JP7099859B2 - 食品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品およびその製造方法に関する。
食品の品質を改善しようとする技術として、特許文献1~3に記載のものがある。
特許文献1(特開平1-247040号公報)には、ガラクトースを特定の割合で含有するガラクトマンナンにα-ガラクトシダーゼを作用させてガラクトース含量を減少させ、減少後のガラクトース含量が特定の割合であるガラクトマンナンを添加するペースト状食品の製造法について記載されている。同文献によれば、このような製造法は、安価で良好な乳化安定性、保水性、保型性および粘稠性を有するペースト状食品の製造法であるとされている。
特許文献2(特開2012-85537号公報)には、不溶化率が特定の範囲にある架橋ゼラチンである、ペースト形成用ゼラチンについて記載されている。同文献によれば、このようなペースト形成用ゼラチンは、食品を得る際に、加熱することなく容易にペースト状を形成するものであって、かつ、形成されるペーストが、オーブンなどで加熱しても保形性を損なうことも離水を生じさせることもないとともに、その本来の食感を損なうことなく発揮させることのできるものであるとされている。
特許文献3(特開2013-135614号公報)には、かきとり式熱交換機による70~135℃への加熱、かきとり式熱交換機による20~50℃への冷却、および、攪拌を伴わない手段による、120分以内の-5~-20℃への冷却、の工程を順に経る、ペースト状澱粉調理食品の製造法について記載されている。同文献によれば、このような製造法によれば、凍結したペースト状澱粉調理食品を解凍する際、静置条件で解凍しても離水等が起こることなく、再糊化操作等を必要とせず、そのまま使用可能なペースト状澱粉調理食品を製造できるとされている。
また、特許文献4(国際公開第2015/37294号)には、咀嚼や嚥下の訓練を効果的に行うことができる咀嚼、嚥下訓練に適した食品組成物を提供する技術として、澱粉、ゲル化剤、ペースト及び水を特定の割合で含有し、破断応力が特定の範囲にある食品組成物について記載されている。
特開平1-247040号公報 特開2012-85537号公報 特開2013-135614号公報 国際公開第2015/37294号
本発明者らが検討したところ、上述した特許文献1~4に記載の技術を用いてもなお、食品のなめらかさ、水等に添加した際の分散性と保水性のバランスの点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、なめらかさおよび分散性に優れ、かつ、保水性が良好な食品を提供するものである。
本発明によれば、
以下の成分(A)~(C):
(A)でん粉粉状物、
(B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、および
(C)野菜および果物からなる群から選択される1または2以上の植物素材
を含み、
前記成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、
前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
前記成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である、食品の製造方法であって、
前記成分(A)を準備する工程と、
前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)を配合する工程と、を含み、
成分(A)を準備する前記工程が、
前記アミロース含量5質量%以上のでん粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の前記低分子化でん粉を得る工程と、
原料に前記低分子化でん粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ前記低分子化でん粉と前記低分子化でん粉以外のでん粉の合計が75質量%以上である、前記原料をエクストルーダーによりα化処理する工程と、
を含む、食品の製造方法が提供される。
本発明によれば、
以下の成分(A)および(B):
(A)でん粉粉状物、および
(B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、
を含み、
前記成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、
前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
前記成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である、食品用ミックスが提供される。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、前記本発明における前記成分(A)および前記成分(B)を前記成分(C)に添加する工程を含む、食品のなめらかさ、分散性および保水性の向上方法が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における食品の製造方法における成分(A)として用いられるでん粉粉状物であって、
でん粉を75質量%以上含み、
前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
前記成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である、でん粉粉状物が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における食品の製造方法における成分(B)として用いられる保水成分であって、
α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上である、保水成分が提供される。
また、本発明によれば、
以下の成分(A)~(C):
(A)でん粉粉状物、
(B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、および
(C)野菜および果物からなる群から選択される1または2以上の植物素材
を含み、
前記成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、
前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
