JP7388469B2 - 味質向上剤 - Google Patents

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本発明は、味質向上剤に関する。また、本発明は、経口摂取物の製造方法に関する。さらに本発明は、経口摂取物の味質向上方法に関する。
飲食品や調味料等に対する消費者の嗜好は、昨今ますます高級化する傾向にあり、これらの味質を簡便に向上できる方法があれば、その商品価値を増大させることが期待でき、また例えば、(1)常圧エキスの使用量を抑えて、製造コストを削減できる、(2)油脂の使用量が減ることによって健康を保持又は増進できる、(3)酢カドが抑制された美味しい飲食品、調味料等を簡易に提供できる等の利点があると考えられる。
常圧エキス感を付与する方法としては、従来、エキスの抽出工程に工夫を行う手法(特許文献1、特許文献2)が報告されているが、完全に常圧エキスを再現しきれていない等の問題点があった。
また油脂感を増強する方法としては、従来、ハイドロコロイド類、低分子化合物類、ポリフェノール類又はグリコシド類を活用する方法(非特許文献1~5)等が報告されているが、いずれの方法も油脂を増量すること等により増強される油脂感とは質が異なる等の問題点があった。
また酢カドを抑制する方法としては、従来、ある特定の糖組成を持つ還元水飴の添加による方法(特許文献3)が報告されているが、味や風味のバランスに変化をもたらす(例えば、甘味が付与され、うま味や風味が増強される等)等の問題点があった。
一方、β-カリオフィレンが、常圧エキス感を付与し得ること、油脂感を増強し得ること、酢カドを抑制し得ることは、これまで報告されていない。
特開2008-193967号公報 特開2014-150796号公報 特許第3587804号明細書
Arocas et al., "Sensory properties determined by starch type in white sauces: effects of freeze/thaw and hydrocolloid addition." J Food Sci 2010, 75:S132-S140. Flett et al., "Perceived creaminess and viscosity of aggregated particles of casein micelles and κ-carrageenan." J Food Sci 2010, 75:S255-S261. Dawid et al., "Identification of sensory-active phytochemicals in asparagus (Asparagus officinalisL.)." J Agric Food Chem 2012, 60:11877-11888. Schwarz et al., "Identification of novel orosensory active molecules in cured vanilla beans (Vanilla planifolia)." J Agric and Food Chem 2009, 57:3729-3737. Scharbert et al., "Identification of the astringent taste compounds in black tea infusions by combining instrumental analysis and human bioresponse." J Agric and Food Chem 2004, 52:3498-3508.
本発明は、飲食品や調味料等の経口摂取物の味質を効果的に向上し得る、味質向上剤の提供を目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく種々検討した結果、β-カリオフィレンによって経口摂取物の味質を向上し得ること(例えば、常圧エキス感を付与し得ること、油脂感を増強し得ること、酢カドを抑制し得ること等)を見出し、さらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1](A)β-カリオフィレンを有効成分とする、味質向上剤。
[2](B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を更に含む、[1]記載の剤。
[3]畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有する経口摂取物用である、[1]又は[2]記載の剤。
[4]味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つである、[1]~[3]のいずれか一つに記載の剤。
[5](i)畜肉エキスを含有する経口摂取物用であり、かつ、味質向上が、常圧エキス感付与であるか、(ii)油脂を含有する経口摂取物用であり、かつ、味質向上が、油脂感増強であるか、あるいは、(iii)酸味成分を含有する経口摂取物用であり、かつ、味質向上が、酢カド抑制である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の剤。
[6](A)の含有量が、0.0000001~99.9重量%である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の剤。
[7]経口摂取物が、飲食品又は調味料である、[3]~[6]のいずれか一つに記載の剤。
[8](A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の製造方法。
[9](B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む、[8]記載の製造方法。
[10]経口摂取物が、畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有する、[8]又は[9]記載の製造方法。
[11]経口摂取物が、味質向上がなされた経口摂取物である、[8]~[10]のいずれか一つに記載の製造方法。
[12]味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つである、[11]記載の製造方法。
[13]経口摂取物が、(i)畜肉エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物であるか、(ii)油脂を含有し、かつ、油脂感が増強された経口摂取物であるか、あるいは、(iii)酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物である、[8]~[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
[14](A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、[8]~[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]経口摂取物が、飲食品又は調味料である、[8]~[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[16](A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の味質向上方法。
[17](B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む、[16]記載の方法。
[18]経口摂取物が、畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有する、[16]又は[17]記載の方法。
[19]味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つである、[16]~[18]のいずれか一つに記載の方法。
[20](i)経口摂取物が、畜肉エキスを含有し、かつ、味質向上が、常圧エキス感付与であるか、(ii)経口摂取物が、油脂を含有し、かつ、味質向上が、油脂感増強であるか、あるいは、(iii)経口摂取物が、酸味成分を含有し、かつ、味質向上が、酢カド抑制である、[16]~[19]のいずれか一つに記載の方法。
[21](A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、[16]~[20]のいずれか一つに記載の方法。
[22]経口摂取物が、飲食品又は調味料である、[16]~[21]のいずれか一つに記載の方法。
本発明によれば、経口摂取物の味質を向上し得る。具体的には、一態様として、本発明によれば、経口摂取物に常圧エキス感を付与し得る。別の一態様として、本発明によれば、経口摂取物の油脂感を増強し得る。更に別の一態様として、本発明によれば、経口摂取物の酢カドを抑制し得る。
本発明によれば、味質向上がなされた経口摂取物を提供し得る。具体的には、一態様として、本発明によれば、常圧エキス感が付与された経口摂取物を提供し得る。別の一態様として、本発明によれば、油脂感が増強された経口摂取物を提供し得る。更に別の一態様として、本発明によれば、酢カドが抑制された経口摂取物を提供し得る。
(本発明の剤)
本発明の味質向上剤(本明細書中、単に「本発明の剤」と称する場合がある)は、(A)β-カリオフィレン(本明細書中、単に「(A)」と称する場合がある)を有効成分とすることを、主たる特徴とする。
本発明において用いられるβ-カリオフィレンは、二環式セスキテルペンの一種であり、そのCAS登録番号は87-44-5である。
本発明において用いられるβ-カリオフィレンは、経口摂取し得るものであれば、例えば合成品又は抽出品等であってよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。あるいは、β-カリオフィレンそのものを使用せずともよく、β-カリオフィレンを多量に含有する素材(例、リアクションフレーバー等)を代わりに使用してもよい。
本発明の剤における(A)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは0.0000001重量%以上であり、より好ましくは0.00001重量%以上であり、特に好ましくは0.001重量%以上である。また当該含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
