JP2023050284A - 苦味感付与組成物 - Google Patents

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歩美 田村
Ayumi Tamura
忠司 吉本
Tadashi Yoshimoto
麻紀子 伊藤
Makiko Ito
大司 宮本
Daiji Miyamoto
隆治 澤村
Takaharu Sawamura
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Abstract

【課題】新規な苦味感付与組成物、香味付与組成物の苦味感効果付与方法、飲食品の苦味感付与方法を提供する。【解決手段】2,6-ドデカジエナールを有効成分として含有する苦味感付与組成物。当該苦味感付与組成物において、酸臭味マスキング効果をさらに奏する苦味感付与組成物。当該苦味感付与組成物を香味付与組成物に添加する工程を含む、香味付与組成物の苦味感効果付与方法。当該苦味感付与組成物を飲食品に添加する工程を含む、飲食品の苦味感付与方法。【選択図】なし

Description

本発明は、飲食品の苦味感付与組成物に関する。
近年、飲食品など様々な物品(以下「消費財」という場合がある。)に対する消費者の要求は、その消費財の香気および/または風味にも及んでいる。
風味には、主として甘味、塩味、酸味、旨味、辛味、苦味等がある。特に、苦味は過剰に存在していると飲食品に不快味をもたらすが、飲食品に適度に存在していると飲食品に良好な風味を付与する。
飲食品に苦味を付与する例として、特許文献1には、ビールテイスト飲料に添加する苦味付与剤が記載されている。特許文献1の苦味付与剤は、ホップ由来の成分、クワシン、ナリンジン、ニガヨモギ(あるいはニガヨモギ抽出物やニガヨモギ香料)、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、イソフムロン類および還元型イソフムロン類等を含むものである。
国際公開第2019/193675号
しかしながら、従来から提案されている苦味付与剤では多様化している飲食品の風味を改善する要望に十分対応できていない。そのため、本発明者らは、風味としての苦味ではなく香味としての苦味感に注目し、この苦味感を付与可能で、かつ汎用性のある苦味感付与組成物の開発を行った。
以上より、本発明の課題は、新規な苦味感付与組成物、香味付与組成物の苦味感効果付与方法、飲食品の苦味感付与方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のアルカジエナールが飲食品に対して優れた苦味感付与効果を奏することを見出し、本願に係る発明を完成するに至った。
かくして、本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
[1] 2,6-ドデカジエナールを有効成分として含有する苦味感付与組成物。
[2] 酸臭味マスキング効果をさらに奏する[1]に記載の苦味感付与組成物。
[3] [1]または[2]に記載の苦味感付与組成物を香味付与組成物に添加する工程を含む、香味付与組成物の苦味感効果付与方法。
[4] [1]または[2]に記載の苦味感付与組成物を飲食品に添加する工程を含む、飲食品の苦味感付与方法。
本発明によれば、新規な苦味感付与組成物、香味付与組成物の苦味感効果付与方法および飲食品の苦味感付与方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。本明細書において、「~」は下限値および上限値を含む範囲を意味し、「濃度(ppm、ppb、ppt)」、「%」は特に断りのない限りそれぞれ「質量濃度」、「質量パーセント濃度」を表すものとする。また、本明細書において、「香味」とは、香気(香り)によって変化し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚および/または味覚を含む感覚を意味する。本明細書において、用語「苦味」には、苦味以外にも、渋味または収斂味、あるいはこれらを合わせもった香味を含んでいる。本明細書において、用語「苦味感付与」とは、直接的に苦味を付与する場合だけでなく、香味によって苦味に相当する感覚を付与する場合も含んでいる。さらに本明細書において、用語「苦味感付与(苦味感を付与する)」には、苦味感を新たに加える、および/または、苦味感を増強することを含み、苦味感を付与乃至増強した結果、香味が改善されるものをも含んでいる。さらには、用語「苦味感付与(苦味感を付与する)」には、苦味感付与の結果、嗅覚および/または味覚以外の感覚、例えば、冷感、温感、質感(のど越し、固さ、粘度など、テクスチャともいう)、炭酸や辛さなどの刺激感などを増強、抑制、または改善するものも含んでいる。また、本明細書において、飲食品の香味を風味と呼ぶこともある。また、本明細書において、「添加」とは、ある対象に噴霧、滴下などによって単に加えること、および、ある対象と混ぜ合わせることの少なくとも1つを含む。
(苦味感付与組成物)
本発明の一実施の形態に係る苦味感付与組成物(以下、本件苦味感付与組成物という場合がある。)は、2,6-ドデカジエナール(2,6-dodecadienal;以下、本件化合物という場合がある。)を所定量含有する。
2,6-ドデカジエナールは、分子内に二重結合を2つ有するため、シス-トランス異性体で(2E,6E)-2,6-ドデカジエナール、(2E,6Z)-2,6-ドデカジエナール、(2Z,6E)-2,6-ドデカジエナール、(2Z,6Z)-2,6-ドデカジエナールの合計4つの異性体が存在するが、本件化合物という場合には、いずれの異性体も含む。
