JP3666911B2 - 水分散性微細セルロース組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はセルロースコロイドを形成し得る乾燥組成物であって、食品、医薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、触媒、その他工業用品等広い分野において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤等の安定剤、組織付与剤、クラウディー剤、白度向上、流動性改良、研磨剤、食物繊維、油脂代替物等の目的で利用可能な水中に再分散し得る微細セルロース組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりセルロースを主体とする水分散可能な組成物としては、例えば、特公昭40−12174号公報にはセルロース結晶子集合物に妨害剤を加え水性コロイド分散物を得る記載がある。また、特公昭56ー31094号公報、特公昭57−14771号公報には微結晶セルロースに分散剤、崩壊剤を組み合わせた水分散性複合体の記載がある。これらはセルロースと水溶性高分子、糖類等を水の存在下で混合、磨砕して、次いで乾燥、粉砕して複合体を得ることが開示されている。しかしながらこれらが期待する主要効果の主体となると思われるセルロースのコロイド部分に関しては、充分満足できる領域まで達していなかった。
【0003】
このためセルロース粒子を充分微細化する技術開発の努力がなされEP−415193A2には平均粒径6μm以下の水分散体が、USP−5011701には低カロリーチーズ作成のためのセルロースの微粒化方法、また、特公昭62−30220号公報には微結晶セルロース懸濁液の均質化方法の開示があるが、いずれも水スラリー状での使用を前提としており微生物の発生等による保存上の問題、水スラリーである事に由来する輸送、貯蔵上の問題、あるいは高濃度での使用ができない等、使用上の制約も大きく充分満足できるものではない。しかしながら、これらの微細セルロースは、乾燥に伴いセルロース表面同士で強い水素結合を形成し、水に再分散しない強固な構造体を作るため、微細化が進んだものほど乾燥時に粒子の移動が容易で、かつ大きな表面積を持つがゆえに、緻密で非常に強固な不可逆性の構造体を形成するため、これらの極端に微細化したセルロースを乾燥させて再分散可能な組成物にすることは難しい。
【0004】
この乾燥に伴う水素結合を防止する方法としては前述の特公昭40−12174号公報等に記載されているが、微細セルロースに単に妨害剤を配合して乾燥するという方法では、微細セルロース乾燥物を水中で撹拌しても微細セルロースは強固な不可逆性の構造体を形成しているため、元の粒径まで再分散する事は困難であった。
【0005】
また、微細セルロースを含有する乾燥物を水中で再分散させる試みとして、特願平4−259396号公報で、微細セルロース50〜98重量%に対して水溶性ガム類及び/叉は親水性物質を2〜50重量%配合し、乾燥前スラリー総重量の75重量%以上の水分の存在下で完全分散させたのち、乾燥して得た複合体が示されているが、乾燥の際、フィルム状にして乾燥した場合、フィルムを剥離させる時強いシェアが掛かり、再分散性が良好な水分散性組成物は得られなくなるため、例えばドラムドライヤーで乾燥させるとき、ドラム表面をシリコン離型剤で処理するなど格別の注意が必要であった。また、この複合体はエースホモジナイザー(日本精機(株)製AM−T)を使用し、15,000rpmという高速回転で5分間分散して再分散するが、それより低速の撹拌条件では、実際に乾燥複合体を作製した後、エースホモジナイザーを用い、10,000rpmで5分間撹拌し再分散性を調べたところ、充分には分散しなかった。
【0006】
つまり、微細セルロースを含有する複合体は、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を配合してあっても、その製造時の乾燥によりセルロースの角質化と呼ばれるセルロース粒子間の水素結合による強固な凝集ができ易くなるため、低せん断力の分散機では、元の微細セルロースの大きさまで容易に再分散されないため、ザラツキを感じる、安定性が不十分であるなど、その機能を十分に発揮することは難しかった。
【0007】
また、特願平4ー259396号公報においてはフィルム状に乾燥した複合体を衝撃式の粉砕機で粉砕によるシェアで粉砕して粉末化すると再分散性が悪化することが記載され、再分散しないものになるため、カッタータイプのもので破砕する必要があり、整粒程度の穏やかな粉砕しかできないという問題があった。粉末化できずに粗い粒子のままでは、他の粉体と粉体混合する際に混合しにくいという問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、微細セルロースを含有する乾燥組成物の水中での再分散性を改良すると同時に、衝撃式の粉砕機等によって粉末化した場合でも再分散可能としたものであって、その分散体は大部分がコロイダル部分から成り、高度の分散安定性を有し、ザラツキを感じさせないため、食品、医薬品、工業用品等の広い分野にわたり利用可能な懸濁・分散・乳化等の安定剤、保形性付与剤、組織付与剤、クラウディー剤、白度向上、流動性改良、研磨剤、食物繊維、油脂代替物等として利用可能な、水に分散性の微細セルロース乾燥組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、微細セルロースと水溶性ガム類及び/又は親水性物質とから成る組成に対して油脂類を配合することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。