JPH10155432A - 新規ペクチン及びそれを含有する乳化液 - Google Patents

新規ペクチン及びそれを含有する乳化液

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JPH10155432A
JPH10155432A JP8320299A JP32029996A JPH10155432A JP H10155432 A JPH10155432 A JP H10155432A JP 8320299 A JP8320299 A JP 8320299A JP 32029996 A JP32029996 A JP 32029996A JP H10155432 A JPH10155432 A JP H10155432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規ペクチン及びそれを含有する乳化液の提
供。 【解決手段】 ペクチンを水に溶解もしくは分散した後
有機酸を添加し、加熱もしくは高圧下加熱処理すること
により得られる新規ペクチン、及びそれを溶媒と混合し
均質化することにより得られる乳化液。 【効果】 本発明ペクチンは、あらゆる乳化液に添加配
合しても乳化破壊を引き起こさず、しかも容易に分散お
よび溶解が可能であるため、ペクチンの特徴である便通
の改善効果、胃腸粘膜保護作用、止血作用などの機能を
損なわずに、経腸栄養剤や軟膏、クリーム状製剤に比較
的多量に添加配合しても長期間の乳化安定性を維持し、
しかも飲用時にはなめらかな食感が得られるものであ
り、食品、医薬品、化成品などの幅広い分野に利用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規ペクチン及び
それを含有する乳化液に関する。詳しくは、ペクチンを
水に溶解もしくは分散した後有機酸を添加し、加熱もし
くは高圧下加熱処理することにより得られる新規ペクチ
ンに関する。本発明ペクチンは、あらゆる乳化液に添加
配合しても乳化破壊を引き起こさず、しかも容易に分散
および溶解が可能であるため、ペクチンの特徴である便
通の改善効果、胃腸粘膜保護作用、止血作用などの機能
を損なわずに、経腸栄養剤や軟膏、クリーム状製剤に比
較的多量に添加配合しても長期間の乳化安定性を維持
し、しかも飲用時にはなめらかな食感が得られるもので
あり、食品、医薬品、化成品などの幅広い分野に利用で
きる。
【0002】
【従来の技術】従来、ペクチン、ヘミセルロース、リグ
ニンなどの食物繊維は、生体の構成成分やエネルギーに
ならないため、生体には不必要であると考えられてき
た。そして、なるべく繊維を取り除いて食べるよう食品
の精製が工夫されてきた。しかし、1970年代から種
々の疾病予防に食物繊維が効果を発揮することが各国で
証明され、その摂取の重要性が認識されるようになっ
た。これまでに確認されている食物繊維の主な生理作用
としては、便通の改善、血清コレステロールの低下、食
後血糖値の上昇抑制などがある。これらの効果を活かす
ため、食物繊維を配合した経口経管栄養剤が近年開発さ
れている。食物繊維の中で、ペクチンはD-ガラクツロン
酸の直鎖状重合体からなる多糖類で、すべての高等植物
中に存在するが、特に果物や野菜などに多く、海藻にも
含まれている。また、ペクチンは、欧米の家庭で何世紀
もの間、頑固な下痢、特に幼児および子供の良薬として
利用されてきた。近年では、増粘化やゲル化特性など、
ペクチン固有の親水性コロイドとしての性質や治療特性
から医薬品として使用されるようになった。
【0003】ペクチンの治療効果についてさらに言及す
ると、食物繊維が共通して持つ特性、即ち低カロリー、
腸内環境改善、便通の改善などの作用以外に、止瀉、鎮
吐、胃腸の保護及び調整、あるいは解毒作用などを有
し、また、抗コレステロール作用、抗出血及び止血作
用、免疫増強作用などが見いだされている(Kretesz Z.
