JP4932091B2 - アイスクリーム用添加剤およびそれを含むアイスクリーム類製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は食品用のセルロース複合体に関する。さらに詳しくは、アイスクリーム類製品の食感等の改善剤として有用な添加剤、および、それを含むアイスクリーム類製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
アイスクリーム類には、滑らかな組織やボディ感の付与を目的として、種々の添加剤が使用される。そのほとんどはグアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン等の親水性の多糖類である。しかしこれらの添加剤は口溶けが悪く、いわゆる糊状感が出やすい。
【0003】
また、サッパリした食感と耐ヒートショック性(保存中の温度の上がり下がりによる氷結晶の成長を抑制する機能)を付与する目的で、結晶セルロースがアイスクリーム類に配合された例(特開昭54−54169号公報、特開昭54−55762号公報、特開昭54−157875号公報)もある。これらの技術は従来使用されていた添加剤(親水性多糖類)の一部あるいは全部を発明の結晶セルロース複合体に置き換えることにより、他の性能を損なうことなく、サッパリ感や耐ヒートショク性を付与するというものであった。しかしながらその機能は必ずしも充分ではなかった。すなわち、カラギーナンやキサンタンガムを配合した複合体の場合は、親水性多糖類を置換すると相対的にサッパリとした食感になるが、置換することなく追加すると、やはり食感は重くなっていった。また、グアーガムやローカストビーンガムを配合した場合は、家庭用ミキサーで3分間予備分散後、24.52MPa(250kg/cm2)の圧力で1パス分散処理することによって安定な懸濁液を形成するが、高圧ホモジナイザー処理の際には閉塞の傾向があり、アイスクリーム製造の実用上は問題があった。
【0004】
特表平4−502409号公報には、微結晶セルロースとガラクトマンナンガムからなる凝集体がアイスクリームの非栄養性脂肪様増量剤として有効であることが開示されている。この物質は水中で実質上崩壊せず、乾燥粉末粒子の形状、すなわち球状を維持するという特徴が発明の本質である。キサンタンガムやマルトデキストリンの配合についても開示があるが、微結晶セルロースとガラクトマンナンガムからなる凝集体の表面を修飾することを目的として、表面に吸着させているのであり、凝集体はやはり水中で実質的に崩壊しないことにかわりはない。しかしながら、一方では、公報には高エネルギー剪断条件下で分散し、非常に細かい繊維質物質に変換して使用する記載もある。この場合、ガム(グアーガム)の含量は約15〜40%である事が必要であり、ガム含量が約1〜15%の場合には球状粒子は本質的にそれらの原形を保ち、すなわち、それらはより高度に剪断抵抗性であると記載されている。「高度な剪断抵抗性」とは41.37MPa(422kg/cm2)の圧力での高圧ホモジナイザー処理においてもサイズリダクションしないことを意味する。グアーガムは冷水可溶性であり、一方、ローカストビーンガムは冷水膨潤・温水可溶型なので、ローカストビーンガムはより一層の剪断抵抗性を有する。ガム含量が高い場合は、球状粒子もしくは繊維質物質のいずれの状態で使用しても、アイスクリーム製品に配合すると糊状感が出る。ガム含量が低ければ(20%以下)粒子が細かく分散しないので、ボディ感が減少し、耐ヒートショック性が劣る。また、乾燥粉末粒子のサイズが大きい場合には、予備分散処理では粒子のサイズリダクションが起こらず、そのため通常のアイスクリーム類の製造において使用されるピストン型の高圧ホモジナイザーでは、アイスクリーム原料液を、圧力の変動なしに安定的に均質化することが困難であり、場合によっては閉塞が生じることがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ボディ感があるにも関わらず、口溶けが良く、経時安定性に優れるアイスクリーム類製品を提供すること、およびそのアイスクリーム類製品を、特殊な装置や工程をとることなく製造することができるアイスクリーム用添加剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水分散性の微細セルロース含有複合体を使用することで、課題を解決し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、以下の通りである。
【0007】
(1)微細セルロース70〜75wt%と、ローカストビーンガム3〜5wt%と、キサンタンガム1〜3wt%と、親水性物質18〜26wt%を含む微細セルロース含有複合体であって、温水に分散させたときに生じる粒子の平均粒径が60μm以下、100μm以上の粒子が30体積%以下であり、かつ、コロイド分画が30%以下であることを特徴とするアイスクリーム用添加剤。
【0008】
(2)温水に分散させたときに生じる粒子の平均粒径が40μm以下、100μm以上の粒子が25体積%以下であることを特徴とする前記(1)記載のアイスクリーム用添加剤。
【0009】
