JPWO1998028362A6 - 水性懸濁状組成物及び水分散性乾燥組成物 - Google Patents
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Abstract
湿式共磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を2重量%以上含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1であり、粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下であることを特徴とする水性懸濁状組成物及びその製造方法、並びに、それを用いた水分散性乾燥組成物及び食品組成物。
Description
水性懸濁状組成物及び水分散性乾燥組成物
技術分野
本発明は、食品等にカルシウム強化の目的、或いは白濁感を付与する目的等で配合される、あるいは塗料等に充填剤等の目的で配合される、微細セルロース及び水不溶性カルシウムを含有する水性懸濁状組成物、及びその製法、及び水中で撹拌することにより微細セルロース及び水不溶性カルシウムに再分散する水分散性乾燥組成物に関する。
また、本発明は、水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を含有する食品組成物に関する。
背景技術
従来、水中に水不溶性カルシウムを安定に懸濁させるために、いくつかの試みがなされてきた。例えば、炭酸カルシウムを親水性乳化剤で処理する方法(特公平2−31942号公報)、水難溶性カルシウム塩をオキシ酸とともに撹拌し、カルシウム塩の平均粒径を1μmにした後、親水性乳化剤を添加する方法(特開平8−107772号公報)、高圧ホモジナイザーを用いて炭酸カルシウムと乳化剤の混合液を処理し、微細化する方法(特開平8−205820号公報)などが挙げられる。
しかし、これらの方法で、水不溶性カルシウム塩を微細化すると、沈降速度は遅くなるが、ある期間放置すると不溶性カルシウム塩が沈降して、強固なケーク状となってしまい、再び懸濁状態にするのが困難であった。
また、特公昭57−35945号公報、特公昭63−29973号公報には、結晶セルロースを添加することでカルシウムの沈降が防止された飲料に関する開示がある。しかし、従来使用されている結晶セルロースでは粒径が大きく、また、結晶セルロースとカルシウムを共磨砕処理していないため、沈降防止効果は十分ではなく、また喫食時にざらつきを感じる場合があった。
本発明は、飲料等の食品にカルシウム強化等の目的で配合される場合に、あるいは塗料等の充填剤等の目的で配合される場合に、水不溶性カルシウム素材が沈降を起こさず安定な分散状態を示す水性懸濁状組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、水中で撹拌することにより、水不溶性カルシウム素材が再分散し、沈降を起こさず安定な分散状態を示す水分散性乾燥組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を含有することにより、水不溶性カルシウム素材が安定な分散状態を示す食品組成物を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、水不溶性カルシウム素材を微細セルロースと複合化することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は下記の通りである。
1)湿式共磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を2重量%以上含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1であり、粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下であることを特徴とする水性懸濁状組成物。
2)微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする上記1記載の水性懸濁状組成物。
3)低重合度セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1であり、低重合度セルロース及び水不溶性カルシウム素材が2重量%以上となるように水に懸濁した後、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であって、粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下となるように湿式共磨砕処理することを特徴とする水性懸濁状組成物の製造方法。
4)湿式共磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を30〜98重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を2〜70重量%含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1である乾燥組成物であって、該乾燥組成物を水中で撹拌し再分散したとき、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下であることを特徴とする水分散性乾燥組成物。
5)乾燥組成物を水中で撹拌し再分散したとき、微細セルロース及び水不溶性
カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする上記4記載の水分散性乾燥組成物。
6)上記1または2記載の水性懸濁状組成物、あるいは上記4または5記載の水分散性乾燥組成物を含有することを特徴とする食品組成物。
発明を実施するための最良の形態
本発明の水性懸濁状組成物に含まれる微細セルロースは、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、穀物又は果実由来の植物繊維等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解等、あるいはそれらの組み合わせにより解重合処理して平均重合度を好ましくは30〜375の低重合度セルロースとし、次いで洗浄精製を行った後、水不溶性カルシウム素材とともに機械的なシェアをかけ湿式磨砕することによって得ることができる。このとき、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下で、粒度分布における10μm以上の粒子の割合が40%以下であるように湿式磨砕する。低重合度セルロースと水不溶性カルシウム素材を別々に磨砕した後、両者を混合してもかまわないが、同時に行うほうが経済的である。
低重合度セルロースと水不溶性カルシウム素材を湿式共磨砕して得た、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の懸濁液は、微細セルロースが水中で網目状構造を形成することで、水不溶性カルシウム素材の沈降を有効に防止することができ、食感的にもザラツキのないものとなる。後述するように、水不溶性カルシウムと微細セルロースは会合しており、そのために微細セルロースの網目状構造から水不溶性カルシウムだけが分離沈降することがないものと思われる。万一沈降が起こった場合でも、同様の理由で強固な沈積物とならない。そのため、軽く振るだけで水不溶性カルシウム素材が容易に分散する効果がある。本発明の水性懸濁状組成物が懸濁安定性及び食感に及ぼす効果は、単に従来の結晶セルロースとカルシウム素材を配合する場合と比べて顕著に良好なものである。
本発明の水性懸濁状組成物に含まれる水不溶性カルシウム素材は、水に不溶あるいは水に難溶のカルシウム化合物であり、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。また、天然のカルシウム素材或いはその加工品も含まれる。例えば、獣骨、魚骨などの骨、貝殻、卵殻、サンゴなどの未焼成カルシウム或いは焼成カルシウム、乳清カルシウム等である。カルシウムの供給を効率的に行う意味で、水不溶性カルシウム素材に含まれるカルシウムは、水不溶性カルシウム素材に対して10重量%以上含有することが好ましい。
水性懸濁状組成物には、必要に応じて、微細セルロース、水不溶性カルシウム素材以外の成分、例えば、糖類、増粘剤、乳化剤、酸味料、塩類、着色料、甘味料、香料、蛋白類、油脂類、保存料等を配合するのは自由である。
本発明の水性懸濁状組成物は、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を2重量%以上含有する。2重量%未満では、カルシウム含量が低くなりすぎ商品としての価値が低下するし、輸送上経済的ではない。好ましくは5重量%以上である。また、50重量%以下であることが好ましい。50重量%を超えると、水性懸濁状組成物の粘性が高くなり、取り扱いが困難となる場合がある。特に好ましくは40重量%以下である。
また、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比は1/9〜9/1の範囲である。1/9未満では、微細セルロースが少ないため水不溶性カルシウム素材の沈降防止が不十分である。また、9/1を超えると、カルシウム含量が低くなりすぎ商品としての価値が低下する。好ましくは2/8〜8/2の範囲である。
本発明の水性懸濁状組成物において、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の粒径10μm以上の粒子の割合は40%以下であり、平均粒径は8μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒径が6μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が30%以下である。より好ましくは平均粒径が4μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が10%以下である。特に好ましくは平均粒径が3μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が5%以下である。
