JPH11116603A - 高粘性キサンタンガムおよびその製造方法 - Google Patents
高粘性キサンタンガムおよびその製造方法Info
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Abstract
タンガムおよびその製造方法の提供。 【解決手段】 キサンタンガム濃度として0.5重量%
の水溶液とした場合、4000〜25000Pa・s
(B型粘度計6rpm 25℃)の粘度を示す高粘性キ
サンタンガム、および乾燥減量(常圧下、105℃、5
時間加熱)が50重量%以下のキサンタンガムを100
〜140℃で30分以上加熱することを特徴とする高粘
性キサンタンガムの製造方法。
Description
ムおよびその製造方法に関する。かかる高粘性キサンタ
ンガムは、食品分野、化粧品分野、医薬品分野または石
油分野において増粘剤、安定剤、添加剤として用いられ
る。
ス・カンペストリス(Xanthomonas cam
pestris)により、澱粉、グルコース、ショ糖等
の炭水化物からつくられる微生物多糖類の一種である。
キサンタンガムの構造は主としてD−グルコース、D−
マンノースおよびD−グルクロン酸のナトリウム、カリ
ウムおよびカルシウム塩からなり、主鎖はD−グルコー
スのβ−1,4結合からなる。キサンタンガムの製造方
法として、発酵工程の後、微生物を殺菌するために熱処
理され、発酵液からイソプロピルアルコール等のアルコ
ールでキサンタンガムを沈殿させ、そのアルコールを取
り除き、乾燥、粉砕する方法などが知られている。
造工程中でキサンタンガムの粘度を向上させるため、発
酵液を約70〜90°F(約21.1〜32.2℃)に
冷却後低級アルカノールにより沈殿させる方法が開示さ
れている。また、キサンタンガム水溶液を増粘させる場
合、塩を加える方法がある。
タンガムは、粘度特性に関し、ユーザーのニーズを十分
満足させるものではない。すなわち、キサンタンガムの
粘度がより高ければ添加量をさらに減らすことができ、
したがってさらに高い粘度特性を有するキサンタンガム
が望まれていた。また、従来のキサンタンガムは多量に
水中に投入すると、膨潤した粒子同士が接合してキサン
タンガム粉末塊の周囲に強い被膜を造り、「ままこ」と
呼ばれる粘性のある塊ができてしまい、容易に分散しな
くなる等の問題点がある。
題を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、キサンタ
ンガムを固体状態で加熱して得たキサンタンガムが優れ
た粘度特性を有することを見出し、本発明を完成した。
かかる本発明は、キサンタンガム濃度として0.5重量
%の水溶液とした場合、4000〜25000mPa・
s(B型粘度計6rpm 25℃)の粘度を示す高粘性
キサンタンガムに関する。本発明の高粘性キサンタンガ
ムは、一般に、上記水溶液をオートクレーブ内で120
℃で3時間加熱した場合に、粘度が加熱前より3000
mPa・s(B型粘度計6rpm 25℃)以上低下す
るという性質を有する。本発明の高粘性キサンタンガム
は、一般に、乾燥減量(常圧下、105℃、5時間加
熱)が50重量%以下のキサンタンガムを100〜14
0℃で30分以上加熱することによって得ることができ
る。上記加熱は気体中でも液体中でも行うことができ
る。気体中で行う場合、空気中等酸素の存在下で行うと
着色する恐れがあるので、不活性ガス中で行うのが良
い。また、気体中での加熱を減圧下で行うことによって
も着色を回避できる。液体中で加熱を行う場合、キサン
タンガムを溶解しない不活性溶剤中にキサンタンガムを
分散させた状態で加熱する。液体中で加熱を行う場合も
着色は起こらない。
る。上述のごとく、本発明の高粘性キサンタンガムは、
一般に、乾燥減量(常圧下、105℃、5時間加熱、以
下別に定義する場合を除き、「乾燥減量」はこの条件下
での乾燥減量をいうものとする)が50重量%以下のキ
サンタンガムを100〜140℃で30分以上加熱する
ことによって得ることができる。本発明の高粘性キサン
タンガムを製造するのに使用する原料キサンタンガムは
乾燥減量が50重量%以下、好ましくは20重量%以
下、さらに好ましくは15重量%以下のキサンタンガム
である。かかる原料キサンタンガムとしてはまず市販の
粉末状、顆粒状等のキサンタンガムを用いることができ
る。かかる原料キサンタンガムとしてはまた、トウモロ
コシ澱粉やグルコース等を炭素源として、キサントモナ
ス・カンペストリスを液体培養して得られる培養液から
低級アルカノールで分別沈殿させるキサンタンガムの製
造法において、分別沈殿後の乾燥工程中に乾燥減量が5
0重量%以下となったキサンタンガムを用いることがで
きる。原料キサンタンガムの乾燥減量が50重量%より
多いとキサンタンガムの品温が十分に上がらず効果がな
い。。
ために、かかる原料キサンタンガムを加熱するが、加熱
は100〜140℃、好ましくは100〜130℃、さ
らに好ましくは105〜125℃で、30分以上、好ま