本発明の剤は、(A)に加えて、(B)酢酸ベンジル(本明細書中、単に「(B)」と称する場合がある)、(C)p-トルアルデヒド(本明細書中、単に「(C)」と称する場合がある)、(D)フルフリルアルコール(本明細書中、単に「(D)」と称する場合がある)、(E)2,6-ジメチルピラジン(本明細書中、単に「(E)」と称する場合がある)及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナール(本明細書中、単に「(F)」と称する場合がある)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を更に含むことが好ましい。本発明の剤は、(A)に加えて、これらの化合物を更に含むことにより、(A)による味質向上効果が増強され得る。
本発明の剤は、(A)に加えて、(B)~(F)の少なくとも二つの化合物を含むことがより好ましく、(B)~(F)の少なくとも三つの化合物を含むことが更に好ましく、(B)~(F)の少なくとも四つの化合物を含むことが特に好ましく、(B)~(F)の全ての化合物を含むことが最も好ましい。
本発明において用いられる酢酸ベンジルは、ベンジルアルコールと酢酸とが縮合したエステルであり、そのCAS登録番号は140-11-4である。
本発明において用いられるp-トルアルデヒドは、芳香族アルデヒドの一種であり、そのCAS登録番号は104-87-0である。
本発明において用いられるフルフリルアルコールは、フラン類の一種であり、そのCAS登録番号は98-00-0である。
本発明において用いられる2,6-ジメチルピラジンは、ピラジン類の一種であり、そのCAS登録番号は108-50-9である。
本発明において用いられるtrans,trans-2,4-デカジエナールは、脂肪族高級アルデヒド類の一種であり、そのCAS登録番号は25152-84-5である。
本発明において用いられる酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールは、いずれも経口摂取し得るものであれば、例えば合成品又は抽出品等であってよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。あるいは、各化合物そのものを使用せずともよく、各化合物のいずれか一種又は二種以上を多量に含有する素材(例、リアクションフレーバー等)を代わりに使用してもよい。
本発明の剤が(B)を含有する場合、本発明の剤における(B)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは0.00001重量%以上であり、より好ましくは0.001重量%以上であり、特に好ましくは0.1重量%以上である。
また本発明の剤が(B)を含有する場合、本発明の剤における(B)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(B)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(B)の含有量の重量比((A):(B))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
本発明の剤が(C)を含有する場合、本発明の剤における(C)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは0.00001重量%以上であり、より好ましくは0.001重量%以上であり、特に好ましくは0.1重量%以上である。
また本発明の剤が(C)を含有する場合、本発明の剤における(C)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(C)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(C)の含有量の重量比((A):(C))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.03~10であり、特に好ましくは1:0.05~5である。
本発明の剤が(D)を含有する場合、本発明の剤における(D)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは0.00001重量%以上であり、より好ましくは0.001重量%以上であり、特に好ましくは0.1重量%以上である。
また本発明の剤が(D)を含有する場合、本発明の剤における(D)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(D)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(D)の含有量の重量比((A):(D))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
本発明の剤が(E)を含有する場合、本発明の剤における(E)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは0.00001重量%以上であり、より好ましくは0.001重量%以上であり、特に好ましくは0.1重量%以上である。
また本発明の剤が(E)を含有する場合、本発明の剤における(E)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(E)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(E)の含有量の重量比((A):(E))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
本発明の剤が(F)を含有する場合、本発明の剤における(F)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは0.00001重量%以上であり、より好ましくは0.001重量%以上であり、特に好ましくは0.1重量%以上である。
また本発明の剤が(F)を含有する場合、本発明の剤における(F)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(F)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(F)の含有量の重量比((A):(F))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
本発明の剤の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
本発明の剤は、(A)のみ、あるいは、(A)及び(B)~(F)の少なくとも一つのみからなるものであってよいが、(A)~(F)に加え、本発明の剤の形態等に応じた慣用の基剤をさらに含有するものであってもよい。
本発明の剤の形態が液体状の場合の基剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
本発明の剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース及びグルコース等の各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
本発明の剤は、本発明の目的を損なわない限り、(A)~(F)に加えて、例えば、賦形剤、pH調整剤、酸化防止剤、増粘安定剤、甘味料(例、砂糖類等)、酸味料、香辛料、着色料等を更に含有してよい。
本発明の剤が、(A)に加えて、(B)~(F)の少なくとも一つの化合物を含む場合、(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物とは、単独で、又は任意の組み合わせで二種以上の剤に含有されてよく、あるいは、全てが一つの剤に含有されてもよいが、(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物とが一つの剤に含有されている態様が、簡便に摂取できて好ましい。尚、(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物とが、二種以上の剤に含有されている場合、(A)~(F)の含有量、重量比等の計算は、各剤に含有されている量を合計して行うものとする。
本発明の剤の製造は自体公知の手法により行い得る。本発明の剤は、例えば、濃縮処理、乾燥処理、脱色処理等を、単独で又は組み合わせて施されてもよい。
本発明の剤は、好ましくは経口摂取物用であり、すなわち本発明の剤は、経口摂取物の味質向上のために好ましく用いられる。本発明において「経口摂取物」とは、経口で摂取し得るものを広く包含する概念であり、飲食品(食品と飲料の総称)の他、調味料、食品添加物、経口医薬(医薬部外品を含む)、サプリメント等も包含される。
本発明の剤が用いられる経口摂取物は、経口摂取に適した態様で提供(販売、流通)されるものであってよく、又は経口摂取に適した態様になるための所定の処理や調理を必要とする態様で提供されるものであってもよい。例えば、本発明の剤が用いられる経口摂取物は、経口摂取物に適した態様となるために水等で希釈することを必要とする濃縮物等として提供されてよく、その場合、当該経口摂取物における各種成分の含有量、濃度及び添加量等は、希釈倍率等に応じて適宜調整してよい。
本発明の剤が用いられる経口摂取物は、畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有することが好ましい。
本発明において用いられる「畜肉エキス」とは、家畜・家禽類(例、鶏、豚、牛等)の肉、骨等から、抽出媒体(例、水、アルコール等)に抽出して得られる抽出物又はその濃縮物をいう。畜肉エキスは、抽出方法により「加圧エキス」と「常圧エキス」に分類され、圧力をかけながら抽出したものを「加圧エキス」、圧力をかけずに抽出媒体を加温して抽出したものを「常圧エキス」という。一般に加圧エキスは、常圧エキスに比べ、抽出効率が高く安価であるが、味質が低い(ゼラチン感、ふくらみが弱い)傾向にあり、一方、常圧エキスは、加圧エキスに比べ、抽出効率が低く高価であるが、味質が高い(ゼラチン感、ふくらみが強い)傾向にある。本発明は、後述の実施例に示される通り、畜肉エキスとして加圧エキスを含有する経口摂取物に、常圧エキス感を効果的に付与し得ることから、例えば、本発明の剤が用いられる経口摂取物が畜肉エキスを含有する場合、当該畜肉エキスは、本発明の常圧エキス感付与効果がより顕著に発揮され得る点で、加圧エキスであることが好ましい。
畜肉エキスの具体例としては、チキンエキス(加圧チキンエキス、常圧チキンエキス)、ポークエキス(加圧ポークエキス、常圧ポークエキス)、ビーフエキス(加圧ビーフエキス、常圧ビーフエキス)等が挙げられ、好ましくは、チキンエキス(加圧チキンエキス、常圧チキンエキス)、ポークエキス(加圧ポークエキス、常圧ポークエキス)であり、より好ましくは加圧チキンエキス、加圧ポークエキスである。これらの畜肉エキスは、単独で用いられてよく、又は二種以上が併用されてもよい。
本発明において用いられる畜肉エキスの形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等であってよい。