I., "The Pectic Substances", p565 (1951), Internat
ional Science Publishers発行)。さらに、ペクチンは
摂食後小腸で消化されずに大腸に到達し、腸内細菌によ
り分解、即ち醗酵を受けるが、その際、酪酸など短鎖脂
肪酸が生成し、これらが消化管などのエネルギー源とし
て利用される。そのため、手術後などの高度な侵襲期や
長期の輸液療法施行時に発生する萎縮腸管へのエネルギ
ー補給に役立ち、萎縮の大幅な軽減が期待される。ま
た、分解途中に生成するペクチンオリゴ糖には、病原微
生物に対する抗菌作用があるとの報告もある(竹中哲夫
ほか、日本食品工業学会会誌、41巻、785−792
頁、1994年)。それ故、食物繊維の生理機能の利用
や新たな栄養素源として、経腸栄養剤へのペクチンの添
加が注目されている。
【0004】一方、従来のペクチンは水溶液に増粘やゲ
ル化効果をもたらすハイドロコロイドであるため、その
使用が制限される欠点がある。例えば、溶解性におい
て、粉末ペクチンは水に添加すると急速に水和するので
ダマを作りやすく、一旦できたダマの溶解速度は非常に
遅い。不十分な溶解ではペクチンの機能が十分発揮でき
ず、また食感や見栄えが悪くなり、経腸栄養などチュー
ブ投与時の目詰まりの原因にもなる。増粘については、
生理効果が発揮できる濃度、即ち0.1 から1%程度の濃度
では著しい粘度の上昇がみられ、喉ごしなど食感の悪さ
やチューブ通過速度の極端な低下が引き起こされるた
め、そのような場合、極めて低濃度での投与しかできな
い状況であった。また、加工時のpHやペクチン濃度など
の条件によりジャム状もしくはプリン状のゲル化を起こ
し、チューブ投与ができなくなることもある。さらに重
大な欠点として、乳化状態の破壊がある。特にレシチン
などのリン脂質系の乳化剤を用いて調製された中性域の
乳化液にペクチンを添加すると、その安定性が著しく低
下し、クリーム分離やオイルオフなどの乳化破壊が引き
起こされ、栄養剤をチューブで投与中に、栄養素の偏在
および不均一投与に伴う下痢の誘発などの危険性が危惧
される。このような場合は、ペクチンの添加は著しく制
限され、その機能や治療効果が十分に引き出されていな
いのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の状況に鑑み、本
発明者らは鋭意研究の結果、ペクチンの有する優れた食
物繊維機能、胃腸粘膜保護作用、腸管萎縮防止および回
復促進作用を損なわずに、これまで欠点であった溶解性
を著しく改善し、且つ冷水でも容易に溶解可能な、しか
も高濃度に溶解しても増粘が少なく、喉ごしなどの食感
が向上し、さらに添加した際の乳化破壊を起こさない新
規なペクチンを見出すに至った。即ち本発明は、ペクチ
ンを水に溶解もしくは分散した後有機酸を添加し、加熱
もしくは高圧下加熱処理することにより得られる、ペク
チン本来の生理機能などを損なわずに乳化安定性、分散
性及び溶解性が高く、飲用時になめらかな食感が得られ
る新規ペクチンを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規ペクチン
及びそれを含有する乳化液に関する。詳しくは、ペクチ
ンを水に溶解もしくは分散した後有機酸を添加して、加
熱もしくは高圧下加熱処理することにより得られる新規
ペクチンに関する。本発明ペクチンは、あらゆる乳化液
に添加、配合しても乳化破壊を引き起こさず、しかも容
易に分散又は溶解が可能であるため、ペクチンの特徴で
ある便通の改善効果、胃腸粘膜保護作用、止血作用など
の機能を持ちながら、経腸栄養剤や軟膏、クリーム状製
剤に比較的多量に添加配合しても長期間の乳化安定性を
維持し、しかも飲用時にはなめらかな食感が得られるも
のであり、食品、医薬品、化成品などの幅広い分野に利
用できる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明ペクチンは、ペクチンの溶
解液もしくは分散液に有機酸を添加した後、加熱もしく
は高圧下加熱処理することにより得られる。原材料とな
るペクチンは、広く植物組織中に存在するが、主にリン
ゴの絞りかす、ライム、レモン、オレンジなど柑橘類の
皮、ビートのパルプから抽出されたものが使用できる。
又、通常市販されているものを用いることもできる。こ
の中でも、メトキシル基がエステル結合したD-ガラクツ
ロン酸の含量が総D-ガラクツロン酸量に対して50%以上
となるハイメトキシルペクチンが、原材料として特に好
ましい。最も好ましい原料としては、ハイメトキシルペ
クチンでぶどう糖や庶糖を混合していないもの、例えば
