JP2008007505A - 抗炎症作用組成物及び剤、並びにこれらを含有する飲食物及び飼料 - Google Patents

抗炎症作用組成物及び剤、並びにこれらを含有する飲食物及び飼料 Download PDF

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【課題】β−1,4−マンノビオースを主成分とすることを特徴として、菌感染時において過剰防衛反応を示さないようにするためにインターロイキン8(IL−8)の産生抑制する機能をもち、敗血症やリューマチ、炎症性腸疾患の予防もしくは症状軽減効果のある抗炎症作用組成物、またはそれらを含む飲食物または飼料を提供することにある。
【解決手段】本発明の抗炎症作用組成物又は剤は、β−1,4−マンノビオースを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、β−1,4−マンノビオースを主成分とすることを特徴として、菌感染時において過剰防衛反応を示さないようにするためにインターロイキン8(IL−8)の産生抑制する機能をもち、敗血症やリューマチ、炎症性腸疾患の予防もしくは症状軽減効果のある抗炎症作用組成物、またはそれらを含む飲食物または飼料に関するものである。
我々の体は、細菌に感染した場合は、それを排他するために生体防御機能が働く。すなわち、細菌やそれらから分泌される毒素などの刺激によって炎症性サイトカイニンが遊離される。その炎症性サイトカインは好中球を活性化させ、蛋白分解酵素、活性酸素を遊離し、細菌を攻撃する。しかしながら、この細菌等の侵襲が大きすぎると、この蛋白分解酵素や活性酸素に対する防止機能が破綻してしまって、自己の組織破壊がおきてしまう。これが敗血症である。また、この炎症性サイトカインは、細菌感染が主な引き金となっているが、細菌に感染の侵襲が大きくなくとも、例えば、空気中に浮遊している細菌を吸引しただけで、昨今の厳しい社会情勢におけるストレス、食生活の変化によって免疫システムが崩れてしまって、過剰に分泌してしまうことも示唆されている。まだ原因ははっきりしていないが、下痢等々の症状が続く炎症性腸疾患もこれら免疫システムの変調により起こっているとも言われており、炎症性サイトカインの過剰分泌が大きな原因とも考えられている。またこの、炎症性サイトカインは筋肉の硬直化等によっておこるリューマチ等の炎症性疾患を促進させてしまい、病状を悪化させてしまうため、昨今では免疫システムの改善による治療が試みられている。したがって、この炎症性サイトカインというものは非常に重要であって、生体内で有意義に働くうちはいいが、細菌感染、ストレス、脂肪分のとりすぎ等の食生活の変化によって暴走してしまうと、この分泌の制御が必要となってくる。インターロイキン(IL−8)はこの炎症性サイトカインの重要なもののひとつであり、ケモカインと呼ばれている。このIL−8が過剰に分泌されてしまうと、体のあちこちで炎症が促進されてしまい上述のような症状が現れるのである。したがって、このIL−8の分泌抑制機能があれば、分泌が暴走してしまったときには非常に有効であることが理解できる。つまり、何らかの要因において、このIL−8の分泌が常日頃から過剰傾向にあり、炎症反応から起こるさまざまな疾病に悩まされている人もしくは動物に対して、日常的に食することにより、IL−8の過剰分泌を抑えることができ、炎症性疾病の緩和に貢献できるようなものが望まれているのが現状である。つまり日常的に食するというのは、できるだけ自然物質からとりだすようなものであり、安全かつ経済的にも容易に使用しうるものでなければならない。このような、要求にたいして、特許文献1には、ある特殊な構造のモノサッカライドが、抗炎症作用をもつことが開示されている。この開示されたものは、合成によってつくりだされるもので自然なものとは言い難い。また特許文献2には天然物から抽出されたガラクトマンナンオリゴ糖が、抗炎症作用をもつことが開示されている。しかし、これらの化合物は、貪食細胞やB細胞の食細胞系の強化を目的としており、好中球への刺激によるIL−8の抑制ということへの提案でなく、炎症性疾患に対しては効果がみられない。