前記成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である、食品が提供される。
本発明によれば、なめらかさおよび分散性に優れ、かつ、保水性が良好な食品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態における食品の製造方法は、以下の成分(A)~(C):
(A)でん粉粉状物、
(B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、および
(C)野菜および果物からなる群から選択される1または2以上の植物素材
を含む食品の製造方法であって、成分(A)を準備する工程と、成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する工程と、を含む。
ここで、成分(A)は、でん粉を75質量%以上含み、でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、25℃における成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である。
そして、成分(A)を準備する工程は、アミロース含量5質量%以上のでん粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の低分子化でん粉を得る工程と、原料に低分子化でん粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ低分子化でん粉と低分子化でん粉以外のでん粉の合計が75質量%以上である、原料をエクストルーダーによりα化処理する工程と、を含む。
以下、本実施形態における食品およびその製造方法についてさらに具体的に説明する。
本実施形態において、食品は、以下の成分(A)~(C)を含む。
(A)でん粉粉状物
(B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分
(C)野菜および果物からなる群から選択される1または2以上の植物素材
そして、成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、上記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、25℃における成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である。
(成分(A))
成分(A)のでん粉粉状物は、でん粉を含んでなる粉状物である。食品のなめらかさを向上させる観点から、成分(A)は、でん粉を75質量%以上含む。また、上記観点から、でん粉含量を80質量%以上とすることが好ましく、85質量%以上とすることがさらに好ましい。
ここでいうなめらかさとは、ざらつきやねちゃつきがなく、口溶けが良い様を指す。
また、成分(A)中のでん粉含量の上限に制限はなく、100質量%以下であるが、食品の性状等に応じてたとえば99.5質量%以下、99質量%以下、95質量%以下等としてもよい。
また、成分(A)は、上記でん粉として、アミロース含量5質量%以上のでん粉を原料とする低分子化でん粉を特定の割合で含み、低分子化でん粉として特定の大きさのものが用いられる。すなわち、成分(A)中のでん粉が、アミロース含量5質量%以上のでん粉を原料とする低分子化でん粉を成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下である。
低分子化でん粉のピーク分子量の下限値は、食品の保水性を向上させる観点から、3×103以上であり、8×103以上とすることが好ましい。また、低分子化でん粉のピーク分子量の上限値は、食品の保水性と分散性のバランスを向上する観点から、5×104以下であり、3×104以下とすることが好ましく、1.5×104以下とすることがさらに好ましい。なお、分解後のでん粉のピーク分子量の測定方法については、実施例の項に記載する。
また、低分子化でん粉の還元糖量は、食品のなめらかさおよび保水性のバランスを向上させる観点から、好ましくは0.002mg/g以上であり、より好ましくは0.003mg/g以上であり、さらに好ましくは0.005mg/g以上である。
また、でん粉特有の糊っぽさを抑制する観点から、低分子化でん粉の還元糖量は、好ましくは0.015mg/g以下であり、より好ましくは0.012mg/g以下である。
なお、低分子化でん粉の還元糖量は、福井作蔵著、「還元糖の定量法・第2版」、9-11頁、1990年、学会出版センター発行に記載されたSomogyi-Nelson法に準じて測定されるが、具体的な方法については、実施例の項に記載する。また、還元糖量(mg/g)を100倍した値はデキストロース当量(DE)に相当する。
成分(A)中の低分子化でん粉の含有量は、食品の分散性を向上させる観点から、3質量%以上であり、8質量%以上であることが好ましく、13質量%以上とすることがさらに好ましい。
一方、成分(A)中の低分子化でん粉の含有量の上限は、食品の保水性、分散性のバランスを向上させる観点から、45質量%以下であり、35質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25質量%以下である。
低分子化でん粉の原料でん粉中のアミロース含量は、5質量%以上であり、好ましくは12質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。なお、低分子化でん粉の原料でん粉中のアミロース含量の上限に制限はなく、100質量%以下である。
低分子化でん粉の原料であるアミロース含量5質量%以上のでん粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカでん粉、甘藷でん粉、馬鈴薯でん粉、小麦でん粉、ハイアミロース小麦でん粉、米でん粉および、これらの原料を化学的、物理的または酵素的に加工した加工でん粉からなる群から選択される一種または二種以上を用いることができる。べたつきを抑制する観点から、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、および、タピオカでん粉から選択される一種または二種以上を用いることが好ましく、吸水率の高さ、べたつきのなさ、および、ダマになりにくさのバランスを向上させる観点からは、ハイアミロースコーンスターチを用いることが好ましい。ハイアミロースコーンスターチのアミロース含量は、40質量%以上のものが入手可能である。
また、成分(A)は、冷水膨潤度および粒度が特定の条件を満たす構成となっている。