つまり、本発明は、平均粒径が8μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下、コロイド分画が50%以上である微細セルロース、水溶性ガム類及び/又は親水性物質、油脂類を、75%以上の水の存在下で撹拌・混合して均一なスラリーとなし、凍結乾燥、噴霧乾燥、又はフィルム状にて乾燥することによって製造される乾燥組成物であって、かつ、微細セルロース20〜98重量部と、水溶性ガム類及び/又は親水性物質2〜80重量部とから成る組成の合計100重量部に対して、油脂類を0.02〜20重量部を含有し、更に、水に分散した時の平均粒径が8μm以下で、10μm以上の粒子の割合が40%以下で、コロイド分画が65%以上であることを特徴とする水分散性微細セルロース組成物、である。
【0010】
微細セルロースと水溶性ガム類および又は親水性物質、油脂類との複合化は、乾燥時に微細セルロース同士が水素結合により再凝集することを防ぐために行われる。このため本発明における水分散性組成物は、水中で撹拌することにより容易に乾燥前のコロイド分散体に復元する、つまり再分散することを特徴としている。
【0011】
このような本発明の水分散性の組成物は、磨砕して得た微細セルロース分散液に、水溶性ガム類および又は親水性物質、油脂類を混合分散し均質な分散液となし、これを乾燥することによって得られる。
以下、更に詳細に本発明を説明する。
再分散した微細セルロース含有組成物の食感を左右する要因は二つあって、ザラツキは主に、粒度分布における10μm以上の粒子の割合が重要な要因であること、また、舌に感じるなめらかさの要因としては実用特性であるコロイド分画が重要な要因であることがわかっている。
【0012】
セルロース粒子のザラツキの主要因は粗大粒子の量にある。特に強いザラツキを感じさせるのは10μm以上の粒子であって、本発明の微細セルロース組成物を水に再分散させた場合は、40%を超えるとザラツキ感が生じる。セルロース単独の場合は10μm以上の粒子が5%を超えるとザラツキが感じられるが、本発明の微細セルロース組成物の場合は水溶性ガム類等の影響のため10μm以上の粒子が40%以下であるとザラツキは感じない。この時の平均粒径は8μm以下である。本発明の目的を効果的に達成するためには、粒度分布における10μm以上の粒子の割合が20%以下であることが好ましい。この時の平均粒径は6μm以下である。更に好ましくは、10μm以上の粒子の割合が10%以下であって、平均粒径は4μm以下である。
【0013】
また、舌で感じるなめらかさは、コロイド性セルロースを計測する実用特性であるコロイド分画と一致する。即ち、水分散性組成物の水分散物において、なめらかな組織を得るためには水分散性組成物を水に分散した時の指標としてコロイド分画が65%以上であることが必要である。コロイド分画が80%以上であることが好ましい。
【0014】
ここでコロイド分画とは、微細セルロース及び微細セルロース組成物の水分散液に一定の遠心力をかけた時、沈降することなく浮遊、分散している分散相の固形分の重量割合(%)である。即ち、水系分散液において沈降することなく安定に分散し得るコロイダル部分の割合であり、分散性及び安定性の実用上の能力を示す。また、平均粒径、10μm以上の粒子の割合はそれぞれ、レーザー法粒度分布測定装置により求められる積算体積50%の粒径、体積分布における割合(%)である。これらの測定法については実施例において詳述する。
【0015】
本発明に用いる微細セルロースは、平均粒径が8μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下であり、コロイド分画が50%以上であることが好ましい。更に好ましくは、平均粒径が6μm以下、10μm以上の粒子の割合が20%以下である。特に好ましくは、平均粒径が4μm以下で、10μm以上の粒子の割合が10%以下である。
【0016】
この微細セルロースは、木材パルプ、精製リンター等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解等、あるいはそれらの組み合わせにより解重合処理して平均重合度30〜375のセルロースとし、次いで機械的なシェアをかけ湿式磨砕することによって得ることができる。更に、この湿式磨砕した物を遠心沈降によりコロイダル部分を分画処理して得ることもできる。
【0017】
