JP3423383B2 - 微細セルロース組成物 - Google Patents
微細セルロース組成物Info
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Description
形成し得る組成物であって、食品、医薬品、化粧品、塗
料、セラミックス、樹脂、触媒、その他工業用品等広い
分野において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤等
の安定剤、組織付与剤、クラウディー剤、研磨剤、食物
繊維、油脂代替物等として利用可能な水に分散性の微細
セルロース組成物に関するものである。
可能な組成物としては、例えば、特公昭40−1217
4号公報にはセルロース結晶子集合物に妨害剤を加え水
性コロイド分散物を得る記載がある。また、特公昭56
ー31094号公報、特公昭57−14771号公報に
は微結晶セルロースに分散剤、崩壊剤を組み合わせた水
分散性複合体の記載がある。これらはセルロースと水溶
性高分子、糖類等を水の存在下で混合、磨砕して、次い
で乾燥、粉砕して複合体を得ることが開示されている。
しかしながらこれらが期待する主要効果の主体となると
思われるセルロースのコロイド部分に関する記述は明確
でなく、実際に追試したところ充分満足できる領域まで
達していないことが我々の検討で明らかとなった。
は、微結晶セルロースは平均粒径5μm以下に磨砕され
ているのが望ましいと記載されている。しかし、特公昭
57−14771号公報に記載のある方法、ニーダーで
練合磨砕して複合体を作成して平均粒径を測定したとこ
ろ、該公報に記載された島津製作所製遠心沈降式粒度分
布測定装置CP−50型を使用すると1.8μmとなっ
たが、本発明の堀場製作所製レーザー回折式粒度分布測
定装置LAー500を用いると10.5μmという結果
を得た。また、10μm以上の粒子の割合が58%で、
コロイド分画が54%という結果であり、ザラツキが感
じられ安定剤としての機能も十分な物ではなかった。
れたと言われている市販製品アビセル<登録商標>RC
(旭化成工業(株))についても同様には非コロイド部
分をかなり含んでおり、レーザー回折式粒度分布測定装
置で測定される平均粒径は10μm程度である。このた
め、ある種の食品や化粧品においてザラツキ感を与えた
り、安定剤としての機能が必ずしも十分でないという問
題がある。
技術開発の努力がなされEP−0415193A2には
平均粒径6μm以下の水分散体が、WO−910246
1、USP−5011701には低カロリーチーズ作成
のためのセルロースの微粒化方法、また、特公昭62−
30220号公報には微結晶セルロース懸濁液の均質化
方法の開示があるが、いずれも水スラリー状での使用を
前提としており微生物の発生等による保存上の問題、水
スラリーである事に由来する輸送、貯蔵上の問題、ある
いは高濃度での使用ができない等、使用上の制約も大き
く充分満足できる物ではない。しかしながら極端に微細
化したセルロースを複合体化して再分散可能な乾燥品に
することはできなかった。
は、適度な加水分解後にアトリションを加えることで、
微結晶単位まで微細化されることが知られている。ま
た、加水分解を殆どさせずに物理的なシェアをかけるこ
とでミクロフィブリル化することも知られている。これ
ら微細セルロース表面は多くの水酸基が分布しており、
これが水中で水和構造をとることも知られている。これ
らの微細セルロースは、乾燥に伴いセルロース表面同士
で強い水素結合を形成し、水に再分散しない強固な構造
体を作るが、微細化が進んだものほど乾燥時、粒子の移
動が容易でかつ大きな表面積を持つがゆえに緻密で非常
に強固な不可逆性の構造体を形成することが我々の研究
の結果判明した。この乾燥に伴う水素結合を防止する方
法は特公昭40−12174号公報等に記載されている
が、微細セルロースに単に妨害剤を配合して乾燥すると
いう従来の方法では、微細セルロース乾燥物を水中で撹
拌しても微細セルロースは強固な不可逆性の構造体を形
成しているため、元の粒径まで再分散されなかった。
