JP2016084397A - セルロース複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明では、飲料中にタンパク質が高濃度で配合されている場合において、口どけ、のど越しに優れる飲料を作製するための、セルロース複合体を提供することを主な課題とする。
【解決手段】 セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であるセルロース複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースと陰イオン性多糖類とを含むセルロース複合体、及びその製造方法に関する。
セルロースと陰イオン性多糖類からなるセルロース複合体は、食品、医薬品、化粧品、塗料、セラミックス、樹脂、触媒、その他工業用品等の分野において、広く用いられている。該セルロース複合体は、水系媒体中においてセルロースコロイドを形成し良好な懸濁安定性を示すため、特に、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤等の安定剤、組織付与剤、クラウディー剤、白度向上、流動性改良、研磨剤、食物繊維、油脂代替等の目的で、該セルロース複合体が用いられている。例えば、ココア飲料においては、比重の大きい水不溶性成分であるココア粉末の懸濁安定性を目的として、該セルロース複合体が添加されている。
これまでに、このセルロース複合体が持つ懸濁安定性をより向上させるために、様々な検討がなされている。
特許文献1には、セルロース及び多糖類を含むセルロース複合体であって、動的散乱法により測定されるメジアン径が0.85μm以上であるセルロース複合体が記載されている。また、1質量%の水分散体において貯蔵弾性率が0.50Pa以上であるセルロース複合体が記載されている。また、前記多糖類としてカルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい旨が記載されている。また、セルロースと多糖類と水系媒体とを含む混合物を、湿式で共処理する工程において、固形分を35質量%以上、温度を80℃以下とするセルロース複合体の製造方法の記載がある。該セルロース複合体を使用した水分散性組成物は、ココア、コーヒー抽出物などが配合された飲料において懸濁安定性に優れることが記載されている。
特許文献2、3には、セルロース及び置換度の異なる2種のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する水分散性の複合体が開示されている。また、特許文献2には、3%の分散体においてゲル強度が25Pa以上であるセルロース複合体が記載されている。該水分散性組成物はチョコレート飲料において懸濁安定性に優れることが記載されている。
特許文献4には、セルロースと低粘度で低置換度のカルボキシメチルセルロースナトリウムと水系媒体とを含む混合物を、湿式で共処理する工程において、固形分を42質量%以上で処理するセルロース複合体の製造方法の記載がある。また、2.6%の水分散体においてゲル強度が20Pa以上であるセルロース複合体が記載されている。該水分散性組成物はチョコレート飲料において懸濁安定性に優れることが記載されている。
WO2013/022090号パンフレット 米国特許出願公開2013/0064953号明細書 WO2013/052114号パンフレット WO2013/052118号パンフレット
近年、人々の生活様式の変化と共に、ココア、コーヒー等以外にも、缶、又はPET入り嗜好飲料において、栄養補給を目的としたタンパク質含有量の多い製品が開発されている。また、タンパク質源として、豆類や穀物類を含む飲食品が開発されている。そのような製品の問題点は、タンパク質を多く配合することに起因する、口どけやのど越しが悪いこと、粘り気を強く感じることである。このため、タンパク質が高濃度に配合された飲料中で、のど越しや口どけに優れる効果を示すセルロース複合体が望まれてきた。特に、ピーナッツやオーツ麦を含む飲料にでは、殺菌処理後の成分のゲル化が問題であり、本問題を解決するセルロース複合体が望まれてきた。
しかしながら、上記の問題点は、従来のセルロースと陰イオン性多糖類とで構成されるセルロース複合体においても十分に解決されていなかった。つまり、従来のセルロース複合体を用いても、タンパク質が高濃度で配合された飲料においては、のど越しや口どけに優れる飲料とすることはできなかった。
例えば、特許文献1、2、3、または4に記載のセルロース複合体を使用すると、タンパク質が低濃度のココア飲料においては、十分な懸濁安定性が得られる量のセルロース複合体を添加しても、のど越しや、口どけの問題はなかった。しかし、飲料中にタンパク質が高濃度で配合されている飲料においては、十分な懸濁安定性が得られる量のセルロース複合体を添加しても、のど越しや、口どけ、粘り気の改善と両立できないという問題があった。
したがって、本発明の主要な課題は、飲料中にタンパク質が高濃度で配合されている場合において、口どけ、のど越しに優れる飲料を作製可能なセルロース複合体を提供することである。また、飲料に配合した際に、飲料の粘り気が少ないセルロース複合体を提供することも課題とする。
一方、上記のとおり、タンパク質が低濃度のココア飲料においては、十分な懸濁安定性が得られる量のセルロース複合体を添加しても、のど越しや、口どけの問題はなかったというものの、比較的タンパク質濃度が低いココア飲料においても、依然として、より少量で沈降、凝集、分離等に対する懸濁安定性が改善できるセルロース複合体が望まれていた。すなわち、本発明の特定の課題の1つは、そのような比較的タンパク質濃度が低い飲料においても、より少量で懸濁安定性を改善できるセルロース複合体を提供することである。
本発明者らは、セルロースと陰イオン性多糖類を高度に複合化させ、特徴的な第一のレオロジー特性(下記(1)に記載の、貯蔵弾性率の維持率に関するレオロジー特性)、及び/または第二のレオロジー特性(下記(2)に記載の、損失正接(tanδ)に関するレオロジー特性)を示すセルロース複合体を得た。そして、タンパク質濃度が高い飲料に第一のレオロジー特性を示すセルロース複合体を少量配合することにより、口どけ、のど越しに優れる飲料となることを見出し、第一の本発明をなすに至った。同様に、タンパク質濃度が高い飲料に第二のレオロジー特性を示すセルロース複合体を少量配合することにより、飲料の粘り気が少なくなることを見出し、第二の本発明をなすに至った。
また、本発明者らは、陰イオン性多糖類を3段階以上の多段階に分けてセルロースに添加して湿式で共処理する工程を含む、上記第一及び/又は第二のレオロジー特性を満たすセルロース複合体を製造するために好適な方法を見出し、第三の本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の貯蔵弾性率G’(1)と歪み20%時の貯蔵弾性率G’(20)に対してG’(20)×100/G’(1)で規定される貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であるセルロース複合体。
(2)セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の損失正接(tanδ)が0.42未満であるセルロース複合体。
(3)セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の貯蔵弾性率G’(1)と歪み20%時の貯蔵弾性率G’(20)に対してG’(20)×100/G’(1)で規定される貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であり、25℃における歪み1%時の損失正接(tanδ)が0.42未満であるセルロース複合体。
(4)前記複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の貯蔵弾性率(G’(1))が4.3Pa以上である(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロース複合体。
(5)前記陰イオン性多糖類が、1.0質量%濃度の水分散体とした時の25℃における粘度が200mPa・sを超えるカルボキシメチルセルロースナトリウムである、(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロース複合体。
(6)セルロースと陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体を製造する方法であって、該陰イオン性多糖類を3段階以上の多段階に分けて該セルロースに添加して湿式で共処理する工程を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロース複合体の製造方法。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロース複合体を含む飲食品。
第一の本発明のセルロース複合体は、飲料中にタンパク質が高濃度で配合されている場合において、口どけ、のど越しに優れる飲料を作製することを可能とする。また、第二の本発明のセルロース複合体は、飲料中にタンパク質が高濃度で配合されている場合において、粘り気が少ない飲料を作製することを可能とする。
本発明について、以下具体的に説明する。
本明細書でいう「懸濁安定」とは、水系媒体中に、セルロース複合体以外の非水溶性の成分、例えばココア粒子、カルシウム粒子を含むときに、セルロース複合体の添加効果により、該非水溶性の成分が懸濁安定化されることを意味している。具体的には、セルロースだけでなく、該非水溶性の成分の粒子の分離、凝集、沈降等の発生がなく、均一な外観を呈することをいう。
また、本明細書でいう「複合化」とは、セルロースの表面の少なくとも一部が、水素結合等の化学結合により、陰イオン性多糖類で被覆されることをいう。
第一の本発明のセルロース複合体は、セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の貯蔵弾性率G’(1)と歪み20%時の貯蔵弾性率G’(20)に対してG’(20)×100/G’(1)で規定される貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下である。
第二の本発明のセルロース複合体は、セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の損失正接(tanδ)が0.42未満である。
<セルロース>
本発明において、「セルロース」とは、セルロースを含有する天然由来の水不溶性繊維質物質である。原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然セルロース系物質を使用することも、2種以上を混合したものを使用することも可能である。
<セルロースの平均重合度>