しくは30分〜10時間、さらに好ましくは30分〜7
時間、さらに一層好ましくは30分〜6時間である。こ
れらの条件中においても、高温側では比較的短時間加
熱、低温側では比較的長時間加熱が好ましい。加熱はも
っとも好ましくは105〜125℃で30分〜6時間行
う。加熱温度が100℃未満であると粘性の改善が十分
でなく、140℃を超えると一般に着色する可能性が大
きくなる。
ができる。気体中で行う場合、空気中等酸素の存在下で
行うと着色する恐れがあるので、キサンタンガムと反応
しない不活性ガス中で行うのが良い。不活性ガスとして
は窒素ガス、ヘリウムガス、炭酸ガス、水蒸気等を挙げ
ることができる。また、気体中での加熱を減圧下で行う
ことによっても着色を回避できる。この場合の気体とし
ては上記不活性ガスを用いることができるのは勿論であ
るが、減圧の程度によっては空気も着色を生じることな
く用いることができる。減圧の程度は、特に制限ない
が、200〜0.01mmHgが適当である。
を溶解しない不活性溶剤中にキサンタンガムを分散させ
た状態で加熱する。液体中で加熱を行う場合も着色は起
こらない。不活性溶剤としてはキサンタンガムを溶解せ
ず、キサンタンガムと反応しないものであれば特に制限
はない。不活性溶剤の例としてはメタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコー
ル等の炭素数1〜6のアルカノール、1,3−ブチレン
グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコー
ル等の炭素数1〜4のアルカンジオール、エチレングリ
コールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチル
エーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メ
チルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエー
テル(エチルセロソルブ)等のエチレングリコールのモ
ノもしくはジ低級アルキル(C=1〜4、特に1〜2)
エーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール
のモノもしくはジ低級アルキル(C=1〜4、特に1〜
2)エーテル等を挙げることができる。不活性溶剤中で
の反応は場合により加圧下で、例えばオートクレーブ中
で行うことができる。加熱処理後に得られる高粘性キサ
ンタンガムの単離は、例えば加熱処理液を濾過し、ケー
キを必要に応じエタノール等の低沸点溶剤で洗浄し、つ
いで真空乾燥することによって行うことができる。
性キサンタンガムは、その高い粘性において従来のキサ
ンタンガムと異なる。すなわち、本発明の高粘性キサン
タンガムは、キサンタンガム濃度として0.5重量%の
水溶液とした場合、4000〜25000mPa・s
(mPa・s=ミリパスカル×秒)(B型粘度計、6r
pm、25℃。以下別に定義する場合を除き、粘度値は
この条件下でのものをいうものとする。なお、1mPa
・s=1cP(センチポアズ)である)、好ましくは4
500〜23000mPa・s、さらに好ましくは50
00〜22000mPa・s、さらに一層好ましくは6
000〜21000mPa・sの粘度を示す。市販のキ
サンタンガムの0.5重量%水溶液の粘度は1600〜
3300mPa・s程度であるので、本発明のキサンタ
ンガムの高粘性は驚異的である。
に、キサンタンガム濃度として0.5重量%とした水溶
液をオートクレーブ内で120℃で3時間加熱した場合
に、粘度が加熱前より3000mPa・s以上、好まし
くは3000〜23000mPa・s、さらに好ましく
は4000〜20000mPa・s、さらに一層好まし
くは5000〜20000mPa・s低下する。
一般に、X線回折における2θ:20°付近のピークの
半値幅が原料とした従来のキサンタンガムに比し2%以
上、好ましくは2〜6%、さらに好ましくは2.5〜5
%小さくなっている。
物性については、分子量が測定条件下での再現性に乏し
いことを除き、従来のキサンタンガムと比し、特徴的変
化はないと考えられる。例えば、NMRスペクトル、元
素分析およびIRスペクトル(KBr法およびFT−I
R法)は原料キサンタンガムと比べ実質的変化はない。
具体例として実施例1の高粘性キサンタンガムと原料キ
サンタンガムのIRスペクトル(KBr法)をそれぞれ
図2および図3に示す。
サンタンガムと同様な用途に用いることができるが、そ
の際に従来品よりも少ない用量で同様の増粘効果を発揮
することができる。また、水分散性も改善され、作業性
も良好である。かかる本発明の高粘性キサンタンガムは
単独でまたは他の水溶性ゲル化剤や乳化剤組み合わせて
使用することにより、安定なゲルや乳化物を得ることが
できる。したがって、本発明の高粘性キサンタンガム
は、食品、化粧品、医薬品等の分野を始め、石油産業を
