JP5189511B2 - 膨化食品 - Google Patents
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Description
前記膨化食材の主原料としては、従来、乾燥状態、膨潤状態のいずれで利用される場合においても、一般に植物性蛋白が用いられてきた。
このような状況において、本願出願人は、スナック菓子など、乾燥状態の膨化食材が有するクリスピー感を利用した食品を検討するなかで、動物性蛋白として、栄養価が高く美容効果も期待されるコラーゲンを必須原料とする膨化食品を得ることはできないかと検討し、従来にない新規な着想を得て、原料として豚皮由来のコラーゲン粉末が用いられている膨化食品を提案した(特許文献1参照)。前記特許文献1では、膨化方法は特に特定されていないが、代表的な膨化方法として詳細に記述されている方法は、豚皮由来のコラーゲン粉末を必須とする成分を水とともに混合して得た生地をゲル化したのち、所望の形状に切断し、適宜乾燥を行ってフライ処理するという技術である。
また、膨化食材を膨潤状態で用いる食品の従来技術としては、前記特許文献2に記載の技術のように、蛋白原料として、卵や乳などの動物、小麦や大豆、とうもろこしなどの植物、酵母などの微生物由来の蛋白あるいはその混合物が用いられてきたが、これらを原料に用いた膨化食材を食肉加工品などに添加したとしても、食肉加工品などに十分に肉様食感を与えることはできず、また、風味の点でも違和感を生じさせるものであった。また、特に、前記卵や乳などでは特有の臭いを生じる問題があるし、さらに、前記小麦や大豆などでは、いずれもアレルギー原料であるため、例えば、食肉加工品に添加した場合、肉に加えて新たにアレルギー表示を行うことが必要となるし、動物性蛋白を主原料とする食肉加工品に、一般に食肉よりも安価である小麦蛋白や大豆蛋白などの植物性蛋白を添加することは、消費者によっては安物の商品のように見えて、商品のイメージを低下させるおそれもある。
以上のように、従来、栄養価が高く、美容効果も期待されるコラーゲンを必須原料とする膨化食材は、乾燥状態で用いるものとしては公知であったものの未だ食感改良の余地があり、また、膨潤状態で用いるものとしては全くの未公知であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、栄養価が高く、美容効果も期待されるコラーゲンを必須原料とし、例えば、乾燥状態では従来よりもさらに良好なクリスピー感があり、膨潤状態でも良好な肉様食感を有する膨化食材と、これを必須の食材とする食品を提供することにある。
先に述べたように、前記特許文献1には、豚皮由来のコラーゲン粉末と必要に応じて他の任意成分を用い、水とともに混合して生地を得、この生地を型に入れてゲル化したのち、所望の形状に切断し、適宜乾燥を行って生地の水分量を調整し、これをフライ処理するという膨化技術について詳細に説明され、実施例でもこの膨化技術が採用されている。このフライ処理による膨化では、まず生地を作製するが、このとき生地は型に流し込める程度の流動性が必要であり、この流動性を与えるために比較的多量の水分が必要である。また、成形した生地をゲル化によって固める必要がある。さらに、膨化の度合いを調整するために、通常、乾燥処理などの水分量を調整する工程が必要である。これらの工程を経て、ようやく、フライ処理による膨化がなされる。
両膨化技術を対比すれば、エクストルーダーによる膨化のほうがより簡易な方法であることが分かるが、本発明者は、エクストルーダーを用いることで工程の簡素化が図られるに留まらず、意外にも、得られる膨化食材の食感も非常に異なったものとなるということを見出した。
このようにして、栄養価が高く美容効果も期待されるコラーゲンを用いて、乾燥状態、膨潤状態のいずれにおいても好ましい食感を有する膨化食材を完成するに至ったのである。
また、本発明にかかる食品は、前記膨化食材を必須の食材とすることを特徴とする。
〔膨化食材〕
本発明にかかる膨化食材は、コラーゲンを必須とする原料をエクストルーダーで押出すことにより膨化させてなるものである。以下、膨化食材の原料と配合、および、膨化食材の製造方法を説明する。
<コラーゲン>
本発明にかかる膨化食材の原料であるコラーゲンとしては、特に限定されず、従来公知のものを使用すればよいが、具体的には、例えば、豚皮、牛皮から得られるコラーゲンが挙げられる。
