JP6960780B2 - 液状調味料 - Google Patents
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しかしながら、ノンオイルタイプの液状調味料の場合、所望の粘度とするまで増粘剤を添加すると、食感に違和感を生じてしまう。具体的には、増粘剤特有のべたつきや、ブヨブヨ感が現れ、好ましくなかった。また、増粘剤の種類によっては、風味に影響を与えるものもあり、使用量が制限されるという課題もあった。実際に市場にあるノンオイルドレッシングは、さらさらした性状のものがほとんどである。
その結果、脱脂ゴマを含有させて加熱した場合には、意外にも、食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である液状調味料であるにもかかわらずサラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料が得られることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
(1)食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である液状調味料の製造方法において、
脱脂ゴマを含有した状態で、
50℃以上100℃以下に達温させる、
液状調味料の製造方法、
(2)(1)記載の液状調味料の製造方法であって、
前記脱脂ゴマの含有量が0.1〜3%である、
液状調味料の製造方法、
(3)(1)又は(2)に記載の液状調味料の製造方法であって、
澱粉を含み、
前記脱脂ゴマの含有量に対する澱粉の含有量の質量比が0.1〜10である、
液状調味料の製造方法、
である。
本発明は、食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である液状調味料であるにもかかわらず、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料の製造方法であることに特徴を有する。
本発明の液状調味料は、ドレッシング、タレ、ソース、その他これらに類する食品を指し、好ましい態様としてはドレッシングが挙げられる。
また、本発明の液状調味料は、食用油脂を使用せず且つ脂質含有量が3%未満である、いわゆるノンオイルの液状調味料である。
これらは、日本農林規格(JAS)規格とドレッシング類の表示に関する公正競争規約に基づく。
前記脂質含有量は、栄養表示基準(平成15年4月24日厚生省告示第176号)別表第2の第3欄記載のエーテル抽出法に準じて測定するものとする。
本発明の液状調味料は、脱脂ゴマを含有する。脱脂ゴマはそのまま食すとえぐみや苦みが強く、食用に使用されることは稀であるが、液状調味料に含有させて加熱することにより、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料を得ることができる。これは、脱脂ゴマが食感を損なうことなく、液状調味料の粘度上昇に寄与するためと考えられる。
なお、脱脂ゴマの原料としては、その種類によって限定するものではなく、例えば、黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマ等のいずれのものでもよく、また、焙煎されたものであるとよい。
本発明の脱脂ゴマは、一般的に市場に流通している、油脂含有量が35%以下のものを用いることができる。また、前記油脂含有量は、1〜30%であるとよく、5〜25%であるとよりよい。脱脂ゴマの油脂含有量が前記範囲内であることにより、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料を得ることができる。
なお、通常、ゴマの油脂含有量は54%程度である。
また、脱脂ゴマの油脂含有量は、栄養表示基準(平成15年4月24日厚生省告示第176号)別表第2の第3欄記載のエーテル抽出法に準じて測定するものとする。
本発明の液状調味料における脱脂ゴマは、0.1〜3%であるとよく、さらに0.3〜2.5%であるとよく、0.5〜2%であるとよりよい。脱脂ゴマの含有量を前記範囲にしたうえで、加熱することによって、脱脂ゴマが食感を損なうことなく、液状調味料の粘度上昇に寄与するため、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料が得られ易い。
本発明の液状調味料は、脱脂ゴマ以外のゴマ原料を含んでいても良い。
脱脂ゴマ以外のゴマ原料とは、例えば、擂りゴマ、粒ゴマ、練りゴマ、切りゴマなどが挙げられ、本発明の効果が得られ易い観点から、擂りゴマを含有するとよく、さらに擂りゴマと粒ゴマを含有するとよい。
