JP2019050775A - マウスコーティング感増強剤 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
[2]β−カリオフィレン加熱物が、β−カリオフィレンの油中加熱物であり、
フルフリルアルコール加熱物が、フルフリルアルコールの油中加熱物である、[1]記載の増強剤。
[3]β−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物を有効成分とし、
当該β−カリオフィレン加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA1(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB1(重量)としたとき、当該A1とB1との比が、A1:B1=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、[1]又は[2]記載の増強剤。
[4]少なくともβ−カリオフィレン加熱物を有効成分とし、
当該β−カリオフィレン加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA1(重量)とし、かつ、マウスコーティング感増強剤が添加された食品の喫食時の重量を、C1としたとき、当該A1が、C1に対して0.000008〜120ppmである、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の増強剤。
[5]少なくともフルフリルアルコール加熱物を有効成分とし、
当該フルフリルアルコール加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB1(重量)とし、かつ、マウスコーティング感増強剤が添加された食品の喫食時の重量を、C1としたとき、当該B1が、C1に対して0.000008〜120ppmである、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の増強剤。
[6]油脂含有食品用である、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の増強剤。
[7]β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を添加することを含む、マウスコーティング感増強方法。
[8]β−カリオフィレン加熱物が、β−カリオフィレンを油脂中で加熱して得られるものであり、
フルフリルアルコール加熱物が、フルフリルアルコールを油脂中で加熱して得られるものである、[7]記載の増強方法。
[9]β−カリオフィレンの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間であり、
フルフリルアルコールの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間である、[7]又は[8]記載の増強方法。
[10]β−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物を添加することを含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA2(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB2(重量)としたとき、当該A2とB2との比が、A2:B2=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、[7]〜[9]記載の増強方法。
[11]β−カリオフィレン加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA2(重量)とし、かつ、当該β−カリオフィレン加熱物を添加した食品の喫食時の重量を、C2としたとき、当該A2が、C2に対して0.000008〜120ppmである、[7]〜[10]のいずれか一つに記載の増強方法。
[12]フルフリルアルコール加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB2(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物を添加した食品の喫食時の重量を、C2としたとき、当該B2が、C2に対して0.000008〜120ppmである、[7]〜[11]のいずれか一つに記載の増強方法。
[13]油脂含有食品のマウスコーティング感増強方法である、[7]〜[12]のいずれか一つに記載の増強方法。
[14]β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を添加することを含む、食品の製造方法。
[15]β−カリオフィレン加熱物が、β−カリオフィレンを油脂中で加熱して得られるものであり、
フルフリルアルコール加熱物が、フルフリルアルコールを油脂中で加熱して得られるものである、[14]記載の製造方法。
[16]β−カリオフィレンの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間であり、
フルフリルアルコールの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間である、[14]又は[15]記載の製造方法。
[17]β−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物を添加することを含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA3(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB3(重量)としたとき、当該A3とB3との比が、A3:B3=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、[14]〜[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[18]β−カリオフィレン加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA3(重量)とし、かつ、製造する食品の喫食時の重量を、C3としたとき、当該A3が、C3に対して0.000008〜120ppmである、[14]〜[17]のいずれか一つに記載の製造方法。