前記コラーゲンは、下記製造方法の例にみるように、通常、脱脂工程を経て作られるものであるが、多少の油脂分の残存は許容される。具体的には、コラーゲンに残存する油脂分は15重量%以下であることが好ましい。油脂分が15重量%以下であれば保存中における油脂の酸化を十分に抑制できる。
なお、前記油脂の酸化をさらに抑制するために、必要に応じて、既存の酸化防止剤(例えば、ビタミンEなど)を適宜添加してもよい。
コラーゲンの原料となる豚皮、牛皮は、例えば、豚や牛を屠殺後、表面の毛をバーナーなどで焼き、それをブラシやスクレーパーなどで擦り取った後、皮剥機により皮を剥いで分離することにより得ることができる。その後、水洗などの前処理が適宜施される。
製造する豚皮や牛皮コラーゲンの品質調整(不溶性画分の割合を調整できる)または表皮部分と真皮部分を切り分ける際の効率化(皮が膨れることによるバンドマシンなどの機械特性向上が期待できる)などの目的で塩酸や石灰などによる酸処理またはアルカリ処理を行ってもよい。
豚皮や牛皮(上記のごとくバンドマシンなどで表皮部分と真皮部分を切り分けておいた場合は、該真皮部分)を、例えば、チョッパー、マスコロイダー、コミトロールなどを用いて微細化またはペースト化することが好ましい。微細化やペースト化によって、後述の脱脂工程を効率的に行うことができる。
次に、豚皮や牛皮に脱脂処理を施す。前記脱脂の方法としては、例えば、ペースト化した豚皮や牛皮に適量の加水(例えば、豚皮や牛皮100重量部に対して、100〜300重量部)を行い加熱する方法がある。前記加熱の温度、時間としては、特に限定されないが、例えば、60〜110℃で1〜3時間行えば、油脂分とコラーゲン分を十分に分離させることができるため好ましい。また、前記方法以外にも、リパーゼなどの酵素を使用する方法、アルコールなどの溶剤や超臨界流体を使用する方法、スチームで溶出する方法、界面活性剤などで洗浄する方法など、従来公知の種々の脱脂方法が挙げられ、これらの一つまたは複数を組み合わせたものを採用してもよい。
乾燥した前記コラーゲン部分を、例えば、ジェットミルやハンマーミルなどの粉砕機を用いて粉砕することが好ましい。
前記粉砕によって得られる粉末の平均粒径は、特に限定するものではないが、0.1mm以下に調整すれば、水に容易に分散あるいは溶解させることができるし、獣毛が異物として認識される可能性をほぼ完全になくすることができるため好ましい。
乾燥状態で食する際の食感や膨潤時の作業性を考慮して、前記コラーゲンのほかに、澱粉質や加工澱粉などを添加してもよい。
前記澱粉質としては、例えば、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、サゴ澱粉、カンナ澱粉などのいわゆる生澱粉や、コーングリッツ、小麦粉、米粉、切干甘藷粉末、切干タピオカ粉末などが挙げられる。
前記加工澱粉としては、上記澱粉質に、エーテル化処理、エステル化処理、酸化処理、漂白処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理などの化学的処理を施したものや、乾熱処理、湿熱処理などの物理的処理を施したものが挙げられる。前記エーテル化処理は、酸化プロピレン、モノクロル酢酸などのエーテル化剤を、前記エステル化処理は、無水酢酸、酢酸ビニル、無水オクテニルコハク酸、オルトリン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩、トリポリリン酸ナトリウム、トリメタリン酸塩、オキシ塩化リン、無水アジピン酸などのエステル化剤を、前記酸化処理は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を、前記漂白処理は、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどの漂白剤を、前記酸処理は、塩酸、硫酸などの酸を、前記アルカリ処理は、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリを、前記酵素処理は、アルファアミラーゼ、ベータアミラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を、それぞれ、澱粉質に対して作用させることにより行うことができる。また、前記乾熱処理は、澱粉質を過度に分解しない程度の水分、pH、温度にコントロールしながら加熱し、前記湿熱処理は、澱粉質に適度の水を加え、糊化しない程度の温度、圧力にコントロールしながら加熱することにより行うことができる。