(3)温水に分散させたときに生じる粒子の平均粒径が25μm以下、100μm以上の粒子が15体積%以下であることを特徴とする前記(1)または(2)記載のアイスクリーム用添加剤。
【0010】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のアイスクリーム用添加剤を配合してなることを特徴とするアイスクリーム類製品。
【0011】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の微細セルロース含有複合体とは、単に微細セルロースの粉末とローカストビーンガム粉末とキサンタンガム粉末を混合したものではなく、粒子1個の中に1個以上の微細セルロース粒子と他の成分を含有し、かつ、微細セルロース粒子の周囲にそれらの成分が存在しているという構造を有する粒子、およびその粒子の群からなる乾燥粉末のことを意味する。
【0012】
本発明の微細セルロース含有複合体は、水中で撹拌すると、複合体の形態のまま水中に分散するのでなく、複合体は微細セルロース粒子を主体とした微粒子に崩壊するのが特徴である。その崩壊して生じる微細セルロース粒子は、サブミクロンの粒子(長さ100〜300nm、幅20〜60nm程度の棒状粒子)と、長さ約1μm以上の粒子からなる。特開昭54−54169号公報、特開昭54−55762号公報、特開昭54−157875号公報に開示されているような既存の結晶セルロース複合体もまた、後述の強分散条件(1%水懸濁液を25℃で、エースホモジナイザー15000rpmで5分間)で攪拌すると同様の微細セルロース粒子が生じるが、サブミクロンの粒子の多くは単独で存在し、自分自身および他の固体粒子成分の懸濁安定化に寄与する。ところが本発明の微細セルロース含有複合体から生じるサブミクロンの粒子は単独で存在することが少なく、数十以上の粒子が疎に凝集した構造をとる。おそらくこれは微細セルロース粒子がローカストビーンガムによって架橋されているためと推定する。
【0013】
このような懸濁安定性に寄与する粒子成分は、遠心分離してもなかなか沈降しないようなコロイダルな性質を有することから、コロイド分画と呼ばれる。既存の結晶セルロース複合体のコロイド分画は30%を越えるが、本発明の微細セルロース含有複合体のコロイド分画は30%以下である。好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。コロイド分画が多い方が水中での懸濁安定性は優れるが、いずれの範囲においてもアイスクリームミックス中では実用上問題ない程度に懸濁安定する。コロイド分画が30%を越えると、粘度が高くなり糊状感につながる。コロイド分画の測定条件については後述する。
【0014】
本発明の微細セルロース含有複合体を、アイスクリーム類製品を製造する際に実施される均質化と同程度に崩壊させたときのコロイド分画は30%以下である必要があることを説明したが、この時のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定したときの平均粒径は、おおよそ20μm以下であることが好ましい。より好ましくは平均粒径が15μm以下であり、さらに好ましくは平均粒径が10μm以下である。
【0015】
本発明の微細セルロース含有複合体の水中での崩壊に関する性質にはもう一つ特徴がある。それは、アイスクリーム類製品を製造する際にミックスを調製する程度の攪拌条件、すなわち温水中で、対流型の分散機を使用して攪拌したときに、速やかに複合体粒子が崩壊するという性質である。具体的には、100μm以上の粒子が30体積%以下、平均粒径が60μm以下に崩壊する。100μm以上の粗大粒子はより少なく、また、平均粒径もより小さい方が好ましい。100μm以上の粒子が25体積%以下、平均粒径が40μm以下であると好ましく、100μm以上の粒子が15体積%以下、平均粒径が25μm以下であるとさらに好ましい。この分散条件および測定方法の詳細は後述する。
【0016】
本発明の微細セルロース含有複合体は、微細セルロース60〜80wt%を含む。微細セルロースが60wt%未満であると、ボディ感が不充分となり、また、耐ヒートショック性が損なわれる。アイスクリーム類製品はヒートショック、すなわちアイスクリーム類製品の保存中に温度の上がり下がりがあると、氷結晶が成長して食感がザラつくようになる。耐ヒートショック性とは、この氷晶の成長を抑制する機能のことであり、「氷晶成長防止機能」と同義の性質のことである。また、微細セルロースが80wt%を越えると、相対的に他の成分の配合量が少なくなり、水分散性が悪化し、強力な剪断力で分散する必要が出てくる。特に好ましい配合量は65〜75wt%である。
【0017】
ローカストビーンガムはアイスクリーム類のボディ感や耐ヒートショック性の付与に効果的なガムであるが、単独で使用すると、やはり糊状感が出る。これは一般的な結晶セルロース製剤と併用しても充分抑えることできない。本発明の微細セルロース含有複合体は、ローカストビーンガムを2〜12wt%含む。複合体として存在することにより、ガム単独の機能を有しつつ、糊状感が解消される。12wt%より多ければ糊状感が現れ、2wt%より少なければ、ボディ感および耐ヒートショック性が劣る。特に好ましい配合量は3〜10wt%である。
【0018】