本発明に用いるセルロースとしては、平均重合度が500以下の結晶セルロースが好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、陰イオン性多糖類との複合化の工程において、セルロース系物質が攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、複合化が促進されやすくなるため好ましい。より好ましくは、平均重合度は300以下、さらに好ましくは、平均重合度は250以下である。平均重合度は、小さいほど複合化の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
<セルロースの加水分解>
平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、混練工程等の、セルロースと陰イオン性多糖類に機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、陰イオン性多糖類との複合化の制御が容易になる。
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
<セルロースの粒子形状(L/D)>
本発明のセルロース複合体中のセルロースは、微細な粒子状の形状であることが好ましい。セルロースの粒子形状は、本発明のセルロース複合体を1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾されたものを高分解能走査型顕微鏡(SEM)、又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)とした場合の比(L/D)で表され、100個〜150個の粒子の平均値として算出される。
L/Dは、懸濁安定性の点で20未満が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、5未満が格別に好ましく、4以下が最も好ましい。L/Dの下限はその定義より1である。
<陰イオン性多糖類>
本発明における多糖類は、単糖類がα又はβ結合し、主鎖または側鎖を構成する化合物をいう。単糖類には、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロースなどの糖以外に、デオキシ糖、N−アセチルグルコサミンなどのアミノ糖、チオ糖、グルコン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸などの糖酸、糖アルコールも含む。水中で陽イオンが遊離し、それ自身が陰イオンとなる多糖類を陰イオン性多糖類と呼ぶ。本発明において陰イオン性多糖類を用いることで、セルロースとの複合化がより促進されるため好ましい。
陰イオン性多糖類としては、以下のものが好適である。例えば、サイリウムシードガム、カラヤガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、キサンタンガム、ジェランガムなどの水溶性の天然多糖類、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの、水溶性の化学合成されてなる多糖類が挙げられる。これらの陰イオン性多糖類の中でもカルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、「CMC−Na」ともいう。)及びキサンタンガムが好ましい。また、これらの陰イオン性多糖類は2種以上を組み合わせてもよい。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム>
上述の陰イオン性多糖類の中でも、CMC−Naが、特にセルロースと複合化しやすいため好ましい。ここでいうCMC−Naとは、セルロースの水酸基の水素原子の一部または全部が−CHCOO基(カルボキシメチル基)に置換されたアニオンポリマーとNaカチオンからなるもので、D−グルコースがβー1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、例えばパルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酢酸(或いはそのナトリウム塩)でエーテル化する製法によって得られる。
特に、置換度と粘度が下記の特定範囲に調製されたCMC−Naを用いることが、複合化の観点から好ましい。置換度とは、CMC−Na中の水酸基(グルコース1単位あたり3つの水酸基を有する)にカルボキシメチル基がエーテル結合した度合いのことであり、グルコース1単位当たり0.6〜2.0が好ましい。置換度(以下、「エーテル化度」ともいう。)が前記の範囲であれば、置換度が高いほどセルロースと複合化しやすく、セルロース複合体の貯蔵弾性率が高まり、高塩濃度の水溶液中(例えば10質量%の塩化ナトリウム水溶液中)でも高い懸濁安定性を発揮できるため好ましい。より好ましくは、置換度は0.9〜1.8であり、最も好ましくは、1.1〜1.5である。
置換度は、以下の方法で測定される。試料(無水物)0.5gを精密にはかり、ろ紙に包んで磁性ルツボ中で灰化する。冷却した後、これを500mLビーカーに移し、水約250mLと、0.05M硫酸35mLを加えて30分間煮沸する。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1M水酸化カリウムで逆滴定して、次の式で算出する。
A=((af−bf1)/試料無水物(g))−アルカリ度(又は+酸度)
置換度=(162×A)/(10000−80A)
ここで、
A:試料1g中のアルカリに消費された0.05Mの硫酸の量(mL)
a:0.05M硫酸の使用量(mL)
f:0.05M硫酸の力価
b:0.1M水酸化カリウムの滴定量(mL)
f1:0.1M水酸化カリウムの力価
162:グルコースの分子量
80:CHCOONa−Hの分子量
アルカリ度(又は酸度)の測定法:試料(無水物)1gを300mLフラスコに精密に測りとり、水約200mLを加えて溶かす。これに0.05M硫酸5mLを加え、10分間煮沸した後、冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1M水酸化カリウムで滴定する(SmL)。同時に空試験を行い(BmL)、次の式で算出する。
アルカリ度=((B−S)×f2)/試料無水物(g)
ここで、f2は、0.1M水酸化カリウムの力価である。(B−S)×f2の値が、(−)の時には、酸度とする。
また、CMC−Naの粘度は、1質量%の純水溶液において、50mPa・s以上が好ましい。ここでいう粘度は、以下の方法で測定される。まず、CMC−Naの粉末を1質量%として、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて、純水中に分散し、水溶液を調製する。次に得られた水溶液について、分散3時間後(25℃保存)に、B型粘度計(ローター回転数60rpm)にセットして60秒静置後に、30秒間回転させて測定する。但し、ローターは粘度に応じて適宜変更することができる。
CMC−Naの粘度が高いほど、後述するセルロース複合体の25℃における歪1%時の貯蔵弾性率G’(1)が大きくなりやすい。また、前記貯蔵弾性率G’(1)と歪み20%時の貯蔵弾性率G’(20)に対してG’(20)×100/G’(1)で規定される貯蔵弾性率の維持率が小さくなりやすい。CMC−Naの粘度は、200mPa・s以上がより好ましく、1000mPa・s以上がさらに好ましく、2500mPa・s以上が最も好ましい。
<セルロースと陰イオン性多糖類の配合比>
本発明のセルロース複合体中のセルロースと陰イオン性多糖類の配合比は、セルロース/陰イオン性多糖類=50〜99質量部/1〜50質量部であることが好ましい。この該配合比を上記の範囲とすることで、複合化が促進され前記貯蔵弾性率G’(1)が大きくなりやすい該配合比は、セルロースと陰イオン性多糖類が70〜99質量部/1〜30質量部がより好ましく、75〜95質量部/5〜25質量部さらに好ましく、80〜90質量部/10〜20質量部が特に好ましい。なお、セルロースと陰イオン性多糖類の配合量は、それぞれ水分を含まない状態の質量に基づく値とする。
<セルロース複合体の貯蔵弾性率>
次に、本発明のセルロース複合体の貯蔵弾性率G’(1)について説明する。
本発明のセルロース複合体は、該複合体を純水に分散させてなる1.0質量%濃度の純水分散体において、25℃における歪1%時の貯蔵弾性率G’(1)が4.3Pa以上であることが好ましい。
貯蔵弾性率G’(1)とは、水分散体のレオロジー的な弾性を表現するものであり、セルロースと陰イオン性多糖類との複合化、又はセルロースと陰イオン性多糖類及びその他水溶性ガムとの複合化の程度を表すものである。貯蔵弾性率G’(1)が高いほど、セルロースと陰イオン性多糖類との複合化、又はセルロースと陰イオン性多糖類及びその他水溶性ガムとの複合化が促進され、セルロース複合体の水分散体におけるネットワーク構造が、剛直であることを意味する。ネットワーク構造が剛直なほど、セルロース複合体のゲル化抑制能と懸濁安定性に優れる。
本発明において、貯蔵弾性率は、セルロース複合体を純水中に分散させた水分散体の動的粘弾性測定により得られる値とした。つまり、水分散体に歪みを与えた際の、セルロース複合体ネットワーク構造内部に蓄えられた応力を保持する弾性成分が貯蔵弾性率として表される。
貯蔵弾性率の測定方法としては、まず、セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%の水分散体を調製する。得られた水分散体を3時間室温で静置する。この水分散体の応力のひずみ依存性を、粘弾性測定装置(TA Instrument社製、ARES―G2型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:25.0℃一定、角速度:20rad/秒、歪:1→794%の範囲で掃引、水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、10分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定する。本発明における貯蔵弾性率G’(1)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み1%の値のことである。この貯蔵弾性率G’(1)の値が大きいほど、セルロース複合体が形成する水分散体の構造はより弾性的であり、セルロースと陰イオン性多糖類との複合化、又はセルロースと陰イオン性多糖類及びその他水溶性ガムが高度に複合化していることを表している。
セルロース複合体の貯蔵弾性率G’(1)は、0.5Pa以上が好ましく、2.0Pa以上がより好ましく、4.3Pa以上がより好ましく、10.0Pa以上がより好ましく、13.5Pa以上がさらに好ましく、18.0Pa以上が特に好ましく、20.0Pa以上が最も好ましい。
貯蔵弾性率G’(1)の上限は、特に設定されるものではないが、飲料とした場合の飲みやすさを勘案すると、100.0Pa以下である。100.0Pa以下であると、懸濁安定性が充分に得られるセルロース複合体の添加量(飲料により異なるが、例えば、コーヒー、ココア、紅茶等の嗜好飲料、または落花生飲料等では0.1〜1.0質量%)において、飲み口が軽いため好ましい。