また、味付けの目的で各種調味料や油脂など、それ以外の目的では香料や色素などを適宜添加してもよい。ただし、膨化食材の原料としてこれらの調味料などを用いなくとも、後述するように、膨化食材を得たのち、これを食品に利用する際に味付けを行うこともできる。
本発明にかかる膨化食材は、コラーゲンだけを原料とするものであってもよいが、上述の澱粉質や加工澱粉などの他の原料を併用してもよい。
膨化食材を乾燥状態で用いる場合には、例えば、澱粉質および/または加工澱粉を、コラーゲンと澱粉質および/または加工澱粉との合計量100重量部に対して50〜85重量部の割合で含むことが好ましい。前記配合であれば、良好なサクサク感を有するものとなる。
膨化食材を膨潤状態で用いる場合には、例えば、澱粉質および/または加工澱粉を、コラーゲンと澱粉質および/または加工澱粉との合計量100重量部に対して0〜85重量部の割合で含むことが好ましい。前記配合であれば、食肉加工品などに添加したときに優れた肉様食感を与えることができる。コラーゲンが少なすぎたり、澱粉質や加工澱粉が多すぎると、弾力感やジューシー感が低下して、前記肉様食感が十分に得られなくなるおそれがある。
<膨化食材の製造>
以下に、コラーゲンを必須とする原料を用いた膨化食材の製造方法の一例を示す。ただし、本発明の範囲は、下記製造方法に限定されるものではない。
コラーゲンと、必要に応じて、澱粉質や加工澱粉その他を混合して、膨化食材の原料を得る。混合は、従来公知の方法により行えばよく、例えば、ミキサーなどにより粉体混合すればよい。
膨化処理における加水量は、原料100重量部に対して10〜300重量部であることが好ましい。加水量が多すぎると膨化が上手くいかなくなるおそれがあり、少なすぎると焦げを生じるおそれがある。
膨化処理におけるバレル温度は、30〜200℃であることが好ましい。より好ましくは90〜170℃である。
膨化処理における処理圧力は、10〜180kgf/cm2であることが好ましい。
上記バレル温度、ダイ出口温度、処理圧力のいずれにおいても、上記範囲の下限未満であると膨化が不十分となるおそれがあり、上限を超えると焦げを生じるおそれがある。なお、前記の温度条件や圧力条件は、膨化処理中に変動する場合があるが、上記各条件の好適範囲は、このような変動幅をも考慮したものである。すなわち、前記各条件を満たす場合とは、変動幅の下限が各条件範囲の下限以上、変動幅の上限が各条件範囲の上限以下に収まる場合を指す。
本発明にかかる食品は、前記膨化食材を必須の食材とするものであり、前記膨化食材は、乾燥状態、膨潤状態のいずれの状態で用いられても良い。なお、本発明における「膨潤状態」とは、本発明にかかる膨化食材が液体を吸収して、弾力を有した状態をいう。
本発明にかかる膨化食材を乾燥状態で用いる場合には、優れたクリスピー感を有するものとなり、膨潤状態で用いる場合には、良好な肉様食感を有するものとなる。
本発明にかかる膨化食材を乾燥状態で用いる食品の例としては、膨化食材を主材として利用した食品としてスナック菓子やスナック様のペットフードなどが挙げられ、また、膨化食材を副材料として用いた食品として膨化食材をトッピングとして用いたサラダなどの食品が挙げられる。
本発明にかかる膨化食材を上述のごとき各種用途に利用する場合、その用途ごとに必要な味付けを行うことができる。この味付けは、限定するわけではないが、膨化食材に所望の調味成分を振りかけたり、膨潤状態で用いる場合に膨潤を所望の調味液、調味油、乳化油脂などによって行ったりといった方法などが例示でき、これらの方法を適宜組み合わせることもできる。膨化食材が、原料として予め調味料を添加して味付けがなされたものである場合、これを食品に利用する際に、さらに味付けを行う必要はないが、重ねて味付けを行っても良い。
なお、以下では、本発明にかかる膨化食材を必須の食材とするスナック菓子とハンバーグを例に説明する。
<<スナック菓子>>
〔実施例1〕
2軸型エクストルーダー「α−10」(スエヒロEPM社製)に、「スナックベースα」(ポークコラーゲンパウダー、新田ゼラチン社製)50部、「スターチTK」(タピオカ澱粉の加工澱粉である酸化デンプン、日澱化学社製)50部、「赤穂並塩」(赤穂海水社製)1部、「旭味A」(JTフーズ社製)0.05部からなる原料をフィード量22.0g/minで連続的に供給するとともに、25g/minで水を投入し、バレル温度150℃、ダイ出口温度130〜140℃、圧力60〜80kgf/cm2で押出すことにより膨化処理を行った後、この膨化物を連続的に切断し、常温で自然冷却した。