まず、本実施形態において、食品の保水性を高める観点から、成分(A)の冷水膨潤度は7以上であり、好ましくは7.5以上であり、さらに好ましくは8以上である。
また、食品の分散性を高める観点から、成分(A)の冷水膨潤度は20以下であり、好ましくは17以下である。
ここで、成分(A)の冷水膨潤度の測定方法については、実施例の項に記載する。
また、成分(A)の粒度については、食品のなめからさを向上させる観点からは、JIS-Z8801-1規格における目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量は30質量%未満であり、好ましくは25質量%以下である。また、目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量の下限に制限はなく、0質量%以上である。
また、成分(A)の粒度については、成分(A)が配合される食品の性状などを踏まえて適宜調整すればよいが、たとえばJIS-Z8801-1規格の篩における目開き0.1mm篩下の粒子の含有量は好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。
また、成分(A)全体に対する上記篩における目開き0.5mmの篩下且つ目開き0.1mm篩上の粒子の含有量は、たとえば40質量%以上であり、好ましくは55質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、また、100質量%以下であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
成分(A)の粘度は、食品の分散性を向上する観点から、好ましくは4200mPa・s以下であり、より好ましくは3600mPa・s以下、さらに好ましくは1600mPa・s以下である。
また、食品の保水性を向上させる観点からは、成分(A)の粘度は、好ましくは80mPa・s以上であり、より好ましくは100mPa・s以上、さらに好ましくは300mPa・s以上である。
このときの粘度とは、成分(A)を乾燥物質量換算35gとグァーガム(グアパックPF-20、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)0.5gとを均一混合したものを金属羽で攪拌した350gの水へ少量ずつ添加して得た均一なスラリー液(14℃)における、B型粘度計による粘度測定値である。
本実施形態において、成分(A)中の上記低分子化でん粉以外のでん粉成分としては、様々なでん粉を使用することができる。具体的には、用途に応じて一般に市販されているでん粉、たとえば食品用のでん粉であれば、種類を問わないが、コーンスターチ、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、小麦でん粉などのでん粉類;およびこれらのでん粉を化学的、物理的または酵素的に加工した加工でん粉などから、1種以上を適宜選ぶことができる。好ましくは、コーンスターチ、小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉およびこれらの架橋でん粉からなる群から選択される1種または2種以上のでん粉を含有するのがよい。
また、本実施形態における成分(A)には、でん粉以外の成分を配合することもできる。
でん粉以外の成分の具体例としては、砂糖などの糖類(多糖類を除く。);油脂;色素;乳化剤;ならびに炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの不溶性塩が挙げられる。
たとえば成分(A)が色素を含む構成とすることにより、食品の色調を調整することができる。
成分(A)が乳化剤を含む構成とすることにより、成分(A)の硬さを調整することができるため、食品の食感を調整することができる。
また、成分(A)が炭酸カルシウムなどの不溶性塩を含む構成とすることにより、成分(A)の粒子中の気泡構造を安定化し、成分(A)の製造安定性を改善することができる。
次に、成分(A)の製造方法を説明する。成分(A)の製造方法は、たとえば、以下の工程を含む。
(低分子化でん粉の調製工程)アミロース含量5質量%以上のでん粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の低分子化でん粉を得る工程。
(造粒工程)原料に低分子化でん粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ低分子化でん粉と低分子化でん粉以外のでん粉の合計が75質量%以上である、原料をα化処理して造粒する工程。
低分子化でん粉の調製工程は、アミロース含量5質量%以上のでん粉を分解して低分子化でん粉とする工程である。ここでいう分解とは、でん粉の低分子化を伴う分解をいい、代表的な分解方法として酸処理や酸化処理、酵素処理による分解が挙げられる。この中でも、分解速度やコスト、分解反応の再現性の観点から、好ましくは酸処理である。
また、造粒工程には、でん粉の加熱糊化に使用されている一般的な方法を用いることができる。具体的には、ドラムドライヤー、ジェットクッカー、エクストルーダー、スプレードライヤーなどの機械を使用した方法が知られているが、本実施形態において、冷水膨潤度が上述した特定の条件を満たす成分(A)をより確実に得る観点から、エクストルーダーやドラムドライヤーによる加熱糊化が好ましく、エクストルーダーがより好ましい。
エクストルーダーなどによる押出造粒機を用いる方法によれば、成分(A)の粒子の少なくとも表面近傍を糊化させるとともに、密度が適度に低いでん粉粉状物が得られるため、吸水率が適度に高く離水の抑制効果に優れた成分(A)をさらに安定的に得ることができる。エクストルーダー処理する場合は通常、でん粉を含む原料に加水して水分含量を10~60質量%程度に調整した後、たとえばバレル温度30~200℃、出口温度80~180℃、スクリュー回転数100~1,000rpm、熱処理時間5~60秒の条件で、加熱膨化させる。エクストルーダーを用いる際の成分(A)のα化度は、食品の保水性を向上させる観点から、たとえば20%以上、好ましくは30%以上とする。一方、食品の分散性を向上させる観点から、エクストルーダーを用いる際の成分(A)のα化度は、たとえば100%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下とする。