<セルロース複合体の貯蔵弾性率の維持率>
次に、本発明のセルロース複合体の貯蔵弾性率の維持率について説明する。
本発明のセルロース複合体は、該複合体を純水に分散させてなる1.0質量%濃度の純水分散体において、貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であることが好ましい。
貯蔵弾性率の維持率とは下記の式で算出される値のことである。
貯蔵弾性率の維持率(%)=G’(20)×100/G’(1)
G’(20):歪み20%の時の貯蔵弾性率の値
G’(1):歪み1%の時の貯蔵弾性率の値
貯蔵弾性率の維持率が小さいほど、セルロース複合体の水分散体におけるネットワーク構造が、応力によって崩れやすいことを意味する。応力によってネットワーク構造が崩れやすいほど、セルロース複合体を含む飲食品の、のど越しや口どけに優れる。また、ネットワーク構造が崩れやすいほど、セルロース複合体を含む飲食品を口に含んだ瞬間から飲み込むまでの間で食感変化が大きくなり、複数の食感を楽しむことができる。
セルロース複合体の貯蔵弾性率の維持率は、92.2%以下が好ましい。92.2%以下であると、のど越しや口どけに優れる飲料となる。また、複数の食感を楽しむことができる。貯蔵弾性率の維持率は、90.0%以下がより好ましく、80.0%以下がさらに好ましく、77.0%以下が最も好ましい。下限は特に設定されないが、30.0%以上である。30.0%以上であれば、飲料として十分なのど越しを楽しむことができる。
本願発明のセルロース複合体は、貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であり、貯蔵弾性率G’(1)が4.3Pa以上であることが好ましい。すなわち、貯蔵弾性率G’(1)が低いセルロース複合体を使用した飲料は、のど越しや口どけに優れるが、懸濁安定性に劣る。貯蔵弾性率G’(1)が高く、貯蔵弾性率の維持率も高い先行文献記載のセルロース複合体を使用した飲料は懸濁安定性に優れるが、のど越しや口どけに劣り、食感変化もない。これに対して、貯蔵弾性率G’(1)が高く、貯蔵弾性率の維持率が低い本願発明のセルロース複合体を使用した飲料は、懸濁安定性に優れるとともに、のど越しや口どけに優れ、食感変化を有する飲料とすることができる。
<セルロース複合体の損失正接(tanδ)>
次に、本発明のセルロース複合体の損失正接(tanδ)について説明する。
本発明のセルロース複合体は、該複合体を純水に分散させてなる1.0質量%濃度の純水分散体において、25℃における歪み1%時の損失正接(tanδ)が0.42未満であることが好ましい。
損失正接(tanδ)とは、損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率で表される値であり、値が大きい程、粘性の傾向が強いことを表す。損失正接(tanδ)が小さいほど、セルロース複合体を含む飲料の粘り気が少なくなるので優れる。
本発明において、損失正接(tanδ)は、セルロース複合体を純水中に分散させた水分散体の動的粘弾性測定により得られる値とした。つまり、水分散体に特定の歪みを与えた際の、セルロース複合体ネットワーク構造内部の損失弾性率と貯蔵弾性率の比が損失正接(tanδ)として表される。
損失正接(tanδ)の測定方法としては、まず、セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%の水分散体を調製する。得られた水分散体を3時間室温で静置する。この水分散体の応力のひずみ依存性を、粘弾性測定装置(TA Instrument社製、ARES―G2型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:25.0℃一定、角速度:20rad/秒、歪:1→794%の範囲で掃引、水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、10分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定する。本発明における損失正接は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み1%の時の損失弾性率と貯蔵弾性率の比のことである。この損失正接の値が小さいほど、セルロース複合体が形成する水分散体の構造はより弾性的である。
セルロース複合体の損失正接は、0.42未満が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましく、0.26以下が最も好ましい。
損失正接の下限は、特に設定されるものではないが、好ましくは、0.01以上である。
本願発明のセルロース複合体は、損失正接が0.42未満であり、貯蔵弾性率G’(1)が4.3Pa以上であることが好ましい。すなわち、貯蔵弾性率G’(1)が低いセルロース複合体を使用した飲料は、粘り気を感じないが、懸濁安定性に劣る。貯蔵弾性率G’(1)が高く、損失正接も高い先行文献記載のセルロース複合体を使用した飲料は懸濁安定性に優れるが、粘り気を感じる。これに対して、貯蔵弾性率G’(1)が高く、損失正接が低い本願発明のセルロース複合体を使用した飲料は、懸濁安定性に優れるとともに、粘り気を感じない飲料とすることができる。
本願発明のセルロース複合体は、貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であり、損失正接が0.42未満であり、貯蔵弾性率G’(1)が4.3Pa以上であることが好ましい。貯蔵弾性率G’(1)が高く、貯蔵弾性率の維持率が低く、損失正接が低い本願発明のセルロース複合体を使用した飲料は、懸濁安定性に優れるとともに、のど越しや口どけに優れ、食感変化を有し、粘り気を感じない飲料とすることができる。
<セルロース複合体のコロイド状セルロース複合体含有量>
本発明のセルロース複合体は、コロイド状セルロース複合体を50質量%以下含有することが好ましい。ここでいうコロイド状セルロース複合体含有量とは、セルロース複合体を、0.5質量%の濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力39200m/sで10分間遠心した上澄みを採取し、さらに、この上澄みについて、116000m/sで45分間遠心処理する。)し、遠心後の上澄みに残存する固形分(セルロースと、陰イオン性多糖類を含む。)の質量百分率のことである。コロイド状セルロース複合体の含有量が50質量%以下であると、口どけやのど越しに優れるセルロース複合体となる。好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。コロイド状セルロース複合体含有量は、少なければ少ないほど、口どけやのど越しに優れるため、その下限は特に制限されないが、好ましい範囲は、1質量%以上である。
<セルロース複合体の製造方法>
次に、本発明のセルロース複合体の製造方法を説明する。
本発明のセルロース複合体は、セルロースと陰イオン性多糖類とを含む組成物を十分に混練して各成分を複合化する共処理工程を含む製造方法により得られる。該共処理工程においては、セルロースと陰イオン性多糖類を含む混練物に機械的せん断力をあたえ、セルロースを微細化させるとともに、セルロース表面に陰イオン性多糖類を複合化させることが好ましい。また、その際に、該組成物に陰イオン性多糖類以外の水溶性ガムや親水性物質、及び、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の共処理工程の後で、必要に応じ、乾燥工程を有してもよい。本発明のセルロース複合体の製造方法は、上述の共処理工程を含む方法であれば、乾燥工程を含まない方法であっても、含む方法であってもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。混練時の温度は成り行きでもよいが、混練の際の複合化反応、摩擦等により発熱する場合にはこれを除熱しながら混練することが好ましい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
混練温度は低いほど、陰イオン性多糖類の劣化が抑制され、結果として得られるセルロース複合体の貯蔵弾性率G’(1)が高くなるため好ましい。混練温度は、0〜100℃が好ましく、90℃以下がより好ましく、70℃以下が特に好ましく、60℃以下がさらに好ましく、50℃以下が最も好ましい。高エネルギー下で上記の混練温度を維持するには、ジャケット冷却、放熱等の徐熱を工夫することが好ましい。
混練時の水分を除く固形分の割合は、20質量%以上とすることが好ましい。混練物の粘性が高い半固形状態で混練することで、混練物が緩い状態にならず、下記に述べる混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるため好ましい。混練時の固形分は、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。上限は特に限定されないが、混練物が水分量の少ないパサパサな状態にならず、充分な混練効果と均一な混練状態が得られることを考慮して、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。さらに、混練物の固形分を上記範囲とするために、組成物に加水するタイミングとしては、共処理工程の前に必要量を加水してもよいし、共処理工程の途中で加水してもよいし、両方実施しても良い。
本発明における、多段階複合化について説明する。
多段階複合化とは、前述した共処理工程において、イオン性多糖類を3段階以上の多段階に分けてセルロースに添加して湿式で共処理することである。イオン性多糖類の添加を複数回に分けて実施することで、セルロースの微細化とイオン性多糖類との複合化のバランスが格段によくなるため、好ましい。すなわち、セルロース表面の微細化により新たに出現したセルロース表面に、陰イオン性多糖類が、効果的に複合化することができるため好ましい。また、セルロース表面に複合化した陰イオン性多糖類の層の厚みが均一になるため好ましい。
多段階複合化としては、陰イオン性多糖類を、全量の3分の1の量ずつを均等に多段階で加え、複合化することが好ましい。より好ましくは、10分の1の量ずつを均等に多段階で加えることであり、20分の1の量ずつを均等に多段階で加えることが最も好ましい。上限は特に限定されないが、作業の煩雑性から、現実的な範囲は100分の1ずつを均等に多段階で加えることが好ましい。各回に添加する量は均等でなくてもよく、例えば回を重ねる毎に増量してもよく、回を重ねるごとに減量してもよい。また、各回の陰イオン性多糖類添加の間隔は任意に設定できるが、例えば10〜1000秒とすることが好ましい。
本発明における、せん断速度について説明する。せん断速度とは例えば、二軸押し出し機において、下記の数式により算出されるものである。
せん断速度(γ)=πDN/h
