JPH08151481A - 水分散性微細セルロース組成物及びその製造方法 - Google Patents

水分散性微細セルロース組成物及びその製造方法

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JPH08151481A
JPH08151481A JP6292584A JP29258494A JPH08151481A JP H08151481 A JPH08151481 A JP H08151481A JP 6292584 A JP6292584 A JP 6292584A JP 29258494 A JP29258494 A JP 29258494A JP H08151481 A JPH08151481 A JP H08151481A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水中で再分散する微細セルロース含有組成物
を提供する。 【構成】 微細セルロースと、水溶性ガム類及び叉は親
水性物質、及び油脂類からなる乾燥組成物であり、その
乾燥組成物を水に再分散した時のコロイド分画が65%
以上で、平均粒径が8μm以下で、10μm以上の粒子
の割合が40%以下である水分散性微細セルロース組成
物。 【効果】 食品、医薬品等に用いられる安定剤としての
性能が著しく向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセルロースコロイドを形
成し得る乾燥組成物であって、食品、医薬品、化粧品、
塗料、セラミックス、樹脂、触媒、その他工業用品等広
い分野において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤
等の安定剤、組織付与剤、クラウディー剤、白度向上、
流動性改良、研磨剤、食物繊維、油脂代替物等の目的で
利用可能な水中に再分散し得る微細セルロース組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりセルロースを主体とする水分散
可能な組成物としては、例えば、特公昭40−1217
4号公報にはセルロース結晶子集合物に妨害剤を加え水
性コロイド分散物を得る記載がある。また、特公昭56
ー31094号公報、特公昭57−14771号公報に
は微結晶セルロースに分散剤、崩壊剤を組み合わせた水
分散性複合体の記載がある。これらはセルロースと水溶
性高分子、糖類等を水の存在下で混合、磨砕して、次い
で乾燥、粉砕して複合体を得ることが開示されている。
しかしながらこれらが期待する主要効果の主体となると
思われるセルロースのコロイド部分に関しては、充分満
足できる領域まで達していなかった。
【0003】このためセルロース粒子を充分微細化する
技術開発の努力がなされEP−415193A2には平
均粒径6μm以下の水分散体が、USP−501170
1には低カロリーチーズ作成のためのセルロースの微粒
化方法、また、特公昭62−30220号公報には微結
晶セルロース懸濁液の均質化方法の開示があるが、いず
れも水スラリー状での使用を前提としており微生物の発
生等による保存上の問題、水スラリーである事に由来す
る輸送、貯蔵上の問題、あるいは高濃度での使用ができ
ない等、使用上の制約も大きく充分満足できるものでは
ない。しかしながら、これらの微細セルロースは、乾燥
に伴いセルロース表面同士で強い水素結合を形成し、水
に再分散しない強固な構造体を作るため、微細化が進ん
だものほど乾燥時に粒子の移動が容易で、かつ大きな表
面積を持つがゆえに、緻密で非常に強固な不可逆性の構
造体を形成するため、これらの極端に微細化したセルロ
ースを乾燥させて再分散可能な組成物にすることは難し
い。
【0004】この乾燥に伴う水素結合を防止する方法と
しては前述の特公昭40−12174号公報等に記載さ
れているが、微細セルロースに単に妨害剤を配合して乾
燥するという方法では、微細セルロース乾燥物を水中で
撹拌しても微細セルロースは強固な不可逆性の構造体を
形成しているため、元の粒径まで再分散する事は困難で
あった。
【0005】また、微細セルロースを含有する乾燥物を
水中で再分散させる試みとして、特願平4−25939
6号公報で、微細セルロース50〜98重量%に対して
水溶性ガム類及び/叉は親水性物質を2〜50重量%配
合し、乾燥前スラリー総重量の75重量%以上の水分の
存在下で完全分散させたのち、乾燥して得た複合体が示
されているが、乾燥の際、フィルム状にして乾燥した場
合、フィルムを剥離させる時強いシェアが掛かり、再分
散性が良好な水分散性組成物は得られなくなるため、例
えばドラムドライヤーで乾燥させるとき、ドラム表面を
シリコン離型剤で処理するなど格別の注意が必要であっ
た。また、この複合体はエースホモジナイザー(日本精
機(株)製AM−T)を使用し、15,000rpmと
いう高速回転で5分間分散して再分散するが、それより
低速の撹拌条件では、実際に乾燥複合体を作製した後、
エースホモジナイザーを用い、10,000rpmで5
分間撹拌し再分散性を調べたところ、充分には分散しな
かった。
【0006】つまり、微細セルロースを含有する複合体
は、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を配合してあっ
ても、その製造時の乾燥によりセルロースの角質化と呼
ばれるセルロース粒子間の水素結合による強固な凝集が
でき易くなるため、低せん断力の分散機では、元の微細