セルロースを再分散させるのに水溶性ガム類、親水性物
質を2〜50重量%配合し、総重量の75重量%以上の
水分の存在下で完全分散させたのち、乾燥して複合体を
得ることが示されているが、微細セルロース含量が高い
ために微細セルロースが持つ渋味がでるという問題があ
った。
ロースを主体とする複合体で感じられたザラツキを無く
し、水に分散したときなめらかな組織を有する微細セル
ロースのコロイド分散体を形成する微細セルロースの組
成物を提供することにある。また、併せて食品、医薬
品、工業用品の広い分野にわたり利用可能な高度の懸濁
・分散・乳化等の安定剤、高度の保形性付与剤、組織付
与剤、クラウディー剤、油脂代替物等を提供することを
目的としている。
ガム類等を主成分とした組成物を水に分散した時、微細
セルロースのコロイド分散体を形成し、その分散体は使
用中に沈澱を生じたり、スラリー輸送中に細管やスクリ
ーンを閉塞することなく、高度の分散安定性を有し、ザ
ラツキを感じさせないものであって、保形性付与剤、組
織付与剤、クラウディー剤及び油脂代替物等として利用
可能な水分散性組成物を提供するものである。
μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下、コ
ロイド分画が50%以上の微細セルロースと、水溶性ガ
ム類及び/又は親水性物質を、75%以上の水の存在下
で攪拌・混合して均一なスラリーとなし、次いで、凍結
乾燥、噴霧乾燥もしくはフィルム状にて乾燥することに
よって製造される組成物であって、微細セルロースを2
0重量%以上50重量%未満と、水溶性ガム類及び/又
は親水性物質を50重量%を超えて80重量%以下を含
有し、該組成物を水に再分散した時の平均粒径が8μm
以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下、コロイ
ド分画が65%以上であることを特徴とする水に分散性
の微細セルロース組成物である。
者らは、再分散した微細セルロース含有組成物の食感を
左右する要因は二つあって、ザラツキは主に、粒度分布
における10μm以上の粒子の割合が重要な要因である
こと、また、舌に感じるなめらかさの要因としては実用
特性であるコロイド分画が重要な要因であることを見出
した。
粒子の量にある。特に強いザラツキを感じさせるのは1
0μm以上の粒子であって、本発明の微細セルロース組
成物を水に再分散させた場合は、40%を超えるとザラ
ツキ感が生じる。セルロース単独の場合は10μm以上
の粒子が5%を超えるとザラツキが感じられたが、本発
明の微細セルロース組成物の場合は水溶性ガム類等の影
響のため10μm以上の粒子が40%以下であるとザラ
ツキは感じない。
性セルロースを計測する実用特性であるコロイド分画と
一致する。即ち、水分散性組成物の水分散物において、
なめらかな組織を得るためには水分散性組成物を水に分
散した時の指標としてコロイド分画が65%以上である
ことが必要である。またザラツキを解消するためには、
粒度分布における10μm以上の粒子の割合が40%以
下であることが必要である。この際の平均粒径は8μm
以下である。本発明の目的を効果的に達成するために
は、粒度分布における10μm以上の粒子の割合が20
%以下、コロイド分画が80%以上であることが好まし
い。この際の平均粒径は6μm以下である。更に好まし
くは、10μm以上の粒子の割合が5%以下、コロイド
分画が80%以上であり、平均粒径は4μm以下であ
る。
及び微細セルロース組成物の水分散液に一定の遠心力を
かけた時、沈降することなく浮遊、分散している分散相
の固形分の重量割合(%)である。即ち、水系分散液に
おいて沈降することなく安定に分散し得るコロイダル部
分の割合であり、分散性及び安定性の実用上の能力を示
す。また、平均粒径はレーザー法による積算体積50%
の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体積分布に
おける割合(%)を示す。これらの測定法については実
施例において詳述する。
た微細セルロース分散液に、水溶性ガム類および又は親