本発明の液状調味料における、ゴマ原料全体に対する脱脂ゴマの割合は、5〜60%であるとよく、さらに、10〜50%であるとよい。ゴマ原料全体に対する脱脂ゴマの割合が前記範囲内であることにより、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料が得られ易い。
脱脂ゴマの脱脂方法については、特に制限されず、圧搾法や溶媒抽出法などが挙げられるが、本発明の効果が得られ易い観点から、圧搾法が好ましい。
本発明の液状調味料は、さらに澱粉を含有させることにより、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料が得られ易くなる。
前記澱粉の種類は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、および米澱粉、これらを原料として常法により架橋処理、エステル化処理、エーテル化処理、酸化処理等の化学的処理の一種又は二種以上を行った架橋澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の加工澱粉、更に、常法によりα化処理、湿熱処理等の物理的処理を行った加工澱粉等が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られ易い観点から、水可溶性の澱粉であるとよく、さらに水可溶性の加工澱粉であるとよく、中でも、リン酸架橋、ヒドロキシプロピルリン酸架橋、アセチル化アジピン酸架橋を用いるとよい。
本発明の液状調味料の澱粉の含有量は、0.1〜5%であるとよく、さらに0.2〜3%、0.3〜2%であるとよりよい。澱粉の含有量が前記範囲内であることにより、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料が得られ易い。
本発明の液状調味料が澱粉を含有する場合、脱脂ゴマの含有量に対する澱粉の含有量の質量比は、0.1〜10であるとよく、さらに0.3〜7であるとよい。質量比が前記範囲内であることにより、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料が得られ易い。
本発明の液状調味料には、上述の脱脂ゴマ、澱粉以外に本発明の効果を損なわない範囲で当該食品に一般的に使用されている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、食酢、グルタミン酸ナトリウム、食塩、醤油、味噌、乳製品等の各種調味料、各種エキス、全卵、卵黄、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC若しくはホスフォリパーゼDで酵素処理した卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、ラクトアルブミン、カゼインナトリウム等の乳化材、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、香味食材や各種野菜のおろし、ペースト状物、截断物等の具材の粉砕物、大豆、ピーナッツ等の種子類の具材が挙げられる。
本発明の液状調味料は、脱脂ゴマを含有させた状態で50〜100℃に達温させるが、さらに、60〜90℃に達温させるとよい。脱脂ゴマを含有しただけでは、本発明の効果が得られないところ、前記加熱処理を施すことにより、サラダの具材とからみやすく、食感にも違和感のない液状調味料が得られ易い。
なお、加熱処理は、脱脂ゴマのほかすべての原料を混合した状態で達温しても良いし、脱脂ゴマと一部の原料のみを混合した状態で達温してもよい。
下記の配合割合に準じて、すべての原料を均一に混合し、加熱前の液状調味料を得た。次いで、未加熱液状調味料について、60℃達温させ、液状調味料を調製した。
なお、下記配合の脱脂ゴマの油脂含有量は20%であり、加工澱粉としては、水可溶性であるアセチル化アジピン酸架橋澱粉を用いた。
脱脂ゴマ 1.5%
粒ゴマ 1.5%
加工澱粉 1%
醸造酢(酸度5%) 15%
醤油 5%
砂糖 15%
食塩 4%
グルタミン酸ナトリウム 0.3%
キサンタンガム 0.3%
清水 残余
――――――――――――――――――――――――――――
合計 100%
得られた加熱前後の液状調味料を、それぞれ3cm角のレタスからなるサラダにかけて、具材とのからみやすさを評価したところ、加熱前の液状調味料は、具材にあまりのらずに、下に落ちてしまったが、加熱後の、液状調味料は、具材にしっかりとのり、からみやすいものであった。
また、加熱後の液状調味料をかけたサラダを食したところ、増粘剤を多量に加えたときのような違和感もなかった。
脱脂ゴマの含有量が本願発明の効果に与える影響を調べるため、脱脂ゴマと粒ゴマの含有量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1に準じて実施例2,3および比較例1の液状調味料を調製した。