グアーガムはガラクトマンナンの1種であり、ローカストビーンガムと同様にセルロースとインタラクションする性質を有する。グアーガムは冷水にて膨潤・溶解する性質があるので、複合体粒子の崩壊性という観点では好ましい。しかしながら、溶解しやすいが故に、アイスクリーム類製品に糊状感を与えてしまうという欠点がある。そのため本発明においては、冷水では溶解しないローカストビーンガムを使用することが必須である。
【0019】
本発明の微細セルロース含有複合体はキサンタンガム0.5〜8wt%と、親水性物質を最大で37.5wt%含む。微細セルロースとローカストビーンガムはインタラクションするので、これら2種類を構成成分とする複合体は、強力な剪断力で分散しなれば、微細な粒子に分散することはなかった。そのため、アイスクリーム類製品を安定的に製造するためにはアイスクリームミックスを均質化する前に強力に予備分散するか、あるいは水中で充分予備分散してからミックスに配合しなければならなかった。本発明者らはこれらの問題点を解決しつつ、さらなる機能の向上を目指し、補助成分の配合を鋭意検討した。その結果、キサンタンガムの配合がきわめて効果的であることがわかり、本発明を完成させた。キサンタンガムを0.5wt%以上配合することによって、水分散性が格段に向上するが、8wt%を超えて配合すると、糊状感が現れ、組成によってはそれでも水分散性が充分でない場合があった。キサンタンガムは、8wt%以下であってもその配合量が高くなると糊状感が高くなる傾向にあるが、その場合は親水性物質を配合することにより、充分な水分散性と良好な食感を両立させることができる。キサンタンガムのより好ましい配合量は1〜5wt%であり、その量はローカストビーンガムと等量か、それ以下であることが特に好ましい。また親水性物質の好ましい配合量は0.5〜35wt%、より好ましい配合量は1〜30wt%である。キサンタンガムと親水性物質とを併用することは、水分散性と糊状感の点で好ましい実施態様である。
【0020】
本発明の動機は、結晶セルロースとガラクトマンナンガムの複合体の水分散性を改善し、バランスの良いアイスクリーム類用添加剤を開発することにあった。ところが驚くべき事に、本発明の微細セルロース含有複合体を配合したアイスクリーム類製品は、配合しないものよりも口溶けが良く、サッパリとした食感になることわかった。ローカストビーンガム等の水溶性ガムはもちろんのこと、従来の結晶セルロース複合体においても、何かの成分を減ずることなく、単に追加配合する場合にそのような効果があるものは知られていなかった。本発明品を配合するアイスクリーム類製品の原料であるミックス液の粘度は下がる傾向にある。これはミックス液中の脂肪球の凝集に影響を及ぼしていることを示唆している。口溶けの良さもまた脂肪球の凝集構造に何らかの影響を及ぼすために生じる効果と推定される。
【0021】
本発明に使用されるローカストビーンガムとは、豆科イナゴマメの種子から得られる多糖類であり、D−マンノースを主鎖に、D−ガラクトースを側鎖に持つガラクトマンナンガムの1種である。D−マンノースとD−ガラクトースの比は約4:1である。精製タイプおよび未精製タイプのいずれ使用も可能であるが、水分散性を考慮すると精製タイプの使用が好ましい。
【0022】
本発明に使用されるキサンタンガムは、グルコース残基がβ−1,4−グルコシド結合で直鎖状に連なった、セルロースと同等の分子構造の主鎖を持ち、α−D−マンノース、β−D−グルクロン酸、β−D−マンノースが結合した三糖が側鎖として、主鎖のグルコース残基ひとつおきに結合した構造を持つものである。前述の三糖類にはアセチル基とピルビン酸基が結合している。分子量は約100万以上である。
【0023】
本発明に使用される親水性物質とは冷水への溶解性が高く、粘性を殆どもたらさない物質であり、デキストリン類、水溶性糖類(ブドウ糖、果糖、庶糖、乳糖、異性化糖、キシロース、トレハロース、カップリングシュガー、パラチノース、ソルボース、還元澱粉糖化飴、マルトース、ラクツロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等)、糖アルコール類(キシリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール等)、低粘性水溶性食物繊維類(ポリデキストロース、難消化性デキストリン等)より選ばれた1種または2種以上の物質である。特にデキストリン類が適している。
【0024】
本発明に使用されるデキストリン類とは、澱粉を酸、酵素、熱で加水分解することによって生じる部分分解物のことであり、グルコース残基がβ−1,4結合、あるいはβ−1,4とβ−1,6結合からなり、DE(dextrose equivalent)として、2〜42程度のものが使用される。ブドウ糖や低分子オリゴ糖が除去された分枝デキストリンも使用されることができる。
【0025】
本発明の微細セルロース含有複合体には、微細セルロースとローカストビーンガムとキサンタンガムと親水性物質以外に、デンプン類、可溶性デンプン、油脂類、蛋白類、食塩、各種リン酸塩等の塩類、乳化剤、増粘安定剤、酸味料、甘味料、香料、色素等食品に使用できる成分を適宜配合されていても良い。特に、複合体の分散状態を調整するために、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジェランガム等、食品に利用される増粘安定剤を、単独で、あるいは併用して配合してもよい。個々の成分の配合量は、計37.5wt%を最大とし、安定性等の機能と粘度のバランスで適宜決定されるべきものである。
