JP2022092532A - 食品の塩味増強剤、食品の塩味増強用組成物、食品の塩味増強方法、食用油脂組成物、及び食品の製造方法 - Google Patents

食品の塩味増強剤、食品の塩味増強用組成物、食品の塩味増強方法、食用油脂組成物、及び食品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022092532A
JP2022092532A JP2020205397A JP2020205397A JP2022092532A JP 2022092532 A JP2022092532 A JP 2022092532A JP 2020205397 A JP2020205397 A JP 2020205397A JP 2020205397 A JP2020205397 A JP 2020205397A JP 2022092532 A JP2022092532 A JP 2022092532A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
food
oil
mass
saltiness
fatty acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020205397A
Other languages
English (en)
Inventor
俊 松澤
Shun MATSUZAWA
紗希 西村
Saki Nishimura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
J Oil Mills Inc
Original Assignee
J Oil Mills Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by J Oil Mills Inc filed Critical J Oil Mills Inc
Priority to JP2020205397A priority Critical patent/JP2022092532A/ja
Publication of JP2022092532A publication Critical patent/JP2022092532A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Abstract

【課題】食品の塩味を増強する効果に優れた素材を提供する。【解決手段】米糠脂肪酸を有効成分とすることを特徴とする食品の塩味増強剤である。また、米糠脂肪酸を含有することを特徴とする食品の塩味増強用組成物である。また、食用油脂と、前記食用油脂に含有された米糠脂肪酸とを含むことを特徴とする食用油脂組成物である。これらは、食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いることが好ましい。また、炒め食品、炊飯等の加熱調理食品に用いることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、食品の塩味を増強する技術に関する。
食塩は食品に塩味を付与してその美味しさを増強してくれる調味料であるとともに、身体を正常に機能させるために重要な役割を担う栄養素でもある。一方で、食塩の過剰摂取は、高血圧、心疾患、脳卒中、胃がん等を誘発する原因になると考えられている。そこで、食塩の使用量を低減しつつ塩味を損なわない減塩食品や減塩調味料の開発が進められている。例えば、特許文献1には、アルギニン及び/又はその塩、乳酸及び/又はその塩、並びにグルコン酸及び/又はその塩を原料に所定量添加する、塩味の増強された飲食品の製造方法が開示されている。
特開2013-208057号公報
従来の技術により食品に塩味を付与することは有用である。しかしながら、近年、減塩食品への関心はますます高くなっており、食塩の使用量を減らしても食品の塩味を損なわない技術の更なる開発が望まれている。
本発明の目的は、食品の塩味を増強する効果に優れた新たな素材を提供することにある。
発明者らは、鋭意検討の結果、食品に米糠脂肪酸を含有せしめることで塩味が増強することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、その第1の観点においては、米糠脂肪酸を有効成分とすることを特徴とする食品の塩味増強剤を提供するものである。
上記の食品の塩味増強剤においては、食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いることが好ましい。
