JPH06233691A - バクテリアセルロースのキセロゲルの製法及びそれにより 製造された誘導体 - Google Patents

バクテリアセルロースのキセロゲルの製法及びそれにより 製造された誘導体

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JPH06233691A
JPH06233691A JP5043342A JP4334293A JPH06233691A JP H06233691 A JPH06233691 A JP H06233691A JP 5043342 A JP5043342 A JP 5043342A JP 4334293 A JP4334293 A JP 4334293A JP H06233691 A JPH06233691 A JP H06233691A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維の相互膠着が極めて少なく、溶媒に対す
る溶解性もしくは再分散性に富んだバクテリアセルロー
スのキセロゲルを得る。 【構成】 バクテリアセルロースのハイドロゲル又はそ
の離解物を、Fedors法による溶解度パラメーター
(δ)が14.5[cal/cm31/2 以下、好まし
くは11.5[cal/cm31/2 以下の有機溶媒で
置換処理したのち乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物の産出するセルロ
ースのキセロゲル及びその誘導体に関し、詳しくは繊維
の相互膠着が著しく低く、溶媒への溶解度もしくは再分
散性が飛躍的に向上した微生物の産出するセルロースの
キセロゲル及び、該セルロースのキセロゲルを原料と
し、均一な化学修飾が行われているバクテリアセルロー
ス誘導体の製法に関する。
【0002】
【従来の技術並びに解決しようとする課題】セルロース
は光合成によって得られる再生可能な機能性ポリマーと
して、或は機能性ポリマーの原材料として見直されてい
る。その一つがセルロース誘導体、或はコンポージット
化であり、新しい機能をセルロースに付与しようとする
ものである。又、微生物が菌体外にセルロースを産出す
ることも古くから知られていたが、係る微生物が産出す
るセルロース(以下バクテリアセルロースと称す)を利
用するものとしては、特開昭59−120159号記載
のアセトバクター属が産出するシート状のハイドロゲル
を医療用パットに利用するものが公知である。更に特開
昭62−36467号に記載の通り係るバクテリアセル
ロースが従来公知の各種植物由来のセルロースとは異な
り、該バクテリアセルロースを乾燥して得られるシート
の弾性率が極めて高く現在知られている2次元材料の中
では最も弾性率の高い材料の一つであることが明らかと
なって以来、従来の植物由来のセルロース又はセルロー
ス誘導体とは全く異なった材料を提供できる可能性が開
けるに至ったものの、それを実現するには諸々の問題が
あった。バクテリアセルロースがこの様な特異な力学的
性質を発現できる理由の一つにその特異な面配向性、即
ち層状に形成された網目構造を有することが考えられて
いる。この様なバクテリアセルロースは通常固形分1重
量%以下のハイドロゲルとして得られるが、係るハイド
ロゲルの離解物を種々の素材と混抄することで力学強度
の向上等を狙った方法が種々提案されている(例えば特
開昭63−295793号)。一方、係るバクテリアセ
ルロースの力学特性に注目してセルロースそのもの或は
セルロース誘導体として活用しようとする試みも幾つか
提案されている。例えば前記特開昭62−36467号
ではバクテリアセルロースのハイドロゲルを圧搾もしく
は圧延しつつ乾燥することによってシートを得る方法を
提案している。更にバクテリアセルロースのハイドロゲ
ル又はその離解物を洗浄、乾燥した後、ジメチルアセト
アミド/塩化リチウム系溶媒等に溶解し、溶解物を水又
はアルコール等のセルロースが不溶でセルロースの溶媒
が可溶な凝固液を用いて紡糸する方法も提案されてい
る。更に、特開平1−199604号には、バクテリア
セルロース膜を化学修飾することにより種々の濾過性を
もつ力学的強度の強い濾過膜を得る方法が提案されてい
る。該方法はバクテリアセルロースのハイドロゲルを1
%NaOH水溶液により除蛋白処理を行い、次いで中和、水
洗した後ガラス板上で風乾して得た膜を酢化又は硝化す
る方法である。特開平1−231599号にはバクテリ
アセルロースシート又は離解したものを更に不均一脂肪
酸エステル化する方法が開示されている。これらに例示
されている方法はいずれもバクテリアセルロースを一旦
乾燥固体、即ち一種のキセロゲルとなし溶解もしくは化
学修飾に供するものであるが、乾燥方法としては単にセ
ルロースが分解しない方法、例えば風乾などの一般的な
方法で乾燥させると記載されているに過ぎない。
【0003】しかしながら、特開昭62−36467号
中にバクテリアセルロースが表面に多数の水酸基を有す
る微細な繊維より成っているので乾燥中に繊維が相互膠
