JP2004159659A - マンノオリゴ糖類を主成分とする組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 未利用資源を使用する腸内有用菌増殖促進作用を有する難う蝕性、低カロリー組成物の提供。
【解決手段】
コーヒー豆および/またはコーヒー抽出残渣から得られたマンナンを加水分解処理することによって得られたマンノースを主体とした単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を主成分とすることを特徴とする腸内有用菌増殖促進作用を有する難う蝕性、低カロリー組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】
コーヒー豆および/またはコーヒー抽出残渣から得られたマンナンを加水分解処理することによって得られたマンノースを主体とした単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を主成分とすることを特徴とする腸内有用菌増殖促進作用を有する難う蝕性、低カロリー組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、マンノースを主体としたオリゴ糖類を主成分とし、マンノースがコーヒー由来のマンノースである、腸内有用菌増殖促進作用を有する組成物、難う蝕性組成物、低カロリー組成物およびその組成物を用いた飲食物および飼料に関するものである。
人間の腸内には300から400種類の細菌が常住し、腸内細菌叢を構成している。腸内細菌叢のバランスは人間の健康に大きな影響を及ぼすことが明らかになっており、腸内有害菌によって生成される腐敗産物、細菌毒素、発がん性物質は人間の各種臓器に障害を与え、生活習慣病の原因の一つとなっている。一方、ビフィズス菌、ラクトバチルス菌等の有用菌は、各種腸内腐敗細菌の増殖を抑制し、その結果、有害物質の生成を抑制して成人病の予防に働いていることが知られている。
また、近年、虫歯予防、低カロリー化の傾向が顕著になり、難う蝕性で低カロリーの組成物への要望が高まっている。
近年、D−マンノースがβ−1,4グリコシド結合した化合物であるβ−1,4マンノビオースなどのβ−1,4−マンノオリゴ糖の持つ生理機能が注目されており、家畜の有害菌汚染防止物質としても知られている(特開平8−38064)。また人間の糖タンパク質の糖鎖の重要な部分構造にはD−マンノースがβ−1,4グリコシド結合したマンノオリゴ糖が含まれており、飲食品原料としてのみならず、医薬品の原料としての応用も期待されている(特昭58−21278、特開平8−9989)。
近年、D−マンノースがβ−1,4グリコシド結合した化合物であるβ−1,4マンノビオースなどのβ−1,4−マンノオリゴ糖の持つ生理機能が注目されており、家畜の有害菌汚染防止物質としても知られている(特開平8−38064)。また人間の糖タンパク質の糖鎖の重要な部分構造にはD−マンノースがβ−1,4グリコシド結合したマンノオリゴ糖が含まれており、飲食品原料としてのみならず、医薬品の原料としての応用も期待されている(特昭58−21278、特開平8−9989)。
また、本発明は未利用資源の有効活用にも関するものである。
コーヒーの抽出残渣は従来、そのほとんどが焼却あるいは産業廃棄物として処理されてきた。近年になり、コーヒー抽出残渣が堆肥原料あるいは活性炭原料として利用されるようになってきたが、それらは未利用資源の高度利用という観点からは十分とはいえず、更なるコーヒー抽出残渣の高度利用の方法を確立することは重要課題となっている。
コーヒーの抽出残渣は従来、そのほとんどが焼却あるいは産業廃棄物として処理されてきた。近年になり、コーヒー抽出残渣が堆肥原料あるいは活性炭原料として利用されるようになってきたが、それらは未利用資源の高度利用という観点からは十分とはいえず、更なるコーヒー抽出残渣の高度利用の方法を確立することは重要課題となっている。
従来、マンノース残基を有する単糖、およびオリゴ糖類の生理機能については有害細菌の感染を予防するために飼料へ添加する方法(特開平08−38064)、植物の生長を促進させるために植物または土壌に施用する方法(特開昭63−215606)等が提案されているが、ヒトが摂取するにあたり、どのような生理機能を示すかは、ほとんど不明であり、コンニャクの加水分解物であるグルコマンナンオリゴ糖を摂取することによるビフイドバクテリウム増殖方法(特開昭58−212780)が提案されているのみである。しかもその内容は、ビフイドバクテリウム菌を増殖させる方法であり、その他の腸内有害菌も増殖させてしまう虞れがある。また、コンニャクの加水分解物には糖鎖中にマンノース残基以外にグルコース残基が多く含まれており、マンノース残基以外の糖残基がほとんど含まれていないマンノオリゴ糖についての報告はまだない。
