JP4386363B2 - ヤマイモ含有てんぷら用バッター及びこれを使用したてんぷらの製造方法並びにてんぷら用バッターミックス - Google Patents
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使用することが知られている。
前記揚生地類は大豆から抽出した豆乳からカードを凝固脱水させて得られる揚生地であり、具体的には、ガンモドキ等の生地である。
前記生地に任意に使用できる添加物として、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、乳化剤、澱粉類、ガム質、多糖類、少糖類、小麦粉、小麦澱粉、グルコノデルタラクトン、野菜(ペースト)等とともにヤマイモが挙げられている。
しかし、ヤマイモをバッターに含有させること及びその使用量や効果に関しては知られていない(例えば特許文献1参照)。
揚げ玉の被覆量とフライ中の水分蒸発を容易にするため前記衣液をすりおろしとろろいもに一部または全部と置き換える記載はあるが、バッターとしての具体的な使用量および効果は知られていない(例えば特許文献2参照)。
前記任意に使用できる添加物として、食品用膨張剤、α化していない未加工澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉、酸分解澱粉、酸化澱粉及びこれらの加工を組み合わせた加工澱粉、デキストリン、大豆油、菜種油等の食用油、強力系、準強力系、中力系、薄力系の小麦粉、小麦セモリナ、米粉、コーンフラワーなどの穀粉類、えんどう蛋白質、小麦グルテン、卵粉末、脱脂粉乳等の大豆蛋白質以外の蛋白素材、寒天粉末、コラーゲン、コンニャク粉末、食物繊維、増粘多糖類、他の乳化剤、塩、砂糖、ぶどう糖、糖アルコールなどの糖類、調味料、卵殻粉末、骨粉末、ビタミン類、ミネラル類等とともに山芋粉が挙げられている。
しかし、バッターミックスにおけるヤマイモの具体的な使用量および効果は知られていない(例えば特許文献3参照)。
従って、本発明は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し粉末ヤマイモを0.02〜5.0質量部含有することを特徴とするてんぷら用バッターである。
また前記バッター生地で具材を被覆し、フライすることを特徴とするてんぷらの製造方法である。
更に、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し粉末ヤマイモを0.02〜5.0質量部含有することを特徴とするてんぷら用バッターミックスである。
本発明で使用できる穀粉は、特に限定されず、例えば、小麦粉、そば粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、トウモロコシ粉、オーツ粉末を使用することができる。
また本発明で使用できる澱粉は特に限定されず例えば、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、さつまいも澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、さご澱粉、くず澱粉等を使用することができる。
これらの澱粉は未加工の生澱粉でもよく、リン酸架橋、アセチル化などのエステル化やヒドロキシプロピル化などのエーテル化、湿熱処理、温水処理、油脂加工、α化等の加工した澱粉でも使用できる。
野生種と栽培種に区別され、野生種はジネンジョ、栽培種としては、ナガイモ、イチョウイモ、ツクネイモなどがある。
ヤマイモの使用量は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.02〜5.0質量部である。
好ましくは0.1〜2質量部である。
0.02質量部未満では風味が悪く、油っぽく、サクサクしない食感になる。
5質量部を超えると、逆に山芋の風味が強すぎ、油っぽく、歯切れが悪くなる。
本発明において、ヤマイモの使用量は水分値を10%に換算したときの値である。
ヤマイモの水分値はジネンジョが約61%、ナガイモが約87%、イチョウイモが約72%、ツクネイモが約68%であり、本発明のてんぷら用バッターミックスにはこれらを乾燥したヤマイモを使用するが、水分値は10%程度となる。
ミックスを使用せず、直接バッターにすりおろしたヤマイモを使用する場合は、ヤマイモの使用量とバッターの加水量は水分値を10%に換算した使用量とすればよい。
なお、乾燥したヤマイモは市販品を使用することができる。
また、水分値の測定は135℃、1時間常圧乾燥法による。
また、市販されているベーキングパウダーを使用することもできる。
膨張剤の使用量は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.5〜5.0質量部である。
0.5質量部未満では、油っぽく、歯切れ、口溶けが悪くなる。
5.0質量部を超えると、油っぽくなり、また、油に入れたときのバッターの散りが激しく、作業性が悪くなる。
乳化剤の使用量は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.05〜5.0質量部である。
0.05質量部未満では、油っぽく、歯切れ、口溶けが悪くなる。
5.0質量部を超えると、油っぽくなり、また、油に入れたときのバッターの散りが激しく、作業性が悪くなる。
植物性蛋白質の使用量は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.5〜15質量部である。