着することにより繊維の形態が失われることがあると明
記されている通り従来公知の方法で乾燥するだけでは完
全に繊維が相互膠着し通常の方法でセルロースの溶媒に
均一に溶解もしくは分散させることは事実上不可能であ
る。又、同号にはこの様な問題点を回避して繊維状の形
態を活かして使用したい時には、凍結乾燥法や臨界点乾
燥等の方法を用いたほうが好ましい旨が記載されている
が、係る方法を採用しても、繊維状の形態を維持しやす
くなるものの必ずしも完全でなく溶解溶媒もしくは反応
溶媒に対する再分散性に優れたものを得ることは極めて
困難であった。更に係るバクテリアセルロースのハイド
ロゲルはその固形分濃度が低いが故に輸送コストが大き
いこと以外にも保存安定性が悪いためにエタノール等の
防腐剤を添加する必要があり、保存や輸送においても問
題点を含むものであった。即ち、本発明の主たる目的
は、溶解もしくは化学修飾に適した繊維の相互膠着が極
めて少ないバクテリアセルロースの乾燥物、即ちバクテ
リアセルロースのキセロゲルを提供し、従来の植物由来
のセルロース又はセルロース誘導体とは全く異なった材
料への可能性を拓くことにある。
【0004】一方、従来公知の方法により得られるセル
ロース誘導体は必然的に不均一反応が助長された状態で
化学修飾されるが故に得られる誘導体も置換基分布が不
均一なものでしかなかった。置換基分布の均一性を特に
必要としない用途では係る誘導体でもそれなりの機能を
発現するものの、繊維が相互膠着している状態での反応
であり、反応性も必ずしも良好とは言い難い面があった
し、又置換基分布の均一性が要求される用途では、その
目的に合致したバクテリアセルロース誘導体を得ること
は困難であった。植物由来のセルロースは多価アルコー
ルであり、通常の脂肪族アルコールあるいは糖類のアル
コールの反応がそのまま適用でき、これまでに種々のセ
ルロース誘導体が合成され様々の機能材料として広く活
用されているのは周知の通りである。これまでに合成さ
れたセルロース誘導体は幾多となく報告されているが、
工業的に重要な誘導体はカルボキシルメチルセルロー
ス、シアノエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジ
ルセルロース等のセルロースエーテル類、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、ラク酸セルロース等の有
機酸エステル類、硝酸セルロース、硫酸セルロース、リ
ン酸セルロース、セルロースザントゲン酸塩等のセルロ
ース無機酸エステル類等がある。これらの反応はセルロ
ースが通常の溶媒には溶解しないため一般には固/液あ
るいは固/気の不均一系反応により行われるのが通常で
ある。従って植物由来のセルロース誘導体の場合も、置
換基分布の均一性によって製品品位が大きく影響を受け
ることは周知の通りである。本発明者らは係る置換基分
布の均一性を高める方法として先に第4級塩を添加する
方法を提案した(特許第1275109号)。一方近年
DMSOやDMFなどの非プロトン性極性溶媒に特定の
試薬を添加した非水溶媒あるいは溶融させた含水アミン
オキサイド類など有機系のセルロース溶媒が次々見いだ
され、均一系でのセルロースの化学修飾も可能となりつ
つある。尚、バクテリアセルロースも基本的には植物由
来のセルロースと同様に多価アルコールであり、原理的
には同様な反応により化学修飾が可能である。
【0005】しかしながら、これらの反応は大部分が反
応メカニズム上、多量の水の存在を嫌うものであるこ
と、或は多量の水の存在下では経済的に不利であること
は周知の通りである。一方バクテリアセルロースは通常
セルロース分1重量%以下のハイドロゲルとして産出さ
れることから、そのままでは通常の化学修飾は実質的に
不可能であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはバクテリア
セルロースに係る技術状況に鑑み、バクテリアセルロー
スのより一層の工業的利用価値を高めるには、繊維が相
互膠着せず完全な形で繊維形態を維持し、各種溶媒に対
する再分散性に優れたバクテリアセルロースのキセロゲ
ルの提案が必須であるとの結論に達し、鋭意検討した結
果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は繊維の
相互膠着が著しく低く、各種溶媒への溶解性又は再分散
性が飛躍的に向上したバクテリアセルロースのキセロゲ
ル並びにその製法に関するものである。更に、該キセロ
ゲルを従来公知の植物由来のセルロース誘導体合成法に
供することにより極めて容易に置換基分布のより均一な
バクテリアセルロース誘導体を得ることを見いだし本発
明を完成するに至ったものである。
【0007】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
バクテリアセルロースのキセロゲルの工業的に有利な製
法について、本発明者らは鋭意検討した結果、バクテリ
アセルロースのハイドロゲルをFedorsの方法(R.