セルロースの大きさまで容易に再分散されないため、ザ
ラツキを感じる、安定性が不十分であるなど、その機能
を十分に発揮することは難しかった。
【0007】また、特願平4ー259396号公報にお
いてはフィルム状に乾燥した複合体を衝撃式の粉砕機で
粉砕によるシェアで粉砕して粉末化すると再分散性が悪
化することが記載され、再分散しないものになるため、
カッタータイプのもので破砕する必要があり、整粒程度
の穏やかな粉砕しかできないという問題があった。粉末
化できずに粗い粒子のままでは、他の粉体と粉体混合す
る際に混合しにくいという問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、微細セルロ
ースを含有する乾燥組成物の水中での再分散性を改良す
ると同時に、衝撃式の粉砕機等によって粉末化した場合
でも再分散可能としたものであって、その分散体は大部
分がコロイダル部分から成り、高度の分散安定性を有
し、ザラツキを感じさせないため、食品、医薬品、工業
用品等の広い分野にわたり利用可能な懸濁・分散・乳化
等の安定剤、保形性付与剤、組織付与剤、クラウディー
剤、白度向上、流動性改良、研磨剤、食物繊維、油脂代
替物等として利用可能な、水に分散性の微細セルロース
乾燥組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、微細セルロ
ースと水溶性ガム類及び/又は親水性物質とから成る組
成に対して油脂類を配合することで、上記課題を解決で
きることを見出し、本発明を完成した。つまり本発明
は、微細セルロース20〜98重量部と、水溶性ガム類
及び/又は親水性物質2〜80重量部とから成る組成に
対して、油脂類を0.02〜20重量部配合した水に分
散性の乾燥組成物であって、該組成物を水に再分散した
時の平均粒径が8μm以下で、10μm以上の粒子の割
合が40%以下で、コロイド分画が65%以上であるこ
とを特徴とする水分散性微細セルロース組成物である。
【0010】微細セルロースと水溶性ガム類および又は
親水性物質、油脂類との複合化は、乾燥時に微細セルロ
ース同士が水素結合により再凝集することを防ぐために
行われる。このため本発明における水分散性組成物は、
水中で撹拌することにより容易に乾燥前のコロイド分散
体に復元する、つまり再分散することを特徴としてい
る。
【0011】このような本発明の水分散性の組成物は、
磨砕して得た微細セルロース分散液に、水溶性ガム類お
よび又は親水性物質、油脂類を混合分散し均質な分散液
となし、これを乾燥することによって得られる。以下、
更に詳細に本発明を説明する。再分散した微細セルロー
ス含有組成物の食感を左右する要因は二つあって、ザラ
ツキは主に、粒度分布における10μm以上の粒子の割
合が重要な要因であること、また、舌に感じるなめらか
さの要因としては実用特性であるコロイド分画が重要な
要因であることがわかっている。
【0012】セルロース粒子のザラツキの主要因は粗大
粒子の量にある。特に強いザラツキを感じさせるのは1
0μm以上の粒子であって、本発明の微細セルロース組
成物を水に再分散させた場合は、40%を超えるとザラ
ツキ感が生じる。セルロース単独の場合は10μm以上
の粒子が5%を超えるとザラツキが感じられるが、本発
明の微細セルロース組成物の場合は水溶性ガム類等の影
響のため10μm以上の粒子が40%以下であるとザラ
ツキは感じない。この時の平均粒径は8μm以下であ
る。本発明の目的を効果的に達成するためには、粒度分
布における10μm以上の粒子の割合が20%以下であ
ることが好ましい。この時の平均粒径は6μm以下であ
る。更に好ましくは、10μm以上の粒子の割合が10
%以下であって、平均粒径は4μm以下である。
【0013】また、舌で感じるなめらかさは、コロイド
性セルロースを計測する実用特性であるコロイド分画と
一致する。即ち、水分散性組成物の水分散物において、
なめらかな組織を得るためには水分散性組成物を水に分
散した時の指標としてコロイド分画が65%以上である
ことが必要である。コロイド分画が80%以上であるこ
とが好ましい。
【0014】ここでコロイド分画とは、微細セルロース
及び微細セルロース組成物の水分散液に一定の遠心力を
かけた時、沈降することなく浮遊、分散している分散相
の固形分の重量割合(%)である。即ち、水系分散液に
おいて沈降することなく安定に分散し得るコロイダル部
分の割合であり、分散性及び安定性の実用上の能力を示
す。また、平均粒径、10μm以上の粒子の割合はそれ
ぞれ、レーザー法粒度分布測定装置により求められる積
算体積50%の粒径、体積分布における割合(%)であ
る。これらの測定法については実施例において詳述す
る。
【0015】本発明に用いる微細セルロースは、平均粒
径が8μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以
下であり、コロイド分画が50%以上であることが好ま
しい。更に好ましくは、平均粒径が6μm以下、10μ
m以上の粒子の割合が20%以下である。特に好ましく
は、平均粒径が4μm以下で、10μm以上の粒子の割
合が10%以下である。
【0016】この微細セルロースは、木材パルプ、精製
リンター等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ
酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解