本発明に適した湿式磨砕機械としては媒体ミル類、例えば湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモジナイザー等がある。高圧ホモジナイザーとしては約500Kg/cm2 以上の高圧で、スラリーを微細オリフィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的である。これらのミルを使用した最適磨砕濃度は機種により異なるが、概ね媒体ミルで3〜15%、高圧ホモジナイザーで5〜20%の固形分濃度が適している。
【0018】
本発明の目的のためにはこれらの機種を単独で用いることもできるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも出来る。これらの機種は種々の用途における粘性要求等により適宜選択すれば良い。
水溶性ガム類とは、水膨潤性が高くセルロースとの水中における相溶性が良好な水溶性のガム類であり、ローカストビーンガム、グアーガム、カゼイン及びカゼインナトリウム、タマリンドシードガム、クインスシードガム、カラヤガム、キチン、キトサン、アラビアガム、トラガントガム、ガッティーガム、アラビノガラクタン、寒天、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、ペクチン、マルメロ、タラガム、アーモンドガム、アエロモナスガム、アゾトバクター・ビネランジーガム、アマシードガム、ウェランガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体等が挙げられる。好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、カラヤガム、ゼラチン、アラビアガムである。これらの水溶性ガム類は2種以上組み合わせてもかまわない。水溶性ガム類は多量に配合すると粘性が高くなり過ぎ、嚥下する際に喉越しが悪くなるので、50重量%以下が好ましい。特に好ましくは30重量%以下である。
【0019】
親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、キシロース、ソルボース、庶糖、乳糖、麦芽糖、異性化糖、カップリングシュガー、パラチノース、ネオシュガー、還元澱粉糖化飴、ラクツロース、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等の単糖類、オリゴ糖類を含む水溶性糖類、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ソルビット等の糖アルコール類等が適している。中でも澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、庶糖、乳糖、麦芽糖、ポリデキストロース、マンニトール、ソルビットが適している。これらの親水性物質は2種以上組み合わせてもかまわない。
【0020】
水溶性ガム類は、微細セルロースの水中への分散を迅速に行わせると共に、セルロースの分散、懸濁等の安定性を更に高め、かつ保護コロイドとしての機能を果たすことによりコロイド分画の向上に寄与する。また、親水性物質は、自身が水中で迅速に溶解することにより、微細セルロースの水中への分散を促進する。水溶性ガム類と組み合わせることによりその効果は更に高まる。微細セルロース組成物のコロイド分画を高め、分散容易性あるいは分散安定性を顕著ならしめるには、微細セルロース20〜98重量部に対して、水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が2〜80重量部であることが必要である。好ましくは微細セルロース40〜95重量部に対して、水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が5〜60重量部である。
【0021】
水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計が2重量部未満の場合は、乾燥工程における微細セルロース粒子同士の水素結合に基づく再凝集防止が十分でない。また、80重量部を超えた場合は水溶性ガム類による粘度の上昇やこれに伴い食感が低下したり、また、微細セルロース含量の低下に伴い安定剤としての性能が低下し好ましくない。コロイド分画は微細セルロース単独で測定するときは微細セルロースのコロイダルな性能そのものを表しているが、水溶性ガム類及び/又は親水性物質と複合化した場合、微細セルロースの元のコロイド分画値より高い値を与えるようになる。即ち、この水分散性組成物の再分散体の組織のなめらかさは原料微細セルロースと同等もしくはそれ以上に改良されている。
【0022】
本発明でいう、油脂類は、大豆油、ヤシ油、とうもろこし油、つばき油、パーム油、パーム核油、アマニ油、サラダ油、ゴマ油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ひまわり油、ババスウ油、カカオ脂、コメ油、サフラワー油、からし油、ジンジャー油、落花生油、キリ油、ヒマシ油、鯨油、牛脂、ラード、硬化油、乳脂肪、バター、等の動植物油類、グリセリン脂肪酸エステル及びその誘導体である酢酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド等のモノグリセリド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤類、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類及びそれらのエステル類、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セリルアルコール等の高級アルコール類、カルナウバロウ、カンデリラロウ、コメヌカロウ、シェラック、ミツロウ、ラノリン等のワックス類、パラフィンワックス、流動パラフィン、スクワレン等の炭化水素類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーンオイル類から選ばれる1種叉は2種以上の組み合わせからなるものであることを意味する。