BROWN NF(登録商標)(システムズバイオインダストリ
ーズ社製)などが挙げられる。しかし、そのものに限定
されることなく、糖質や食物繊維、蛋白質が混在したペ
クチンであっても、本発明ペクチンを得ることができ
る。また、ペクチンの原料であるプロトペクチンを用い
ても良い。有機酸としては、特に限定されないが、乳
酸、酢酸、グルコン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、
クエン酸などが挙げられ、特に好ましくはクエン酸が用
いられる。これらは無水物もしくは1水和物が用いられ
るが、ナトリウム塩などの塩化物での使用は、褐変や沈
殿が多量に生成して好ましくない。又、調製時に添加す
る有機酸、特にクエン酸の量は、特に限定されないが、
ペクチンに対して10重量%から100 重量%が特に好まし
い。
【0008】本発明品ペクチンの製造は、まず、ペクチ
ンを水に溶解もしくは分散させる。この時、原料と水の
配合比率は特に限定されないが、30重量%以下が好まし
い。溶解もしくは分散に当たっては、水に原料を徐々に
添加することが効率的であり、この時必要に応じて加温
しても良い。次いで、有機酸を添加するが、固体で添加
することも可能であるが、適量の水で溶解した溶液を添
加することにより、短時間で均一にすることができ、効
率的である。調製した原料と有機酸の混合溶液もしくは
分散液を、加熱又は高圧下加熱処理する。加熱条件は、
ペクチン濃度や有機酸添加量で異なるが、60℃から130
℃が特に好ましい。また、加熱処理時間も固形濃度、有
機酸濃度で異なるが、無加圧下では20分から4時間が好
ましい。加圧する時は、1〜3,000 気圧の範囲で加圧す
ることが好ましく、60秒から1時間の処理で目的物を調
製することができる。加熱処理に従い、分散されたペク
チンは徐々に溶解し粘度も減少していくが、この粘度を
経時的に測定することにより加熱処理を制御でき、一定
品質の希望粘度を有する目的物を製造することができ
る。加熱処理終了後、不溶解物を遠心もしくは濾過など
により除去することにより、目的の本発明ペクチンを得
ることができる。得られたペクチンは、噴霧乾燥などに
より粉末とすることができる。あるいは、必要に応じて
他の糖質や脂肪、蛋白質などと混合し、造粒することも
できる。
【0009】本発明ペクチンを含有する乳化液は、本発
明ペクチンの溶液に大豆油やサフラワー油などの油脂お
よび大豆レシチンなどの乳化剤を添加混合し、高圧ホモ
ジナイザーなどの均質機で均質化することによって、安
定な脂肪乳化液が得られる。その際、ペクチン添加濃度
は、食物繊維含量で0.2 重量%から10重量%の範囲が好
ましい。さらに、本発明ペクチンを含有する乳化液に蛋
白質、糖質、脂質、各種ビタミン、ミネラル類を添加す
ることにより、栄養食品あるいは栄養剤を調製すること
ができる。この際、用いる蛋白質としては特に限定され
ないが、例えばカゼイン、乳清タンパク質濃縮物、乳清
タンパク質分離物や、α−カゼイン、β−カゼイン、β
−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミンなどの乳タ
ンパク質分画物、大豆タンパク質、さらにはこれらの加
水分解物なとが用いられる。あるいはこれらの酵素分解
物などが使用できる。又、蛋白質以外にも窒素源として
ペプチドやアミノ酸が使用できる。糖質としては特に限
定されないが、グルコースなどの単糖、庶糖などの二糖
類、あるいはデキストリンなどの多糖類が用いられる。
脂質としては、特に限定されないが、乳脂肪等の動物性
油脂、大豆油等の植物性油脂やこれらの分別油、水添
油、エステル交換油などが用いられる。又、この時用い
る乳化剤においても、従来ペクチン添加時の乳化には乳
化状態が不安定となり、使用できなかった大豆レシチン
等のリン脂質を含むあらゆる乳化剤の使用が可能であ
る。ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB類、
ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、パントテ
ン酸、β−カロチン、ニコチン酸アミドなどが用いられ
る。ミネラル類としては、カルシウム、マグネシウム、
カリウム、ナトリウム、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、マンガ
ン、セレンなどが用いられる。このようにして調製され
た本発明ペクチンを含む乳化液あるいは栄養組成物は、
上記ペクチンを食物繊維含量で 0.2重量%から10重量
%、さらに好ましくは0.5 重量%から2重量%含有す