等、あるいはそれらの組み合わせにより解重合処理して
平均重合度30〜375のセルロースとし、次いで機械
的なシェアをかけ湿式磨砕することによって得ることが
できる。更に、この湿式磨砕した物を遠心沈降によりコ
ロイダル部分を分画処理して得ることもできる。
【0017】本発明に適した湿式磨砕機械としては媒体
ミル類、例えば湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式
ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式
ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモ
ジナイザー等がある。高圧ホモジナイザーとしては約5
00Kg/cm2 以上の高圧で、スラリーを微細オリフ
ィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的であ
る。これらのミルを使用した最適磨砕濃度は機種により
異なるが、概ね媒体ミルで3〜15%、高圧ホモジナイ
ザーで5〜20%の固形分濃度が適している。
【0018】本発明の目的のためにはこれらの機種を単
独で用いることもできるが、二種以上の機種を組み合わ
せて用いることも出来る。これらの機種は種々の用途に
おける粘性要求等により適宜選択すれば良い。水溶性ガ
ム類とは、水膨潤性が高くセルロースとの水中における
相溶性が良好な水溶性のガム類であり、ローカストビー
ンガム、グアーガム、カゼイン及びカゼインナトリウ
ム、タマリンドシードガム、クインスシードガム、カラ
ヤガム、キチン、キトサン、アラビアガム、トラガント
ガム、ガッティーガム、アラビノガラクタン、寒天、カ
ラギーナン、アルギン酸及びその塩、アルギン酸プロピ
レングリコールエステル、ファーセレラン、ペクチン、
マルメロ、タラガム、アーモンドガム、アエロモナスガ
ム、アゾトバクター・ビネランジーガム、アマシードガ
ム、ウェランガム、サイリウムシードガム、キサンタン
ガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェラン
ガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム等のセルロース誘導体等が挙げられる。好ましくは、
カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガ
ム、カラギーナン、ペクチン、カラヤガム、ゼラチン、
アラビアガムである。これらの水溶性ガム類は2種以上
組み合わせてもかまわない。水溶性ガム類は多量に配合
すると粘性が高くなり過ぎ、嚥下する際に喉越しが悪く
なるので、50重量%以下が好ましい。特に好ましくは
30重量%以下である。
【0019】親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘
性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解
物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、キシロース、ソ
ルボース、庶糖、乳糖、麦芽糖、異性化糖、カップリン
グシュガー、パラチノース、ネオシュガー、還元澱粉糖
化飴、ラクツロース、ポリデキストロース、フラクトオ
リゴ糖、ガラクトオリゴ糖等の単糖類、オリゴ糖類を含
む水溶性糖類、キシリトール、マンニトール、マルチト
ール、ソルビット等の糖アルコール類等が適している。
中でも澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果
糖、庶糖、乳糖、麦芽糖、ポリデキストロース、マンニ
トール、ソルビットが適している。これらの親水性物質
は2種以上組み合わせてもかまわない。
【0020】水溶性ガム類は、微細セルロースの水中へ
の分散を迅速に行わせると共に、セルロースの分散、懸
濁等の安定性を更に高め、かつ保護コロイドとしての機
能を果たすことによりコロイド分画の向上に寄与する。
また、親水性物質は、自身が水中で迅速に溶解すること
により、微細セルロースの水中への分散を促進する。水
溶性ガム類と組み合わせることによりその効果は更に高
まる。微細セルロース組成物のコロイド分画を高め、分
散容易性あるいは分散安定性を顕著ならしめるには、微
細セルロース20〜98重量部に対して、水溶性ガム類
及び/又は親水性物質の合計が2〜80重量部であるこ
とが必要である。好ましくは微細セルロース40〜95
重量部に対して、水溶性ガム類及び/又は親水性物質の
合計が5〜60重量部である。
【0021】水溶性ガム類及び/又は親水性物質の合計
が2重量部未満の場合は、乾燥工程における微細セルロ
ース粒子同士の水素結合に基づく再凝集防止が十分でな
い。また、80重量部を超えた場合は水溶性ガム類によ
る粘度の上昇やこれに伴い食感が低下したり、また、微
細セルロース含量の低下に伴い安定剤としての性能が低
下し好ましくない。コロイド分画は微細セルロース単独
で測定するときは微細セルロースのコロイダルな性能そ
のものを表しているが、水溶性ガム類及び/又は親水性
物質と複合化した場合、微細セルロースの元のコロイド
分画値より高い値を与えるようになる。即ち、この水分
散性組成物の再分散体の組織のなめらかさは原料微細セ
ルロースと同等もしくはそれ以上に改良されている。
【0022】本発明でいう油脂類は、80〜150℃の