国際公開第2006/024926号パンフレット 国際公開第01/44489号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、安全性、経済性に優れ、確実にIL−8産出抑制効果があり、敗血症、リューマチや炎症性腸疾患を予防もしくは症状の低減できる抗炎症作用組成物および飲食物、飼料を提供することにある。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、コプラミール、パーム核ミールを原料として、マンナン分解酵素を作用させ、加水分解し、エタノールを用いて侠雑物を除去し、水溶性成分を得て、10重量%以上のβ−1,4−マンノビオースを主成分とするものが、IL-8産生抑制することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明はコプラミール、パーム核ミールにマンナン分解酵素を作用させ、エタノールで侠雑物除去し、水溶性成分中、分解前のマンナンに対して少なくとも10重量%以上のβ−1,4−マンノビオースを主成分とすることを特徴とする抗炎症作用組成物であって、IL−8を産生抑制させる効果のある抗炎症作用組成物とそれらを含有する飲食物及び飼料を要旨とするものである。
本発明によれば、β−1,4−マンノビオースを主成分とすることを特徴として、菌感染時において過剰防衛反応を示さないようにするためにインターロイキン8(IL−8)の産生抑制する機能をもち、敗血症やリューマチ、炎症性腸疾患の予防もしくは症状軽減効果のある抗炎症作用組成物、またはそれらを含む飲食物または飼料が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、β−1,4−マンノビオースは、Dマンノース2分子がβ−1,4−グリコシド結合してなるものである。本発明において、β−1,4−マンノビオースは、例えば、マンノースから合成する方法や、β−1,4−マンナン(以下、単にマンナンともいう)を分解する方法により得ることができる。
β−1,4−マンナンを分解する方法は、原料の資源性及び反応効率の点でより好ましく、より簡便にβ−1,4−マンノビオースを得ることができる。この方法では、例えば、マンナンを豊富に含有するココナツケーキ、パーム核ミール、コプラミール、グアーガム、ローカストビーンガムなどのマンナン含有天然物又はこれら天然物から抽出したマンナンに、マンナン分解酵素を作用させて、β−1,4−マンノビオースを得ることができる。
ココナツケーキは、ココヤシ果実中の胚乳を潰してスラリー状にしたものを固液分解して得られる固形物をいい、食用としてされるものである。コプラミールは、一般に、ココヤシ果肉内の核肉を天日乾燥もしくは熱風乾燥で乾燥させたコプラからヤシ油を抽出した際の残渣をいうが、本発明においては、天日若しくは熱風乾燥工程を経ずに抽出した搾油残渣をも含む。なお、ヤシ油の抽出方法は、溶剤、エクストルーダーもしくはこれらを併用したものを用いて抽出したもの等、特に限定されない。また、パーム核ミールは、アブラヤシの種子であるパーム核からパーム核油を抽出した残渣であり、これも、溶剤抽出、エクストルーダー抽出もしくはこれらの併用等によって抽出できるが特に限定されるものではない。これらのうち、ココナツケーキは、食用として用いられることから、後述するマンノビオースの抽出、精製を省略してコストを抑えらることができる点で、より好ましく用いられる。
本発明においてマンナンの分解は、酵素による加水分解でなくてはならない。加水分解の方法の代表例としては、酸分解などがあるが、これらの方法による加水分解では、得られる組成物の酸変性等が起こりやすく、期待される効果が得られにくい。使用される酵素としては、マンナンを分解し、β−1,4−マンノビオースを分解前のマンナンに対して少なくとも10重量%を産出するものであれば特に限定されるものではなく、マンナナーゼ、マンノシダーゼなどのヘミセルラーゼが挙げられ、例えば市販の製剤、菌体培養した培養液もしくは菌体から分離してきたものを使用することが可能である。市販の製剤としては、例えばヘミセルラーゼGM「アマノ」(天野製薬株式会社製)、スミチームACH(新日本化学工業株式会社製)、セルロシンGM5(阪急バイオインダストリー株式会社)等を好ましく使用できる。また、これらのほか、キシラナーゼ、セルラーゼとして市販されているものであっても、当該加水分解活性を有するものも使用でき、例えば、セルラーゼY-NC(ヤクルト薬品工業株式会社製)を使用できる。特に、マンノシダーゼ(exo型)活性が低く、マンナナーゼ(endo型)活性が高いヘミセルラーゼGM「アマノ」(天野製薬株式会社製)、スミチームACH(新日本化学工業株式会社製)が、マンノースの生成を抑え、多量にマンノビオースを生成させることができる点で好ましい。