本発明において用いられる「油脂」とは、グリセロールと脂肪酸とのエステル(例、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等)を主成分とする物質をいい、一般に常温で流動性を有するものを「油」、流動性を有しないものを「脂肪」と呼ぶ場合があるが、それらの両方を包含する概念である。
油脂の具体例としては、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油、こめ油、糠油、ベニバナ油、ヤシ油、パーム油、ひまわり油、荏油、エゴマ油、アマニ油、オリーブ油等の植物油脂;豚脂(ラード)、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油等の動物油脂;それらの硬化油等が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いられてよく、又は二種以上が併用されてもよい。動物油脂は、食肉に含まれる形態で用いられてよい。
本発明において用いられる「酸味成分」とは、口中で酸味を呈し得る成分をいい、具体例としては、醸造酢、蒸留酢、合成酢等の食酢;レモン果汁、ライム果汁、カボス果汁、スダチ果汁等の酸味のある果汁;クエン酸、ソルビン酸、安息香酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸等の酸味料等が挙げられ、好ましくは食酢である。これらの酸味成分は、単独で用いられてよく、又は二種以上が併用されてもよい。
本発明の剤が用いられる経口摂取物が畜肉エキスを含有する場合、畜肉エキスの含有量は、経口摂取物に対して、食品に対して好ましい風味や呈味を付与するのに適した濃度という観点から、好ましくは0.0001~100重量%であり、より好ましくは0.005~30重量%であり、特に好ましくは0.001~15重量%である。
本発明の剤が用いられる経口摂取物は、味質向上がなされることを所望されるものであれば特に制限されないが、好ましくは、飲食品又は調味料であり、より好ましくは、畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有する飲食品又は調味料である。本発明の剤が用いられる飲食品は、例えば、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、ダイエタリーサプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、医療用食品又はメディカルフード等として提供されるものであってよい。
本発明の剤が用いられる、畜肉エキスを含有する飲食品は、常圧エキス感が付与されることを所望されるものが好ましく、例えば、カレー、炒飯、焼きそば、回鍋肉、麻婆豆腐、青椒肉絲、干焼蝦仁、野菜炒め、きんぴらごぼう、煮物、焼肉、焼き鳥、ステーキ、ハンバーグ、ハム、ソーセージ、唐揚げ、フライ、スープ(例、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、ミネストローネスープ、畜肉だしスープ等)、ラーメン(例、醤油ラーメン、味噌ラーメン、豚骨ラーメン等)、スナック菓子(例、チップ、フライ、パフ等)及びこれらの加工品(例、電子レンジ調理用飲食品、インスタント食品、冷凍食品、乾燥食品等)等が挙げられる。
本発明の剤が用いられる、油脂を含有する飲食品は、油脂感が増強されることを所望されるものが好ましく、例えば、野菜炒め、肉野菜炒め、炒飯、焼きそば、回鍋肉、麻婆豆腐、青椒肉絲、干焼蝦仁、ナシゴレン、焼きビーフン、炒り卵、きんぴらごぼう、カレー、肉炒め、焼き魚、焼き鳥、ステーキ、焼肉、すき焼き、ハンバーグ、各種焼き菓子、ピザ、パン、各種揚げ物(例、から揚げ、フライ、素揚げ、てんぷら等)、スープ(例、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、ミネストローネスープ等)、ラーメン、アイスクリーム、ソフトクリーム、生クリーム、カスタードクリーム、飲料及びこれらの加工品(例、電子レンジ調理用飲食品、インスタント食品、冷凍食品、乾燥食品等)が挙げられる。
本発明の剤が用いられる、酸味成分を含有する飲食品は、酢カドが抑制されることを所望されるものが好ましく、例えば、食酢配合調理食品(例、酢の物、たで酢等)、食酢含有飲料(例、酢飲料、黒酢飲料等)、果汁及び果汁配合飲料(例、レモンジュース、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、カボスジュース、スダチジュース、グレープジュース、トマトジュース、アップルジュース等)、発酵飲食品(例、漬け物、キムチ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、発酵乳飲料等)、菓子類(例、チューインガム、ハードキャンディー、グミキャンディー、ソフトキャンディー、錠菓等)、酸味料が添加されているレトルト食品(例、スープ、カレー、中華料理等)、酸味料が添加されているインスタント食品(例、包装米飯、包装麺類等)等が挙げられる。
本発明の剤が用いられる、畜肉エキスを含有する調味料は、常圧エキス感が付与されることを所望されるものが好ましく、例えば、ドレッシング(例、和風ドレッシング、クリーミードレッシング、シーザードレッシング、フレンチドレッシング、タルタルソース、マヨネーズ等)、ソース(例、ステーキソース、焼肉のたれ、生姜焼きのたれ、ピザソース、カラメルソース、デミグラスソース、ホワイトソース、ウスターソース等)、鍋つゆ(例、寄せ鍋のつゆ、ちゃんこ鍋のつゆ、キムチ鍋のつゆ、豆乳鍋のつゆ、豚骨鍋のつゆ等)、パスタソース(例、ミートソース、ボロネーゼのソース、カルボナーラのソース、トマトクリームソース、たらこソース、ペペロンチーノのソース等)等が挙げられる。
本発明の剤が用いられる、油脂を含有する調味料は、油脂感が増強されることを所望されるものが好ましく、例えば、ドレッシング(例、和風ドレッシング、クリーミードレッシング、シーザードレッシング、フレンチドレッシング、タルタルソース、マヨネーズ等)、ソース(例、オイスターソース、ホワイトソース、デミグラスソース等)、各種畜肉風味調味料(例、鶏風味調味料、牛風味調味料、豚風味調味料等)、各種畜肉エキス類(例、鶏肉エキス、牛肉エキス、豚肉エキス、羊肉エキス等)、各種メニュー用調味料(例、中華合わせ調味料、合わせ調味料等)、鍋つゆ(例、寄せ鍋のつゆ、ちゃんこ鍋のつゆ、キムチ鍋のつゆ、豆乳鍋のつゆ、豚骨鍋のつゆ等)、パスタソース(例、ミートソース、ボロネーゼのソース、カルボナーラのソース、トマトクリームソース、たらこソース、ペペロンチーノのソース等)等が挙げられる。
本発明の剤が用いられる、酸味成分を含有する調味料は、酢カドが抑制されることを所望されるものが好ましく、例えば、食酢、ドレッシング(例、和風ドレッシング、クリーミードレッシング、シーザードレッシング、フレンチドレッシング、タルタルソース、マヨネーズ等)、ノンオイルドレッシング、ソース(例、ウスターソース、ケチャップ、チリソース等)、各種メニュー用調味料(例、中華合わせ調味料、合わせ調味料等)等が挙げられる。
本発明の剤は、経口摂取物の味質向上のために好適に用いられる。本発明において「味質向上」とは、経口摂取物の材料等として用いられる物質(例えば、飲食品の食材等)が本来的に有し得る味、香り、風味、食感等の性質を向上させることをいい、例えば、調理等の物理的操作を施されることによって物質に化学反応が起こり、不可逆的に発生する味、香り、風味、食感等を向上させることは含まない概念である。詳細には、「味質向上」とは、物質が本来的に有し得る味、香り、風味、食感等の性質のうち、経口摂取の際に所望されるもの(例、常圧エキス感、油脂感等)を付与、増強し、且つ/又は、経口摂取の際に所望されないもの(例、酢カド等)を抑制することをいう。
本発明の剤は、味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましく、したがって本発明の剤は、例えば、常圧エキス感付与剤、油脂感増強剤、酢カド抑制剤等として提供され得る。
本発明において「常圧エキス感」とは、加圧エキスと比較して常圧エキスにおいて強く感じられる、常圧エキスに独特の特性(ゼラチン感、ふくらみ)をいい、常圧エキス感の「付与」とは、当該特性(ゼラチン感、ふくらみ)を強化することをいう。より詳細には、常圧エキス感の「付与」とは、ゼラチン感を強化すること(すなわち、あたかもゼラチンを添加したかのように、粘度やゼラチン濃度が高く感じられるようになること)、ふくらみを強化すること(すなわち、味、風味の質を変化させずに、味、風味の強度を高めること)をいう。常圧エキス感(ゼラチン感、ふくらみ)の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。評価系としては、例えば、カレー等が、効果が分かりやすく好ましい。
本発明において「油脂感」とは、油脂を経口摂取する際、中から後(油脂を口腔内に含んでから1秒後から5秒後まで)にかけて感じられるマウスコーティング感(口腔内にまとわりつくような感覚)とその持続性をいう。また本発明において、油脂感の「増強」とは、あたかも油脂を増量したかのように、マウスコーティング感の持続性を高めること、口腔内により強くまとわりつくように感じられるようになることをいう。油脂感の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
本発明において「酢カド」とは、酸味成分を飲み込んだ際に感じられる強い酸味をいい、酢カドの「抑制」とは、酢カドを部分的又は完全に感知されなくすることをいう。酢カドの有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
本発明の剤は、一態様として、畜肉エキス(好ましくは、加圧エキス)を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用であり、かつ、味質向上が、常圧エキス感付与であってよく、すなわち本発明の剤は、畜肉エキスを含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の常圧エキス感付与剤であってよく、好ましくは、加圧エキスを含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の常圧エキス感付与剤であってよい。
また本発明の剤は、別の一態様として、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用であり、かつ、味質向上が、油脂感増強であってよく、すなわち本発明の剤は、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の油脂感増強剤であってよく、好ましくは、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の油脂感増強剤であってよい。