界面活性剤の場合、親水性のものより疎水性のものが好ましく、HLB値として13以下が好ましい。油脂類はそのまま加えることができるが、動植物油等に界面活性剤、水等を加えて均質化することによって得られる乳化物の形態にした後に添加してもかまわない。また、油脂類を含有しているマーガリン、生クリーム等の形態で配合してもかまわない。
【0023】
油脂類の配合量は、微細セルロース20〜98重量部と、水溶性ガム類及び/又は親水性物質2〜80重量部とから成る組成に対して、0.02〜20重量部である。0.02重量部未満では、組成物の分散を容易にしたり、粉末化した場合に再分散性を維持する効果はない。20重量部を超えると、組成物を水中で撹拌しても内部への水の浸透が起こり難くなるため、再分散性が低下するので好ましくない。好ましくは0.1〜10重量部である。特に好ましくは0.2〜5重量部である。
【0024】
微細セルロース、水溶性ガム類、親水性物質、油脂類以外の成分の配合については、組成物の水中での分散を阻害しない程度に配合することは自由である。
本発明の組成物は、まず磨砕して得た平均粒径が8μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下、コロイド分画が50%以上である微細セルロースを水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合してスラリーとなすが、同時に或いはその前後に油脂類を添加して混合した後、次いでこれを乾燥させることによって得られる。また、微細セルロースと水溶性ガム類及び/又は親水性物質、油脂類を配合し乾燥した後に、さらに水溶性ガム類及び/又は親水性物質を粉体混合により追加し、80重量部以下の範囲にすることも本発明に含まれる。
また、解重合処理したセルロースを予め水溶性ガム類及び/又は親水性物質、油脂類と混合し、湿式媒体ミルあるいは高圧ホモジナイザー等で磨砕してスラリーとする方法も含まれる。いずれの場合も、水溶性ガム類及び/又は親水性物質、油脂類との混合、分散に当たっては、特に水溶性ガム類を十分溶解させること、及び水溶性ガム類他と混合する際、微細セルロースを分散液中で均一に分散させなければならない。このためには微細セルロースと水溶性ガム類その他を混合する時に全重量の75%以上の水の存在下に充分撹拌し均一に混合することが好ましい。この際予め水溶性ガム類その他を適当量の水に分散した後に加え混合することがより効果的である。加熱処理は水溶性ガムの溶解を促進するための効果的な方法である。
【0025】
乾燥は水分散性組成物の性能を左右する大きな要因である。水分散性組成物の水への再分散性を確保するためには、組成物はその内部に網目状の無数の微細な亀裂や空洞を有していることが好ましい。この亀裂が導水性の細孔となることによって、水溶性ガム類、親水性物質の溶解、微細セルロースの分散を促進する。この亀裂は0.05〜0.5μm程度の隙間であって、細孔同士の間隔は最大で3μm程度に抑えることが好ましい。この構造を与える乾燥方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥等を採用することも出来るがフィルム状にて乾燥することが好ましい。凍結乾燥法は生産効率が悪く、噴霧乾燥法は大きな装置を必要とする上に製品の品質制御が困難で乾燥製品の再分散性能がバラツキ易い欠点がある。噴霧乾燥機を使用する場合はこのバラツキを少なくするため噴霧粒径を小さく保ち、かつ乾燥速度をできるだけ速やかに行う工夫が必要である。
【0026】
微細セルロース組成物の分散性が最も良い方法としては、フィルム状にて乾燥する方法が優れている。フィルム状にて乾燥する方法とは即ち、微細セルロースと水溶性ガム類及び/又は親水性物質、油脂類の混合スラリーを、ガラス、ステンレス、アルミニウム、ニッケル・クロムメッキ鋼板等の基材上にキャスティングして乾燥する方法である。基材は予め加熱されていても良く、またキャスティング後、赤外線、熱風、高周波等にて加熱しても良い。乾燥温度は200℃以下、キャスティングの厚みはスラリーの厚みとして10mm以下が好ましい。スラリー濃度はフィルム状に展開できる濃度であれば良く、特に制限はないが実用的には5%から20%程度の固形分濃度の範囲が作業が容易で良好な乾燥物が得られる。また、工業的にはスチールベルトドライヤー、ドラムドライヤー、ディスクドライヤー等の乾燥機が採用出来る。このフィルム状にて乾燥された製品は、いわゆるフィルム状のものから箔状、薄片状、鱗片状、線条状、粉末状のものまで含まれる。