【0026】
本発明の微細セルロースとローカストビーンガムとキサンタンガムと親水性物質からなる複合体は、単に微細セルロースの粉末とローカストビーンガム粉末とキサンタンガム粉末と親水性物質の粉末を混合することで製造されるものではなく、微細セルロースとその他の成分を水分を含有する状態、すなわち、スラリー状、ペースト状、ゲル状、ケーク状で混合した後、乾燥して製造されるものである。水分のある状態で混合することによって、微細セルロース粒子の表面をローカストビーンガム、キサンタンガムおよび親水性物質とよくなじませることが肝要である。この後、乾燥工程を経ることによって、おそらく微細セルロース粒子とローカストビーンガムとの間に相互作用が生じ、水中で攪拌した際に、微細セルロース粒子(1μm以下)は実質的に単独で存在することなく、ローカストビーンガムと複数の微細セルロース粒子からなる成分が生じるようになるのであろう。そのため、前述したとおり、本発明の微細セルロース含有複合体はコロイド分画が30%以下であり、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0027】
本発明の微細セルロース含有複合体の製法について具体的に説明する。
本発明の微細セルロース含有複合体は、例えば、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、穀物もしくは果実由来の植物繊維等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解、亜臨界水あるいは超臨界水による加水分解等、あるいはそれらの組み合わせにより解重合処理して平均重合度30〜375とし、次いで、機械的なシア(剪断力)をかけて磨砕し、微細セルロースとした後、水分を含有する状態でローカストビーンガム、キサンタンガムおよび親水性物質を添加して混合後、乾燥することによって得ることができる。微細セルロース以外の成分を水溶液で配合する場合は、予め全成分を高温で溶解した後に配合することが好ましい。微細セルロースとその他の成分を混合後に加熱しても良い。また、全成分を混合後、さらに機械的なシアをかけても良い。
【0028】
解重合処理したセルロースにローカストビーンガムとキサンタンガムと親水性物質を添加後、機械的なシアをかけて磨砕と混合を同時に行う、いわゆる湿式共磨砕した後、乾燥し、微細セルロースを含む複合体とする方法もまた好ましい方法の一つである。
【0029】
湿式磨砕に使用する機械は、系に存在する水分量、セルロースの微細化の程度により自由に選択される。例えば、平均粒径が8μm以下の微細セルロースを得るような充分な機械的シアをかける場合は、媒体攪拌ミル類(例えば、湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式ビーズミル、湿式ペイントシェーカー)や、超高圧ホモジナイザー等が用いられる。超高圧ホモジナイザーとしては、約50MPa以上の高圧で、スラリーを微細オリフィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的である。これらの磨砕機を使用した場合の最適磨砕濃度は機種により異なるが、概ね3〜25wt%程度の固形分濃度が適している。
【0030】
また、平均粒径が5〜15μmの微細セルロースを得るような機械的シアをかける場合において、おおむね固形分濃度が3〜30wt%程度であるスラリー様の系を磨砕するには、コロイドミル、連続式ボールミル、ホモジナイザー、ホモミキサー、プロペラ撹拌機等の磨砕機、混合機が使用できる。また、それより固形分濃度が高い、おおむね20〜60wt%程度であるケーク状のものを磨砕するには、ニーダー、ライカイ機、押出機等が使用できる。本発明の目的のためにはこれらの機種を単独で用いることもできるが、2種以上の機種を組み合わせて用いることもできる。複数回の処理もまた良好な結果が得られる。
【0031】
微細セルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガムと親水性物資の混合物の乾燥は公知の方法を使用すればよいが、実際的には、乾燥される対象物の水分量、状態によって最適な方法を選ぶべきである。例えばスラリー状であれば、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法等が使用できる。また、泥状物、餅様物には、棚段式乾燥法、ベルト乾燥法、流動床乾燥法、凍結乾燥法、マイクロウエーブ乾燥等が挙げられる。水中での複合体の再分散性を向上させる点からは、スラリー状にして噴霧乾燥する方法が好ましい。乾燥コスト低減の点からは、固形分含量の高い状態で乾燥できる棚段乾燥法、流動床乾燥法が好ましい。乾燥後の水分量の上限は、取り扱い性、経時安定性を考慮すれば、15wt%以下が好ましい。特に好ましくは10wt%以下である。さらに好ましくは6wt%以下である。
【0032】