水性物質を混合分散し均質なスラリーとなし、これを乾
燥することによって得られる。本発明に用いる微細セル
ロースは、平均粒径が8μm以下、10μm以上の粒子
の割合が40%以下であり、コロイド分画が50%以上
であることが好ましい。更に好ましくは、平均粒径が6
μm以下、10μm以上の粒子の割合が20%以下であ
る。特に好ましくは、平均粒径が4μm以下で、10μ
m以上の粒子の割合が5%以下であり、コロイド分画が
65%以上である。ここでいう、 「 平均粒径 」 および 「 コ
ロイド分画 」 とは、後述の実施例の項に記載する種々の
物性測定法のうち<平均粒径、10μm以上の粒子の割
合>および<コロイド分画>に記載の方法にてえられる
測定値のことである。
リンター等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ
酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解
等により解重合処理して平均重合度30〜375のセル
ロースとし、次いで機械的なシェアをかけ湿式磨砕する
ことによって得ることができる。更に、この湿式磨砕し
た物を遠心沈降によりコロイダル部分を分画処理して得
ることもできる。
ミル類、例えば湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式
ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式
ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモ
ジナイザー等がある。高圧ホモジナイザーとしては約5
00Kg/cm2 以上の高圧で、スラリーを微細オリフ
ィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的であ
る。これらのミルを使用した最適磨砕濃度は機種により
異なるが、概ね媒体ミルで5〜15%、高圧ホモジナイ
ザーで5〜20%の固形分濃度が適している。セルロー
スの磨砕を効率よく行うためには媒体ミルが適してい
る。得られる微細セルロース分散体のコロイド分画値を
高めるためには高圧ホモジナイザーが適している。例え
ば湿式ビーズミルのような磨砕機を使用した場合は平均
粒径6μm以下にまで粒径を低下させて始めて50%以
上のコロイド分画を得る事が出来るが、例えば高圧ホモ
ジナイザーを使用した場合は平均粒子径8μm程度でも
50%以上のコロイド分画を得る事が出来、なめらかな
組織となる。
独で用いることもできるが、二種以上の機種を組み合わ
せて用いることも出来る。これらの機種は種々の用途に
おける粘性要求等により適宜選択すれば良い。本発明の
水に分散性の微細セルロース組成物は、平均粒径が8μ
m以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下であ
り、コロイド分画が50%以上の微細セルロースに水溶
性ガム類及び/又は親水性物質を配合し乾燥した組成物
である。この複合化は、乾燥時に微細セルロース同士が
水素結合により再凝集することを防ぐために行われる。
このため本発明における水分散性組成物は、水で戻す事
により容易に乾燥前のコロイド分散体に復元する。つま
り再分散する事を特徴としている。
ースとの水中における相溶性が良好な水溶性のガム類で
あり、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンド
ガム、クインスシードガム、カラヤガム、アラビアガ
ム、トラガントガム、ガッティーガム、アラビノガラク
タン、寒天、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、フ
ァーセレラン、ペクチン、マルメロ、キサンタンガム、
カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、
ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の
