JP5551846B1 - 組成物、これを用いた衣材、飲食品および飼料、ならびに組成物の製造方法 - Google Patents

組成物、これを用いた衣材、飲食品および飼料、ならびに組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

澱粉を75質量%以上含む組成物であって、前記澱粉として、アミロース含量5質量%以上である澱粉を原料として得られた低分子化澱粉を当該組成物中3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、25℃における当該組成物の冷水膨潤度が7以上20以下であり、当該組成物中の目開き0.5mmの篩上の粒状物の含有量が50質量%以下である、組成物。

Description

本発明は、組成物、これを用いた衣材、飲食品および飼料、ならびに組成物の製造方法に関する。
パン、ケーキ、和菓子、麺等の穀粉食品やハンバーグ、ソーセージ等の畜肉食品のしっとり感、ソフトさを向上するために、増粘多糖類、アルファー化澱粉、乳化剤、パン粉砕物などが使われてきた。しかし、これらを多量に配合すると、製造時の作業性や、飲食品本来の食感を損ねる場合があった。
また、高含水率の食品は、しっとり感、ソフトさ、飲み込みやすさなど、消費者の嗜好性および高齢化の面から必要度が増している。
ここで、澱粉を用いた素材として、特許文献1〜6に記載のものがある。
特許文献1(特開2006−265490号公報)には、ハイアミロースコーンスターチ等の未化工澱粉をドラムドライヤー等で加熱処理してα化することにより得られる未化工α化澱粉が記載されている。未化工の澱粉をα化することにより、繊維感またはパルプ感が得られるとされている。
特許文献2(特開平8−9907号公報)には、ハイアミロースコーンスターチをエクストルーダーでα化処理して得られる食品用素材が記載されている。また、得られた食品用素材をハンバーグやから揚げの製造に用いたことが記載されている。
特許文献3(特開平8−9871号公報)には、馬鈴薯澱粉とハイアミロ−ス澱粉あるいはアミロ−ス含量の高い澱粉質を乳化剤と共にα化処理する技術が記載されている。
特許文献4(特表2004−519546号公報)には、アミロース豊富な澱粉をドラムドライ法でα化する技術が記載されている。
特許文献5(特開平10−165102号公報)には、ハイアミロースコーンスターチのα化澱粉を含有する離水防止性を有する餡食品に関する技術が記載されている。
また、特許文献6(特開平5−15296号公報)には、加熱溶解度、冷水膨潤度、これらの比、および粒子の大きさについて特定の条件を満たす加工澱粉をベーカリー食品に用いる技術が記載されている。
特開2006−265490号公報 特開平8−9907号公報 特開平8−9871号公報 特表2004−519546号公報 特開平10−165102号公報 特開平5−15296号公報
特許文献1〜6に記載の技術においては、吸水率の高さ、食感、べたつきのなさ、および、ダマになりにくさのバランスを向上させる点において、なお改善の余地があった。
本発明によれば、
澱粉を75質量%以上含む組成物であって、
前記澱粉として、アミロース含量5質量%以上である澱粉を原料として得られた低分子化澱粉を当該組成物中3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
25℃における当該組成物の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
当該組成物中の目開き0.5mmの篩上の含有量が50質量%以下である、組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における組成物を含む、衣材が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における組成物を含む、飲食品が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における組成物を含む、飼料が提供される。
また、本発明によれば、
アミロース含量5質量%以上の澱粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の低分子化澱粉を得る工程と、
原料に前記低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、且つ前記低分子化澱粉と前記低分子化澱粉以外の澱粉の合計が75質量%以上である、前記原料をα化処理する工程と、
を含む組成物の製造方法であって、
25℃における当該組成物の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
当該組成物中の目開き0.5mmの篩上の含有量が50質量%以下である、組成物の製造方法が提供される。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、前記本発明における組成物の衣材、飲食品または飼料への使用が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における組成物を準備する工程と、前記組成物を配合して衣材、飲食品または飼料を調製する工程と、を含む、衣材、飲食品または飼料の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における組成物の衣材、飲食品または飼料の製造のための使用が提供される。
本発明によれば、吸水率の高さ、べたつきのなさ、および、ダマになりにくさのバランスに優れる新規な素材を得ることができる。また、たとえば各種食品に配合した際に、優れた食感や良好な作業性を得ることも可能となる。
本実施形態における組成物は、澱粉を必須成分として含む。
具体的には、食品等に配合された際のべたつきまたは風味の劣化を抑制する観点から、本実施形態における組成物は、澱粉を75質量%以上含む。また、上記観点から、澱粉含量を80質量%以上とすることが好ましく、85質量%以上とすることがさらに好ましい。