なお、ドラム乾燥法、棚段式乾燥法、ベルト乾燥法等により得られた乾燥物は、薄片状あるいは塊状で得られるので、衝撃式粉砕機、ジェットミル粉砕機等適切な方法で粉砕し、目開き425μmの篩をほぼ全通する程度に粉末化することが好ましい。
【0033】
本発明におけるアイスクリーム類製品とは、乳および乳製品(生乳、クリーム、バター、バターオイル、練乳、濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルク、ホエー粉、等)に、本発明の微細セルロース含有複合体、および、水、油脂(やし油、パーム油、パーム核油、等)、甘味料(ショ糖、ブドウ糖、異性化糖、水あめ、粉末水あめ、ステビア、等)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、等)、着色料(アゾ色素、キサンテン色素、トリフェニルメタン色素、インジゴ色素、鉄(銅)クロロフィリンナトリウム、水溶性アナトー、β−カロチン、リボフラビン、コチニール、クルクミン、ぶどう果皮色素、カーサミンイエロー、ラック色素、ビートレッド、等)、着香料(バニラ、フルーツフレーバー、コーヒーフレーバー、チョコレートフレーバー、等)、安定剤(ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタンガム、等)、卵、果肉、果汁、ナッツ等を加えて攪拌凍結させた食品のことであり、アイスクリーム(乳固形分15.0wt%以上、乳脂肪分8.0wt%以上)、アイスミルク(乳固形分10.0wt%以上、乳脂肪分3.0wt%以上)、ラクトアイス(乳固形分3.0wt%以上)等のことである。その一般的な製造方法は各原料を秤量配合し、加温・溶解・混合、ろ過、均質化、殺菌、冷却(5℃以下)、着香料添加、熟成(エージング)、フリージング、容器充填、包装、硬化(−20〜−40℃)、という工程をとる。フリージング工程を経たものは、そのままソフトアイスクリーム(これも、本発明のアイスクリーム類製品に含まれる)とされたりする。
【0034】
アイスクリーム類製品は、上記の原料の他に空気を含んだ形で製品の体をなしている。この空気の抱き込み量をオーバーランという。オーバーランは、「オーバーラン(%)=100×{(ミックスの重量)−(同容量のアイスクリーム重量)}/(同容量のアイスクリーム重量)」であらわされる。ちなみに「(アイスクリーム)ミックス」とは原料を乳化状態にしたものの事であり、フリージング前の中間原料の事である。本発明のアイスクリーム類製品は、このオーバーランが10〜200%程度である。
【0035】
本発明の微細セルロース含有複合体の配合量は、処方、特に脂肪含有量によって適当な値がかわるので適宜決定すべきであるが、おおむね0.05〜1.0wt%程度が配合される。好ましくは、0.1〜0.4wt%である。脂肪含有量が少ない場合、通常ボディが損なわれてしまうが、本発明の微細セルロース含有複合体はそれを補うことができるので、そのような低脂肪タイプのアイスクリーム類製品に配合することは、適当な実施態様の一つである。
【0036】
本発明の微細セルロース含有複合体は、アイスクリーム類製品以外の食品、例えば、飲料類、乳製品類、油脂加工食品類、各種のスープ、調味料類、各種練りスパイス、フィリング類、ゲル・ペースト状食品類、パン類、麺・パスタ類、シリアル食品類、和・洋菓子類、水産練り製品、畜産製品、惣菜類、珍味類、流動食類およびペットフード類等にも使用することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、測定は以下の通り行った。また、これらの実施例が本発明を限定する意味ではなく本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定められるものである。
【0038】
<アイスクリーム用添加剤(微細セルロース含有複合体)の温水・弱分散時における固体粒子の平均粒径および100μm以上の粒子の量>
(1)サンプル(固形分)20.0gに85℃の蒸留水を入れ、全量を2000gとする。
(2)サンプル水懸濁液の温度を85℃に維持しつつ、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型)にて8000rpmで5分間分散する。
(3)レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−910型)を用いて、屈折率「1.20−0.00i」、データの取り込み回数「10回」に設定し、超音波分散処理することなく、粒度分布を測定する。平均粒径は積算体積50%の粒径で表す。また、100μm上の粒子の量は体積%で表す。
【0039】
<アイスクリーム用添加剤(微細セルロース含有複合体)の強分散時における固体粒子の平均粒径>
(1)サンプル(固形分)3.0gに25℃の蒸留水を入れ、全量を300gとする。
(2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)にて15000rpmで5分間分散する。
(3)レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−910型)を用いて、屈折率「1.20−0.00i」、データの取り込み回数「10回」に設定し、1分間超音波処理した後、粒度分布を測定する。平均粒径は積算体積50%の粒径で表す。