また、上記の食品の塩味増強剤においては、加熱調理食品に用いることが好ましい。
本発明は、その第2の観点においては、米糠脂肪酸を含有することを特徴とする食品の塩味増強用組成物を提供するものである。
上記の食品の塩味増強用組成物においては、食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いることが好ましい。
また、上記の食品の塩味増強用組成物においては、加熱調理食品に用いることが好ましい。
上記の食品の塩味増強用組成物においては、更に、食用油脂を含有することが好ましい。
また、上記の食品の塩味増強用組成物においては、更に、塩味成分を含有することが好ましい。
本発明は、その第3の観点においては、食用油脂と、前記食用油脂に含有された米糠脂肪酸とを含むことを特徴とする食用油脂組成物を提供するものである。
上記の食用油脂組成物においては、前記食用油脂100質量部に対して、前記米糠脂肪酸を0.008質量部以上20質量部以下含有することが好ましい。
また、上記の食用油脂組成物においては、食品の塩味を増強するために用いることが好ましい。
また、上記の食用油脂組成物においては、食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いることが好ましい。
また、上記の食用油脂組成物においては、加熱調理食品に用いることが好ましい。
本発明は、その第4の観点においては、米糠脂肪酸を食品に含有せしめることを特徴とする塩味が増強された食品の製造方法を提供するものである。
上記の塩味が増強された食品の製造方法においては、前記米糠脂肪酸は食用油脂に含有せしめてなる食用油脂組成物の形態で用いることが好ましい。
また、上記の塩味が増強された食品の製造方法においては、前記米糠脂肪酸は前記食用油脂100質量部に対して、前記米糠脂肪酸を0.008質量部以上20質量部以下含有せしめてなる食用油脂組成物の形態で用いることが好ましい。
また、上記の塩味が増強された食品の製造方法においては、前記米糠脂肪酸は前記食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いることが好ましい。
また、上記の塩味が増強された食品の製造方法においては、前記食品は加熱調理食品であることが好ましい。
本発明は、その第5の観点においては、米糠脂肪酸を用いることを特徴とする食品の塩味増強方法を提供するものである。
本発明は、その第6の観点においては、上記の塩味増強剤を添加する食品の製造方法を提供するものである。
本発明は、その第7の観点においては、上記の塩味増強用組成物を添加する食品の製造方法を提供するものである。
本発明は、その第8の観点においては、上記の食用油脂組成物を添加する食品の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、米糠脂肪酸を利用して、食品の塩味を増強する効果に優れた新たな素材を提供することができる。
本発明に用いる米糠脂肪酸は、米糠に由来する脂肪酸であればよく、特に限定されないが、例えば、米糠から米油を製造する過程でその製油副産物として得られる脂肪酸を利用することができる。すなわち、一般的な製油工程においては、油糧原料から搾油、溶媒抽出などにより得られた粗油を脱ガムしたり脱酸したりして、油を精製する処理工程が含まれるが、このときに生じる脱ガム油サイ(滓)やソーダ油サイ(滓)には脂肪酸が比較的豊富に含まれている。よって、これらの副産物から蒸留等の処理により、脂肪酸が富化された素材を得ることができる。このような素材における脂肪酸の純度としては、限定されないが、脂肪酸として60質量%以上含まれているものを用いることが好ましく、70質量%以上100質量%以下含まれているものを用いることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下含まれているものを用いることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下含まれているものを用いることが更により好ましい。また、脂肪酸構成としてパルミチン酸が16質量%以上29質量%以下であり、ステアリン酸が0.6質量%以上2.4質量%以下であり、オレイン酸が36質量%以上49質量%以下であり、リノール酸が26質量%以上39質量%以下であり、リノレン酸が0.6質量%以上1.9質量%以下であることが好ましく、脂肪酸構成としてパルミチン酸が18質量%以上27質量%以下であり、ステアリン酸が0.8質量%以上2.2質量%以下であり、オレイン酸が38質量%以上47質量%以下であり、リノール酸が28質量%以上37質量%以下であり、リノレン酸が0.8質量%以上1.7質量%以下であることがより好ましく、脂肪酸構成としてパルミチン酸が20質量%以上25質量%以下であり、ステアリン酸が1.0質量%以上2.0質量%以下であり、オレイン酸が40質量%以上45質量%以下であり、リノール酸が30質量%以上35質量%以下であり、リノレン酸が1.0質量%以上1.5質量%以下であることが更により好ましい。