粒径10μm以上の粒子が40%を超えると、比重の重い水不溶性カルシウム素材のほうから沈降が生じるとともに、喫食した場合、口中でザラツキ感が感じられる。粒径が小さいほど沈降、ザラツキ感は改良されるが、その下限は、磨砕、粉砕の技術および装置により自ずから限度があり、現在のところは通常、平均粒径で0.05μm程度と考えられる。
本発明において、好適な湿式磨砕機械としては、磨砕前の原料の状態がスラリー状或いはペースト状である場合、媒体撹拌ミル類、例えば、湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
例えば、湿式ビーズミルでは、0.5〜2mm程度のジルコニア、アルミナ等の球形ビーズを50〜90%程度容器に充填し、撹拌機によりビーズを高速撹拌する中を原料を通過させることにより磨砕する。また、高圧ホモジナイザーとしては約500kg/cm2以上の高圧で、スラリーを微細オリフィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的である。
本発明の目的のためには、これらの機種を単独で用いることもできるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも出来る。これらの機種は種々の用途において必要な微細化のレベル、粘性要求等により適宜選択すれば良い。微細化を効率的に行うには、媒体撹拌ミル類が適しており、滑らかな食感を出すには高圧ホモジナイザーが優れている。
また、原料がケーク状である場合、プラネタリーミキサー、ニーダー、ライカイ機、エクストルーダー等を使用して混練磨砕を行った後、流動性を付与したい場合などには、必要に応じて加水すればよい。
水性懸濁状組成物を長期間保存する場合は、微生物が増殖する可能性があるので、保存料の添加、レトルト或いは連続滅菌のような滅菌操作を必要に応じて行うことができる。
本発明の水分散性乾燥組成物は、10μm以上の粒子の割合が40%以下である微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を30〜98重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を2〜70重量%含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1である乾燥した組成物である。
水溶性ガム類及び/又は親水性物質の配合は、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が乾燥時に再凝集することを防ぐために行われる。このため、本発明の水分散性乾燥組成物は、水中で撹拌することにより容易に初期の状態に復元する。つまり再分散して、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の10μm以上の粒子の割合は40%以下となり、水不溶性カルシウム素材は沈降せずに安定に分散する。微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径は8μm以下が好ましい。より好ましくは、平均粒径が6μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が30%以下である。さらに好ましくは平均粒径が4μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が10%以下である。特に好ましくは平均粒径が3μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が5%以下である。そのため、本発明の水分散性乾燥組成物を水に分散させると、懸濁安定性が向上するとともに、口に含んだときのザラツキ感が低減する。
本発明の水分散性乾燥組成物は、磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材と、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を水の存在下で混合した後、共に乾燥することで、それぞれを別々に乾燥した場合と比べて、水不溶性カルシウム素材の懸濁安定性及び食感が良好となる。このような効果が得られる理由は、湿式磨砕処理を行ったものを水に分散すると、微細セルロースと水不溶性カルシウムが会合しているのに対して、微細セルロースと水不溶性カルシウムを粉体のまま単に混合したものを水に分散した場合は、それぞれの粒子が均一に分散しているためと考えられる。例えばこのような状態は試料を1%濃度で水に分散(日本精機製作所製エースホモジナイザーにより、15000rpmで5分間分散)し、光学顕微鏡で観察することにより見いだせる。
また、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が、1/9未満では微細セルロースが少ないため水不溶性カルシウム素材の沈降防止が不十分である。
また、9/1を超えると、カルシウム含量が低くなりすぎ商品としての価値が低下する。好ましくは2/8〜8/2の範囲である。
水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が2重量%未満の場合は、乾燥工程における再凝集の防止が十分に行われない。水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が70重量%を超える場合は、水不溶性カルシウム素材の含有量が低下するため商品価値が低下する。好ましくは、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が50〜98重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質が2〜50重量%である。特に好ましくは、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が60〜95重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質が5〜40重量%である。
水溶性ガム類とは、水膨潤性が高くセルロースとの水中における相溶性が良好な水溶性のガム類であり、ローカストビーンガム、グアーガム、カゼイン及びカゼインナトリウム、タマリンドシードガム、クインスシードガム、カラヤガム、キチン、キトサン、アラビアガム、トラガントガム、ガッティーガム、アラビノガラクタン、寒天、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、ペクチン、マルメロ、タラガム、アーモンドガム、アエロモナスガム、アゾトバクター・ビネランジーガム、アマシードガム、ウェランガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体等が挙げられる。好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、カラヤガム、ゼラチン、アラビアガムである。これらの水溶性ガム類は2種以上組み合わせてもかまわない。
親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、キシロース、ソルボース、トレハロース、庶糖、乳糖、麦芽糖、異性化糖、カップリングシュガー、パラチノース、ネオシュガー、還元澱粉糖化飴、ラクツロース、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等の糖類、オリゴ糖類を含む水溶性糖類、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ソルビット等の糖アルコール類等が適している。中でも澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、庶糖、乳糖、麦芽糖、ポリデキストロース、マンニトール、ソルビットが適している。これらの親水性物質は2種以上組み合わせてもかまわない。
水分散性乾燥組成物に、必要に応じて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、水溶性ガム類及び/又は親水性物質以外の成分、例えば、乳化剤、酸味料、着色料、甘味料、塩類、香料、蛋白類、油脂類等を配合するのは自由である。
本発明の水分散性乾燥組成物は、10μm以上の粒子の割合が40%以下である微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材(微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比は1/9〜9/1)の懸濁液を、水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合し、次いでこれを乾燥することにより得られる。
また、平均重合度30〜375の低重合度セルロース及び水不溶性カルシウム素材を、予め水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合して、スラリー状或いはペースト状とし、媒体撹拌ミルあるいは高圧ホモジナイザー等で磨砕して、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の10μm以上の粒子の割合が40%以下とした後、乾燥する方法も含まれる。また、低重合度セルロース及び水不溶性カルシウム素材を、水溶性ガム類及び/又は親水性物質とともに、プラネタリーミキサー、ニーダー、ライカイ機、エクストルーダー等を使用して、ケーク状にて混練磨砕を行い、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の10μm以上の粒子の割合が40%以下とした後、乾燥し、必要に応じて粉砕する方法も含まれる。
乾燥方法であるが、乾燥される対象物の水分量、状態によって最適な方法を選ぶべきである。例えば、スラリー状、ペースト状であれば、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、ドラム乾燥法、ベルト乾燥法、薄膜乾燥法等が使用できる。また、ケーク状であれば、熱風乾燥法、流動乾燥法、棚段式乾燥法、凍結乾燥法等が使用できる。ケーク状であっても、加水によりスラリー状、ペースト状とした後、噴霧乾燥法などにより乾燥することも自由である。