また本発明の剤は、更に別の一態様として、酸味成分(好ましくは、食酢)を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用であり、かつ、味質向上が、酢カド抑制であってよく、すなわち本発明の剤は、酸味成分を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の酢カド抑制剤であってよく、好ましくは、食酢を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の酢カド抑制剤であってよい。
本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(A)の濃度が、0.00003重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.00007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.0003重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.0007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.03重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが殊更好ましく、0.07重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましく、0.7重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが最も好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることの観点から、経口摂取物における(A)の濃度が、120重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、70重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、20重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、7重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、5重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが殊更好ましく、3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本発明の剤は、(A)に加えて、(B)~(F)の少なくとも一つの化合物を含む場合、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(A)の濃度が、0.000007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.00007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.0007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.07重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(A)の濃度が、5重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本明細書中、経口摂取物における「(A)の濃度」とは、経口摂取物に添加される(A)の重量の、該経口摂取物の重量に対する割合をいい、例えば、経口摂取物に(A)を添加する前から該経口摂取物が予め(A)と同様の成分を含有する場合、経口摂取物が予め含有する成分の重量は、経口摂取物に添加される(A)の重量に含めない。また当該「(A)の濃度」は、経口摂取される際の経口摂取物の重量に対する割合である。これらの説明は、後述の経口摂取物における(A)以外の成分の濃度(例えば、「経口摂取物における(B)の濃度」等)についても準用されるものとする。
本発明の剤は、(A)に加えて、(B)を含む場合、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(B)の濃度が、0.00003重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.0003重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.003重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.03重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.3重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(B)の濃度が、20重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、10重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、1重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本発明の剤は、(A)に加えて、(C)を含む場合、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(C)の濃度が、0.0000007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.000007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.00007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.0007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(C)の濃度が、0.5重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.03重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本発明の剤は、(A)に加えて、(D)を含む場合、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(D)の濃度が、0.00002重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.0002重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.002重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.02重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.2重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(D)の濃度が、15重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、10重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、1重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本発明の剤は、(A)に加えて、(E)を含む場合、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(E)の濃度が、0.00002重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.0002重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.002重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.02重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.2重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(E)の濃度が、15重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、10重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、1重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本発明の剤は、(A)に加えて、(F)を含む場合、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(A)の濃度が、0.000007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.00007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.0007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.07重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(A)の濃度が、5重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本発明の剤を経口摂取物に添加する方法及び条件は特に限定されず、本発明の剤の形態や経口摂取物の種類等に応じて適宜設定できる。本発明の剤を経口摂取物に添加する時期は特に限定されず、いかなる時点で添加してもよいが、例えば、経口摂取物の製造中、経口摂取物の完成後等が挙げられる。経口摂取物を製造する前の原料に本発明の剤を添加してもよい。
本発明の剤によれば、味質を向上し得、例えば、味質向上がなされた経口摂取物等を提供し得る。
一態様として、本発明の剤によれば、例えば、常圧エキス感が付与された経口摂取物(好ましくは、畜肉エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物、より好ましくは、加圧エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物)を提供し得る。