また、ドラムドライヤーを用いたα化処理によれば、α化度をさらに充分に高められるため、吸水率に優れた成分(A)を安定的に得ることができる。ドラムドライヤー処理する場合は、通常、でん粉を含む原料の重ボーメ度10~22程度のスラリーを、オンレーターに通して出口温度90~140℃程度まで加熱して糊液とし、この糊液を直ちに、100~200℃程度に加熱したドラムドライヤーに薄く広げて加熱乾燥させ、これをドラムドライヤーから掻き取る。ドラムドライヤーを用いる際の成分(A)のα化度は、食品の保水性を向上させる観点から、たとえば20%以上、好ましくは30%以上とする。一方、食品の分散性を向上する観点から、ドラムドライヤーを用いる際の成分(A)のα化度は、たとえば100%以下、好ましくは98%以下とする。
なお、成分(A)のα化度の測定方法については、実施例の項に記載する。
本実施形態において、たとえば上記特定の原料をα化処理する工程により、冷水膨潤度が特定の条件を満たす成分(A)を得ることができる。
また、α化処理して得られた造粒物を、必要に応じて、粉砕し、篩い分けをし、大きさを適宜調整して成分(A)を得るとよい。こうすることにより、成分(A)の冷水膨潤度をより安定的に調整することができる。
以上により得られる成分(A)は、低分子化でん粉を含むでん粉粉状物であって、でん粉含量、冷水膨潤度、粒子の大きさ、および、低分子化でん粉のピーク分子量がいずれも特定の条件を満たす構成となっているため、後述する成分(B)とともに食品中に配合されて、食品を醤油、酢等の液体調味料や水に添加した際の分散性を効果的に向上させることができる。
食品中の成分(A)の含有量は、食品の分散性を向上させる観点から、食品全体に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。
また、食品のなめらかさを保持する観点から、食品中の成分(A)の含有量は、食品全体に対して好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
(成分(B))
成分(B)は、α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分である。成分(B)は、成分(A)以外の成分であり、また、成分(A)とは異なる成分として食品中に配合される。成分(B)を成分(A)と組み合わせて用いることにより、食品の分散性および保水性を効果的に向上させることができる。
成分(B)は、好ましくはα化でん粉である。ここで、α化でん粉とはα化処理されたでん粉であり、成分(A)以外のものをいう。α化でん粉のα化処理の方法としては、たとえばジェットクッカー処理、ドラムドライヤー処理、エクストルーダー処理等が挙げられる。
また、α化でん粉のα化度の指標としては冷水膨潤度を用いることができ、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
成分(B)として用いられるα化でん粉の冷水膨潤度は、食品の保水性を向上させる観点から、好ましくは5以上であり、より好ましくは6以上である。
また、成分(B)として用いられるα化でん粉の冷水膨潤度は、食品の分散性を向上させる観点から、好ましくは40以下であり、より好ましくは35以下である。
また、α化でん粉の原料でん粉に制限はなく、たとえばコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、コムギでん粉、コメでん粉、サゴでん粉、甘藷でん粉、緑豆でん粉、エンドウ豆でん粉およびこれらの化工でん粉、たとえばアセチル化、エーテル化、架橋化を単独もしくは組み合わせたものなどが挙げられる。
成分(B)のうち、α化穀物粉の具体例として、α化小麦粉、α化米粉が挙げられる。
また、成分(B)のうち、蛋白質類の具体例として、卵白粉、卵黄粉、全卵粉等の卵蛋白質;脱脂粉乳、カゼイン、ホエー等の乳蛋白質;脱脂大豆粉、分離大豆蛋白、きな粉等の大豆蛋白質;グルテン等の小麦蛋白質が挙げられる。
食品中の成分(B)の含有量は、食品の保水性を向上させる観点から、食品全体に対して好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上、さらにより好ましくは1.5質量%以上である。
また、食品の分散性を向上させる観点から、食品中の成分(B)の含有量は、食品全体に対して好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは17質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
また、食品中の成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量((B)/(A))は、食品の保水性を向上させる観点から、質量比で、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上である。
また、食品の分散性を向上させる観点から、上記質量比((B)/(A))は、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下、さらに好ましくは3以下である。
(成分(C))
成分(C)は、野菜および果物からなる群から選択される1または2以上の植物素材である。
野菜として、わさび、西洋わさび、ショウガ、ニンニク、コショウ、辛子、唐辛子、タマネギ、ネギ、大根、トマト、カボチャ、人参、バジル、ごま、および豆類(えんどう豆、小豆等)等が挙げられる。
果物として、梅、りんご、柚子、オレンジ等が挙げられる。
成分(C)は、野菜および果物の植物の食用部位であればよく、食用部位として、たとえば、果実、種子、花、葉、茎、幹、枝、根、地下茎、根茎が挙げられる。成分(C)は、これらの食用部位をそのまま含むものであってもよいし、食用部位をカット、粉砕またはすりおろして所望の大きさおよび形状としたものであってもよい。
成分(C)は、好ましくは、わさび、西洋わさび、ショウガ、ニンニク、コショウ、辛子、唐辛子、梅、ごま、タマネギ、ネギ、大根、トマト、カボチャ、柚子からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは、わさび、西洋わさび、コショウ、辛子、唐辛子、梅、ごま、カボチャ、柚子からなる群から選択される1種または2種以上であり、さらに好ましくは、わさび、西洋わさび、辛子、唐辛子、梅、ごま、柚子からなる群から選択される1種または2種以上である。
食品中の成分(C)の含有量は、たとえば食品中の成分(C)以外の成分を除いた残部とすることができる。
また、食品中の成分(C)の含有量は、野菜または果物の自然の好ましい香りまたは味を得る観点から、食品全体に対して好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