また、組成物中の澱粉含量の上限に特に制限はなく、100質量%以下であるが、配合される食品等の食感等に応じてたとえば99.5質量%以下、99質量%以下、95質量%以下等としてもよい。
また、本実施形態における組成物は、上記澱粉として、アミロース含量5質量%以上の澱粉を原料とする低分子化澱粉を特定の割合で含み、低分子化澱粉として特定の大きさのものが用いられる。すなわち、組成物中の澱粉が、アミロース含量5質量%以上の澱粉を原料とする低分子化澱粉を当該組成物中3質量%以上45質量%以下含み、低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下である。
低分子化澱粉のピーク分子量の下限値はベタつきのなさの観点から、3×103以上であり、8×103以上とすることが好ましい。また、低分子化澱粉のピーク分子量の上限値は、吸水率の高さ、べたつきのなさ、および、ダマになりにくさのバランスを向上させる観点から、5×104以下であり、3×104以下とすることが好ましく、1.5×10以下とすることがさらに好ましい。なお、分解後の澱粉のピーク分子量の測定方法については、実施例の項で後述する。
組成物中の低分子化澱粉の含有量は、吸水率の高さ、べたつきのなさ、および、ダマになりにくさのバランスを向上させる観点から、3質量%以上であり、8質量%以上であることが好ましく、13質量%以上とすることがさらに好ましい。
一方、組成物中の低分子化澱粉の含有量の上限は、吸水率の高さ、および、べたつきのなさを向上させる観点から、45質量%以下であり、35質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25質量%以下である。
低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量は、5質量%以上であり、好ましくは12質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。なお、低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量の上限に特に制限はなく、100質量%以下である。
低分子化澱粉の原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉および、これらの原料を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉からなる群から選択される一種または二種以上を用いることができる。吸水率の高さの観点から、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、および、タピオカ澱粉から選択される一種または二種以上を用いることが好ましく、吸水率の高さ、べたつきのなさ、および、ダマになりにくさのバランスを向上させる観点からは、ハイアミロースコーンスターチを用いることが好ましい。ハイアミロースコーンスターチのアミロース含量は、40質量%以上のものが入手可能である。
また、本実施形態における組成物は、冷水膨潤度および粒度が特定の条件を満たす構成となっている。
まず、本実施形態において、吸水率を適度に高める観点から冷水膨潤度は7以上であり、好ましくは7.5以上であり、さらに好ましくは9以上である。冷水膨潤度が低すぎると、吸水生地の硬さが充分に得られず、ソフトさやしっとり感を高める効果を充分に得られない場合がある。
一方、冷水膨潤度が高すぎると食感が柔らかくなりすぎる場合があるため、冷水膨潤度は、20以下であり、好ましくは17以下である。
ここで、組成物の冷水膨潤度の測定方法については、実施例の項で後述する。
また、本実施形態における組成物の粒度については、適度な吸水性と結着性を得る観点からは、JIS−Z8801−1規格における目開き0.5mmの篩上の組成物の含有量は50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。また、目開き0.5mmの篩上の組成物の含有量の下限に特に制限はなく、0質量%以上である。
また、組成物の粒度の下限については、特に制限はなく、組成物が配合される飲食品の形態、大きさなどを踏まえて適宜調整すればよいが、たとえばJIS−Z8801−1規格における目開き0.01mm篩下の組成物の含有量は好ましくは1.5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
また、本実施形態において、べたつきのなさ、および、ダマになりにくさのバランスを向上する観点から、25℃における組成物中の可溶性画分量はたとえば32%以下であり、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下である。可溶性画分量が過剰に高いと、吸水時にダマを生じやすくなる場合があり、また、吸水生地のべたつきも増す。25℃における組成物中の可溶性画分量の下限値に特に制限はなく、0%以上である。
なお、組成物中の可溶性画分量の測定方法については、実施例の項で後述する。
組成物の粘度は、ダマの形成を抑制し、べたつきのなさを向上する観点から4200mPa・s以下であり、好ましくは3600mPa・s以下、さらに好ましくは1600mPa・s以下である。
また、適度な結着性および吸水生地の硬さを得る観点からは、組成物の粘度は80mPa・s以上であり、好ましくは100mPa・s以上、さらに好ましくは300mPa・s以上である。
このときの粘度とは、組成物を乾燥物重量換算35gとグアーガム0.5gとを均一混合したものを金属羽で攪拌した350gの水へ少量ずつ添加して得た均一なスラリー液(14℃)における、B型粘度計による粘度測定値である。
また、90℃における組成物の加熱溶解画分量は、加熱調理後の糊っぽさおよび粉っぽさを低減する観点から、好ましくは8.5質量%以上であり、10質量%以上がより好ましく、14質量%以上がさらに好ましい。