別の一態様として、本発明の剤によれば、油脂感が増強された経口摂取物(好ましくは、油脂を含有し、かつ、油脂感が増強された経口摂取物)を提供し得る。
更に別の一態様として、本発明の剤によれば、酢カドが抑制された経口摂取物(好ましくは、酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物、より好ましくは、食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物)等を提供し得る。
[本発明の製造方法]
本発明は、(A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供する。本発明の製造方法は、(A)を添加することを含むことにより、味質向上がなされた経口摂取物を製造し得る。
本発明の製造方法は、(A)を添加することに加えて、(B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含むことが好ましい。本発明の製造方法は、(A)を添加することに加えて、これらの化合物を更に添加することを含むことにより、(A)による味質向上効果が増強され得る。
本発明の製造方法は、(A)を添加することに加えて、(B)~(F)の少なくとも二つの化合物を添加することを含むことがより好ましく、(B)~(F)の少なくとも三つの化合物を添加することを含むことが更に好ましく、(B)~(F)の少なくとも四つの化合物を添加することを含むことが特に好ましく、(B)~(F)の全ての化合物を添加することを含むことが最も好ましい。
本発明の製造方法によって得られる経口摂取物は、畜肉エキス(例、加圧エキス等)、油脂及び酸味成分(例、食酢等)からなる群より選択される少なくとも一つを含有することが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる経口摂取物が含有し得る畜肉エキス、油脂及び酸味成分は、本発明の剤に関して説明したものと同様であり、その具体例や、経口摂取物における含有量等も同様である。
本発明の製造方法によって得られる経口摂取物は味質向上がなされることを所望されるものであれば特に制限されないが、好ましくは、飲食品又は調味料であり、より好ましくは、畜肉エキス(例、加圧エキス等)、油脂及び酸味成分(例、食酢等)からなる群より選択される少なくとも一つを含有する飲食品又は調味料である。本発明の製造方法によって得られる飲食品は、例えば、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、ダイエタリーサプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、医療用食品又はメディカルフード等として提供されるものであってよい。
本発明の製造方法によって得られる畜肉エキスを含有する飲食品及び調味料、油脂を含有する飲食品及び調味料、並びに酸味成分を含有する飲食品及び調味料の具体例としては、例えば、本発明の剤に関して説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明の製造方法は、味質向上がなされた経口摂取物の製造方法であることが好ましく、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つの味質向上がなされた経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であることがより好ましい。
本発明の製造方法は、一態様として、畜肉エキス(好ましくは、加圧エキス)を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、より好ましくは、畜肉エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、特に好ましくは、加圧エキスを含有し、常圧エキス感が付与された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよい。
また本発明の製造方法は、別の一態様として、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、好ましくは、油脂を含有し、かつ、油脂感が増強された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよい。
また本発明の製造方法は、更に別の一態様として、酸味成分(好ましくは、食酢)を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、より好ましくは、酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、特に好ましくは食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよい。
本発明の製造方法において(A)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.00003重量ppm以上であり、より好ましくは0.00007重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.0003重量ppm以上であり、更に好ましくは0.0007重量ppm以上であり、殊更好ましくは、0.03重量ppm以上であり、特に好ましくは0.07重量ppm以上であり、最も好ましくは0.7重量ppm以上である。また(A)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは120重量ppm以下であり、より好ましくは70重量ppm以下であり、より一層好ましくは20重量ppm以下であり、更に好ましくは7重量ppm以下であり、殊更好ましくは5重量ppm以下であり、特に好ましくは3重量ppm以下である。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、(B)~(F)の少なくとも一つの化合物を添加することを含む場合、(A)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.000007重量ppm以上であり、より好ましくは0.00007重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.0007重量ppm以上であり、更に好ましくは0.007重量ppm以上であり、特に好ましくは0.07重量ppm以上である。また(A)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは5重量ppm以下であり、より好ましくは3重量ppm以下であり、特に好ましくは0.3重量ppm以下である。
本明細書中、経口摂取物に対する「(A)の添加量」とは、経口摂取物に添加される(A)の重量の、該経口摂取物の重量に対する割合をいい、例えば、経口摂取物に(A)を添加する前から該経口摂取物が予め(A)と同様の成分を含有する場合、経口摂取物が予め含有する成分の重量は、経口摂取物に添加される(A)の重量に含めない。また当該「(A)の添加量」は、経口摂取される際の経口摂取物の重量に対する割合である。これらの説明は、後述の(A)以外の成分の添加量(例えば、経口摂取物に対する「(B)の添加量」等)についても準用されるものとする。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(B)を添加することを含む場合、(B)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.00003重量ppm以上であり、より好ましくは0.0003重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.003重量ppm以上であり、更に好ましくは0.03重量ppm以上であり、特に好ましくは0.3重量ppm以上である。また(B)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは20重量ppm以下であり、より好ましくは10重量ppm以下であり、特に好ましくは1重量ppm以下である。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(B)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(B)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(B)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(C)を添加することを含む場合、(C)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.0000007重量ppm以上であり、より好ましくは0.000007重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.00007重量ppm以上であり、更に好ましくは0.0007重量ppm以上であり、特に好ましくは0.007重量ppm以上である。また(C)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.5重量ppm以下であり、より好ましくは0.3重量ppm以下であり、特に好ましくは0.03重量ppm以下である。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(C)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(C)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(C)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(D)を添加することを含む場合、(D)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.00002重量ppm以上であり、より好ましくは0.0002重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.002重量ppm以上であり、更に好ましくは0.02重量ppm以上であり、特に好ましくは0.2重量ppm以上である。また(D)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは15重量ppm以下であり、より好ましくは10重量ppm以下であり、特に好ましくは1重量ppm以下である。