F.Fedors;Polym.Eng.Sci.,14,147(1974))による25℃
での溶解度パラメーター(δ)が14.5[cal/c
31/2 以下、好ましくは11.5[cal/cm
31/2 以下の有機溶媒で置換処理したのち乾燥するこ
とによって容易に得られることを見いだし本発明を完成
するに至った。これが本発明の第一の要点である。
【0008】係る置換処理に用いる有機溶媒としては、
メタノール(δ=14.5[cal/cm31/2 )、
エタノール(δ=12.7[cal/cm31/2 )、
イソプロピルアルコール(δ=11.5[cal/cm
31/2 )、ジメチルアセトアミド(δ=10.8[c
al/cm31/2 )、酢酸エチル(δ=10.9[c
al/cm31/2 )、酢酸(δ=10.1[cal/
cm31/2 )、ベンゼン(δ=9.2[cal/cm
31/2 )、トルエン(δ=9.1[cal/cm3
1/2 )、シクロペンタン(δ=8.7[cal/cm
31/2 )、ジエチルエーテル(δ=7.4[cal/
cm31/2 )、ヘキサン(δ=7.3[cal/cm
31/2 )等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。又、2種以上の混合溶媒の場合には、特別な
分子間力(一次結合や錯体形成)がない場合、混合溶媒
の溶解度パラメーターには、各構成成分の体積分率に応
じた加成性が成り立つことから、上記条件を満たす範囲
であれば必要に応じ適宜混合溶媒を用いても良い。又、
一般に低δ値の有機溶媒で処理した場合の方が、溶媒へ
の再分散性に富むバクテリアセルロースのキセロゲルが
得やすいが、低δ値の有機溶媒程、疎水性となるため充
分な置換効果が得られない場合がある。この様な場合に
はメタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン等の両親媒性溶媒を少なくと
も一種を含む混合溶媒で処理するか、両親媒性溶媒で処
理した後、疎水性の有機溶媒で処理することによって容
易に目的を達成することが出来る。置換処理に際して
は、厚膜状もしくはフロック状のバクテリアセルロース
のハイドロゲルをそのまま用いても良いが、溶媒置換に
用いる有機溶媒種、置換処理方法、更には得られたキセ
ロゲルの再分散法などにもよるが、より再分散性が容易
なキセロゲルを得るためには、ハイドロゲルを一旦離解
した後溶媒置換処理に供することがより好ましい。尚、
ハイドロゲルの離解方法は従来公知の方法、即ち機械的
離解法で充分であるし、機械的方法に超音波方式を併用
しても良い。又、溶媒置換処理は室温で充分であるが、
置換効果を高める目的でその系の脱水和温度以上ないし
沸点以下で加熱処理してもよい。置換処理後は室温又は
必要に応じ加熱下に固液分離した後乾燥に供する。乾燥
方法は、セルロースが熱分解を生じない温度範囲であれ
ば凍結乾燥法等の特別な乾燥方法を必要とせず、乾燥法
は特に問わない。例えば、棚式熱風乾燥法、スプレー乾
燥法、流動層乾燥法、真空乾燥法等、通常工業的に利用
されているもので充分である。もちろん凍結乾燥等他の
乾燥法を用いることもできる。尚、本発明で用いられる
バクテリアセルロースはセルロース及びセルロースを主
鎖としたヘテロ多糖を含むもの及びβ−1,3、β−
1,2等のグルカンを含むものである。ヘテロ多糖の場
合のセルロース以外の構成成分は、マンノース、フラク
トース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、ラ
ムノース、グルクロン酸等の六炭糖、五炭糖及び有機酸
である。尚、これらの多糖が単一物質である場合もある
し、2種以上の多糖が水素結合等により混在していても
良い。バクテリアセルロースは上記のようなものであれ
ば如何なるものであっても使用可能である。この様なセ
ルロースを産出する微生物は特に限定されないが、アセ
トバクター属、リゾビウム属、アグロバクテリウム属、
シュードモナス属、アルカリゲネス属、サルチナ属、ア
クロモバクター属、アエロバクター属、アゾトバクター
属に属する菌株もしくはこれらの菌株から誘導された変
異株でバクテリアセルロースを産出するものを利用する
ことが出来る。これらの微生物を培養してバクテリアセ
ルロースを得る方法は従来公知の一般的な方法に従えば
良い。即ち、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に
応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有す
る通常の栄養培地に微生物を接種し、静置又はゆるやか
に通気攪拌を行う。この様な方法によって得られる微生
物の産出するバクテリアセルロースは通常セルロース分
1重量%以下の厚膜状又はフロック状のハイドロゲルと
して得られる。係るバクテリアセルロースのハイドロゲ
ルを本発明に供する際は、そのままの状態又は適当な方
法で離解して本発明に供しても良い。又、目的によって
は従来公知の方法、例えば0.1〜5.0重量%のNaOH