また、食品のなめらかさ、分散性、保水性のバランスを向上させる観点から、食品中の成分(C)の含有量は、食品全体に対して好ましくは98.95質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。
(食品)
食品は、上述した成分(A)~(C)を含む。食品は、そのまま喫食に供されてもよいし、素材として用いられてもよい。
食品の形態に制限はなく、食品を水等の液体に添加した際の分散性を向上させる観点から、好ましくはペースト状である。
食品の具体例として、練りわさび、練り辛子、練り梅、練りごま、おろしショウガ、おろしニンニク、おろし大根、おろしタマネギ、柚子胡椒等の薬味類;
トマトペースト、カボチャペースト、人参ペースト、りんごペースト、柚子こしょうペースト、オレンジピューレ、バジルピューレ、えんどう豆ピューレ等が挙げられる。食品のなめらかさが要求される食品としては、練りわさび、練りコショウ、練り辛子、練り唐辛子、練り梅、練りごま、カボチャペースト、柚子こしょうペーストが好ましく挙げられる。
また、食品は、前述した成分(A)~(C)以外の成分を含んでもよい。
たとえば、食品は、成分(D):βでん粉をさらに含んでもよい。食品が成分(A)および(B)に加えて成分(D)を含むことにより、食品の分散性を向上させることができる。
ここで、βでん粉とは、糊化処理していないでん粉のことをいう。βでん粉の具体例として、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、コムギでん粉、コメでん粉、サゴでん粉、甘藷でん粉、緑豆でん粉、エンドウ豆でん粉およびこれらの化工でん粉(アセチル化でん粉、エーテル化でん粉、架橋化でん粉等)からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
食品中の成分(D)の含有量は、食品の分散性を向上させる観点から、食品全体に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。
また、食品の保水性を維持する観点から、食品中の成分(D)の含有量は、食品全体に対して好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
また、食品中に含まれる成分(A)~(D)以外の成分の具体例として、水;食用油脂;砂糖、塩、酸味料等の食味調整材料;ビタミンC等の酸化防止剤;pH調整剤等の保存料等が挙げられる。
次に、食品の製造方法について説明する。本実施形態において、食品は、たとえば、成分(A)を準備する工程と、成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する工程と、を含む製造方法により得ることができる。
上記製造方法において、成分(A)を準備する工程は、前述した低分子化でん粉の調製工程および造粒工程を含んでもよい。
また、成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する工程においては、成分(C)および食品の態様に応じて各成分を所定の順序および方法で配合することができる。また、成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する工程において、成分(A)~(C)以外の成分を配合してもよい。たとえば、成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する工程が、成分(A)~成分(D)を配合する工程を含んでもよい。さらに具体的には、成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する工程が、成分(A)~成分(D)を配合する工程であってもよい。
本実施形態において得られる食品は、成分(A)~(C)を含むため、食品を水;醤油、酢等の液体調味料;などの液体に添加した際の分散性に優れる。
また、本実施形態において、成分(A)および(B)を組み合わせて用いることにより、たとえば、食品の分散性および保水性のバランスを向上させることも可能となる。
また、本実施形態において、成分(A)および(B)を組み合わせて食品の分散性および保水性の改良剤として用いることができる。たとえば、本実施形態における食品用ミックスは、成分(A)および(B)を含む。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 以下の成分(A)~(C):
(A)でん粉粉状物、
(B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、および
(C)野菜および果物からなる群から選択される1または2以上の植物素材
を含み、
前記成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、
前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×10 3 以上5×10 4 以下であって、
25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
前記成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である、食品の製造方法であって、
前記成分(A)を準備する工程と、
前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)を配合する工程と、を含み、
成分(A)を準備する前記工程が、
前記アミロース含量5質量%以上のでん粉を低分子化処理してピーク分子量が3×10 3 以上5×10 4 以下の前記低分子化でん粉を得る工程と、
原料に前記低分子化でん粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ前記低分子化でん粉と前記低分子化でん粉以外のでん粉の合計が75質量%以上である、前記原料をエクストルーダーによりα化処理する工程と、
を含む、食品の製造方法。
2. 前記成分(A)が、前記低分子化でん粉以外のでん粉として、コーンスターチ、小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉および架橋でん粉からなる群から選択される1種または2種以上を含有する、1.に記載の食品の製造方法。
3. 前記成分(B)がα化でん粉である、1.または2.に記載の食品の製造方法。