マンノース残基を有する単糖類およびオリゴ糖類の製造方法としては、例えば、コンニャク、ユリ等に含まれるグルコマンナンや、グアガム、ローカストビーンガム等に含まれるガラクトマンナン等を酸や酵素で加水分解する方法(特開昭63−49093)、コプラミールから酵素加水分解によりマンノビオースを製造する方法(特開平11−18793)等が提案されている。
しかし、グルコマンナンやガラクトマンナンの加水分解物からグルコース、ガラクトース等が混在しマンノースを主要構成糖とするマンノオリゴ糖と呼ぶにはかけ離れた物であった。
また、コーヒー抽出残渣を加水分解することにより、糖鎖中にマンノース残基以外の糖残基の含有量が少ないマンノオリゴ糖類を得ることはできる(米国特許第4,484,012号、米国特許第4,508,745号、米国特許第4,798,730)が、着色物質、脂質、蛋白質、塩、酸等が混在しているため、食品、医薬品等への適用が制限される。
さらに、コプラミールを加水分解およびマンノースを縮合または転移反応させることにより、糖鎖中にマンノース残基以外の糖残基の含有量が少ないマンノオリゴ糖類を得ることができる(特開平11−018791)が、これらの生理機能および飲食料品への利用については未知である。
本発明者らは、これらのような課題を解決するために鋭意検討の結果、マンナンを多く含む食品素材、主に、コーヒー抽出粕加水分解物から、糖鎖中にマンノース残基以外の糖残基の含有量が少ない重合度1〜10のマンノオリゴ糖類又はマンノースとグルコースおよびガラクトースのような単糖類の少なくとも1種とが1〜10分子とが結合したマンノースを主体としたオリゴ糖類が腸内有用菌増殖促進作用を有するとともに低カロリーおよび難う蝕性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。さらに、無着色、無酸の糖鎖中にマンノース残基以外の糖残基の含有量が少ない重合度1〜10のマンノオリゴ糖類を得ることで、食品への適用範囲を飛躍的に広げることができることを見いだした。
本発明は、マンノースを主体とした単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類又はマンノースとグルコースおよびガラクトースのような単糖類の少なくとも1種とが1〜10分子とが結合したマンノースを主体としたオリゴ糖類を主成分とする腸内有用菌増殖促進作用を有する組成物、難う蝕性組成物、低カロリー組成物に関する。当該組成物は、マンノースもしくはマンノースを主体とした単糖が2〜10分子結合した単一の化合物、または、それらの中から選ばれた2種以上のオリゴ糖を主成分とする組成物を意味する。
本発明の組成物において、総固形分に対し、マンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類の合計含有割合が60重量%以上が好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
本発明における組成物の糖組成においてはマンノース残基の割合が70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上であるものが望ましい。マンノース残基の割合が70%に満たないと、効果が大きく期待できないとともに、甘味度も増し適用の幅が狭まる傾向にある。構成糖としては、マンノース以外には、加水分解する出発物質にもよるがグルコース、ガラクトースなどが含まれるが必要に応じて除去することもできる。組成物中の遊離のマンノース含量については50%以下に抑えられたものが望ましい。50重量%を越えると、マンノース由来の苦味のために、適用の範囲に制約を受ける傾向にある。さらに、マンノースを主体としたオリゴ糖類は、マンノースが2〜6分子結合したオリゴ糖類であることが好ましい。
また、マンノースを主体としたオリゴ糖類は、マンノース直鎖β−1,4結合からなるマンノオリゴ糖であることが望ましい。
本発明においては、マンナンを加水分解処理することによって得られたマンノースを主成分とする腸内有用菌増殖促進作用を有する組成物、難う蝕性組成物、低カロリー組成物が好ましい。また、当該マンナンがコーヒー豆および/またはコーヒー抽出残渣から得られるものであることが好ましい。