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(D)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(D)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(D)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(E)を添加することを含む場合、(E)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.00002重量ppm以上であり、より好ましくは0.0002重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.002重量ppm以上であり、更に好ましくは0.02重量ppm以上であり、特に好ましくは0.2重量ppm以上である。また(E)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは15重量ppm以下であり、より好ましくは10重量ppm以下であり、特に好ましくは1重量ppm以下である。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(E)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(E)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(E)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(F)を添加することを含む場合、(F)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.000007重量ppm以上であり、より好ましくは0.00007重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.0007重量ppm以上であり、更に好ましくは0.007重量ppm以上であり、特に好ましくは0.07重量ppm以上である。また(F)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは5重量ppm以下であり、より好ましくは3重量ppm以下であり、特に好ましくは0.3重量ppm以下である。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(F)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(F)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(F)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法において、(A)~(F)を添加する方法及び条件は特に限定されず、製造する経口摂取物の種類等に応じて適宜設定できる。(A)~(F)を添加する時期は特に限定されず、経口摂取物の製造開始から完成までのいかなる時点で添加してもよい。また、経口摂取物を製造する前の原料に(A)~(F)を添加してもよい。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、(B)~(F)の少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む場合、本発明の製造方法は、(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物とを個別に添加してよいが、(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物とを、添加前に予め混合し、得られた混合物を添加してもよい。あるいは、(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物との添加は、本発明の剤を使用して行われてもよい。(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物とを個別に添加する場合、添加の順序及び間隔は特に制限されず、また(A)と(B)~(F)の少なくとも一つの化合物とは、同時に添加されてもよい。
本発明の製造方法は、上述の(A)~(F)の添加に加えて、経口摂取物の製造において慣用の処理工程、調理工程を、製造する経口摂取物の種類等に応じて適宜含んでよい。
本発明の製造方法によれば、味質向上がなされた経口摂取物を製造し得る。
一態様として、本発明の製造方法によれば、例えば、常圧エキス感が付与された経口摂取物(好ましくは、畜肉エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物、より好ましくは、加圧エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物)等を製造し得る。
別の一態様として、本発明の製造方法によれば、例えば、油脂感が増強された経口摂取物(好ましくは、油脂を含有し、油脂感が増強された経口摂取物)等を製造し得る。
更に別の一態様として、本発明の製造方法によれば、例えば、酢カドが抑制された経口摂取物(好ましくは、酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物、より好ましくは、食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物)等を製造し得る。
[本発明の方法]
本発明は、(A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の味質向上方法(本明細書中、単に「本発明の方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の方法は、特に断りのない限り、本発明の製造方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明の方法により味質向上がなされる経口摂取物は、畜肉エキス(例、加圧エキス等)、油脂及び酸味成分(例、食酢等)からなる群より選択される少なくとも一つを含有することが好ましい。
本発明の方法により味質向上がなされる経口摂取物が含有し得る畜肉エキス、油脂及び酸味成分は、本発明の剤に関して説明したものと同様のものをいい、その具体例や、経口摂取物における含有量等も同様である。
本発明の方法により味質向上がなされる経口摂取物は、味質向上がなされることを所望されるものであれば特に制限されないが、好ましくは、飲食品又は調味料であり、より好ましくは、畜肉エキス(例、加圧エキス等)、油脂及び酸味成分(例、食酢等)からなる群より選択される少なくとも一つを含有する飲食品又は調味料である。本発明の方法により味質向上がなされる飲食品は、例えば、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、ダイエタリーサプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、医療用食品又はメディカルフード等として提供されるものであってよい。
本発明の方法により味質向上がなされる畜肉エキスを含有する飲食品及び調味料、油脂を含有する飲食品及び調味料、並びに酸味成分を含有する飲食品及び調味料の具体例としては、例えば、本発明の剤に関して説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明の方法は、味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましく、したがって本発明の方法は、例えば、常圧エキス感付与方法、油脂感増強方法及び酢カド抑制方法等であってよい。
本発明の方法は、一態様として、経口摂取物が、畜肉エキス(好ましくは、加圧エキス)を含有し、かつ、味質向上が、常圧エキス感付与であってよく、すなわち本発明の方法は、畜肉エキスを含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の常圧エキス感付与方法であってよく、好ましくは、加圧エキスを含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の常圧エキス感付与方法であってよい。
また本発明の方法は、別の一態様として、味質向上が、油脂感増強であってよく、すなわち本発明の方法は、経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の油脂感増強方法であってよく、好ましくは、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の油脂感増強方法であってよい。
また本発明の方法は、更に別の一態様として、経口摂取物が、酸味成分(好ましくは、食酢)を含有し、かつ、味質向上が、酢カド抑制であってよく、すなわち本発明の方法は、酸味成分を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の酢カド抑制方法であってよく、好ましくは、食酢を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の酢カド抑制方法であってよい。
本発明の方法において、(A)~(F)を添加する方法及び条件は特に限定されず、(A)~(F)を添加する経口摂取物の種類等に応じて適宜設定できる。(A)~(F)を経口摂取物に添加する時期は特に限定されず、いかなる時点で添加してもよいが、例えば、経口摂取物の製造中及び経口摂取物の完成後等が挙げられる。経口摂取物を製造する前の原料に(A)~(F)を添加してもよい。
本発明の方法によれば、経口摂取物の味質を向上し得る。
一態様として、本発明の方法によれば、畜肉エキスを含有する経口摂取物に常圧エキス感を付与すること(好ましくは、加圧エキスを含有する経口摂取物に常圧エキス感を付与すること)ができる。
別の一態様として、本発明の方法によれば、経口摂取物の油脂感を増強すること(好ましくは、油脂を含有する経口摂取物の油脂感を増強すること)ができる。
更に別の一態様として、本発明の方法によれば、酸味成分を含有する経口摂取物の酢カドを抑制すること(好ましくは、食酢を含有する経口摂取物の酢カドを抑制すること)ができる。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、本明細書において「%」、「ppm」と記載されている場合は、特に断りのない限り「重量%」、「重量ppm」を意味する。
(試験例1:ポークエキスを用いた、常圧エキス感付与効果の評価)
<評価サンプルの調製>
β-カリオフィレン(販売元:シグマアルドリッチ社)を、表1に示す濃度で市販の加圧ポークエキス(製造元:司食品社、商品名:ポークスープBS)の10%熱水溶液(60℃)に添加し、評価サンプル(実施例1~8)を調製した。表1に示す濃度は、添加したβ-カリオフィレンの重量の、加圧チキンエキスの10%熱水溶液の重量に対する割合である。