【0040】
<アイスクリーム用添加剤(微細セルロース含有複合体)のコロイド分画>
(1)サンプル(固形分)3.0gに蒸留水を入れ、 全量を300gとする。
(2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に て15000rpmで2分間分散する。
(3)分散液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤する。
(4)残りの分散液40mlを50ml容のポリプロピレンコポリマー製遠沈管に移し、2000rpmで15分間遠心分離する((株)久保田製作所製:インバータ・マルチパーパス高速冷却遠心機6930型:RA−400アングルロータ使用、約480×g)。その上層液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤する。
(5)遠心分離の条件を、15100×gで30分間とする以外は(4)と同様に操作する。
(6)(3)、(4)、(5)の秤量瓶を105℃の乾燥機で1 0時間加熱し、内容物を蒸発乾固する。
(7)(3)の固形分重量を精秤する。(Ag)
(8)(4)の固形分重量を精秤する。(Bg)
(9)(5)の固形分重量を精秤する。(Cg)
(10)次式によりコロイド分画を算出する。
コロイド分画(%)=(B−C)/(A−C)×100
【0041】
<アイスクリーム類製品の耐ヒートショック性試験>
(1)アイスクリーム類製品をカップに入れたまま、−20℃で1日、+5℃で10分間保ち、これを5回繰り返す。
(2)試食し、発生した氷結晶のザラツキ感を評価する。
【0042】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明する。
参考例1、5、7、実施例2〜4、6
市販DPパルプを裁断後、7%塩酸中で105℃で20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、加水分解セルロースのウェットケーク(固形分含量46wt%)を得た。そして、この加水分解セルロースに、ローカストビーンガムとキサンタンガムとデキストリンを、表−1の組成になるように配合し、必要に応じて加水し、ニーダーにて3時間混練した。次に60℃の熱風乾燥機で乾燥した後、粉砕して、微細セルロース含有複合体A〜Gを得た。この微細セルロース含有複合体の物性を表−1、表−1−1に示す。なお、複合体A〜Eは精製タイプのローカストビーンガムを使用し、複合体FおよびGは未精製タイプのローカストビーンガムを使用した。
【0043】
【表1】
【表1−1】
【0044】
参考例8、12、14、実施例9〜11、13
参考例1、5、7,実施例2〜4、6で得られた微細セルロース含有複合体A〜Gを用い、ラクトアイスを調製した。すなわち、40℃に加熱した水(65.25重量部)に水あめ(10重量部)を入れ、攪拌混合しながら、脱脂粉乳(10重量部)、ショ糖(10重量部)、グリセリン脂肪酸エステル(0.25重量部)、表−2、表−2-1記載の微細セルロース含有複合体(0.2重量部)を加えた。その後、やし油(4重量部)を加え、80℃に昇温後、ホモミキサーで10分間攪拌溶解し、マントンゴーリン型ホモジナイザーで、15.3MPaの圧力で均質化後、バニラエクストラクト(0.3重量部)を加え、5℃で16時間エージングした。さらに、フリージングし、硬化させてラクトアイスを得た。表−2に記載の微細セルロース含有複合体を加えた物は、マントンゴーリン型ホモジナイザーで均質化したとき、配管に詰まりを生じることなく、均質化圧力も一定値を示した状態で安定的に処理することができた。
【0045】
評価結果を表−2、表2−1に示す。
表−2に記載の微細セルロース含有複合体を加えて得られたラクトアイスは、ボディ感はあるが、口溶けの良好な糊状感の無い食感であり、かつ、耐ヒートショック性の評価も良好であった。なお、ラクトアイスの評価は以下の基準で実施した
【0046】
<均質化処理>
a:圧力変動が±0.5MPa以内
b:圧力変動が±1MPa以内
c:圧力変動は±1MPaを越えるが、閉塞はしない
d:処理中に閉塞してしまう
【0047】
<食感/ボディ感>
a:比較例17よりもボディ感がある
b:比較例17と同程度
【0048】
<食感/口溶けの良さ>
a:比較例17よりも口溶けがよい
b:比較例17と同程度
c:比較例17よりも口溶けが悪い(糊状感がある)
d:比較例17よりもかなり糊状感がある
【0049】
<食感/ザラツキ>
a:ザラツキを感じない(比較例17とかわりがない)
b:わずかザラツキを感じる
【0050】
<耐ヒートショク性>
a:氷晶のザラツキを感じない(試験前と同等)
b:氷晶のザラツキをごくわずかに感じる
c:氷晶のザラツキを感じる
d:氷晶のザラツキをはっきりと感じる
【0051】
【表2】
【表2−1】
【0052】
比較例1〜3