D:ローター外径(mm)
N:ローター回転数(1/sec)
h:チップクリアランス(mm)
本発明において、せん断速度は740(1/Sec)以上が好ましい。せん断速度が740(1/Sec)以上であることで、混練物の摩砕性が高くなり、セルロースと陰イオン性多糖類との複合化が促進され、貯蔵弾性率G’(1)が4.3Pa以上のセルロース複合体を容易に得ることが可能となる。特に、陰イオン性の多糖類として、高粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化が効率的に進行する。好ましくは、該せん断速度が1,000(1/Sec)以上であり、更に好ましくは、1,500(1/Sec)以上であり、最も好ましくは、3,000(1/Sec)以上である。せん断速度が高い程、複合化が進行しやすいと考えられるが、あまり大きくすると、工業的に過大な設備となること、設備に過大な負荷がかかることから、せん断速度の上限は10,000(1/Sec)とするのが好ましい。
セルロースと陰イオン性多糖類は上記のせん断速度で、5分間以上共処理することが好ましい。5分間以上共処理することで、混練物に与える磨砕性が高くなり、セルロースと陰イオン性多糖類との複合化が促進され、中性のセルロース複合体の懸濁安定性は向上する。好ましくは、10分以上であり、更に好ましくは20分以上であり、最も好ましくは、25分以上である。共処理の時間を長くする程複合化が進行して貯蔵弾性率G’(1)の値が増加するが、共処理の時間をあまり長くすると貯蔵弾性率G’(1)の値が逆に減少する。従って、共処理時間に対する貯蔵弾性率G’(1)の関係を調べたうえで、貯蔵弾性率G’(1)の値が4.3Pa以上となる共処理時間内で運転することが好ましい。
ここで、混練エネルギーについて説明する。混練エネルギーとは混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義するものである。混練エネルギーは、200Wh/kg以上とすることが好ましい。混練エネルギーが200Wh/kg以上であれば、混練物に与える磨砕性が高く、セルロースと陰イオン性多糖類、又は、セルロース、陰イオン性多糖類、及びその他水溶性ガム等との複合化が促進され、貯蔵弾性率G’(1)の値が向上する。より好ましくは500Wh/kg以上であり、さらに好ましくは1、000Wh/kg以上であり、最も好ましくは1,500Wh/kg以上である。
混練エネルギーは、高い方が、複合化が促進されると考えられるが、混練エネルギーをあまり高くすると、工業的に過大な設備となること、設備に過大な負荷がかかることから、混練エネルギーの上限は10,000Wh/kgとするのが好ましい。
混練時における原料の投入方法はセルロースと陰イオン性多糖類を同時に投入し複合化させる方法、セルロース単独を混練した後に、陰イオン性多糖類を投入し複合化させる方法、陰イオン性多糖類単独を混練した後に、セルロースを投入し複合化させる方法等が挙げられるが、最も好ましくはセルロースと陰イオン性多糖類を同時に投入し複合化させた後に、さらに混練して複合化を進める方法である。また、上述の方法をそれぞれ多段階で行っても良い。
本発明のセルロース複合体を得るにあたって、前述の共処理工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。
乾燥後のセルロース複合体の含水率は1〜20質量%が好ましい。含水率を20質量%以下とすることで、べたつき、腐敗等の問題や運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。また、含水率を1質量%以上とすることで、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。より好ましくは1.5質量%以上である。
セルロース複合体を市場に流通させる場合、その形状は、粉体の方が取り扱い易いので、乾燥により得られたセルロース複合体を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥したセルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(重量平均粒子径)が10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。これらの乾燥粉末は、セルロース複合体の微粒子が凝集し、二次凝集体を形成しているものである。この二次凝集体は、水中で攪拌すると崩壊し、上述のセルロース複合体微粒子に分散する。二次凝集体の見かけの重量平均粒子径は、ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより得られた粒度分布における累積重量50%粒径のことである。
乾燥したセルロース複合体を水中で攪拌した際、容易に分散し、セルロースが均一に分散した、なめらかな組織を持つザラツキの無い安定なコロイド分散体が形成される。特に、中性において、セルロースが凝集や分離を起こさず、安定なコロイド分散体を形成するため、安定剤等として優れた機能を奏する。
<タンパク質>
本発明におけるタンパク質とはL−α―アミノ酸からなるポリペプチドを主体とする高分子化合物のことである。タンパク質は、アミノ酸だけからなる単純タンパク質と,核酸・リン酸・脂質・糖・金属等を含む複合タンパク質とに分けられるが、本発明においては、どちらか一方を単独で使用してもよいし、両方を併用してもよい。また,タンパク質は分子の形状から,繊維状タンパク質と球状タンパク質とに分類されるが、本発明においては、どちらか一方を単独で使用してもよいし、両方を併用してもよい。
タンパク質を多く含む食品としては、肉類、魚介類、芋類、穀類、豆類、乳製品、卵、木の実、きのこ類等があり、芋類、穀類、豆類、乳製品、木の実、きのこ類由来のタンパク質が飲料に好適である。特に、穀類、豆類、乳製品、木の実由来のタンパク質が好ましく、穀類、乳製品、木の実由来のタンパク質がより好ましい。穀類の例として、小麦、大麦、オーツ麦、はと麦、らい麦、もち麦、はだか麦、からす麦、米、玄米、そば、とうもろこし、あわ、ひえ等がある。乳製品の例として、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ、バター、ホエイ等がある。木の実の例として、落花生、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、クルミ、松の実、栗、銀杏がある。
<オーツ麦>
本発明におけるオーツ麦とは、イネ科カラスムギ属の植物のことである。別名として、エンバク、オートムギ、オート、マラカスムギ、カラスムギと呼ばれることもあるが、本発明においてはいずれを用いてもよい。本発明において、オーツ麦は脱穀前のもの、脱穀後のもの、押し麦や引き割り麦等による製粉処理後のもの、フレーク状態に成形したもの、酵素分解したもののいずれを用いてよい。飲料に使用する場合、オーツ麦の粒径は1cm以下であることが好ましい。飲みやすさとのど越しの関係から、5mm以下がより好ましく、3mm以下が更に好ましく、1mm以下が最も好ましい。飲料中の配合量としては、オーツ麦を0.1質量%以上含むことが好ましい。0.1質量%以上含むと十分な栄養を補給できる。栄養補給の観点から、1.0%以上がより好ましく、2.5%以上がさらに好ましく、4.0%以上が最も好ましい。上限は特に設定されるものではないが、飲料ののど越しの観点から、10.0%以下であることが好ましい。
<タンパク質の含有量>
本発明における高タンパク質含有飲料は、0.3質量%以上のタンパク質を含むことが好ましい。0.3質量%以上のタンパク質を含むことで、十分な栄養補給効果が期待できる。より好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1.0%以上であり、より好ましくは1.2%以上であり、より好ましくは、1.5%以上であり、さらに好ましくは2.0%以上であり、最も好ましくは、5.0%以上である。上限は飲料の粘度の観点から、10.0質量%以下が好ましい。
<用途>
本発明のセルロース複合体は、種々の食品に使用できる。例を挙げると、コーヒー、紅茶、抹茶、ココア、汁粉、ジュース等の嗜好飲料、生乳、加工乳、乳酸菌飲料、豆乳等の乳性飲料、カルシウム強化飲料、落花生飲料、オーツ麦飲料等の栄養強化飲料並びに、食物繊維含有飲料等を含む各種の飲料類、アイスクリーム、アイスミルク、ソフトクリーム、ミルクシェーキ、シャーベット等の氷菓類、バター、チーズ、ヨーグルト、コーヒーホワイトナー、ホイッピングクリーム、カスタードクリーム、プリン等の乳製品類、マヨネーズ、マーガリン、スプレッド、ショートニング等の油脂加工食品類、各種のスープ、シチュー、ソース、タレ、ドレッシング等の調味料類、練りがらしに代表される各種練りスパイス、ジャム、フラワーペーストに代表される各種フィリング、各種のアン、ゼリーを含むゲル・ペースト状食品類、パン、麺、パスタ、ピザ、各種プレミックスを含むシリアル食品類、キャンディー、クッキー、ビスケット、ホットケーキ、チョコレート、餅等を含む和・洋菓子類、蒲鉾、ハンペン等に代表される水産練り製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等に代表される畜産製品、クリームコロッケ、中華用アン、グラタン、ギョーザ等の各種の惣菜類、塩辛、カス漬等の珍味類、ペットフード類及び経管流動食類等である。この中でも、特に、構成成分が高濃度に存在する組成物において、その滑らかな口どけと、のど越しにより食感の問題が解消されるため、上記に記載した以外の幅広い食品用途で使用することも可能である。
本発明のセルロース複合体は、これらの用途において、食感改良剤、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性改善剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基剤、食物繊維基剤、油脂代替などの低カロリー化基剤として作用するものである。また、上記の食品がレトルト食品、粉末食品、冷凍食品、電子レンジ用食品等形態又は用時調製の加工手法が異なっていても本発明の効果は発揮される。
本発明のセルロース複合体と「増粘多糖類」を併用すると、セルロース複合体と増粘多糖類の相互作用によって、セルロース複合体を単独で使用するよりも懸濁安定性は向上する。増粘多糖類としては、ローカストビーンガム、グアーガム、カゼイン及びカゼインナトリウム、タマリンドシードガム、クインスシードガム、カラヤガム、キチン、キトサン、アラビアガム、トラガントガム、ガティガム、アラビノガラクタン、寒天、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、ペクチン、タラガム、アーモンドガム、アエロモナスガム、アゾトバクター・ビネランジーガム、アマシードガム、ウェランガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、ジェランガム、ゼラチン、水溶性大豆多糖類等が挙げられる。これらの増粘多糖類は単独で使用しても良いし、また複数を選択してしようしても良い。上述の増粘多糖類の中でも、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガムが好ましい。これらは、セルロース複合体と併用し、飲料中に0.001質量%以上配合することが好ましい。増粘多糖類の添加量は、0.1質量%以下がのど越しに優れるので好ましい。より好ましくは、0.05質量%以下であり、更に好ましくは0.025質量%以下である。