<官能評価>
実施例1~8の評価サンプルにおける常圧エキス感付与効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、3名の専門パネルが実施例1~8の評価サンプルを喫食し、「ゼラチン感」及び「ふくらみ」については、ポジティブコントロールとして市販の常圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:ポークスープ30)の10%熱水溶液(60℃)を5点、ネガティブコントロールとして市販の加圧ポークエキス(製造元:司食品社、商品名:ポークスープBS)の10%熱水溶液(60℃)を0点とする評価基準に則り、0.5点刻みで評点付けして実施した。また「異風味」については、非常に強い場合を5点、許容限界である場合を3点、感じない場合を0点とする評価基準に則り、0.5点刻みで評点付けすることにより評価した。「ゼラチン感」及び「ふくらみ」は、1点以上で有用と判断し、「異風味」は、3点以下で有用と判断した。
ここで「異風味」とは、試料に本来備わっていない異質な風味をいい、試験例1及び2では、常圧エキス及び加圧エキスのいずれにおいても感じられない風味である。
結果を表1に示す。尚、表中の「PC」及び「NC」は、それぞれポジティブコントロール及びネガティブコントロールである。
表1に示される結果から、加圧ポークエキスの10%熱水溶液にβ-カリオフィレンを添加することによって、常圧エキスに独特の特性である常圧エキス感(ゼラチン感、ふくらみ)が付与されたことが確認された。
尚、実施例7、8の評価サンプルのゼラチン感及びふくらみの評点が、実施例6の評価サンプルに比べて若干、低値であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、ゼラチン感及びふくらみを感知しにくくなったことによるものと考えられる。
(試験例2:チキンエキスを用いた、常圧エキス感付与効果の評価)
<評価サンプルの調製>
β-カリオフィレン(販売元:シグマアルドリッチ社)を、表2に示す濃度で市販の加圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:チキンエキスBS)の10%熱水溶液(60℃)に添加し、評価サンプル(実施例9~17)を調製した。表2に示す濃度は、添加したβ-カリオフィレンの重量の、加圧チキンエキスの10%熱水溶液の重量に対する割合である。
<官能評価>
実施例9~17の評価サンプルにおける常圧エキス感付与効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、3名の専門パネルが実施例9~17の評価サンプルを喫食し、「ゼラチン感」及び「ふくらみ」については、ポジティブコントロールとして市販の常圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:チキンエキス30)の10%熱水溶液(60℃)を5点、ネガティブコントロールとして市販の加圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:チキンエキスBS)の10%熱水溶液(60℃)を0点とする評価基準に則り、0.5点刻みで評点付けして実施した。また「異風味」については、試験例1と同様に評価した。「ゼラチン感」及び「ふくらみ」は、1点以上で有用と判断し、「異風味」は、3点以下で有用と判断した。
結果を表2に示す。尚、表中の「PC」及び「NC」は、それぞれポジティブコントロール及びネガティブコントロールである。
表2に示される結果から、加圧チキンエキスの10%熱水溶液にβ-カリオフィレンを添加することによって、常圧エキスに独特の特性である常圧エキス感(ゼラチン感、ふくらみ)が付与されたことが確認された。
尚、実施例15~17の評価サンプルのゼラチン感及びふくらみの評点が、実施例14の評価サンプルに比べて若干、低値であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、ゼラチン感及びふくらみを感知しにくくなったことによるものと考えられる。
(試験例3:マヨネーズを用いた、油脂感増強効果の評価)
<添加溶液の調製>
所定量のβ-カリオフィレン(販売元:シグマアルドリッチ社)をパーム油(製造元:Lam Soon Edible Oil社)に溶解した後、パーム油で段階的に希釈し、β-カリオフィレンを0.000005重量%~10重量%の範囲で含有する溶液(以下において「(A)単独添加溶液」とも称する)を調製した。
所定量のβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナール(販売元:いずれもシグマアルドリッチ社)をパーム油(製造元:Lam Soon Edible Oil社)に溶解した後、パーム油で段階的に希釈し、これらの6化合物を合計で、0.00001重量%~1重量%の範囲で含有する溶液(以下において「(A)~(F)混合添加溶液」とも称する)を調製した。当該(A)~(F)混合添加溶液に含有される(A)~(F)の重量比を下表3に示す。
<評価サンプルの調製>
市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ、油脂(植物油脂)の含有量:73重量%)に、上記において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例18~24)を調製した。尚、実施例24の評価サンプルは、調製に使用した(A)単独添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、それぞれ下記表4の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ)に、上記において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例25~30)を調製した。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表5の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
<官能評価>
実施例18~30の評価サンプルにおける油脂感増強効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も添加せず、代わりにパーム油のみを添加した市販のマヨネーズ)と比較して、油脂感増強効果の有無や程度を確認し、下記の評価基準で実施した。
[評価基準]
±:油脂感を増強する効果がない
+:油脂感を増強する効果がわずかにある
++:油脂感を増強する効果がややある
+++:油脂感を増強する効果が適度にある
++++:油脂感を増強する効果がかなりある
+++++:油脂感を増強する効果が非常にある
また「異風味」とは、上述の通り、試料に本来備わっていない異質な風味をいい、試験例3~7では、パーム油添加品に感じられない風味である。
結果を下記表4及び表5に示す。
表4に示される結果から、マヨネーズにβ-カリオフィレンを添加することによって、油脂感が増強されたことが確認された。主に中から後(マヨネーズを口腔内に含んでから1秒後から5秒後まで)にかけて、やや粘度が上昇するように感じられ、口腔内にまとわりつくような感覚が向上した。
尚、実施例24の評価サンプルの油脂感が、実施例22、23の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表5に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にマヨネーズに油脂感が増強されたことが確認された。
(試験例4:野菜炒めを用いた、油脂感増強効果の評価)
<評価サンプルの調製>
下表6に示す食材及び上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を用いて、常法により野菜炒め(全量150g)を作製し、これを評価サンプル(実施例31~36)とした。尚、(A)単独添加溶液は、野菜炒めの作製前に、予め風味調味料に添加し、当該風味調味料と他の食材とを用いて野菜炒めの作製を行った。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、それぞれ下記表7の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また下表6に示す食材及び上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を用いて、常法により野菜炒め(全量150g)を作製し、これを評価サンプル(実施例37~41)とした。尚、(A)~(F)混合添加溶液は、野菜炒めの作製前に、予め風味調味料に添加し、当該風味調味料と他の食材とを用いて野菜炒めの作製を行った。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表8の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
<官能評価>
実施例31~41の評価サンプルにおける油脂感増強効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も用いず、代わりにパーム油を使用して作製した野菜炒め)と比較して、油脂感増強効果の有無や程度を確認し、試験例3と同様の評価基準で実施した。
結果を下記表7及び表8に示す。
表7に示される結果から、野菜炒めにβ-カリオフィレンを添加することによって、油脂感が増強されたことが確認された。主に中から後(野菜炒めを口腔内に含んでから1秒後から5秒後まで)にかけて、口腔内の感覚の持続性が向上し、それによって風味が向上したように感じられた。
尚、実施例36の評価サンプルの油脂感が、実施例34、35の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表8に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的に野菜炒めに油脂感が増強されたことが確認された。
尚、実施例40、41の評価サンプルの油脂感が、実施例39の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
(試験例5:スープを用いた、油脂感増強効果の評価)
<評価サンプルの調製>