[19]フルフリルアルコール加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB3(重量)とし、かつ、製造する食品の喫食時の重量を、C3としたとき、当該B3が、C3に対して0.000008〜120ppmである、[14]〜[18]のいずれか一つに記載の製造方法。
[20]食品が、マウスコーティング感が増強された食品である、[14]〜[19]のいずれか一つに記載の製造方法。
[21]食品が、油脂含有食品である、[14]〜[20]のいずれか一つに記載の製造方法。
[22]β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を含有する食品。
[23]β−カリオフィレン及び/又はフルフリルアルコールを加熱することを含む、マウスコーティング感増強剤の製造方法。
[24]β−カリオフィレン及び/又はフルフリルアルコールの加熱が、β−カリオフィレン及び/又はフルフリルアルコールを油脂中で加熱して行われる、[23]記載の製造方法。
[25]β−カリオフィレンの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間であり、
フルフリルアルコールの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間である、[23]又は[24]記載の製造方法。
[26]β−カリオフィレン及びフルフリルアルコールを加熱することを含み、
加熱するβ−カリオフィレン及びフルフリルアルコールの量を、それぞれA4(重量)及びB4(重量)としたとき、当該A4とB4との比が、A4:B4=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、[23]〜[25]のいずれか一つに記載の製造方法。
[27]マウスコーティング感増強剤が、油脂含有食品用である、[23]〜[26]のいずれか一つに記載の製造方法。
また本発明によれば、マウスコーティング感が増強された食品及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、マウスコーティング感の増強方法を提供し得る。
本発明のマウスコーティング感増強剤(本明細書中、単に「本発明の増強剤」と称する場合がある)は、β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を有効成分とすることを、主たる特徴とする。
本発明において用いられる「β−カリオフィレン加熱物」とは、β−カリオフィレン(CAS登録番号:87−44−5)を加熱して得られる物質をいう。
β−カリオフィレンの加熱に用いられ得る油脂としては、例えば、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、糠油、べに花油、ヤシ油、パーム油、ひまわり油、荏油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油等の植物油脂;豚脂(ラード)、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油等の動物油脂等が挙げられ、これらの油脂は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる「フルフリルアルコール加熱物」とは、フルフリルアルコール(CAS登録番号:98−00−0)を加熱して得られる物質をいう。
本明細書中、β−カリオフィレン加熱物の含有量を「加熱前のβ−カリオフィレン相当量で」示すとは、β−カリオフィレン加熱物の含有量を、当該β−カリオフィレン加熱物を得るために加熱されるβ−カリオフィレンの量で示すことを意味し、例えば、マウスコーティング感増強剤におけるβ−カリオフィレン加熱物の含有量が、「加熱前のβ−カリオフィレン相当量で」Xgである場合、当該マウスコーティング感増強剤は、Xgのβ−カリオフィレンを加熱した場合に得られる量のβ−カリオフィレン加熱物を含有する。尚、当該説明は、フルフリルアルコール加熱物の含有量を「加熱前のフルフリルアルコール相当量で」示す場合にも準用される。
本発明の増強剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース及びグルコース等の各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
本発明において「マウスコーティング感」とは、油脂あるいは油脂を含む溶液又は食品を口腔内に含んだ際に顕著に感じられる、口腔内が薄い膜で覆われる感覚、口腔内が油脂又は油脂様の膜で覆われる感覚、並びに、口腔内で感じるなめらかな感覚をいう。マウスコーティング感の「増強」とは、上記の感覚の少なくとも一つが増強されることをいう。マウスコーティング感の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
また本発明において「食品」とは、経口的に摂取し得るものを広く包含する概念であり、例えば、飲料、調味料、食品添加物等も包含する。
本明細書中、食品の「喫食時の」重量とは、食品を喫食に適した状態としたときの当該食品の重量を意味し、例えば、食品が、喫食に適した状態となるために水等で希釈することを必要とする濃縮物等である場合、当該食品の喫食時の重量は、希釈後の重量をいう。
本発明は、β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を添加することを含む、マウスコーティング感増強方法(本明細書中、単に「本発明の増強方法」と称する場合がある)も提供する。
本明細書中、β−カリオフィレン加熱物の添加量を「加熱前のβ−カリオフィレン相当量で」示すとは、β−カリオフィレン加熱物の添加量を、当該β−カリオフィレン加熱物を得るために加熱されるβ−カリオフィレンの量で示すことを意味し、例えば、β−カリオフィレン加熱物の添加量が、「加熱前のβ−カリオフィレン相当量で」Xgである場合、Xgのβ−カリオフィレンを加熱した場合に得られる量のβ−カリオフィレン加熱物が添加される。尚、当該説明は、フルフリルアルコール加熱物の添加量を「加熱前のフルフリルアルコール相当量で」示す場合にも準用される。
本発明は、β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を添加することを含む、食品の製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供する。
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル>