本発明のセルロース複合体を食品に使用する場合、各食品の製造で一般に行われている方法と同様の機器を使用して、主原料の他、必要に応じて、香料、pH調整剤、増粘安定剤、塩類、糖類、油脂類、蛋白類、乳化剤、酸味料、色素等と配合して、混合、混練、撹拌、乳化、加熱等の操作を行えばよい。
特に、本発明のセルロース複合体は、飲料成分のゲル化を防ぐ効果が高いので、特に、タンパク質を多く含んだ飲料の懸濁安定材として好適である。特に、高温で保存する場合に好適である。
<セルロース複合体の添加方法>
飲食品に、本発明のセルロース複合体を添加する方法としては次の方法が挙げられる。主原料或いは着色料、香料、酸味料、増粘剤等の成分と同時に、本発明のセルロース複合体を水に分散させることにより添加できる。
また、セルロース複合体の乾燥粉末を、水系媒体に分散する場合には、セルロース複合体を一旦、水に分散した後、目的とする食品形態に添加する方が、セルロース複合体の懸濁安定性が向上するため好ましい。セルロース複合体が乾燥粉末の場合、水への分散方法としては、食品等の製造工程で通常使用される各種の分散機・乳化機・磨砕機等の混練機を使用して分散することができる。混練機の具体例としては、プロペラ攪拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー等の高圧ホモジナイザーに代表される分散機・乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、タービュライザー等に代表される混練機等が使用できる。2種以上の混練機を組み合わせて使用してもかまわない。また、加温しながら行ったほうが分散は容易である。
<飲食品への添加量>
飲食品に対するセルロース複合体の添加量としては、特に制限はないが、例えば、コーヒー、ココア、落花生飲料、オーツ麦飲料等において、0.01質量%以上が好ましい。セルロース複合体の添加量を0.01質量%以上とすることで、分散、懸濁安定性が増し、乳化安定、離水防止の効果が優れる。より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは、0.2質量%以上であり、より好ましくは、0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、最も好ましくは2.5質量%以上である。セルロース複合体の添加量を5質量%以下とすることで、凝集や分離を引き起こすこともなく、また、飲料の飲み口(飲みやすさ、舌のざらつき)の点からも5質量%以下が好ましい。
<飲食品の殺菌>
本発明において、飲食品の殺菌は通常使用される殺菌方法であればいずれを用いてもよい。例えば、通常飲食品に使用される殺菌方法としては、オートークレーブを使用したレトルト殺菌、UHT殺菌、電磁波殺菌、紫外線殺菌、放射線(エックス線、ガンマ線)殺菌、濾過殺菌、オゾン殺菌などがある。特に、飲料の殺菌方法としてUHT殺菌を使用すると、殺菌後も風味に優れる飲料となるため好まれる傾向にある。一般的に、UHT殺菌は120〜145℃の範囲で1〜60分の範囲内の条件で処理される。近年、UHT殺菌では加熱処理後、飲料が30℃以上の状態で容器に充填する、ホットパックが好まれる。ホットパックは高温の状態で容器に充填できるため、冷却後に充填する場合よりも、菌汚染のリスクが低く、衛生面の観点で好ましい。40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましく、70℃以上が最も好ましい。上限は特に設定されないが、飲料の風味の観点から100℃以下が好ましい。但し、オーツ麦含有飲料に代表する一部の高タンパク含有飲料においては、ホットパックを行うとゲルが発生するという課題がある。
本明細書でいう「ゲル」とは、水系媒体中に、セルロース複合体以外の非水溶性の成分が凝集したものをいい、例えばタンパク質、機能性食品素材が凝集したものをいう。具体的には、常温・常圧下で、目開き5mmの篩で濾過した際に通過しないものを意味する。但し、凝集する前の粒子の大きさが5mm以上である成分、例えば5mm以上の木の実や果実は本明細書でいうゲルには該当しないものとする。
<不溶性成分>
本発明のセルロース複合体は、特に、水不溶性成分を含む中性の飲食品に好適である。水不溶性成分とは、水に溶けない成分のことで、本発明においては、10mmの目開きの篩を通過するものをいう。より好適には、5mmの目開きの篩いを通過するものであり、さらに好適には2mmの目開きの篩いを通過するものである。水不溶性成分は、中性において不安定となるが、本発明のセルロース複合体を添加することで、優れた懸濁安定性が得られる。
水不溶性成分としては、食物・飲料中のタンパク質や、果実くず、乳酸菌飲料等に含有される乳酸菌、野菜果汁飲料中のパルプ分等、ミルクカルシウム、炭酸カルシウム、ベータグルカン、プロテイン(大豆タンパク、ミルクプロテイン、コラーゲン)、ウコン、レイシ等の水より比重が大きい機能性食品素材等、コエンザイムQ10等のユビデカレノン化合物、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、又はそのエステル等のオメガ3化合物、セラミド化合物等の水より比重が軽い機能性食品素材等が挙げられる。
上記した機能性食品素材は、飲料の一日摂取量と、素材の効果効能にもよるが、飲料に対して、0.01質量%以上添加することが、好ましい。より好ましくは、0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上である。
<食品以外の用途>
本発明のセルロース複合体は、セルロース複合体の水分散体におけるネットワーク構造が、無応力時には堅固であるが応力によって崩れやすいという特性を利用して、飲食品以外にも、シロップ剤、液剤、及び軟膏等の医薬品、並びに、化粧水、乳液、洗浄剤等の化粧品、食品用・工業用洗浄剤及び処理剤原料、家庭用(衣料、台所、住居、食器等)洗剤原料、塗料、顔料、セラミックス、水系ラテックス、乳化(重合)用、農薬用、繊維加工用(精錬剤、染色助剤、柔軟剤、撥水剤)、防汚加工剤、コンクリート用混和剤、印刷インキ用、潤滑油用、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、及び脱墨剤等の工業製品を用途として挙げることができる。
本発明を下記の実施例により説明する。ただし、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
<セルロースの平均重合度測定法>
セルロースの平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定した。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)の粘度>
(1)CMC−Naの粉末を、1.0質量%として、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散し、水溶液を調製した。
(2)得られた水溶液について、分散3時間後(25℃保存)に、B形粘度計(ローター回転数60rpm)にセットして60秒静置後に、30秒間回転させて測定した。但し、ローターは、粘度に応じて最適なものを使用した。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)の置換度>
(1)試料(無水物)0.5gを精密にはかり、ろ紙に包んで磁性ルツボ中で灰化した。
(2)冷却した後、これを500mLビーカーに移し、水約250mLと、0.05M硫酸35mLを加えて30分間煮沸した。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1M水酸化カリウムで逆滴定して、以下の式で算出した。
A=((af−bf1)/試料無水物(g))−アルカリ度(又は+酸度)
置換度=(162×A)/(10000−80A)
ここで、
A:試料1g中のアルカリに消費された0.05Mの硫酸の量(mL)
a:0.05M硫酸の使用量(mL)
f:0.05M硫酸の力価
b:0.1M水酸化カリウムの滴定量(mL)
f1:0.1M水酸化カリウムの力価
162:グルコースの分子量
80:CHCOONa−Hの分子量
アルカリ度(又は酸度)の測定法:試料(無水物)1gを300mLフラスコに精密に測りとり、水約200mLを加えて溶かした。これに0.05M硫酸5mLを加え、10分間煮沸した後、冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1M水酸化カリウムで滴定した(SmL)。同時に空試験を行い(BmL)、次の式で算出した。
アルカリ度=((B−S)×f)/試料無水物(g)
ここで、fは、0.1M水酸化カリウムの力価である。(B−S)×fの値が、(−)の時には、酸度とした。
<セルロース複合体の貯蔵弾性率>
(1)セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%濃度の純水分散体を調製した。得られた水分散体を3時間25℃で静置した。
(2)この水分散体の応力のひずみ依存性を、粘弾性測定装置(TA Insturment社製、ARES―G2型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、ひずみを1→794%の範囲で掃引)により測定した。本発明において、貯蔵弾性率G’(1)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み1%の値を用いた。
<セルロース複合体の貯蔵弾性率の維持率>
(1)セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%濃度の純水分散体を調製した。得られた水分散体を3時間25℃で静置した。
(2)この水分散体の応力のひずみ依存性を、粘弾性測定装置(TA Insturment社製、ARES―G2型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、ひずみを1→794%の範囲で掃引)により測定し、下記の式で算出した。
貯蔵弾性率の維持率(%)=G’(20)×100/G’(1)
G’(20):歪み20%の時の貯蔵弾性率の値
G’(1):歪み1%の時の貯蔵弾性率の値
<セルロース複合体の損失正接(tanδ)>
(1)セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%濃度の純水分散体を調製した。得られた水分散体を3時間25℃で静置した。