下表9に示す食材を用いて、常法によりスープを作製した。作製したスープは加熱調理中の水分の蒸発により濃縮されていることから、当該スープにおける風味調味料の濃度が1.3重量%となるよう、調理後のスープに60℃の熱水を加えて調整した後、上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例42~47)を調製した。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、それぞれ下記表10の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また下表9に示す食材を用いて、常法によりスープを作製した。作製したスープは、加熱調理中の水分の蒸発により濃縮されていることから、当該スープにおける風味調味料の濃度が1.3重量%となるよう、調理後のスープに60℃の熱水を加えて調整した後、上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例48~52)を調製した。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表11の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
<官能評価>
実施例42~52の評価サンプルにおける油脂感増強効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も添加せず、代わりにパーム油を添加したスープ)と比較して、油脂感増強効果の有無や程度を確認し、試験例3と同様の評価基準で実施した。
結果を下記表10及び表11に示す。
表10に示される結果から、スープにβ-カリオフィレンを添加することによって、油脂感が増強されたことが確認された。主に中から後(スープを口腔内に含んでから1秒後から5秒後まで)にかけて、やや粘度が上昇するように感じられ、また口腔内の感覚の持続性が向上し、それによって風味が向上したように感じられた。
尚、実施例47の評価サンプルの油脂感が、実施例44~46の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表11に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にスープに油脂感が増強されたことが確認された。
尚、実施例51、52の評価サンプルの油脂感が、実施例50の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
(試験例6:ウスターソースを用いた、酢カド抑制効果の評価)
<評価サンプルの調製>
市販のウスターソース(販売元:ブルドックソース社、商品名:ブルドック ウスターソース)を水で2倍希釈した後、上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例53~59)を調製した。尚、実施例59の評価サンプルは、調製に使用した(A)単独添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、下記表12の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また市販のウスターソース(販売元:ブルドックソース社、商品名:ブルドック ウスターソース)を水で2倍希釈した後、上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例60~65)を調製した。尚、実施例65の評価サンプルは、調製に使用した(A)~(F)混合添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれ濃度は、下記表13の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
<官能評価>
実施例53~65の評価サンプルにおける酢カド抑制効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も添加せず、代わりにパーム油のみを添加した、水で2倍希釈した市販のウスターソース)と比較して、酢カド抑制効果の有無や程度を確認し、下記の評価基準で実施した。
[評価基準]
±:酢カドを抑制する効果がない
+:酢カドを抑制する効果がわずかにある
++:酢カドを抑制する効果がややある
+++:酢カドを抑制する効果が適度にある
++++:酢カドを抑制する効果がかなりある
+++++:酢カドを抑制する効果が非常にある
結果を下記表12及び表13に示す。
表12に示される結果から、ウスターソースにβ-カリオフィレンを添加することによって、酢カドが抑制されたことが確認された。
尚、実施例59の評価サンプルの酢カドが、実施例57、58の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになり、そのような異風味により、酢カドが抑制されているか認識しにくくなったことによるものと考えられる。
また表13に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にウスターソースの酢カドが抑制されたことが確認された。
尚、実施例65の評価サンプルの油脂感が、実施例61~64の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
(試験例7:マヨネーズを用いた、酢カド抑制効果の評価)
<評価サンプルの調製>
市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ)に、上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例66~72)を調製した。尚、実施例72の評価サンプルは、調製に使用した(A)単独添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、下記表14の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ)に、上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例73~78)を調製した。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表15の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
<官能評価>
実施例66~78の評価サンプルにおける酢カド抑制効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液を添加せず、代わりにパーム油のみを添加した市販のウスターソース)と比較して、酢カド抑制効果の有無や程度を確認し、試験例6と同様の評価基準で実施した。
結果を下記表14及び表15に示す。
表14に示される結果から、マヨネーズにβ-カリオフィレンを添加することによって、酢カドが抑制されたことが確認された。
尚、実施例72の評価サンプルの酢カドが、実施例67~71の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになり、そのような異風味により、酢カドが抑制されているか感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表15に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にマヨネーズの酢カドが抑制されたことが確認された。
尚、実施例78の評価サンプルの油脂感が、実施例76、77の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
本発明によれば、経口摂取物の味質を向上し得る。具体的には、一態様として、本発明によれば、経口摂取物に常圧エキス感を付与し得る。別の一態様として、本発明によれば、経口摂取物の油脂感を増強し得る。更に別の一態様として、本発明によれば、経口摂取物の酢カドを抑制し得る。
本発明によれば、味質向上がなされた経口摂取物を提供し得る。具体的には、一態様として、本発明によれば、常圧エキス感が付与された経口摂取物を提供し得る。別の一態様として、本発明によれば、油脂感が増強された経口摂取物を提供し得る。更に別の一態様として、本発明によれば、酢カドが抑制された経口摂取物を提供し得る。

Claims (12)

  1. (A)β-カリオフィレンを有効成分とする、食酢を含有する経口摂取物用の酢カド抑制剤(ただし、香辛料抽出物を更に含むものを除く)
  2. (A)β-カリオフィレンを有効成分とする、食酢を含有する経口摂取物用の酢カド抑制剤であって、
    (B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を更に含む剤
  3. (A)の含有量が、0.0000001~99.9重量%である、請求項1又は2記載の剤。
  4. 経口摂取物が、飲食品又は調味料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤。
  5. (A)β-カリオフィレンを添加することを含む、食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物の製造方法(ただし、香辛料抽出物を添加することを更に含むものを除く)
  6. (A)β-カリオフィレンを添加することを含む、食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物の製造方法であって、
    (B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む製造方法。
  7. (A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、請求項5又は6記載の製造方法。
  8. 経口摂取物が、飲食品又は調味料である、請求項5~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. (A)β-カリオフィレンを添加することを含む、食酢を含有する経口摂取物の酢カド抑制方法(ただし、香辛料抽出物を添加することを更に含むものを除く)
  10. (A)β-カリオフィレンを添加することを含む、食酢を含有する経口摂取物の酢カド抑制方法であって、
    (B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む方法。
  11. (A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、請求項9又は10記載の方法。
  12. 経口摂取物が、飲食品又は調味料である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
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