一方、上記加熱溶解画分量は、加熱調理後のねちゃつきやべたつき、および茹で調理時の煮溶けを抑える観点から、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは48質量%以下、さらに好ましくは41質量%以下である。
なお、組成物中の加熱溶解画分量の測定方法については、実施例の項で後述する。
また、組成物の吸水率は、吸水率と食感とのバランスの観点から、組成物の乾燥重量に対してたとえば500%以上であり、好ましくは600%以上であり、さらに好ましくは650%以上である。また、上記観点から、組成物の吸水率は、組成物の乾燥重量に対してたとえば1500%以下であり、好ましくは1200%以下であり、さらに好ましくは900%以下である。
本実施形態において、組成物中の上記低分子化澱粉以外の澱粉成分としては、様々な澱粉を使用することができる。具体的には、用途に応じて一般に市販されている澱粉、たとえば食品または飼料用の澱粉であれば、種類を問わないが、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉などの澱粉類;およびこれらの澱粉を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉などから、一種以上を適宜選ぶことができる。好ましくは、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉およびこれらの架橋澱粉からなる群から選択される一種または二種以上の澱粉を含有するのがよい。
また、本実施形態における組成物には、澱粉以外の成分を配合することもできる。
澱粉以外の成分の具体例としては、砂糖などの糖類(多糖類を除く。);グルテンなどのタンパク質;大豆粉(たとえば脱脂大豆粉)などの穀粉;ペクチンなどの多糖類およびその他のガム類;油脂;色素;乳化剤;ならびに炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの不溶性塩が挙げられる。
乳化剤を配合することにより、組成物の硬さを調整することができるため、配合される食品等に応じて食感を変化させることができる。
また、炭酸カルシウムなどの不溶性塩を添加することにより、組成物の気泡構造を安定化し、製造安定性を改善することができる。
また、脱脂大豆粉等の穀粉を含むことで、生地の弾力性や硬さを調製することもできる。
次に、本実施形態における組成物の製造方法を説明する。本実施形態における組成物の製造方法は、アミロース含量5質量%以上の澱粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の低分子化澱粉を得る工程と、原料に低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、且つ低分子化澱粉と低分子化澱粉以外の澱粉の合計が75質量%以上である、原料をα化処理する工程とを含む。
低分子化澱粉を得る工程は、アミロース含量5質量%以上の澱粉を分解して低分子化澱粉とする工程である。ここでいう分解とは、澱粉の低分子化を伴う分解をいい、代表的な分解方法として酸処理や酸化処理、酵素処理による分解が挙げられる。この中でも、分解速度やコスト、分解反応の再現性の観点から、酸処理がもっとも良い。
原料をα化処理する工程には、澱粉の加熱糊化に使用されている一般的な方法を用いることができる。具体的には、ドラムドライヤー、ジェットクッカー、エクストルーダー、スプレードライヤーなどの機械を使用した加熱糊化法が知られているが、本実施形態において、冷水膨潤度が上述した特定の条件を満たす組成物をより確実に得る観点から、エクストルーダーやドラムドライヤーによる加熱糊化が適しており、エクストルーダーが最も適している。
エクストルーダーなどによる押出造粒機を用いる方法によれば、組成物の少なくとも表面近傍を糊化させるとともに、密度が適度に低い組成物が得られるため、吸水率が適度に高く離水の抑制効果に優れた組成物をさらに安定的に得ることができる。エクストルーダー処理する場合は通常、澱粉を含む原料に加水して水分含量を10〜60質量%程度に調製した後、たとえばバレル温度30〜200℃、出口温度80〜180℃、スクリュー回転数100〜1,000rpm、熱処理時間5〜60秒の条件で、加熱膨化させる。エクストルーダーを用いる際のα化度は、ダマの発生の抑制の観点から、たとえば20%以上、好ましくは30%以上とする。一方、べたつきの抑制の観点から、エクストルーダーを用いる際のα化度は、たとえば100%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下とする。
また、ドラムドライヤーを用いたα化処理によれば、α化度をさらに充分に高められるため、吸水率に優れた組成物を安定的に得ることができる。ドラムドライヤー処理する場合は、通常、澱粉を含む原料の重ボーメ度10〜22程度のスラリーを、オンレーターに通して出口温度90〜140℃程度まで加熱して糊液とし、この糊液を直ちに、100〜200℃程度に加熱したドラムドライヤーに薄く広げて加熱乾燥させ、これをドラムドライヤーから掻き取る。ドラムドライヤーを用いる際のα化度は、ダマの発生の抑制の観点から、たとえば20%以上、好ましくは30%以上とする。一方、べたつきの抑制の観点から、ドラムドライヤーを用いる際のα化度は、たとえば100%以下、好ましくは98%以下とする。
本実施形態の製造方法において、たとえば上記特定の原料をα化処理する工程により、冷水膨潤度が特定の条件を満たす組成物を得ることができる。
また、α化処理して得られた組成物を、必要に応じて、粉砕し、篩い分けをし、大きさを適宜調整するとよい。こうすることにより、冷水膨潤度をより安定的に調整し、且つ適度な結着性を得ることができる。
本実施形態において得られる組成物は、上記低分子化澱粉を含み、澱粉含量、低分子化澱粉の含量、冷水膨潤度、および粒度がいずれも特定の条件を満たす構成となっているため、吸水率が適度に高く、べたつきの抑制効果に優れており、また、ダマの発生が効果的に抑制されるため、たとえば食品やバッター液等の各種衣材、飼料等に配合される吸水性素材として効果的に用いることができる。また、本実施形態において得られる組成物は、たとえば各種食品に配合した際に、優れた食感や良好な作業性を得ることができる。