温度範囲のいずれかにおいて液体状を示し、水に自由に
溶解しない物質である。好ましくは100〜150℃で
ある。具体的には、大豆油、ヤシ油、とうもろこし油、
つばき油、パーム油、パーム核油、アマニ油、サラダ
油、ゴマ油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ひまわり
油、ババスウ油、カカオ脂、コメ油、サフラワー油、か
らし油、ジンジャー油、落花生油、キリ油、ヒマシ油、
鯨油、牛脂、ラード、硬化油、乳脂肪、バター、等の動
植物油類、グリセリン脂肪酸エステル及びその誘導体で
ある酢酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ク
エン酸モノグリセリド等のモノグリセリド誘導体、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノ
レイン酸エステル、レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル等の界面活性剤類、オレイン酸、ラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の
脂肪酸類及びそれらのエステル類、ラウリルアルコー
ル、セチルアルコール、セリルアルコール等の高級アル
コール類、カルナウバロウ、カンデリラロウ、コメヌカ
ロウ、シェラック、ミツロウ、ラノリン等のワックス
類、パラフィンワックス、流動パラフィン、スクワレン
等の炭化水素類、ポリジメチルシロキサン等のシリコー
ンオイル類から選ばれる1種叉は2種以上の組み合わせ
からなる。界面活性剤の場合、親水性のものより疎水性
のものが好ましく、HLB値として13以下が好まし
い。油脂類はそのまま加えることができるが、動植物油
等に界面活性剤、水等を加えて均質化することによって
得られる乳化物の形態にした後に添加してもかまわな
い。また、油脂類を含有しているマーガリン、生クリー
ム等の形態で配合してもかまわない。
【0023】油脂類の配合量は、微細セルロース20〜
98重量部と、水溶性ガム類及び/又は親水性物質2〜
80重量部とから成る組成に対して、0.02〜20重
量部である。0.02重量部未満では、組成物の分散を
容易にしたり、粉末化した場合に再分散性を維持する効
果はない。20重量部を超えると、組成物を水中で撹拌
しても内部への水の浸透が起こり難くなるため、再分散
性が低下するので好ましくない。好ましくは0.1〜1
0重量部である。特に好ましくは0.2〜5重量部であ
る。
【0024】微細セルロース、水溶性ガム類、親水性物
質、油脂類以外の成分の配合については、組成物の水中
での分散を阻害しない程度に配合することは自由であ
る。本発明の組成物は、まず磨砕して得た平均粒径が8
μm以下、10μm以上の粒子の割合が40%以下、コ
ロイド分画が50%以上である微細セルロースを水溶性
ガム類及び/又は親水性物質と混合してスラリーとなす
が、同時に或いはその前後に油脂類を添加して混合した
後、次いでこれを乾燥させることによって得られる。ま
た、微細セルロースと水溶性ガム類及び/又は親水性物
質、油脂類を配合し乾燥した後に、さらに水溶性ガム類
及び/又は親水性物質を粉体混合により追加し、80重
量部以下の範囲にすることも本発明に含まれる。また、
解重合処理したセルロースを予め水溶性ガム類及び/又
は親水性物質、油脂類と混合し、湿式媒体ミルあるいは
高圧ホモジナイザー等で磨砕してスラリーとする方法も
含まれる。いずれの場合も、水溶性ガム類及び/又は親
水性物質、油脂類との混合、分散に当たっては、特に水
溶性ガム類を十分溶解させること、及び水溶性ガム類他
と混合する際、微細セルロースを分散液中で均一に分散
させなければならない。このためには微細セルロースと
水溶性ガム類その他を混合する時に全重量の75%以上
の水の存在下に充分撹拌し均一に混合することが好まし
い。この際予め水溶性ガム類その他を適当量の水に分散
した後に加え混合することがより効果的である。加熱処
理は水溶性ガムの溶解を促進するための効果的な方法で
ある。
【0025】乾燥は水分散性組成物の性能を左右する大
きな要因である。水分散性組成物の水への再分散性を確
保するためには、組成物はその内部に網目状の無数の微
細な亀裂や空洞を有していることが好ましい。この亀裂
が導水性の細孔となることによって、水溶性ガム類、親
水性物質の溶解、微細セルロースの分散を促進する。こ
の亀裂は0.05〜0.5μm程度の隙間であって、細
孔同士の間隔は最大で3μm程度に抑えることが好まし
い。この構造を与える乾燥方法としては、凍結乾燥、噴
霧乾燥等を採用することも出来るがフィルム状にて乾燥
することが好ましい。凍結乾燥法は生産効率が悪く、噴
霧乾燥法は大きな装置を必要とする上に製品の品質制御
が困難で乾燥製品の再分散性能がバラツキ易い欠点があ
る。噴霧乾燥機を使用する場合はこのバラツキを少なく
するため噴霧粒径を小さく保ち、かつ乾燥速度をできる
だけ速やかに行う工夫が必要である。
【0026】微細セルロース組成物の分散性が最も良い
方法としては、フィルム状にて乾燥する方法が優れてい
る。フィルム状にて乾燥する方法とは即ち、微細セルロ
ースと水溶性ガム類及び/又は親水性物質、油脂類の混
合スラリーを、ガラス、ステンレス、アルミニウム、ニ
ッケル・クロムメッキ鋼板等の基材上にキャスティング
して乾燥する方法である。基材は予め加熱されていても
良く、またキャスティング後、赤外線、熱風、高周波等