本件化合物は、特表2019-501121号公報によれば、(2E,6Z)-2,6-ドデカジエナールが鶏肉風味調製物において使用されることが記載されているが、苦味感付与組成物に使用できる化合物としては一切知られていなかった。
この点、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、本件化合物が飲食品用の苦味感付与組成物の有効成分であることを見出した。そして、本件化合物を所定量含む本件苦味感付与組成物は、後述の実施例にその一例を示すように、各種飲食品に添加することで、その物品に苦味感を付与することができることを見出した。さらには、特定の飲食品においては、苦味感以外に茶葉感、余韻、飲んだ後の広がり、ボディ感、ビールらしさ、バランスの良さ、飲みごたえといった香味を付与すること、ならびに、酸臭および/または酸味(以下「酸臭味」という。)をマスキングできることを見出した。
また、本件苦味感付与組成物は、各種飲食品に使用することでその飲食品の酸臭味をマスキングすることができる。したがって、本件苦味感付与組成物は、酸臭味マスキング組成物としても使用することができる。
なお、発明者らの検討によれば、2,6-ドデカジエナールと炭素数の異なるジエナールおよび2,6-ドデカジエナールと二重結合の位置の異なるドデカジエナールは、苦味感付与効果を奏さないだけでなく、異質な香味または油脂感が強く、苦味感付与組成物の有効成分としては適さないことがわかった。
本件化合物は天然物由来であっても合成したものであってもよく、当業者によってなし得る任意の方法で入手することができる。入手した本件化合物は、さらに必要に応じてカラムクロマトグラフィまたは減圧蒸留などの手段を用いて精製してもよい。
本件苦味感付与組成物は、本件化合物のみで構成してもよいし、本件化合物を所定量含んでいれば溶剤等その他の成分を含んでいてもよい。本件苦味感付与組成物中の本件化合物の濃度は、苦味感付与組成物の添加対象に応じて任意に決定できる。本件化合物の濃度の例として、苦味感付与組成物の全体質量に対して、100ppb~100%、好ましくは1ppm~10%、より好ましくは10ppm~1%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を100ppb、1ppm、10ppm、100ppm、0.1%、1%、10%のいずれかとし、上限値を100%、10%、1%、0.1%、100ppm、10ppm、1ppmのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
本件苦味感付与組成物の添加対象としては、香味付与組成物(香料組成物を含む。)または飲食品が挙げられる。各添加対象の詳細については後述する。
本件苦味感付与組成物は、それ自体を飲食品に添加してもよいし、1種または2種以上の水溶性・油溶性香料、乳化香料組成物、任意の香料化合物、天然精油(例えば、前掲の「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品香料」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」、および「合成香料 化学と商品知識」に記載される香料化合物)から選択される1種以上と併せて飲食品に添加してもよい。
(香味付与組成物の苦味感効果付与方法)
本発明の一実施の形態に係る香味付与組成物の苦味感効果付与方法は、本件苦味感付与組成物を香味付与組成物に添加する工程を含む。本件苦味感付与組成物を香味付与組成物に有効量添加することで、添加対象の香味付与組成物に苦味感効果を付与することができる。ここで「苦味感効果」とは、「本件苦味感付与組成物を添加した香味付与組成物が、添加対象の飲食品等に苦味感を付与する効果」のことを意味する。
当該方法において、添加対象の香味付与組成物に対する本件苦味感付与組成物の添加量は、有効成分として含まれる本件化合物によって苦味感効果が付与される有効量であればよく、添加対象の香味付与組成物の種類や形態に応じて任意に設定することができる。濃度の具体例は、前掲「苦味感付与組成物」の項目で説明した通りである。
当該方法において、本件苦味感付与組成物を香味付与組成物に添加する方法は特に限定されない。また、本件苦味感付与組成物を香味付与組成物に添加する時期(タイミング)についても特に限定されない。
(香味付与組成物)
以下、本件苦味感付与組成物の添加対象である香味付与組成物について説明する。香味付与組成物は、各種物品に添加することで優れた香味付与効果を奏するものである。香味付与組成物の添加対象の物品としては特に限定されないが、他の香味付与組成物または飲食品を例示できる。香味付与組成物としては、香料組成物、香味改善剤、香味変調剤、風味付与剤、風味改善剤、風味変調剤、呈味付与剤、呈味改善剤および呈味変調剤を例示できる。
本件苦味感付与組成物は、香味付与組成物に添加し、苦味感効果を付与することができる。すなわち、本件苦味感付与組成物を添加した香味付与組成物は、苦味感付与効果を有する香味付与組成物として使用することができる。
また、本件苦味感付与組成物を、本件化合物と香味付与可能な化合物(例えば香料化合物)とで構成することにより、本件苦味感付与組成物を、苦味感付与効果を有する香味付与組成物として使用することもできる。
香味付与組成物の一態様である香料組成物の具体例としては、飲食品用香料組成物(フレーバー組成物ともいう)が挙げられる。添加対象となる物品の例としては、前述のように、飲食品が挙げられる。