また、本実施形態において得られる組成物は、たとえば穀粉と併用して飲食品に用いることが可能であり、含水率の高い飲食品を提供することができる。
また本実施形態において得られる組成物は、澱粉を必須成分として含むため、ゲル化剤などを使用する場合に比べ、穀粉代替物として用いる際に、穀粉の組成を大きく変えることなく、自然な食感を呈する。
また、本実施形態における衣材、飲食品または飼料は、得られた組成物を含む。本実施形態における組成物は、たとえば澱粉を含む衣材、飲食品または飼料に好適に配合することができる。
衣材の具体例として、バッター、打ち粉、ブレッダー等が挙げられ、特にバッターが好ましい。
また、飲食品の具体例として、ハンバーグ、肉団子、しゅうまい、ぎょうざ、ソーセージ等の畜肉加工食品;
魚肉ソーセージやつみれ等の魚肉加工食品;
ポテトサラダ、ツナサラダ等のサラダ類や、こしあん、粒あん等のあんこ、カスタードクリーム等のフィリング類;
トマトソース、ホワイトソース、デミグラスソース等のソース類;
スポンジケーキ、カステラ、最中等の焼き菓子類;
パン、麺、団子、シリアル食品等の穀粉生地利用食品等が挙げられる。また、これらの畜肉加工食品や魚肉加工食品やサラダ類を含めた、和え物や煮物、調理パン等の惣菜類が挙げられる。
また、飼料の具体例として、猫用・犬用のペットフードや、家畜・家禽用の配合飼料が挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の趣旨はこれらに限定されるものではない。
以下の例において、特に断りのない場合、配合の単位は「質量%」である。また、特に断りのない場合、「部」とは、「重量部」である。
原材料として、主に以下のものを使用した。
ハイアミロースコーンスターチ(株式会社J−オイルミルズ社製、アミロース含量70質量%)
コーンスターチ(株式会社J−オイルミルズ社製、アミロース含量25質量%)
ワキシーコーンスターチ(株式会社J−オイルミルズ社製、アミロース含量0質量%)
タピオカ澱粉(株式会社J−オイルミルズ社製、アミロース含量16質量%)
リン酸架橋タピオカ澱粉(株式会社J−オイルミルズ社製、ジェルコールTP−1)
リン酸架橋小麦澱粉(株式会社J−オイルミルズ社製、ジェルコールWP)
馬鈴薯澱粉(株式会社J−オイルミルズ社製)
炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、コロカルソーEx)
脱脂大豆粉(日華油脂株式会社製、ミルキーS)
乳化剤(理研ビタミン株式会社製、エマルジーMS)
油脂加工タピオカ澱粉(株式会社J−オイルミルズ社製、HB−2)
酸処理による低分子化澱粉の作製は以下の方法でおこなった。
(酸処理)
澱粉を水に懸濁し、35.6%(w/w)スラリーを調製し、50℃に加温した。そこへ、攪拌しながら4.25Nに調製した塩酸水溶液をスラリー重量比1/9倍量加え反応を開始した。16時間反応後、3%NaOHで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理澱粉を得た。酸処理は、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉の各種澱粉についておこなった。
また、澱粉の分解程度を変える場合には、酸処理の反応時間を1〜100時間の間で調整した。
また、以下の例において、吸水率、冷水膨潤度、可溶性画分量、加熱溶解画分量、粘度、ダマ評価、生地硬さ、生地のべたつきの評価、ピーク分子量およびα化度は以下の方法で測定した。
(吸水率、冷水膨潤度および可溶性画分量の測定方法)
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社、電磁水分計:型番MX50)を用いて、130℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物重量を算出した。
(2)この乾燥物重量換算で試料1g(A=1)を25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプタ)し、沈殿層と上澄層に分けた。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層重量を測定し、これをB(g)とした。
(4)沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの重量をC(g)とした。
(5)(B−A)/A×100で吸水率(%)を算出した。
(6)B/Cを冷水膨潤度とした。
(7)(A−C)/A×100を可溶性画分量(%)とした。
(加熱溶解画分量の測定方法)
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社、電磁水分計:型番MX50)を用いて、130℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物重量を算出した。
(2)乾燥物重量換算で試料1g(A=1)を25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間90℃の恒温槽の中に静置した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプタ)し、沈殿層と上澄層に分けた。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの重量をB(g)とした。
(4)(A−B)/A×100を加熱溶解画分量(%)とした。
(粘度の測定方法)
(1)14℃の水350mLが入った500mLプラスチックカップを用意し、金属製攪拌羽(EYELA社製 角度付きファンタービン、軸径0.8cm、翼径8cm、製品コード122780)を用いて350rpmで攪拌しておいた。