セルロース誘導体等が挙げられる。好ましくは、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カ
ラギーナン、ペクチン、カラヤガム、ゼラチン、アラビ
アガムである。これらの水溶性ガム類は2種以上組み合
わせてもかまわない。水溶性ガム類は多量に配合すると
粘性が高くなり過ぎ、嚥下する際に喉越しが悪くなるの
で、50重量%以下が好ましい。特に好ましくは30重
量%以下である。
性を殆どもたらさない、25℃で固体状の有機物であ
り、澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果
糖、キシロース、ソルボース、庶糖、乳糖、麦芽糖、異
性化糖、カップリングシュガー、パラチノース、ネオシ
ュガー、還元澱粉糖化飴、ラクツロース、ポリデキスト
ロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等の単糖
類、オリゴ糖類を含む水溶性糖類、キシリトール、マン
ニトール、マルチトール、ソルビット等の糖アルコール
類等が適している。中でも澱粉加水分解物、デキストリ
ン類、ブドウ糖、果糖、庶糖、乳糖、麦芽糖、ポリデキ
ストロース、マンニトール、ソルビットが適している。
これらの親水性物質は2種以上組み合わせてもかまわな
い。
げない程度に、乾燥前又は乾燥後に他の成分を配合する
ことは自由である。また、微細セルロースと水溶性ガム
類及び/又は親水性物質を乾燥した後に、水溶性ガム類
及び/又は親水性物質を粉体混合により追加し、50重
量%を超えて80重量%以下の範囲にすることも本発明
に含まれる。
の分散を迅速に行わせると共に、セルロースの分散、懸
濁等の安定性を更に高め、かつ保護コロイドとしての機
能を果たすことによりコロイド分画の向上に寄与し、同
時にセルロースの味の悪さをカバーする。また、親水性
物質は、自身が水中で迅速に溶解することにより、微細
セルロースの水中への分散を促進する。水溶性ガム類と
組み合わせることによりその効果は更に高まる。微細セ
ルロース組成物のコロイド分画を高め、分散容易性ある
いは分散安定性を顕著ならしめるには、組成物の全固形
分に対して水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が
50重量%を超えて80重量%以下であることが必要で
ある。
が50重量%以下の場合は、乾燥工程における微細セル
ロース粒子同士の水素結合に基づく再凝集防止及び微細
セルロースの味の悪さのカバーが十分ではない。また、
80重量%を超えた場合は水溶性ガム類による粘度の上
昇やこれに伴い食感が低下したり、また、微細セルロー
ス含量の低下に伴い安定剤としての性能が低下し好まし
くない。コロイド分画は微細セルロース単独で測定する
ときは微細セルロースのコロイダルな性能そのものを表
しているが、水溶性ガム類及び/又は親水性物質と複合
化した場合、微細セルロースの元のコロイド分画値より
高い値を与えるようになる。即ち、この水分散性組成物
の再分散体の組織のなめらかさは原料微細セルロースと
同等もしくはそれ以上に改良されている。
粒径が8μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%
以下であり、コロイド分画が50%以上の微細セルロー
スを水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合してスラ
リーとなし、次いでこれを乾燥させることによって得ら
れる。解重合処理したセルロース系素材を予め水溶性ガ
ム類及び/又は親水性物質と混合し、湿式媒体ミルある
いは高圧ホモジナイザー等で磨砕してスラリーとする方
法も含まれる。いずれの場合も、水溶性ガム類及び/又
は親水性物質との混合、分散に当たっては、特に水溶性
ガム類を十分溶解し均一混合する事に注意しなければな
らない。このためには水溶性成分混合時に全重量の75
%以上の水の存在下に充分撹拌し混合することが好まし
い。この際予め水溶性成分を少量の水に分散した後加え
混合することがより効果的である。加熱処理は溶解を促