にて加熱しても良い。乾燥温度は200℃以下、キャス
ティングの厚みはスラリーの厚みとして10mm以下が
好ましい。スラリー濃度はフィルム状に展開できる濃度
であれば良く、特に制限はないが実用的には5%から2
0%程度の固形分濃度の範囲が作業が容易で良好な乾燥
物が得られる。また、工業的にはスチールベルトドライ
ヤー、ドラムドライヤー、ディスクドライヤー等の乾燥
機が採用出来る。このフィルム状にて乾燥された製品
は、いわゆるフィルム状のものから箔状、薄片状、鱗片
状、線条状、粉末状のものまで含まれる。
【0027】組成物の製品水分は全重量の1〜20%で
あることが好ましい。水分が高いとハンドリング性不
良、べたつき、腐敗の問題があるためで、製品水分は2
0%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは10
%以下がよい。また、製品水分が1%未満では、過剰乾
燥のため組成物の再分散性が悪化するため好ましくな
い。特に好ましくは1.5%以上である。
【0028】以上の様にして得られた微細セルロース組
成物は、1〜20%の水分を含む微細な細孔構造を持つ
乾燥製品であり、これを水中で撹拌した時容易に分散
し、平均粒径8μm以下、10μm以上の粒子の割合が
40%以下、コロイド分画が65%以上の性能を有し、
セルロースが均一に分散したなめらかな組織を持つザラ
ツキの無い安定なコロイド分散体を形成する。
【0029】本願の組成物の水中での再分散方法は、食
品等の製造工程で通常使用される各種の分散・乳化・磨
砕機等を用いることができる。例えば、プロペラ撹拌
機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミ
キサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライ
カイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー及びマイクロフ
ルイダイザー、ナノマイザー等の超高圧ホモジナイザー
に代表される分散・乳化機、プラネタリーミキサー、ニ
ーダー、エクストルーダー、タービュライザー等に代表
される混練・磨砕機等が使用できる。その場合、微細セ
ルロース組成物のみを水に分散しても良いし、主成分あ
るいは着色料、香料、酸味料、増粘剤等の他の成分と同
時に水に分散してもかまわない。
【0030】本発明の微細セルロース組成物は、コロイ
ド分画が著しく向上したものであり食品、医薬品、化粧
品、塗料、セラミックス、樹脂、工業品等における懸濁
安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、クラウディー剤等均
一な分散性及びその長期な安定性が求められる分野にお
いて効果を発揮する。更に、本発明の微細セルロース組
成物は特殊な分散機を用いることなくセルロースのコロ
イド粒子を発生させることが可能であり、このため安定
剤としての性能が著しく向上すると共に、ザラツキの問
題が解消され、滑らかさが向上するため、その使用範囲
を拡大することが可能となる。
【0031】例えば、食品分野における例を上げれば、
ココア飲料、ジュース飲料、抹茶飲料、しる粉飲料等の
嗜好飲料、ミルクココア、ミルクコーヒー、乳酸菌飲
料、豆乳等の乳性飲料、アイスクリーム、ソフトクリー
ム、シャーベット等の氷菓類、プリン、ゼリー、ジャ
ム、水羊かん等のゲル状食品、ミルクセーキ、コーヒー
ホワイトナー、ホイップクリーム、マヨネーズ、ドレッ
シング類、スプレッド類、タレ、スープ、練りがらし、
フラワーペースト、調理缶詰、スプレッド、経管流動
食、練りがらし、パン・ケーキ用フィリング・トッピン
グ、あん製品、ホンザント、水産練製品、パン・ケーキ
類、和菓子、麺類、パスタ類、冷凍生地等、粉末油脂、
粉末香料、粉末スープ、粉末スパイス、クリームパウダ
ー等、において懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、
泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性改善
剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基剤とし
て使用でき、更に上記食品全般における食物繊維基剤、
油脂代替等の低カロリー化基剤等の用法がある。
【0032】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。なお、測定は以下のとおり行った。 <コロイド分画> (1)サンプルを固形分で0.75gを、蒸留水を入れ
たエースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ
全量を300gとする。 (2)15000rpmで2分間分散する。 (3)分散液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤
する。 (4)残りの分散液を遠沈管に移し2000rpmで1
5分間遠心分離する(国産遠心器製H−300型)。そ
の上澄み液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤す
る。 (5)(3)、(4)の秤量瓶を105℃の乾燥器で1
0時間蒸発乾固する。 (6)(3)の固形分重量を精秤する。Ag (7)(4)の固形分重量を精秤する。Bg (8)微細セルロース以外の成分(水溶性ガム、親水性