さらに、本発明においては、コーヒー抽出残渣を加水分解処理することによって得られたマンノースを主成分とする腸内有用菌増殖促進作用を有する組成物、難う蝕性組成物、低カロリー組成物が好ましい。
本発明は、マンノース、β‐1,4マンノビオース、β‐1,4マンノトリオース、β‐1,4マンノテトラオース、β‐1,4マンノペンタオース、β‐1,4マンノヘキサオース、β‐1,4マンノヘプタオース、β‐1,4マンノオクタオース、β‐1,4マンノノナオース、β‐1,4マンノデカオースからなる群から選ばれる1または2以上のオリゴ糖類を主成分とするビフィズス菌の増殖促進作用剤に関する。
本発明のビフィズス菌の増殖促進作用剤において、マンノース、β‐1,4マンノビオース、β‐1,4マンノトリオース、β‐1,4マンノテトラオース、β‐1,4マンノペンタオース、β‐1,4マンノヘキサオース、β‐1,4マンノヘプタオース、β‐1,4マンノオクタオース、β‐1,4マンノノナオース、β‐1,4マンノデカオースからなる群から選ばれる1または2以上のオリゴ糖類の合計含有割合が60重量%以上が好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
本発明におけるビフィズス菌の増殖促進作用剤の糖組成においてはマンノース残基の割合が70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上であるものが望ましい。糖組成中の遊離のマンノース含量については50%以下に抑えられたものが望ましい。50重量%を越えると、マンノース由来の苦味のために、適用の範囲に制約を受ける傾向にある。さらに、β‐1,4マンノビオース、β‐1,4マンノトリオース、β‐1,4マンノテトラオース、β‐1,4マンノペンタオース、β‐1,4マンノヘキサオースからなる群から選ばれる1または2以上のオリゴ糖類であることが好ましい。
本発明においては、マンナンを加水分解処理することによって得られたマンノースを主成分とするビフィズス菌の増殖促進作用剤であることが好ましい。また、当該マンナンがコーヒー豆および/またはコーヒー抽出残渣から得られるものであることが好ましい。
さらに、本発明においては、コーヒー抽出残渣を加水分解処理することによって得られたマンノースを主成分とするビフィズス菌の増殖促進作用剤が好ましい。
また、本発明は、上記に説明した本発明に係る組成物を含有する飲食物および飼料にも関する。なお、本発明に係る組成物は、飲食物、飼料のみならず化粧品、医薬品等幅広い分野で使用することが可能である。
本発明の組成物は、例えばココナッツ椰子から得られるコプラミール、フーク、南アフリカ産椰子科植物HuacraPalm、ツクネイモマンナン、ヤマイモマンナンよりマンナンを抽出後、酸加水分解、高温加熱加水分解、酵素加水分解の中から選ばれる1種または2種以上の方法で処理し、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理、イオン交換膜処理等の方法で精製された糖混合物および/またはコンニャクイモ、ユリ、スイセン、ヒガンバナ等に含まれるグルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム等に含まれるガラクトマンナンを酸加水分解、高温加熱加水分解、酵素加水分解の中から選ばれる1種または2種以上の方法で処理し、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理、イオン交換膜処理等の方法で分離精製し構成糖としてマンノースの比率を高めたものであってもよい。
さらに、コーヒー生豆または焙煎したコーヒー豆を酸加水分解、高温加熱加水分解、酵素加水分解の中から選ばれる1種または2種以上の方法で処理し、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理、イオン交換膜処理等の方法で精製することによって得ることができる。
あるいは、使用済みコーヒー残渣を、酸加水分解、高温加熱加水分解、酵素加水分解の中から選ばれる1種または2種以上の方法で可溶化処理した水溶液を活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理、イオン交換膜処理等の方法で精製することによって得ることができる。