4. 前記食品中の前記成分(A)の含有量が、前記食品全体に対して1質量%以上20質量%以下である、1.乃至3.いずれか1つに記載の食品の製造方法。
5. 前記食品中の前記成分(B)の含有量が、前記食品全体に対して0.5質量%以上20質量%以下である、1.乃至4.いずれか1つに記載の食品の製造方法。
6. 前記成分(C)が、わさび、西洋わさび、ショウガ、ニンニク、コショウ、辛子、唐辛子、梅、ごま、タマネギ、ネギ、大根、トマト、カボチャ、柚子からなる群から選択される1種または2種以上である、1.乃至5.いずれか1つに記載の食品の製造方法。
7. 成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する前記工程が、成分(D):βでん粉をさらに配合する工程を含む、1.乃至6.いずれか1つに記載の食品の製造方法。
8. 以下の成分(A)および(B):
(A)でん粉粉状物、および
(B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、
を含み、
前記成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、
前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×10 3 以上5×10 4 以下であって、
25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
前記成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である、食品用ミックス。
9. 1.乃至7.いずれか1つに記載の食品の製造方法における成分(A)として用いられるでん粉粉状物であって、
でん粉を75質量%以上含み、
前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×10 3 以上5×10 4 以下であって、
25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
前記成分(A)の目開き0.5mmの篩上の粒子の含有量が30質量%未満である、でん粉粉状物。
10. 1.乃至7.いずれか1つに記載の食品の製造方法における成分(B)として用いられる保水成分であって、
α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上である、保水成分。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の趣旨はこれらに限定されるものではない。
以下の例において、断りのない場合、配合の単位は「質量%」である。また、断りのない場合、「部」とは、「質量部」である。
使用原材料は以下のものを使用した。
βでん粉:株式会社J-オイルミルズ製、コーンスターチY
α化でん粉1:株式会社J-オイルミルズ製、ジェルコールGT-α(冷水膨潤度12.3)
α化でん粉2:株式会社J-オイルミルズ製、ジェルコールAH-F(冷水膨潤度6.5)
ハイアミロースコーンスターチ:株式会社J-オイルミルズ製、HS-7、アミロース含量70質量%
炭酸カルシウム:白石カルシウム株式会社製、コロカルソーEx
粉わさび:ハウス食品株式会社製、特製粉わさび 業務用
柚子こしょう粉末:エスビー食品株式会社製、柚子こしょう(粉末)
植物素材として柚子及び青唐辛子を含有
本みりん:宝酒造株式会社製、タカラ本みりん「醇良」
(製造例1)
本例では、低分子化でん粉として酸処理でん粉を用いてでん粉粉状物の製造および評価をおこなった。
(酸処理ハイアミロースコーンスターチの製造方法)
ハイアミロースコーンスターチを水に懸濁して35.6%(w/w)スラリーを調製し、50℃に加温した。そこへ、攪拌しながら4.25Nに調製した塩酸水溶液をスラリー質量比で1/9倍量加え反応を開始した。16時間反応後、3%NaOHで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理ハイアミロースコーンスターチを得た。
得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチのピーク分子量を以下の方法で測定したところ、ピーク分子量は1.2×104であり、還元糖量は0.01mg/gであった。
(ピーク分子量の測定方法)
ピーク分子量の測定は、東ソー株式会社製HPLCユニットを使用しておこなった(ポンプDP-8020、RI検出器RS-8021、脱気装置SD-8022)。
(1)試料を粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で、目開き0.15mm篩下の画分を回収した。この回収画分を移動相に1mg/mLとなるように懸濁し、懸濁液を100℃3分間加熱して完全に溶解した。0.45μmろ過フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25HP PTFE 0.45μm)を用いてろ過を行い、ろ液を分析試料とした。
(2)以下の分析条件で分子量を測定した。
カラム:TSKgel α-M(7.8mmφ、30cm)(東ソー株式会社製)2本
流速:0.5mL/min
移動相:5mM NaNO3含有90%(v/v)ジメチルスルホキシド溶液
カラム温度:40℃
分析量:0.2mL
(3)検出器データを、ソフトウェア(マルチステーションGPC-8020modelIIデータ収集ver5.70、東ソー株式会社製)にて収集し、分子量ピークを計算した。
検量線には、分子量既知のプルラン(Shodex Standard P-82、昭和電工株式会社製)を使用した。
(還元糖量の測定方法)
(1)以下の方法で銅試薬を調製した。
無水炭酸ナトリウム24gとロッセル塩12gを250mLの蒸留水に溶解させた。さらに10%(w/v)結晶硫酸銅水溶液40mL添加し、その後、炭酸水素ナトリウム16gを加えて溶解させ、溶液Aを得た。別途、無水硫酸ナトリウム18gを500mLの沸騰した蒸留水に溶解させ、溶液Bを得た。溶液Bを冷却した後、溶液Aと溶液Bを混合し、蒸留水で1000mLにメスアップし混合溶液を得た。混合溶液を褐色瓶に移して、35℃で1週間放置後、ろ過をして銅試薬を調製した。
(2)以下の方法でNelson試薬を調製した。
モリブデン酸アンモニウム4水和物((NHMo24・4HO)25gを450mLの蒸留水に溶解し、さらに濃硫酸21mLを加え、溶液Cを得た。別途、ヒ酸二ナトリウム7水和物(NaHAsO・7HO)3gを25mLの蒸留水に溶解し、溶液Dを得た。溶液Cと溶液Dを混合後、蒸留水で1000mLにメスアップしNelson試薬を得た。