進するための効果的な方法である。
きな要因である。水分散性組成物の水への再分散性を確
保するためには、組成物はその内部に網目状の無数の微
細な亀裂や空洞を有していることが好ましい。この亀裂
が導水性の細孔となることによって、水溶性ガム類、親
水性物質の溶解、微細セルロースの分散を促進する。こ
の亀裂は0.05〜0.5μm程度の隙間であって、細
孔同士の間隔は最大で3μm程度に抑えることが好まし
い。この構造は乾燥時点で作り出される物であるが、特
公昭40−12174号、特公昭56−31094号、
特公昭57−14771号等の各公報に記載があるバン
ド乾燥機やロータリー乾燥機等を使ってブロック状に乾
燥し、これを例えば衝撃式の粉砕機に掛けて粉砕するよ
うな方法ではこの亀裂を保持した構造は作り得ず、水中
で組成物を元の微細セルロース粒子まで再分散させるこ
とは難しい。この構造を与える乾燥方法としては、凍結
乾燥、噴霧乾燥等を採用することも出来るがフィルム状
にて乾燥する事が好ましい。凍結乾燥法は生産効率が悪
く、噴霧乾燥法は大きな装置を必要とする上に製品の品
質制御が困難で乾燥製品の再分散性能がバラツキ易い欠
点がある。噴霧乾燥機を使用する場合はこのバラツキを
少なくするため噴霧粒径を小さく保ち、かつ乾燥速度を
できるだけ速やかに行う工夫が必要である。
良い方法としては、フィルム状にて乾燥する方法が優れ
ている。フィルム状にて乾燥する方法とは即ち、微細セ
ルロースと水溶性ガム類及び/又は親水性物質の均一混
合スラリーを、ガラス、ステンレス、アルミニウム、ニ
ッケル・クロムメッキ鋼板等の基材上にキャスティング
して乾燥する方法である。基材は予め加熱されていても
良く、またキャスティング後、赤外線、熱風、高周波等
にて加熱しても良い。乾燥温度は200℃以下、キャス
ティングの厚みはスラリーの厚みとして10mm以下が
好ましい。スラリー濃度はフィルム状に展開できる濃度
であれば良く、特に制限はないが実用的には5%から2
0%程度の固形分濃度の範囲が作業が容易で良好な乾燥
物が得られる。また、工業的にはスチールベルトドライ
ヤー、ドラムドライヤー、ディスクドライヤー等の乾燥
機が採用出来る。このフィルム状にて乾燥された製品
は、いわゆるフィルム状のものから箔状、薄片状、鱗片
状、線条状、粉末状のものまで含まれる。しかしなが
ら、たとえフィルム状にて乾燥した物であってもフィル
ムを剥離させるときあるいは粉砕により強いシェアを掛
けて細孔構造を破壊しては再分散性良好な水分散性組成
物は得られない。
製品はそのまま製品として用いることが可能である。し
かし、組成物の配合やスラリー濃度、乾燥方式等により
嵩高いフィルム状になるものは粉砕処理をしても良い
が、細孔構造を維持するためには破砕、整粒程度の穏や
かな粉砕が好ましい。衝撃式の粉砕機であるハンマーミ
ル、ピンミル、ジェットミル等は使用可能であるが再分
散性能を低下させる傾向にある。従って好ましい物とし
てはカッタータイプの比較的低回転数の物がよい。ま
た、水分率が高すぎるとハンドリング性不良、べたつ
き、腐敗の問題があり、更には乾燥、粉砕、整粒工程等
でのシェアにより細孔構造が崩れるため、水分率は20
%以下、好ましくは15%以下が良い。
成物は、1〜20%の水分を含む微細な細孔構造を持つ
乾燥製品であり、これを水に再分散した時容易に分散
し、平均粒径8μm以下、10μm以上の粒子の割合が
40%以下、コロイド分画が65%以上の性能を有し、
セルロースが均一に分散したなめらかな組織を持つザラ
ツキの無い安定なコロイド分散体を形成する。
品等の製造工程で通常使用される各種の分散・乳化・磨
砕機等を用いることができる。例えば、プロペラ撹拌
機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミ
キサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライ
カイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー及びマイクロフ