一般に、焙煎粉砕コーヒーを商業用の抽出器にて抽出すると、その際に焙煎コーヒーに含まれるガラクトマンナンの側鎖であるガラクトースが可溶化したり、アラビノガラクタンが加水分解によって可溶化する。従って、コーヒー残渣中にはマンナンが豊富であり、しかも直鎖構造をとっているものと推定される。一方、セルロースは分解されにくく残渣として残っているが、セルロースを分解せずにマンナンを特異的に加水分解する条件を適宜選択することにより、マンノースを主体とするオリゴ糖を得ることができる。
本発明において使用されるコーヒー抽出残渣は通常の液体コーヒーあるいはインスタントコーヒー製造工程において抽出されたものであれば、常圧下、加圧下抽出であろうと、またいかなる起源、製法のコーヒー抽出残渣であっても使用することができる。
コーヒー抽出残渣を酸および/または熱により加水分解しオリゴ糖類を高純度に含むように調製した組成物を液体コーヒー、インスタントコーヒー等にそのまま添加して使用することもできるが、必要に応じて活性炭、イオン交換樹脂等で脱色、脱臭、脱酸等の精製処理をしたものを添加した方がコーヒー本来の味、香りのより豊かなコーヒーを提供することができる。
更に、カラムクロマトグラフィー等で特定の重合度をもつマンノオリゴ糖に分画した上で使うこともできる。
以下に本発明において、コーヒー抽出残渣からマンノースを主成分とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を製造する代表的な方法を述べるが、必ずしも以下の製法に限定されるものではない。
以下に本発明において、コーヒー抽出残渣からマンノースを主成分とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を製造する代表的な方法を述べるが、必ずしも以下の製法に限定されるものではない。
コーヒー抽出残渣を分解する方法としては、酸および/または高温により加水分解する方法と酵素により分解する方法が挙げられる。酸および/または高温により加水分解する方法としては特開昭61−96947号、特開平2−200147号等に開示されている。商業用のコーヒー多段式抽出系において出てくる使用済みコーヒー残渣を反応容器中において酸触媒を添加して加水分解することもできるし、酸触媒を添加せずに高温で短時間処理して加水分解することによっても得ることができる。管形栓流反応器を使用するのが便利であるが比較的高温で短時間の反応を行わせるのに向いているものならば、いかなる反応器を使用しても良好な結果が得られる。反応時間と反応温度を調節し、可溶化して加水分解させることによってDP10〜40のマンナンをDP1〜10のマンノオリゴ糖に分解し、その後コーヒー残渣と分離してマンノオリゴ糖類を得る。
「マンナン」という用語は、広くd−マンノースからなる多糖を意味する。単糖d−マンノースはアルドヘキソースであり、d−グルコース中のカルボキシル基に隣接する炭素に結合している水酸基の立体配置が逆になっているものである。
「オリゴ糖」は、単糖の数が比較的少ないポリマーを意味する。とくに、本明細書においては、単糖の数が10以下であるポリマーをさす。マンノースは、便宜上DP1のオリゴ糖とするが、厳密にいうとオリゴ糖は2以上の単糖からなるものをさす。
「重合度」または「DP」とは、オリゴ糖を構成している単糖の数を意味する。従って、たとえばマンノースが4つの単糖から構成されているマンノオリゴ糖の重合度は4であるのでDP4と記載する。
「コーヒー残査」とは、たとえば大気条件中で抽出した後のいわゆるコーヒー抽出粕を意味する。
また、酵素により分解する方法としては、例えばコーヒー抽出残渣を水性媒体に懸濁させ、ここへ例えば市販のセルラーゼおよびヘミセルラーゼ等を加えて撹拌しながら懸濁させればよい。酵素の量、作用させる温度およびその他の条件としては、通常の酵素反応に用いられる量、温度、条件であれば特に問題はなく、使用する酵素の最適作用量、温度、条件およびその他の要因によって適宜選択すればよい。
また、酵素により分解する方法としては、例えばコーヒー抽出残渣を水性媒体に懸濁させ、ここへ例えば市販のセルラーゼおよびヘミセルラーゼ等を加えて撹拌しながら懸濁させればよい。酵素の量、作用させる温度およびその他の条件としては、通常の酵素反応に用いられる量、温度、条件であれば特に問題はなく、使用する酵素の最適作用量、温度、条件およびその他の要因によって適宜選択すればよい。