【0027】
組成物の製品水分は全重量の1〜20%であることが好ましい。水分が高いとハンドリング性不良、べたつき、腐敗の問題があるためで、製品水分は20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下がよい。また、製品水分が1%未満では、過剰乾燥のため組成物の再分散性が悪化するため好ましくない。特に好ましくは1.5%以上である。
【0028】
以上の様にして得られた微細セルロース組成物は、1〜20%の水分を含む微細な細孔構造を持つ乾燥製品であり、これを水中で撹拌した時容易に分散し、平均粒径8μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下、コロイド分画が65%以上の性能を有し、セルロースが均一に分散したなめらかな組織を持つザラツキの無い安定なコロイド分散体を形成する。
【0029】
本願の組成物の水中での再分散方法は、食品等の製造工程で通常使用される各種の分散・乳化・磨砕機等を用いることができる。例えば、プロペラ撹拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー及びマイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の超高圧ホモジナイザーに代表される分散・乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、タービュライザー等に代表される混練・磨砕機等が使用できる。その場合、微細セルロース組成物のみを水に分散しても良いし、主成分あるいは着色料、香料、酸味料、増粘剤等の他の成分と同時に水に分散してもかまわない。
【0030】
本発明の微細セルロース組成物は、コロイド分画が著しく向上したものであり食品、医薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、工業品等における懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、クラウディー剤等均一な分散性及びその長期な安定性が求められる分野において効果を発揮する。更に、本発明の微細セルロース組成物は特殊な分散機を用いることなくセルロースのコロイド粒子を発生させることが可能であり、このため安定剤としての性能が著しく向上すると共に、ザラツキの問題が解消され、滑らかさが向上するため、その使用範囲を拡大することが可能となる。
【0031】
例えば、食品分野における例を上げれば、ココア飲料、ジュース飲料、抹茶飲料、しる粉飲料等の嗜好飲料、ミルクココア、ミルクコーヒー、乳酸菌飲料、豆乳等の乳性飲料、アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベット等の氷菓類、プリン、ゼリー、ジャム、水羊かん等のゲル状食品、ミルクセーキ、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、マヨネーズ、ドレッシング類、スプレッド類、タレ、スープ、練りがらし、フラワーペースト、調理缶詰、スプレッド、経管流動食、練りがらし、パン・ケーキ用フィリング・トッピング、あん製品、ホンザント、水産練製品、パン・ケーキ類、和菓子、麺類、パスタ類、冷凍生地等、粉末油脂、粉末香料、粉末スープ、粉末スパイス、クリームパウダー等、において懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性改善剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基剤として使用でき、更に上記食品全般における食物繊維基剤、油脂代替等の低カロリー化基剤等の用法がある。
【0032】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、測定は以下のとおり行った。
<コロイド分画>
(1)サンプルを固形分で0.75gを、蒸留水を入れたエースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ全量を300gとする。
(2)15000rpmで2分間分散する。
(3)分散液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤する。
(4)残りの分散液を遠沈管に移し2000rpmで15分間遠心分離する(国産遠心器製H−300型)。その上澄み液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤する。
(5)(3)、(4)の秤量瓶を105℃の乾燥器で10時間蒸発乾固する。
(6)(3)の固形分重量を精秤する。Ag
(7)(4)の固形分重量を精秤する。Bg
(8)微細セルロース以外の成分(水溶性ガム、親水性物質、油脂類の合計)の補正を行う。
微細セルロース以外の成分量:S%とすると、
コロイド分画(%)=(B−AS/100)×100/A(1−S/100)
<平均粒径、10μm以上の粒子の割合>