ルイダイザー、ナノマイザー等の超高圧ホモジナイザー
に代表される分散・乳化機、プラネタリーミキサー、ニ
ーダー、エクストルーダー、タービュライザー等に代表
される混練・磨砕機等が使用できる。その場合、微細セ
ルロース組成物のみを水に分散しても良いし、主成分あ
るいは着色料、香料、酸味料、増粘剤等の他の成分と同
時に水に分散してもかまわない。
ド分画が著しく向上したものであり食品、医薬品、化粧
品、塗料、セラミックス、樹脂、工業品等における懸濁
安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、クラウディー剤等均
一な分散性及びその長期な安定性が求められる分野にお
いて効果を発揮する。更に、本発明の微細セルロース組
成物は特殊な分散機を用いることなくセルロースのコロ
イド粒子を発生させることが可能であり、このため安定
剤としての性能が著しく向上すると共にその使用範囲を
拡大することが可能となる。
ココア飲料、ジュース飲料、抹茶飲料、しる粉飲料等の
嗜好飲料、ミルクココア、ミルクコーヒー、乳酸菌飲
料、豆乳等の乳性飲料、アイスクリーム、ソフトクリー
ム、シャーベット等の氷菓類、プリン、ゼリー、ジャ
ム、水羊かん等のゲル状食品、ミルクセーキ、コーヒー
ホワイトナー、ホイップクリーム、マヨネーズ、ドレッ
シング類、スプレッド類、タレ、スープ、練りがらし、
フラワーペースト、調理缶詰、スプレッド、経管流動
食、練りがらし、パン・ケーキ用フィリング・トッピン
グ、あん製品、ホンザント、水産練製品、パン・ケーキ
類、和菓子、麺類、パスタ類、冷凍生地等、粉末油脂、
粉末香料、粉末スープ、粉末スパイス、クリームパウダ
ー等、において懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、
泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性改善
剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基剤とし
て使用でき、更に上記食品全般における食物繊維基剤、
油脂代替等の低カロリー化基剤等の用法がある。
説明する。なお、測定は以下のとおり行った。 <コロイド分画> (1)サンプルを固形分で0.75gを、蒸留水を入れ
たエースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ
全量を300gとする。 (2)15000rpmで2分間分散する。 (3)分散液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤
する。 (4)残りの分散液を遠沈管に移し2000rpmで1
5分間遠心分離する(国産遠心器製H−300型)。そ
の上澄み液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤す
る。 (5)(3)、(4)の秤量瓶を105℃の乾燥器で1
0時間蒸発乾固する。 (6)(3)の固形分重量を精秤する。Ag (7)(4)の固形分重量を精秤する。Bg (8)水溶性成分(水溶性ガムと親水性物質の合計)の
補正を行う。 水溶性成分量:S%とすると、 コロイド分画(%)=(B−AS/100)×100/
A(1−S/100)
エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ全
量を300gとする。 (2)15000rpmで5分間分散する。 (3)堀場レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−5
00)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径は積算体
積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体
積分布における割合(%)で表す。 <水分の測定> (1)サンプル約2gを秤量瓶に入れ、精秤する。 (2)秤量瓶を熱風乾燥機に入れ、105℃で5時間乾
燥する。 (3)サンプル重量を測定し、減量から水分(%)を求