(2)そこへ、乾燥物重量換算で試料35gとグアーガム(五協産業社製グアパックPF−20)0.5gを均一混合したものを少量ずつ添加していき、50〜60秒間の間にすべての試料を添加した。
(3)その後、回転数を750rpmに上げ、(2)の添加開始からの合計の攪拌時間が3分になるまで攪拌し、スラリー液を得た。
(4)スラリー液を速やかに300mLトールビーカーに入れ、B型粘度計(TOKIMEC.INC モデル:BM)にて粘度を測定した(ローター回転数60rpm;測定時間60秒)。
(ダマの評価方法)
(1)粘度測定したスラリー液全量を水で1000gとなるよう希釈した後、ゆっくりと攪拌してスラリーの分散液を得た。
(2)この分散液を、JIS−Z8801−1規格における目開き1.0mm篩の上に通して、篩上にダマを回収した。次いで、篩上に回収されたダマの上から、水1Lを注いで得られたダマを洗浄した。
(3)篩上のダマ重量を測定した。
(ダマ評価基準)
×:1g以上
△:0.5g以上1g未満
○:0.1g以上0.5g未満
◎:0.1g未満
(生地硬さおよび生地べたつきの評価方法)
(1)乾燥物重量換算で10gの試料をビーカーに取り、澱粉と水の総量が合計50gとなるよう水を加えた。
(2)薬さじで速やかにペースト状にした。
(3)発生したダマは薬さじとビーカーの壁でつぶし均一化した。
(4)蓋をして1時間静置して吸水生地とした。
(5)この吸水生地性状を指で触って、パネラー2名で合議してべたつきを評価した。
(6)生地硬さの測定は、Stable Micro Systems社製テクスチャーアナライザーTA−XT2iを使用しておこなった。
(7)吸水生地を直径37.9mm、高さ13.0mmの円柱状アルミニウム容器に上部が平らになるよう詰め、25mmの円形プランジャーを用いて、Pre−test speed:10mm/s,Test speed:5mm/s,Post−test speed:5mm/s,Trigger force:50gの条件で、上部から3mmまで圧縮した。吸水生地を圧縮する際の最大応力(g)を生地硬さとして測定した。
(生地べたつきの評価基準)
×:非常にべたつく
△:ややべたつく
○;あまりべたつかない
◎:べたつきなし
(生地硬さ評価基準)
×:200g未満
△:200g以上300g未満
○:300g以上400g未満
◎:400g以上
(ピーク分子量の測定方法)
ピーク分子量の測定は、東ソー社製HPLCユニットを使用して以下の手順でおこなった(ポンプDP−8020、RI検出器RS−8021、脱気装置SD−8022)。
(1)試料を粉砕し、JIS−Z8801−1規格における目開き0.15mm以下に調製した。この試料を移動相に1mg/mLとなるように懸濁し、懸濁液を100℃で3分間加熱して完全に溶解した。0.45μmろ過フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC−25HP PTFE 0.45μm)を用いてろ過をおこない、ろ液を分析試料とした。
(2)以下の分析条件で分子量を測定した。
カラム:TSKgel α−M(7.8mmφ、30cm)(東ソー社製)2本
流速:0.5mL/min
移動相:5mM NaNO3含有90%(v/v)ジメチルスルホキシド溶液
カラム温度:40℃
分析量:0.2mL
(3)検出器データを、ソフトウェア(マルチステーションGPC−8020modelIIデータ収集ver5.70、東ソー社製)にて収集し、分子量ピークを計算した。
検量線には、分子量既知のプルラン(昭和電工社製、Shodex StandardP−82)を使用した。
(α化度の測定方法)
組成物中の澱粉のα化度測定は、β−アミラーゼ−プルラナーゼ(BAP)法によりおこなった。
(1)事前に組成物を粉砕し、JIS−Z8801−1規格における目開き0.15mm以下に粒度を調整したものを測定試料として用いた。
(2)澱粉科学第28巻第4号第235〜240頁(1981年)の「β−アミラーゼ−プルラナーゼ(BAP)系を用いた澱粉の糊化度、老化度の新測定法」に記載される方法に準じて、各例の組成物中の澱粉のα化度(%)を測定した。
また、以下の例において、官能評価の方法および評価基準は以下の通りである。
(白玉団子評価)
(1)組成物、白玉粉および水を配合し、よく練り合わせ、白玉生地とした。なお、対照例については組成物を加えない配合とした。
(2)生地を8gずつの塊に分け、滑らかな球形状に成形した。
(3)沸騰した湯に、成形した白玉生地を入れ、4分間茹でた後、冷水で3分間冷却した。
(4)水をよく切り、6時間経過後の白玉団子を官能評価に用いた。
(評価基準)
上記(1)〜(2)までの作業工程中の生地のまとまりおよびべたつき、ならびに得られた白玉団子の食感について3名のパネラーにより官能評価を行い、合議の上で評価を決定した。
(作業性)まとまり
×:生地のつながりが悪く、まとまりにくい
○:まとまりやすいが、力を加えると崩れる
◎:生地のつながりが良く、崩れにくい
(作業性)べたつき
×:べたつく
△:ややべたつく
○:あまりべたつかない
◎:べたつきがない
(食感)柔らかさ
×:硬い
△:やや硬い
○:柔らかい
◎:とても柔らかい
(食感)弾力
×:弾力がない
△:やや弾力がない
○:弾力がある
◎:とても弾力がある
(食感)滑らかさ
×:ざらつく
○:滑らか
◎:とても滑らか
(ハンバーグ評価)
(1)組成物20gを500mLビーカーに秤量した。
(2)組成物に4倍重量の水を添加し、室温(約25℃)にて15分間浸漬した。
(3)市販鶏ミンチ肉40.0部、玉葱17.0部、パン粉14.0部、食用油12.0部、コーンスターチ8.0部、水6.8部、砂糖1.0部、食塩0.7部、グルタミン酸ナトリウム0.3部、胡椒0.2部の原材料を混練した生地へ、(2)で調製した試料を25部添加し、再度よく混練した。
(4)組成物が練り込まれた生地を50gずつ平板状に型抜き成型し、スチームオーブンで250℃5分間蒸煮した後、室温で1時間放冷したものを官能評価に用いた。
(評価基準)
上記(1)〜(4)までの作業工程中のハンバーグ生地の作業性、ならびに得られたハンバーグの食感について、3名のパネラーにより官能評価を行い、合議の上で評価を決定した。評価基準を以下に示す。