香味付与組成物は、以下に例示する化合物または成分を含有し得る。その例として、各種類の香料化合物または香料組成物、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、魚肉エキス類、畜肉エキス類、植物エキス類、酵母エキス類、動植物タンパク質類、動植物蛋白分解物類、澱粉、デキストリン、糖類、アミノ酸類、核酸類、有機酸類、溶剤などを例示することができる。例えば、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料 化学と商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されている天然精油、天然香料、合成香料などを挙げることができる。
合成香料化合物の具体例として、炭化水素化合物としては、α-ピネン、β-ピネン、γ-テルピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5-ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、ブタノール、ペンタノール、3-オクタノール、ヘキサノールなどの飽和アルコール、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、プレノール、2,6-ノナジエノールなどの不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、α-ターピネオール、テルピネン-4-オール、ボルネオールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、デカナールなどの飽和アルデヒド、(E)-2-ヘキセナール、2,4-オクタジエナールなどの不飽和アルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、シトラール、ミルテナール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、p-トリルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物としては、2-ヘプタノン、2-ウンデカノン、1-オクテン-3-オン、アセトイン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン(メチルヘプテノン)などの飽和および不飽和ケトン、ジアセチル、2,3-ペンタンジオン、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンなどのジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α-イオノン、β-イオノン、β-ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フランまたはエーテル化合物としては、フルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピラン、エストラゴール、オイゲノール、1,8-シネオールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸イソアミル、2-メチル酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、イソ酪酸2-メチルブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、ノナン酸エチルなどの脂肪族エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリル、酢酸テルピニル、酢酸ネリルなどのテルペンアルコールエステル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、プロピオン酸シンナミル、安息香酸エチル、イソ吉草酸シンナミル、3-メチル-2-フェニルグリシド酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、δ-デカラクトン、δ-ドデカラクトンなどの飽和ラクトン、7-デセン-4-オリド、2-デセン-5-オリドなどの不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物としては、酢酸、酪酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としては、インドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチル、トリメチルピラジンなどが挙げられる。
含硫化合物としては、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネート、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、3-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-1-ブタンチオール、3-メルカプトヘキサノール、4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン、酢酸3-メルカプトヘキシル、p-メンタ-8-チオール-3-オンおよびフルフリルメルカプタンなどが挙げられる。
天然精油としては、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ヒヤシンス、ライラック、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
各種動植物エキスとしては、ハーブまたはスパイスの抽出物、あるいは、コーヒー、緑茶、紅茶、またはウーロン茶の抽出物や、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼまたはプロテアーゼなどの各種酵素分解物などが挙げられる。