物質、油脂類の合計)の補正を行う。 微細セルロース以外の成分量:S%とすると、 コロイド分画(%)=(B−AS/100)×100/
A(1−S/100) <平均粒径、10μm以上の粒子の割合> (1)サンプルを固形分で3.0gを、蒸留水を入れた
エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ全
量を300gとする。 (2)15000rpmで5分間分散する。 (3)堀場レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−5
00)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径は積算体
積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体
積分布における割合(%)で表す。 <水分の測定> (1)サンプル約2gを秤量瓶に入れ、精秤する。 (2)秤量瓶を熱風乾燥機に入れ、105℃で5時間乾
燥する。 (3)サンプル重量を測定し、減量から水分(%)を求
める。
【0033】
【実施例1】市販DPパルプを細断後、10%塩酸中で
105℃20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣を
ろ過、洗浄した後、固形分10%のセルロース分散液を
調製した。この加水分解セルロースの平均粒径は17μ
mであった。このセルロース分散液を媒体撹拌湿式粉砕
装置(コトブキ技研工業株式会社製アペックスミル、A
M−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビ
ーズを用いて、撹拌翼回転数1800rpm、セルロー
ス分散液の供給量0.4l/minの条件で2回通過で
粉砕処理を行い、微細セルロースのペースト状物を得
た。この微細セルロースのコロイド分画は73%、積算
体積50%の粒径は3.1μm、10μm以上の粒子の
割合は2.3%であった。
【0034】次に、固形分当たり微細セルロース75重
量部、キサンタンガム(ビストップ、三栄化学工業製)
5重量部、澱粉加水分解物(パインデックス、松谷化学
工業製)20重量部に対して、サラダ油(日清製油製)
1重量部となるように混合し、総固形分濃度が10%の
ペースト状分散液を調整した。この分散液をドラムドラ
イヤー(楠木機械製作所製KDD−1型)で、水蒸気圧
力1.2Kg/cm2、回転数1.0rpmで乾燥し、
スクレーパーで掻き取って取り出した。続いて、カッテ
ィングタイプの粉砕機であるフラッシュミル(不二パウ
ダル製)で粗砕して1000μm以下とし、薄片状、鱗
片状の水分散性微細セルロース組成物Aを得た。水分散
性微細セルロース組成物Aの水分は3.6%で、コロイ
ド分画は97%、積算体積50%の粒径が3.2μm、
10μm以上の粒子の割合は2.8%であり、その5重
量%水分散体はザラツキの無い滑らかな食感を有してお
りまた、この水分散体を顕微鏡で観察した結果、セルロ
ース粒子は均一に分散しており粗大な凝集体は見られな
かった。なお、「滑らかさ」は口に入れた瞬間のとろけ
る感触を、「ザラツキ」は後口として舌の上に残る異物
感を評価したものである。なお、エースホモジナイザー
を用いて10000rpmで5分間分散させたときも積
算体積50%の粒径が3.3μm、10μm以上の粒子
の割合は3.0%であり、15000rpm分散の結果
と同じであった。
【0035】
【実施例2】実施例1の粗砕前の乾燥品を衝撃式粉砕機
(日本精機製作所製)で粉砕して150μm以下とし、
粉末状の水分散性微細セルロース組成物Bを得た。水分
散性微細セルロース組成物Bの水分は3.7%で、コロ
イド分画は90%、積算体積50%の粒径が3.5μ
m、10μm以上の粒子の割合は3.4%であった。な
お、エースホモジナイザーを用いて10000rpmで
5分間分散させたときも積算体積50%の粒径が3.7
μm、10μm以上の粒子の割合は3.5%であり、1
5000rpm分散の結果と同じであった。
【0036】
【実施例3】固形分当たり実施例1の微細セルロース6
0重量部、λーカラギーナン(CS−67、三栄化学工
業製)20重量部、D−ソルビット(片山化学工業製)
20重量部に対して、エコナクッキングオイル(花王
製)0.2重量部となるように混合して、総固形分濃度
が8%の分散液を調整した。この分散液をドラムドライ
ヤー(KDD−1型)で、水蒸気圧力3.0Kg/cm
2 、回転数0.8rpmで乾燥してフィルム状の乾燥物
を得た。この乾燥品を衝撃式粉砕機(日本精機製作所
製)で粉砕して150μm以下とし、粉末状の水分散性
微細セルロース組成物Cを得た。水分散性微細セルロー
ス組成物Cの水分は4.2%で、コロイド分画は94
%、積算体積50%の粒径が2.9μm、10μm以上
の粒子の割合は2.0%であった。
【0037】
【実施例4】固形分当たり実施例1の微細セルロース9
5重量部、CMC−Na(カルボキシメチルセルロース
ナトリウム、第一工業製薬製)5重量部に対して、エコ
ナクッキングオイル3重量部となるように混合して、総
固形分濃度が12%の分散液を調整した。この分散液を
実施例3と同じ条件でドラムドライヤーで乾燥した。こ
の乾燥品を実施例2と同じように粉砕して150μm以
下とし、粉末状の水分散性微細セルロース組成物Dを得
た。水分散性微細セルロース組成物Dの水分は5.8%