実施例1において、原料(ただし、調味料の種類および配合量は全て同様とした。)およびエクストルーダーの運転条件を表1のとおりに変更して、同様に、実施例2〜16、比較例1,2にかかる各膨化食材を得た。
「スナックベースα」(ポークコラーゲンパウダー、新田ゼラチン社製)50部、「スターチTK」(タピオカ澱粉の加工澱粉である酸化デンプン、日澱化学社製)50部、「赤穂並塩」(赤穂海水社製)1部、「旭味A」(JTフーズ社製)0.05部、水80部の割合で混合し、ミキサー(プライミクス社製)により、85℃で10000rpm×5分間撹拌した。
撹拌後、得られた混合物を型に流し込み、5℃に冷却してゲル化させた。
ゲル化後、型から取り出し、短冊状に切断した。
乾燥後、200℃の大豆油で30秒フライし、膨化食材を得た。
〔評価試験〕
<膨化率>
各実施例1〜16、比較例1,2にかかる各膨化食材について、任意の10箇所の直径を測定することにより、平均直径を算出するとともに、下式により膨化率を算出した。
膨化率=平均直径/ダイ口径
また、比較例3にかかる膨化食材については、膨化前後で、任意の10箇所の直径を測定することにより、膨化前後の平均直径を算出し、下式により膨化率を算出した。
結果を表1に併せて示す。
<食感>
10人のパネラーに各膨化食材をスナック菓子として試食してもらい、硬軟やサクサク感を以下の基準で10段階評価し、その平均点を算出した。
スナックとして適度な硬さでありサクサク感があるものを10点とし、その程度が低いものほど点数を低くした。
結果を表1に併せて示す。
本発明にかかる実施例1〜16の膨化食材は、硬さがスナックとして適度なものであり、サクサク感を有するものであった。中でも、酸化デンプンを50部配合した実施例1は膨化率が高いこともあって特にサクサクとした軽い食感であった。
一方、大豆蛋白のみを原料とする比較例1の膨化食材は食感の評価が1.0と非常に低いものであった。
また、大豆蛋白50部とヒドロキシプロピルデンプン50部を原料とする比較例2では、コラーゲン50部とヒドロキシプロピルデンプン50部を原料とする実施例3と比較したときに、より低い評価となっている。さらに、コラーゲン50部と酸化デンプン50部を原料としてエクストルーダーを用いずに膨化させている比較例3では、同様の原料を用いてエクストルーダーで膨化させている実施例1と比較したときに、より低い評価となっている。このように、同じ種類の澱粉質あるいは加工澱粉を原料として用いる場合には、大豆蛋白よりもコラーゲンを用いる方がよりサクサク感に優れたものとなり、コラーゲンと澱粉質あるいは加工澱粉が同様であればエクストルーダーを用いて膨化させるほうがよりサクサク感に優れたものとなることが分かる。
<<ハンバーグ>>
〔実施例17〕
2軸型エクストルーダー「α−10」(スエヒロEPM社製)に、「スナックベースα」(ポークコラーゲンパウダー、新田ゼラチン社製)100部からなる原料をフィード量11.5g/minで連続的に供給するとともに、25g/minで水を投入し、バレル温度150℃、ダイ出口温度120〜130℃、圧力40〜80kgf/cm2で押出すことにより膨化処理を行った後、この膨化物を連続的に切断し、常温で自然冷却した。
実施例17において、原料、エクストルーダーの運転条件を表4のとおりに変更して、同様に、実施例18〜37、比較例4,5にかかる各ハンバーグを得た。
〔比較例6〕
「スナックベースα」(ポークコラーゲンパウダー、新田ゼラチン社製)50部、「スターチTK」(タピオカ澱粉の加工澱粉である酸化デンプン、日澱化学社製)50部、「赤穂並塩」(赤穂海水社製)1部、「旭味A」(JTフーズ社製)0.05部、水80部の割合で混合し、ミキサー(プライミクス社製)により、85℃で10000rpm×5分間撹拌した。
ゲル化後、型から取り出し、短冊状に切断した。
切断後、15℃で10時間送風して乾燥し、その後60℃に昇温してさらに3時間送風し乾燥を行った。
乾燥後、200℃の大豆油で30秒フライし、膨化食材を得た。
得られた膨化食材を用いて、実施例17と同様にしてハンバーグを得た。
〔評価試験〕
<吸水倍率>
ハンバーグの副材料として使用する前の膨化食材について、各実施例、比較例における各膨化食材10gをビーカーに量り取り、十分な水を加えて、5℃で16時間静置したのちの重量を測定した。吸水前後の膨化食材の重量に基づき、下式から、非加熱状態での吸水倍率(A)を算出した。この吸水倍率(A)が大きいほど、水戻し時に効率的に吸水することとなる。
さらに、加熱状態に曝されたときの吸水倍率(B)を以下のようにして算出した。