香料組成物の形態は特に限定されず、水溶性香料組成物、油溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物が例示できる。香料組成物の形態としては、本件苦味感付与組成物またはその他成分を水溶性または油溶性の溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤、またはその他固体製剤(固形脂など)などが好適な例として挙げられる。
水溶性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2-プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノールまたはグリセリンが特に好ましい。油溶性溶媒としては、植物性油脂、動物性油脂、精製油脂類(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの加工油脂や、トリアセチン、トリプロピオニンなどの短鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。)、各種精油、トリエチルシトレートなどを例示することができる。
また、乳化製剤とするためには、本件香味付与組成物を水溶性溶媒および乳化剤と共に乳化して得ることができる。本件香味付与組成物の乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品などに用いられている各種類の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、加工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸およびその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼインキラヤサポニン、またはカゼインナトリウムなどの乳化剤を使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、本件化合物1質量部に対し、約0.01~約100質量部、好ましくは約0.1~約50質量部の範囲内が適当である。また、乳化状態を安定させるため、係る乳化液には水の他に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種類または2種類以上の混合物を添加することができる。
また、かくして得られた乳化液は、所望ならば乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、アラビアガム、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴などの糖類を適宜添加することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
本件香料組成物は、上記以外に、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている成分を含有していてもよい。例えば、水、エタノールなどの溶剤や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどの香料保留剤を含有することができる。
(飲食品の苦味感付与方法)
本発明の一実施の形態に係る飲食品の苦味感付与方法(以下「本件苦味感付与方法」という。)は、本件苦味感付与組成物を飲食品に添加する工程を含む。
本件苦味感付与組成物を飲食品に有効量添加することで、添加対象の飲食品に苦味感を付与することができる。
当該方法において、添加対象の飲食品に対する本件苦味感付与組成物の添加量は、有効成分として含まれる本件化合物によって苦味感が付与される有効量であればよく、添加対象の飲食品の種類や形態に応じて任意に設定することができる。
好ましい本件化合物の濃度として、添加対象が飲料である場合にはその飲料の全質量を基準として、少なくとも0.1~10ppbの範囲内で苦味感を付与でき、0.5~5ppbの範囲内で苦味感をより良好に付与できる。より具体的には、下限値を0.1ppb、1ppb、3ppb、5ppbのいずれかとし、上限値を10ppb、5ppb、3ppb、1ppbのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
また好ましい本件化合物の濃度として、添加対象が食品である場合にはその食品の全質量を基準として、5~10ppbの範囲内で苦味感を良好に付与できるが、これに限定されない。
当該方法において、本件苦味感付与組成物を飲食品に添加する方法は特に限定されない。また、本件苦味感付与組成物を飲食品に添加する時期(タイミング)についても特に限定されない。
(飲食品)
以下、本件苦味感付与組成物の添加対象である飲食品について説明する。