上記の方法によって得られたマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を含む反応液は、必要に応じて精製を行う。精製法としては、骨炭、活性炭、炭酸飽充法、吸着樹脂、マグネシア法等で脱色を行い、イオン交換樹脂、イオン交換膜、電気透析等で脱塩、脱酸を行う。精製法の組み合わせおよび精製条件としては、マンノースが1〜10分子結合したマンノオリゴ糖類を含む反応液中の色素、塩、および酸等の量およびその他の要因に応じて適宜選択すればよい。
次に、本発明を実施例および試験例により具体的に説明する。
実施例1
コーヒー抽出残渣を反応器に送りやすくするために、まず粉砕して粒径を約1mmにした。次いで、総固形分濃度が約14w/w%の水と粉砕物からなるスラリーを調製し4mの熱栓流反応器内において熱処理した。滞留時間8分に対応する速度で高圧蒸気とともに栓流反応器にポンプ輸送し、6.35mmφオリフィスを用いて約220℃に維持した。その後、大気圧下に噴出することによって、反応を急止した。できたスラリーを濾過して、不溶性固形分から可溶性固形分を含む液を分離した。この可溶性固形分含有液を活性炭、吸着樹脂で脱色し、さらにイオン交換樹脂で脱塩した後、濃縮、乾燥してマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を収率14%で得た。
このようにして得られた難う蝕性、腸内有用菌選択資化、および低カロリー組成物のDP分布は、例えばDP1;20.4%、DP2;16.6%、DP3;16.2%、DP4;13.7%、DP5;10.9%、DP6;8.9%、DP7;6.0%、DP8;3.6%、DP9;1.9%、DP10;1.7%で、糖鎖中のマンノース残基の含有量は80%であるが、DP分布および糖鎖中のマンノース残基の含有量は加水分解条件により種々の値をとりうる。オリゴ糖のDP1としてはマンノース等、DP2としてはマンノビオース等、DP3としてはマンノトリオース等、DP4としてはマンノテトラオース等、DP5としてはマンノペンタオース等、DP6としてはマンノヘキサオース等、DP7としてはマンノヘプタオース等、DP8としてはマンノオクタオース等、DP9としてはマンノノナオース等、DP10としてはマンノデカオース等で、結合様式はβ−1,4グリコシド結合であると推定される。
実施例1
コーヒー抽出残渣を反応器に送りやすくするために、まず粉砕して粒径を約1mmにした。次いで、総固形分濃度が約14w/w%の水と粉砕物からなるスラリーを調製し4mの熱栓流反応器内において熱処理した。滞留時間8分に対応する速度で高圧蒸気とともに栓流反応器にポンプ輸送し、6.35mmφオリフィスを用いて約220℃に維持した。その後、大気圧下に噴出することによって、反応を急止した。できたスラリーを濾過して、不溶性固形分から可溶性固形分を含む液を分離した。この可溶性固形分含有液を活性炭、吸着樹脂で脱色し、さらにイオン交換樹脂で脱塩した後、濃縮、乾燥してマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を収率14%で得た。
このようにして得られた難う蝕性、腸内有用菌選択資化、および低カロリー組成物のDP分布は、例えばDP1;20.4%、DP2;16.6%、DP3;16.2%、DP4;13.7%、DP5;10.9%、DP6;8.9%、DP7;6.0%、DP8;3.6%、DP9;1.9%、DP10;1.7%で、糖鎖中のマンノース残基の含有量は80%であるが、DP分布および糖鎖中のマンノース残基の含有量は加水分解条件により種々の値をとりうる。オリゴ糖のDP1としてはマンノース等、DP2としてはマンノビオース等、DP3としてはマンノトリオース等、DP4としてはマンノテトラオース等、DP5としてはマンノペンタオース等、DP6としてはマンノヘキサオース等、DP7としてはマンノヘプタオース等、DP8としてはマンノオクタオース等、DP9としてはマンノノナオース等、DP10としてはマンノデカオース等で、結合様式はβ−1,4グリコシド結合であると推定される。
次に、マンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物の効果についての試験例を示して詳細に説明する。
試験例1:難う蝕性試験
StreptococcusmutansIFO13955株をトリプトソイ寒天培地で培養後、得られた菌体を滅菌生理食塩水に浮遊させ、菌数が約106/mlとなるように調製した。また、クックドミート培地から肉片を除き、リン酸2カルシウム0.25%および寒天0.08%を添加し、pH6.5に調整後、L字管に13.5ml分注し、濾過除菌した20%糖液を1.5ml添加し、試験培地とした。糖質無添加の培地も準備し、陰性対照とした。なお、糖液として実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物、シュークロース(陽性対照)のそれぞれ20%溶液を用いた。