すなわち、各実施例、比較例における各膨化食材10gをビーカーに量り取り、十分な水を加えたのち、80℃に到達するまで加熱し、これを冷却して5℃で16時間静置したのちの重量を測定した。吸水前後の膨化食材の重量に基づき、上式から、加熱状態に曝されたときの吸水倍率(B)を算出した。この吸水倍率(B)が大きいほど、食肉加工品などに添加されて加熱状態に曝されたときの歩留まりが高くなる。
各実施例、比較例における各膨化食材の吸水倍率(A)、吸水倍率(B)を表4に併せて示す。なお、表4では、理解の容易化のために、吸水倍率(A)、吸水倍率(B)の値に応じて、非加熱状態、加熱状態のそれぞれについて点数をつけ、この点数を表記するとともに吸水倍率の測定値を括弧内に併記し、さらに、それらの合計を総合点数として表記している。
(食感)
10人のパネラーに各ハンバーグを試食してもらい、食感を、弾力感、ジューシー感を基準に総合的に評価し、その平均点を算出した。
具体的には、良好な弾力感、ジューシー感を有するものを10点とし、その程度が低いものほど点数を低くした。
なお、食感の基準として、表3における「膨化食材無添加」記載の配合、具体的には、膨化食材を肉の代替として添加せずに、ハンバーグを作製し、その食感を総合評価したところ、その評価点数は「8.4」であった。
(加熱歩留まり)
上記各ハンバーグについて、下式により加熱歩留まりを算出した。
結果を表4に併せて示す。
加熱歩留まり(重量%)=加熱後重量(g)/加熱前重量(g)
〔考察〕
<吸水倍率について>
非加熱状態での吸水倍率(A)についてみると、コラーゲン単独では小さく(実施例17参照)、澱粉質や加工澱粉を併用したものではより大きくなっており、澱粉質や加工澱粉を50部で含む場合に特に大きくなっていることが分かる。酵素変性デキストリンは、他の澱粉質や加工澱粉と比べて、少量の添加で吸水倍率(A)をコラーゲン単独よりも大きく向上させ得ることが分かる(実施例34,35参照)。吸水倍率(A)が大きいものほど、水戻し時の吸水が効率的になされる。
各膨化食材をハンバーグに添加したときにおける該ハンバーグの食感についてみると、膨化食材の原料がコラーゲン単独である場合に最も良好な弾力感およびジューシー感が得られることが分かり、その点数が、膨化食材を添加しない場合の点数「8.4」を上回る「9.4」であることからも、この膨化食材の添加により、膨化食材無添加の場合よりさらに良い食感が得られることが分かる(実施例17参照)。この優位性は、加熱時での吸水性が高いコラーゲンを原料として多く含んでいることで、ジューシー感が増した結果と推察される。コラーゲンと澱粉質や加工澱粉を併用することで食感の評価がやや低下するが、澱粉質や加工澱粉の種類を選択することで前記低下を抑え得ることが分かる。他方、膨化食材が大豆蛋白を用いたものである場合あるいはこれを加工澱粉と併用したものである場合には、所望の肉様食感が得られなかった(比較例4,5参照)。これは、コラーゲンが熱溶解性であるのに対して、大豆蛋白が熱凝固性であることによるものであると推測され、具体的には、コラーゲンはエクストルーダー中で同じく熱溶解性の加工澱粉と均一に混ざり合うのに対して、大豆蛋白はエクストルーダー中で熱溶解性の加工澱粉と均一に混ざりあわず、結果として、コラーゲンと加工澱粉の併用では、加工澱粉が押出し後に大半が不溶化されたコラーゲンと均一に混ざり合っているので容易に溶出することがなく、大豆蛋白と加工澱粉の併用では大豆蛋白がこのような働きをせずに加工澱粉が溶出する、という違いに基づくものであると推測される。また、コラーゲンと加工澱粉を用いた場合でも、エクストルーダーで膨化しない場合には、所望の食感は得られないことが分かった(比較例6参照)。なお、前記のとおり、比較例4〜6の膨化食材を用いたハンバーグは、弾力感、ジューシー感が不足しており、特に、比較例4,5のハンバーグでは、膨化食材の主原料に、風味に影響を与える大豆蛋白が用いられていることにより、風味に違和感が生じていた。
Claims (2)
- コラーゲンを必須とする原料をエクストルーダーで押出すことにより膨化させてなる膨化食材を、必須の食材とする食品であって、
膨化食材が、その原料中に、澱粉質および/または加工澱粉を、コラーゲンと澱粉質および/または加工澱粉との合計量100重量部に対して0〜85重量部の割合で含み、かつ、膨潤状態で用いられる、食品。 - 食肉加工品である、請求項1に記載の食品。
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