(1)サンプルを固形分で3.0gを、蒸留水を入れたエースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ全量を300gとする。
(2)15000rpmで5分間分散する。
(3)堀場レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−500)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径は積算体積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体積分布における割合(%)で表す。
<水分の測定>
(1)サンプル約2gを秤量瓶に入れ、精秤する。
(2)秤量瓶を熱風乾燥機に入れ、105℃で5時間乾燥する。
(3)サンプル重量を測定し、減量から水分(%)を求める。
【0033】
【実施例1】
市販DPパルプを細断後、10%塩酸中で105℃20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄した後、固形分10%のセルロース分散液を調製した。この加水分解セルロースの平均粒径は17μmであった。このセルロース分散液を媒体撹拌湿式粉砕装置(コトブキ技研工業株式会社製アペックスミル、AM−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、撹拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給量0.4l/minの条件で2回通過で粉砕処理を行い、微細セルロースのペースト状物を得た。この微細セルロースのコロイド分画は73%、積算体積50%の粒径は3.1μm、10μm以上の粒子の割合は2.3%であった。
【0034】
次に、固形分当たり微細セルロース75重量部、キサンタンガム(ビストップ、三栄化学工業製)5重量部、澱粉加水分解物(パインデックス、松谷化学工業製)20重量部に対して、サラダ油(日清製油製)1重量部となるように混合し、総固形分濃度が10%のペースト状分散液を調整した。この分散液をドラムドライヤー(楠木機械製作所製KDD−1型)で、水蒸気圧力1.2Kg/cm2、回転数1.0rpmで乾燥し、スクレーパーで掻き取って取り出した。続いて、カッティングタイプの粉砕機であるフラッシュミル(不二パウダル製)で粗砕して1000μm以下とし、薄片状、鱗片状の水分散性微細セルロース組成物Aを得た。水分散性微細セルロース組成物Aの水分は3.6%で、コロイド分画は97%、積算体積50%の粒径が3.2μm、10μm以上の粒子の割合は2.8%であり、その5重量%水分散体はザラツキの無い滑らかな食感を有しておりまた、この水分散体を顕微鏡で観察した結果、セルロース粒子は均一に分散しており粗大な凝集体は見られなかった。なお、「滑らかさ」は口に入れた瞬間のとろける感触を、「ザラツキ」は後口として舌の上に残る異物感を評価したものである。なお、エースホモジナイザーを用いて10000rpmで5分間分散させたときも積算体積50%の粒径が3.3μm、10μm以上の粒子の割合は3.0%であり、15000rpm分散の結果と同じであった。
【0035】
【実施例2】
実施例1の粗砕前の乾燥品を衝撃式粉砕機(日本精機製作所製)で粉砕して150μm以下とし、粉末状の水分散性微細セルロース組成物Bを得た。水分散性微細セルロース組成物Bの水分は3.7%で、コロイド分画は90%、積算体積50%の粒径が3.5μm、10μm以上の粒子の割合は3.4%であった。なお、エースホモジナイザーを用いて10000rpmで5分間分散させたときも積算体積50%の粒径が3.7μm、10μm以上の粒子の割合は3.5%であり、15000rpm分散の結果と同じであった。
【0036】
【実施例3】
固形分当たり実施例1の微細セルロース60重量部、λーカラギーナン(CS−67、三栄化学工業製)20重量部、D−ソルビット(片山化学工業製)20重量部に対して、エコナクッキングオイル(花王製)0.2重量部となるように混合して、総固形分濃度が8%の分散液を調整した。この分散液をドラムドライヤー(KDD−1型)で、水蒸気圧力3.0Kg/cm2 、回転数0.8rpmで乾燥してフィルム状の乾燥物を得た。この乾燥品を衝撃式粉砕機(日本精機製作所製)で粉砕して150μm以下とし、粉末状の水分散性微細セルロース組成物Cを得た。水分散性微細セルロース組成物Cの水分は4.2%で、コロイド分画は94%、積算体積50%の粒径が2.9μm、10μm以上の粒子の割合は2.0%であった。
【0037】
【実施例4】
固形分当たり実施例1の微細セルロース95重量部、CMC−Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム、第一工業製薬製)5重量部に対して、エコナクッキングオイル3重量部となるように混合して、総固形分濃度が12%の分散液を調整した。この分散液を実施例3と同じ条件でドラムドライヤーで乾燥した。この乾燥品を実施例2と同じように粉砕して150μm以下とし、粉末状の水分散性微細セルロース組成物Dを得た。水分散性微細セルロース組成物Dの水分は5.8%で、コロイド分画は88%、積算体積50%の粒径が3.4μm、10μm以上の粒子の割合は3.6%であった。