続いて、得られた液状調味料をサラダにかけて食し、サラダの具材とのからみやすさ及び食感について下記基準に基づき評価を行った。
(野菜とのからみやすさ)
×:野菜とからみにくかった。
△:比較例1よりも、からみやすさが改善されていた。
○:さらに改善され、野菜とからみやすかった。
◎:さらに改善され、野菜と非常にからみやすかった。
(食感)
×:増粘剤を多量に加えたときのような違和感があった。
○:増粘剤を多量に加えたときのような違和感がほとんどなかった。
◎:増粘剤を多量に加えたときのような違和感がなかった。
また、澱粉を含む場合には、脱脂ゴマの含有量に対する澱粉の含有量の質量比は、0.1〜10であることができ、さらに0.3〜7であるとよいことが理解できる。
脱脂ゴマの油脂含有量が本願発明の効果に与える影響を調べるため、実施例1の脱脂ゴマを、油脂含有量が35%の脱脂ゴマに変更した以外は、実施例1に準じて実施例5の液状調味料を調製した。
得られた液状調味料を、3cm角のレタスからなるサラダにかけて、サラダの具材とのからみやすさ及び食感について評価を行ったところ、具材にしっかりとのり、野菜と非常にからみやすいものであったが実施例1ほどではなかった。また、加熱後の液状調味料をかけたサラダを食したところ、増粘剤を多量に加えたときのような違和感もなかった。
実施例1の配合を、脱脂ゴマの含有量を0.5%、澱粉の含有量を0.5%に変更した以外は実施例1と同様に、本発明の液状調味料を調製し、実施例6とした。
得られた液状調味料を、3cm角のレタスからなるサラダにかけて、サラダの具材とのからみやすさ及び食感について評価を行ったところ、具材にしっかりとのり、野菜と非常にからみやすいものであった。また、増粘剤を多量に加えたときのような違和感もなかった。
実施例1の加工澱粉をヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉に変更した以外は実施例1と同様に、本発明の液状調味料を調製し、実施例7とした。
得られた液状調味料を、3cm角のレタスからなるサラダにかけて、サラダの具材とのからみやすさ及び食感について評価を行ったところ、具材にしっかりとのり、野菜と非常にからみやすいものであった。また、増粘剤を多量に加えたときのような違和感もなかった。
実施例1の粒ゴマ1.5%と脱脂ゴマ1.5%を、粒ゴマ1%、脱脂ゴマ1%、擂りゴマ1%に変更した以外は実施例1と同様に、本発明の液状調味料を調製し、実施例8とした。
得られた液状調味料を、3cm角のレタスからなるサラダにかけて、サラダの具材とのからみやすさ及び食感について評価を行ったところ、具材にしっかりとのり、野菜と非常にからみやすいものであった。また、増粘剤を多量に加えたときのような違和感もなかった。
実施例1の達温温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様に、本発明の液状調味料を調製し、実施例9とした。
得られた液状調味料を、3cm角のレタスからなるサラダにかけて、サラダの具材とのからみやすさ及び食感について評価を行ったところ、具材にしっかりとのり、野菜と非常にからみやすいものであった。また、増粘剤を多量に加えたときのような違和感もなかった。
Claims (4)
- 食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である液状調味料の製造方法において、
脱脂ゴマを含有した状態で、
50℃以上100℃以下に達温させる、
液状調味料の製造方法(但し、ゴマ粕を酵素処理する工程、および該酵素処理によって得られた処理液の存在下でアルコールの酢酸発酵を行う工程を包含する、ゴマ酢の製造方法を除く)。 - 食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である液状調味料の製造方法において、
脱脂ゴマを含有した状態で、
50℃以上100℃以下に達温させる工程を含み、
前記脱脂ゴマの含有量が0.1〜3%である、
液状調味料の製造方法。 - 食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である液状調味料の製造方法において、
脱脂ゴマを含有した状態で、
50℃以上100℃以下に達温させる工程を含み、
澱粉を含み、
前記脱脂ゴマの含有量に対する澱粉の含有量の質量比が0.1〜10である、
液状調味料の製造方法。 - 請求項2に記載の液状調味料の製造方法であって、
澱粉を含み、
前記脱脂ゴマの含有量に対する澱粉の含有量の質量比が0.1〜10である、
液状調味料の製造方法。
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