乾燥後の水分量の上限は、取り扱い性、経時安定性を考慮すれば、15重量%以下が好ましい。特に好ましくは10重量%以下である。更に好ましくは5重量%以下である。
なお、ドラム乾燥法、ベルト乾燥法、薄膜乾燥法、流動乾燥法等により得られた乾燥物は、薄片状で得られるので、衝撃式粉砕機、ジェットミル粉砕機等適切な方法で粉砕し、目開き425μmの篩をほぼ全通する程度に粉末化することが好ましい。
本発明の食品組成物は、カルシウムを強化する目的、或いは白濁感を付与する目的等で、本願の水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を含有することを特徴とする。
食品組成物としては、具体的には、牛乳、ミルクココア、ミルクコーヒー、豆乳等の乳性飲料、乳酸菌飲料、ココア飲料、抹茶飲料、しる粉飲料等の嗜好飲料、アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベット等の氷菓類、プリン、ゼリー、ジャム、水羊かん等のゲル状食品、ミルクセーキ、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、マヨネーズ、ドレッシング類、スプレッド類、タレ、スープ、練りがらし、フラワーペースト、調理缶詰、スプレッド、経管流動食、練りがらし、パン・ケーキ用フィリング・トッピング、あん製品、ホンザント、水産練製品、パン・ケーキ類、和菓子、麺類、パスタ類、冷凍生地等、粉末油脂、粉末香料、粉末スープ、粉末スパイス、クリームパウダー、漬け物等が挙げられる。
本発明の水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物は、カルシウムを強化する目的、或いは白濁感を付与する目的以外に、微細セルロースあるいは水溶性ガム類による懸濁安定剤、乳化安定剤、泡安定剤、組織付与剤、流動性改善剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、食物繊維基剤、油脂代替等の低カロリー化基剤等として機能も食品組成物に付与することもできる。
食品組成物の製法は、常法に従って、主原料あるいは着色料、香料、酸味料、増粘剤等の他の成分と同時に、水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を水中で分散して使用すれば良い。水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を予め水に分散した後、添加してもかまわない。
水中での再分散方法は、食品等の製造工程で通常使用される各種の分散・乳化・磨砕機等を用いることができる。例えば、プロペラ撹拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッタ一等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー及びマイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の超高圧ホモジナイザーに代表される分散・乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、タービュライザー等に代表される混練機などが使用できる。2種以上の分散機を組み合わせて使用してもかまわない。
例えば、カルシウム強化牛乳を製造する場合、牛乳に水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて、分散、均質化する、または水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物をホモミキサーで水中に十分に分散させた後、牛乳と混合することによって、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を凝集させることなく安定に分散させ、沈降を防止できる。また、飲食した場合に、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が磨砕により微細化されているため、ざらつきを感じないという特徴もある。
従来使用されている結晶セルロースとカルシウムを複合化させることなく、別々に配合する方法では、結晶セルロースとカルシウムを共磨砕処理、及び結晶セルロースとカルシウムを共に乾燥して複合化処理していないため、結晶セルロース及びカルシウムの平均粒径が大きく、沈降防止効果は十分ではなく、また喫食時にざらつきを感じる場合があった。
食品組成物への水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物の添加量は、食品の種類によって異なるため、それぞれ最適の添加量を選択することが必要であるが、一般的には食品全体に対して水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を固形分として0.01〜15重量%程度配合することが好ましい。
例えば、飲料などに使用する場合は、0.02〜3重量%程度が好ましい。特に好ましくは、0.1〜1.5重量%程度である。また、マヨネーズ、アイスクリーム、ホイップクリームなどのように、ペースト状、クリーム状の食品に使用する場合は、0.05〜5重量%程度が好ましい。特に好ましくは、0.1〜3重量%程度である。また、パン、ビスケット、麺類などのように、半固形状、固形状の食品に使用する場合は、0.3〜12重量%程度が好ましい。特に好ましくは、0.5〜7重量%程度である。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、測定は以下のとおり行った。
<平均粒径、10μm以上の粒子の割合>
(1)サンプルを固形分で3.0gを、蒸留水を入れたエースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ全量を300gとする。
(2)15000rpmて5分間分散する。
(3)堀場製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−910)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径は積算体積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体積分布における割合(%)で表す。
<食感評価>
実施例、比較例によって得られた食品の食感テストを以下のように実施した。
食感テストは喫煙習慣の無い若い女性15人(平均年齢19歳)を選び、食品を調整した後、これを各々独立したパネルで食味するランダムテスト方式にて実施した。
各パネラーには、「ザラツキ感」を感じるか否か、の質問がなされ、アンケート方式にて解答が集計された。なお、「ザラツキ感」は食べたときに舌の上に残る異物感を評価したものである。この結果を基に、食感を総合的に3段階で評価した。
実施例1
市販のDPパルプ(溶解パルプ)を裁断後、7%塩酸中で105℃で20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、固形分40%のセルロースケークを調製した。このセルロースの平均粒径は25μmであり、また、平均重合度は160であった。
このセルロースと炭酸カルシウム(和光純薬製;平均粒径8.5μm、10μm以上の粒子の割合43%)を表1に示すような重量固形分比と濃度で、分散液を調製した。続いて、媒体撹拌湿式粉砕装置(コトブキ技研工業株式会社製アペックスミル、AM−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、撹拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給量0.41/mlnの条件で、2回通過で粉砕処理を行い、水性懸濁状組成物A〜Dを得た。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表1に示す。また、各組成物を1%濃度に希釈後、1日静置した後の沈降状態観察結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様に操作し、固形分40%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロースと実施例1で使用した炭酸カルシウム(和光純薬社製)を表2に示すような重量固形分比と濃度で、分散液を調製し、続いて、実施例1と同様の条件で、媒体撹拌湿式粉砕装置を用いて粉砕処理を行い、水性懸濁状組成物E〜Gを得た。但し、粉砕回数は表2の通りである。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表2に示す。また、各組成物を1%濃度に希釈後、1日間静置した後の沈降状態観察結果を表2に示す。
実施例3
実施例1と同様に操作し、固形分40%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロースとリン酸二水素カルシウム(キシダ化学社製;平均粒径9.6μm、10μm以上の粒子の割合48%)を表2に示すような重量固形分比と濃度で、分散液を調製した。続いて、超高圧ホモジナイザーであるマイクロフルイダイザーM−610(マイクロフルイディックス社製)を用いて、圧力800、1200kg/cm2でそれぞれ3回処理し、水性懸濁状組成物H〜Iを得た。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表2に示す。また、各組成物を1%濃度に希釈後、1日間静置した後の沈降状態観察結果を表2に示す。
実施例4
実施例1で得た水性懸濁状組成物A〜Dをそれぞれ用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、カラギーナン(三栄源FFI社製)、澱粉加水分解物(松谷化学社製)を配合組成がそれぞれ固形分比80/10/10とした総固形分濃度が10%の分散液を調整した。但し、水性懸濁状組成物Aについては総固形分濃度を6%とした。