あるいは、米糠脂肪酸としては、「アシッド100S」(製品名、ボーソー油脂株式会社製)等の市販品の素材を用いてもよい。
米糠脂肪酸には、後述する実施例において示されるように、食品の塩味を増強する効果がある。よって、本発明においてはこれを食品の塩味増強剤の有効成分として利用するものである。
本発明の限定されない任意の態様においては、上記塩味増強剤は、油脂組成物の形態であってよい。具体的には、例えば、必要に応じて任意に食用油脂、賦形剤、補助剤、乳化剤、pH調整剤等を配合して、公知の手法により、液体状、粉末状、ペースト状等の任意の形態の油脂組成物となし得る。すなわち、例えば、通常当業者に周知の製剤的技術により、油脂成分を主体とした、液体油脂、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、粉末油脂等に調製されてもよく、あるいは、油脂成分の配合量が少ない溶液状、粉末状、ゲル状、顆粒状等に調製されてもよく、それら形態は任意に採用し得る。また、例えば、粉末化する場合には、コーンシロップ等の補助剤を使用することができ、更に、乳化剤を添加して乳化原料を調製したうえ、これを粉末化してもよい。粉末化の手段としては、スプレードライ、フリーズドライ等が挙げられる。
食用油脂としては、例えば、菜種油(高オレイン酸タイプを含む)、大豆油、パーム油、パーム核油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ヒマワリ油、綿実油、米油、落花生油、ヤシ油、カカオ脂等の植物油脂、牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂等の動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。加えて、これらの分別油(パーム油の中融点部、パーム油の軟質分別油、パーム油の硬質分別油等)、エステル交換油、水素添加油等の加工油脂等が挙げられる。食用油脂は、一種単独でも二種以上が混合されていてもよい。
本発明により提供される食品の塩味増強剤には、所望する塩味増強の機能性を損なわない範囲で、食用に通常添加される助剤が適宜配合されていてもよい。助剤としては、酸化防止剤、消泡剤、乳化剤、香料、風味付与剤、色素、生理活性物質等が挙げられる。具体的には、例えば、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、γ-オリザノール、トコフェロール、シリコーン等が挙げられる。
米糠脂肪酸の含有量としては、特に限定されないが、好ましくは0.001質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは0.005質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以上100質量%以下であり、更により好ましくは0.1質量%以上100質量%以下である。なお、米糠脂肪酸を提供する素材自体が、上記塩味増強剤を構成してもよい。
一方、本発明の限定されない他の態様においては、上記した米糠脂肪酸は、食用油脂に含有されていてもよい。すなわち、食用油脂とその食用油脂に含有された米糠脂肪酸とを含む食用油脂組成物が提供される。これによれば、食用油脂を分散媒として米糠脂肪酸の濃度を調整しやすい。また、食品に含有せしめる際にその食材や食品の成分等になじませやすい。
食用油脂としては、上記した塩味増強剤と同様に、例えば、菜種油(高オレイン酸タイプを含む)、大豆油、パーム油、パーム核油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ヒマワリ油、綿実油、米油、落花生油、ヤシ油、カカオ脂等の植物油脂、牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂等の動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。加えて、これらの分別油(パーム油の中融点部、パーム油の軟質分別油、パーム油の硬質分別油等)、エステル交換油、水素添加油等の加工油脂等が挙げられる。食用油脂は、一種単独でも二種以上が混合されていてもよい。