(3)無水ブドウ糖を蒸留水に溶解させることで、0μg/mL、40μg/mL、80μg/mL、120μg/mL、160μg/mL、200μg/mLの6種の検量線用ブドウ糖水溶液を調製した。
(4)以下の方法で酸処理ハイアミロースコーンスターチ溶液を調製した。
酸処理ハイアミロースコーンスターチ1.00gをビーカーに精秤し、99.5%エタノール2mLを加えてよく分散させ、スターラーで攪拌しながら10%水酸化ナトリウム水溶液10mLを加え、さらに水50mLを加えて分散させた。分散後、70℃のウォーターバスで5分間加熱溶解させた後、5M酢酸でpH7に中和した後、100mLにメスアップし、酸処理ハイアミロースコーンスターチ溶液を得た。
また、水分計(電磁水分計:型番MX50、研精工業株式会社製)を用いて、130℃で加熱乾燥させることで、酸処理ハイアミロースコーンスターチの水分(質量%)を測定した。
(5)以下の方法で還元糖量を測定した。
酸処理ハイアミロースコーンスターチ溶液および6種の検量線用ブドウ糖水溶液をそれぞれ0.5mLずつガラス試験管に秤取った。銅試薬0.5mLをそれぞれのガラス試験管に加え、よく混合した。それぞれのガラス試験管をビー球で蓋をし、沸騰湯浴に移し、正確に10分間加熱した。加熱後、沸騰湯浴から取り出し、流水中で冷却後、Nelson試薬1.0mLをそれぞれのガラス試験管に加えてよく混合した。25℃で15分間放置した後、それぞれのガラス試験管に蒸留水4mLを加えよく混合した。それぞれのガラス試験管から測定用セルに測定試料を移し、吸光光度計で500nmの吸光度を測定した。
6種の検量線用ブドウ糖水溶液の吸光度から還元糖濃度の検量線を作成し、検量線と酸処理ハイアミロースコーンスターチ溶液の吸光度とから酸処理ハイアミロースコーンスターチ溶液の還元糖濃度(μg/mL)を求めた。酸処理ハイアミロースコーンスターチの還元糖量(μg/g)は下記式により求めた。
還元糖量(μg/g)=還元糖濃度(μg/mL)÷(100-水分(質量%))×100
(でん粉粉状物の製造方法)
βでん粉79質量%、上述の方法で得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチ20質量%、および、炭酸カルシウム1質量%を充分に均一になるまで袋内で混合した。2軸エクストルーダー(幸和工業社製KEI-45)を用いて、混合物を加圧加熱処理した。処理条件は、以下の通りである。
原料供給:450g/分
加水:17質量%
バレル温度:原料入口から出口に向かって50℃、70℃および100℃
出口温度:100~110℃
スクリューの回転数250rpm
このようにしてエクストルーダー処理により得られたα化処理物を110℃にて乾燥し、水分含量を約10質量%に調整した。得られたα化処理物のα化度を後述する方法で測定したところ、51%であった。
次いで、乾燥したα化処理物を、卓上カッター粉砕機で粉砕した後、JIS-Z8801-1規格の篩で篩分けした。篩分けしたα化処理物を、以下の配合割合で混合し、でん粉粉状物を調製した。
目開き1.4mmパス、目開き0.5mmオン:20質量%
目開き0.5mmパス、目開き0.1mmオン:75質量%
目開き0.1mmパス:5質量%
得られたでん粉粉状物の冷水膨潤度を後述する方法で測定したところ、10であった。また、得られたでん粉粉状物の粘度は420mPa・sであった。
でん粉粉状物のα化度、冷水膨潤度および粘度の測定方法を以下に示す。
(α化度の測定方法)
でん粉粉状物中のでん粉のα化度測定は、β-アミラーゼ・プルラナーゼ(BAP)法により行なった。
(1)事前にα化処理物を粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で目開き0.15mmを通過する粒度に調整したものを測定試料として用いた。
(2)「澱粉科学」、第28巻、第4号、235~240頁(1981年)の「β-アミラーゼ・プルラナーゼ(BAP)系を用いた澱粉の糊化度、老化度の新測定法」に記載される方法に準じて、α化処理物中のでん粉のα化度(%)を測定した。
(冷水膨潤度の測定方法)
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社、電磁水分計:型番MX50)を用いて、125℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物質量を算出した。
(2)この乾燥物質量換算で試料1gを25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプタ)し、沈殿層と上澄層に分けた。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層質量を測定し、これをB(g)とした。
(4)沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの質量をC(g)とした。
(5)B/Cを冷水膨潤度とした。
(粘度の測定方法)
(1)14℃の水350mLが入った500mLプラスチックカップを用意し、金属製攪拌羽(東京理化器械株式会社製 角度付きファンタービン、軸径0.8cm、翼径8cm)を用いて350rpmで攪拌しておいた。
(2)そこへ、乾燥物質量換算で試料35gとグァーガム0.5gを均一混合したものを少量ずつ添加していき、60秒間の間にすべてを添加した。
(3)その後、回転数を750rpmに上げ、(2)の添加開始からの合計の攪拌時間が3分になるまで攪拌し、スラリー液を得た。
(4)スラリー液を速やかに300mLトールビーカーに入れ、B型粘度計(TOKIMEC.INC モデル:BM)にて粘度を測定した(ローター回転数60rpm;測定時間60秒)。
(実施例1~5、比較例1~3)
本例では、以下の方法で練りわさびの調製および評価をおこなった。
(練りわさびの作製方法)
1.粉わさび20部を水80部に希釈して均一に混合し、わさびベースを得た。なお、このわさびベースは、メーカー推奨の粉わさびの水への希釈倍率よりも高く調整したものである。
2.上記1.で得られたわさびベースに他の成分を表1または表2に示す配合で添加し、よく混ぜ合わせて練りわさびを得た。
3.上記2.で得られた練りわさびをふた付きのプラスチックカップに入れ密封した後25℃にて1時間保存後の食感、分散性および保水性を以下の方法で評価した。評価結果を表1または表2にあわせて示す。
(練りわさびの評価方法)
(1)食感
各例で得られた練りわさびの4℃、1週間保存後のなめらかさを1名の評価パネラーが評価した。評価基準を以下とし、「△」以上を合格とした。