(生地の作業性)
×:べたつく
△:ややべたつく
○:あまりべたつかない
◎:べたつきがない
(食感)
×:糊感がある
△:やや糊感がある
○:あまり糊感を感じない
◎:糊感がなく、良好
(実施例1−1〜1−5、比較例1−1)
表1に示す割合で原材料を配合し、充分に均一になるまで袋内で混合した。2軸エクストルーダー(幸和工業社製KEI−45)を用いて、得られた混合物を加圧加熱処理した。処理条件は、以下の通りである。
原料供給:450g/分、加水:17%、バレル温度:原料入口から出口に向かって50℃、70℃および100℃、出口温度:100〜110℃、スクリューの回転数250rpm。
エクストルーダー処理により得られたα化物を110℃にて乾燥し、水分含量を2〜10質量%に調製した。
次いで、乾燥したα化物を、卓上カッター粉砕機で粉砕した。そのときの粒度分布は、粉砕物により異なるが、JIS−Z8801−1規格の目開き1mm篩下0.5mm篩上:20〜40質量%、目開き0.5mm篩下:60〜80質量%であった。
この粉砕物を、目開き0.5mmの篩にて篩分けし、篩下の画分を評価した。
組成物の原料配合、分析結果および評価結果を表1にあわせて示す。
Figure 0005551846
表1より、低分子化した酸処理ハイアミロースコーンスターチの配合量が高まるほど、冷水膨潤度、可溶性画分量、および粘度が低くなる傾向にあった。低分子化澱粉を配合していない場合では、可溶性画分量が非常に高く、粘度も高いため、組成物はダマを形成しやすく、生地の評価結果が悪かった(比較例1−1)。ダマを形成しにくく、吸水性とべたつきのバランスに優れた組成物を得る場合、低分子化した酸処理ハイアミロースコーンスターチを少なくとも5質量%以上配合すると良好な結果が得られ、10質量%以上配合するとさらに良好な結果が得られた。
(実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜2−5)
表2に示す割合で原材料を配合し、実施例1−4に準じて組成物を得た。実施例1−4と同様に評価をおこなった。得られた組成物について、結果を表2に示す。
Figure 0005551846
表2に示すように、低分子化澱粉の割合が50質量%以上となると、粘度が非常に低くなり、生地のべたつきの評価は悪く、べたつきの高いものとなった。
このように、アミロース含量が5質量%以上である、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉を低分子化澱粉の原料として用いた場合、所定の配合量で、冷水膨潤度が適度に高く、ダマがほとんどできず、べたつきの少ない組成物が得られた。
一方、アミロース含量が0質量%であるワキシーコーンスターチを原料とした低分子化澱粉を20質量%または50質量%配合した場合、可溶性画分量が高くなり、生地のべたつきの評価結果が悪かった(比較例2−4、2−5)。
(実施例3−1〜3−3、比較例3−1)
表3に示すように、実施例1−4の低分子化ハイアミロースコーンスターチの代わりに、低分子化程度の異なる酸処理ハイアミロースコーンスターチを用い、実施例1−4に準じた方法で組成物を得た。得られた組成物について、実施例1−4と同様に評価をおこなった。結果を表3に示す。
Figure 0005551846
表3より、低分子化していない場合には、可溶性画分量および粘度が高く、ダマの形成量が多く、生地のべたつきの評価結果が悪かった(比較例3−1)。一方、ピーク分子量を5.1×103〜4.2×104まで低分子化したものは、冷水膨潤度が適度に高く、ダマ形成量の少なさとべたつきのなさのバランスに優れた組成物が得られた。特に5.1×103〜2.9×104のピーク分子量で生地硬さや生地のべたつきの評価の点でさらに良好であった。
(実施例4−1〜4−3、比較例4−1)
表4に示す配合で原材料を配合し、実施例1−4に準じて組成物を得た。得られた組成物について、実施例1−4と同様に評価をおこなった。結果を表4に示す。
Figure 0005551846
表4に示したように、低分子化澱粉以外の澱粉としては、実施例で使用したいずれの澱粉も使用できた。特に、コーンスターチでは、ダマ形成の低さとべたつきのなさのバランスに最も優れていた。また、低分子化澱粉を含まないリン酸架橋タピオカ澱粉のみの場合、可溶性画分量が高く、ダマになりやすく、吸水生地のべたつきの評価結果が悪かった(比較例4−1)。
(実施例5−1および5−2)
表5に示す配合で原材料を配合し、実施例1−4に準じて組成物を得た。得られた組成物について実施例1−4と同様に評価をおこなった。結果を表5に示す。
Figure 0005551846
表5に示した組成物は、いずれも、吸水性の高さ、ダマ形成性の低さおよびべたつきのなさのバランスに優れた性質を示した。特に炭酸カルシウムを配合すると生地のべたつきの評価の点で良好であった。
(実施例6−1および6−2、比較例6−1)
表6に示す配合で原材料を配合し、実施例1−4に準じて組成物を得た。得られた組成物について実施例1−4と同様に評価をおこなった。結果を表6に示す。
Figure 0005551846
表6に示したように、澱粉の割合が減るほど、生地の粘度が低下する傾向が見られ、澱粉の割合が69.3質量%以下では粘度が低く、組成物の吸水生地は十分な硬さのないものとなった(比較例6−1)。一方、実施例では良好な組成物を得ることができ、特に、澱粉の割合が89.1質量%以上でさらに良好であった。
(実施例7−1〜7−4、比較例7−1および7−2)
表7に示すように、実施例1−5で得られた粉砕物を篩分けし、得られた篩分け品を配合した。
Figure 0005551846
表7より、目開き0.5mmオン目開き1.0mmパスの画分が増えるにつれ、冷水膨潤度が低下し、粘度も低くなる傾向が見られた。前記画分について実施例7−1〜7−4の配合とした場合、吸水性が高く、べたつきが低い組成物が得られた。また、生地の触感から、適度な結着性を有していた。
(実施例8−1〜8−4)