水溶液等で除蛋白等の精製処理した後、本発明に供して
も良い。
【0009】更にこれを従来公知の植物由来の各種セル
ロース誘導体の製法に供するだけで他に特別な条件を必
要とせず従来技術では到底得ることが出来なかった高品
位のバクテリアセルロース誘導体を得ることを見いだし
た。この様な高品位のバクテリアセルロース誘導体を有
利に得るには前述の特性を有するバクテリアセルロース
のキセロゲルを用いることが重要である。係るバクテリ
アセルロースのキセロゲルを従来公知の化学反応に供す
ることで容易に目的を達することができる。以下具体的
な各種セルロース誘導体製造において本発明の幾つかの
利点につき簡単に説明する。
【0010】セルロース有機酸エステル類のうちで重要
なのは一価脂肪酸エステル類であるが、一般にセルロー
ス乾燥物と酸無水物、酸塩化物を触媒の存在下で反応さ
せる。例えば酢酸セルロースの合成例を挙げれば、セル
ロースに反応試薬として無水酢酸、触媒として硫酸、反
応希釈剤として酢酸を用い、固/液不均一系での酢化反
応を行う。従って、係る反応系に対する分散性の優れた
バクテリアセルロースのキセロゲルを反応に供すること
により高品位のバクテリアセルロースの酢酸エステルを
容易に得ることが出来る。セルロース無機酸エステル類
においての例としては、例えば硝酸エステル、ザントゲ
ン酸エステルがある。硝酸エステルは一般に硝酸/硫酸
の混酸などの混酸を反応試薬として用いた固/液不均一
系反応によって得られる。従って係る反応系に対する分
散性の優れたバクテリアセルロースのキセロゲルを反応
に供することにより高品位のバクテリアセルロースの硝
酸エステルを容易に得ることが出来る。又、セルロース
ザントゲン酸エステルはビスコース産業の基底を成す重
要な物質であり、一般にはセルロースを苛性ソーダで処
理した後、セルロースの2.6〜3.0倍の重量になる
ように圧搾して得られるアルカリセルロースに二硫化炭
素を反応試薬として用い、固/液又は固/気不均一系反
応によって得られる。又、この反応系では二硫化炭素は
共存する水、苛性ソーダとも好ましくない副反応を行
う。従って高品位のセルロースザントゲン酸エステルを
有利に得るには膠着性の少ない再分散性の良好なるセル
ロースのキセロゲルを用いることが必須であるが、本発
明によって容易に目的を達することが出来る。
【0011】又、セルロースエーテル類の製法としては
種々の方法が行われているが、その内で主要なものを以
下に挙げる。1)ハロゲン化アルキルによるエーテル
化、2)ジアルキル硫酸によるエーテル化、3)α−ハ
ロゲン酸によるエーテル化、4)アルキレンアキシドに
よるエーテル化、5)陰性基で活性化されたビニル化合
物によるエーテル化、6)アルデヒドによるアセタール
化等がある。これらの反応は6)を除いて一般にアルカ
リ性媒体中で行われる固/液又は固/液/気の不均一系
反応である。エーテル化に際してはアルカリと水の量及
び比率が大きく影響する。セルロースに対するアルカリ
と水の最適比率はエーテル化剤の種類及び希望する性質
によって異なるが、生成したセルロースエーテルの性質
はその置換度、重合度のみによって決まるのではなく、
反応の条件、即ちアルカリ対水の比率、反応温度、攪拌
の程度、相間移動触媒の有無等によっても大きく変わる
ことが知られている。一般的に言うと他の条件が同じで
あれば高アルカリ濃度で充分な分散状態となるような反
応条件となすことによってセルロースエーテルの反応の
均一性が良くなり高品位にものが得られる。又、セルロ
ースのエーテル化剤は、セルロースと反応するだけでな
く、アルカリの共存下で水と反応しエーテル化剤を消費
することも公知であり、ある程度の水はセルロースの膨
潤剤として必要であるが、必要以上の水は反応効率の面
で決して好ましくない。以上の様なセルロースのエーテ
ル化反応の特徴に鑑みると、バクテリアセルロースのハ
イドロゲル又はその離解物をそのまま又は濾別等の固液
分離手段を用いて反応に供することは、高品位のセルロ
ース誘導体を経済的に得るという目的に合致するもので
はないことは明かである。一方、係る共存する水の問題
を解決するにはバクテリアセルロースのキセロゲルを反
応に供することが有利であることは指摘するまでもない
が、従来公知のキセロゲルは繊維の相互膠着が著しいも
のであり、反応系での充分な分散性を得ることが出来な
い。即ち、本発明の方法によって初めて高品位なバクテ
リアセルロースエーテル類を有利に得ることが出来るこ
とになり、その工業的意義は極めて高いものである。以
上が本発明の第二の要点である。
【0012】本発明でいうセルロース誘導体は特に限定
されないが、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロー
ス、ラク酸セルロース等の有機エステル類、硝酸セルロ
ース、硫酸セルロース、リン酸セルロース、等の無機酸
エステル類、メチルセルロース、エチルセルロース、ベ
ンジルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、シアノエチルセルロース等