(2)この水分散体の応力のひずみ依存性を、粘弾性測定装置(TA Insturment社製、ARES―G2型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、ひずみを1→794%の範囲で掃引)により測定した。本発明において、損失正接(tanδ)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み1%の時の損失弾性率と貯蔵弾性率との比を用いた。
(実施例1)
市販溶解用パルプ(DPパルプ)を裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、セルロース(以下MCC)/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく。水分量は、赤外線水分計(メーカー:株式会社ケット科学研究所、型式:FD−240)を用いて、105℃、Automaticモード、監視時間60秒との条件で測定した。また、本明細書において、特段の断りのない限り、他の成分及びセルロース複合体についても同様である。)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の3分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の3分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量投入されるまで、繰り返す方法で投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で合計22分間混練し、セルロース複合体Aを得た。混練エネルギーの実測値は、2200Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Aの貯蔵弾性率G’(1)は、16.4Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、10質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は83.2%であり、損失正接(tanδ)は0.36であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の15分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の15分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で合計20分間混練し、セルロース複合体Bを得た。混練エネルギーの実測値は、2000Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Bの貯蔵弾性率G’(1)は、19.5Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、8質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は79.8%であり、損失正接(tanδ)は0.29であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の25分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の25分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Cを得た。混練エネルギーの実測値は、1800Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Cの貯蔵弾性率G’(1)は、23.3Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、5質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は75.8%であり、損失正接(tanδ)は0.26であった。結果を表1に示す。
(実施例3A)
実施例3で得られたセルロース複合体Cを、イオン交換水に濃度1.0%になるように加えて、ホモミキサーMARK II(プライミクス社製)を用いて、10、000rpmで30分間撹拌しスラリー化した。乾燥機は、チャンバーの径が3m、高さ4m(大川原化工機株式会社製)で、スラリー化したセルロース複合体Cを、次の乾燥条件で紛体化した。ディスクは、M型のピンディスク、回転数は20、000rpm、スラリー処理量は49.8kg/hr、温度は25℃、入口温度は180℃、出口温度は80℃、送風量は1566m/hであった。
得られた乾燥物(粉体)であるセルロース複合体CAは、貯蔵弾性率G’は23.2Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は5質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は75.6%であり、損失正接(tanδ)は、0.26で、噴霧乾燥前のセルロース複合体Cと同等の物性であった。
(実施例3B)
実施例3で得られたセルロース複合体Cを、手で直径2mm程に小さくし、ステンレス製容器に入れて棚段乾燥した。乾燥機は、通風オーブン(エスペック株式会社 PV−211)。乾燥条件は、ダンパー100%において、100℃で30分間乾燥した。乾燥物30gを、ミルサー(イワタニ IFM−800DG)で5秒間粉砕し、それを篩目開き180μmで篩って通過した粉体を得た。
得られた乾燥物(粉体)であるセルロース複合体CBは、貯蔵弾性率G’は23.1Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、5質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は、75.5%であり、損失正接(tanδ)は、0.26で、噴霧乾燥前のセルロース複合体Cと同等の物性であった。
(実施例4)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。
上記組成物を、せん断速度745(1/Sec)で22分間混練し、セルロース複合体Dを得た。混練エネルギーの実測値は、250Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Dの貯蔵弾性率G’(1)は、4.4Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、49質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は92.1%であり、損失正接(tanδ)は0.45であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で合計22分間混練し、セルロース複合体Eを得た。混練エネルギーの実測値は、1500Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Eの貯蔵弾性率G’(1)は、13.4Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、25質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は89.1%であり、損失正接(tanδ)は0.40であった。結果を表1に示す。
(実施例6)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。
上記組成物を、せん断速度7975(1/Sec)で22分間混練し、セルロース複合体Fを得た。混練エネルギーの実測値は、3500Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Fの貯蔵弾性率G’(1)は、15.3Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、15質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は87.2%であり、損失正接(tanδ)は0.26であった。結果を表1に示す。
(実施例7)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が90/10となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の25分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の25分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Gを得た。混練エネルギーの実測値は、700Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Gの貯蔵弾性率G’(1)は、14.5Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、20質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は93.0%であり、損失正接(tanδ)は0.22であった。結果を表1に示す。
(実施例8)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が75/25となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の25分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の25分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で合計18分間混練し、セルロース複合体Hを得た。混練エネルギーの実測値は、2500Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Hの貯蔵弾性率G’(1)は、12.5Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、30質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は69.2%であり、損失正接(tanδ)は0.33であった。結果を表1に示す。
(実施例9)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度1500mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の25分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の25分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Iを得た。混練エネルギーの実測値は、1600Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Iの貯蔵弾性率G’(1)は、17.8Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、9質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は81.2%であり、損失正接(tanδ)は0.23であった。結果を表1に示す。