【0038】
【実施例5】
市販DPパルプを細断後、10%塩酸中で105℃で20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄した後、固形分13%のセルロース分散液を調製した。このセルロース分散液を高圧破砕装置(ナノマイザー株式会社製ナノマイザーLA−31型)で、1300Kg/cm2 、3回通過で破砕処理を行い、微細セルロースのペースト状物を得た。この微細セルロースのコロイド分画は82%、積算体積50%の粒径は5.6μm、10μm以上の粒子の割合は15.5%であった。
【0039】
この微細セルロース、ポリデキストロース(ライテス、ファイザー社製)、ステアリン酸モノグリセリド(エキセル150、花王製)を配合組成がそれぞれ固形分比で30/70/2とした総固形分濃度が18重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同様の方法で乾燥、粉砕を行い、水分散性微細セルロース組成物Eを得た。この組成物Eは、水分が3.5重量%、コロイド分画は75%、平均粒径は5.8μm、10μm以上の粒子の割合は16.8%であり、その5重量%水分散体はザラツキの無い滑らかな食感を有していた。
【0040】
【実施例6】
固形分当たり実施例1の微細セルロース60重量部、キサンタンガム5重量部、澱粉加水分解物35重量部に対して、コメ油(日清製油製)0.5重量部を混合して、総固形分濃度が5%の分散液を調整した。これを撹拌しながら80℃30分間の加熱処理を行った後排出温度80℃で噴霧乾燥を行い、水分散性微細セルロース組成物Fを得た。
【0041】
水分散性組成物Fの水分は3.6%で、積算体積50%の粒径が3.2μm、10μm以上の粒子の割合は2.2%、コロイド分画は96%であった。
【0042】
【実施例7】
実施例6において分散液の総固形分濃度が12%となるように調製した。ドラム回転数を2rpmにする以外は実施例3と同じように乾燥し、水分散性微細セルロース組成物Gを得た。水分散性組成物Gの水分は5.6%で、積算体積50%の粒径が3.4μm、10μm以上の粒子の割合は2.3%、コロイド分画は86%であった。
【0043】
【実施例8】
サラダ油40%、モノステアリン酸ジグリセリド(サンソフトQ18D、HLB値7、太陽化学製)10%、水50%をTKホモミキサーで撹拌して、乳化物を得た。続いて、固形分当たり実施例1の微細セルロース80重量部、CMC−Na5重量部、澱粉加水分解物15重量部に対して、乳化物5重量部(油脂類としては2.5重量部)を混合し、総固形分濃度が12%の分散液を調整した。この分散液を実施例3と同様に乾燥した。この乾燥品をジェットミル(セイシン企業製)で粉砕して150μm以下とし、粉末状の水分散性微細セルロース組成物Hを得た。水分散性微細セルロース組成物Hの水分は4.3%で、コロイド分画は85%、積算体積50%の粒径が3.4μm、10μm以上の粒子の割合は3.2%であった。
【0044】
【実施例9】
オレイン酸(片山化学工業製)を使用する以外は実施例1と同じように操作して、水分散性微細セルロース組成物Iを得た。組成物Iの水分は2.3%で、コロイド分画は88%、積算体積50%の粒径が3.7μm、10μm以上の粒子の割合は4.5%であった。
【0045】
【比較例1】
実施例1と同じ方法で、サラダ油を配合せずに組成物Jを得た。なお、この方法は、特願平4ー259396号公報の実施例5において、ドラムドライヤーの表面をシリコーン離型剤で処理しない方法に準じている。組成物Jの水分は3.2%で、コロイド分画は70%、積算体積50%の粒径が9.5μm、10μm以上の粒子の割合は47%であり、その5重量%水分散体を口に含むとザラツキが感じられた。
【0046】
【比較例2】
実施例4と同じ方法で、エコナクッキングオイルを配合せずに組成物Kを得た。この方法は、特願平4ー259396号公報の比較例3の方法に準じており、そこでは、衝撃式粉砕機で粉砕すると再分散しなくなることが記載されている。組成物Kの水分は5.2%、コロイド分画は60%、積算体積50%の粒径が14μm、10μm以上の粒子の割合は56%であり、その5重量%水分散体を口に含むとザラツキが感じられた。
【0047】
【比較例3】
実施例5と同じ方法で、ステアリン酸モノグリセリドを配合せずに組成物Lを得た。組成物Lの水分は3.2%、コロイド分画は40%、積算体積50%の粒径が11μm、10μm以上の粒子の割合は52%であり、その5重量%水分散体を口に含むとザラツキが感じられた。
【0048】
【比較例4】
実施例1のセルロース分散液を媒体撹拌湿式粉砕装置(コトブキ技研工業株式会社製アペックスミル、AM−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、撹拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給量0.4l/minの条件で1回通過で粉砕処理を行い、セルロースのペースト状物を得た。このセルロースのコロイド分画は45%、積算体積50%の粒径は7.2μm、10μm以上の粒子の割合は33%であった。