で、コロイド分画は88%、積算体積50%の粒径が
3.4μm、10μm以上の粒子の割合は3.6%であ
った。
【0038】
【実施例5】市販DPパルプを細断後、10%塩酸中で
105℃で20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣
をろ過、洗浄した後、固形分13%のセルロース分散液
を調製した。このセルロース分散液を高圧破砕装置(ナ
ノマイザー株式会社製ナノマイザーLA−31型)で、
1300Kg/cm2 、3回通過で破砕処理を行い、微
細セルロースのペースト状物を得た。この微細セルロー
スのコロイド分画は82%、積算体積50%の粒径は
5.6μm、10μm以上の粒子の割合は15.5%で
あった。
【0039】この微細セルロース、ポリデキストロース
(ライテス、ファイザー社製)、ステアリン酸モノグリ
セリド(エキセル150、花王製)を配合組成がそれぞ
れ固形分比で30/70/2とした総固形分濃度が18
重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同
様の方法で乾燥、粉砕を行い、水分散性微細セルロース
組成物Eを得た。この組成物Eは、水分が3.5重量
%、コロイド分画は75%、平均粒径は5.8μm、1
0μm以上の粒子の割合は16.8%であり、その5重
量%水分散体はザラツキの無い滑らかな食感を有してい
た。
【0040】
【実施例6】固形分当たり実施例1の微細セルロース6
0重量部、キサンタンガム5重量部、澱粉加水分解物3
5重量部に対して、コメ油(日清製油製)0.5重量部
を混合して、総固形分濃度が5%の分散液を調整した。
これを撹拌しながら80℃30分間の加熱処理を行った
後排出温度80℃で噴霧乾燥を行い、水分散性微細セル
ロース組成物Fを得た。
【0041】水分散性組成物Fの水分は3.6%で、積
算体積50%の粒径が3.2μm、10μm以上の粒子
の割合は2.2%、コロイド分画は96%であった。
【0042】
【実施例7】実施例6において分散液の総固形分濃度が
12%となるように調製した。ドラム回転数を2rpm
にする以外は実施例3と同じように乾燥し、水分散性微
細セルロース組成物Gを得た。水分散性組成物Gの水分
は5.6%で、積算体積50%の粒径が3.4μm、1
0μm以上の粒子の割合は2.3%、コロイド分画は8
6%であった。
【0043】
【実施例8】サラダ油40%、モノステアリン酸ジグリ
セリド(サンソフトQ18D、HLB値7、太陽化学
製)10%、水50%をTKホモミキサーで撹拌して、
乳化物を得た。続いて、固形分当たり実施例1の微細セ
ルロース80重量部、CMC−Na5重量部、澱粉加水
分解物15重量部に対して、乳化物5重量部(油脂類と
しては2.5重量部)を混合し、総固形分濃度が12%
の分散液を調整した。この分散液を実施例3と同様に乾
燥した。この乾燥品をジェットミル(セイシン企業製)
で粉砕して150μm以下とし、粉末状の水分散性微細
セルロース組成物Hを得た。水分散性微細セルロース組
成物Hの水分は4.3%で、コロイド分画は85%、積
算体積50%の粒径が3.4μm、10μm以上の粒子
の割合は3.2%であった。
【0044】
【実施例9】オレイン酸(片山化学工業製)を使用する
以外は実施例1と同じように操作して、水分散性微細セ
ルロース組成物Iを得た。組成物Iの水分は2.3%
で、コロイド分画は88%、積算体積50%の粒径が
3.7μm、10μm以上の粒子の割合は4.5%であ
った。
【0045】
【比較例1】実施例1と同じ方法で、サラダ油を配合せ
ずに組成物Jを得た。なお、この方法は、特願平4ー2
59396号公報の実施例5において、ドラムドライヤ
ーの表面をシリコーン離型剤で処理しない方法に準じて
いる。組成物Jの水分は3.2%で、コロイド分画は7
0%、積算体積50%の粒径が9.5μm、10μm以
上の粒子の割合は47%であり、その5重量%水分散体
を口に含むとザラツキが感じられた。
【0046】
【比較例2】実施例4と同じ方法で、エコナクッキング
オイルを配合せずに組成物Kを得た。この方法は、特願
平4ー259396号公報の比較例3の方法に準じてお
り、そこでは、衝撃式粉砕機で粉砕すると再分散しなく
なることが記載されている。組成物Kの水分は5.2
%、コロイド分画は60%、積算体積50%の粒径が1
4μm、10μm以上の粒子の割合は56%であり、そ
の5重量%水分散体を口に含むとザラツキが感じられ
た。
【0047】
【比較例3】実施例5と同じ方法で、ステアリン酸モノ
グリセリドを配合せずに組成物Lを得た。組成物Lの水
分は3.2%、コロイド分画は40%、積算体積50%
の粒径が11μm、10μm以上の粒子の割合は52%
であり、その5重量%水分散体を口に含むとザラツキが
感じられた。
【0048】
【比較例4】実施例1のセルロース分散液を媒体撹拌湿
式粉砕装置(コトブキ技研工業株式会社製アペックスミ
ル、AM−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコ
ニアビーズを用いて、撹拌翼回転数1800rpm、セ
ルロース分散液の供給量0.4l/minの条件で1回
通過で粉砕処理を行い、セルロースのペースト状物を得
た。このセルロースのコロイド分画は45%、積算体積
50%の粒径は7.2μm、10μm以上の粒子の割合
は33%であった。
【0049】このセルロースを用いて、実施例4と同じ
ように操作して組成物Mを得た。組成物Mの水分は5.