×:ねちゃついて、なめらかでない。
△:あまりねちゃつきがなく、ややなめらかである。
○:ねちゃつかず、なめらかである。
◎:なめらかで、口溶けが良い。
(2)分散性
各例で得られた練りわさびの4℃、1週間保存後に醤油に溶いた際の分散性(表1および表2中、「分散(醤油溶き)」と記載する。)を評価した。
すなわち、金属容器中の醤油20mL中に、各例の練りわさびのペーストを2gずつ加え、マグネットスターラー(2cm円柱型)にて100rpm、60秒間撹拌した。撹拌後の分散を以下の基準で評価し、「△」以上を合格とした。
×:ほとんど分散せず、ダマが残る。
△:ダマが残るが、やや分散する。
○:若干ダマが残るが、ほとんど分散する。
◎:完全に分散し、ダマはない。
(3)保水性
各例で得られた練りわさびをふた付きのプラスチックカップに入れ密封した後25℃にて1時間保存後または4℃にて1週間保存後の保水性を以下の基準で評価し、「△」以上を合格とした。
×:1時間保存後に離水が見られる。
△:1時間保存後は離水していない。
○:1週間保存後においても離水が抑えられているが、触れると水分が出てくる。
◎:1週間保存後においても離水が抑えられ、触れても水分がほぼつかない。
Figure 0007099859000001
Figure 0007099859000002
表1および表2より、各実施例で得られた練りわさびは、各比較例のものに比べて、食感、醤油に溶いた際の分散性および保水性について効果のバランスに優れていた。
(実施例6)
本例では、以下の方法で柚子こしょうペーストの調製および評価をおこなった。
(柚子こしょうペーストの調製)
1.本みりん10部と水30部とを混合した調味液40部に、柚子こしょう粉末100部を溶いて、柚子こしょうベースを得た。
2.上記1.で得られた柚子こしょうベースに他の成分を表3に示す配合で添加し、よく混ぜ合わせ、柚子こしょうペーストを得た。
(柚子こしょうペーストの評価)
得られた柚子こしょうペーストは、ねちゃつきがなくなめらかで、4℃で24時間経過しても離水は見られず、保水性も良好であった。また、醤油に溶いたときの分散性にも優れていた。
Figure 0007099859000003

Claims (8)

  1. 以下の成分(A)~(C):
    (A)でん粉粉状物、
    (B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、および
    (C)野菜および果物からなる群から選択される1または2以上の植物素材
    を含み、
    前記成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、
    前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
    25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
    前記成分(A)の目開き0.5mmの篩下且つ目開き0.1mmの篩上の粒子の含有量が40質量%以上100質量%以下である、食品の製造方法であって、
    前記成分(A)を準備する工程と、
    前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)を配合する工程と、を含み、
    成分(A)を準備する前記工程が、
    前記アミロース含量5質量%以上のでん粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の前記低分子化でん粉を得る工程と、
    原料に前記低分子化でん粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ前記低分子化でん粉と前記低分子化でん粉以外のでん粉の合計が75質量%以上である、前記原料をエクストルーダーによりα化処理する工程と、
    を含む、食品の製造方法。
  2. 前記成分(A)が、前記低分子化でん粉以外のでん粉として、コーンスターチ、小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉および架橋でん粉からなる群から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1に記載の食品の製造方法。
  3. 前記成分(B)がα化でん粉である、請求項1または2に記載の食品の製造方法。
  4. 前記食品中の前記成分(A)の含有量が、前記食品全体に対して1質量%以上20質量%以下である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の食品の製造方法。
  5. 前記食品中の前記成分(B)の含有量が、前記食品全体に対して0.5質量%以上20質量%以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の食品の製造方法。
  6. 前記成分(C)が、わさび、西洋わさび、ショウガ、ニンニク、コショウ、辛子、唐辛子、梅、ごま、タマネギ、ネギ、大根、トマト、カボチャ、柚子からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の食品の製造方法。
  7. 成分(A)、成分(B)および成分(C)を配合する前記工程が、成分(D):βでん粉をさらに配合する工程を含む、請求項1乃至6いずれか1項に記載の食品の製造方法。
  8. 以下の成分(A)および(B):
    (A)でん粉粉状物、および
    (B)α化でん粉、α化穀物粉および蛋白質類からなる群から選択される1または2以上の保水成分、
    を含み、
    前記成分(A)が、でん粉を75質量%以上含み、
    前記でん粉として、アミロース含量5質量%以上であるでん粉の低分子化でん粉を前記成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化でん粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
    25℃における前記成分(A)の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
    前記成分(A)の目開き0.5mmの篩下且つ目開き0.1mmの篩上の粒子の含有量が40質量%以上100質量%以下である、食品用ミックス。
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