上記食用油脂組成物中の食用油脂及び米糠脂肪酸の含有量は、特に限定されないが、食用油脂中に米糠脂肪酸がよく分散した状態とすることが好ましい。食用油脂を70質量%以上99.999質量%以下含有していることが好ましく、75質量%以上99.99質量%以下含有していることがより好ましく、80質量%以上99.97質量%以下含有していることが更に好ましく、85質量%以上99.92質量%以下含有していることが更により好ましい。また、米糠脂肪酸を0.001質量%以上30質量%以下含有していることが好ましく、0.005質量%以上25質量%以下含有していることがより好ましく、0.01質量%以上20質量%以下含有していることが更に好ましく、0.1質量%以上15質量%以下含有していることが更により好ましい。また、米糠脂肪酸を、食用油脂100質量部に対して、0.008質量部以上20質量部以下含有していることが好ましく、0.03質量部以上18質量部以下含有していることがより好ましく、0.08質量部以上16質量部以下含有していることが更に好ましく、0.08質量部以上14質量部以下含有していることが更により好ましい。なお、米糠脂肪酸は、場合によっては、その形態が常温で固体等の場合もあるので、加温等によって十分に溶融させた状態で食用油脂と混合するようにしてもよい。
本発明により提供される食用油脂組成物には、上記した塩味増強剤と同様に、所望する塩味増強の機能性を損なわない範囲で、食用に通常添加される助剤が適宜配合されていてもよい。助剤としては、酸化防止剤、消泡剤、乳化剤、香料、風味付与剤、色素、生理活性物質等が挙げられる。具体的には、例えば、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、γ-オリザノール、トコフェロール、シリコーン等が挙げられる。
上記した塩味増強剤又は食用油脂組成物の使用形態について更に説明すると、本発明においては、その剤又は組成物に含まれる米糠脂肪酸を食品に含有せしめるようにして用いればよい。これにより、その食品の塩味を増強することができる。食品への添加量としては、適用する食品の種類に応じて適宜設定すればよいが、典型的には、例えば、本発明を適用する食品の形態中に米糠脂肪酸の量として、好ましくは0.0005質量%以上1.2質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以上1質量%以下であり、更に好ましくは0.003質量%以上0.6質量%以下であり、更により好ましくは0.005質量%以上0.3質量%以下である。
本発明を適用する食品としては、特に制限はないが、典型的には、例えば、炒め調理品、焼き調理品、蒸し調理品、茹で調理品、炊き調理品、煮込み調理品、又はそれらに用いる調味料等であり、特には、炒め調理品であることが好ましい。具体例としては、例えば、パスタ料理、炒飯、野菜炒め、焼き肉、焼き魚、温野菜、中華まん、焼売、肉団子、ハム、ソーセージ、おにぎり、炊き込みご飯、スープ、ルウ、チーズ、スナック菓子、和菓子、パン等が挙げられる。
本発明を食品に適用する際、その使用の態様に特に制限はない。例えば、食品の原料や製造工程の中間物等へ、任意のタイミングで添加、混合、溶解、分散、乳化、注入すること等により、得られる食品の塩味を増強することができる。また、原料や製造工程の中間物への添加等だけでなく、食品の調理、加工、あるいは製造等の後に、ふり掛けたり、塗布したりすること等により、当該食品に付与してもよい。
本発明の限定されない任意の態様においては、好ましくは食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いる。これにより、米糠脂肪酸による塩味増強の効果がより顕著となる。例えば、本発明により提供される塩味増強剤又は食用組成物を、ニンニク、キャベツ、タマネギ、ニンジン等の野菜、卵、米飯、肉、パスタ等の食材をフライパンで炒めるとき、その敷き油として、あるいはその敷き油に添加するようにして用いるとよい。あるいは、お米を炊飯器で炊くとき、それに添加するようにして用いてもよい。あるいは、スープ等に添加して加熱するようにしてもよい。ただし、これらに例示した使用の態様に限られるものではなく、適宜、所望する塩味増強の効果が得られるよう、塩味を増強したい食品に添加するようにすればよい。