次に、このペースト状分散液をアルミ板状にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥して、水分散性乾燥組成物J〜Mを得た。得られた水分散性乾燥組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例5
実施例3で得た水性懸濁状組成物H、Iをそれぞれ用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、キサンタンガム(三栄源FFI社製)、ブドウ糖(和光純薬社製)を配合組成がそれぞれ固形分比65/5/30とした、総固形分濃度が8%の分散液を調整した。
次に、このペースト状分散液を噴霧乾燥して、水分散性組成物N、Oを得た。
得られた水分散性組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例6
実施例1で得た水性懸濁状組成物Cを用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(第一工業製薬社製)
を配合組成がそれぞれ固形分比95/5とした総固形分濃度が10%の分散液を調整した。
次に、このペースト状分散液をアルミ板状にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥し、水分散性乾燥組成物Pを得た。得られた水分散性組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例7
実施例1で得た水性懸濁状組成物Cを用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、カラギーナン、ポリデキストロース(カルターフードサイエンス社製)を配合組成がそれぞれ固形分比40/10/50とした総固形分濃度が10%の分散液を調整した。
次に、このペースト状分散液をアルミ板上にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥し、水分散性乾燥組成物Vを得た。得られた水分散性組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例8
実施例1と同様に操作し、固形分40%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロース、実施例1で使用した炭酸カルシウム(和光純薬製)、カラヤガム(東洋ペトロライト社製)、澱粉加水分解物を配合組成がそれぞれ固形分比で、30/40/10/20となるように混合した後、水分を調整しながらプラネタリーミキサー(品川製作所社製)で40分間混練した。続いて、エックペレッター(不二パウダル社製)を用いて、2回押し出し混練を行った。
次に、60℃のオーブンで1昼夜乾燥させた後、バンタムミル(不二パウダル社製)で粉砕し、水分散性乾燥組成物Wを得た。得られた水分散性乾燥組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例9
市販牛乳100部に対して、水性懸濁状組成物Bを5部(固形分としては0.75部)、あるいは水分散性乾燥組成物Kを0.5部混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて、150kg/cm2で均質化し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
実施例10
水性懸濁状組成物Bの代わりに、水分散性乾燥組成物Kを0.5部使用する以外は、実施例9と同様に操作し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
実施例11
ココア末0.5部、砂糖5部、全脂粉乳0.8部、食塩0.05部、ステアリン酸モノグリセリド0.2部、水分散性乾燥組成物Jを0.5部、粉体のまま混合した後、70℃の温水93部に添加し、プロペラ撹拌機で予備分散させる。
次に、高圧ホモジナイザーを用いて、150kg/cm2、200kg/cm2の圧力で2回通過させ、均質化させた。続いて、耐熱瓶に充填し、121℃で30分間滅菌し、カルシウム入りココア飲料を作成した。冷却後、瓶を軽く振とうした後、100mlの沈降管に入れた。
5℃で1日間静置後、カルシウム及びココアの沈降状態及び食感評価について表6に示す。
実施例12
カルシウム及び食物繊維を強化し、保形性に優れるビスケットを作成した。
水分散性乾燥組成物W30部、小麦粉300部、砂糖100部、重曹6部、食塩3部を粉体混合した後、プラネタリーミキサーへ入れ、次いでマーガリン150部、全卵30部、水50部を添加し、5分間混練した。ここで、混練時における機壁へのドウの付着性を観察したところ良好であった。次に、混練したドウを冷蔵庫に1夜置いた後、室温に戻し、厚み15mm、幅30mm×15mmの大きさに揃えた。続いて、160℃のオーブンで20分間焼成し、ビスケットを得た。ここで、焼成したビスケットはダレがなく、保形性は良好であった。
実施例13
カルシウム及び食物繊維を強化し、乳化安定性に優れる低脂肪マヨネーズ風ドレッシングを作成した。
まず、ホバートミキサーを用いて水分散性乾燥組成物K80部を水377部に分散させた後、撹拌しなからキサンタンガム3部、卵黄100部を添加する。次に、撹拌しながらサラダ油330部を添加し、撹拌を継続する。続いて、食酢70部、食塩26部、砂糖9部、洋辛子粉4部、グルタミン酸ソーダ1部を添加し、撹拌する。撹拌は計30分程度行った。続いて、コロイドミルを通過させて、乳化を行い、ドレッシングを作成した。
ドレッシングを口に含んだところ、なめらかな食感を呈し、ざらつき感は感じられなかった。また、ドレッシングをガラス瓶に入れ、95℃の熱水中に15分間浸漬したか、離水、離油は見られず、乳化は安定であった。
比較例1
実施例1と同様に操作し、表4に示す組成物Qを得た。
比較例2
実施例1と同様に操作し、固形分45%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロースと炭酸カルシウム(和光純薬社製)を表4に示すような重量固形分比と濃度て、分散液を調製した。続いて、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、10000rpmで10分間処理して、組成物Rを得た。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表4に示す。また、組成物Rを1%濃度に希釈後、1日間静置した後の沈降状態観察結果を表4に示す。
比較例3
比較例1、2の組成物Q、Rを用いて、実施例4と同様に操作し、表5に示す組成物S、Tを得た。
比較例4
実施例1の水性懸濁状組成物Bをアルミ板状にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥し、組成物Uを得た。得られた組成物Uを水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及ひ分散液を1日間静置した後の沈降状態を表5に示す。
比較例5
比較例2の組成物Rを用いて、実施例9と同様に操作し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
比較例6
比較例3の組成物Sを用いて、実施例9と同様に操作し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
比較例7
特公昭63−29973号公報に準じ、カルシウム強化牛乳を作成した。すなわち、市販結晶セルロース製剤「アビセル」RC−N81を5部、実施例1の炭酸カルンウムを2.5部、実施例3のリン酸カルシウムを2.5部を市販牛乳1000部に混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて、150kg/cm2で均質化し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
なお、ここで用いた「アビセル」RC−N81、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムを2/1/1の比で混合して、本発明の方法で粒度を測定したところ、平均粒径が8.8μmで、10μm以上の粒子の割合が45%であった。また、ここで用いた炭酸カルシウムの平均粒径を、特公昭63−29973号公報に記載されるストークス粒径で表示するため、沈降法で測定したところ(島津製作所製、沈降式粒度分布測定装置CP−50)、2.4μmであった。また、リン酸カルシウムは2.8μmであった。
産業上の利用可能性
水不溶性カルシウム素材を含有する本発明の水性懸濁状組成物及び水分散性乾燥組成物は、微細セルロースと複合化し、且つ磨砕処理することにより、水中での水不溶性カルシウム素材の沈降が著しく抑制され、安定な分散状態を示す。また、食感の面でもざらつき感か低減される。
従って、上記の水性懸濁状組成物あるいは水分散性乾燥組成物を含有する食品組成物は、特に飲料等において、水不溶性カルシウム素材の沈降が著しく抑制され、食感も好ましいものとなる。
また、本発明の水性懸濁状組成物及び水分散性乾燥組成物は、塗料等の工業分野において、充填剤等として水不溶性カルシウム素材を配合する場合、沈降が起こりにくいため、作業性を改善すること等が可能となる。
技術分野
本発明は、食品等にカルシウム強化の目的、或いは白濁感を付与する目的等で配合される、あるいは塗料等に充填剤等の目的で配合される、微細セルロース及び水不溶性カルシウムを含有する水性懸濁状組成物、及びその製法、及び水中で撹拌することにより微細セルロース及び水不溶性カルシウムに再分散する水分散性乾燥組成物に関する。
また、本発明は、水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を含有する食品組成物に関する。
背景技術