さらに、本発明で用いられる酵素は、水に溶解又は分散させた酵素液として、マンナン含有天然物又はこれから抽出したマンナンに作用させる。そして、マンナン含有天然物を用いる場合において効率的な反応を行うためには、マンナン含有天然物、マンナン分解酵素及び水からなる反応系における水分の調整が重要である。水分調整のための水の添加量としては、マンナン100重量部に対して、50〜10000重量部であることが好ましく、50〜1500重量部であることがより好ましい。水の添加量をこのような範囲とすることにより、十分な水分の存在下で、マンナン類の繊維質を十分に膨潤させ、酵素液を接触しやすくすることができる。しかしながら、必要以上の水分量は、酵素濃度を希釈する結果、却って反応効率を低下させるばかりでなく、乾燥させる場合には、乾燥工程における乾燥コストの上昇を招く。したがって、以上を考慮すれば、マンナン類100重量部に対して、好ましくは50〜500重量部の水を添加するのが適当である。
また、酵素量、反応時間としては、生成するマンノビオースが分解前のマンナンに対し、少なくとも10重量%、好ましくは、加水分解により生成するマンノビオースが分解前のマンナンに対し10〜80重量%程度となるものであれば特に限定されず、かかる条件下では湿潤な酵素処理物を得ることができる。しかし、マンナナーゼ(endo型)活性が高い酵素は、通常、マンノシダーゼ(exo型)活性をも有していることから、酵素反応の時間が長すぎると、マンノビオースが分解されてマンノース量が増加してしまうため、反応時間は必要以上に長い時間としないことが好ましい。これら酵素反応条件は、マンノビオースの生成量ができるだけ多くなるように適宜設定される。この場合、β−1,4−マンノビオースがマンノースより多く含まれるよう設定するのが好ましく、例えば、β−1,4−マンノビオースに対するマンノースの割合が、60重量%以下であるのがより好ましく、20重量%以下であるのが特に好ましい。
以上のようにして、例えば、原料としてパームカーネルミール(マンナン含有量は、およそ36%)を用いて3〜36時間反応させた場合、マンノビオース量は、使用する酵素の種類や量、時間にもよるが、原料100重量部に対して、6〜17重量部程度まで生成させることができる。
得られた分解物は、好ましくは乾燥されるが、そのままの水溶液組成物であってもかまわない。乾燥方法は、特に限定されず、凍結乾燥や、デキストリンなどの賦形剤を加えての、スプレードライ、流動層乾燥等があげられる。また、必要に応じ、得られた酵素分解物から、侠雑物を除去するために、エタノールが利用される。他に侠雑物を除去する可能性のある溶剤としては、メタノール、イソプロパノール、ヘキサンなどが考えられるが、安全なものという観点からエタノールが好ましい。エタノールで侠雑物を除去した後は、水抽出を行ってもよい。その場合、主成分として考えられるβ−1,4−マンノビオースが水溶性であることから、濃縮操作を行っても良い。得られた水溶性成分の乾燥方法は特に限定されない。特に乾燥せずに、そのままの水溶液組成物を用いてもかまわない。乾燥方法としては、凍結乾燥や、デキストリンなどの賦形剤を加えての、スプレードライ、流動層乾燥等があげられる。
β−1,4−マンノビオースの含量は、加水分解前のマンナン重量に対して10重量%以上となるように加水分解したものが好ましい。この含量が10未満であるとき期待されるようなIL−8の産出抑制は見られない。本発明に見られるIL−8の産出抑制が、このβ−1,4−マンノビオースが少なくとも主要成分として働いていることを推定しているが、原材料についてはココナツケーキ、コプラミール及びパーム核ミールに限定されることから、これらの原料中に存在する微量な成分とβ−1,4−マンノビオースの相乗作用によって特異な効果を示していると考えられる。したがって、β−1,4−マンノビオースの存在量は100%でも本発明の効果は得られると考えられるが、β−1,4−マンノビオースを高純度に取り出すには経済的にも負担がかかり、なおかつ推測される微量成分との相乗効果も期待できないことから、β−1,4−マンノビオースの含量は10重量%以上、90重量%未満が好ましく、15重量%以上、40重量%未満より好ましい。