0.5質量部未満では、歯切れ、口溶けが悪くなる。
15質量部を超えると、油っぽく、歯切れ、口溶けが悪くなり、また、バッター粘度が上昇し、作業性が悪くなる。
油脂の使用量は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.1〜10質量部である。
0.1質量部未満では、歯切れ、口溶けが悪くなる。
10質量部を超えると、油っぽくなる。
また、糖類は蔗糖、乳糖、果糖、オリゴ糖、転化糖、ぶどう糖等を使用できる。
デキストリン及び/又は糖類の使用量は穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.1〜10質量部である。
0.1質量部未満では、歯切れ、口溶けが悪くなる。
10質量部を超えると、油っぽく、揚げ色が濃くなり、また、油に入れたときのバッターの散りが激しく、作業性が悪くなる。
卵粉の使用量は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.1〜10質量部である。
0.1質量部未満では、歯切れ、口溶けが悪くなる。
10質量部を超えると、歯切れが悪く、また、バッター粘度が上昇し、作業性が悪くなる。
加水量はバッターの温度にもよるがバッターミックス100質量部に対し、100〜200質量部程度である。
具材は、バッターにくぐらせる前に打ち粉を付着させてもよい。
打ち粉には、小麦粉等の穀粉及びコーンスターチ等の澱粉を単独又は併用して使用することができる。
また、保存料を加えて、常温で保管、流通することができる。
再加熱は、てんぷらの中心温度が50℃程度になるように行なう。
[実施例1]
小麦粉88質量部、コーンスターチ12質量部、ヤマイモ粉(ツクネイモ:水分10%)0.5質量部を均等になるように混合し、バッターミックスを得た。
前記バッターミックス100質量部に水を150質量部加え、ホイッパーで攪拌し、バッターを得た。
前記バッターに小麦粉50質量%、コーンスターチ50質量%の組成の打ち粉をまぶした平均重量13gののばし海老をくぐらせ、バッターで被覆した。
その後、170℃で2分間フライしててんぷらを得た。
試食は、常温で3時間保管後以下の基準により評価を行なった。
5点・・・粉臭さが抑えられ、香ばしい風味が付与され、非常に良い
4点・・・粉臭さが抑えられ、香ばしい風味が付与され、良い
3点・・・普通
2点・・・粉臭さが残り、風味が悪い
1点・・・粉臭さが残り、風味が非常に悪い
食感
5点・・・歯切れが良く、サクサクしている
4点・・・歯切れが良い
3点・・・普通
2点・・・歯切れが悪い
1点・・・歯切れが悪く、噛み切りにくい
油っぽさ
5点・・・油切れが良く、油っぽさを全く感じない
4点・・・油切れが良く、油っぽさをあまり感じない
3点・・・普通
2点・・・油切れが悪く、油っぽさをやや感じる
1点・・・油切れが悪く、油っぽさを強く感じる
作業性
5点・・・バッター粘度が適切で、衣付けが非常にしやすい
4点・・・バッター粘度が適切で、衣付けがしやすい
3点・・・普通
2点・・・バッター粘度が不適切で、衣付けがしにくい
1点・・・バッター粘度が不適切で、衣付けが非常にしにくい
総合
5点・・・良い
4点・・・やや良い
3点・・・普通
2点・・・やや悪い
1点・・・悪い
粉末ヤマイの使用量が6質量部の場合は、食感、油っぽさ、作業性の評価が劣り、総合評価でも劣る結果となった。
実施例1において、バッターミックスにさらに膨張剤として重曹、焼きミョウバン、炭酸カルシウム、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル、植物性蛋白質として大豆蛋白質、油脂としてパーム油脂、デキストリン及び全卵粉を加え表3のとおり配合を変更した以外は実施例1と同様にしててんぷらを得た。
粉末ヤマイモの使用量が6質量部の場合は、全ての副資材を加えても食感、油っぽさ、作業性の評価が劣り、総合評価でも劣る結果となった。
実施例1において、粉末ヤマイモを、以下のものに変更した以外は実施例1と同様にしててんぷらを得た。
参考例1:生(ナガイモ)3.5質量部
参考例2:冷凍解凍(ナガイモ)3.5質量部
風味の評価は生や冷凍のほうがよいが、食感、油っぽさ及び作業性の評価は粉末のほうがよく、総合評価では粉末が最もよかった。
実施例1、比較例1において得られたてんぷらを常温24時間保管後、冷蔵24時間保管後、冷凍3週間保管後にそれぞれレンジアップして、てんぷらの試食をパネラー10名により前記基準により評価を行なった。
得られた評価結果(平均点)を表6に示す。
Claims (3)
- 穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し粉末ヤマイモを0.02〜5.0質量部含有することを特徴とするてんぷら用バッター。
- 穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し粉末ヤマイモを0.02〜5.0質量部含有することを特徴とするてんぷら用バッター生地を調製し、ついで前記バッター生地で具材を被覆し、フライすることを特徴とするてんぷらの製造方法。
- 穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し粉末ヤマイモを0.02〜5.0質量部含有することを特徴とするてんぷら用バッターミックス。
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