量を500gに補正した後、溶液を室温放置で40℃まで冷却し、50%(w/v)クエン酸溶液を0.2〜0.3mL添加して、pH3に調整した。次いでこれをカップ(直径6cm、高さ4cm)に充填し(約80g/個)、8℃で1時間冷却後、4℃の冷蔵庫に一晩保存してペクチンゲルを調製した。
翌日、ペクチンゲルを室温に戻し、テクスチャーアナライザー(TA−TX2, SAS社)を用い、プランジャー:表面積1cm2円柱状、架台速度:1mm/secの条件で破断試験を行い、みかけの破断応力(Pa)を求めた。そして得られたゲルの破断応力(Pa)から、改質ペクチンのゲル特性(硬いゲル特性、柔らかなゲル特性)を評価した。
同様に、実施例62〜65において調製例5-2、5-3、5-4、及び5-5で調製した改質ペクチン、及び比較例4において未加熱処理(未改質)のペクチンのゲル化性を評価した。
結果を表12に示す。
Figure 0005057972
表12より、相対湿度未調整の場合、ゲルの破断応力は105℃で加熱処理した改質ペクチン(調製例2-2)を用いた場合(実施例59)に最大となり、未加熱のペクチン(比較調製例)を用いた場合(比較例4)の破断応力の約1.5倍となった(硬いゲル特性付与)。一方で、140℃(調製例4-2)で加熱処理を行った改質ペクチンを用いた場合(実施例61)は、未加熱のペクチン(比較調製例)を用いた場合(比較例4)に比べて若干破断応力が小さくなった(柔らかいゲル特性付与)。
この結果は表10に示す粘度発現性の結果と類似しており、加熱温度の上昇に伴う破断応力の低下には、高分子化によるペクチンの水和性の低下が関与しているものと考えられる。
以上の結果から、加熱処理によりペクチンのゲル特性(ゲルの硬さや柔らかさ)をコントロールできることがわかる。例えば、ペクチンに硬いゲル特性を付与(破断応力の増加)させるためには105℃で30分の加熱処理が好ましいが、この条件を目安にして加熱条件を適宜調節することも可能である。一方、ペクチンに柔らかいゲル特性付与(破断応力の減少)させるためには、上記表12に示す破断応力の傾向から140℃〜150℃程度で30分程度以上加熱処理をすることが有効であると思われる。
一方、相対湿度を調整した場合、比較例4の未加熱処理ペクチンに比べて、実施例63および64で用いた調製例5-3および5-4の改質ペクチン(相対湿度50%、60℃条件下での60-150分加熱)では破断応力の増加が認められた(硬いゲル特性の付与)。
これらの結果から、相対湿度を調整する場合でも、加熱温度と加熱時間の組み合わせで、未加熱処理ペクチン(比較例4)に比べてゲルの破断応力を増加させたり(硬いゲル化性の付与)、減少させたりすることができ(柔らかいゲル化性の付与)、ペクチンのゲル化性をコントロールできることがわかった。
実施例66〜83;HMペクチン及びシュガービートペクチンによる保水性の改良
予め混合したコーンでん粉(未加工の生でん粉)と改質ペクチン(調製例1-1、1-2、1-3、1-5、2-2、3-2、10-3、10-4、または10-5)または未加熱(未改質)のペクチン(比較調製例)の混合物に脱イオン水を加え(でん粉濃度15%(w/v)、ペクチン濃度0.5%)、Rapid Visco Analyzer(Newport Scientific社)を用い、下記の温度プログラムに従って、このでん粉糊(でん粉/ペクチンの水含有組成物)の粘度を測定した。また、同じ温度プログラムで調製したでん粉糊(でん粉/ペクチンの水含有組成物)(でん粉濃度5%(w/v)、ペクチン濃度0.5%)を4℃で1週間保存し、生じた離しょうの割合を測定した。離しょうの測定は、調製したでん粉糊20gを遠沈管に量りとり、4℃で1週間保存後、16000g30分間遠心分離を行い、上層に分離した離しょうの重量を測定し、遠心前のでん粉糊重量との割合を求めた。
でん粉糊(でん粉/ペクチンの水含有組成物)のピーク粘度(RVAU)に関する結果を表13に、4℃で1週間保存後に生じる離しょうに関する結果を表14に示す。
<温度プログラム>
1)50℃で1分間保持
2)50℃から95℃まで、12℃/minで昇温
3)5℃で2.5分間保持
4)5℃から50℃まで、12℃/minで降温
5)50℃で2分間保持
Figure 0005057972