のセルロースエーテル類、酢酸プロピオン酸セルロー
ス、酢酸フタル酸セルロース等の混合エステル類、メチ
ルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒ
ドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセ
ルロース等の混合エーテル類等が挙げられる。又、セル
ロースにフリーラジカル部を導入し、その活性点から各
種ビニルモノマー或はアクリルモノマー等の不飽和化合
物をグラフト重合させることができるが、この場合も均
一な活性点を得るにはバクテリアセルロースキセロゲル
の分散性が良好なることが必要であり、本発明の方法に
より従来公知の反応方法、条件で容易に目的とするセル
ロースグラフト化物を得ることが出来る。尚、本発明で
いうバクテリアセルロースのキセロゲルは各種溶媒に対
する分散性が良いだけでなく、従来公知のセルロースの
良溶媒、例えば酸化銅アンモニア溶液、DMSOやDM
F等の非プロトン性極性溶媒に特定の試薬を添加した非
水溶媒あるいは溶融させた含水アミンオキサイド類等有
機系のセルロース溶媒に対する溶解性にも優れるという
特性を有しており、係る均一溶液系からの再生セルロー
スの調整或は化学修飾にも有効であることは指摘するま
でもない。
【0013】
【実施例】次に実施例によって本発明をより具体的に説
明するが、本発明はその主旨を超えない限りこれらに限
定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例に
おいて用いる部及び%は特に限定しない限り重量部及び
重量%を示す。 (実施例1)味の素(株)製のバクテリアセルロースの
厚膜状ハイドロゲル(セルロース分0.7%、膜厚23
mm)100部に水100部を加え、エキセルオートホ
モジナイザーDX−10型(日本精機製作所製)を用い
12000rpmで10分間離解した。得られた離解物
を吸引濾過し、セルロース分38%のマット状ゲルを得
た。これをイソプロピルアルコール(δ=11.5)2
0部で洗浄した後、イソプロピルアルコール100部に
再分散させ、吸引濾過することによって、イソプロピル
アルコール置換処理を行った。得られたオルガノゲルを
熱風乾燥(100℃)し、バクテリアセルロースのキセ
ロゲルを得た。このものの水及びエタノールへの再分散
性テスト、酸化銅アンモニア溶液への溶解テストを行っ
た。結果を表1に示す。尚、以後の実施例及び比較例に
ついても同様の評価を行った。その結果も併せて表1に
まとめ示す。 (実施例2)イソプロピルアルコールの代わりにアセト
ン(δ=9.9)を用いた以外は実施例1と同様に処理
してバクテリアセルロースのキセロゲルを得た。 (実施例3)イソプロピルアルコールの代わりにトルエ
ン(δ=8.9)を用いた以外は実施例1と同様に処理
してバクテリアセルロースのキセロゲルを得た。但し、
トルエンは疎水性溶媒であるので、実施例1の洗浄工程
で両親媒性溶媒としてエタノール(δ=12.7)を2
0部使用した。 (実施例4)イソプロピルアルコールの代わりにトルエ
ン(δ=8.9)/イソプロピルアルコール(δ=1
1.5)=1/1(容積比)の混合溶媒(δ=10.
2)を用いた以外は実施例1と同様に処理してバクテリ
アセルロースのキセロゲルを得た。 (実施例5)実施例1で用いたものと同様のハイドロゲ
ル100部を圧搾により厚み10mmにした後、イソプ
ロピルアルコール200部に浸漬し厚み20mmまで戻
した。この操作を合計3回繰り返すことにより溶媒置換
処理した後、実施例1と同様に乾燥してバクテリアセル
ロースのキセロゲルを得た。 (実施例6)実施例3において、トルエンの代わりにベ
ンゼン(δ=9.2)を用い、凍結浴(−50℃)で凍
結乾燥した以外は実施例3と同様に処理してバクテリア
セルロースのキセロゲルを得た。 (実施例7)実施例1において、セルロース分38%の
マット状ゲル100部に20部のイソプロピルアルコー
ルを加え、攪拌下に90℃のバス中に置き10分間加熱
処理した後、吸引濾過した。更にイソプロピルアルコー
ル20部で洗浄し吸引濾過した後、熱風乾燥(100
℃)し、バクテリアセルロースのキセロゲルを得た。 (比較例1)イソプロピルアルコールの代わりに水(δ
=23.4)を用いた以外は実施例1と同様に処理して
バクテリアセルロースのキセロゲルを得た。 (実施例8)イソプロピルアルコールの代わりにメタノ
ール(δ=14.5)を用いた以外は実施例1と同様に
処理してバクテリアセルロースのキセロゲルを得た。 (実施例9)イソプロピルアルコールの代わりにエタノ
ール(δ=12.7)を用いた以外は実施例1と同様に
処理してバクテリアセルロースのキセロゲルを得た。 (比較例2)比較例1において、熱風乾燥の代わりに凍
結浴(−50℃)で凍結乾燥した以外は実施例1と同様
に処理してバクテリアセルロースのキセロゲルを得た。 (比較例3)比較例2において、バクテリアセルロース
のハイドロゲルの離解物の代わりに厚膜状のハイドロゲ