表8記載の方法で、実施例1−4と同様の配合の原料をα化処理して、α化度の異なる組成物を得た。エクストルーダーを用いたα化方法では、エクストルーダーの出口温度を調節してα化度の異なる組成物を得た。得られた組成物は、α化度が上がるにつれて冷水膨潤度および粘度が低下する傾向が見られた。
また、ドラムドライヤーを用いたα化方法では、原料を水に懸濁し、13ボーメに調製した原料スラリーを、オンレーター加熱し糊液とした。この際、オンレーター出口温度は114℃であった。この糊液をすぐさま150℃のダブルドラムドライヤーにてα化した。得られた組成物は吸水性が高く、ダマになりにくく、べたつきが低い組成物が得られた。また、生地の触感から、適度な結着性を有していた。
Figure 0005551846
(食品への利用例)
以下に上記例で得られた組成物を用いた食品配合例を示す。
(白玉団子)
表9の配合で各例の組成物が配合された白玉団子を作成し、生地の作業性および食感を評価した。
Figure 0005551846
Figure 0005551846
白玉団子作成時の作業性および、茹で後の食感を表10に示した。対照例では、白玉粉100重量部に対し、試作例1〜6と同様の110重量部の水を加えると、スラリー状となり成形することができなかった。そのため、対照例では、水の配合量を90重量部とした。実施例の組成物を配合した試作例2〜6では、水を110重量部配合しても成形時の作業性が良好で、しなやかでまとまりやすいものであった。一方、試作例1では、べたつきが高く、作業性が悪かった。食感については、試作例2〜6で弾力がありながらも、ソフトで食べやすい良好な食感を示した。
(ハンバーグ)
上述した方法で、実施例1−1〜1−5または比較例1−1の組成物を配合したハンバーグを作成し、製造時の作業性および加熱後の食感を評価した。
Figure 0005551846
ハンバーグの作業性および食感を表11に示した。実施例1−1〜1−5の組成物を配合したハンバーグは高加水な配合でもべたつきがなく、食感も糊感がなく良好であった。一方、比較例1−1の組成物を配合すると、作業性も食感も好ましくなかった。
(食パン)
表12の配合および表13に記載の作成条件で実施例1−4の組成物を含んだ食パンを作成した。表12の配合の単位は、重量部である。
Figure 0005551846
Figure 0005551846
食パンを製造する過程のパン生地は高加水であるがべたつきは少なく、適度な弾力のある良好な生地性状であった。また、得られた食パンは、本発明の組成物を配合しない対照例に比べ、しっとり感、ソフトさが高く、良好な食感を呈した。
(バッター液(揚げ物用衣材))
表14に示す配合(重量部)にて唐揚げ用のバッター液を調製した。まず、醤油、酒および水を除く紛体原料を均一に混合しておいた。ここへ、醤油、酒および水の混合液を少量ずつ添加し、すべての原料がムラなく分散するまでよく混合し、バッター液を得た。
Figure 0005551846
実施例1−4の組成物を配合して作製したバッター液には、適度に粘度を有するようにすることができるために対照例に比べて添加する水の量を増やすことができた。また、作業工程中にダマができにくく作業性良好であった。このバッター液を衣材に使用して油ちょうした唐揚げの衣は、サクサクとして良好な食感であった。
(ツナサラダ)
表15に示す配合(重量部)にてツナサラダを調製した。具体的には以下のようにおこなった。比較例1−1の組成物または実施例1−4の組成物を除くすべての原料を均一に混合した。混合物を所定量となるように3つに分け、そのうち1つについては、そのまま対照例15−1のツナサラダとした。他の2つには、比較例1−1の組成物または実施例1−4の組成物を粉体のまま少量ずつ添加し、すべての原料がムラなく分散するまでよく混合し、それぞれ対照例15−2および試作例15のツナサラダを得た。これらのツナサラダを5℃で24時間保存し、保存後の離水を目視にて確認した。
Figure 0005551846
組成物を配合せず作成した対照例15−1のツナサラダについては、保存により多量の離水が確認された。これに対して、比較例1−1の組成物または実施例1−4の組成物を配合して作製した対照例15−2および試作例15のツナサラダは、いずれも離水がほとんどなかった。しかしながら、比較例1−1の組成物を配合した対照例15−2のツナサラダでは、付着性が強く、タマネギのしゃきしゃき感やツナの食感が弱かった。一方、実施例1−4の組成物を配合した試作例15のツナサラダでは、付着性がほとんどなく、タマネギのしゃきしゃき感が強く感じられ、ツナの食感も強く感じられた。
(あんこ)
表16に示す配合(重量部)にてあんこを調製した。具体的には以下のようにおこなった。対照例16−1のあんこについては、表16に示した成分のうち、上白糖および水を混合した後、粒あんを加えてさらに混合し、あんこを得た。また、比較例1−1の組成物または実施例1−4の組成物と上白糖を混合した。水を加え、よく吸水させ、吸水物を得た。この吸水物に粒あんを加え、よく混合し、対照例16−2および試作例16のあんこを得た。
Figure 0005551846
対照例16−1のあんこは、比較例1−1の組成物および実施例1−4の組成物を配合せず作成したため、製造時には、加えた水を完全に吸水することができず、あん生地が柔かく、保形性に劣った。さらに、出来上がったあんこは粘りがあり、全体が均一な食感で粒あんの存在感が弱かった。
実施例1−4の組成物を配合して作製した試作例16のあんこは、製造時には、加えた水をしっかり吸水し、保形性に優れていた。出来上がったあんこは舌触りの良いさっくりした食感で粘りが少なく、粒あんの存在感を強く感じられるものであった。さらに、保存後も食感の変化は少なかった。
一方、比較例1−1の組成物を配合して得られた対照例16−2のあんこは、製造時には、比較例1−1の組成物のだまが目立ち、付着性が強く、成形性に劣った。出来上がったあんこは、粘りがとても強く、糊っぽい食感であった。また、保存後には食感の硬化がみられた。
(コロッケ)