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表13及び14と、表10及び11を比較して、高粘度発現性の改質ペクチンほど、でん粉糊(でん粉/ペクチンの水含有組成物)のピーク粘度を増加させる傾向があり、また、でん粉糊のピーク粘度が高い改質ペクチンほど離しょうを減少させて保水作用を発揮した。
かかる改質ペクチンの保水性(離水抑制作用)は、加熱処理によりゲル的な構造をとった改質ペクチンがその構造中に水を保持すること、あるいは老化によりでん粉から遊離した水分をペクチンが捕捉することに基づいているものと考えられる。
実施例84、85;HMペクチンによる酸性乳飲料の分散安定性の改良
表1に示す改質ペクチン(調製例1-2及び調製例2-2)と、未加熱処理(未改質)ペクチン(調製例1及び2で調製した加熱前の粉末状HMペクチン(乾燥減量3%未満))(比較調製例)を用いて酸性乳飲料を調製した。具体的には、まず予め混合した砂糖(70g)とペクチン(3g)を水(627g)に添加し、80℃で10分間攪拌溶解後、冷却した。また、これとは別に脱脂粉乳(30g)を水(270g)に添加し、60℃、10分間攪拌溶解後、冷却した。これらの調製液を混合し、50%(w/v)クエン酸溶液でpH3.8に調整した。これを80℃まで加熱、均質化処理(一段目9800Pa、二段目4900Pa)、93℃達温殺菌後、ホットパック充填し、酸性乳飲料とした。
これを室温で保存し、保存1日後の試料70gを遠心管に量りとり、3000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去した後、遠心管を逆さまにしてペーパータオル上で50分間静置した。沈澱の重量を測定し、沈澱率(%)を算出した。沈澱率が大きいほど、保存安定性が悪いことを示す。調製例1-2及び2-2の改質ペクチン、および未加熱ペクチン(比較調製例)を用いて調製した酸性乳飲料の結果を表15に示す。
Figure 0005057972
80℃、30分(相対湿度未調整<50%)及び105℃、30分(相対湿度未調整<50%)の条件にて加熱により改質したペクチン(調製例1-2及び2-2)を添加した酸性乳飲料(実施例84、85)は、未加熱(未改質)ペクチン(比較調製例)を添加した酸性乳飲料(比較例9)に比べて沈澱率が低くなった。この結果から、本発明の改質ペクチンにより、酸性乳飲料の分散安定性を改良する(向上させる)ことができることがわかる。
実施例86〜124;シュガービートペクチンによる乳化性および乳化安定性の改良
(1)調製例8及び調製例9のシュガービートペクチンを使用した水溶液の調製
300mL容量のビーカーに200mLの脱イオン水(常温)を量りとり、90℃まで加熱した。攪拌羽を1000rpmで攪拌しながら(強い攪拌条件)、改質ペクチン(調製例8-1〜8-5及び調製例9-1〜9-5の改質ペクチン)、および未加熱処理(未改質)ペクチン(調製例8及び9で調製した改質ペクチンの、加熱処理前の粉末状シュガービートペクチン(乾燥減量3%未満))(比較調製例)を、濃度1.76%(w/v)となるように約20秒間かけて添加した。添加後、10分間攪拌した後、室温まで冷却し、脱イオン水で重量を補正して、シュガービートペクチン水溶液を調製した。
(2)調製例11〜16のシュガービートペクチンを使用した水溶液の調製
300mL容量のビーカーに200mLの脱イオン水(常温)を量りとり、ポリトロン式攪拌機を用いて24000rpmで攪拌しながら、改質ペクチン(調製例11-1〜11-4、12-1〜12-4、13-1〜13-4、14-1〜14-6、15-1〜15-4、及び調製例16-1〜16-7の改質ペクチン)、および未加熱処理(未改質)ペクチン(調製例11〜16で調製した改質ペクチンの、加熱処理前の粉末状シュガービートペクチン(乾燥減量8〜12%))(比較調製例)を、濃度1.18%(w/v)となるように約20秒間かけて添加した。添加後、24000rpmで更に1分間攪拌して、シュガービートペクチン水溶液を調製した。
上記方法により調製したシュガービートペクチン水溶液各85mLに中鎖トリセライド15mLを加えてポリトロン式攪拌機(24,000rpmで1分間攪拌)で予備乳化後、10%クエン酸水溶液を用いてpH3.0に調整した。これを高圧ホモジナイザー(50MPa×2回)により乳化し、乳化液を得た。乳化液中のシュガービートペクチン濃度は、1.5及び1%(w/v)とした。調製直後および調製後40℃で30日間或いは60℃で3日間保存した乳化液のO/Wエマルション粒子径を、レーザー回折式粒度分布測定計(SALD−1100或いは2100)を用いて測定した。