所定量のβ−カリオフィレン及び/又はフルフリルアルコール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を1重量%添加する代わりに、当該加熱後の菜種油を1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプルとした。喫食時の評価サンプルにおけるβ−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物の各濃度(含有量)は、それぞれ加熱前のβ−カリオフィレン相当量及び加熱前のフルフリルアルコール相当量で、喫食時の評価サンプルの重量に対して0.00001〜100ppmの範囲となるよう調整した。尚、当該濃度の調整は、加熱前の菜種油に溶解させるβ−カリオフィレン及びフルフリルアルコールの量を適宜調節することにより行った。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、2名の専門パネルが、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール及び評価サンプルの各マヨネーズを喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0〜5.0点の範囲で、評価サンプルを評点付けすることにより行った。
結果を下表1に示す。
尚、各加熱物を高濃度(例えば、加熱前の化合物相当量で、10〜100ppm)で含有する評価サンプルの評点に、やや低下する傾向が見られたが、これは濃度が高くなると異風味が生じる場合があり、そのような異風味により、マウスコーティング感が感知しにくくなったことによるものと推察される。
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、試験例1と同様のものを使用した。
<評価サンプル>
所定量のβ−カリオフィレン及びフルフリルアルコール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、オイルバス(ヤマト科学株式会社製)を用いて下表2に示す条件(温度、時間)で加熱した。ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を1重量%添加する代わりに、当該加熱後の菜種油を1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプルとした。喫食時の評価サンプルにおけるβ−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物の各濃度(含有量)は、それぞれ加熱前のβ−カリオフィレン相当量及び加熱前のフルフリルアルコール相当量で、喫食時の評価サンプルの重量に対して0.1ppm及び1.0ppmとなるよう調整した。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表2に示す。
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、モデルラーメンスープ(「スーパーカップ醤油」粉末スープ(エースコック株式会社製)2.17g、鶏油(丸善食品工業株式会社製)1.60g、濃口醤油(キッコーマン株式会社製)1.00g、コウジ・ベース(味の素株式会社製)0.40g、マローポークオイル(丸善食品工業株式会社製)0.20gを熱湯で100gに調製、油脂含量:1.8%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したもの、及び市販のファットスプレッド(株式会社明治製、商品名「セブンプレミアムかろやかソフト」、油脂含量:70%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのラーメンスープに比べて油脂含量が少ないモデルラーメンスープ(「スーパーカップ醤油」粉末スープ(エースコック株式会社製)2.17g、鶏油(丸善食品工業株式会社製)0.80g、濃口醤油(キッコーマン株式会社製)1.00g、コウジ・ベース(味の素株式会社製)0.40g、マローポークオイル(丸善食品工業株式会社製)0.20gを熱湯で100gに調製、油脂含量:1.0%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したもの、及びポジティブコントロールのファットスプレッドに比べて油脂含量が少ない市販のファットスプレッド(株式会社明治製、商品名「明治コーンソフト」、油脂含量:64%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
マヨネーズのポジティブコントロール及びネガティブコントロールには、試験例1と同様のものを使用した。
<評価サンプル>
所定量のβ−カリオフィレン及びフルフリルアルコール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。上記ネガティブコントロールの調製に使用した各食品(市販のマヨネーズ、モデルラーメンスープ、市販のファットスプレッド)に対して、加熱していない菜種油を1重量%添加する代わりに、当該加熱後の菜種油を1重量%添加し、得られた各食品を評価サンプルとした。喫食時の評価サンプルにおけるβ−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物の各濃度(含有量)は、それぞれ加熱前のβ−カリオフィレン相当量及び加熱前のフルフリルアルコール相当量で、喫食時の評価サンプルの重量に対して0.1ppm及び1.0ppmとなるよう調整した。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、3名の専門パネルが、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール及び評価サンプルの各食品(マヨネーズ、ラーメンスープ及びファットスプレッド)を喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0〜5.0点の範囲で、評価サンプルを評点付けすることにより行った。
結果を下表3に示す。
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、試験例1と同様のものを使用した。
<評価サンプル>
(a)β−カリオフィレン(シグマアルドリッチ社製)を単独で菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