試験例1:難う蝕性試験
StreptococcusmutansIFO13955株をトリプトソイ寒天培地で培養後、得られた菌体を滅菌生理食塩水に浮遊させ、菌数が約106/mlとなるように調製した。また、クックドミート培地から肉片を除き、リン酸2カルシウム0.25%および寒天0.08%を添加し、pH6.5に調整後、L字管に13.5ml分注し、濾過除菌した20%糖液を1.5ml添加し、試験培地とした。糖質無添加の培地も準備し、陰性対照とした。なお、糖液として実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物、シュークロース(陽性対照)のそれぞれ20%溶液を用いた。
ついで、試験培地、陰性対照に接種用菌液を0.15ml添加し、連続式吸光度測定計を用いて35℃で静置培養し、660nmの吸光度を連続的にプロットして生育曲線を得た。結果を図1に示す。
図1.から明らかなように、マンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物はシュークロースに比較し、難う蝕性である。
試験例2:低カロリー試験
病者用特別用途食品の表示許可の取り扱いて(昭和49年衛栄第21号)別紙2「病者用特別用途食品の試験方法」に従い、実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物の生理的燃焼熱を測定した。結果は2.3kcal/gであり、シュークロース等の消化性糖質に比べて低カロリーであることが判明した。
試験例3:腸内菌叢を構成する菌類に対する資化性試験
実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物につき、腸内菌叢を構成する菌類に対する資化性を、他の糖類と比較した結果を含めて以下に示す。
使用培地
供試糖類を10%水溶液として濾過滅菌後、最終濃度0.5%になるように滅菌Pepton−Yeast−Fildes solution(PYF)半流動寒天培地に添加した。PYF培地は次の組成からなるものである。
試験例2:低カロリー試験
病者用特別用途食品の表示許可の取り扱いて(昭和49年衛栄第21号)別紙2「病者用特別用途食品の試験方法」に従い、実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物の生理的燃焼熱を測定した。結果は2.3kcal/gであり、シュークロース等の消化性糖質に比べて低カロリーであることが判明した。
試験例3:腸内菌叢を構成する菌類に対する資化性試験
実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物につき、腸内菌叢を構成する菌類に対する資化性を、他の糖類と比較した結果を含めて以下に示す。
使用培地
供試糖類を10%水溶液として濾過滅菌後、最終濃度0.5%になるように滅菌Pepton−Yeast−Fildes solution(PYF)半流動寒天培地に添加した。PYF培地は次の組成からなるものである。
上記の成分を混合し、55℃温浴槽水中で1夜保持し、消化させる。
これに20%NaOH溶液12mlを加えた後、NaOHによりpH7.6になるように調整する。
試験法および結果の判定法
寒天平板培地で培養した、表1.記載の新鮮な菌を、PYF培地(供試糖類を0.5%添加したもの)に、各菌株が各々108CFu/チューブとなるように接種し、37℃で96時間嫌気培養した。
菌数の増加をpHの低下を測定することにより求めた。なお、糖類はグルコース(対照)と実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を用いた。
結果 表2.に示した。但し第2表において。
これに20%NaOH溶液12mlを加えた後、NaOHによりpH7.6になるように調整する。
試験法および結果の判定法
寒天平板培地で培養した、表1.記載の新鮮な菌を、PYF培地(供試糖類を0.5%添加したもの)に、各菌株が各々108CFu/チューブとなるように接種し、37℃で96時間嫌気培養した。