結果を表16、17に示す。
Figure 0005057972
Figure 0005057972
表16より、相対湿度未調整の場合、調製直後において、改質シュガービートペクチン(調製例8-1〜8-5)を用いて調製した乳化液(実施例86〜90)は、未改質シュガービートペクチン(比較調製例)を用いて調製した乳化液(比較例10)に比べて粒子径が小さかった。中でも、105℃で30分間加熱により改質したペクチン(調製例8-3)を用いて調製した乳化液(実施例88)の粒子径が最も小さかった(乳化性の向上)。
また、40℃で30日間の保存により、未改質シュガービートペクチン(比較調製例)を用いて調製した乳化液(比較例10)は、粒子径が製造直後の約3倍になったのに対し、改質シュガービートペクチン(調製例8-1〜8-5)を用いて調製した乳化液(実施例86〜90)では粒子径の変化が小さく、高い加熱温度で処理した改質ペクチンほどその効果が大きかった(乳化安定性の向上)。シュガービートペクチンの乳化作用には、糖鎖に結合したタンパク質(アラビノガラクタン−プロテイン)が関係しているといわれている。よって、熱処理によるこの多糖タンパク質画分の分子構造の変化が、ペクチンの乳化安定性作用の向上に寄与していると考えられる。
更に、加熱温度105℃で加熱時間を変えて改質させた改質シュガービートペクチン(調製例9-1〜9-5)を用いて調製した乳化液(実施例91〜95)は、加熱時間が長くなるほど乳化安定性が上がり、粘度も増加する傾向にあった。しかし、加熱時間が360分を超えると、ペクチンが褐色化したり、また、不溶性物質が副生成物として生成したり、その生成量が極端に多くなったりすることがあった。
また、表17より、加熱処理時の相対湿度が比較的高い条件で改質したシュガービートペクチン(例えば相対湿度50%以上の加熱処理を行った調製例11-1〜11-4、調製例12-1〜12-4、調製例13-1〜13-4、調製例14-1〜14-6、調製例15-1〜15-4、調製例16-1〜16-7)を用いて調製した乳化液(実施例96〜124)は、上記加熱処理が比較的低温(例えば、60〜80℃)であっても、乳化性が向上することがわかった。特に、加熱処理温度80℃で改質したシュガービートペクチン(調製例14-1〜14-6、調製例16-3〜16-7)を用いて調製した乳化液(実施例108〜113,120〜124)は、乳化性及び保存後の乳化安定性においてもその効果が顕著であった。中でも、調製した乳化液の乳化安定性の向上効果が特に顕著であった改質シュガービートペクチンは、加熱温度80℃、相対湿度70%、24時間以上加熱処理した改質シュガービートペクチン(調製例14-4〜14-6)、加熱温度80℃、相対湿度80%、16時間以上加熱処理した改質シュガービートペクチン(調製例16-4〜16-7)であった(実施例111〜113,121〜124)。
実施例125;ミートパティの調製
改質したHMペクチン(調製例1-2)0.52gを25℃の水15gに添加し、攪拌溶解した(ペクチン溶液)。牛肉ミンチ肉400gに食塩4g、こしょう0.5g、ナツメグ0.2gを添加し、軽く混合した後、上記で調製したペクチン溶液を添加し、2〜3分手でこねた。80g/1個で直径10cmの円盤状に成型した後、−40℃で3時間凍結し、3日間−20℃の冷凍庫で保存した(冷凍ミートパティの調製)。
得られた冷凍ミートパティを180℃のホットプレートで、ふたをしないで、表裏3分ずつ計6分間焼成した。これをラップで覆い、室温(25℃)で10分間静置後、食感を評価し、歩留まり及び変形率を測定した。比較のため、上記改質ペクチンに代えて未加熱処理(未改質)ペクチン(調製例1-2で調製した加熱前の粉末状HMペクチン(乾燥減量3%未満))(比較調製例)を用いて同様に冷凍ミートパティを調製し(比較例12)、食感を評価し、歩留まり及び変形率を測定した。
歩留まりについては加熱調理前後の重量を測定し、(加熱調理後の重量/加熱調理前の重量)×100(%)を求めて評価した。また、変形率は、加熱調理前後の円盤状のパテの表面積を測定し、100−(加熱調理後の面積/加熱調理前の面積)×100(%)を求めて評価した。