める。
105℃20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣を
ろ過、洗浄した後、固形分10重量%のセルロース分散
液を調整した。このセルロース分散液を媒体撹拌湿式粉
砕装置(コトブキ技研工業(株)製 アペックスミルA
M−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビ
ーズを用いて、撹拌翼回転数1800rpm、セルロー
ス分散液の供給量0.4l/minの条件で2回通過で
粉砕処理を行い微細セルロースAの固形分10重量%ペ
ースト状物を得た。この微細セルロースAのコロイド分
画は73%、積算体積50%の粒径は3.1μm、10
μm以上の粒子の割合は1.2%であった。
(三栄化学工業(株)製 CS−67)、マルトデキス
トリン(松谷化学工業(株)製 フードテックス)を配
合組成がそれぞれ固形分比で40/20/40とした総
固形分濃度が8重量%の分散液を調整した。この分散液
をアプリケーターにより厚さ3mmでアルミニウム板上
にキャスティングし、熱風乾燥器で80℃、60分間乾
燥して厚さ約50μmのフィルム状の微細セルロース組
成物Aを得た。
対して微細セルロース40重量%、カラギーナン及びマ
ルトデキストリンが60重量%であって、水分が6.5
重量%であった。水に再分散した時のコロイド分画は8
8%、平均粒径は2.9μm、10μm以上の粒子の割
合は1.5%であった。なお、水への分散をエースホモ
ジナイザーを用いて2500rpmで行っても(他の操
作は同じ)、平均粒径は3.5μm、10μm以上の粒
子の割合は2.6%であった。また、この水分散液を顕
微鏡で観察した結果、セルロース粒子は均一に分散して
おり粗大な凝集体は見られなかった。その5重量%水分
散体はザラツキの無い滑らかな食感を有しており、微細
セルロースの持つ渋味は感じられなかった。なお、「滑
らかさ」は口に入れた瞬間のとろける感触を、「ザラツ
キ」は後口として舌の上に残る異物感を評価したもので
ある。
ンガム(三栄化学工業(株)製 ビストップ)、マルト
ース(林原(株)製)を配合組成がそれぞれ固形分比で
25/10/65とした総固形分濃度が10重量%の分
散液を調整した。次にこのペースト状組成物をドラムド
ライヤー((株)楠木機械制作所製KDD−1型)で、
ドラムの表面を食品用シリコーン離型剤で処理した後、
水蒸気圧力1.5Kg/cm2 、回転数1.0rpmで
乾燥してフィルム状物を得た。次いでこれをナイフ型エ
ッジを有するカッティングタイプの粉砕機のパワーミル
(ダルトン社製、P−3型)で1000μm以下に粉砕
して薄片状、鱗片状の微細セルロース組成物Bを得た。
対して微細セルローズ25重量%、キサンタンガム及び
マルトースが75重量%であって、水分が4.8重量%
であった。水に再分散した時のコロイド分画は、98
%、平均粒径は3.1μm、10μm以上の粒子の割合
は2.5%であり、その5重量%水分散体はザラツキの
無い滑らかな食感を有していた。
で130℃、60分間加水分解して得られた酸不溶性残
渣をろ過、洗浄した後、固形分10重量%のセルロース
分散液を調整した。この加水分解セルロースの平均粒径
は19μmであった。このセルロース分散液を高圧破砕
装置(ナノマイザー(株)製ナノマイザーLA−31
型)で、1300Kg/cm2 、3回通過で破砕処理を
行い微細セルロースBの固形分10重量%ペースト状物
を得た。この微細セルロースBのコロイド分画は、80
%、平均粒径は5.5μm、10μm以上の粒子の割合
は13.5%であった。
(ファイザー社製 ライテス)を配合組成がそれぞれ固
形分比で25/75とした総固形分濃度が18重量%の
分散液を調整した。この分散液を実施例2と同様の方法
で乾燥、粉砕を行い、微細セルロース組成物Cを得た。
この組成物Cは、組成物の全固形分に対して微細セルロ
ース25重量%、ポリデキストロース75重量%であっ
て、水分が3.5重量%、コロイド分画は82%、平均
粒径は5.8μm、10μm以上の粒子の割合は15.