従来、水中に水不溶性カルシウムを安定に懸濁させるために、いくつかの試みがなされてきた。例えば、炭酸カルシウムを親水性乳化剤で処理する方法(特公平2−31942号公報)、水難溶性カルシウム塩をオキシ酸とともに撹拌し、カルシウム塩の平均粒径を1μmにした後、親水性乳化剤を添加する方法(特開平8−107772号公報)、高圧ホモジナイザーを用いて炭酸カルシウムと乳化剤の混合液を処理し、微細化する方法(特開平8−205820号公報)などが挙げられる。
しかし、これらの方法で、水不溶性カルシウム塩を微細化すると、沈降速度は遅くなるが、ある期間放置すると不溶性カルシウム塩が沈降して、強固なケーク状となってしまい、再び懸濁状態にするのが困難であった。
また、特公昭57−35945号公報、特公昭63−29973号公報には、結晶セルロースを添加することでカルシウムの沈降が防止された飲料に関する開示がある。しかし、従来使用されている結晶セルロースでは粒径が大きく、また、結晶セルロースとカルシウムを共磨砕処理していないため、沈降防止効果は十分ではなく、また喫食時にざらつきを感じる場合があった。
本発明は、飲料等の食品にカルシウム強化等の目的で配合される場合に、あるいは塗料等の充填剤等の目的で配合される場合に、水不溶性カルシウム素材が沈降を起こさず安定な分散状態を示す水性懸濁状組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、水中で撹拌することにより、水不溶性カルシウム素材が再分散し、沈降を起こさず安定な分散状態を示す水分散性乾燥組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を含有することにより、水不溶性カルシウム素材が安定な分散状態を示す食品組成物を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、水不溶性カルシウム素材を微細セルロースと複合化することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は下記の通りである。
1)湿式共磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を2重量%以上含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1であり、粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下であることを特徴とする水性懸濁状組成物。
2)微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする上記1記載の水性懸濁状組成物。
3)低重合度セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1であり、低重合度セルロース及び水不溶性カルシウム素材が2重量%以上となるように水に懸濁した後、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であって、粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下となるように湿式共磨砕処理することを特徴とする水性懸濁状組成物の製造方法。
4)湿式共磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を30〜98重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を2〜70重量%含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1である乾燥組成物であって、該乾燥組成物を水中で撹拌し再分散したとき、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下であることを特徴とする水分散性乾燥組成物。
5)乾燥組成物を水中で撹拌し再分散したとき、微細セルロース及び水不溶性
カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする上記4記載の水分散性乾燥組成物。
6)上記1または2記載の水性懸濁状組成物、あるいは上記4または5記載の水分散性乾燥組成物を含有することを特徴とする食品組成物。
発明を実施するための最良の形態
本発明の水性懸濁状組成物に含まれる微細セルロースは、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、穀物又は果実由来の植物繊維等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解等、あるいはそれらの組み合わせにより解重合処理して平均重合度を好ましくは30〜375の低重合度セルロースとし、次いで洗浄精製を行った後、水不溶性カルシウム素材とともに機械的なシェアをかけ湿式磨砕することによって得ることができる。このとき、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下で、粒度分布における10μm以上の粒子の割合が40%以下であるように湿式磨砕する。低重合度セルロースと水不溶性カルシウム素材を別々に磨砕した後、両者を混合してもかまわないが、同時に行うほうが経済的である。
低重合度セルロースと水不溶性カルシウム素材を湿式共磨砕して得た、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の懸濁液は、微細セルロースが水中で網目状構造を形成することで、水不溶性カルシウム素材の沈降を有効に防止することができ、食感的にもザラツキのないものとなる。後述するように、水不溶性カルシウムと微細セルロースは会合しており、そのために微細セルロースの網目状構造から水不溶性カルシウムだけが分離沈降することがないものと思われる。万一沈降が起こった場合でも、同様の理由で強固な沈積物とならない。そのため、軽く振るだけで水不溶性カルシウム素材が容易に分散する効果がある。本発明の水性懸濁状組成物が懸濁安定性及び食感に及ぼす効果は、単に従来の結晶セルロースとカルシウム素材を配合する場合と比べて顕著に良好なものである。
本発明の水性懸濁状組成物に含まれる水不溶性カルシウム素材は、水に不溶あるいは水に難溶のカルシウム化合物であり、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。また、天然のカルシウム素材或いはその加工品も含まれる。例えば、獣骨、魚骨などの骨、貝殻、卵殻、サンゴなどの未焼成カルシウム或いは焼成カルシウム、乳清カルシウム等である。カルシウムの供給を効率的に行う意味で、水不溶性カルシウム素材に含まれるカルシウムは、水不溶性カルシウム素材に対して10重量%以上含有することが好ましい。
水性懸濁状組成物には、必要に応じて、微細セルロース、水不溶性カルシウム素材以外の成分、例えば、糖類、増粘剤、乳化剤、酸味料、塩類、着色料、甘味料、香料、蛋白類、油脂類、保存料等を配合するのは自由である。
本発明の水性懸濁状組成物は、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を2重量%以上含有する。2重量%未満では、カルシウム含量が低くなりすぎ商品としての価値が低下するし、輸送上経済的ではない。好ましくは5重量%以上である。また、50重量%以下であることが好ましい。50重量%を超えると、水性懸濁状組成物の粘性が高くなり、取り扱いが困難となる場合がある。特に好ましくは40重量%以下である。
また、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比は1/9〜9/1の範囲である。1/9未満では、微細セルロースが少ないため水不溶性カルシウム素材の沈降防止が不十分である。また、9/1を超えると、カルシウム含量が低くなりすぎ商品としての価値が低下する。好ましくは2/8〜8/2の範囲である。
本発明の水性懸濁状組成物において、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の粒径10μm以上の粒子の割合は40%以下であり、平均粒径は8μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒径が6μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が30%以下である。より好ましくは平均粒径が4μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が10%以下である。特に好ましくは平均粒径が3μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が5%以下である。
粒径10μm以上の粒子が40%を超えると、比重の重い水不溶性カルシウム素材のほうから沈降が生じるとともに、喫食した場合、口中でザラツキ感が感じられる。粒径が小さいほど沈降、ザラツキ感は改良されるが、その下限は、磨砕、粉砕の技術および装置により自ずから限度があり、現在のところは通常、平均粒径で0.05μm程度と考えられる。
本発明において、好適な湿式磨砕機械としては、磨砕前の原料の状態がスラリー状或いはペースト状である場合、媒体撹拌ミル類、例えば、湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
例えば、湿式ビーズミルでは、0.5〜2mm程度のジルコニア、アルミナ等の球形ビーズを50〜90%程度容器に充填し、撹拌機によりビーズを高速撹拌する中を原料を通過させることにより磨砕する。また、高圧ホモジナイザーとしては約500kg/cm2以上の高圧で、スラリーを微細オリフィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的である。
本発明の目的のためには、これらの機種を単独で用いることもできるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも出来る。これらの機種は種々の用途において必要な微細化のレベル、粘性要求等により適宜選択すれば良い。微細化を効率的に行うには、媒体撹拌ミル類が適しており、滑らかな食感を出すには高圧ホモジナイザーが優れている。