菌数の増加をpHの低下を測定することにより求めた。なお、糖類はグルコース(対照)と実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を用いた。
結果 表2.に示した。但し第2表において。
−は6.0≦培養液pH
±は5.5≦培養液pH<6.0
+は5.0≦培養液pH<5.5
++は4.5≦培養液pH<5.0
+++は培養液pH<4.5
をそれぞれ表わす。
±は5.5≦培養液pH<6.0
+は5.0≦培養液pH<5.5
++は4.5≦培養液pH<5.0
+++は培養液pH<4.5
をそれぞれ表わす。
表2から明らかなように、マンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物はビフィズス菌・乳酸菌等の有用菌を資化し腐敗菌は資化しないことを確認した。対照のブドウ糖に比し明らかに選択資化性が高いことが判明した。
次にこの組成物を飲食物の製造に応用した実施例について述べる。
実施例2
レギュラーコーヒーの製造法
8gのレギュラーコーヒーに熱湯を加えてペーパードリップにて抽出して、140mlのコーヒー液を得た。これに、実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を5g添加した。本来のコーヒー味を持ち、僅かに甘味を有しコクの有るコーヒーが調製できた。蔗糖を5g使った場合に比べ、カロリー的には32%低減できた。このコーヒー液は腸内有用菌増殖促進作用と難う蝕性であることが期待できる。
実施例2
レギュラーコーヒーの製造法
8gのレギュラーコーヒーに熱湯を加えてペーパードリップにて抽出して、140mlのコーヒー液を得た。これに、実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を5g添加した。本来のコーヒー味を持ち、僅かに甘味を有しコクの有るコーヒーが調製できた。蔗糖を5g使った場合に比べ、カロリー的には32%低減できた。このコーヒー液は腸内有用菌増殖促進作用と難う蝕性であることが期待できる。
実施例3
リンゴ果汁飲料の製造法
100mlのリンゴ果汁飲料(果汁含有量50%)に、実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を主成分とする組成物を5g添加し評価したところ、自然な香りと本来のリンゴジュースの持つさわやかな味わいがあった。カロリー的には蔗糖を使用した場合に比べ、8%低減が可能となった。このジュースは腸内有用菌増殖促進作用が期待できる。
リンゴ果汁飲料の製造法
100mlのリンゴ果汁飲料(果汁含有量50%)に、実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を主成分とする組成物を5g添加し評価したところ、自然な香りと本来のリンゴジュースの持つさわやかな味わいがあった。カロリー的には蔗糖を使用した場合に比べ、8%低減が可能となった。このジュースは腸内有用菌増殖促進作用が期待できる。
実施例4
コーヒーゼリーの製造法
インスタントコーヒー0.85gとゼラチン(ニッタゼラチン21)1.25gおよび実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を8gとを混合した後、熱湯70mlで溶解した。この液を型に流し入れたあと、冷却した。コーヒー性が高く良好な食感を有した低甘味のコーヒーゼリーが得られた。カロリー的には、蔗糖使用時に比し、34%低減できた。このコーヒーゼリーは腸内有用菌増殖促進作用と難う蝕性であることが期待できる。
コーヒーゼリーの製造法
インスタントコーヒー0.85gとゼラチン(ニッタゼラチン21)1.25gおよび実施例1で調整したマンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を含有する組成物を8gとを混合した後、熱湯70mlで溶解した。この液を型に流し入れたあと、冷却した。コーヒー性が高く良好な食感を有した低甘味のコーヒーゼリーが得られた。カロリー的には、蔗糖使用時に比し、34%低減できた。このコーヒーゼリーは腸内有用菌増殖促進作用と難う蝕性であることが期待できる。
試験例4:ヒト腸内菌叢に及ぼす影響
健常成人12名(20歳から44歳)を対象として行った。被験者は本試験開始3週間前から試験期間中を通じて、薬物投与や生菌剤(乳酸菌製品)を摂取していないが、その他の食事制限は行わなかった。オリゴ糖は、マンノース直鎖β−1,4グリコシド結合からなるマンノオリゴ糖の重合度組成が、DP1;1%、DP2;37%、DP3;27%、DP4;20%、DP5;1%からなる組成のものを試験に供した。