【0049】
このセルロースを用いて、実施例4と同じように操作して組成物Mを得た。組成物Mの水分は5.5%、コロイド分画は52%、積算体積50%の粒径が7.0μm、10μm以上の粒子の割合は31%であり、その5重量%水分散体を口に含むとやや肌理が粗くザラツキが感じられた。
【0050】
【比較例5】
実施例1のセルロース分散液を高圧破砕装置(ナノマイザー株式会社製ナノマイザーLA−31型)で、1300Kg/cm2 、1回通過で破砕処理を行い、セルロースのペースト状物を得た。このセルロースのコロイド分画は52%、積算体積50%の粒径は10.6μm、10μm以上の粒子の割合は51.5%であった。
【0051】
このセルロースを用いて、実施例5と同じように操作して組成物Nを得た。組成物Nの水分は3.1%、コロイド分画は50%、積算体積50%の粒径が11.7μm、10μm以上の粒子の割合は55%であり、その5重量%水分散体を口に含むと肌理が粗くザラツキが感じられた。
【0052】
【比較例6】
固形分当たり実施例1の微細セルロース100重量部に対して、エコナクッキングオイル3重量部となるように混合して、総固形分濃度が12%の分散液を調整し、実施例4と同様に操作して、組成物Oを得た。組成物Oの水分は3.6%で、コロイド分画は15%、積算体積50%の粒径が26μm、10μm以上の粒子の割合は77%であった。
【0053】
【参考例】
実施例1と同じ方法で、サラダ油を配合せずに、また、ドラムドライヤーの表面をシリコーン離型剤で処理する方法で組成物Pを得た。なお、この方法は、特願平4ー259396号公報の実施例5に準じている。組成物Pの水分は4.8%、コロイド分画は95%、積算体積50%の粒径が3.2μm、10μm以上の粒子の割合は2.8%であった。しかし、エースホモジナイザーを用いて10000rpmで5分間分散させると積算体積50%の粒径が8.6μm、10μm以上の粒子の割合は43.0%であり、再分散時のシェアが低くなると充分な分散を示さなかった。
【0054】
【発明の効果】
従来の微細セルロース、水溶性ガム類、親水性物質からなる組成物は、フィルム状で乾燥させても、剥離する際に強いシェアを掛けると再分散性が悪化するため、例えばドラムドライヤーで乾燥するときドラム表面を離型剤で前処理する必要があったが、本発明の水分散性微細セルロース組成物は、潤滑作用のある油脂類を含有するため、ドラム表面の前処理など格別の注意は必要でなしに、低せん断力の分散でも容易に水中へ分散するのが特徴で、水に分散した時ザラツキを感じさせずに、微細セルロースのコロイド性により安定剤として機能する。
【0055】
また、従来の組成物は、衝撃式の粉砕機で粉砕すると再分散性が悪化する問題があったが、本発明の組成物は粒子内部に潤滑作用を持つ油脂類を含有しているため、衝撃式の粉砕機であるハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等で粉砕して粉末化しても再分散性は良好である。粉末化が可能となるため、他の粉末との均一な粉体混合ができる。
【0056】
本発明の水分散性微細セルロース組成物は、コロイド分画が著しく向上したものであり食品、医薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、工業品等における懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、クラウディー剤等均一な分散性及びその長期な安定性が求められる分野において効果を発揮する。更に、本発明の水分散性微細セルロース組成物は低せん断力の分散機を用いても元の微細セルロースの粒径に容易に再分散するため、特殊な分散機を用いることなく多量のコロイド粒子を発生させることが可能であり、このため安定剤としての性能が著しく向上すると共にその使用範囲を拡大することが可能となる。
【0057】
例えば、食品分野等において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性改善剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基剤として使用でき、更に食物繊維基剤、油脂代替等の低カロリー化基剤等の用法がある。
Claims (1)
- 平均粒径が8μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下、コロイド分画が50%以上である微細セルロース、水溶性ガム類及び/又は親水性物質、油脂類を、75%以上の水の存在下で撹拌・混合して均一なスラリーとなし、凍結乾燥、噴霧乾燥、又はフィルム状にて乾燥することによって製造される乾燥組成物であって、かつ、微細セルロース20〜98重量部と、水溶性ガム類及び/又は親水性物質2〜80重量部とから成る組成の合計100重量部に対して、油脂類を0.02〜20重量部を含有し、更に、水に分散した時の平均粒径が8μm以下で、10μm以上の粒子の割合が40%以下で、コロイド分画が65%以上であることを特徴とする水分散性微細セルロース組成物。
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