(実施例10)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度500mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の25分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の25分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Jを得た。混練エネルギーの実測値は、1000Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合化物Jの貯蔵弾性率G’(1)は、13.8Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、25質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は82.3%であり、損失正接(tanδ)は0.20であった。結果を表1に示す。
(実施例11)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度200mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の25分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の25分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Kを得た。練エネルギーの実測値は、500Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Kの貯蔵弾性率G’(1)は、9.8Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、35質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は89.2%であり、損失正接(tanδ)は0.19であった。結果を表1に示す。
(実施例12)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度0.7)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の25分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の25分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量が投入されるまで繰り返す方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度3925(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Lを得た。練エネルギーの実測値は、280Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Lの貯蔵弾性率G’(1)は、22.2Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、5質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は76.0%であり、損失正接(tanδ)は0.25であった。結果を表1に示す。
(実施例13)
市販溶解用パルプ(DPパルプ)を裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、セルロース(以下MCC)/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の50分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の50分の1を投入し、30秒間混練する操作を全量投入されるまで、繰り返す方法で投入した。
上記組成物を、せん断速度710(1/Sec)で合計32分間混練し、セルロース複合体Mを得た。混練エネルギーの実測値は、350Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Mの貯蔵弾性率G’(1)は、8.2Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、35質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は90.5%であり、損失正接(tanδ)は0.41であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例と同様の操作で市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)とを用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の2分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の2分の1を加える方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度710(1/Sec)で25分間混練し、セルロース複合体Nを得た。混練エネルギーの実測値は、180Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Nの貯蔵弾性率G’(1)は、0.8Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、56質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は102.3%であり、損失正接(tanδ)は0.99であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1%溶解液の25℃での粘度3000mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が82.5/17.5となるように投入し、固形分50質量%となるように加水した。
上記組成物を、せん断速度350(1/Sec)で360分間混練し、セルロース複合体Oを得た。混練エネルギーの実測値は、90Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Oの貯蔵弾性率G’(1)は、0.7Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、70質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は105.2%であり、損失正接(tanδ)は1.01であった。結果を表1に示す。
(比較例3)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1)(1%溶解液の25℃での粘度50mPa・s、エーテル化度0.7)と市販CMC−Na(2)(1%溶解液の25℃での粘度200mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Na(1)/CMC−Na(2)の質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が85/7.5/7.5となるように投入し、固形分42質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の2分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の2分の1を加える方法で、投入した。
上記組成物を、せん断速度710(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Pを得た。混練エネルギーの実測値は、200Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Pの貯蔵弾性率G’(1)は、4.2Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、68質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は99.6%であり、損失正接(tanδ)は0.42であった。結果を表1に示す。
(比較例4)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1)(1%溶解液の25℃での粘度50mPa・s、エーテル化度0.7)と市販CMC−Na(2)(1%溶解液の25℃での粘度200mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Na(1)/CMC−Na(2)の質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が81/14.2/4.8となるように投入し、固形分42質量%となるように加水した。CMC−Naは一括添加ではなく、全量の2分の1を投入後、30秒間混練を行ったのちに、再び全量の2分の1を加える方法で投入した。
上記組成物を、せん断速度710(1/Sec)で45分間混練し、セルロース複合体Qを得た。混練エネルギーの実測値は、30Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Qの貯蔵弾性率G’(1)は、0.7Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、64質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は98.0%であり、損失正接(tanδ)は1.00であった。結果を表1に示す。
(比較例5)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1)(1%溶解液の25℃での粘度50mPa・s、エーテル化度0.7)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Naの質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が85/15となるように投入し、固形分43質量%となるように加水した。