なお、歩留まり値が大きいほど、加熱調理による水分損失が少ないことを意味する。また、変形率が小さいほど、加熱調理によるミートパティの縮みが小さいことを意味する。
結果を表18に示す。
Figure 0005057972
表18より、調製例1-2の改質ペクチンの添加により、調製したミートパティの歩留まり値が大きく、また、変形率も小さくなり、加熱処理による水分ロスや変形を抑制することが出来ることが判った。また、食感についても、改質ペクチンを添加したものは、柔らかく、ジューシーな食感となり好ましかった。
それに対し、比較例として未加熱処理ペクチンを使用して調製したミートパティは、硬くパサパサとした食感となり、柔らかくジューシーな食感は得られなかった。
実施例126;パスタの調製
デュラムセモリナ小麦粉500gと改質ペクチン(調製例2-2)3.5gを粉体混合した。別に、25℃の水71.25gに食塩3.75gを添加し、攪拌溶解した。小麦粉−ペクチンの粉体混合物と全卵100g、サラダ油5gを電動式ミキサーで攪拌しながら、食塩水を30秒かけて添加し、15分間攪拌してドウを調製し、4℃の冷蔵庫で30分間保存した。保存後のドウを成型、複合、圧縮後#22の切り刃にて切り出し、長さ40cmにカットし、パスタを調製した(実施例126)。このパスタを4℃の冷蔵庫1日間保存後、食塩を0.5%含む沸騰水で3分ゆで、食感を評価した。このパスタは弾力もありもちもちとした食感となった。
比較のため、上記改質ペクチンに代えて未加熱処理(未改質)ペクチン(調製例2-2で調製した加熱前の粉末状HMペクチン(乾燥減量3%未満))(比較調製例)を用いて同様にパスタを調製した(比較例13)。これを3分ゆでて食感を評価したところ、かたい食感となり、弾力のあるもちもちとした食感は得られなかった。
本発明により、ペクチンを改質することができる。改質されたペクチンは、それ自体水への分散性が向上しており、使用しやすく広く多くのものに適用することができる。また、改質したペクチンを用いることによって、被験組成物に対して、従来のペクチン(未改質ペクチン)と比較してより好ましい分散安定性、乳化性・乳化安定性、保水性(離水抑制性)、粘度発現性、またはゲル化性などの物性を付与することができる。またこれらの物性は食感(テクスチャー)と密接に関連しているため、改質したペクチンを用いることによって食品組成物の食感を改質することができる。

Claims (9)

  1. サトウダイコン由来のシュガービートペクチンを、粉末状態で50〜150℃、10分〜48時間加熱処理することを特徴とする、サトウダイコン由来のシュガービートペクチンの乳化性又は/及び乳化安定性改質方法。
  2. サトウダイコン由来のシュガービートペクチンが、乾燥減量が20重量%以下のものである、請求項1記載の改質方法。
  3. 相対湿度が20〜90%の条件下で加熱処理することを特徴とする、請求項1または2記載の改質方法。
  4. 加熱処理を減圧条件下で行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の改質方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法により改質されたサトウダイコン由来のシュガービートペクチン。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法により改質されたサトウダイコン由来のシュガービートペクチンからなるか、またはそれを含有する乳化剤または乳化安定剤。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法により改質されたサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを0.01〜10重量%の割合で含む組成物。
  8. 食品である請求項記載の組成物。
  9. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法により改質されたサトウダイコン由来のシュガービートペクチンを食品組成物、化粧料組成物又は医薬品組成物に配合することを特徴とする、当該食品組成物、化粧料組成物又は医薬品組成物乳化性又は/及び乳化安定性の改質もしくは向上方法。
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