参考例1と同様にして得られた加水分解セルロースのウェットケークに、ローカストビーンガムとキサンタンガムとデキストリンを、表−3の組成になるように配合し、必要に応じて加水し、ニーダーにて3時間混練した。次に60℃の熱風乾燥機で乾燥した後、粉砕して、微細セルロース含有複合体H、I、Jを得た。この微細セルロース含有複合体の物性を表−3に示す。なお、複合体H、Jは精製タイプのローカストビーンガムを使用し、複合体Iは未精製タイプのローカストビーンガムを使用した。
【0053】
比較例4、5
特開昭54−54169号公報開示の方法に準じて微細セルロース含有複合体を調製した。すなわち、まず、市販DPパルプを裁断後、0.8%塩酸中で110℃で90分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、加水分解セルロースのウェットケーク(固形分含量51wt%)を得た。そして、この加水分解セルロースに、キサンタンガムとデキストリン、あるいは精製ローカストビーンガムとショ糖とグルコースを、表−3の組成になるように配合し、必要に応じて加水し、ニーダーにて3時間混練した。次に80℃の熱風乾燥機で乾燥した後、粉砕して、微細セルロース含有複合体KおよびLを得た。この微細セルロース含有複合体の物性を表−3に示す。
【0054】
比較例6
特開昭54−55762号公報開示の方法に準じて微細セルロース含有複合体を調製した。すなわち、まず、精製リンターを、9.1%塩酸中で105℃で15分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、加水分解セルロースのウェットケーク(固形分含量49wt%)を得た。そして、この加水分解セルロースに、グアーガムとデキストリンを、表−3の組成になるように配合し、必要に応じて加水し、ニーダーにて90分間混練した。次に風乾した後、粉砕して、微細セルロース含有複合体Mを得た。この微細セルロース含有複合体の物性を表−3に示す。
【0055】
比較例7
特開昭54−157875号公報開示の方法に準じて微細セルロース含有複合体を調製した。すなわち、比較例4と同様にして得られた加水分解セルロースのウェットケークに、精製ローカストビーンガムとデキストリンを、表−3の組成になるように配合し、必要に応じて加水し、ニーダーにて3時間混練した。次に80℃の熱風乾燥機で乾燥した後、粉砕して、微細セルロース含有複合体Nを得た。この微細セルロース含有複合体の物性を表−3に示す。
【0056】
比較例8
特表平4−502409号公報開示の方法に準じて微細セルロース含有複合体を調製した。すなわち、まず、実施例1と同様にして得られた加水分解セルロースのウェットケークをニーダーにて3時間混練した。次に固形分比でセルロース:ローカストビーンガム=8:2、固形分濃度10wt%となるように、純水中にこの混練物と精製ローカストビーンガムを投入し、プロペラ攪拌および対流型ホモミキサーによって均質なスラリーとした。次いでマントンゴーリン型ホモジナイザーで、17MPaで均質化し、噴霧乾燥して微細セルロース含有複合体Oを得た。この微細セルロース含有複合体の物性を表−3に示す。なお、特表平4−502409号公報の技術は水中での剪断力にて崩壊しないことを主目的としているので、リン酸等の酸を添加する技術を推薦している。しかしながら本発明の微細セルロース含有複合体は崩壊する性質を有しているので、比較を明確にするために、リン酸は添加しなかった。
【0057】
【表3】
【0058】
比較例9〜16
微細セルロース含有複合体としてAのかわりに比較例1〜8で得られたH〜Oを用いる以外は全て実施例8と同様にしてラクトアイスを調製し、評価した。評価結果を表−4に示す。微細セルロース含有複合体I、J、M、Oを配合した場合は、マントンゴーリン型ホモジナイザーで均質化する際に、配管が詰まり、安定的に処理することができなかった。複合体LとNを配合した場合も配管が閉塞気味となり、圧力が2〜3MPa程度変動した。複合体HとKを配合した場合は、均質化処理は良好に実施できたが、ラクトアイスを食したときの口溶けが悪く、いわゆる糊状感を感じた。
【0059】
比較例17
微細セルロース含有複合体を配合しない以外は全て実施例8と同様にしてラクトアイスを調製し、評価した。評価結果を表−4に示す。微細セルロース含有複合体を配合していないので、均質化処理は良好に実施することができ、またザラツキは感じられないが、ボディ感と口溶けが充分でなく、また、著しく耐ヒートショック性が劣っていた。
【0060】
【表4】
【0061】
実施例15〜18
本発明の微細セルロース含有複合体を添加した植物脂肪分10、8、5、3wt%のラクトアイスと、微細セルロース含有複合体を添加していない植物脂肪分10wt%のラクトアイス(比較例18)との食感の差を比較し、ラクトアイスにおける微細セルロース含有複合体の脂肪代替性を試験した。
【0062】
まず、40℃に加熱した水(61.1、63.1、66.1、68.1重量部)へ脱脂粉乳(8.0重量部)、微細セルロース含有複合体F(0.3重量部)、ショ糖(7.0重量部)、水あめ(6.0重量部)、果糖ブドウ糖液糖(6.0重量部)、20%加糖卵黄(1.6重量部)を加え、85℃に昇温後、やし油(10.0、8.0、5.0、3.0重量部)を混合後ホモミキサーで10分間攪拌溶解し、マントンゴーリン型ホモジナイザーで、15.3MPaの圧力で均質化後、バニラエクストラクト(0.3重量部)を加え、5℃で16時間エージングした。その後フリージングし、オーバーランを30%に調整し、硬化させてラクトアイスを得た。マントンゴーリン型ホモジナイザーで均質化したときは、配管に詰まりを生じることなく、均質化圧力も一定値を示した状態で安定的に処理することができた。配合処方および評価結果を表−5に示す。