上記組成物を、せん断速度710(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Rを得た。混練エネルギーの実測値は、25Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Rの貯蔵弾性率G’(1)は、1.2Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、68質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は96.4%であり、損失正接(tanδ)は0.66であった。結果を表1に示す。
(比較例6)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、該ウェットケーキ状のセルロースと、市販CMC−Na(1)(1%溶解液の25℃での粘度200mPa・s、エーテル化度1.3)と市販CMC−Na(2)(1%溶解液の25℃での粘度50mPa・s、エーテル化度1.3)を用意し、Compounder15(DSM Xplore製)に、MCC/CMC−Na(1)/CMC−Na(2)の質量比(重量と水分量を測定して、水分を含まない状態の成分の重量に換算した値に基づく)が92/2/6となるように投入し、固形分42質量%となるように加水した。
上記組成物を、せん断速度710(1/Sec)で18分間混練し、セルロース複合体Sを得た。混練エネルギーの実測値は、250Wh/kgであった。混練温度は、熱電対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
得られたセルロース複合体Sの貯蔵弾性率G’(1)は、2.6Paであり、コロイド状セルロース複合体の含有量は、54質量%であり、貯蔵弾性率の維持率は92.3%であり、損失正接(tanδ)は0.53であった。結果を表1に示す。
(落花生飲料)
上記の実施例、比較例により得られたセルロース複合体A〜Sを使用し、以下の操作により落花生飲料を作製し、評価を行った。
砂糖240.0g、落花生粉末(株式会社みの屋 ピーナッツロースト)を160.0g、脱脂粉乳を80.0g、カゼインナトリウムを8.0g、乳化剤を4.0g、セルロース複合体を8.0g、さらに80℃の温めたイオン交換水を加え全量4000gにした。実施例14については、さらに、ジェランガムを0.005質量%となるように添加して全量4000gとした。実施例15については、さらに、ι−カラギーナンを0.015質量%となるように添加して全量4000gとした。実施例16については、さらに、キサンタンガムを0.01質量%となるように添加して全量4000gとした。
その後、プロペラ攪拌機(新東科学株式会社製、BL600、撹拌翼:かい十字、500rpm×10分、80℃)で混合分散後に、TKホモミキサー(特殊機化工業Model Mark II 10000rpm×10分、80℃)にて更に混合分散を行った後に、ピストン型ホモジナイザーにて均質化処理(15+5MPa)行った。その後、加熱殺菌(141℃×5秒)後に、室温まで冷却し、250ml耐熱瓶に充填し、落花生飲料を得た。本飲料に含まれるたんぱく質は、1.7質量%であった。その後、50℃の雰囲気にて1ケ月間保存し、以下の方法にて評価を実施した。結果を表1に示す。なお、セルロース複合体CA,CBを使用した落花生飲料の評価結果は、セルロース複合体Cを使用したものと同じであった。
<官能評価>
50℃で1ヶ月保存した飲料を、パネラー20人(男性10名、女性10名)により、以下の指標にて官能評価を実施した。
(口どけ)
◎(優):非常になめらかな口どけである。
○(良):なめらかな口どけである。
△(可):口どけが、ややざらつく。
×(不可):口どけが、非常にざらつく。
(のど越し)
◎(優):非常に軽いのど越しである。
○(良):軽いのど越しである。
△(可):やや糊状感があるのど越しである。
×(不可):糊状感が強く、重いのど越しである。
(食感の変化)
◎(優):口に含んだ瞬間から飲み込むまでの間に、大きな食感の違いがある。
○(良):口に含んだ瞬間から飲み込むまでの間に、やや食感の違いがある。
△(可):口に含んだ瞬間から飲み込むまでの間に、わずかに食感の違いがある。
×(不可):口に含んだ瞬間から飲み込むまでの間に、食感の違いがない。
(粘り気)
◎(優):口に含んだ際に、粘り気を全く感じない。
○(良):口に含んだ際に、粘り気をほとんど感じない。
△(可):口に含んだ際に、やや粘り気を感じる。
×(不可):口に含んだ際に、強く粘り気を感じる。
<ゲル化>
1ヶ月保存後の飲料を、目開き5mmの篩にて濾過し、篩を通過しないゲル(残差)の有無を確認した。
◎(優):ゲルなし。
×(不可):ゲルあり。
<懸濁安定性:飲食品の外観観察>
各種飲料において、以下の項目に関し、基準を定め、目視により判定した。
◎(優):成分の沈殿、凝集、分離なし。
○(良):成分の沈殿、凝集、分離が僅かにあり、1〜2回の振とうで解消可能。
△(可):成分の沈殿、凝集、分離があり、3〜5回の振とうで解消可能。
×(不可):成分の沈殿、凝集、分離があり、5回の振とうで解消不可能。
(ココア飲料)
上記の実施例、比較例により得られたセルロース複合体A〜Sを使用し、以下の操作によりココア飲料を作製し、評価を行った。
砂糖を200.0g、ココア粉末(バンホーテンココア、脂肪含有量22〜24%)を40.0g、全脂粉乳を32.0g、塩化ナトリウムを2.0g、セルロース複合体を8.0g、さらに80℃の温めたイオン交換水を加え全量を4000gにした。実施例14については、さらに、ジェランガムを0.005質量%となるように添加して全量4000gとした。実施例15については、さらに、ι−カラギーナンを0.015質量%となるように添加して全量4000gとした。実施例16については、さらに、キサンタンガムを0.01質量%となるように添加して全量4000gとした。
その後、プロペラ攪拌機(新東科学株式会社製、BL600、攪拌翼:かい十字、500rpm×10分、80℃)にて更に混合分散を行った後に、ピストン型ホモジナイザーにて均質化処理(15+5MPa)行った。その後、加熱殺菌(140℃×60秒)後に、室温まで冷却し、250ml耐熱瓶に充填し、ココア飲料を得た。本飲料に含まれるタンパク質は0.3質量%であった。その後、50℃の雰囲気にて1ヶ月間静置保存し、落花生飲料と同様の方法にて評価を実施した。得られた結果は、表1に示した。なお、セルロース複合体CA,CBを使用したココア飲料の評価結果は、セルロース複合体Cを使用したものと同じであった。
(オーツ麦飲料)
上記の実施例、比較例により得られたセルロース複合体A〜Sを使用し、以下の操作によりオーツ麦飲料を作製し、評価を行った。
砂糖を240.0g、オーツ麦粉末(日本食品製造 プレミアムピュアオートミール)を180.0g、全脂粉乳を112.0g、パーム油を28.0g、ι―カラギーナンを1.2g、セルロース複合体を8.0g、さらに25℃のイオン交換水を加え全量を4000gにした。実施例14については、さらに、ジェランガムを0.005質量%となるように添加して全量4000gとした。実施例15については、前記の1.2gのι―カラギーナンに追加して、さらにι−カラギーナンを0.015質量%となるように添加(合計0.045質量%)して全量4000gとした。実施例16については、さらに、キサンタンガムを0.01質量%となるように添加して全量4000gとした。
その後、プロペラ攪拌機(新東科学株式会社製、BL600、攪拌翼:かい十字、500rpm×10分、25℃)で混合分散後に、TKホモミキサー(特殊機化工業製Model MarkII、10、000rpm×10分、25℃)にて更に混合分散を行った後に、ピストン型ホモジナイザーにて均質化処理(15+5MPa)行った。その後、加熱殺菌(140℃×60秒)後に、80℃で、250ml耐熱瓶に充填し、オーツ麦飲料を得た。本飲料に含まれるタンパク質は1.3質量%であった。その後、50℃の雰囲気にて1ヶ月間静置保存し、落花生飲料と同様の方法にて評価を実施した。得られた結果は、表1に示した。なお、セルロース複合体CA,CBを使用したオーツ麦飲料の評価結果は、セルロース複合体Cを使用したものと同じであった。
参考までに、市販のセルロース複合体であるMCG−811F(JRS社製)とBV−1518(FMC社製)について、貯蔵弾性率G’(1)、貯蔵弾性率の維持率、損失正接(tanδ)を測定した結果と、上記セルロース複合体A〜Rと同様に落花生飲料を作製して評価した結果を表2に示した。
Figure 2016084397
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本発明のセルロース複合体は、飲食品、特に高蛋白質飲料に適した安定剤として使用できる。

Claims (7)

  1. セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の貯蔵弾性率G’(1)と歪み20%時の貯蔵弾性率G’(20)に対してG’(20)×100/G’(1)で規定される貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であるセルロース複合体。
  2. セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の損失正接(tanδ)が0.42未満であるセルロース複合体。
  3. セルロース及び陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体であって、該複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の貯蔵弾性率G’(1)と歪み20%時の貯蔵弾性率G’(20)に対してG’(20)×100/G’(1)で規定される貯蔵弾性率の維持率が92.2%以下であり、25℃における歪み1%時の損失正接(tanδ)が0.42未満であるセルロース複合体。
  4. 前記複合体をイオン交換水に分散させてなる1.0質量%濃度の水分散体において、25℃における歪み1%時の貯蔵弾性率G’(1)が4.3Pa以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース複合体。
  5. 前記陰イオン性多糖類が、1.0質量%濃度の水分散体とした時の25℃における粘度が200mPa・sを超えるカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロース複合体。
  6. セルロースと陰イオン性多糖類を含むセルロース複合体を製造する方法であって、該陰イオン性多糖類を3段階以上の多段階に分けて該セルロースに添加して湿式で共処理する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース複合体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース複合体を含む飲食品。
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