ルを用いた以外は比較例2と同様に処理してバクテリア
セルロースのキセロゲルを得た。 (比較例4)実施例7において、イソプロピルアルコー
ルの代わりに全て水を用い、洗浄を沸騰水を用いた以外
は全て実施例7と同様に処理してバクテリアセルロース
のキセロゲルを得た。
【0014】
【表1】
【0015】(キセロゲルの分析)実施例1と比較例1
のキセロゲルを固体NMRによって各キセロゲル中の水
素結合の定量及び結晶構造の推定を行った。測定条件及
び解析結果を以下に示す。 [測定条件] 装置 : Bruker MSL−300 測定方法 : 13C−CP/MAS法 共鳴周波数 : 75.4MHz1 H 90゜パルス幅 : 5μs 繰り返し時間 : 5s 積算回数 : 5000〜10000回 コンタクトタイム : 2ms [解析結果] 1)水素結合の定量 図1及び図2に示したスペクトルより定法によって水素
結合率(Hb)を求めた。結果は以下の通りで、実施例
1のキセロゲルの水素結合率は比較例1に比較して、よ
り低くなっていることが分かる。 実施例1 : Hb=63.2% 比較例1 : Hb=65.3% 2)結晶構造の推定 天然セルロースの結晶は木綿−ラミー型(セルロース1
a)とバクテリア−バロニア型(セルロース1b)に大
別される。そこで、堀井らの方法(堀井ら,Polymer pr
eprints,Japan Vol.38,No.10(1989))に従ってNMR
スペクトルのC1共鳴線のLine−Shape解析に
よって、各キセロゲルのセルロース1a型の含有率(1
a )を求めた。その結果は以下の通りで、実施例1のキ
セロゲルの1a は、比較例1に比較して少なくなってい
ることが分かる。参考の為Line−Shape解析図
を図3及び図4に示す。つまり、本発明の方法によっ
て、バクテリアセルロースの構造を、より木綿−ラミー
型へ近づけることが可能となる。以上のことは、本発明
の方法によって繊維の相互膠着が低く溶剤への溶解性も
しくは再分散性が飛躍的に向上したバクテリアセルロー
スのキセロゲルが得られることを示しているものと理解
できる。
【0016】
【図1】
【0017】
【図2】
【0018】
【図3】
【0019】
【図4】
【0020】(実施例10)実施例1で得たバクテリア
セルロースのキセロゲル10部に、硫酸1.0容量部を
含む酢酸200容量部を加え攪拌器によってかき混ぜ、
均一な分散液を得た。続いて無水酢酸50容量部を加
え、液温が25℃以上にならない様に冷却しながら24
時間反応させ均一な反応液を得た。この反応液に50%
酢酸水溶液60部を徐々に加え、湯浴中で80℃にて3
時間反応させた後、大量の水中に投じ、反応生成物を沈
澱させた。充分に水洗した後固液分離し、105℃で熱
風乾燥し酢酸セルロースを得た。このものの酢化度は4
8.8%であり、アセトンに対し均一に溶解した。この
アセトン溶液の溶液特性並びにアセトン溶液からキャス
ト法によって得られた酢酸セルロースフィルムの特性を
表2に示す。 (実施例11)実施例2で得られたバクテリアセルロー
スのキセロゲルを用いた以外は全て実施例10と同様に
処理し、酢化度49.0%で、アセトンに対する溶解性
良好なる酢酸セルロースを得た。このもののアセトン溶
液特性並びにアセトン溶液からキャスト法によって得ら
れた酢酸セルロースフィルムの特性を表2に示す。 (実施例12)実施例3で得られたバクテリアセルロー
スのキセロゲルを用いた以外は全て実施例10と同様に
処理し、酢化度49.1%で、アセトンに対する溶解性
良好なる酢酸セルロースを得た。このもののアセトン溶
液特性並びにアセトン溶液からキャスト法によって得ら
れた酢酸セルロースフィルムの特性を表2に示す。 (比較例5)比較例1で得られたバクテリアセルロース
のキセロゲルを用いた以外は全て実施例10と同様に反
応させたが、24時間後も、尚相当が未反応物として残
留したので、更に24時間反応時間を延長したが若干未
反応のゲル状物を残していた。このゲル状物を濾別し、
実施例10に準じて処理を行い、酢化度48.0%の酢
酸セルロースを得た。このものはアセトンには溶解する
ものの透明性の極めて劣るものであった。このもののア
セトン溶液特性並びにアセトン溶液からキャスト法によ
って得られた酢酸セルロースフィルムの特性を表2に示
す。 (参考例1)バクテリアセルロースのキセロゲルの代わ
りに、植物由来のセルロースの乾燥物(東洋濾紙)を用
いた以外は実施例10と同様に処理して酢化度49.0
%でアセトンに対する溶解性良好なる酢酸セルロースを
得た。このもののアセトン溶液特性並びにアセトン溶液
からキャスト法によって得られた酢酸セルロースフィル
ムの特性を表2に示す。 (実施例13)実施例2で得たバクテリアセルロースの
キセロゲル15部とイソプロピルアルコール320部を
攪拌器、還流冷却器、滴下ろう斗及び窒素導入管を備し
た反応器に仕込み、窒素を流しつつ激しく攪拌しながら
30%NaOH水溶液50部を10分間で滴下した。更に3
0分間攪拌し、次いでモノクロル酢酸17.5部をイソ