(b)フルフリルアルコール(シグマアルドリッチ社製)を単独で菜種油に溶解させた後、当該菜種油(味の素株式会社製)を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
(c)β−カリオフィレン及びフルフリルアルコール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を1重量%添加する代わりに、上記(a)〜(c)において調製した加熱後の各菜種油、及び、上記(a)において調製した加熱後の菜種油と上記(b)において調製した加熱後の菜種油との混合物を、それぞれ1重量%添加し、得られた各マヨネーズを評価サンプルとした。
喫食時の評価サンプルにおけるβ−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物の各濃度(含有量)は、下表4に示す通り、それぞれ加熱前のβ−カリオフィレン相当量及び加熱前のフルフリルアルコール相当量で、喫食時の評価サンプルの重量に対して0.1ppm及び1.0ppmとなるよう調整した。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表4に示す。
また、β−カリオフィレン及びフルフリルアルコールを併せて加熱して得られた加熱物を添加して調製した評価サンプル(上記(c)において調製した加熱後の菜種油を添加した評価サンプル)、並びに、β−カリオフィレン及びフルフリルアルコールを個別に加熱して得られた各加熱物を添加して調製した評価サンプル(上記(a)において調製した加熱後の菜種油と上記(b)において調製した加熱後の菜種油との混合物を添加した評価サンプル)のいずれにおいても、マウスコーティング感が増強した。
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、試験例1と同様のものを使用した。
<評価サンプル>
(I)ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を1重量%添加する代わりに、菜種油(味の素株式会社製)、大豆油(味の素株式会社製)、オリーブ油(味の素株式会社製)、ごま油(竹本油脂株式会社製)、米油(味の素株式会社製)、べに花油(味の素株式会社製)、グレープシード油(味の素株式会社製)、アマニ油(株式会社朝日製)、えごま油(株式会社朝日製)及び魚油(タマ生化学株式会社製)を、それぞれ加熱することなくそのまま1重量%添加し、得られたマヨネーズを、それぞれ評価サンプルとした。
(II)菜種油(味の素株式会社製)、大豆油(味の素株式会社製)、オリーブ油(味の素株式会社製)、ごま油(竹本油脂株式会社製)、米油(味の素株式会社製)、べに花油(味の素株式会社製)、グレープシード油(味の素株式会社製)、アマニ油(株式会社朝日製)、えごま油(株式会社朝日製)及び魚油(タマ生化学株式会社製)を、そのままウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を1重量%添加する代わりに、加熱後の各油脂を1重量%添加し、得られたマヨネーズを、それぞれ評価サンプルとした。
(III)所定量のβ−カリオフィレン及びフルフリルアルコール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を、菜種油(味の素株式会社製)、大豆油(味の素株式会社製)、オリーブ油(味の素株式会社製)、ごま油(竹本油脂株式会社製)、米油(味の素株式会社製)、べに花油(味の素株式会社製)、グレープシード油(味の素株式会社製)、アマニ油(株式会社朝日製)、えごま油(株式会社朝日製)及び魚油(タマ生化学株式会社製)に、それぞれ溶解させた後、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を1重量%添加する代わりに、加熱後の各油脂を1重量%添加し、得られたマヨネーズを、それぞれ評価サンプルとした。喫食時の評価サンプルにおけるβ−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物の各濃度(含有量)は、それぞれ加熱前のβ−カリオフィレン相当量及び加熱前のフルフリルアルコール相当量で、喫食時の評価サンプルの重量に対して0.1ppm及び1.0ppmとなるよう調整した。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表5に示す。尚、表中の「化合物」は、β−カリオフィレン及びフルフリルアルコールを指す。
また本発明によれば、マウスコーティング感が増強された食品及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、マウスコーティング感の増強方法を提供し得る。
Claims (27)
- β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を有効成分とする、マウスコーティング感増強剤。
- β−カリオフィレン加熱物が、β−カリオフィレンの油中加熱物であり、
フルフリルアルコール加熱物が、フルフリルアルコールの油中加熱物である、請求項1記載の増強剤。 - β−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物を有効成分とし、
当該β−カリオフィレン加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA1(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB1(重量)としたとき、当該A1とB1との比が、A1:B1=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、請求項1又は2記載の増強剤。 - 少なくともβ−カリオフィレン加熱物を有効成分とし、
当該β−カリオフィレン加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA1(重量)とし、かつ、マウスコーティング感増強剤が添加された食品の喫食時の重量を、C1としたとき、当該A1が、C1に対して0.000008〜120ppmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の増強剤。 - 少なくともフルフリルアルコール加熱物を有効成分とし、