試験スケジュールは、オリゴ糖3gを1日1回飲料に溶かして連続2週間摂取させた。摂取前、摂取2週間目、摂取終了2週間目の計3回、糞便を全量採取し、直ちに氷冷し測定に供した。
菌叢の測定は、光岡の方法(「腸内菌の世界」光岡知足編、1984年発行、冬至書房新社)に従った。総菌数は、総嫌気性菌数(EG培地またはBL培地上の集落数)と総好気性菌数(TS培地上の集落数)の和より求めた。ビフィズス菌数はBL培地上の集落の形状、グラム染色性、細胞の形態によって菌群を同定し、計数した。そして総菌数に占めるビフィズス菌の割合を算出した。
健常成人12名(20歳から44歳)を対象として行った。被験者は本試験開始3週間前から試験期間中を通じて、薬物投与や生菌剤(乳酸菌製品)を摂取していないが、その他の食事制限は行わなかった。オリゴ糖は、マンノース直鎖β−1,4グリコシド結合からなるマンノオリゴ糖の重合度組成が、DP1;1%、DP2;37%、DP3;27%、DP4;20%、DP5;1%からなる組成のものを試験に供した。
試験スケジュールは、オリゴ糖3gを1日1回飲料に溶かして連続2週間摂取させた。摂取前、摂取2週間目、摂取終了2週間目の計3回、糞便を全量採取し、直ちに氷冷し測定に供した。
菌叢の測定は、光岡の方法(「腸内菌の世界」光岡知足編、1984年発行、冬至書房新社)に従った。総菌数は、総嫌気性菌数(EG培地またはBL培地上の集落数)と総好気性菌数(TS培地上の集落数)の和より求めた。ビフィズス菌数はBL培地上の集落の形状、グラム染色性、細胞の形態によって菌群を同定し、計数した。そして総菌数に占めるビフィズス菌の割合を算出した。
Claims (10)
- マンノースを主体とした単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を主成分とし、マンノースがコーヒー由来のマンノースであることを特徴とするビフィズス菌の増殖促進作用を有する組成物。
- マンノースを主体とした単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を主成分とし、マンノースがコーヒー由来のマンノースであることを特徴とする難う蝕性組成物。
- マンノースを主体とした単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類を主成分とし、マンノースがコーヒー由来のマンノースであることを特徴とする低カロリー組成物。
- 総固形分に対し、マンノースを主体とする単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類の合計含有割合が60w/w%以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
- 糖組成において、マンノース残基の割合が70w/w%以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
- マンノースを主体としたオリゴ糖類が、マンノースが2〜6分子結合したオリゴ糖類の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物。
- マンノースを主体とした単糖類が1〜10分子結合したオリゴ糖類がマンノース直鎖β−1,4結合からなるマンノオリゴ糖であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物。
- マンノース、β‐1,4マンノビオース、β‐1,4マンノトリオース、β‐1,4マンノテトラオース、β‐1,4マンノペンタオース、β‐1,4マンノヘキサオース、β‐1,4マンノヘプタオース、β‐1,4マンノオクタオース、β‐1,4マンノノナオース、β‐1,4マンノデカオースからなる群から選ばれた少なくとも1種以上のオリゴ糖類を主成分とすることを特徴とするビフィズス菌の増殖促進作用剤。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の組成物がコーヒー抽出残渣を加水分解処理することによって得られる組成物。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物を含有する飲食物または飼料。
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