プロピルアルコール40部からなる液をかき混ぜながら
30分間で滴下した。引続き60℃で4時間反応させた
後、氷酢酸で中和し熱時濾過した。得られた繊維状の生
成物を含水メタノール(80%)320部中に60℃で
分散させた後濾別した。更に同様の含水メタノールで生
成物に塩化ナトリウムを含まなくなるまで洗浄した後、
最後にメタノールで洗浄し80℃で熱風乾燥してナトリ
ウムカルボキシメチルセルロースを得た。このもののカ
ルボキシメチル基の置換度は0.42であり、水に対し
て均一に溶解した。このものの溶液特性を表2に示す。 (比較例6)比較例1で得られたバクテリアセルロース
のキセロゲルを用いた以外は全て実施例13と同様に処
理してナトリウムカルボキシメチルセルロースを得た。
このものは繊維状ではなく互いに膠着した状態であり、
カルボキシメチル基の置換度は0.28であり、水に対
して溶解させたが、かなりの未溶解ゲルを含むものであ
った。 (実施例14)実施例3で得られたバクテリアセルロー
スのキセロゲル90部を48%NaOH水溶液54.5部及
び粒状NaOH107.5部と共に粉砕型ニーダーに仕込み
室温で2時間マーセル化した。このマーセル化バクテリ
アセルロース、トルエン400部及びテトラエチルアン
モニウムクロライド7.4部をオートクレープ中に入れ
激しく攪拌しつつ、エチルクロライド242部を減圧下
に加えた。その後104〜114℃で8時間反応させ
た。冷後12N硫酸で反応混合物のpHを約6に調整し
た後、大部分の溶媒を蒸留回収し、更に水洗、乾燥して
エチルセルロースを得た。このもののエトキシル基の置
換度は2.40であり、アセトンに均一に溶解した。こ
のものの溶液特性並びにアセトン溶液からキャスト法に
より得られたフィルム特性を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】(比較例7)比較例1で得られたバクテリ
アセルロースのキセロゲルを用いた以外は全て実施例1
4と同様に処理してエチルセルロースを得た。このもの
のエトキシル基の置換度は1.85であり、アセトンに
対して溶解させたが、かなりの未溶解ゲルを含むもので
あった。 (実施例15)実施例2で得られたバクテリアセルロー
スのキセロゲル10部を18%NaOH水溶液200部と共
に粉砕型ニーダーに仕込み室温で1時間攪拌した後、圧
搾してアルカリセルロース27部を得た。次にアルカリ
セルロース27部と二硫化炭素4部とを同様の粉砕型ニ
ーダーに仕込み25〜28℃で1時間反応させてセルロ
ースザントゲン酸ソーダとした。過剰の二硫化炭素をパ
ージした後、セルロース分が8%となる様に所定量の純
水を加え、18℃以下で1時間攪拌してビスコースを得
た。このものは、γ価=48、化繊法によるKW=20
00の高品位のビスコースであった。 (比較例8)比較例1で得られたバクテリアセルロース
のキセロゲルを用いた以外は全て実施例15と同様に処
理してセルロース分が8%のビスコースを得た。このも
のは、γ価=39、化繊法によるKW=12000の低
置換度且つ溶解性に乏しいビスコースでしかなかった。 (実施例16)実施例3で得たバクテリアセルロースの
キセロゲル90部を48%NaOH水溶液270部と共に粉
砕型ニーダーに仕込み室温で2時間マーセル化した。こ
のマーセル化バクテリアセルロース、トルエン400
部、ベンジルクロライド365部及びテトラエチルアン
モニウムクロライド7.4部を還流冷却器付き反応器に
仕込み、90〜110℃で8時間反応させた。冷後12
N硫酸で反応混合物のpHを約6に調整した後、大部分
の溶媒を蒸留回収し、更に水洗及びメタノール洗浄後、
乾燥してベンジルセルロースを得た。このもののベンジ
ル基の置換度は2.0であり、トルエンに完全に溶解し
不溶物はなかった。 (比較例9)比較例1で得られたバクテリアセルロース
のキセロゲルを用いた以外は全て実施例16と同様に処
理してベンジルセルロースを得た。このもののベンジル
基の置換度は1.76であり、トルエンに完全には溶解
せず多量の未溶解ゲルを含むものであった。 (実施例17)実施例2で得たバクテリアセルロースの
キセロゲル10部を、攪拌器及び冷却管を備えた三つ口
フラスコに入れ、これに30%NaOH水溶液1.6部及び
アクリロニトリル100部を入れ激しく攪拌しながら、
60℃で3時間反応させた。反応液は、放冷し酢酸で中
和した後、大量の純水に注ぎ沈澱させた。更にこの沈澱
物をアセトン溶解、水沈澱を3回繰り返して生成物を精
製し、60℃にて乾燥させ、シアノエチルセルロースを
得た。得られたシアノエチルセルロースはDS=2.8
であった。 (実施例18)実施例2で得たバクテリアセルロースの
キセロゲル100部を硝酸1000部、硫酸2600部
及び水400部からなる硝化浴に入れ、20℃で10時
間攪拌しながら反応させた。生成物を吸引濾過にて硝化
液と分離し、大量の水でよく洗浄した後、安定化処理と
して熱水で煮洗した。煮洗した生成物を大量のエタノー
ルで脱水、洗浄し、室温で乾燥させ、ニトロセルロース
を得た。得られたニトロセルロースは、N含量が12.