【0063】
得られたラクトアイスは、ボディ感はあるが、口溶けの良好な糊状感の無い食感であった。後述の比較例18のラクトアイスと比較したところ、植物脂肪分5.0wt%品(実施例17)と比較例18の品は同等の食感であり、微細セルロース含有複合体は脂肪代替性を有していることが確認できた。
【0064】
比較例18
40℃に加熱した水(61.4重量部)へ脱脂粉乳(8.0重量部)、ショ糖(7.0重量部)、水あめ(6.0重量部)、果糖ブドウ糖液糖(6.0重量部)、20%加糖卵黄(1.6重量部)を加え、85℃に昇温後、やし油(10.0重量部)を混合後ホモミキサーで10分間攪拌溶解し、マントンゴーリン型ホモジナイザーで、15.3MPaの圧力で均質化後、バニラエクストラクト(0.3重量部)を加え、5℃で16時間エージングした。その後フリージングし、オーバーランを30%に調整し、硬化させてラクトアイスを得た。配合処方および評価結果を表−5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
実施例19〜22
本発明の微細セルロース含有複合体を添加した乳脂肪分10、8、5、3wt%のアイスクリームと、微細セルロース含有複合体を添加していない乳脂肪分10wt%のアイスクリーム(比較例19)との食感の差を比較し、アイスクリームにおける微細セルロース含有複合体の脂肪代替性を試験した。
【0067】
まず、40℃に加熱した水(59.1、61.5、65.1、67.5重量部)へ脱脂粉乳(8.0重量部)、微細セルロース含有複合体F(0.3重量部)、ショ糖(7.0重量部)、水あめ(6.0重量部)、果糖ブドウ糖液糖(6.0重量部)、20%加糖卵黄(1.6重量部)を加え、85℃に昇温後、無塩バター(12.0、9.6、6.0、3.6重量部)を混合後ホモミキサーで10分間攪拌溶解し、マントンゴーリン型ホモジナイザーで、15.3MPaの圧力で均質化後、バニラエクストラクト(0.3重量部)を加え、5℃で16時間エージングした。その後フリージングし、オーバーランを30%に調整し、硬化させてアイスクリームを得た。マントンゴーリン型ホモジナイザーで均質化したときは、配管に詰まりを生じることなく、均質化圧力も一定値を示した状態で安定的に処理することができた。配合処方および評価結果を表−6に示す。
【0068】
得られたアイスクリームは、ボディ感はあるが、口溶けの良好な糊状感の無い食感であった。後述の比較例19のアイスクリームと比較したところ、乳脂肪分5.0wt%品(実施例21)と比較例19の品は同等の食感であり、微細セルロース含有複合体は脂肪代替性を有していることが確認された。
【0069】
比較例19
40℃に加熱した水(59.4重量部)へ脱脂粉乳(8.0重量部)、ショ糖(7.0重量部)、水あめ(6.0重量部)、果糖ブドウ糖液糖(6.0重量部)、20%加糖卵黄(1.6重量部)を加え、85℃に昇温後、無塩バター(12.0重量部)を混合後ホモミキサーで10分間攪拌溶解し、マントンゴーリン型ホモジナイザーで、15.3MPaの圧力で均質化後、バニラエクストラクト(0.3重量部)を加え、5℃で16時間エージングした。その後フリージングし、オーバーランを30%に調整し、硬化させて標準品アイスクリームを得た。配合処方および評価結果を表−6に示す。
【0070】
【表6】
【0071】
【発明の効果】
本発明のアイスクリーム添加剤をアイスクリーム類製品に配合することにより、ボディ感があるにも関わらず、口溶けが良く、耐ヒートショック性に優れるアイスクリーム類製品を提供することができる。しかもそのアイスクリーム類製品を製造するにあたり、予備分散等の特殊な装置や工程をとることなく、現行の設備/製造工程で製造することを可能にする。
Claims (4)
- 微細セルロース70〜75wt%と、ローカストビーンガム3〜5wt%と、キサンタンガム1〜3wt%と、親水性物質18〜26wt%を含む微細セルロース含有複合体であって、温水に分散させたときに生じる粒子の平均粒径が60μm以下、100μm以上の粒子が30体積%以下であり、かつ、コロイド分画が30%以下であることを特徴とするアイスクリーム用添加剤。
- 温水に分散させたときに生じる粒子の平均粒径が40μm以下、100μm以上の粒子が25体積%以下であることを特徴とする請求項1記載のアイスクリーム用添加剤。
- 温水に分散させたときに生じる粒子の平均粒径が25μm以下、100μm以上の粒子が15体積%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のアイスクリーム用添加剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアイスクリーム用添加剤を配合してなることを特徴とするアイスクリーム類製品。
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