本発明の限定されない任意の態様においては、本発明を適用した食品等において塩味が増強したかどうかを、上記米糠脂肪酸を添加して調製したものと、添加しないで同様に調製したものとを、官能評価試験、好ましくは、母集団に対して嗜好的偏向がないように選出された複数名のパネラーによる官能評価試験等に供することによって、客観的な評価が可能である。
一方、本発明の限定されない別の態様においては、上記した米糠脂肪酸は、これを含有せしめてなる食品の塩味増強用組成物の形態で提供されてもよい。この場合、食用油脂や食用に通常添加される各種助剤等が適宜配合されていてもよいことは、上記塩味増強剤又は上記食用油脂組成物について説明したのと同様である。また、食品の原料や製造工程の中間物等へ、任意のタイミングで添加、混合、溶解、分散、乳化、注入すること等により、得られる食品の塩味を増強することができるといった使用態様や、好ましくは食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いることにより、米糠脂肪酸による塩味増強の効果がより顕著となるといった態様についても、上記塩味増強剤又は上記食用油脂組成物について説明したのと同様である。ただし、特に、例えば、食塩、塩味調味料、塩化カリウム等の塩味成分を含有せしめることで、このような組成物は、食品への塩味付与目的で、その塩味が強化されている調味料等として好適に用いられ得る。
この場合、米糠脂肪酸とともに含有せしめる塩味成分は、例えば、食塩、塩味調味料、塩化カリウム等であってよいが、特にこれらに限定されない。また、食品に塩味等の呈味を付与する観点からは、更に、砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、エリスリトール、トレハロース、アスパルテーム等の甘味物質や、グルタミン酸、イノシン酸等のうま味物質が含まれていてもよい。
上記食品の塩味増強用組成物中の米糠脂肪酸の含有量は、上記したとおり、上記塩味増強剤又は上記食用油脂組成物について説明したのと同様であるが、例えば、これに塩味成分を含み、食品に塩味を付与する目的で用いるときには、その塩味増強用組成物組成物に含ませる塩味成分としては、例えば塩味成分が食塩であるとき、その食塩の1質量部に対する米糠脂肪酸の量が0.0006質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.0040質量部以上1.6質量部以下であることがより好ましく、0.004質量部以上1.0質量部以下であることが更に好ましく、0.008質量部以上0.6質量部以下であることが更により好ましい。
なお、本発明を適用し得る食品等の範囲は、ヒト用に限られるものではなく、動物用のエサや飼料等にも適用され得る。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
本試験例において使用した材料及び調理器具は、以下の通りである。
(油脂)
・菜種油:「AJINOMOTOさらさらキャノーラ油」(製品名)、株式会社J-オイルミルズ製
・大豆油:「AJINOMOTOコクとうまみの大豆の油」(製品名)、株式会社J-オイルミルズ製
・米油:「AJINOMOTO健康米油」(製品名)、株式会社J-オイルミルズ製
・オリーブ油:「FILIPPO BERIO(登録商標)エクストラバージンオリーブオイル」(製品名)、株式会社J-オイルミルズ製
・米糠脂肪酸:「アシッド100S」(製品名)、ボーソー油脂株式会社製
なお、使用した米糠脂肪酸は、米油の製油副産物として得られるソーダ油サイから真空蒸留することにより得られた蒸留物であり、表1にその脂肪酸組成を示す。
Figure 2022092532000001
(食材)
・パスタ乾麺:「マ・マーチャック付結束スパゲティ1.6mm」(製品名)、日清フーズ株式会社製
・米飯:「サトウのごはん」(製品名)、サトウ食品株式会社製
・中華スープの素:「創味シャンタン」(製品名)、株式会社創味食品製
(加熱調理器)
・IHヒーター:「KZ-PH33」(製品名)、パナソニック株式会社製
・炊飯器:「圧力IH炊飯ジャーNP-NT10」(製品名)、象印マホービン株式会社製
<試験例1>
表2に示す各材料を使用し、以下の(a)~(e)の手順に従って、パスタ料理(ペペロンチーノ)を調理した。なお、使用した米糠脂肪酸は常温で固形状であり、60℃に加熱してから所定量を菜種油又はオリーブオイルに添加し、攪拌して溶解させることで、表2に示すとおりの組成の第1又は第2の油脂組成物を調製した。
(a)表2に記載の第1の油脂組成物を用意しフライパンに添加した。