飲食品の例として、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、みかん、カボス、スダチ、ハッサク、イヨカン、ユズ、シークワーサー、金柑などの各種柑橘風味;ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、アップル、チェリー、プラム、アプリコット、ピーチ、パイナップル、バナナ、メロン、マンゴー、パパイヤ、キウイ、ペアー、グレープ、マスカット、巨峰などの各種フルーツ風味;ミルク、ヨーグルト、バターなどの乳風味;バニラ風味;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティーなどの各種茶風味;コーヒー風味;コーラ風味;カカオ風味;ココア風味;スペアミント、ペパーミントなどの各種ミント風味;シナモン、カモミール、カルダモン、キャラウェイ、クミン、クローブ、コショウ、コリアンダー、サンショウ、シソ、ショウガ、スターアニス、タイム、トウガラシ、ナツメグ、バジル、マジョラム、ローズマリー、ローレル、ガーリック、ワサビなどの各種スパイスまたはハーブ風味;アーモンド、カシューナッツ、クルミなどの各種ナッツ風味;ワイン、ブランデー、ウイスキー、ラム、ジン、リキュール、日本酒、焼酎、ビールなどの各種酒類風味;タマネギ、セロリ、ニンジン、トマト、キュウリなどの野菜風味;鶏肉、鴨肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの各種畜肉風味;マグロなどの赤身魚、サバ、タイ、サケ、アジなどの白身魚、アユ、マス、コイなどの淡水魚、サザエ、ハマグリ、アサリ、シジミなどの貝類、エビ、カニなどの各種甲殻類、ワカメ、昆布などの各種海藻類、などの各種魚介や海藻風味;米、大麦、小麦、麦芽などの麦類などの各種穀物風味;牛脂、鶏油、ラードなどの畜肉の油脂や各種魚類の油などの各種油脂風味;などの風味の1以上を有する飲食品が挙げられる。すなわち、上記風味の1種類のみを感じさせる飲食品でもよく、2種類以上の風味を感じさせる飲食品でもよく、その複数種類の風味が同類であっても異類であってもよく、例えば、前者の例としてフルーツ風味のうちバナナ、ピーチおよびアップル風味など複数のフルーツ風味を感じさせる(いわゆるミックスフルーツ風味)が挙げられ、後者の例として、レモンなどの柑橘風味および乳風味を感じさせるもの(シトラス風味の乳酸菌飲料など)や、ミント風味や柑橘風味およびコーラ風味を感じさせるもの(ミントまたはレモンフレーバーのコーラ飲料など)が挙げられる。
より具体的な飲食品例としては、せんべい、あられ、おこし、餅類、饅頭、ういろう、あん類、羊かん、水羊かん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ピーナッツペーストまたはその他のペースト類、などの菓子類;パン、うどん、ラーメン、中華麺、すし、五目飯、チャーハン、ピラフ、餃子の皮、シューマイの皮、お好み焼き、たこ焼き、などのパン類、麺類、ご飯類、その他穀類;糠漬け、梅干、福神漬け、べったら漬け、千枚漬け、らっきょう、味噌漬け、たくあん漬け、および、それらの漬物の素、などの漬物類;サバ、イワシ、サンマ、サケ、マグロ、カツオ、クジラ、カレイ、イカナゴ、アユなどの魚類、スルメイカ、ヤリイカ、紋甲イカ、ホタルイカなどのイカ類、マダコ、イイダコなどのタコ類、クルマエビ、ボタンエビ、イセエビ、ブラックタイガーなどのエビ類、タラバガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニなどのカニ類、アサリ、ハマグリ、ホタテ、カキ、ムール貝などの貝類、などの魚介類;缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などの魚介類の加工飲食物類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類;カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスソース、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類(コーンスープ、トマトスープ、コンソメスープなど)、肉団子、角煮、畜肉缶詰などの畜肉を用いた加工飲食物類;卓上塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、めんつゆ(昆布だしまたは鰹だしなど)、ソース(中濃ソース、トマトソースなど)、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素(昆布だしまたは鰹だしなど)、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類、これらの調味料類が添加された動物性または植物性だし風味飲食品;チーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品;ビール酵母、パン酵母などの各種酵母、乳酸菌など各種微生物発酵品;野菜の煮物、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類;持ち帰り弁当の具や惣菜類;リンゴ、ぶどう、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)などの果物の果汁飲料や果汁入り清涼飲料、果物の果肉飲料や果粒入り果実飲料;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニガウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイなどの野菜や、これら野菜類を含む野菜系飲料、野菜スープなどの野菜含有飲食品;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、コーラ飲料、炭酸飲料(柑橘香味など各種香味のサイダーなど)、乳酸菌飲料などの嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料、ノンアルコールビールやビールよりも使用する麦芽量の少ない、いわゆる「第三のビール」などを含むビールテイスト飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