また、原料がケーク状である場合、プラネタリーミキサー、ニーダー、ライカイ機、エクストルーダー等を使用して混練磨砕を行った後、流動性を付与したい場合などには、必要に応じて加水すればよい。
水性懸濁状組成物を長期間保存する場合は、微生物が増殖する可能性があるので、保存料の添加、レトルト或いは連続滅菌のような滅菌操作を必要に応じて行うことができる。
本発明の水分散性乾燥組成物は、10μm以上の粒子の割合が40%以下である微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を30〜98重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を2〜70重量%含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1である乾燥した組成物である。
水溶性ガム類及び/又は親水性物質の配合は、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が乾燥時に再凝集することを防ぐために行われる。このため、本発明の水分散性乾燥組成物は、水中で撹拌することにより容易に初期の状態に復元する。つまり再分散して、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の10μm以上の粒子の割合は40%以下となり、水不溶性カルシウム素材は沈降せずに安定に分散する。微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径は8μm以下が好ましい。より好ましくは、平均粒径が6μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が30%以下である。さらに好ましくは平均粒径が4μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が10%以下である。特に好ましくは平均粒径が3μm以下であって、10μm以上の粒子の割合が5%以下である。そのため、本発明の水分散性乾燥組成物を水に分散させると、懸濁安定性が向上するとともに、口に含んだときのザラツキ感が低減する。
本発明の水分散性乾燥組成物は、磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材と、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を水の存在下で混合した後、共に乾燥することで、それぞれを別々に乾燥した場合と比べて、水不溶性カルシウム素材の懸濁安定性及び食感が良好となる。このような効果が得られる理由は、湿式磨砕処理を行ったものを水に分散すると、微細セルロースと水不溶性カルシウムが会合しているのに対して、微細セルロースと水不溶性カルシウムを粉体のまま単に混合したものを水に分散した場合は、それぞれの粒子が均一に分散しているためと考えられる。例えばこのような状態は試料を1%濃度で水に分散(日本精機製作所製エースホモジナイザーにより、15000rpmで5分間分散)し、光学顕微鏡で観察することにより見いだせる。
また、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が、1/9未満では微細セルロースが少ないため水不溶性カルシウム素材の沈降防止が不十分である。
また、9/1を超えると、カルシウム含量が低くなりすぎ商品としての価値が低下する。好ましくは2/8〜8/2の範囲である。
水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が2重量%未満の場合は、乾燥工程における再凝集の防止が十分に行われない。水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が70重量%を超える場合は、水不溶性カルシウム素材の含有量が低下するため商品価値が低下する。好ましくは、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が50〜98重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質が2〜50重量%である。特に好ましくは、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が60〜95重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質が5〜40重量%である。
水溶性ガム類とは、水膨潤性が高くセルロースとの水中における相溶性が良好な水溶性のガム類であり、ローカストビーンガム、グアーガム、カゼイン及びカゼインナトリウム、タマリンドシードガム、クインスシードガム、カラヤガム、キチン、キトサン、アラビアガム、トラガントガム、ガッティーガム、アラビノガラクタン、寒天、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、ペクチン、マルメロ、タラガム、アーモンドガム、アエロモナスガム、アゾトバクター・ビネランジーガム、アマシードガム、ウェランガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体等が挙げられる。好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、カラヤガム、ゼラチン、アラビアガムである。これらの水溶性ガム類は2種以上組み合わせてもかまわない。
親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、キシロース、ソルボース、トレハロース、庶糖、乳糖、麦芽糖、異性化糖、カップリングシュガー、パラチノース、ネオシュガー、還元澱粉糖化飴、ラクツロース、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等の糖類、オリゴ糖類を含む水溶性糖類、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ソルビット等の糖アルコール類等が適している。中でも澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、庶糖、乳糖、麦芽糖、ポリデキストロース、マンニトール、ソルビットが適している。これらの親水性物質は2種以上組み合わせてもかまわない。
水分散性乾燥組成物に、必要に応じて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、水溶性ガム類及び/又は親水性物質以外の成分、例えば、乳化剤、酸味料、着色料、甘味料、塩類、香料、蛋白類、油脂類等を配合するのは自由である。
本発明の水分散性乾燥組成物は、10μm以上の粒子の割合が40%以下である微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材(微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比は1/9〜9/1)の懸濁液を、水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合し、次いでこれを乾燥することにより得られる。
また、平均重合度30〜375の低重合度セルロース及び水不溶性カルシウム素材を、予め水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合して、スラリー状或いはペースト状とし、媒体撹拌ミルあるいは高圧ホモジナイザー等で磨砕して、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の10μm以上の粒子の割合が40%以下とした後、乾燥する方法も含まれる。また、低重合度セルロース及び水不溶性カルシウム素材を、水溶性ガム類及び/又は親水性物質とともに、プラネタリーミキサー、ニーダー、ライカイ機、エクストルーダー等を使用して、ケーク状にて混練磨砕を行い、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の10μm以上の粒子の割合が40%以下とした後、乾燥し、必要に応じて粉砕する方法も含まれる。
乾燥方法であるが、乾燥される対象物の水分量、状態によって最適な方法を選ぶべきである。例えば、スラリー状、ペースト状であれば、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、ドラム乾燥法、ベルト乾燥法、薄膜乾燥法等が使用できる。また、ケーク状であれば、熱風乾燥法、流動乾燥法、棚段式乾燥法、凍結乾燥法等が使用できる。ケーク状であっても、加水によりスラリー状、ペースト状とした後、噴霧乾燥法などにより乾燥することも自由である。
乾燥後の水分量の上限は、取り扱い性、経時安定性を考慮すれば、15重量%以下が好ましい。特に好ましくは10重量%以下である。更に好ましくは5重量%以下である。
なお、ドラム乾燥法、ベルト乾燥法、薄膜乾燥法、流動乾燥法等により得られた乾燥物は、薄片状で得られるので、衝撃式粉砕機、ジェットミル粉砕機等適切な方法で粉砕し、目開き425μmの篩をほぼ全通する程度に粉末化することが好ましい。
本発明の食品組成物は、カルシウムを強化する目的、或いは白濁感を付与する目的等で、本願の水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を含有することを特徴とする。
食品組成物としては、具体的には、牛乳、ミルクココア、ミルクコーヒー、豆乳等の乳性飲料、乳酸菌飲料、ココア飲料、抹茶飲料、しる粉飲料等の嗜好飲料、アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベット等の氷菓類、プリン、ゼリー、ジャム、水羊かん等のゲル状食品、ミルクセーキ、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、マヨネーズ、ドレッシング類、スプレッド類、タレ、スープ、練りがらし、フラワーペースト、調理缶詰、スプレッド、経管流動食、練りがらし、パン・ケーキ用フィリング・トッピング、あん製品、ホンザント、水産練製品、パン・ケーキ類、和菓子、麺類、パスタ類、冷凍生地等、粉末油脂、粉末香料、粉末スープ、粉末スパイス、クリームパウダー、漬け物等が挙げられる。