る。この時、乳化液へのペクチンの配合量は「日本人の
栄養所要量」第5次改定において設定された食物繊維の
目標摂取量(20から25g/日) に基づいて適時定めること
ができる。又、これらの製造条件には、pHや温度調整
など特に限定された工程条件はなく、例えば、蛋白質及
び糖質、ビタミン、ミネラル類などを溶解した溶液に本
発明品を添加し、さらに脂肪及び乳化剤を加えて均質化
すれば、乳化安定な経腸栄養剤が調製でき、必要に応じ
て滅菌し液状製剤とする、あるいは噴霧乾燥などにより
粉末製剤とすることができる。
【0010】
【実施例】以下の実施例をもって本発明をより詳細に説
明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明は
これらによって何ら限定されるものではない。尚、実施
例中に示した食物繊維含量は、Prosky法(Prosky et a
l., J. Assoc. Off. Anal.Chem., Vol.71, p1017 (198
8) )により測定した。
【0011】
【実施例1】本発明ペクチンの製造・1 市販ペクチンであるBrown NF(登録商標)(シ
ステムズバイオインダストリーズ社製)1kg(食物繊維
含量約75%)に水8.5kgを加え、クエン酸(武蔵野商
事社製)500gを添加後、加温しながら溶解した。次い
で、100 ℃で2時間加熱処理した。加熱終了後、濾過し
噴霧乾燥を行い、製品1.46kg(食物繊維含量約50%)を
得た。
【0012】
【実施例2】本発明ペクチンの製造・2 市販ペクチンであるHM−1(登録商標)(システムズ
バイオインダストリーズ社製)1kg(食物繊維含量約50
%)に水9kgを加えて加温しながら溶解後、フマル酸
(武蔵野商事社製)1kgを添加して溶解し、調製した溶
液を1気圧に加圧し121 ℃で30分間加熱処理した。処理
後、濾過し噴霧乾燥を行い、製品1.98kg(食物繊維含量
約25%)を得た。
【0013】
【実施例3】本発明ペクチン含有乳化の製造 実施例1で得られた加熱処理後のペクチンに水58kg
及びサフラワー油(日清製油社製)1.5kg、大豆レ
シチン(エルマイザーA、協和発酵社製)0.75kg
を添加混合し、高圧ホモジナイザー(HA3384型、
三和機械社製)で均質乳化を行った。さらに容量を75
kgになるように水を添加しながら調整し、これを容器
に充填してレトルト殺菌を行い、本発明ペクチン含有乳
化液を得た。この乳化液には脂肪約2%及び食物繊維約
1%が含まれていた。
【0014】
【実施例4】本発明ペクチン含有経腸栄養剤の製造・1 実施例1で得られたペクチンを用いて、経腸栄養剤を製
造した。配合を表1にに示す。即ち、水に乳蛋白加水分
解物(雪印乳業社製)を蛋白源として5%となるうに溶
解した。これに大豆油(植田製油社製)を脂肪含量2%
になるように加え、さらに0.6%の大豆レシチン(エ
ルマイザーA、協和発酵社製)を乳化剤として加え、T
Kホモゲナイザー(特殊機化工業社製)で予備乳化を行
った。この乳化液にデキストリンを糖質として15%と
なるように溶解し、さらに実施例1で得られたペクチン
を食物繊維含量で1%となるように加え、溶解した。こ
れにミネラル類(和光純薬社製)を0.6%、ビタミン
類(理研ビタミン社製)を0.03%、香料(長谷川香
料社製)を0.01%加え、高圧ホモゲナイザー(HA
3384、三和機械社製)で均質乳化を行った。これを
容器に充填し、レトルト殺菌して液状の経腸栄養剤を得
た。得られた経腸栄養剤には、本発明ペクチンが約2%
(食物繊維含量約1%)含まれていた。
【0015】
【表1】
【0016】
【実施例5】本発明ペクチン含有経腸栄養剤の製造・2 実施例1で得られた加熱処理後のペクチンに乳蛋白加水
分解物(雪印乳業社製)4.2kg、デキストリン(昭
和産業社製)11.7kg、サフラワー油(日清製油社
製)1.5kg、大豆レシチン(エルマイザーA、協和
発酵社製)0.74kg、ミネラル類450g、ビタミ
ン類22.5g、香料7.5g及び水20kgを混合添
加し、高圧ホモジナイザー(HA3384型、三和機械
社製)で均質乳化を行った。さらに容量を37kgにな
るように水を添加しながら調整し、これを容器に充填し
てレトルト殺菌を行い、本発明ペクチン含有液状経腸栄
養剤を得た。この経腸栄養剤は、脂肪含量4%であり、
本発明ペクチンが約4%(食物繊維含量約2%)含まれ
ていた。
【0017】
【試験例1】保存性及び乳化破壊性試験 実施例1で得られたペクチン(本発明品)による、製剤
中の保存性及び乳化破壊性を試験した。即ち、本発明ペ
クチンの約2%溶液(食物繊維含量で1%)を調製し、
溶液の性状及び保存試験(37℃、14日間) を行った。