料などの機能性飲料;各種酒類(ビール、梅酒、チューハイなど)風味のアルコールテースト飲料などのノンアルコール嗜好飲料類;ワイン、焼酎、泡盛、清酒、ビール、チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒その他醸造酒(発泡性)またはリキュール(発泡性)など、またはこれらを含むアルコール飲料類;などを挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例では(2E,6Z)-2,6-ドデカジエナールを例に説明するが、本発明者らは、(2E,6E)-2,6-ドデカジエナール、(2Z,6E)-2,6-ドデカジエナール、(2Z,6Z)-2,6-ドデカジエナールのいずれも同条件にて同様の効果が得られることを確認した。
[実施例1]飲食品(ビール風味飲料:ノンアルコールビール)への添加効果
市販のノンアルコールビールに、(2E,6Z)-2,6-ドデカジエナール(以下単に「2,6-ドデカジエナール」という。)の市販品を必要に応じてプロピレングリコールで希釈したものを本件苦味感付与組成物として、上記ノンアルコールビール中の2,6-ドデカジエナールの濃度が表1に示す濃度となるようにそれぞれ添加し、本発明品1-1~1-6のビール風味飲料を調製した。そして、得られた本発明品1-1~1-6のビール風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、2,6-ドデカジエナールを添加していない上記市販のノンアルコールビールを対照品1として、本発明品1-1~1-6を対照品1と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、苦味感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<苦味感に関する評価基準>
対照品1に比べて著しく増加した:5点
対照品1に比べて大きく増加した:4点
対照品1に比べてある程度増加した:3点
対照品1に比べてわずかに増加した:2点
対照品1と同等であるまたは対照品1に比べて減少した:1点
本発明品1-1~1-6のビール風味飲料に対する官能評価の結果を表1に示す。
Figure 2023050284000001
表1に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加したビール風味飲料は、苦味感が付与されていることが確認できた。また、表1に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加したビール風味飲料は、苦味感だけでなく、厚み、ふくらみ、飲みごたえ感、穀物感といったビール風味飲料に好適な要素を付与することが確認できた。
[実施例2]飲食品(ビール風味飲料:発泡酒)への添加効果
市販の発泡酒に、2,6-ドデカジエナールの市販品を必要に応じてエタノールで希釈したものを本件苦味感付与組成物として、上記発泡酒中の2,6-ドデカジエナールの濃度が表2に示す濃度となるようにそれぞれ添加し、本発明品2-1~2-3のビール風味飲料を調製した。そして、得られた本発明品2-1~2-3のビール風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、2,6-ドデカジエナールを添加していない上記市販の発泡酒を対照品2として、本発明品2-1~2-3を対照品2と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、苦味感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<苦味感に関する評価基準>
対照品2に比べて著しく増加した:5点
対照品2に比べて大きく増加した:4点
対照品2に比べてある程度増加した:3点
対照品2に比べてわずかに増加した:2点
対照品2と同等であるまたは対照品2に比べて減少した:1点
本発明品2-1~2-3のビール風味飲料に対する官能評価の結果を表2に示す。
Figure 2023050284000002
表2に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加したビール風味飲料は、苦味感が付与されていることが確認できた。また、表2に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加したビール風味飲料は、苦味感だけでなく、厚み、ふくらみ、飲みごたえ感、穀物感といったビール風味飲料に好適な要素を付与することが確認できた。また、表2に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加したビール風味飲料は、酸臭および酸味が抑制されており、2,6-ドデカジエナールの酸臭味マスキング効果も確認できた。
[実施例3]飲食品(コーヒー)への添加効果
市販の容器詰めブラックコーヒーに、2,6-ドデカジエナールの市販品を必要に応じてエタノールで希釈したものを本件苦味感付与組成物として、上記容器詰めブラックコーヒー中の2,6-ドデカジエナールの濃度が表3に示す濃度となるようにそれぞれ添加し、本発明品3-1~3-5のコーヒー風味飲料を調製した。そして、得られた本発明品3-1~3-5のコーヒー風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、2,6-ドデカジエナールを添加していない上記市販の容器詰めブラックコーヒーを対照品3として、本発明品3-1~3-5を対照品3と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、苦味感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<苦味感に関する評価基準>