(b)(a)のフライパンにニンニクを加え、IHヒーターを用いて温度強度3(100~120℃)で10分間炒め、室温まで自然冷却した。
(c)表2に記載の第2の油脂組成物を用意し、これと食塩とを(b)のフライパンに加えて混ぜ合わせた。
(d)パスタ乾麺を水で7分間茹で、湯切りした。
(e)(c)のフライパンに(d)で茹でたパスタを加え、混ぜ合わせて、調製例1-1~調製例1-7のパスタ料理を得た。
Figure 2022092532000002
得られたパスタ料理について、第1の油脂組成物として菜種油を、第2の油脂組成物としてオリーブ油を使用し、これらに米油も米糠脂肪酸も配合しなかったときとの比較により塩味を官能評価した。評価は、2名の専門パネルにより以下の採点基準で行い、全員の官能評価値の平均値を求めた。結果を表3に示す。
+6:対照よりもかなり強い
+5:対照よりも相当強い
+4:対照よりも強い
+3:対照よりも比較的強い
+2:対照よりもやや強い
+1:対照よりもわずかに強い
0:対照と同等
-1:対照よりもやや弱い
-2:対照よりも弱い
-3:対照よりもかなり弱い
Figure 2022092532000003
その結果、調製例1-3~調製例1-7の結果にみられるように、調理したペペロンチーノの全質量中に0.00058質量%~0.058質量%の割合で米糠脂肪酸を含有せしめることで、添加しない調製例1-1(対照)と比べ、調理したペペロンチーノの塩味を増強する効果が得られた。一方、調製例1-2では、調製例1-3と同じ添加量で米糠脂肪酸を添加したにもかかわらず、塩味の増強効果が限定的であった。これは、調製例1-3~調製例1-7では、米糠脂肪酸は、第1の油脂組成物としてニンニクとともに炒め調理に付されたのに対して、調製例1-2では、第2の油脂組成物に添加して、そのような炒め調理に付されなかったためと考えられた。なお、調製例1-1や調製例1-2では、第1の油脂組成物に米油が含まれており、ニンニクとの炒め調理に付されたが、塩味の増強効果が得られなかった。これにより、ニンニクとの炒め調理により生じる米油の産物には、塩味を増強する効果がないことが分かる。
<試験例2>
表4に示す各材料を使用し、それ以外は、試験例1と同様にして、調製例2-1~調製例2-5のパスタ料理(ペペロンチーノ)を調理した。なお、調製例2-1は試験例1の調製例1-1と同じ材料及び調理態様とした。
Figure 2022092532000004
得られたパスタ料理について、試験例1と同様にして、第1の油脂組成物として菜種油を、第2の油脂組成物としてオリーブ油を使用し、これらに米油も米糠脂肪酸も配合しなかったときとの比較により塩味を官能評価した。結果を表5に示す。
Figure 2022092532000005
その結果、調製例2-2~調製例2-4の結果にみられるように、ニンニクとの炒め調理に使用する油脂組成物中に3、5、10質量%の割合で米糠脂肪酸を含有せしめ、調理したペペロンチーノの全質量中に0.18質量%~0.58質量%の割合で米糠脂肪酸を含有せしめることで、添加しない調製例2-1と比べ、調理したペペロンチーノの塩味を増強する効果が得られた。また、調製例2-5の結果にみられるように、菜種油に替えて大豆油をベース油にして油脂組成物を調製して米糠脂肪酸を使用した場合も、塩味の増強効果が得られた。
<試験例3>
表6に示す各材料を使用し、以下の(a)~(e)の手順に従って、炒飯を調理した。なお、使用した米糠脂肪酸は常温で固形状であり、60℃に加熱してから所定量を菜種油に添加し、攪拌して溶解させることで、表6に示すとおりの組成の油脂組成物を調製した。
(a)表6に記載の油脂組成物を用意してフライパンに引き、IHヒーターを用いて温度強度5で油脂組成物が200℃に達するまで加熱した。
(b)10秒後に、(a)のフライパンに、溶き卵及び600Wの電子レンジで2分間温めた米飯をこの順に加えた。
(c)60秒間混ぜながら加熱した。
(d)(c)のフライパンに長ネギを加え、30秒間炒めた。
(e)(d)のフライパンに、食塩、こしょう、及び中華スープの素を加えて80秒間炒め、調製例3-1~調製例3-2の炒飯を得た。 、混ぜ合わせて調製例1-1~調製例1-7のパスタ料理を得た。
Figure 2022092532000006
得られた炒飯について、油脂組成物として菜種油を使用し、これに大豆油も米糠脂肪酸も配合しなかったときとの比較により塩味を官能評価した。評価は、2名の専門パネルにより以下の採点基準で行い、全員の官能評価値の平均値を求めた。結果を表7に示す。
+6:対照よりもかなり強い
+5:対照よりも相当強い
+4:対照よりも強い