又、比較例として、実施例1中のクエン酸を塩酸(36%
濃度)に置き換えて調製したペクチン(比較品1)、ク
エン酸をクエン酸ナトリウムに置き換えて調製したペク
チン(比較品2)、及び未処理のペクチン(Brown NF:
雪印食品社製)(比較品3)を用い、同様の試験を行っ
た。さらに市販の経腸栄養剤であるツインライン(登録
商標)(雪印乳業社製)に各試料を約2%濃度(食物繊
維含量で1%)になるように添加溶解し、各試料を加え
た経腸栄養剤の保存性及び乳化破壊性を試験した。結果
を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】この結果、本発明品は、比較品1と比べ沈
澱物の生成がなく、しかも乳化破壊性が認められなかっ
た。また比較品2と比べ、保存時の褐変や沈澱生成が認
められなかった。比較品3と比べ、著しい溶解性の向上
と乳化破壊の防止が認められ、粘稠性の抑制がみられ
た。これらの結果より、本発明ペクチンは、乳化安定
性、分散性及び溶解性が高く、粘度が低いことが確認さ
れた。
【0020】
【試験例2】本発明ペクチンを配合した経腸栄養剤の性状の比較観察 実施例4で得られたペクチン含有経腸栄養剤の性状につ
いて、乳化安定性及び粘度の性状観察を行った。又、比
較例として、実施例4中のペクチンを未処理のペクチン
(Brown NF:雪印食品社製)に置き換えて製造した乳化
液(比較品4)、及びペクチンを無添加で製造した乳化
液(比較品5)を用いて、同様の試験を行った。結果を
表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】この結果、本発明乳化液は、比較品4と比
べ乳化の破壊が全くなく、しかも比較品5と同程度の粘
度(25℃で測定)を示した。このことから、本発明ペ
クチンを配合した乳化液は、乳化安定性が高く、ペクチ
ン配合による増粘が少ないことが確認された。
【0023】
【発明の効果】以上の結果より、本発明によってあらゆ
る乳化液に添加配合しても乳化破壊を引き起こさず、し
かも容易に分散および溶解が可能であるため、ペクチン
の特徴である便通の改善効果、胃腸粘膜保護作用、止血
作用などの機能を損なわずに、経腸栄養剤や軟膏、クリ
ーム状製剤に比較的多量に添加配合しても長期間の乳化
安定性を維持し、しかも飲用時にはなめらかな食感が得
られる新規なペクチンが提供される。本発明ペクチンを
含有する乳化液は、食品や医薬品、化成品などの幅広い
分野で利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08B 37/06 C08B 37/06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクチンを水に溶解もしくは分散した後
    有機酸を添加し、加熱もしくは高圧下加熱処理すること
    により得られる新規ペクチン。
  2. 【請求項2】 下記の特性を有する、請求項1記載の新
    規ペクチン。 (1) 食物繊維量として1重量%濃度を添加した溶液又は
    乳化液において、粘度委上昇が約3cp以下である。 (2) 食物繊維量として2重量%以下の量を添加した溶液
    又は乳化液において、沈殿の発生を防止する。 (3) 脂肪含量1〜4%の乳化液に、食物繊維量として2
    %以下で添加した時、乳化系を破壊しない。
  3. 【請求項3】 ペクチンがハイメトキシルペクチンであ
    る、請求項1又は2記載の新規ペクチン。
  4. 【請求項4】 有機酸がクエン酸又はフマル酸である、
    請求項1〜3記載の新規ペクチン。
  5. 【請求項5】 添加する有機酸量が、ペクチン又はプロ
    トペクチンに対して10〜 100重量%である、請求項1〜
    4記載の新規ペクチン。
  6. 【請求項6】 60℃〜130 ℃で加熱することを特徴とす
    る、請求項1〜5記載の新規ペクチン。
  7. 【請求項7】 1〜3,000 気圧加圧することを特徴とす
    る、請求項1〜6記載の新規ペクチン。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のペクチンを、食物繊維含
    量で0.2 〜2重量%含有する乳化液。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8記載の新規ペクチンの溶液
    に、油脂及び乳化剤を添加混合し均質化することによっ
    て得られる乳化液。
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