本発明のIL−8産生抑制させる抗炎症作用組成物は、炎症性サイトカインインターロイキン−8(IL−8)の産生量を抑制する目的で、公地の方法により適宜製剤化して抗炎症作用剤の形態で用いられてもよく、これらは、そのまま単体で食することや、パン類、菓子類さらにはビタミン剤やその他健康食品といわれるものに添加して食することができ、特に制限されることはない。また同様に水産及び陸上動物用飼料に添加しても使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試料の調整>
0.25重量部のヘミセルラーゼ(ヘミセルラーゼGM「アマノ」(天野製薬株式会社製))を水に溶かした酵素液150重量部を30%のマンナンを含むコプラミール、コプラミールA(乾燥工程を経ずに搾油した残渣の乾燥物)、パーム核ミールもしくはココナツケーキ100重量部と混合し、60℃12時間後、水分含量を10%未満になるまで流動層乾燥を行い乾燥粉末を得た。
この乾燥物100重量部に対して2倍量のエタノールを加えて、攪拌後ろ過を行い、この操作を3回繰り返したのちに、残存エタノールを除去して得られたもの100重量部に対して、500重量部の60℃の温水を加えて、攪拌後ろ過を行い得られたろ液を凍結乾燥して本発明の免疫賦活物質を得た。その糖組成は以下のようであった。
Figure 2008007505
次に実施例1および2にかかるIL−8産生抑制効果を以下のように測定した。
ヒト腸管細胞(Caco−2)を20%FBSを含むペニシリン、ストレプトマイシン存在化のDMEM培地にて、二酸化炭素培養を行いモノレイヤー層を形成した。そのモノレイヤー層上に実施例1及び2の本発明品を100μg/mlになるように添加し、同時に大腸菌の刺激シュミレーションとなるリポポリサッカライド(LPS)を50mM添加した。6時間後、その上清を採取し、IL−8の分析に供した。
IL−8の分析は、サンドイッチELISA法によって測定した。すなわち、まず、マウス抗ヒトIL−8抗体によってコーティングを施し、前述の実施例により得られた上清を添加し、ビオチン化されたマウス抗ヒトIL−8抗体でサンドイッチコーティングを行い、アビジン、ホースラディッシュのペルオキシダーゼにより修飾し、TMB(3,3’,5,5’-Tetramethyl-Benzidine)を基質とした発色反応を行ったのちに、450nmにおける吸光度を測定し、検量線からIL−8含量を測定した。
測定結果を表2に示す。
Figure 2008007505
以上の結果から、LPSによって模擬的に菌感染状態にすると、炎症サイトカインIL−8の上昇が活発になるが、本発明品の実施例1および2は有意に抑制効果を示すことがわかる。

Claims (5)

  1. β−1,4−マンノビオースを含有する、抗炎症作用組成物又は剤。
  2. ココナツケーキ、コプラミール又はパーム核ミールに、含有するマンナン重量あたり10重量%以上のβ−1,4−マンノビオースが生成するようにマンナン分解酵素を作用させて得られるβ−1,4−マンノビオース含有組成物の水溶性成分を有効成分とする、請求項1に記載の抗炎症作用組成物又は剤。
  3. ココナツケーキ、コプラミール又はパーム核ミールに、含有するマンナン重量あたり10重量%以上のβ−1,4−マンノビオースが生成するようにマンナン分解酵素を作用させて得られるβ−1,4−マンノビオース含有組成物を乾燥させ、エタノールを加えて抽出した残渣成分に水を加えて抽出される成分を有効成分とする、請求項1に記載の抗炎症作用組成物又は剤。
  4. 炎症性サイトカインインターロイキン−8(IL−8)の産生量を抑制する効果を有し、抗炎症作用をもつ請求項1乃至3のいずれか記載の抗炎症作用組成物又は剤。
  5. 敗血症、リューマチ等の炎症性疾患、炎症性腸疾患を予防できるもしくはこれらの症状を低減できる機能をもつ求項1乃至4のいずれかに記載の抗炎症作用組成物又は剤を含有する飲食物または飼料。
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