含む一般工業分野で水溶性増粘剤として用いることがで
きる。
によって具体的に説明するが、これらは本発明を例証す
るためのものであって、本発明を何等限定するものでは
ない。 比較例1 市販のキサンタンガムの0.5重量%水溶液を作り、粘
度を測定した(A)。さらに、各0.5重量%水溶液を
オートクレーブ(120℃、3時間)にかけた後、粘度
を測定した(B)。結果を表1に示す。
コカンパニー・ア・ユニット・オブ・モンサントカンパ
ニー製、乾燥減量14重量%)10gを1,3−ブチレ
ングリコール40gに分散させ、100〜120℃で加
熱した。キサンタンガム分散液をそれぞれ濾過し、ケー
キをエタノール40gで洗浄した。真空乾燥に12時間
付してエタノールを除去して高粘性キサンタンガムを得
た。それぞれの0.5重量%水溶液を調製し、粘度を測
定した(A)。各キサンタンガムの水への分散は比較例
1のキサンタンガムより「ままこ」ができにくく、分散
性が改善されていた。ついで、上記各0.5重量%水溶
液をオートクレーブ(120℃、3時間)にかけ、つい
で粘度を測定した(B)。結果を表2に示す。
カンパニー製、水分8重量%)10gを1,3−ブチレ
ングリコール40gに分散させ、100〜120℃で加
熱した。キサンタンガム分散液をそれぞれ濾過し、ケー
キをエタノール40gで洗浄した。真空乾燥に12時間
付してエタノールを除去して高粘性キサンタンガムを得
た。それぞれの0.5重量%水溶液を調製し、粘度を測
定した(A)。各キサンタンガムの水への分散は比較例
1のキサンタンガムより「ままこ」ができにくく、分散
性が改善されていた。ついで、上記各0.5重量%水溶
液をオートクレーブ(120℃、3時間)にかけ、つい
で粘度を測定した(B)。結果を表3に示す。
コカンパニー・ア・ユニット・オブ・モンサントカンパ
ニー製、乾燥減量12重量%)10gを気体中または減
圧下(空気、60mmHg)において115℃で3時間
加熱した。得られた高粘性キサンタンガムの0.5重量
%水溶液を作り、粘度を測定した(A)。各キサンタン
ガムの水への分散は比較例1のキサンタンガムより「ま
まこ」ができにくく、分散性が改善されていた。つい
で、上記各0.5重量%水溶液をオートクレーブ(12
0℃、3時間)にかけ、ついで粘度を測定した(B)。
結果を表4に示す。
カンパニー製、乾燥減量9重量%)10gを気体中また
は減圧(空気、160mmHg)中において115℃で
3時間加熱した。得られた高粘性キサンタンガムの0.
5重量%水溶液を作り、粘度を測定した。各キサンタン
ガムの水への分散は比較例1のキサンタンガムより「ま
まこ」ができにくく、分散性が改善されていた。結果を
表5に示す。
れた高粘性キサンタンガム、および実施例2で用いた原
料キサンタンガムと実施例2で得られた高粘性キサンタ
ンガムをそれぞれ60℃で真空乾燥して水分含量を10
重量%以下にした。200kg重/cm、15秒の加重
でペレット状の平滑な面を作り、X線回折測定を行っ
た。すなわち、Kα線(1.5418Aの波長)、36
kV、50mA、走査軸2θ:5〜40°で走査を行っ
た。図1に示すごとく、5°と40°の間にベースライ
ンを引き、ベースラインから7°(A)と20°(B)
付近のピークトップに線を引き、その比(7°のピーク
の高さ/20°のピークの高さ)を結晶指数とした。さ
らに、20°付近のピークの半値幅βを求めた。結果を
表6に示す。
キサンタンガムに比し数倍の粘度特性有する極めて優れ
た水溶性増粘剤であり、少ない添加量で従来品と同様の
効果をあげることができる。また、水分散性も改善さ
れ、作業性も良い。
トルを示す。
ルを示す。
Claims (7)
- 【請求項1】 キサンタンガム濃度として0.5重量%
の水溶液とした場合、4000〜25000mPa・s
(B型粘度計6rpm 25℃)の粘度を示す高粘性キ
サンタンガム。 - 【請求項2】 該水溶液をオートクレーブ内で120℃
で3時間加熱した場合に、粘度が加熱前より3000m
Pa・s(B型粘度計6rpm 25℃)以上低下する
請求項1記載の高粘性キサンタンガム。 - 【請求項3】 乾燥減量(常圧下、105℃、5時間加
熱)が50重量%以下のキサンタンガムを100〜14
0℃で30分以上加熱することを特徴とする高粘性キサ
ンタンガムの製造方法。 - 【請求項4】 加熱条件が105〜125℃で30分〜
6時間である請求項3記載の高粘性キサンタンガムの製
造方法。 - 【請求項5】 加熱を不活性ガス中で行う請求項3また
は4記載の高粘性キサンタンガムの製造方法。 - 【請求項6】 加熱を気体中減圧下で行う請求項3〜5
のいずれかに記載の高粘性キサンタンガムの製造方法。 - 【請求項7】 加熱を、キサンタンガムを溶解しない不
活性溶剤中にキサンタンガムを分散させた状態で、行う
請求項3または4記載の高粘性キサンタンガムの製造方
法。
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