本発明の水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物は、カルシウムを強化する目的、或いは白濁感を付与する目的以外に、微細セルロースあるいは水溶性ガム類による懸濁安定剤、乳化安定剤、泡安定剤、組織付与剤、流動性改善剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、食物繊維基剤、油脂代替等の低カロリー化基剤等として機能も食品組成物に付与することもできる。
食品組成物の製法は、常法に従って、主原料あるいは着色料、香料、酸味料、増粘剤等の他の成分と同時に、水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を水中で分散して使用すれば良い。水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を予め水に分散した後、添加してもかまわない。
水中での再分散方法は、食品等の製造工程で通常使用される各種の分散・乳化・磨砕機等を用いることができる。例えば、プロペラ撹拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッタ一等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー及びマイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の超高圧ホモジナイザーに代表される分散・乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、タービュライザー等に代表される混練機などが使用できる。2種以上の分散機を組み合わせて使用してもかまわない。
例えば、カルシウム強化牛乳を製造する場合、牛乳に水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて、分散、均質化する、または水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物をホモミキサーで水中に十分に分散させた後、牛乳と混合することによって、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を凝集させることなく安定に分散させ、沈降を防止できる。また、飲食した場合に、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材が磨砕により微細化されているため、ざらつきを感じないという特徴もある。
従来使用されている結晶セルロースとカルシウムを複合化させることなく、別々に配合する方法では、結晶セルロースとカルシウムを共磨砕処理、及び結晶セルロースとカルシウムを共に乾燥して複合化処理していないため、結晶セルロース及びカルシウムの平均粒径が大きく、沈降防止効果は十分ではなく、また喫食時にざらつきを感じる場合があった。
食品組成物への水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物の添加量は、食品の種類によって異なるため、それぞれ最適の添加量を選択することが必要であるが、一般的には食品全体に対して水性懸濁状組成物或いは水分散性乾燥組成物を固形分として0.01〜15重量%程度配合することが好ましい。
例えば、飲料などに使用する場合は、0.02〜3重量%程度が好ましい。特に好ましくは、0.1〜1.5重量%程度である。また、マヨネーズ、アイスクリーム、ホイップクリームなどのように、ペースト状、クリーム状の食品に使用する場合は、0.05〜5重量%程度が好ましい。特に好ましくは、0.1〜3重量%程度である。また、パン、ビスケット、麺類などのように、半固形状、固形状の食品に使用する場合は、0.3〜12重量%程度が好ましい。特に好ましくは、0.5〜7重量%程度である。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、測定は以下のとおり行った。
<平均粒径、10μm以上の粒子の割合>
(1)サンプルを固形分で3.0gを、蒸留水を入れたエースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ全量を300gとする。
(2)15000rpmて5分間分散する。
(3)堀場製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−910)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径は積算体積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体積分布における割合(%)で表す。
<食感評価>
実施例、比較例によって得られた食品の食感テストを以下のように実施した。
食感テストは喫煙習慣の無い若い女性15人(平均年齢19歳)を選び、食品を調整した後、これを各々独立したパネルで食味するランダムテスト方式にて実施した。
各パネラーには、「ザラツキ感」を感じるか否か、の質問がなされ、アンケート方式にて解答が集計された。なお、「ザラツキ感」は食べたときに舌の上に残る異物感を評価したものである。この結果を基に、食感を総合的に3段階で評価した。
実施例1
市販のDPパルプ(溶解パルプ)を裁断後、7%塩酸中で105℃で20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、固形分40%のセルロースケークを調製した。このセルロースの平均粒径は25μmであり、また、平均重合度は160であった。
このセルロースと炭酸カルシウム(和光純薬製;平均粒径8.5μm、10μm以上の粒子の割合43%)を表1に示すような重量固形分比と濃度で、分散液を調製した。続いて、媒体撹拌湿式粉砕装置(コトブキ技研工業株式会社製アペックスミル、AM−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、撹拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給量0.41/mlnの条件で、2回通過で粉砕処理を行い、水性懸濁状組成物A〜Dを得た。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表1に示す。また、各組成物を1%濃度に希釈後、1日静置した後の沈降状態観察結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様に操作し、固形分40%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロースと実施例1で使用した炭酸カルシウム(和光純薬社製)を表2に示すような重量固形分比と濃度で、分散液を調製し、続いて、実施例1と同様の条件で、媒体撹拌湿式粉砕装置を用いて粉砕処理を行い、水性懸濁状組成物E〜Gを得た。但し、粉砕回数は表2の通りである。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表2に示す。また、各組成物を1%濃度に希釈後、1日間静置した後の沈降状態観察結果を表2に示す。
実施例3
実施例1と同様に操作し、固形分40%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロースとリン酸二水素カルシウム(キシダ化学社製;平均粒径9.6μm、10μm以上の粒子の割合48%)を表2に示すような重量固形分比と濃度で、分散液を調製した。続いて、超高圧ホモジナイザーであるマイクロフルイダイザーM−610(マイクロフルイディックス社製)を用いて、圧力800、1200kg/cm2でそれぞれ3回処理し、水性懸濁状組成物H〜Iを得た。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表2に示す。また、各組成物を1%濃度に希釈後、1日間静置した後の沈降状態観察結果を表2に示す。
実施例4
実施例1で得た水性懸濁状組成物A〜Dをそれぞれ用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、カラギーナン(三栄源FFI社製)、澱粉加水分解物(松谷化学社製)を配合組成がそれぞれ固形分比80/10/10とした総固形分濃度が10%の分散液を調整した。但し、水性懸濁状組成物Aについては総固形分濃度を6%とした。
次に、このペースト状分散液をアルミ板状にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥して、水分散性乾燥組成物J〜Mを得た。得られた水分散性乾燥組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例5
実施例3で得た水性懸濁状組成物H、Iをそれぞれ用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、キサンタンガム(三栄源FFI社製)、ブドウ糖(和光純薬社製)を配合組成がそれぞれ固形分比65/5/30とした、総固形分濃度が8%の分散液を調整した。
次に、このペースト状分散液を噴霧乾燥して、水分散性組成物N、Oを得た。
得られた水分散性組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例6
実施例1で得た水性懸濁状組成物Cを用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(第一工業製薬社製)
を配合組成がそれぞれ固形分比95/5とした総固形分濃度が10%の分散液を調整した。
次に、このペースト状分散液をアルミ板状にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥し、水分散性乾燥組成物Pを得た。得られた水分散性組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例7