+3:対照よりも比較的強い
+2:対照よりもやや強い
+1:対照よりもわずかに強い
0:対照と同等
-1:対照よりもやや弱い
-2:対照よりも弱い
-3:対照よりもかなり弱い
Figure 2022092532000007
その結果、調製例3-2の結果にみられるように、調理した炒飯の全質量中に0.054質量%の割合で米糠脂肪酸を含有せしめることで、添加しない調製例3-1と比べ、調理した炒飯の塩味を増強する効果が得られた。
[調製例1]
表8に記載の原材料を混合し、噴霧乾燥して、米糠脂肪酸を含有する粉末油脂を得た。
Figure 2022092532000008
得られた粉末油脂40gを食塩5gと混合し、塩味成分を含有する塩味増強用組成物を調製した。

Claims (22)

  1. 米糠脂肪酸を有効成分とすることを特徴とする食品の塩味増強剤。
  2. 食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いられる、請求項1記載の食品の塩味増強剤。
  3. 加熱調理食品に用いられる、請求項1又は2記載の食品の塩味増強剤。
  4. 米糠脂肪酸を含有することを特徴とする食品の塩味増強用組成物。
  5. 食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いられる、請求項4記載の食品の塩味増強用組成物。
  6. 加熱調理食品に用いられる、請求項4又は5記載の食品の塩味増強用組成物。
  7. 更に、食用油脂を含有する、請求項4~6のいずれか1項に記載の食品の塩味増強用組成物。
  8. 更に、塩味成分を含有する、請求項4~7のいずれか1項に記載の食品の塩味増強用組成物。
  9. 食用油脂と、前記食用油脂に含有された米糠脂肪酸とを含むことを特徴とする食用油脂組成物。
  10. 前記食用油脂100質量部に対して、前記米糠脂肪酸を0.008質量部以上20質量部以下含有する、請求項9記載の食用油脂組成物。
  11. 食品の塩味を増強するために用いられる、請求項9又は10記載の食用油脂組成物。
  12. 食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いられる、請求項9~11のいずれか1項に記載の食用油脂組成物。
  13. 加熱調理食品に用いられる、請求項9~12のいずれか1項に記載の食用油脂組成物。
  14. 米糠脂肪酸を食品に含有せしめることを特徴とする塩味が増強された食品の製造方法。
  15. 前記米糠脂肪酸は食用油脂に含有せしめてなる食用油脂組成物の形態で用いられる、請求項14記載の塩味が増強された食品の製造方法。
  16. 前記米糠脂肪酸は前記食用油脂100質量部に対して、前記米糠脂肪酸を0.008質量部以上20質量部以下含有せしめてなる食用油脂組成物の形態で用いられる、請求項15記載の塩味が増強された食品の製造方法。
  17. 前記米糠脂肪酸は前記食品の調理時に該食品の食材とともに加熱するようにして用いられる、請求項14~16のいずれか1項に記載の塩味が増強された食品の製造方法。
  18. 前記食品は加熱調理食品である、請求項14~17のいずれか1項に記載の塩味が増強された食品の製造方法。
  19. 米糠脂肪酸を用いることを特徴とする食品の塩味増強方法。
  20. 請求項1~3のいずれか1項に記載の塩味増強剤を添加する食品の製造方法。
  21. 請求項4~8のいずれか1項に記載の塩味増強剤を添加する食品の製造方法。
  22. 請求項9~13のいずれか1項に記載の食用油脂組成物を添加する食品の製造方法。
JP2020205397A 2020-12-10 2020-12-10 食品の塩味増強剤、食品の塩味増強用組成物、食品の塩味増強方法、食用油脂組成物、及び食品の製造方法 Pending JP2022092532A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020205397A JP2022092532A (ja) 2020-12-10 2020-12-10 食品の塩味増強剤、食品の塩味増強用組成物、食品の塩味増強方法、食用油脂組成物、及び食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020205397A JP2022092532A (ja) 2020-12-10 2020-12-10 食品の塩味増強剤、食品の塩味増強用組成物、食品の塩味増強方法、食用油脂組成物、及び食品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022092532A true JP2022092532A (ja) 2022-06-22