対照品3に比べて著しく増加した:5点
対照品3に比べて大きく増加した:4点
対照品3に比べてある程度増加した:3点
対照品3に比べてわずかに増加した:2点
対照品3と同等であるまたは対照品3に比べて減少した:1点
本発明品3-1~3-5のコーヒー風味飲料に対する官能評価の結果を表3に示す。
Figure 2023050284000003
表3に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加したコーヒー風味飲料は、苦味感が付与されていることが確認できた。また、表3に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加したコーヒー風味飲料は、苦味感だけでなく、ボディ感、固形感、豆を豊富に使用しているイメージおよび余韻が伸びる感じといったコーヒー風味飲料に好適な要素を付与することが確認できた。
[実施例4]飲食品(紅茶)への添加効果
市販の紅茶(ストレートティー)に、2,6-ドデカジエナールの市販品を必要に応じてエタノールで希釈したものを本件苦味感付与組成物として、上記紅茶中の2,6-ドデカジエナールの濃度が表4に示す濃度となるようにそれぞれ添加し、本発明品4-1~4-5の紅茶風味飲料を調製した。一方、上記市販の紅茶に、2,6-ドデカジエナールの比較対象として、2,4-デカジエナールまたは2,4-ドデカジエナールの市販品を必要に応じてエタノールで希釈したものを、上記紅茶中の2,4-デカジエナールまたは2,4-ドデカジエナールの濃度が表4に示す濃度となるようにそれぞれ添加し、比較品4-1~4-6の紅茶風味飲料を調製した。そして、得られた本発明品4-1~4-5および比較品4-1~4-6の紅茶風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、2,6-ドデカジエナールを添加していない上記市販の紅茶を対照品4として、本発明品4-1~4-5および比較品4-1~4-6を対照品4と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、苦味感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<苦味感に関する評価基準>
対照品4に比べて著しく増加した:5点
対照品4に比べて大きく増加した:4点
対照品4に比べてある程度増加した:3点
対照品4に比べてわずかに増加した:2点
対照品4と同等であるまたは対照品4に比べて減少した:1点
本発明品4-1~4-5および比較品4-1~4-6の紅茶風味飲料に対する官能評価の結果を表4に示す。
Figure 2023050284000004
表4に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加した紅茶風味飲料は、苦味感が付与されていることが確認できた。また、表4に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加した紅茶風味飲料は、苦味感だけでなく、渋み、茶葉感、濃い紅茶感および自然な苦渋味感といった紅茶風味飲料に好適な要素を付与することが確認できた。
一方、表4に示すように、2,6-ドデカジエナールとは炭素数または二重結合の位置の異なる化合物、すなわち2,4-デカジエナールおよび2,4-ドデカジエナールでは、苦味感が付与されないことが確認できた。以上の結果より、2,6-ドデカジエナールを有効成分とする苦味感付与組成物の有用性が示された。
[実施例5]飲食品(抹茶クッキー)への添加効果
小麦粉(薄力粉)100質量部に対し、砂糖40質量部、抹茶1質量部、マーガリン50質量部、卵黄10質量部、ベーキングパウダー1質量部および水12質量部を混合して生地を調製した。その後、2,6-ドデカジエナールの市販品を必要に応じてエタノールで希釈したものを本件苦味感付与組成物として、上記生地中の2,6-ドデカジエナールの濃度が表5に示す濃度となるようにそれぞれ添加し、5mm厚に延ばして型抜きしてから220℃のオーブンで7分間焼き上げ、本発明品5-1~5-2の抹茶クッキーを調製した。
そして、得られた本発明品5-1~5-2の抹茶クッキーについて、5名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、2,6-ドデカジエナールを添加していない上記生地を同じ条件で焼き上げた抹茶クッキーを対照品5として、本発明品5-1~5-2を対照品5と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせることにより行った。
官能評価の結果を表5に示す。
Figure 2023050284000005
表5に示すように、2,6-ドデカジエナールを添加した抹茶クッキーは、茶葉感および自然な苦渋味感が付与されていることが確認できた。

Claims (4)

  1. 2,6-ドデカジエナールを有効成分として含有する苦味感付与組成物。
  2. 酸臭味マスキング効果をさらに奏する請求項1に記載の苦味感付与組成物。
  3. 請求項1または2に記載の苦味感付与組成物を香味付与組成物に添加する工程を含む、香味付与組成物の苦味感効果付与方法。
  4. 請求項1または2に記載の苦味感付与組成物を飲食品に添加する工程を含む、飲食品の苦味感付与方法。
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