表17に示す配合(重量部)にてコロッケを調製した。具体的には以下のようにおこなった。コロッケベースの材料をよく混合し、そこに、マッシュポテトおよび比較例1−1の組成物または実施例1−4の組成物とお湯を混合し、よく撹拌した。出来上がったコロッケ生地45gを成形し、打ち粉(薄力粉)、バッター(ソフトコートAY:株式会社J−オイルミルズ社製)、パン粉を付着させた。180℃で3分フライし、対照例17−2および試作例17のコロッケを得た。対照例17−1においては、上記手順で得られたコロッケベースにマッシュポテトとお湯を混合し、その後、上述の手順でコロッケを得た。
Figure 0005551846
対照例17−1は、比較例1−1の組成物および実施例1−4の組成物を配合せず作製したコロッケであるため、生地が柔かく、成形性に劣った。マッシュポテトの特有のえぐみが強く、ジャガイモの自然な風味に乏しかった。
実施例1−4の組成物を配合して作製した試作例17のコロッケは、生地にべたつきがなく成形性に優れていた。マッシュポテトの特有のえぐみがマスキングされており、ポテトの自然な風味が強かった。
一方、比較例1−1の組成物を配合して作製した対照例17−1のコロッケは、製造時に生地の付着性が強く、成形性に劣った。粘りがとても強く、糊っぽい食感だった。
(トマトソース)
表18に示す配合(重量部)にて市販のトマトソース(マ・マートマトの果肉たっぷりのなすトマト;日清フーズ社製)に比較例1−1の組成物または実施例1−4の組成物を配合し、121℃にて10分レトルト加熱処理して、対照例18−2、試作例18−1および試作例18−2のトマトソースを得た。また、市販の上記トマトソース50重量部を121℃にて10分レトルト加熱処理したものを対照例18−1とした。
Figure 0005551846
トマトソース50重量部に対して実施例1−4の組成物を0.5重量部配合したトマトソース(試作例18−1)は、組成物を配合していないトマトソース(対照例18−1)に比べ、レトルト加熱(121℃10分)により、良好なとろみがつき、口ざわりがよく、ボディ感のある濃厚な味に仕上がった。さらに、トマトソース40重量部に対して実施例1−4の組成物を2重量部配合したトマトソース(試作例18−2)は、組成物を配合していないトマトソース(対照例18−1)に比べ、水を添加しているにもかかわらず、トマトを煮込んだような素材感が得られ、また、良好な食感であった。
一方、比較例1−1の組成物を配合して作成したトマトソース(対照例18−2)は、レトルト加熱により、粘りが強く発現した。口腔内で付着性があり、口ざわりの点で劣った。また、トマトの具材感、ボディ感ともに劣っていた。
この出願は、2013年2月26日に出願された日本出願特願2013−035406号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。

Claims (12)

  1. 澱粉を75質量%以上含む組成物であって、
    前記澱粉として、アミロース含量5質量%以上である澱粉を原料として得られた低分子化澱粉を当該組成物中3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下であって、
    25℃における当該組成物の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
    当該組成物中の目開き0.5mmの篩上の含有量が50質量%以下である、組成物。
  2. 前記低分子化澱粉の原料が、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチおよびタピオカ澱粉からなる群から選択される一種または二種以上である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記低分子化澱粉以外の前記澱粉として、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉およびこれらの架橋澱粉からなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 90℃における当該組成物の加熱溶解画分量が、8.5質量%以上70質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 25℃における当該組成物中の可溶性画分量が32%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 当該組成物の粘度が、80mPa・s以上4200mPa・s以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 25℃における当該組成物の吸水率が、当該組成物の乾燥重量に対して500%以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の組成物を含む、衣材。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の組成物を含む、飲食品。
  10. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の組成物を含む、飼料。
  11. アミロース含量5質量%以上の澱粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の低分子化澱粉を得る工程と、
    原料に前記低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、且つ前記低分子化澱粉と前記低分子化澱粉以外の澱粉の合計が75質量%以上である、前記原料をα化処理する工程と、
    を含む組成物の製造方法であって、
    25℃における当該組成物の冷水膨潤度が7以上20以下であり、
    当該組成物中の目開き0.5mmの篩上の含有量が50質量%以下である、組成物の製造方法。
  12. 前記低分子化処理が酸処理である、請求項11に記載の製造方法。
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