当該フルフリルアルコール加熱物の、マウスコーティング感増強剤における含有量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB1(重量)とし、かつ、マウスコーティング感増強剤が添加された食品の喫食時の重量を、C1としたとき、当該B1が、C1に対して0.000008〜120ppmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の増強剤。 - 油脂含有食品用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の増強剤。
- β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を添加することを含む、マウスコーティング感増強方法。
- β−カリオフィレン加熱物が、β−カリオフィレンを油脂中で加熱して得られるものであり、
フルフリルアルコール加熱物が、フルフリルアルコールを油脂中で加熱して得られるものである、請求項7記載の増強方法。 - β−カリオフィレンの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間であり、
フルフリルアルコールの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間である、請求項7又は8記載の増強方法。 - β−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物を添加することを含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA2(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB2(重量)としたとき、当該A2とB2との比が、A2:B2=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、請求項7〜9記載の増強方法。 - β−カリオフィレン加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA2(重量)とし、かつ、当該β−カリオフィレン加熱物を添加した食品の喫食時の重量を、C2としたとき、当該A2が、C2に対して0.000008〜120ppmである、請求項7〜10のいずれか一項に記載の増強方法。 - フルフリルアルコール加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB2(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物を添加した食品の喫食時の重量を、C2としたとき、当該B2が、C2に対して0.000008〜120ppmである、請求項7〜11のいずれか一項に記載の増強方法。 - 油脂含有食品のマウスコーティング感増強方法である、請求項7〜12のいずれか一項に記載の増強方法。
- β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を添加することを含む、食品の製造方法。
- β−カリオフィレン加熱物が、β−カリオフィレンを油脂中で加熱して得られるものであり、
フルフリルアルコール加熱物が、フルフリルアルコールを油脂中で加熱して得られるものである、請求項14記載の製造方法。 - β−カリオフィレンの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間であり、
フルフリルアルコールの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間である、請求項14又は15記載の製造方法。 - β−カリオフィレン加熱物及びフルフリルアルコール加熱物を添加することを含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA3(重量)とし、かつ、当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB3(重量)としたとき、当該A3とB3との比が、A3:B3=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の製造方法。 - β−カリオフィレン加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該β−カリオフィレン加熱物の添加量を、加熱前のβ−カリオフィレン相当量でA3(重量)とし、かつ、製造する食品の喫食時の重量を、C3としたとき、当該A3が、C3に対して0.000008〜120ppmである、請求項14〜17のいずれか一項に記載の製造方法。 - フルフリルアルコール加熱物を添加することを少なくとも含み、
当該フルフリルアルコール加熱物の添加量を、加熱前のフルフリルアルコール相当量でB3(重量)とし、かつ、製造する食品の喫食時の重量を、C3としたとき、当該B3が、C3に対して0.000008〜120ppmである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の製造方法。 - 食品が、マウスコーティング感が増強された食品である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の製造方法。
- 食品が、油脂含有食品である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の製造方法。
- β−カリオフィレン加熱物及び/又はフルフリルアルコール加熱物を含有する食品。
- β−カリオフィレン及び/又はフルフリルアルコールを加熱することを含む、マウスコーティング感増強剤の製造方法。
- β−カリオフィレン及び/又はフルフリルアルコールの加熱が、β−カリオフィレン及び/又はフルフリルアルコールを油脂中で加熱して行われる、請求項23記載の製造方法。
- β−カリオフィレンの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間であり、
フルフリルアルコールの加熱温度が、40〜200℃であり、その加熱時間が、0.1〜500分間である、請求項23又は24記載の製造方法。 - β−カリオフィレン及びフルフリルアルコールを加熱することを含み、
加熱するβ−カリオフィレン及びフルフリルアルコールの量を、それぞれA4(重量)及びB4(重量)としたとき、当該A4とB4との比が、A4:B4=1:0.00000008〜12000000の範囲内である、請求項23〜25のいずれか一項に記載の製造方法。 - マウスコーティング感増強剤が、油脂含有食品用である、請求項23〜26のいずれか一項に記載の製造方法。
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