Family

ID=82067900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020205397A Pending JP2022092532A (ja) 2020-12-10 2020-12-10 食品の塩味増強剤、食品の塩味増強用組成物、食品の塩味増強方法、食用油脂組成物、及び食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022092532A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023112923A1 (ja) * 2021-12-13 2023-06-22 日清オイリオグループ株式会社 飲食品の呈味向上剤及び飲食品の呈味向上方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023112923A1 (ja) * 2021-12-13 2023-06-22 日清オイリオグループ株式会社 飲食品の呈味向上剤及び飲食品の呈味向上方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7051713B2 (ja) 不快臭抑制剤
JP4657924B2 (ja) 長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤の利用方法
CN101897418B (zh) 含有长链高不饱和脂肪酸和/或其酯的醇香味改良剂
JP6956090B2 (ja) 甘味及び/または塩味の増強剤
CA2485700A1 (en) Body taste improver comprising long-chain highly unsaturated fatty acid and/or ester thereof and vegetable fat composition containing the same
CN109600984A (zh) 乳酪风味的赋予增强用组合物、乳酪风味的赋予增强用组合物的制备方法、食品的乳酪风味的赋予增强方法及乳酪风味经赋予增强的食品的制造方法
JP6918408B2 (ja) 油脂の製造方法
JP5072236B2 (ja) 塩味増強方法と減塩方法、並びに減塩食品とその製造方法
JP4471306B2 (ja) 食品の減塩及び/又は低カロリー化用調味料。
JP6962933B2 (ja) うま味増強剤
JP2022092532A (ja) 食品の塩味増強剤、食品の塩味増強用組成物、食品の塩味増強方法、食用油脂組成物、及び食品の製造方法
JP2019041633A (ja) 焼き餃子羽用組成物
JP6361853B2 (ja) ルウ用油中水型乳化物及びそれを使用したソース類またはスープ類
KR20200066607A (ko) 식품용 유지감 증강제 및 그것을 함유하는 식품
JP7365113B2 (ja) ホワイトルウ用油脂組成物
WO2022131093A1 (ja) 塩味増強剤、塩味増強用油脂組成物、飲食品の塩味増強方法、及び塩味増強剤の製造方法
WO2023032659A1 (ja) 肉様風味付与剤、トマト風味油の肉様風味付与のための使用、食品への肉様風味の付与方法、及び肉様風味付与剤の製造方法
WO2023157858A1 (ja) コク味増強用油脂組成物
JP2024064727A (ja) 香辛料風味増強剤、その製造方法、並びに香辛料を含む飲食品の香辛料風味を増強する方法
KR100935748B1 (ko) 장쇄의 고도로 불포화된 지방산, 이의 에스테르, 또는이둘 모두를 포함하는 감칠 맛 향상제, 및 이를 포함하는식물성 유지 조성물
JP2023044007A (ja) 食肉用調味液、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法
WO2020137516A1 (ja) 加熱調理用油脂組成物
JPWO2020066710A1 (ja) 香味油の製造方法、香味油混合油の製造方法、及び食品への香ばしさ風味の付与方法
JP2018166444A (ja) 炒め調理用油脂組成物
JP2019041632A (ja) 食品の製造方法及び食品の照り付与用油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20241024