JP6361853B2 - ルウ用油中水型乳化物及びそれを使用したソース類またはスープ類 - Google Patents
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Description
食品にコク味を付与する方法としては、様々な方法が開示されている。該方法として、例えば、乳等の膜分離透過液を蛋白質分解酵素で処理することを特徴とする風味等改善剤(特許文献1)が開示されている。また、特定の油脂を含有することによりコク味及び香味を付与することのできるルウ用油脂(特許文献2、3)が開示されている。
特許文献1に記載の風味、呈味改善剤は、乳原料を膜及び酵素で処理するなど製造工程が煩雑であり、パーム油の風味をマスキングする効果は高いものの後味の広がりの点で十分なものではなかった。
特許文献2に記載のルウ用油脂は、焙煎ナタネ油及びパーム系油脂を規定量含有することを特徴としているが、ホワイトソースでのコク味付与効果は不十分で、焙煎風味が感じられるため好みに個人差があったとも記載されていた。
特許文献3に記載のルウ用油脂組成物は、パーム油の分別硬質油を50質量%以上含有し、トランス脂肪酸含量が3質量%以上12質量%未満と低いことを特徴としているが、香味(スパイス感)は増強できるものの、コク味の付与効果については不十分であった。
このように、上記の先行技術に記載されているような従来のルウでは、コク味付与に寄与する成分の製造工程が煩雑である、または油相での特徴付けをしているにも関わらず、コク味を付与する効果が満足できるものではなかった。
(1)水相に豆乳を含有する油中水型乳化物を原料に用いることを特徴とするルウの製造方法、
(2)水相中の豆乳に由来する脂質含量が2重量%未満である油中水型乳化物を原料に用いる、(1)記載のルウの製造方法、
(3)水相に豆乳を含有することを特徴とするルウ用油中水型乳化物、
(4)該豆乳の脂質含量が2重量%未満である、(3)記載のルウ用油中水型乳化物、
(5)該豆乳が水相中に50重量%以上含有する、(3)又は(4)に記載のルウ用油中水型乳化物、
(6)(3)〜(5)のいずれか1つに記載のルウ用油中水型乳化物を用いたルウ、
(7)(6)に記載のルウと調味成分を含有することを特徴とするソース類またはスープ類、
である。
ここで、水相中の豆乳に由来する脂質含量を低減するには、低脂肪豆乳を用いればよい。低脂肪豆乳としては、豆乳から脂質を除去して得られる低脂肪豆乳や、脱脂大豆を抽出して得られる脱脂豆乳を用いることができる。特に、より良質なコク味を付与できる点から、豆乳から脂質を除去して得られる低脂肪豆乳を用いるのが好ましい。該低脂肪豆乳は、例えば上述のおからが除去された、もしくは除去されていない豆乳をクリームセパレーター等の高速遠心分離機等により遠心分離を行い、脂質が多く含まれる上層と、沈殿層を除去した残りの低脂質の画分を採取することにより得ることができる。なお、低脂肪豆乳は市販品を用いても良い。
また、豆乳が粉末状の場合には、豆乳に由来する固形分含量が3〜20重量%、かつ豆乳に由来する脂質含量が2重量%未満となるように水溶液にして水相として用いることができる。
さらに、本発明の油中水型乳化物の水相部には、豆乳以外の成分は特に制限されることなく、例えば、水、食塩、脱脂粉乳、濃縮乳、香料、呈味成分、その他水溶性添加物等を配合することができる。
また、ルウ調製時に他の素材と混合する温度において、油脂結晶量が多すぎると均一に混合しにくい場合には、油中水型乳化物を適宜温調して使用することができる。
さらに、例えば、トコフェロール、香料、着色料、その他油溶性の添加物等を配合することができる。
また、澱粉含有物としてローストした小麦粉を使用することもできる。その場合には、ルウの製造時に加熱温調した油中水型乳化物とローストした小麦粉とを含む原料を混合するだけで調製する事が出来る。小麦粉に予めロースト処理を施しておくと、小麦粉中の水分が脱水され、ルウ作成の作業性が向上するので好ましいが、逆に当該ルウを使用したホワイトソースのトロ味が不足する場合がある。
本発明のソース類及びスープ類において、上記の調味成分の中でも、特に白だしなどの和風のだしと本発明のルウを組み合わせて使用することによりコク味付与の効果が顕著になる。
表1 油中水型乳化物の配合
・ 単位は重量%である。
・ 乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンを使用した。
・ エステル交換油脂は、パーム油とパーム核オレインを原料とした融点33℃の酵素エステル交換油脂を使用した。本油脂は、実質的にトランス酸を含有していない。
・ 低脂肪豆乳は、不二製油株式会社製の固形分含量が10重量%、脂質含量が1重量%以下のものを使用した。
・ 全脂豆乳は、不二製油株式会社製の無調整豆乳(固形分含量が9重量%、脂質含量が3.6重量%)を使用した。
「油中水型乳化物の調製法」
1.食用油脂を60〜70℃で融解し、乳化剤を添加することで油相を調製した。
2.水、低脂肪豆乳あるいは全脂豆乳に、水相原料に分類される原料を添加、溶解した。
3.攪拌中の油相へ水相を添加し、混合した。ここで得られる混合液を調合液と称する。