5%、コロイド分画は52%、積算体積50%の粒径が
7.0μm、10μm以上の粒子の割合は31%であ
り、その5重量%水分散体を口に含むとやや肌理が粗く
ザラツキが感じられた。
【0050】
【比較例5】実施例1のセルロース分散液を高圧破砕装
置(ナノマイザー株式会社製ナノマイザーLA−31
型)で、1300Kg/cm2 、1回通過で破砕処理を
行い、セルロースのペースト状物を得た。このセルロー
スのコロイド分画は52%、積算体積50%の粒径は1
0.6μm、10μm以上の粒子の割合は51.5%で
あった。
【0051】このセルロースを用いて、実施例5と同じ
ように操作して組成物Nを得た。組成物Nの水分は3.
1%、コロイド分画は50%、積算体積50%の粒径が
11.7μm、10μm以上の粒子の割合は55%であ
り、その5重量%水分散体を口に含むと肌理が粗くザラ
ツキが感じられた。
【0052】
【比較例6】固形分当たり実施例1の微細セルロース1
00重量部に対して、エコナクッキングオイル3重量部
となるように混合して、総固形分濃度が12%の分散液
を調整し、実施例4と同様に操作して、組成物Oを得
た。組成物Oの水分は3.6%で、コロイド分画は15
%、積算体積50%の粒径が26μm、10μm以上の
粒子の割合は77%であった。
【0053】
【参考例】実施例1と同じ方法で、サラダ油を配合せず
に、また、ドラムドライヤーの表面をシリコーン離型剤
で処理する方法で組成物Pを得た。なお、この方法は、
特願平4ー259396号公報の実施例5に準じてい
る。組成物Pの水分は4.8%、コロイド分画は95
%、積算体積50%の粒径が3.2μm、10μm以上
の粒子の割合は2.8%であった。しかし、エースホモ
ジナイザーを用いて10000rpmで5分間分散させ
ると積算体積50%の粒径が8.6μm、10μm以上
の粒子の割合は43.0%であり、再分散時のシェアが
低くなると充分な分散を示さなかった。
【0054】
【発明の効果】従来の微細セルロース、水溶性ガム類、
親水性物質からなる組成物は、フィルム状で乾燥させて
も、剥離する際に強いシェアを掛けると再分散性が悪化
するため、例えばドラムドライヤーで乾燥するときドラ
ム表面を離型剤で前処理する必要があったが、本発明の
水分散性微細セルロース組成物は、潤滑作用のある油脂
類を含有するため、ドラム表面の前処理など格別の注意
は必要でなしに、低せん断力の分散でも容易に水中へ分
散するのが特徴で、水に分散した時ザラツキを感じさせ
ずに、微細セルロースのコロイド性により安定剤として
機能する。
【0055】また、従来の組成物は、衝撃式の粉砕機で
粉砕すると再分散性が悪化する問題があったが、本発明
の組成物は粒子内部に潤滑作用を持つ油脂類を含有して
いるため、衝撃式の粉砕機であるハンマーミル、ピンミ
ル、ジェットミル等で粉砕して粉末化しても再分散性は
良好である。粉末化が可能となるため、他の粉末との均
一な粉体混合ができる。
【0056】本発明の水分散性微細セルロース組成物
は、コロイド分画が著しく向上したものであり食品、医
薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、工業品等に
おける懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、クラウデ
ィー剤等均一な分散性及びその長期な安定性が求められ
る分野において効果を発揮する。更に、本発明の水分散
性微細セルロース組成物は低せん断力の分散機を用いて
も元の微細セルロースの粒径に容易に再分散するため、
特殊な分散機を用いることなく多量のコロイド粒子を発
生させることが可能であり、このため安定剤としての性
能が著しく向上すると共にその使用範囲を拡大すること
が可能となる。
【0057】例えば、食品分野等において、懸濁安定
剤、乳化安定剤、増粘安定剤、泡安定剤、クラウディー
剤、組織付与剤、流動性改善剤、保形剤、離水防止剤、
生地改質剤、粉末化基剤として使用でき、更に食物繊維
基剤、油脂代替等の低カロリー化基剤等の用法がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 101/00 LSY C09D 101/02 PCT C09J 101/02 JAE // A23L 1/03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細セルロース20〜98重量部と、水
    溶性ガム類及び/又は親水性物質2〜80重量部とから
    成る組成の合計100重量部に対して、油脂類を0.0
    2〜20重量部配合した乾燥組成物であって、該組成物
    を水に再分散した時の平均粒径が8μm以下で、10μ
    m以上の粒子の割合が40%以下で、コロイド分画が6
    5%以上であることを特徴とする水分散性微細セルロー
    ス組成物。
  2. 【請求項2】 微細セルロース分散液に、水溶性ガム類
    および又は親水性物質、油脂類を混合分散し均質な分散
    液となし、これを乾燥することを特徴とする請求項1記
    載の水分散性微細セルロース組成物の製造方法
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