2%であり、その5重量%水分散体はザラツキの無い滑
らかな食感を有していた。
シメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)(第一
工業製薬(株)製 セロゲン)、澱粉加水分解物(松谷
化学工業(株)製 パインデックス)を配合組成がそれ
ぞれ固形分比で45/10/30とした総固形分濃度が
12重量%の分散液を調整した。次にこのペースト状組
成物を実施例2と同様に乾燥、粉砕を行い、薄片状組成
物を得た。次にこの薄片状物、キサンタンガムを90/
10の固形分比で粉体混合し、微細セルロース組成物D
を得た。組成物Dは、微細セルロース/CMC−Na/
キサンタンガム/澱粉加水分解物を、固形分比で45/
10/15/30の割合で含む。この組成物Dは、水分
が5.5重量%、コロイド分画が95%、平均粒径が
3.2μm、10μm以上の粒子の割合が2.2%であ
り、その5重量%水分散体はザラツキの無い滑らかな食
感を有していた。
2、複合体No.C−1の方法に従って操作を行った。
市販DPパルプを細断後、0.8%塩酸中で130℃、
60分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗
浄し、ウェットケークを得た。このウェットケークの平
均粒径は20μmであった。このウェットケークを用い
て、セルロース/カラギーナン/マルトデキストリンが
固形分比で40/6/54、水分量を50重量%とし、
ニーダーで5回通し混練した後、熱風乾燥機で乾燥後、
衝撃式粉砕機であるサンプルミル(不二パウダル社製)
で微粉砕して組成物Eを得た。組成物Eのコロイド分画
は56%、平均粒径は11.8μm、10μm以上の粒
子の割合は55.6%であった。また、その5重量%水
分散体は肌理がやや粗く、ザラツキが感じられた。
厚さ約50μmの乾燥フィルムを、サンプルミル(不二
パウダル社製)で微粉砕して、粉体粒径が100μm以
下の組成物Gを得た。この粉末の表面、断面を走査型電
子顕微鏡で見ると、断面にはいくつかの空隙はあるが粉
砕前に見られた無数の微細な亀裂や空隙構造が消失して
いた。また、この粉末の水分散液を光学顕微鏡で観察し
た結果、粗大な凝集体が見られ、平均粒径は11.3μ
m、10μm以上の粒子の割合は45.5%であって、
コロイド分画は60%であった。その5%水分散体は肌
理が粗く、ザラツキが感じられた。
送、貯蔵に便利な乾燥品であって、水に分散した時なめ
らかで、ザラツキを感じさせないコロイド分散体組織を
与える。この性質は近年健康上の問題から食品の脂肪低
減の為に求められている脂肪代替物として適しており、
長年求められてきた美味しさと、機能を両立させるもの
である。
Claims (1)
- 【請求項1】 平均粒径が8μm以下、10μm以上の
粒子の割合が40%以下、コロイド分画が50%以上の
微細セルロースと、水溶性ガム類及び/又は親水性物質
を、75%以上の水の存在下で攪拌・混合して均一なス
ラリーとなし、次いで、凍結乾燥、噴霧乾燥もしくはフ
ィルム状にて乾燥することによって製造される組成物で
あって、微細セルロースを20重量%以上50重量%未
満と、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を50重量%
を超えて80重量%以下を含有し、該組成物を水に再分
散した時の平均粒径が8μm以下、10μm以上の粒子
の割合が40%以下、コロイド分画が65%以上である
ことを特徴とする水に分散性の微細セルロース組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31832293A JP3423383B2 (ja) | 1993-12-17 | 1993-12-17 | 微細セルロース組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31832293A JP3423383B2 (ja) | 1993-12-17 | 1993-12-17 | 微細セルロース組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07173332A JPH07173332A (ja) | 1995-07-11 |
JP3423383B2 true JP3423383B2 (ja) | 2003-07-07 |
Family
ID=18097896
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31832293A Expired - Lifetime JP3423383B2 (ja) | 1993-12-17 | 1993-12-17 | 微細セルロース組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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AU6728796A (en) * | 1995-08-23 | 1997-03-19 | Clive B. Moss | High fibre, low calorie, dietary composition |
TW408153B (en) | 1998-01-09 | 2000-10-11 | Asahi Chemical Ind | Cellulose-containing composite, process for its preparation and use thereof |
JP2005198574A (ja) * | 2004-01-16 | 2005-07-28 | Nippon Paper Chemicals Co Ltd | 食品用分散安定剤 |
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-
1993
- 1993-12-17 JP JP31832293A patent/JP3423383B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07173332A (ja) | 1995-07-11 |
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