4.調合液をコンビネーターへ供して、油中水型乳化物を得た。
実施例3
あらかじめローストした薄力粉55重量%に、水相に低脂肪豆乳を含有する実施例1の油中水型乳化物45重量%を50〜60℃に加熱温調して添加し、縦型ミキサーにより均一に混合することによってルウを調製した。このルウは、1晩冷凍で保存し、翌日ホワイトソースに使用した。
水相に全脂豆乳を含有した実施例2の油中水型乳化物45重量%を使用した以外は、実施例3と同様にしてルウを調製した。このルウは、1晩冷凍で保存し、翌日ホワイトソースに使用した。
水相に豆乳を含有しない比較例1の油中水型乳化物45重量%を使用した以外は、実施例3と同様にしてルウを調製した。このルウは、1晩冷凍で保存し、翌日ホワイトソースに使用した。
実施例5
あらかじめ湯煎により使用するルウを流動性のある状態まで加熱、温調した(ルウの品温 約40℃)。
次に、表2に記載の分量で牛乳、水及び調味成分として和風だし(ヤマキ製割烹白だし)を混合後、約40℃に加熱したものを、あらかじめ温調した実施例3のルウに加えて、泡立て器でダマができないように手早く混ぜた。ついで、約30秒間沸騰するまで加熱することによりホワイトソースの調製を行った。この際、沸騰により減量した場合は、蒸発した水分の調整を行った。
実施例3のルウに変えて、実施例4のルウを使用した以外は、実施例5と同様にホワイトソースを調製した。
実施例3のルウに変えて、比較例2のルウを使用した以外は、実施例5と同様にホワイトソースを調製した。
実施例5とホワイトソースの組成が同じになるように、表2で記載した分量で牛乳、水、低脂肪豆乳及び調味成分として和風だしを調合した水相を約40℃に加熱したものを、あらかじめ温調した比較例2のルウに加えて、泡立て器でダマができないように手早く混ぜた。ついで、約30秒間沸騰するまで加熱することによりホワイトソースの調製を行った。この際、沸騰により減量した場合は、蒸発した水分の調整を行った。
表2に記載の分量で牛乳、水及びブイヨン(ネスレ製マギーブイヨン)を混合後、約40℃に加熱したものを、あらかじめ温調した実施例3のルウに加えて、泡立て器でダマができないように手早く混ぜた。ついで、約30秒間沸騰するまで加熱することによりホワイトソースの調製を行った。この際、沸騰により減量した場合は、蒸発した水分の調整を行った。
調味成分としてブイヨンに変えてコンソメ(味の素製コンソメ)を使用した以外は、実施例7と同様にホワイトソースを調製した。
実施例5とホワイトソースの組成同じになるように、表2で記載した分量で牛乳、水、低脂肪豆乳及びコンソメを調合した水相を約40℃に加熱したものを、あらかじめ温調した比較例2のルウに加えて、泡立て器でダマができないように手早く混ぜた。ついで、約30秒間沸騰するまで加熱することによりホワイトソースの調製を行った。この際、沸騰により減量した場合は、蒸発した水分の調整を行った。
得られたホワイトソースは冷凍保存後、ボイル解凍して、10名のパネラーによる官能評価を行なった。官能評価項目であるコク味、旨味の持続性、味のまとまりそれぞれを、下記評価基準に従い採点を行い、平均点を表3にまとめた。
風味の評価基準(点数法)
コク味 : 平均点が3点以上を合格とした。
4 :コク味が非常に強く、濃厚感を感じられる
3 :コク味が強く感じられる
2 :コク味が感じられる
1 :コク味に乏しく、あっさりしている
旨味の持続性 : 平均点が2点以上を合格とした。
3 :旨味の持続性が強い
2 :旨味の持続性がある
1 :旨味の持続性がない
味のまとまり : 平均点が2点以上を合格とした。
3 :調味料と豆乳由来の風味にまとまりがあり、調味料の風味を底上げしている
2 :調味料と豆乳由来の風味にまとまりがある
1 :調味料と豆乳由来の風味を別々に感じる
以上の結果から明らかなように、最終組成が同じでホワイトソースであっても、豆乳の分散状態によりホワイトソースの風味が大きく異なっていた。つまり、豆乳がホワイトソースの水相部ではなく、ルウの調製に使用された油中水型乳化物中の水相に存在していることにより、長時間煮込むことなく旨み感のあるコク味を付与したホワイトソースを得ることができた。(実施例5と比較例4の比較)
油中水型乳化物の水相に用いた豆乳に由来する脂質含量が低い方が、より良質なコク味を付与できることが確認された。(実施例5と実施例6の比較)
また、旨み感のあるコク味付与効果は、和風だし等の和風の調味成分だけではなく、ブイヨン、コンソメ等の洋風の調味成分でも確認された。(実施例8と比較例5の比較、実施例7)
Claims (4)
- 水相を8〜30重量%含有し、水相中に脂質含量が2重量%未満である豆乳を50重量%以上含有する油中水型乳化物を原料に用いることを特徴とする、コク味付与作用を有するルウの製造方法。
- 水相を8〜30重量%含有し、水相中に脂質含量が2重量%未満である豆乳を50重量%以上含有することを特徴とする、コク味付与作用を有するルウ用油中水型乳化物。
- 請求項2記載のコク味付与作用を有するルウ用油中水型乳化物を用いたルウ。
- 請求項3記載のルウと調味成分を含有することを特徴とするソース類またはスープ類。
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