実施例1で得た水性懸濁状組成物Cを用いて、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材、カラギーナン、ポリデキストロース(カルターフードサイエンス社製)を配合組成がそれぞれ固形分比40/10/50とした総固形分濃度が10%の分散液を調整した。
次に、このペースト状分散液をアルミ板上にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥し、水分散性乾燥組成物Vを得た。得られた水分散性組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例8
実施例1と同様に操作し、固形分40%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロース、実施例1で使用した炭酸カルシウム(和光純薬製)、カラヤガム(東洋ペトロライト社製)、澱粉加水分解物を配合組成がそれぞれ固形分比で、30/40/10/20となるように混合した後、水分を調整しながらプラネタリーミキサー(品川製作所社製)で40分間混練した。続いて、エックペレッター(不二パウダル社製)を用いて、2回押し出し混練を行った。
次に、60℃のオーブンで1昼夜乾燥させた後、バンタムミル(不二パウダル社製)で粉砕し、水分散性乾燥組成物Wを得た。得られた水分散性乾燥組成物を水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及び分散液を1日間静置した後の沈降状態を表3に示す。
実施例9
市販牛乳100部に対して、水性懸濁状組成物Bを5部(固形分としては0.75部)、あるいは水分散性乾燥組成物Kを0.5部混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて、150kg/cm2で均質化し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
実施例10
水性懸濁状組成物Bの代わりに、水分散性乾燥組成物Kを0.5部使用する以外は、実施例9と同様に操作し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
実施例11
ココア末0.5部、砂糖5部、全脂粉乳0.8部、食塩0.05部、ステアリン酸モノグリセリド0.2部、水分散性乾燥組成物Jを0.5部、粉体のまま混合した後、70℃の温水93部に添加し、プロペラ撹拌機で予備分散させる。
次に、高圧ホモジナイザーを用いて、150kg/cm2、200kg/cm2の圧力で2回通過させ、均質化させた。続いて、耐熱瓶に充填し、121℃で30分間滅菌し、カルシウム入りココア飲料を作成した。冷却後、瓶を軽く振とうした後、100mlの沈降管に入れた。
5℃で1日間静置後、カルシウム及びココアの沈降状態及び食感評価について表6に示す。
実施例12
カルシウム及び食物繊維を強化し、保形性に優れるビスケットを作成した。
水分散性乾燥組成物W30部、小麦粉300部、砂糖100部、重曹6部、食塩3部を粉体混合した後、プラネタリーミキサーへ入れ、次いでマーガリン150部、全卵30部、水50部を添加し、5分間混練した。ここで、混練時における機壁へのドウの付着性を観察したところ良好であった。次に、混練したドウを冷蔵庫に1夜置いた後、室温に戻し、厚み15mm、幅30mm×15mmの大きさに揃えた。続いて、160℃のオーブンで20分間焼成し、ビスケットを得た。ここで、焼成したビスケットはダレがなく、保形性は良好であった。
実施例13
カルシウム及び食物繊維を強化し、乳化安定性に優れる低脂肪マヨネーズ風ドレッシングを作成した。
まず、ホバートミキサーを用いて水分散性乾燥組成物K80部を水377部に分散させた後、撹拌しなからキサンタンガム3部、卵黄100部を添加する。次に、撹拌しながらサラダ油330部を添加し、撹拌を継続する。続いて、食酢70部、食塩26部、砂糖9部、洋辛子粉4部、グルタミン酸ソーダ1部を添加し、撹拌する。撹拌は計30分程度行った。続いて、コロイドミルを通過させて、乳化を行い、ドレッシングを作成した。
ドレッシングを口に含んだところ、なめらかな食感を呈し、ざらつき感は感じられなかった。また、ドレッシングをガラス瓶に入れ、95℃の熱水中に15分間浸漬したか、離水、離油は見られず、乳化は安定であった。
比較例1
実施例1と同様に操作し、表4に示す組成物Qを得た。
比較例2
実施例1と同様に操作し、固形分45%のセルロースケークを得た。
次に、このセルロースと炭酸カルシウム(和光純薬社製)を表4に示すような重量固形分比と濃度て、分散液を調製した。続いて、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、10000rpmで10分間処理して、組成物Rを得た。
平均粒径と10μm以上の留分の割合を表4に示す。また、組成物Rを1%濃度に希釈後、1日間静置した後の沈降状態観察結果を表4に示す。
比較例3
比較例1、2の組成物Q、Rを用いて、実施例4と同様に操作し、表5に示す組成物S、Tを得た。
比較例4
実施例1の水性懸濁状組成物Bをアルミ板状にキャストし、80℃のオーブンに入れ乾燥し、組成物Uを得た。得られた組成物Uを水に再分散し、平均粒径、10μm以上の粒子の割合を測定した結果、及ひ分散液を1日間静置した後の沈降状態を表5に示す。
比較例5
比較例2の組成物Rを用いて、実施例9と同様に操作し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
比較例6
比較例3の組成物Sを用いて、実施例9と同様に操作し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
比較例7
特公昭63−29973号公報に準じ、カルシウム強化牛乳を作成した。すなわち、市販結晶セルロース製剤「アビセル」RC−N81を5部、実施例1の炭酸カルンウムを2.5部、実施例3のリン酸カルシウムを2.5部を市販牛乳1000部に混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて、150kg/cm2で均質化し、カルシウム強化牛乳を作成した。
5℃で1日静置した後の沈降状態及び食感評価について表6に示す。
なお、ここで用いた「アビセル」RC−N81、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムを2/1/1の比で混合して、本発明の方法で粒度を測定したところ、平均粒径が8.8μmで、10μm以上の粒子の割合が45%であった。また、ここで用いた炭酸カルシウムの平均粒径を、特公昭63−29973号公報に記載されるストークス粒径で表示するため、沈降法で測定したところ(島津製作所製、沈降式粒度分布測定装置CP−50)、2.4μmであった。また、リン酸カルシウムは2.8μmであった。
産業上の利用可能性
水不溶性カルシウム素材を含有する本発明の水性懸濁状組成物及び水分散性乾燥組成物は、微細セルロースと複合化し、且つ磨砕処理することにより、水中での水不溶性カルシウム素材の沈降が著しく抑制され、安定な分散状態を示す。また、食感の面でもざらつき感か低減される。
従って、上記の水性懸濁状組成物あるいは水分散性乾燥組成物を含有する食品組成物は、特に飲料等において、水不溶性カルシウム素材の沈降が著しく抑制され、食感も好ましいものとなる。
また、本発明の水性懸濁状組成物及び水分散性乾燥組成物は、塗料等の工業分野において、充填剤等として水不溶性カルシウム素材を配合する場合、沈降が起こりにくいため、作業性を改善すること等が可能となる。
Claims (6)
- 湿式共磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を2重量%以上含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1であり、粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下であることを特徴とする水性懸濁状組成物。
- 微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の水性懸濁状組成物。
- 低重合度セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1であり、低重合度セルロース及び水不溶性カルシウム素材が2重量%以上となるように水に懸濁した後、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であって、粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下となるように湿式共磨砕処理することを特徴とする水性懸濁状組成物の製造方法。
- 湿式共磨砕処理を施した微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材を30〜98重量%、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を2〜70重量%含有し、微細セルロースと水不溶性カルシウム素材の重量比が1/9〜9/1である乾燥組成物であって、該乾燥組成物を水中で撹拌し再分散したとき、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の粒径10μm以上の粒子の割合が40%以下であることを特徴とする水分散性乾燥組成物。
- 乾燥組成物を水中で撹拌し再分散したとき、微細セルロース及び水不溶性カルシウム素材の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする請求の範囲第4項記載の水分散性乾燥組成物。
- 請求の範囲第1項または請求の範囲第2項記載の水性懸濁状組成物、あるいは請求の範囲第4項または請求の範囲第5項記載の水分散性乾燥組成物を含有することを特徴とする食品組成物。
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