05%(DS=2.28)であった。 (実施例19)実施例2で得たバクテリアセルロースの
キセロゲル13部とアクリルアミド50部を水1000
部に入れ攪拌し、これに1N硝酸で調整した0.1mo
l/lの硝酸セリウムアンモニウム25部を加え、窒素
雰囲気下20℃で1時間重合させた。反応液を過剰のア
セトンに注ぎ、アクリルアミドがグラフト重合されたセ
ルロースを得た。得られたグラフト重合物のアクリルア
ミド重合率は93%であった。
【0023】
【発明の効果】表1に示しすように、本発明を実施する
ことにより、溶媒への溶解性及び再分散性に優れたバク
テリアセルロースのキセロゲルを容易に得ることが可能
であり、係るバクテリアセルロースのキセロゲルは従来
技術では到底得ることが出来ないものであることは明ら
かである。又、本発明で得られるバクテリアセルロース
はキセロゲル、即ち乾燥品であることから、培養によっ
て得られるハイドロゲルと異なり、防腐剤を添加せずと
も保存安定性が良好であることは指摘するまでもない。
本発明によれば、繊維の相互膠着が極めて少ないバクテ
リアセルロースのキセロゲル、即ち溶媒に対する溶解性
もしくは再分散性に富んだ乾燥物を容易にえることが出
来る。これによって、従来困難であったバクテリアセル
ロースの均一溶液もしくは各種溶媒に対する均一分散液
を容易に得ることが出来るだけでなく、従来問題であっ
た保存安定性等も実質的に問題ないものと成すことが出
来る。又、表2に示しすように、本発明で得られるキセ
ロゲルを各種化学修飾に用いた場合、膠着度の低いキセ
ロゲルを原料にすることが可能なために、置換基分布が
均一なものを得ることができる。その結果、例えば酢酸
セルロースの場合、各種溶媒への溶解性向上がはかれ
る、或は力学的強度に優れた成型品を容易に得ることが
出来る等の実用上極めて優れたセルロース誘導体を得る
ことが出来る。本発明のセルロース誘導体は、例えば酢
酸セルロースの場合、繊維、フィルム等の各種成型材
料、たばこ用フィルター、濾過膜、吸音材等の建材、塗
料等の多岐にわたり利用することが出来る。即ち、本発
明を実施することによって、従来技術では困難であった
各種の化学修飾等も容易に実施できるバクテリアセルロ
ースを提供できることになり、その産業上の価値は極め
て大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1より得られたキセロゲルのNMRスペ
クトルを示す。
【図2】比較例1より得られたキセロゲルのNMRスペ
クトルを示す。
【図3】実施例1より得られたキセロゲルのLine−
Shape解析図を示す。
【図4】比較例1より得られたキセロゲルのLine−
Shape解析図を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物の産出するセルロース性物質のハ
    イドロゲル又はその離解物を、Fedors法による2
    5℃での溶解度パラメーター(δ)が14.5[cal
    /cm31/2 以下、好ましくは11.5[cal/c
    31/2 以下の有機溶媒で置換処理したのち乾燥する
    ことを特徴とするキセロゲルの製法。
  2. 【請求項2】 微生物の産出するセルロース性物質のハ
    イドロゲル又はその離解物を、Fedors法による2
    5℃での溶解度パラメーター(δ)が14.5[cal
    /cm31/2 以下、好ましくは11.5[cal/c
    31/2 以下の有機溶媒で置換処理したのち乾燥した
    キセロゲルを使用することを特徴とするバクテリアセル
    ロース誘導体。
  3. 【請求項3】 セルロース誘導体が、セルロースエーテ
    ル類、セルロースエステル類又はセルロースグラフト類
    であることを特徴とする請求項2のバクテリアセルロー
    ス誘導体。
  4. 【請求項4】 微生物の産出するセルロース性物質が、
    アセトバクター属、リゾビウム属、アグロバクテリウム
    属、シュードモナス属、アルカリゲネス属、サルチナ
    属、アクロモバクター属、アエロバクター属、アゾトバ
    クター属に属する菌株もしくはこれらの菌株から誘導さ
    れた変異株によって産出されたものであることを特徴と
    する請求項1、2又は3のバクテリアセルロースのキセ
    ロゲル及びその誘導体。
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